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  • 特開-エアーカーテン装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022136341
(43)【公開日】2022-09-16
(54)【発明の名称】エアーカーテン装置
(51)【国際特許分類】
   F24F 9/00 20060101AFI20220909BHJP
   F24F 7/003 20210101ALI20220909BHJP
【FI】
F24F9/00 F
F24F9/00 A
F24F7/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021035898
(22)【出願日】2021-03-06
(71)【出願人】
【識別番号】320012510
【氏名又は名称】光愛技研株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100113804
【弁理士】
【氏名又は名称】岩田 敏
(72)【発明者】
【氏名】小林 勲
(57)【要約】
【課題】 対面者等への飛沫感染等を防止するため、下方から上方へ一方方向の強制的な気流を起こして飛沫等を遮断する一方、その飛沫等に含まれるウイルス・細菌を除去して安全・安心なクリーンエアーに生成するエアーカーテン装置を提供することにある。
【解決手段】 エアーを吹き出す吹出部1と、吹出部1の上方に位置して吹出部1から吹き出されたエアーを吸い込む吸込部2と、を備えてエアーの流通によるエアーカーテンを形成するエアーカーテン装置10であって、吹出部1から吸込部2へエアーを流通させる送風機6を吹出部1及び吸込部2以外の部分に備えるとともに、エアーの吹き出し前又は/及びエアーの吸い込み後にエアーに含まれるウイルス・細菌を除去してクリーンなエアーにするエアークリーン部(紫外線ランプ3,フィルター5)を備える。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアーを吹き出す吹出部と、吹出部の上方に位置して吹出部から吹き出されたエアーを吸い込む吸込部と、を備えてエアーの流通によるエアーカーテンを形成するエアーカーテン装置であって、
吹出部から吸込部へエアーを流通させる送風機を吹出部及び吸込部以外の部分に備えるとともに、
エアーの吹き出し前又は/及びエアーの吸い込み後にエアーに含まれるウイルス・細菌を除去してクリーンなエアーにするエアークリーン部を備えることを特徴としたエアーカーテン装置。
【請求項2】
吸込部から吸い込まれたエアーを吹出部へ循環させる循環通路にエアークリーン部を備えることを特徴とした請求項1記載のエアーカーテン装置。
【請求項3】
外部から吹出部へエアーを供給する供給口の前後にエアークリーン部又は/及び吸込部から外部へエアーを排出する排出口の前後にエアークリーン部を備えることを特徴とした請求項1記載のエアーカーテン装置。
【請求項4】
エアークリーン部は、紫外線又は/及びフィルターによってエアーに含まれるウイルス・細菌を除去することを特徴とした請求項1から3のいずれかに記載のエアーカーテン装置。
【請求項5】
エアークリーン部は、取り付け取り外し自在であることを特徴とした請求項1から4のいずれかに記載のエアーカーテン装置。
【請求項6】
卓上に載置して使用されることを特徴とした請求項1から5のいずれかに記載のエアーカーテン装置。
【請求項7】
卓上に設けられた凹部に差し込んで使用され、エアークリーン部は卓上の裏面側に配置されることを特徴とした請求項1から5のいずれかに記載のエアーカーテン装置。
【請求項8】
吸込部には、下方に位置する吹出部に向かって延伸する一対の吸込誘導体を備えることを特徴とした請求項1から7のいずれかに記載のエアーカーテン装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、対面者等への飛沫感染等を防止するため、下方から上方へ一方方向の強制的な気流を起こして飛沫等を遮断する一方、その飛沫等に含まれるウイルス・細菌を除去して安全・安心なクリーンエアーに生成するクリーンエアー機能付きエアーカーテン装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
本願出願人は、特許文献1乃至8に開示された従来技術に触れつつ、対面者との間に、下方から上方への強制的な気流を起こして飛沫を遮断する一方、その飛沫を吸引して細菌を除菌して、清浄な空気を排気することによって飛沫感染の防止が図れる上、不特定多数の者が繰り返し使用する場合であつても消毒を要する部分を極小にした除菌機能付きエアーカーテン装置を提供することを目的として、特許出願を行った(2021年1月29日提出の特許出願)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平6-59546号公報
【特許文献2】特許第5105507号公報
【特許文献3】特許第6586180号公報
【特許文献4】実用新案登録第3223623号公報
【特許文献5】特許第6807070号公報
【特許文献6】実用新案登録第3228217号公報
【特許文献7】特許第3099234号公報
【特許文献8】特許第3438107号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本願出願人は、今般さらに研究・開発を進めて、先の特許出願に追加するものとして、本願発明を特許出願することとした。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願発明の第1の発明は、エアーを吹き出す吹出部と、吹出部の上方に位置して吹出部から吹き出されたエアーを吸い込む吸込部と、を備えてエアーの流通によるエアーカーテンを形成するエアーカーテン装置であって、吹出部から吸込部へエアーを流通させる送風機を吹出部及び吸込部以外の部分に備えるとともに、エアーの吹き出し前又は/及びエアーの吸い込み後にエアーに含まれるウイルス・細菌を除去してクリーンなエアーにするエアークリーン部を備えることを特徴としたものである。
ここで、エアーカーテン部で除去するものには、ウイルスや細菌だけでなくその他に、PM2.5、花粉、ハウスダストなど人体に有害なものや社会活動の障害になるものも含むものであり、これらを除外する趣旨ではない。
第2の発明は、吸込部から吸い込まれたエアーを吹出部へ循環させる循環通路にエアークリーン部を備えることを特徴とした同エアーカーテン装置である。
第3の発明は、外部から吹出部へエアーを供給する供給口の前後にエアークリーン部又は/及び吸込部から外部へエアーを排出する排出口の前後にエアークリーン部を備えることを特徴とした同エアーカーテン装置である。
第4の発明は、エアークリーン部が、紫外線又は/及びフィルターによってエアーに含まれるウイルス・細菌を除去することを特徴とした同エアーカーテン装置である。
第5の発明は、エアークリーン部が、取り付け取り外し自在であることを特徴とした同エアーカーテン装置である。
第6の発明は、卓上に載置して使用されることを特徴とした同エアーカーテン装置である。
第7の発明は、卓上に設けられた凹部に差し込んで使用され、エアークリーン部は卓上の裏面側に配置されることを特徴とした同エアーカーテン装置である。
第8の発明は、吸込部に、下方に位置する吹出部に向かって延伸する一対の吸込誘導体を備えることを特徴とした同エアーカーテン装置である。
【発明の効果】
【0006】
本願発明によれば、以下の効果を有する。
(1)一方方向へ(下から上へ)の気流によって対面者からの飛沫等を遮断すると共に、その気流に乗せて飛沫等を吸引し、ウイルス・細菌を除去することができるので、マスクを外さざるを得ない場所でも、飛沫感染等を防ぐことができる。また、パーテーションと比べると飛沫等を拭き取る手間が無い。
(2)送風機が吹出部及び吸込部以外のところにあるので、吹出部と吸込部をコンパクトにできる。これにより、エアーカーテン装置全体のスリム化・軽量化を図ることができ、設置した場合の安定性にも優れたものとなる。
(3)送風機が吹出部及び吸込部以外のところにあるので、利用者の邪魔にならない所に配置できる。これにより、音や排気を回避できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本願発明の第1実施形態を説明する説明図(1)。
図2】本願発明の第1実施形態を説明する説明図(2)。
図3】本願発明の第2実施形態を説明する説明図。
図4】本願発明の第3実施形態を説明する説明図。
図5】本願発明の第4実施形態を説明する説明図(1)。
図6】本願発明の第4実施形態を説明する説明図(2)。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に、本願発明に係るエアーカーテン装置の実施形態を、図面に基いて説明する。
図1及び図2は、エアーカーテン装置の第1実施形態を示す図であり、図1は構造図、図2は外観図である。
図1及び図2に示すエアーカーテン装置は、エアー循環型であり、上下左右の筒形部材で所定空間を矩形に枠取りする本体部10を備える。なお、左右の筒形部材は片方のみであってもよい。また、本体部10を垂直に支持する脚部(図示省略)を備えてもよい。
【0009】
本体部10は、下部を形成する吹出部1、上部を形成する吸込部2、側部を形成する循環通路11(左右両方でも片方でもよい)を有する。吹出部1及び吸込部2は、循環通路11と結合され、空気が流通するように成形されている。
【0010】
ここで、本体部10は、ステンレスなどの金属、若しくは耐熱、耐光性を有する樹脂を成形し、大きさが、例えば、幅650mm、高さ750mm、奥行き100mmとして、枠取りされる所定空間を幅600mm、高さ700mmに設定することができるが、ここで示す材質、数値に限定する必要はない。
【0011】
吹出部1は、狭幅で上向きの横長な吹出口1aを備えている。
吸込部2は、広幅で下向きの横長な吸込口2aを備え、吸込口2aには、金属製・プラスチック製のパンチング・メッシュ・粗いフィルター部材8が設置され、ゴミや埃等が内部に侵入するのを防止している。
【0012】
循環通路11には、モータによつて駆動されるファン6(送風機)が設置されている。モータは、制御手段を有し、その制御手段から回転制御信号と電力が送られ、回転数を制御することができる。
また、循環通路11には、エアークリーン部となる紫外線ランプ3を備えるとともに、内周面に紫外線を反射するアルミニウム等の反射板を設けてもよい。そして、それよりも下流側にウイルス・細菌その他の不純物を捕集するフィルター5(例えば、バイオフィルタ)が設置されている。
【0013】
従って、ファン6によって送風されたエアーに含まれるウイルス・細菌その他の不純物は、紫外線ランプ3から照射される紫外線で消滅され、万一消滅されなかった不純物も、フィルター5で濾過されるので、クリーンなエアーが吹出部1に還流される。
【0014】
循環通路11には、内側の壁面に、紫外線ランプ3やフィルター5を交換する扉があり、外側の壁面の、フィルタよりも下流側には、吹出部1に還流するエアーの一部を排出する排出口(図示省略)が設けてある。従って、吹出部1に還流するクリーンエアーの一部は、その排出口から外部に排出させることができる。
なお、排出口は、排出面積の大きさが調整可能になつており、吹出部1に還流する風量の調整が可能である。
【0015】
第1実施形態の循環通路11には、ウイルス・細菌その他の不純物除去手段として、紫外線ランプ4とフィルター5とを備えているが、必ずしも両方を備える必要はなく、何れか一方を備えることにしてもよい。
エアークリーン部の一部は、ジョイント金具4によって、取り付け・取り外しが自在となっている。
循環通路11内は、空気減圧調整バルブ7によって、循環通路11内の圧力を調整できるようになっている。
脚部(図示省略)は、矩形の部材を吹出部1の底面にボルト等で回転自在に設置されている。従って、本体部10の高さを微調整することができる。
【0016】
いま、吹出部1の吹出口1aの面積をS1(平方メートル)、吹出口1aから排出されるエアーの流速をV1(メートル/秒)、風量をQ1(立方メートル/秒)とし、吸込部2の吸込口2aの面積をS2(平方メートル)、吸込口2aから吸入されるエアーの流速をV2(メートル/秒)、風量をQ2(立方メートル/秒)とすれば、Q1=V1×S1、Q2=V2×S2となる。
S2は、S1のM倍であり、V1は、V2のN倍であるとし、吹出口1aから排出される風量をQ3とすれば、Q3=Q2-Q1=V1×S1(M/N-1)となる。
【0017】
(1)例えば、吹出口1aの幅が1センチメートル、吸込口2aの幅が5センチメートル(例えば直径5センチメートルの円筒周面の約1/3)とした場合は、N=0.5のときは、Q3からQ2の約90%を排出させ、N=1のときは、Q3からQ2の約80%を排出させ、N=1.5のときは、Q3から約70%を排出させる必要がある。
(2)M/Nは1以上にする必要があるが、MとNが等しい場合、すなわち吹出口1aから排気される空気の流速V1が、吸込口2aに吸入される空気の流速V2に吹出口1aの面積S2に対する吸込口2aの面積S1の割合を乗じた値と等しい場合には、排出口は必ずしも必要としない。
【0018】
第1実施形態のエアーカーテン装置を食卓やテーブルに載置し、電源スイッチをONにすると、ファン6が回転し、吹出部1から所定流速のエアーが上方に向けて吹き出され、それと同時に、吸込部2から所定流速でエアーが吸い込まれ、吸い込まれたエアーは、循環通路11を介して吹出部1に還流される。そして、本体部10で囲われた矩形の空間には、下方から上方への気流によってエアーカーテンが生じる。気流を下方から上方へとしたのは、上方から下方であると、咳・くしゃみ等をした場合に下方に散らばってしまい、空気の乱気流が起こりやすい。それに対して、下方から上方であると、飛沫等を吸い込みやすく、感染防止効果が高いからである。
【0019】
そして、対面者から飛沫等が放出されると、その飛沫等は気流に運ばれて吸込部2に吸引される。気流は循環通路11を通って吹出部1に還流されるので、吸引された飛沫等に含まれるウイルス・細菌その他の不純物は、その気流に乗って紫外線ランプ3に照射され、大部分は死滅(不活性化)する。そして、残余の不純物も、フィルタ5で完全に除去される。
【0020】
第1実施形態においては、ファン6が用いられているが、必ずしもクロスファンあるいは二重反転ファンなどに限定する必要はなく、シロッコファン、ターボファン、プロペラファン、二重反転ファン等のうちの何れのファンを用いてもよい。
但し、吹出部1から吹き出された気流によつて、飛沫を上部に移動させる必要があるので、排気する気流の流速を速くする必要がある。また吸込部2ではそれらの飛沫を全て吸い込めるように、吸入する空気の流速を一定以上にする必要があるので、吹出口1aの面積及び吸込口2aの面積に応じて、必要な風量が得られるファンを選択する必要がある。
【0021】
次に、図3は、エアーカーテン装置の第2実施形態を示す図であり、図1と同様に構造図となっている。
ベースは、図1に図示した第1実施形態を同じであるが、第1実施形態と異なる点は、外部から吹出部1へエアーを供給する供給口17を備え、その後にファン14とともにエアクリーン部としてのフィルター13(例えば、バイオフィルター)を有し、吸込部2から外部へエアーを排出する排出口18を備え、その前にファン14とともにエアークリーン部としてのフィルター13(例えば、バイオフィルター)を有するところである。第1実施形態が空気循環型とすれば、第2実施形態は空気セパレート型である。なお、符合15はジョイント金具、符合16は紫外線ランプである。また、供給口17側にフィルター13及び紫外線ランプ16を図示しているが、それらはなくてもよい。
【0022】
さらに、図4は、エアーカーテン装置の第3実施形態を示す図であり、図1及び図3と同様に構造図となっている。
ベースは、図1に図示した第1実施形態を同じであるが、第1実施形態と異なる点は、卓上24に設けられた凹部26に差し込んで使用され、ファン29及びエアークリーン部(フィルター28)は卓上24の裏面側に配置されるところにある。これらが卓上24の裏面側に配置されることで、利用者の邪魔にならず、音(ファン29の音等)や排気(第2実施形態のように空気セパレート型にする場合)を回避できる。第1実施形態及び第2実施形態が卓上載置型とすれば、第3実施形態は卓上差込型である。なお、符合23は紫外線ランプ、符合25はテーブル足、符合27は空気減圧調整バルブ、符合30は空気の流れである。
【0023】
また、図5及び図6は、エアーカーテン装置の第4実施形態を示す図であり、図5は構造図、図6は外観図である。
ベースは、図1に図示した第1実施形態を同じであるが、第1実施形態と異なる点は、吸込部2に、下方に位置する吹出部1に向かって延伸する一対の吸込誘導体33,33を備えるところにある。これにより、次のような効果を有する。
(1)吹出部1から吹き出されたエアーを吸込部2で十分に捕捉できる。
(2)空間の距離が少なく、物を渡すことができる。
(3)飛沫等をほぼ遮断できる。
なお、この一対の吸込誘導体33,33は、平行に配置してもよいし、ハの字型に配置してもよい。
また、吸込誘導体33の材質には透明体又は半透明体のものが好ましく、アクリル板の他、ガラスやプラスチックその他のものが使用できる。
【産業上の利用可能性】
【0024】
本願発明に係るエアーカーテン装置は、対面して会話をする場所や食事をする場所、あるいは密接して仕事等を行う場所、清浄な空気下の限られたスペースで作業を行う場所等に設置して、飛沫等感染を図るために有効である。
【符号の説明】
【0025】
(第1実施形態)
1 吹出部
1a 吹出口
2 吸込部
2a 吸込口
3 紫外線ランプ
4 ジョイント金具
5 フィルター
6 ファン(ファンモーター)
7 空気減圧調整バルブ
8 パンチングメッシュ部材
9 空気の流れ
10 本体(エアーカーテン装置)
11 循環通路
図1
図2
図3
図4
図5
図6