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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022136342
(43)【公開日】2022-09-16
(54)【発明の名称】眼球に内蔵される人工眼装置
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/14 20060101AFI20220909BHJP
   A61F 9/007 20060101ALI20220909BHJP
【FI】
A61F2/14
A61F9/007 190A
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021108145
(22)【出願日】2021-06-29
(31)【優先権主張番号】202110247213.4
(32)【優先日】2021-03-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
2.ZIGBEE
(71)【出願人】
【識別番号】507232478
【氏名又は名称】北京大学
【氏名又は名称原語表記】PEKING UNIVERSITY
【住所又は居所原語表記】No.5, Yiheyuan Road, Haidian District, Beijing 100871, China
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】許勝勇
(72)【発明者】
【氏名】林▲エン▼▲ニ▼
(72)【発明者】
【氏名】徐晶晶
(72)【発明者】
【氏名】葛松
(72)【発明者】
【氏名】楊娜娜
【テーマコード(参考)】
4C097
【Fターム(参考)】
4C097AA24
4C097CC01
4C097CC18
4C097SA10
(57)【要約】      (修正有)
【課題】視覚障害者が色覚を得ることができる人工眼装置を提供する。
【解決手段】内蔵眼球コンポーネント100は、眼部の水晶体と網膜の間に埋め込まれるマイクロLED曲面スクリーン、マイクロフォーカスレンズ及び中空眼球本体を含み、中空眼球本体の中心位置には、眼部の水晶体を通過する光線が網膜に到達できるように中空チャネルが設けられ、マイクロLED曲面スクリーンとマイクロフォーカスレンズは、中空眼球本体の中空チャネル内に間隔を空けて設けられ、マイクロLED曲面スクリーンは眼部の水晶体に近接する側に設けられ、マイクロフォーカスレンズは網膜に近接する側に設けられ、マイクロLED曲面スクリーンとマイクロフォーカスレンズは、それぞれ、制御可能な回転、折り畳み及び展開を行うことができ、マイクロLED曲面スクリーンとマイクロフォーカスレンズはそれぞれ中空チャネルに対する位置に応じて変更する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内蔵眼球コンポーネントを含み、内蔵眼球コンポーネントは、眼部の水晶体と網膜の間に埋め込まれるマイクロLED曲面スクリーン、マイクロフォーカスレンズ及び中空眼球本体を含み、中空眼球本体は眼部の水晶体と網膜の間に埋め込まれ、且つ該中空眼球本体の中心位置には、眼部の水晶体を通過する光線が網膜に到達可能とするように中空チャネルが設けられ、マイクロLED曲面スクリーンとマイクロフォーカスレンズは、該中空眼球本体の中空チャネル内に間隔を空けて設けられ、マイクロLED曲面スクリーンは眼部の水晶体に近接する側に設けられ、マイクロフォーカスレンズは網膜に近接する側に設けられ、マイクロLED曲面スクリーンとマイクロフォーカスレンズは、それぞれ、制御可能な回転、折り畳み及び展開可能とし、マイクロLED曲面スクリーンとマイクロフォーカスレンズはそれぞれ中空チャネルに対する位置に応じて変更し、内蔵眼球コンポーネントの作動状態は以下の2種類に分けることが可能であり、
1つ目は、マイクロLEDディスプレイ、後部マイクロレンズのいずれも回転して折り畳みで天然の瞳孔から網膜までの光路を出すことにより、外界画像を直接天然水晶体により屈折して網膜に焦点を合わせて画像形成し、視神経を刺激して神経信号を生成し、大脳の視覚中枢に送信して患者に見られることであり、以下、該作動状態を「自然状態」と称し、
2つ目は、眼に埋め込まれるマイクロLED曲面スクリーンとマイクロフォーカスレンズを展開し、天然瞳孔から網膜までの光路を遮断し、外界画像を情報処理モジュールで処理した後にマイクロLED曲面スクリーンに送信してから、マイクロLED曲面スクリーンの後方の網膜に近接する側に設けられたマイクロフォーカスレンズを介して網膜で選択された領域に屈折して画像形成し、視神経を刺激して神経信号を生成し、大脳の視覚中枢に送信して患者に見られることであり、以下、該作動状態を「人工視覚スクリーン状態」と称し、これらの2種類の作動状態では、焦点を合わせて画像形成する最終的な位置はいずれも天然の網膜にある、ことを特徴とする眼球に内蔵される人工眼装置。
【請求項2】
順に接続される画像生成モジュール、画像処理モジュール及び外部制御モジュールをさらに含み、画像処理モジュールはマイクロLED曲面スクリーンに画像を伝達し、人工視覚スクリーン状態で内蔵眼球コンポーネントは2種類の作動モードを有し、
1つ目は、画像生成モジュールにおける画像収集デバイスが画像を収集して、リアルタイムで記憶して画像処理モジュールに送信し、画像処理モジュールで処理した後に、リアルタイムでマイクロLED曲面スクリーンに送信して表示させ、マイクロLED曲面スクリーンの後方の網膜に近接する側に設けられたマイクロフォーカスレンズを介して、マイクロLED曲面スクリーン上の画像を網膜で選択された領域に屈折して画像形成し、視神経を刺激して神経信号を生成し、大脳の視覚中枢に送信して患者に見られることであり、以下、該作動モードを「人工視覚スクリーンリアルタイム通信モード」と称し、
2つ目は、ネットワーク又は画像生成モジュールに記憶された画像情報を画像処理モジュールで処理した後にマイクロLED曲面スクリーンに送信してから、マイクロLED曲面スクリーンの後方の網膜に近接する側に設けられたマイクロフォーカスレンズを介して、網膜で選択された領域に屈折して画像形成し、視神経を刺激して神経信号を生成し、大脳の視覚中枢に送信して患者に見られることであり、以下、該作動モードを「人工視覚スクリーン秘密通信モード」と称し、
前記外部制御モジュールは、内蔵眼球コンポーネントを異なる作動状態又はモードにするように制御可能とし、1つ目は、「自然状態」と「人工視覚スクリーン状態」の間の切り替えを制御することであり、2つ目は、「人工視覚スクリーンリアルタイム通信モード」と「人工視覚スクリーン秘密通信モード」の間の切り替えを制御することであり、3つ目は、制御によって「人工視覚スクリーンリアルタイム通信モード」と「人工視覚スクリーン秘密通信モード」を同時に作動させることであり、外部制御モジュールの内蔵眼球コンポーネントの作動モードに対する制御方式は手動制御又は音声制御であり、
前記画像生成モジュールと画像処理モジュールの間の情報送信、画像処理モジュールとマイクロLED曲面スクリーンの間の情報通信、及び外部制御モジュールと画像生成モジュール、画像処理モジュール、マイクロLED曲面スクリーン及びマイクロフォーカスレンズとの間の通信は有線方式又は/及び無線方式を用い、無線信号送信のタイプは、Bluetooth、WIFI、Zigbee、移動通信を含む、ことを特徴とする請求項1に記載の眼球に内蔵される人工眼装置。
【請求項3】
前記画像生成モジュールにおける画像収集デバイスは内蔵されたマイクロ画像収集デバイス又は外付けられた画像収集デバイスが用いられ、前記画像生成モジュールは、画像収集ユニット、画像記憶ユニット、画像抽出ユニット及び画像検索ユニットを含み、外部制御モジュールによって異なる作動モードに対応して異なるユニットを有効にするように制御し、人工視覚スクリーンリアルタイム通信モードで画像収集ユニットと画像記憶ユニットを有効にし、人工視覚スクリーン秘密通信モードで画像抽出ユニットと画像検索ユニットを有効にする、ことを特徴とする請求項2に記載の眼球に内蔵される人工眼装置。
【請求項4】
前記画像処理モジュールは受信した画像を処理するためのものであって、外部制御モジュールにより制御される輝度調節ユニット、コントラスト調節ユニット、彩度調節ユニット、画素調節ユニット、パノラマ選択ユニット、部分画像選択ユニット、部分拡大ユニット、望遠効果ユニット、近景効果ユニット及び動き画像形成補償ユニットを含み、前記画像処理モジュールは内蔵された画像処理チップ又はクラウド処理システムが用いられる、ことを特徴とする請求項2に記載の眼球に内蔵される人工眼装置。
【請求項5】
前記外部制御モジュールは、さらに、マイクロLED曲面スクリーンの展開と回転の角度、画素、輝度、コントラスト、色及び彩度などを設置可能であり、マイクロフォーカスレンズの展開と回転の角度を設置してマイクロフォーカスレンズのフォーカス屈折の方向を制御することで、内蔵眼球コンポーネントの異なる作動モードでの画像形成パラメータの設置を制御可能である、ことを特徴とする請求項2に記載の眼球に内蔵される人工眼装置。
【請求項6】
前記画像生成モジュールにおける、画像記憶ユニットは内蔵された記憶チップによって記憶を実現するか、或いは無線送信によってクラウドに記憶し、
画像抽出ユニットは内蔵された記憶チップから抽出するか、或いはクラウドから抽出し、
画像検索ユニットはネットワークに接続して検索エンジンを開くことで検索を実現し、該ネットワークの接続は、無線ネットワーク、ローカルエリアネットワーク、4G及び5Gの1種又は複数種が用いられる、ことを特徴とする請求項3に記載の眼球に内蔵される人工眼装置。
【請求項7】
前記マイクロLED曲面スクリーンと、マイクロLED曲面スクリーンの後方の網膜に近接する側に設けられたマイクロフォーカスレンズは、いずれも回転、折り畳み及び展開可能とし、両者を異なる角度で偏向させることで、マイクロLED曲面スクリーン上の画像が焦点を合わせて網膜の異なる領域に画像形成されることが可能であり、これにより、内蔵眼球コンポーネントはマイクロLED曲面スクリーン上の画像が病変領域を回避し、網膜の機能の正常な領域に画像形成する機能を実現可能であり、黄斑病、白内障、弱視、近視、乱視、夜盲症などの網膜の一部が損傷したか、又は損傷していない視覚障害のある患者、及び軍人並びに秘密通信を必要とするか、又は特別なタスクを完了する必要がある、他の網膜の機能が正常な人々などの異なるユーザの要求に適用される、ことを特徴とする請求項1に記載の眼球に内蔵される人工眼装置。
【請求項8】
前記マイクロLED曲面スクリーンの輝度、画素、色及び彩度はいずれも調節可能である、ことを特徴とする請求項1に記載の眼球に内蔵される人工眼装置。
【請求項9】
赤外線画像形成、紫外線画像形成、スターライト弱光画像形成などの天然の目が備えない特別な機能を実現するように、内蔵光学情報強化装置をさらに含む、ことを特徴とする請求項1に記載の眼球に内蔵される人工眼装置。
【請求項10】
マイクロワイヤレス充電式バッテリーにより提供される、眼球の内部に埋め込まれる電源をさらに含む、ことを特徴とする請求項1に記載の眼球に内蔵される人工眼装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人工視覚の技術分野に属し、具体的には、眼球に内蔵される人工眼装置に関する。
【背景技術】
【0002】
世界保健機関のデータによると、全世界には3,900万人の視覚障害者がいる。これらの視覚障害者の視覚障害は一部が先天性であり、一部が後天性である。視覚障害さらに視覚喪失は患者の生活の品質に深刻な影響を及ぼし、現在、多くの人工視覚装置が開発されており、主に2種類に分類できる。1つの種類は視覚置換デバイスであり、この種類のデバイスは、触覚又は聴覚のような他の方式で視覚情報を患者に伝達し、他の種類は、網膜プロテーゼなどの視覚機能を回復しようとする技術である。
【0003】
現在の視覚回復技術の主な作動方法は、網膜に埋め込まれた電極アレイ又は光電アレイデバイスを介して視神経を直接刺激することにより、網膜を介して光を電気信号に変換するプロセスをバイパスして、着用者が視覚を生成できることである。しかしながら、色覚の感知と統合は、主に網膜での錐体細胞と桿体細胞の光への反応により完了し、したがって、従来の電極アレイ埋め込み物は、患者に物体の輪郭を感じさせることができるが、患者に物体の色を感じさせることはできない問題があり、これは視覚障害のある患者の外部世界に対する直感的な体験を大幅に弱める。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
人工視覚の分野における従来の色覚回復技術の不足を補うために、本発明は、「アイインアイ」装置と略称する、眼球に内蔵される人工眼装置を提供し、外界視覚情報を収集して処理した後に、選択された網膜機能が正常な領域に投射することで、視覚障害者が色覚を得ることができる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述の目的を実現するために、本発明は以下の技術案を講じた。
内蔵眼球コンポーネントを含み、内蔵眼球コンポーネントは、眼部の水晶体と網膜の間に埋め込まれるマイクロLED曲面スクリーン、マイクロフォーカスレンズ及び中空眼球本体を含み、中空眼球本体は眼部の水晶体と網膜の間に埋め込まれ、且つその中心位置には、眼部の水晶体を通過する光線が網膜に到達できるように中空チャネルが設けられ、マイクロLED曲面スクリーンとマイクロフォーカスレンズは、該中空眼球本体の中空チャネル内に間隔を空けて設けられ、マイクロLED曲面スクリーンは眼部の水晶体に近接する側に設けられ、マイクロフォーカスレンズは網膜に近接する側に設けられ、マイクロLED曲面スクリーンとマイクロフォーカスレンズは、それぞれ、制御可能な回転、折り畳み及び展開を行うことができ、マイクロLED曲面スクリーンとマイクロフォーカスレンズはそれぞれ中空チャネルに対する位置に応じて変更し、内蔵眼球コンポーネントの作動状態は以下の2種類に分けることができ、
1つ目は、マイクロLEDディスプレイ、後部マイクロレンズのいずれも回転して折り畳みで天然の瞳孔から網膜までの光路を出すことにより、外界画像を直接天然水晶体により屈折して網膜に焦点を合わせて画像形成し、視神経を刺激して神経信号を生成し、大脳の視覚中枢に送信して患者に見られることであり、以下、該作動状態を「自然状態」と称し、
2つ目は、眼に埋め込まれるマイクロLED曲面スクリーンとマイクロフォーカスレンズを展開し、天然瞳孔から網膜までの光路を遮断し、外界画像を情報処理モジュールで処理した後にマイクロLED曲面スクリーンに送信してから、マイクロLED曲面スクリーンの後方の網膜に近接する側に設けられたマイクロフォーカスレンズを介して網膜で選択された領域に屈折して画像形成し、視神経を刺激して神経信号を生成し、大脳の視覚中枢に送信して患者に見られることであり、以下、該作動状態を「人工視覚スクリーン状態」と称し、これらの2種類の作動状態では、焦点を合わせて画像形成する最終的な位置はいずれも天然の網膜にある、眼球に内蔵される人工眼装置。
【0006】
さらに、順に接続される画像生成モジュール、画像処理モジュール及び外部制御モジュールをさらに含み、画像処理モジュールはマイクロLED曲面スクリーンに画像を伝達し、人工視覚スクリーン状態で内蔵眼球コンポーネントは2種類の作動モードを有し、
1つ目は、画像生成モジュールにおける画像収集デバイスが画像を収集して、リアルタイムで記憶して画像処理モジュールに送信し、画像処理モジュールで処理した後に、リアルタイムでマイクロLED曲面スクリーンに送信して表示させ、マイクロLED曲面スクリーンの後方の網膜に近接する側に設けられたマイクロフォーカスレンズを介して、マイクロLED曲面スクリーン上の画像を網膜で選択された領域に屈折して画像形成し、視神経を刺激して神経信号を生成し、大脳の視覚中枢に送信して患者に見られることであり、以下、該作動モードを「人工視覚スクリーンリアルタイム通信モード」と称し、
2つ目は、ネットワーク又は画像生成モジュールに記憶された画像情報を画像処理モジュールで処理した後にマイクロLED曲面スクリーンに送信してから、マイクロLED曲面スクリーンの後方の網膜に近接する側に設けられたマイクロフォーカスレンズを介して、網膜で選択された領域に屈折して画像形成し、視神経を刺激して神経信号を生成し、大脳の視覚中枢に送信して患者に見られることであり、以下、該作動モードを「人工視覚スクリーン秘密通信モード」と称し、
外部制御モジュールは、内蔵眼球コンポーネントを異なる作動状態又はモードにするように制御でき、1つ目は、「自然状態」と「人工視覚スクリーン状態」の間の切り替えを制御することであり、2つ目は、「人工視覚スクリーンリアルタイム通信モード」と「人工視覚スクリーン秘密通信モード」の間の切り替えを制御することであり、3つ目は、制御によって「人工視覚スクリーンリアルタイム通信モード」と「人工視覚スクリーン秘密通信モード」を同時に作動させることである。
【0007】
さらに、前記画像生成モジュールは、画像収集ユニット、画像記憶ユニット、画像抽出ユニット及び画像検索ユニットを含み、外部制御モジュールによって異なる作動モードに対応して異なるユニットを有効にするように制御し、人工視覚スクリーンリアルタイム通信モードで画像収集ユニットと画像記憶ユニットを有効にし、人工視覚スクリーン秘密通信モードで画像抽出ユニットと画像検索ユニットを有効にする。
【0008】
さらに、前記画像処理モジュールは受信した画像を処理するためのものであって、外部制御モジュールにより制御される輝度調節ユニット、コントラスト調節ユニット、彩度調節ユニット、画素調節ユニット、パノラマ選択ユニット、部分画像選択ユニット、部分拡大ユニット、望遠効果ユニット、近景効果ユニット及び動き画像形成補償ユニットを含む。
【0009】
さらに、前記外部制御モジュールは、さらに、マイクロLED曲面スクリーンの展開と回転の角度、画素、輝度、コントラスト、色及び彩度などを設置可能であり、マイクロフォーカスレンズの展開と回転の角度を設置してそのフォーカス屈折の方向を制御することで、内蔵眼球コンポーネントの異なる作動モードでの画像形成パラメータの設置を制御することができる。
【0010】
さらに、前記画像生成モジュールにおける画像収集デバイスは内蔵されたマイクロ画像収集デバイス又は外付けられた画像収集デバイスが用いられる。
【0011】
さらに、前記画像生成モジュールにおける画像記憶ユニットは内蔵された記憶チップによって記憶を実現するか、或いは無線送信によってクラウドに記憶する。
【0012】
さらに、前記画像生成モジュールにおける画像抽出ユニットは内蔵された記憶チップから抽出するか、或いはクラウドから抽出する。
【0013】
さらに、前記画像生成モジュールにおける画像検索ユニットはネットワークに接続して検索エンジンを開くことで検索を実現し、そのネットワーク接続は、無線ネットワーク、ローカルエリアネットワーク、4G及び5Gの1種又は複数種が用いられる。
【0014】
さらに、前記マイクロLED曲面スクリーンと、マイクロLED曲面スクリーンの後方の網膜に近接する側に設けられたマイクロフォーカスレンズは、いずれも回転、折り畳み及び展開でき、両者を異なる角度で偏向させることで、マイクロLED曲面スクリーン上の画像が焦点を合わせて網膜の異なる領域に画像形成されることができ、これにより、内蔵眼球コンポーネントはマイクロLED曲面スクリーン上の画像が病変領域を回避し、網膜の機能の正常な領域に画像形成する機能を実現でき、黄斑病、白内障、弱視、近視、乱視、夜盲症などの網膜の一部が損傷したか、又は損傷していない視覚障害のある患者、及び軍人並びに秘密通信を必要とするか、又は特別なタスクを完了する必要がある、他の網膜の機能が正常な人々などの異なるユーザの要求に適用される。
【0015】
さらに、前記外部制御モジュールの内蔵眼球コンポーネントの作動モードに対する制御方式は手動制御又は音声制御である。
【0016】
さらに、前記画像処理モジュールは内蔵された画像処理チップ又はクラウド処理システムが用いられる。
【0017】
さらに、前記マイクロLED曲面スクリーンの輝度、画素、色及び彩度はいずれも調節可能である。
【0018】
さらに、赤外線画像形成、紫外線画像形成、スターライト弱光画像形成などの天然の目が備えない特別な機能を実現するように、内蔵光学情報強化装置をさらに含む。
【0019】
さらに、マイクロワイヤレス充電式バッテリーにより提供される、眼球の内部に埋め込まれる電源をさらに含む。
【0020】
さらに、前記画像生成モジュールと画像処理モジュールの間の情報送信、画像処理モジュールとマイクロLED曲面スクリーンの間の情報通信、及び外部制御モジュールと画像生成モジュール、画像処理モジュール、マイクロLED曲面スクリーン及びマイクロフォーカスレンズとの間の通信は有線方式又は/及び無線方式を用い、無線信号送信のタイプは、Bluetooth、WIFI、Zigbee、移動通信を含む。
【0021】
有益な効果
従来の人工視覚技術に比べて、(1)本発明に係る眼球に内蔵される人工眼装置における「人工視覚スクリーン状態」は、マイクロLED曲面スクリーンとマイクロフォーカスレンズを組み合わせて画像を天然網膜に画像形成する新たな画像形成方法に関し、さらに色覚を形成でき、これは、患者に外部世界に対するより直感的で豊かな体験をもたらすことができ、そして、「人工視覚スクリーンリアルタイム通信モード」と「人工視覚スクリーン秘密通信モード」を組み合わせることで、使用者がリアルタイム環境画像よりも遥かに多くの情報量を得ることができ、即ち、リアルタイム環境画像に加えて、実際に目の前に存在しない多数の景物、画像及び文字情報を「見て」、特別なタスクを完了することができる。
(2)本発明に係るマイクロLED曲面スクリーンの後方の網膜に近接する側に設けられたマイクロフォーカスレンズを異なる角度で偏向させることにより、人工眼装置は、マイクロLED曲面スクリーン上の画像を網膜で選択された領域に画像形成することができ、黄斑病、白内障、弱視、近視、乱視、夜盲症などの網膜の一部が損傷したか、又は損傷していない視覚障害のある患者、及び軍人並びに秘密通信を必要とするか、又は特別なタスクを完了する必要がある、他の網膜の機能が正常な人々などの異なるユーザの要求に適用される。
(3)本発明に係る眼球に内蔵される人工眼装置は、視覚回復、娯楽、ナビゲーション、データ照会、医療、秘密通信などの分野で使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1図1は、本発明の一実施例における眼球に内蔵される人工眼装置の構造模式図である。
図2図2は、本発明の一実施例における内蔵眼球コンポーネントの三次元構造模式図である。
図3図3は、本発明の一実施例における内蔵眼球コンポーネントが自然状態で作動するときの横断面模式図である。
図4図4は、本発明の一実施例における内蔵眼球コンポーネントが人工視覚スクリーン状態で作動するときの横断面模式図である。
図5図5は、本発明の一実施例における内蔵眼球コンポーネントが自然状態にあるときの原理図である。
図6図6は、本発明の一実施例における内蔵眼球コンポーネントが人工視覚スクリーン状態にあるときの原理図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、具体的実施例を参照して本発明を説明する。当業者は、これらの実施例が本発明を説明するものにすぎず、それらが本発明の範囲をいずれの方式で制限しないことを理解することができる。
【0024】
図1を参照し、本発明の具体的実施例における眼球に内蔵される人工眼装置は、内蔵眼球コンポーネント100、画像生成モジュール200、画像処理モジュール300及び外部制御モジュール400を含み、画像生成モジュール200によって画像を収集し、リアルタイムで記憶して画像処理モジュール300に送信し、画像処理モジュール300で処理した後に、リアルタイムで内蔵眼球コンポーネント100に送信するか、或いはネットワーク又は画像生成モジュール200に記憶された画像情報を画像処理モジュール300で処理した後に内蔵眼球コンポーネント100のマイクロLED曲面スクリーンに送信し、外部制御モジュール400は内蔵眼球コンポーネント100を異なる作動状態又はモードにするように制御でき、同時に、画像生成モジュール200及び画像処理モジュール300も外部制御モジュール400により制御される。
【0025】
図2図4を参照し、内蔵眼球コンポーネントは、マイクロLED曲面スクリーン1、マイクロフォーカスレンズ2及び中空眼球本体3を含み、中空眼球本体3は中心位置に円柱体の中空チャネル4を有する楕円体であり、マイクロLED曲面スクリーン1とマイクロフォーカスレンズ2は、それぞれ、中空眼球本体3の中空チャネル4の上下2つの側壁に設けられ、マイクロLED曲面スクリーン1とマイクロフォーカスレンズ2はいずれも中空チャネル4内で回転、折り畳み及び展開されることができる。
【0026】
図5を参照し、本発明の具体的実施例における眼球に内蔵される人工眼装置が「自然状態」で作動するとき、中空眼球本体3内のマイクロLED曲面スクリーン1及びマイクロフォーカスレンズ2はいずれも折り畳みられ、天然水晶体5から網膜6までの光路を出させるように、中空チャネル4における側壁に近くて配置され、これにより、外界画像8が天然の水晶体5によって焦点を合わせてから中空眼球本体3の中空チャネル4を通過して網膜6に直接画像形成し、視神経7を介して大脳に送信して視覚を形成することができる。
【0027】
図6を参照し、本発明の具体的実施例における眼球に内蔵される人工眼装置が「人工視覚スクリーン状態」で作動するとき、中空眼球本体3内のマイクロLED曲面スクリーン1及びマイクロフォーカスレンズ2はいずれも展開され、天然水晶体5から網膜6までの光路を遮断し、これにより、外界画像8の天然の目における画像形成経路を置き換え、画像生成モジュール及び画像処理モジュールから送信した画像をマイクロLED曲面スクリーン1に送信して、マイクロフォーカスレンズ2を介して焦点を合わせてから網膜6上に画像形成し、最後に、視神経7を介して大脳に送信して視覚を形成することができる。
【0028】
本実施例において、画像処理モジュールはマイクロLED曲面スクリーンに画像を伝達し、人工視覚スクリーン状態で内蔵眼球コンポーネントは2種類の作動モードを有し、
1つ目は、画像生成モジュールにおける画像収集デバイスが画像を収集して、リアルタイムで記憶して画像処理モジュールに送信し、画像処理モジュールで処理した後に、リアルタイムでマイクロLED曲面スクリーンに送信して表示させ、マイクロLED曲面スクリーンの後方の網膜に近接する側に設けられたマイクロフォーカスレンズを介して、マイクロLED曲面スクリーン上の画像を網膜で選択された領域に屈折して画像形成し、視神経を刺激して神経信号を生成し、大脳の視覚中枢に送信して患者に見られることであり、以下、該作動モードを「人工視覚スクリーンリアルタイム通信モード」と称し、
2つ目は、ネットワーク又は画像生成モジュールに記憶された画像情報を画像処理モジュールで処理した後にマイクロLED曲面スクリーンに送信してから、マイクロLED曲面スクリーンの後方の網膜に近接する側に設けられたマイクロフォーカスレンズを介して、網膜で選択された領域に屈折して画像形成し、視神経を刺激して神経信号を生成し、大脳の視覚中枢に送信して患者に見られることであり、以下、該作動モードを「人工視覚スクリーン秘密通信モード」と称し、
外部制御モジュールは、内蔵眼球コンポーネントを異なる作動状態又はモードにするように制御でき、1つ目は、「自然状態」と「人工視覚スクリーン状態」の間の切り替えを制御することであり、2つ目は、「人工視覚スクリーンリアルタイム通信モード」と「人工視覚スクリーン秘密通信モード」の間の切り替えを制御することであり、3つ目は、制御によって「人工視覚スクリーンリアルタイム通信モード」と「人工視覚スクリーン秘密通信モード」を同時に作動させることであり、
そのうち、画像生成モジュールと画像処理モジュールの間の情報送信、画像処理モジュールとマイクロLED曲面スクリーンの間の情報通信、及び外部制御モジュールと画像生成モジュール、画像処理モジュール、マイクロLED曲面スクリーン及びマイクロフォーカスレンズとの間の通信は有線方式又は/及び無線方式を用い、無線信号送信のタイプは、Bluetooth、WIFI、Zigbee、移動通信を含み、
また、マイクロLED曲面スクリーンと、マイクロLED曲面スクリーンの後方の網膜に近接する側に設けられたマイクロフォーカスレンズは、いずれも回転、折り畳み及び展開でき、両者を異なる角度で偏向させることで、マイクロLED曲面スクリーン上の画像が焦点を合わせて網膜の異なる領域に画像形成されることができ、これにより、内蔵眼球コンポーネントはマイクロLED曲面スクリーン上の画像が病変領域を回避し、網膜の機能の正常な領域に画像形成する機能を実現でき、黄斑病、白内障、弱視、近視、乱視、夜盲症などの網膜の一部が損傷したか、又は損傷していない視覚障害のある患者、及び軍人並びに秘密通信を必要とするか、又は特別なタスクを完了する必要がある、他の網膜の機能が正常な人々などの異なるユーザの要求に適用される。
【0029】
本実施例において、画像生成モジュールにおける画像収集デバイスは内蔵されたマイクロ画像収集デバイス又は外付けられた画像収集デバイスが用いられる。画像生成モジュールは、画像収集ユニット、画像記憶ユニット、画像抽出ユニット及び画像検索ユニットを含み、外部制御モジュールによって異なる作動モードに対応して異なるユニットを有効にするように制御し、人工視覚スクリーンリアルタイム通信モードで画像収集ユニットと画像記憶ユニットを有効にし、人工視覚スクリーン秘密通信モードで画像抽出ユニットと画像検索ユニットを有効にする。具体的には、画像生成モジュールにおける画像記憶ユニットは内蔵された記憶チップによって記憶を実現するか、或いは無線送信によってクラウドに記憶し、画像生成モジュールにおける画像抽出ユニットは内蔵された記憶チップから抽出するか、或いはクラウドから抽出し、画像生成モジュールにおける画像検索ユニットはネットワークに接続して検索エンジンを開くことで検索を実現し、そのネットワーク接続は、無線ネットワーク、ローカルエリアネットワーク、4G及び5Gの1種又は複数種が用いられる。
【0030】
本実施例において、画像処理モジュールは受信した画像を処理するためのものであって、外部制御モジュールにより制御される輝度調節ユニット、コントラスト調節ユニット、彩度調節ユニット、画素調節ユニット、パノラマ選択ユニット、部分画像選択ユニット、部分拡大ユニット、望遠効果ユニット、近景効果ユニット及び動き画像形成補償ユニットを含む。同時、画像処理モジュールは内蔵された画像処理チップ又はクラウド処理システムが用いられる。
【0031】
本実施例において、外部制御モジュールの内蔵眼球コンポーネントの作動モードに対する制御方式は手動制御又は音声制御である。外部制御モジュールは、さらに、マイクロLED曲面スクリーンの展開と回転の角度、画素、輝度、コントラスト、色及び彩度などを設置可能であり、マイクロフォーカスレンズの展開と回転の角度を設置してマイクロフォーカスレンズのフォーカス屈折の方向を制御することで、内蔵眼球コンポーネントの異なる作動モードでの画像形成パラメータの設置を制御することができ、マイクロLED曲面スクリーンの輝度、画素、色及び彩度はいずれも調節可能である。
【0032】
本実施例において、赤外線画像形成、紫外線画像形成、スターライト弱光画像形成などの天然の目が備えない特別な機能を実現するように、内蔵光学情報強化装置をさらに含む。
【0033】
本実施例において、マイクロワイヤレス充電式バッテリーにより提供される、眼球の内部に埋め込まれる電源をさらに含む。
【0034】
上記は、本発明の好ましい実施形態にすぎず、本発明を限定するものではなく、当業者にとって、本発明の原理から逸脱することなく、いくつかの改善及び修正を行うことができ、これらの改善及び修正も本発明の保護範囲と見なされるべきであることを指摘すべきである。
【符号の説明】
【0035】
1-マイクロLED曲面スクリーン、2-マイクロフォーカスレンズ、3-中空眼球本体、4-中空チャネル、5-水晶体、6-網膜、7-視神経、8-外界画像
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【外国語明細書】