IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 近 則雄の特許一覧

特開2022-136353肘置きグリップ付き立ち上がり補助具
<>
  • 特開-肘置きグリップ付き立ち上がり補助具 図1
  • 特開-肘置きグリップ付き立ち上がり補助具 図2
  • 特開-肘置きグリップ付き立ち上がり補助具 図3
  • 特開-肘置きグリップ付き立ち上がり補助具 図4
  • 特開-肘置きグリップ付き立ち上がり補助具 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022136353
(43)【公開日】2022-09-20
(54)【発明の名称】肘置きグリップ付き立ち上がり補助具
(51)【国際特許分類】
   A61G 5/14 20060101AFI20220912BHJP
   A61G 5/12 20060101ALI20220912BHJP
【FI】
A61G5/14
A61G5/12 704
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】書面
【公開請求】
(21)【出願番号】P 2022122222
(22)【出願日】2022-07-12
(71)【出願人】
【識別番号】521184357
【氏名又は名称】近 則雄
(72)【発明者】
【氏名】近 則雄
(57)【要約】
【課題】 立ち上がり動作をスムーズにかつ安全に行うことができかつ簡易に持ち運びができる肘置きグリップ付き立ち上がり補助具を提供する。
【解決手段】 座位姿勢からの立ち上がり動作を補助するための肘置きグリップ付き立ち上がり補助具1であって、床面に設置されるベースプレート2と、ベースプレート2に所定間隔を保持して対向した状態で立設された左右一対のサイドプレート3と、サイドプレート3の間に横架された支軸3aに上向きに装着されたシャフト4と、シャフト4の上端部4aに設けられた肘置きグリップ5とから構成され、シャフト4は支軸3aを支点として前後方向に揺動自在とされている。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
座位姿勢からの立ち上がり動作を補助するための肘置きグリップを備えた肘置きグリップ付き立ち上がり補助具であって、床面に設置されるベースプレートと、前記ベースプレートに所定間隔を保持して対向した状態で立設された左右一対のサイドプレートと、前記サイドプレート間に横架された支軸に上向きに装着されたシャフトと、前記シャフトの上端部に設けられた肘置きグリップとから構成され、前記シャフトは前記支軸を支点としていることを特徴とする肘置きグリップ付き立ち上がり補助具。
【請求項2】
前記シャフトの下端近傍部と前記サイドプレート内側の前下側近傍部との間には、前記シャフトに弾性力を生起させる弾性部材が連結されていることを特徴とする請求項1記載の肘置きグリップ付き立ち上がり補助具。
【請求項3】
前記サイドプレートの内側には、前記シャフトの中間近傍部が当接し所定の揺動角度で係止するための前方用及び後方用ストッパーがそれぞれ取り付けられていることを特徴とする請求項1記載の肘置きグリップ付き立ち上がり補助具。
【請求項4】
前記シャフトの鉛直位置から前方係止位置までの前方揺動角度は、前記シャフトの鉛直位置から後方係止位置までの後方揺動角度と同じ角度に設定されていることを特徴とする請求項1または3記載の肘置きグリップ付き立ち上がり補助具。
【請求項5】
前記肘置きグリップは肘置きプレートとグリップから構成され、前記肘置きプレートは前記シャフトの先端部に前記シャフトの軸心に対して略垂直に固定され、前記グリップは前記肘置きプレートの前方端部に設けられていることを特徴とする請求項1記載の肘置きグリップ付き立ち上がり補助具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベッドや車椅子、ソファーなどに腰掛けた状態から立ち上がるときに安全に立ち上がらせるための立ち上がり補助具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
脚部の機能の衰えた高齢者や要支援者などがベッドや車椅子、ソファーなどに座った状態から自力で立ち上がる際には杖や床置き立ち上がり手摺あるいは揺動するシャフトの先にグリップの付いた立ち上り補助具例えば特許文献1又は特許文献2に示すような立ち上がり補助具が使用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006-102453号公報
【特許文献2】実用新案登録第3232889号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のように脚部の機能の衰えた高齢者や要支援者などがベッドや車椅子、ソファーなどに座った状態から自力で立ち上がる際には杖や床置き立ち上がり手摺あるいは立ち上り補助具が日常的に使用されているが、杖のみを支えにして自分で立ち上がる場合は非常に不安定で、最悪の場合転倒事故を引き起こすおそれがあった。特許文献1に示す立ち上がり補助具は、使用者が手で把持するための手摺部や支柱部が固定式のため、立ち上がり時の重心移動がスムーズに行い難く、また、特許文献2に示す立ち上がり補助具は、立ち上る為に座位姿勢からシャフトの先端についたグリップを握って体の重心を前に移動させることによって立ち上がりを補助させるものであるが、使用者の脚部の機能の衰え状態によっては手首や肘が安定しないために特許文献1と同様に体の重心移動がスムーズに行えない場合があるという課題があった。さらに従来の立ち上がり補助具は据え付け固定式のものや大掛かりな機構を有するものが多く、簡易に持ち運びができないという課題もあった。
本発明は、上記課題を解決するため、座位姿勢からの立ち上がり動作をスムーズにかつ安全に行うことができ、さらに簡易に持ち運びができる肘置きグリップ付き立ち上がり補助具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の肘置きグリップ付き立ち上がり補助具は、座位姿勢からの立ち上がり動作を補助するための立ち上がり補助具であって、床面に設置されるベースプレートと、前記ベースプレートに所定間隔を保持して対向した状態で立設された左右一対のサイドプレートと、前記サイドプレート間に横架された支軸に上向きに装着されたシャフトと、前記シャフトの上端部に設けられた肘置きグリップとから構成され、前記シャフトは前記支軸を支点として前後方向に揺動自在とされていることを特徴とし、前記シャフトの下端近傍部と前記サイドプレート内側の前下側近傍部との間には、前記シャフトに弾性力を生起させる弾性部材が連結されており、また前記サイドプレートの内側には、前記シャフトの中間近傍部が当接し所定の揺動角度で係止するための前方用及び後方用ストッパーがそれぞれ取り付けられており、さらに前記シャフトの鉛直位置から前方係止位置までの前方揺動角度は、前記シャフトの鉛直位置から後方係止位置までの後方揺動角度と同じ角度に設定されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0006】
本発明の肘置きグリップ付き立ち上がり補助具を使用すれば、肘置きグリップにより使用者の手首と肘が安定保持できるため、脚部の機能の衰えた高齢者や要支援者などがベッドや車椅子、ソファーなどに座った状態から自力で立ち上がる際に使用者の重心移動に応じて肘置きグリップを有するシャフトが揺動変位することで立ち上がり動作をスムーズに、かつ安全に行うことができる。さらに簡易機構により軽量化を実現しているため必要な場所に容易に持ち運びができるとともに必要な位置に簡易に設置することができる。
また、本発明の肘置きグリップ付き立ち上がり補助具は単体で使用してもよいし、片手で杖を持ち他方の手で本発明の肘置きグリップ付き立ち上がり補助具を併用すれば効果的に立ち上がることができる。さらに本発明の肘置きグリップ付き立ち上がり補助具を左右それぞれの手で使用すれば立ち上がり動作をさらにスムーズに行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明に係る肘置きグリップ付き立ち上がり補助具で、サイドプレートの前側一部を破断線で切り取って内部を表示した正面図である。
図2】本発明に係る肘置きグリップ付き立ち上がり補助具で、サイドプレートの一部を切り取って内部を表示した右側面図である。
図3】本発明に係る肘置きグリップ付き立ち上がり補助具の使用状態を示す正面図である。
図4】本発明に係る肘置きグリップ付き立ち上がり補助具の使用状態を示す右側面図である。
図5】肘置きグリップの肘固定部に保護ガイドを使用した図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明に係る肘置きグリップ付き立ち上がり補助具の実施の形態について図1図5に基づいて説明する。
請求項1に係る肘置きグリップ付き立ち上がり補助具1は、床面上に肘置きグリップ付き立ち上がり補助具1を安定的に設置するためのベースプレート2と、ベースプレート2の左右方向中央付近に2cm程度の間隔を保持して対向した状態で設置された左右一対のサイドプレート3と、このサイドプレート3を保持するためのスペーサー8と、サイドプレート3の間に水平に取付け固定した支軸3aと、この支軸3aに貫通穴を介して上向きに装着され上端部4aに肘置きグリップ5を有するシャフト4とから構成され、シャフト4は支軸3aを支点として前後方向に揺動自在とされている。なお、肘置きグリップ5は請求項5に記載のように肘置きプレート5aとグリップ5bから構成されており、肘置きプレート5aはシャフト4の先端部4aにシャフト4の軸心に対して略垂直に固定され、グリップ5bは肘置きプレート5aの前方端部に設けられている。
肘置きグリップ付き立ち上がり補助具1は、図4に示すように正面側を使用者から見て前方方向に向けて使用するが、使用者が立ち上がり動作中の重心の移動に応じて使用者が把持している肘置きグリップ5も広範囲に変位することで立ち上がり動作を安定させスムーズにかつ楽に行うことができる。
【0009】
なお、ベースプレート2、サイドプレート3、及びスペーサー8の材質は木材や樹脂などが用いられるが特に問わない。シャフト4は、自立強度がある金属パイプ、プラスチックパイプで杖と同程度の直径の棒材等を使用し、肘置きグリップ5については片手でしっかりと肘を保持し、把持できる形状であればよい。また、肘置きプレート5aについては図5に示すように保護ガイド5cを設ければさらに安定的に肘を保持することができる。
また、2枚のサイドプレート3には前部、後部及び上部の開口部を覆うためそれぞれサイドプレート前カバー7a、サイドプレート後カバー7b及びサイドプレート上カバー7cの布地のサイドプレートカバー7が取り付けられており、安全性や美観性の向上を図っている。
【0010】
請求項2に係る肘置きグリップ付き立ち上がり補助具1は、シャフト4の下端部近傍部4bとサイドプレート3の内側の後下側近傍部との間に引張バネ6を連結している。これにより肘置グリップ5が前方へ変位するにつれて引張バネ6の反発力が強まるため、前方への急激な変位を防ぐことができるので脚部の機能が衰えた高齢者や要支援者がベッドや車椅子、ソファーなどに座った状態から立ち上がろうとシャフト4の上端部4aの肘置きグリップ5を前方向に倒す動作を安全に行うことができる。また、この引張バネ6の作用で立ち上がり動作を終えて使用者が肘置きグリップ5から手を離すと肘置きグリップ5は後述する初期位置に自動的に戻る。
なお、実施例では引張バネを使用しているが他の弾性部材例えばゴム紐などを使用してもよい。
【0011】
請求項3に係る肘置きグリップ付き立ち上がり補助具1は、サイドプレート3の内側に装着したシャフト4が後述する揺動角度に達したときに停止させることを目的に、シャフト4の中間近傍部4cと当接する前位置にストッパー3b、後位置に3cがそれぞれ取付けられている。これによりシャフト4の揺動範囲が強制的に定まり、それ以上の揺動を阻止できるようにしている。
【0012】
請求項4に係る肘置きグリップ付き立ち上がり補助具1は、シャフト4の鉛直位置から前方係止位置までの前方揺動角度θ1が、シャフト4の鉛直位置から後方係止位置までの後方揺動角度θ2と同じ角度に設定されており、具体的には前方揺動角度θ1及び後方揺動角度θ2はともに20度の設定が効果的である。後方揺動角度θ2の位置は肘置き付きグリップ5の初期位置となるが、この後方揺動角度θ2分だけ使用者の手前に肘置きグリップ5がくるため、座位姿勢のときに肘置きグリップ5に肘を載せグリップを把持したとき、肘と体が固定されるので安全に立ち上がり動作、すなわち後方揺動角度θ2の位置から終了すなわち前方揺動角度θ1の位置まで肘置きに肘を載せた状態で肘置きグリップ5の広範囲な変位に対しても安定した立ち上がり動作を行うことができる。
なお、各ストッパーの取り付け位置は、サイドプレート3に数か所ネジ溝を予め設けておけばシャフト4の係止位置を使用者に合わせて任意に選択することができる。
【0013】
本発明の肘置きグリップ付き立ち上がり補助具1は、ベースプレート2の前側においてシャフト4の前方係止位置における肘置きグリップ5の鉛直下方位置より10cm~30cm程度の前方張り出し部2aを設けているため使用者が前方に過度な力を掛けた場合でも肘置きグリップ付き立ち上がり補助具1の前方への浮き上がりや転倒を防止することができる。
【0014】
本発明の肘置きグリップ付き立ち上がり補助具1は、単体で使用してもよいし、図3に示すように片手で普段使用する杖を持ち他方の手で本発明の肘置きグリップ付き立ち上がり補助具1を併用すれば、立ち上がり動作をさらに安定的に行うことができ、立ち上がり後の歩行をスムーズに行うことができる。また、本発明の肘置きグリップ付き立ち上がり補助具1を2基使用し、左右それぞれの手で使用するようにすれば立ち上がり動作をさらにスムーズにかつ楽に行うことができる。
【0015】
本発明の肘置きグリップ付き立ち上がり補助具1は、簡易機構により軽量化を実現しているため必要な場所に容易に持ち運びができるとともに必要な位置に簡易に設置することができる。
【符号の説明】
【0016】
1 肘置きグリップ付き立ち上がり補助具
2 ベースプレート
2a 前方張り出し部
3 サイドプレート
3a 支軸
3b ストッパー(前方係止用)
3c ストッパー(後方係止用)
4 シャフト
4a 上端部
4b 下端近傍部
4c 中間近傍部
5 肘置きグリップ
5a 肘置きプレート
5b グリップ
5c 保護ガイド
6 引張バネ(弾性部材)
7 サイドプレートカバー
7a サイドプレート前カバー
7b サイドプレート後カバー
7c サイドプレート上カバー
8 スペーサー
θ1 前方揺動角度
θ2 後方揺動角度
図1
図2
図3
図4
図5