(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022136421
(43)【公開日】2022-09-21
(54)【発明の名称】媒体排出装置
(51)【国際特許分類】
B65H 31/38 20060101AFI20220913BHJP
【FI】
B65H31/38
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021036019
(22)【出願日】2021-03-08
(71)【出願人】
【識別番号】000250502
【氏名又は名称】理想科学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(72)【発明者】
【氏名】高橋 寿行
【テーマコード(参考)】
3F054
【Fターム(参考)】
3F054AA01
3F054AC01
3F054BA02
3F054BA08
3F054BA13
3F054BG04
3F054BH14
3F054CA11
(57)【要約】
【課題】媒体の整列性の低下を軽減できる媒体排出装置を提供する。
【解決手段】用紙Pが積載される排紙台22は、昇降可能である。サイドフェンス25A,25Bは、所定の高さ位置に配置され、用紙Pの排紙方向に直交する幅方向に移動して、排紙台22へ排紙された用紙Pの幅方向における位置を規制するジョガー動作を行う。制御部は、排紙台22に積載された用紙Pの上面位置を維持するように排紙台22に積載された用紙Pの増加に応じて排紙台22を下降させる制御、およびサイドフェンス25A,25Bの制御を行う。制御部は、排紙台22に積載された用紙Pの積載量に応じて、サイドフェンス25A,25Bによる規制動作の内容を変更する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体が積載される昇降可能な積載台と、
所定の高さ位置に配置され、媒体の排出方向に直交する幅方向に移動して、前記積載台へ排出された媒体の前記幅方向における位置を規制する規制動作を行う規制部と、
前記積載台に積載された媒体の上面位置を維持するように前記積載台に積載された媒体の増加に応じて前記積載台を下降させる制御、および前記規制部の制御を行う制御部とを備え、
前記制御部は、前記積載台に積載された媒体の積載量に応じて、前記規制部による前記規制動作の内容を変更することを特徴とする媒体排出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、媒体が積載される媒体排出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
印刷装置で印刷された媒体である用紙が排紙台に積載される排紙装置が知られている。
【0003】
排紙装置には、サイドフェンスのジョガー動作により、排紙台へ排紙された用紙の幅方向における位置を規制して、排紙台上の用紙の整列性を良好にする機能を有するものがある(特許文献1参照)。ここで、ジョガー動作は、用紙の幅方向における位置を規制する規制位置と、この規制位置から退避した退避位置との間でサイドフェンスが移動する動作である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上述のような排紙装置において、用紙にコシをつけて整列性を良好にするため、用紙の幅方向の中央部より両側が高くなるように傾斜した、略V字形状の積載面を有する排紙台を用いたものがある。
【0006】
このような排紙装置では、用紙の積載枚数が多くなるにつれて、排紙台に積載された用紙の上部における用紙の湾曲が大きくなる。このため、用紙の積載枚数が多くなるにつれて、サイドフェンスの規制位置と用紙との隙間が広くなり、ジョガー動作を行っても用紙の位置を十分に規制できないことがある。この結果、排紙台に積載された用紙の整列性が低下することがある。
【0007】
本発明は上記に鑑みてなされたもので、媒体の整列性の低下を軽減できる媒体排出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の媒体排出装置は、媒体が積載される昇降可能な積載台と、所定の高さ位置に配置され、媒体の排出方向に直交する幅方向に移動して、前記積載台へ排出された媒体の前記幅方向における位置を規制する規制動作を行う規制部と、前記積載台に積載された媒体の上面位置を維持するように前記積載台に積載された媒体の増加に応じて前記積載台を下降させる制御、および前記規制部の制御を行う制御部とを備え、前記制御部は、前記積載台に積載された媒体の積載量に応じて、前記規制部による前記規制動作の内容を変更することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の媒体排出装置によれば、媒体の整列性の低下を軽減できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】第1実施形態に係る印刷装置の概略構成図である。
【
図2】
図1に示す印刷装置の制御ブロック図である。
【
図3】
図1に示す印刷装置の排紙台を示す図である。
【
図4】
図1に示す印刷装置のサイドフェンスおよびエンドフェンスを示す図である。
【
図5】サイドフェンスの規制位置が固定されている場合に排紙台の用紙の積載量が多くなるにつれて用紙の整列性が低下することの説明図である。
【
図6】排紙台の用紙の積載量に応じたサイドフェンスの規制位置の説明図である。
【
図7】第1実施形態における印刷装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【
図8】第2実施形態に係る印刷装置の制御ブロック図である。
【
図9】第2実施形態における印刷装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。各図面を通じて同一もしくは同等の部位や構成要素には、同一もしくは同等の符号を付している。
【0012】
以下に示す実施の形態は、この発明の技術的思想を具体化するための装置等を例示するものであって、この発明の技術的思想は、各構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定するものでない。この発明の技術的思想は、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。
【0013】
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態に係る媒体排出装置が設けられた印刷装置の概略構成図である。
図2は、
図1に示す印刷装置の制御ブロック図である。
図3は、
図1に示す印刷装置の排紙台を示す図である。
図4は、
図1に示す印刷装置のサイドフェンスおよびエンドフェンスを示す図である。なお、以下の説明において、
図1の紙面に直交する方向を前後方向とし、紙面表方向を前方とする。また、
図1における紙面の上下左右を上下左右方向とする。
【0014】
図1、
図2に示すように、印刷装置1は、給紙部2と、印刷部3と、排紙部4と、記憶部5と、制御部6とを備える。なお、給紙部2と印刷部3とを除く各部により媒体排出装置が構成される。
【0015】
給紙部2は、印刷部3に用紙(媒体に相当)Pを給紙する。給紙部2は、用紙Pが積載される給紙台11と、給紙台11から用紙Pを取り出して印刷部3へ搬送する給紙ローラ12とを備える。
【0016】
印刷部3は、給紙部2により給紙された用紙Pを搬送しつつ、用紙Pに印刷を行う。印刷部3は、例えば、インクジェットヘッドを有し、インクジェットヘッドからインクを吐出して用紙Pに印刷を行う。
【0017】
排紙部4は、印刷部3で印刷された用紙Pを排紙する。排紙部4は、排紙搬送部21と、排紙台(積載台に相当)22と、昇降モータ23と、上面検知センサ24と、サイドフェンス(規制部に相当)25A,25Bと、サイドフェンスモータ26と、エンドフェンス27と、エンドフェンスモータ28とを備える。
【0018】
排紙搬送部21は、印刷部3から送り出された印刷済みの用紙Pを搬送して排紙台22へ排紙(排出)する。排紙搬送部21は、印刷部3から送り出された用紙Pの上下の向きをそのままにして排紙するか、または、用紙Pを上下反転させて排紙する。排紙搬送部21は、排紙台22へ排紙される用紙Pを検出する排紙センサ29を有する。
【0019】
排紙台22は、排紙された用紙Pが積載されるものである。排紙台22は、昇降可能に構成されている。
図3に示すように、排紙台22は、板状の底板部31と、中央部材32と、コシ付け部材33,34とを有する。
【0020】
中央部材32は、底板部31上の前後方向の中央部に、左右方向に延びるように形成されている。中央部材32の上面32aは、略水平な平面になっている。中央部材32の上面32aは、排紙台22の積載面の一部を構成する。
【0021】
コシ付け部材33は、底板部31上において、中央部材32の前側に配置されている。コシ付け部材33の上面33aは、後側から前側に向かって徐々に高くなるように傾斜している。
【0022】
コシ付け部材34は、底板部31上において、中央部材32の後側に配置されている。コシ付け部材34の上面34aは、前側から後側に向かって徐々に高くなるように傾斜している。
【0023】
コシ付け部材33,34の上面33a,34aは、中央部材32の上面32aとともに、排紙台22の積載面を構成する。この積載面は、用紙Pの排紙方向(排出方向、左右方向)から見て、排紙方向に直交する幅方向(前後方向)の中央部より両側が高くなるように形成された略V字形状になっている。これにより、用紙Pが下に凸の湾曲した形状で排紙台22上に積載される。これにより、用紙Pの整列性を良好にすることができる。
【0024】
昇降モータ23は、排紙台22を昇降させる。
【0025】
上面検知センサ24は、基準上面位置における用紙Pの有無を検知するためのものである。基準上面位置は、排紙台22の積載面上に積載された用紙Pの最上面の、幅方向の中央部における高さ位置(上面位置)の基準となる位置である。上面検知センサ24は、透過型の光センサからなり、発光部24aと、受光部24bとを有する。
【0026】
発光部24aと受光部24bとは、排紙台22の積載面上に用紙Pが積載される領域を挟んで左右方向に互いに離間して配置されている。発光部24aは、受光部24bに向けて光を発する。発光部24aおよび受光部24bは、光軸の高さ位置が基準上面位置に一致するように配置されている。発光部24aおよび受光部24bは、前後方向においては、光軸が排紙台22の中央部材32の存在する範囲内、換言すれば、積載面の中央部を通るように配置されている。
【0027】
サイドフェンス25A,25Bは、排紙台22へ排紙される用紙Pの幅方向(前後方向)における位置を規制する。サイドフェンス25A,25Bは、排紙台22の上方に吊り下げられる状態で所定の高さ位置に配置され、排紙台22からは分離している。具体的には、サイドフェンス25A,25Bは、排紙台22の積載面上に積載された用紙Pの上面位置において、用紙Pの幅方向における位置を規制できる高さ位置に配置されている。サイドフェンス25A,25Bは、前後方向に互いに離間して配置されている。
【0028】
サイドフェンス25A,25Bは、
図4において二点鎖線で示す規制位置と、実線で示す退避位置との間で、前後方向に移動可能に構成されている。規制位置は、サイドフェンス25A,25Bが用紙Pの幅方向の位置を規制する位置である。退避位置は、サイドフェンス25A,25Bが用紙Pから遠ざかるように規制位置から退避した位置である。サイドフェンス25A,25Bは、規制位置と退避位置との間で前後方向(幅方向)に移動して、排紙台22へ排紙された用紙Pの幅方向における位置を規制するジョガー動作(規制動作に相当)を行う。具体的には、サイドフェンス25A,25Bのジョガー動作は、サイドフェンス25A,25Bが退避位置から規制位置へ移動し、その後、退避位置へ戻る動作である。
【0029】
サイドフェンスモータ26は、サイドフェンス25A,25Bを前後方向に移動させる。サイドフェンスモータ26の一方の回転方向の駆動によりサイドフェンス25A,25Bが互いに近づき、サイドフェンスモータ26の他方の回転方向の駆動によりサイドフェンス25A,25Bが互いに遠ざかるようになっている。サイドフェンスモータ26は、パルスモータからなる。
【0030】
エンドフェンス27は、排紙台22へ排紙される用紙Pの先端(右端)の位置を規制する。エンドフェンス27は、排紙台22の上方に吊り下げられる状態でサイドフェンス25A,25Bと同様の高さ位置に配置され、排紙台22からは分離している。
【0031】
エンドフェンス27は、
図4において二点鎖線で示す規制位置と、実線で示す退避位置との間で、左右方向に移動可能に構成されている。規制位置は、エンドフェンス27が用紙Pの先端(右端)の位置を規制する位置である。退避位置は、エンドフェンス27が規制位置から右方へ退避した位置である。エンドフェンス27は、規制位置と退避位置との間で左右方向(排紙方向)に移動して排紙台22へ排紙された用紙Pの先端(右端)の位置を規制するジョガー動作を行う。具体的には、エンドフェンス27のジョガー動作は、上述したサイドフェンス25A,25Bのジョガー動作と同様に、退避位置から規制位置へ移動し、その後、退避位置へ戻る動作である。エンドフェンス27のジョガー動作は、サイドフェンス25A,25Bのジョガー動作とともに行われる。
【0032】
エンドフェンスモータ28は、エンドフェンス27を左右方向に移動させる。エンドフェンスモータ28は、パルスモータからなる。
【0033】
記憶部5は、規制位置テーブル41A,41B,…を記憶している。記憶部5は、HDD(Hard Disk Drive)等からなる。なお、規制位置テーブル41A,41B,…等の符号におけるアルファベットの添え字を省略して総括的に表記することがある。
【0034】
規制位置テーブル41は、排紙台22の積載面に積載された用紙Pの積載量(積載枚数)とサイドフェンス25A,25Bの規制位置との関係を示すテーブルである。サイドフェンス25A,25Bの規制位置は、用紙Pの積載量が多くなるほど、前後方向における排紙台22の中央に近くなるように設定されている。
【0035】
ここで、前述のように、排紙台22の積載面が略V字形状に形成されていることから、用紙Pが下に凸の湾曲した形状で排紙台22上に積載される。このため、排紙台22上の用紙Pの積載量が多くなるほど、排紙台22上の用紙束の上端部の用紙Pの湾曲が大きくなり、用紙Pの前後方向における端部が内側(中央側)に寄っていく。
【0036】
したがって、
図5に示すように、サイドフェンス25A,25Bの規制位置が固定されていると、用紙Pの積載量が多くなるにつれて、サイドフェンス25A,25Bの規制位置と用紙Pとの間隔が広がる。このため、用紙Pの積載量が少ない段階では用紙Pの整列性が良好でも、用紙Pの積載量が多くなるにつれて用紙Pの整列性が低下する。
【0037】
そこで、印刷装置1では、
図6に示すように、用紙Pの積載量に応じて、サイドフェンス25A,25Bの規制位置を変更する。具体的には、前述のように、サイドフェンス25A,25Bの規制位置を、用紙Pの積載量が多くなるにつれて、前後方向における排紙台22の中央に近くなるように設定している。
【0038】
用紙Pの積載量とサイドフェンス25A,25Bの規制位置との関係は、用紙種類および用紙サイズによって異なる。このため、印刷装置1では、用紙種類および用紙サイズの組み合わせに応じた複数の規制位置テーブル41A,41B,…を設けている。用紙種類としては、標準紙(普通紙)、厚紙、薄紙等がある。各規制位置テーブル41A,41B,…における用紙Pの積載量とサイドフェンス25A,25Bの規制位置との関係は、例えば、予め実験的に求められたものである。
【0039】
ここで、サイドフェンス25A,25Bの規制位置は、例えば、それぞれの固定の退避位置からの距離により規定される。また、例えば、サイドフェンス25A,25Bの規制位置を、用紙Pの積載量が所定枚数増加するごとに段階的に変更するようにしてもよい。
【0040】
制御部6は、印刷装置1全体の動作を制御する。制御部6は、CPU、RAM、ROM等を備えて構成される。
【0041】
制御部6は、印刷動作中において、排紙台22の積載面に積載された用紙Pの上面位置を基準上面位置に維持するように積載面に積載された用紙Pの増加に応じて排紙台22を下降させる制御を行う。また、制御部6は、印刷動作中において、ジョガー動作を行うようサイドフェンス25A,25Bおよびエンドフェンス27を制御する。
【0042】
また、制御部6は、排紙台22の積載面に積載された用紙Pの積載量に応じて、サイドフェンス25A,25Bによるジョガー動作の内容を変更する。具体的には、制御部6は、規制位置テーブル41を参照して、用紙Pの積載量が多くなるにつれて、サイドフェンス25A,25Bの規制位置が前後方向における排紙台22の中央に近くなるよう制御する。
【0043】
次に、印刷装置1の動作について、
図7のフローチャートを参照して説明する。
【0044】
印刷ジョブが入力されると、
図7のステップS1において、制御部6は、印刷ジョブに含まれる設定情報から、印刷に使用される用紙種類および用紙サイズを取得する。
【0045】
次いで、ステップS2において、制御部6は、上面位置出し動作を行う。具体的には、制御部6は、排紙台22の上昇を開始させる。なお、印刷動作の開始前は、排紙台22が所定の位置まで下降された状態にある。また、排紙台22から用紙Pは取り除かれ、排紙台22上に用紙Pがない状態である。
【0046】
排紙台22の上昇を開始させた後、上面検知センサ24がオンになると、制御部6は、排紙台22の上昇を停止させる。その後、制御部6は、排紙台22の下降を開始させる。そして、上面検知センサ24がオフになると、制御部6は、排紙台22の下降を停止させる。これにより、上面位置出し動作が終了する。上面位置出し動作により、排紙台22の中央部材32の上面32aが基準上面位置とほぼ一致するように調整される。
【0047】
次いで、ステップS3において、制御部6は、印刷動作を開始させる。具体的には、制御部6は、給紙部2による印刷部3への用紙Pの給紙、印刷部3による印刷ジョブに基づく用紙Pへの印刷、および印刷済みの用紙Pの排紙部4による排紙を開始させる。
【0048】
印刷動作を開始させると、ステップS4において、制御部6は、排紙枚数のカウントを開始する。
【0049】
次いで、ステップS5において、制御部6は、排紙部4が用紙Pを1枚排紙したか否かを判断する。ここで、制御部6は、排紙センサ29で用紙Pが検出されると、排紙部4が用紙Pを1枚排紙したと判断する。排紙部4が用紙Pを1枚排紙していないと判断した場合(ステップS5:NO)、制御部6は、ステップS5を繰り返す。
【0050】
排紙部4が用紙Pを1枚排紙したと判断した場合(ステップS5:YES)、ステップS6において、制御部6は、排紙枚数のカウント値Cに「1」を加算する。
【0051】
次いで、ステップS7において、制御部6は、ステップS1で取得した用紙種類および用紙サイズに応じた規制位置テーブル41を参照して、現在の排紙台22の用紙Pの積載量を示すカウント値Cに応じたサイドフェンス25A,25Bの規制位置を取得する。ここで、前述のように、印刷動作の開始前は排紙台22上に用紙Pがない状態であるため、カウント値Cが排紙台22の用紙Pの積載量を示す。
【0052】
次いで、ステップS8において、制御部6は、サイドフェンス25A,25Bおよびエンドフェンス27のジョガー動作を実行させる。
【0053】
具体的には、制御部6は、サイドフェンス25A,25Bおよびエンドフェンス27を、それぞれの退避位置から規制位置へ移動させ、その後、退避位置へ戻すよう制御する。このジョガー動作において、制御部6は、サイドフェンス25A,25Bの規制位置として、ステップS7で取得した規制位置を採用する。これにより、排紙台22の用紙Pの積載量が多くなるにつれて、サイドフェンス25A,25Bの規制位置が前後方向における排紙台22の中央に近くなる。
【0054】
ここで、制御部6は、サイドフェンスモータ26およびエンドフェンスモータ28の駆動パルス数に基づき、サイドフェンス25A,25Bおよびエンドフェンス27の移動量を制御できる。
【0055】
次いで、ステップS8において、制御部6は、印刷ジョブに基づく印刷枚数分の排紙が終了したか否かを判断する。印刷枚数分の排紙が終了していないと判断した場合(ステップS9:NO)、制御部6は、ステップS5に戻る。印刷枚数分の排紙が終了したと判断した場合(ステップS9:YES)、制御部6は、一連の動作を終了させる。
【0056】
以上説明したように、印刷装置1では、制御部6は、排紙台22に積載された用紙Pの積載量に応じて、サイドフェンス25A,25Bによるジョガー動作の内容を変更する。具体的には、制御部6は、用紙Pの積載量が多くなるにつれて、サイドフェンス25A,25Bの規制位置が前後方向における排紙台22の中央に近くなるよう制御する。これにより、排紙台22上の用紙束の上端部の用紙Pの湾曲が大きくなっていても、サイドフェンス25A,25Bの規制位置と用紙Pとの間隔が広がることを防止できる。この結果、排紙台22に積載される用紙Pの整列性の低下を軽減できる。
【0057】
[第2実施形態]
次に、上述した第1実施形態の一部を変更した第2実施形態について説明する。
図8は、第2実施形態に係る印刷装置の制御ブロック図である。
【0058】
図8に示すように、2実施形態に係る印刷装置1Aは、上述した第1実施形態の印刷装置1の規制位置テーブル41A,41B,…を、ジョガー動作制御テーブル51A,51B,…に置き換えた構成である。
【0059】
ジョガー動作制御テーブル51は、排紙台22の積載面に積載された用紙Pの積載量(積載枚数)に応じたサイドフェンス25A,25Bの規制位置、ジョガー動作の頻度、およびジョガー動作の強度を示すテーブルである。
【0060】
サイドフェンス25A,25Bの規制位置は、上述した第1実施形態と同様に、用紙Pの積載量が多くなるほど、前後方向における排紙台22の中央に近くなるように設定されている。ジョガー動作の頻度は、何枚の排紙ごとに1回のジョガー動作を行うかを示すものである。ジョガー動作の強度は、ジョガー動作におけるサイドフェンス25A,25Bおよびエンドフェンス27の移動速度を示すものである。
【0061】
前述のように、用紙Pの積載量とサイドフェンス25A,25Bの規制位置との関係は、用紙種類および用紙サイズによって異なる。また、用紙Pの積載量とジョガー動作の頻度との関係、および用紙Pの積載量とジョガー動作の強度との関係も、用紙種類および用紙サイズによって異なる。
【0062】
このため、印刷装置1Aでは、用紙種類および用紙サイズの組み合わせに応じた複数のジョガー動作制御テーブル51A,51B,…を設けている。ジョガー動作制御テーブル51A,51B,…における用紙Pの積載量とサイドフェンス25A,25Bの規制位置との関係、用紙Pの積載量とジョガー動作の頻度との関係、および用紙Pの積載量とジョガー動作の強度との関係は、例えば、予め実験的に求められたものである。
【0063】
ここで、例えば、サイドフェンス25A,25Bの規制位置、ジョガー動作の頻度、およびジョガー動作の強度を、用紙Pの積載量が所定枚数増加するごとに段階的に変更するようにしてもよい。
【0064】
印刷装置1Aでは、制御部6は、ジョガー動作制御テーブル51を参照して、排紙台22の積載面に積載された用紙Pの積載量に応じて、サイドフェンス25A,25Bの規制位置、ジョガー動作の頻度、およびジョガー動作の強度を制御する。
【0065】
次に、印刷装置1Aの動作について、
図9のフローチャートを参照して説明する。
【0066】
図9のステップS11~S16の処理は、前述した
図7のステップS1~S6の処理と同様である。
【0067】
ステップS17において、制御部6は、ステップS1で取得した用紙種類および用紙サイズに応じたジョガー動作制御テーブル51を参照して、カウント値Cに応じたサイドフェンス25A,25Bの規制位置、ジョガー動作の頻度、およびジョガー動作の強度を取得する。
【0068】
ステップS18において、制御部6は、今回排紙された用紙Pに対して、ステップS17で取得したジョガー動作の頻度に基づくジョガー動作が必要であるか否かを判断する。ここで、例えば、制御部6は、ステップS17で取得したジョガー動作の頻度が、2枚の排紙ごとに1回であり、直前に排紙された用紙Pに対するジョガー動作を行わなかったとすると、今回排紙された用紙Pに対するジョガー動作が必要であると判断する。
【0069】
ジョガー動作が必要であると判断した場合(ステップS18:YES)、ステップS18において、制御部6は、サイドフェンス25A,25Bおよびエンドフェンス27のジョガー動作を実行させる。このジョガー動作において、制御部6は、サイドフェンス25A,25Bの規制位置として、ステップS17で取得した規制位置を採用する。また、制御部6は、ステップS17で取得したジョガー動作の強度でのジョガー動作を行うようサイドフェンスモータ26およびエンドフェンスモータ28の駆動電圧を制御する。
【0070】
次いで、ステップS20において、制御部6は、印刷ジョブに基づく印刷枚数分の排紙が終了したか否かを判断する。印刷枚数分の排紙が終了していないと判断した場合(ステップS20:NO)、制御部6は、ステップS15に戻る。印刷枚数分の排紙が終了したと判断した場合(ステップS20:YES)、制御部6は、一連の動作を終了させる。
【0071】
ジョガー動作が必要ではないと判断した場合(ステップS18:NO)、ステップS21において、制御部6は、印刷ジョブに基づく印刷枚数分の排紙が終了したか否かを判断する。印刷枚数分の排紙が終了していないと判断した場合(ステップS21:NO)、制御部6は、ステップS15に戻る。
【0072】
印刷枚数分の排紙が終了したと判断した場合(ステップS21:YES)、ステップS22において、制御部6は、サイドフェンス25A,25Bおよびエンドフェンス27のジョガー動作を実行させる。このジョガー動作において、制御部6は、サイドフェンス25A,25Bの規制位置として、ステップS17で取得した規制位置を採用する。また、制御部6は、ステップS17で取得したジョガー動作の強度でのジョガー動作を行うようサイドフェンスモータ26およびエンドフェンスモータ28の駆動電圧を制御する。ステップS22のジョガー動作が終了すると、一連の動作が終了となる。
【0073】
以上説明したように、印刷装置1Aでは、制御部6は、排紙台22の積載面に積載された用紙Pの積載量に応じて、サイドフェンス25A,25Bの規制位置、ジョガー動作の頻度、およびジョガー動作の強度を制御する。これにより、ジョガー動作が過剰な頻度で行われることを抑えつつ、サイドフェンス25A,25Bの規制位置と用紙Pとの間隔が広がることを防止するとともに、ジョガー動作の強度を適切に調整できる。この結果、サイドフェンスモータ26およびエンドフェンスモータ28の発熱を抑えつつ、排紙台22に積載される用紙Pの整列性の低下を軽減できる。
【0074】
[その他の実施形態]
上述のように、本発明は第1および第2実施形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述および図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例および運用技術が明らかとなろう。
【0075】
上述した第1実施形態では、規制位置テーブル41に用紙Pの積載量とサイドフェンス25A,25Bの規制位置との関係を予め保存し、規制位置テーブル41を参照してジョガー動作におけるサイドフェンス25A,25Bの規制位置の制御を行った。また、上述した第2実施形態では、ジョガー動作制御テーブル51に用紙Pの積載量とサイドフェンス25A,25Bの規制位置との関係を予め保存し、ジョガー動作制御テーブル51を参照してジョガー動作におけるサイドフェンス25A,25Bの規制位置の制御を行った。しかし、排紙台22上の用紙束における最上位(上端)の用紙Pの幅方向における両端の位置をセンサで検出し、その検出結果に基づき、ジョガー動作におけるサイドフェンス25A,25Bの規制位置の制御を行うようにしてもよい。
【0076】
また、用紙コシ付けのために、上述した第1および第2実施形態の場合以外の、用紙Pの幅方向の中央部よりも両側が低くなるような逆V字形状の積載面を有する排紙台の場合であっても、本発明は同様に適用できる。
【0077】
このように、本発明はここでは記載していない様々な実施形態等を含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は上記の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
【0078】
[付記]
本出願は、以下の発明を開示する。
【0079】
(付記1)
媒体が積載される昇降可能な積載台と、
所定の高さ位置に配置され、媒体の排出方向に直交する幅方向に移動して、前記積載台へ排出された媒体の前記幅方向における位置を規制する規制動作を行う規制部と、
前記積載台に積載された媒体の上面位置を維持するように前記積載台に積載された媒体の増加に応じて前記積載台を下降させる制御、および前記規制部の制御を行う制御部とを備え、
前記制御部は、前記積載台に積載された媒体の積載量に応じて、前記規制部による前記規制動作の内容を変更することを特徴とする媒体排出装置。
【符号の説明】
【0080】
1,1A 印刷装置
2 給紙部
3 印刷部
4 排紙部
5 記憶部
6 制御部
21 排紙搬送部
22 排紙台
23 昇降モータ
24 上面検知センサ
24a 発光部
24b 受光部
25A,25B サイドフェンス
26 サイドフェンスモータ
27 エンドフェンス
28 エンドフェンスモータ
29 排紙センサ
32 中央部材
33,34 コシ付け部材
32a,33a,34a 上面
41,41A,41B,… 規制位置テーブル
51,51A,51B,… ジョガー動作制御テーブル