(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022136427
(43)【公開日】2022-09-21
(54)【発明の名称】寝具変位機構
(51)【国際特許分類】
A61G 7/015 20060101AFI20220913BHJP
【FI】
A61G7/015
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021036027
(22)【出願日】2021-03-08
(71)【出願人】
【識別番号】592192907
【氏名又は名称】日建リース工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100140866
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 武史
(72)【発明者】
【氏名】関山 正勝
(72)【発明者】
【氏名】住吉 賢一
(72)【発明者】
【氏名】前田 義文
(72)【発明者】
【氏名】石黒 猛
【テーマコード(参考)】
4C040
【Fターム(参考)】
4C040AA05
4C040DD04
4C040EE05
(57)【要約】
【課題】経年劣化等による防水性能の低下を防止可能な寝具変位機構を提供すること。
【解決手段】寝具変位機構1は、使用者の上半身を支持する上部110と、使用者の下半身を支持する下部120と、を備える寝具100の上部110を、下部120に対して傾斜した状態に変位可能であり、上部110を支持する上支持部10と、下部120のうち、使用者の腰部を支持する中部130を支持する中支持部30と、上支持部10に接続され、上部110を、下部120に対して傾斜した状態に変位させる変位機構50と、を備え、上支持部10は、寝具100の一端側に移動しつつ、一端側が、寝具100の他端側に向かって回動し、中支持部30は、上支持部10の回動に伴い、下方に変位する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者の上半身を支持する上部と、使用者の下半身を支持する下部と、を備える寝具の前記上部を、前記下部に対して傾斜した状態に変位可能な寝具変位機構であって、
前記上部を支持する上支持部と、
前記下部のうち、使用者の腰部を支持する中部を支持する中支持部と、
前記上支持部に接続され、前記上部を、前記下部に対して傾斜した状態に変位させる変位機構と、を備え、
前記上支持部は、前記寝具の一端側に移動しつつ、前記一端側が、前記寝具の他端側に向かって回動し、
前記中支持部は、前記上支持部の回動に伴い、下方に変位することを特徴とする寝具変位機構。
【請求項2】
前記中支持部は、前記上部が前記下部に対して傾斜した状態において、前記下部に向かって下り傾斜していることを特徴とする請求項1に記載の寝具変位機構。
【請求項3】
前記上支持部は、前記上部が前記下部に対して傾斜した状態において、
前記下部の上面より高い位置に配置され、
前記中支持部との間に、スペースを形成することを特徴とする請求項1又は2に記載の寝具変位機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、寝具変位機構に関し、詳しくは、使用者の上半身を支持する上部と、使用者の下半身を支持する下部と、を備える寝具の前記上部を、前記下部に対して傾斜した状態に変位可能な寝具変位機構に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、電動ベッドでは、使用者の上半身を支持する上部を、水平な状態から、起こした状態に変位させる機構が設けられている。このような電動ベッドでは、上部を起こす過程で、上部が使用者の背中を押圧するため、使用者の腹部が圧迫され、使用者に負担をかけるという問題があった。
【0003】
そこで、特許文献1には、背上げリンク先端側の転動部材が、背枠部材に沿って背枠部材基端側に移動しながら背枠部材を押し上げ、背枠部材を傾斜させ、背枠支持リンクが鉛直状に上昇していき、背枠部材を押し上げる背上げ機構が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の背上げ機構も、背枠部材を押し上げるときに、使用者の背中を押圧するため、使用者が足下側に押されてしまう。このため、その後、再び、背枠部材を倒した場合、使用者の位置が、背枠部材を押し上げる前より、足下側にズレてしまい、例えば、介護者等が使用者を、背枠部材を押し上げる前の位置に戻す必要が生じ、使用者や介護者等に負担が掛かっていた。
【0006】
本発明は、使用者の上半身を起こす場合に、使用者への負担を軽減するとともに、使用者が足下側にズレてしまうのを防止可能な寝具変位機構を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1) 使用者の上半身を支持する上部と、使用者の下半身を支持する下部と、を備える寝具の前記上部を、前記下部に対して傾斜した状態に変位可能な寝具変位機構であって、
前記上部を支持する上支持部と、
前記下部のうち、使用者の腰部を支持する中部を支持する中支持部と、
前記上支持部に接続され、前記上部を、前記下部に対して傾斜した状態に変位させる変位機構と、を備え、
前記上支持部は、前記寝具の一端側に移動しつつ、前記一端側が、前記寝具の他端側に向かって回動し、
前記中支持部は、前記上支持部の回動に伴い、下方に変位することを特徴とする寝具変位機構。
【0008】
(1)の発明によれば、寝具変位機構は、使用者の上半身を支持する上部と、使用者の下半身を支持する下部と、を備える寝具の上部を、下部に対して傾斜した状態に変位可能であり、上支持部と、中支持部と、変位機構と、を備える。
上支持部は、上部を支持する。
中支持部は、下部のうち、使用者の腰部を支持する中部を支持する。
変位機構は、上支持部に接続され、上部を、下部に対して傾斜した状態に変位させる。
そして、上支持部は、寝具の一端側に移動しつつ、一端側が、寝具の他端側に向かって回動する。
また、中支持部は、上支持部の回動に伴い、下方に変位する。
【0009】
ここで、上部を起こした場合(下部に対して傾斜した状態に変位させた場合)、使用者は、上部と当接している背中から、斜め下方(自分の下半身側)に押圧されている感覚により、圧迫感を感じる。
【0010】
(1)の構成によれば、寝具(例えば、マットレス、布団等)の上部(使用者の上半身側に配置される部分)を支持する上支持部を、寝具の一端側(使用者の頭側)に移動させつつ回動させ、寝具の中部(使用者の臀部が配置される部分)を支持する中支持部を下方に変位させる。
【0011】
これにより、上部を起こしたときに、上支持部を寝具の一端側(当該成分の方向の反対側)に移動させつつ回動させることで、使用者が圧迫感を感じる斜め下方に向かう力の成分のうち、寝具の一端側から他端側に向かう成分による影響を軽減できる。また、中支持部を下方に変位させることで、使用者が圧迫感を感じる斜め下方に向かう力の成分のうち、上方から下方に向かう成分による影響を軽減できる。
【0012】
また、上支持部を寝具の一端側に移動させつつ回動させることで、上支持部を、使用者の大転子を基準に回動さえることが可能となるので、使用者の背中と、寝具の上部との間に発生する摩擦を低減できるので、使用者の体への負担を軽減できる。
【0013】
また、寝具の中部(使用者の臀部が配置される部分)を支持する中支持部を下方に変位させることで、使用者の臀部を、使用者の下半身を支持する下部の他の部分より、低い位置に配置させることができる。
【0014】
これにより、中部と下部の他の部分との間に段差が形成され、この段差に、使用者の臀部が嵌まり、臀部をホールドできるので、使用者が足下側(寝具の他端側)に押されてしまうのを防止できる。また、このように臀部をホールドすることで、上支持部の回動の基準となる使用者の大転子が、使用者が足下側に移動してしまい、使用者の体に、想定外の負担が掛かってしまうのを防止できる。
【0015】
したがって、使用者の上半身を起こす場合に、使用者への負担を軽減するとともに、使用者が足下側にズレてしまうのを防止可能な寝具変位機構を提供できる。
【0016】
また、上支持部を変位機構により回動させ、中支持部は、上支持部の回動に伴い、下方に変位させることで、1つの変位機構で、上支持部を回動させ、中支持部を下方に変位できるので、寝具変位機構を作動させる駆動系をコンパクトにできる。
【0017】
(2) 前記中支持部は、前記上部が前記下部に対して傾斜した状態において、前記下部に向かって下り傾斜していることを特徴とする(1)に記載の寝具変位機構。
【0018】
これにより、例えば、中支持部を、下部に対して水平な状態で下方に変位させた場合や、下部に対して上り傾斜した状態で下方に変位させた場合に比べ、中部と下部の他の部分との間の段差の落差が大きくなるので、より確実に、使用者の臀部をホールドできるので、使用者が足下側(寝具の他端側)に押されてしまうのをより確実に防止できる。
【0019】
(3) 前記上支持部は、前記上部が前記下部に対して傾斜した状態において、
前記下部の上面より高い位置に配置され、
前記中支持部との間に、スペースを形成することを特徴とする(1)又は(2)に記載の寝具変位機構。
【0020】
(3)の発明によれば、上支持部は、上部が下部に対して傾斜した状態において、下部の上面より高い位置に配置され、中支持部との間に、スペースを形成する。
【0021】
ここで、一般的に、人体は、臀部が後方に出っ張っている。
(3)の構成によれば、上部が下部に対して傾斜した状態(上部を起こした状態)において、使用者の上半身を支持する上部と、使用者の腰部を支持する中部との間に、使用者の臀部から腰部近辺が収まるスペースを形成することができる。
これにより、使用者の上半身を起こす場合に、人体の構造に沿った形状で、寝具を支持できるので、使用者への負担をより軽減することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、使用者の上半身を起こす場合に、使用者への負担を軽減するとともに、使用者が足下側にズレてしまうのを防止可能な寝具変位機構を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の実施形態に係る寝具変位機構の概要を説明する図である。
図1(a)は、寝具変位機構が設けられた寝具の初期状態(上部が水平に配置された状態)を示している。
図1(b)は、寝具変位機構が設けられた寝具の変位状態(上部が、下部に対して傾斜した状態)を示している。
【
図2】本発明の実施形態に係る寝具変位機構を、一端側斜め上方から視た図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る寝具変位機構を、一端側斜め上方から視た図である。
【
図4】本発明の実施形態に係る寝具変位機構を、他端側斜め上方から視た図である。
【
図5】本発明の実施形態に係る寝具変位機構の動作を説明する図である。
【
図6】本発明の実施形態に係る寝具変位機構の動作を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。以下の説明において、同一の構成には、同一の符号を付し、その説明を省略又は簡略化する。
【0025】
[寝具変位機構1の概要]
図1は、本発明の実施形態に係る寝具変位機構の概要を説明する図である。
図1(a)は、寝具変位機構1が設けられた寝具100の初期状態(上部110が水平に配置された状態)を示している。
図1(b)は、寝具変位機構1が設けられた寝具100の変位状態(上部110が、下部120に対して傾斜した状態)を示している。
【0026】
本実施形態において、寝具100は、例えば、マットレスで構成されるが、これに限らず、布団等の使用者が寝るとき体の下に配置する物であれば任意の構成とすることができる。寝具100は、使用者の上半身を支持する上部110と、使用者の下半身を支持する下部120と、を備える。また、寝具100は、下部120のうち、使用者の腰部を支持する中部130を備える。
【0027】
寝具変位機構1は、上部110を下方から支持する上支持部10と、下部120を下方から支持する下支持部20と、中部130を下方から支持する中支持部30と、上支持部10に接続され、上部110を、下部120に対して傾斜した状態に変位させる変位機構と、を備える。なお、変位機構は、
図1では省略しているが、詳細は後述する。
【0028】
図1(a)に示すように、初期状態において、寝具変位機構1は、上部110、下支持部20及び中部130の上面は、略同一平面上に配置されている。
【0029】
寝具変位機構1は、
図1(a)に示す初期状態から、変位機構により、上支持部10が寝具100の一端側(使用者の頭側)に移動しつつ、一端側が、寝具の他端側(使用者の足側)に向かって回動することで、上部110を、下部120に対して傾斜した状態に変位させ、
図1(b)に示す変位状態となる。
【0030】
また、寝具変位機構1は、
図1(a)に示す初期状態から、変位機構による上支持部10の回動に伴い、中支持部30が、下支持部20の表面より下方に変位し、
図1(b)に示す変位状態となる。この変位状態において、上支持部本体11は、下部120の上面より高い位置に配置され、中支持部130(中部130)との間に、スペースSPを形成する。
【0031】
このような寝具変位機構1によれば、上支持部10を寝具100の一端側(当該成分F1の方向の反対側)に移動させつつ回動させることで、上部110を起こしたときに、使用者が圧迫感を感じる斜め下方に向かう力Fの成分のうち、寝具100の一端側から他端側に向かう成分F1による影響を軽減できる。また、中支持部30を下方に変位させることで、使用者が圧迫感を感じる斜め下方に向かう力Fの成分のうち、上方から下方に向かう成分F2を軽減できる。
【0032】
また、上支持部10を寝具100の一端側に移動させつつ回動させることで、上支持部10を、使用者の大転子Cを基準に回動さえることが可能となるので、使用者の背中と、寝具の上部110との間に発生する摩擦を低減できるので、使用者の体への負担を軽減できる。
【0033】
また、寝具100の中部130(使用者の臀部が配置される部分)を支持する中支持部30を下方に変位させることで、使用者の臀部を、使用者の下半身を支持する下部120の他の部分より、低い位置に配置させることができる。
【0034】
これにより、中部130と下部120の他の部分との間に段差Sが形成され、この段差Sに、使用者の臀部が嵌まり、臀部をホールドできるので、使用者が足下側(寝具の他端側)に押されてしまうのを防止できる。また、このように臀部をホールドすることで、上支持部10の回動の基準となる使用者の大転子Cが、使用者が足下側に移動してしまい、使用者の体に、想定外の負担が掛かってしまうのを防止できる。
【0035】
したがって、使用者の上半身を起こす場合に、使用者への負担を軽減するとともに、使用者が足下側にズレてしまうのを防止可能な寝具変位機構を提供できる。
【0036】
[寝具変位機構1の構成]
図2及び
図3は、本発明の実施形態に係る寝具変位機構を、一端側斜め上方から視た図である。
図2は、寝具変位機構1の初期状態を示している。
図3は、寝具変位機構1の変位状態を示している。
図4は、本発明の実施形態に係る寝具変位機構を、他端側斜め上方から視た図である。
図4は、寝具変位機構1の変位状態を示している。
【0037】
詳細には、寝具変位機構1は、上支持部10と、下支持部20と、中支持部30と、ベース40と、変位機構50と、を備える。
【0038】
上支持部10は、寝具変位機構1の一端側に配置され、寝具100の上部110(
図1参照)を下方から支持し、上面視で略矩形形状に形成され、軸形状の部材で形成されている。上支持部10は、寝具100の一端側から中央側に向かって延びる上支持部本体11を備え、中支持部30に、上支持部補助体12により連結されている。
【0039】
上支持部本体11は、
図3に示すように、枠部101と、一対の縦軸102と、横軸103と、補助部104と、を備える。上支持部10は、変位機構50に接続されており、変位機構50により、水平に配置された初期状態(
図2に示す状態)から、下支持部20に対して傾斜した状態である変位状態(
図3及び
図4に示す状態)に変位する。
【0040】
枠部101は、複数の軸形状の部材が連結されることで、上部110(
図1参照)を下方から支持可能な面を形成し、上支持部10の外形に沿って延びる外枠を少なくとも含み、外枠の内側に、外枠に連結する補助部材が配置されている。枠部101は、下端に、後述する変位機構50のリンク部530の先端に回動自在に接続されており、リンク部530を介して、ベース40に接続されている。
なお、枠部101は、複数の軸形状の部材により形成する態様に限らず、変位機構50により、変位できれば、例えば、板形状の部材で形成する態様等の任意の構成とすることができる。
【0041】
一対の縦軸102は、枠部101の外枠の内側において、外枠に固定され、上下方向に延びる軸形状の部材である。一対の縦軸102は、上支持部10の左右方向中心を挟んで設けられ、当該中心から互いに同じ寸法離れた位置に配置されている。
【0042】
横軸103は、一対の縦軸102の間に配置され、左右方向に延び、枠部101に固定されている一対の縦軸102に両端が、一端・他端方向にスライド自在に接続されている。すなわち、横軸103は、枠部101に対して、相対的に一端・他端方向にスライド可能である。横軸103は、後述する変位機構50の伝達部520の一端に回動自在に接続されており、伝達部520を介して、ベース40に接続されている。
【0043】
補助部104は、枠部101の一端側に配置され、初期状態(
図2に示す状態)では、枠部101が形成する上面に配置されており、変位状態となることで、一端側が、下方に向かって倒れる。このような補助部104は、変位状態において、使用者の頭部から肩近傍を、他端側に押圧することで、使用者が体を起こす動作を補助するものである。なお、補助部104は、変位状態において、一端側が下方に向かって倒れる作動可能状態と、変位状態においても、枠部101が形成する上面に配置されたままの作動不可状態と、に切換え可能に構成してもよい。
【0044】
図4に示すように、補助部104は、補助枠部111と、補助支持部112と、を備える。
【0045】
補助枠部111は、複数の軸形状の部材が連結されることで、上部110(
図1参照)のうち頭部から肩近傍が配置される部分を下方から支持可能な面を形成し、四角形状の外枠を少なくとも含み、外枠の内側に、外枠に連結する補助部材が配置されている。補助枠部111は、初期状態(
図2に示す状態)では、枠部101の一端側端部(使用者の頭部から肩近傍を支持する部分)に配置されている。補助枠部111は、一端側が補助支持部112(
図4参照)に回動自在に接続され、他端側が枠部101に回動自在に接続されている。
【0046】
補助支持部112は、軸形状の部材であり、一端側端部が補助枠部111の一端側側縁に回動自在に接続され、他端側端部が枠部101(例えば、外枠に連結され、左右方向に延びる補助部材)に回動自在に接続されている。
【0047】
このような構成により、補助部104は、上支持部10が変位状態(
図3及び
図4に示す状態)に変位するのに伴い、補助支持部112が、他端側端部を中心に回動し、一端側端部が、枠部101の外枠が形成する上部110(
図1参照)を支持する面から、突出する方向に、倒れる。これに伴い、補助枠部111は、他端側を中心に回動し、一端側が、枠部101の外枠が形成する上部110(
図1参照)を支持する面から、突出する方向に、倒れ、上部110(
図1参照)のうち頭部から肩近傍が配置される部分を、他端側に押圧する。
【0048】
上支持部補助体12は、
図3に示すように、中心軸121と、一対の第1軸部材122と、中継部材123と、を備える。
【0049】
中心軸121は、左右方向に延びる軸形状の部材であり、両端が、それぞれベース40の略中央に、回転自在に取り付けられている。
【0050】
一対の第1軸部材122は、一端・他端方向に延びる軸形状の部材であり、中心軸121の両端側にそれぞれ配置されている。第1軸部材122は、他端側が、中心軸121に固定され、一端側が、後述する変位機構50のリンク部530の中間位置に回動自在に接続されている。
【0051】
中継部材123は、軸形状の部材であり、両端がそれぞれ、第1軸部材122と、上支持部本体11の枠部101とに回動自在に接続されている。また、中継部材123は、一対の第1軸部材122に対して、それぞれ設けられている。
【0052】
上支持部補助体12は、一対の第1軸部材122により、上部110(
図1参照)の他端側の一部を支持する面を形成する。
【0053】
図2に示すように、下支持部20は、寝具変位機構1の一端側に配置され、寝具100の下部120(
図1参照)を下方から支持し、上面視で略矩形形状に形成されている。下支持部20は、一端側の中央部分に、中支持部30が配置される欠き込み21が形成されている。
【0054】
なお、下支持部20は、本実施形態において、複数の軸形状の部材により外枠を形成し、外枠の内側に板材を配置した構成としているが、これに限らず、寝具100の下部120を下方から支持できれば、例えば、複数の軸形状を格子状に組み合わせた態様等の任意の構成とすることができる。
【0055】
中支持部30は、上面視で、下支持部20の欠き込み21が形成された位置に配置され、中支持部材31と、接続部材32と、を備える。
【0056】
中支持部材31は、寝具100の中部130(
図1参照)を下方から支持し、上面視で略矩形形状に形成されている。なお、中支持部材31は、本実施形態において、複数の軸形状の部材により外枠を形成し、外枠の内側に板材を配置した構成としているが、これに限らず、寝具100の中部130を下方から支持できれば、例えば、板材のみの構成等の任意の構成とすることができる。
【0057】
接続部材32は、一端・他端側に延びる軸形状の部材であり、一端側が、中心軸121に固定され、他端側が、中支持部材31の一端側端部に回動自在に接続され、中支持部材31の左右両端にそれぞれ設けられている。
【0058】
中支持部30は、中支持部材31に、中支持部材31の下から、中心軸121の下方に延びるストッパ部材が設けられており、初期状態では、このストッパ部材が中心軸121の下部に当接し、その上面が、下支持部20の上面と略同一平面上に配置されている。そして、初期状態から変位状態への移行が開始すると、変位機構50のリンク部530により、上支持部補助体12の第1軸部材122が、中心軸121を中心に、一端側が他端側に回動し、これに伴い中心軸121も回動し、接続部材32を介して、中支持部材31が、下支持部20の上面より下方に変位する。
【0059】
図2~
図4に示すように、ベース40は、寝具変位機構1の外形を形成せる枠体であり、上支持部10、下支持部20、中支持部30及び変位機構50を保持し、例えば、電動ベッドのフレームに設置される。
【0060】
図3に示すように、変位機構50は、ベース40に取り付けられており、アクチェータ510と、伝達部520と、リンク部530と、を備える。
【0061】
アクチェータ510は、一端・他端方向に延び、一端側がベース40に回動自在に取り付けられており、外部から供給される電気で、全長が他端側に伸縮し、他端が伝達部520に回動自在に接続されている。アクチェータ510は、初期状態から変位状態に移行する場合、全長が伸び、変位状態から初期状態に移行する場合、全長が縮む。
【0062】
伝達部520は、左右方向に延びる軸部材であり、両端がベース40に回転自在に取り付けられている第1伝達部材521と、一端・他端方向に延びる軸部材であり、初期状態における他端側が第1伝達部材521に固定され、一端側が上支持部本体11の横軸103に回動自在に接続されている第2伝達部材522と、を備える。
【0063】
伝達部520は、初期状態では、第2伝達部材522が、略水平に配置された状態(横軸103に接続された端部が、一端側向いた状態)であり、変位状態に移行する場合、アクチェータ510が伸びることで、第2伝達部材522が第1伝達部材521を中心に回動し、立ち上がり、
図3に示す状態となる。
【0064】
リンク部530は、互いの端部が回動自在に接続された短部材531と長部材532とからなり、短部材531のもう一方の端部が、ベース40に回転自在に取り付けられており、長部材532のもう一方の端部が、上支持部本体11の枠部101の下端に回転自在に取り付けられており、長部材532の中間部分に、上支持部補助体12の第1軸部材122が回動自在に接続されている。
【0065】
[寝具変位機構1の動作]
図5及び
図6は、本発明の実施形態に係る寝具変位機構の動作を説明する図である。
図5は、寝具変位機構1の初期状態を示している。
図6は、寝具変位機構1の変位状態を示している。
図6における点線は、初期状態と変位状態との間の状態を示している。
【0066】
寝具変位機構1は、
図5に示す初期状態から、
図6に示す変位状態へ移行する場合、アクチェータ510が伸び、第2伝達部材522が、略水平に配置された状態から回動して、立ち上がる。すると、第2伝達部材522に接続されている上支持部本体11が引き上げられ、上支持部本体11の他端が、寝具100の一端側に移動しつつ、上支持部本体11の一端側が、寝具100の他端側に向かって回動する。また、上支持部本体11の回動により、補助部104の一端側が、寝具の他端側に倒れ、使用者の頭部から肩近傍が配置される部分を、他端側に押圧する。
これに伴い、上支持部補助体12は、引き上げられ、中心軸121を中心に回動し、一端側が、寝具100の他端側に向かって回動する。これにより、中心軸121も、一端側から他端側に向かって、回動する。すると、この中心軸121に接続されている中支持部30も、一端側から他端側に向かって回動し、他端側が下方に移動する。
【0067】
これにより、
図6に示す変位状態となり、中支持部30が、下部120(
図1参照)を支持する下支持部20に向かって下り傾斜した状態となり、上支持部本体11の下端が、下部120を支持する下支持部20の上面より高い位置に配置され、上支持部補助体12が、上支持部本体11の表面の延長面Pより、寝具の一端側(使用者の頭側)に配置され、上支持部本体11と中支持部130の間にスペースSPが形成される。なお、中支持部30は、支持する下支持部20に向かって下り傾斜した状態から、水平な状態にしてもよいし、水平な状態で、下方に移動させてもよい。
【0068】
このような寝具変位機構1によれば、寝具100の上部110を起こしたときに、上支持部10を寝具100の一端側(当該成分の方向の反対側)に移動させつつ回動させることで、使用者が圧迫感を感じる斜め下方に向かう力Fの成分のうち、寝具100の一端側から他端側に向かう成分F1による影響を軽減できる。また、中支持部30を下方に変位させることで、使用者が圧迫感を感じる斜め下方に向かう力Fの成分のうち、上方から下方に向かう成分F2による影響を軽減できる。
【0069】
また、上支持部10を寝具100の一端側に移動させつつ回動させることで、上支持部10を、使用者の大転子Cを基準に回動さえることが可能となるので、使用者の背中と、寝具の上部110との間に発生する摩擦を低減できるので、使用者の体への負担を軽減できる。
【0070】
また、寝具100の中部130(使用者の臀部が配置される部分)を支持する中支持部30を下方に変位させることで、使用者の臀部を、使用者の下半身を支持する下部120の他の部分より、低い位置に配置させることができる。
【0071】
これにより、中部130と下部120の他の部分との間に段差Sが形成され、この段差Sに、使用者の臀部が嵌まり、臀部をホールドできるので、使用者が足下側(寝具の他端側)に押されてしまうのを防止できる。また、このように臀部をホールドすることで、上支持部10の回動の基準となる使用者の大転子Cが、使用者が足下側に移動してしまい、使用者の体に、想定外の負担が掛かってしまうのを防止できる。
【0072】
したがって、使用者の上半身を起こす場合に、使用者への負担を軽減するとともに、使用者が足下側にズレてしまうのを防止可能な寝具変位機構を提供できる。
【0073】
また、寝具変位機構1によれば、上支持部10を変位機構50により回動させ、中支持部30は、上支持部10の回動に伴い、下方に変位させることで、1つの変位機構50で、上支持部10を回動させ、中支持部30を下方に変位できるので、寝具変位機構1を作動させる駆動系をコンパクトにできる。
【0074】
また、寝具変位機構1によれば、中部130を、寝具100の上部110が下部120に対して傾斜した状態において、下部120に向かって下り傾斜させるので、例えば、中部130を下部120に対して水平な状態で下方に変位させた場合や、下部120に対して上り傾斜した状態で下方に変位させた場合に比べ、中部130と下部120の他の部分との間の段差Sの落差が大きくなるので、より確実に、使用者の臀部をホールドできるので、使用者が足下側(寝具の他端側)に押されてしまうのをより確実に防止できる。
【0075】
また、寝具変位機構1によれば、上部110が下部120に対して傾斜した状態(上部110を起こした状態)において、使用者の上半身を支持する上部110と、使用者の腰部を支持する中部130との間に、使用者の臀部から腰部近辺が収まるスペースSPを形成することができる。
これにより、使用者の上半身を起こす場合に、人体の構造に沿った形状で、寝具100を支持できるので、使用者への負担をより軽減することができる。
【0076】
本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
【符号の説明】
【0077】
P 延長面
S 段差
SP スペース
1 寝具変位機構
10 上支持部
11 上支持部本体
12 上支持部補助体
20 下支持部
21 欠き込み
30 中支持部
31 中支持部材
32 接続部材
40 ベース
50 変位機構
100 寝具
101 枠部
102 縦軸
103 横軸
104 補助部
110 上部
111 補助枠部
112 補助支持部
120 下部
121 中心軸
122 第1軸部材
123 中継部材
130 中部
510 アクチェータ
520 伝達部
521 第1伝達部材
522 第2伝達部材
530 リンク部
531 短部材
532 長部材