(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022136481
(43)【公開日】2022-09-21
(54)【発明の名称】保温容器、温度管理システム
(51)【国際特許分類】
B65D 81/18 20060101AFI20220913BHJP
G06K 19/077 20060101ALI20220913BHJP
【FI】
B65D81/18
G06K19/077 220
G06K19/077 248
G06K19/077 296
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021036113
(22)【出願日】2021-03-08
(71)【出願人】
【識別番号】591020445
【氏名又は名称】立山科学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095430
【弁理士】
【氏名又は名称】廣澤 勲
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100170634
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 航介
(72)【発明者】
【氏名】本田 憲市
(72)【発明者】
【氏名】比嘉 匠
(72)【発明者】
【氏名】仲俣 裕喜
【テーマコード(参考)】
3E067
【Fターム(参考)】
3E067AA11
3E067AB01
3E067AB81
3E067AB96
3E067BA05A
3E067BB11A
3E067CA14
3E067EA04
3E067EE41
3E067FA02
3E067FC01
3E067GA01
3E067GA11
3E067GD01
(57)【要約】
【課題】壁体に金属からなる遮熱層が設けられた場合であっても、容器内に配置された無線ICタグと外部から通信を行うことができる保温容器を提供する。
【解決手段】内部に対象物を保温状態で保管するための保温容器100は、対象物を収容する容器本体110と、容器本体110の内部に設けられた金属対応無線ICタグ120と、金属対応無線ICタグ120が取り付けられた導波部材130と、を備え、導波部材130は、金属対応無線ICタグ120と、容器本体110の外部に設けられたリーダとの間で通信できるように、容器本体の内側と外側との間で高周波の伝搬を可能にする、ことを特徴とする。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に対象物を保温状態で保管するための保温容器であって、
前記対象物を収容する容器本体と、
前記容器本体の内部に設けられた金属対応無線ICタグと、
前記金属対応無線ICタグが取り付けられた導波部材と、を備え、
前記導波部材は、前記金属対応無線ICタグと前記容器本体の外部に設けられたリーダとの間で通信できるように、前記容器本体の内側と外側との間で高周波の伝搬を可能にする、
ことを特徴とする保温容器。
【請求項2】
前記導波部材は、
前記容器本体の内側に位置し、前記金属対応無線ICタグが取り付けられた内側部と、
前記容器本体の内側から外側まで延びる空間内に配置され、前記内側部に接続されている連結部と、
前記容器本体の外側に位置し、前記連結部に接続された外側部と、を含む、
請求項1に記載の保温容器。
【請求項3】
前記導波部材は、前記内側部と前記外側部とが重なりあうことがないように配置されている、請求項2に記載の保温容器。
【請求項4】
前記容器本体は、蓋部を形成する一対のフラップを備え、
前記導波部材の前記連結部は、前記一対のフラップの間を通る、
請求項2又は3に記載の保温容器。
【請求項5】
前記容器本体は、筒状の側壁と、前記側壁の開口を閉鎖する蓋部とを備え、
前記導波部材の前記連結部は、前記側壁と前記蓋部の間を通る、
請求項2又は3に記載の保温容器。
【請求項6】
前記容器本体は、当該容器本体の壁面の少なくとも一部の外面又は壁面内に電気伝導体からなる遮熱層を有し、
前記導波部材は、前記遮熱層と電気的又は電磁界的に結合されている、
請求項1~5の何れか1項に記載の保温容器。
【請求項7】
前記容器本体は、筒状の側壁と、当該側壁から延びる内フラップ及び外フラップを有し、
前記容器本体の前記側壁及び前記内フラップの外面に前記遮熱層が形成されており、
前記容器本体を閉鎖した状態で前記内フラップが内部空間に位置し、前記遮熱層の前記内フラップ外面に形成された部分と、前記導波部材が電気的又は電磁界的に結合されている、
請求項6に記載の保温容器。
【請求項8】
前記容器本体の壁面は、断熱層と電気伝導体からなる遮熱層を交互に備え、少なくとも2つ以上の電気的に独立した前記遮熱層を有することを特徴とする請求項1~7の何れか1項に記載の保温容器。
【請求項9】
前記導波部材の前記金属対応無線ICタグが取り付けられた領域を含んだ少なくとも一部は、スペーサを介して前記容器本体の前記遮熱層上に取り付けられている、
請求項6~8の何れか1項に記載の保温容器。
【請求項10】
前記導波部材は、前記金属対応無線ICタグと電気的又は電磁界的に結合されている、
請求項1~9の何れか1項に記載の保温容器。
【請求項11】
前記導波部材は、シート状の電気伝導体を含む、
請求項1~10の何れか1項に記載の保温容器。
【請求項12】
前記金属対応無線ICタグは、温度センサを有する、
請求項1~11の何れか1項に記載の保温容器。
【請求項13】
前記金属対応無線ICタグは、パッシブ型のタグである、
請求項1~12の何れか1項に記載の保温容器。
【請求項14】
請求項1~13の何れか1項に記載の保温容器と、
前記金属対応無線ICタグと前記導波部材を含む導波構造体を介して通信可能なリーダと、
を備える、管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保温容器、及び、この保温容器を含む温度管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
食材や薬品などの保温対象品を所定の温度環境下で保管するために保温容器が広く用いられている。このような保温容器として、特許文献1には、保温対象品が所定の温度環境下にあることを管理するため、容器内空間に連通する連通路に温度検出器を設けた保温容器が開示されており、さらに、温度検出器として温度センサを内蔵したICタグを用いることが開示されている。
【0003】
また、保温容器の保温性能を向上するために、発泡スチロールなどの熱伝導性が低い材料からなる断熱材を断熱層とし、熱反射性が高いアルミなどの金属箔などからなる遮熱材を遮熱層として、保温容器の壁体に断熱層と遮熱層を組み合わせることが広く行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
電気伝導体からなる遮熱層を保温容器の壁体に備えた場合、保温容器の内部に金属対応無線ICタグを配置し、遮熱層を利用し、外部からリーダにより通信を行うことが考えられる。なお、金属対応無線ICタグとは、例えば、特開2012-253700号公報に記載されているような無線通信デバイスであり、金属部品などの電気伝導体に対して、電気的又は電磁界的に結合することで、電波の送信性能や読取性能が向上する無線ICタグである。
しかしながら、保温性能を更に向上させた保温容器として、2つの電気的に接続していない遮熱層により両面が覆われた断熱層を備えた保温容器の場合には、保温容器内部に金属対応無線ICタグを配置したとしても、2つのうち1方の遮熱層により電波が遮断されるため、外部からリーダにより金属対応無線ICタグとの通信を行うことができない。
【0006】
本発明は、上記の問題に鑑みなされたものであり、容器の遮熱層などの金属等からなる電波の伝搬を妨げる部材が設けられた場合であっても、容器内に配置された無線ICタグと外部から通信を行うことができる保温容器を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、内部に対象物を保温状態で保管するための保温容器であって、対象物を収容する容器本体と、容器本体の内部に設けられた金属対応無線ICタグと、金属対応無線ICタグが取り付けられた導波部材と、を備え、導波部材は、金属対応無線ICタグと容器本体の外部に設けられたリーダとの間で通信できるように、容器本体の内側と外側との間で高周波の伝搬を可能にする、ことを特徴とする。
上記構成の本発明によれば、導波部材により容器本体の内側と外側の間で高周波が伝搬されるため、保温容器に電波の伝搬を妨げる部材が設けられた場合であっても、容器本体の内部に設けられた金属対応無線ICタグと、容器本体の外部に設けられたリーダとの間で通信が可能になる。
【0008】
本発明において、好ましくは、導波部材は、容器本体の内側に位置し、金属対応無線ICタグが取り付けられた内側部と、容器本体の内側から外側まで延びる空間内に配置され、内側部に接続されている連結部と、容器本体の外側に位置し、連結部に接続された外側部と、を含む。
上記構成の本発明によれば、容器本体に形成された隙間などの内側から外側まで延びる空間に導波部材を設けるのみの簡単な構成で、容器本体の内側と外側との間で高周波の伝搬が可能になる。
【0009】
本発明において、好ましくは、導波部材は、内側部と外側部とが重なりあうことがないように配置されている。
導波部材の内側部と外側部とが重なりあうと、内側部と外側部とにより静電容量が構成されてしまい、通信性能が低下してしまう。これに対して、上記構成の本発明によれば、導波部材が内側部と外側部とが重なりあうことがないため、通信性能の低下を防止できる。
【0010】
本発明において、好ましくは、容器本体は、蓋部を形成する一対のフラップを備え、導波部材の連結部は、一対のフラップの間を通る。
上記構成の本発明によれば、例えばA式段ボール箱などにより形成される容器本体に元々存在する隙間を通じて導波部材を配置することができる。
【0011】
本発明において、好ましくは、容器本体は、筒状の側壁と、側壁の開口を閉鎖する蓋部とを備え、導波部材の連結部は、側壁と蓋部の間を通る。
上記構成の本発明によれば、側壁と蓋部を有する一般的な容器に元々存在する隙間を通じて導波部材を配置することができる。
【0012】
本発明において、好ましくは、容器本体は、当該容器本体の壁面の少なくとも一部の外面又は壁面内に電気伝導体からなる遮熱層を有し、導波部材は、遮熱層と電気的又は電磁界的に結合されている。
上記構成の本発明によれば、容器本体の外面に形成された遮熱層を利用して、容器本体の内側と外側との間で高周波の伝搬を可能にすることができる。
【0013】
本発明において、好ましくは、容器本体は、筒状の側壁と、当該側壁から延びる内フラップ及び外フラップを有し、容器本体の側壁及び内フラップの外面に遮熱層が形成されており、容器本体を閉鎖した状態で内フラップが内部空間に位置し、遮熱層の内フラップ外面に形成された部分と、導波部材が電気的又は電磁界的に結合されている。
上記構成の本発明によれば、容器本体の外面に形成された遮熱層を利用して容器本体の内側と外側との間で高周波の伝搬を可能にすることができる。
【0014】
本発明において、好ましくは、容器本体の壁面は、交互に備えられた断熱層と遮熱層を有し、電気的に独立した遮熱層が少なくとも2層以上形成されている。
上記構成の本発明によれば、遮熱層が設けられた容器であっても、容器本体の内部に設けられた金属対応無線ICタグと、容器本体の外部に設けられたリーダとの間で通信が可能になる。
【0015】
本発明において、好ましくは、導波部材の金属対応無線ICタグが取り付けられた領域を含んだ少なくとも一部は、スペーサを介して容器本体の遮熱層上に取り付けられている。
上記構成の本発明によれば、金属対応無線ICタグに対して容器本体による通信への影響を軽減することができ、通信性能を安定させることができる。
【0016】
本発明において、好ましくは、導波部材は、金属対応無線ICタグと電気的又は電磁界的に結合されている。
上記構成の本発明によれば、金属対応無線ICタグから送信された高周波が確実に導波部材に伝達され、導波部材を伝搬した高周波が確実に金属対応無線ICタグに伝達される。
【0017】
本発明において、好ましくは、導波部材は、シート状の電気伝導体を含む。
上記構成の本発明によれば、非常に狭い空間を通じて導波部材を配置することができる。
【0018】
本発明において、好ましくは、金属対応無線ICタグは、温度センサを有する。
上記構成の本発明によれば、金属製の遮熱層などを備えた容器本体内の温度を無線ICタグで測定し、外部で管理することができる。
【0019】
本発明において、好ましくは、金属対応無線ICタグは、パッシブ型のタグである。
アクティブ型のタグは温度が低い場合などには電池性能が低下するおそれがある。これに対して、上記構成の本発明によれば、容器本体内が低温であっても、無線ICタグの性能が低下するのを防止できる。
【0020】
本発明の管理システムは、上記の保温容器と、金属対応無線ICタグと導波部材を含む導波構造体を介して通信可能なリーダと、を備える。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、容器に遮熱層などの金属等からなる電波の伝搬を妨げる部材が設けられた場合であっても、容器内に配置された無線ICタグと外部から通信を行うことができる保温容器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の第1実施形態による保温容器を含む管理システムの構成を示す構成図である。
【
図2A】前部フラップ、後部フラップ、及び、側部フラップを開放した状態の本発明の第1実施形態による保温容器を示す斜視図である。
【
図2B】前部フラップ及び後部フラップを開放し、側部フラップを閉鎖した状態の本発明の第1実施形態による保温容器を示す斜視図である。
【
図2C】前部フラップ、後部フラップ、及び、側部フラップを閉鎖した状態の本発明の第1実施形態による保温容器を示す斜視図である。
【
図4A】前部フラップ及び後部フラップを開放した状態の本発明の第2実施形態による保温容器を示す斜視図である。
【
図4B】前部フラップ及び後部フラップを閉鎖した状態の本発明の第2実施形態による保温容器を示す斜視図である。
【
図6A】蓋フラップ及び側部フラップを開放した状態の本発明の第3実施形態による保温容器を示す斜視図である。
【
図6B】蓋フラップ及び側部フラップを閉鎖した状態の第3実施形態による保温容器を示す斜視図である。
【
図8A】蓋部を取り外して容器本体を開放した状態の本発明の第4実施形態による保温容器を示す斜視図である。
【
図8B】蓋部を取り付けて容器本体を閉鎖した状態の本発明の第4実施形態による保温容器を示す斜視図である。
【
図10A】前部フラップ、後部フラップ、及び、側部フラップを開放した状態の本発明の第5実施形態による保温容器を示す斜視図である。
【
図10B】前部フラップ及び後部フラップを開放し、側部フラップを閉鎖した状態の本発明の第5実施形態による保温容器を示す斜視図である。
【
図10C】前部フラップ、後部フラップ、及び、側部フラップを閉鎖した状態の本発明の第5実施形態による保温容器を示す斜視図である。
【
図13】本発明の第5実施形態による保温容器において、無線ICタグから放射された高周波が保温容器の外部まで伝搬される流れを示す図である。
【
図14】遮熱層が側壁内部に設けられた容器本体における導波部材の取り付け方法を説明するための保温容器の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
<第1実施形態>
以下、本発明の第1実施形態による保温容器を含む管理システムを、図面を参照しながら、詳細に説明する。
図1は、本発明の第1実施形態による保温容器を含む管理システムの構成を示す構成図である。本実施形態の管理システムは、例えば、トラックなどの貨物室に保温容器を積載して搬送する際に、保温容器内の温度を管理するためのシステムである。
【0024】
図1に示すように、管理システム1は、管理端末10と、複数の保温容器100と、各保温容器100に対応して設けられた中継端末20を備える。本実施形態では、管理システム1は、トラック40の貨物室42内及び搭乗室43に設けられている。貨物室42は、空調装置44を有している。空調装置44は、貨物室42の内部空間を所定の温度に保つように制御されている。
【0025】
管理端末10は、制御部12、アンテナ14、表示部16、及び警報部18と、例えば、LANなどの有線により通信可能に接続されている。制御部12は、例えば、CPU、RAM、ROM、外部メモリと、入力部と、出力部などを含んで構成される。RAM、ROM、外部メモリ、入力部、出力部はバスを介してCPUに接続されている。CPUは、システムバスに接続される各デバイスを統括的に制御する。なお、管理端末10は、空調装置44に制御可能に接続されていてもよい。
【0026】
ROMや外部メモリには、CPUの制御プログラムであるBIOSやOS、コンピュータが実行する機能を実現するために必要な各種プログラムやデータ等が記憶されている。
RAMは、CPUの主メモリや作業領域等として機能する。CPUは、処理の実行に際して必要なプログラム等をROMや外部メモリからRAMにロードして、ロードしたプログラムを実行することで各種動作を実現する。
外部メモリは、例えば、フラッシュメモリ、ハードディスク、DVD-RAM、USBメモリ等から構成される。
【0027】
入力部は、ユーザ等から操作指示等を受け付ける。入力部は、例えば、入力ボタン、キーボード、ポインティングデバイス、ワイヤレスリモコン、マイクロフォン、カメラ等の入力デバイスから構成される。
出力部は、CPUで処理されるデータや、RAM、ROMや外部メモリに記憶されるデータを出力する。
【0028】
図1に示す管理システム1の管理端末10の制御部12は、ROMや外部メモリに記憶された各種プログラムが、CPU、RAM、ROM、外部メモリ、入力部、出力部等を資源として使用することで実現される。
【0029】
制御部12は、後述するように各保温容器の内部温度に関する情報を、中継端末20を介して、保温容器100の無線ICタグから受信し、保温容器を示す識別用IDに対応付けて、温度情報に関する情報と、測定時間とを組み合わせて、RAM又はROMなどに記録する。なお、保温容器の内部の温度情報だけでなく、湿度情報も取得してよい。また、制御部12は、受信した保温容器の内部温度に関する情報を、保温容器を示す識別用IDと、測定時間とともに出力部から出力する。
【0030】
表示部16は、例えば、有機ELディスプレイなどからなり、制御部12の出力部に接続されている。表示部16は、制御部12の出力部から受信した各保温容器100内の温度に関する情報を、保温容器を示す識別用IDと、測定時間とともに画面表示する。
警報部18は、例えば、スピーカやライトなどであり、ブザー音や警報ランプなどを使用し、保温容器100内の温度が所定の範囲から外れると制御部12で判断される場合には、リアルタイムでユーザ等に通知する。
アンテナ14は、制御部12の入力部及び出力部に接続されており、無線により中継端末20との間で通信することができる。また、アンテナ14は出力部から出力された情報を管理システム1の外部と通信可能なアンテナを有することもできる。
【0031】
中継端末20は、制御部26と、リーダライタ部22と、アンテナ24と、を備える。制御部26は、CPU、RAM、ROM、入力部、出力部などを含んで構成される。制御部26も、管理端末10の制御部12と同様に、ROMに記憶された各種プログラムが、CPU、RAM、ROM、入力部、出力部等を資源として使用することで実現される。制御部26には、リーダライタ部22と、アンテナ24が接続されている。
【0032】
アンテナ24は、管理端末10のアンテナ14と無線通信可能である。
リーダライタ部22は、無線ICタグと通信可能なトランスポンダからなり、高周波を送受信し、この高周波により後述するように保温容器100の無線ICタグ120と導波構造体160を通じて通信可能である。
【0033】
無線ICタグ120は、後述するようにアンテナ及びICチップを有し、ICチップは記憶装置、温度センサや湿度センサを含んでいる。ICチップには保温容器100を識別するための識別用IDが記憶されている。無線ICタグ120はリーダライタ部から所定の搬送周波数の高周波を受信すると、この高周波により電力を生成し、ICチップを駆動することができる。そして、ICチップは生成された電力により、温度センサを作動させて保温容器内の温度を測定し、測定した温度を識別用IDに対応付けて温度情報を生成する。また、無線ICタグ120は、アンテナから高周波により温度情報をリーダライタ部22に送信することができる。
【0034】
本実施形態の管理システム1は、例えば、以下のように作動する。
本実施形態の管理システム1では、所定の時間間隔をあけて、制御部12がアンテナ14から問い合わせ信号を、中継端末20のアンテナ24に送信する。
【0035】
中継端末20は問い合わせ信号を受信すると、リーダライタ部22により導波構造体160を通じて無線ICタグ120に高周波を、後述する導波構造体を通じて送信する。無線ICタグ120は、高周波を受信すると、この高周波により電力を生成し、ICチップを駆動する。ICチップが駆動されると温度センサにより保温容器内の温度を測定して温度情報を生成し、識別用IDを対応付けた温度情報をアンテナから高周波により送信する。
【0036】
中継端末は、リーダライタ部22が導波構造体を通じて無線ICタグから温度情報を受信すると、アンテナ24によりこの温度情報を管理端末10のアンテナ14に送信する。
【0037】
また、管理端末10は、各中継端末20から受信した各保温容器100の温度情報に基づき、表示部16に、識別IDと、保温容器内の温度と、測定時間とを表示する。また、管理端末10は、アンテナ14により温度情報を受信すると、識別IDと温度情報と、測定時間とを対応付けて制御部12に記憶する。これにより、制御部12には、各保温容器の識別IDに対して、測定時間と保温容器内の温度とが対応付けられた時系列データが作成される。
【0038】
また、管理端末10は、保温容器100内の温度が所定の範囲から外れる場合には、制御部12から警報部18への警報信号を送信する。ユーザ等は、警報部18から通知された警報に基づいて空調装置44の駆動を操作し、保温容器100内の温度が所定の範囲内になるように、貨物室42内の温度を調整することができる。
【0039】
次に、保温容器100について詳細に説明する。
図2A~
図2Cは、本発明の第1実施形態による保温容器を示す斜視図であり、
図2Aは、前部フラップ、後部フラップ、及び、側部フラップを開放した状態であり、
図2Bは前部フラップ及び後部フラップを開放し、側部フラップを閉鎖した状態であり、
図2Cは、前部フラップ、後部フラップ、及び、側部フラップを閉鎖した状態である。また、
図3は、無線ICタグを通る縦断面図であり、
図2CにおけるA-A断面図である。
【0040】
図2A~
図2C及び
図3に示すように、保温容器100は、容器本体110と、無線通信デバイスとしての無線ICタグ120と、導波部材130と、を備える。
容器本体110は、通称A式段ボール箱などと呼ばれる組み立てた状態で直方体状になる容器からなる。容器本体110は、矩形状に形成された底部101と、底部101の周縁から筒状に立設された側壁102と、側壁102の前面の上端から延びる前部フラップ103と、側壁102の後面の上端から延びる後部フラップ104と、側壁の側面の上端から延びる一対の側部フラップ105と、を備える。
【0041】
底部101は、詳細は図示しないが、側壁102から下方に延びる外フラップ及び内フラップが折りたたまれて構成されている。
【0042】
側壁102は、前方及び後方の横方向長さが側方の横方向幅よりも長いような上面視矩形状の筒状に形成されている。なお、ここでいう筒状とは、細長い部材の両端部を接続して環状に形成したものも含む。側壁102の前部及び後部の下縁及び上縁には、それぞれ外フラップ(前部フラップ103及び後部フラップ104)が接続されており、側壁の側部の下縁及び上縁には、それぞれ、内フラップ(側部フラップ105)が接続されている。
【0043】
前部フラップ103及び後部フラップ104の長さは、容器本体110の奥行の略半分となっている。前部フラップ103、後部フラップ104及び側部フラップ105は、保温容器100を開放した状態では上方又は外方に向かうように折り曲げられている。また、側部フラップ105を内側に向かって折り曲げ、次に、前部フラップ103及び後部フラップ104を側部フラップ105の上方に位置するように、側壁102に対して内側に向かって折り曲げることにより、これら前部フラップ103、後部フラップ104及び側部フラップ105が保温容器100の天板(蓋)を構成する。
【0044】
図3に示すように、容器本体110の壁面は、第一遮熱層100A、第二遮熱層100B及び断熱層100Cにより構成され、第一遮熱層100Aが保温容器100の内表面となり、第二遮熱層100Bが保温容器100の外表面となるように、第一遮熱層100A及び第二遮熱層100Bにより断熱層100Cの両面がそれぞれ覆われている。第一遮熱層100A及び第二遮熱層100Bは、熱反射性の高いアルミなどの金属箔からなり、断熱層100Cは発泡スチロールや段ボールなどからなる。第一遮熱層100A及び第二遮熱層100Bは、断熱層100Cに対して、例えば、アルミを蒸着させたり、アルミ蒸着フィルムを貼り付けたりすることにより形成されている。このようなアルミ蒸着は、容器本体110を構成する段ボール箱を組み立てる前の展開された状態で全面に行えばよい。また、本実施形態では、容器本体110の壁面の表面に遮熱層が形成されているが、電気的に独立した遮熱層が2層以上あればよく、容器本体110の表面が断熱層または保護層により覆われていてもよい。また、断熱層100Cは、段ボール層と発泡スチロール層とを接着層により接着させた複数の材料からなる断熱層で構成してもよい。
【0045】
無線ICタグ120は金属対応無線ICタグからなり、容器本体110の側壁102の後方面の表面に取り付けられた導波部材130の表面に取り付けられている。例えば、無線ICタグ120の底部101側の端部から側壁102の上縁まで距離が、リーダライタ部との通信に用いられる搬送波の周波数の波長の1/2の整数倍となるように取り付けることができる。金属対応無線ICタグは、金属部品などの電気伝導体に取付けられることで、電気伝導体と電気的又は電磁界的に結合することにより、電波の送信性能や読取性能が向上する無線ICタグである。無線ICタグ120は、基板本体124と、ICチップ122と、基板本体124の表面に形成されたプリント回路(図示せず)とを備える。プリント回路はアンテナを形成するとともにICチップに接続されている。本実施形態のICチップは、温度センサや湿度センサを内蔵するとともに、保温容器100を識別するための固有の識別IDを記憶している。また、ICチップに温度センサや湿度センサに対する温度校正値を記憶しておき、温度センサや湿度センサの測定値を補正してもよい。無線ICタグは、高周波をプリント回路が形成するアンテナにおいて受信し、受信した電波を電源としてICチップを起動させ、ICチップで測定した温度を、ICチップで記憶している識別IDと組みつけて、アンテナを通じてリーダに高周波の応答波を送信する。なお、本明細書でいう高周波とは、リーダライタ部と、無線ICタグとの間で通信するための電波、電磁波又は磁界の変動をいい、通信に用いられる搬送波の周波数は、長波帯域、RF帯域、UHF帯域、マイクロ波帯のいずれであってもよい。また、無線ICタグの通信方式は、電磁誘導方式であっても電波を使用する電界方式であってもよい。無線ICタグ120の取り付け方法は、導波部材130の表面に取り付ける方法に限らず、無線ICタグ120のアンテナと導波部材130とが電気的に結合されればよい。
【0046】
なお、本明細書において、電気的又は電磁界的に結合されるとは、導波部材130が無線ICタグ120に直接接続される場合に限らず、例えば、導波部材130と無線ICタグ120のアンテナとが容量結合することにより、アンテナから送信する電波が導波部材130に伝達されるような構成であればこれに含まれる。
【0047】
導波部材130は容易に折り曲げ可能で柔軟性のある一枚の電気伝導体からなる。このような電気伝導体としては、例えば、細長い矩形状の金属箔を用いることができる。このような金属箔としては、例えば、アルミ箔、金属箔(銅、銀、金、白金、チタン、ステンレス、アルミニウム合金、ベリリウム銅、燐青銅、黄銅、洋白、ニッケル、ニクロム、ニッケル合金、錫、亜鉛、鉛、タンタル、モリブデン、ニオブ、鉄、銀ろう、C276合金、C22合金、Alloy600、Alloy718、コバール、ジルコニウム、イリジウム、はんだ、モネル、インコネル)などを用いることができる。また、金属箔ではなく、グラファイトシートを用いることもできる。導波部材130は、容器本体110を組み立てた状態で容器本体110の内側に位置する内側部132と、容器本体110の外側に位置する外側部136と、内側部132と外側部136との間を接続する連結部134と、を備える。導波部材130は、折り返すことなく、外周に沿って連続的に配置されている。このように導波部材130が折り返すことがないため、内側部132と外側部136とが重なりあって、互いに対向するように配置されることがない。
【0048】
内側部132は、側壁102に沿うように取り付けられた側壁部132Aと、後部フラップ104に沿うように形成された後方上部132Bとを備える。側壁部132A及び後方上部132Bは、絶縁性材料からなるスペーサ137を介して容器本体110の後方の側壁102に取り付けられている。スペーサとしては、例えば、発泡PS、発泡PP、発泡ポリウレタン、発泡ポリエチレン、EVA架橋発泡体、PET樹脂発泡体、フェノールフォーム、シリコーンフォーム、ポリ塩化ビニルフォーム、ユリアフォーム、アクリルフォーム、ポリイミドフォーム、EPDMフォーム等の発泡プラスチック、プラスチックに中空ビーズ、エアロゲル、フュームドシリカ等を混練した複合プラスチック、ビニール製の気泡緩衝材、コルク、エアロゲル、繊維系断熱材などを用いることができる。
【0049】
連結部134は、前部フラップ103と後部フラップ104との間の隙間を通じて容器本体110の内部空間から外部へと延びている。なお、金属箔は非常に薄いため、容器本体110の前部フラップ103と後部フラップ104との間を容易に通過させることができる。
【0050】
外側部136は、容器本体110を閉鎖した状態で、接着剤139を介して前部フラップ103の上面に接着されている。接着剤139は、絶縁性能はなくてもよいが、断熱性を有する材料が好ましい。このような接着剤139としては、特に限定されず、金属箔と第二遮熱層100Bとに対して十分な接着性を有していればよい。
【0051】
外側部136の上面は保護シール140により外部に露出する全面が覆われている。保護シール140としては、断熱性を有する材料が好ましい。このような保護シール140としては、例えば、スペーサと同様の材料を用いることができる。
【0052】
本実施形態では、導波部材130により、容器本体110の内側と外側との間で高周波の伝搬を可能にする導波構造体160が形成される。
【0053】
保温容器100内に温度管理の対象となる食品や薬剤などの物品を収容して閉鎖する際には以下のようにすればよい。なお、容器本体110の底部は、予め、内フラップ及び外フラップを折り曲げ、テープなどにより隙間を塞ぐことにより形成されている。
まず、容器本体110に導波部材130がスペーサ137を介して取り付け、導波部材130には無線ICタグ120を取り付ける。なお、無線ICタグ120が取り付けられた状態の導波部材130を容器本体110に取り付けてもよい。
【0054】
次に、容器本体110の内部に温度管理の対象となる食品や薬剤などの物品を収容する。
次に、
図2Bに示すように、側部フラップ105を内側に折り曲げる。
【0055】
次に、前部フラップ103を内側に折り曲げ、前部フラップ103の上面の一部に接着剤139を塗布する。また、外側部136が容器本体110の外部に位置するように、後部フラップ104を内側に折り曲げ、外側部136を接着剤139に付着させる。なお、先に前部フラップ103及び後部フラップ104を内側に折り曲げ、その後、外側部136を接着剤139により前部フラップ103に取り付けてもよい。
【0056】
次に、外側部136を覆うように、保護シール140を貼り付ける。
そして、必要に応じて、前部フラップ103と後部フラップ104との間や、前部フラップ103及び後部フラップ104と側壁102との間をテープなどにより塞ぐ。これにより、容器本体110が閉鎖状態となる。
【0057】
なお、容器本体110を開放する場合には、容器本体110を閉鎖する際の逆に行えばよいが、例えば、導波部材130に易裂加工をほどこしておけば、導波部材130を切って容易に開放することができる。
【0058】
本実施形態の保温容器100によれば、無線ICタグ120が導波部材130に電気的に結合されているため、導波部材130により電波を送信することが可能な導波構造体160が形成される。このため、中継端末20のリーダライタ部22から送信された高周波は、導波部材130により形成された導波構造体160を通じて、保温容器100の外部から内部に伝達され、無線ICタグ120のアンテナにより受信される。また、無線ICタグ120から送信された高周波は、導波部材130により形成された導波構造体160を通じて、保温容器100の内部から外部に伝達され、導波部材130から発信される。そして、導波部材130から発信された高周波は、中継端末20のリーダライタ部22により受信される。
【0059】
以上説明したように、本実施形態によれば以下の効果が奏される。
本実施形態によれば、導波部材130により容器本体110の内側と外側の間で高周波が伝搬されるため、保温容器100に2つ以上の遮熱層100A、100Bが設けられることにより保温容器100の内部と外部で電波の伝搬を妨げた場合であっても、容器本体110の内部に設けられた無線ICタグ120と、容器本体110の外部に設けられたリーダライタ部22との間で通信が可能になる。
【0060】
また、本実施形態によれば、導波部材130が、内側部132と、連結部134と、外側部136と、を備えているため、容器本体110に形成された隙間に導波部材130を設けるのみの簡単な構成で、容器本体110の内側と外側との間で高周波の伝搬が可能になる。
【0061】
また、本実施形態によれば、導波部材130が内側部132と外側部136とが重なりあうことがないため、内側部132と外側部136の間で静電容量が形成され、通信性能が低下するのを防止できる。
【0062】
また、本実施形態によれば、A型の段ボール箱にもともと存在する、前部フラップ103と後部フラップ104の間の隙間を利用して導波部材130を配置することができる。
【0063】
また、本実施形態によれば、導波部材130と無線ICタグ120とが電気的又は電磁界的に結合されているため、無線ICタグ120から送信された高周波が確実に導波部材130に伝達され、導波部材130を伝搬した高周波が確実に無線ICタグ120に伝達される。
【0064】
また、本実施形態によれば、導波部材130がシート状の電気伝導体である金属箔からなるため、非常に狭い空間を通じて導波部材130を配置することができる。
【0065】
また、本実施形態によれば、導波部材130が、スペーサ137を介して容器本体110の遮熱層100A上に取り付けられているため、無線ICタグ120に対して容器本体110の状態による通信への影響を軽減することができ、通信性能を安定させることができる。
【0066】
また、本実施形態によれば、無線ICタグ120が、温度センサを有するため、金属製の第一遮熱層100Aと第二遮熱層100Bを備えた容器本体110内の温度を無線ICタグ120で測定し、外部で管理することができる。
【0067】
また、本実施形態によれば、無線ICタグ120が、パッシブ型のタグであるため、容器本体110内が低温であっても、無線ICタグ120の性能が低下するのを防止できる。
【0068】
<第2実施形態>
以下、本発明による保温容器の第2実施形態について説明する。なお、本実施形態の保温容器も第1実施形態のように管理システムに用いられるものである。また、第1実施形態と同様の構成については同じ符号を付して詳細な説明を省略する。
【0069】
図4A及び
図4Bは、本発明の第2実施形態による保温容器を示す斜視図であり、
図4Aは、前部フラップ及び後部フラップを開放した状態であり、
図4Bは前部フラップ及び後部フラップを閉鎖した状態である。また、
図5は、
図4BにおけるA-A断面図である。本実施形態では、保温容器200を構成する容器本体210が側部フラップを備えておらず、また、無線ICタグは、後部フラップ204に取り付けられている点で第1実施形態と異なっている。
【0070】
図4A、
図4B及び
図5に示すように、保温容器200は、容器本体210と、無線通信デバイスとしての無線ICタグ120と、導波部材230と、を備える。
容器本体210は、組み立てた状態で直方体状になる段ボール箱に類する容器からなる。容器本体210は、矩形状に形成された底部201と、底部201の周縁から筒状に立設された側壁202と、側壁202の前面の上端から延びる前部フラップ203と、側壁202の後面の上端から延びる後部フラップ204と、を備える。
【0071】
底部201は、詳細は図示しないが、側壁202から下方に延びる外フラップ及び内フラップが折りたたまれて構成されている。
【0072】
側壁202は、前方及び後方の横方向長さが側方の横方向幅よりも長いような上面視矩形状の筒状に形成されている。側壁202の前部及び後部の上縁には、それぞれ前部フラップ203及び後部フラップ204が接続されており、側壁202の下縁には内フラップ及び外フラップが接続されている。
【0073】
前部フラップ203及び後部フラップ204の長さは、容器本体210の奥行の略半分となっている。前部フラップ203及び後部フラップ204は、保温容器200を開放した状態では上方又は外方に向かうように折り曲げられている。また、前部フラップ203及び後部フラップ204を側壁202に対して内側に向かって折り曲げることにより、これら前部フラップ203及び後部フラップ204が保温容器200の天板(蓋)を構成する。
【0074】
図5に示すように、容器本体210の壁面は、熱反射性の高い金属からなりそれぞれ電気的に独立した第一遮熱層200A及び第二遮熱層200Bと、断熱層200Cとにより構成され、容器本体210の内表面には、第1実施形態と同様に第一遮熱層200Aが形成されている。
無線ICタグ120は、第1実施形態と同様に金属対応無線ICタグからなり、容器本体210の後部フラップ204の内面に取り付けられた導波部材230の表面に、導波部材230と電気的又は電磁界的に結合されるように取り付けられている。
【0075】
導波部材230は、容器本体210を組み立てた状態で容器本体210の内側に位置する内側部232と、容器本体210の外側に位置する外側部236と、内側部232と外側部236とを接続する連結部234と、を備える。本実施形態においても導波部材230は折り返されていない。
【0076】
内側部232は、後部フラップ204に絶縁材料からなるスペーサ137を介して取り付けられている。連結部234は、前部フラップ203と後部フラップ204との間の隙間を通じて容器本体210の内部空間から外部へと延びている。なお、金属箔からなる導波部材230は非常に薄いため、容器本体210の前部フラップ203と後部フラップ204との間を容易に通過させることができる。外側部236は、容器本体210を閉鎖した状態で、接着剤139を介して前部フラップ203の上面に接着されている。外側部236の上面は保護シール140により外部に露出する全面が覆われている。
【0077】
本実施形態では、導波部材230により、容器本体210の内側と外側との間で高周波の伝搬を可能にする導波構造体260が形成される。
【0078】
保温容器200内に温度管理の対象となる食品や薬剤などの物品を収容して閉鎖する(保温容器を組み立てる)際には以下のようにすればよい。なお、容器本体210の底部は、予め、内フラップ及び外フラップを折り曲げ、テープなどにより隙間を塞ぐことにより形成されている。
【0079】
まず、容器本体210に、導波部材230をスペーサ137を介して取り付け、導波部材230に無線ICタグ120を取り付ける。なお、無線ICタグ120が取り付けられた状態の導波部材230を容器本体210に取り付けてもよい。
【0080】
次に、容器本体210の内部に温度管理の対象となる食品や薬剤などの物品を収容する。
次に、
図4Bに示すように、前部フラップ203を内側に折り曲げ、前部フラップ203の上面の一部に接着剤139を塗布する。また、外側部236が容器本体210の外部に位置するように、後部フラップ204を内側に折り曲げ、外側部236を接着剤139に付着させる。なお、先に前部フラップ203及び後部フラップ204を内側に折り曲げ、その後、外側部236を接着剤139により前部フラップ203に取り付けてもよい。
【0081】
次に、外側部236を覆うように、保護シール140を貼り付ける。
そして、必要に応じて、前部フラップ203と後部フラップ204との間や、前部フラップ203及び後部フラップ204と側壁202との間をテープなどにより塞ぐ。これにより、容器本体210が閉鎖状態となる。
【0082】
なお、容器本体210を開放する場合には、容器本体210を閉鎖する際の逆に行えばよいが、例えば、導波部材230に易裂加工をほどこしておけば、導波部材230を切って容易に開放することができる。
【0083】
本実施形態の保温容器200によれば、無線ICタグ120が導波部材230に電気的又は電磁界的に接続されているため、導波部材230により高周波を伝搬することが可能な導波構造体260が形成される。このため、中継端末20のリーダライタ部22から送信された高周波は、導波部材230により形成された導波構造体260を通じて、保温容器200の外部から内部に伝達され、無線ICタグ120のアンテナにより受信される。また、無線ICタグ120から送信された高周波は、導波部材230により形成された導波構造体260を通じて、保温容器200の内部から外部に伝達され、導波部材230から発信される。そして、導波部材230から発信された高周波は、中継端末20のリーダライタ部22により受信される。
【0084】
本実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果が奏される。
【0085】
<第3実施形態>
以下、本発明による保温容器の第3実施形態について説明する。なお、本実施形態の保温容器も第1実施形態のように管理システムに用いられるものである。また、第1実施形態と同様の構成については同じ符号を付して詳細な説明を省略する。
【0086】
図6A及び
図6Bは、本発明の第3実施形態による保温容器を示す斜視図であり、
図6Aは、蓋フラップ及び側部フラップを開放した状態であり、
図6Bは蓋フラップ及び側部フラップを閉鎖した状態である。また、
図7は、
図6BにおけるA-A断面図である。本実施形態では、保温容器300を構成する容器本体310が前部フラップを備えておらず、後部フラップに代えて蓋フラップを備えており、また、無線ICタグは、側壁302の前方の内面に取り付けられている点で第1実施形態と異なっている。
【0087】
図6A、
図6B及び
図7に示すように、保温容器300は、容器本体310と、無線通信デバイスとしての無線ICタグ120と、導波部材330と、を備える。
容器本体310は、通称B式段ボール箱又はN式段ボール箱などと呼ばれる組み立てた状態で直方体状になる容器からなる。容器本体310は、矩形状に形成された底部301と、底部301の周縁から筒状に立設された側壁302と、側壁302の側壁の両側の上端から延びる側部フラップ305と、側壁302の後面の上端から延びる後部フラップ(蓋部)304と、を備える。
【0088】
底部301は、詳細は図示しないが、側壁302から下方に延びる外フラップ及び内フラップが折りたたまれて構成されている。
【0089】
側壁302は、前方及び後方の横方向長さが側方の横方向幅よりも長いような上面視矩形状の筒状に形成されている。側壁302の後部の上縁には、後部フラップ304が接続されており、側壁302の下縁には内フラップ及び外フラップが接続されている。
【0090】
後部フラップ304の長さは、容器本体310の奥行の長さと略等しくなっている。また、後部フラップ304の先端縁には差込部304Aが接続されている。後部フラップ304及び側部フラップ305は、保温容器300を開放した状態では上方又は外方に向かうように折り曲げられている。また、側部フラップ305を側壁302に対して内側に向かって折り曲げ、後部フラップ304を側壁302に対して内側に向かって折り曲げ、差込部304Aを側壁302の内側に差し込むことにより、後部フラップ304が保温容器300の天板(蓋)を構成する。
【0091】
図7に示すように、容器本体310の壁面は、熱反射性の高い金属からなりそれぞれ電気的に独立した第一遮熱層300A及び第二遮熱層300Bと、断熱層300Cとにより構成され、容器本体310の内表面には、第1実施形態と同様に第一遮熱層300Aが形成されている。
無線ICタグ120は、第1実施形態と同様に金属対応無線ICタグからなり、容器本体310の側壁302の前方部分の内面に取り付けられた導波部材330の表面に、導波部材330と電気的又は電磁界的に結合されるように取り付けられている。
【0092】
導波部材330は、容器本体310を組み立てた状態で容器本体310の内側に位置する内側部332と、容器本体310の外側に位置する外側部336と、内側部332と外側部336とを接続する連結部334と、を備える。本実施形態においても導波部材330は折り返されていない。
【0093】
内側部332は、後部フラップ304に絶縁材料からなるスペーサ137を介して取り付けられている。連結部334は、組み立て状態において、後部フラップ304及び差込部304Aと側壁302の間の隙間を通じて容器本体310の内部空間から外部へと延びている。なお、金属箔からなる導波部材330は非常に薄いため、容器本体310の後部フラップ304及び差込部304Aと側壁302の間を容易に通過させることができる。外側部336は、容器本体310を閉鎖した状態で、接着剤139を介して後部フラップ304の上面に接着されている。外側部336の上面は保護シール140により外部に露出する全面が覆われている。
【0094】
本実施形態では、導波部材330により、容器本体310の内側と外側との間で高周波の伝搬を可能にする導波構造体360が形成される。
【0095】
保温容器300内に温度管理の対象となる食品や薬剤などの物品を収容して閉鎖する際には以下のようにすればよい。なお、容器本体310の底部は、内フラップ及び外フラップを折り曲げ、テープなどにより隙間を塞ぐことにより形成されている。
【0096】
まず、容器本体310には、導波部材330をスペーサ137を介して取り付け、導波部材330に無線ICタグ120を取り付ける。なお、無線ICタグ120が取り付けられた状態の導波部材330を容器本体310に取り付けてもよい。
【0097】
次に、容器本体310の内部に温度管理の対象となる食品や薬剤などの物品を収容する。
次に、側部フラップ305を内側に折り曲げる。
【0098】
次に、外側部336が容器本体310の外部に位置するように、後部フラップ304を内側に折り曲げ、後部フラップ304の上面の一部に接着剤139を塗布する。そして、外側部336を接着剤139に付着させる。
【0099】
次に、外側部336を覆うように、保護シール140を貼り付ける。
そして、必要に応じて、後部フラップ304と側壁302との間をテープなどにより塞ぐ。これにより、容器本体310が閉鎖状態となる。
【0100】
なお、容器本体310を開放する場合には、容器本体310を閉鎖する際の逆に行えばよいが、例えば、導波部材330に易裂加工をほどこしておけば、導波部材330を切って容易に開放することができる。
【0101】
本実施形態の保温容器300によれば、無線ICタグ120が導波部材330に電気的又は電磁界的に結合されているため、導波部材330により電波を送信することが可能な導波構造体360が形成される。このため、中継端末20のリーダライタ部22から送信された高周波は、導波部材330により形成された導波構造体360を通じて、保温容器300の外部から内部に伝達され、無線ICタグ120のアンテナにより受信される。また、無線ICタグ120から送信された高周波は、導波部材330により形成された導波構造体360を通じて、保温容器300の内部から外部に伝達され、導波部材330から発信される。そして、導波部材330から発信された高周波は、中継端末20のリーダライタ部22により受信される。
【0102】
本実施形態によれば、第1実施形態の効果に加えて以下の効果が奏される。
本実施形態では、導波部材330の連結部334が容器本体310の側壁302と後部フラップ304との間を通るため、一般的な容器にもともと存在する隙間を通じて導波部材330を配置することができる。
【0103】
<第4実施形態>
以下、本発明による保温容器の第4実施形態について説明する。なお、本実施形態の保温容器も第1実施形態のように管理システムに用いられるものである。また、第1実施形態と同様の構成については同じ符号を付して詳細な説明を省略する。
【0104】
図8A及び
図8Bは、本発明の第4実施形態による保温容器を示す斜視図であり、
図8Aは、蓋部を取り外して容器本体を開放した状態であり、
図8Bは蓋部を取り付けて容器本体を閉鎖した状態である。また、
図9は、
図8BにおけるA-A断面図である。本実施形態では、保温容器400は、容器本体410と、無線通信デバイスとしての無線ICタグ120と、導波部材430と、を備え、保温容器400を構成する容器本体410が容器基部420と、蓋部440とにより構成されている。
【0105】
容器基部420及び蓋部440は、例えば、発泡スチロールからなる。
容器基部420は、矩形状に形成された底部401と、底部401の周縁から筒状に立設された側壁402と、を備える。
【0106】
蓋部440は、天板442と、差込部444とを含む。天板442は、底部401と同形状の板状に形成されている。差込部444は、天板442の下面に取り付けられた直方体状の部位からなり、その外形が容器基部420の側壁402の内周の形状と略等しくなっている。
【0107】
図9に示すように、容器基部420の壁面は、熱反射性の高い金属からなりそれぞれ電気的に独立した第一遮熱層400A及び第二遮熱層400Bと、発泡スチロールからなる断熱層400Cとにより構成され、容器基部420の内表面には第一遮熱層400Aが形成されている。第一遮熱層400A及び第二遮熱層400Bは、容器基部420の断熱層400Cに、例えば、アルミを蒸着させたり、アルミ蒸着フィルムを貼り付けたりすることにより形成されている。このようなアルミ蒸着は、また、本実施形態では、容器基部420のみに遮熱層が形成されているが、蓋部440の内表面、内部または外表面などにも形成してもよい。なお、蓋部440の内表面にアルミを蒸着させる場合には、導波部材430と遮熱層との間に絶縁部材を配置することが好ましい。
【0108】
無線ICタグ120は金属対応無線ICタグからなり、容器基部420の側壁402の一面の上部に取り付けられた導波部材430の表面に、導波部材430と電気的又は電磁界的に結合されるように取り付けられている。
【0109】
導波部材430は、容器本体410を組み立てた状態で容器本体410の内側に位置する内側部432と、容器本体410の外側に位置する外側部436と、内側部432と外側部436とを接続する連結部434と、を備える。
【0110】
内側部432は、絶縁性材料からなるスペーサ137を介して容器基部420の一方の側壁402に取り付けられている。
【0111】
連結部434は、組み立て状態において、容器基部420の側壁402の上部と蓋部440の差込部444の側部との間の隙間、及び、容器基部420の側壁402の上縁部と蓋部440の天板442との間の隙間を通じて、容器本体410の内部空間から外部へと延びている。なお、金属箔からなる導波部材430は非常に薄いため、容器基部420と蓋部440の間を容易に通過させることができる。
【0112】
外側部436は、容器本体410を閉鎖した状態で、接着剤139を介して蓋部440の天板442の上面及び側面に折り曲げられた状態で接着されている。外側部436の上面及び側面は保護シール140により外部に露出する全面が覆われている。
本実施形態においても導波部材430は折り返されていない。
【0113】
本実施形態では、導波部材430により、容器本体410の内側と外側との間で高周波の伝搬を可能にする導波構造体460が形成される。
【0114】
保温容器400内に温度管理の対象となる食品や薬剤などの物品を収容して閉鎖する際には以下のようにすればよい。
【0115】
まず、容器本体410の容器基部420に、導波部材430をスペーサ137を介して取り付け、導波部材430に無線ICタグ120を取り付けられる。なお、無線ICタグ120が取り付けられた状態の導波部材430を容器基部420に取り付けてもよい。
次に、容器基部420の内部に温度管理の対象となる食品や薬剤などの物品を収容する。
【0116】
次に、
図8Bに示すように、導波部材430の外側部436を外方に向けた状態で、蓋部440を差込部444が、容器基部420の側壁402内に挿入されるように、蓋部440を容器基部420に取り付ける。
【0117】
次に、外側部436において蓋部440の天板442の側面及び上面の一部と接触する部分に両面テープのような接着剤139を貼り付ける。そして、蓋部440の天板442の側面及び上面の一部を接着剤139に付着させる。
次に、外側部436を覆うように、保護シール140を貼り付ける。
これにより、容器本体410が閉鎖状態となる。
【0118】
なお、容器本体410を開放する場合には、容器本体410を閉鎖する際の逆に行えばよいが、例えば、導波部材430に易裂加工をほどこしておけば、導波部材430を切って容易に開放することができる。
【0119】
本実施形態の保温容器400によれば、無線ICタグ120が導波部材430に電気的に接続されているため、導波部材430により電波を伝搬することが可能な導波構造体460が形成される。このため、中継端末20のリーダライタ部22から送信された高周波は、導波部材430により形成された導波構造体460を通じて、保温容器400の外部から内部に伝達され、無線ICタグ120のアンテナにより受信される。また、無線ICタグ120から送信された高周波は、導波部材430により形成された導波構造体460を通じて、保温容器400の内部から外部に伝達され、導波部材430から発信される。そして、導波部材430から発信された高周波は、中継端末20のリーダライタ部22により受信される。
【0120】
本実施形態によれば、第4実施形態と同様の効果が奏される。
【0121】
<第5実施形態>
以下、本発明による保温容器の第5実施形態について説明する。なお、本実施形態の保温容器も第1実施形態のように管理システムに用いられるものである。また、第1実施形態と同様の構成については同じ符号を付して詳細な説明を省略する。
【0122】
図10A~
図10Cは、本発明の第5実施形態による保温容器を示す斜視図であり、
図10Aは、前部フラップ、後部フラップ、及び、側部フラップを開放した状態であり、
図10Bは前部フラップ及び後部フラップを開放し、側部フラップを閉鎖した状態であり、
図10Cは、前部フラップ、後部フラップ、及び、側部フラップを閉鎖した状態である。また、
図11は、
図10CにおけるA-A断面図であり、
図12は、
図10CにおけるB-B断面図である。
【0123】
本実施形態では、容器本体は第1実施形態と同様のA式段ボール箱形式の容器である。
【0124】
図10A~
図10C、
図11及び
図12に示すように、保温容器600は、容器本体610と、無線通信デバイスとしての無線ICタグ120と、導波部材630と、を備える。
容器本体610は、通称A式段ボール箱などと呼ばれる組み立てた状態で直方体状になる容器からなる。容器本体610は、矩形状に形成された底部601と、底部601の周縁から筒状に立設された側壁602と、側壁602の前面の上端から延びる前部フラップ603と、側壁602の後面の上端から延びる後部フラップ604と、側壁の側面の上端から延びる一対の側部フラップ605と、を備える。
【0125】
底部601は、詳細は図示しないが、側壁602から下方に延びる外フラップ及び内フラップが折りたたまれて構成されている。
【0126】
側壁602は、前方及び後方の横方向長さが側方の横方向幅よりも長いような上面視矩形状の筒状に形成されている。側壁602の前部及び後部の下縁及び上縁には、それぞれ外フラップ(前部フラップ603及び後部フラップ604)が接続されており、側壁の側部の下縁及び上縁には、それぞれ、内フラップ(側部フラップ605)が接続されている。
【0127】
前部フラップ603及び後部フラップ604の長さは、容器本体610の奥行の略半分となっている。前部フラップ603、後部フラップ604及び側部フラップ605は、保温容器600を開放した状態では上方又は外方に向かうように折り曲げられている。また、側部フラップ605を内側に向かって折り曲げ、次に、前部フラップ603及び後部フラップ604を側部フラップ605の上方に位置するように、側壁602に対して内側に向かって折り曲げることにより、これら前部フラップ603、後部フラップ604及び側部フラップ605が保温容器600の天板(蓋)を構成する。
【0128】
図11及び
図12に示すように、容器本体610の壁面は、第一遮熱層600A、第二遮熱層600B及び断熱層600Cにより構成され、容器本体610の内表面には熱反射性の高い金属からなる第一遮熱層600Aが形成されている。また、容器本体610の外表面には熱反射性の高い金属からなる第二遮熱層600Bが形成されている。第一遮熱層600A、第二遮熱層600Bは、容器本体610の内面及び外面に、例えば、アルミを蒸着させたり、アルミ蒸着フィルムを貼り付けたりすることにより形成されている。このようなアルミ蒸着は、容器本体610を構成する段ボール箱を組み立てる前の展開された状態で両面に行えばよい。
【0129】
無線ICタグ120は金属対応無線ICタグからなり、容器本体610の側壁602の後方面の表面に取り付けられた導波部材630の表面に、導波部材630と電気的又は電磁界的に結合されるように取り付けられている。
【0130】
導波部材630は、容器本体610を組み立てた状態で容器本体610の内側に位置する内側部632と、側部フラップ605と電気的に接続された接続部634と、を備える。
【0131】
内側部632は、絶縁性材料からなるスペーサ137を介して容器本体610の後方の側壁602の一側に取り付けられている。
【0132】
接続部634は、側部フラップ605が折り曲げられた状態で、側部フラップ605の外面に、第二遮熱層600Bと電気的又は電磁界的に結合されるように、接着剤237を介して接続されている。なお、接続部634は、側部フラップ605の外面側の第二遮熱層600Bに直接取り付けられていてもよいし、第二遮熱層600Bにスペーサを介して接続し第二遮熱層600Bと電磁界的に結合させてもよい。
本実施形態においても導波部材630は折り返されていない。
【0133】
本実施形態では、導波部材630と、側部フラップ605及び側壁602の第二遮熱層600Bにより、容器本体610の内側と外側との間で高周波の伝搬を可能にする導波構造体660が形成される。
【0134】
保温容器600内に温度管理の対象となる食品や薬剤などの物品を収容して閉鎖する際には以下のようにすればよい。なお、容器本体610の底部は、内フラップ及び外フラップを折り曲げ、テープなどにより隙間を塞ぐことにより形成されている。
【0135】
まず、容器本体610に、導波部材630がスペーサ137を介して取り付け、導波部材630に無線ICタグ120を取り付ける。なお、無線ICタグ120が取り付けられた状態の導波部材630を容器本体610に取り付けてもよい。
次に、容器本体610の内部に温度管理の対象となる食品や薬剤などの物品を収容する。
【0136】
次に、
図10Bに示すように、導波部材630の接続部634が外部に位置するように側部フラップ605を内側に折り曲げる。そして側部フラップ605の外面に接着剤237を塗布し、接続部634を側部フラップ605の外面に取り付ける。
【0137】
次に、前部フラップ603及び後部フラップ604を内側に折り曲げる。
そして、必要に応じて、前部フラップ603と後部フラップ604との間や、前部フラップ603及び後部フラップ604と側壁602との間をテープなどにより塞ぐ。これにより、容器本体610が閉鎖状態となる。
【0138】
なお、容器本体610を開放する場合には、容器本体610を閉鎖する際の逆に行えばよいが、例えば、導波部材630に易裂加工をほどこしておけば、導波部材630を切って容易に開放することができる。
【0139】
図13は、本発明の第5実施形態による保温容器において、無線ICタグから放射された高周波が保温容器の外部まで伝搬される流れを示す図である。
本実施形態の保温容器600によれば、無線ICタグ120が導波部材630に電気的又は電磁界的に接続されているため、無線ICタグ120から送信された高周波は導波部材630に沿って内側部632から接続部634に向かって伝搬される。さらに、導波部材630の接続部634が側部フラップ605の第二遮熱層600Bに電気的又は電磁界的に接続されているため、接続部634まで到達した高周波は、側部フラップ605の第二遮熱層600Bに伝搬され、この部分から側壁602の外面の部分まで伝達される。そして、高周波は側部フラップ605の外方の第二遮熱層600Bから放射され、リーダライタ部まで伝達される。
【0140】
また、リーダライタ部から送信された高周波は、側部フラップ605の外方の第二遮熱層600Bから第二遮熱層600Bを伝搬し、導波部材630の接続部634に伝達される。そして、高周波は導波部材630内を伝搬し、導波部材630の内側部632から無線ICタグ120のアンテナに放射される。
【0141】
このように、本実施形態では、導波部材630と、容器本体610の側壁602の外面に形成された第二遮熱層(壁面部)600Bと、容器本体610の側部フラップ605の第二遮熱層(延長部)600Bとにより、保温容器600の内側と外側との間で高周波の伝搬を可能にする導波構造体660が形成され、この導波構造体650を通じてリーダライタ部と無線ICタグ120との間で高周波を通信することが可能になる。
【0142】
本実施形態によれば、第1実施形態で奏される効果に加えて以下の効果が奏される。
本実施形態では、容器本体610が、側壁602の外面に形成された壁面部と、内フラップ605の外面に形成されて容器本体610の内部まで伸びる延長部とを含む第二遮熱層600Bを含み、導波部材630が延長部と電気的又は電磁界的に結合されている。このため、本実施形態によれば、導波部材630により、容器本体610の外面の熱反射のために形成された第二遮熱層600Bを利用して、容器本体610の内側と外側との間で高周波を伝搬する導波構造体660を形成することができる。
【0143】
なお、上記の第1~第5実施形態では、容器本体110、210、310、410、610の表面に金属箔からなる遮熱層が形成されていたため、導波部材130、230、330、430、630を容器本体110、210、310、410、610の内部の内面に取り付ける際にスペーサ137を介して取り付けていた。これに対して、遮熱層が容器本体の表面に形成されていない場合にはスペーサが不要となる。
図14は、遮熱層が側壁内部に設けられた容器本体における導波部材の取り付け方法を説明するための保温容器の断面図である。
図14に示す構成では、保温容器100の壁面は、第一遮熱層100A、第二遮熱層100B、断熱層100C、外部断熱層100D、及び内部断熱層100Eにより構成され、中間に備えられる断熱層100Cの内面は第一遮熱層100Aにより覆われており、第一遮熱層100Aの内面は絶縁性を有する内部断熱層100Eにより覆われている。また、断熱層100Cの外面は第二遮熱層100Bにより覆われており、第二遮熱層100Bの外面は、外部断熱層100Dにより覆われている。このように、容器本体110の側壁102内に第一遮熱層100A及び第二遮熱層100Bが設けられており、第一遮熱層100Aの表面が内部断熱層100Eにより覆われている場合には、導波部材130を直接側壁102の内側面に接着剤141を介して導波部材130を取り付け、この導波部材130に無線ICタグ120を取り付ければよい。このような構成であっても、導波部材130と第一遮熱層100Aとが側壁102を構成する断熱材料等により絶縁される。
【符号の説明】
【0144】
1 :管理システム
10 :管理端末
12 :制御部
14 :アンテナ
16 :表示部
18 :警報部
20 :中継端末
22 :リーダライタ部
24 :アンテナ
26 :制御部
40 :トラック
42 :貨物室
43 :搭乗室
44 :空調装置
100 :保温容器
100A :第一遮熱層
100B :第二遮熱層
100C :断熱層
100D :外部断熱層
100E :内部断熱層
101 :底部
102 :側壁
103 :前部フラップ
104 :後部フラップ
105 :側部フラップ
110 :容器本体
120 :無線ICタグ
122 :ICチップ
124 :基板本体
130 :導波部材
132 :内側部
132A :側壁部
132B :後方上部
134 :連結部
136 :外側部
137 :スペーサ
139 :接着剤
140 :保護シール
141 :接着剤
160 :導波構造体
200 :保温容器
200A :第一遮熱層
200B :第二遮熱層
200C :断熱層
201 :底部
202 :側壁
203 :前部フラップ
204 :後部フラップ
210 :容器本体
230 :導波部材
232 :内側部
234 :連結部
236 :外側部
237 :接着剤
260 :導波構造体
300 :保温容器
300A :第一遮熱層
300B :第二遮熱層
300C :断熱層
301 :底部
302 :側壁
304 :後部フラップ
304A :差込部
305 :側部フラップ
310 :容器本体
330 :導波部材
332 :内側部
334 :連結部
336 :外側部
360 :導波構造体
400 :保温容器
400A :第一遮熱層
400B :第二遮熱層
400C :断熱層
401 :底部
402 :側壁
410 :容器本体
420 :容器基部
430 :導波部材
432 :内側部
434 :連結部
436 :外側部
440 :蓋部
442 :天板
444 :差込部
460 :導波構造体
600 :保温容器
600A :第一遮熱層
600B :第二遮熱層
600C :断熱層
601 :底部
602 :側壁
603 :前部フラップ
604 :後部フラップ
605 :側部フラップ
610 :容器本体
630 :導波部材
632 :内側部
634 :接続部
660 :導波構造体
A :通称
B :通称
N :通称