(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022136509
(43)【公開日】2022-09-21
(54)【発明の名称】包装用容器
(51)【国際特許分類】
B65D 21/032 20060101AFI20220913BHJP
【FI】
B65D21/032
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021036151
(22)【出願日】2021-03-08
(71)【出願人】
【識別番号】390000387
【氏名又は名称】福助工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106024
【弁理士】
【氏名又は名称】稗苗 秀三
(74)【代理人】
【識別番号】100167841
【弁理士】
【氏名又は名称】小羽根 孝康
(74)【代理人】
【識別番号】100168376
【弁理士】
【氏名又は名称】藤原 清隆
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 泰人
【テーマコード(参考)】
3E006
【Fターム(参考)】
3E006AA02
3E006BA01
3E006CA02
3E006DA10
3E006DB10
(57)【要約】
【課題】食品の収容性を損なわずに、積み重ねたときの安定性を確保する。
【解決手段】包装用容器は、天板3と側壁4とを備えた蓋体1と、この蓋体1が嵌め込まれる容器本体2とから構成され、蓋体1の上に容器本体2を積み重ね可能とされる。容器本体2は、底部10と、底部10の周縁に形成された周壁11と、周壁11の外側から下方に延びる袴部12とを備え、最も外側に位置する袴部12を脚として機能させる。底部10は底上げして、収納する食品を見やすいように周壁11の高さを抑える。周壁11には、その内側壁の一部を凹ませた複数の補強部25が間隔をおいて形成され、内側壁15を下方に凹ませた結果、補強部25が底部10よりも裏面側に突出して、突起26が形成される。突起26が、包装用容器を多段に積み重ねたときに、下段の容器の蓋体1の側壁4に当接して、積み重ねた容器の横ずれを防止する機能を発揮する。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
天板と側壁とを備えた蓋体と、この蓋体が嵌め込まれる容器本体とから構成され、蓋体の上に容器本体を積み重ね可能な包装用容器であって、
前記容器本体は、底部と、底部の周縁に形成された周壁と、周壁の外側から下方に延び容器本体の脚として機能する袴部とを備え、
前記底部が底上げされて前記周壁の高さが袴部の高さよりも低く抑えられ、
前記周壁には、その内側壁の一部を凹ませた複数の補強部が設けられ、補強部は、前記底部よりも裏面側に突出されて、包装用容器を多段に積み重ねたときに前記蓋体の側壁に当接する横ずれ防止用の突起とされたことを特徴とする包装用容器。
【請求項2】
前記補強部が、前記周壁に複数個間隔をおいて形成されていることを特徴とする請求項1記載の包装用容器。
【請求項3】
前記補強部が、周壁の内側壁から底部の周縁の一部にかけて凹んだ形状とされることを特徴とする請求項1または2記載の包装用容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品を収容する容器本体と蓋体とから構成され、蓋体に容器本体を積み重ね可能な包装用容器に関する。
【背景技術】
【0002】
寿司等の食品を収容する包装用容器は、蓋体と蓋体が嵌め込まれる容器本体とがそれぞれ剛性樹脂シートを熱成形して構成される。そして、蓋体を嵌め込んだ容器本体を積み重ねて、包装用容器を運搬したり陳列することができる。ここで、包装用容器を安定して積み重ねることができるように、蓋体の天板と容器本体の底部が横ずれしない構造になっている。特許文献1では、容器本体の四角形状の底部の各コーナー部に、下方に突出する脚が設けられ、容器本体を蓋体の上側に載せたとき、脚の内側面が蓋体のコーナー部に沿う形状とされる。特許文献2では、容器本体の底部の辺部から下方に突出した脚が設けられ、容器本体を蓋体の上に積み重ねたとき、脚が蓋体の側壁に当接する。上記のように、容器本体の底部に脚を設けることにより底部に凹みができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6713625号公報
【特許文献2】特開2018-131238号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年、食品を見えやすくするために底部を底上げする要望がある。底部を底上げすると、底部に形成する脚は底部から深く凹ませる必要があり、凹みが大きくなる。そのため、底部の平坦な部分の面積を減らして脚を形成しなければならない。その場合、脚を形成しない場合に比べて食品の収容量が少なくなってしまい、食品の収容性が損なわれる。脚を形成するための凹みが大きいと、例えば、ご飯粒等の食品の一部が落ち込んでしまい、見た目が悪く、商品価値が低下してしまう。
【0005】
本発明は、上記に鑑み、食品の収容性を損なわずに、積み重ねたときの安定性を確保できる包装用容器の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の包装用容器は、天板と側壁とを備えた蓋体と、この蓋体が嵌め込まれる容器本体とから構成され、蓋体の上に容器本体を積み重ね可能とされる。容器本体は、底部と、底部の周縁に形成された周壁と、周壁の外側から下方に延びる袴部とを備え、最も外側に位置する袴部を脚として機能させる。底部は底上げされ、収納する食品を見やすいように周壁の高さを抑える。比較の上では、周壁の高さを袴部の高さよりも低く抑える。周壁には、その内側壁の一部を凹ませた複数の補強部が間隔をおいて形成される。この補強部は、内側壁を下方に凹ませた結果、底部よりも裏面側に突出して突起となる。この突起が、包装用容器を多段に積み重ねたときに、下段の容器の蓋体の側壁に当接して、積み重ね容器の横ずれを防止する機能を発揮する。
【0007】
すなわち、本発明では、容器本体の外周部に位置する袴部を脚として機能させ、また収納する食品を見やすくするために、周壁を構成する内側壁と外側壁のうち、内側壁の傾斜を外側壁よりも緩やかにするとともに、内側壁の高さを外側壁の高さよりも高くして、外側壁の下端から急傾斜の袴部を形成する。これにより、底部が底上げされるとともに、周壁の高さは袴部の高さに比べて低くされる、言い換えれば収容された食品が容器本体からこぼれ落ちないように保持する機能を維持しながら、外部から容器内が見やすくなるように周壁の高さをできるだけ低くすることができる。
【0008】
また、周壁を利用して、その内側壁の一部を下方に凹ませた補強部を設け、補強部を底部よりも下方に突出させて突起を形成し、この突起により積み重ね容器の横ずれ防止機能を発揮させる。これにより、本発明では、横ずれ防止用突起の下方への突出量を抑え、積み重ね容器の安定性を確保することができると共に、底部に余分な凹みがなくなるため食品の収容性を損なうことなく、見栄えのよい包装用容器を提供することができる。
【0009】
容器本体および蓋体は、複数の辺部およびコーナー部を有する平面視多角形状に形成され、補強部は内側壁の辺部に配置される。これにより、弱い直線状の辺部を補強することができる。容器本体の底部の上面に、複数の滑り止め突起が形成される。これにより、容器を持ち運ぶときに寿司等の食品がずれて移動してしまうことを防げる。蓋体の側壁の各コーナー部に、補強用の縦溝が形成され、蓋体の側壁の辺部に、容器本体の内側壁および外側壁に当接する複数のリブが形成される。これにより、側壁のコーナー部および辺部を補強できるとともに、蓋体を容器本体にしっかりと嵌め込むことができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によると、補強部を容器本体の周壁に設けることにより、容器本体の底部の面積を減らさなくても、容器を積み重ねたときに容器の横ずれを防止できるとともに、食品の収容性を確保できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施形態に係る包装用容器を
図1~5に示す。包装用容器は、蓋体1と蓋体1が嵌め込まれる容器本体2とから構成され、
図6に示すように、蓋体1の上に容器本体2を積み重ねることができる。容器は、平面視多角形状、ここでは長方形あるいは正方形の四角形状とされ、寿司等の食品を収容するのに適している。
【0013】
蓋体1は、天板3と側壁4とを備え、内部が見えるように透明あるいは透光性の合成樹脂シートの熱成形品とされる。天板3は、平坦な四角形状に形成され、天板3の周縁から斜め下に向けて外向きに傾斜した側壁4が連続して形成されている。側壁4は、4つのコーナー部4aと直線状の4つの辺部4bを有する。側壁4の下部に、段々状に形成されたフランジ部5が設けられる。側壁4の上縁部6は少し外向きに盛り上がるように形成され、天板3の周縁が凹みにくくなるように補強されている。
【0014】
容器本体2は、底部10と、底部10の周縁に設けられた周壁11と、周壁11の外側から下方に延びる袴部12とを備え、有色の合成樹脂シートの熱成形品とされる。底部10は、平坦な四角形状に形成され、底部10の周縁に四角枠状の周壁11が連続して形成されている。袴部12は底部10よりも下方に伸びているので、底部10は通常よりも底上げされ、しかも周壁11の高さが袴部12の高さよりも低く抑えられている。底部10の上面には、複数の滑り止め突起13が上方に突出するように形成されている。また、底部10の上面に、1本あるいは複数本の直線リブ14が上方に突出するように形成され、上面が複数に区画されている。これらの区画に、滑り止め突起13が規則正しく配列されている。なお、底部10の周縁には、滑り止め突起13が形成されていない。これらの滑り止め突起13により、寿司を入れた容器を持ち運ぶとき、寿司が滑りにくくなり、寿司が偏ってしまうことを防げる。また、底部10が補強されて、撓みにくくなる。
【0015】
周壁11は、底部10の周縁から立ち上がる内側壁15と、その頂部にある水平な上縁壁16と、外側に位置する外側壁17とから構成され、逆U字状に形成されている。外側壁17は垂直に近い急傾斜とされ、内側壁15は外側壁17よりも緩やかな傾斜とされ、内側壁15の高さは外側壁17の高さよりも高くされる。外側壁17の下端には、外側に向かってほぼ水平に拡がる平坦部18が形成されている。また、外側壁17の上部には、少し外方向に突出する凸部17aが全周にわたって形成されている。この凸部17aにより、周壁11の剛性を確保すると共に、蓋体1のフランジ部5が周壁11に嵌合されるときの抜け止め機能を発揮している。
【0016】
この抜け止めのために、蓋体1の側壁4に段部20が設けられる。段部20は、側壁4の各辺部4bの中央に位置し、側壁4の一部が内向きに凹んだ形状とされ、段部20の下部が側壁4に対して段となる。段部20の下端に、容器本体2の周壁11の内側壁15に当接する下リブ21が形成され、下リブ21はフランジ部5の上段の水平部分よりも下方に突出している。フランジ部5の外側縦壁には、周壁11の外側壁17の凸部17aに係合する横リブ22が形成される。この横リブ22は、フランジ部5に間隔をおいて複数個設けられ、内方向に突出している。
【0017】
蓋体1が容器本体2に嵌め込まれたとき、段部20の下部が容器本体2の内側壁15よりも内側に入り込み、下リブ21が内側壁15に当接する。また、横リブ22が外側壁17の凸部17aを乗り越えて外側壁17に当接する。横リブ22と下リブ21によって、容器本体2の周壁11が挟み込まれ、蓋体1のフランジ部5が容器本体2の周壁11に密接し、蓋体1が容器本体2に嵌まり込む。これにより、蓋体1がガタガタしないように蓋体1を確実に固定することができるとともに、容器の密閉性を高めることができる。
【0018】
側壁4の各コーナー部4bに、補強用の縦溝23が複数形成されている。3つの縦溝23が並んで配置され、センターの縦溝23はコーナー部4bの真ん中に位置し、この縦溝23を挟んで両側にサイドの縦溝23がそれぞれ位置する。センターの縦溝23は天板3からフランジ部5に達するように形成され、サイドの縦溝23は側壁4の上部からフランジ部5に達するように形成される。これらの縦溝23によって、側壁4のコーナー部4aに2つの縦リブ24が設けられた構造となり、蓋体1の剛性が高まり、蓋体1は変形しにくくなる。
【0019】
袴部12は、周壁11の平坦部18の外端から斜め下方に袴状に延びるように形成され、容器本体2の脚として機能する。袴部12は、4つのコーナー部12aと直線状の4つの辺部12bとを有し、側面視で急傾斜な台形状の箱形に形成されている。袴部12は、容器本体2の最も外側に位置し、かつ斜め下方に延びる箱形形状であるため、容器本体2の脚としての剛性を十分確保している。なお、本実施形態では、辺部12bが平板状に形成されているが、変形例として、辺部12bを内外方向に凹凸形状に形成することで、さらに剛性を上げる態様も可能である。
【0020】
そして、底部10は袴部12の上端、すなわち平坦部18よりも低い位置に設定され、周壁11の上端、すなわち上縁壁16が袴部12の上端よりも高い位置に設定される。なお、底部10から周壁11の上縁壁16までの高さは、袴部12の高さよりも低くされ、周壁11の高さが袴部12の高さよりも低く抑えられる。これにより、底部10を底上げして、周壁11を低く形成することができるので、収納する食品を見やすくすることができる。なおかつ、周壁11の内側壁15は緩やかな傾斜面とされるので、斜め上から容器内を見たとき、死角が少なくなり、底部10の周縁近くまで見通すことができる。
【0021】
周壁11の内側壁15は、底部10の周縁から斜め上方に拡がるように階段状に形成されて周壁11の剛性を確保している。さらに、周壁11には、その内側壁15の一部を凹ませた補強部25が設けられる。この補強部25は内側壁15の各辺部11bに1つあるいは2つ間隔をおいて設けられ、周壁11が変形しないように補強される。補強部25は、内側壁15から底部10の周縁の一部にかけて凹んだ形状とされ、補強部25の下部は底部10よりも下方に突出して突起26を形成している。各辺部11bの補強部25および突起26は互いに対向するように配置される。蓋体1の天板3は対向する突起26の間隔よりも少し小さく形成され、突起26が、積み重ねられた下段の容器の蓋体1の側壁4の辺部4bに対向する。そして、突起26は底部10の周縁において浅く狭い凹みになっている。
【0022】
このような突起26を有する補強部25の構造により、底部10での食品の収容スペースを損なうことがなく、しかもご飯粒等の食品の一部が落ち込みにくい。しかも、底部10では、滑り止め突起13や直線リブ14が上方へ突出しているので、補強部25の突起以外は下方に突出する部位はなく、底部10の裏面は平坦になっている。したがって、多段に容器を積み重ねる場合、蓋体1の天板3が底部10の裏面と面接触する態様となりやすい。
【0023】
図7に示すように、容器を積み重ねたとき、蓋体1が各突起26の間に嵌まり、蓋体1の側壁4の上縁部6は突起26の下部の内側面26aに当接し、下段の蓋体1の天板3が上段の容器本体2の底部10の下面に密接する。これによって、上段の容器はしっかり保持され、積み重ねた容器が横ずれすることはない。また、袴部12の高さは蓋体1の高さよりも低くなっている。そのため、容器を下段の容器の上に少しずれて載せてしまったとき、蓋体1が各補強部25の間に嵌まらなくても、袴部12が蓋体1の側壁4に当接するので、上段の容器がずり落ちることはない。
【0024】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で上記実施形態に多くの修正および変更を加え得ることは勿論である。包装用容器は、四角形に限らず、三角形、五角形、六角形といった多角形状であってもよく、円、楕円、長円であってもよい。また、補強部25を底部10にかからないように内側壁15だけを凹ませた形状にしてもよい。この場合、蓋体1の天板3を底部10と同じ大きさにして、蓋体1が各補強部25の間に嵌まるようにする。蓋体1を上下逆さまにして容器本体2に載せると、蓋体1の天板3が容器本体2の底部10にぴったりと入り、容器を片付けやすくなる。
【符号の説明】
【0025】
1 蓋体
2 容器本体
3 天板
4 側壁
4a コーナー部
4b 辺部
10 底部
11 周壁
11a コーナー部
11b 辺部
12 袴部
13 滑り止め突起
15 内側壁
16 上縁壁
17 外側壁
20 段部
21 下リブ
22 横リブ
23 縦溝
25 補強部
26 突起