(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022136510
(43)【公開日】2022-09-21
(54)【発明の名称】インクジェットインク組成物
(51)【国際特許分類】
C09D 11/30 20140101AFI20220913BHJP
C09D 11/101 20140101ALI20220913BHJP
B41J 2/01 20060101ALI20220913BHJP
B41M 5/00 20060101ALI20220913BHJP
【FI】
C09D11/30
C09D11/101
B41J2/01 127
B41J2/01 501
B41M5/00 120
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021036153
(22)【出願日】2021-03-08
(71)【出願人】
【識別番号】000003322
【氏名又は名称】大日本塗料株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【弁理士】
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【弁理士】
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【弁理士】
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100203035
【弁理士】
【氏名又は名称】五味渕 琢也
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100202267
【弁理士】
【氏名又は名称】森山 正浩
(74)【代理人】
【識別番号】100182132
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【弁理士】
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【弁理士】
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】高岳 駿介
(72)【発明者】
【氏名】安斎 康弘
(72)【発明者】
【氏名】南 和男
【テーマコード(参考)】
2C056
2H186
4J039
【Fターム(参考)】
2C056EA13
2C056FC01
2C056FD20
2C056HA44
2H186AB11
2H186BA08
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2H186DA09
2H186DA10
2H186FB04
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2H186FB36
2H186FB38
2H186FB44
2H186FB46
2H186FB48
2H186FB58
4J039AD21
4J039BA20
4J039BC49
4J039BE27
4J039EA06
4J039EA43
4J039EA48
4J039FA02
4J039GA24
(57)【要約】
【課題】さまざまな基材や塗膜への付着性が確保され、かつ、高い硬化性で硬化可能なインクジェットインク組成物を提供する。
【解決手段】シラン化合物および/または水酸基を有する重合性化合物と、ヘテロ環骨格を有する重合性化合物と、光重合開始剤とを含み、インク組成物中に含まれる単官能重合性化合物の量(質量%)をAとし、インク組成物中に含まれる多官能重合性化合物の量(質量%)をBとする場合、0.03≦B/A≦0.30であり、かつ、50質量%≦A+B≦95質量%であることを特徴とするインクジェットインク組成物である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シラン化合物および/または水酸基を有する重合性化合物と、ヘテロ環骨格を有する重合性化合物と、光重合開始剤とを含み、
インク組成物中に含まれる単官能重合性化合物の量(質量%)をAとし、インク組成物中に含まれる多官能重合性化合物の量(質量%)をBとする場合、0.03≦B/A≦0.30であり、かつ、50質量%≦A+B≦95質量%であることを特徴とするインクジェットインク組成物。
【請求項2】
前記インク組成物中に含まれる重合性化合物の平均官能基数が1.2以下であることを特徴とする請求項1に記載のインクジェットインク組成物。
【請求項3】
前記ヘテロ環骨格を有する重合性化合物が窒素含有重合性化合物であることを特徴とする請求項1~2のいずれかに記載のインクジェットインク組成物。
【請求項4】
前記インク組成物中に含まれる重合性化合物が、分子量300~1500の2官能重合性化合物を1~20質量%と単官能重合性化合物を55~80質量%含むことを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載のインクジェットインク組成物。
【請求項5】
前記インク組成物中に含まれる重合性化合物におけるP.I.I.値の加重平均が2.00未満であることを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載のインクジェットインク組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェットインク組成物に関し、特には、さまざまな基材や塗膜への付着性が確保され、かつ、高い硬化性で硬化可能なインクジェットインク組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
紙や建築板等の基材を加飾するため、インクジェットインクが利用されている。特に近年では、硬化時間が短く、生産性に優れる活性エネルギー線硬化型インクが着目されており、プラスチックやガラス基材、セラミック、金属加飾等、様々な分野での利用が検討、実用化されている。
【0003】
国際公開第2012/133667号(特許文献1)は、基材上に、下塗り塗膜層、活性エネルギー線硬化型インク層、上塗り塗膜層を形成させる複層塗膜の製造方法において、下塗り塗膜層の表面自由エネルギー、活性エネルギー線硬化型インクの表面張力、および上塗り塗料の表面自由エネルギーを特定の範囲内とすることで、表面に意匠性が高い模様を有し、密着性、耐水性及び耐候性に優れた建築物内外装用化粧板が得られることを記載する。特許文献1には、活性エネルギー線硬化型インクの好ましい形態として、エチレン性不飽和基を有する単量体を50~90質量%含有することが記載されている。
【0004】
特開2016-65200号公報(特許文献2)は、基材に対する付着性に優れる印刷物を形成可能な活性エネルギー線硬化型インクジェットインク組成物に関する発明を記載し、ここで、ラジカル重合性モノマーに、水酸基を有する特定の(メタ)アクリル酸エステル化合物を用いることで、基材に対する印刷層の付着性を向上できることが記載されている。
【0005】
特開2020-55901号公報(特許文献3)は、特にガラス基材等の基材に対する密着性に優れ、しかも、十分な硬度を有し、傷つきにくい印刷層を形成できる活性エネルギー線硬化型インクジェットインク組成物を提供することを目的とする発明を記載し、具体的には、特定のガラス転移温度を有する脂環式単官能(メタ)アクリレートと、特定のガラス転移温度を有する水酸基含有単官能(メタ)アクリレートと、特定の(メタ)アクリル当量を有する3官能以上の多官能(メタ)アクリレートとを含み、該多官能(メタ)アクリレートの量が特定の範囲内である、活性エネルギー線硬化型インクジェットインク組成物の発明が記載されている。
【0006】
特開2019-217680号公報(特許文献4)は、基材上に活性エネルギー線硬化性インクからなるインク層および表面保護層を積層してなる印刷物に関する発明を記載し、ここで、インク層のモノマー放散速度と表面保護層のモノマー放散速度を一定の範囲内とすることで、未反応モノマーの放散が少ない印刷物を提供できることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】国際公開第2012/133667号
【特許文献2】特開2016-65200号公報
【特許文献3】特開2020-55901号公報
【特許文献4】特開2019-217680号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
活性エネルギー線硬化型インク組成物に用いる重合性化合物については、単官能重合性化合物を配合することで、基材付着性、硬化膜の可撓性に優れる印刷膜が得られやすくなるものの、単官能重合性化合物のみでは架橋構造を形成できず、膜強度が脆弱なうえ、硬化性に劣る。これに対して、多官能重合性化合物は、架橋構造の形成により膜強度が高い印刷膜が得られやすく、反応点の多さから単官能と比較して硬化性に優れるが、多官能重合性化合物のみでは硬化収縮の影響で密着性に難点がある。そのため、良好な膜物性を得るためには単官能重合性化合物と多官能重合性化合物の比率が重要である。
【0009】
しかしながら、単官能重合性化合物と多官能重合性化合物の比率の調整のみではさまざまな基材への付着性や下塗り塗膜、上塗り塗膜への付着性、インクの硬化性を考慮した際に不十分である。
【0010】
そこで、本発明の目的は、さまざまな基材や塗膜への付着性が確保され、かつ、高い硬化性で硬化可能なインクジェットインク組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者は、上記目的を達成するために鋭意検討した結果、インク組成物中に含まれる単官能重合性化合物と多官能重合性化合物の量を特定の割合に規定するとともに、シラン化合物および/または水酸基を有する重合性化合物を用いることで、さまざまな基材や塗膜への付着性を確保できることを見出した。さらに、インク組成物中に含まれる重合性化合物にヘテロ環骨格を有する重合性化合物を用いることで、インクの硬化性を向上できることも見出した。
【0012】
したがって、本発明の第1の態様は、シラン化合物および/または水酸基を有する重合性化合物と、ヘテロ環骨格を有する重合性化合物と、光重合開始剤とを含み、
インク組成物中に含まれる単官能重合性化合物の量(質量%)をAとし、インク組成物中に含まれる多官能重合性化合物の量(質量%)をBとする場合、0.03≦B/A≦0.30であり、かつ、50質量%≦A+B≦95質量%であることを特徴とするインクジェットインク組成物である。
【0013】
本発明のインクジェットインク組成物の好適例においては、前記インク組成物中に含まれる重合性化合物の平均官能基数が1.2以下である。
【0014】
本発明のインクジェットインク組成物の他の好適例においては、前記ヘテロ環骨格を有する重合性化合物が窒素含有重合性化合物である。
【0015】
本発明のインクジェットインク組成物の他の好適例においては、前記インク組成物中に含まれる重合性化合物が、分子量300~1500の2官能重合性化合物を1~20質量%と単官能重合性化合物を55~80質量%含む。
【0016】
本発明のインクジェットインク組成物の他の好適例においては、前記インク組成物中に含まれる重合性化合物におけるP.I.I.値の加重平均が2.00未満である。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、さまざまな基材や塗膜への付着性が確保され、かつ、高い硬化性で硬化可能なインクジェットインク組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、本発明を詳細に説明する。
【0019】
本発明の1つの態様は、重合性化合物および光重合開始剤を含むインクジェットインク組成物である。本明細書では、このインクジェットインク組成物を「本発明のインク組成物」とも称する。インクジェットインクとは、インクジェット印刷方式に用いられるインクを意味する。
【0020】
本発明のインクジェットインク組成物は、重合性化合物を含み、紫外線、可視光線、電子線等の活性エネルギー線の照射により硬化させることができるインク組成物であるため、活性エネルギー線硬化型インク組成物として好適である。
【0021】
重合性化合物は、ラジカル重合性を示す官能基(例えば、アクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基またはアリル基を構成する炭素-炭素二重結合等の光重合性不飽和基)を介して重合反応を起こす化合物である。ラジカル重合性を示す炭素-炭素二重結合は「エチレン性不飽和二重結合」とも称される。重合性化合物は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0022】
重合性化合物は、単官能重合性化合物または多官能重合性化合物に分類される。ここで、単官能重合性化合物としては、ラジカル重合性を示す官能基を1つ有する単官能重合性モノマー(例えば1つの重合性不飽和基を有する単官能重合性モノマー)やラジカル重合性を示す官能基を1つ有する単官能重合性オリゴマー(例えば、1つの重合性不飽和基を有する単官能重合性オリゴマー)等が挙げられる。多官能重合性化合物としては、ラジカル重合性を示す官能基を2つ以上有する多官能重合性モノマー(例えば2つ以上の重合性不飽和基を有する多官能重合性モノマー)やラジカル重合性を示す官能基を2つ以上有する多官能重合性オリゴマー(例えば、2つ以上の重合性不飽和基を有する多官能重合性オリゴマー)等が挙げられる。
【0023】
本発明のインク組成物は、インク組成物中に含まれる単官能重合性化合物の量(質量%)をAとし、インク組成物中に含まれる多官能重合性化合物の量(質量%)をBとする場合、0.03≦B/A≦0.30であり、かつ、50質量%≦A+B≦95質量%である。本発明者は、重合性化合物の全量が50~95質量%であるインク組成物において、単官能重合性化合物に対する多官能重合性化合物の割合を0.30以下とすることで、膜の硬化収縮を抑えることができ、膜自体の付着性を向上できることを見出した。これにより、さまざまな基材や塗膜への付着性を確保することができる。さらに、インク組成物中に含まれる単官能重合性化合物と多官能重合性化合物の量を上記特定した割合とすることで、硬化性や膜強度を確保することもできる。ここで、B/Aは、0.10~0.30であることが好ましい。また、A+Bは、60~95質量%であることが好ましい。
【0024】
本発明のインク組成物中に含まれる重合性化合物は、平均官能基数が1.2以下であることが好ましく、1.05~1.2であることが更に好ましい。本発明者は系全体における反応点の数を減らして硬化収縮を抑えつつ、適度な架橋構造をもたせて膜強度を確保するため、最適な反応点の数と架橋密度を検討した結果、インク組成物中に含まれる重合性化合物の平均官能基数が1.2以下、特には1.05~1.2であると、膜の硬化収縮を抑える効果が高く、膜自体の付着性を大幅に向上でき、かつ膜強度を保持できることを見出した。これにより、さまざまな基材や塗膜への付着性と膜強度を確保することができる。
【0025】
本明細書において、インク組成物中に含まれる重合性化合物の平均官能基数は、以下のように算出することができる。
平均官能基数=〔重合性化合物に含まれる全エチレン性不飽和二重結合数〕/〔重合性化合物の全分子数〕 ・・・計算式(1)
ここで、計算式(1)における「重合性化合物に含まれる全エチレン性不飽和二重結合数」については、重合性化合物の1分子当たりのエチレン性不飽和二重結合の数に、当該重合性化合物の全分子数を乗じて計算される。インク中に重合性化合物が複数種類配合される場合においては、その種類毎にエチレン性不飽和二重結合数を計算し、それらを合計した全てのエチレン性不飽和二重結合の数のことを言う。
(重合性化合物の平均官能基数の求め方の例)
重合性化合物の全量を100質量部とする。
重合性化合物A:エチレン性不飽和二重結合数=1、分子量XA、30質量部
重合性化合物B:エチレン性不飽和二重結合数=2、分子量XB、70質量部
平均官能基数={(1×30/XA)+(2×70/XB)}/{(30/XA)+(70/XB)}
【0026】
平均官能基数を1.05~1.2とするためエチレン性不飽和二重結合当量の大きな多官能重合性化合物を用いる事が有用である。エチレン性不飽和二重結合当量とは分子量を1分子内に含有するエチレン性不飽和二重結合数で割った値の事である。エチレン性不飽和二重結合が(メタ)アクリロイル基に由来する場合は「アクリル当量」とも称される。一般的にこの値が大きいほど架橋点間が広がり、架橋密度が下がるため、結果として硬化収縮の低減に寄与できる。
【0027】
本発明のインク組成物中に含まれる重合性化合物は、単官能重合性化合物を55~80質量%含むことが好ましい。重合性化合物全体に対する単官能重合性化合物の量が55質量%以上であると、付着性や可撓性を向上させることができる。また、単官能重合性化合物の割合が高すぎると、膜強度や硬化性が低下することから、重合性化合物全体に対する単官能重合性化合物の割合は80質量%以下であることが好ましい。重合性化合物全体に対する単官能重合性化合物の量は55~75質量%であることが更に好ましい。
【0028】
本発明のインク組成物中に含まれる重合性化合物は、分子量300~1500の2官能重合性化合物を1~20質量%、特には3~20重量%含むことが好ましい。付着性と硬化性を両立させる観点から、ラジカル重合性を示す官能基を2つ有する重合性化合物(2官能重合性化合物)を用いることが好ましい。また、硬化収縮を抑える観点から、分子量がある程度高い重合性化合物を用いることが好ましく、2官能重合性化合物の分子量は、300~1500が好ましく、300~1300が更に好ましい。重合性化合物全体に対する分子量300~1500の2官能重合性化合物の量は5~20質量%であることが更に好ましい。
【0029】
本明細書において、重合性化合物がオリゴマーである場合、その分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィーによって測定されるポリスチレン換算した重量平均分子量として測定することができる。
【0030】
2官能重合性化合物としては、2官能重合性モノマーおよび2官能重合性オリゴマーが挙げられる。本発明のインク組成物中において、2官能重合性化合物の量は、3~20質量%であることが好ましく、5~20質量%であることが更に好ましい。
【0031】
本発明のインク組成物は、ヘテロ環骨格を有する重合性化合物を含むことが好ましい。ヘテロ環骨格を有する重合性化合物を用いることで、硬化性を向上させることができる。また、ヘテロ環骨格を有する重合性化合物は、窒素含有重合性化合物であることが好ましく、ヘテロ環骨格が窒素原子を含む重合性化合物であることが更に好ましい。特に、ヘテロ環骨格を有する重合性化合物としての窒素含有重合性化合物は、硬化時の酸素による重合阻害を低減する効果が高く、インクの硬化性を向上させることができる。本発明のインク組成物中において、ヘテロ環骨格を有する重合性化合物の量は、1~10質量%であることが好ましい。
【0032】
本発明のインク組成物は、水酸基を有する重合性化合物を含むことが好ましい。水酸基を有する重合性化合物を用いることで、水酸基を介した水素結合や化学結合により基材との付着性、膜強度を向上させることができる。また、ヘテロ環骨格を有する重合性化合物と同様、硬化時に酸素阻害を低減する効果があり、硬化性の向上が期待できる。本発明の一実施形態において、インク組成物は、水酸基を有する重合性化合物と後述するシラン化合物の少なくとも一方を含み、水酸基を有する重合性化合物とシラン化合物の両方を含むことが好ましい。本発明のインク組成物中において、水酸基を有する重合性化合物の量は1~10質量%であることが好ましい。
【0033】
本発明のインク組成物は、ケイ素原子を有する重合性化合物を含むことが好ましく、下記式(1)で表される重合性化合物を含むことが更に好ましい。シラン化合物としてケイ素原子を有する重合性化合物を用いることで、基材との付着性を向上させることができる。特に、式(1)で表される重合性化合物は、付着性の向上効果に優れる。本発明のインク組成物中において、ケイ素原子を有する重合性化合物の量は1~5質量%であることが好ましい。
【化1】
〔式(1)中、nは1~3であり、Yはメトキシ基またはエトキシ基であり、RはC3より選ばれるアルキレン基であり、Zは(メタ)アクリロキシ基である。〕
【0034】
本発明のインク組成物中に含まれる重合性化合物は、P.I.I.値の加重平均が2.00未満であることが好ましい。P.I.I.とは、Primary Irritation Indexの略であり、一次皮膚刺激性インデックス等と訳される。
一次皮膚刺激性(P.I.I.)が高いほど皮膚に化学的な刺激をもたらす事を示し、症状としてかぶれ等を生じやすくなる。そのため、作業環境や従事者にとって危険で扱いにくいものとなり得る。また、一次皮膚刺激性の高いモノマーが硬化過程後にも塗膜中に残留することで問題となる場合もある。よって、できるだけP.I.I.が低い安全なインク設計が望まれる。抗菌製品技術協議会(SIAA)では、刺激反応を認めない、または弱い刺激性程度(P.I.I.(一次刺激性指数):2.00未満)であることが安全性の基準として挙げられている。
インク組成物中に含まれる重合性化合物のP.I.I.値の加重平均の求め方は、以下のとおりである。
重合性化合物A:P.I.I.=PA、質量比=TA
重合性化合物B:P.I.I.=PB、質量比=TB
P.I.I.の加重平均=PA×TA+PB×TB ・・・計算式(2)
【0035】
単官能重合性モノマーの具体例としては、イソアミル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル-ジグリコール(メタ)アクリレート、メトキシジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、エチルカルビトール(メタ)アクリレート、2-(2’-ビニルオキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6-ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、4-t-ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、N-(メタ)アクリロイルモルホリン、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、(2-メチル-2-エチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)メチル(メタ)アクリレート、環状トリメチロールプロパンフォルマル(メタ)アクリレート、γ-ブチロラクトン(メタ)アクリレート、N-ビニルカプロラクタム、N-(メタ)アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタルイミド、1-(メタ)アクリロイルピロリジン-2-オン、1-(メタ)アクリロイルピペリジン-2-オン、N-ビニル-2-ピロリドン、N-ビニルイミダゾール、ジメチルアクリルアミド、ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、ジエチルアクリルアミド、イソプロピルアクリルアミド、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ダイアセトンアクリルアミド、N-n-ブトキシメチルアクリルアミド、N-イソブトキシメチルアクリルアミド、N-メトキシメチルアクリルアミド、N-メチロールアクリルアミド、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコール(メタ)アクリル酸安息香酸エステル、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、γ-(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ-(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ-(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ-(メタ)アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ-(メタ)アクリロキシプロピルメチルジプロポキシシラン、γ-(メタ)アクリロキシブチルフェニルジメトキシシラン、γ-(メタ)アクリロキシプロピルジメチルメトキシシラン、γ-(メタ)アクリロキシプロピルジエチルメトキシシランβ-(メタ)アクリロキシエチルトリメトキシシラン、β-(メタ)アクリロキシエチルトリエトキシシラン、ポリオキシエチレンモノ(メタ)アクリレート、ポリオキシプロピレンモノ(メタ)アクリレート、ポリオキシブチレンモノ(メタ)アクリレート等や、これらをアルキレングリコールで変性したものが挙げられる。これらの中でも、アルキル鎖やアルキレングリコール鎖を伸長した単官能重合性モノマーは、鎖の伸長前と比較して分子量増大により臭気が低減されるため好ましい。
【0036】
多官能重合性モノマーのうち、ラジカル重合性を示す官能基を2つ有する多官能重合性モノマー(2官能重合性モノマー)の具体例としては、1,3-ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,5-ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,7-ヘプタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,8-オクタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10-デカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,12-ドデカンジオールジ(メタ)アクリレート、2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、3-メチル-1,5-ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、2-メチル-1,8-オクタンジオールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、PO(プロピレンオキシド)変性ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、シクロヘキサンジメタノールジアクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、ジメチロール-トリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジアクリレート、ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0037】
ラジカル重合性を示す官能基を3つ以上有する多官能重合性モノマー(3官能以上の多官能重合性モノマー)の具体例としては、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロポキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エトキシ化グリセリントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、EO変性ジグリセリンテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、EO変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0038】
本明細書において、(メタ)アクリレートの用語は、メタクリレートまたはアクリレートを意味する。例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートは、2-ヒドロキシエチルアクリレートまたは2-ヒドロキシエチルメタクリレートである。また、ジ(メタ)アクリレート、トリ(メタ)アクリレート等のように、複数であることを示す接頭語が(メタ)アクリレートに付されている場合、各(メタ)アクリレートは同一でも異なっていてもよい。
【0039】
重合性オリゴマーは、好ましくはアクリルオリゴマーである。アクリルオリゴマーとは、ラジカル重合性を示す官能基としてアクリロイル基またはメタクリロイル基を有するオリゴマーである。
【0040】
重合性オリゴマーは、好ましくは多官能重合性オリゴマー、より好ましくは多官能アクリルオリゴマーである。重合性オリゴマーの官能基数は2~6であることが好ましく、重合性オリゴマーの分子量は800~20000であることが好ましい。重合性オリゴマーの分子量は、ポリスチレン換算の重量平均分子量である。
【0041】
アクリルオリゴマーの具体例としては、ポリウレタンアクリルオリゴマー[ウレタン結合(-NHCOO-)を複数持つアクリルオリゴマー]、ポリエステルアクリルオリゴマー[エステル結合(-COO-)を複数持つアクリルオリゴマー]、ポリアミノアクリルオリゴマー[アミノ基(-NH2)を複数持つアクリルオリゴマー]、ポリエポキシアクリルオリゴマー[エポキシ基を複数持つアクリルオリゴマー]、シリコーンアクリルオリゴマー[シロキサン結合(-SiO-)を複数持つアクリルオリゴマー]、ポリブタジエンアクリルオリゴマー[ブタジエン単位を複数持つアクリルオリゴマー]等が挙げられる。
【0042】
また、アクリルオリゴマーとして、以下のものが知られている。
ビームセット502H、ビームセット505A-6、ビームセット550B、ビームセット575、ビームセットAQ-17(荒川化学工業社製)、
AH-600、UA-306H、UA-306T、UA-306I、UA-510H、UF-8001G(共栄社化学社製)、
CN910、CN959、CN963、CN964、CN965NS、CN966NS、CN969NS、CN980NS、CN981NS、CN982、CN983NS、CN985、CN991NS、CN996NS、CN2920、CN2921、CN8881NS、CN8883NS、CN9001NS、CN9004、CN9005、CN9009、CN9011、CN9021NS、CN9023、CN9028、CN9030、CN9178NS、CN9290、CN9893NS、CN929、CN989NS、CN968NS、CN9006NS、CN9010NS、CN9025、CN9026、CN9039、CN9062、CN9110NS、CN9029、CN8885NS、CN9013NS、CN973、CN978NS、CN992、CN9167、CN9782、CN9783、CN970、CN971、CN972、CN975NS、CN9165(サートマー社製)、
U-2PPA、U-6LPA、U-10HA、U-10PA、UA-1100H、U-15HA、UA-53H、UA-33H、U-200PA、UA-200PA、UA-160TM、UA-290TM、UA-4200、UA-4400、UA-122P(新中村化学工業社製)、
ニューフロンティアR-1235、R-1220、RST-201、RST-402、R-1301、R-1304、R-1214、R-1302XT、GX-8801A、R-1603、R-1150D(第一工業製薬社製)、
EBECRYL204、EBECRYL205、EBECRYL210、EBECRYL215、EBECRYL220、EBECRYL230、EBECRYL244、EBECRYL245、EBECRYL264、EBECRYL265、EBECRYL270、EBECRYL280/15IB、EBECRYL284、EBECRYL285、EBECRYL294/25HD、EBECRYL1259、EBECRYL1290、KRM8200、EBECRYL4820、EBECRYL4858、EBECRYL5129、EBECRYL7100、EBECRYL8210、EBECRYL8254、EBECRYL8301R、EBECRYL8307、EBECRYL8402、EBECRYL8405、EBECRYL8411、EBECRYL8465、EBECRYL8800、EBECRYL8804、EBECRYL8807、EBECRYL9260、EBECRYL9270、EBECRYL7735、EBECRYL8296、EBECRYL8452、EBECRYL8904、EBECRYL8311、EBECRYL8701、EBECRYL8667(ダイセル・オルネクス社製)、
UV-1700B、UV-6300B、UV-7550B、UV-7600B、UV-7605B、UV-7610B、UV-7630B、UV-7640B、UV-7650B、UV-6630B、UV-7000B、UV-7510B、UV-7461TE、
UV-2000B、UV-2750B、UV-3000B、UV-3200B、UV-3300B、UV-3310B、UV-3700B、UV6640B(日本合成化学社製)、
アートレジンUN-333、UN-350、UN-1255、UN-2600、UN-2700、UN-5590、UN-6060PTM、UN-6200、UN-6202、UN-6300、UN-6301、UN-7600、UN-7700、UN-9000PEP、UN-9200A、UN-3320HA、UN-3320HC、UN-904、UN-906S(根上工業社製)、
アロニックスM-6100、M-6250、M-6500、M-7100、M-7300K、M-8030、M-8060、M-8100、M-8530、M-8560、M-9050(東亜合成社製)
【0043】
水酸基を有する重合性化合物の具体例としては、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシキプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6-ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレンモノ(メタ)アクリレート、ポリオキシプロピレンモノ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ヒドロキシエチルアクリレート等が挙げられる。この他にも、水酸基を有する重合性化合物には熱分解によって水酸基を発生する重合性化合物も含まれ、N-メチロールアクリルアミド等が挙げられる。また、水酸基を有する重合性化合物は合成して用いても良く、市販品を用いても良い。
【0044】
ケイ素原子を有する重合性化合物の具体例としては、γ-(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ-(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、β-(メタ)アクリロキシエチルトリメトキシシラン、β-(メタ)アクリロキシエチルトリエトキシシラン、γ-(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ-(メタ)アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ-(メタ)アクリロキシプロピルメチルジプロポキシシラン、γ-(メタ)アクリロキシブチルフェニルジメトキシシラン、γ-(メタ)アクリロキシプロピルジメチルメトキシシラン、γ-(メタ)アクリロキシプロピルジエチルメトキシシラン等が挙げられる。これらの中で、式(1)で表される重合性化合物としては、γ-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルジメチルメトキシシラン等が挙げられる。
【0045】
ヘテロ環骨格を有する重合性化合物の具体例としては、N-アクリロイルモルホリン、N-メタクリロイルモルホリン、γ-ブチロラクトン(メタ)アクリレート、N-ビニルカプロラクタム、N-アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタルイミド、N-メタクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタルイミド、1-アクリロイルピロリジン-2-オン、1-メタクリロイルピロリジン-2-オン、1-アクリロイルピペリジン-2-オン、1-メタクリロイルピペリジン-2-オン、N-ビニル-2-ピロリドン、N-ビニルイミダゾール、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、(2-メチル-2-エチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)メチル(メタ)アクリレート、環状トリメチロールプロパンフォルマル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの中でも窒素含有が良く、N-アクリロイルモルホリンが特に好ましい。
【0046】
光重合開始剤は、活性エネルギー線が照射されることによって、上述した重合性化合物の重合を開始させる作用を有する。光重合開始剤の量は、インク組成物中1~15質量%であることが好ましく、1~12質量%であることが更に好ましく、1~10質量%であることが一層好ましい。重合開始剤の含有量が1質量%未満では、膜が硬化不良となることがあり、15質量%を超えると、低温時に析出物が発生してインクの吐出が不安定になることがある。更に、重合開始剤の開始反応を促進させるため、光増感剤等の助剤を併用することも可能である。
【0047】
光重合開始剤としては、ベンゾフェノン系化合物、アセトフェノン系化合物、チオキサントン系化合物、アシルホスフィンオキシド系化合物等が挙げられるが、硬化性の観点から、照射する活性エネルギー線の波長と光重合開始剤の吸収波長ができるだけ重複するものが好ましい。特に、光重合開始剤は、硬化時の着色や厚膜時の硬化性の観点から、アシルホスフィンオキシド系開始剤を含むことが好ましい。光重合開始剤は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0048】
光重合開始剤については、異なる波長域の開始剤を2種類以上用いることが好ましい。これにより、化合物の重合性が向上できる。また、開裂点が2点のものと1点のものを組み合わせることで、開始ラジカル濃度が増大し、さらに重合性、硬化度が向上できる。
【0049】
アシルホスフィンオキシド系開始剤としては、モノアシルホスフィンオキシド系開始剤とビスアシルホスフィンオキシド系開始剤とを併用することが好ましい。ここで、モノアシルホスフィンオキシド系開始剤(C)とビスアシルホスフィンオキシド系開始剤(D)との質量比(C:D)は、1:1~5:1であることが特に好ましい。
【0050】
光重合開始剤の具体例としては、
2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン、
1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニル-ケトン、
2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、
ベンゾフェノン、
1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン、
2-ヒドロキシ-1-{4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオニル)-ベンジル]-フェニル}-2-メチル-プロパン-1-オン、
フェニルグリオキシリックアシッドメチルエステル、
2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノプロパン-1-オン、
2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタノン、
2-ジメチルアミノ-2-(4-メチル-ベンジル)-1-(4-モルフォリン-4-イル-フェニル)-ブタン-1-オン、
ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルフォスフィンオキサイド、
ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチル-ペンチルフォスフィンオキサイド、
2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-フォスフィンオキサイド、
1,2-オクタンジオン,1-[4-(フェニルチオ)-2-(O-ベンゾイルオキシム)]、
エタノン,1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-,1-(O-アセチルオキシム)、
2,4-ジエチルチオキサントン、
2-イソプロピルチオキサントン、
2-クロロチオキサントン等が挙げられる。
【0051】
これらの中でも、インクの硬化性の観点から、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタノン、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチル-ペンチルフォスフィンオキサイド、2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-フォスフィンオキサイド、及び2,4-ジエチルチオキサントンが好ましく、更には硬化時の着色や厚膜時の硬化性の観点から、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチル-ペンチルフォスフィンオキサイド、及び2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-フォスフィンオキサイドが好ましく、2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-フォスフィンオキサイドが特に好ましい。
【0052】
本発明のインク組成物は、シランカップリング剤を含むことが好ましく、下記式(2)で表されるシランカップリング剤を含むことが更に好ましい。シラン化合物としてシランカップリング剤を用いることで、基材との付着性を向上させることができる。また、式(2)で表されるシラン化合物は、更に顔料分散性にも優れ、インクの保存安定性を向上できる。本発明のインク組成物中において、シランカップリング剤の量は1~10質量%であることが好ましい。シランカップリング剤は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【化2】
〔式(2)中、nは1~3であり、Yはメトキシ基またはエトキシ基であり、RはC3より選ばれるアルキレン基であり、Xはグリシドキシ基またはエポキシシクロヘキシル基である。〕
なお、エポキシシクロヘキシル基とは、シクロヘキシル環を構成する2つの炭素原子と酸素原子でエポキシ基を形成しているシクロヘキシル基であり、エポキシ環とシクロヘキシル環の縮合環構造を有する基である。
【0053】
シランカップリング剤の具体例としては、グリシドキシメチルトリメトキシシラン、グリシドキシメチルトリエトキシシラン、β-グリシドキシエチルトリメトキシシラン、β-グリシドキシエチルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルジメチルメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピル(エチル)ジメトキシシラン、β-3,4-エポキシシクロヘキシルエチルトリメトキシシラン、β-3,4-エポキシシクロヘキシルエチルトリエトキシシラン、8-グリシドキシオクチルトリメトキシシラン、8-グリシドキシオクチルメチルジメトキシシラン、8-グリシドキシオクチルメチルジエトキシシラン等のエポキシ基含有シランカップリング剤、γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、γ-アミノプロピルトリイソプロポキシシラン、γ-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ-アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N-β-(アミノエチル)-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-β-(アミノエチル)-γ-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-β-(アミノエチル)-γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-β-(アミノエチル)-γ-アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N-β-(アミノエチル)-γ-アミノプロピルトリイソプロポキシシラン、N-フェニル-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、γ-ウレイドプロピルトリメトキシシラン、γ-アニリノプロピルトリメトキシシラン、γ-ウレイドプロピルトリメトキシシラン、N-フェニル-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-ビニルベンジル-γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-β-(アミノエチル)-8-アミノオクチルトリメトキシシラン、γ-トリエトキシシリル-N-(1,3-ジメチル-ブチリデン)プロピルアミン等のアミノ基含有シランカップリング剤等が挙げられる。
【0054】
これらの中で、式(2)で表されるシランカップリング剤としては、γ-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルジメチルメトキシシラン等が挙げられる。
【0055】
本発明のインク組成物は、シラン化合物を含むことが好ましい。シラン化合物を用いることで、基材との付着性や顔料の分散性を向上させることができる。本発明の一実施形態において、インク組成物は、シラン化合物と前述の水酸基を有する重合性化合物の少なくとも一方を含み、シラン化合物と水酸基を有する重合性化合物の両方を含むことが好ましい。本発明のインク組成物中において、シラン化合物の量は0.5~10質量%であることが好ましい。シラン化合物は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0056】
シラン化合物としては、例えば、ケイ素原子を有する重合性化合物、好ましくは式(1)で表される重合性化合物、シランカップリング剤、好ましくは式(2)で表されるシランカップリング剤等が挙げられる。
【0057】
本発明のインク組成物は、シラン化合物として、式(1)で表される重合性化合物と式(2)で表されるシランカップリング剤の少なくとも一方を含むことが好ましく、式(1)で表される重合性化合物と式(2)で表されるシランカップリング剤の両方を含むことが更に好ましい。式(1)で表される重合性化合物と式(2)で表されるシランカップリング剤を併用する場合、式(1)で表される重合性化合物(E)と式(2)で表されるシランカップリング剤(F)との質量比(E:F)は、1:2~2:1であることが特に好ましい。
【0058】
本発明のインク組成物は、染料や顔料等の色材を含有してもよいが、その場合は、耐候性の観点から、顔料、特には無機顔料を含有することが好ましい。色材の含有量は、例えばインク組成物中1~20質量%である。色材は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0059】
色材の具体例としては、
C.I.Pigment Yellow 1、2、3、4、5、6、7、9、10、12、13、14、15、16、17、24、32、34、35、36、37、41、42、43、49、53、55、60、61、62、63、65、73、74、75、77、81、83、87、93、94、95、97、98、99、100、101、104、105、106、108、109、110、111、113、114、116、117、119、120、123、124、126、127、128、129、130、133、138、139、150、151、152、153、154、155、165、167、168、169、170、172、173、174、175、176、179、180、181、182、183、184、185、191、193、194、199、205、206、209、212、213、214、215、219、
C.I.Pigment Orange 1、2、3、4、5、13、15、16、17、19、20、21、24、31、34、36、38、40、43、46、48、49、51、60、61、62、64、65、66、67、68、69、71、72、73、74、81、
C.I.Pigment Red 1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、14、15、16、17、18、21、22、23、31、32、38、41、48、48:1、48:2、48:3、48:4、48:5、49、52、52:1、52:2、53:1、54、57:1、58、60:1、63、64:1、68、81:1、83、88、89、95、101、104、105、108、112、114、119、122、123、136、144、146、147、149、150、164、166、168、169、170、171、172、175、176、177、178、179、180、181、182、183、184、185、187、188、190、193、194、200、202、206、207、208、209、210、211、213、214、216、220、220、221、224、226、237、238、239、242、245、247、248、251、253、254、255、256、257、258、260、262、263、264、266、268、269、270、271、272、279、
C.I.Pigment Violet 1、2、3、3:1、3:3、5:1、13、15、16、17、19、23、25、27、29、31、32、36、37、38、42、50、
C.I.Pigment Blue 1、15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:5、15:6、16、17:1、24、24:1、25、26、27、28、29、36、56、60、61、62、63、75、79、80、
C.I.Pigment Green 1、4、7、8、10、15、17、26、36、50、
C.I.Pigment Brown 5、6、23、24、25、32、41、42、
C.I.Pigment Black 1、6、7、9、10、11、20、26、28、31、32、34、
C.I.Pigment White 1、2、4、5、6、7、11、12、18、19、21、22、23、26、27、28、
アルミニウムフレーク、ガラスフレーク、パール顔料及び中空粒子等が挙げられる。
【0060】
これらの中でも、得られる膜の耐候性と色再現性の観点から、
C.I.Pigment Black 7、
C.I.Pigment Blue 15:3、C.I.Pigment Blue 15:4、C.I.Pigment Blue 28、
C.I.Pigment Red 101、C.I.Pigment Red 122、C.I.Pigment Red 202、C.I.Pigment Red 254、C.I.Pigment Red 282、
C.I.Pigment Violet 19、
C.I.Pigment White 6、
C.I.Pigment Yellow 42、C.I.Pigment Yellow 120、C.I.Pigment Yellow 138、C.I.Pigment Yellow 139、C.I.Pigment Yellow 150、C.I.Pigment Yellow 151、C.I.Pigment Yellow 155、C.I.Pigment Yellow 184、C.I.Pigment Yellow 213が好ましい。
【0061】
本発明のインク組成物は、顔料を分散させるために、必要に応じて顔料分散剤を更に含有してもよい。顔料分散剤の含有量は、例えばインク組成物中0.1~5質量%である。顔料分散剤は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0062】
顔料分散剤の具体例としては、
ANTI-TERRA-U、ANTI-TERRA-U100、
ANTI-TERRA-204、ANTI-TERRA-205、
DISPERBYK-101、DISPERBYK-102、
DISPERBYK-103、DISPERBYK-106、
DISPERBYK-108、DISPERBYK-109、
DISPERBYK-110、DISPERBYK-111、
DISPERBYK-112、DISPERBYK-116、
DISPERBYK-130、DISPERBYK-140、
DISPERBYK-142、DISPERBYK-145、
DISPERBYK-161、DISPERBYK-162、
DISPERBYK-163、DISPERBYK-164、
DISPERBYK-166、DISPERBYK-167、
DISPERBYK-168、DISPERBYK-170、
DISPERBYK-171、DISPERBYK-174、
DISPERBYK-180、DISPERBYK-182、
DISPERBYK-183、DISPERBYK-184、
DISPERBYK-185、DISPERBYK-2000、
DISPERBYK-2001、DISPERBYK-2008、
DISPERBYK-2009、DISPERBYK-2020、
DISPERBYK-2025、DISPERBYK-2050、
DISPERBYK-2070、DISPERBYK-2096、
DISPERBYK-2013、DISPERBYK-2150、
DISPERBYK-2155、DISPERBYK-2163、
DISPERBYK-2164、
BYK-P104、BYK-P104S、BYK-P105、
BYK-9076、BYK-9077、BYK-220S、BYKJET-9150、BYKJET-9151(以上、ビックケミー・ジャパン社製)、
Solsperse3000、Solsperse5000、
Solsperse9000、Solsperse11200、
Solsperse13240、Solsperse13650、
Solsperse13940、Solsperse16000、
Solsperse17000、Solsperse18000、
Solsperse20000、Solsperse21000、
Solsperse24000SC、Solsperse24000GR、
Solsperse26000、Solsperse27000、
Solsperse28000、Solsperse32000、
Solsperse32500、Solsperse32550、
Solsperse32600、Solsperse33000、
Solsperse34750、Solsperse35100、
Solsperse35200、Solsperse36000、
Solsperse36600、Solsperse37500、
Solsperse38500、Solsperse39000、
Solsperse41000、Solsperse54000、
Solsperse55000、Solsperse56000、
Solsperse71000、Solsperse76500、
SolsperseJ180、SolsperseJ200、
SolsperseX300(以上、ルブリゾール社製)、
ディスパロンDA-7301、ディスパロンDA-325、ディスパロンDA-375、ディスパロンDA-234(以上、楠本化成社製)、
フローレンAF-1000、フローレンDOPA-15B、フローレンDOPA-15BHFS、フローレンDOPA-17HF、フローレンDOPA-22、フローレンDOPA-33、フローレンG-600、フローレンG-700、フローレンG-700AMP、フローレンG-700DMEA、フローレンG-820、フローレンG-900、フローレンGW-1500、フローレンKDG-2400、フローレンNC-500、フローレンWK-13E、(以上、共栄社化学社製)、
TEGO Dispers610、TEGO Dispers610S、
TEGO Dispers630、TEGO Dispers650、
TEGO Dispers652、TEGO Dispers655、
TEGO Dispers662C、TEGO Dispers670、
TEGO Dispers685、TEGO Dispers700、
TEGO Dispers710、TEGO Dispers740W、
LIPOTIN A、LIPOTIN BL、
LIPOTIN DB、LIPOTIN SB(以上、エボニック・デグサ社製)、
PB821、PB822、PN411、PA111(以上、味の素ファインテクノ社製)、
テキサホール963、テキサホール964、テキサホール987、テキサホールP60、テキサホールP61、テキサホールP63、テキサホール3250、テキサホールSF71、テキサホールUV20、テキサホールUV21(以上、コグニス社製)、
BorchiGenSN88、BorchiGen0451(以上、ボーシャス社製)等が挙げられる。
【0063】
本発明のインク組成物は、濡れ性の向上等の観点から、表面調整剤を更に含有してもよい。本明細書において、表面調整剤とは、分子構造中に親水性部位と疎水性部位を有し、添加することによりインク組成物の表面張力を調整し得る物質のことを意味する。
【0064】
本発明のインク組成物に使用できる表面調整剤としては、具体的に、ジアルキルスルホコハク酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、脂肪酸塩類等のアニオン性表面調整剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル類、アセチレングリコール類、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー類等のノニオン性表面調整剤、アルキルアミン塩類、第4級アンモニウム塩類等のカチオン性表面調整剤、アクリル系表面調整剤、シリコン系表面調整剤、およびフッ素系表面調整剤などが挙げられる。特に、シリコン系表面調整剤、アクリル系表面調整剤であることが好ましく、ビックケミー社、エボニック社、東レ・ダウコーニング社等の市販品を使用することができる。さらにシリコン系表面調整剤の場合、ポリエーテル変性シリコーンオイルであり、かつHLBが7.6~12であることが好ましい。
【0065】
表面調整剤の量は、使用目的により適宜選択し得るが、例えばインク組成物中0.01~1質量%であることが好ましい。表面調整剤は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0066】
表面調整剤の具体例としては、
BYK-300、BYK-302、BYK-306、BYK-307、BYK-310、BYK-313、BYK-315N、BYK-320、BYK-322、BYK-323、BYK-325、BYK-326、BYK-330、BYK-331、BYK-333、BYK-342、BYK-345、BYK-346、BYK-347、BYK-348、BYK-349、BYK-350、BYK-354、BYK-355、BYK-356、BYK-358N、BYK-361N、BYK-370、BYK-375、BYK-377、BYK-378、BYK-381、BYK-392、BYK-394、BYK-399、BYK-3440、BYK-3441、BYK-3455、BYK-3550、BYK-3560、BYK-3565、BYK-3760、BYK-DYNWET 800N、BYK-SILCLEAN 3700、BYK-SILCLEAN 3701、BYK-SILCLEAN 3720、BYK-UV3500、BYK-UV3505、BYK-UV3510、BYK-UV3530、BYK-UV3535、BYK-UV3570、BYK-UV3575、BYK-UV3576(以上、ビックケミー・ジャパン社製)、
TEGO Flow 300、TEGO Flow 370、TEGO Flow 425、TEGO Flow ATF 2、TEGO Flow ZFS 460、TEGO Glide 100、TEGO Glide 110、TEGO Glide 130、TEGO Glide 406、TEGO Glide 410、TEGO Glide 411、TEGO Glide 415、TEGO Glide 432、TEGO Glide 435、TEGO Glide 440、TEGO Glide 450、TEGO Glide 482、TEGO GlideA 115、TEGO GlideB 1484、TEGO GlideZG 400(以上、エボニック ジャパン社製)、
501W ADDITIVE、FZ-2104、FZ-2110、FZ-2123、FZ-2164、FZ-2191、FZ-2203、FZ-2215、FZ-2222、FZ-5609、L-7001、L-7002、L-7604、OFX-0193、OFX-0309 FLUID、OFX-5211 FLUID、SF 8410 FLUID、SH3771、SH 3746 FLUID、SH 8400 FLUID、SH 8700 FLUID、Y-7006(以上、東レ・ダウコーニング社製)、
KF-351A、KF-352A、KF-353、KF-354L、KF-355A、KF-615A、KF-640、KF-642、KF-643、KF-644、KF-945、KF-6004、KF-6011、KF-6012、KF-6015、KF-6017、KF-6020、KF-6204、X-22-2516、X-22-4515(以上、信越化学工業社製)等が挙げられる。
【0067】
本発明のインク組成物は、紫外線吸収剤を含んでも良い。紫外線吸収剤は、紫外線を吸収し、紫外線による劣化を防止する作用を有する。紫外線吸収剤としては、シアノアクリレート系化合物、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾエート系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、ヒドロキシフェニルトリアジン系化合物、ベンジリデンカンファー系化合物、無機微粒子等が挙げられる。
【0068】
紫外線吸収剤の具体例としては、
2,4-ジヒドロキシベンゾフェノン、
2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、
2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン-5-スルフォニックアシッド、
2-ヒドロキシ-4-オクトキシベンゾフェノン、
2-ヒドロキシ-4-ドデシロキシベンゾフェノン-2-ヒドロキシ-4-ベンジロキシベンゾフェノン、
ビス(5-ベンゾイル-4-ヒドロキシ-2-メトキシフェニル)メタン、
2,2’-ジヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、
2,2’-ジヒドロキシ-4,4’-ジメトキシベンゾフェノン、
2,2’,4,4’-テトラヒドロキシベンゾフェノン、
2―ヒドロキシ-4-メトキシ-2’-カルボキシベンゾフェノン、
2-(2’-ヒドロキシ-5’-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール
2-[2’-ヒドロキシ-3’,5’-ビス(α,α-(ジメチルベンジル)フェニル]ベンゾトリアゾール、
2-(2’-ヒドロキシ-3’,5’-ジ-t-ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、
2-(2’-ヒドロキシ-3’-t-ブチル-5’-メチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、
2-(2’-ヒドロキシ-3’,5’-ジ-t-ブチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、
2-(2’-ヒドロキシ-3’,5’-ジ-t-アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、
2-(2’-ヒドロキシ-5’-t-オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、
2,2’-メチレン-ビス[4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)-6-(2N-ベンゾトリアゾール-2-イル)フェノール]、
メチル-3-[3-t-ブチル-5-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-ヒドロキシフェニル]プロピオネートとポリエチレングリコールとの縮合物、
2-(2-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、
2-(2’-ヒドロキシ-5’-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、
2,6-ジ-t-ブチルフェニル-3’,5’-ジ-t-ブチル-4’-ヒドロキシベンゾエート、
ヘキサデシル-3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンゾエート等が挙げられる。
【0069】
本発明のインク組成物中において、紫外線吸収剤の量は、好ましくは0.1~15質量%、より好ましくは0.5~10質量%、さらに好ましくは1~5質量%の範囲内である。紫外線吸収剤の量が多すぎると、膜が十分に硬化しない可能性がある。紫外線吸収剤は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよいが、紫外線吸収剤は、少なくとも2種の紫外線吸収剤を含有することが好ましい。構造が異なる複数種の紫外線吸収剤を用いることで、紫外線吸収剤の効果をより持続させることができる。
【0070】
本発明のインク組成物は、ラジカル捕捉剤を含んでも良い。ラジカル捕捉剤は、フリーラジカル等を捕捉し、光安定性を向上させることができる。また、フリーラジカルと反応し、重合反応が起こることを防止する機能を有する物質(いわゆる重合禁止剤)も、ラジカル捕捉剤に含まれる。
【0071】
ラジカル捕捉剤としては、ヒンダードアミン系化合物、ハイドロキノン系化合物、フェノール系化合物、フェノチアジン系化合物、ニトロソ系化合物、N-オキシル系化合物等が挙げられ、特にヒンダードアミン系光安定化剤(HALS)が好ましい。
【0072】
ラジカル捕捉剤の具体例としては、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)セバケート、1-{2-(3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ)エチル}-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、8-アセチル-3-ドデシル-7,7,9,9-テトラメチル-1,3,8-トリアザスピロ{4.5}デカン-2,4-ジオン等のヒンダードアミン系化合物、フェノール、o-、m-又はp-クレゾール、2-t-ブチル-4-メチルフェノール、6-t-ブチル-2,4-ジメチルフェノール、2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール、2-t-ブチルフェノール、4-t-ブチルフェノール、2,4-ジ-t-ブチルフェノール、2-メチル-4-t-ブチルフェノール、4-t-ブチル-2,6-ジメチルフェノール等のフェノール系化合物、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、メチルハイドロキノン、2,5-ジ-t-ブチルハイドロキノン、2-メチル-p-ハイドロキノン、2,3-ジメチルハイドロキノン、トリメチルハイドロキノン4-メチルベンズカテキン、t-ブチルハイドロキノン、3-メチルベンズカテキン、2-メチル-p-ハイドロキノン、2,3-ジメチルハイドロキノン、トリメチルハイドロキノン、t-ブチルハイドロキノン、ベンゾキノン、t-ブチル-p-ベンゾキノン、2,5-ジフェニル-p-ベンゾキノン等のハイドロキノン系化合物、フェノチアジン等のフェノチアジン系化合物、N-ニトロソ-N-フェニルヒドロキシルアミンアンモニウム、N-ニトロソ-N-フェニルヒドロキシルアミンアルミニウム塩等のニトロソ系化合物、4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチル-ピペリジン-N-オキシル、4-オキソ-2,2,6,6-テトラメチル-ピペリジン-N-オキシル、4-メトキシ-2,2,6,6-テトラメチル-ピペリジン-N-オキシル等のN-オキシル系化合物等が挙げられる。
【0073】
本発明のインク組成物中において、ラジカル捕捉剤の量は、好ましくは10質量%以下、より好ましくは7質量%以下、さらに好ましくは5質量%以下の範囲内である。ラジカル捕捉剤の量が多すぎると、硬化不良の原因となる可能性がある。ラジカル捕捉剤の含有量の下限値は、例えば0.01質量%以上であり、好ましくは0.1質量%以上、さらに好ましくは0.5質量%以上である。ラジカル捕捉剤は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0074】
本発明のインク組成物は、樹脂を含んでも良い。樹脂は、顔料等の固形成分を捕捉しつつ基材上に被膜を形成する役割を有し、インク組成物の基材付着性向上に寄与する。
【0075】
樹脂の具体例としては、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル樹脂、塩化ゴム、塩素化ポリエチレン樹脂、塩素化ポリプロピレン樹脂、塩素化エチレン-ビニルアセテート樹脂、アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、 ポリアミド樹脂、 ポリウレタン樹脂、ポリオレフィン樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ケトン樹脂、フェノール樹脂、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコール誘導体(アニオン変性ポリビニルアルコール等)、セルロース、セルロース誘導体(ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、酢酸セルロース等)、ロジン系樹脂、アルキッド樹脂、アルギン酸、アルギン酸誘導体(アルギン酸プロピレングリコールエステル等)等が挙げられる。また、これら樹脂の変性物も含まれる。例えば、水酸基を有する樹脂であれば、ヒドロキシアルキルエーテル化変性、カルボン酸変性などの変性が挙げられる。
【0076】
本発明のインク組成物中において、樹脂の量は、好ましくは25質量%以下、特には10質量%以下、より好ましくは8質量%以下の範囲内である。樹脂の量が多すぎると、硬化不良の原因となる可能性がある。樹脂の含有量の下限値は、例えば1質量%以上であり、好ましくは3質量%以上である。樹脂は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0077】
本発明のインク組成物は、その他の成分として、酸化防止剤、可塑剤、防錆剤、溶剤、抗菌剤、抗ウイルス剤、粘性調整剤、充填剤、消泡剤、荷電制御剤、応力緩和剤、浸透剤、導光材、光輝材、磁性材、蛍光体等の添加剤を必要に応じて使用してもよい。
【0078】
本発明のインク組成物は、必要に応じて適宜選択される各種成分を混合することで調製できる。また、不純物等によるヘッドのノズル詰まりを防止する目的で、フィルターを用いたろ過をインク組成物に対して行うことが好ましい。
【0079】
本発明のインク組成物は、その40℃における粘度が、5~25mPa・sであることが好ましく、5~20mPa・sであることが更に好ましい。40℃におけるインク粘度が上記特定した範囲内にあれば、良好な吐出安定性が得られる。インク粘度は、コーンプレート型粘度計を用いて測定できる。インクを吐出する温度は30℃~50℃であることが好ましい。
【0080】
本発明のインク組成物は、その25℃における表面張力が20~35mN/mであることが好ましく、23~33mN/mであることが更に好ましい。25℃におけるインク表面張力が上記特定した範囲内にあれば、良好な吐出安定性が得られる。インク表面張力は、プレート法により測定できる。
【0081】
本発明のインク組成物による印刷は、インクジェット印刷方式にて行われる。インクジェット印刷には、種々のインクジェットプリンタに使用することができる。インクジェットプリンタとしては、例えば、荷電制御方式又はピエゾ方式によりインク組成物を噴出させるインクジェットプリンタが挙げられる。また、大型インクジェットプリンタ、具体例としては工業ラインで生産される物品への印刷を目的としたインクジェットプリンタも好適に使用できる。
【0082】
本発明のインク組成物を用いた印刷により形成される層は、紫外線等の活性エネルギー線の照射により硬化されることになる。活性エネルギー線の光源としては、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、LEDランプ等を使用できる。また、この層を硬化させるために照射する活性エネルギー線の波長は、光重合開始剤の吸収波長と重複していることが好ましく、活性エネルギー線の主波長が350~400nmであることが好ましい。なお、活性エネルギー線の積算光量は100~2000mJ/cm2の範囲にあることが好ましい。
【0083】
本発明のインク組成物は、インクジェット印刷の吐出条件やその後の硬化条件を適宜選択することで、グロス調、マット調等の表面仕上げ加工を行うことができる。例えば、インク組成物が拡がった後、時間を置いて硬化すればグロス調になり、インク滴がレンズ状のまま硬化すればマット調になる。
【0084】
本発明のインク組成物による印刷が行われる基材としては、特に限定されるものではなく、例えば、紙、コート紙、プラスチック材、建築板等が挙げられる。基材の形状としては、例えば、フィルム状、シート状、板状等がある。基材の材質としては、例えば、エポキシ樹脂、ABS樹脂、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、アクリル樹脂、特にはポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリプロピレン(PP)等のプラスチック、鉄、ステンレス、アルミニウム、銅、チタンやそれらの合金等の金属、木材、セメント、コンクリート、石膏、ケイ酸カルシウム、炭酸カルシウム、大理石、人工大理石、ガラス、セラミック等が挙げられ、これら材料の2種以上を組み合わせたものでもよい。基材は、その表面に、脱脂処理、化成処理、研磨等の前処理や、シーラー、プライマー塗装等が施されていてもよい。基材表面は、平滑であってもよいし、凹凸を有するものや立体物であってもよい。基材の具体例としては、塩ビシート、ターポリン、プラダン(プラスチック製ダンボール)、アクリル板等のプラスチック材;コート紙(具体的には樹脂コート紙)、アート紙、キャスト紙、微塗工紙、上質紙、合成紙、インクジェット用紙等の紙類;単板、合板、パーティクルボード、中密度繊維板(MDF)等の木材を原料とする木質建材;窯業系サイディングボード、フレキシブルボード、珪酸カルシウム板、石膏スラグバーライト板、木片セメント板、パルプセメント板、プレキャストコンクリート板、軽量気泡コンクリート(ALC)板、石膏ボード等の無機質建材;アルミニウム、鉄、ステンレス等の金属建材、タイル、ガラス板等が挙げられる。
【0085】
基材は、その表面の一部又は全体に層(例えば塗膜や印刷膜)が形成されていてもよい。例えば、塗料により形成される塗膜、インクにより形成される印刷膜、粉体トナーにより形成される印刷膜等が基材上に形成されていてもよい。基材上に形成される層は、樹脂、染料や顔料等の色材、紫外線吸収剤、ラジカル捕捉剤、酸化防止剤、可塑剤、防錆剤、充填剤、荷電制御剤、導光材、光輝材、磁性材、蛍光体、ワックス等を含むことができる。
【0086】
基材上に層を形成する際に使用される塗料及びインクとしては、主溶媒として有機溶剤を用いる有機溶剤系塗料及びインク、主溶媒として水を用いる水系塗料及びインク、重合性化合物を用いる光硬化型塗料及びインク、粉体塗料等の各種塗料及びインク等が挙げられる。ここで、光硬化型インクの場合に使用できる成分としては、上述した本発明のインク組成物に使用できる成分等が挙げられる。
【0087】
基材上に層を形成するための手段は、特に制限されるものではない。例えば、塗料の場合は、エアスプレー、エアレススプレー、ロールコーター、フローコーター、静電塗装等の各種塗装手段が使用できる。また、インクの場合は、グラビア印刷、オフセット印刷、フレキソ印刷、スクリーン印刷、コーター印刷、インクジェット印刷等の各種印刷手段が使用できる。粉体トナーの場合は、通常、電子写真現像方式の印刷手段(具体的には、複写機、レーザープリンター等の画像形成装置)が使用できる。
【0088】
本発明のインク組成物を用いた印刷により形成される層上には、別の層(例えば塗膜や印刷膜)が形成されていてもよい。例えば、塗料により形成される塗膜、インクにより形成される印刷膜等が形成されていてもよい。本発明のインク組成物から形成される層上に配置され得る別の層は、樹脂、染料や顔料等の色材、紫外線吸収剤、ラジカル捕捉剤、酸化防止剤、可塑剤、防錆剤、防藻剤、防カビ剤、抗菌剤、抗ウイルス剤、充填剤、荷電制御剤、導光材、光輝材、磁性材、蛍光体、ワックス等を含むことができる。
【0089】
本発明のインク組成物から形成される層上に別の層を形成する際に使用される塗料及びインクとしては、主溶媒として有機溶剤を用いる有機溶剤系塗料及びインク、主溶媒として水を用いる水系塗料及びインク、重合性化合物を用いる光硬化型塗料及びインク、粉体塗料等の各種塗料及びインク等が挙げられる。ここで、光硬化型インクの場合に使用できる成分としては、上述した本発明のインク組成物に使用できる成分等が挙げられる。
【0090】
本発明のインク組成物から形成される層上に別の層を形成するための手段は、特に制限されるものではない。例えば、塗料の場合は、エアスプレー、エアレススプレー、ロールコーター、フローコーター、静電塗装等の各種塗装手段が使用できる。また、インクの場合は、グラビア印刷、オフセット印刷、フレキソ印刷、スクリーン印刷、コーター印刷、インクジェット印刷等の各種印刷手段が使用できる。
【実施例0091】
以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。
【0092】
表1~7に示す配合処方に従う混合物を得、これをビーズミルで練合して均質にし、フィルターを用いてろ過することで、インクジェットインクを調製した。
得られたインクジェットインクの評価結果は表8に示す通りである。
【0093】
【0094】
【0095】
【0096】
【0097】
【0098】
【0099】
【0100】
【0101】
表中の注釈は、以下のとおりである。
a)カプロラクトン変性ヒドロキシエチルアクリレート プラクセル FA2D
(ダイセル・オルネクス社製)
b)アミノアクリレート EBECRYL 7100(ダイセル・オルネクス社製)
c)脂肪族ウレタンアクリレート EBECRYL 8402
(ダイセル・オルネクス社製)
d)顔料分散剤 BYKJET-9151(ビックケミー・ジャパン社製)
また、表中の「エチレン性不飽和二重結合数(A)=1、(B)≧2 (B)/(A)」の項目には、インク組成物中に含まれる単官能重合性化合物の量(質量%)をAとし、インク組成物中に含まれる多官能重合性化合物の量(質量%)をBとする場合のB/A値が示される。表中の「インク組成物P.I.I.値」の項目には、インク組成物中に含まれる重合性化合物のP.I.I.値の加重平均が示される。
【0102】
以下に、硬化性、付着性、鉛筆硬度の評価方法と評価基準について説明する。
硬化性、付着性、鉛筆硬度のいずれにおいても好ましい評価結果を示すインク組成物は実用性があるといえる。
【0103】
〈硬化性〉
アクリル樹脂基材上にバーコーター#5を用いてインク組成物を塗布した後、活性エネルギー線を照射して硬化し、インクの硬化性を評価した。光源にはメタルハライドランプを用いて主波長360~425nmの活性エネルギー線を100mJ/cm2照射し、その後、インク硬化膜上をウエスで乾拭きした。ウエスへの色移りがあるかを目視で確認し、色移りが生じなくなるまで上記照射と乾拭きを繰り返した。色移りがない時点でインク組成物の硬化が完了したとし、完了までに要した積算光量値で硬化性を評価した。評価基準は以下の通りである。結果を表8に示す。実用上、△以上の評価結果が好ましく、○以上がより好ましく、◎であれば非常に高い硬化性を有するインク組成物であるといえる。
◎:100mJ/cm2で色移りなし。
○:200mJ/cm2で色移りなし。
△:300~1000mJ/cm2で色移りなし。
×:1000mJ/cm2以上照射しても色移りが生じる(完全に硬化しない)。
【0104】
〈付着性〉
上記硬化性試験と同様の方法でインクの硬化膜を作製し、付着性を評価した。基材には、アクリル樹脂基材の他、ポリカーボネート、ABS樹脂、ポリ塩化ビニルの各基材を使用した。付着性試験はJIS K-5600-1-6に準じた方法で行い以下の基準で評価した。結果を表8に示す。評価基準の分類は数の小さい方がグレードが高く、2以上のグレードであれば実用として十分に値するレベルであり、1であればより好ましく、0ならば高い付着性を有するインク組成物であるといえる。
0: カットの縁が完全に滑らかで,どの格子の目にもはがれがない。
1: カットの交差点における塗膜の小さなはがれ。クロスカット部分で影響を受けるのは,明確に5%を上回ることはない。
2: 塗膜がカットの縁に沿って,及び/又は交差点においてはがれている。クロスカット部分で影響を受けるのは明確に5%を超えるが15%を上回ることはない。
3: 塗膜がカットの縁に沿って,部分的又は全面的に大はがれを生じており,及び/又は目のいろいろな部分が,部分的又は全面的にはがれている。クロスカット部分で影響を受けるのは,明確に15%を超えるが35%を上回ることはない。
4: 塗膜がカットの縁に沿って,部分的又は全面的に大はがれを生じており,及び/又は数か所の目が部分的又は全面的にはがれている。クロスカット部分で影響を受けるのは,明確に65%を上回ることはない。
5: 分類4でも分類できないはがれ程度のいずれか。
【0105】
〈鉛筆硬度〉
上記〈硬化性〉の検証によって得られたインク硬化膜に対して、JIS K-5600-5-4に従い、引っ掻き硬度(鉛筆法)により鉛筆硬度の評価を行った。結果を表8に示す。F以上が好ましく、H以上であれば高い膜強度を有するインク組成物であるといえる。