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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022136520
(43)【公開日】2022-09-21
(54)【発明の名称】検査路
(51)【国際特許分類】
   E01D 22/00 20060101AFI20220913BHJP
   E04G 3/24 20060101ALI20220913BHJP
【FI】
E01D22/00 A
E04G3/24 302H
E04G3/24 302Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021036169
(22)【出願日】2021-03-08
(71)【出願人】
【識別番号】000142595
【氏名又は名称】株式会社栗本鐵工所
(74)【代理人】
【識別番号】100130513
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 直也
(74)【代理人】
【識別番号】100074206
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 文二
(74)【代理人】
【識別番号】100130177
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 弥一郎
(72)【発明者】
【氏名】佃 亮介
(72)【発明者】
【氏名】硲 昌也
(72)【発明者】
【氏名】竹田 誠
(72)【発明者】
【氏名】奥田 忠弘
(72)【発明者】
【氏名】戸賀瀬 竜一
(72)【発明者】
【氏名】別當 欣謙
(72)【発明者】
【氏名】松村 信
(72)【発明者】
【氏名】奥谷 篤史
【テーマコード(参考)】
2D059
【Fターム(参考)】
2D059EE10
2D059GG39
(57)【要約】
【課題】樹脂製の爪先板の蛇行を生じない検査路を提供する。
【解決手段】樹脂製の爪先板5を複数の爪先板片5aに分離して、各爪先板片5aを下向きの側端面が床版1の上面の側縁部に当接する状態で隣り合う支柱2どうしの間に配し、その長手方向の一端部を支柱2の本体部2aに、他端部を支柱2の補強部2bに皿ボルト6で固定することにより、従来の爪先板と床版と支柱のボルト穴の位置合わせを不要として、爪先板5の取り付けを容易にするとともに、取り付けた爪先板5の蛇行の発生を効果的に抑えられるようにしたのである。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
床版と、前記床版の側部に間隔をおいて立設される支柱と、前記支柱に取り付けられる手摺と、前記床版の側部に沿って延びる樹脂製の爪先板とを備えた検査路において、
前記爪先板は、その下向きの側端面を前記床版の上面の側縁部に当接させる状態で、外側面を前記支柱に支持されていることを特徴とする検査路。
【請求項2】
前記支柱は、前記手摺が取り付けられる本体部と、前記本体部の下端部分に取り付けられる補強部とを備え、前記爪先板は前記支柱の本体部または補強部に固定されていることを特徴とする請求項1に記載の検査路。
【請求項3】
前記爪先板は、その長手方向で複数の爪先板片に分離されており、前記各爪先板片がそれぞれ前記床版の長手方向で隣り合う支柱どうしの間に設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の検査路。
【請求項4】
前記爪先板は、その内側面から前記支柱へ通される皿ボルトによって支柱に固定されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の検査路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、橋梁等の保守点検を行うための検査路に関する。
【背景技術】
【0002】
道路や鉄道等の橋梁には、一般に、定期的な点検や破損部分の修理を行うための検査路が付設されている。この検査路は、従来では鋼製のものが多かったが、近年では、必要な強度を確保しつつ軽量化が図れる繊維強化樹脂製のもの(例えば、特許文献1参照。)が増加している。
【0003】
上記のような繊維強化樹脂製(以下、単に「樹脂製」と称する。)の検査路の一例を図5乃至図8に示す。この検査路は、図5および図6に示すように、床版1と、床版1の両側部に間隔をおいて立設される支柱2と、支柱2に取り付けられる3段の手摺3とを備えている。その支柱2は、手摺3が取り付けられる本体部2aと、本体部2aの下端部分に取り付けられる補強部2bとからなる。床版1、支柱2および手摺3は樹脂製であるが、支柱2の補強部2bは強度・剛性を重視してステンレス鋼製とされる場合もある。
【0004】
前記床版1は、上面部11と下面部12と両側面部13とからなる中空の板状をなし、その幅方向の複数箇所に上面部11と下面部12との間で長手方向に延びるリブ14を有している一体成形品である。なお、その下面部12には、側面部13への支柱2の固定作業を行うための円形の開口15が設けられ(図8参照)、その開口を塞ぐカバー(図示省略)が取り付けられている。
【0005】
前記支柱2は、図7および図8にも示すように、その本体部2aと補強部2bがいずれも断面L字状の部材であり、それぞれの一方の帯板部分が床版1の側面部13にボルトとナットで固定され、他方の帯板部分が互いにボルトとナットで固定されている。
【0006】
また、この検査路では、点検や修理に使用する工具等の床版1からの落下を防止するために、床版1の両側部に沿って延び、床版1の上面よりも上方へ立ち上がる樹脂製の爪先板4が設けられている。爪先板4は、その下部が床版1の側面部13と支柱2の間に挟まれるように配置され、支柱2の本体部2aおよび補強部2bを床版1に固定するボルトを通すことによって取り付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2019-206872号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記のような爪先板の取付方法は、爪先板と床版と支柱のそれぞれにある程度の寸法誤差があるため、各部材のボルト穴を重ねて位置合わせすることが難しい。そして、特に樹脂製の爪先板を用いている場合は、その剛性が金属製のものに比べて低いため、各部材のボルト穴の位置ずれが僅かであっても、取り付けられた爪先板が長手方向にうねるような変形(以下、「蛇行」と称する。)を生じやすい。
【0009】
そこで、本発明は、樹脂製の爪先板の蛇行を生じない検査路を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するため、本発明は、床版と、前記床版の側部に間隔をおいて立設される支柱と、前記支柱に取り付けられる手摺と、前記床版の側部に沿って延びる樹脂製の爪先板とを備えた検査路において、前記爪先板は、その下向きの側端面を前記床版の上面の側縁部に当接させる状態で、外側面を前記支柱に支持されている構成を採用した。
【0011】
すなわち、爪先板の下向きの側端面を床版の上面の側縁部に当接させ、その爪先板の外側面を支柱で支持する構成とすることにより、従来の爪先板と床版と支柱のボルト穴の位置合わせを不要として、爪先板の取り付けを容易にするとともに、取り付けた爪先板の蛇行の発生を抑えられるようにしたのである。
【0012】
ここで、前記支柱は、前記手摺が取り付けられる本体部と、前記本体部の下端部分に取り付けられる補強部とを備え、前記爪先板は前記支柱の本体部または補強部に固定されている構成を採用することができる。
【0013】
そして、前記爪先板は、その長手方向で複数の爪先板片に分離されており、前記各爪先板片がそれぞれ前記床版の長手方向で隣り合う支柱どうしの間に設けられている構成とすることが望ましい。このようにすれば、爪先板の取り付けがより容易に行えるとともに、爪先板の蛇行の発生をより効果的に抑えられるようになる。また、爪先板の部分的な補修や交換が可能となる。
【0014】
さらに、前記爪先板は、その内側面から前記支柱へ通される皿ボルトによって支柱に固定されている構成を採用するとよい。すなわち、検査路では、床版の上方に突出する部材がない部分を通路と認めるので、通路幅の下限が規定されている場合、支柱と爪先板を通常のボルトで締結しようとすると、ボルトの頭部またはナットと結合する部分の長さ分、検査路全体の幅寸法を大きくする必要があるが、皿ボルトを爪先板の内側面から支柱へ通して両部材を締結するようにすれば、検査路全体の幅寸法を小さくでき、設置スペースおよびコストの低減を図ることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の検査路は、上述したように、爪先板の下向きの側端面を床版の上面の側縁部に当接させ、その爪先板の外側面を支柱で支持するようにしたものであり、従来のような爪先板と床版と支柱のボルト穴の位置合わせを行う必要がないので、従来のものに比べて爪先板の取り付けが容易であり、爪先板の蛇行が生じにくい。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】実施形態の検査路の側面図
図2図1のII-II線に沿った断面の要部を拡大して示す縦断正面図
図3図2の左側面図
図4図3の平面図
図5】従来の検査路の側面図
図6図5のVI-VI線に沿った断面の要部を拡大して示す縦断正面図
図7図6の左側面図
図8図7の平面図
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図1乃至図4に基づき、本発明の実施形態を説明する。この検査路の概略の構造は、前述の図5乃至図8に示した従来のものと同じであり、床版1と、床版1の両側部に間隔をおいて立設される支柱2と、支柱2に取り付けられる3段の手摺3と、床版1の両側部に沿って延びる爪先板5とを備えている。
【0018】
そして、前記床版1、支柱2および手摺3のそれぞれの構成および互いの接合構造も、前述の従来のものと同じである。
【0019】
すなわち、図1乃至図4に示すように、床版1は、上面部11と下面部12と両側面部13とからなる中空の板状をなし、その内部に長手方向に延びる複数のリブ14を有する一体成形品であり、下面側に設けられた支柱2固定作業用の円形の開口15が図示省略したカバーで塞がれている。
【0020】
また、支柱2は、手摺3が取り付けられる本体部2aと、本体部2aの下端部分に取り付けられる補強部2bがいずれも断面L字状の部材であり、それぞれの一方の帯板部分が床版1の側面部13に固定され、他方の帯板部分が互いに固定されている。その床版1、支柱2および手摺3は樹脂製であるが、支柱2の補強部2bは強度・剛性を重視してステンレス鋼製とされる場合もある。
【0021】
この検査路の従来のものとの相違点は、以下に述べる爪先板5の構成および取付構造にある。
【0022】
すなわち、この検査路の床版1は、後述のように爪先板5を取り付けるために、外周のコーナのR部が従来のものよりも小さく形成されている。そして、爪先板5は、その長手方向で複数の爪先板片5aに分離されており、その爪先板片5aがそれぞれ下向きの側端面を床版1の上面の側縁部に当接させる状態で、床版1の長手方向で隣り合う支柱2どうしの間に配されている。各爪先板片5aは、その長手方向の一端部が支柱2の本体部2aに、他端部が支柱2の補強部2bにそれぞれ固定されている。その爪先板片5aの支柱2への固定には皿ボルト6が用いられている。皿ボルト6は、爪先板片5aの内側面から支柱2の本体部2aまたは補強部2bの一方の帯板部分を貫通してナット7とねじ結合することにより、爪先板片5aと支柱2を締結している。
【0023】
この検査路は、上述したように、爪先板5を複数の爪先板片5aに分離して、各爪先板片5aを床版1の上面の側縁部に当接する状態で隣り合う支柱2どうしの間に配し、各爪先板片5aの両端部を支柱2に固定するようにしたので、爪先板5を取り付ける際のボルト穴の位置合わせは支柱2との間だけで行えばよい。したがって、従来の爪先板4と床版1と支柱2のボルト穴を重ねて位置合わせする必要があるものに比べて、爪先板5の取り付けが容易であり、取り付け後の蛇行が生じにくい。また、爪先板5の部分的な補修や交換が可能である。
【0024】
ここで、爪先板5の各爪先板片5aを長手方向で隣り合うものどうしが当接しないように配置すれば、爪先板5の取り付けがさらに容易に行えるようになるし、蛇行の発生をより効果的に抑えられるようになる。
【0025】
また、この検査路では、爪先板5の各爪先板片5aを、その内側面から支柱2へ通されてナット7とねじ結合する皿ボルト6で支柱2に固定しており、皿ボルト6の頭部が爪先板5から突出していないので、通路幅を規定の下限値以上に設定する必要がある場合に、爪先板5の支柱2への固定を通常のボルトで行うよりも、検査路全体の幅寸法を小さくでき、設置スペースおよびコストの低減を図ることができる。
【0026】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0027】
例えば、爪先板は、上述した実施形態のように複数の爪先板片に分離して隣り合う支柱どうしの間に配することが好ましいが、一体成形品を用いることもできる。そして、実施形態では爪先板の各爪先板片を皿ボルトで支柱に固定したが、通路幅の下限の規定がない場合等では、固定具として通常のボルトを用いてもよいし、床版に固定するようにしてもよい。また、支柱は、実施形態のように本体部と補強部とからなるものに限らず、爪先板の外側面を支持できるものであればよい。
【符号の説明】
【0028】
1 床版
2 支柱
2a 本体部
2b 補強部
3 手摺
4、5 爪先板
5a 爪先板片
6 皿ボルト
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8