(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022136523
(43)【公開日】2022-09-21
(54)【発明の名称】押え機構付きコイルリフター
(51)【国際特許分類】
B66C 1/28 20060101AFI20220913BHJP
【FI】
B66C1/28 D
B66C1/28 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021036173
(22)【出願日】2021-03-08
(71)【出願人】
【識別番号】000203977
【氏名又は名称】日鉄テックスエンジ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002044
【氏名又は名称】弁理士法人ブライタス
(72)【発明者】
【氏名】森 雅宏
(72)【発明者】
【氏名】山出谷 直輝
(72)【発明者】
【氏名】川島 寛也
【テーマコード(参考)】
3F004
【Fターム(参考)】
3F004AE05
3F004EA09
3F004ZZ00
(57)【要約】 (修正有)
【課題】コイルの巻き緩みの発生を抑えて、コイルを吊り上げることができる、押え機構付きコイルリフターを提供する。
【解決手段】コイルを、搬送装置で吊り上げ保持するためのコイルリフター1であって、搬送装置に吊り上げられる胴体部5と、胴体部5に設けられ、胴体部5から下方に延びる一対のアーム2、2と、一対のアーム2、2それぞれの下端部に設けられ、互いに対向する方向に突出し、コイルの内径空間の開口方向を水平方向にした姿勢で、一対のアーム2、2の間に配置されたコイルの内径空間に挿入される、一対の爪部3、3と、一対のアーム2、2の間において、上下方向に沿って移動自在に、胴体部5に設けられ、一対のアーム2、2の間に配置されたコイルを径方向に押圧する、押圧部4と、を備える。一対の爪部3、3をコイルの内径空間に挿入して一対の爪部でコイルを支持しているときに、押圧部4によりコイルを押圧するようにしている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄又は非鉄金属の薄板が巻き取られたコイルを、搬送装置で吊り上げ保持するための押え機構付きコイルリフターであって、
前記搬送装置に吊り上げられる胴体部と、
前記胴体部に設けられ、前記胴体部から下方に延びる一対のアームと、
前記一対のアームそれぞれの下端部に設けられ、互いに対向する方向に突出し、前記コイルの内周面で囲まれた空間としての内径空間の開口方向が水平方向とされた姿勢で且つ前記一対のアームの間に配置された前記コイルの前記内径空間に挿入される、一対の爪部と、
前記一対のアームの間において、上下方向に沿って移動自在に、前記胴体部に設けられ、前記一対のアームの間に配置された前記コイルを前記コイルの径方向に押圧する、押圧部と、
を備え、
前記一対の爪部を前記コイルの前記内径空間に挿入して前記一対の爪部で前記コイルを支持しているときに、前記押圧部により前記コイルを押圧するようにしている、
押え機構付きコイルリフター。
【請求項2】
前記押圧部は、
前記上下方向に延び、前記胴体部に、前記上下方向に沿って移動自在に設けられた軸部と、
前記軸部の下端部に設けられ、前記コイルを押圧する押圧本体部と、
を有し、
前記押圧本体部の前記コイルと接触する部分は耐熱性樹脂であり、
前記軸部は、
油圧により前記上下方向に沿って移動する駆動軸部と、
間に前記駆動軸部が配置するように水平方向に対向配置され、前記駆動軸部の移動に伴い前記押圧本体部が移動することで、前記上下方向に移動する一対のガイド軸部と、
を有する、請求項1に記載の押え機構付きコイルリフター。
【請求項3】
前記胴体部は空洞を有し、
前記軸部は、その一部が前記胴体部の前記空洞内に配置され、
前記胴体部の前記空洞外に配置され、前記駆動軸部に作動油を供給する油圧制御部、を備え、
前記油圧制御部は、
前記作動油の圧力を、低圧と、この低圧の圧力値より高い圧力値の高圧とに変更可能なように、前記作動油の供給を制御可能としてある、
請求項2に記載の押え機構付きコイルリフター。
【請求項4】
前記胴体部は、
前記搬送装置に保持される第1胴体部と、
前記一対のアームを保持し、前記上下方向に沿った中心軸を中心に、前記第1胴体部に対して回転可能な第2胴体部と、
を有し、
前記胴体部の前記空洞外に配置され、前記第2胴体部を、前記中心軸を中心に回転させる回転駆動部、
をさらに備える、
請求項3に記載の押え機構付きコイルリフター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、押え機構付きコイルリフターに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、圧延薄鋼板などの金属薄板又は非鉄金属薄板を巻いたコイルを、クレーン等の搬送装置で吊り上げて搬送する際に用いるコイルリフターが種々提案されている。例えば、特許文献1に記載のコイルリフターは、搬送装置で吊り上げられた状態で使用され、水平方向に対向配置され、水平方向に移動可能な一対のアームを備えている。一対のアームの下端には、互いに対向する方向に突出する挿入爪が設けられている。コイルの内径空間(内周面で囲まれた空間)の開口方向を水平方向にした姿勢で、一対のアームの間にコイルが配置された場合において、コイルリフターは、一対のアームを互いに近接する方向に移動させて、各アーム下端の挿入爪をコイルの内径空間に挿入することで、コイルを保持するようになっている。
【0003】
また、特許文献1に記載のコイルリフターは、コイルをコイルリフターで保持する際、コイル上端外周部を押さえるサポートガイドを備えている。コイルをコイルリフターで保持する際、コイルにコイルリフターが上方から近付いて、アームを保持するリフター本体がコイルの上端外周部を押えると、コイルリフターの自重がコイルの上端外周部に直接伝達されるため、コイルの上端外周部に疵又は変形が発生することがある。そこで、特許文献1に記載のコイルリフターは、リフター本体にサポートガイドを設け、このサポートガイドに、リフター本体からコイル上端外周部への伝達荷重を減衰させる荷重減衰装置を設けている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、薄板を巻いたコイルをコイルリフターで吊り上げる際、コイルの巻き緩み(以下、スプリングバックと言う)が生じると、コイルに疵がついたり、後工程の生産ラインでの作業効率が悪くなったりする問題が発生する。特許文献1に記載のコイルリフターは、コイル外周部を押さえることができるため、スプリングバックの発生を抑えることはできる。しかしながら、特許文献1に記載のコイルリフターは、コイルを保持する際にのみコイル外周部を押さえ、吊り上げ時には、その押さえがなくなる構成であるため、スプリングバックの発生をなくすことができない。
【0006】
そこで、本発明の目的の一つは、スプリングバックの発生を抑えて、コイルを吊り上げることができる、押え機構付きコイルリフターを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の一側面における押え機構付きコイルリフターは、
鉄又は非鉄金属の薄板が巻き取られたコイルを、搬送装置で吊り上げ保持するための押え機構付きコイルリフターであって、
前記搬送装置に吊り上げられる胴体部と、
前記胴体部に設けられ、前記胴体部から下方に延びる一対のアームと、
前記一対のアームそれぞれの下端部に設けられ、互いに対向する方向に突出し、前記コイルの内周面で囲まれた空間としての内径空間の開口方向が水平方向とされた姿勢で且つ前記一対のアームの間に配置された前記コイルの前記内径空間に挿入される、一対の爪部と、
前記一対のアームの間において、上下方向に沿って移動自在に、前記胴体部に設けられ、前記一対のアームの間に配置された前記コイルを前記コイルの径方向に押圧する、押圧部と、
を備え、
前記一対の爪部を前記コイルの前記内径空間に挿入して前記一対の爪部で前記コイルを支持しているときに、前記押圧部により前記コイルを押圧するようにしている。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、スプリングバックの発生を抑えて、コイルを吊り上げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図2】
図2は、コイルリフターの内部構造を示す図である。
【
図3】
図3は、
図2のIII-III線における断面図である。
【
図5】
図5は、コイルリフターでコイルを吊り上げた状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明における実施形態に係る押え機構付きコイルリフター(以下、単にコイルリフターと言う)について、図面を参照して説明する。
【0011】
図1は、コイルリフター1を示す図である。
図2は、コイルリフター1の内部構造を示す図である。
図3は、
図2のIII-III線における断面図である。
図4は、
図2のIV-IV線における断面図である。なお、
図2~
図4では、
図1に示すアーム2、2の図示は省略している。また、図面の都合上、
図3に示す駆動軸部41は断面で示していない。
図5は、コイルリフター1でコイル100を吊り上げた状態を示す図である。
【0012】
コイルリフター1は、クレーンなどの搬送装置(以下、クレーンとする)に吊り上げられた状態で、圧延後の金属薄板、又は非鉄金属薄板が巻き取られたコイル100を保持し、吊り上げるための装置である。また、コイルリフター1は、コイル100の外周部を押圧することで、コイル100を吊り上げたときに、コイル100にスプリングバックが発生することを抑制する装置でもある。以下では、クレーンで吊り上げられた状態でのコイルリフター1の構成について説明する。
【0013】
コイル100は、結束バンド等の拘束具で拘束されておらず、外力が加えられていない状態では、自然に巻き戻しが生じる。
【0014】
コイルリフター1は、一対のアーム2、2と、一対の爪部3、3と、押圧部4と、胴体部5と、を備えている。
【0015】
胴体部5は、クレーンに吊り上げられるリフター本体部である。胴体部5は、クレーンに保持される第1胴体部51と、一対のアーム2、2を保持する第2胴体部52とを有している。第1胴体部51には、クレーンのフックを引っ掛けるための引掛け部51Aが設けられている。第2胴体部52には、下方に延びる一対のアーム2、2が設けられている。
【0016】
第1胴体部51は、上端に上記引掛け部51Aが形成されて第1胴体部51内の空間が塞がれた構成を有しており、この上端から下方に向けて筒状に延びている。第1胴体部51の上下の全長は、第2胴体部52の上下の全長よりも短い。第1胴体部51は、後述する駆動軸部41及びガイド軸部42の上端を収容する空間を形成している。第1胴体部51の下端部511は、第2胴体部52の上端部521に接続されている。
【0017】
第1胴体部51と、第2胴体部52とは、別部材であって、第2胴体部52は、鉛直方向(上下方向)に沿った中心軸を中心に、第1胴体部51に対して回転可能となっている。つまり、第2胴体部52に支持される一対のアーム2、2は、クレーンのフックに対して中心軸を中心に回転可能となっている。これにより、コイルを保持する際のアーム2、2の位置合わせが行いやすくなる。具体的には、第1胴体部51と、第2胴体部52とは、軸受部61を介して接続されているとともに、第1外歯歯車62と第2外歯歯車64との噛み合いによって相対回転する(
図3参照)。軸受部61は、例えば、アンギュラ玉軸受であり、第2胴体部52から第1胴体部51に作用する垂直荷重を受けつつ、第1胴体部51に対する第2胴体部52の回転を許容する。軸受部61の外輪は、第1胴体部51の下端部511に固定されている。軸受部61の内輪は、第2胴体部52の上端部521に固定されており、第2胴体部52と上記中心軸回りを一体回転する。軸受部61の内輪の内周面で囲まれた空間を、駆動軸部41及びガイド軸部42が通過可能である。第1外歯歯車62は、軸受部61の外周側に位置し、第1胴体部51に固定されている。第2胴体部52には、第2胴体部52を回転させる回転モータ(回転駆動部)63が設けられている。回転モータ63のケーシングは第2胴体部52の上部に形成されたブラケット53に固定されており、回転モータ63と第2胴体部52とが上記中心軸回りを一体回転する。回転モータ63の回転軸には、第2外歯歯車64が設けられ、第1外歯歯車62と噛み合うようになっている。この構成において、第2外歯歯車64が回転すると、第2外歯歯車64と第1外歯歯車62とが噛み合って回転することで、回転モータ63は、第1外歯歯車62の周方向に沿って動くようになり、それに伴い、第2胴体部52も周方向に動くようになる。このように、第2胴体部52は、鉛直方向に沿った中心軸を中心に、第1胴体部51に対して回転可能となる。
【0018】
第2胴体部52は、第1胴体部51から下方に延びる筒状部54と、この筒状部54の下端に配置された胴体下部55と、を有している。筒状部54の上端部が、第2胴体部52の上記上端部521である。
【0019】
また、第1胴体部51と第2胴体部52の筒状部54とは、空洞5Aを形成している。空洞5Aは柱状であって、その内部に後述の押圧部4が収納されるようになっている。
【0020】
一対のアーム2、2は、第2胴体部52から下方に延びている。一対のアーム2、2は、水平方向に対向配置され、互いに近接し、又は、離隔するように、水平方向に移動可能に第2胴体部52に設けられている。一対のアーム2、2は、例えば、電動モータを駆動源として、ラック・ピニオン機構によって、移動する構成であってもよいし、油圧シリンダによって移動する構成であってもよい。また、一対のアーム2、2は、それぞれが同期して移動する構成であってもよいし、一方と他方とが別々に移動する構成であってもよい。一対のアーム2、2を駆動する上記駆動源は、例えば、上記胴体下部55に収容されている。
【0021】
一対の爪部3、3は、一対のアーム2、2それぞれの下端部に、
図1の矢印に示すように回転可能に設けられている。一対の爪部3、3は、電動モータ又は油圧アクチュエータを駆動源として、略鉛直に起立した位置と、略水平に倒れた位置との間で、回動可能に設けられている。一対の爪部3、3は、水平に倒れた位置にある場合、互いに対向する方向に突出した状態となり、鉛直に起立した位置にある場合、一対のアーム2、2に収納された状態となる。一対の爪部3、3は、コイルリフター1でコイルを保持する際、コイルの内径空間に挿入される。
【0022】
押圧部4は、一対のアーム2、2の間に位置するコイル100をコイル100の径方向に押圧するための部材である。押圧部4は、一対のアーム2、2の間において、鉛直方向に沿って移動自在に、胴体部5に設けられている。押圧部4は、鉛直方向に延び、鉛直方向に沿って移動自在に胴体部5に設けられた、駆動軸部41及び一対のガイド軸部42の軸部と、これら軸部の下端部に設けられ、コイルを押圧する押圧本体部43と、を有している。
【0023】
駆動軸部41は、上記のように、胴体部5の空洞5Aの内部に配置される。駆動軸部41は、油圧により鉛直方向に移動する。詳しくは、駆動軸部41は油圧シリンダであって、油圧制御部45より作動油が供給される本体41Aと、油圧制御部45より作動油が本体41Aに供給されることで本体41Aからの下方への突出量が変化するピストンロッド41Bとを有している。ピストンロッド41Bの下端には押圧本体部43が設けられている。本体41Aは胴体部5の空洞5Aに配置される。本体41Aの上端部は、第1胴体部51内に配置されている。本体41Aの下端部は、第2胴体部52の筒状部54内に配置されており、胴体下部55に取り囲まれている。このような構成とすることで、本体41Aの長さを長くでき、ピストンロッド41Bの上下の可動量を大きく確保できる。ピストンロッド41Bは、少なくとも、その下端が、空洞5A内と空洞5A外との間で移動するようになっている。これにより、ピストンロッド41Bの下端に設けられる押圧本体部43は、空洞5A内と空洞5A外との間で移動するようになっている。
【0024】
押圧本体部43は、駆動軸部41のピストンロッド41Bの下端部に設けられ、ピストンロッド41Bが鉛直方向に移動することに伴い、鉛直方向に移動する。押圧本体部43は、コイル100に接触し、コイル100を押圧する部材である。押圧本体部43のコイル100と接触する部分は、例えば樹脂製(MCナイロン等)、アルミ・真鍮製ゴム製(ウレタンゴム、フッ素ゴム等)などの耐熱性樹脂であることが好ましい。この場合、コイル100が圧延後の金属薄板により形成され、圧延後に高温となっていても、押圧本体部43でコイル100を押圧することができ、押し傷又は押し力による板の変形を低減することが可能である。
【0025】
一対のガイド軸部42は、間に駆動軸部41が配置するように水平方向に対向配置されている。一対のガイド軸部42の下端部には、押圧本体部43が設けられている。上記のように、押圧本体部43は駆動軸部41のピストンロッド41Bの移動に伴い鉛直方向に移動する。一対のガイド軸部42は、その下端部に設けられた押圧本体部43が移動することに伴い、鉛直方向に移動する。つまり、一対のガイド軸部42は、自身の駆動源を有さず、駆動軸部41の駆動力を、押圧本体部43を介して受けて、鉛直方向に移動する。このため、一対のガイド軸部42の駆動源を設置するスペースを必要とせず、装置の大型化を抑制できる。
【0026】
一対のガイド軸部42は、駆動軸部41によって鉛直方向に移動する押圧本体部43が水平方向に対して傾斜しないように、ガイドするための部材である。
図2に示すように、駆動軸部41の下端部は、押圧本体部43の略中央部に接続されている。このため、押圧本体部43を駆動軸部41によって鉛直方向に移動させた場合、一対のガイド軸部42がないと、押圧本体部43は、駆動軸部41との接続点を支点として、水平方向に傾斜するおそれがある。そこで、一対のガイド軸部42を、間に駆動軸部41が配置するように水平方向に対向配置することで、押圧本体部43の傾斜を防止できるようになっている。一対のガイド軸部42は、胴体下部55に形成された一対のガイド孔部に図示しない筒状のブッシュを介して上下にスライド可能に支持されている。これにより、一対のガイド軸部42及び駆動軸部41が鉛直方向に対して傾く動作が抑制されている。
【0027】
駆動軸部41に作動油を供給する油圧制御部45は、駆動軸部41へ供給する作動油の圧力を、低圧と、この低圧の圧力値より高い圧力値の高圧とに変更可能なように、作動油の供給を制御可能としてある。これにより、押圧部4がコイル100を押圧する圧力を調整することができる。例えば、押圧本体部43がコイル100に接触する時には弱い圧力で押圧し、接触後、コイル100を持ち上げるときに強い圧力で押圧することで、低圧による接触時には、コイル100の変形を防ぐことができ、高圧による接触時には、スプリングバックを防ぐことが可能となる。
【0028】
なお、油圧制御部45、及び、第2胴体部52を回転させる回転モータ63は、空洞5A外に配置されている。油圧制御部45、及び回転モータ63を空洞5A外に設けることで、胴体部5の大型化を抑制することができる。油圧制御部45は、例えば、胴体下部55の上部に固定されている。また、回転モータ63は、平面視において、油圧制御部45から離隔した箇所に設置されている。この構成により、回転モータ63と油圧制御部45とを上下に隙間をあけて配置する必要がなく、水平方向における第2胴体部52の寸法を大きくせずに済む。
【0029】
次に、上記構成のコイルリフター1で、コイルを吊り上げる際の方法について説明する。
【0030】
図5に示すように、コイル100は、コイル100の内周面で囲まれた空間としての内径空間100Aを有している。コイルリフター1で吊り上げられるために待機している状態のコイル100は、内径空間100Aの開口方向を水平方向にした姿勢で配置される。コイルリフター1は、クレーンで吊り上げられると、一対のアーム2、2の間隔をコイル100の幅よりも広くさせた状態で、一対のアーム2、2の間にコイル100が位置するように移動される。一対のアーム2、2の間にコイル100が位置するようにコイルリフター1が移動されると、一対の爪部3、3を鉛直に起立した位置から水平に倒れた位置へと回転させる。その状態で、一対のアーム2、2を近接する方向に移動させて、一対の爪部3、3をコイル100の内径空間100Aに挿入する。
【0031】
また、駆動軸部41の本体41Aの一方のポートに作動油を供給して、ピストンロッド41Bを伸長して、押圧本体部43を下方へ移動させ、押圧本体部43でコイル100を押圧する。このとき、押圧本体部43がコイルに接触する時には弱い圧力でコイル100が押圧され、接触後、コイル100を持ち上げる際には強い圧力で押圧されるように、駆動軸部41の本体41Aに供給する作動油の圧力を調整する。これにより、接触時におけるコイルへの変形を軽減することができる。作動油の圧力調整は、例えば図示しないコントローラを用いてオペレータが行う。また、油圧機構・制御を用いることで、油圧圧力の調整により、コイル100への傷の発生を防ぎ、且つ、スプリングバックを発生させない、適切な押し力で押えを維持する事が可能である。
【0032】
このように、コイル100の外周部を押圧部4で押圧しつつ、コイル100を吊り上げることで、コイル100にスプリングバックが発生することを防止することができる。そして、後続の処理に緩みのないコイル100を搬送することができる。
【符号の説明】
【0033】
1 :コイルリフター
2 :アーム
3 :爪部
4 :押圧部
5 :胴体部
5A :空洞
41 :駆動軸部
41A :本体
41B :ピストンロッド
42 :ガイド軸部
43 :押圧本体部
45 :油圧制御部
51 :第1胴体部
51A :引掛け部
52 :第2胴体部
61 :軸受部
62 :第1外歯歯車
63 :回転モータ
64 :第2外歯歯車
100 :コイル
100A :内径空間