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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022136552
(43)【公開日】2022-09-21
(54)【発明の名称】ドアラッチ装置
(51)【国際特許分類】
   E05B 81/20 20140101AFI20220913BHJP
   E05B 81/36 20140101ALI20220913BHJP
   E05B 81/66 20140101ALI20220913BHJP
   B60J 5/00 20060101ALI20220913BHJP
【FI】
E05B81/20 B
E05B81/36
E05B81/66
B60J5/00 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021036223
(22)【出願日】2021-03-08
(71)【出願人】
【識別番号】000138462
【氏名又は名称】株式会社ユーシン
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100111039
【弁理士】
【氏名又は名称】前堀 義之
(72)【発明者】
【氏名】吉本 宗弘
(72)【発明者】
【氏名】桑原 直也
【テーマコード(参考)】
2E250
【Fターム(参考)】
2E250AA21
2E250HH01
2E250HH06
2E250JJ39
2E250JJ42
2E250KK02
2E250LL01
2E250MM03
2E250PP04
2E250PP05
2E250PP10
2E250RR34
2E250RR44
2E250RR57
(57)【要約】
【課題】閉鎖機構を備えるドアラッチ装置の小型化を図る。
【解決手段】ドアラッチ装置10は、回転可能なフォーク26と、フォーク26に対して相対的に回転不可能に設けられた連動軸27と、ラッチ位置のフォーク26に係止するクロー28と、ハーフラッチ位置のフォーク26をラッチ位置に回転させる閉鎖機構40とを備える。閉鎖機構40は、連動軸27から外向きに突出する支持部43cと、ギア部41cと操作部41eとを有し、初期位置から第1の向きB1への回転により、操作部41eによって支持部43cを操作してフォーク26を回転させるギア部材41と、ギア部41cに噛み合う駆動ギア63を有し、駆動ギア63によってギア部材41を第1の向きB1及び第2の向きB2へ回転させるアクチュエータ60とを備える。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体に設けられたストライカに係合するラッチ位置から、引込開始位置を経て前記ストライカに対する係合を解除したオープン位置に回転可能、かつ、前記オープン位置から前記引込開始位置を経て前記ラッチ位置に回転可能なフォークと、
前記フォークに対して相対的に回転不可能に設けられた連動軸と、
前記ラッチ位置の前記フォークに係止して前記オープン位置に向けた前記フォークの回転を規制する係止位置と、前記フォークの係止を解除した係止解除位置との間を回転可能なクローと、
前記引込開始位置の前記フォークを前記ラッチ位置に回転させる閉鎖機構と
を備え、
前記閉鎖機構は、
前記連動軸から外向きに突出する支持部と、
前記連動軸まわりの外周に形成された1つのギア部と、前記支持部を操作するための操作部とを有し、前記連動軸まわりに第1の向き及び前記第1の向きとは逆の第2の向きへ回転可能であり、初期位置から前記第1の向きへの回転により、前記操作部によって前記支持部を操作して前記フォークを回転させるギア部材と、
前記ギア部に噛み合う駆動ギアを有し、前記駆動ギアによって前記ギア部材を前記第1の向き及び前記第2の向きへ回転させるアクチュエータと
を備える、ドアラッチ装置。
【請求項2】
前記ギア部材は、前記連動軸を取り囲む軸孔を有し、前記軸孔の孔壁への前記支持部の当接によって回転可能となっており、
前記操作部は、前記軸孔の孔壁から前記連動軸に向けて突出している、
請求項1に記載のドアラッチ装置。
【請求項3】
前記フォークが前記オープン位置にあり、前記ギア部材が前記初期位置にある状態で、前記軸孔のうち前記軸孔の周方向における前記支持部の前記操作部とは反対側には、前記ギア部材の回転を伴うことなく、前記オープン位置から前記ラッチ位置に向けた前記フォークの回転に伴う前記支持部の回転を許容する第1空隙領域が設けられている、請求項2に記載のドアラッチ装置。
【請求項4】
前記フォークが前記ラッチ位置にあり、前記ギア部材が前記初期位置にある状態で、前記軸孔のうち前記軸孔の周方向における前記操作部の前記支持部とは反対側には、前記フォークの回転を伴うことなく、前記第2の向きへの前記ギア部材の回転に伴う前記操作部の回転を許容する第2空隙領域が設けられている、請求項2又は3に記載のドアラッチ装置。
【請求項5】
前記駆動ギアにより前記初期位置の前記ギア部材を前記第2の向きへ回転させる前記アクチュエータの駆動によって、前記係止位置の前記クローを前記係止解除位置に回転させる開放機構を備える、請求項1から4のいずれか1項に記載のドアラッチ装置。
【請求項6】
前記アクチュエータは、前記駆動ギアを回転させるモータを収容したアクチュエータ本体を有し、
前記開放機構は、前記駆動ギアに噛み合う従動ギアを有し、
前記アクチュエータ本体は、前記ギア部材及び前記従動ギアに対して前記連動軸の軸方向に重ねて配置されている、
請求項5に記載のドアラッチ装置。
【請求項7】
前記フォークの回転角度位置が、前記オープン位置と前記引込開始位置の間の第1角度範囲、及び前記引込開始位置と前記ラッチ位置の間の第2角度範囲のうち、いずれに位置しているかを検出するための第1フォークスイッチと、
前記フォークが前記ラッチ位置に位置しているか否かを検出するための第2フォークスイッチと、
前記ギア部材が前記初期位置に位置しているか否かを検出するためのギアスイッチと、
前記第1フォークスイッチ、前記第2フォークスイッチ及び前記ギアスイッチの出力に基づいて、前記アクチュエータを制御する制御部と
を備え、
前記制御部は、
前記第1角度範囲から前記第2角度範囲へ前記フォークが回転したことを前記第1フォークスイッチの出力によって検出すると、前記ギア部材が前記第1の向きへ回転するように前記アクチュエータを駆動させ、
前記ラッチ位置に前記フォークが回転したことを前記第2フォークスイッチの出力によって検出すると、前記ギア部材が前記第2の向きへ回転するように前記アクチュエータを駆動させ、
前記初期位置に前記ギア部材が回転したことを前記ギアスイッチの出力によって検出すると、前記アクチュエータを停止させる、
請求項1から6のいずれか1項に記載のドアラッチ装置。
【請求項8】
前記フォークの回転角度位置が、前記オープン位置と前記引込開始位置の間の第1角度範囲、及び前記引込開始位置と前記ラッチ位置の間の第2角度範囲のうち、いずれに位置しているかを検出するための第3フォークスイッチと、
前記ギア部材が前記初期位置に位置しているか否かを検出するためのギアスイッチと、
ドアの開操作を検出するためのドアスイッチと、
前記クローが前記係止解除位置に位置しているか否かを検出するためのクロースイッチと、
前記第3フォークスイッチ、前記ギアスイッチ、前記ドアスイッチ及び前記クロースイッチの出力に基づいて、前記アクチュエータを制御する制御部と
を備え、
前記制御部は、
前記ドアが開操作されたことを前記ドアスイッチの出力によって検出すると、前記ギア部材が前記第2の向きへ回転するように前記アクチュエータを駆動させ、
前記クローが前記係止解除位置に回転したことを前記クロースイッチの出力によって検出すると、前記アクチュエータを停止させ、
前記第2角度範囲から前記第1角度範囲へ前記フォークが回転したこと前記フォークスイッチの出力によって検出すると、前記ギア部材が前記第1の向きへ回転するように前記アクチュエータを駆動させ、
前記初期位置に前記ギア部材が回転したことを前記ギアスイッチの出力によって検出すると、前記アクチュエータを停止させる、
請求項5又は6に記載のドアラッチ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドアラッチ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、アクチュエータによってドアを閉鎖する閉鎖機構を備えるドアラッチ装置が開示されている。閉鎖機構は、アクチュエータの駆動ギアに噛み合う第1ギア部材と、第1ギア部材に噛み合う第2ギア部材と、第2ギア部材に噛み合うギア部を有するラッチレバーとを備え、ラッチレバーがフォークの回転軸に固着されている。アクチュエータの閉駆動時、駆動ギアの回転が第1ギア部材と第2ギア部材を介してラッチレバーに伝達され、フォークがオープン位置側からラッチ位置に回転される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-69985号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の閉鎖機構に用いられた第1ギア部材と第2ギア部材はいずれも2段ギアである。そのため、ドアラッチ装置には第1ギア部材と第2ギア部材の軸方向に広い配置スペースが必要になり、装置の大型化を招来する。よって、特許文献1のドアラッチ装置には小型化について改良の余地がある。
【0005】
本発明は、閉鎖機構を備えるドアラッチ装置の小型化を図ることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、車体に設けられたストライカに係合するラッチ位置から、引込開始位置を経て前記ストライカに対する係合を解除したオープン位置に回転可能、かつ、前記オープン位置から前記引込開始位置を経て前記ラッチ位置に回転可能なフォークと、前記フォークに対して相対的に回転不可能に設けられた連動軸と、前記ラッチ位置の前記フォークに係止して前記オープン位置に向けた前記フォークの回転を規制する係止位置と、前記フォークの係止を解除した係止解除位置との間を回転可能なクローと、前記引込開始位置の前記フォークを前記ラッチ位置に回転させる閉鎖機構とを備え、前記閉鎖機構は、前記連動軸から外向きに突出する支持部と、前記連動軸まわりの外周に形成された1つのギア部と、前記支持部を操作するための操作部とを有し、前記連動軸まわりに第1の向き及び前記第1の向きとは逆の第2の向きへ回転可能であり、初期位置から前記第1の向きへの回転により、前記操作部によって前記支持部を操作して前記フォークを回転させるギア部材と、前記ギア部に噛み合う駆動ギアを有し、前記駆動ギアによって前記ギア部材を前記第1の向き及び前記第2の向きへ回転させるアクチュエータとを備える、ドアラッチ装置を提供する。
【0007】
本態様のドアラッチ装置が備える閉鎖機構は、フォークと一体に回転する連動軸に設けられた支持部と、支持部を操作する操作部を有するギア部材とを備え、ギア部材のギア部がアクチュエータの駆動ギアに噛み合っている。アクチュエータの駆動ギアを除き、閉鎖機構が備えるギア部材は1個のみであり、このギア部材が有するギア部も1つのみである。そのため、2個の2段ギアを用いる場合と比較して、ギア部材の軸方向の配置スペース、及びギア部材の軸方向と交差する横方向の配置スペースを削減できる。よって、ドアラッチ装置の小型化を図ることができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明では、閉鎖機構を備えるドアラッチ装置の小型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施形態に係るドアラッチ装置の平面図。
図2図1のドアラッチ装置の分解斜視図。
図3図1の外装ケースを取り外したドアラッチ装置の斜視図。
図4】ドア開放状態の閉鎖機構と開放機構を示す正面図。
図5】半ドア状態の閉鎖機構と開放機構を示す正面図。
図6】ドア閉鎖状態の閉鎖機構と開放機構を示す正面図。
図7図3のフレームの分解斜視図。
図8図3の一部を分解した斜視図。
図9図3のドアラッチ装置の台座を分離した斜視図。
図10】アクチュエータの斜視図。
図11】閉鎖機構の分解斜視図。
図12A図4の一部拡大図。
図12B図6の一部拡大図。
図13】開放機構の分解斜視図。
図14】閉鎖機構による閉鎖工程1を示す正面図。
図15】閉鎖機構による閉鎖工程2を示す正面図。
図16】閉鎖機構による閉鎖工程3を示す正面図。
図17】開放機構による開放工程1を示す正面図。
図18】開放機構による開放工程2を示す正面図。
図19】開放機構による開放工程3を示す正面図。
図20】開放機構による開放工程4を示す正面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を図面に従って説明する。
【0011】
図1から図3は、本発明の実施形態に係るドアラッチ装置20を示す。このドアラッチ装置20は、農業用トラクタ等の車両のドア1に取り付けられ、車体2に対してドア1を閉じた状態に保持し、ユーザによる開操作によってドア1を開放可能とする。
【0012】
以下の説明では、ドア1が延びる方向のうちの前後方向をX方向といい、ドア1に対して交差する方向をY方向といい、ドア1が延びる方向のうちの上下方向をZ方向ということがある。個々の図において、X方向の矢印が示す向きは前側であり、矢印とは逆向きが後側である。Y方向の矢印が示す向きは内側(車内側)であり、矢印とは逆向きが外側(車外側)である。Z方向の矢印が示す向きは上側であり、矢印とは逆向きが下側である。
【0013】
図1を参照すると、農業用トラクタのドア1は、1枚の透明な板体(例えばガラス)によって構成され、広い視界の確保によって作業性と安全性の向上が図られている。車体2のX方向前側には、Z方向に延びる回転軸を備えるヒンジ接続部(図示せず)が設けられており、このヒンジ接続部にドア1が取り付けられている。乗降口を画定する車体2の枠壁3には、ドアラッチ装置20が係合するU字形状のストライカ4が設けられている。枠壁3のうちドア1側の端部には、ドア1との間の防水と防音を図るためのシールゴム5が全周にわたって取り付けられている。
【0014】
図1及び図2を参照すると、ドアラッチ装置20はドア1に対してY方向内側に配置されている。ドア1のY方向外側には、ベース部材10に回転可能に取り付けられたドアハンドル11が配置されている。図2及び図3を参照すると、ドアラッチ装置20とベース部材10とは、ボルト止めによってドア1を挟んで一体に組み付けられている。
【0015】
ユーザによるドア1の閉操作力が弱い場合、シールゴム5の反力によってドア1が完全に閉まらず、半ドア状態になることがある。このようなドア1の閉鎖不良を防ぐために、ドアラッチ装置20にはドア1を電動で閉鎖する閉鎖機構40が設けられている。また、ドアラッチ装置20は、ドア1から車内へ突出するため、視界確保の観点から可能な限り小さくすることが望ましい。そこで、本実施形態では、閉鎖機構40を備えるドアラッチ装置20の小型化を図る。
【0016】
(ドアラッチ装置)
図4を参照すると、ドアラッチ装置20は、フォーク26及びクロー28を有するラッチ機構25を備える。図2及び図3を参照すると、ラッチ機構25は、フレーム33に組み付けられ、外装ケース30内に収容されている。図4を参照すると、ドアラッチ装置20は更に、ギア部材41及び支持部材43を有する閉鎖機構40と、従動ギア51及びオープンレバー53を有する開放機構50とを備える。閉鎖機構40と開放機構50は、共通のアクチュエータ60を有する。図2及び図3を参照すると、アクチュエータ60を含む閉鎖機構40と開放機構50は、ラッチ機構25と同様に、フレーム33に組み付けられ、外装ケース30内に収容されている。
【0017】
開状態のドア1が閉操作されると、図4に示すように、フォーク26の係合溝26aにストライカ4が進入する。続いて、ドア1の閉方向の回転により相対移動するストライカ4の押圧によって、図4に示すオープン位置のフォーク26が図5に示すハーフラッチ位置(引込開始位置)へ時計回りに回転する。このようにフォーク26が回転すると、制御部70がアクチュエータ60を閉駆動し、閉鎖機構40によって図5に示すハーフラッチ位置のフォーク26を図6に示すラッチ位置へと更に時計回りに回転させる。これにより、図1に示すドア1は、シールゴム5の反力に抗してY方向内側へ移動し、車体2の乗降口を閉鎖する。図6に示すように、ラッチ位置のフォーク26にクロー28が係止し、オープン位置に向けたフォーク26の移動をクロー28が規制することで、ドア1の閉鎖状態が保持される。
【0018】
図1に示すドアハンドル11がY方向外向きに開操作されると、制御部70がアクチュエータ60を開駆動し、開放機構50によって図6に示す係止位置のクロー28を係止解除位置(図18参照)に反時計回りに回転させる。これにより、フォーク26に対するクロー28の係止が解除され、図1に示すシールゴム5の反力によって車体2に対してドア1がY方向外向きに回転する。その結果、ドア1の回転により相対移動するストライカ4の押圧によって、フォーク26は、図6に示すラッチ位置から図5に示すハーフラッチ位置を経て、図4に示すオープン位置側へ反時計回りに回転する。これにより、図1に示すドア1をY方向外側へ回転させ、車体2の乗降口を開放可能な状態になる。
【0019】
以下、ドアラッチ装置20の構成を具体的に説明する。
【0020】
(外装ケース)
図1及び図2を参照すると、外装ケース30は、有底筒状であり、XZ平面に沿って延びる端壁30aと、端壁30aの外周からY方向外側へ突出した筒状の外周壁30bとを備える。外周壁30bのうち端壁30aとは反対側に位置する開口30cは、ドア1に対向して配置される。
【0021】
外装ケース30には、1つの挿通孔30d、一対のボス30e、及び1つの導出孔30fが設けられている。挿通孔30dは、端壁30aから外周壁30bにかけて延びる溝からなり、ストライカ4が挿通される。ボス30eには、ネジ止めによってフレーム33が取り付けられる。一対のボス30eのうち、一方は端壁30aから開口30cに向けて突出するように設けられ、他方は外周壁30bから内向きに窪むように設けられている。導出孔30fは、外周壁30bを貫通して設けられ、外装ケース30の内部から外部へケーブル78を導出させる。
【0022】
(フレーム)
図7を参照すると、フレーム33は、ベースプレート34、フェンスブロック35、カバープレート36、及び台座37を備える。ベースプレート34上に、フェンスブロック35、カバープレート36及び台座37の順で配置され、ベースプレート34、カバープレート36及び台座37がボルトとナットによって一体に組み付けられる。これにより、フェンスブロック35がベースプレート34とカバープレート36の間に一体に組み付けられる。
【0023】
図2及び図7を参照すると、ベースプレート34は、ベース部34aと屈曲部34bを備える金属製でL字形状の板体である。ベース部34aは、YZ平面に沿って延びており、外装ケース30内に差し込んで配置される。屈曲部34bは、ベース部34aのY方向外側の端に連なり、XZ平面に沿って延びており、ドア1に沿って配置される。
【0024】
図7及び図8を参照すると、ベース部34aのY方向内側の端部には、カバープレート36と台座37を組み付けるボルトを貫通させる一対の貫通孔34cが設けられている。一対の貫通孔34c間に位置するように、ベース部34aのY方向内側の端には、ストライカ4が挿通される挿通溝34dが設けられている。挿通溝34dのZ方向上側には、フォーク26に取り付けられた連動軸27を回転可能に取り付ける軸孔34eが設けられている。挿通溝34dのZ方向下側には、クロー28の回転軸29を取り付ける軸孔34fが設けられている。軸孔34fのY方向内側には、加締めピン(図示せず)が配置される加締孔34oが設けられている。
【0025】
ベース部34aのうち、挿通溝34dのY方向外側には、連続部34gを介して取付部34hが設けられている。連続部34gはXZ平面に沿って延びている。連続部34gのうち、X方向の一端から他端までの寸法は、フォーク26及びクロー28の厚みよりも大きい。取付部34hはベース部34aに対して平行に延びている。取付部34hには、開放機構50の従動ギア51を取り付けるための軸孔34iと、開放機構50のオープンレバー53を取り付けるための軸孔34jとが設けられている。取付部34hのZ方向上側の縁には、台座37をボルト止めするためのブラケット部34kが設けられている。
【0026】
図3及び図7を参照すると、屈曲部34bのZ方向両側部には、ドアハンドル11のベース部材10にボルト止めするための一対のボルト孔34lが設けられている。屈曲部34bのX方向両側には、外装ケース30にボルト止めするための一対のブラケット部34mが設けられている。屈曲部34bのZ方向上側には、ドアハンドル11が備える操作部12を挿通させる矩形状の挿通孔34nが設けられている。
【0027】
図7及び図9を参照すると、フェンスブロック35は、樹脂製であり、ベースプレート34への取り付けによってフォーク26とクロー28を覆う。フェンスブロック35は、ベースプレート34に対するカバープレート36のボルト止めと加締めによって、ベースプレート34とカバープレート36の間に取り付けられている。
【0028】
フェンスブロック35には、ストライカ4が挿通される挿通溝35aが設けられている。フェンスブロック35には更に、フォーク26の連動軸27を貫通させる貫通孔35bと、クロー28の回転軸29を貫通させる貫通孔35cと、加締めピンを貫通させる貫通孔35dとが設けられている。
【0029】
図7を参照すると、カバープレート36は、第1カバー部36a、一対の第2カバー部36b、及び一対の据付部36cを備える金属製の板体である。図8及び図9を参照すると、第1カバー部36aは、フェンスブロック35うちX方向前側の面を覆う。一対の第2カバー部36bはそれぞれ、フェンスブロック35のうちZ方向両側の面を覆う。一対の据付部36cはそれぞれベース部34aに重ねて配置される。一対の据付部36cにはそれぞれ、ベースプレート34にボルト止めするための貫通孔36dが設けられている。
【0030】
図8及び図9を参照すると、第1カバー部36aには、フォーク26の連動軸27を回転可能に支持する軸孔36eが設けられている。軸孔36eの外周には、ベース部34aから離れる向きに膨出し、閉鎖機構40のギア部材41の一面を支持する半円環状の支持部36fが設けられている。第1カバー部36aには更に、クロー28の回転軸29を取り付ける軸孔36gと、加締めピンが配置される加締孔36hと、アクチュエータ60の駆動ギア63を軸支する軸孔36iとが設けられている。
【0031】
図7及び図9を参照すると、台座37は、取付部37a、一対の側部37b、及び一対の据付部37cを備える金属製の板体である。取付部37aは、カバープレート36の第1カバー部36aに対して間隔をあけて配置されている。一対の側部37bはそれぞれ、カバープレート36の第2カバー部36bに対して間隔をあけて配置されている。一対の据付部37cはそれぞれ、カバープレート36の据付部36cに重ねて配置される。一対の据付部37cにはそれぞれ、ベースプレート34とカバープレート36にボルト止めするための貫通孔37dが設けられている。
【0032】
取付部37aには、駆動ギア63、ギア部材41及び従動ギア51を露出させる開口部37eが設けられている。開口部37eの周囲には、アクチュエータ60をネジ止めして取り付けるためのネジ孔37fが複数(本実施形態では3個)設けられている。Z方向上側に位置する側部37bには、後述するギアスイッチ73を配置する挿通孔37gが設けられている。挿通孔37gは、側部37bから取付部37aにかけて延びる矩形状の孔である。
【0033】
(ラッチ機構)
図4を参照すると、ラッチ機構25は、フォーク26とクロー28を備え、ストライカ4を離脱可能に保持する。
【0034】
図4及び図11を参照すると、フォーク26は、ストライカ4に係合する係合溝26aを備える金属製でU字状の板体である。フォーク26には連動軸27が回転不可能に設けられている。フォーク26には四角形状の取付孔26bが設けられ、連動軸27には四角柱状の取付部27aが設けられている。取付孔26aに取付部27aを取り付けることで、フォーク26に対する連動軸27の相対的な回転が規制されている。連動軸27のうち、取付部27aとは反対側の端部には、支持部材43を取り付ける四角柱状の取付部27bが設けられている。図7及び図8を参照すると、連動軸27は、フレーム33の軸孔34e,36eに軸支され、X方向に延びている。
【0035】
図4及び図11を参照すると、フォーク26のうち、図4に示すオープン状態でクロー28側に位置する係合溝26aの一側には、第1係止受部26cと、第1係止受部26cと間隔をあけて位置する第2係止受部26dとが設けられている。図6を参照すると、第1係止受部26cには、フォーク26がラッチ位置に回転することでクロー28が係止する。図5を参照すると、第2係止受部26dには、フォーク26がハーフラッチ位置に回転することでクロー28が係止する。フォーク26には更に、第2係止受部26dの第1係止受部26cとは反対側に、後述する操作ロッド76aを操作する溝状の操作部26eが設けられている。
【0036】
図4及び図13を参照すると、クロー28は、フォーク26を係止する係止部28aを備える金属製の板体である。クロー28は、回転軸29に回転可能に取り付けられている。クロー28は、図4に示す係止位置と図18に示す係止解除位置との間を、回転軸29まわりに回転可能であり、図示しないスプリングによって図4に示す係止位置に付勢されている。図7及び図8を参照すると、回転軸29は、フレーム33の軸孔34f,36gを貫通して取り付けられ、X方向に延びている。
【0037】
図4及び図13を参照すると、クロー28には、開放機構50による操作を受ける操作受部28bと、後述するクロースイッチ75を操作する操作部28cとが設けられている。操作受部28bは、係止部28a側の先端に設けられ、X方向前側へ突出している。操作部28cは、係止部28aとは反対の回転軸29側に設けられ、回転軸29から径方向外向きに突出している。
【0038】
(アクチュエータ)
図3及び図4を参照すると、アクチュエータ60は、閉鎖機構40と開放機構50が共有する駆動源である。アクチュエータ60は、電動モータ61が収容されたアクチュエータ本体62と、電動モータ61によって正転方向A1及び逆転方向A2に回転される駆動ギア63とを備える。
【0039】
図9及び図10を参照すると、アクチュエータ本体62は、台座37のX方向前側にネジ止めされている。これによりアクチュエータ本体62は、閉鎖機構40のギア部材41及び開放機構50の従動ギア51に対して、フォーク26の連動軸27の軸方向(X方向)に重ねて配置されている。
【0040】
駆動ギア63は、所定の厚みを備える平歯車であり、アクチュエータ本体62の外側に露出して配置されている。駆動ギア63は、カバープレート36の軸孔36i(図8参照)に回転可能に配置される軸部63aを備える。組付状態で軸部63aの軸線は、X方向に延びている。
【0041】
(閉鎖機構)
図4を参照すると、閉鎖機構40は、ギア部材41と支持部材43とを備え、アクチュエータ60の閉駆動によって、図5に示すハーフラッチ位置のフォーク26を図6に示すラッチ位置に回転させる。図9及び図11を参照すると、ギア部材41はカバープレート36と台座37の間に配置され、支持部材43はギア部材41内に配置されている。支持部材43はフォーク26の連動軸27に相対的に回転不可能に取り付けられ、ギア部材41は支持部材43によって回転可能に支持されている。具体的には以下の通りである。
【0042】
図4及び図11を参照すると、ギア部材41は、金属製で、YZ平面に沿って延びる半円形状の板体である。図8及び図9を参照すると、ギア部材41のうち、X方向後側に位置する第1面41aは、カバープレート36の支持部36fに支持されている。ギア部材41のうち、X方向前側に位置する第2面41bは、フォーク26の連動軸27に取り付けられたワッシャ42に支持されている。支持部36fとワッシャ42によって、ギア部材41のX方向の移動が規制されている。
【0043】
図9及び図11を参照すると、ギア部材41は、駆動ギア63に対してY方向内側に隣接して配置されている。ギア部材41の外周には、駆動ギア63に噛み合う1つのギア部41cが設けられている。ギア部材41には、フォーク26の連動軸27を取り囲む円形状の軸孔41dが形成されている。軸孔41dの直径は、ワッシャ42の直径よりも小さい。アクチュエータ60の駆動ギア63が正転方向A1に回転すると、ギア部材41は軸孔41d(連動軸27)まわりに第1の向きB1へ回転する。アクチュエータ60の駆動ギア63が逆転方向A2へ回転すると、ギア部材41は軸孔41dまわりに第2の向きB2へ回転する。
【0044】
ギア部材41には、第1の向きB1へのギア部材41の回転によって支持部材43に当接し、支持部材43を操作する一対の操作部41eが設けられている。一対の操作部41eはそれぞれ、軸孔41dの孔壁のうち、径方向に対向する位置からフォーク26の連動軸27に向けて突出している。
【0045】
図12A図4の一部を拡大した正面図であり、図12B図6の一部を拡大した正面図である。
【0046】
図12A及び図12Bを参照すると、個々の操作部41eは、当接面41fと傾斜面41gとで画定されている。当接面41fは、軸孔41dの径方向に延びている。傾斜面41gは、ギア部材41の回転方向において、当接面41fの内端から第2の向きB2へ延びており、軸孔41dの孔壁に連なっている。
【0047】
図11を参照すると、支持部材43は、ギア部材41と同等の厚みの金属板によって構成されている。支持部材43は、フォーク26の連動軸27の直径よりも大きく、軸孔41dの直径よりも小さい円板状の本体部43aを備える。本体部43aの中心にはフォーク26の連動軸27に取り付けるための取付孔43bが設けられ、本体部43aの外周には一対の支持部43cが設けられている。
【0048】
取付孔43bは四角形状に形成され、前述のようにフォーク26の連動軸27には四角柱状の取付部27bが設けられている。取付孔43bを取付部27bに取り付けることで、フォーク26の連動軸27に対して支持部材43が相対的に回転不可能に設けられている。これにより、フォーク26と支持部材43は、連動軸27まわりに一体に回転する。但し、支持部材43は、フォーク26の連動軸27に一体に設けてられてもよい。
【0049】
一対の支持部43cはそれぞれ、本体部43aのうち径方向に対向する位置から径方向外向きに突出し、軸孔41dの孔壁への当接によってギア部材41を回転可能に支持する。図12A及び図12Bを参照すると、個々の支持部43cは、被当接面43d、摺接面43e及び連続面43fによって画定されている。
【0050】
被当接面43dは、本体部43aの径方向に延びており、操作部41eの当接面41fとの当接(面接触)によって、操作部41eから操作力を受ける。摺接面43eは、軸孔41dの直径と概ね同じ直径の円弧状である。摺接面43eは、ギア部材41の回転方向において、被当接面43dの外端から第1の向きB1へ延びている。連続面43fは、摺接面43eの先端から当接面41fに対して平行に延び、本体部43aに接している。図18を参照すると、アクチュエータ60の開駆動により駆動ギア63を逆転方向A2に回転させ、ギア部材41が第2の向きB2へ回転した際、連続面43fは、操作部41eの傾斜面41gに対して当接しない程度の隙間をあけて平行に位置する。
【0051】
図4から図6に示すギア部材41の回転角度位置は、アクチュエータ60による作動前の初期位置である。初期位置は、アクチュエータ60の閉駆動によりギア部材41を第1の向きB1に回転させた閉駆動端(図15参照)と、アクチュエータ60の開駆動によりギア部材41を第2の向きB2に回転させた開駆動端(図18参照)との間に位置する。初期位置から閉駆動端までのギア部材41の回転角度は、例えば77.5度であり、初期位置から開駆動端までのギア部材41の回転角度は、例えば19.8度である。
【0052】
図4及び図12Aを参照すると、フォーク26がオープン位置にあり、ギア部材41が初期位置にある状態では、ギア部材41の操作部41eと支持部材43の支持部43cとの間には、定められた角度範囲αの隙間44が確保されている。角度範囲αは、本実施形態では7.5度に設定されている。
【0053】
引き続いて図4及び図12Aを参照すると、アクチュエータ60によって初期位置のギア部材41が第1の向きB1へ回転されると、操作部41eが支持部材43の支持部43cに当接し、支持部43cを第1の向きB1へ押圧する。前述のように、支持部材43は連動軸27に相対回転不可能に取り付けられ、連動軸27はフォーク26に相対回転不可能に取り付けられている。そのため、操作部41eの回転が支持部43c(支持部材43)と連動軸27を介してフォーク26に伝達され、フォーク26が第1の向きB1、つまり図5に示すハーフラッチ位置側から図6に示すラッチ位置側へ回転する。
【0054】
本実施形態では、ギア部材41の操作部41eと支持部材43の支持部43cとがそれぞれ一対設けられている。図12A及び図12Bに示すように、一対の操作部41eのうち、一方を第1操作部41e1として他方を第2操作部41e2とし、一対の支持部43cのうち、一方を第1支持部43c1として他方を第2支持部43c2とする。この場合、第1操作部41e1が第1支持部43c1を操作し、第2操作部41e2が第2支持部43c2を操作する。第1操作部41e1は第2支持部43c2を操作しないし、第2操作部41e2は第1支持部43c1を操作しない。
【0055】
図4及び図12Aを参照すると、ギア部材41が初期位置にあり、フォーク26がオープン位置にある状態で、ギア部材41の軸孔41dには、ギア部材41の回転を伴うことなく、ラッチ位置(図6参照)に向けたフォーク26の回転に伴う支持部43cの回転を許容する第1空隙領域45が設けられている。第1空隙領域45は、軸孔41dのうち、軸孔41の周方向における支持部43cの操作部41eとは反対側に設けられた空間である。
【0056】
図6及び図12Bを参照すると、ギア部材41が初期位置にあり、フォーク26がラッチ位置にある状態で、ギア部材41の軸孔41dには、フォーク26の回転を伴うことなく、第2の向きB2へのギア部材41の回転に伴う操作部41eの移動を許容する第2空隙領域46が設けられている。第2空隙領域46は、軸孔41dのうち、軸孔41の周方向における操作部41eの支持部43cとは反対側に設けられた空間である。
【0057】
以下、第1空隙領域45と第2空隙領域46について、より具体的に説明する。
【0058】
シールゴム5(図1参照)の反力よりも強い力でドア1が閉操作された場合、アクチュエータ60が閉駆動される前に、オープン位置のフォーク26がラッチ位置まで回転する。これにより、連動軸27と支持部材43も一体に回転し、図4に示す状態から図6に示す状態になる。
【0059】
この際、支持部材43の支持部43cがギア部材41の操作部41eに干渉すると、オープン位置からラッチ位置までフォーク26が回転できない。このような不都合を防ぎ、オープン位置からラッチ位置に向けたフォーク26の回転に伴う支持部材43の回転を許容するために、軸孔41の周方向における支持部43cの操作部41eとは反対側には第1空隙領域45(図12A参照)が確保されている。
【0060】
図12Aを参照すると、本実施形態では、ギア部材41の操作部41eと支持部材43の支持部43cとがそれぞれ一対(2組)設けられている。よって、第1空隙領域45は、異なる組の操作部41eと支持部43cの間、つまり第1操作部41e1と第2支持部43c2の間、及び第2操作部41e2と第1支持部43c1の間に、それぞれ設けられている。
【0061】
第1空隙領域45の角度範囲βは、操作部41eの傾斜面41gと支持部43cの連続面43fとがなす小さい方の角度として定義される。この角度範囲βは、オープン位置(図4参照)からラッチ位置(図6参照)までのフォーク26の回転角度に、オーバーランするフォーク26の回転角度を加えた範囲以上に設定されている。オーバーランとは、ストライカ4の押圧によって、オープン位置側からフォーク26がラッチ位置を越えて時計回りに回転した状態のことを意味する。例えば、オープン位置(図4参照)からラッチ位置(図6参照)までのフォーク26の回転角度は70度であり、ラッチ位置(図6参照)からオーバーラン位置(図示せず)までのフォーク26の回転角度は14度である。この場合、角度範囲βは、84度以上に設定することが好ましく、本実施形態では90度に設定されている。
【0062】
図6及び図12Bを参照すると、第2空隙領域46は、初期位置から第2の向きB2へのギア部材41の回転に伴う操作部41eの回転を許容するために設けられている(図18参照)。このギア部材41の回転は、開放機構50によって係止位置のクロー28を係止解除位置に回転させる開作動時の動作である。
【0063】
開作動時、ギア部材41の操作部41eが支持部材43の支持部43cに干渉すると、フォーク26にはラッチ位置からオープン位置に向けて回転する力が作用する。この場合、フォーク26とクロー28の係止力が強くなるため、係止位置から係止解除位置に向けたクロー28の回転が困難になる。このような不都合を防ぎ、係止位置のクロー28を係止解除位置へ確実に回転させるために、軸孔41の周方向における操作部41eの支持部43cとは反対側には第2空隙領域46が確保されている。
【0064】
図12Bを参照すると、本実施形態では、ギア部材41の操作部41eと支持部材43の支持部43cとがそれぞれ一対(2組)設けられている。よって、第2空隙領域46は、異なる組の操作部41eと支持部43cの間、つまり第1操作部41e1と第2支持部43c2の間、及び第2操作部41e2と第1支持部43c1の間に、それぞれ設けられている。
【0065】
第2空隙領域46の角度範囲γは、操作部41eの傾斜面41gと支持部43cの連続面43fとがなす小さい方の角度として定義される。この角度範囲γは、第2の向きB2への開作動時のギア部材41の回転角度以上に設定されている。例えば、開作動時のギア部材41の回転角度は19.8度である。この場合、角度範囲γは、19.8度以上に設定することが好ましく、本実施形態では20度に設定されている。
【0066】
(開放機構)
図6を参照すると、開放機構50は、従動ギア51とオープンレバー53を備え、アクチュエータ60の開駆動によって、図6に示す係止位置のクロー28を図18に示す係止解除位置に回転させる。図9を参照すると、従動ギア51とオープンレバー53はそれぞれ、閉鎖機構40のY方向外側において、ベースプレート34と台座37の間に配置されている。具体的には以下の通りである。
【0067】
図9及び図13を参照すると、従動ギア51は、駆動ギア63に対してY方向外側に隣接して配置されている。従動ギア51は、円筒状の軸部51aを備え、この軸部51aがベースプレート34の軸孔34iに取り付けられた回転軸52に回転可能に取り付けられている。回転軸52は、X方向に延びている。
【0068】
軸部51aのX方向前側の端には、駆動ギア63に噛み合うギア部51bが設けられている。アクチュエータ60の駆動ギア63が正転方向A1に回転すると、従動ギア51は回転軸52まわりに第1の向きC1へ回転する。アクチュエータ60の駆動ギア63が逆転方向A2へ回転すると、従動ギア51は回転軸52まわりに第2の向きC2へ回転する。
【0069】
従動ギア51には、第2の向きC2への回転によってオープンレバー53を操作する操作部51cが設けられている。操作部51cは、軸部51aのX方向後側の端に設けられ、回転軸52から径方向外向きに突出している。回転軸52が延びる方向から見て操作部51cは扇形状である。
【0070】
引き続いて図9及び図13を参照すると、オープンレバー53は、従動ギア51のZ方向下側に隣接して配置されている。オープンレバー53は、ベースプレート34の軸孔34jに取り付けられた回転軸54に回転可能に取り付けられている。回転軸54は、X方向に延びている。オープンレバー53は、図4に示す非操作位置と図18に示す操作位置とに、回転軸54まわりに回転可能であり、スプリング56によって非操作位置に付勢されている。スプリング56の一端はオープンレバー53に取り付けられ、スプリング56の他端は台座37に取り付けられている。
【0071】
引き続いて図9及び図13を参照すると、オープンレバー53には、従動ギア51の操作部51cが当接する操作受部53aと、クロー28の操作受部28bに当接する操作部53bとが設けられている。操作受部53aと操作部53bは、いずれも回転軸54から径方向外向きに突出している。操作受部53aを従動ギア51の操作部51cが押圧することでオープンレバー53が回転し、続いて操作部53bがクロー28の操作受部28bに当接し、操作受部28bを押圧する。これによりクロー28が、図6に示す係止位置から図18に示す係止解除位置に回転する。
【0072】
オープンレバー53には更に、手動操作によってドア1を開放するための手動操作受部53cが設けられている。手動操作受部53cは、回転軸54から操作部53bとは逆向きに突出している。手動操作受部53cには、ロッド55が回転可能に取り付けられている。ロッド55は、図2に示すドア1(ベース部材10)のキー穴13のY方向内側に配置されるキーシリンダ(図示せず)に接続されている。キー穴13にキーを差し込んでキーシリンダを操作すると、操作力がロッド55を介してオープンレバー53に伝達され、オープンレバー53が回転する。これにより、アクチュエータ60を駆動することなく、係止位置のクロー28を係止解除位置に回転できる。
【0073】
(制御部)
図4を参照すると、閉鎖機構40と開放機構50を作動させるアクチュエータ60は、制御部70に電気的に接続されている。制御部70には更に、5個のスイッチ71~75が電気的に接続されている。制御部70は、スイッチ71~75の出力に基づいてアクチュエータ60を駆動させ、閉鎖機構40及びラッチ機構20によってドア1を閉鎖、又は開放機構50及びラッチ機構20によってドア1を開放可能とする。制御部70には、車両に搭載されたECU(Electronic Control Unit)を用いることができる。図1及び図2を参照すると、アクチュエータ60とスイッチ71~75に接続されたケーブル78は、導出孔30fを通して外部へ導出されている。
【0074】
制御部70によるドア1の閉鎖制御には、5個のスイッチ71~75のうちの3個、具体的には、第1フォークスイッチ71、第2フォークスイッチ72及びギアスイッチ73それぞれの検出結果が用いられる。制御部70によるドア1の開放制御には、5個のスイッチ71~75のうちの4個、具体的には、ドアスイッチ74、第1フォークスイッチ(第3フォークスイッチ)71、クロースイッチ75及びギアスイッチ73それぞれの検出結果が用いられる。これらのスイッチ71~75には、いずれもリミットスイッチを用いることができる。
【0075】
第1フォークスイッチ71は、フォーク26の回転角度位置(姿勢)が、第1角度範囲及び第2角度範囲のうちいずれに位置しているかを検出するために設けられている。第1角度範囲とは、図4に示すオープン位置と図5に示すハーフラッチ位置との間である。第2角度範囲とは、図5に示すハーフラッチ位置と図6に示すラッチ位置との間である。フォーク26の回転角度位置が図5に示すハーフラッチ位置である状態は、第2角度範囲に含まれる。フォーク26の回転角度位置が第1角度範囲内の場合、第1フォークスイッチ71はオン信号を出力し(図4参照)、フォーク26の回転角度位置が第2角度範囲内の場合、第1フォークスイッチ71はオフ信号を出力する(図5及び図6参照)。
【0076】
第2フォークスイッチ72は、フォーク26がラッチ位置に位置しているか否かを検出するために設けられている。フォーク26の回転角度位置がラッチ位置である場合、第2フォークスイッチ72はオフ信号を出力し(図6参照)、フォーク26の回転角度位置がラッチ位置以外の場合、第2フォークスイッチ72はオン信号を出力する(図4及び図5参照)。
【0077】
第1フォークスイッチ71と第2フォークスイッチ72は、図8に示すスイッチケース76内に配置されている。図8を参照すると、スイッチケース76は、フェンスブロック35のY方向外側の面に配置されており、図4から図6に示す操作ロッド76aを備える。図4から図6を参照すると、操作ロッド76aは、フォーク26の操作部26eによって操作される。操作ロッド76aの回転位置によって、第1フォークスイッチ71及び第2フォークスイッチ72それぞれのオン状態とオフ状態が切り替えられる。
【0078】
ギアスイッチ73は、ギア部材41が図4から図6に示す初期位置に位置しているか否かを検出するために設けられている。図9及び図11を参照すると、ギアスイッチ73は台座37の挿通孔37gに配置されている。ギア部材41の第2面41bには、ギアスイッチ73に当接可能な当接部材77が配置されている。ギア部材41が初期位置にある場合、当接部材77がギアスイッチ73を押圧し、ギアスイッチ73はオフ信号を出力する(図4参照)。ギア部材41が初期位置にない場合、当接部材77がギアスイッチ73から離反し、ギアスイッチ73はオン信号を出力する(図14参照)。
【0079】
ドアスイッチ74は、ドア1が開操作されたか否かを検出するために設けられている。ドアスイッチ74は、図3に示すドアハンドル11の操作部12に隣接するように配置されている。ドアハンドル11が開操作されていない場合、操作部12がドアスイッチ74を押圧し、ドアスイッチ74はオフ信号を出力する(図4参照)。ドアハンドル11がY方向外側へ開操作された場合、操作部12がドアスイッチ74から離反し、ドアスイッチ74はオン信号を出力する(図17参照)。
【0080】
クロースイッチ75は、クロー28が係止解除位置に位置しているか否かを検出するために設けられている。図8を参照すると、クロースイッチ75は、クロー28と隣接するようにベースプレート34のベース部34aに配置されている。クロー28が係止解除位置に回転していない場合、操作部28cがクロースイッチ75から離反し、クロースイッチ75はオン信号を出力する(図4参照)。クロー28が係止解除位置に回転している場合、操作部28cがクロースイッチ75を押圧し、クロースイッチ75はオフ信号を出力する(図18参照)。
【0081】
次に、制御部70による制御を具体的に説明する。
【0082】
(ドアの閉鎖制御)
ユーザがドア1を閉操作すると、図4に示すオープン位置のフォーク26が図5に示すハーフラッチ位置に回転し、クロー28がフォーク26の第2係止受部26dを係止する。この際、フォーク26の第2係止受部26dによる押圧によって、クロー28は、係止位置から係止解除位置に一時的に回転して係止位置に戻る。
【0083】
これにより、第1フォークスイッチ71の出力はオン状態からオフ状態に切り替わる。クロースイッチ75の出力は、オン状態からオフ状態に一時的に切り替わるが直ぐにオン状態に戻る。他のスイッチ72~74の出力は、図4に示す状態から変化しない。これらスイッチ71~75の出力によって、制御部70は、ドア1が閉操作されたことを検出し、アクチュエータ60を閉駆動して、駆動ギア63を正転方向A1へ回転させる。
【0084】
図14を参照すると、アクチュエータ60の閉駆動によって、閉鎖機構40のギア部材41は第1の向きB1へ回転するとともに、開放機構50の従動ギア51は第1の向きC1へ回転する。これにより、閉鎖機構40については、ギア部材41の操作部41eが支持部材43の支持部43cに当接し、当接部材77がギアスイッチ73から離反する。開放機構50については、従動ギア51の操作部51cがオープンレバー53の操作受部53aから離反する。
【0085】
これにより、ギアスイッチ73の出力はオフ状態からオン状態に切り替わる。他のスイッチ71,72,74,75の出力は、図5に示す状態から変化しない。
【0086】
続いて、図15を参照すると、閉鎖機構40については、第1の向きB1へのギア部材41の回転によって、操作部41eが支持部43cを押圧する。これにより、支持部材43、連動軸27及びフォーク26が一体に回転し、ラッチ位置に回転したフォーク26の第1係止受部26cにクロー28が係止する。この際、フォーク26の第1係止受部26cによる押圧によって、クロー28は、係止位置から係止解除位置に一時的に回転して係止位置に戻る。開放機構50については、第1の向きC1への従動ギア51の回転によって、操作部51cはオープンレバー53の操作受部53aから更に離反する。
【0087】
これにより、第2フォークスイッチ72の出力はオン状態からオフ状態に切り替わる。クロースイッチ75の出力は、オン状態からオフ状態に一時的に切り替わるが直ぐにオン状態に戻る。他のスイッチ71,73,74の出力は、図14に示す状態から変化しない。これらスイッチ71~75の出力によって、制御部70は、フォーク26がラッチ位置に回転したことを検出し、アクチュエータ60をリターン駆動して、駆動ギア63を逆転方向A2へ回転させる。
【0088】
図16を参照すると、アクチュエータ60のリターン駆動によって、閉鎖機構40のギア部材41は第2の向きB2へ回転するとともに、開放機構50の従動ギア51は第2の向きC2へ回転する。これにより、閉鎖機構40については、ギア部材41の操作部41eが支持部材43の支持部43cから離反し、当接部材77がギアスイッチ73に近づく。開放機構50については、従動ギア51の操作部51cがオープンレバー53の操作受部53aに近づく。
【0089】
アクチュエータ60をリターン駆動した当初には、スイッチ71~75の出力は、図15に示す状態から変化しない。
【0090】
リターン駆動が進むと、図6に示すように、閉鎖機構40については、第2の向きB2へのギア部材41の回転によって、ギア部材41が初期位置に戻り、当接部材77がギアスイッチ73を押圧する。開放機構50については、従動ギア51の操作部51cがオープンレバー53の操作受部53aに更に近づく。
【0091】
これにより、ギアスイッチ73の出力は、オン状態からオフ状態に切り替わる。他のスイッチ71,72,74,75の出力は、図16に示す状態から変化しない。これらスイッチ71~75の出力によって、制御部70は、ギア部材41が初期位置に戻ったことを検出し、アクチュエータ60を停止させて、閉鎖制御を終了する。
【0092】
なお、図4に示すように、フォーク26がオープン位置にあり、ギア部材41が初期位置にある状態で、シールゴム5(図1参照)の反力よりも強い力でドア1を閉操作した場合、フォーク26は、図5に示すハーフラッチ位置を経て図6に示すラッチ位置まで回転する。この場合、第1フォークスイッチ71の出力状態の切り替わりに続いて、第2フォークスイッチ72の出力状態も切り替わる。この場合、制御部70は、前述した閉鎖制御は実行しない。
【0093】
(ドアの開放制御)
図6に示すドア1の閉鎖状態で、ドアハンドル11が開操作されると、ドアスイッチ74の出力がオフ状態からオン状態に切り替わり、ドアハンドル11の開操作が止められると、ドアスイッチ74の出力がオン状態からオフ状態に戻る。他のスイッチ71~73,75の出力は、図6に示す状態から変化しない。これらスイッチ71~75の出力によって、制御部70は、ドアハンドル11が開操作されたことを検出し、アクチュエータ60を開駆動して、駆動ギア63を逆転方向A2へ回転させる。
【0094】
図17を参照すると、アクチュエータ60の開駆動によって、閉鎖機構40のギア部材41は第2の向きB2へ回転するとともに、開放機構50の従動ギア51は第2の向きC2へ回転する。これにより、閉鎖機構40については、ギア部材41の操作部41eが支持部材43の支持部43cから離反し、当接部材77がギアスイッチ73から離反する。開放機構50については、従動ギア51の操作部51cがオープンレバー53の操作受部53aに当接する。
【0095】
これにより、ギアスイッチ73の出力はオフ状態からオン状態に切り替わる。他のスイッチ71,72,74,75の出力は、図6に示す状態から変化しない。
【0096】
続いて、図18を参照すると、閉鎖機構40については、第2の向きB2へのギア部材41は回転するが、操作部41eは支持部43cには干渉しない。開放機構50については、第2の向きC2への従動ギア51の回転によって、操作部51cがオープンレバー53の操作受部53aを押圧し、オープンレバー53を回転させる。これにより、オープンレバー53の操作部53bがクロー28の操作受部28bを押圧し、係止位置のクロー28を係止解除位置に回転させ、操作部28cがクロースイッチ75を押圧する。
【0097】
これにより、クロースイッチ75の出力はオン状態からオフ状態に切り替わる。この時点では、他のスイッチ71~74の出力は、図17に示す状態から変化しない。
【0098】
図19に示すように、クロー28が係止解除位置に回転すると、係止が解除されたフォーク26はオープン位置に向けて回転可能になる。図1を参照すると、閉状態のドア1にはシールゴム5の反力が作用している。よって、この反力によって閉状態のドア1がY方向外向きに回転し、ドア1の回転により相対移動するストライカ4の押圧によって、フォーク26がオープン位置側へ回転する。
【0099】
これにより、第2フォークスイッチ72の出力はオフ状態からオン状態に切り替わる。この時点では、他のスイッチ71,73~75の出力は、図18に示す状態から変化しない。これらスイッチ71~75の出力によって、制御部70は、フォーク26に対するクロー28の係止が解除されたことを検出し、アクチュエータ60を一時停止する。
【0100】
図20を参照すると、アクチュエータ60を停止した状態では、クロー28が係止解除位置に保持されているため、フォーク26もオープン位置に向けて回転可能な状態に維持されている。この状態で、図1に示すシールゴム5の反力又はユーザによる開操作によって、ドア1が開方向に回転すると、フォーク26が図5に示すハーフラッチ位置を越えてオープン位置側に回転する。
【0101】
これにより、第1フォークスイッチ71の出力はオフ状態からオン状態に切り替わる。他のスイッチ72~75の出力は、図19に示す状態から変化しない。これらスイッチ71~75の出力によって、制御部70は、図5に示すハーフラッチ位置を超えてフォーク26がオープン位置側へ回転したことを検出し、アクチュエータ60をリターン駆動して、駆動ギア63を正転方向A1へ回転させる。
【0102】
アクチュエータ60のリターン駆動によって、閉鎖機構40のギア部材41は第1の向きB1へ回転するとともに、開放機構50の従動ギア51は第1の向きC1へ回転する。これにより、図4に示すように、閉鎖機構40については、ギア部材41が初期位置に戻り、当接部材77がギアスイッチ73を押圧する。開放機構50については、従動ギア51の操作部51cがオープンレバー53の操作受部53aから離反し、オープンレバー53はスプリング56(図13参照)の付勢力によって操作位置から非操作位置に回転する。その結果、クロー28は、図示しないスプリングの付勢力によって、係止解除位置から係止位置に戻る。
【0103】
これにより、ギアスイッチ73の出力は、オン状態からオフ状態に切り替わり、クロースイッチ75の出力は、オフ状態からオン状態に切り替わる。他のスイッチ71,72,74の出力は、図20に示す状態から変化しない。これらスイッチ71~75の検出状態出力によって、制御部70は、ギア部材41が初期位置に戻ったことを検出し、アクチュエータ60を停止させて、開放制御を終了する。
【0104】
このように構成したドアラッチ装置20は、以下の特徴を有する。
【0105】
ドアラッチ装置20が備える閉鎖機構40は、フォーク26と一体に回転する連動軸27に設けられた支持部43cと、支持部43cを操作する操作部41eを有するギア部材41とを備え、ギア部材41のギア部41cがアクチュエータ60の駆動ギア63に噛み合っている。アクチュエータ60の駆動ギア63を除き、閉鎖機構40が備えるギア部材41は1個のみであり、このギア部材41が有するギア部41cも1つのみである。そのため、2個の2段ギアを用いる場合と比較して、ギア部材41の軸方向(X方向)の配置スペース、及びギア部材41の軸方向と交差する横方向(Y方向又はZ方向)の配置スペースを削減できる。したがって、ドアラッチ装置20の小型化を図ることができる。よって、農業用トラクタに適用した場合、ドアラッチ装置20がユーザの視界の妨げることを最小限に抑えることができる。
【0106】
ギア部材41が軸孔41dを有し、操作部41eが軸孔41dの孔壁から突出している。そのため、ギア部材41の内周に設けられた操作部41eによって、連動軸27から突出した支持部43cが操作される。よって、ギア部材41の軸方向の配置スペースを削減できるため、更にドアラッチ装置20の小型化を図ることができる。
【0107】
フォーク26がオープン位置にあり、ギア部材41が初期位置にある状態で、ギア部材41の回転を伴うことなく、オープン位置からラッチ位置に向けたフォーク26の回転に伴う支持部43cの回転を許容する第1空隙領域45が軸孔41dに設けられている。そのため、シールゴム5(図1参照)の反力よりも強い力でドア1を閉操作した場合、ギア部材41の操作部41eに支持部43cが干渉することなく、オープン位置のフォーク26をラッチ位置まで回転できる。よって、ユーザによるドア1の閉操作によって、ドア1を確実に閉じることができる。
【0108】
フォーク26がラッチ位置にあり、ギア部材41が初期位置にある状態で、フォーク26の回転を伴うことなく、第2の向きB2へのギア部材41の回転に伴う操作部41eの回転を許容する第2空隙領域46が軸孔41dに設けられている。そのため、ギア部材41を第2の向きB2へ回転させるアクチュエータ60の駆動によって、係止位置のクロー28を係止解除位置に回転させる開放機構50の作動に影響を与えることを防止できる。
【0109】
ギア部材41を第2の向きB2へ回転させるアクチュエータ60の駆動によって、係止位置のクロー28を係止解除位置に回転させる開放機構50を備える。よって、閉鎖状態のドア1を自動開放できるため、ユーザの利便性を向上できる。1個のアクチュエータ60を閉鎖機構40と開放機構50で共用するため、更にドアラッチ装置20を小型化できる。
【0110】
アクチュエータ本体62は、閉鎖機構40が備えるギア部材41と開放機構50が備える従動ギア51に対して、連動軸27の軸方向(X方向)に重ねて配置されている。よって、アクチュエータ本体62をギア部材41と従動ギア51の横に配置する場合と比較して、Y方向とZ方向の配置スペースを削減できるため、更にドアラッチ装置20を小型化できる。
【0111】
第1角度範囲から第2角度範囲へフォーク26が回転すると、制御部70がアクチュエータ60によってギア部材41を第1の向きB1へ回転させる。続いて、ラッチ位置にフォーク26が回転すると、制御部70がアクチュエータ60によってギア部材41を初期位置に戻す。そのため、閉鎖機構40によってハーフラッチ位置のフォーク26をラッチ位置へ確実に回転できる。
【0112】
ドアスイッチ74が操作されると、ギア部材41が第2の向きB2へ回転するように、制御部70がアクチュエータ60を駆動させる。続いて、係止位置のクロー28が係止解除位置に回転すると、制御部70がアクチュエータ60を停止させた後、第2角度範囲から第1角度範囲へフォーク26が回転すると、制御部70がアクチュエータ60によってギア部材41を初期位置に戻す。つまり、ハーフラッチ位置を越えてオープン位置側へフォーク26が回転まで、クロー28が係止解除位置に保持される。よって、クロー28がハーフラッチ位置のフォーク26を係止し、半ドア状態になることを防止できる。
【0113】
なお、本発明のドアラッチ装置20は、前記実施形態の構成に限定されず、種々の変更が可能である。
【0114】
例えば、閉鎖機構40のギア部材41と支持部材43は、フォーク26の連動軸27の軸方向に隣接して配置されてもよい。
【0115】
ギア部材41の操作部41e及び支持部材43の支持部43cは、1組だけであってもよいし、3組以上であってもよい。1組のみとした場合、第1空隙領域45と第2空隙領域46の緻密な設計は不要であるため、操作部41e及び支持部43cの設計に関する自由度を向上できる。3組以上とした場合、個々の操作部41eと支持部43cに加わる負荷を低減できる。
【0116】
開放機構50を設けることなく、閉鎖機構40のみを設けてもよい。制御部70による閉鎖制御は、スイッチ71~73の出力に基づく構成に限られず、ハーフラッチ位置のフォーク26をラッチ位置に回転可能な構成であれば、必要に応じて変更が可能である。制御部70による開放制御は、スイッチ71,73~75の出力に基づく構成に限られず、係止位置のクロー28を係止解除位置に回転可能な構成であれば、必要に応じて変更が可能である。
【0117】
ドアラッチ装置20は、農業用トラクタに限られず、乗用車に搭載されてもよい。
【符号の説明】
【0118】
1 ドア
2 車体
3 枠壁
4 ストライカ
5 シールゴム
10 ベース部材
11 ドアハンドル
12 操作部
13 キー穴
20 ドアラッチ装置
25 ラッチ機構
26 フォーク
26a 係合溝
26b 取付孔
26c 第1係止受部
26d 第2係止受部
26e 操作部
27 連動軸
27a 取付部
27b 取付部
28 クロー
28a 係止部
28b 操作受部
28c 操作部
29 回転軸
30 外装ケース
30a 端壁
30b 外周壁
30c 開口
30d 挿通孔
30e ボス
30f 導出孔
33 フレーム
34 ベースプレート
34a ベース部
34b 屈曲部
34c 貫通孔
34d 挿通溝
34e 軸孔
34f 軸孔
34g 連続部
34h 取付部
34i 軸孔
34j 軸孔
34k ブラケット部
34l ボルト孔
34m ブラケット部
34n 挿通孔
34o 加締孔
35 フェンスブロック
35a 挿通溝
35b 貫通孔
35c 貫通孔
35d 貫通孔
36 カバープレート
36a 第1カバー部
36b 第2カバー部
36c 据付部
36d 貫通孔
36e 軸孔
36f 支持部
36g 軸孔
36h 加締孔
36i 軸孔
37 台座
37a 取付部
37b 側部
37c 据付部
37d 貫通孔
37e 開口部
37f ネジ孔
37g 挿通孔
40 閉鎖機構
41 ギア部材
41a 第1面
41b 第2面
41c ギア部
41d 軸孔
41e 操作部
41e1…第1操作部
41e2…第2操作部
41f 当接面
41g 傾斜面
42 ワッシャ
43 支持部材
43a 本体部
43b 取付孔
43c 支持部
43c1…第1支持部
43c2…第2支持部
43d 被当接面
43e 摺接面
43f 連続面
44 隙間
45 第1空隙領域
46 第2空隙領域
50 開放機構
51 従動ギア
51a 軸部
51b ギア部
51c 操作部
52 回転軸
53 オープンレバー
53a 操作受部
53b 操作部
53c 手動操作受部
54 回転軸
55 ロッド
56 スプリング
60 アクチュエータ
61 電動モータ
62 アクチュエータ本体
63 駆動ギア
63a 軸部
70 制御部
71 第1フォークスイッチ
72 第2フォークスイッチ
73 ギアスイッチ
74 ドアスイッチ
75 クロースイッチ
76 スイッチケース
76a 操作ロッド
77 当接部材
78 ケーブル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12A
図12B
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20