IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 新電元工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-電源装置 図1
  • 特開-電源装置 図2
  • 特開-電源装置 図3
  • 特開-電源装置 図4
  • 特開-電源装置 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022136594
(43)【公開日】2022-09-21
(54)【発明の名称】電源装置
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/28 20060101AFI20220913BHJP
   H02M 3/155 20060101ALI20220913BHJP
   H02M 7/12 20060101ALI20220913BHJP
【FI】
H02M3/28 Q
H02M3/28 U
H02M3/155 U
H02M7/12 Q
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021036284
(22)【出願日】2021-03-08
(71)【出願人】
【識別番号】000002037
【氏名又は名称】新電元工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山田 規昭
【テーマコード(参考)】
5H006
5H730
【Fターム(参考)】
5H006AA02
5H006CA02
5H006CC08
5H006DA04
5H006DB01
5H730AA14
5H730AA18
5H730AS01
5H730AS04
5H730BB14
5H730BB26
5H730BB27
5H730BB62
5H730BB82
5H730BB86
5H730BB88
5H730CC01
5H730DD03
5H730DD04
5H730DD16
5H730EE03
5H730EE04
5H730EE07
5H730EE76
5H730FF09
(57)【要約】
【課題】効率の低下を抑制できる電源装置を提供する。
【解決手段】電源装置は、入力される交流電力の力率を改善する力率改善回路と、力率改善回路の出力電圧を変換して出力するDC-DCコンバータと、DC-DCコンバータのスイッチング動作を制御するDC-DCコンバータ制御部と、DC-DCコンバータのスイッチング周波数に基づいて、力率改善回路の出力電圧の目標値を算出する目標値算出部と、力率改善回路の出力電圧が目標値となるように力率改善回路のスイッチング動作を制御する力率改善回路制御部と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力される交流電力の力率を改善する力率改善回路と、
前記力率改善回路の出力電圧を変換して出力するDC-DCコンバータと、
前記DC-DCコンバータのスイッチング動作を制御するDC-DCコンバータ制御部と、
前記DC-DCコンバータのスイッチング周波数に基づいて、前記力率改善回路の出力電圧の目標値を算出する目標値算出部と、
前記力率改善回路の出力電圧が前記目標値となるように前記力率改善回路のスイッチング動作を制御する力率改善回路制御部と、
を備える、
電源装置。
【請求項2】
前記目標値算出部は、
前記スイッチング周波数が、第1周波数閾値以上の場合には、前回の制御タイミングでの前記目標値から正の第1定数を減算することにより、今回の制御タイミングでの前記目標値を算出する、
ことを特徴とする、請求項1に記載の電源装置。
【請求項3】
前記目標値算出部は、
前記スイッチング周波数が、前記第1周波数閾値未満の場合には、前回の制御タイミングでの前記目標値に正の第2定数を加算することにより、今回の制御タイミングでの前記目標値を算出する、
ことを特徴とする、請求項2に記載の電源装置。
【請求項4】
前記目標値算出部は、
前記スイッチング周波数が、前記第1周波数閾値より小さい第2周波数閾値未満の場合には、前回の制御タイミングでの前記目標値に正の第3定数を加算することにより、今回の制御タイミングでの前記目標値を算出する、
ことを特徴とする、請求項3に記載の電源装置。
【請求項5】
前記第2定数は、
前記第1定数に、1よりも大きな第1係数を乗算した値である、
ことを特徴とする、請求項4に記載の電源装置。
【請求項6】
前記第3定数は、
前記第1定数に、前記第1係数よりも大きな第2係数を乗算した値である、
ことを特徴とする、請求項5に記載の電源装置。
【請求項7】
前記DC-DCコンバータは、電流共振コンバータであり、
前記第2周波数閾値は、前記電流共振コンバータの共振周波数よりも大きい、
ことを特徴とする、請求項4から6のいずれか1項に記載の電源装置。
【請求項8】
前記目標値算出部は、
比例、積分若しくは微分又はこれらの組み合わせの制御によって、前記力率改善回路の出力電圧の目標値を算出し、
前記スイッチング周波数に基づいて、前記制御の制御定数を変更する、
ことを特徴とする、請求項1に記載の電源装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、力率改善回路と、電流共振コンバータと、を含む、スイッチング電源装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012-249363号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
力率改善回路の出力電圧を適切に設定すると、電流共振コンバータは、目標の出力電圧、出力電流を出力できる(出不足なし)。しかし、力率改善回路の出力電圧を低く設定すると、電流共振コンバータは、目標の出力電圧、出力電流を出力できない(出不足あり)。
【0005】
電流共振コンバータの効率は、共振周波数で最も高くなる。力率改善回路の出力電圧を高く設定すると、電流共振コンバータは、目標の出力電圧、出力電流を出力できるが(出不足なし)、スイッチング周波数が共振周波数よりも高くなるので、効率が低下する。
【0006】
特許文献1では、力率改善回路の出力電圧を軽負荷時だけ低下させる。従って、重負荷時などの動作時に、電流共振コンバータの回路定数ばらつきを加味し、力率改善回路の出力電圧を、電流共振コンバータが最も高効率となる電圧に設定できておらず、電流共振コンバータの効率の低下が生じ得る。
【0007】
本発明は、効率の低下を抑制することが可能な電源装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様の電源装置は、
入力される交流電力の力率を改善する力率改善回路と、
前記力率改善回路の出力電圧を変換して出力するDC-DCコンバータと、
前記DC-DCコンバータのスイッチング動作を制御するDC-DCコンバータ制御部と、
前記DC-DCコンバータのスイッチング周波数に基づいて、前記力率改善回路の出力電圧の目標値を算出する目標値算出部と、
前記力率改善回路の出力電圧が前記目標値となるように前記力率改善回路のスイッチング動作を制御する力率改善回路制御部と、
を備える、
ことを特徴とする。
【0009】
前記電源装置において、
前記目標値算出部は、
前記スイッチング周波数が、第1周波数閾値以上の場合には、前回の制御タイミングでの前記目標値から正の第1定数を減算することにより、今回の制御タイミングでの前記目標値を算出する、
ことを特徴とする。
【0010】
前記電源装置において、
前記目標値算出部は、
前記スイッチング周波数が、前記第1周波数閾値未満の場合には、前回の制御タイミングでの前記目標値に正の第2定数を加算することにより、今回の制御タイミングでの前記目標値を算出する、
ことを特徴とする。
【0011】
前記電源装置において、
前記目標値算出部は、
前記スイッチング周波数が、前記第1周波数閾値より小さい第2周波数閾値未満の場合には、前回の制御タイミングでの前記目標値に正の第3定数を加算することにより、今回の制御タイミングでの前記目標値を算出する、
ことを特徴とする。
【0012】
前記電源装置において、
前記第2定数は、
前記第1定数に、1よりも大きな第1係数を乗算した値である、
ことを特徴とする。
【0013】
前記電源装置において、
前記第3定数は、
前記第1定数に、前記第1係数よりも大きな第2係数を乗算した値である、
ことを特徴とする。
【0014】
前記電源装置において、
前記DC-DCコンバータは、電流共振コンバータであり、
前記第2周波数閾値は、前記電流共振コンバータの共振周波数よりも大きい、
ことを特徴とする。
【0015】
前記電源装置において、
前記目標値算出部は、
比例、積分若しくは微分又はこれらの組み合わせの制御によって、前記力率改善回路の出力電圧の目標値を算出し、
前記スイッチング周波数に基づいて、前記制御の制御定数を変更する、
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明の一態様の電源装置は、効率の低下を抑制することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、第1の実施の形態の電源装置の構成を示す図である。
図2図2は、DC-DCコンバータのスイッチング周波数の一例を示す波形図である。
図3図3は、第2の実施の形態の電源装置の構成を示す図である。
図4図4は、第3の実施の形態の電源装置の構成を示す図である。
図5図5は、第4の実施の形態の電源装置の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、本発明の電源装置の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態により本発明が限定されるものではない。
【0019】
<第1の実施の形態>
(全体構成)
図1は、第1の実施の形態の電源装置の構成を示す図である。電源装置1は、交流入力電圧の供給を電源2から受けて、直流の出力電圧又は出力電流を負荷3に出力する。
【0020】
電源装置1は、整流回路4と、チョークコイル5と、力率改善(Power Factor Correction:PFC)回路6と、DC-DCコンバータ7と、制御装置8と、を含む。
【0021】
整流回路4は、ブリッジダイオードとするが、本開示はこれに限定されない。
【0022】
整流回路4は、ダイオード4aから4dまでを含む。ダイオード4aのアノードは、ダイオード4bのカソードに電気的に接続されている。ダイオード4cのアノードは、ダイオード4dのカソードに電気的に接続されている。ダイオード4aのカソードは、ダイオード4cのカソードに電気的に接続されている。ダイオード4bのアノードは、ダイオード4dのアノードに電気的に接続されている。
【0023】
ダイオード4aのアノードとダイオード4bのカソードとの接続点が、整流回路4の一方の入力端子である。ダイオード4cのアノードとダイオード4dのカソードとの接続点が、整流回路4の他方の入力端子である。整流回路4の2つの入力端子は、電源2に電気的に接続されている。
【0024】
ダイオード4aのカソードとダイオード4cのカソードとの接続点が、整流回路4の一方(高電位側)の出力端子である。ダイオード4bのアノードとダイオード4dのアノードとの接続点が、整流回路4の他方(低電位側)の出力端子である。
【0025】
整流回路4は、電源2から入力される交流入力電圧を全波整流して、力率改善回路6に出力する。
【0026】
力率改善回路6は、ダイオード6aと、トランジスタ6bと、コンデンサ6cと、を含む。
【0027】
なお、本開示では、各トランジスタがMOSFETであることとしたが、これに限定されない。各トランジスタは、シリコンパワーデバイス、GaNパワーデバイス、SiCパワーデバイス、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)などでも良い。
【0028】
各トランジスタは、寄生ダイオード(ボディダイオード)を有する。寄生ダイオードとは、MOSFETのバックゲートとソース及びドレインとの間のpn接合である。寄生ダイオードは、トランジスタのオフ時の過渡的な逆起電力を逃すためのフリーホイールダイオードとして利用可能である。寄生ダイオードに加えて、各トランジスタのドレインとソース間にダイオード素子を付加しても良い。
【0029】
ダイオード6aのアノードは、トランジスタ6bのドレインに電気的に接続されている。
【0030】
トランジスタ6bは、制御装置8により、オン状態又はオフ状態に制御される。
【0031】
ダイオード6aのカソードは、コンデンサ6cの一端(高電位側端)に電気的に接続されている。トランジスタ6bのソースは、コンデンサ6cの他端(低電位側端)に電気的に接続されている。
【0032】
ダイオード6aのアノードとトランジスタ6bのドレインとの接続点が、力率改善回路6の一方の入力端子である。トランジスタ6bのソースとコンデンサ6cの他端との接続点が、力率改善回路6の他方の入力端子である。コンデンサ6cの両端が、力率改善回路6の出力端子である。
【0033】
力率改善回路6の一方の入力端子は、チョークコイル5を介して、整流回路4の一方の出力端子に電気的に接続されている。力率改善回路6の他方の入力端子は、整流回路4の他方の出力端子に電気的に接続されている。
【0034】
力率改善回路6内のトランジスタ6bがオン状態に制御されると、電流が整流回路4→チョークコイル5→トランジスタ6b→整流回路4の経路に流れる。これにより、チョークコイル5にエネルギが蓄えられる。
【0035】
力率改善回路6内のトランジスタ6bがオフ状態に制御されると、電流が整流回路4→チョークコイル5→ダイオード6a→コンデンサ6c→整流回路4の経路に流れる。これにより、力率改善回路6内のコンデンサ6cが蓄電される。
【0036】
DC-DCコンバータ7は、トランス駆動回路11と、トランス12と、整流回路13と、コンデンサ14と、を含む。
【0037】
DC-DCコンバータ7は、ハーフブリッジ型の電流共振コンバータ(LLCコンバータ)とするが、本開示はこれに限定されない。
【0038】
トランス駆動回路11は、トランジスタ11a及び11bと、コンデンサ11c及び11dと、を含む。第1の実施の形態では、トランス駆動回路11は、ハーフブリッジ回路である。
【0039】
トランジスタ11a及び11bの各々は、制御装置8によってオン状態又はオフ状態に制御される。
【0040】
トランジスタ11aのソースは、トランジスタ11bのドレインに電気的に接続されている。トランジスタ11aのドレインは、コンデンサ11cの一端(高電位側端)に電気的に接続されている。コンデンサ11cの他端(低電位側端)は、コンデンサ11dの一端(高電位側端)に電気的に接続されている。トランジスタ11bのソースは、コンデンサ11dの他端(低電位側端)に電気的に接続されている。
【0041】
トランジスタ11aのドレインとコンデンサ11cの一端との接続点が、トランス駆動回路11の一方の入力端子である。トランジスタ11bのソースとコンデンサ11dの他端との接続点が、トランス駆動回路11の他方の入力端子である。
【0042】
トランス駆動回路11の一方の入力端子は、力率改善回路6内のコンデンサ6cの一端に電気的に接続されている。トランス駆動回路11の他方の入力端子は、コンデンサ6cの他端に電気的に接続されている。
【0043】
トランス駆動回路11の2つの入力端子には、力率改善回路6内のコンデンサ6cの電圧が入力される。
【0044】
コンデンサ11cの他端とコンデンサ11dの一端との接続点が、トランス駆動回路11の一方の出力端子である。トランジスタ11aのソースとトランジスタ11bのドレインとの接続点が、トランス駆動回路11の他方の出力端子である。
【0045】
トランス12は、1次巻線12aと、2次巻線12bと、コア12cと、を含む。1次巻線12a及び2次巻線12bは、コア12cに巻回されている。
【0046】
DC-DCコンバータ7は、トランス駆動回路11とトランス12との間に、インダクタンス12eを含む。インダクタンス12eは、トランス12に含まれても良い。
【0047】
1次巻線12aは、励磁インダクタンス12dを含む。1次巻線12aの一端は、トランス駆動回路11の一方の出力端子に電気的に接続されている。1次巻線12aの他端は、トランス駆動回路11の他方の出力端子に電気的に接続されている。なお、励磁インダクタンス12dでは不足の場合は、インダクタンスを有する素子を更に付加しても良い。
【0048】
トランス駆動回路11は、正方向の直流電圧、負方向の直流電圧、又は、共振電圧をトランス12の1次巻線12aに出力する。共振電圧は、トランジスタ11a及び11bの容量成分と、インダクタンス成分(インダクタンス12e及び励磁インダクタンス12d)とによるLC共振で生じる電圧である。
【0049】
例えば、トランス駆動回路11は、トランジスタ11aがオフ状態、且つ、トランジスタ11bがオン状態の場合、正方向の直流電圧をトランス12の1次巻線12aに出力する。
【0050】
また例えば、トランス駆動回路11は、トランジスタ11aがオン状態、且つ、トランジスタ11bがオフ状態の場合、負方向の直流電圧をトランス12の1次巻線12aに出力する。
【0051】
また例えば、トランス駆動回路11は、トランジスタ11aがオフ状態、且つ、トランジスタ11bがオフ状態の場合、共振電圧をトランス12の1次巻線12aに出力する。
【0052】
整流回路13は、ダイオード13a及び13bを含む。ダイオード13aのアノードは、トランス12の2次巻線12bの一端に電気的に接続されている。ダイオード13bのアノードは、トランス12の2次巻線12bの他端に電気的に接続されている。
【0053】
ダイオード13aのカソード及びダイオード13bのカソードは、コンデンサ14の一端(高電位側端)に電気的に接続されている。コンデンサ14の他端(低電位側端)は、トランス12の2次巻線12bの中点に電気的に接続されている。
【0054】
整流回路13は、トランス12の2次巻線12bに励磁される電圧を整流して、コンデンサ14に出力する。コンデンサ14は、整流回路13で整流された電圧を平滑化する。整流回路13は、同期整流スイッチング素子で構成されても良い。
【0055】
コンデンサ14の一端は、負荷3の一端(例えば、リチウムイオン電池の正極)に電気的に接続されている。コンデンサ14の他端は、負荷3の他端(例えば、リチウムイオン電池の負極)に電気的に接続されている。負荷3には、コンデンサ14で平滑化された直流電圧が入力される。
【0056】
制御装置8は、第1プロセッサ21及び第2プロセッサ22を含む。なお、制御装置8は2個のプロセッサで構成されることとしたが、本開示はこれに限定されない。制御装置8は、1個のプロセッサで構成されても良い。
【0057】
第1プロセッサ21及び第2プロセッサ22の各々は、DSP(Digital Signal Processor)、CPU(Central Processing Unit)等が例示されるが、本開示はこれらに限定されない。
【0058】
第1プロセッサ21は、プログラムを実行することにより、DC-DCコンバータ制御部21a及び目標値算出部21bを実現する。第2プロセッサ22は、プログラムを実行することにより、力率改善回路制御部22aを実現する。
【0059】
DC-DCコンバータ制御部21aは、スイッチング制御信号SをDC-DCコンバータ7のトランジスタ11a及び11bのゲートに出力することにより、DC-DCコンバータ7のスイッチング動作を制御する。DC-DCコンバータ制御部21aは、スイッチング制御信号Sのスイッチング周波数を表す周波数信号Sを、目標値算出部21bに出力する。
【0060】
目標値算出部21bは、周波数信号Sに基づいて、力率改善回路6の出力電圧の目標値を算出する。目標値算出部21bは、力率改善回路6の出力電圧の目標値を表す目標値信号Sを、力率改善回路制御部22aに出力する。
【0061】
力率改善回路制御部22aは、目標値信号Sに基づいて、スイッチング制御信号Sを力率改善回路6のトランジスタ6bのゲートに出力することにより、力率改善回路6の出力電圧が目標値となるように力率改善回路6のスイッチング動作を制御する。
【0062】
なお、目標値算出部21bは、第2プロセッサ22によって実現されても良い。但し、その場合、第2プロセッサ22が周波数信号Sを第1プロセッサ21から受けて目標値信号Sを算出するまでのタイムラグがある。一方、本実施の形態のように、目標値算出部21bが第1プロセッサ21によって実現されることとすると、第1プロセッサ21は、スイッチング制御信号Sを生成する過程でスイッチング周波数が判明しているので、目標値信号Sを算出するまでのタイムラグを抑制できる。
【0063】
(制御動作)
図2は、DC-DCコンバータのスイッチング周波数の一例を示す波形図である。図2において、横軸は、時間を表し、縦軸は、DC-DCコンバータ7のスイッチング周波数を表す。波形100は、DC-DCコンバータ7のスイッチング周波数fの時間変化を表す。波形100上の複数の点は、DC-DCコンバータ7のスイッチング周波数fの、制御装置8の制御タイミングでのサンプリング値である。
【0064】
力率改善回路6の出力電圧は、電源2の周波数の2倍の周波数で変動するので、DC-DCコンバータ7のスイッチング周波数fも、電源2の周波数の2倍の周波数で変動する。波形100の1周期Tは、電源2の1周期の2分の1である。
【0065】
DC-DCコンバータ制御部21aは、DC-DCコンバータ7のスイッチング周波数fを表す周波数信号Sを、目標値算出部21bに出力する。目標値算出部21bは、周波数信号S、つまりスイッチング周波数fに基づいて、力率改善回路6の出力電圧の目標値を算出する。目標値算出部21bは、力率改善回路6の出力電圧の目標値を表す目標値信号Sを、力率改善回路制御部22aに出力する。力率改善回路制御部22aは、目標値信号S、つまり、力率改善回路6の出力電圧の目標値に基づいて、スイッチング制御信号Sを力率改善回路6に出力することにより、力率改善回路6の出力電圧が目標値となるように力率改善回路6のスイッチング動作を制御する。
【0066】
一例として、出力電流を途切れさせない連続モードの場合、第2周波数閾値Thは、DC-DCコンバータ7の共振周波数fres(例えば、60kHz)よりも少し大きな値(例えば、65kHz)に設定される。第1周波数閾値Thは、第2周波数閾値Thよりも少し大きな値(例えば、70kHz)に設定される。
【0067】
本開示において、「少し大きな」とは、1kHzから10kHz程度大きいことが例示される。好ましくは、3kHzから7kHz程度大きいことが例示される。より好ましくは、5kHz程度大きいことが例示される。但し、本開示は、これらに限定されない。
【0068】
なお、出力電流を途切れさせる不連続モードも可能である。つまり、第2周波数閾値Thは、共振周波数fres以下に設定されることも可能である。
【0069】
目標値算出部21bは、DC-DCコンバータ7のスイッチング周波数fが第1周波数閾値Th以上の場合(図2中の領域101)、次の式(1)により、今回の制御タイミングでの力率改善回路6の出力電圧の目標値を算出する。式(1)において、第1定数は、正の値である。
(今回の力率改善回路6の出力電圧の目標値)
=(前回の力率改善回路6の出力電圧の目標値)-(第1定数) ・・・(1)
【0070】
これにより、力率改善回路6の出力電圧の目標値は、緩やかに下降する。
【0071】
目標値算出部21bは、DC-DCコンバータ7のスイッチング周波数fが第1周波数閾値Th未満且つ第2周波数閾値Th以上の場合(図2中の領域102)、次の式(2)により、今回の制御タイミングでの力率改善回路6の出力電圧の目標値を算出する。
(今回の力率改善回路6の出力電圧の目標値)
=(前回の力率改善回路6の出力電圧の目標値)+(第2定数) ・・・(2)
【0072】
式(2)において、第2定数は、正の値であり、例えば、(第1定数)×(第1係数K1)が例示される。第1係数K1は、「1」より大きな値であり、「5」から「35」程度が例示される。より好ましくは、「15」から「25」程度が例示される。更に好ましくは、「20」程度が例示される。但し、本開示は、これらに限定されない。
【0073】
これにより、力率改善回路6の出力電圧の目標値は、急速に上昇する。
【0074】
目標値算出部21bは、DC-DCコンバータ7のスイッチング周波数fが第2周波数閾値Th未満の場合(図2中の領域103)、次の式(3)により、今回の制御タイミングでの力率改善回路6の出力電圧の目標値を算出する。
(今回の力率改善回路6の出力電圧の目標値)
=(前回の力率改善回路6の出力電圧の目標値)+(第3定数) ・・・(3)
【0075】
式(3)において、第3定数は、正の値であり、例えば、(第1定数)×(第2係数K2)が例示される。第2係数K2は、第1係数K1より大きな値であり、「25」から「55」程度が例示される。より好ましくは、「35」から「45」程度が例示される。更に好ましくは、「40」程度が例示される。但し、本開示は、これらに限定されない。
【0076】
これにより、力率改善回路6の出力電圧の目標値は、更に急速に上昇する。これにより、出不足を抑制でき、応答を早くできる。
【0077】
第1定数、第2定数(つまり、第1係数K1)、第3定数(つまり、第2係数K2)は、負荷急変、起動時のソフトスタート等に対応できるように、回路を構成する素子の素子値、必要とされる応答性能等に基づいて、予め設定される。
【0078】
(効果)
電流共振コンバータの効率は、共振周波数で最も高くなる。制御装置8は、DC-DCコンバータ7のスイッチング周波数fが第1周波数閾値Thに近づく方向に変化するように、力率改善回路6の出力電圧を制御する。これにより、DC-DCコンバータ7は、第1周波数閾値Thに近づくように動作する。従って、電源装置1は、DC-DCコンバータ7の効率の低下を抑制できる。
【0079】
また、制御装置8は、DC-DCコンバータ7のスイッチング周波数fが第1周波数閾値Th未満の場合、力率改善回路6の出力電圧の目標値を急速に上昇させる。更に、制御装置8は、DC-DCコンバータ7のスイッチング周波数fが第2周波数閾値Th未満の場合、力率改善回路6の出力電圧の目標値を更に急速に上昇させる。これにより、電源装置1は、出不足を抑制でき、応答を早くできる。
【0080】
(変形例)
上記では、目標値算出部21bが、スイッチング周波数fに基づいて、前回の力率改善回路6の出力電圧の目標値から第1定数を減じたり、第2定数を加えたり、第3定数を加えたりすることにより、今回の力率改善回路6の出力電圧の目標値を算出することとしたが、本開示はこれに限定されない。例えば、目標値算出部21bは、スイッチング周波数fにP(比例)制御、PI(比例積分)制御、PD(比例微分)制御、PID(比例積分微分)制御等を実施することによって、今回の力率改善回路6の出力電圧の目標値を算出することとしても良い。そして、目標値算出部21bは、スイッチング周波数fに基づいて、制御定数(比例ゲイン、積分ゲイン、積分時間、微分ゲイン、微分時間等)を変更する(大きくしたり小さくしたりする)こととしても良い。
【0081】
例えば、目標値算出部21bは、スイッチング周波数fが第1周波数閾値Th以上の場合には、第1の比例ゲインとし、スイッチング周波数fが第1周波数閾値Th未満且つ第2周波数閾値Th以上の場合には、第1の比例ゲインより大きい第2の比例ゲインとし、スイッチング周波数fが第2周波数閾値Th未満の場合には、第2の比例ゲインより大きい第3の比例ゲインとすることが例示されるが、本開示はこれに限定されない。
【0082】
例えば、目標値算出部21bは、スイッチング周波数fが第1周波数閾値Th以上の場合には、第1の積分ゲインとし、スイッチング周波数fが第1周波数閾値Th未満且つ第2周波数閾値Th以上の場合には、第1の積分ゲインより大きい第2の積分ゲインとし、スイッチング周波数fが第2周波数閾値Th未満の場合には、第2の積分ゲインより大きい第3の積分ゲインとすることが例示されるが、本開示はこれに限定されない。
【0083】
例えば、目標値算出部21bは、スイッチング周波数fが第1周波数閾値Th以上の場合には、第1の微分ゲインとし、スイッチング周波数fが第1周波数閾値Th未満且つ第2周波数閾値Th以上の場合には、第1の微分ゲインより大きい第2の微分ゲインとし、スイッチング周波数fが第2周波数閾値Th未満の場合には、第2の微分ゲインより大きい第3の微分ゲインとすることが例示されるが、本開示はこれに限定されない。
【0084】
<第2の実施の形態>
第2の実施の形態の構成要素のうち、第1の実施の形態と同一の構成要素については、同一の参照符号を付して、説明を省略する。
【0085】
第1の実施の形態では、DC-DCコンバータ7をハーフブリッジ型のLLCコンバータとしたが、フルブリッジ型のLLCコンバータであっても良い。
【0086】
図3は、第2の実施の形態の電源装置の構成を示す図である。電源装置1Aは、電源装置1(図1参照)と比較して、DC-DCコンバータ7に代えて、DC-DCコンバータ7Aを含む。DC-DCコンバータ7Aは、フルブリッジ型のLLCコンバータである。
【0087】
DC-DCコンバータ7Aは、DC-DCコンバータ7(図1参照)と比較して、トランス駆動回路11に代えて、トランス駆動回路11Aを含む。また、DC-DCコンバータ7Aは、整流回路13に代えて、整流回路13Aを含む。
【0088】
トランス駆動回路11Aは、トランス駆動回路11(図1参照)と比較して、コンデンサ11c及び11dに代えて、トランジスタ11e及び11fを含む。
【0089】
トランジスタ11a、11b、11e及び11fの各々は、制御装置8によってオン状態又はオフ状態に制御される。
【0090】
トランジスタ11aのドレインは、トランジスタ11eのドレインに電気的に接続されている。トランジスタ11bのソースは、トランジスタ11fのソースに電気的に接続されている。トランジスタ11eのソースは、トランジスタ11fのドレインに電気的に接続されている。
【0091】
トランジスタ11aのドレインとトランジスタ11eのドレインとの接続点が、トランス駆動回路11Aの一方の入力端子である。トランジスタ11bのソースとトランジスタ11fのソースとの接続点が、トランス駆動回路11Aの他方の入力端子である。
【0092】
トランス駆動回路11Aの一方の入力端子は、力率改善回路6内のコンデンサ6cの一端に電気的に接続されている。トランス駆動回路11Aの他方の入力端子は、コンデンサ6cの他端に電気的に接続されている。
【0093】
トランス駆動回路11Aの2つの入力端子には、力率改善回路6内のコンデンサ6cの電圧が入力される。
【0094】
トランジスタ11eのソースとトランジスタ11fのドレインとの接続点が、トランス駆動回路11Aの一方の出力端子である。トランジスタ11aのソースとトランジスタ11bのドレインとの接続点が、トランス駆動回路11Aの他方の出力端子である。
【0095】
トランス12の1次巻線12aの一端は、コンデンサ12fを介して、トランス駆動回路11Aの一方の出力端子に電気的に接続されている。1次巻線12aの他端は、トランス駆動回路11Aの他方の出力端子に電気的に接続されている。
【0096】
トランス駆動回路11Aは、正方向の直流電圧、負方向の直流電圧、又は、共振電圧をトランス12の1次巻線12aに出力する。
【0097】
例えば、トランス駆動回路11Aは、トランジスタ11b及び11eがオン状態、且つ、トランジスタ11a及び11fがオフ状態の場合、正方向の直流電圧をトランス12の1次巻線12aに出力する。
【0098】
また例えば、トランス駆動回路11Aは、トランジスタ11b及び11eがオフ状態、且つ、トランジスタ11a及び11fがオン状態の場合、負方向の直流電圧をトランス12の1次巻線12aに出力する。
【0099】
また例えば、トランス駆動回路11Aは、トランジスタ11a、11b、11e及び11fがオフ状態の場合、共振電圧をトランス12の1次巻線12aに出力する。
【0100】
整流回路13Aは、ブリッジダイオードとするが、本開示はこれに限定されない。
【0101】
整流回路13Aは、ダイオード13cから13fまでを含む。ダイオード13cのアノードは、ダイオード13dのカソードに電気的に接続されている。ダイオード13eのアノードは、ダイオード13fのカソードに電気的に接続されている。
【0102】
ダイオード13cのカソード及びダイオード13eのカソードは、コンデンサ14の一端に電気的に接続されている。ダイオード13dのアノード及びダイオード13fのアノードは、コンデンサ14の他端に電気的に接続されている。
【0103】
ダイオード13cのアノードとダイオード13dのカソードとの接続点が、整流回路13Aの一方の入力端子である。ダイオード13eのアノードとダイオード13fのカソードとの接続点が、整流回路13Aの他方の入力端子である。
【0104】
整流回路13Aの一方の入力端子は、トランス12の2次巻線12bの一端に電気的に接続されている。整流回路13Aの他方の入力端子は、トランス12の2次巻線12bの他端に電気的に接続されている。
【0105】
ダイオード13cのカソードとダイオード13eのカソードとの接続点が、整流回路13Aの一方の出力端子である。ダイオード13dのアノードとダイオード13fのアノードとの接続点が、整流回路13Aの他方の出力端子である。
【0106】
整流回路13Aは、トランス12の2次巻線12bに励磁される電圧を全波整流して、コンデンサ14に出力する。コンデンサ14は、整流回路13Aで全波整流された電圧を平滑化する。
【0107】
電源装置1Aは、電源装置1と同様の効果を奏する。
【0108】
<第3の実施の形態>
第3の実施の形態の構成要素のうち、第1又は第2の実施の形態と同一の構成要素については、同一の参照符号を付して、説明を省略する。
【0109】
図4は、第3の実施の形態の電源装置の構成を示す図である。電源装置1Bは、電源装置1A(図3参照)と比較して、整流回路4を含まない。また、電源装置1Bは、力率改善回路6に代えて、第1力率改善回路6B-1及び第2力率改善回路6B-2を含む。また、電源装置1Bは、DC-DCコンバータ7Aに代えて、DC-DCコンバータ7Bを含む。
【0110】
DC-DCコンバータ7Bは、DC-DCコンバータ7A(図3参照)と比較して、トランス駆動回路11Aに代えて、第1トランス駆動回路11A-1及び第2トランス駆動回路11A-2を含む。また、DC-DCコンバータ7Bは、トランス12に代えて、第1トランス12-1及び第2トランス12-2を含む。
【0111】
第1力率改善回路6B-1は、ダイオード6d及び6fと、トランジスタ6e及び6gと、コンデンサ6hと、を含む。
【0112】
ダイオード6dのアノードは、トランジスタ6eのドレインに電気的に接続されている。ダイオード6fのアノードは、トランジスタ6gのドレインに電気的に接続されている。ダイオード6dのカソードは、ダイオード6fのカソードに電気的に接続されている。トランジスタ6eのソースは、トランジスタ6gのソースに電気的に接続されている。
【0113】
トランジスタ6e及び6gは、制御装置8により、オン状態又はオフ状態に制御される。
【0114】
ダイオード6dのカソード及びダイオード6fのカソードは、コンデンサ6hの一端(高電位側端)に電気的に接続されている。トランジスタ6eのソース及びトランジスタ6gのソースは、コンデンサ6hの他端(低電位側端)に電気的に接続されている。
【0115】
ダイオード6dのアノードとトランジスタ6eのドレインとの接続点が、第1力率改善回路6B-1の一方の入力端子である。ダイオード6fのアノードとトランジスタ6gのドレインとの接続点が、第1力率改善回路6B-1の他方の入力端子である。コンデンサ6hの両端が、第1力率改善回路6B-1の出力端子である。
【0116】
第2力率改善回路6B-2の回路構成は、第1力率改善回路6B-1の回路構成と同じであるので、説明を省略する。
【0117】
第1力率改善回路6B-1の一方の入力端子は、チョークコイル5を介して、電源2の一方の出力端子に電気的に接続されている。第1力率改善回路6B-1の他方の入力端子は、第2力率改善回路6B-2の一方の入力端子に電気的に接続されている。第2力率改善回路6B-2の他方の入力端子は、電源2の他方の出力端子に電気的に接続されている。
【0118】
つまり、第1力率改善回路6B-1と第2力率改善回路6B-2とは、直列接続(カスケード接続)されている。
【0119】
電源2の電圧が正極性の場合、まず、第1力率改善回路6B-1及び第2力率改善回路6B-2のトランジスタ6e及び6gがオン状態に制御される。これにより、電流が、電源2→チョークコイル5→第1力率改善回路6B-1のトランジスタ6e→トランジスタ6g→第2力率改善回路6B-2のトランジスタ6e→トランジスタ6g→電源2の経路に流れる。これにより、チョークコイル5にエネルギが蓄えられる。
【0120】
次に、第1力率改善回路6B-1及び第2力率改善回路6B-2のトランジスタ6eはオフ状態に制御され、トランジスタ6gはオン状態に制御される。これにより、電流が、電源2→チョークコイル5→第1力率改善回路6B-1のダイオード6d→コンデンサ6h→トランジスタ6g→第2力率改善回路6B-2のダイオード6d→コンデンサ6h→トランジスタ6g→電源2の経路に流れる。これにより、第1力率改善回路6B-1及び第2力率改善回路6B-2のコンデンサ6hが蓄電される。
【0121】
電源2の電圧が負極性の場合、まず、第1力率改善回路6B-1及び第2力率改善回路6B-2のトランジスタ6e及び6gがオン状態に制御される。これにより、電流が、電源2→第2力率改善回路6B-2のトランジスタ6g→トランジスタ6e→第1力率改善回路6B-1のトランジスタ6g→トランジスタ6e→チョークコイル5→電源2の経路に流れる。これにより、チョークコイル5にエネルギが蓄えられる。
【0122】
次に、第1力率改善回路6B-1及び第2力率改善回路6B-2のトランジスタ6gはオフ状態に制御され、トランジスタ6eはオン状態に制御される。これにより、電流が、電源2→第2力率改善回路6B-2のダイオード6f→コンデンサ6h→トランジスタ6e→第1力率改善回路6B-1のダイオード6f→コンデンサ6h→トランジスタ6e→チョークコイル5→電源2の経路に流れる。これにより、第1力率改善回路6B-1及び第2力率改善回路6B-2のコンデンサ6hが蓄電される。
【0123】
第1トランス駆動回路11A-1及び第2トランス駆動回路11A-2の各々の回路構成は、トランス駆動回路11A(図3参照)の回路構成と同じであるので、説明を省略する。
【0124】
第1トランス駆動回路11A-1の2つの入力端子には、第1力率改善回路6B-1内のコンデンサ6hの電圧が入力される。
【0125】
第2トランス駆動回路11A-2の2つの入力端子には、第2力率改善回路6B-2内のコンデンサ6hの電圧が入力される。
【0126】
第1トランス12-1の1次巻線12aの一端は、コンデンサ12fを介して、第1トランス駆動回路11A-1の一方の出力端子に電気的に接続されている。第1トランス12-1の1次巻線12aの他端は、第1トランス駆動回路11A-1の他方の出力端子に電気的に接続されている。
【0127】
第2トランス12-2の1次巻線12aの一端は、コンデンサ12fを介して、第2トランス駆動回路11A-2の一方の出力端子に電気的に接続されている。第2トランス12-2の1次巻線12aの他端は、第2トランス駆動回路11A-2の他方の出力端子に電気的に接続されている。
【0128】
第1トランス12-1の2次巻線12bの他端と、第2トランス12-2の2次巻線12bの一端と、は電気的に接続されている。つまり、第1トランス12-1の2次巻線12bと、第2トランス12-2の2次巻線12bと、は直列接続されている。
【0129】
整流回路13Aの一方の入力端子は、第1トランス12-1の2次巻線12bの一端に電気的に接続されている。整流回路13Aの他方の入力端子は、第2トランス12-2の2次巻線12bの他端に電気的に接続されている。
【0130】
整流回路13Aは、第1トランス12-1の2次巻線12b及び第2トランス12-2の2次巻線12bに励磁される電圧を全波整流して、コンデンサ14に出力する。
【0131】
電源装置1Bは、電源装置1及び1Aと同様の効果を奏する。
【0132】
<第4の実施の形態>
第4の実施の形態の構成要素のうち、第1、第2又は第3の実施の形態と同一の構成要素については、同一の参照符号を付して、説明を省略する。
【0133】
図5は、第4の実施の形態の電源装置の構成を示す図である。電源装置1Cは、電源装置1(図1参照)と比較して、力率改善回路6に代えて、第1力率改善回路6-1及び第2力率改善回路6-2を含む。また、電源装置1Cは、DC-DCコンバータ7に代えて、DC-DCコンバータ7Cを含む。
【0134】
第1力率改善回路6-1及び第2力率改善回路6-2の各々の回路構成は、力率改善回路6(図1参照)の回路構成と同じであるので、説明を省略する。
【0135】
第1力率改善回路6-1の一方の入力端子は、チョークコイル5-1を介して、整流回路4の一方の出力端子に電気的に接続されている。第1力率改善回路6-1の他方の入力端子は、第2力率改善回路6-2の一方の入力端子に電気的に接続されている。第2力率改善回路6-2の他方の入力端子は、チョークコイル5-2を介して、整流回路4の他方の出力端子に電気的に接続されている。
【0136】
つまり、第1力率改善回路6-1と第2力率改善回路6-2とは、直列接続(カスケード接続)されている。
【0137】
なお、電源装置1Cが、2個のチョークコイル5-1及び5-2を含むこととしたが、本開示はこれに限定されない。チョークコイルはどちらか1個でも良い。
【0138】
第1トランス駆動回路11A-1の2つの入力端子には、第1力率改善回路6-1内のコンデンサ6cの電圧が入力される。第2トランス駆動回路11A-2の2つの入力端子には、第2力率改善回路6-2内のコンデンサ6cの電圧が入力される。
【0139】
整流回路13Aの一方の入力端子は、チョークコイル15-1を介して、第1トランス12-1の2次巻線12bの一端に電気的に接続されている。整流回路13Aの他方の入力端子は、チョークコイル15-2を介して、第2トランス12-2の2次巻線12bの他端に電気的に接続されている。
【0140】
整流回路13Aは、第1トランス12-1の2次巻線12b及び第2トランス12-2の2次巻線12bに励磁される電圧を全波整流して、コンデンサ14に出力する。
【0141】
コンデンサ14の一端は、チョークコイル16を介して、負荷3の一端に電気的に接続されている。コンデンサ14の他端は、負荷3の他端に電気的に接続されている。
【0142】
電源装置1Cは、電源装置1、1A及び1Bと同様の効果を奏する。
【0143】
本発明のいくつかの実施の形態を説明したが、これらの実施の形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施の形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施の形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0144】
1、1A、1B、1C 電源装置
2 電源
3 負荷
4、13、13A 整流回路
5、5-1、5-2、15-1、15-2、16 チョークコイル
6 力率改善回路
6-1 第1力率改善回路
6-2 第2力率改善回路
6B-1 第1力率改善回路
6B-2 第2力率改善回路
7、7A、7B、7C DC-DCコンバータ
8 制御装置
11、11A トランス駆動回路
11A-1 第1トランス駆動回路
11A-2 第2トランス駆動回路
12 トランス
12-1 第1トランス
12-2 第2トランス
14 コンデンサ
21 第1プロセッサ
21a DC-DCコンバータ制御部
21b 目標値算出部
22 第2プロセッサ
22a 力率改善回路制御部
図1
図2
図3
図4
図5