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特開2022-136635位置情報管理装置および位置情報管理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022136635
(43)【公開日】2022-09-21
(54)【発明の名称】位置情報管理装置および位置情報管理方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/10 20120101AFI20220913BHJP
【FI】
G06Q50/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021036339
(22)【出願日】2021-03-08
(71)【出願人】
【識別番号】000233491
【氏名又は名称】株式会社日立システムズ
(74)【代理人】
【識別番号】100140501
【弁理士】
【氏名又は名称】有我 栄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100072604
【弁理士】
【氏名又は名称】有我 軍一郎
(72)【発明者】
【氏名】多田 直樹
(72)【発明者】
【氏名】山本 剛史
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC12
(57)【要約】
【課題】複数の測位部が実装されたユーザ端末に関して、複数の測位部のそれぞれで特定された位置情報の関連付けをネットワークを介したサーバ側で行う。
【解決手段】ユーザ端末10は、複数の測位技術のそれぞれに関連して、各測位技術に必要となるユーザ端末10の情報に関する処理を行う測位部を実装している。複数の測位部のそれぞれに関連したユーザ端末10の識別情報とユーザ端末10の位置情報は、位置情報サービス提供サーバ20a、20b、20cを通じて転送され、位置情報管理装置30に蓄積される。位置情報管理装置30は、異なる識別情報に関連付けられた位置情報を相互に比較照合して、所定の一致率を超える位置情報の組み合わせに係る複数の識別情報を統合する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザ端末の現在位置を示す複数の位置情報を関連付けるための位置情報管理装置であって、
前記ユーザ端末に実装されている複数の測位部のそれぞれに関連した前記ユーザ端末の識別情報と前記ユーザ端末の位置情報とを関連付けて蓄積するデータ蓄積部と、
異なる識別情報に関連付けられた位置情報を相互に比較照合して、所定の一致率を超える位置情報の組み合わせに係る複数の識別情報を統合する位置情報管理部と、
を有することを特徴とする位置情報管理装置。
【請求項2】
前記複数の測位部にそれぞれ対応する複数のサーバから、前記複数の測位部のそれぞれに関連した前記ユーザ端末の識別情報と、前記複数の測位部のそれぞれが取得した前記ユーザ端末の位置情報に係るエリア情報とを受信することを特徴とする請求項1に記載の位置情報管理装置。
【請求項3】
前記ユーザ端末は、前記複数の測位部のそれぞれに関連した前記ユーザ端末の識別情報と、前記複数の測位部のそれぞれが取得した前記ユーザ端末の位置情報を特定するための情報とを、対応する前記複数のサーバのそれぞれへ送信することを特徴とする請求項1または2に記載の位置情報管理装置。
【請求項4】
前記複数の測位部は、それぞれ異なる媒体を利用した測位により前記ユーザ端末の位置情報を特定するための情報を取得することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の位置情報管理装置。
【請求項5】
前記複数の測位部は、それぞれ異なる複数の測位技術を利用するものであることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の位置情報管理装置。
【請求項6】
前記複数の測位部は、GPS測位技術、ビーコン測位技術、Wi-Fi測位技術から選択されることを特徴とする請求項5に記載の位置情報管理装置。
【請求項7】
ユーザ端末の現在位置を示す複数の位置情報を関連付けるための位置情報管理装置により実行される位置情報管理方法であって、
前記ユーザ端末に実装されている複数の測位部のそれぞれに関連した前記ユーザ端末の識別情報と前記ユーザ端末の位置情報とを蓄積するステップと、
異なる識別情報に関連付けられた位置情報を相互に比較照合するステップと、
所定の一致率を超える位置情報の組み合わせに係る複数の識別情報を統合するステップと、
を有することを特徴とする位置情報管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザ端末の現在位置を示す複数の位置情報を関連付けるための位置情報管理装置および位置情報管理方法に関する。
【0002】
従来、ユーザ端末の位置情報には、ユーザまたはユーザ端末に割り当てられた識別情報が関連付けられている。また、従来、ユーザ端末の位置を測定するための測位技術が複数知られている。複数の測位技術はそれぞれ独立しており、複数の測位技術のそれぞれにより特定されたユーザ端末の位置情報には、そのユーザ端末を識別するための識別情報が適宜に割り当てられる。
【0003】
下記の特許文献1には、同一人物に割り当てられた異なるユーザIDを自動的に紐づけて管理するための利用者情報管理システムが記載されている。この利用者情報管理システムは、同一人物に割り当てられた異なるユーザIDを紐づけて管理する利用者情報管理サーバと、第1のサービスの第1のIDを持つ利用者に、第1のサービスを提供する第1のサービス提供サーバと、第2のサービスの第2のIDを持つ利用者に、第2のサービスを提供する第2のサービス提供サーバとを備えている。利用者情報管理サーバは、第1のIDの利用者の位置情報の履歴を取得する第1の位置情報取得部と、第2のIDの利用者の位置情報の履歴を取得する第2の位置情報取得部と、第1のIDの利用者の位置情報と第2のIDの利用者の位置情報を突き合わせ、同時刻帯に同一エリアに存在した履歴を抽出する位置情報履歴比較部と、同時刻帯に同一エリアに存在した履歴が所定数以上抽出された場合、2つのIDを同一人物のIDと判断して紐づけるID紐づけ判定部とを備えている。
【0004】
下記の特許文献2には、店舗等の敷地の内外におけるユーザの位置を一貫して分析する分析サーバが記載されている。この分析サーバは、ユーザの端末が所定の敷地の中に設置された複数の位置測定装置に接続することによって測定された端末の位置を示す第1位置情報を、ユーザ又は端末を識別するための敷地内識別情報に関連付けて取得する敷地内位置情報取得部と、敷地の外において第1位置情報とは異なる測定方法によって測定された端末の位置を示す第2位置情報を、ユーザ又は端末を識別するための敷地外識別情報に関連付けて取得する敷地外位置情報取得部と、敷地内識別情報及び敷地外識別情報を関連付けることによって、第1位置情報及び第2位置情報を関連付けて分析する分析部と、分析の結果を出力する出力部と、を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2019-144937号公報
【特許文献2】特開2020-52522号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載されている技術では、2つの位置情報を相互に突き合わせて、同一時刻帯に同一エリアに存在した履歴が所定数以上抽出された場合、2つの位置情報に係るIDが同一人物に割り当てられていると判断している。しかしながら、特許文献1では、一方のIDの利用者の位置情報は、ホテル、レストラン等の予約情報や宿泊記録、来店記録から抽出された情報であり、ユーザ端末の現在位置を測位して得られる位置情報ではない。
【0007】
特許文献2に記載されている技術では、1つの端末に複数の異なる測位部(GPSおよびビーコン)が実装されており、複数の測位部による位置情報を識別する複数のIDの関連付けが行われる。特許文献2に記載されている技術では、第1のID(敷地外識別情報)と第2のID(敷地内識別情報)との関連付けは、端末で実行される共通プログラムにより行われる。ユーザが登録画面上で位置情報のIDを登録する際に共通プログラムを起動することで、共通プログラムによるIDの関連付けが行われる。しかしながら、特許文献2に記載されている技術は、ユーザが登録画面上で複数のIDの関連付けを指示する必要があり、ユーザの負担が大きく利便性に欠けるという問題がある。また、特許文献2には、複数の測位部(GPSおよびビーコン)の関連付けは端末側で設定されるようになっており、各測位部の位置情報を比較照合し、その一致度の高い位置情報を同一端末に実装された測位部により得られたものであると判断するという技術思想は開示も示唆もされていない。
【0008】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、複数の測位部が実装されているユーザ端末に関して、各測位部のそれぞれで特定された位置情報の関連付けをネットワークを介したサーバ側で行うための位置情報管理装置および位置情報管理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するため、本発明に係る位置情報管理装置は、ユーザ端末の現在位置を示す複数の位置情報を関連付けるための位置情報管理装置であって、
前記ユーザ端末に実装されている複数の測位部のそれぞれに関連した前記ユーザ端末の識別情報と前記ユーザ端末の位置情報とを関連付けて蓄積するデータ蓄積部と、
異なる識別情報に関連付けられた位置情報を相互に比較照合して、所定の一致率を超える位置情報の組み合わせに係る複数の識別情報を統合する位置情報管理部と、
を有することを特徴とする。
【0010】
この構成によれば、複数の測位部が実装されているユーザ端末に関して、複数の測位部のそれぞれで特定された位置情報の関連付けをネットワークを介したサーバ側で行うことが可能となる。
【0011】
本発明に係る位置情報管理装置は、前記複数の測位部にそれぞれ対応する複数のサーバから、前記複数の測位部のそれぞれに関連した前記ユーザ端末の識別情報と、前記複数の測位部のそれぞれが取得した前記ユーザ端末の位置情報に係るエリア情報とを受信してもよい。
【0012】
本発明に係る位置情報管理装置において、前記ユーザ端末は、前記複数の測位部のそれぞれに関連した前記ユーザ端末の識別情報と、前記複数の測位部のそれぞれが取得した前記ユーザ端末の位置情報を特定するための情報とを、対応する前記複数のサーバのそれぞれへ送信してもよい。
【0013】
本発明に係る位置情報管理装置において、前記複数の測位部は、それぞれ異なる媒体を利用した測位により前記ユーザ端末の位置情報を特定するための情報を取得してもよい。
【0014】
本発明に係る位置情報管理装置において、前記複数の測位部は、それぞれ異なる複数の測位技術を利用するものであってもよい。
【0015】
本発明に係る位置情報管理装置において、前記複数の測位部は、GPS測位技術、ビーコン測位技術、Wi-Fi測位技術から選択されてもよい。
【0016】
上記の目的を達成するため、本発明に係る位置情報管理方法は、ユーザ端末の現在位置を示す複数の位置情報を関連付けるための位置情報管理装置により実行される位置情報管理方法であって、
前記ユーザ端末に実装されている複数の測位部のそれぞれに関連した前記ユーザ端末の識別情報と前記ユーザ端末の位置情報とを蓄積するステップと、
異なる識別情報に関連付けられた位置情報を相互に比較照合するステップと、
所定の一致率を超える位置情報の組み合わせに係る複数の識別情報を統合するステップと、
を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る位置情報管理装置および位置情報管理方法によれば、複数の測位部が実装されたユーザ端末に関して、各測位部で特定された位置情報の関連付けをネットワークを介したサーバ側で行うことができるようになる。また、本発明に係る位置情報管理装置および位置情報管理方法によれば、ネットワークを介したサーバ側で位置情報を取得することができるので、きめ細やかで精度の高い位置情報が得られ、ユーザの動線調査やユーザの動線に基づくマーケティング等に好適に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施形態における位置情報管理システムの構成の一例を示す図である。
図2】本発明の実施形態におけるユーザ端末のハードウェア構成の一例を示す概略ブロック図である。
図3】本発明の実施形態における位置情報管理装置のハードウェア構成の一例を示す概略ブロック図である。
図4】本発明の実施形態において用いられるエリア情報の概要を説明するための図である。
図5】本発明の実施形態におけるデータ蓄積テーブルの一例である。
図6】本発明の実施形態の位置情報管理装置で実行される位置情報管理処理の一例を示すフローチャートである。
図7】本発明の実施形態におけるID管理テーブルの一例である。
図8】本発明の実施形態における統合データ出力テーブルの一例である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態における位置情報管理システムについて説明する。
【0020】
<システム構成>
図1を参照しながら、本実施形態における位置情報管理システムの構成について説明する。図1は、本実施形態における位置情報管理システムの構成の一例を示す図である。本発明に係る位置情報管理システムは、図1に示す構成に限定されるものでない。
【0021】
図1に示す位置情報管理システム1は、一例として、ユーザ端末10、位置情報サービス提供サーバ20a、20b、20c、位置情報管理装置30がインターネット等のネットワーク50に接続された構成を有している。
【0022】
ユーザ端末10は、ユーザが持ち運び可能な可搬型端末であり、例えばスマートフォン等である。図示簡略化のため、図1にはユーザ端末10が1台のみ図示されているが、本実施形態における位置情報管理システム1には多数のユーザ端末10が存在している。
【0023】
ユーザ端末10は、複数の測位技術のそれぞれに関連する複数の測位機能を有している。測位技術とは、ユーザ端末10が存在している現在位置を特定するための技術であり、ユーザ端末10が有する測位機能とは、測位技術に必要となるユーザ端末10の情報を取得、送信または受信するための機能である。
【0024】
本実施形態において、ユーザ端末10が有する測位機能は、他の装置(例えば、位置情報サービス提供サーバ20a、20b、20c)がユーザ端末10の現在位置を特定できるように、ユーザ端末10の現在位置の特定に必要となる情報を当該他の装置へ提供する機能を含んでいる。より詳細には、ユーザ端末10が有する測位機能は、あらかじめ測位機能を動作可能な状態となるように起動しておけば、ユーザ端末10の現在位置の特定に必要となる情報を当該他の装置へ自動的に(すなわち、ユーザによる操作を必要とすることなく)提供する機能を含んでいる。
【0025】
本実施形態において利用可能な測位技術は特に限定されるものではないが、GPS(Global Positioning System:グローバルポジショニングシステム)測位技術、ビーコン測位技術、Wi-Fi(登録商標)(Wireless Fidelity)測位技術を好適に利用することができる。また、携帯電話基地局の位置からユーザ端末10の測位する測位技術が用いられてもよい。
【0026】
GPS測位技術は、地球周回軌道に配置された複数のGPS衛星60が発信する電波を利用する測位技術である。本実施形態のユーザ端末10は、GPS衛星60から発信されたGPS信号を受信できるように構成されている。GPS信号に含まれる時刻情報に基づいてユーザ端末10の現在位置を推定することができる。本実施形態ではGPSを用いているが、GNSS(Global Navigation Satellite System:全球測位衛星システム)に含まれる他の衛星測位システムや準天頂衛星測位システム等を利用してもよい。
【0027】
ビーコン測位技術は、ビーコン送信機70が発信する電波を利用する測位技術である。ビーコン送信機70の設置位置を管理することで、そのビーコン送信機70の位置を特定することができる。本実施形態のユーザ端末10は、ビーコン送信機70が発信したビーコン信号を受信できるように構成されている。ビーコン送信機70が発信したビーコン信号に含まれるビーコンIDに基づいてビーコン送信機70の位置を特定し、ビーコン送信機70の位置に基づいてユーザ端末10の現在位置を推定することができる。
【0028】
Wi-Fi測位技術は、無線LAN規格の1つであるWi-Fi通信を利用する測位技術である。アクセスポイント80の設置位置を管理することで、そのアクセスポイント80の位置を特定することができる。本実施形態のユーザ端末10は、アクセスポイント80に接続してインターネット等のネットワーク50へアクセスできるように構成されている。ユーザ端末10がアクセスポイント80に対してプローブ要求を行った場合やアクセスポイント80に接続した場合、アクセスポイント80の識別情報(アクセスポイントID)に基づいてアクセスポイント80の位置を特定し、さらに、特定したアクセスポイント80の位置に基づいてユーザ端末10の現在位置を推定することができる。
【0029】
位置情報サービス提供サーバ20a、20b、20cは、位置情報サービスをユーザへ提供するサーバである。より詳細には、位置情報サービス提供サーバ20a、20b、20cは、ユーザ端末10の位置情報を取得および管理するサービス、ユーザ端末10の位置情報を利用したサービス等をユーザへ提供することが可能である。
【0030】
本実施形態では、複数の位置情報サービス提供サーバ20a、20b、20cが設けられている。各位置情報サービス提供サーバ20a、20b、20cは、それぞれ異なる測位技術で特定されるユーザ端末10の位置情報を取り扱うように構成されている。
【0031】
位置情報サービス提供サーバ20aは、GPS測位技術により得られるユーザ端末10の位置情報(GPS位置情報)を管理するサーバである。ここでは、GPS位置情報を管理するGPS位置情報サービスはベンダAにより運用されているとする。ユーザはベンダAが提供するGPS位置情報サービスに加入しており、ユーザ端末10のGPS位置情報の提供や2次的利用について事前に承諾していることが望ましい。
【0032】
位置情報サービス提供サーバ20aは、ユーザ端末10の現在位置を特定するための情報(GPS測位技術により得られる情報)を取得して、ユーザ端末10の現在位置を特定できるように構成されている。さらに、位置情報サービス提供サーバ20aは、ユーザ端末10の現在位置からユーザ端末10が存在するエリアを特定し、特定したエリアをエリア情報として位置情報管理装置30へ提供できるように構成されている。
【0033】
位置情報サービス提供サーバ20bは、ビーコン測位技術により得られるユーザ端末10の位置情報(ビーコン位置情報)を管理するサーバである。ここでは、ビーコン位置情報を管理するビーコン位置情報サービスはベンダBにより運用されているとする。ユーザはベンダBが提供するビーコン位置情報サービスに加入しており、ユーザ端末10のビーコン位置情報の提供や2次的利用について事前に承諾していることが望ましい。
【0034】
位置情報サービス提供サーバ20bは、ユーザ端末10の現在位置を特定するための情報(ビーコン測位技術により得られる情報)を取得して、ユーザ端末10の現在位置を特定できるように構成されている。さらに、位置情報サービス提供サーバ20bは、ユーザ端末10の現在位置からユーザ端末10が存在するエリアを特定し、特定したエリアをエリア情報として位置情報管理装置30へ提供できるように構成されている。
【0035】
位置情報サービス提供サーバ20cは、Wi-Fi測位技術により得られるユーザ端末10の位置情報(Wi-Fi位置情報)を管理するサーバである。Wi-Fi位置情報を管理するWi-Fi位置情報サービスは、ベンダCにより運用されているとする。ユーザはベンダCが提供するWi-Fi位置情報サービスに加入しており、ユーザ端末10のWi-Fi位置情報の提供や2次的利用について事前に承諾していることが望ましい。
【0036】
位置情報サービス提供サーバ20cは、ユーザ端末10の現在位置を特定するための情報(Wi-Fi測位技術により得られる情報)を取得して、ユーザ端末10の現在位置を特定できるように構成されている。さらに、位置情報サービス提供サーバ20cは、ユーザ端末10の現在位置からユーザ端末10が存在するエリアを特定し、特定したエリアをエリア情報として位置情報管理装置30へ提供できるように構成されている。
【0037】
位置情報管理装置30は、複数の測位技術のそれぞれを用いて特定されるユーザ端末10が存在するエリア情報を取得および蓄積し、異なる測位技術により得られたユーザ端末10のエリア情報を比較照合して、同一のユーザ端末10に関する情報であると推定されるもの同士を統合する機能を有している。
【0038】
図1を参照しながら、位置情報管理装置30が、各測位技術により特定されるユーザ端末10のエリア情報を取得するまでのデータの流れの一例について説明する。
【0039】
ユーザ端末10のGPS位置情報に関連するデータは、例えば以下のように転送される。ユーザ端末10はGPS衛星60からGPS信号を受信し、受信したGPS信号からユーザ端末10の現在位置であるGPS位置情報を特定する。ユーザ端末10は、GPS位置情報サービスにおける識別情報(GPS用アプリID)およびGPS位置情報を位置情報サービス提供サーバ20aへ送信する(T11)。ユーザ端末10は、GPS信号を受信できている場合には、常時(例えば、数秒~数十秒ごとに)、GPS用アプリIDおよびGPS位置情報を位置情報サービス提供サーバ20aへ送信してもよい。
【0040】
位置情報サービス提供サーバ20aはユーザ端末10からGPS用アプリIDおよびGPS位置情報を受信し、位置とエリアとの対応関係を定義したエリア情報データベースを参照して、GPS位置情報からユーザ端末10が存在するエリアを特定する。位置情報サービス提供サーバ20aは、GPS用アプリID、および、特定したエリアを示すエリア情報を位置情報管理装置30へ送信する(T12)。
【0041】
上記の例では、位置情報サービス提供サーバ20aがGPS位置情報からユーザ端末10が存在するエリアを特定しているが、位置情報サービス提供サーバ20aがGPS位置情報を位置情報管理装置30へ転送し、位置情報管理装置30がGPS位置情報からユーザ端末10が存在するエリアを特定してもよい。
【0042】
ユーザ端末10のビーコン位置情報に関連するデータは、例えば以下のように転送される。ユーザ端末10はビーコン送信機70からビーコン信号を受信し、受信したビーコン信号からビーコン送信機70の識別情報(ビーコンID)を抽出する。ユーザ端末10は、ビーコン位置情報サービスにおける識別情報(ビーコン用アプリID)およびビーコンIDを位置情報サービス提供サーバ20bへ送信する(T21)。ユーザ端末10は、ビーコン信号を受信できている場合には、常時(例えば、数秒~数十秒ごとに)、ビーコン用アプリIDおよびビーコンIDを位置情報サービス提供サーバ20bへ送信してもよい。
【0043】
位置情報サービス提供サーバ20bはユーザ端末10からビーコン用アプリIDおよびビーコンIDを受信し、ビーコンIDとビーコン送信機70の設置位置との対応関係を定義したデータベースを参照して、ビーコンIDからビーコン送信機70の設置位置を特定する。さらに、位置情報サービス提供サーバ20bは、位置とエリアとの対応関係を定義したエリア情報データベースを参照して、ビーコン送信機70の設置位置からユーザ端末10が存在するエリアを特定する。位置情報サービス提供サーバ20bは、ビーコン用アプリID、および、特定したエリアを示すエリア情報を位置情報管理装置30へ送信する(T22)。
【0044】
上記の例では、位置情報サービス提供サーバ20bがビーコン送信機70の設置位置からユーザ端末10が存在するエリアを特定しているが、位置情報サービス提供サーバ20bがビーコン送信機70の設置位置を位置情報管理装置30へ転送し、位置管理装置30がビーコン送信機70の設置位置からユーザ端末10が存在するエリアを特定してもよい。
【0045】
また、上記の例では、位置情報サービス提供サーバ20bがビーコンIDからビーコン送信機70の設置位置を特定しているが、ユーザ端末10がビーコンIDからビーコン送信機70の設置位置を特定してもよい。この場合、ユーザ端末10は、ビーコン用アプリID、および、特定したビーコン送信機70の設置位置を位置情報サービス提供サーバ20bへ送信すればよい。
【0046】
また、別例として、ユーザ端末10がビーコン送信機として機能し、所定の位置に配置されたビーコン受信機がユーザ端末10からビーコン信号を受信して、ユーザ端末10の識別情報(ビーコン送信機としてのビーコンID)およびビーコン受信機の識別情報を位置情報サービス提供サーバ20bへ送信してもよい。この場合、位置情報サービス提供サーバ20bは、ビーコン受信機の識別情報に基づいて、ユーザ端末10の現在位置を特定することができる。
【0047】
ユーザ端末10のWi-Fi位置情報に関連するデータは、例えば以下のように転送される。ユーザ端末10はアクセスポイント80にプローブ要求を行った場合や、アクセスポイント80に接続してインターネット等のネットワーク50へのアクセスを確保した場合、ユーザ端末10の識別情報(例えば、ユーザ端末10のMACアドレス)をアクセスポイント80が取得可能な形式で通知または送信する(T31)。アクセスポイント80は、ユーザ端末10からMACアドレスが明示的に通知されてもよく、あるいは、ユーザ端末10から送信されたパケットの転送時に、当該パケットからユーザ端末10のMACアドレスを取得してもよい。アクセスポイント80は、ユーザ端末10のMACアドレス、および、アクセスポイント80の識別情報(アクセスポイントID)を位置情報サービス提供サーバ20cへ送信する(T32)。アクセスポイント80は、ユーザ端末10との接続が維持されている場合には、常時(例えば、数秒~数十秒ごとに)、ユーザ端末10のMACアドレスおよびアクセスポイント80の識別情報を位置情報サービス提供サーバ20cへ送信してもよい。
【0048】
位置情報サービス提供サーバ20cは、アクセスポイント80からユーザ端末10のMACアドレスおよびアクセスポイントIDを受信し、アクセスポイントIDとアクセスポイント80の設置位置との対応関係を格納したデータベースを参照して、アクセスポイントIDからアクセスポイント80の設置位置を特定する。さらに、位置情報サービス提供サーバ20cは、位置とエリアとの対応関係を定義したエリア情報データベースを参照して、アクセスポイント80の設定位置からユーザ端末10が存在するエリアを特定する。位置情報サービス提供サーバ20cは、MACアドレス、および、特定したエリアを示すエリア情報を位置情報管理装置30へ送信する(T33)。
【0049】
上記の例では、位置情報サービス提供サーバ20cがアクセスポイント80の設定位置からユーザ端末10が存在するエリアを特定しているが、位置情報サービス提供サーバ20cがアクセスポイント80の設置位置を位置情報管理装置30へ転送し、位置情報管理装置30がアクセスポイント80の設置位置からユーザ端末10が存在するエリアを特定してもよい。
【0050】
また、上記の例では、アクセスポイント80がユーザ端末10のMACアドレスおよびアクセスポイントIDを位置情報サービス提供サーバ20cへ送信しているが、ユーザ端末10が接続中のアクセスポイント80の識別情報(アクセスポイントのSSIDやMACアドレス等)を位置情報サービス提供サーバ20cへ送信してもよい。この場合には、ユーザ端末10の識別情報としてMACアドレス以外の識別情報(例えば、Wi-Fi用アプリID等)を用いることができ、位置情報サービス提供サーバ20cは、アクセスポイント80の識別情報に基づいて、ユーザ端末10の現在位置を特定することができる。
【0051】
<ユーザ端末の構成>
図2を参照しながら、本実施形態におけるユーザ端末10の構成について説明する。図2は、本実施形態におけるユーザ端末10のハードウェア構成の一例を示す概略ブロック図である。本発明に係るユーザ端末10は、図2に示す構成に限定されるものではない。
【0052】
ユーザ端末10は、上述したようにスマートフォン等の可搬型端末によって実現可能であり、一例として、図2に示すように、プロセッサ101、メモリ102、携帯電話通信部103、無線LAN通信部104、ビーコン通信部105、GPS信号処理部106、操作入力部107、モニタ108、ストレージ109を有しており、各構成要素がバス150を介して接続された構成となっている。なお、図2には不図示であるが、ユーザ端末10は、収音機能を有するマイク(マイクロホン)、撮像機能を有するカメラ、音声出力機能を有するスピーカ等を備えていてもよい。
【0053】
プロセッサ101は、プログラムにより記述された様々な命令を実行し、ユーザ端末10において様々な機能を実現および制御するハードウェアである。プロセッサ101は、例えばCPU(Central Processing Unit:中央演算処理装置)、特定の目的に特化したデータ処理を行うDSP(Digital Signal Processor:デジタル信号プロセッサ)またはGPU(Graphics Processing Unit:グラフィックスプロセッシングユニット)等であってもよい。
【0054】
メモリ102は、ユーザ端末10で実行されるプログラムや処理対象データを一時的に記憶する揮発性メモリである。メモリ102は、例えばRAM(Random Access Memory:ランダムアクセスメモリ)等の主記憶装置である。
【0055】
携帯電話通信部103は、携帯電話基地局と接続し、携帯電話ネットワークを通じてユーザ端末10がネットワーク50上の他の装置と通信を行うための機能を有している。携帯電話通信部103による通信は特に限定されるものではないが、一例として、3G、4G、4GLTE、5G等の通信規格に準拠した通信を行うことができるように構成されている。
【0056】
無線LAN通信部104は、無線LAN基地局であるアクセスポイント60に接続し、アクセスポイント60を介してユーザ端末10がネットワーク50上の他の装置と通信を行うための機能を有している。無線LAN通信部104は、例えばWi-Fiの規格であるIEEE802.11に準拠した通信を行うことができるように構成されている。
【0057】
ビーコン通信部105は、ビーコン送信機70が発信するビーコン信号を受信する機能を有している。ビーコン通信部105は、近距離無線通信を行うことが可能であり、例えばBluetooth(登録商標)の規格であるIEEE802.15.1に準拠した通信を行うことができるように構成されている。
【0058】
GPS信号処理部106は、GPS衛星が発信するGPS信号を受信し、受信したGPS信号に含まれる時刻情報からユーザ端末10の現在位置を示すGPS位置情報を特定する機能を有している。
【0059】
操作入力部107は、ユーザからの情報の入力を受け付ける機能を有しており、例えばマウスおよびキーボード等の入力デバイスを表している。また、モニタ108は、ユーザに対して視覚的な情報の出力を行う機能を有しており、表示画面を備えている。操作入力部107およびモニタ108は、それぞれの機能が一体化したタッチパネル型ディスプレイであってもよい。
【0060】
ストレージ109は、例えば、HDD(Hard Disk Drive:ハードディスクドライブ)等の磁気ディスク、SSD(Solid State Drive:ソリッドステートドライブ)等の半導体メモリ、光磁気ディスクならびに光ディスク等により実現される補助記憶装置である。
【0061】
ストレージ109は、所望の処理手順がプログラム命令として記述されたプログラムやデータを記憶することができるようになっている。例えば図2に示すように、ストレージ109には、GPSサービス用プログラム111、ビーコンサービス用プログラム112が格納されている。
【0062】
プロセッサ101は、ストレージ109から各プログラムを適宜読み出してメモリ102上に展開し、プログラム命令を実行することで、各プログラムに対応する機能をユーザ端末10において実現できるようになっている。
【0063】
GPSサービス用プログラム111は、ベンダAが提供するGPS位置情報サービスを利用するためのアプリケーションである。ユーザ端末10は、GPSサービス用プログラム111を実行することで、GPS位置情報サービスにおける識別情報(GPS用アプリID)、および、GPS信号処理部106で特定したGPS位置情報を位置情報サービス提供サーバ20aへ送信することができるようになっている。
【0064】
ビーコンサービス用プログラム112は、ベンダBが提供するビーコン位置情報サービスを利用するためのアプリケーションである。ユーザ端末10は、ビーコンサービス用プログラム112を実行することで、ビーコン位置情報サービスにおける識別情報(ビーコン用アプリID)、および、ビーコン通信部105が受信したビーコン信号に含まれるビーコンIDを位置情報サービス提供サーバ20bへ送信することができるようになっている。
【0065】
ストレージ109は、様々なプログラムを格納することが可能である。一例として、ストレージ109には、ユーザ端末10の動作に必要なオペレーションシステムプログラム等が格納されていてもよい。また、ストレージ109は、様々なユーザデータを格納することが可能である。
【0066】
本実施形態のユーザ端末10は、複数の測位技術のそれぞれに関連する複数の測位機能を有している。図1に示すユーザ端末10は、GPS測位技術に関連するGPS測位機能を含むGPS測位部、ビーコン測位技術に関連するビーコン測位機能を含むビーコン測位部、Wi-Fi測位技術に関連するWi-Fi測位機能を含むWi-Fi測位部の3つの測位部を有している。また、図1に示すユーザ端末10は、GPS測位部に関連するGPS用アプリID、ビーコン測位部に関連するビーコン用アプリID、Wi-Fi測位部に関連するMACアドレスの3つの識別情報を有している。
【0067】
GPS測位部は、GPS処理部106における処理、および、GPSサービス用プログラム111の実行等により具現化される。GPS測位部は、例えば、GPS衛星60からGPS信号を受信する処理、受信したGPS信号からユーザ端末10の現在位置であるGPS位置情報を特定する処理、GPS用アプリIDおよびGPS位置情報を位置情報サービス提供サーバ20aへ送信する処理を実行する。これらの処理は、ユーザからの指示を受けることなく、いわゆるバックグラウンド処理により自動的に実行される。このように、GPS測位部は、ユーザ端末10の現在位置を特定するための情報(ユーザ端末10を識別するGPS用アプリID、および、ユーザ端末10の現在位置を示すGPS位置情報)を取得して、ネットワーク50上の位置情報サービス提供サーバ20aへ自動的かつリアルタイムに送信するという特徴を有する。なお、位置情報サービス提供サーバ20aへのGPS用アプリIDおよびGPS位置情報の送信は、携帯電話通信部103を通じて行われてもよく、無線LAN通信部104を通じて行われてもよい。
【0068】
ビーコン測位部は、ビーコン通信部105における処理、および、ビーコンサービス用プログラム112の実行等により具現化される。ビーコン測位部は、例えば、ビーコン送信機70からビーコン信号を受信する処理、受信したビーコン信号からビーコン送信機70のビーコンIDを抽出する処理、ビーコン用アプリIDおよびビーコンIDを位置情報サービス提供サーバ20bへ送信する処理を実行する。これらの処理は、ユーザからの指示を受けることなく、いわゆるバックグラウンド処理により自動的に実行される。このように、ビーコン測位部は、ユーザ端末10の現在位置を特定するための情報(ユーザ端末10を識別するビーコン用アプリID、および、ユーザ端末10がビーコン送信機70の電波到達範囲内に存在することを示すビーコンID)を取得して、ネットワーク50上の位置情報サービス提供サーバ20bへ自動的かつリアルタイムに送信するという特徴を有する。なお、位置情報サービス提供サーバ20aへのビーコン用アプリIDおよびビーコンIDの送信は、携帯電話通信部103を通じて行われてもよく、無線LAN通信部104を通じて行われてもよい。
【0069】
Wi-Fi測位部は、例えば無線LAN通信部104における処理等により具現化される。Wi-Fi測位部は、例えば、ユーザ端末10の識別情報(例えば、ユーザ端末10のMACアドレス)をアクセスポイント80が取得可能な形式で、アクセスポイント80に対して通知または送信する。この処理は、ユーザからの指示を受けることなく、いわゆるバックグラウンド処理により自動的に実行される。このように、Wi-Fi測位部は、ユーザ端末10の現在位置を特定するための情報(ユーザ端末10を識別するとともに、ユーザ端末10がアクセスポイント80の電波到達範囲内に存在することを示すMACアドレス)を取得して、アクセスポイント80へ自動的かつリアルタイムに送信するという特徴を有する。
【0070】
本実施形態におけるGPS測位部、ビーコン測位部、Wi-Fi測位部の3つの測位部は、それぞれ異なる媒体を利用した測位によってユーザ端末10の現在位置を特定するための情報を取得するという特徴、および、ユーザ端末10の現在位置を特定するための情報を、位置情報サービス提供サーバ20a、位置情報サービス提供サーバ20b、アクセスポイント80のそれぞれへリアルタイムに送信するという特徴を有している。これらの特徴は、ホテル、レストラン等の予約情報や宿泊記録、来店記録から抽出された情報等から位置情報を抽出する上記の特許文献1の開示技術とは大きく異なっている。
【0071】
また、本実施形態におけるGPS測位部、ビーコン測位部、Wi-Fi測位部の3つの測位部はそれぞれ独立して動作すればよく、例えば各測位部で用いられる識別情報同士をユーザ端末10側で関連付けるための共通プログラムをユーザ端末10で実行する必要はないという特徴を有している。この特徴は、敷地外の位置情報(例えばGPS位置情報)を識別するID(敷地外識別情報)と、敷地内の位置情報(例えばビーコンを用いた位置情報)を識別するID(敷地内識別情報)との関連付けを行うために端末側で共通プログラムを実行し、かつユーザが操作入力を行う必要がある上記の特許文献2の開示技術とは大きく異なっている。
【0072】
<位置情報管理装置の構成>
図3を参照しながら、本実施形態における位置情報管理装置30の構成について説明する。図3は、本実施形態における位置情報管理装置30のハードウェア構成の一例を示す概略ブロック図である。本発明に係る位置情報管理装置30は、図3に示す構成に限定されるものではない。
【0073】
位置情報管理装置30は、本発明に係る位置情報管理機能を実現するためのサーバであり、汎用コンピュータにより実現可能である。位置情報管理装置30は、プロセッサ301、メモリ302、通信部303、操作入力部304、モニタ305、ストレージ306を有しており、各構成要素がバス350を介して接続された構成となっている。
【0074】
プロセッサ301は、プログラムにより記述された様々な命令を実行し、位置情報管理装置30において様々な機能を実現および制御するハードウェアである。プロセッサ301は、例えばCPU、DSPまたはGPU等であってもよい。
【0075】
メモリ302は、位置情報管理装置30で実行されるプログラムや処理対象データを一時的に記憶する揮発性メモリである。メモリ302は、例えばRAM等の主記憶装置である。
【0076】
通信部303は、位置情報管理装置30が他の装置と通信を行うための機能を有している。本実施形態では、位置情報管理装置30は、通信部303によりネットワーク50を通じて位置情報サービス提供サーバ20a、20b、20cと通信を行うことができる。より詳細には、位置情報管理装置30は、位置情報サービス提供サーバ20aからGPS用アプリIDおよびエリア情報を受信することができ、位置情報サービス提供サーバ20bからビーコン用アプリIDおよびエリア情報を受信することができ、位置情報サービス提供サーバ20cからMACアドレスおよびエリア情報を受信することができる。
【0077】
操作入力部304は、ユーザからの情報の入力を受け付ける機能を有しており、モニタ305は、ユーザに対して視覚的な情報の出力を行う機能を有している。操作入力部304およびモニタ305は、位置情報管理装置30のユーザであるオペレータが位置情報管理装置30における設定や管理を行う際に使用可能であればよく、位置情報管理装置30に常時接続されている必要はない。
【0078】
ストレージ306は、例えば、HDD等の磁気ディスク、SSD等の半導体メモリ、光磁気ディスクならびに光ディスク等により実現される補助記憶装置であり、所望の処理手順がプログラム命令として記述されたプログラムやデータを記憶する補助記憶装置である。例えば図3に示すように、ストレージ306には本実施形態において必要な情報として、データ蓄積プログラム311、位置情報管理プログラム312、データ蓄積テーブル313、ID管理テーブル314、統合データ出力テーブル315、設定値データ316が格納されている。
【0079】
プロセッサ301は、ストレージ306から位置情報管理プログラムを適宜読み出してメモリ302上に展開し、プログラム命令を実行することで、各プログラムに対応する機能を位置情報管理装置30において実現できるようになっている。
【0080】
データ蓄積プログラム311は、本発明に係るデータ蓄積機能(データ蓄積部)を実現するためのプログラムである。位置情報管理装置30は、データ蓄積プログラム311の実行により、位置情報サービス提供サーバ20a、20b、20cから受信したデータをデータ蓄積テーブル313に格納することができる。
【0081】
位置情報管理プログラム312は、本発明に係る位置情報管理機能(位置情報管理部)を実現するためのプログラムである。位置情報管理装置30は、位置情報管理プログラム312の実行により、データ蓄積テーブル313を参照してユーザ端末10のエリア情報を比較照合し、同一のユーザ端末10に関する情報であると推定されるもの同士を統合することができる。位置情報管理プログラム312に係る位置情報管理処理の詳細については、図6を参照しながら後述する。
【0082】
データ蓄積テーブル313は、位置情報サービス提供サーバ20aから受信したGPS用アプリIDおよびエリア情報、位置情報サービス提供サーバ20bから受信したビーコン用アプリIDおよびエリア情報、位置情報サービス提供サーバ20cから受信したMACアドレスおよびエリア情報の各データを蓄積するためのテーブルである。データ蓄積テーブル313の詳細については、図5を参照しながら後述する。
【0083】
ID管理テーブル314は、位置情報管理プログラム312の実行によりユーザ端末10のエリア情報を比較照合した結果に基づいて、同一のユーザ端末10で使用されているID同士を関連付けるためのテーブルである。ID管理テーブル314の詳細については、図7を参照しながら後述する。
【0084】
統合データ出力テーブル315は、位置情報管理プログラム312の実行によりユーザ端末10のエリア情報を比較照合した結果に基づいて、同一のユーザ端末10のエリア情報を統合するためのテーブルである。統合データ出力テーブル315の詳細については、図8を参照しながら後述する。
【0085】
設定値データ316は、位置情報管理プログラム312の実行によりユーザ端末10の位置情報であるエリア情報を比較照合する際に参照される設定値である。設定値データ316には、例えば後述する位置情報管理処理(図6参照)で参照される比較対象日付範囲、時間帯一致率、同一端末認定頻度率等が含まれる。
【0086】
図3に示す位置情報管理装置30のストレージ306に格納されているプログラムおよびデータは、LAN(Local Area Network:ローカルエリアネットワーク)やネットワーク50に接続されている複数の装置に分散されていてもよい。
【0087】
<エリア情報>
図4を参照しながら、本実施形態において用いられるエリア情報について説明する。図4は、本実施形態において用いられるエリア情報の概要を説明するための図である。
【0088】
本実施形態では、ある地域において離れた場所に分散するように複数のエリアが設定される。一例として、各エリアは、例えば観光施設、神社仏閣、道の駅、ホテル、レストラン等の観光スポットごとに設定される。各エリアにおける設定方法は特に限定されるものではないが、上記のような観光スポット単位でエリアを設定する場合、エリアは例えば数十m~数百メートル程度の広さを有する。
【0089】
複数のエリアが設定される地域は特に限定されるものではない。一例として、徒歩、電車、バス等を使って1日で訪れることができる程度の地域内に複数のエリアを設定しておくことで、ユーザ単位で各エリアを訪れた時系列順序(動線)を把握することができ、有用なマーケティング情報を得ることができる。
【0090】
なお、ある観光施設に対して設定したエリアが各ベンダA~Cで大きく異なっていると、例えば、ベンダAではユーザ端末10が特定エリア内に存在すると判断した場合であっても、他のベンダB、Cでは、ユーザ端末10が当該特定エリア内に存在しないと判断される可能性がある。このため、各ベンダA~Cにおいて、エリアの範囲の定義が大きく異ならないようにすることが好ましい。
【0091】
図4には、一例として4つのエリアA~Dが図示されているが、エリアの数は特に限定されるものではない。
【0092】
各エリアにはビーコン送信機70やアクセスポイント80が設置される。各エリアでは、少なくとも2種類の測位技術によってユーザ端末10の位置情報を取得できるようにすることが望ましい。
【0093】
すべてのエリアにビーコン送信機70およびアクセスポイント80の両方が設置されることが望ましいが、必ずしもビーコン送信機70およびアクセスポイント80の両方が設置される必要はない。一例として、図4に示すエリアCは、ビーコン送信機70は設置されているがアクセスポイント80は設置されていないエリアである。このようなエリアでは、例えばWi-Fi測位技術およびビーコン測位技術の両方によるユーザ端末10の位置情報の特定は困難である。しかしながら、少なくとも1つの測位技術によりユーザ端末10の位置情報を取得できるため、このようなエリアが存在してもよい。
【0094】
また、屋内施設等のように、GPS衛星からの電波が届かない場所にエリアが設定されてもよい。一例として、図4に示すエリアBは、GPS衛星からの電波が届かない屋内施設内に設定されたエリアである。このようなエリアでは、GPS測位技術によるユーザ端末10の位置情報の特定は困難である。しかしながら、他の測位技術によりユーザ端末10の位置情報を取得できるため、このようなエリアが存在してもよい。
【0095】
GPS用アプリIDおよびGPS位置情報について、ユーザ端末10は、GPS信号を受信している場合に、位置情報サービス提供サーバ20aへ常時を送信することができる。ユーザ端末10を携帯したユーザが特定エリアに入ると、GPS位置情報は特定エリア内の位置を示し、位置情報サービス提供サーバ20aは、ユーザ端末10が特定エリア内に存在することを示すエリア情報を位置情報管理装置30へ送信する。
【0096】
ビーコン用アプリIDおよびビーコンIDについて、ユーザ端末10は、ビーコン受信機70の電波到達範囲内でビーコン情報を受信している場合に、位置情報サービス提供サーバ20bへ常時を送信することができる。ユーザ端末10からのビーコン用アプリIDおよびビーコンIDの送信は、ユーザ端末10がビーコン送信機70の設置エリア内に位置することを示し、位置情報サービス提供サーバ20bは、ユーザ端末10がそのエリア内に存在することを示すエリア情報を位置情報管理装置30へ送信する。
【0097】
ユーザ端末10のMACアドレスについて、アクセスポイント80は、ユーザ端末10がアクセスポイント80を検知することが可能な電波到達範囲内に存在している場合に、位置情報サービス提供サーバ20cへ常時を送信することができる。アクセスポイント80からのユーザ端末10のMACアドレスおよびアクセスポイントの識別情報の送信は、ユーザ端末10がアクセスポイント80の設置エリア内に位置することを示し、位置情報サービス提供サーバ20bは、ユーザ端末10がそのエリア内に存在することを示すエリア情報を位置情報管理装置30へ送信する。
【0098】
<データ蓄積テーブル>
図5を参照しながら、データ蓄積テーブル313について説明する。図5は、本実施形態におけるデータ蓄積テーブル313の一例である。データ蓄積テーブル313は、位置情報サービス提供サーバ20a、20b、20cから受信したデータをデータ蓄積テーブル313に格納するためのテーブルである。より詳細には、データ蓄積テーブル313は、位置情報サービス提供サーバ20aから受信したGPS用アプリIDおよびエリア情報、位置情報サービス提供サーバ20bから受信したビーコン用アプリIDおよびエリア情報、位置情報サービス提供サーバ20cから受信したMACアドレスおよびエリア情報の各データを集約し、日時情報と関連付けて蓄積するためのテーブルである。
【0099】
図5に示すように、データ蓄積テーブル313は、媒体ID、ベンダ、日付、複数のエリアの各項目を有している。図5には、エリアの項目として『エリアA』、『エリアB』、『エリアC』、『エリアD』の4つの項目が例示されているが、設置されているエリアの数だけエリアの項目が存在する。
【0100】
媒体IDの項目には、ユーザ端末10の識別情報が格納される。具体的には、媒体IDの項目には、GPS用アプリID、ビーコン用アプリID、MACアドレスが格納される。
【0101】
ベンダの項目には、各ベンダの識別情報が格納される。具体的には、ベンダの項目には、情報サービス提供サーバ20aから受信したデータ(媒体IDの項目にGPS用アプリIDが格納されるデータ)である場合にはベンダAの識別情報、情報サービス提供サーバ20bから受信したデータ(媒体IDの項目にビーコン用アプリIDが格納されるデータ)である場合にはベンダBの識別情報、情報サービス提供サーバ20cから受信したデータ(媒体IDの項目にMACアドレスが格納されるデータ)である場合にはベンダCの識別情報が格納される。
【0102】
日付の項目には、位置情報サービス提供サーバ20a、20b、20cからデータを受信した日付が格納される。
【0103】
エリアの項目には、各エリアについて、媒体IDの項目に格納された識別情報と関連するエリア情報の受信時間帯(特定の日付における時間帯)が格納される。位置情報管理装置30は、エリアの項目にデータの受信時間帯を格納するために、位置情報サービス提供サーバ20a、20b、20cから受信したデータの受信時刻を管理することが好ましい。本実施形態では、位置情報サービス提供サーバ20a、20b、20cからエリア情報を受信した時刻を、ユーザ端末10がエリア情報に存在している時刻とみなしているが、エリア情報内にユーザ端末10の位置情報を特定した時刻情報が含まれており、この時刻情報に基づいて、エリア項目に格納する時間帯情報を決定してもよい。
【0104】
例えば、位置情報管理装置30が、GPS用アプリID『BeaconApp1』およびエリアAに存在することを示すエリア情報を、2020年12月22日の午前10時4分から午前10時54分まで、位置情報サービス提供サーバ20aから受信したとする。この場合、位置情報管理装置30は、図5に示すように、媒体ID『BeaconApp1』と同一レコード(同一行)のエリアAの項目に『10:04-10:54』の情報を格納する。位置情報管理装置30は、位置情報サービス提供サーバ20a、20b、20cから受信したすべてのデータに基づいて、上記のような情報の格納を行うことで、データ蓄積テーブル313に、媒体IDと、その媒体IDにより特定されるユーザ端末10がどのエリアにどの時間帯に存在していたのかを示す情報を蓄積することができる。
【0105】
なお、データ蓄積テーブル313には、日付の項目とエリアの項目とが関連付けられており、年月日および時間帯の情報がセットになって記録される。図5には、日付『2020年12月22日』のデータのみが図示されているが、異なる日付のデータ(例えば前日の日付『2020年12月21日』のデータ)も同様に、媒体IDごとの同一レコード(同一行)に格納される。
【0106】
<位置情報管理処理>
本実施形態における位置情報管理処理は、それぞれ異なる媒体を利用して測位された位置情報の比較照合を行って位置情報の一致率を判定し、所定の一致率を超える場合には同一のユーザ端末10の位置情報であるとみなして、所定の一致率を超えた位置情報に付与されている識別情報の関連付けを行う処理である。
【0107】
以下、図6を参照しながら、本実施形態の位置情報管理装置30で実行される位置情報管理処理について説明する。図6は、本実施形態の位置情報管理装置30で実行される位置情報管理処理の一例を示すフローチャートである。本発明に係る位置情報管理処理は、図6に示す処理に限定されるものでない。
【0108】
図6に示すように、位置情報管理装置30は位置情報管理処理を開始すると、まずデータ蓄積テーブル313を読み込む(ステップS11)。位置情報管理装置30は、比較対象元レコードを指定するための変数iを初期値(i=1)に設定し(ステップS12)、データ蓄積テーブル313のi番目のレコードを比較対象元レコードとして読み取る(ステップS13)。これにより、i(初期値=1)番目のレコードが比較対象元レコードとして固定される。
【0109】
位置情報管理装置30は、比較対象元レコードのベンダの項目を参照し、比較対象元レコードのベンダとは異なるベンダを比較対象ベンダに設定する(ステップS14)。これにより、比較対象元レコードのベンダとは異なるベンダが比較対象ベンダとして固定される。比較対象ベンダを固定することで、ベンダ単位で比較照合を行うことができる。
【0110】
次いで、位置情報管理装置30は、比較対象先レコードを指定するための変数jを初期値(j=i+1)に設定し(ステップS15)、データ蓄積テーブル313のj番目のレコードを比較対象先レコードとして読み取る(ステップS16)。これにより、j(初期値=2)番目のレコードが比較対象先レコードとして指定される。
【0111】
位置情報管理装置30は、比較対象先レコードのベンダが比較対象ベンダと一致するかどうかを確認する(ステップS17)。比較対象先レコードのベンダが比較対象ベンダである場合(ステップS17でYes)、位置情報管理装置30は、各エリアについて、比較対象元レコードの時間帯と比較対象先レコードの時間帯とを比較して一致率を算出し、算出した一致率が所定の時間帯一致率を上回る場合には、そのエリアを一致エリアとみなす(ステップS18)。そして、すべてのエリアについて一致エリアとみなせるかどうかを判断し、一致エリア数を全エリア数で除算した値(一致エリア数/全エリア数)を算出する(ステップS19)。これにより、比較対象元レコードの媒体IDで特定されるユーザ端末10と、比較対象先レコードの媒体IDで特定されるユーザ端末10とが同一エリアに存在していた可能性があること(一致エリア)、および、その可能性の頻出率(一致エリア数/全エリア数)を求めることができる。
【0112】
なお、比較対象元レコードおよび比較対象先レコードのうちの一方のエリア情報にデータ(時間帯)が存在するが、他方のエリア情報にデータが存在しない場合には、一致しないと判断してもよく、あるいは、比較対象から除外してもよい。
【0113】
閾値として用いる所定の時間帯一致率は、例えば設定値データ316(図3参照)として事前に定めておくことができる。所定の時間帯一致率は任意の数値とすることができ、例えば80%とすることができる。また、比較対象元レコードおよび比較対象先レコードの参照範囲である比較対象日付範囲も同様に、設定値データ316に事前に定めておくことができる。比較対象日付範囲は任意の範囲とすることができ、例えば、3日前までのデータを参照するよう設定することができる。また、比較対象元レコードのエリアに格納されている時間帯を基準とした所定の時間範囲(例えば、前後1時間の範囲)を参照して、上記の一致率を算出してもよい。
【0114】
一方、比較対象先レコードのベンダが比較対象ベンダではない場合(ステップS17でNo)には、上記ステップS18およびS19の処理を省略する。
【0115】
次いで、位置情報管理装置30は、すべてのレコードを比較対象先レコードとしたかどうかを判定する(ステップS20)。本フローチャートでは、比較対象先レコードはj番目のレコードであり、データ蓄積テーブル313の最終行に到達していない場合には、比較対象先レコードとしていない未処理のレコードが残っている状態である。すべてのレコードを比較対象先レコードとしていない場合(ステップS20でNo)には、jを1つインクリメント(j=j+1)して(ステップS21)、ステップS16に戻り、次の行を比較対象先レコードとして同様の処理を行う。
【0116】
一方、すべてのレコードを比較対象先レコードとした場合(ステップS20でYes)には、位置情報管理装置30は、固定された比較対象元レコードと各比較対象先レコードとの比較照合により得られた一致エリア数/全エリア数を参照し、当該一致エリア数/全エリア数が所定の同一端末認定頻度率以上であり、かつ最大となる組み合わせを統合対象とする(ステップS22)。
【0117】
閾値として用いる上記の同一端末認定頻度率は、例えば設定値データ316として事前に定めておくことができる。所定の同一端末認定頻度率は任意の数値とすることができ、例えば20%とすることができる。
【0118】
位置情報管理装置30は、すべてのベンダを比較対象ベンダとしたかどうかを判定する(ステップS23)。すべてのベンダを比較対象ベンダとしていない場合(ステップS23でNo)には、未処理の別のベンダを比較対象ベンダとして設定し(ステップS24)、ステップS15に戻ってj(=i+1)番目の行のレコードから再び別のベンダを比較対象ベンダとして処理を行う。
【0119】
一方、すべてのベンダを比較対象ベンダとした場合(ステップS23でYes)には、i番目の固定レコードと、このi番目のレコードよりも下に位置するj番目(j>i)のレコードすべてとの比較照合が完了した状態となる。ここで、位置情報管理装置30は、すべてのレコードを比較対象元レコードとしたかどうかを判定する(ステップS20)。本フローチャートでは、比較対象元レコードはi番目のレコードであり、データ蓄積テーブル313の最終行に到達していない場合には、比較対象元レコードとしていない未処理のレコードが残っている状態である。すべてのレコードを比較対象元レコードとしていない場合(ステップS25でNo)には、iを1つインクリメント(i=i+1)して(ステップS26)、ステップS13に戻り、次の行を比較対象元レコードとして同様の処理を行う。すなわち、ステップS26では固定レコードである比較対象元レコードを1番目から2番目、2番目から3番目というように段階的にずらし、これにより、i番目のレコードとj番目(j>i)のレコードとの組み合わせをすべて網羅した比較照合を行うことができるようになっている。
【0120】
一方、すべてのレコードを比較対象元レコードとした場合(ステップS25でYes)、データ蓄積テーブル313のすべてのレコードの組み合わせについて比較照合を行った状態であり、位置情報管理装置30は、統合対象とするレコードの媒体IDを関連付けるユーザIDをID管理テーブル314へ出力する(ステップS27)。
【0121】
図7は、本実施形態におけるID管理テーブル314の一例である。図7に示すように、ID管理テーブル314は、ユーザID、関連媒体IDの各項目を有している。ユーザIDの項目には、複数の媒体IDを関連付けるユーザIDが格納される。ユーザIDは、複数の媒体IDを統合する識別情報であり、ユーザ端末10の識別情報と言うことができるものである。関連媒体IDの項目には、データ蓄積テーブル313のすべてのレコードの組み合わせについて比較照合を行った結果、同一のユーザ端末10に関連する媒体IDであると判断された媒体IDが格納される。
【0122】
また、位置情報管理装置30は、ID管理テーブル314のユーザIDおよび関連媒体IDをキーとしてデータ蓄積テーブル313を参照し、各エリアの時間帯を転記することで、ユーザIDとエリア情報とを対応付ける情報を統合データ出力テーブル315へ出力することができる。
【0123】
図8は、本実施形態における統合データ出力テーブル315の一例である。図8に示すように、統合データ出力テーブル315は、ユーザID、日付、複数のエリアの各項目を有している。ユーザIDの項目には、複数の媒体IDを関連付けるユーザIDが格納される。日付およびエリアの項目には、データ蓄積テーブル313の複数の媒体IDのいずれかに関連付けられた情報が格納される。複数の媒体IDのうちのどの媒体IDに関連付けられた情報をデータ蓄積テーブル313から統合データ出力テーブル315へ転記するかは特に限定されるものではない、位置情報管理装置30は、例えば、データ蓄積テーブル313を参照してユーザ名に関連付けられた複数の媒体IDのデータを比較し、各エリアにおいて例えば時間帯が長いほうのデータを統合データ出力テーブル315の対応するエリアの項目内へ転記してもよい。
【0124】
ID管理テーブル314は、ユーザ端末10に実装されている複数の測位部のそれぞれの識別情報を統合したものである。これにより、複数の測位部のうちのいずれかの識別情報に係る位置情報が特定できれば、ユーザ端末10の現在位置を把握することができるようになる。特に、GPS信号が届かない場所、ビーコン送信機70やアクセスポイント80が設置されていない場所等のように、単一の測位部のみを用いた場合には測位不可能なエリアが出てきてしまうが、本実施形態では、複数の測位部のそれぞれの識別情報が紐付けられており、相互に位置情報の埋め合わせを行うことができるので、きめ細やかかつ精度の高い位置情報が得られ、ユーザの動線調査やユーザの動線に基づくマーケティング等を効果的に行うことができる。
【0125】
上記の実施形態によれば、ユーザ端末10の現在位置を示す複数の位置情報を関連付けるための位置情報管理装置30であって、ユーザ端末10に実装されている複数の測位部のそれぞれに関連したユーザ端末10の識別情報とユーザ端末10の位置情報とを関連付けて蓄積するデータ蓄積部と、異なる識別情報に関連付けられた位置情報を相互に比較照合して、所定の一致率を超える位置情報の組み合わせに係る複数の識別情報を統合する位置情報管理部と、を有することを特徴とする位置情報管理装置30が提供される。
【0126】
上記の実施形態によれば、ユーザ端末10の現在位置を示す複数の位置情報を関連付けるための位置情報管理装置30により実行される位置情報管理方法であって、ユーザ端末10に実装されている複数の測位部のそれぞれに関連したユーザ端末10の識別情報とユーザ端末10の位置情報とを蓄積するステップと、異なる識別情報に関連付けられた位置情報を相互に比較照合するステップと、所定の一致率を超える位置情報の組み合わせに係る複数の識別情報を統合するステップと、を有することを特徴とする位置情報管理方法が提供される。
【0127】
上記の実施形態によれば、複数の測位部が実装されたユーザ端末10に関して、複数の測位部のそれぞれで特定された位置情報の関連付けをネットワーク50を介したサーバ側で行うことができるようになる。また、ネットワーク50を介したサーバ側で位置情報を取得することができるので、きめ細やかで精度の高い位置情報が得られ、ユーザの動線調査やユーザの動線に基づくマーケティング等に好適に利用することができる。
【0128】
本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲における種々の変形例および設計変更等をその技術的範囲に包含するものである。
【符号の説明】
【0129】
1 位置情報管理システム
10 ユーザ端末
20a、20b、20c 位置情報サービス提供サーバ
30 位置情報管理装置
50 ネットワーク
60 GPS衛星
70 ビーコン送信機
80 アクセスポイント
101、301 プロセッサ
102、302 メモリ
103 携帯電話通信部
104 無線LAN通信部
105 ビーコン通信部
106 GPS信号処理部
107、304 操作入力部
108、305 モニタ
109、306 ストレージ
150、350 バス
303 通信部
311 データ蓄積プログラム
312 位置管理処理プログラム
313 データ蓄積テーブル
314 ID管理テーブル
315 統合データ出力テーブル
316 設定値データ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8