(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022136636
(43)【公開日】2022-09-21
(54)【発明の名称】FOUP
(51)【国際特許分類】
H01L 21/673 20060101AFI20220913BHJP
B65D 85/38 20060101ALI20220913BHJP
【FI】
H01L21/68 T
B65D85/38 300
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021036341
(22)【出願日】2021-03-08
(71)【出願人】
【識別番号】500296147
【氏名又は名称】大日商事株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】397049158
【氏名又は名称】株式会社ハーモテック
(74)【代理人】
【識別番号】100162396
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 泰之
(74)【代理人】
【識別番号】100194803
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 理弘
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 直哉
(72)【発明者】
【氏名】中野 遼
(72)【発明者】
【氏名】服部 哲大
(72)【発明者】
【氏名】河西 裕二
(72)【発明者】
【氏名】徳永 英幸
(72)【発明者】
【氏名】田中 秀光
(72)【発明者】
【氏名】輿石 克洋
【テーマコード(参考)】
3E096
5F131
【Fターム(参考)】
3E096AA03
3E096BA16
3E096BB04
3E096CA02
3E096CB03
3E096DA01
3E096DA03
3E096DA09
3E096DB02
3E096FA19
3E096FA28
3E096GA04
3E096GA09
3E096GA12
5F131AA02
5F131BA32
5F131CA09
5F131CA23
5F131GA14
5F131GA33
5F131GA53
5F131GA69
5F131GA82
5F131JA33
(57)【要約】
【課題】薄型ウエハの搬送・保管に適したFOUPを提供すること。
【解決手段】半導体基板の搬入出を行う開口と半導体基板を収容する内部空間とを備えるカセットと、前記開口に開閉自在に設けられるドアとを有し、
前記カセットが、両側壁内面にウエハティースを備え、
前記ウエハティースが、半導体基板を支持する支持凸条を備え、
前記支持凸条の少なくとも先端を含む部分が、内方に向かって下方に傾斜しており、その先端の高さが、所定位置に収容した半導体基板外縁が位置する部分の高さより、70μm以上低いFOUP。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板の搬入出を行う開口と半導体基板を収容する内部空間とを備えるカセットと、前記開口に開閉自在に設けられるドアとを有し、
前記カセットが、両側壁内面にウエハティースを備え、
前記ウエハティースが、半導体基板を支持する支持凸条を備え、
前記支持凸条の少なくとも先端を含む部分が、内方に向かって下方に傾斜しており、その先端の高さが、所定位置に収容した半導体基板の外縁が位置する部分の高さより、70μm以上低いことを特徴とするFOUP。
【請求項2】
両側壁内面の前記ウエハティースが、それぞれ少なくとも2個の支持凸条を備え、
1枚の半導体基板を支持する支持凸条のうち、半導体基板の搬入出方向に最も離れた2個の支持凸条間の距離であるティース内支持距離が、110mm以上170mm以下であり、最も開口寄りに位置する2個の支持凸条間の距離である開口部支持距離が、245mm以上270mm以下であることを特徴とする請求項1に記載のFOUP。
【請求項3】
前記ドアが、内面に半導体基板の移動を防止するストッパーを備え、
前記ドアを閉じた際に、前記ストッパーと収容された半導体基板との間に、1500μm以下の間隔を有することを特徴とする請求項1または2に記載のFOUP。
【請求項4】
半導体基板の搬入出を行う開口と半導体基板を収容する内部空間とを備えるカセットと、前記開口に開閉自在に設けられるドアとを有し、
前記ドアが、内面に半導体基板の移動を防止するストッパーを備え、
前記ドアを閉じた際に、前記ストッパーと収容された半導体基板との間に、1500μm以下の間隔を有することを特徴とするFOUP。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、300mm径半導体基板を搬送・保管等するための半導体搬送容器であるFOUP、特に、薄型ウエハ用のFOUPに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体の技術分野において、半導体基板をクリーン環境下で搬送・保管等するために内部をクリーンに保った半導体搬送容器が用いられており、300mm径半導体基板用の容器として、FOUP(Front Opening Unified Pod)が用いられている(非特許文献1)。
【0003】
FOUPは、半導体基板の搬入出を行う開口と半導体基板を収容する内部空間とを備えるカセットと、この開口に開閉自在に設けられるドアとを有する。
カセットは、その内部空間が開口から見て略左右対称であり、両側壁内面には、左右一対のウエハティースを備える。ウエハティースは、複数枚の支持片を有し、この支持片の上面に内方に向かって伸びる支持凸条が形成されている。半導体基板は、この支持凸条の上に載置される。
ドアは、収容した半導体基板が動かないように、その内面に、ドアを閉じた際に半導体基板を奥側へ軽く押し付けるリテーナーを備える。
【0004】
半導体基板は、その外周部に半導体製造に用いることのできない周辺部除外領域(Edge Exclusion Area)を有し、この周辺部除外領域の内部に半導体製造に用いられる平坦度適用領域(Fixed Quality Area)を有する。
SEMIスタンダードでは、300mm径ウエハの厚さは775μmである。しかし、300mm径ウエハの中には、半導体チップを小型化するために、厚さ200μm以下とした薄型ウエハが存在する。薄型ウエハは、厚さが200μm以下と薄いため、例えば、金属結晶からなるシリコンウエハであっても柔軟となり、取り扱い性に劣るという問題がある。薄型ウエハの取り扱い性を向上させるために、ウエハの外周部はそのままで、内側部分のみ研削して薄膜部としたTAIKOウエハが提案されている(特許文献1、2、非特許文献2)。
【0005】
従来のFOUPにTAIKOウエハである薄型ウエハWを複数枚収容した際に開口側から見た模式図と、その支持片部分の拡大模式図を
図9に示す。
カセットは、その両側壁内面に左右一対のウエハティース11を備える。ウエハティース11は、上下方向に一定間隔で配列した複数枚の支持片12を備え、支持片12の上面に内方に向かって伸びる支持凸条13が形成されている。
収容された薄型ウエハWは、その薄膜部が下方に撓んでしまうが、支持凸条13に支えられた部分は撓むことができない。そのため、薄型ウエハWの支持凸条13に支えられた部分、特に支持凸条の先端部13Eと接触する部分は、他の部分と比較して大きく変形し、負荷が集中する。この負荷が集中した部分、具体的には、先端部13Eと接触した部分とその周辺部分は、欠陥が生じやすくなるため、半導体製造に用いることができず、1枚のウエハから取れるチップ数が少なくなり歩留まりが低下してしまう場合がある。
【0006】
また、
図9に示すように、ウエハティース11は、上下に10~20mm程度の間隔で複数枚の支持片12を備えるが、薄型ウエハWが下方に撓むと、上下に収容された薄型ウエハWの間に搬送アーム(厚さ6mm程度)を挿入する隙間が狭くなり、搬送不良が生じる場合がある。上下に収容した薄型ウエハWの間に十分な隙間を設けるために、ウエハティース11の支持片12の一段置き等に薄型ウエハWを収容することが行われているが、一つのFOUPに収容できるウエハの枚数が半分以下となるため生産性が低下し、また、必要なFOUPの個数が少なくとも2倍となってしまう。
【0007】
さらに、薄型ウエハをFOUPに収容してドアを閉じると、ドア内面のリテーナーが薄型ウエハを奥側へ軽く押し付けるが、この際、薄型ウエハに割れが発生する場合がある。薄型ウエハに割れが生じると、破片が飛び散ってFOUP内部が汚染されるため、割れが生じたウエハのみならず、収容されているウエハの全てが不良となり、歩留まりが大きく低下してしまう。また、割れの発生したFOUPは、洗浄・乾燥が終わるまで使用できないため、生産性を落とさないためには、予備のFOUPを保有しておく必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2007-19461号公報
【特許文献2】特開2007-35756号公報
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】SEMI Standard E47.1、“MECHANICAL SPECIFICATION FOR FOUPS USED TO TRANSPORT AND STORE 300mm WAFERS”
【非特許文献2】TAIKOプロセス、[online]、令和2年12月2日検索、株式会社ディスコ、インターネット<URL:https://www.disco.co.jp/jp/solution/library/grinder/taiko_process.html>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、特に、薄型ウエハの搬送・保管に適したFOUPを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の課題を解決するための手段は、以下の通りである。
1.半導体基板の搬入出を行う開口と半導体基板を収容する内部空間とを備えるカセットと、前記開口に開閉自在に設けられるドアとを有し、
前記カセットが、両側壁内面にウエハティースを備え、
前記ウエハティースが、半導体基板を支持する支持凸条を備え、
前記支持凸条の少なくとも先端を含む部分が、内方に向かって下方に傾斜しており、その先端の高さが、所定位置に収容した半導体基板の外縁が位置する部分の高さより、70μm以上低いことを特徴とするFOUP。
2.両側壁内面の前記ウエハティースが、それぞれ少なくとも2個の支持凸条を備え、
1枚の半導体基板を支持する支持凸条のうち、半導体基板の搬入出方向に最も離れた2個の支持凸条間の距離であるティース内支持距離が、110mm以上170mm以下であり、最も開口寄りに位置する2個の支持凸条間の距離である開口部支持距離が、245mm以上270mm以下であることを特徴とする1.に記載のFOUP。
3.前記ドアが、内面に半導体基板の移動を防止するストッパーを備え、
前記ドアを閉じた際に、前記ストッパーと収容された半導体基板との間に、1500μm以下の間隔を有することを特徴とする1.または2.に記載のFOUP。
4.半導体基板の搬入出を行う開口と半導体基板を収容する内部空間とを備えるカセットと、前記開口に開閉自在に設けられるドアとを有し、
前記ドアが、内面に半導体基板の移動を防止するストッパーを備え、
前記ドアを閉じた際に、前記ストッパーと収容された半導体基板との間に、1500μm以下の間隔を有することを特徴とするFOUP。
【発明の効果】
【0012】
支持凸条の少なくとも先端部分が、内方に向かって下方に傾斜した傾斜部を備え、この傾斜部の内側先端の高さ(h1)が、所定位置に収容した半導体基板の外縁が位置する部分の高さ(h2)より、70μm以上低い(h2-h1≧70μm)FOUPは、収容した薄型ウエハの薄膜部と支持凸条先端との接触を防ぐことができるため、平坦度適用領域における不良の発生を減らし、歩留まりを高く保つことができる。
ティース内支持距離が110mm以上170mm以下であり、開口部支持距離が245mm以上270mm以下であるFOUPは、薄型ウエハを収容しても撓み量が小さく、ウエハティースの全段に薄型ウエハを収容しても、収容した薄型ウエハの間に搬送アームを挿入することができるため、生産性に優れている。
ドアを閉じた際に、ストッパーと収容された半導体基板との間に、1500μm以下の間隔を有するFOUPは、収容した半導体基板が押圧されないため、薄型ウエハを収容しても割れの発生を防止することができ、歩留まりと生産性を高く保つことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】第一実施態様であるFOUPを閉じた状態の概略図。
【
図2】第一実施態様であるFOUPを開けた状態の概略図。
【
図4】第一実施態様であるFOUPの支持凸条に薄型ウエハを載置した状態の水平方向から見た拡大模式図。
【
図5】第一実施態様であるFOUPが、所定の収容位置に薄型ウエハを収容した際の上方からの模式図。
【
図7】第一実施態様であるFOUPが、所定の収容位置に薄型ウエハを収容した際のストッパー近傍の上方からの模式図。
【
図8】第二実施態様であるFOUPが、所定の収容位置に薄型ウエハを収容した際の上方からの模式図。
【
図9】従来のFOUPが薄型ウエハを複数枚収容した際に開口側から見た断面模式図と、その支持片部分の拡大模式図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明は、FOUPに関し、特に平坦度適用領域の厚さが200μm以下である薄型ウエハの保管、搬送等に好適なFOUPに関する。本発明のFOUPは、基本的には、SEMI Standard E47.1(非特許文献1)を満足する。
【0015】
「第一実施態様」
本発明の第一実施態様であるFOUPを
図1、2に示す。なお、本明細書全体において、図面は、具体的な構成を理解するための模式図に過ぎず、実際の形状を正確に反映したものではない。そのため、本発明を理解するために、一部の構造については誇張して表現している。
【0016】
第一実施態様であるFOUP100は、半導体基板の搬入出を行う開口Oと半導体基板を収容する内部空間Sとを備えるカセット110と、この開口Oに開閉自在に設けられるドア120と、を有する。
カセット110は、その両側壁内面に一対のウエハティース111を備える。ウエハティースは、上下方向に一定間隔で配列した25枚の支持片112を備える。支持片の枚数は、収容する半導体基板の枚数に応じ、例えば、13枚とすることもできる。本発明のFOUPにおいて、ウエハティースは、カセットとは別々に成形してカセットに着脱自在とすることもでき、カセットと一体に成形することもできる。
ドア120は、その内面に半導体基板の移動を防止するストッパー121を備える。
【0017】
図3に、左側のウエハティースの斜視断面図を示す。
支持片112の上面には、内方に向かって伸びる2本の支持凸条113が、搬入出方向(開口から見て前後方向)に140mm間隔で形成されている。支持凸条113は、少なくとも先端を含む部分が、内方に向かって下方に傾斜している。
【0018】
図4に、支持凸条113にTAIKOウエハである薄型ウエハWを載置した状態の水平方向から見た断面概略図を示す。
支持凸条113は、薄型ウエハWの厚膜部(周辺部除外領域)の途中から先端部113Eにかけて内方に向かって下方に傾斜し、その先端部113Eの高さ(h1)が、所定位置に収容した半導体基板の外縁Woが位置する部分の高さ(h2)より、70μm以上低くなっている(h2-h1≧70μm)。なお、
図4では、支持片112の上面と下面は水平としているが、例えば、支持片の上面を内方に向けて下方に傾斜させ、支持凸条の上面を支持片の上面と平行とすることもできる。
本発明において、支持凸条は、少なくとも先端を含む部分が内方に向かって下方に傾斜すればよく、所定位置に収容した半導体基板の下方に位置する部分が全て下方に傾斜してもよい。また、支持凸条の下方に傾斜する部分は、内方に向けて上方に傾斜しなければよく、その一部に水平部分を有することもできる。また、下方への傾斜は、傾きが一定である平面に限定されず、傾きが変化する曲面であってもよく、傾きが異なる2以上の平面、1以上の平面と1以上の曲面を組み合わせたものでもよい。
【0019】
支持凸条113に支持された薄型ウエハWは、外周の厚膜部は撓まず、薄膜部のみが下方に撓んでいる。第一実施態様であるFOUP100は、支持凸条113の先端113Eの高さ(h1)を、半導体基板外縁Woが位置する部分の高さ(h2)より、70μm以上低く(h2-h1≧70μm)することにより、支持凸条113と薄型ウエハWの薄膜部との接触を防ぐものであり、これにより、支持凸条113の先端部113E付近に位置する平坦度適用領域での不良の発生を減らすことができる。さらに、平坦度適用領域のすぐ外側の部分が支持凸条113と接触すると、直接の接触ほどではないにしても負荷がかかるため、平坦度適用領域から1mm以内の部分が支持凸条の先端部113Eと接触しないことが好ましく、2mm以内の部分が接触しないことがより好ましい。支持凸条113の先端113Eの高さ(h1)と、半導体基板外縁Woが位置する部分の高さ(h2)の差(h2-h1(h2>h1))は、80μm以上であることが好ましく、100μm以上であることがさらに好ましい。また、この差(h2-h1)は、1000μm以下であることが好ましく、500μm以下であることがより好ましく、300μm以下であることがさらに好ましい。
【0020】
ここで、FOUPは、300mm径である半導体基板の搬送、保管等に用いるものであるが、半導体基板が内部で動かないように、半導体基板の収容位置は所定の一点となるように設計されている。
図5に、第一実施態様であるFOUP100が、所定の収容位置に薄型ウエハWを収容した際の上方からの模式図を示す。
【0021】
薄型ウエハWは、左右一対のウエハティース111の支持片112上に載置されるから、左右で2点ずつ計4点の支持凸条113に支持される。
第一実施態様であるFOUP100において、1枚の薄型ウエハWを支持する支持凸条113のうち、薄型ウエハWの搬入出方向に最も離れた2個の支持凸条間の距離であるティース内支持距離d1は140mm、最も開口寄りに位置する2個の支持凸条間の距離である開口部支持距離d2は251mmである。なお、これらの距離の起点は、支持凸条113の薄型ウエハ(半導体基板)の外周縁との接触点である。
本発明のFOUPにおいて、ティース内支持距離d1が110mm以上170mm以下、かつ、開口部支持距離d2が245mm以上270mm以下であることが好ましい。ティース内支持距離d1と開口部支持距離d2をこの範囲内とすることにより、支持片112が半導体基板の搬入出の妨げとなることを防ぎながらも半導体基板をバランス良く支持することができ、特に薄型ウエハを収容した際の撓み量を小さくすることができる。また、支持片上に形成される支持凸条のうち、薄型ウエハWの搬入出方向に最も離れた2個の支持凸条は、半導体基板の左右方向での中心線に対し、線対称な位置に形成されることが好ましい。このように形成することで、4つの支持凸条が、半導体基板の左右方向での中心線に対し、線対称な位置で半導体基板を支持するため、半導体基板をバランス良く支持することができ、特に薄型ウエハを収容した際の撓み量を小さくすることができる。そして、本発明のFOUPにおいて、ティース内支持距離d1と開口部支持距離d2をこの範囲内とすることにより、ウエハティース111が有する複数枚の支持片112の上下方向の間隔を10mm以下としても、上下に隣接する支持片に載置した薄型ウエハの間に搬送アームを挿入することが容易となる。
【0022】
本発明のFOUPにおいて、ティース内支持距離d1は、115mm以上であることがより好ましく、120mm以上であることがさらに好ましく、165mm以下であることが好ましく、160mm以下であることがより好ましく、155mm以下であることがさらに好ましい。開口部支持距離d2は、250mm以上であることがより好ましく、265mm以下であることがより好ましい。
【0023】
本発明の第一実施態様であるFOUP100において、ドア120は、その内面に半導体基板の移動を防止するストッパー121を備える。
ストッパー121の概略図を
図6に、このFOUP100の所定の収容位置に薄型ウエハWを収容した際のストッパー121近傍の上方からの模式図を
図7に示す。
ストッパー121は、ドアの内面に固定される本体部122と、本体部の左右に弾性部124を介して接続された2枚の羽根部123を備える。
第一実施態様であるFOUP100は、ドア120を閉じた際に、所定位置に収容された薄型ウエハWとストッパー121とは、その羽根部123との距離が最も近く、100μmの間隔を有する。第一実施態様であるFOUP100は、ストッパー121が所定位置に収容された薄型ウエハWと接触せず、ドア120を閉じた際に薄型ウエハWは奥側へ押し付けられないため、薄型ウエハWの割れを防止することができる。
【0024】
薄型ウエハ(半導体基板)を収容したFOUPを運搬等する際に、予期せず半導体基板がFOUP内で動いてしまうことがあるが、動いた半導体基板がストッパーの羽根部と衝突しても、この衝撃を弾性部により緩和することができるため、半導体基板、特に薄型ウエハの割れを防ぐことができる。半導体基板が勢いよく動かないように、ストッパーと半導体基板との間隔は狭いほうが好ましく、具体的には、本発明のFOUPにおいて、ストッパーと所定位置に収容された半導体基板との間隔は、1500μm以下であればよい。1200μm以下であることが好ましく、800μm以下であることがより好ましく、400μm以下であることがさらに好ましく、100μm以下であることがよりさらに好ましい。この間隔の下限値は特に制限されないが、間隔が小さすぎると製造時の公差等でストッパー121と半導体基板Wとが接触してしまう場合があるため、0.1μm以上であることが好ましく、1μm以上であることがより好ましい。
【0025】
第一実施態様であるFOUP100にTAIKOウエハを収容し、ドア120を閉めたところ、支持凸条113先端とTAIKOウエハの平坦度適用領域とは接触しなかった。また、ドア120を閉めた際に、ストッパー121とTAIKOウエハとは接触せず、TAIKOウエハの割れの発生を防止することができた。収容したTAIKOウエハを、水平方向から観察し、ウエハ中心部の下方への撓み量を測定したところ、撓み量は1.77mmであり、上下に10mmピッチで複数枚の支持片112を設けても、収容されたTAIKOウエハ間には8.2mm以上の間隔があり、搬送アームを挿入する際に支障とならないことが確かめられた。
【0026】
「第二実施態様」
第二実施態様であるFOUPは、ティース内支持距離d1が120mm、開口部支持距離d2が260mmである以外は、第一実施態様であるFOUP100と同一である。
図8に、第二実施態様であるFOUP200が、所定の収容位置に薄型ウエハWを収容した際の上方からの模式図を示す。
FOUP200に収容したTAIKOウエハを、水平方向から観察し、ウエハ中心部の下方への撓み量を測定したところ、撓み量は1.85mmであり、上下に10mmピッチで複数枚の支持片を設けても、収容されたTAIKOウエハ間には8.1mm以上の間隔があり、搬送アームを挿入する際に支障とならないことが確かめられた。
【符号の説明】
【0027】
100 第一実施態様であるFOUP
110 カセット
O 開口
S 内部空間
111 ウエハティース
112 支持片
113 支持凸条
113E 支持凸条の先端部
120 ドア
121 ストッパー
122 本体部
123 羽根部
124 弾性部
200 第二実施態様であるFOUP
W 薄型ウエハ