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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022136685
(43)【公開日】2022-09-21
(54)【発明の名称】形状計測装置および方法
(51)【国際特許分類】
   G01B 11/24 20060101AFI20220913BHJP
【FI】
G01B11/24 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021036408
(22)【出願日】2021-03-08
(71)【出願人】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】橋本 達矢
【テーマコード(参考)】
2F065
【Fターム(参考)】
2F065AA53
2F065DD06
2F065GG04
2F065HH05
2F065HH12
2F065JJ03
2F065JJ26
2F065MM14
2F065MM15
2F065PP25
2F065QQ05
2F065SS13
(57)【要約】
【課題】形状計測装置および方法において、形状計測時間を短縮することで作業性の向上を図る。
【解決手段】計測対象物に向けてライン光を照射可能な光照射装置と、光照射装置を移動することでライン光を走査可能な駆動装置と、計測対象物を撮影して輝線画像を取得可能な撮影装置と、ライン光を走査したときの輝線画像におけるライン光に基づいて光照射装置の照射位置および照射角度を設定する位置角度設定部と、光照射装置の照射位置および照射角度と輝線画像におけるライン光に基づいて計測対象物の3次元形状を算出する3次元形状算出部と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
計測対象物に向けてライン光を照射可能な光照射装置と、
前記光照射装置を移動することで前記ライン光を走査可能な駆動装置と、
前記計測対象物を撮影して輝線画像を取得可能な撮影装置と、
前記ライン光を走査したときの前記輝線画像における前記ライン光に基づいて前記光照射装置の照射位置および照射角度を設定する位置角度設定部と、
前記光照射装置の照射位置および照射角度と前記輝線画像における前記ライン光に基づいて前記計測対象物の3次元形状を算出する3次元形状算出部と、
を備える形状計測装置。
【請求項2】
前記駆動装置は、前記ライン光の照射位置を水平方向に移動することで前記ライン光を走査させる、
請求項1に記載の形状計測装置。
【請求項3】
前記駆動装置は、前記ライン光の照射角度を変更することで前記ライン光を走査させる、
請求項1に記載の形状計測装置。
【請求項4】
前記位置角度設定部が前記光照射装置の照射位置および照射角度を設定するときの前記ライン光の走査速度は、前記3次元形状算出部が前記計測対象物の3次元形状を算出するときの前記ライン光の走査速度より高速に設定される、
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の形状計測装置。
【請求項5】
前記輝線画像に基づいて前記ライン光が前記計測対象物の表面に照射されたときの前記光照射装置の位置および角度を、前記位置角度設定部は、前記照射位置および前記照射角度に設定する、
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の形状計測装置。
【請求項6】
前記ライン光を走査したときの前記輝線画像の明るさに基づいて前記光照射装置のライン光の出力を設定する出力設定部が設けられる、
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の形状計測装置。
【請求項7】
前記出力設定部は、前記ライン光を走査したときの前記輝線画像における前記ライン光の幅に基づいて前記光照射装置のライン光の出力を設定する、
請求項6に記載の形状計測装置。
【請求項8】
前記計測対象物に対して異なる複数の方向からライン光を照射可能な複数の前記光照射装置を有する、
請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の形状計測装置。
【請求項9】
前記複数の前記光照射装置は、異なる色のライン光を照射可能である、
請求項8に記載の形状計測装置。
【請求項10】
光照射装置から計測対象物に向けてライン光を照射すると共に前記ライン光を走査させる工程と、
前記計測対象物を撮影して調整用輝線画像を取得する工程と、
前記調整用輝線画像における前記ライン光に基づいて前記光照射装置の照射位置および照射角度を設定する工程と、
前記照射位置および前記照射角度が設定された前記光照射装置から前記計測対象物に向けてライン光を照射する工程と、
前記計測対象物を撮影して形状計測用輝線画像を取得する工程と、
前記光照射装置の照射位置および照射角度と前記形状計測用輝線画像における前記ライン光に基づいて前記計測対象物の3次元形状を算出する工程と、
を有する形状計測方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、計測対象部材の形状を3次元計測する形状計測装置および方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
原子炉で発生した放射性廃棄物は、例えば、廃棄貯蔵庫の水中で保管される。貯蔵庫に保管された放射性廃棄物は、必要に応じて遠隔で操作されるロボットにより取り出される。放射性廃棄物は、貯蔵庫に多数保管され、貯蔵庫の上部に配置されたロボットが放射性廃棄物を把持して取り出す。このとき、放射性廃棄物は、投棄貯蔵されており、乱雑に積み重なっていることから、事前に形状を計測する必要がある。部材の形状を計測する技術としては、下記特許文献に記載されたものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008-111780号公報
【特許文献2】特開2014-098602号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したように、貯蔵庫に保管された放射性廃棄物は、投機貯蔵されており、乱雑に積み重なっていることから、取り出す前に積重形状を計測する必要がある。形状計測方法としては、例えば、レーザ光源とカメラを用いた光切断法がある。この場合、放射性廃棄物に対してレーザ光源からレーザを照射し、カメラがレーザ光のレーザラインを撮影し、その撮影画像に基づいて形状を特定する。ところが、放射性廃棄物は、貯蔵庫に保管された状態で、形状だけでなくその位置が不確定である。そのため、放射性廃棄物に対して正確にレーザを照射することが困難となり、作業時間が長くなってしまうという課題がある。
【0005】
本開示は、上述した課題を解決するものであり、形状計測時間を短縮することで作業性の向上を図る形状計測装置および方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するための本開示の形状計測装置は、計測対象物に向けてライン光を照射可能な光照射装置と、前記光照射装置を移動することで前記ライン光を走査可能な駆動装置と、前記計測対象物を撮影して輝線画像を取得可能な撮影装置と、前記ライン光を走査したときの前記輝線画像における前記ライン光に基づいて前記光照射装置の照射位置および照射角度を設定する位置角度設定部と、前記光照射装置の照射位置および照射角度と前記輝線画像における前記ライン光に基づいて前記計測対象物の3次元形状を算出する3次元形状算出部と、を備える。
【0007】
上記の目的を達成するための本開示の形状計測方法は、光照射装置から計測対象物に向けてライン光を照射すると共に前記ライン光を走査させる工程と、前記計測対象物を撮影して調整用輝線画像を取得する工程と、前記調整用輝線画像における前記ライン光に基づいて前記光照射装置の照射位置および照射角度を設定する工程と、前記照射位置および前記照射角度が設定された前記光照射装置から前記計測対象物に向けてライン光を照射する工程と、前記計測対象物を撮影して形状計測用輝線画像を取得する工程と、前記光照射装置の照射位置および照射角度と前記形状計測用輝線画像における前記ライン光に基づいて前記計測対象物の3次元形状を算出する工程と、を有する。
【発明の効果】
【0008】
本開示の形状計測装置および方法によれば、形状計測時間を短縮することで作業性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、第1実施形態の形状計測装置を表す概略構成図である。
図2図2は、第1実施形態の形状計測方法を表すフローチャートである。
図3図3は、レーザプロジェクタの走査方法を表す説明図である。
図4図4は、レーザプロジェクタの走査方法の変形例を表す説明図である。
図5図5は、計測対象物に対するレーザプロジェクタとCCDカメラとの位置関係を表す側面図である。
図6図6は、輝度画像を表す概略図である。
図7図7は、放射性廃棄物の貯蔵庫を表す概略図である。
図8図8は、第2実施形態の形状計測装置における計測対象物に対するレーザプロジェクタとCCDカメラとの位置関係を表す平面図である。
図9図9は、計測対象物に対するレーザプロジェクタとCCDカメラとの位置関係を表す側面図である。
図10図10は、計測対象物に対するレーザプロジェクタとCCDカメラとの位置関係を表す背面図である。
図11図11は、輝度画像を表す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に図面を参照して、本開示の好適な実施形態を詳細に説明する。なお、この実施形態により本開示が限定されるものではなく、また、実施形態が複数ある場合には、各実施形態を組み合わせて構成するものも含むものである。また、実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。
【0011】
[第1実施形態]
<放射性廃棄物の貯蔵庫>
図7は、放射性廃棄物の貯蔵庫を表す概略図である。
【0012】
図7に示すように、貯蔵庫100は、貯蔵容器101と、上蓋102とを有する。貯蔵容器101は、上部が開放され、上蓋102が着脱自在に装着される。貯蔵容器101は、内部に水が貯留され、多数の放射性廃棄物Mが水中に貯留されて収容される。上蓋102は、取出装置103と形状計測装置10が装着される。取出装置103は、上蓋102の上部に配置され、上蓋102の図示しない開口部から貯蔵容器101の内部に垂下する多関節アーム104を有する。多関節アーム104は、先端部に放射性廃棄物Mを把持可能なハンド部105が装着される。
【0013】
形状計測装置10は、放射性廃棄物Mの形状を計測するものである。放射性廃棄物Mは、貯蔵容器101の内部に煩雑に収容されていることから、取出装置103が放射性廃棄物Mを把持する場合、位置や姿勢を特定する必要がある。形状計測装置10は、上蓋102に装着された移動装置106から貯蔵容器101の内部に垂下する多関節アーム107の先端部に装着される。
【0014】
取出装置103が貯蔵容器101に収容された放射性廃棄物Mを外部に取り出すとき、まず、形状計測装置10が放射性廃棄物Mの位置や姿勢を特定する。次に、取出装置103の多関節アーム104が作動し、ハンド部105が特定した放射性廃棄物Mを把持する。
【0015】
<形状計測装置の構成>
図1は、第1実施形態の形状計測装置を表す概略構成図である。
【0016】
第1実施形態では、図1に示すように、形状計測装置10は、水中にある放射性廃棄物Mを計測対象物Mとし、計測対象物Mの3次元形状を計測するものとして説明する。形状計測装置10は、レーザプロジェクタ(光照射装置)11と、駆動装置12と、出力調整装置13と、CCDカメラ(撮影装置)14と、制御装置15と、操作装置16と、表示装置17とを備える。そして、制御装置15は、位置角度設定部21と、出力設定部22と、3次元形状算出部23とを備える。
【0017】
レーザプロジェクタ11は、計測対象物Mに向けてライン光であるレーザ光Lを照射可能である。駆動装置12は、レーザプロジェクタ11を移動することでレーザ光Lを走査可能である。出力調整装置13は、レーザプロジェクタ11が照射するレーザ光Lの出力を調整可能である。CCDカメラ14は、計測対象物Mを撮影して輝線画像S(図6参照)を取得可能である。
【0018】
制御装置15は、レーザプロジェクタ11と駆動装置12と出力調整装置13とに接続される。制御装置15は、レーザプロジェクタ11を制御することで、レーザ光Lを照射可能である。制御装置15は、駆動装置12と出力調整装置13を制御可能である。また、制御装置15は、CCDカメラ14が接続される。制御装置15は、CCDカメラ14が撮影した画像を処理可能である。操作装置16は、制御装置15に接続される。操作装置16は、作業者が操作することで、制御装置15に対して各種の指令信号を入力可能である。表示装置17は、制御装置15に接続される。表示装置17は、CCDカメラ14が撮影した輝線画像Sや制御装置15が処理した処理結果などを表示可能である。
【0019】
位置角度設定部21は、レーザ光Lを走査したときに取得した輝線画像Sにおけるレーザ光Lに基づいてレーザプロジェクタ11の照射位置および照射角度を設定する。出力設定部22は、レーザ光Lを走査したときの輝線画像Sの明るさに基づいてレーザプロジェクタ11のレーザ光Lの出力を設定する。具体的に、出力設定部22は、レーザ光Lを走査したときの輝線画像Sにおけるレーザ光Lの幅に基づいてレーザプロジェクタ11のレーザ光Lの出力を設定する。3次元形状算出部23は。レーザプロジェクタ11の照射位置および照射角度と輝線画像Sにおけるレーザ光Lに基づいて計測対象物Mの3次元形状を算出する。
【0020】
<形状計測方法>
図2は、第1実施形態の形状計測方法を表すフローチャート、図3は、レーザプロジェクタの走査方法を表す説明図、図4は、レーザプロジェクタの走査方法の変形例を表す説明図、図5は、計測対象物に対するレーザプロジェクタとCCDカメラとの位置関係を表す側面図、図6は、輝度画像を表す概略図である。
【0021】
第1実施形態の形状計測方法は、レーザプロジェクタ11から計測対象物Mに向けてレーザ光(ライン光)Lを照射すると共にレーザ光Lを走査させる工程と、計測対象物Mを撮影して調整用輝線画像を取得する工程と、調整用輝線画像におけるレーザ光Lに基づいてレーザプロジェクタ11の照射位置および照射角度を設定する工程と、照射位置および照射角度が設定されたレーザプロジェクタ11から計測対象物Mに向けてレーザ光Lを照射する工程と、計測対象物Mを撮影して形状計測用輝線画像を取得する工程と、レーザプロジェクタ11の照射位置および照射角度と形状計測用輝線画像におけるレーザ光Lに基づいて計測対象物Mの3次元形状を算出する工程とを有する。
【0022】
以下、第1実施形態の形状計測方法について具体的に説明する。図1および図2に示すように、ステップS11にて、作業者は、操作装置16により制御装置15に対して計測開始指令信号を出力する。すると、制御装置15は、水中にある計測対象物Mに対する形状計測処理を実行する。ステップS12にて、制御装置15は、レーザプロジェクタ11を制御することで、計測対象物Mに向けてレーザ光Lを照射する。また、制御装置15は、駆動装置12を制御することで、レーザプロジェクタ11を高速で移動してレーザ光Lの走査を開始する。
【0023】
図3に示すように、CCDカメラ14は、計測対象物Mに対して鉛直方向であるZ方向の上方に配置され、計測対象物Mを含む所定の領域を撮影可能な撮影範囲Aが設定されている。この場合、計測対象物Mの位置や形状が不明であることから、CCDカメラ14の撮影範囲Aを広く設定することが好ましい。また、レーザプロジェクタ11は、計測対象物Mに対してZ方向の上方で、CCDカメラ14に対して水平方向であるY方向の一方に所定間隔を空けて配置される。レーザプロジェクタ11は、計測対象物Mに対して所定の角度でレーザ光Lを照射可能である。
【0024】
駆動装置12は、レーザプロジェクタ11のZ方向の位置(高さ)とレーザプロジェクタ11によるレーザ光Lの照射角度を一定に維持したままで、レーザプロジェクタ11をY方向に沿って所定距離だけ移動する。すると、レーザプロジェクタ11のレーザ光Laがレーザ光Lbまで移動することで、レーザ光Lにより計測対象物Mを走査することとなる。なお、駆動装置12によるレーザプロジェクタ11のレーザ光Lによる計測対象物Mの走査方向は、この方向に限定されるものではない。図4に示すように、駆動装置12は、レーザプロジェクタ11におけるY方向およびZ方向の位置を一定に維持したままで、レーザプロジェクタ11によるレーザ光Lの照射角度を所定角度だけ変更する。すると、レーザプロジェクタ11のレーザ光Lcがレーザ光Ldまで移動することで、レーザ光Lにより計測対象物Mを走査することとなる。
【0025】
ここで、レーザプロジェクタ11によるレーザ光Lの走査は、高速で実施することが好ましい。すなわち、図2に示すように、ステップS12におけるレーザプロジェクタ11のレーザ光Lによる計測対象物Mの走査速度は、後述する3次元形状算出部23が計測対象物Mの3次元形状を算出するときのレーザ光Lの走査速度より高速に設定される。
【0026】
図1および図2に示すように、ステップS13にて、レーザプロジェクタ11によりレーザ光Lを高速で走査するとき、CCDカメラ14は、計測対象物Mおよび計測対象物Mに投影されたレーザ光Lを撮影している。制御装置15は、CCDカメラ14が撮影した計測対象物Mおよび計測対象物Mの調整用輝度画像Sを取得する。この場合、制御装置15は、CCDカメラ14が撮影した調整用輝度画像Sを動画で取得してもよいし、所定時間ごとの静止画で取得してもよい。ステップS14にて、制御装置15は、取得した調整用輝度画像Sに計測対象物Mに向けて照射されたレーザ光L、つまり、レーザラインが有るかどうかを判定する。
【0027】
ここで、調整用輝度画像Sにレーザラインがないと判定(No)されると、ステップS12に戻って処理を継続する。一方、調整用輝度画像Sにレーザラインが有ると判定(Yes)されると、ステップS15にて、調整用輝度画像Sにレーザラインを見つけたときのレーザ照射位置(角度)を検出する。例えば、図3に示すように、駆動装置12によりレーザプロジェクタ11をY方向に沿って移動すると、レーザプロジェクタ11のレーザ光Laは、計測対象物Mの表面に照射されていない。そして、レーザプロジェクタ11のレーザ光Laをレーザ光Lb側に移動すると、途中でレーザプロジェクタ11のレーザ光Lが計測対象物Mの表面に照射されることとなる。このとき、制御装置15は、調整用輝度画像Sに計測対象物Mのレーザラインが有ると判定する。そして、ステップS15では、このときのY方向におけるレーザプロジェクタ11の位置を検出する。なお、図4に示すように、駆動装置12によりレーザプロジェクタ11によるレーザ光Lの照射角度を変更した場合、制御装置15は、調整用輝度画像Sに計測対象物Mのレーザラインが有ると判定したときのレーザプロジェクタ11によるレーザ光Lの照射角度を検出する。
【0028】
図1および図2に示すように、ステップS16にて、レーザプロジェクタ11によるレーザ光Lの照射角度に基づいて、レーザプロジェクタ11から計測対象物Mの表面までの距離(高さ)を算出する。すなわち、Y方向におけるレーザプロジェクタ11の位置とレーザプロジェクタ11によるレーザ光Lの照射角度に基づいてZ方向におけるレーザプロジェクタ11の位置、つまり、計測対象物Mの表面からレーザプロジェクタ11までの高さを算出する。そして、ステップS17にて、位置角度設定部31は、ステップS15およびステップS16で求めたレーザプロジェクタ11の角度と高さを、3次元形状計測を実施するときの照射角度と照射位置に設定する。
【0029】
ステップS18からステップS22にて、出力設定部22は、調整用輝線画像の明るさに基づいてレーザプロジェクタ11のレーザ光の出力を設定する。すなわち、ステップS18にて、調整用輝線画像の二値化処理を実行する。ここで、二値化処理を実行するときの閾値が予め設定される。調整用輝線画像を二値化処理すると、レーザ光Lの照射位置がレーザラインとして白色に表示され、その他が黒色に表示される。ステップS19にて、白色表示されたレーザラインの幅を計測する。ステップS20にて、計測したレーザラインの幅が予め設定された所定値以下かどうかを判定する。
【0030】
計測対象物Mが貯留された水は透明度が低いことがあり、レーザプロジェクタ11のレーザ光Lの出力が低いと、レーザ光Lが計測対象物Mに十分に届かず、レーザ光Lのレーザラインが不鮮明になる。そのため、調整用輝線画像を二値化処理したレーザ光Lのレーザラインの鮮明度を用いて水の透明度(濁度)を推定する。レーザ光Lの出力が適切であればレーザラインの幅が狭く、濃くなって鮮明度が高くなる。ステップS20では、レーザラインの表示が鮮明である所定値以上であるかどうかを判定する。ここで、レーザラインの鮮明度が所定値より小さいと判定(No)されると、ステップS21にて、レーザプロジェクタ11のレーザ出力が高くなるように調整し、ステップS22に移行する。一方、レーザラインの鮮明度が所定値以上であると判定(Yes)されると、ステップS22に移行し、レーザプロジェクタ11のレーザ出力を現在の出力または調整後の出力に設定する。そして、ステップS23にて、3次元形状算出部23は、計測対象物Mの3次元形状計測を実施する。
【0031】
すなわち、図5および図6に示すように、まず、レーザプロジェクタ11をステップS17で設定したレーザ光Lの照射角度と照射位置に設定する。次に、駆動装置12によりレーザプロジェクタ11を低速で移動してレーザ光Lにより計測対象物Mを走査する。そして、レーザプロジェクタ11によりレーザ光Lを走査したときのCCDカメラ14が撮影した計測対象物Mの形状計測用輝度画像Sを取得する。形状計測用輝度画像Sには、レーザ光LのレーザラインL1,L2,L3が表示される。ここで、レーザ光Lの照射角度θと、Y方向におけるレーザラインL1とレーザラインL2,L3との距離Y1とに基づいて、計測対象物MのZ方向の長さ(高さ)Z1を算出する。取得した複数の形状計測用輝度画像Sに対して同様の処理をすることで、計測対象物Mの3次元形状を算出する。
【0032】
[第2実施形態]
図8は、第2実施形態の形状計測装置における計測対象物に対するレーザプロジェクタとCCDカメラとの位置関係を表す平面図、図9は、計測対象物に対するレーザプロジェクタとCCDカメラとの位置関係を表す側面図、図10は、計測対象物に対するレーザプロジェクタとCCDカメラとの位置関係を表す背面図、図11は、輝度画像を表す概略図である。なお、第2実施形態の基本的な構成は、上述した第1実施形態とほぼ同様であり、図1を用いて説明し、上述した第1実施形態と同様の機能を有する部材には、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0033】
第2実施形態において、図1および図8に示すように、形状計測装置10は、レーザプロジェクタ11,18と、駆動装置12と、出力調整装置13と、CCDカメラ(撮影装置)14と、制御装置15と、操作装置16と、表示装置17とを備える。そして、制御装置15は、位置角度設定部21と、出力設定部22と、3次元形状算出部23とを備える。
【0034】
第2実施形態では、図8から図10に示すように、形状計測装置10は、2つのレーザプロジェクタ11,18を有する。駆動装置12と出力調整装置13とCCDカメラ14と操作装置16と表示装置17は、第1実施形態とほぼ同様である。2つのレーザプロジェクタ11,18は、計測対象物Mに対して異なる複数の方向からレーザ光Lを照射可能である。レーザプロジェクタ11は、CCDカメラ14に対してY方向の一方側に配置され、レーザ光Lの照射角度θ1に設定される。レーザプロジェクタ18は、CCDカメラ14に対してX方向の一方側に配置され、レーザ光Lの照射角度θ2に設定される。すなわち、レーザプロジェクタ11とレーザプロジェクタ18は、90度ずれた位置から計測対象物Mに対してレーザ光Lを照射する。なお、レーザプロジェクタ18は、上述した位置に限らず、図8に二点鎖線で示すように、CCDカメラ14に対してY方向の他方側に配置し、レーザプロジェクタ11に対して180度ずれた位置から計測対象物Mに対してレーザ光Lを照射するようにしてもよい。また、レーザプロジェクタを3個以上配置してもよい。そして、レーザプロジェクタ11,18は、異なる色(例えば、赤色と緑色)のレーザ光Lを照射する。
【0035】
形状計測装置10による形状計測方法は、第1実施形態とほぼ同様である。すなわち、図2のフローチャートの処理にて、ステップS11からステップS22までの処理で、レーザプロジェクタ11,18の照射角度と照射高さの設定は、第1実施形態と同様の方法で、レーザプロジェクタ11,18の両方、または、一方に対して実施すればよい。また、ステップS23の3次元形状計測の処理は、以下の方法で実施すればよい。
【0036】
図9から図11に示すように、まず、レーザプロジェクタ11を設定したレーザ光Lの照射角度と照射位置に設定する。次に、駆動装置12によりレーザプロジェクタ11を低速で移動してレーザ光Lにより計測対象物Mを走査する。そして、レーザプロジェクタ11によりレーザ光Lを走査したときのCCDカメラ14が撮影した計測対象物Mの形状計測用輝度画像Sを取得する。形状計測用輝度画像Sには、レーザ光LのレーザラインL1,L2,L3が表示される。同様に、レーザプロジェクタ18を設定したレーザ光Lの照射角度と照射位置に設定する。次に、駆動装置12によりレーザプロジェクタ18を低速で移動してレーザ光Lにより計測対象物Mを走査する。そして、レーザプロジェクタ181によりレーザ光Lを走査したときのCCDカメラ14が撮影した計測対象物Mの形状計測用輝度画像Sを取得する。形状計測用輝度画像Sには、レーザ光LのレーザラインL4,L5,L6が表示される。
【0037】
そして、レーザ光Lの照射角度θ1と、Y方向におけるレーザラインL1とレーザラインL2,L3との距離Y1とに基づいて、計測対象物MのZ方向の長さ(高さ)Z1を算出する。また、レーザ光Lの照射角度θ1と、X方向におけるレーザラインL4とレーザラインL5,L6との距離X1とに基づいて、計測対象物MのZ方向の長さ(高さ)Z2を算出する。取得した複数の形状計測用輝度画像Sに対して同様の処理をすることで、計測対象物Mの3次元形状を算出する。
【0038】
[本実施形態の作用効果]
第1の態様に係る形状計測装置は、計測対象物Mに向けてレーザ光(ライン光)Lを照射可能なレーザプロジェクタ(光照射装置)11と、レーザプロジェクタ11を移動することでレーザ光Lを走査可能な駆動装置12と、計測対象物Mを撮影して輝線画像を取得可能なCCDカメラ(撮影装置)と、レーザ光Lを走査したときの輝線画像におけるレーザ光Lに基づいてレーザプロジェクタ11の照射位置および照射角度を設定する位置角度設定部21と、レーザプロジェクタ11の照射位置および照射角度と輝線画像におけるレーザ光Lに基づいて計測対象物Mの3次元形状を算出する3次元形状算出部23とを備える。
【0039】
第1の態様に係る形状計測装置によれば、計測対象物Mの3次元形状計測処理を実行する前に、レーザ光Lを走査し、このときの輝線画像に基づいて計測対象物Mの位置を特定することで、3次元形状算出処理を実行するときのレーザプロジェクタ11の照射位置および照射角度を設定することができる。つまり、事前にレーザ光Lの走査で対象物Mの位置を特定し、位置角度設定部21が、2次元形状算出時のレーザ光Lの照射位置および照射角度を設定することで、3次元形状算出の際に計測対象物M以外の位置にレーザ光Lを照射してしまい、形状測定時間が長くなることを防止しやすくなる。その結果、計測対象物Mを3次元形状計測するときの形状計測時間を短縮することで、作業性の向上を図ることができる。
【0040】
第2の態様に係る形状計測装置は、駆動装置12は、レーザ光Lの照射位置を水平方向に移動することでレーザ光Lを走査させる。これにより、広い範囲にレーザ光Lを走査させることで、計測対象物Mを検出することができる。
【0041】
第3の態様に係る形状計測装置は、駆動装置12は、レーザ光Lの照射角度を変更することでレーザ光Lを走査させる。これにより、広い範囲にレーザ光Lを走査させることで、計測対象物Mを検出することができる。
【0042】
第4の態様に係る形状計測装置は、位置角度設定部121がレーザプロジェクタ11の照射位置および照射角度を設定するときのレーザ光Lの走査速度は、3次元形状算出部23が計測対象物Mの3次元形状を算出するときのレーザ光Lの走査速度より高速に設定される。これにより、レーザ光Lの走査時間を短くして短時間で計測対象物Mを検出することができる。
【0043】
第5の態様に係る形状計測装置は、輝線画像に基づいてレーザ光Lが計測対象物Mの表面に照射されたときのレーザプロジェクタ11の位置および角度を、位置角度設定部21は、照射位置および照射角度に設定する。これにより、3次元形状算出処理を実行するときに、計測対象物Mに対して的確にレーザ光Lを走査することができる。
【0044】
第6の態様に係る形状計測装置は、レーザ光Lを走査したときの輝線画像の明るさに基づいてレーザプロジェクタ11のレーザ光Lの出力を設定する出力設定部22が設けられる。これにより、計測対象物Mの周囲の環境に応じて、レーザプロジェクタ11のレーザ光Lの出力を適正値に調整することとなり、計測対象物Mの3次元形状計測の精度を向上することができる。例えば、計測対象物Mが水中に載置されている場合であっても、レーザ光Lの出力を調整することで、レーザ光Lを適切に計測対象物Mに照射することができる。
【0045】
第7の態様に係る形状計測装置は、出力設定部22は、レーザ光Lを走査したときの輝線画像におけるレーザ光Lの鮮明度に基づいてレーザプロジェクタ11のレーザ光Lの出力を設定する。これにより、レーザ光Lの出力を適正値に容易に設定することができる。
【0046】
第8の態様に係る形状計測装置は、計測対象物Mに対して異なる複数の方向からレーザ光Lを照射可能な複数のレーザプロジェクタ11,18を有する。これにより、死角の少ない3次元形状計測を行うことができる。
【0047】
第9の態様に係る形状計測装置は、複数のレーザプロジェクタ11,18は、異なる色のレーザ光Lを照射可能である。これにより、計測対象物Mに照射された複数のレーザ光Lがどのレーザプロジェクタ11,18から照射されたものかを明確にできるため、複数のレーザプロジェクタから同時にレーザ光Lを照射して、計測対象物Mを3次元形状計測するときの形状計測時間を短縮することで、作業性の向上を図ることができる。
【0048】
第10の態様に係る形状計測方法は、レーザプロジェクタ11から計測対象物Mに向けてレーザ光(ライン光)Lを照射すると共にレーザ光Lを走査させる工程と、計測対象物Mを撮影して調整用輝線画像を取得する工程と、調整用輝線画像におけるレーザ光Lに基づいてレーザプロジェクタ11の照射位置および照射角度を設定する工程と、照射位置および照射角度が設定されたレーザプロジェクタ11から計測対象物Mに向けてレーザ光Lを照射する工程と、計測対象物Mを撮影して形状計測用輝線画像を取得する工程と、レーザプロジェクタ11の照射位置および照射角度と形状計測用輝線画像におけるレーザ光Lに基づいて計測対象物Mの3次元形状を算出する工程とを有する。これにより、計測対象物Mを3次元形状計測するときの形状計測時間を短縮することで、作業性の向上を図ることができる。
【0049】
なお、上述した実施形態では、計測対象物を放射性廃棄物として説明したが、これに限定されるものではない。また、計測対象物を水中で保管されるものとしたが、気中に保管されるものであってもよい。さらに、計測対象物を動かない状態で形状計測するように構成したが、計測対象物が、例えば、コンベア上で動いている状態で形状計測するように構成してもよい。
【符号の説明】
【0050】
10 形状計測装置
11 レーザプロジェクタ(光照射装置)
12 駆動装置
13 出力調整装置
14 CCDカメラ(撮影装置)
15 制御装置
16 操作装置
17 表示装置
21 位置角度設定部
22 出力設定部
23 3次元形状算出部
100 貯蔵庫
101 貯蔵容器
102 上蓋
103 取出装置
104 多関節アーム
105 ハンド部
106 移動装置
107 多関節アーム
L レーザ光(ライン光)
M 計測対象物(放射性廃棄物)
図1
図2
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図11