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特開2022-136688容器開口部、およびそれを有する包装容器
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  • 特開-容器開口部、およびそれを有する包装容器 図1
  • 特開-容器開口部、およびそれを有する包装容器 図2
  • 特開-容器開口部、およびそれを有する包装容器 図3
  • 特開-容器開口部、およびそれを有する包装容器 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022136688
(43)【公開日】2022-09-21
(54)【発明の名称】容器開口部、およびそれを有する包装容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 77/20 20060101AFI20220913BHJP
【FI】
B65D77/20 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021036413
(22)【出願日】2021-03-08
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(72)【発明者】
【氏名】下野 貴裕
【テーマコード(参考)】
3E067
【Fターム(参考)】
3E067AA11
3E067AC03
3E067BA12A
3E067BB14A
3E067BB25A
3E067BC07A
3E067EA05
3E067EA15
3E067EA32
3E067EB11
3E067EB17
3E067EB19
3E067EB27
3E067FA01
3E067FC01
3E067GD06
(57)【要約】
【課題】易破断領域の距離が小さくても、開封の有無が、明確に判断できる容器開口部を得る。
【解決手段】延伸フィルムからなる基材層(201)とシーラント層(202)を有するベースフィルム(20)からなり、舌状切り込み線(211)を有する容器開口フィルム部(2)と、その開口部を開封と閉鎖が可能な開口ラベル(3)とを有する容器開口部(1)において、開口ラベルのつかみ部(31)を起点として、ベースフィルムから他端の近傍までの開口ラベルを剥離して開口可能とし、開口ラベルが開封部と開封を判別する未開封顕示部(34)とを有し、開封部と未開封顕示部との間に、開封方向から傾斜し開封可能なミシン目の切り込み部(32)と、切り込み部周縁領域の基材層外側に遮蔽層(304)と、切り込み部周縁領域の粘着層内側に粘着抑止層(303)と、を有していることを特徴とする容器開口部。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも延伸フィルムからなる基材層と、シーラント層と、を有するベースフィルムからなり、一面にフィルム開口部として舌状の切り込み線を有する容器開口フィルム部と、
該容器開口フィルム部のフィルム開口部を開封と閉鎖が繰り返し可能な開口ラベルと
を有する容器開口部において、
該開口ラベル一端の粘着抑止層で粘着性を抑止したつかみ部を起点として、該ベースフィルムから他端の近傍までの開口ラベルを剥離して開口可能であって、
前記開口ラベルが、
開封する開封部と、
開封時に部分的にベースフィルム側に残って開封の有無を判別可能とする未開封顕示部と、
を有し、
該開封部と該未開封顕示部との間に、開封方向に対して傾斜し容易に開封可能なハーフカットのミシン目からなる切り込み部と、該切り込み部周縁領域の基材層外側に遮蔽層と、該切り込み部周縁領域の粘着層内側に粘着抑止層と、を有していることを特徴とする容器開口部。
【請求項2】
前記開封部と未開封顕示部とを隔てる傾斜した切り込み部が、
傾斜したミシン目状の切り込みと、
該ミシン目状切り込み同士の間で、つかみ部側の切り込み端部から次の切り込みに、裂けが開口方向に伝播して引き裂き可能な繋ぎ部と、
からなり、
上記切り込みが粘着層側から切り込んだハーフカットの切り込みであることを特徴とする請求項1に記載の容器開口部。
【請求項3】
前記開口ラベルのつまみ部の根元際に、最初の誘導部中央に向かって、開封方向に根元切り込み部を貫通する切り込みとしたことを特徴とする請求項1又は2に記載の容器開口部。
【請求項4】
上記容器開口フィルム部のフィルム開口部が、切り込み線の両端を曲線によって開口方向から外した方向とした根元を有することを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の容器開口部。
【請求項5】
上記請求項1~4のいずれかに記載の容器開口部を有していることを特徴とする包装容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも一面に再閉鎖可能な開口部を有する容器開口部に関する。
【背景技術】
【0002】
内容物を収納し、その開口部を開閉可能な包装容器の蓋材が提案されている。例えば、特許文献1では、
物品を取り出すための取出口を有する包材の前記取出口を覆って前記包材に再剥離再接着可能に貼付可能で且つ一端部から他端部の方向に剥離可能な蓋材であって、
前記一端部に摘み部が設けられた蓋基材と、前記蓋基材から一体的に延設された封緘部と、前記蓋基材及び封緘部の裏面に設けられた粘着剤層と、を有し、
前記蓋基材には、前記摘み部の縁に連なり且つ蓋材の剥離方向に対して傾斜した傾斜縁が形成され、前記封緘部が、前記蓋基材の傾斜縁の一部分から延設されており、
前記蓋基材と封緘部との間に、少なくとも2つの切込み部の形成された易破断領域が介在されており、
第1の切込み部が、前記封緘部の一方基部から蓋材の剥離方向に向かうに従って、封緘部が蓋基材から延設されていないとしたときに仮想される傾斜縁の一部に相当する仮想傾斜線に対して鋭角を成して外側に向かって斜めに延び、
第2の切込み部が、前記封緘部の他方基部から蓋材の剥離方向と反対方向に向かうに従って内側に向かって斜めに延びている、蓋材である。
【0003】
この蓋材は、開封開始切り込み先端部破断先が、延設されていない次の切り込み部との間の易破断領域の距離が小さく、破断後の外観的な差異が目立ちにくいといった問題があり、開封の有無が明確に判断しにくかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6171196号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、易破断領域の距離が小さくても、開封の有無が、外観上明確に判断できる容器開口部を得る事が、本発明の課題である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の容器開口部は、
少なくとも延伸フィルムからなる基材層と、シーラント層と、を有するベースフィルムからなり、一面にフィルム開口部として舌状の切り込み線を有する容器開口フィルム部と、該容器開口フィルム部のフィルム開口部を開封と閉鎖が繰り返し可能な開口ラベルと
を有する容器開口部において、
該開口ラベル一端の粘着抑止層で粘着性を抑止したつかみ部を起点として、該ベースフィルムから他端の近傍までの開口ラベルを剥離して開口可能であって、
前記開口ラベルが、
開封する開封部と、
開封時に部分的にベースフィルム側に残って開封の有無を判別可能とする未開封顕示部と、
を有し、
該開封部と該未開封顕示部との間に、開封方向に対して傾斜し容易に開封可能なミシン目
からなる切り込み部と、該切り込み部周縁領域の基材層外側に遮蔽層と、該切り込み部周縁領域の粘着層内側に粘着抑止層と、を有していることを特徴とする容器開口部である。
【発明の効果】
【0007】
本発明の容器開口部は、開封した時には、未開封顕示部が残って剥離した事を判別できるだけではなく、該切り込み部に重ねてその周縁領域を覆う遮蔽層と、を該開口ラベルに有していることによって、開封すると、隠された切り込み部が表れ、遠くからもはっきりと開封済みであることが判断できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の容器開口部の正面図と、その断面図、および、その部分拡大断面図と、開口する時の状態を示す部分拡大図である。
図2】本発明の容器開口部に使用される容器開口フィルム部と、開口ラベルの図、切り込み部近傍のフィルム構造図、および、それらの部分拡大図である。
図3】本発明の容器開口部で、開口する前の平面図と、開口する工程時の平面図と側面図と、その部分拡大図である。
図4】本発明の容器開口部を使用した包装袋、および包装容器の外観斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の容器開口部の実施形態例について、図を用いて詳細に説明する。
図1-1は、本発明の容器開口部1の図である。容器開口部1は、容器開口フィルム部2の開口部21周縁を覆うように、開口ラベル3が貼られた構成になっている。
開口ラベル3の一端には、接着されていないつかみ部31が突出して、設けられていると共に、つかみ部31の両端近傍から傾斜した切り込み部32が設けられている。
【0010】
図1-2は、本発明の容器開口部1の切り込み部32を横切るA-A断面図で、図1-3は、つかみ部31を横切るB-B断面図である。
容器開口フィルム部2は、少なくとも延伸フィルムからなる基材層201と、シーラント層202と、を有するベースフィルム20から構成されている。もちろん、該基材層201と該シーラント層202との間や、基材層201の外側には、バリア層や印刷層などを設けても良い。
上記ベースフィルム20には、舌状の切り込み線211で形成されるフィルム開口部21が中央に配置されている。この切り込み線211は、基材層201側から、ベースフィルム全貫通した切り込み線211で形成されている。
【0011】
開口ラベル3は、少なくともラベル基材層301と、粘着層302から構成されている。
更に、部分的に開口ラベル3のつかみ部31全面には、粘着剤層の内面側に粘着抑止層303を設け、粘着性を抑止してある。
また、開口ラベル3には、傾斜した切り込み部32があって、その先のつまみ部側には、未開封顕示部34となり、その根元側の開口ラベル3には、開封部35となっている。開封部35は、ベースフィルムのフィルム開口部21とその外側のフィルム開口部周縁に粘着している。
そして、この切り込み部32は、基材層301側から、ラベル全貫通する切り込みによって形成されている。
【0012】
図2は、本発明の容器開口部1に使用される容器開口フィルム部2と、開口ラベルの図、切り込み部近傍のフィルム構造図、および、それらの部分拡大図である。
図2-1は、容器開口フィルム部2である。
容器開口フィルム部2は、中央にフィルム開口部21が舌状の切り込み線211で形成さ
れている。
前記フィルム開口部21を形成している切り込み線の無い舌状の根元部分は、容器開口フィルム部2の周縁に繋止している。
そして、上記繋止されているフィルム開口部21の根元における切り込み線端部212は、該切り込み線の両端を曲線によって開口方向から外した方向としている。この為、フィルム開口部21を強い力で開封して、無理な力が根元に掛かっても、フィルム開口部21が破断したりしにくくなっている。
【0013】
図2-2は、開口ラベル3である。
開口ラベル3は、前記フィルム開口部21を開封と閉鎖が繰り返し可能なラベルである。また、開口ラベル3は、フィルム開口部21全面と、その周縁と、に粘着し、容器を開閉可能とする開封部35と、前記一端近傍で部分的にベースフィルム側に接着して残って剥離の有無を判別可能とする未開封顕示部34と、を有している。
該開封部35と該未開封顕示部34との間に、開封方向に対して傾斜した切り込み部32があって、両者を隔てている。
【0014】
上記傾斜した切り込み部32は、傾斜したミシン目状の切り込み321と、
該ミシン目状切り込み321同士の間で、つかみ部31側の切り込み端部から次の切り込みに、裂けが開口方向に伝播して引き裂き可能な繋ぎ部323と、
からなり、
上記切り込み部32は、粘着層302側から切り込んだハーフカットの切り込みである。この図2-2に示す実施形態例では、傾斜したミシン目状の傾斜切り込み321と、
該ミシン目状の傾斜切り込み321それぞれの一端を始点とし他端をつかみ部31側に傾斜した切り込みからなる誘導部322と、
から構成される切り込み部32になっている。
上記誘導部322を有する傾斜した切り込み部が、誘導部322をつまみ部31側に向けて、開封方向に対して傾斜した線に沿ってミシン目状に粘着層302側から半切りの切り込みが複数並んだ脆弱線によって構成されている。
【0015】
図2-3は、開口ラベル3における切り込み部32近傍のフィルム構造図である。
(a)は基本的な開口ラベル3の構成で、ラベル基材層301と、その内側の粘着層302とで構成されている。
そして、上記傾斜した切り込み部32の傾斜切り込み321と誘導部322の全域の切り込み部周縁領域において、該切り込み部周縁領域のラベル基材層301外側に遮蔽層304と、該切り込み部周縁領域の粘着層302内側に粘着抑止層303と、を有している
【0016】
(b)は基本的な開口ラベル3の構成に、接着層305を介して、バリア性延伸基材層306を設けた構成の実施形態例である。バリア性延伸基材層306は、2軸延伸フィルムにビニリデンコートや酸化金属や金属の蒸着などのバリア層を施したフィルムを積層した構成である。
バリア性延伸基材層306によって、遮蔽層がこすられたりして、劣化、剥離したりしないように、保護することができる。
【0017】
これらの開口ラベル3は、切り込み部32が、粘着層302側から誘導部322をつまみ部31側に向けて、粘着層302側から半切りの切り込みが入っており、遮蔽層304にまで、切り込みが入っていない。
この為、開口ラベル2が未開封の場合、遮蔽層304で覆われた切り込み部周縁領域では、外観上、全く切り込みの形状は視認できない。
【0018】
図3は、本発明の容器開口部1で、図3-1は開口する前の平面図、図3-2は開口す
る工程を示す平面図、図3-3は開口する工程の縦断面図と、その部分拡大図である。
まず、開封するには、つまみ部31をつまんで、つまみ部31を起点に開口ラベル3を容器開口フィルム2から引き離すようにして、開口させる。
このつまみ部31は図1-3に示したように内面に粘着抑止層303を設けてあるので、容易に容器開口フィルム部2から剥がしてつまむことができる。
そして、開口ラベル3を持ち上げる時、フィルム開口部21となる開口部フィルム210部分が開口ラベル3に接着した状態で持ち上がり、容器開口フィルム部3の開口部フィルム210外側の周縁だけが開口ラベル3から剥離し、開封される。
【0019】
開封する時、つまみ部31の両端から、開封方向に対して傾斜した切り込み部32が、引き裂かれて、破断する。
つまみ部31の両側にある未開封顕示部34では、容器開口フィルム部2と強く粘着している。また、フィルム開口部21のフィルム(開口部フィルム210)は開口ラベル3に粘着していて、フィルム開口部21の外側周縁も上記開口ラベルに粘着している。
開封時には、開口ラベル3のつまみ部31を持ち上げると、図2-2に図示したつまみ部31の際の根元切り込み部36先端から、開封方向に亀裂37が走り、最初の誘導部322に到達する。
上記根元切り込み部36は、開口ラベル3の層全厚みを貫通する全貫通の切り込みとする。この為、切り込み部32は、容易に引き裂いて破断開始が可能な切り込みとなる。
このようになっているので、開口ラベルをまくり上げて開封する力で、最初の誘導部322から傾斜切り込み321に開封が進み、切り込み端部3211まで開封されると、傾斜切り込み321と次の傾斜切り込み321との間の繋ぎ部323では、該切り込み端部3211から亀裂37が開封方向に進み、次の誘導部322に亀裂が進み、次々にミシン目状の切り込みに沿って、繋ぎ部323が引き裂かれて開封される。
【0020】
特に、上記切り込み部32の傾斜した切り込み部と誘導部の全領域を覆う領域で重ねて、該開口ラベル3に該フィルム開口部21周縁の容器開口フィルム部2との粘着力を抑える粘着抑止層303を設けたので、引き裂く方向に、粘着によるずれが生じない。この為、破断して引き裂かれる方向にずれないで、スムースに開封する方向に、破断が進み、思わぬ方向に引き裂かれてしまうことがない。
もし、途中で引き裂かれてしまうと、大きく開口できなくなると共に、再封鎖できなくなってしまっていたが、安定して切り込み部32で破断できるので、問題なく開閉を行うことができる。
【0021】
このように、開封した容器開口部1は、再封するには、単に、まくり上げた開口ラベル3を元の位置に戻すだけで、開口部は再封鎖される。
再封鎖すると、一旦引き裂かれた切り込み部32近傍も、未開封顕示部34と開封部35とが合わされるが、引き裂かれたことによって、完全には重ならない。
この為、未開封の場合には、遮蔽層304で覆われた切り込み部周縁領域では、外観上、全く切り込みの形状は視認できなかったが、はっきり切り込み部の引き裂かれた破断線が視認可能となる。
【0022】
図4は、本発明の容器開口部を一面に利用し、容器とした場合の応用例を示した。
図4-1はピロータイプの包装袋の表側中央に本発明の容器開口部を利用した一例である。
濡れティッシュなどの包装袋容器に用いると、開閉を繰り返す場合であっても、容易に開封、密閉が自由に行うことができる。
また、未開封顕示部が開封部と繋がっていないか、直ぐに目で確認できることから、安心安全を担保するのに、最適である。
【0023】
図4-2は、本発明の容器開口部を射出カップ、あるいは真空成形や圧空成形で作成したカップ状の開口面に融着した容器とした場合の応用例を示した。
カップ状容器の開口部に融着させると、しっかりとした開口面を形成できるので、開封するのもやりやすいが、密封閉鎖する場合にも、しっかり、開口面が固定された平面であることから、扱いやすい容器として利用できる。
【0024】
本発明に使用される開口ラベルの基材層としては、特に、2軸延伸フィルムを使用すると良い。2軸延伸フィルムは、薄くて柔軟性が高いと共に、平面になりやすいので、開閉時にしわになって、容器開口フィルム部との間に隙間が生じるなどの問題が起きにくい。具体的には、2樹脂延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、2樹脂延伸ポリアミドフィルム、2樹脂延伸ポリプロピレンフィルムなどが使用できる。
【0025】
本発明に使用される開口ラベルにおいて、バリア性延伸基材層を設けた構成に使用する2軸延伸基材層としては、2軸延伸フィルムとして、2樹脂延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、2樹脂延伸ポリアミドフィルム、2樹脂延伸ポリプロピレンフィルムなどを使用し、その上にポリビニリデン樹脂コートしたり、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化チタンなどの酸化金属を蒸着したり、アルミニウム、クロム、亜鉛などの金属を蒸着したりしたバリア性2樹脂延伸フィルムが使用できる。
ただ、バリア性2樹脂延伸フィルムの厚みは、断続的に引き裂くことができるように、20μm以下の厚みとすることが好ましい。
遮蔽印刷層としては、雲母等の薄片状基質の表面に、酸化チタンなどの無機化合物を担時させて紫外線遮蔽の機能を持つ薄片状微粉末や、隠蔽性の高い金属箔を細かく破断して顔料化した遮蔽インキなどが使用できる。
【0026】
本発明の容器開口フィルム部に使用されるベースフィルムの基材層としては、2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムや、2軸延伸ポリプロピレンフィルム、2軸延伸ポリアミドフィルム、紙などが使用できる。また、それらに、酸化珪素などの酸化金属などを蒸着したフィルムや、アルミニウムなどの金属を蒸着したバリア性フィルムにすることもできる。
また、ヒートシール延伸ポリプロピレンフィルムや、静電気防止無延伸ポリプロピレンフィルムなどを使用し、ガゼットやマチの端部を融着したりしてリジッド性を持たせた包装体としてもよい。
【0027】
本発明の容器開口フィルム部に使用されるシーラント層としては、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、無延伸ポリプロピレン、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン・メタクリル酸共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体、エチレン・エチルアクリレート共重合体、エチレン・ブチルアクリレート共重合体などが使用出来る。
【0028】
試作例として、下記容器開口部を作成し、評価した。
<試作例>
開口ラベルに使用する材料は、基材として、ポリビニリデンコーティングされた二軸延伸ポリプロピレンフィルム(厚さ20μm)を使用した。
再剥離用タックラベルの粘着剤層として、2軸延伸ポリプロピレンフィルムにアクリル系粘着剤を塗工したラベル(厚さ100~110μm)を使用した。
遮蔽印刷層としては、隠蔽性の高い金属箔を細かく破断して顔料化した遮蔽インキを使用した。再剥離用タックラベルの表側の切り込み部領域に、印刷機で局所的に塗工した。
粘着抑止層として、紫外線剥離ニスを使用した。
基材層と再剥離用タックラベルとは、紫外線接着剤を使用し、UV(紫外線)ラミネーション機で貼り合わせた。
以上を使用し、開口ラベルとして、外側からビニリデン樹脂コート2軸延伸ポリプロピレンフィルム/紫外線接着剤/再剥離用タックラベルのフィルム原反を作成した。
この原反を使用し、つかみ部31や切り込み部32の粘着抑止部に、紫外線硬化剥離オーバープリントニスによる粘着抑止層303をパターン状に印刷し、かつ、切り込みや外形をプレスして抜き、図2-2に示す形状の開口ラベル3を作成した。
【0029】
容器開口フィルム部に使用する材料は、基材として、ポリエチレンテレフタレートフィルム(厚さ12μm)を使用した。
シーラントフィルムとして、6-ナイロン/エチレン酢酸ビニル共重合体鹸化物/防曇剤入エチレン・プロピレン共重合体の構成で厚さ60μmの多層共押し出しフィルムを使用した。
基材とシーラントフィルムは、ドライラミネート用ウレタン系接着剤を使用して貼り合わせた。
以上を使用し、容器開口フィルム部として、外側から二軸延伸ポリエチレンテレフタレート/接着剤/多層バリア防雲シーラントの構成のベースフィルムを作成した。
この原反を使用し、フィルム開口部の切り込み線をプレスして、図2-1に示す形状の容器開口フィルム部を作成した。
上記開口ラベルを容器開口フィルム部の開口部を覆うように粘着し、
【0030】
<評価方法>
未開封顕示機能評価試験方法として、下記評価試験を行った。
試作例1を使用して、図3-2、図3-3に示すように、開口ラベル3のつかみ部31を起点に、フィルム開口部21が容器開口フィルム周縁と繋がったヒンジ側の方向に、切り込み線開口ラベル3を容器開口フィルムから180度剥離した。
未開封顕示機能の評価は、未開封顕示部と開封部との間の切り込み部で、あらぬ方向に切れずに、切り込み端部から次の切り込みに繋がる誘導部、そして傾斜切り込み部へと、正しく連続的に繋ぎ部の亀裂が繋がって破断し、開口ラベルの両端が、未開封顕示部と開封部との間で引き裂かれ、未開封顕示部が容器開口フィルム側に残ったものを〇とした。
未開封顕示部と開封部との間の切り込み部で、先の切り込み端部から次の誘導部、傾斜切り込み部へと繋がらず、亀裂があらぬ方向に走って、開封部の一部が容器開口フィルム部に残ったり、未開封顕示部も開封時に容器開口フィルム部から外れてしまったりしたものを×とした。
【0031】
<評価結果>
未開封顕示機能評価結果は、評価した10個が、すべて未開封顕示が開封後も残り、結果は〇だった。また、再閉鎖しても、切り込み部が明確に浮き出て、開封した
【0032】
以上の結果から、未開封時に全く切り込み部を視認することができなかったが、開封によって、引き裂かれた切り込み部が明確に視認できて、開封したことが確実に顕示できた。
【0033】
本発明の容器開口部は、最初に開封した時に、分割された遮蔽部によって、剥離した事を判別できるだけではなく、該切り込み部に重ねてその周縁領域を覆う遮蔽層と、を該開口ラベルに有していることによって、開封すると、隠された切り込み部が表れ、遠くからもはっきりと開封済みであることが判断できる。
しかも、開封ラベルの内面が粘着層になっていて、開封しても、再度容易に閉鎖することができる開閉自在な容器開口部である。
そして、本発明の容器開口部は、一般的な生産ラインで、量産しやすい構成になっているので、安価に大量に製造できる。さらに、ビロー容器など、一般的な包装袋に応用したり、カップの開口部に貼って容器に応用したりすることが容易であるなど、本発明のメリットは大きい。
【符号の説明】
【0034】
1・・・・・・・・容器開口部
2・・・・・・・・容器開口フィルム
20・・・・・・・ベースフィルム
201・・・・・・基材層(容器開口フィルム基材層)
202・・・・・・シーラント層
21・・・・・・・フィルム開口部
210・・・・・・開口部フィルム
211・・・・・・切り込み線(舌状の切り込み線)
212・・・・・・切り込み線端部
3・・・・・・・・開口ラベル
301・・・・・・ラベル基材層
302・・・・・・粘着層
303・・・・・・粘着抑止層
304・・・・・・遮蔽層
305・・・・・・接着層
306・・・・・・バリア性延伸基材層
31・・・・・・・つかみ部
32・・・・・・・切り込み部
321・・・・・・傾斜切り込み線
3211・・・・・切り込み端部
322・・・・・・誘導部
323・・・・・・繋ぎ部
34・・・・・・・未開封顕示部
35・・・・・・・開封部
36・・・・・・・根元切り込み部
37・・・・・・・亀裂
図1
図2
図3
図4