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  • 特開-部材固定装置および部材固定方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022136692
(43)【公開日】2022-09-21
(54)【発明の名称】部材固定装置および部材固定方法
(51)【国際特許分類】
   C12M 1/00 20060101AFI20220913BHJP
【FI】
C12M1/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021036419
(22)【出願日】2021-03-08
(71)【出願人】
【識別番号】000002299
【氏名又は名称】清水建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【弁理士】
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(72)【発明者】
【氏名】阿部 公揮
(72)【発明者】
【氏名】栗原 隆
【テーマコード(参考)】
4B029
【Fターム(参考)】
4B029AA02
4B029GB01
(57)【要約】
【課題】固定対象部材を所定の位置に固定することができるとともに、容易に固定対象部材を着脱させることができる部材固定装置および部材固定方法を提供する。
【解決手段】固定対象部材を所定の位置に固定する部材固定装置であって、固定対象部材の固定面に第1磁石が設けられ、固定対象部材を固定する作業面4に、第1磁石と異なる磁極の第2磁石と、第1磁石と同じ磁極の第3磁石と、が配され、固定対象部材を作業面に近接させると、固定面が作業面の所定位置に固定される。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定対象部材を所定の位置に固定する部材固定装置であって、
前記固定対象部材の固定面に第1磁石が設けられ、
前記固定対象部材を固定する作業面に、前記第1磁石と異なる磁極の第2磁石と、前記第1磁石と同じ磁極の第3磁石と、が配され、
前記固定対象部材を前記作業面に近接させると、前記固定面が前記作業面の所定位置に固定されることを特徴とする部材固定装置。
【請求項2】
前記第1磁石は、前記固定面に複数設けられ、
前記第2磁石は、前記第1磁石と対向する位置に同数設けられ、
前記第3磁石は、前記固定対象部材が所定位置に固定されたときに前記固定面と対向する位置に設けられている請求項1に記載の部材固定装置。
【請求項3】
複数の前記第1磁石は、前記第2磁石と同じ大きさの磁石と、前記第2磁石よりも小さい磁石と、が配設され、
前記固定対象部材を前記作業面に近接させたとき、前記固定対象部材の向きが規定の方向を向くように構成されている請求項2に記載の部材固定装置。
【請求項4】
固定対象部材を部材固定装置の所定の位置に固定する部材固定方法であって、
前記固定対象部材の固定面に複数の第1磁石が設けられ、
前記部材固定装置における前記固定対象部材を固定する作業面に、前記第1磁石と異なる磁極の複数の第2磁石と、前記第1磁石と同じ磁極の第3磁石と、が配され、
前記固定面を前記作業面に近接させると、前記第1磁石と前記第3磁石とが反発するとともに、前記第1磁石と前記第2磁石とが吸引することで前記固定対象部材の向きが規定の方向に向き、
前記固定対象部材を前記部材固定装置の前記作業面の所定位置に固定することを特徴とする部材固定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部材固定装置および部材固定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
細胞培養において、ロボットなどの機械と作業者が協業する作業で、ロボットが使用する部品を所定位置にセットする際は、作業面にボルトなどで固定された保持具に作業者がセットしている。ロボットは固定された保持具にセットされた部品を掴んで作業を行っている。作業者はロボットの作業エリアを迂回しながら限られた空間で作業を実施している。保持具は特定の作業に最適化された位置で固定されている。このように様々な種類の培養容器を位置決めする培養装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007-330143号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、細胞培養の作業は限られた環境(施設)の中で様々な材料を扱うため、装置には汎用性が必要とされる。しかし、ロボットや機械と協業する際は、扱う材料(部品)に特化した保持具が必要となるため、材料毎に保持具を準備する必要がある。また、ロボットや機械が使用するため、材料を設置する位置の精度を高める必要がある。そのため、保持具は作業面にボルトなどで固定されていた。
【0005】
しかしながら、材料(部品)を変更する際は、保持具の位置を調整する必要があるため、大掛かりな準備作業が必要となり作業効率が低下していた。また、装置などの不具合が発生した際は、ロボットや機械が担っていた作業を作業者が代行したりする必要があるが、保持具が作業者の作業の障害となり、円滑な作業実施を妨げていた。さらに、細胞培養作業後には作業空間内の清掃を行うことで清潔な環境を維持することになるが、保持具と作業台との設置界面に入り込んだ菌や培地を容易に取り除くことができないという問題もあった。
【0006】
本発明は、上述する問題点に鑑みてなされたもので、固定対象部材を所定の位置に固定することができるとともに、容易に固定対象部材を着脱させることができる部材固定装置および部材固定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明に係る部材固定装置は、固定対象部材を所定の位置に固定する部材固定装置であって、前記固定対象部材の固定面に第1磁石が設けられ、前記固定対象部材を固定する作業面に、前記第1磁石と異なる磁極の第2磁石と、前記第1磁石と同じ磁極の第3磁石と、が配され、前記固定対象部材を前記作業面に近接させると、前記固定面が前記作業面の所定位置に固定されることを特徴とする。
【0008】
この発明によれば、固定対象部材に第1磁石を設け、部材固定装置に磁極の異なる第2磁石および第3磁石を設けたため、第1磁石と第3磁石は反発する力、第1磁石と第2磁石は吸引する力がそれぞれ働く。そのため、固定対象部材を部材固定装置に近接させると、固定対象部材の固定面が部材固定装置の作業面の所定位置に案内される。つまり、固定対象部材を確実に所定位置に固定させることができる。また、固定対象部材と部材固定装置とは磁石で位置決めされているため、容易に着脱することができる。
【0009】
また、前記第1磁石は、前記固定面に複数設けられ、前記第2磁石は、前記第1磁石と対向する位置に同数設けられ、前記第3磁石は、前記固定対象部材が所定位置に固定されたときに前記固定面と対向する位置に設けられていてもよい。
このように、第1磁石および第2磁石を複数設けるとともに、第3磁石を適切な位置に配することにより、より確実に固定対象部材を作業面の所定位置に配置させることができる。
【0010】
また、複数の前記第1磁石は、前記第2磁石と同じ大きさの磁石と、前記第2磁石よりも小さい磁石と、が配設され、前記固定対象部材を前記作業面に近接させたとき、前記固定対象部材の向きが規定の方向を向くように構成されていてもよい。
このように磁石の大きさを異ならせることにより、固定対象部材を作業面に近接させた際の磁力の大きさが場所によって異なることになる。このため、複数の第2磁石を所定位置に大きさを変えて配置させることにより、固定対象部材を近接させた際に、固定対象部材の向きも所定方向に配置させることができる。
【0011】
本発明に係る部材固定方法は、固定対象部材を部材固定装置の所定の位置に固定する部材固定方法であって、前記固定対象部材の固定面に複数の第1磁石が設けられ、前記部材固定装置における前記固定対象部材を固定する作業面に、前記第1磁石と異なる磁極の複数の第2磁石と、前記第1磁石と同じ磁極の第3磁石と、が配され、前記固定面を前記作業面に近接させると、前記第1磁石と前記第3磁石とが反発するとともに、前記第1磁石と前記第2磁石とが吸引することで前記固定対象部材の向きが規定の方向に向き、前記固定対象部材を前記部材固定装置の前記作業面の所定位置に固定することを特徴とする。
【0012】
この発明によれば、固定対象部材に複数の第1磁石を設け、部材固定装置に磁極の異なる複数の第2磁石および第3磁石を設けたため、第1磁石と第3磁石は反発する力、第1磁石と第2磁石は吸引する力がそれぞれ働く。そのため、固定対象部材を部材固定装置に近接させると、固定対象部材の固定面が部材固定装置の作業面の所定位置に向きも規定の方向に向きながら案内される。つまり、固定対象部材を確実に所定位置に固定させることができる。また、固定対象部材と部材固定装置とは磁石で位置決めされているため、容易に着脱することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、固定対象部材を所定の位置に固定することができるとともに、容易に固定対象部材を着脱させることができる部材固定装置および部材固定方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本実施形態に係る細胞培養装置の概略斜視図である。
図2】作業部を下面から見た分解斜視図である。
図3】作業部の断面図である。
図4】作業部を下面から見た部分斜視図である。
図5】設置用磁石の配置図である。
図6】遠沈管台を上方から見た斜視図である。
図7】遠沈管台を下方から見た斜視図である。
図8図7のA-A線に沿う断面図である。
図9】固定用磁石の配置図である。
図10】固定用磁石の別の構成を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態に係る部材固定装置および部材固定方法について、図1乃至図10に基づいて説明する。なお、本実施形態では、細胞培養装置を用いて固定装置および固定方法について説明する。
【0016】
図1に示すように、細胞培養装置1は、本体部2に作業空間Sが形成されている。作業空間Sの前面は可動式のガラス板3が配されており、ガラス板3が開閉することで作業空間Sと外部との間を遮断・開放することができる。作業空間Sの下面が作業面4として構成され、作業面4上に、ロボットアーム5、遠沈管6(および遠沈管台7)、クライオチューブ8(およびクライオチューブ台9)などの各種装置(固定対象部材)が配置されている。
【0017】
作業空間Sの下部に配設された作業部(部材固定装置)10について説明する。
図2図3に示すように、作業部10は、作業台11と、作業台11の上面に配置されたベース板12と、を備えている。ベース板12の上面12aが作業面4として構成されている。
【0018】
作業台11は、平板状の基板13と、基板13の周囲に立設された壁板14と、を備えている。作業台11は、金属製(例えば、SUS製)の板材で形成されている。基板13の上面13aにベース板12が配設可能になっている。基板13とベース板12とはベース板固定用磁石15により接合されている。
【0019】
基板13とベース板12との接合構造について説明する。
基板13の裏面13bの所定位置にベース板固定用磁石(例えば、ネオジム磁石)15が配設されている。具体的には、ベース板固定用磁石15が埋め込まれたベース板固定用磁石体17が基板13の裏面13bに固定されている。
【0020】
ベース板固定用磁石体17は、円柱形状であり、一方の面17aにベース板固定用磁石15が埋め込まれている。他方の面17bにはボルト18が螺合される雌ネジ孔19が形成されている。ベース板固定用磁石体17は、支持金物20を用いて基板13の裏面13bに固定されている。
【0021】
支持金物20は、側面視で凸形状に形成された金属製の金物である。支持金物20は、基板13の裏面13bに固定される一対の連結板21,21と、連結板21から突出するように形成された一対の側板22,22と、側板22どうしを連結する固定板23と、を有している。
【0022】
連結板21にはボルト25が挿通するボルト孔26が形成されている。支持金物20と基板13とは、ボルト25をボルト孔26に挿通し、基板13に形成された雌ネジ穴(不図示)で螺合することにより連結固定されている。なお、基板13にボルト25を挿通するボルト孔を形成し、ベース板12に形成した雌ネジ穴で螺合して連結するようにしてもよい。
【0023】
固定板23にはボルト18を挿通するボルト孔29が形成されている。支持金物20とベース板固定用磁石体17とは、ボルト18をボルト孔29に挿通し、他方の面17bの雌ネジ孔19で螺合することにより連結固定されている。ボルト18と固定板23との間にはワッシャ30が介装されている。
【0024】
ベース板12は金属製(例えば、SUS製)の平板状の板材である。ベース板12の裏面12bで、ベース板固定用磁石15と対向する位置に該磁石15と吸着するマグネット吸着板31が埋め込まれている。マグネット吸着板31は、ベース板固定用磁石15と確実に吸着される極性の異なる磁石でもいいし、金属板(例えば、鉄やコバルトなどの強磁性体)で構成されていてもよい。
【0025】
基板13とベース板12とは、複数のベース板固定用磁石15およびマグネット吸着板31を用いて位置決めし、接合されている。ベース板固定用磁石15およびマグネット吸着板31を取り付ける位置は、適宜調整すればよい。
なお、作業台11の基板13に位置決めピンを取り付け、ベース板12に位置決めピンが差し込まれる位置決め孔を形成してもよい。また、作業部10はベース板12を備えずに、作業台11の上面を作業面として構成してもよい。さらに、基板13とベース板12とをベース板固定用磁石15を用いずに別の固定方法で固定してもよく、基板13の上面にベース板12を載置するだけでもよい。
【0026】
次に、ロボットアーム5、遠沈管6(および遠沈管台7)、クライオチューブ8(およびクライオチューブ台9)などをベース板12の所定位置に固定する方法について説明する。一例として、遠沈管6を設置可能な遠沈管台7をベース板12に固定する方法について説明する。
【0027】
図4図5に示すように、遠沈管台7を設置する位置における基板13の裏面13bに設置用磁石体40を固定する。
設置用磁石体40は、円柱形状であり、一方の面40aに設置用磁石41(41a~41f)が埋め込まれている。他方の面40bにはボルト(不図示)が螺合される雌ネジ孔42が形成されている。設置用磁石体40の基板13への固定方法は、上記したベース板固定用磁石体17と基板13との固定方法と同様である。なお、固定方法は任意であり、単に設置用磁石体40の一方の面40aと基板13の裏面13bとを接着により固定してもよい。
【0028】
設置用磁石体40の一方の面40aには、6個の設置用磁石(第2磁石および第3磁石)41a~41fが埋め込まれている。6個の設置用磁石41のうち、5個の設置用磁石(第2磁石)41a~41eは一方の面40aにおいてN極の磁極を有し、1個の設置用磁石(第3磁石)41fは一方の面40aにおいてS極の磁極を有している。
【0029】
平面視で、6個の設置用磁石41a~41fは略整列配置されており、細胞培養装置1の前方を向く前列Fに略等間隔に設置用磁石41a~41cが配置され、後列Rに略等間隔に設置用磁石41d~41fが配置されている。後列Rにおいては、磁極の異なる設置用磁石41fが真ん中に配置され、その両側に設置用磁石41d,41eが配置されている。また、前列Fの真ん中の設置用磁石41bは、両側の設置用磁石41a,41cよりも若干後列R側にずれている。なお、設置用磁石41bは後列R側にずれていなくてもよい。
【0030】
次に、遠沈管台7の構造について説明する。
図6図8に示すように、遠沈管台7は、略直方体形状の樹脂部材で形成されている。遠沈管台7の上面7aには、遠沈管6が挿入配置される配置穴46が形成されている。配置穴46は、円柱形状にくり抜かれて形成されている。配置穴46の底面46aには、遠沈管6の先端形状に合わせて配置穴46よりも小径の先端穴47が形成されている。遠沈管台7の下面7bには、固定用磁石50が埋め込まれる磁石穴48が形成されている。磁石穴48は下面7bに5箇所形成されている。磁石穴48は、円柱形状にくり抜かれて形成されている。
【0031】
図9に示すように、磁石穴48には、固定用磁石(第1磁石)50a~50eが5個埋め込まれている(以降の説明において、5個の磁石をまとめて固定用磁石50として説明することがある。)。固定用磁石50は遠沈管台7の下面7bにおいて全てS極の磁極を有している。固定用磁石50a~50eは、遠沈管台7の下面7bを作業面4に対向させたときに、設置用磁石41a~41eとそれぞれが対向する位置になるように配置されている。固定用磁石50は、固定用磁石50にボルト穴(不図示)を形成し、磁石穴48の底面48aに形成した雌ネジ穴49に螺合して固定されている。なお、固定用磁石50は、磁石穴48に接着して固定してもよい。
【0032】
次に、遠沈管台7をベース板12の作業面4に固定する方法について説明する。
作業台11上にベース板12を設置して作業部10を構成する。作業台11とベース板12とは、ベース板固定用磁石15とマグネット吸着板31とにより所定の位置にセットされる。
【0033】
続いて、遠沈管台7の下面7bをベース板12の作業面4に近づける。このとき、作業面4の設置位置にマーキングをしていてもよい。遠沈管台7の下面7bと作業面4とが近接すると、固定用磁石50と設置用磁石41との間に磁界が発生し、異なる磁極は吸引し、同じ磁極は反発する力が発生する。
【0034】
本実施形態では、固定用磁石50は遠沈管台7の下面7bにおいて5つの磁石50a~50e全てがS極の磁極を有している。また、設置用磁石41は作業面4において5つの磁石41a~41eがN極の磁極を有し、1つの磁石41fがS極の磁極を有している。つまり、固定用磁石50(50a~50e)と5つの磁石41a~41eとの間に吸引する力が働き、固定用磁石50(50a~50e)と1つの磁石41fとの間に反発する力が働く。
【0035】
例えば、固定用磁石50のうち磁石50bを磁石41fに近づけようとすると反発力が発生してある距離よりは近づけることができないため、遠沈管台7の水平方向の向きが間違っていることが認識できる。反発する力に対してさらに近づけつつ、遠沈管台7を上下方向を軸方向にして若干回転させると、反発力が弱まり、遠沈管台7をさらに作業面4に近接させることができる。
【0036】
そして、5つの固定用磁石50a~50eと、設置用磁石41の5つの磁石41a~41eとがそれぞれ吸引し合う位置に来たときに、吸引力が最大となり、遠沈管台7をベース板12(作業面4)の所定位置に位置決めして固定することができる。
【0037】
遠沈管台7以外のロボットアーム5の下面5bやクライオチューブ台9の下面9bに同様の固定用磁石50を設け、作業台11側にも設置用磁石41を配置することで、各部材・装置も所定の位置・所定の向きで容易に作業面4に配置させることができる。
【0038】
本実施形態の作業部10は、遠沈管台7などの固定対象部材の下面7bに固定用磁石(第1磁石)50a~50eを設け、遠沈管台7を固定する作業面4に、固定用磁石50と異なる磁極の磁石41a~41eと、固定用磁石50と同じ磁極の磁石41fと、を備えた設置用磁石41が配され、遠沈管台7を作業面4に近接させると、下面7bが作業面4の所定位置に固定されるようにした。したがって、固定用磁石50と磁石41fは反発する力、固定用磁石50と磁石41a~41eは吸引する力がそれぞれ働く。その結果、遠沈管台7を作業面4に近接させると、磁力により遠沈管台7の下面7bが作業面4の所定位置・所定の向きに案内される。つまり、遠沈管台7を確実に所定位置・所定の向きに固定させることができる。また、遠沈管台7と作業面4とは磁石で位置決めされているため、容易に着脱することができ、メンテナンスや清掃作業も容易に行うことが可能となる。
【0039】
また、本実施形態では、固定用磁石50および設置用磁石41をそれぞれ複数配置して固定するようにしたため、設置位置の精度を向上させることができる。
【0040】
なお、上記実施形態は本発明の範囲内において適宜変更可能である。
例えば、本実施形態では、平面視で同じ大きさの磁石を用いて遠沈管台7をベース板12に設置する説明をしたが、磁石の大きさは場所によって変えてもよい。例えば、図10に示すように、遠沈管台7の下面7bに設けた固定用磁石50のうち、後列Rの磁石50g,50hを磁石50a~50cよりも小さくしてもよい。このように磁石の大きさを異ならせることにより、遠沈管台7を作業面4に近接させた際の磁力の大きさが場所によって異なることになる。このため、遠沈管台7を作業面4に近接させた際に、より確実に遠沈管台7の向きを所定方向に案内して、所定の位置で固定させることができる。
【0041】
また、固定用磁石50および設置用磁石41の数や配置については適宜調整することができる。また、遠沈管台7などの固定対象部材の設置位置をプロジェクションマッピングで表示したり、作業面4へ印刷したりしてもよい。さらに、位置制御機能を持ったロボットと協業させることで微小なズレをロボットが調整するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0042】
4 作業面
5 ロボットアーム(固定対象部材)
5b 下面(固定面)
7 遠沈管台(固定対象部材)
7b 下面(固定面)
9 クライオチューブ台(固定対象部材)
9b 下面(固定面)
10 作業部(部材固定装置)
41 設置用磁石
41a~41e 設置用磁石(第2磁石)
41f 設置用磁石(第3磁石)
50 固定用磁石
50a~50e,50g~50h 固定用磁石(第1磁石)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10