(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022136737
(43)【公開日】2022-09-21
(54)【発明の名称】照明制御システム
(51)【国際特許分類】
H05B 47/125 20200101AFI20220913BHJP
H05B 47/19 20200101ALI20220913BHJP
【FI】
H05B47/125
H05B47/19
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021036495
(22)【出願日】2021-03-08
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】390014546
【氏名又は名称】三菱電機照明株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003199
【氏名又は名称】弁理士法人高田・高橋国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大澤 祐也
【テーマコード(参考)】
3K273
【Fターム(参考)】
3K273PA10
3K273QA11
3K273RA12
3K273RA13
3K273SA21
3K273SA23
3K273SA24
3K273SA38
3K273SA57
3K273SA60
3K273TA03
3K273TA05
3K273TA15
3K273TA22
3K273TA27
3K273TA29
3K273TA40
3K273TA49
3K273TA52
3K273TA54
3K273TA62
3K273UA16
3K273UA17
3K273UA19
3K273UA22
(57)【要約】
【課題】安定した調光が可能な照明制御システムを得ることを目的とする。
【解決手段】本開示に係る照明制御システムは、照明器具と、カメラを有し、人の顔が前記カメラに対して予め定められた角度範囲の方向を向いていることを検出する画像検出装置と、予め定められた判別時間の間、前記人の顔が前記角度範囲の方向を向いている場合に、前記照明器具を第1調光状態から第2調光状態に変化させるコントローラと、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
照明器具と、
カメラを有し、人の顔が前記カメラに対して予め定められた角度範囲の方向を向いていることを検出する画像検出装置と、
予め定められた判別時間の間、前記人の顔が前記角度範囲の方向を向いている場合に、前記照明器具を第1調光状態から第2調光状態に変化させるコントローラと、
を備えることを特徴とする照明制御システム。
【請求項2】
前記照明器具が前記第2調光状態のときに、前記人の顔が前記角度範囲以外の方向を向いた場合、前記コントローラは予め定められた保持時間の間、前記照明器具を前記第2調光状態に保持することを特徴とする請求項1に記載の照明制御システム。
【請求項3】
前記照明器具は天井に設置され、
前記カメラは前記天井に設置され、前記人の顔が前記天井に対して予め定められた角度の方向を向いていることを検出することを特徴とする請求項1または2に記載の照明制御システム。
【請求項4】
前記画像検出装置は、前記カメラの検出エリアでの人の移動または滞在を検出し、
前記コントローラは、前記画像検出装置が検出した前記人の移動または滞在の情報に応じて、前記照明器具を制御し、
前記コントローラが、前記判別時間の間、前記人の顔が前記角度範囲の方向を向いている場合に前記照明器具を前記第1調光状態から前記第2調光状態に変化させる第1動作モードと、前記人の移動または滞在の情報に応じて前記照明器具を制御する第2動作モードは、切り替えが可能であり、または、並行して実行することが可能であることを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の照明制御システム。
【請求項5】
前記コントローラが、前記判別時間の間、前記人の顔が前記角度範囲の方向を向いている場合に前記照明器具を前記第1調光状態から前記第2調光状態に変化させる第1動作モードの有効、無効は、予め設定された日付、曜日または時刻の情報により切り替えられることを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載の照明制御システム。
【請求項6】
前記角度範囲または前記判別時間は変更可能であることを特徴とする請求項1から5の何れか1項に記載の照明制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、照明制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には照明システムが開示されている。この照明システムは、室内に光を照射する照明器具と、少なくとも照明器具の照射領域を撮像する顔認識センサと、顔認識センサで撮像した照射領域における画像情報から画像情報内の人の目線方向を検出する演算部とを備える。照明システムは、目線方向の周辺に位置する範囲の光の輝度が目線方向の中心側に位置する範囲の光の輝度よりも相対的に高くなるように照明器具を制御する制御部を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、人の目線が一時的に検出された場合にも、照明器具の調光状態が変化してしまうおそれがある。このため、調光状態が安定しないおそれがある。
【0005】
本開示は、上述の課題を解決するためになされたもので、安定した調光が可能な照明制御システムを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る照明制御システムは、照明器具と、カメラを有し、人の顔が前記カメラに対して予め定められた角度範囲の方向を向いていることを検出する画像検出装置と、予め定められた判別時間の間、前記人の顔が前記角度範囲の方向を向いている場合に、前記照明器具を第1調光状態から第2調光状態に変化させるコントローラと、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本開示に係る照明制御システムでは、予め定められた判別時間の間、人の顔が予め定められた角度範囲の方向を向いている場合に、照明器具を第1調光状態から第2調光状態に変化させる。従って、安定した調光が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施の形態1に係る照明制御システムの構成を示すブロック図である。
【
図3】実施の形態2に係る照明制御システムの構成を示すブロック図である。
【
図4】実施の形態3に係る照明制御システムの構成を示すブロック図である。
【
図5】実施の形態4に係る照明制御システムの構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示の実施の形態に係る照明制御システムについて図面を参照して説明する。同じ又は対応する構成要素には同じ符号を付し、説明の繰り返しを省略する場合がある。
【0010】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る照明制御システム100の構成を示すブロック図である。照明制御システム100は、コントローラ1と、コントローラ1と通信する複数の照明器具2、複数の画像検出装置3および設定器4を備える。照明器具2は、コントローラ1から無線信号または有線信号による制御指令によって、点灯、消灯、調光または調色制御される。画像検出装置3は、コントローラ1と無線信号または有線信号により通信を行う。設定器4は、コントローラ1と無線信号または有線信号によって通信し、照明制御に関する設定、操作およびモニタを行う。設定器4は、例えばハンディタイプのリモコン、パソコン、モバイル端末などである。
【0011】
照明器具2、画像検出装置3、設定器4は、コントローラ1にそれぞれ1台が接続されても良いし、複数台が接続されていても良い。照明器具2、画像検出装置3、設定器4は、同一配線上に並列接続され、一元管理されても良い。照明器具2、画像検出装置3、設定器4は異なる通信方式によってコントローラ1に接続されても良い。
【0012】
コントローラ1は、照明器具2に照明状態の制御指令を送信する。また、コントローラ1は照明状態をモニタする信号を照明器具2に送信する。コントローラ1は、受信部1a、演算部1b、メモリ1cおよび送信部1dを備える。受信部1aは、照明器具2、画像検出装置3および設定器4からの信号を受信する。演算部1bは、コントローラ1の機能を実現するための各種演算を行う。メモリ1cは、演算部1bの演算で使用されるデータを格納する。送信部1dは、演算部1bでの演算結果に基づき、照明器具2、画像検出装置3および設定器4に信号を送信する。
【0013】
照明器具2は、制御部2a、点灯回路2bおよび光源2cを備える。制御部2aは、コントローラ1からの制御指令に応じて、点灯回路2bを制御する。点灯回路2bは、光源2cを点灯させるための電力を生成する。光源2cは、発光素子として例えばLEDを有する。
【0014】
画像検出装置3は、検出エリアを監視し、検出信号をコントローラ1に送信する。画像検出装置3は、カメラ3a、角度測定部3b、タイマー3c、移動検出部3d、送信部3eを備える。カメラ3aは、検出エリアの画像データを取得する。移動検出部3dは、検出エリアにおける人の存在を検出する。ここで、例えば焦電センサは熱源体の移動を検出することで人の存在を検出する。これに対し、移動検出部3dは、カメラ3aが取得した画像データと、ベースとなる背景画像を比較する。これにより移動検出部3dは、独自の検出アルゴリズムによって、検出エリアにおける人の移動または滞在を検出する。つまり、移動検出部3dは、人が検出エリアに進入したこと、検出エリアから移動したこと、検出エリアに滞在していること、および検出エリアを通過したことを検出する。
【0015】
角度測定部3bは、カメラ3aが取得した画像データから、人の顔がカメラ3aに対して予め定められた調光角度範囲の方向を向いていることを検出する。タイマー3cは、人の顔がカメラ3aに対して調光角度範囲を向いている時間をカウントする。送信部3eは、予め定められた判別時間の間、人の顔が調光角度範囲の方向を向いている場合に、コントローラ1に検出信号を送信する。
【0016】
コントローラ1は、受信部1aにより画像検出装置3からの検出信号を受信すると、送信部1dから照明器具2に制御指令を送信する。これにより、照明器具2の調光状態が変化する。つまりコントローラ1は、予め定められた判別時間の間、人の顔が調光角度範囲の方向を向いている場合に、照明器具2を第1調光状態から第2調光状態に変化させる。この調光状態の変化には、点灯、消灯の切り替え、調光率の変化、調色制御等のあらゆる点灯状態の変化が含まれても良い。
【0017】
本実施の形態の照明器具2、画像検出装置3およびカメラ3aは、例えば天井に設置される。この場合、カメラ3aの検出エリアは例えば床面である。カメラ3aおよび角度測定部3bは人の顔が天井に対して予め定められた角度の方向を向いていることを検出する。画像検出装置3は、カメラ3aの検出エリアにおいて、天井方向つまり画像検出装置3に対して正面を向いた人の顔を検出した場合に、対象となる照明器具2の調光率または調色を変化させる。
【0018】
照明器具2は、LEDダウンライト等の指向性の強い照明器具であっても良い。この場合、照明器具2の照射方向から人が照明器具2を直視した場合には、人が眩しく感じる可能性がある。また、目の健康を害するおそれある。本実施の形態では、天井を向いた人の顔を検出した場合に、照明器具2の調光率または調色を変化させる。これにより、人が眩しく感じることを抑制できる。特に、常に天井に顔を向けている人の目を保護することができる。常に天井に顔を向けている人として、例えばベビーカーまたはベッド等に横たわる乳幼児が想定される。
【0019】
画像検出装置3は、独自のアルゴリズムを用いて、検出エリア内に天井を向いた人の顔が存在するか否かを検出する。角度測定部3bは、検出した人の顔が向いている方向が、その人と画像検出装置3を結ぶ直線に対し、上下左右のそれぞれに傾いている角度を検出する。角度測定部3bは、例えば、顔の外形と両目の位置から人の顔が向いている方向を検出する。角度測定部3bは、正面方向に対して人の顔が向いている方向が、上下左右共に0度~30度の傾き角度である場合には、人の顔が天井を向いていると判別する。つまり、角度測定部3bは、人の顔が向いている方向が調光角度範囲を満足していると判別する。ここで、顔の外形は輪郭に該当する。また、正面方向とは、人と画像検出装置3を結ぶ直線に沿った方向である。
【0020】
また、画像検出装置3は、人の顔が調光角度範囲の方向を向いている状態が予め定められた判別時間の間、継続していることも照明器具2の調光状態を変更するための判定条件に含めることができる。判別時間を照明器具2の調光状態を変更するための判定条件に含めるか否かは、任意に変更することができる。
【0021】
角度測定部3bは、人の顔が調光角度範囲の方向を向いていることを検出すると、カメラ3aの画像データを予め定められた時間間隔でサンプリングする。この時間間隔は、例えば100ms毎である。判別時間の間、人の顔が調光角度範囲の方向を向いている場合に、画像検出装置3は照明器具2の調光状態を変更するための判定条件が満たされていると判別する。画像検出装置3は、人の顔が天井を向いている時間が例えば1秒間以上継続することで、判定条件が満たされていると判別する。
【0022】
例えば、人の顔が調光角度範囲の方向を向いていることが最初に検出された後、判別時間が経過する前に、その人の顔が調光角度範囲以外を向いた場合は、画像検出装置3は調光状態を変化させない。つまり、画像検出装置3はコントローラ1に検出信号を送信しない。このように、調光角度範囲と判別時間の2つの組合せ条件を満たすことで、照明器具2が制御されるものとする。本実施の形態では、人が調光角度範囲の方向を一時的に向いた場合に、照明器具2の調光状態が変化することを防ぐことができる。従って、安定した調光が可能となる。
【0023】
ここで、照明器具にグレアカットを目的としたフードまたはルーバーを取り付けることによっても、ある方向から照明器具を直視した場合の眩しさを軽減することができる。しかし、この方法では照明器具が照明光を発する開口部を有する場合に、開口部の垂直方向から照明器具を直視した場合の眩しさを軽減することができない。また、フードまたはルーバーを取り付けることにより、照明器具の照射範囲が狭まり、照明効率が低下する可能性がある。また、照明器具にフードまたはルーバーを取り付けると、部屋で作業するための照度を確保するために、照明器具の出力を高くする必要が生じることが考えられる。このため、電力消費が大きくなるおそれがある。
【0024】
これに対し本実施の形態では、フードまたはルーバーを使用せずに眩しさを軽減できる。このため、照明器具2の本来の照射能力が低下することを抑制でき、部屋を明るく保ちたい場合にも電力消費を抑制できる。
【0025】
また、判定条件が満たされて照明器具2が第2調光状態となった状態で、人の顔が調光角度範囲以外の方向を向いた場合、コントローラ1は予め定められた保持時間の間、照明器具2を第2調光状態に保持しても良い。つまり、顔の向く方向が調光角度範囲を外れた場合、コントローラ1は直ちに第2調光状態を解除せずに、一定の保持時間の経過後に第1調光状態に戻す。保持時間は、例えば5秒に設定される。これにより、天井を向いていた顔が一時的に横を向いた場合などに、照明器具2の調光状態が変化することを抑制できる。従って、さらに安定した調光が可能となる。
【0026】
また、マスクの着用等によって、鼻または口がカメラ3aで認識できない場合がある。これに対し本実施の形態では、顔の外形と両目の位置から人の顔が向いている方向を検出できる。
【0027】
調光角度範囲、判別時間および保持時間は変更可能であるものとする。設定パラメータの範囲として、例えば調光角度範囲は0~60度の範囲で設定される。また、判別時間は0.5秒~60秒、保持時間は1秒~300秒の範囲で設定される。
【0028】
以下では、判別時間の間、人の顔が調光角度範囲の方向を向いている場合に、コントローラ1が照明器具2を第1調光状態から第2調光状態に変化させる機能を第1動作モードと呼ぶ。画像検出装置3による照明制御機能として、第1動作モードのみが単独で搭載されても良い。
【0029】
また、画像検出装置3による照明制御機能として、カメラ3aの検出エリア内の人の存在の有無に応じた制御機能が合わせて搭載されても良い。人の存在の有無に応じた制御では、例えばカメラ3aの検出エリア内に人が存在しない時、コントローラ1は照明器具2を消灯状態または低調光状態にする。また、検出エリアで人が検出された場合、コントローラ1は照明器具2を点灯状態または予め定められた調光率にするよう、調光率を上昇させる。これらの例に限らず、コントローラ1は、移動検出部3dが検出した人の移動または滞在の情報に応じて、照明器具2を制御すれば良い。以下では、コントローラ1が、人の移動または滞在の情報に応じて照明器具2を制御する機能を第2動作モードと呼ぶ。
【0030】
第1動作モードと第2動作モードは、切り替えが可能であっても良い。また、第1動作モードと第2動作モードは、並行して実行することが可能であっても良い。例えば、一時的に第1動作モードは実施せず、第2動作モードだけを実行しても良い。
【0031】
動作モードは、設定器4により選択できるものとする。また、画像検出装置3による照明制御機能として、第1動作モードのみが搭載された場合でも、設定器4により、第1動作モードの有効、無効の切り替えが実施できる。
【0032】
複数の照明器具2および複数の画像検出装置3は、コントローラ1のデータベース上でグルーピングされる。データベースはメモリ1cに記憶される。これにより、同じグループに登録された機器同士を連動させることができる。また、コントローラ1は複数のグループを同時に制御できても良い。例えばグループ1に設定された画像検出装置3で判定条件が満たされた場合、グループ1に設定された照明器具2が第2調光状態に制御される。同様に、グループ2に設定された画像検出装置3で判定条件が満たされた場合、グループ2に設定された照明器具2が第2調光状態に制御される。
【0033】
また、画像検出装置3は検出エリア内の照度を推定する機能を有しても良い。画像検出装置3は、カメラ3aによって予め登録された基準画像と、現在の画像データとを比較することで、照度を推定する。画像検出装置3の送信部3eは、推定された照度をコントローラ1へ通知する。コントローラ1は、検出エリアの照度を予め定められた目標照度に近づけるように、照明器具2の調光率を変化させる。これにより、昼間に屋外から入る光を利用して照明器具2を減光させ、消費電力を低下させることができる。顔検出による第1動作モードと照度に基づく制御を組み合わせることで、通常点灯時には推定した照度を利用した省エネ運転が可能となる。
【0034】
また、コントローラ1にはスケジュール制御機能が搭載されても良い。この場合、コントローラ1はタイマーを備え、日時情報を管理する。コントローラ1は、電源オフ時のバックアップ用として例えば二次電池を備えても良い。これにより、電源のオンオフ操作によって日時情報が消えることを防止できる。
【0035】
コントローラ1のスケジュール制御機能により、1日のうちの任意の時刻に照明器具2を点灯または消灯させることができる。また、任意の時刻において照明器具2の調光率、色温度などを変更することができる。また、カレンダー機能により、予め定められた年月日または曜日のスケジュール時刻に照明状態を制御することもできる。
【0036】
第1動作モードの有効、無効は、予め設定された日付、曜日または時刻の情報により切り替えられても良い。スケジュール制御機能により、平日、休日での部屋の使用目的の違い等に応じて、運用方法を自由に設定することができる。
【0037】
図2は、実施の形態1に係る設定値を示す図である。
図2において、「顔検出時」は上述した判定条件が満たされたときを示す。また、「通常点灯時」は、判定条件が満たされていないときを示す。通常点灯時と顔検出時において、それぞれ設定値として調光率、色温度、配光が設定される。
【0038】
通常点灯時の調光状態は、作業者が作業しやすい明るさおよび色味を保つことを目的とする。このため、例えば調光率70%、色温度4500Kを実現するように照明器具2の出力が設定される。設定値は、管理者または一般ユーザーが任意に設定できるものとする。また、配光の変更が可能な照明器具2を使用する場合には、設定値として集光率が設定されても良い。通常点灯時には、集光率は集光タイプとなる70%に設定される。
【0039】
顔検出時の調光状態は、天井方向を見上げている人が感じる眩しさを低減すること、または、目の健康を害さないことを目的とする。このため照明器具2の出力は、例えば調光率40%、色温度3000K、拡散タイプとなる集光率20%に設定される。
【0040】
各設定値のサイズは、例えば1Byteである。各設定値は、調光率が0~100%、色温度が2000~7000K、集光率が0~100%の範囲で設定できる。
【0041】
本実施の形態では、照明器具2および画像検出装置3が天井に設置される例について説明したが、照明器具2および画像検出装置3は壁などの天井以外の箇所に設置されても良い。
【0042】
また、本実施の形態の画像検出装置3は、判別時間の間、人の顔が調光角度範囲の方向を向いている場合に、コントローラ1に検出信号を送信するものとした。これに限らず、画像検出装置3は、人の顔が調光角度範囲の方向を向いていることを検出するとコントローラ1に検出信号を送信しても良い。この場合、コントローラ1がタイマーを備え、判別時間の間、人の顔が調光角度範囲の方向を向いているか否かを判別しても良い。
【0043】
これらの変形は、以下の実施の形態に係る照明制御システムについて適宜応用することができる。なお、以下の実施の形態に係る照明制御システムについては実施の形態1との共通点が多いので、実施の形態1との相違点を中心に説明する。
【0044】
実施の形態2.
図3は、実施の形態2に係る照明制御システム200の構成を示すブロック図である。照明制御システム200は、壁スイッチ5を備える点が照明制御システム100と異なる。他の構成は、照明制御システム100の構成と同じである。壁スイッチ5は、コントローラ1と無線信号または有線信号で接続される。壁スイッチ5はコントローラ1に1台接続されていても良いし、複数台接続されていても良い。
【0045】
壁スイッチ5は1つ以上のボタンを備える。壁スイッチ5はボタンが押されたことを検出すると、検出情報をコントローラ1へ通知する。コントローラ1には、壁スイッチ5の各ボタンに対応して実現される機能が予め設定されている。ボタンに対応する機能として、例えば照明器具2の個別制御、グループ制御、調光率のアップ、ダウン、各種設定の有効、無効の切替えがある。
【0046】
このような設定情報は、壁スイッチ5が保持していても良い。この場合、ボタンが押された時に壁スイッチ5からコントローラ1へ通知される検出情報に、予めボタンに設定された機能の情報が含まれても良い。
【0047】
壁スイッチ5のボタンを押すことで、実施の形態1で説明した第1動作モードの有効、無効を切替えることができる。管理者または一般ユーザーが壁スイッチ5のボタンを押下し、第1動作モードを有効に切り替えると、判別時間の間、人の顔が調光角度範囲の方向を向いている場合に、照明器具2を第1調光状態から第2調光状態に変化させる制御が実行される。逆に、壁スイッチ5の操作により第1動作モードが無効に切り替わった場合、通常点灯時として設定された照明状態が連続的に実行される。
【0048】
実施の形態3.
図4は、実施の形態3に係る照明制御システム300の構成を示すブロック図である。本実施の形態では、コントローラ1の代わりにセンサ内蔵型のコントローラ6が使用される。コントローラ6には、画像検出装置3が内蔵されている。その他の構成は照明制御システム200の構成と同様である。例えば、コントローラ6は天井埋込み型である。実施の形態1と同様に、画像検出装置3のカメラ3aは床面方向に向かうように設置されている。
【0049】
本実施の形態では、コントローラ6に画像検出装置3と同等の機能が搭載される。これにより、シンプルなシステムで照明制御システム100と同様の機能を実現できる。コントローラ6は搭載されたカメラにより、独自のアルゴリズムによって人物の顔を検出する。コントローラ6は、予め設定された情報とカメラが取得した画像データとを照合し、照明器具2へ制御指令を送信する。また、コントローラ6は、前述した照度推定機能を有しても良い。
【0050】
照明制御システム300では、コントローラ6に画像検出装置3が内蔵されることで、通信にかかる時間を短縮できる。また、機器数を低減でき、配線を削減できる。従って、照明制御システム300の構成を単純化でき、コストダウンが可能となる。
【0051】
実施の形態5.
図5は、実施の形態4に係る照明制御システム400の構成を示すブロック図である。照明制御システム400は、コントローラ1が上位のシステムと接続されている点が照明制御システム200と異なる。他の構成は照明制御システム200の構成と同様である。コントローラ1とゲートウェイ装置7はEthernet(登録商標)等で接続される。ゲートウェイ装置7は、上位システムである中央管理装置8と接続される。
【0052】
ゲートウェイ装置7は、コントローラ1が制御情報を上位システムに伝送する場合、および、上位システムからコントローラ1に制御指令を送信する場合に、上位システムの通信形態とコントローラ1の通信形態を相互に変換する。コントローラ1と上位システムとの通信方式は、例えばBACnetである。コントローラ1が送信するデータは、ゲートウェイ装置7でBACnet通信方式等に変換され、中央管理装置8に受信される。
【0053】
中央管理装置8は、照明制御システム400と他設備を管理する。中央管理装置8は、照明制御システム400と、例えば空調システムまたは施錠連動システムとを連携させる。これにより、例えば部屋が施錠されたことによって、部屋の照明をオンオフする連動制御が可能となる。また、照明制御システム400で人体を検出した情報に連動して、空調をオンオフ制御することができる。
【0054】
また、判別時間の間、人の顔が調光角度範囲の方向を向いていることを検出したという顔検出情報を、コントローラ1は上位システムに通知しても良い。これにより、管理者は中央管理装置8を介して、照明制御システム400の制御状態を把握することができる。また、管理者は中央管理装置8を介して、第1動作モードの有効、無効を容易に設定またはモニタすることができる。
【0055】
なお、各実施の形態で説明した技術的特徴は適宜に組み合わせて用いても良い。
【符号の説明】
【0056】
1 コントローラ、1a 受信部、1b 演算部、1c メモリ、1d 送信部、2 照明器具、2a 制御部、2b 点灯回路、2c 光源、3 画像検出装置、3a カメラ、3b 角度測定部、3c タイマー、3d 移動検出部、3e 送信部、4 設定器、5 壁スイッチ、6 コントローラ、7 ゲートウェイ装置、8 中央管理装置、100、200、300、400 照明制御システム