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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022136749
(43)【公開日】2022-09-21
(54)【発明の名称】農作物収穫作業機
(51)【国際特許分類】
   A01D 51/00 20060101AFI20220913BHJP
【FI】
A01D51/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021036514
(22)【出願日】2021-03-08
(71)【出願人】
【識別番号】720001060
【氏名又は名称】ヤンマーホールディングス株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】592170558
【氏名又は名称】訓子府機械工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118784
【弁理士】
【氏名又は名称】桂川 直己
(72)【発明者】
【氏名】村田 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】岡本 圭司
(72)【発明者】
【氏名】福田 幸広
(72)【発明者】
【氏名】小野寺 誠
(72)【発明者】
【氏名】坂本 仁志
(72)【発明者】
【氏名】松田 謙
(72)【発明者】
【氏名】徳川 保
(57)【要約】
【課題】農作物の損傷を抑制しながら確実に搬送できる農作物収穫作業機を提供する。
【解決手段】農作物収穫作業機は、圃場の農作物を搬送して収穫する。この農作物収穫作業機は、第1搬送部と、第2搬送部22と、を備える。第1搬送部は、農作物を搬送する。第2搬送部22は、第1搬送部により搬送された農作物を、斜め上方へ向く搬送方向に沿って搬送する。第2搬送部22は、下側コンベア22bと、上側コンベア22tと、を備える。下側コンベア22bは、農作物を下側から支えながら搬送方向に搬送する。上側コンベア22tは、下側コンベア22bに対向するように設けられ、下側コンベア22bによる農作物の搬送を補助する。上側コンベア22tは、弾性変形可能な少なくとも1以上の凸部63を有する搬送補助部64を備える。それぞれの凸部63は、下側コンベア22bにより搬送される農作物に接触しながら搬送方向の下流側へ移動可能である。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圃場の農作物を搬送して収穫する農作物収穫作業機であって、
農作物を搬送する第1搬送装置と、
前記第1搬送装置により搬送された農作物を、斜め上方へ向く搬送方向に沿って搬送する第2搬送装置と、
を備え、
前記第2搬送装置は、
農作物を下側から支えながら前記搬送方向に搬送する下側装置と、
前記下側装置に対向するように設けられ、前記下側装置による農作物の搬送を補助する上側装置と、
を備え、
前記上側装置は、弾性変形可能な少なくとも1以上の凸部を有する搬送補助部を備え、
前記凸部は、前記下側装置により搬送される農作物に接触しながら前記搬送方向の下流側へ移動可能であることを特徴とする農作物収穫作業機。
【請求項2】
請求項1に記載の農作物収穫作業機であって、
前記下側装置は、
農作物の搬送経路において前記上側装置側へ突出するように設けられ、搬送される農作物を支持可能な突起と、
前記突起を前記搬送方向の下流側へ移動させるために走行する下側無端体と、
を有し、
前記上側装置では、前記搬送補助部の少なくとも1以上の前記凸部が、前記突起に対して前記搬送方向に位置を異ならせて配置されることを特徴とする農作物収穫作業機。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の農作物収穫作業機であって、
前記搬送補助部の前記凸部は、弾性材料で構成されて、中空状に形成されることを特徴とする農作物収穫作業機。
【請求項4】
請求項1から3までの何れか一項に記載の農作物収穫作業機であって、
前記上側装置は、前記凸部を前記搬送方向の下流側へ移動させるために走行する上側無端体を有し、
前記凸部が、前記上側無端体、又は前記上側無端体とともに走行する部材に着脱可能に取り付けられることを特徴とする農作物収穫作業機。
【請求項5】
請求項4に記載の農作物収穫作業機であって、
前記凸部は、凸状に曲がっている板状の弾性材料によって構成され、
前記第2搬送装置における前記搬送方向の上流側端部に前記凸部が位置する場合は、前記凸部が前記下側装置と対面して位置する場合に比べて、当該凸部の突出量が小さいことを特徴とする農作物収穫作業機。
【請求項6】
請求項5に記載の農作物収穫作業機であって、
前記凸部は、複数の取付部材を介して前記上側無端体に固定され、
複数の前記取付部材は、前記上側無端体の走行方向で間隔をあけて配置される第1取付部材と第2取付部材を含み、
前記上側無端体の走行経路は、前記搬送方向の上流側端部において、当該搬送方向の上流側に向かって凸となる湾曲部分を有し、
前記第1取付部材及び前記第2取付部材のそれぞれは、当該湾曲部分を通過するのに伴って向きを変化させることを特徴とする農作物収穫作業機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、農作物収穫作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、圃場から農作物を拾い上げ、持上げ搬送して収容容器へ搬出する農作物収穫作業機が知られている。特許文献1から3までは、この種の農作物収穫作業機を開示する。
【0003】
特許文献1の農作物収穫作業機は、コンベヤを備える。コンベヤは、搬送コンベヤと、搬送補助コンベヤと、で構成される。搬送コンベヤは、農作物を後方上に向かって搬送する。搬送補助コンベヤは、圃場の地表面に掘り上げられた農作物を、搬送コンベヤの搬送面に搬入させる。搬送補助コンベヤは、複数の農作物支え体を有する。それぞれの農作物支え体は、搬送面に搬入された農作物が搬送始端部側に向かって転がり落ちないように農作物を支える。農作物支え体は、搬送コンベヤの搬送面にて農作物を後側上方に向かって搬送する際、農作物を支えた状態で後側上方に向かって移動する。
【0004】
特許文献2の長芋収穫機は、上昇コンベアを備える。上昇コンベアは、立ち上がりコンベアと、保持コンベアと、を有する。保持コンベアは、立ち上がりコンベアに被さるように配置される。立ち上がりコンベアと保持コンベアとの間で挟持面が構成される。立ち上がりコンベアにはゴム材製等のベルトコンベアが用いられ、保持コンベアの表面にスポンジ材が用いられる。これにより、上昇コンベアは、長芋を傷付けないように挟持して運び上げることができる。
【0005】
特許文献3の収穫物拾い上げ移送装置は、下部無端帯状体と、上部無端帯状体と、を備える。上部無端帯状体の垂れ下り部は、弛緩状態のまま自重で下部無端帯状体の傾斜上辺上に伸し掛かるように圧接しながら、上昇移動する。これにより、地面上の収穫物が両者により挾持されながら後方上方へと引き上げ移送される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第3443378号公報
【特許文献2】特開2003-304719号公報
【特許文献3】特開昭52-016348号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1の構成においては、農作物支え体で農作物を支えるために強度が必要であり、搬送コンベヤと搬送補助コンベヤとの間に挟み込まれた農作物が損傷するおそれがあった。
【0008】
特許文献2の構成においては、スポンジ材の変形機能を利用して長芋を挟み込んでいるので、大きな農作物に対応させることが困難であった。
【0009】
特許文献3の構成においては、上部無端帯状体の自重で収穫物を押さえ込むので、重量が大きい収穫物の場合は収穫物を十分に押さえ込むことができなかった。
【0010】
本発明は以上の事情に鑑みてされたものであり、その目的は、農作物の損傷の発生を抑えながら、農作物を確実に搬送することができる農作物収穫作業機を提供することにある。
【課題を解決するための手段及び効果】
【0011】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段とその効果を説明する。
【0012】
本発明の観点によれば、以下の構成の農作物収穫作業機が提供される。即ち、この農作物収穫作業機は、圃場の農作物を搬送して収穫する。前記農作物収穫作業機は、第1搬送装置と、第2搬送装置と、を備える。前記第1搬送装置は、農作物を搬送する。前記第2搬送装置は、前記第1搬送装置により搬送された農作物を、斜め上方へ向く搬送方向に沿って搬送する。前記第2搬送装置は、下側装置と、上側装置と、を備える。前記下側装置は、農作物を下側から支えながら前記搬送方向に搬送する。前記上側装置は、前記下側装置に対向するように設けられ、前記下側装置による農作物の搬送を補助する。前記上側装置は、弾性変形可能な少なくとも1以上の凸部を有する搬送補助部を備える。前記凸部は、前記下側装置により搬送される農作物に接触しながら前記搬送方向の下流側へ移動可能である。
【0013】
これにより、第2搬送装置において農作物を斜め上方に搬送するとき、上側装置における搬送補助部の凸部を、下側装置に支えられた農作物にその形状に応じて弾性変形させながら接触させることができる。よって、下側装置による搬送中の農作物を、下側装置と上側装置とで良好に保持することができる。この結果、第2搬送装置により、農作物の損傷の発生を抑えながら、農作物を確実に搬送することができる。
【0014】
前記の農作物収穫作業機においては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、前記下側装置は、突起と、下側無端体と、を有する。前記突起は、農作物の搬送経路において前記上側装置側へ突出するように設けられ、搬送される農作物を支持可能である。前記下側無端体は、前記突起を前記搬送方向の下流側へ移動させるために走行する。前記上側装置では、前記搬送補助部の少なくとも1以上の前記凸部が、前記突起に対して前記搬送方向に位置を異ならせて配置される。
【0015】
これにより、下側装置による搬送中の農作物が突起で支えられているとき、上側装置における搬送補助部の凸部を当該農作物の適切な位置に接触させることができる。よって、搬送中の農作物に対する凸部の押さえ作用を有効に働かせることができる。
【0016】
前記の農作物収穫作業機においては、前記搬送補助部の前記凸部は、弾性材料で構成されて、中空状に形成されることが好ましい。
【0017】
これにより、搬送補助部の凸部を軽量で弾性変形し易いものにすることができる。よって、搬送補助部の凸部による農作物の損傷を容易に回避することができる。
【0018】
前記の農作物収穫作業機においては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、前記上側装置は、前記凸部を前記搬送方向の下流側へ移動させるために走行する上側無端体を有する。前記凸部が、前記上側無端体、又は前記上側無端体とともに走行する部材に着脱可能に取り付けられる。
【0019】
これにより、収穫対象の農作物に応じて、搬送補助部の凸部を交換することができる。また、凸部が破損した場合、破損した凸部のみを交換するだけで修理できるので、メンテナンス性が良好である。
【0020】
前記の農作物収穫作業機においては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、前記凸部は、凸状に曲がっている板状の弾性材料によって構成される。前記第2搬送装置における前記搬送方向の上流側端部に前記凸部が位置する場合は、前記凸部が前記下側装置と対面して位置する場合に比べて、当該凸部の突出量が小さい。
【0021】
これにより、第2搬送装置が第1搬送装置と接続する領域の付近において、下側装置と上側装置との間に比較的大きな空間を形成することができる。従って、第1搬送装置からの農作物を第2搬送装置で受け継ぎ易くすることができる。
【0022】
前記の農作物収穫作業機においては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、前記凸部は、複数の取付部材を介して前記上側無端体に固定される。複数の前記取付部材は、前記上側無端体の走行方向で間隔をあけて配置される第1取付部材と第2取付部材を含む。前記上側無端体の走行経路は、前記搬送方向の上流側端部において、当該搬送方向の上流側に向かって凸となる湾曲部分を有する。前記第1取付部材及び前記第2取付部材のそれぞれは、当該湾曲部分を通過するのに伴って向きを変化させる。
【0023】
これにより、凸部が上側無端体の走行経路の湾曲部分を通過するとき、第1と取付部材と第2取付部材は、互いに異なる向きとなる。そのため、凸部が前記湾曲部分を通過するときに、第1取付部材と第2取付部材の間で凸部が潰れる。従って、この際、凸部をその突出量が小さくなるように変形させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の一実施形態に係る農作物収穫作業機の側面図。
図2】第2搬送部の斜視図。
図3】第2搬送部の側面図。
図4】第2搬送部が備える下側コンベアの一部拡大斜視図。
図5】第2搬送部が備える上側コンベアの一部拡大斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
次に、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る農作物収穫作業機1の側面図である。
【0026】
図1に示す農作物収穫作業機1は、圃場2の農作物3を搬送して収穫することができる。農作物3としては、例えばカボチャのような重量野菜を挙げることができる。農作物収穫作業機1は、トラクタ等の作業車両5の後部に連結され、この作業車両5とともに走行(移動)する。
【0027】
作業車両5の走行時、収穫前の農作物3は、作業車両5の左右の車輪6の間に位置する。そのため、農作物3が作業車両5の車輪6によって踏み付けられることはない。
【0028】
農作物収穫作業機1は、前処理部11と、第1搬送部(第1搬送装置)21と、第2搬送部(第2搬送装置)22と、選別部14と、第3搬送部23と、農作物収容部15と、を備える。前処理部11、第1搬送部21、第2搬送部22、及び第3搬送部23等は、作業車両5から動力の供給を受けて駆動される。
【0029】
前処理部11は、農作物収穫作業機1の前部に設けられている。前処理部11は、農作物収穫作業機1が移動するのに伴って、圃場2上で農作物3に繋がる茎を適宜に分け、茎を切断する。この結果、農作物3に対して茎の大部分が分離する。なお、茎に関する処理が作業者の手作業等により予め行われても良い。
【0030】
第1搬送部21は、前処理部11の後方に配置されている。第1搬送部21は、圃場2の農作物3を拾い上げて、後方の第2搬送部22に向けて搬送する。
【0031】
第2搬送部22は、第1搬送部21の後方に配置されている。第2搬送部22は、第1搬送部21により搬送された農作物3を、後上方の選別部14に向けて搬送する。
【0032】
第2搬送部22による農作物3の搬送方向は斜め後ろ上方である。第2搬送部22において搬送方向の下流側端部は、上流側端部よりも後方に位置し、かつ、上流側端部よりも高い位置にある。
【0033】
選別部14は、第2搬送部22により搬送された農作物3に対して粗選別を行う。具体的には、選別部14は、農作物3と、これに付着している茎の一部及び/又は土と、を選別する。選別後の茎の一部及び/又は土は、機外に向けて選別部14の下方へ排出される。
【0034】
第3搬送部23は、選別部14の後方に配置されている。第3搬送部23は、選別部14により選別された農作物3を後方へ搬送する。第3搬送部23の近傍には、搭乗台16が設けられている。第3搬送部23により農作物3が搬送されている間、搭乗台16に乗った作業者が農作物3の選別を行うことができる。
【0035】
農作物収容部15は、第3搬送部23の後方であって、農作物収穫作業機1の後部に配置されている。農作物収容部15には、収容容器17が着脱可能に取り付けられている。収容容器17は、第3搬送部23により搬送された農作物3を、農作物収容部15に収容することができる。
【0036】
以上の構成で、農作物収穫作業機1は、作業車両5とともに圃場2上で前進するのに伴って、圃場2の農作物3を前処理部11により処理する。処理後の農作物3は、第1搬送部21によって圃場2から拾い上げられた後、第2搬送部22によって持ち上げるように搬送される。
【0037】
農作物3は、選別部14において粗選別が行われた後、更に第3搬送部23によって後方へ搬送される。第3搬送部23では、必要に応じて、農作物3に対して追加的に選別を行うことができる。その後、農作物3は農作物収容部15に至り、収容容器17に収容される。
【0038】
次に、図2から図5を参照して、第2搬送部22について詳細に説明する。図2は、第2搬送部22の斜視図である。図3は、第2搬送部22の側面図である。図4は、第2搬送部22が備える下側コンベア22bの一部拡大斜視図である。図5は、第2搬送部22が備える上側コンベア22tの一部拡大斜視図である。
【0039】
図2及び図3に示すように、第2搬送部22は、下側コンベア(下側装置)22bと、上側コンベア(上側装置)22tと、を有する。下側コンベア22b及び上側コンベア22tは、それぞれ、搬送方向(矢印Aの方向)に沿って延びるように設けられている。下側コンベア22bと上側コンベア22tとは、搬送方向と垂直な方向(概ね上下方向)で向かい合うように配置されている。
【0040】
下側コンベア22bについて説明する。
【0041】
下側コンベア22bは、図1に示す第1搬送部21と選別部14との間で、農作物3を下側から支えながら搬送方向に搬送することができる。下側コンベア22bは、搬送方向の上流側端部が第1搬送部21と向かい合い、かつ、搬送方向の下流側端部が選別部14と向かい合うように設けられている。
【0042】
下側コンベア22bは、図2等に示すように、下側チェーン(下側無端体)41と、受け部材42と、突起43と、を有する。
【0043】
下側チェーン41は、第2搬送部22による搬送経路の幅方向の両端に1対で設けられている。それぞれの下側チェーン41は、ループ状の経路を循環的に走行する。
【0044】
2つの下側チェーン41のそれぞれは、駆動スプロケット51、及び複数の従動スプロケット52,53,54に巻き掛けられる。2つの駆動スプロケット51は、共通の伝達軸55に固定される。図2に示す駆動装置56からの動力が伝達軸55に入力されることにより、2つの下側チェーン41が同時に等しい速度で駆動される。駆動装置56は、例えば油圧モータとして構成されるが、これに限定されない。
【0045】
受け部材42は、下側コンベア22bに多数設けられている。それぞれの受け部材42は、細長い部材として形成されている。受け部材42の長手方向は、第2搬送部22による搬送経路の幅方向に向けられている。
【0046】
受け部材42の長手方向両端部が、それぞれ下側チェーン41に固定される。従って、受け部材42は下側チェーン41の走行に伴って移動する。受け部材42の表面は、農作物3に接触することができる。このように、受け部材42は、下側コンベア22bの搬送面を実質的に構成する。
【0047】
受け部材42は、下側チェーン41の長手方向に適宜の間隔をあけて複数配置されている。受け部材42と受け部材42との間には隙間が形成されている。これにより、農作物3に付着した土等を下側コンベア22bから容易に落下させることができるので、土の堆積等を防止できる。
【0048】
突起43は、下側コンベア22bに多数設けられている。それぞれの突起43は、矩形の板状に形成される。突起43の幅は、1対の下側チェーン41の間隔(言い換えれば、受け部材42の長さ)とほぼ等しい。
【0049】
突起43は、受け部材42に固定される。従って、突起43は、下側チェーン41の走行に伴って、受け部材42とともに移動する。
【0050】
突起43は、下側チェーン41の長手方向に適宜の間隔をあけて複数配置されている。突起43と突起43の間の間隔は、受け部材42と受け部材42との間の間隔よりも大きい。
【0051】
突起43は、受け部材42が構成する搬送面に対してほぼ垂直に突出している。突起43は、下側コンベア22bが農作物3の搬送経路に面している部分では、下側コンベア22bから上側コンベア22t側へ突出するように向けられる。これにより、突起43は、下側コンベア22bにより搬送される農作物3が落下しないように下側から支持することができる。
【0052】
図4を参照して、下側チェーン41、受け部材42及び突起43の構成について詳細に説明する。
【0053】
下側チェーン41は公知のローラチェーンであり、外リンクと内リンクとがチェーン長手方向に沿って交互に連結された構成となっている。外リンクには、板状の取付部41aが一体的に形成されている。それぞれの下側チェーン41の取付部41aは、反対側の下側チェーン41に近づく向きにL字状に曲げられている。
【0054】
受け部材42は、それぞれの取付部41aに対して、ネジ等の固定部材を用いて着脱可能に取り付けられている。受け部材42には、剛性を向上させるためのリブ44が一体的に形成されている。リブ44は、受け部材42に対し、当該受け部材42が移動する方向の先頭側と末尾側にそれぞれ配置されている。それぞれのリブ44は、下側チェーン41の内側へ突出している。
【0055】
上述のとおり受け部材42は移動方向に多数並べて配置されているが、突起43は、1番目、4番目、7番目、・・・というように、3つおきの受け部材42に固定される。突起43は、リブ44に対して、ネジ等の固定部材を用いて着脱可能に固定される。
【0056】
突起43が固定されない受け部材42は、取付部41aのうちチェーン内周側の面に固定される。一方、突起43が固定される受け部材42は、取付部41aのうちチェーン外周側の面に固定される。この結果、突起43が固定されない受け部材42において農作物3を支持する面は、突起43が固定される受け部材42において農作物3を支持する面よりも、取付部41aの厚みに受け部材42の厚みを加算した分だけ、下側チェーン41の内側へオフセットした配置となっている。従って、下側コンベア22bで大きな農作物3を搬送する場合に、突起43の突出量を実質的に増大させるのと同等の効果が得られ、下側コンベア22bにおいて農作物3を受け入れるための空間を広く確保することができる。また、突起43が取り付けられているためメンテナンスの必要頻度が高い受け部材42を、下側チェーン41の外側へ取り出し易くなっている。
【0057】
上側コンベア22tについて説明する。
【0058】
上側コンベア22tは、下側コンベア22bと対向するように設けられ、下側コンベア22bによる農作物3の搬送を補助する。上側コンベア22tは、下側コンベア22bよりも上方に配置されている。
【0059】
本実施形態では、上側コンベア22tは、下側コンベア22bにおける搬送方向の上流側端部付近及び下流側端部付近を除いて、下側コンベア22bに沿うように配置されている。
【0060】
上側コンベア22tは、図2等に示すように、上側チェーン(上側無端体)61と、支持部材(取付部材)62と、凸部63と、を有する。
【0061】
上側チェーン61は、第2搬送部22による搬送経路の幅方向の両端に1対で設けられている。それぞれの上側チェーン61は、ループ状の経路を循環的に走行する。
【0062】
2つの上側チェーン61のそれぞれは、駆動スプロケット71及び従動スプロケット72に巻き掛けられる。2つの駆動スプロケット71は、共通の伝達軸73に固定される。伝達軸73と、下側チェーン41が巻き掛けられる従動スプロケット54とは、伝動チェーン74によって連結されている。駆動装置56からの動力が下側チェーン41及び伝動チェーン74を介して伝達軸73に入力されることにより、2つの上側チェーン61が同時に駆動される。下側チェーン41と上側チェーン61は、互いに等しい速度で走行する。
【0063】
支持部材62は、上側コンベア22tに多数設けられている。それぞれの支持部材62は、細長い部材として形成されている。支持部材62の長手方向は、第2搬送部22による搬送経路の幅方向に向けられている。
【0064】
支持部材62の長手方向両端部が、それぞれ上側チェーン61に固定される。従って、支持部材62は上側チェーン61とともに走行する。
【0065】
支持部材62は、上側チェーン61の長手方向に適宜の間隔をあけて複数配置されている。支持部材62と支持部材62の間隔は、下側チェーン41に取り付けられる突起43と突起43の間隔と等しい。
【0066】
複数の凸部63は、支持部材62に着脱可能に取り付けられている。図3に示すように、それぞれの凸部63は、下側コンベア22bにより搬送される農作物3に接触しながら、搬送方向の下流側へ移動可能である。
【0067】
それぞれの凸部63は、板状の弾性材料、具体的にはゴム板によって構成されている。ゴム板は、上側チェーン61の走行方向で隣り合う支持部材62と支持部材62の間を連結するように取り付けられる。支持部材62と支持部材62との間で、ゴム板はU字状ないしV字状に湾曲している。これにより、外側に突出する中空状の凸部63が構成される。
【0068】
上側チェーン61の長さ全体にわたって、複数の凸部63が並べて配置される。これらの凸部63によって、農作物3の搬送を上記のように補助する搬送補助部64が構成される。
【0069】
複数の凸部63は、上側チェーン61の走行に伴って、上側チェーン61の走行経路に対応する長円状の経路に沿って移動する。凸部63は、上側コンベア22tが農作物3の搬送経路に面している部分では、上側コンベア22tから下側コンベア22b側へ突出するように向けられる。
【0070】
第2搬送部22においては、下側コンベア22bの突起43と、上側コンベア22tの凸部63とが、農作物3の搬送経路を交互に通過する。言い換えれば、農作物3の搬送経路においては、凸部63の先端部が、下側コンベア22bの走行方向で隣り合う突起43と突起43の間に位置する。即ち、凸部63の先端部の位置は、突起43の位置に対して搬送方向で異なっている。
【0071】
この配置により、図3に示すように、凸部63と、これに対応する突起43と、の間に、搬送される農作物3が位置することになる。言い換えれば、農作物3は、凸部63と凸部63の間で相対的に凹となっている部分に位置する。従って、農作物3は、突起43により下側から支えられるとともに、凸部63により上側から押さえられた状態で後ろ斜め上方へ搬送される。
【0072】
凸部63の幅は、搬送経路の幅とほぼ等しく形成されており、農作物3の大きさよりも十分に大きい。凸部63は中空状に形成されているので、凸部63は、農作物3の形状に応じて凹状に容易に変形しながら、農作物3に接触する。このように凸部63の一部が凹状に変形することで、搬送経路の幅方向で農作物3の両側が塞がれる形となる。従って、農作物3が意図せず転がって突起43から落下するのを防止して、安定して搬送することができる。
【0073】
図5等を参照して、上側チェーン61、支持部材62及び凸部63の構成について詳細に説明する。
【0074】
上側チェーン61は、下側チェーン41と同様に、公知のローラチェーンとして構成される。1組の外リンク及び内リンクによる基本ピッチは、下側チェーン41の基本ピッチと等しい。外リンクには、板状の取付部61aが一体的に形成されている。取付部61aの構成は、下側チェーン41の取付部41aと同様である。
【0075】
取付部61aは上側チェーン61の走行経路に沿って多数並べて配置されているが、支持部材62は、3つおきの取付部61aに固定される。支持部材62は、取付部61aのチェーン外周側の面に対して、ネジ等の固定部材を用いて着脱可能に固定される。
【0076】
凸部63は、走行方向で隣り合う2つの支持部材62に取り付けられる。具体的に説明すると、それぞれの支持部材62には、1対の取付リブ65が形成される。取付リブ65は、支持部材62に対し、当該支持部材62が移動する方向の先頭側と末尾側にそれぞれ配置されている。取付リブ65は、上側チェーン61の外周側へ向かって突出する。
【0077】
凸部63を構成する板状部材は、ネジ等の適宜の固定部材を用いて、取付リブ65に固定される。複数の凸部63は、取付リブ65に対して互いに独立して着脱可能に構成されている。従って、1つの凸部63が破損した場合でも、その凸部63だけを容易に交換できるので、メンテナンスが容易である。
【0078】
凸部63が取り付けられる2つの支持部材62は、上側チェーン61の走行経路に沿って走行する。2つの支持部材62(第1取付部材及び第2取付部材)の向きは、走行経路のうち直線状の部分においては同じであるが、円弧状である湾曲部分67(即ち、従動スプロケット72の部分)では、その湾曲に応じて互いに異なる。
【0079】
湾曲部分67では、2つの支持部材62の取付リブ65は、上側チェーン61の外側となるに従って互いに離れる向きとなる。このように根元の部分の向きが変化する結果、湾曲部分67において凸部63は、その突出量を小さくするように潰れた状態となる。
【0080】
この結果、上側コンベア22tにおいて、湾曲部分67に相当する搬送方向の上流側端部の近傍には、比較的大きな空間68が形成される。従って、第1搬送部21からの農作物3を第2搬送部22で受け継ぐときに凸部63が邪魔になりにくいので、搬送の受渡しが円滑になる。
【0081】
以上に説明したように、本実施形態の農作物収穫作業機1は、圃場2の農作物3を搬送して収穫する。農作物収穫作業機1は、第1搬送部21と、第2搬送部22と、を備える。第1搬送部21は、農作物3を搬送する。第2搬送部22は、第1搬送部21により搬送された農作物3を、斜め上方へ向く搬送方向に沿って搬送する。第2搬送部22は、下側コンベア22bと、上側コンベア22tと、を備える。下側コンベア22bは、農作物3を下側から支えながら搬送方向に搬送する。上側コンベア22tは、下側コンベア22bに対向するように設けられ、下側コンベア22bによる農作物3の搬送を補助する。上側コンベア22tは、弾性変形可能な複数の凸部63を有する搬送補助部64を備える。それぞれの凸部63は、下側コンベア22bにより搬送される農作物3に接触しながら搬送方向の下流側へ移動可能である。
【0082】
これにより、第2搬送部22において農作物3を斜め上方に搬送するとき、上側コンベア22tにおける搬送補助部64の凸部63を、下側コンベア22bに支えられた農作物3にその形状に応じて弾性変形させながら接触させることができる。よって、下側コンベア22bによる搬送中の農作物3を、下側コンベア22bと上側コンベア22tとで良好に保持することができる。この結果、第2搬送部22により、農作物3の損傷の発生を抑えながら、農作物3を確実に搬送することができる。この構成は、例えばカボチャのような重量野菜を急角度で斜め上方に搬送する場合に特に好適である。
【0083】
また、本実施形態の農作物収穫作業機1において、下側コンベア22bは、突起43と、下側チェーン41と、を有する。突起43は、農作物3の搬送経路において上側コンベア22t側へ突出するように設けられ、搬送される農作物3を支持可能である。下側チェーン41は、突起43を搬送方向の下流側へ移動させるために走行する。上側コンベア22tでは、搬送補助部64の凸部63が、突起43に対して搬送方向に位置を異ならせて配置される。
【0084】
これにより、下側コンベア22bによる搬送中の農作物3が突起43で支えられているとき、上側コンベア22tにおける搬送補助部64の凸部63を当該農作物3の適切な位置に接触させることができる。よって、搬送中の農作物3に対する凸部63の押さえ作用を有効に働かせることができる。
【0085】
また、本実施形態の農作物収穫作業機1において、搬送補助部64の凸部63は、弾性材料で構成されて、中空状に形成される。
【0086】
これにより、搬送補助部64の凸部63を軽量で弾性変形し易いものにすることができる。よって、搬送補助部64の凸部63による農作物3の損傷を容易に回避することができる。
【0087】
また、本実施形態の農作物収穫作業機1において、上側コンベア22tは、凸部63を搬送方向の下流側へ移動させるために走行する上側チェーン61を有する。それぞれの凸部63が、上側チェーン61に着脱可能に取り付けられる。
【0088】
これにより、収穫対象の農作物3に応じて、搬送補助部64の凸部63を交換することができる。また、凸部63が破損した場合、破損した凸部63のみを交換するだけで修理できるので、メンテナンス性が良好である。
【0089】
また、本実施形態の農作物収穫作業機1において、凸部63は、凸状に曲がっている板状の弾性材料によって構成される。第2搬送部22における搬送方向の上流側端部に凸部63が位置する場合は、凸部63が下側コンベア22bと対面して位置する場合に比べて、凸部63の突出量が小さい。
【0090】
これにより、第2搬送部22が第1搬送部21と接続する領域の付近において、下側コンベア22bと上側コンベア22tとの間に比較的大きな空間68を形成することができる。従って、第1搬送部21からの農作物3を第2搬送部22で受け継ぎ易くすることができる。
【0091】
また、本実施形態の農作物収穫作業機1において、それぞれの凸部63は、2つの支持部材62を介して上側チェーン61に固定される。2つの支持部材62は、上側チェーン61の走行方向で間隔をあけて配置される。上側チェーン61の走行経路は、搬送方向の上流側端部において、搬送方向の上流側に向かって凸となる湾曲部分67を有する。2つの支持部材62のそれぞれは、湾曲部分67を通過するのに伴って向きを変化させる。
【0092】
これにより、凸部63が上側チェーン61の走行経路の湾曲部分67を通過するとき、2つの支持部材62は、互いに異なる向きとなる。そのため、凸部63が湾曲部分67を通過するときに、凸部63が潰れる。従って、この際、凸部63をその突出量が小さくなるように変形させることができる。
【0093】
以上に本発明の好適な実施の形態を説明したが、上記の構成は例えば以下のように変更することができる。
【0094】
上記の実施形態では、上側コンベア22tにおいて、1つの凸部63につき1つのゴム板が用いられている。しかし、1つのゴム板を波状に支持して複数の凸部63を実現しても良い。
【0095】
上側コンベア22tにおける凸部63は、中空状に代えて中実状に構成されても良い。
【0096】
凸部63は、2つの支持部材62に加えて、他の部材を介して上側チェーン61に固定されても良い。言い換えれば、凸部63が3箇所以上で上側チェーン61に固定されても良い。
【0097】
上側コンベア22tにおける搬送補助部64の凸部63が下側コンベア22bと対面して位置する場合において、当該凸部の突出量は任意に設定可能であり、本実施形態の突出量に比べて大きくしても良いし、小さくしても良い。凸部63の突出量は、凸部63の交換により実現することができる。
【0098】
上側コンベア22tにおける搬送補助部64の凸部63の数、及び、下側コンベア22bにおける突起43の数は任意に設定可能であり、本実施形態の数に比べて増やしても良いし、減らしても良い。凸部63及び突起43の数がそれぞれ1つだけであっても良い。
【0099】
下側コンベア22bの下側チェーン41及び上側コンベア22tの上側チェーン61のそれぞれに駆動装置を設けても良い。
【0100】
上述の教示を考慮すれば、本発明が多くの変更形態及び変形形態をとり得ることは明らかである。従って、本発明が、添付の特許請求の範囲内において、本明細書に記載された以外の方法で実施され得ることを理解されたい。
【符号の説明】
【0101】
1 農作物収穫作業機
2 圃場
3 農作物
21 第1搬送部(第1搬送装置)
22 第2搬送部(第2搬送装置)
22b 下側コンベア(下側装置)
22t 上側コンベア(上側装置)
41 下側チェーン(下側無端体)
43 突起
61 上側チェーン(上側無端体)
62 支持部材(取付部材)
63 凸部
64 搬送補助部
67 湾曲部分
図1
図2
図3
図4
図5