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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022136765
(43)【公開日】2022-09-21
(54)【発明の名称】半導体装置及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/336 20060101AFI20220913BHJP
【FI】
H01L29/78 301D
H01L29/78 301S
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021036540
(22)【出願日】2021-03-08
(71)【出願人】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105854
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 一
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(72)【発明者】
【氏名】高際 和美
(72)【発明者】
【氏名】澄田 仁志
【テーマコード(参考)】
5F140
【Fターム(参考)】
5F140AA25
5F140AC21
5F140BA01
5F140BA02
5F140BA04
5F140BA06
5F140BD05
5F140BD06
5F140BD07
5F140BD09
5F140BD10
5F140BD11
5F140BD12
5F140BD13
5F140BF01
5F140BF04
5F140BH02
5F140BH03
5F140BH09
5F140BH30
5F140CB01
5F140CC03
5F140CC05
5F140CC06
5F140CC07
5F140CC08
(57)【要約】
【課題】チップサイズの増大を抑制しつつ、耐圧を確保することができる半導体装置を提供する。
【解決手段】第1導電型の半導体層1と、半導体層1の上部に設けられた第2導電型のウェル領域2と、ウェル領域2の上部に設けられた第2導電型のベース領域4a,4bと、ベース領域4a,4bの上部に設けられた第1導電型の担体供給領域6a,6bと、ウェル領域2の上部に設けられ、ベース領域4a,4bと離間して設けられた第1導電型のドリフト領域3と、ドリフト領域3の上部に設けられた第1導電型の担体受領領域5と、ベース領域4a,4b及びドリフト領域3の間に挟まれたウェル領域2の上面にゲート絶縁膜12を介して設けられたゲート電極11a,11bと、ウェル領域2の上部に設けられ、ベース領域4a,4bと異なる不純物濃度の第2導電型のパンチスルー防止領域9a,9bを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1導電型の半導体層と、
前記半導体層の上部に設けられた第2導電型のウェル領域と、
前記ウェル領域の上部に設けられ、前記ウェル領域よりも高不純物濃度の第2導電型のベース領域と、
前記ベース領域の上部に設けられた第1導電型の担体供給領域と、
前記ウェル領域の上部に設けられ、前記ベース領域と離間して設けられた第1導電型のドリフト領域と、
前記ドリフト領域の上部に設けられ、前記ドリフト領域よりも高不純物濃度の第1導電型の担体受領領域と、
前記ベース領域及び前記ドリフト領域の間に挟まれた前記ウェル領域の上面にゲート絶縁膜を介して設けられたゲート電極と、
前記ウェル領域の上部に設けられ、前記ウェル領域よりも高不純物濃度で、前記ベース領域と異なる不純物濃度の第2導電型のパンチスルー防止領域と、
を備えることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記パンチスルー防止領域の不純物濃度が、前記ベース領域の不純物濃度よりも低いことを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記パンチスルー防止領域の深さが、前記ベース領域の深さよりも浅いことを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記パンチスルー防止領域の不純物濃度が、前記ベース領域の不純物濃度よりも高いことを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記パンチスルー防止領域の深さが、前記ベース領域の深さよりも深いことを特徴とする請求項1又は4に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記パンチスルー防止領域が、平面パターン上、前記担体受領領域と前記担体供給領域が対向する方向に直交する方向において、前記担体受領領域と前記ウェル領域とが対向する領域に設けられていることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記パンチスルー防止領域が、平面パターン上、前記直交する方向において、前記ドリフト領域と前記ウェル領域とが対向する領域に設けられていることを特徴とする請求項6に記載の半導体装置。
【請求項8】
第1導電型の半導体層の上部に第2導電型のウェル領域を形成する工程と、
前記ウェル領域の上部に、前記ウェル領域よりも高不純物濃度の第2導電型のベース領域を形成する工程と、
前記ウェル領域の上部に、前記ウェル領域よりも高不純物濃度で、前記ベース領域と異なる不純物濃度の第2導電型のパンチスルー防止領域を形成する工程と、
前記ウェル領域の上部に、前記ベース領域と離間して第1導電型のドリフト領域を形成する工程と、
前記ベース領域の上部に、第1導電型の担体供給領域を形成する工程と、
前記ドリフト領域の上部に、前記ドリフト領域よりも高不純物濃度の第1導電型の担体受領領域を形成する工程と、
前記ベース領域及び前記ドリフト領域の間に挟まれた前記ウェル領域の上面に、ゲート絶縁膜を介してゲート電極を形成する工程と、
を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項9】
前記ベース領域を形成する工程及び前記パンチスルー防止領域を形成する工程は、
前記ベース領域を形成するための第1開口部と、前記パンチスルー防止領域を形成するためのスリット状の第2開口部とを有するレジストパターンを形成し、
前記レジストパターンをマスクとして用いて第2導電型を呈する不純物イオンを注入し、
熱処理により、前記ベース領域と、前記ベース領域よりも低不純物濃度の前記パンチスルー防止領域とを同時に形成する
ことを含むことを特徴とする請求項8に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項10】
前記ベース領域を形成する工程及び前記パンチスルー防止領域を形成する工程は、
前記ベース領域を形成するためのスリット状の第1開口部と、前記パンチスルー防止領域を形成するための第2開口部とを有するレジストパターンを形成し、
前記レジストパターンをマスクとして用いて第2導電型を呈する不純物イオンを注入し、
熱処理により、前記ベース領域と、前記ベース領域よりも高不純物濃度の前記パンチスルー防止領域とを同時に形成する
ことを含むことを特徴とする請求項8に記載の半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
横方向拡散MOSトランジスタ(以下、「LDMOS」という。)は高耐圧用途に一般的に使われる半導体デバイスの一つである。LDMOSは、ソース領域とドレイン領域の間に設けられた不純物濃度が比較的低いドリフト領域によって高電圧が印加された際の電界強度を緩和して高耐圧性を実現している(特許文献1参照)。
【0003】
LDMOSがpチャネル型の場合、素子分離のためにn型ウェル領域が形成される。n型ウェル領域は、十分な分離耐圧を確保するためにp型半導体基板に深く形成される。n型ウェル領域の不純物濃度は、半導体デバイスの耐圧やオン抵抗に応じて適宜調整されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4645861号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
LDMOSの素子耐圧が上がるとn型ウェル領域の不純物濃度は低くなる傾向にある。n型ウェル領域の不純物濃度が低くなると、ドレイン領域と半導体基板の間の空乏層が広がり易くなってパンチスルーが発生し、ドレイン領域と半導体基板の間の耐圧の低下を招く恐れがある。このため、ドレイン領域と半導体基板の間の距離を十分に確保しようとすると、デバイスサイズの増大によりチップサイズが増大しコストアップを招く。
【0006】
上記課題に鑑み、本発明は、チップサイズの増大を抑制しつつ、耐圧を確保することができる半導体装置及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、(a)第1導電型の半導体層と、(b)半導体層の上部に設けられた第2導電型のウェル領域と、(c)ウェル領域の上部に設けられ、ウェル領域よりも高不純物濃度の第2導電型のベース領域と、(d)ベース領域の上部に設けられた第1導電型の担体供給領域と、(e)ウェル領域の上部に設けられ、ベース領域と離間して設けられた第1導電型のドリフト領域と、(f)ドリフト領域の上部に設けられ、ドリフト領域よりも高不純物濃度の第1導電型の担体受領領域と、(g)ベース領域及びドリフト領域の間に挟まれたウェル領域の上面にゲート絶縁膜を介して設けられたゲート電極と、(h)ウェル領域の上部に設けられ、ウェル領域よりも高不純物濃度で、ベース領域と異なる不純物濃度の第2導電型のパンチスルー防止領域を備える半導体装置であることを要旨とする。
【0008】
本発明の他の態様は、(a)第1導電型の半導体層の上部に第2導電型のウェル領域を形成する工程と、(b)ウェル領域の上部に、ウェル領域よりも高不純物濃度の第2導電型のベース領域を形成する工程と、(c)ウェル領域の上部に、ウェル領域よりも高不純物濃度で、ベース領域と異なる不純物濃度の第2導電型のパンチスルー防止領域を形成する工程と、(d)ウェル領域の上部に、ベース領域と離間して第1導電型のドリフト領域を形成する工程と、(e)ベース領域の上部に、第1導電型の担体供給領域を形成する工程と、(f)ドリフト領域の上部に、ドリフト領域よりも高不純物濃度の第1導電型の担体受領領域を形成する工程と、(g)ベース領域及びドリフト領域の間に挟まれたウェル領域の上面に、ゲート絶縁膜を介してゲート電極を形成する工程を含む半導体装置の製造方法であることを要旨とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、チップサイズの増大を抑制しつつ、耐圧を確保することができる半導体装置及びその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態に係る半導体装置を示す平面図である。
図2図1のA-A方向から見た断面図である。
図3図1のB-B方向から見た断面図である。
図4】比較例に係る半導体装置の断面図である。
図5A】本発明の実施形態に係る半導体装置の製造方法を説明するための図2に対応する工程断面図である。
図5B】本発明の実施形態に係る半導体装置の製造方法を説明するための図3に対応する工程断面図である。
図6A】本発明の実施形態に係る半導体装置の製造方法を説明するための図5Aに引き続く工程断面図である。
図6B】本発明の実施形態に係る半導体装置の製造方法を説明するための図5Bに引き続く工程断面図である。
図7A】本発明の実施形態に係る半導体装置の製造方法を説明するための図6Aに引き続く工程断面図である。
図7B】本発明の実施形態に係る半導体装置の製造方法を説明するための図6Bに引き続く工程断面図である。
図8A】本発明の実施形態に係る半導体装置の製造方法を説明するための図7A及び図7Bに引き続く平面図である。
図8B図8AのA-A方向から見た断面図である。
図8C図8AのB-B方向から見た断面図である。
図8D図8AのC-C方向から見た断面図である。
図9A】本発明の実施形態に係る半導体装置の製造方法を説明するための図8Bに引き続く工程断面図である。
図9B】本発明の実施形態に係る半導体装置の製造方法を説明するための図8Cに引き続く工程断面図である。
図10A】本発明の実施形態に係る半導体装置の製造方法を説明するための図9Aに引き続く工程断面図である。
図10B】本発明の実施形態に係る半導体装置の製造方法を説明するための図9Bに引き続く工程断面図である。
図11A】本発明の実施形態に係る半導体装置の製造方法を説明するための図10Aに引き続く工程断面図である。
図11B】本発明の実施形態に係る半導体装置の製造方法を説明するための図10Bに引き続く工程断面図である。
図12A】本発明の実施形態に係る半導体装置の製造方法を説明するための図11Aに引き続く工程断面図である。
図12B】本発明の実施形態に係る半導体装置の製造方法を説明するための図11Bに引き続く工程断面図である。
図13】本発明の実施形態の第1変形例に係る半導体装置を示す平面図である。
図14】本発明の実施形態の第1変形例に係る半導体装置の製造方法を説明するための平面図である。
図15】本発明の実施形態の第2変形例に係る半導体装置の製造方法を説明するための平面図である。
図16】本発明の実施形態の第3変形例に係る半導体装置を示す断面図である。
図17】本発明の実施形態の第4変形例に係る半導体装置を示す断面図である。
図18】本発明の実施形態の第4変形例に係る半導体装置を説明するための工程断面図である。
図19】本発明の実施形態の第5変形例に係る半導体装置を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態及び各変形例を説明する。図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付し、重複する説明を省略する。但し、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各層の厚みの比率等は実際のものとは異なる場合がある。また、図面相互間においても寸法の関係や比率が異なる部分が含まれ得る。また、以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定するものでない。
【0012】
本明細書において、「担体供給領域」とは、MIS型電界効果トランジスタ(MISFET)やMIS型静電誘導トランジスタ(MISSIT)のソース領域、絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ(IGBT)のエミッタ領域、MIS制御静電誘導サイリスタ(MIS制御SIサイリスタ)のアノード領域等の主電流となる多数キャリア(多数担体)を供給する半導体領域を意味する。「担体受領領域」とは、MISFETやMISSITのドレイン領域、IGBTのコレクタ領域、MIS制御SIサイリスタのカソード領域等の主電流となる多数キャリアを受領する半導体領域を意味する。IGBT、MIS制御SIサイリスタ等のバイポーラ型の動作をする半導体装置においては、担体受領領域から多数キャリアの反対導電型のキャリア(担体)が注入される。
【0013】
また、以下の説明における上下等の方向の定義は、単に説明の便宜上の定義であって、本発明の技術的思想を限定するものではない。例えば、対象を90°回転して観察すれば上下は左右に変換して読まれ、180°回転して観察すれば上下は反転して読まれることは勿論である。
【0014】
また、以下の説明では、第1導電型がp型、第2導電型がn型の場合について例示的に説明する。しかし、導電型を逆の関係に選択して、第1導電型をn型、第2導電型をp型としても構わない。またnやpに付す+や-は、+及び-が付記されていない半導体領域に比して、それぞれ相対的に不純物濃度が高い又は低い半導体領域であることを意味する。ただし同じnとnとが付された半導体領域であっても、それぞれの半導体領域の不純物濃度が厳密に同じであることを意味するものではない。
【0015】
(実施形態)
<半導体装置の構造>
図1は、本発明の実施形態に係る半導体装置の平面図を示す。図2は、図1のA-A方向から見た断面図に対応する。図3は、図1のB-B方向から見た断面図に対応する。図1では便宜的に、図2及び図3に示す半導体層1の上側の素子分離絶縁膜10、ゲート絶縁膜12、ゲート電極11a,11b、層間絶縁膜13、ドレイン電極14、ソース電極15,16及び基板コンタクト電極17,18の図示を省略しており、半導体層1の平面図に対応する。また、図1では便宜的に、図2に示すゲート電極11a,11bを破線で模式的に示している。
【0016】
本発明の実施形態に係る半導体装置は、図1図3に示すように、第1導電型(p型)の半導体層1と、半導体層1の上部に設けられた第2導電型(n型)のウェル領域2を備える。
【0017】
半導体層1は、例えばシリコン(Si)基板等の半導体基板が使用可能である。半導体層1としては、炭化ケイ素(SiC)、窒化ガリウム(GaN)、ダイヤモンド又は窒化アルミニウム(AlN)等のシリコンよりも禁制帯幅が広い半導体(ワイドバンドギャップ半導体)からなる半導体基板を使用してもよい。半導体層1としては、p型又はn型の半導体基板の上部に設けられたp型の半導体領域であってもよい。
【0018】
図1及び図2の左側に示すように、ウェル領域2の上部には、ウェル領域2よりも高不純物濃度のn型のベース領域(チャネル形成領域)4aが設けられている。ベース領域4aの上部には、p型の担体供給領域(ソース領域)6aが設けられている。ベース領域4aの上部には、ソース領域6aに接するように、ベース領域4aよりも高不純物濃度のn型のコンタクト領域7aが設けられている。図1に示すように、ソース領域6a及びコンタクト領域7aは、ストライプ状の平面パターンを有し、図1の上下方向に延伸している。図2に示すように、ソース領域6a及びコンタクト領域7aの上面には、ソース電極15が接続されている。
【0019】
図1及び図2の右側に示すように、ウェル領域2の上部には、ウェル領域2よりも高不純物濃度のn型のベース領域4bが設けられている。ベース領域4bの上部には、p型のソース領域6bが設けられている。ベース領域4bの上部には、ソース領域6bに接するように、ベース領域4bよりも高不純物濃度のn型のコンタクト領域7bが設けられている。図1に示すように、ソース領域6b及びコンタクト領域7bは、ストライプ状の平面パターンを有し、図1の上下方向に延伸している。図2に示すように、ソース領域6b及びコンタクト領域7bの上面には、ソース電極16が接続されている。
【0020】
図1図3の左右方向の中央に示すように、ウェル領域2の上部には、p型の担体輸送領域(ドリフト領域)3が設けられている。ドリフト領域3の上部には、ドリフト領域3よりも高不純物濃度のp型の担体受領領域(ドレイン領域)5が設けられている。図1に示すように、ウェル領域2は矩形の平面パターンを有する。ドレイン領域5はストライプ状の平面パターンを有し、図1の上下方向に延伸している。ドレイン領域5は、図1の左右方向において、ウェル領域2及びドリフト領域3を挟んでソース領域6a,6bと対向する。即ち、本発明の実施形態に係る半導体装置は、左右対称に2個のpチャネル型のLDMOSが設けられており、2個のLDMOSがドレイン領域5を共有している。なお、半導体層1には、2個のLDMOS以外にトランジスタ等の種々の半導体素子が混載されていてよい。図2に示すように、ドレイン領域5の上面には、ドレイン電極14が接続されている。
【0021】
図2及び図3に示すように、半導体層1の上面には素子分離絶縁膜10が設けられている。素子分離絶縁膜10は、例えばシリコン局部的酸化(LOCOS)法により選択的(局所的)に形成された局部絶縁膜(LOCOS膜)等のフィールド酸化膜で構成されている。
【0022】
図1及び図2の左側に示すように、ソース領域6aとドリフト領域3の間に挟まれたベース領域4a及びウェル領域2の上面には、ゲート絶縁膜12を介して設けられたゲート電極11aが設けられている。図1及び図2の右側に示すように、ソース領域6bとドリフト領域3の間に挟まれたベース領域4b及びウェル領域2の上面には、ゲート絶縁膜12を介して設けられたゲート電極11bが設けられている。
【0023】
ゲート絶縁膜12としては、例えばシリコン酸化膜(SiO膜)の他、シリコン酸窒化膜(SiON膜)、ストロンチウム酸化物膜(SrO膜)、シリコン窒化物膜(Si膜)、アルミニウム酸化物膜(Al膜)、マグネシウム酸化物膜(MgO膜)、イットリウム酸化物膜(Y膜)、ハフニウム酸化物膜(HfO膜)、ジルコニウム酸化物膜(ZrO膜)、タンタル酸化物膜(Ta膜)、ビスマス酸化物膜(Bi膜)のいずれか1つの単層膜或いはこれらの複数を積層した複合膜等が採用可能である。
【0024】
ゲート電極11a,11bの材料としては、例えばボロン(B)等のp型不純物又はリン(P)等のn型不純物を高濃度に添加したポリシリコン層(ドープドポリシリコン層)や高融点金属等が使用可能である。
【0025】
ゲート電極11a,11b上には層間絶縁膜13が配置されている。層間絶縁膜13としては、「NSG」と称される燐(P)や硼素(B)を含まないノンドープのシリコン酸化膜(SiO膜)が採用可能である。また、層間絶縁膜13としては、燐を添加したシリコン酸化膜(PSG膜)、硼素を添加したシリコン酸化膜(BSG膜)、硼素及び燐を添加したシリコン酸化膜(BPSG膜)、シリコン窒化物膜(Si膜)等でもよく、これらの積層膜としてもよい。
【0026】
図1図3に示すように、半導体層1の上部には、ドリフト領域3の周囲を囲むように、p型の基板コンタクト領域8が設けられている。図1に示すように、基板コンタクト領域8は、例えば環状の平面パターンを有する。図2に示すように、基板コンタクト領域8の上面には、基板コンタクト電極17,18が接続されている。基板コンタクト領域8には基板コンタクト電極17,18を介して基板電位(例えば、接地電位)が印加され、半導体層1が基板電位に固定される。
【0027】
図1及び図3に示すように、ウェル領域2の上部には、ウェル領域2よりも高不純物濃度のn型のパンチスルー防止領域9a,9bが設けられている。パンチスルー防止領域9a,9bは、ドレイン領域5と半導体層1の間のパンチスルーを防止する機能を有する。図1及び図3では、パンチスルー防止領域9a,9bはドリフト領域3と離間している場合を例示するが、パンチスルー防止領域9a,9bはドリフト領域3に接していてもよい。図1に示すように、パンチスルー防止領域9a,9bは、図1の上下方向において、ドレイン領域5と半導体層1が対向する領域に設けられている。パンチスルー防止領域9a,9bは、ドレイン領域5及びドリフト領域3を挟むように設けられている。図1の左右方向において、パンチスルー防止領域9a,9bの幅W0はドレイン領域5の幅よりも広い。
【0028】
パンチスルー防止領域9a,9bの不純物濃度は、ウェル領域2よりも高く、ベース領域4a,4bの不純物濃度よりも低い。本発明の実施形態においては、パンチスルー防止領域9a,9bの深さD2は、ベース領域4a,4bの深さD1と同等である。パンチスルー防止領域9a,9bの深さD2は、ベース領域4a,4bの深さD1よりも浅くてもよい。後述するが、パンチスルー防止領域9a,9b及びベース領域4a,4bは、互いに同一のイオン注入工程及び熱処理工程により同時に形成される。
【0029】
パンチスルー防止領域9a,9bの深さD2は、ドリフト領域3の深さD3と同等である。パンチスルー防止領域9a,9bの深さD2は、ドリフト領域3の深さD3よりも深くてもよく、ドリフト領域3の深さD3よりも浅くてもよい。
【0030】
<第1比較例>
ここで、第1比較例に係る半導体装置を説明する。図4は、本発明の実施形態に係る半導体装置の図3に対応する、第1比較例に係る半導体装置の断面を示す。図4に示すように、第1比較例に係る半導体装置は、ウェル領域2の上部にパンチスルー防止領域が設けられていない点が、本発明の実施形態に係る半導体装置と異なる。
【0031】
第1比較例に係る半導体装置では、ウェル領域2の不純物濃度が薄いと、p型のドリフト領域3からn型のウェル領域2側へ空乏層が広がっていき、p型の半導体層1に到達して、ドレイン領域5と半導体層1の間でパンチスルーが発生し、耐圧が低下する。パンチスルー防止のためには、ウェル領域2の距離D0を十分確保する必要があるが、デバイス面積が増大し、チップ面積の増大によるコストアップとなる。
【0032】
これに対して、本発明の実施形態に係る半導体装置によれば、図1及び図3に示すように、ウェル領域2の上部にパンチスルー防止領域9a,9bを設けているので、ドレイン領域5と半導体層1の間でパンチスルーを防止することができ、デバイス面積の増大、ひいてはチップ面積を抑制することができ、安価に製造可能となる。
<第2比較例>
次に、第2比較例に係る半導体装置を説明する。第2比較例に係る半導体装置は、図1図3に示した本発明の実施形態に係る半導体装置と同様の構造であるが、パンチスルー防止領域9a,9bの不純物濃度が、ベース領域4a,4bと同等である点が異なる。第2比較例に係る半導体装置では、ベース領域4a,4bを形成するためのイオン注入工程において、パンチスルー防止領域9a,9bにも同時にイオン注入を行い、その後の熱処理により、ベース領域4a,4b及びパンチスルー防止領域9a,9bを同時に形成している。しかしながら、ベース領域4a,4bを形成するためのイオン注入工程では、ベース領域4a,4bの不純物濃度に適した注入条件を使用するため、パンチスルー防止領域9a,9bの不純物濃度として適さない場合がある。
【0033】
これに対して、本発明の実施形態に係る半導体装置によれば、同一デバイス内で、パンチスルー防止領域9a,9bの不純物濃度を、ベース領域4a,4bの不純物濃度と異ならせているため、パンチスルー防止領域9a,9bの不純物濃度をパンチスルーの防止にに適した不純物濃度に調整することができる。
【0034】
<半導体装置の製造方法>
次に、図5A図12Bを参照しながら、本発明の実施形態に係る半導体装置の製造方法を説明する。ここでは、図2及び図3に示した半導体装置の断面に主に着目して説明する。なお、以下に述べる半導体装置の製造方法は一例であり、特許請求の範囲に記載した趣旨の範囲であれば、この変形例を含めて、これ以外の種々の製造方法により実現可能であることは勿論である。
【0035】
まず、p型のSi基板等の半導体層1を用意する。次に、半導体層1の上面にフォトレジスト膜20を塗布し、フォトリソグラフィ技術を用いてフォトレジスト膜20をパターニングする。図5A及び図5Bに示すように、パターニングされたフォトレジスト膜20をマスクとして用いて燐(P)等のn型不純物イオンを注入する。フォトレジスト膜20を除去した後、熱処理を行うことにより、n型不純物イオンを活性化させる。この結果、図6A及び図6Bに示すように、半導体層1の上部にn型のウェル領域2が選択的に形成される。
【0036】
次に、半導体層1及びウェル領域2の上面にフォトレジスト膜21を塗布し、フォトリソグラフィ技術を用いてフォトレジスト膜21をパターニングする。図7A及び図7Bに示すように、パターニングされたフォトレジスト膜21をマスクとして用いて、ボロン(B)等のp型不純物イオンを注入する。フォトレジスト膜21を除去した後、半導体層1及びウェル領域2の上面に新たにフォトレジスト膜22を塗布し、図8Aに示すように、フォトリソグラフィ技術を用いてフォトレジスト膜22をパターニングする。
【0037】
図8AのA-A方向から見た断面を図8Bに示し、図8AのB-B方向から見た断面を図8Cに示し、図8AのC-C方向から見た断面を図8Dに示す。図8Aに示すように、フォトレジスト膜22のレジストパターンは、パンチスルー防止領域9a,9bに対応するスリット状(ストライプ状)の開口部22a,22bと、ベース領域4a,4bに対応する矩形の全面開口した開口部22c,22dを有する。開口部22a,22bのスリットは、図8Aの上下方向に延伸し、図8のA左右方向に並んで複数設けられている。
【0038】
図8B図8Dに示すように、パターニングされたフォトレジスト膜22をイオン注入用のマスクとして用いて、燐(P)等のn型不純物イオンを注入する。このときのイオン注入条件は、ベース領域4a,4bに適した注入条件に設定されている。このため、図8Bに示すように、ベース領域4a,4bを形成するための開口部22c,22dは全面開口してイオン注入する。一方、図8C及び8Dに示すように、パンチスルー防止領域9a,9bを形成するための開口部22a,22bはスリット状とすることにより、イオンの注入量を制限して、パンチスルー防止領域9a,9bの不純物濃度をパンチスルーの防止に適した濃度とすることができる。
【0039】
図8Aに示すように、開口部22a,22bのスリットの粗密(遮蔽率)、開口部22a,22bのスリット幅(非開口部の幅)W1、スリット間隔(開口部の幅)S1、スリット幅W1に対するスリット間隔S1の比S1/W1等を調整することにより、パンチスルー防止領域9a,9bの不純物濃度をパンチスルーの防止に適した濃度に調整可能である。開口部22a,22bのスリットの遮蔽率を高くするほど、パンチスルー防止領域9a,9bの不純物濃度は低くなり、パンチスルー防止領域9a,9bの深さは浅くなる。例えば、開口部22a,22bの遮蔽率を50%程度、スリット幅W1を0.5μm程度、スリット間隔S1を0.5μm程度、スリット幅W1に対するスリット間隔S1の比S1/W1を1程度に調整した場合、パンチスルー防止領域9a,9bの不純物濃度を、ベース領域4a,4bの不純物濃度の1/2程度とすることができる。図8B図8Dに示したn型不純物イオンの注入後、フォトレジスト膜22を除去する。
【0040】
次に、熱処理を行うことにより、p型不純物イオン及びn型不純物イオンを活性化させる。この結果、図9A及び図9Bに示すように、ウェル領域2の上部にp型のドリフト領域3が選択的に形成される。更に、ウェル領域2の上部に、n型のパンチスルー防止領域9a,9b及びn型のベース領域4a,4bが選択的に形成される。パンチスルー防止領域9a,9bは、開口部22a,22bのスリットを介して注入されたn型不純物が横方向に拡散して一様な不純物濃度の一体化した領域となる。パンチスルー防止領域9a,9bの不純物濃度は、ベース領域4a,4bの不純物濃度と異なり、ベース領域4a,4bの不純物濃度よりも低い。なお、p型のドリフト領域3を形成するための熱処理と、n型のパンチスルー防止領域9a,9b及びn型のベース領域4a,4bを形成するための熱処理は一括ではなく、個別に行ってもよい。
【0041】
次に、図10A及び図10Bに示すように、LOCOS法等により、半導体層1の上面に素子分離絶縁膜10を形成する。次に、熱酸化法又は化学気相成長(CVD)法等により、半導体層1の上面にゲート絶縁膜12を形成する。更に、ドーパントガスを用いたCVD法等により、n型不純物又はp型不純物を高濃度で添加したポリシリコン層(ドープドポリシリコン層)を堆積する。その後、フォトリソグラフィ技術及びドライエッチングによりドープドポリシリコン層及びゲート絶縁膜12の一部を選択的に除去する。この結果、図11A及び図11Bに示すように、ゲート絶縁膜12と、ドープドポリシリコン層からなるゲート電極11a,11bのパターンが形成される。
【0042】
次に、半導体層1及びゲート電極11a,11bの上面にフォトレジスト膜を塗布し、フォトリソグラフィ技術を用いてフォトレジスト膜をパターニングする。パターニングされたフォトレジスト膜をマスクとして用いて、ボロン(B)等のp型不純物イオンを注入する。フォトレジスト膜を除去した後、半導体層1及びゲート電極11a,11bの上面に新たにフォトレジスト膜を塗布し、フォトリソグラフィ技術を用いてフォトレジスト膜をパターニングする。パターニングされたフォトレジスト膜をマスクとして用いて、燐(P)等のn型不純物イオンを注入する。フォトレジスト膜を除去した後、熱処理を行うことにより、p型不純物イオン及びn型不純物イオンを活性化させる。この結果、図12A及び図12Bに示すように、ベース領域4aの上部にp型のソース領域6a及びn型のコンタクト領域7aが形成される。更に、ベース領域4bの上部にp型のソース領域6b及びn型のコンタクト領域7bが形成される。更に、ドリフト領域3の上部にp型のドレイン領域5が選択的に形成される。更に、半導体層1の上部にp型の基板コンタクト領域8が選択的に形成される。
【0043】
次に、CVD法等により、ゲート電極11a,11bを覆うように層間絶縁膜13を堆積する。そして、フォトリソグラフィ技術及びドライエッチング等により、層間絶縁膜13の一部を選択的に除去し、ソース領域6a,6b、ドレイン領域5、コンタクト領域7a,7b、基板コンタクト領域8の上面を露出するコンタクトホールを形成する。更に、スパッタリング法、フォトリソグラフィ技術及びドライエッチング等を用いて、コンタクトホールを金属膜で埋め込み、ドレイン領域5に接続するドレイン電極14、ソース領域6a,6b及びコンタクト領域7a,7bに接続するソース電極15,16、基板コンタクト領域8に接続する基板コンタクト電極17,18を形成する。このようにして、図1図3に示した本発明の実施形態に係る半導体装置が完成する。
【0044】
本発明の実施形態に係る半導体装置の製造方法によれば、ウェル領域2の上部にパンチスルー防止領域9a,9bを形成することにより、ドレイン領域5と半導体層1の間でパンチスルーを防止することができ、デバイス面積の増大、ひいてはチップ面積を抑制することができ、安価に製造可能となる。
【0045】
更に、ベース領域4a,4bを形成するためのイオン注入工程において、パンチスルー防止領域9a,9bを形成するためのイオン注入も同時に行い、ベース領域4a,4bを形成するのと同時に、ベース領域4a,4bと不純物濃度が同等のパンチスルー防止領域9a,9bを形成する場合には、イオン注入条件がベース領域4a,4bに適する条件とされているため、パンチスルー防止領域9a,9bの不純物濃度として適さない場合がある。一方、パンチスルー防止領域9a,9bの不純物濃度をパンチスルーの防止に適した濃度とするために、専用のフォトリソグラフィ工程及びイオン注入工程を追加すると、コストアップを招く。
【0046】
これに対して、本発明の実施形態に係る半導体装置の製造方法によれば、ベース領域4a,4bを形成するためのイオン注入工程において、パンチスルー防止領域9a,9bを形成するための開口部22a,22bをスリット状とすることにより、ベース領域4a,4bを形成するのと同時に、ベース領域4a,4bと不純物濃度が異なるパンチスルー防止領域9a,9bを形成することができる。よって、パンチスルー防止領域9a,9bの不純物濃度をパンチスルー防止に適した濃度とすることができると共に、パンチスルー防止領域9a,9bを形成するための専用のフォトリソグラフィ工程及びイオン注入工程を追加せずに安価に製造可能となる。
【0047】
(第1変形例)
本発明の実施形態の第1変形例に係る半導体装置は、図13に示すように、図13の左右方向におけるパンチスルー防止領域9a,9bの幅W2を拡大した点が、本発明の実施形態に係る半導体装置と異なる。図13の左右方向におけるパンチスルー防止領域9a,9bの幅W2は、p型のドリフト領域3の幅よりも広い。本発明の実施形態の第1変形例に係る半導体装置の他の構成は、本発明の実施形態に係る半導体装置と同様であるので、重複した説明を省略する。
【0048】
本発明の実施形態の第1変形例に係る半導体装置によれば、パンチスルー防止領域9a,9bの幅W2を拡大した場合でも、本発明の実施形態に係る半導体装置と同様の効果を奏する。
【0049】
本発明の実施形態の第1変形例に係る半導体装置の製造時には、図14に示すように、フォトレジスト膜22のレジストパターンを形成するときに、パンチスルー防止領域9a,9bを形成するためのスリット状の開口部22a,22bの領域を、パンチスルー防止領域9a,9bの幅W2に合わせて拡大すればよい。
【0050】
(第2変形例)
本発明の実施形態の第2変形例に係る半導体装置の製造方法は、図15に示すように、フォトレジスト膜22のレジストパターンを形成するときに、パンチスルー防止領域9a,9bに対応する開口部22a,22bのスリットの向きが異なる点が、本発明の実施形態に係る半導体装置の製造方法と異なる。開口部22a,22bのスリットは、図15の左右方向に延伸し、図15の上下方向に並んで複数設けられている。本発明の実施形態の第2変形例に係る半導体装置の製造方法の他の手順は、本発明の実施形態に係る半導体装置の製造方法と同様であるので、重複した説明を省略する。
【0051】
本発明の実施形態の第2変形例に係る半導体装置の製造方法によれば、フォトレジスト膜22のパンチスルー防止領域9a,9bに対応する開口部22a,22bのスリットが異なる場合でも、本発明の実施形態に係る半導体装置の製造方法と同様の効果を奏する。なお、開口部22a,22bのスリット形状は特に限定されず、例えば斜め向きのスリットであってもよく、或いは互いに直交する向きのスリットを組み合わせた格子状のパターンであってもよい。
【0052】
(第3変形例)
本発明の実施形態の第3変形例に係る半導体装置は、図16に示すように、パンチスルー防止領域9a,9bの深さD2が浅い点が、本発明の実施形態に係る半導体装置と異なる。パンチスルー防止領域9a,9bの深さD2は、ドリフト領域3の深さD3よりも浅く、且つ、図2に示したベース領域4a,4bの深さD1よりも浅い。本発明の実施形態の第3変形例に係る半導体装置の他の構成は、本発明の実施形態に係る半導体装置と同様であるので、重複した説明を省略する。
【0053】
本発明の実施形態の第3変形例に係る半導体装置によれば、パンチスルー防止領域9a,9bの深さD2が浅い場合でも、本発明の実施形態に係る半導体装置と同様の効果を奏する。
【0054】
本発明の実施形態の第3変形例に係る半導体装置の製造時には、パンチスルー防止領域9a,9bに対応する開口部22a,22bのスリットの粗密を調整することにより、パンチスルー防止領域9a,9bの深さD2を浅く形成可能である。
【0055】
(第4変形例)
本発明の実施形態の第4変形例に係る半導体装置は、図17に示すように、ベース領域4a,4bの不純物濃度が、図3に示したパンチスルー防止領域9a,9bの不純物濃度よりも低い点が、本発明の実施形態に係る半導体装置と異なる。図17に示すように、ベース領域4a,4bの深さD1が、ドリフト領域3の深さD3よりも浅く、且つ、図3に示したパンチスルー防止領域9a,9bの深さD2よりも浅い。なお、ベース領域4a,4bの深さD1は、ドリフト領域3の深さD3と同等でもよく、図3に示したパンチスルー防止領域9a,9bの深さD2と同等でもよい。本発明の実施形態の第4変形例に係る半導体装置の他の構成は、本発明の実施形態に係る半導体装置と同様であるので、重複した説明を省略する。
【0056】
本発明の実施形態の第4変形例に係る半導体装置によれば、ベース領域4a,4bの不純物濃度が、図3に示したパンチスルー防止領域9a,9bの不純物濃度と異なり、パンチスルー防止領域9a,9bの不純物濃度よりも低い場合でも、本発明の実施形態に係る半導体装置と同様の効果を奏する。
【0057】
本発明の実施形態の第4変形例に係る半導体装置の製造時には、図18に示すように、フォトレジスト膜22のレジストパターンを形成するときに、パンチスルー防止領域9a,9bに対応する開口部22a,22bをスリット状ではなく矩形のパターンとする。一方、ベース領域4a,4bに対応する開口部22c,22dをスリット状のパターンとする。
【0058】
図18に示したフォトレジスト膜22のレジストパターンをマスクとしてn型不純物イオンを注入するときに、パンチスルー防止領域9a,9bの形成に適した注入条件とする。ベース領域4a,4bの不純物濃度及び深さは、開口部22c,22dをスリットの粗密を調整することにより調整可能である。これにより、ベース領域4a,4bの不純物濃度がパンチスルー防止領域9a,9bの不純物濃度よりも低く、且つ、ベース領域4a,4bの深さD1がパンチスルー防止領域9a,9bの深さD2よりも浅くなるように、ベース領域4a,4b及びパンチスルー防止領域9a,9bを形成することができる。
【0059】
(第5変形例)
本発明の実施形態の第5変形例に係る半導体装置は、図19に示すように、1個のLDMOSを有する点が、本発明の実施形態に係る半導体装置と異なる。図19に示す1個のLDMOSは、図1に示した2個のLDMOSのうちの左側のLDMOSに対応する。パンチスルー防止領域9aは、C字状の平面パターンを有し、p型のドリフト領域3の周囲を囲むように設けられている。本発明の実施形態の第5変形例に係る半導体装置の他の構成は、本発明の実施形態に係る半導体装置と同様であるので、重複した説明を省略する。
【0060】
本発明の実施形態の第5変形例に係る半導体装置によれば、1個のLDMOSを有する場合でも、本発明の実施形態に係る半導体装置と同様の効果を奏する。
【0061】
本発明の実施形態の第5変形例に係る半導体装置の製造時には、フォトレジスト膜22のレジストパターンを形成するときに、パンチスルー防止領域9aに対応する開口部のスリットとしてC字状のパターンを形成すればよい。
【0062】
(その他の実施形態)
上記のように、本発明は実施形態及び各変形例によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面は本発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。例えば、本発明の実施形態及び各変形例がそれぞれ開示する構成を、矛盾の生じない範囲で適宜組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0063】
1…半導体層
2…ウェル領域
3…ドリフト領域
4a,4b…ベース領域
5…ドレイン領域
6a,6b…ソース領域
7a,7b…コンタクト領域
8…基板コンタクト領域
9a,9b…パンチスルー防止領域
10…素子分離絶縁膜
11a,11b…ゲート電極
12…ゲート絶縁膜
13…層間絶縁膜
14…ドレイン電極
15,16…ソース電極
17,18…基板コンタクト電極
20,21,22…フォトレジスト膜
22a,22b,22c,22d…開口部
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B
図8A
図8B
図8C
図8D
図9A
図9B
図10A
図10B
図11A
図11B
図12A
図12B
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19