(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022136776
(43)【公開日】2022-09-21
(54)【発明の名称】防食用粘着テープ及び鋼構造物の防食方法
(51)【国際特許分類】
C23F 11/00 20060101AFI20220913BHJP
C23F 13/02 20060101ALI20220913BHJP
C23F 13/00 20060101ALI20220913BHJP
C09J 7/38 20180101ALI20220913BHJP
C09J 7/20 20180101ALI20220913BHJP
C09J 201/00 20060101ALI20220913BHJP
C09J 11/04 20060101ALI20220913BHJP
B32B 15/08 20060101ALI20220913BHJP
B32B 15/18 20060101ALI20220913BHJP
B32B 27/00 20060101ALI20220913BHJP
【FI】
C23F11/00 G
C23F13/02 L
C23F13/00
C09J7/38
C09J7/20
C09J201/00
C09J11/04
B32B15/08 N
B32B15/18
B32B27/00 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021036553
(22)【出願日】2021-03-08
(71)【出願人】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100207756
【弁理士】
【氏名又は名称】田口 昌浩
(74)【代理人】
【識別番号】100129746
【弁理士】
【氏名又は名称】虎山 滋郎
(74)【代理人】
【識別番号】100165021
【弁理士】
【氏名又は名称】千々松 宏
(74)【代理人】
【識別番号】100154391
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 康義
(72)【発明者】
【氏名】梶 章二
(72)【発明者】
【氏名】左近 崇晃
【テーマコード(参考)】
4F100
4J004
4J040
4K060
4K062
【Fターム(参考)】
4F100AA37B
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4F100AB18E
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4J004AA05
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4K062AA05
4K062CA02
4K062FA08
(57)【要約】
【課題】作業効率性に優れ、かつ作業効率性が優れたものでありながらも2つの構造物の間に配置されても防食性が良好な防食材料、及びその防食材料を用いた鋼構造物の防食方法を提供する。
【解決手段】本発明の防食用粘着テープ10は、第1の構造物20及び第2の構造物30の間に配置されて用いられ、第1の構造物20は鋼構造物であり、防食用粘着テープ10は粘着剤層11を備える。本発明の鋼構造物の防食方法は、本発明の防食用粘着テープを第1の構造物20に貼る工程、及び第1及び第2の構造物20,30の間に防食用粘着テープ10が配置されるように第1及び第2の構造物20,30の少なくともいずれかを設置させる工程を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の構造物及び第2の構造物の間に配置されて用いられ、
前記第1の構造物が鋼構造物であり、
粘着剤層を備える防食用粘着テープ。
【請求項2】
前記第2の構造物は、コンクリート構造物、モルタル構造物、鋼構造物、鋼以外の金属構造物、熱可塑性樹脂構造物、熱硬化性樹脂構造物、及び繊維強化プラスチック構造物からなる群から選択される少なくとも1種の構造物である請求項1に記載の防食用粘着テープ。
【請求項3】
前記粘着剤層のみからなる請求項1又は2に記載の防食用粘着テープ。
【請求項4】
前記粘着剤層が、鉄よりも電位が卑な金属を含有する請求項1~3のいずれか1項に記載の防食法粘着テープ。
【請求項5】
基材をさらに備え、前記基材の片面に前記粘着剤層が設けられた請求項1~4のいずれか1項に記載の防食用粘着テープ。
【請求項6】
前記基材が、樹脂フィルム、不織布、及び金属箔からなる群から選択される少なくとも1種のシート状材料である請求項5に記載の防食用粘着テープ。
【請求項7】
金属層をさらに備え、前記金属層の片面に前記粘着剤層が設けられ、
前記金属層が鉄よりも電位が卑な金属の層である請求項1又は2に記載の防食用粘着テープ。
【請求項8】
前記鉄よりも電位が卑な金属が亜鉛である請求項4又は7に記載の防食用粘着テープ。
【請求項9】
前記粘着剤層が、前記鉄よりも電位が卑な金属以外の導電性材料を含有する請求項4、7、及び8のいずれか1項に記載の防食用粘着テープ。
【請求項10】
前記導電性材料がカーボンナノチューブである請求項9に記載の防食用粘着テープ。
【請求項11】
前記粘着剤層の23℃での貯蔵弾性率G’が5万~100万Paである請求項1~10のいずれか1項に記載の防食用粘着テープ。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか1項に記載の防食用粘着テープを前記第1の構造物に貼る工程、及び
前記第1及び第2の構造物の間に前記防食用粘着テープが配置されるように前記第1及び第2の構造物の少なくともいずれかを設置させる工程を含む鋼構造物の防食方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防食用粘着テープ及びその防食用粘着テープを使用した鋼構造物の防食方法に関する。
【背景技術】
【0002】
鋼構造物を防食するために、亜鉛を含有した防食塗料組成物が広く用いられている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の防食塗料組成物を鋼構造物に塗布することにより、腐食に影響を与える酸素、水、腐食性物質などの物質から鋼構造物を遮断することができる。さらに、亜鉛は、鉄よりも電位が卑な金属であり、犠牲防食作用があるため、特許文献1に記載の防食塗料組成物は、高い防食性を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、塗料組成物による防食は、塗布後に乾燥工程などが必要であり、作業に時間がかかり、例えば、橋梁などの土木、建築用途で局所的な補修を行う際には、作業効率が低下する。また、作業時間を短縮するために、乾燥時間を置かずに塗料の上に別の部材を置くと、塗膜が適切に形成できずに防食性を十分に確保できない。
そこで、本発明は、作業効率性に優れ、かつ2つの構造物の間に配置されても防食性が良好な防食材料、及びその防食材料を用いた鋼構造物の防食方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、鋭意検討の結果、粘着テープが、作業効率性に優れ、2つの構造物の間に配置されても防食性が良好である防食材料であることを見出し、以下の本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、以下の[1]~[12]を提供する。
[1]第1の構造物及び第2の構造物の間に配置されて用いられ、前記第1の構造物が鋼構造物であり、粘着剤層を備える防食用粘着テープ。
[2]前記第2の構造物は、コンクリート構造物、モルタル構造物、鋼構造物、鋼以外の金属構造物、熱可塑性樹脂構造物、熱硬化性樹脂構造物、及び繊維強化プラスチック構造物からなる群から選択される少なくとも1種の構造物である上記[1]に記載の防食用粘着テープ。
[3]前記粘着剤層のみからなる上記[1]又は[2]に記載の防食用粘着テープ。
[4]前記粘着剤層が、鉄よりも電位が卑な金属を含有する上記[1]~[3]のいずれか1つに記載の防食法粘着テープ。
[5]基材をさらに備え、前記基材の片面に前記粘着剤層が設けられた上記[1]~[4]のいずれか1つに記載の防食用粘着テープ。
[6]前記基材が、樹脂フィルム、不織布、及び金属箔からなる群から選択される少なくとも1種のシート状材料である上記[5]に記載の防食用粘着テープ。
[7]金属層をさらに備え、前記金属層の片面に前記粘着剤層が設けられ、
前記金属層が鉄よりも電位が卑な金属の層である上記[1]又は[2]に記載の防食用粘着テープ。
[8]前記鉄よりも電位が卑な金属が亜鉛である上記[4]又は[7]に記載の防食用粘着テープ。
[9]前記粘着剤層が、前記鉄よりも電位が卑な金属以外の導電性材料を含有する上記[4]、[7]、及び[8]のいずれか1つに記載の防食用粘着テープ。
[10]前記導電性材料がカーボンナノチューブである上記[9]に記載の防食用粘着テープ。
[11]前記粘着剤層の23℃での貯蔵弾性率G’が5万~100万Paである上記[1]~[10]のいずれか1つに記載の防食用粘着テープ。
[12]上記[1]~[11]のいずれか1つに記載の防食用粘着テープを前記第1の構造物に貼る工程、及び前記第1及び第2の構造物の間に前記防食用粘着テープが配置されるように前記第1及び第2の構造物の少なくともいずれかを設置させる工程を含む鋼構造物の防食方法。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、作業効率性に優れ、かつ2つの構造物の間に配置されても防食性が良好な防食材料、及びその防食材料を用いた鋼構造物の防食方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態の防食用粘着テープの使用例を示す模式図である。
【
図2】
図2は、本発明の一実施形態の防食用粘着テープの変形例の使用例を示す模式図である。
【
図3】
図3は、本発明の一実施形態の防食用粘着テープの変形例の使用例を示す模式図である。
【
図4】
図4は、本発明の一実施形態の防食用粘着テープの変形例の使用例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[防食用粘着テープ]
図1を参照して、本発明の一実施形態の防食用粘着テープを説明する。本発明の一実施形態の防食用粘着テープ10は、第1の構造物20及び第2の構造物30の間に配置されて用いられる。そして、第1の構造物20は鋼構造物であり、防食用粘着テープ10は粘着剤層11を備える。本発明の一実施形態の防食用粘着テープ10は、粘着テープであるので、第1の構造物20に貼り付けるだけで、腐食に影響を与える酸素、水、腐食性物質などの物質から第1の構造物20を遮断することができる。したがって、酸素、水、腐食性物質などの物質から第1の構造物20を遮断するための層を形成するために、塗布及び乾燥の必要がない。そして、乾燥時間を置かずに第1の構造物20に隣接して第2の構造物30を置くことができるので、本発明の一実施形態の防食用粘着テープ10は、作業効率性が優れたものでありながらも2つの構造物の間に配置されても良好な防食性を示すことができる。
なお、鋼構造物には、例えば、橋梁、鉄塔、高架橋、タンク、プラント、橋脚等が挙げられる。また、鋼構造物を構成する金属材料は、例えば、鉄、及び鉄を含む合金からなる群から選択される少なくとも1種を含有する金属材料である。鉄を含む合金としては、具体的には、ニッケルクロム鋼、ニッケルクロムモリブデン鋼、クロム鋼、クロムモリブデン鋼、マンガン鋼などの合金鋼、炭素鋼などの各種の鋼材が挙げられる。
【0009】
第2の構造物30は、鋼構造物と組み合わせて使用される構造物であれば特に限定されない。第2の構造物30には、例えば、コンクリート構造物、モルタル構造物、鋼構造物、鋼以外の金属構造物、熱可塑性樹脂構造物、熱硬化性樹脂構造物、及び繊維強化プラスチック構造物等が挙げられる。これらの構造物は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。例えば、鋼道路橋では、床組のH鋼が第1の構造物であり、床組部材の上に配置されるコンクリート製の床版が第2の構造物である。
【0010】
<鉄よりも電位が卑な金属>
粘着剤層11は、鉄よりも電位が卑な金属を含有することが好ましい。鉄よりも電位が卑な金属(以下、「犠牲防食用金属」ともいう)を含有することにより、犠牲防食性を有し、第1の構造物20の防食性が高まる。該犠牲防食用金属は、粘着剤層11を構成する粘着剤中で分散している。
【0011】
犠牲防食用金属としては、カドミウム、クロム、亜鉛、マンガン、アルミニウムなどが挙げられ、これらの中では亜鉛、アルミニウムが好ましく、特に亜鉛が好ましい。亜鉛を使用することで犠牲防食性が優れたものとなる。
【0012】
犠牲防食用金属は、粒子形状、鱗片形状、紡錘形状等、フィラーとしていかなる形態で粘着剤に分散されていてもよいが、好ましくは粒子形状であることが好ましい。犠牲防食用金属は、粒子形状とすることで、粘着剤層11の粘着性を殆ど低下させることなく、粘着剤層11中に分散されやすくなる。
本明細書において、粒子形状とは、短軸方向の長さに対する長軸方向の長さの比(アスペクト比)が小さいものであり、例えば、アスペクト比が3以下、好ましくは2以下である。粒子形状は、特に限定されないが、球形であってもよいし、粉体等の不定形のものであってもよい。粒子形状の上記金属は、その粒径が例えば1~500μm、好ましくは1~200μmである。なお、本明細書において粒径とは、レーザー回折法により測定した平均粒径を意味する。
【0013】
犠牲防食用金属の粘着剤層11中の含有量は、粘着剤層11全量基準で、例えば1~30質量%であり、好ましくは3~25質量%であり、より好ましくは7~20質量%である。
犠牲防食用金属の含有量がこれら下限値以上であると、防食性能が高まり、これら上限値以下であると粘着力が高くなる。
【0014】
<導電性材料>
粘着剤層11は、犠牲防食用金属に加えて、上記犠牲防食用金属以外の導電性材料をさらに含有することが好ましい。
導電性材料としては、カーボン系材料、金属系材料、金属酸化物系材料、イオン性ポリマー及び導電性高分子から選択される1種または2種以上が挙げられる。
カーボン系材料としては、カーボンブラック、黒鉛、グラフェン、カーボンナノチューブ、アセチレンブラックなどが挙げられる。金属系材料としては、金、銀、銅、ニッケル、又はこれらを含む合金など、鉄よりも電位が貴な金属、又は鉄などが挙げられる。金属酸化物材料としては、例えば、酸化インジウムスズ(ITO)、三酸化アンチモン(ATO)、フッ素ドープ酸化スズ(FTO)、酸化亜鉛などが挙げれらる。導電性高分子としては、ポリアセチレン、ポリピロール、PEDOT(ポリエチレンジオキシチオフェン)、PEDOT/PSS(ポリエチレンジオキシチオフェンとポリスチレンスルホン酸の複合物)、ポリチオフェン、ポリアニリン、ポリ(p-フェニレン)、ポリフルオレン、ポリカルバゾール、ポリシランまたはこれらの誘導体等が挙げられる。イオン性ポリマーとしては、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリル酸カリウムなどが挙げられる。
導電性材料は、これらを1種単独で使用してもよいが、2種以上を併用としてもよい。
上記の中でも導電性材料としては、カーボン系材料が好ましく、カーボンナノチューブがより好ましい。
【0015】
<カーボンナノチューブ>
粘着剤層11は、カーボンナノチューブを含有することが好ましい。カーボンナノチューブを含有することで、粘着剤層11の犠牲防食性が向上し、かつ粘着力を高く維持できるため、高い粘着力と犠牲防食性とを両立した防食用粘着テープ10が得やすくなる。これは、カーボンナノチューブは導電性材料であるが、他の種類の導電性材料と比較し、一定の犠牲防食性を発現させるために要する量が少ないため、粘着力の低下の度合いが小さいためと推察される。
【0016】
カーボンナノチューブは、炭素から形成されるチューブ状の材料である。カーボンナノチューブは電気的特性に優れており、樹脂などと複合化すると、導電性の高いシートなどを形成できる。カーボンナノチューブは、六角網目状の炭素原子配列のグラファイトシートが円筒状に巻かれた構造を有する物質であり、一層に巻いたものをシングルウオールカーボンナノチューブ、多層に巻いたものをマルチウオールカーボンナノチューブという。
本発明の一実施形態の防食用粘着テープ10では、カーボンナノチューブの種類は特に限定されず、シングルウオールカーボンナノチューブ、マルチウオールカーボンナノチューブ、及びこれらを任意の割合で含む混合物のいずれでもよい。また、アーク放電法、レーザー蒸発法、化学気相成長法(CVD法)等の各種方法により製造されたカーボンナノチューブを用いることができる。
【0017】
カーボンナノチューブの平均直径は好ましくは1~100nmであり、より好ましくは2~15nmである。カーボンナノチューブの平均長さは好ましくは0.1~1000μmであり、より好ましくは10~500μmである。カーボンナノチューブのアスペクト比(平均長さ/平均直径)は、好ましくは10~100000であり、より好ましくは500~30000である。
なお、カーボンナノチューブの直径とは、シングルウオールカーボンナノチューブの場合には外径を示し、マルチウオールカーボンナノチューブの場合には最も外側に位置するチューブの外径を意味する。カーボンナノチューブの直径、及び長さは、例えばTEM(透過型電子顕微鏡)による観察によって得られた画像において測定すればよく、平均直径、及び平均長さとは、任意の50個の算術平均により求めるとよい。
【0018】
粘着剤層11の犠牲防食性及び粘着力の観点から、粘着剤層11における導電性材料の含有量は、粘着剤層11全量基準で、好ましくは0.005~30質量%、より好ましくは0.005~20質量%、さらに好ましくは0.006~10質量%である。また、導電性材料としてカーボンナノチューブ以外を使用する場合には、犠牲防食性の観点から、比較的多くの量の導電性材料を含有させることが好ましく、上記導電性材料の含有量は、具体的には、0.5~30質量%が好ましく、より好ましくは1~20質量%、さらに好ましくは2~10質量%である。
【0019】
導電性材料がカーボンナノチューブである場合、カーボンナノチューブの粘着剤層11中の含有量は、粘着剤層11全量基準で、好ましくは0.0005~0.7質量%であり、より好ましくは0.005~0.05質量%であり、さらに好ましくは0.006~0.045質量%である。
カーボンナノチューブの含有量がこれら下限値以上であると、犠牲防食性が高まりやすく、カーボンナノチューブの含有量がこれら上限値以下であると、粘着力が向上しやすくなる。
【0020】
<粘着剤>
粘着剤層11は、粘着剤により形成されることが好ましい。粘着剤の種類は特に限定されないが、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、ウレタン系粘着剤、及びシリコーン系粘着剤などが挙げられる。これらは単独で使用してよいし、組み合わせて使用してもよい。
これらの中でも、粘着剤層11は、アクリル系粘着剤により形成されることが好ましい。
【0021】
(アクリル系粘着剤)
以下、粘着剤層11に使用されるアクリル系粘着剤の一実施形態についてより詳細に説明する。アクリル系粘着剤は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー(A)を含む重合性モノマーを重合したアクリル系重合体を含有する粘着剤である。
なお、本明細書において、用語「(メタ)アクリル酸アルキルエステル」とは、アクリル酸アルキルエステル、及びメタクリル酸アルキルエステルの両方を含む概念を指すものであり、他の類似の用語も同様である。また、用語「重合性モノマー」は、繰り返し単位を有しない化合物のみならず、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー(A)と共重合する化合物であれば、後述するオレフィン重合体(C)などのモノマー自身が繰り返し単位を有するものも含みうる概念を指す。
【0022】
((メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー(A))
(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー(A)は、(メタ)アクリル酸と脂肪族アルコールとのエステルであって、脂肪族アルコールのアルキル基の炭素数が、好ましくは2~14、より好ましくは4~10である脂肪族アルコールに由来するアルキルエステルが好ましい。アルキル基の炭素数がこの範囲内であると、粘着剤の23℃での貯蔵弾性率並びに粘着力を上記した範囲に調整しやすくなる。
【0023】
具体的な(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー(A)としては、例えば、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、及びテトラデシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
これらの中でも、n-ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレートが好ましく、n-ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート又はこれらの組み合わせがより好ましい。
(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマーは、単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0024】
(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー(A)由来の構成単位は、粘着剤層において主成分を構成するものであって、その含有量は、粘着剤層全量基準で一般的に30質量%以上、好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上である。このように、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー(A)の含有量を多くすると、粘着剤層に所望の粘着力を付与することが可能になる。また、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー(A)由来の構成単位の上記含有量は、他の成分を一定量以上含有させるために、例えば97質量%以下、好ましくは95質量%以下、より好ましくは90質量%以下である。
なお、粘着剤層における(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー(A)由来の構成単位の含有量は、後述する粘着剤組成物における(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー(A)の含有量と実質的に同じであるので、置き換えて表すことができる。以下で説明する(B)、(C)成分など、(A)成分以外の成分も同様である。
【0025】
(極性基含有ビニルモノマー(B))
重合性モノマーは、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー(A)に加えて、極性基含有ビニルモノマー(B)を含有することが好ましい。極性基含有ビニルモノマー(B)は、極性基とビニル基を有するものである。極性基含有モノマー(B)を用いることで、被着体に対する粘着力を向上させやすくなる。
極性基含有ビニルモノマー(B)としては、例えば、酢酸ビニル等のカルボン酸ビニルエステル、(メタ)アクリル酸、及びイタコン酸等のビニル基を含有するカルボン酸、及びその無水物、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレン(メタ)アクリレート、及びポリオキシプロピレン(メタ)アクリレート等の水酸基を有するビニルモノマー、(メタ)アクリロニトリル、N-ビニルピロリドン、N-ビニルカプロラクタム、N-ビニルラウリロラクタム、(メタ)アクリロイルモルホリン、(メタ)アクリルアミド、ジメチル(メタ)アクリルアミド、N-メチロール(メタ)アクリルアミド、N-ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、及びジメチルアミノメチル(メタ)アクリレート等の窒素含有ビニルモノマーが挙げられる。
これらの中でも、(メタ)アクリル酸、及びイタコン酸等のビニル基を含有するカルボン酸、及びその無水物が好ましく、(メタ)アクリル酸がより好ましく、アクリル酸が更に好ましい。これらの極性基含有ビニルモノマー(B)は、単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0026】
極性基含有ビニルモノマー(B)を使用する場合、粘着剤層11において極性基含有ビニルモノマー(B)由来の構成単位の含有量は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー(A)由来の構成単位100質量部に対して、好ましくは1~15質量部、より好ましくは2~12質量部、さらに好ましくは3~10質量部である。極性基含有ビニルモノマー(B)の含有量をこのような範囲内とすることで、第1の構造物20に対する粘着力を向上させやすくなる。
【0027】
(オレフィン重合体(C))
重合性モノマーは、さらに片末端に重合性結合を有するオレフィン重合体(C)を含むことが好ましい。このようなオレフィン重合体(C)を使用することで、第1の構造物20に対する粘着力を向上させやすくなる。
なお、重合性結合は、重合性モノマーと重合することが可能な不飽和の炭素-炭素結合を意味し、例えば不飽和二重結合が挙げられ、好ましくは(メタ)アクリロイル基などが挙げられる。
オレフィン重合体(C)としては、片末端に(メタ)アクリロイル基を有するポリオレフィンが挙げられる。なお、ポリオレフィンとは、エチレン、プロピレン、ブタン、ブタジエン、イソプレンなどの二重結合を有する脂肪族炭化水素化合物の重合体、又はその水素添加物である。
【0028】
片末端に(メタ)アクリロイル基を有するポリオレフィンとしては、例えば、片末端にエポキシ基を有するポリエチレンと(メタ)アクリル酸とを反応させることにより調製された、片末端に(メタ)アクリロイル基を有するポリエチレン等が挙げられる。また、片末端に(メタ)アクリロイル基を有するポリブタジエン又はその水素添加物が挙げられ、その市販品として株式会社クラレ製の「L-1253」等が挙げられる。
【0029】
オレフィン重合体(C)は、その数平均分子量が好ましくは500~20000、より好ましくは1000~10000である。なお、数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定し、標準ポリスチレンの検量線を用いて算出すればよい。
また、粘着剤層11においてオレフィン重合体(C)由来の構成単位の含有量は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー(A)由来の構成単位100質量部に対して、1~20質量部が好ましく、2~15質量部がより好ましく、4~12質量部がさらに好ましい。
【0030】
(架橋剤(D))
重合性モノマーはさらに、架橋剤を含むことが好ましい。架橋剤としては、ビニル基を2つ以上有する多官能モノマーが挙げられ、好ましくは(メタ)アクリロイル基を2つ以上有する多官能(メタ)アクリレートが挙げられる。多官能モノマーを使用すると、粘着剤層の粘着力を適切な範囲に調整しやすくなる。
多官能(メタ)アクリレートとしては、特に限定されず、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、エトシキ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレート、エトシキ化トリメチロールプロパントリアクリレート、プロキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート、プロキシ化グリセリルトリアクリレート、ネオペンチルグリコールアジペートジアクリレートなどの他に、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、液状水素化1,2-ポリブタジエンジ(メタ)アクリレートなどの重合体が挙げられる。これら多官能(メタ)アクリレートの中でも、重合体が好ましく、液状水素化1,2-ポリブタジエンジアクリレートがより好ましい。液状水素化1,2-ポリブタジエンジアクリレートの市販品としては、日本曹達株式会社製の「TEAI-1000」等が挙げられる。
また、粘着剤層11において架橋剤由来の構成単位の含有量は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー(A)由来の構成単位100質量部に対して、0.1~4質量部が好ましく、0.3~3質量部がより好ましく、0.5~2質量部がさらに好ましい。
【0031】
(粘着付与樹脂)
アクリル系粘着剤は、粘着力を向上させる観点から、粘着付与樹脂を含有してもよい。粘着付与樹脂としては、水添テルペン樹脂、水添ロジン、不均化ロジン樹脂、石油樹脂等の重合阻害性の低い粘着付与樹脂が好ましい。これらの中でも、粘着付与樹脂が二重結合を多く有していると重合反応を阻害することから、水添系のものが好ましく、中でも水添石油樹脂が好ましい。
粘着付与樹脂の軟化点は、粘着剤の凝集力及び粘着力を向上させる観点から、95℃以上程度であればよいが、120℃以上のものを含むことが好ましく、例えば、95℃以上120℃未満のものと、120℃以上150℃以下のものとを併用してもよい。なお、軟化点は、JIS K2207に規定される環球法により測定すればよい。
アクリル系粘着剤における粘着付与樹脂の含有量は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー(A)由来の構成単位100質量部に対して、好ましくは5~40質量部、より好ましくは7~35質量部、さらに好ましくは10~25質量部である。
【0032】
(微粒子)
アクリル系粘着剤は、微粒子を含有してもよい。微粒子を含有させることで、粘着力を向上させることができる。
微粒子としては、ガラスバルーン、シラスバルーン、及びフライアッシュバルーン等の無機質中空粒子、ポリメタクリル酸メチル、アクリロニトリル-塩化ビニリデン共重合体、ポリスチレン、及びフェノール樹脂等からなる有機質中空粒子、ガラスビーズ、シリカビーズ、及び合成雲母等の無機質微粒子、ポリアクリル酸エチル、ポリウレタン、ポリエチレン、及びポリプロピレン等の有機質微粒子が挙げられる。
アクリル系粘着剤における微粒子の含有量は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー(A)由来の構成単位100質量部に対して、好ましくは0.1~15質量部、より好ましくは0.5~10質量部、さらに好ましくは0.7~5質量部である。
【0033】
(その他の成分)
粘着剤層11に用いるアクリル系粘着剤は、前述した成分以外にも、可塑剤、軟化剤、顔料、染料、光重合開始剤、難燃剤等の粘着剤に従来使用されている各種の添加剤を含有してもよい。
【0034】
(アクリル系粘着剤及び粘着剤層の製造方法)
アクリル系粘着剤は、上記した重合性モノマー、犠牲防食用金属、及びカーボンナノチューブを含む粘着剤組成物に光を照射して、重合性モノマーを重合させることで得ることが可能である。また、粘着剤組成物は、必要に応じて上記した粘着付与樹脂、微粒子、及びその他の成分の少なくとも1種を含んでいてもよい。
より具体的に説明すると、まず、重合性モノマー、犠牲防食用金属、及びカーボンナノチューブ、さらに必要に応じて配合される粘着付与樹脂、微粒子、及びその他の成分を、ガラス容器等の反応容器に投入して混合して、粘着剤組成物を得る。
次いで、粘着剤組成物中の溶存酸素を除去するために、一般に窒素ガス等の不活性ガスを供給して酸素をパージする。そして、粘着剤組成物を剥離シート上に塗布するか、又は、樹脂フィルム、織布、不織布等の支持体などに塗布した後、光を照射し重合性モノマーを重合することにより粘着剤層を得ることができる。
前記粘着剤組成物の塗布もしくは含浸から光を照射する工程までは、不活性ガス雰囲気下、又はフィルム等により酸素が遮断された状態で行うことが好ましい。
なお、本製造方法では、各成分を混合して得た粘着剤組成物は、粘度を高くするために、剥離シート又は支持体などに塗布する前に予備重合をしてもよい。
【0035】
(ゴム系粘着剤)
次に、粘着剤層11に使用するゴム系粘着剤について説明する。ゴム系粘着剤は、ゴム成分と、粘着付与樹脂を含有するものであり、ゴム成分としては、スチレン-イソプレンブロック共重合体を使用することが好ましい。スチレン-イソプレンブロック共重合体は、ジブロック率が好ましくは25~70質量%、より好ましくは30~65質量%、さらに好ましくは45~60重量%である。ここでジブロックとは、スチレンとイソプレンとからなるジブロックのことをいう。ジブロック率を上記の範囲とすることにより、粘着力を高めやすくなる。なお、スチレン-イソプレンブロック共重合体は、ジブロック以外にも、スチレン、イソプレン、スチレンブロックからなるトリブロックなどブロックを3つ以上有するものも含有する。
【0036】
スチレン-イソプレンブロック共重合体におけるスチレン量は、特に限定されないが、14~24質量%であることが好ましく、より好ましくは15~18質量%である。スチレン量が14質量%以上であると、凝集性の高い粘着剤となりやすくなる。また、24質量%以下とすると、凝集力が適度な大きさとなり粘着力を発現しやすくなる。
スチレン-イソプレンブロック共重合体の分子量は、特に限定されないが、質量平均分子量で100,000~400,000が好ましく、150,000~250,000がより好ましい。なお、ここでいう質量平均分子量とは、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)法によりポリスチレン換算分子量として測定されるものをいう。
【0037】
ゴム系粘着剤に使用される粘着付与樹脂は、各種の粘着付与樹脂が使用可能であるが、好ましくは石油系樹脂、テルペン樹脂、クマロン樹脂を使用する。粘着付与樹脂は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよいが、石油系樹脂と、テルペン樹脂及びクマロン樹脂から選択される少なくとも1種とを併用することが好ましい。このような粘着付与樹脂の組み合わせにより粘着力を良好にしやすくなる。
石油系樹脂としては、脂肪族系石油樹脂(C5系石油樹脂)、脂環族系石油樹脂、芳香族系石油樹脂等が挙げられ、スチレン-イソプレンブロック共重合体との相溶性の観点から脂肪族系石油樹脂が好ましい。また、石油系樹脂は、軟化点が90~120℃程度のものを使用することが好ましい。
また、テルペン樹脂としては、軟化点が80~120℃程度のものが使用可能であるが、粘着力確保の観点から100℃未満のものが好ましい。また、クマロン樹脂としては、凝集力確保のために、軟化点が好ましくは110~130℃、より好ましくは115~125℃のものを使用する。
【0038】
粘着付与樹脂はゴム成分100質量部に対して60~250質量部が好ましく、100~200質量部がより好ましく、110~180質量部がさらに好ましい。粘着付与樹脂の配合量を上記範囲内とすることで、凝集力を良好にして適度な粘着力を付与できるようになる。
また、石油系樹脂と、テルペン樹脂及びクマロン樹脂から選択される少なくとも1種とを併用する場合、石油系樹脂は、ゴム成分100質量部に対して、50~200質量部が好ましく、60~150質量部が好ましく、60~110質量部がより好ましい。一方で、テルペン樹脂は、ゴム成分100質量部に対して、10~70質量部が好ましく、20~60質量部がより好ましく、30~50質量部がさらに好ましい。さらに、クマロン樹脂は、ゴム成分100質量部に対して、10~60質量部が好ましく、15~50質量部がより好ましく、20~40質量部がさらに好ましい。
ゴム系粘着剤は、アクリル系粘着剤と同様に上記した微粒子を含有してもよく、また、ゴム系粘着剤は、必要に応じて、犠牲防食用金属、導電性材料、軟化剤、酸化防止剤、充填剤等を含有してもよい。
【0039】
(ウレタン系粘着剤)
上記したウレタン系粘着剤は特に限定されず、例えば、少なくともポリオールとポリイソシアネート化合物とを反応させて得られるウレタン樹脂等が挙げられる。上記ポリオールとして、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリカプロラクトンポリオール等が挙げられる。上記ポリイソシアネート化合物として、例えば、ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等が挙げられる。これらのウレタン粘着剤は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、ウレタン系粘着剤としては、ポリウレタンポリオールと多官能イソシアネート系硬化剤とを反応させて得られるウレタン樹脂を使用してもよい。ポリウレタンポリオールは、上記したポリオールとポリイソシアネート化合物とを反応したもの、又はポリオールとポリイソシアネート化合物とジアミンなどの鎖延長剤とを反応させたものが挙げられる。多官能イソシアネート系硬化剤としては、2以上のイソシアネート基を有する化合物であればよく、上記したイソシアネート化合物を使用可能である。
ウレタン系粘着剤は、ウレタン樹脂に加えて、上記した微粒子を含有してもよく、また、ウレタン系粘着剤は、必要に応じて、粘着付与樹脂、犠牲防食用金属、導電性材料、軟化剤、酸化防止剤、充填剤等を含有してもよい。
【0040】
(シリコーン系粘着剤)
また、シリコーン系粘着剤としては、例えば、付加反応型、過酸化物硬化型又は縮合反応型のシリコーン系粘着剤等が挙げられる。中でも、低温短時間で硬化可能という観点から、付加反応型シリコーン系粘着剤が好ましく用いられる。なお、付加反応型シリコーン系粘着剤は粘着剤層の形成時に硬化するものである。シリコーン系粘着剤として、付加反応型シリコーン系粘着剤を用いる場合、上記シリコーン系粘着剤は白金触媒等の触媒を含んでいてもよい。
また、シリコーン系粘着剤は、微粒子を含有してもよく、また、架橋剤、粘着力を制御するための各種添加剤を加えたりしてもよい。
【0041】
<貯蔵弾性率G’>
粘着剤層11は、好ましくは、23℃での貯蔵弾性率G’が5万~100万Paである。粘着剤層11の23℃での貯蔵弾性率G’が5万以上であると、防食性能が良好となる。23℃での貯蔵弾性率G’が5万以上の場合、粘着剤層11が外部衝撃などにより損傷した場合に、損傷部位を元に戻す方向に樹脂が流動し、損傷部位を元に戻す力(以下、自己修復力ともいう)が強くなる。これにより、第1の構造物20の表面が露出、あるいは粘着剤層11が部分的に薄くなることによって第1の構造物20の腐食を防止する機能が低下することを抑制できる。
防食用粘着剤の23℃での貯蔵弾性率G’が100万以下であると、第1の構造物1の腐食を防止する機能が向上する。23℃での貯蔵弾性率G’が100万以下の場合、粘着剤層11を構成する樹脂の流動性が高くなり、粘着剤が損傷した場合に、損傷部位を樹脂で閉塞しやすくなり、自己修復力が強くなる。その結果、上記した場合と同様に、第1の構造物20の腐食を防止する機能が向上すると考えられる。
粘着剤層11は、23℃での貯蔵弾性率G’が5万~100万Paであり、粘着剤層11を構成する樹脂が適度な弾性及び粘性を有し、そのため、粘着剤層11が外部衝撃などにより損傷した場合の自己修復力が高く、高い防食性能を有すると考えられる。
粘着剤層11の23℃での貯蔵弾性率G’は、より好ましくは10万~80万Paであり、さらに好ましくは15万~60万Paである。23℃での貯蔵弾性率G’がこのような範囲であると、粘着剤層11の自己修復力が高まり、防食性能が向上する。
貯蔵弾性率G’は、例えばDVA-200(アイティー計測制御株式会社製)を用いて、せん断モード:10Hz、歪み量:0.1%、温度範囲:-100℃~100℃、昇温速度:10℃/minの条件下で、動的粘弾性スペクトルを測定して算出することができる。
【0042】
粘着剤層11の厚さは、例えば20μm以上、好ましくは40μm以上である。厚さが20μm以上となることで、適度な粘着性と犠牲防食性を発揮することが可能になる。粘着剤層11は、良好な自己修復機能を有するためには、厚さを大きくすることが好ましく、具体的には200μm以上の厚さを有することがより好ましく、自己修復機能を優れたものとするためには400μm以上がさらに好ましい。導電性粘着剤層11の厚さは、特に限定されず、例えば1cm以下であるとよいが、防食用粘着テープ10を薄くするためには好ましくは1500μm以下、より好ましくは900μm以下である。
なお、粘着剤層11の厚さとは、後述する基材の両面に粘着剤層を有する両面粘着テープにおいては、各粘着剤層の厚みを意味する。
【0043】
<防食用粘着テープ>
防食用粘着テープ10は、例えば両面粘着テープであるとよい。両面粘着テープを使用すると、ボルト等を使用して、第1の構造物20に第2の構造物30を本固定する前に、防食用粘着テープ10を介して第1の構造物20に第2の構造物30を仮止めすることができる。また、第2の構造物が鋼構造物である場合には、第1及び第2の構造物の両方を防食することもできる。
防食用粘着テープ10は、粘着剤層のみ(すなわち、粘着剤層単体)からなる両面粘着テープが好ましい。粘着剤層11のみからなる防食用粘着テープ10を使用することで、防食性を良好に維持しながらテープの厚みを薄くできる。
【0044】
また、
図2に示すように、防食用粘着テープ10は、基材12と、該基材12の片面に粘着剤層11が設けられた片面粘着テープであってもよい。これにより、基材12によって粘着剤層11を保護することができる。したがって、防食用粘着テープ10の耐久性がより一層向上する。また、第2の構造物30がコンクリート構造物又はモルタル構造物の場合、第1の構造物20に防食用粘着テープ10を貼り付けた後、防食用粘着テープ10の上に、例えば生コンクリート又は生モルタルを流し込む場合がある。防食用粘着テープ10に基材12を設けることにより、生コンクリート又は生モルタルから粘着剤層11を保護することができる。
【0045】
さらに、防食用粘着テープは、図示しないが、基材と、該基材の両面に粘着剤層が設けられた両面粘着テープであってもよい。防食用粘着テープが粘着剤層のみからなる場合と同様に、これにより、ボルト等を使用して、第1の構造物に第2の構造物を本固定する前に、防食用粘着テープを介して第1の構造物に第2の構造物を仮止めすることができる。
なお、基材の両面に粘着剤層が設けられた両面粘着テープにおいて、各粘着剤層は上記で説明したとおりである。ただし、少なくとも第1の構造物20に貼り合わされる側の粘着剤層が、犠牲防食性の観点から、犠牲防食用金属、又は犠牲防食用金属及び導電性材料を含有することが好ましく、また、貯蔵弾性率G’が上記で説明したとおりの範囲になることが好ましい。
【0046】
各粘着テープにて使用される基材には、例えば、樹脂フィルム、不織布、金属箔などのシート状材料が挙げられる。
樹脂フィルムには、例えば、アクリル系樹脂フィルム、フッ素系樹脂フィルム、プロピレン系樹脂フィルム、ポリエチレン系樹脂フィルム、ポリエステル系樹脂フィルム、ポリアミド系樹脂フィルム、ポリアクリル系樹脂フィルム、ポリウレタン系樹脂フィルム、ポリスチレン系樹脂フィルム、ポリ塩化ビニル系樹脂フィルム、エチレンビニルアセテート系樹脂フィルム、アクリロニトリル系樹脂フィルム、ポリカーボネート系樹脂フィルムなどが挙げられる。
不織布は、例えば、ポリアミド系、ポリエステル系、ポリアクリル系、ポリオレフィン系、ポリウレタン系等の合成樹脂繊維からなる不織布である。
金属箔には、例えば、鉄及びその合金の金属箔、クロム、亜鉛、チタン、アルミニウム、マグネシウムなどの鉄よりも電位が卑な金属の金属箔、金、銀、銅、錫、ニッケル、コバルトなどの鉄よりも電位が貴な金属の金属箔などが挙げられる。
これらのシート状材料は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。粘着剤層11の保護の観点から、基材は樹脂フィルムが好ましい。上記した樹脂フィルムを使用すると、第2の構造物30がコンクリート構造物又はモルタル構造物である場合、樹脂フィルム上に生コンクリート又は生モルタルを流し込んでも粘着剤層を適切に保護できる。
基材の厚さは特に限定されないが、例えば10~200μm、好ましくは20~100μmである。
【0047】
構造物の補修は、構造物を使用しながら、または、構造物の使用を一時中断して実施される。このため、構造物の補修は短い作業時間で終える必要がある。このような観点から、本発明の一実施形態の防食用粘着テープは、既設の構造物を補修する補修用の防食材料として使用されることが好ましい。
【0048】
<防食用粘着テープの変形例1>
本発明の一実施形態の防食用粘着テープ10の粘着剤層11は、好ましくは、鉄よりも電位が卑な金属を含有する。しかし、本発明の一実施形態の防食用粘着テープ10の粘着剤層11は、鉄よりも電位が卑な金属を含有しなくてもよい。この場合も、防食用粘着テープ10は、第1の構造物に貼り付けるだけで、腐食に影響を与える酸素、水、腐食性物質などの物質から第1の構造物を遮断することができ、乾燥時間を置かずに第1の構造物20に隣接して第2の構造物30を置くことができる。したがって、防食用粘着テープ10は、2つの構造物の間に配置されても、作業効率性に優れつつも、良好な防食性を示すことができる。
【0049】
<防食用粘着テープの変形例2>
本発明の一実施形態の防食用粘着テープ10の粘着剤層11は、好ましくは、鉄よりも電位が卑な金属を含有する。しかし、本発明の一実施形態の防食用粘着テープ10の粘着剤層11は、鉄よりも電位が卑な金属を含有しなくてもよい。この場合、防食用粘着テープ10の防食性を高めるために、
図3に示すように、防食用粘着テープ10には、金属層13と、金属層13の片面に粘着剤層11が設けられ、かつ金属層13は、鉄よりも電位が卑な金属の層であることが好ましい。鉄よりも電位が卑な金属の具体例は上記のとおりであり、亜鉛の層であることがより好ましい。金属層13は、具体的には、鉄よりも電位が卑な金属からなる金属箔が粘着剤層11の表面に接着されて形成されてもよい。また、金属層13は、スパッタリングや真空蒸着などにより、金属を粘着剤層11の表面に被膜して形成される金属膜であってもよい。
【0050】
金属層13は、粘着剤層11の上に直接形成される。すなわち、金属層13を構成する鉄よりも電位が卑な金属は、粘着剤層11に接触することになる。このように、鉄よりも電位が卑な金属は、粘着剤層11に接触すると、イオン化した際に放出する電子が、粘着剤層11に容易に移行できるので、防食用粘着テープ10の防食性が向上する。また、この場合も、防食用粘着テープ10の防食性の観点から、粘着剤層11は、鉄よりも電位が卑な金属以外の導電性材料を含有することが好ましい。
【0051】
金属層13の厚みは、好ましくは2.5μm以上である。金属層13の厚みが2.5μm以上であると、金属層13は、金属層13中の金属のイオン化による電子を十分に第1の構造物20に供給することができ、防食用粘着テープ10の十分な防食性を維持できる。防食用粘着テープ10の防食性を高める観点から、金属層13の厚みは、より好ましくは5μm以上である。また、防食用粘着テープ10の柔軟性を確保して、防食用粘着テープ10の取り扱い性などを良好にする観点から、金属層13の厚みは、好ましくは200μm以下、より好ましくは100μm以下である。
【0052】
さらに、
図4に示すように、防食用粘着テープ10は、基材12及び基材12の片面に設けられた金属層13をさらに備えるようにし、金属層13の片面に粘着剤層11が設けられ、金属層13が鉄よりも電位が卑な金属の層であるようにしてもよい。基材12により金属層13が保護されるので、防食用粘着テープ10の防食性をさらに改善することができる。また、この場合も、防食用粘着テープ10の防食性の観点から、粘着剤層11は、鉄よりも電位が卑な金属以外の導電性材料を含有することが好ましい。この際、金属層13は基材12に対して接着剤などにより接着されてもよいし、基材12上にスパッタリングや真空蒸着などにより形成されてもよい。
【0053】
また、防食用粘着テープが、鉄よりも電位が卑な金属の層である金属層を備える場合も、粘着剤層は、鉄よりも電位が卑な金属を含有してもよい。これにより、金属層の鉄よりも電位が卑な金属及び粘着剤層中の鉄よりも電位が卑な金属の両方で、第1の構造物の腐食を抑制できるので、防食用粘着テープの防食性をさらに改善することができる。
【0054】
本発明の防食用粘着テープは、粘着剤層の表面に剥離シートが貼付されていてもよい。剥離シートは、防食用粘着テープを使用する前に粘着剤層から剥離され、粘着剤層が露出され、露出した粘着剤層により、構造物に貼り合わされるとよい。例えば、両面粘着テープにおいては、テープ両面に剥離シートが貼付されていてもよいし、テープの片面のみに剥離シートが貼付されてもよい。また、片面粘着テープでは、露出する粘着剤層の片面に剥離シートが貼付されるとよい。
剥離シートとしては、樹脂フィルムを使用するとよいが、粘着剤層との貼り合わせ面がシリコーン剥離剤などにより剥離処理された剥離処理面であることが好ましい。
【0055】
本発明の一実施形態の防食用粘着テープは、本発明の防食用粘着テープの1つの実施形態にすぎないので、本発明の一実施形態の防食用粘着テープは、本発明の防食用粘着テープを限定しない。
【0056】
[鋼構造物の防食方法]
本発明の鋼構造物の防食方法は、本発明の防食用粘着テープを第1の構造物に貼る工程(第1工程)、及び第1及び第2の構造物に間に防食用粘着テープが配置されるように第1及び第2の構造物の少なくともいずれかを設置させる工程(第2工程)を含む。これにより、鋼構造物の防食の作業の効率が高くなり、作業効率性が優れたものでありながらも、2つの構造物の間に配置された防食材料の防食性を良好にすることができる。
【0057】
上記第1及び第2工程は、この順に行われることが好ましい。すなわち、本発明の防食用粘着テープを第1の構造物に貼り、次いで、第1及び第2の構造物の少なくともいずれかを移動などさせて、第1の構造物に貼った防食用粘着テープに第2の構造物が隣接するように配置させることが好ましい。具体的には、第1の構造物に貼った防食用粘着テープの上に第2の構造物を配置してもよいし、第1の構造物に貼った防食用粘着テープの横に第2の構造物を配置してもよい。さらに、第1の構造物に貼った防食用粘着テープの下に第2の構造物を配置してもよい。この際、第1の構造物に貼った防食用粘着テープに接触させて第2の構造物を配置するとよい。また、第1の構造物に貼った防食用粘着テープの上に例えば生コンクリートや生モルタルを流し込んで第2の構造物を設置させてもよい。
【0058】
また、上記第1及び第2工程は、同時並行で行ってもよい。具体的には、両面粘着テープである場合、第2の構造物に防食用粘着テープをまず貼り合わせる。次いで、第1及び第2の構造物の少なくともいずれかを移動などさせて所定の位置に設置して、第2の構造物に貼り合わされた防食用粘着テープを、第1の構造物にさらに貼り合わせ、それにより、防食用粘着テープが第1及び第2の構造物の間に配置されるようにするとよい。この際、第1及び第2の構造物の位置関係は、特に限定されず、第1の構造物の上に第2の構造物が配置されてもよいし、第1の構造物の下に第2の構造物が配置されてもよいし、第1及び第2の構造物が横に隣接するように配置させてもよい。
【0059】
なお、本発明の鋼構造物の防食方法における第1の構造物及び第2の構造物については、本発明の一実施形態の防食粘着テープの項目で既に説明したので、第1の構造物及び第2の構造物の説明は省略する。
【0060】
第1及び第2の構造物の間に防食用粘着テープを配置した後、通常は、ボルト、リベットなどの固定部材を使用して、第2の構造物は第1の構造物に、固定される。なお、防食用粘着テープが両面粘着テープである場合、第1及び第2の構造物の間に防食用粘着テープが配置されるようにすることにより、第2の構造物は第1の構造物に仮止めされることになる。そして、その後に、固定部材を使用して、第2の構造物は第1の構造物に、強固に固定されることになる。
また、本発明の鋼構造物の防食方法は、上記の通り構造物の補修時に実施されることが好ましい。
【実施例0061】
以下、実施例を用いて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0062】
<評価方法>
実施例、比較例では、防食用粘着テープを以下の評価方法により評価した。
(乾燥時間)
防食用粘着テープを鋼材に貼ってから、鋼材に貼った粘着テープの上にモルタルの板を置くまでの時間を測定した。そして、以下の評価基準により乾燥時間を評価した。
○:0時間
×:0時間超
【0063】
(防食性評価)
防食用粘着テープを鋼材に貼り、鋼材に貼った粘着テープの上にモルタルの板を置くことによりサイクル腐食試験用試料を作製した。得られたサイクル腐食試験用試料に対して、JIS K5600-7-9(塗料一般試験方法-第7部:塗膜の長期耐久性-第9節:サイクル腐食試験方法-塩水噴霧/乾燥/湿潤、サイクルD)に準拠してサイクル腐食試験を実施した。そして、168時間(28サイクル)のサイクル腐食試験を実施した後のサイクル腐食試験用試料について外観観察を行い、以下の評価基準により防食性を評価した。
○:鋼材に錆の発生なし
×:鋼材に錆の発生あり
【0064】
(貯蔵弾性率)
防食用粘着テープの粘着層の貯蔵弾性率は、動的粘弾性測定装置(アイティー計測制御株式会社社製、商品名「DVA-200」)を用いて、せん断モード:10Hz、歪み量:0.1%、温度範囲:-100℃~100℃、昇温速度:10℃/minの条件下で、動的粘弾性スペクトルを測定して算出した。なお、基材を備えた防食用粘着テープの場合、粘着層から基材を剥がしてから、粘着剤層の貯蔵弾性率を測定した。
【0065】
[実施例1]
表1に記載の配合にしたがって、粘着剤組成物1を調製した。この粘着剤組成物に窒素をパージして溶存酸素を除去した。次いで、剥離シートの剥離処理面上に厚さ600μmのスペーサーを設置し、粘着剤組成物を剥離シートの剥離処理面上に塗布した。次いで、塗布した粘着剤組成物の上に、剥離処理面が粘着剤組成物に接するように、別の剥離シートを被覆した。なお、剥離シートとしては、シリコーン離型処理されたPETフィルム(厚み50μm)を使用した。
この状態で被覆側の剥離シートにおける紫外線照射強度が5mW/cm2となるようにケミカルランプのランプ強度を調整し、一方の側から15分間紫外線を照射し、粘着剤層単体からなり、両面に剥離シートが貼付された防食用両面粘着テープを得た。粘着剤層(すなわち、両面粘着テープ)の厚さは600μmであった。結果を表2に示した。
【0066】
[実施例2]
表1に記載の配合にしたがって粘着剤組成物2を調製した以外は、実施例1と同様にして防食用両面粘着テープを得た。結果を表2に示した。
【0067】
[実施例3]
厚さ600μmのスペーサーの代わりに200μmのスペーサーを使用した以外は、実施例1と同様にして防食用両面粘着テープを得た。結果を表2に示した。
【0068】
[実施例4]
厚さ600μmのスペーサーの代わりに50μmのスペーサーを使用した以外は、実施例1と同様にして防食用両面粘着テープを得た。結果を表2に示した。
【0069】
[実施例5]
粘着剤組成物を塗布した。次いで、剥離シートの剥離処理面上に塗布した粘着剤組成物1の上に、別の剥離シートを被覆する代わりにアクリル系樹脂フィルム(商品名「アクリプレンHBS027E」、三菱ケミカル株式会社製)を被覆した。それ以外は、実施例1と同様にして防食用片面粘着テープを得た。結果を表2に示した。
【0070】
[実施例6]
表1に記載の配合にしたがって粘着剤組成物3を調製し、剥離シートの剥離処理面上に塗布した粘着剤組成物3の上に、別の剥離シートを被覆する代わりに、亜鉛箔(商品名「亜鉛箔」、竹内金属箔粉工業株式会社製)を被覆した。それ以外は、実施例1と同様にして防食用片面粘着テープを得た。結果を表2に示した。
【0071】
[比較例1及び2]
防食用両面粘着テープの代わりに防食用塗料(商品名「ゼッタールEP-2」、大日本塗料株式会社製)を塗布して塗膜を形成した。結果を表2に示した。
【0072】
【0073】
表1における各成分は、以下のとおりである。
オレフィン重合体:商品名「L-1253」、株式会社クラレ製、(メタ)アクリロイル基を片末端に有する水素化ポリブタジエン
架橋剤:商品名「TEAI-1000」、日本曹達株式会社製
粘着付与剤1:商品名「アルコンP140」、荒川化学工業株式会社製、水添石油樹脂、軟化点140℃
粘着付与剤2:商品名「アルコンP100」、荒川化学工業株式会社製、水添石油樹脂、軟化点100℃
微粒子:商品名「セルスターZ-27」、東海工業株式会社製、ガラスバルーン
鉄よりも電位が卑な金属(亜鉛粒子):堺化学工業株式会社製、商品名「亜鉛末#40」、平均粒径:50μm
導電材(CNT):カーボンナノチューブ(CNT)、JEIO社製、商品名「JENOTUBE8A」、平均直径6~9nm、平均長さ100~200μm
分散剤:積水化学工業株式会社製、商品名「エスレックBX-L」、ポリビニルブチラール樹脂
重合開始剤:2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン
【0074】
【0075】
本実施例1~6の防食用粘着テープは、作業効率性及び防食性の両方が良好であった。これに対して、比較例1の塗膜は、作業性は良好であったが、防食性が悪かった。また、比較例2の塗膜は、防食性は良好であったが、作業性が悪かった。