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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022136786
(43)【公開日】2022-09-21
(54)【発明の名称】不揮発性記憶装置
(51)【国際特許分類】
   G11C 11/16 20060101AFI20220913BHJP
   H01L 27/10 20060101ALI20220913BHJP
   H01L 21/8239 20060101ALI20220913BHJP
【FI】
G11C11/16 240
H01L27/10 481
H01L27/105 448
H01L27/105 447
【審査請求】未請求
【請求項の数】23
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021036568
(22)【出願日】2021-03-08
(71)【出願人】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100118843
【弁理士】
【氏名又は名称】赤岡 明
(72)【発明者】
【氏名】穂谷 克彦
【テーマコード(参考)】
4M119
5F083
【Fターム(参考)】
4M119AA07
4M119AA11
4M119BB01
4M119BB03
4M119CC05
4M119DD37
4M119DD42
4M119EE22
4M119EE27
4M119GG10
4M119HH02
5F083FZ10
5F083GA05
5F083GA10
5F083GA11
5F083GA15
5F083KA01
5F083KA05
5F083LA05
5F083LA10
5F083LA12
5F083LA16
(57)【要約】      (修正有)
【課題】高集積化することが可能な、3次元的構造を有するアーキテクチャを備えた不揮発性記憶装置を提供する。
【解決手段】第1階層に配置された第1配線WL~WLと、第2階層に配置された第2配線BL~BLと、第1階層と第2階層との間の第3階層に配置されメモリセル1111~1144と、第1配線の一端に電気的に接続され第1電位及び第1電位より低い第2電位を供給可能な第1駆動回路210と、第1配線の他端に電気的に接続され第1電位と極性が異なる第3電位を供給する第2駆動回路220と、第2配線の一端に電気的に接続され第2電位及び第2電位より高い第4電位を供給可能な第3駆動回路230と、第2配線の他端に電気的に接続され第1電位と極性が異なる第5電位を供給する第4駆動回路240と、第1乃至第4駆動回路に電気的に接続された制御回路300と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1階層に配置され第1方向に沿って設けられた第1配線と、
前記第1階層の上層の第2階層に配置され前記第1方向に交差する第2方向に沿って設けられた第2配線と、
前記第1階層と前記第2階層との間の第3階層に配置され前記第1配線に電気的に接続された第1端子および前記第2配線に電気的に接続された第2端子を有するメモリセルであって、前記第1端子および前記第2端子の一方から他方に書き込み電流を流した場合に抵抗が可変の抵抗変化素子を備えた前記メモリセルと、
前記第1配線の一端に電気的に接続され第1電位および前記第1電位より低い第2電位を供給可能な第1駆動回路と、
前記第1配線の他端に電気的に接続され前記第1電位と極性が異なる第3電位を供給する第2駆動回路と、
前記第2配線の一端に電気的に接続され前記第2電位および前記第2電位より高い第4電位を供給可能な第3駆動回路と、
前記第2配線の他端に電気的に接続され前記第1電位と極性が異なる第5電位を供給する第4駆動回路と、
前記第1乃至第4駆動回路に電気的に接続された制御回路と、
を備えた不揮発性記憶装置。
【請求項2】
前記第2電位は前記第1電位と前記第3電位との平均値である請求項1記載の不揮発性記憶装置。
【請求項3】
前記メモリセルは、前記第1端子と前記第2端子との間に前記抵抗変化素子に直列に接続され前記抵抗変化素子への電流の供給を制御するスイッチング素子を更に備えた請求項1または2記載の不揮発性記憶装置。
【請求項4】
前記第1駆動回路は、ドレインが前記第1配線の前記一端に電気的に接続されソースが前記第1電位を供給する第1電源に電気的に接続されゲートが前記制御回路からの制御信号を受ける第1pチャネルトランジスタと、ドレインが前記第1配線の前記一端に電気的に接続されソースが前記第2電位を供給する第2電源に電気的に接続されゲートが前記制御回路からの制御信号を受ける第1nチャネルトランジスタと、を備え、
前記第2駆動回路は、ドレインが前記第1配線の前記他端に電気的に接続されソースが前記第3電位を供給する第3電源に電気的に接続されゲートが前記制御回路からの制御信号を受ける第2nチャネルトランジスタと、を備え、
前記第3駆動回路は、ドレインが前記第2配線の前記一端に電気的に接続されソースが前記第4電位を供給する第4電源に電気的に接続されゲートが前記制御回路からの制御信号を受ける第2pチャネルトランジスタと、ドレインが前記第2配線の前記一端に電気的に接続されソースが前記第2電源に電気的に接続されゲートが前記制御回路からの制御信号を受ける第3nチャネルトランジスタと、を備え、
前記第4駆動回路は、ドレインが前記第2配線の前記他端に電気的に接続されソースが前記第5電位を供給する第5電源に電気的に接続されゲートが前記制御回路からの制御信号を受ける第4nチャネルトランジスタと、を備えた請求項1乃至3のいずれかに記載の不揮発性記憶装置。
【請求項5】
前記制御回路は、前記第1配線から前記メモリセルを介して前記第2配線に電流を流すことにより前記抵抗変化素子に情報を書き込む場合に、前記第1駆動回路を用いて前記第1配線に前記第1電位を供給させるとともに前記第4駆動回路を用いて前記第2配線に前記第5電位を供給させ、
前記第2配線から前記メモリセルを介して前記第1配線に電流を流すことにより前記抵抗変化素子に情報を書き込む場合に、前記第3駆動回路を用いて前記第2配線に前記第4電位を供給させるとともに前記第2駆動回路を用いて前記第1配線に前記第3電位を供給させる請求項1乃至4のいずれかに記載の不揮発性記憶装置。
【請求項6】
前記制御回路は、前記抵抗変化素子に情報を書き込む前に、前記第1駆動回路を用いて前記第1配線に前記第2電位を供給させるとともに、前記第3駆動回路を用いて前記第2配線に前記第2電位を供給させる請求項1乃至5のいずれかに記載の不揮発性記憶装置。
【請求項7】
前記抵抗変化素子は、磁化方向が固定された第1磁性層と、磁化方向が可変の第2磁性層と、前記第1磁性層と前記第2磁性層との間に配置された非磁性絶縁層と、を備えた請求項1乃至6のいずれかに記載の不揮発性記憶装置。
【請求項8】
第1階層に配置され第1方向に沿って設けられた複数の第1配線と、
前記第1階層の上層の第2階層に配置され前記第1方向に交差する第2方向に沿って設けられた複数の第2配線と、
前記第1階層と前記第2階層との間の第3階層に配置され前記複数の第1配線と前記複数の第2配線との交差領域に配置された複数の第1メモリセルであって、各第1メモリセルが第1端子および第2端子を有し前記第1端子は対応する第1配線に電気的に接続され前記第2端子は対応する第2配線に電気的に接続され、前記第1端子および前記第2端子の一方から他方に書き込み電流を流した場合に抵抗が可変の第1抵抗変化素子を備えた前記複数の第1メモリセルと、
前記複数の第1配線の一端に電気的に接続され第1電位および前記第1電位より低い第2電位を供給可能な第1駆動回路と、
前記複数の第1配線の他端に電気的に接続され前記第1電位と極性が異なる第3電位を供給する第2駆動回路と、
前記複数の第2配線の一端に電気的に接続され前記第2電位および前記第2電位より高い第4電位を供給可能な第3駆動回路と、
前記複数の第2配線の他端に電気的に接続され前記第1電位と極性が異なる第5電位を供給する第4駆動回路と、
前記第1乃至第4駆動回路に電気的に接続された制御回路と、
を備えた不揮発性記憶装置。
【請求項9】
前記第2電位は前記第1電位と前記第3電位との平均値である請求項8記載の不揮発性記憶装置。
【請求項10】
前記複数の第1メモリセルはそれぞれ、前記第1端子と前記第2端子との間に前記第1抵抗変化素子に直列に接続され前記第1抵抗変化素子への電流の供給を制御する第1スイッチング素子を更に備えた請求項8または9記載の不揮発性記憶装置。
【請求項11】
前記第1駆動回路は、前記複数の第1配線に対応して設けられ、ドレインが対応する第1配線の前記一端に電気的に接続されソースが前記第1電位を供給する第1電源に電気的に接続されゲートが前記制御回路からの制御信号を受ける第1pチャネルトランジスタと、ドレインが対応する第1配線の前記一端に電気的に接続されソースが前記第2電位を供給する第2電源に電気的に接続されゲートが前記制御回路からの制御信号を受ける第1nチャネルトランジスタと、を備え、
前記第2駆動回路は、前記複数の第1配線に対応して設けられ、ドレインが対応する第1配線の前記他端に電気的に接続されソースが前記第3電位を供給する第3電源に電気的に接続されゲートが前記制御回路からの制御信号を受ける第2nチャネルトランジスタと、を備え、
前記第3駆動回路は、前記複数の第2配線に対応して設けられ、ドレインが対応する第2配線の前記一端に電気的に接続されソースが前第4電位を供給する第4電源に電気的に接続されゲートが前記制御回路からの制御信号を受ける第2pチャネルトランジスタと、ドレインが対応する第2配線の前記一端に電気的に接続されソースが前記第2電源に電気的に接続されゲートが前記制御回路からの制御信号を受ける第3nチャネルトランジスタと、を備え、
前記第4駆動回路は、前記複数の第2配線に対応して設けられ、ドレインが対応する第2配線の前記他端に電気的に接続されソースが前記第5電位を供給する第5電源に電気的に接続されゲートが前記制御回路からの制御信号を受ける第4nチャネルトランジスタと、を備えた請求項8乃至10のいずれかに記載の不揮発性記憶装置。
【請求項12】
前記制御回路は、前記複数のメモリセルのうちの1つのメモリセルを選択し、この選択されたメモリセルの第1抵抗変化素子に情報を書き込む場合において、前記選択されたメモリセルに対応する第1配線から前記選択されたメモリセルを介して対応する第2配線に電流を流すことにより前記第1抵抗変化素子に情報を書き込むとき、前記第1駆動回路を用いて前記選択されたメモリセルに対応する第1配線に前記第1電位を供給させるとともに前記第4駆動回路を用いて前記選択されたメモリセルに対応する第2配線に前記第5電位を供給させ、
前記選択されたメモリセルに対応する第2配線から前記選択されたメモリセルを介して対応する第1配線に電流を流すことにより前記第1抵抗変化素子に情報を書き込むとき、前記第3駆動回路を用いて前記選択されたメモリセルに対応する第2配線に前記第4電位を供給させるとともに前記第2駆動回路を用いて前記選択されたメモリセルに対応する第1配線に前記第3電位を供給させ、
前記選択されたメモリセル以外のメモリセルに対応する第1配線に前記第1駆動回路を用いて前記第2電位を供給させるとともに前記選択されたメモリセル以外のメモリセルに対応する第2配線に前記第3駆動回路を用いて前記第2電位を供給させる請求項8乃至11のいずれかに記載の不揮発性記憶装置。
【請求項13】
前記制御回路は、前記選択されたメモリセル以外のメモリセルに対応する第1配線に前記第1駆動回路を用いて前記第2電位を供給させるとともに前記選択されたメモリセル以外のメモリセルに対応する第2配線に前記第3駆動回路を用いて前記第2電位を供給させる請求項12記載の不揮発性記憶装置。
【請求項14】
前記制御回路は、前記選択されたメモリセルの第1抵抗変化素子に情報を書き込む前に、前記第1駆動回路を用いて前記複数の第1配線に前記第2電位を供給させるとともに、前記第3駆動回路を用いて前記複数の第2配線に前記第2電位を供給させる請求項12または13記載の不揮発性記憶装置。
【請求項15】
前記第1抵抗変化素子は、磁化方向が固定された第1磁性層と、磁化方向が可変の第2磁性層と、前記第1磁性層と前記第2磁性層との間に配置された第1非磁性絶縁層と、を備えた請求項8乃至14のいずれかに記載の不揮発性記憶装置。
【請求項16】
前記第2階層の上方の第4階層に配置され前記第1方向に沿って設けられた複数の第3配線と、
前記第2階層と前記第4階層との間の第5階層に配置され前記複数の第2配線と前記複数の第3配線との交差領域に配置された複数の第2メモリセルであって、各第2メモリセルが第3端子および第4端子を有し前記第3端子は対応する第3配線に電気的に接続され前記第4端子は対応する第2配線に電気的に接続され、前記第3端子および前記第4端子の一方から他方に書き込み電流を流した場合に抵抗が可変の第2抵抗変化素子を備えた前記複数の第2メモリセルと、
前記複数の第3配線の一端に電気的に接続され前記第1電位および前記第2電位を供給可能な第5駆動回路と、
前記複数の第3配線の他端に電気的に接続され前記第3電位を供給可能な第6駆動回路と、
を更に備え、前記制御回路は、前記第5駆動回路および前記第6駆動回路に電気的に接続された請求項8乃至15のいずれかに記載の不揮発性記憶装置。
【請求項17】
前記第2メモリセルは、前記第3端子と前記第4端子との間に前記第2抵抗変化素子に直列に接続され前記第2抵抗変化素子への電流の供給を制御する第2スイッチング素子を更に備えた請求項16記載の不揮発性記憶装置。
【請求項18】
前記第2抵抗変化素子は、磁化方向が固定された第3磁性層と、磁化方向が可変の第4磁性層と、前記第3磁性層と前記第4磁性層との間に配置された第2非磁性絶縁層と、を備えた請求項16または17に記載の不揮発性記憶装置。
【請求項19】
前記制御回路は、前記複数の第2メモリセルのうちの1つのメモリセルを選択し、この選択されたメモリセルの第2抵抗変化素子に情報を書き込む場合において、前記選択されたメモリセルに対応する第3配線から前記選択されたメモリセルを介して対応する第2配線に電流を流すことにより前記第2抵抗変化素子に情報を書き込むとき、前記第5駆動回路を用いて前記選択されたメモリセルに対応する第3配線に前記第1電位を供給させるとともに前記第4駆動回路を用いて前記選択されたメモリセルに対応する第2配線に前記第5電位を供給させ、
前記選択されたメモリセルに対応する第2配線から前記選択されたメモリセルを介して対応する第3配線に電流を流すことにより前記第2抵抗変化素子に情報を書き込むとき、前記第3駆動回路を用いて前記選択されたメモリセルに対応する第2配線に前記第4電位を供給させるとともに前記第6駆動回路を用いて前記選択されたメモリセルに対応する第3配線に前記第3電位を供給させる請求項16または17記載の不揮発性記憶装置。
【請求項20】
前記制御回路は、前記選択されたメモリセル以外のメモリセルに対応する第3配線に前記第5駆動回路を用いて前記第2電位を供給させるとともに前記選択されたメモリセル以外のメモリセルに対応する第2配線に前記第3駆動回路を用いて前記第2電位を供給させる請求項19記載の不揮発性記憶装置。
【請求項21】
前記制御回路は、前記選択されたメモリセルに情報を書き込む前に、前記選択されたメモリセルに電気的に接続された第5駆動回路を用いて前記複数の第3配線に前記第2電位を供給させるとともに、前記第3駆動回路を用いて前記複数の第2配線に前記第2電位を供給させる請求項19または20記載の不揮発性記憶装置。
【請求項22】
前記複数の第1配線の前記他端に電気的に接続され前記第2電位を供給する第7駆動回路と、
前記複数の第3配線の前記他端に電気的に接続され前記第2電位を供給する第8駆動回路と、
を更に備え、前記第7駆動回路および前記第8駆動回路は前記制御回路に電気的に接続された請求項19乃至21のいずれかに記載の不揮発性記憶装置。
【請求項23】
前記制御回路は、前記第1メモリセルおよび前記第2メモリセルの一方のメモリセルに含まれる抵抗変化素子に情報を書き込む場合は、前記第1駆動回路および前記第5駆動回路に同時に同じ制御信号を送り、かつ他方のメモリセルに電気的に接続された第1配線および第3配線の一方に前記第2電位を供給する請求項22記載の不揮発性記憶装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、不揮発性記憶装置に関する。
【背景技術】
【0002】
不揮発性記憶装置として、例えばMTJ(Magnetic Tunnel Junction)素子を含むメモリセルを備えたMRAM(Magnetic Random Access Memory)が知られ、この不揮発性記憶装置において、3次元的構造を有するアーキテクチャの検討が進められている。一般に、このアーキテクチャを有する不揮発性記憶装置においては、メモリセルが配列されたメモリセルアレイの下方に、上記メモリセルを駆動する回路(以下、CUA(Circuit Under Array)とも云う)が設けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3836823号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本実施形態は、高集積化することが可能な、3次元的構造を有するアーキテクチャを備えた不揮発性記憶装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本実施形態による不揮発性記憶装置は、第1階層に配置され第1方向に沿って設けられた第1配線と、前記第1階層の上層の第2階層に配置され前記第1方向に交差する第2方向に沿って設けられた第2配線と、前記第1階層と前記第2階層との間の第3階層に配置され前記第1配線に電気的に接続された第1端子および前記第2配線に電気的に接続された第2端子を有するメモリセルであって、前記第1端子および前記第2端子の一方から他方に書き込み電流を流した場合に抵抗が可変の抵抗変化素子を備えた前記メモリセルと、前記第1配線の一端に電気的に接続され第1電位および前記第1電位より低い第2電位を供給可能な第1駆動回路と、前記第1配線の他端に電気的に接続され前記第1電位と極性が異なる第3電位を供給する第2駆動回路と、前記第2配線の一端に電気的に接続され前記第2電位および前記第2電位より高い第4電位を供給可能な第3駆動回路と、前記第2配線の他端に電気的に接続され前記第1電位と極性が異なる第5電位を供給する第4駆動回路と、前記第1乃至第4駆動回路に電気的に接続された制御回路と、を備えている。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】第1実施形態による不揮発性記憶装置を示す回路図。
図2A】第1実施形態による不揮発性記憶装置を示す断面図。
図2B】第1実施形態による不揮発性記憶装置を示す断面図。
図2C】第1実施形態のメモリアレイを示す鳥瞰図。
図3A】第1実施形態による不揮発性記憶装置のメモリセルの構成を示す図。
図3B】第1実施形態による不揮発性記憶装置のメモリ素子を示す断面図。
図4図4A、4Bは、第1実施形態による不揮発性記憶装置の書き込み動作の第1例を説明する図。
図5図5A、5Bは、第1実施形態による不揮発性記憶装置の書き込み動作の第2例を説明する図。
図6】比較例の不揮発性記憶装置を示す回路図。
図7】第2実施形態による不揮発性記憶装置を示す断面図。
図8】第2実施形態による不揮発性記憶装置を示す断面図。
図9】第3実施形態による不揮発性記憶装置を示す断面図。
図10】第3実施形態による不揮発性記憶装置を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明の一実施形態による不揮発性記憶装置は、第1階層に配置され第1方向に沿って設けられた第1配線と、前記第1階層の上層の第2階層に配置され前記第1方向に交差する第2方向に沿って設けられた第2配線と、前記第1階層と前記第2階層との間の第3階層に配置され前記第1配線に電気的に接続された第1端子および前記第2配線に電気的に接続された第2端子を有するメモリセルであって、前記第1端子および前記第2端子の一方から他方に書き込み電流を流した場合に抵抗が可変の抵抗変化素子を備えた前記メモリセルと、前記第1配線の一端に電気的に接続され第1電位および前記第1電位より低い第2電位を供給可能な第1駆動回路と、前記第1配線の他端に電気的に接続され前記第1電位と極性が異なる第3電位を供給する第2駆動回路と、前記第2配線の一端に電気的に接続され前記第2電位および前記第2電位より高い第4電位を供給可能な第3駆動回路と、前記第2配線の他端に電気的に接続され前記第1電位と極性が異なる第5電位を供給する第4駆動回路と、前記第1乃至第4駆動回路に電気的に接続された制御回路と、を備えている。
【0008】
以下に本発明の実施形態による不揮発性記憶装置について図面を参照して説明する。
【0009】
(第1実施形態)
第1実施形態による不揮発性記憶装置(以下、単に記憶装置とも云う)を図1に示す。この記憶装置は、メモリセルアレイ100と、駆動回路210,220,230,240と、制御回路300と、を備えている。メモリセルアレイ100は、ワード線WL,WL、WL,WLと、これらのワード線とそれぞれ交差するビット線BL,BL、BL,BLと、ワード線WL(i=1,・・・,4)とビット線BL(j=1,・・・,4)との交差領域に設けられたメモリセル11ijと、を備えている。メモリセル11ij(i,j=1,・・・,4)は第1端子および第2端子を有し、第1端子は対応するワード線WLに電気的に接続され、第2端子は対応するビット線BLに電気的に接続される。なお、本実施形態では、メモリセルアレイ100は、4本のワード線WL~WLと、4本のビット線BL~BLと、4×4個のメモリセル1111~1144と、を備えているが、m、nを自然数とするとき、m本のワード線WL~WLと、n本のビット線BL~BLと、それらの交差領域に設けられたmn個のメモリセル1111~11mnと、を備えていてもよい。
【0010】
ワード線WL(i=1,・・・,4)は第1階層に配置され第1方向(x方向)に沿って設けられ、ビット線BL(j=1,・・・,4)は第1階層の上方の第3階層に配置され、第1方向に交差する第2方向(y方向)に沿って設けられ、メモリセル11ij(i、j=1,・・・,4)は第1階層と第3階層との間の第2階層に配置され、第1方向(x方向)および第2方向(y方向)にそれぞれ交差する第3方向(z方向)に沿って設けられる。駆動回路210,220,230,240および制御回路300は、ワード線WL~WLが配置される第1階層より下方の階層に配置される。なお、駆動回路210,220,230,240は、制御回路300によって制御される。
【0011】
第1実施形態の記憶装置を図1に示すワード線WLに沿ったx―z平面で切断した断面を図2Aに示し、ビット線BLに沿ったy―z平面で切断した断面を図2Bに示し、第1実施形態の記憶装置のメモリアレイ100の鳥瞰図を図2Cに示す。図2A乃至図2Cから分かるように、第1実施形態の記憶装置は、3次元的構造を有するアーキテクチャを備えている。
【0012】
ワード線WL(i=1,・・・,4)は、一端が駆動回路210に電気的に接続され、他端が駆動回路220に電気的に接続される。ビット線BL(j=1,・・・,4)は、一端が駆動回路230に電気的に接続され、他端が駆動回路240に電気的に接続される。ここで、「AがBに電気的に接続される」とは、AがBに直接接続されていてもよいし、AがBに電気導体を介して間接的に接続されていてもよいことを意味する。
【0013】
駆動回路210は、各ワード線WL(i=1,・・・,4)に対応して設けられ直列に接続されたpチャネルトランジスタ212およびnチャネルトランジスタ214を備えている。pチャネルトランジスタ212はソースが電位VDD(例えば、正の電位とする)を供給する電源に電気的に接続される。nチャネルトランジスタ214はソースが電位VSS(例えば0V)を供給する電源(VSSとも表示)に電気的に接続される。pチャネルトランジスタ212のドレインおよびnチャネルトランジスタ214のドレインは、対応するワード線WL(i=1,・・・,4)の一端に電気的に接続される。pチャネルトランジスタ212のゲートおよびnチャネルトランジスタ214のゲートは、制御回路300からの制御信号を受ける。
【0014】
駆動回路220は、各ワード線WL(i=1,・・・,4)に対応して設けられたnチャネルトランジスタ222を備えている。nチャネルトランジスタ222は、ソースが電位VNN(=-VDD)を供給する電源(VNNとも表示)に電気的に接続され、ドレインが対応するワード線WL(i=1,・・・,4)の他端に電気的に接続され、ゲートが制御回路300からの制御信号を受ける。
【0015】
駆動回路230は、各ビット線BL(j=1,・・・,4)に対応して設けられ直列に接続されたpチャネルトランジスタ232およびnチャネルトランジスタ234を備えている。pチャネルトランジスタ232はソースが電源VDDに電気的に接続される。nチャネルトランジスタ234はソースが電源VSS(0V)に電気的に接続される。pチャネルトランジスタ232のドレインおよびnチャネルトランジスタ234のドレインは、対応するビット線BL(j=1,・・・,4)の一端に電気的に接続される。pチャネルトランジスタ232のゲートおよびnチャネルトランジスタ234のゲートは、制御回路300からの信号を受ける。
【0016】
駆動回路240は、各ビット線BL(j=1,・・・,4)に対応して設けられたnチャネルトランジスタ242を備えている。nチャネルトランジスタ242は、ソースが電源VNN(=-VDD)に電気的に接続され、ドレインが対応するビット線BL(i=1,・・・,4)の他端に電気的に接続され、ゲートが制御回路300からの制御信号を受ける。
【0017】
メモリセル11ij(i、j=1,・・・,4)は、図3Aに示すように、直列に接続されたメモリ素子12と、スイッチング素子14と、を備えている。メモリ素子12は、第1抵抗値と、この第1抵抗値より高い第2抵抗値を有し、メモリセルの第1端子および第2端子の一方から他方に書き込み電流を流した場合に抵抗値が第1抵抗値および第2抵抗値の一方から他方に変化可能な抵抗変化素子である。例えば、第1端子から第2端子に書き込み電流を流した場合に第1抵抗値から第2抵抗値に変化可能である場合には、第2端子から第1端子に書き込み電流を流した場合に第2抵抗値から第1抵抗値に変化可能である。
【0018】
この抵抗変化素子は、例えばMTJ(Magnetic Tunnel Junction)素子であって、図3Bに示すように、磁化方向が固定された磁性層(以下参照層とも云う)12aと、磁化方向が可変の磁性層(以下、記憶層とも云う)12cと、参照層12aと記憶層12cとの間に設けられた非磁性絶縁層(以下、トンネルバリア層とも云う)12bと、備えている。ここで、「磁化方向が固定された」とはメモリ素子に書き込み電流を流す前(書き込み前)と流した後(書き込み後)とで磁化方向が変化しないことを意味し、「磁化方向が可変である」とはメモリ素子に書き込み電流を流す前と流した後で磁化方向が変化可能であることを意味する。参照層12aと記憶層12cの磁化方向が互いに平行(同じ向き)である場合は、MTJ素子の抵抗値は低く、互いに反平行(反対向き)である場合にはその抵抗値は高い。
【0019】
また、図3Bにおいては、磁化方向は参照層および記憶層の積層方向に直交する、すなわち膜面(表面)に平行であると表示しているが、積層方向に平行、すなわち膜面に直交する方向であってもよい。積層方向に平行な場合は、記憶層12cおよび参照層12aはそれぞれ垂直磁気異方性を有する。また、積層方向に直交する場合は、記憶層12cおよび参照層12aはそれぞれ面内磁気異方性を有する。
【0020】
(平行->反平行)
記憶層12cの磁化方向が参照層12aの磁化方向に平行(Parallel)である場合に、反平行(Anti-Parallel)にする場合の書き込み方法について説明する。この場合は、書き込み電流を参照層12aからトンネルバリア層12bを介して記憶層12cに向かって流す。すると、電子は、書き込み電流の向きと反対に流れ、記憶層12cから参照層12aに向かって流れる。記憶層12c中を流れることによってスピン偏極された電子は、トンネルバリア層12bを通過し、トンネルバリア層12bと参照層12aとの界面に達する。このスピン偏極された電子は、大部分が記憶層12cの磁化方向と同じ向きの磁化を有し、小数部分が記憶層12cの磁化方向と反対の向きを有する。参照層12aの磁化方向と同じ向きの磁化を有する電子は、上記界面を通過し参照層12aに流れる。これに対して、参照層12aの磁化方向と反対の向きの磁化を有する電子は、上記界面で反射され、トンネルバリア層12bを介して記憶層12cに流れ込み、記憶層12c内の磁化にスピントルクを及ぼし、記憶層12c内の磁化の方向を反転させ、参照層12aの磁化方向と反対の向きにする。すなわち、記憶層12cの磁化方向が、参照層12aの磁化方向に反平行になる。
【0021】
(反平行->平行)
記憶層12cの磁化方向が参照層12aの磁化方向に反平行(Anti-Parallel)である場合に、平行(Parallel)にする場合の書き込み方法について説明する。この場合は、書き込み電流を記憶層12cからトンネルバリア層12bを介して参照層12aに向かって流す。すると、電子は、書き込み電流の向きと反対に流れ、参照層12aから記憶層12cに向かって流れる。参照層12a中を流れることによってスピン偏極された電子は、トンネルバリア層12bを通過し、トンネルバリア層12bと記憶層12cとの界面に達する。スピン偏極された電子は、大部分が参照層12aの磁化方向と同じ向きのスピンを有し、小数部分が参照層12aの磁化方向と反対の向きを有する。記憶層12cの磁化方向と反対の向きのスピンを有する電子は、上記界面を通過し記憶層12cに流れ込み、記憶層12c内の磁化にスピントルクを及ぼし、記憶層12c内の磁化の方向を反転させ、参照層12aの磁化方向と同じ向きにする。これに対して、記憶層12cの磁化方向と同じ向きのスピンを有する電子は、記憶層12cに流れる。すなわち、記憶層12cの磁化方向が、参照層11aの磁化方向に平行になる。
【0022】
また、各メモリセル11ij(i、j=1,・・・,4)において、メモリ素子12に直列に接続されたスイッチング素子14は、対応するメモリ素子12への情報(磁化方向)の書き込みおよび読み出し時において、メモリ素子12への電流の供給を制御するスイッチとしての機能を有する。より具体的には、例えば或るメモリセルメモリセル11ij(i、j=1,・・・,4)内のスイッチング素子14は、このメモリセルに印加される電圧が閾値Vth(例えばVDD以上)以下となる場合、抵抗値の大きい絶縁体として遮断し、オフ状態となる。上記メモリセルに印加される電圧が上記閾値Vthより大となる場合、抵抗値の小さい導電体として電流を流し、オン状態となる。すなわち、スイッチング素子14は流れる電流の方向に依らず、メモリセルメモリセル11ij(i、j=1,・・・,4)に印加される電圧の大きさに応じて、電流を流すかまたは遮断するかを切り替え可能な機能を有する。
【0023】
(書き込み方法の第1例)
次に、第1実施形態の記憶装置における書き込み方法の第1例について図4Aおよび図4Bを参照して説明する。本実施形態においては、各メモリセル11ij(i、j=1,・・・,4)においては、参照層12aが対応するワード線WLに電気的に接続され、記憶層12cが対応するビット線BLに電気的接続されている。すなわち、各メモリセル11ij(i、j=1,2,3,4)において、メモリ素子12の参照層12aがワード線WLに直接接続されている場合には、記憶層12cがスイッチング素子14を介してビット線BLに電気的に接続され、メモリ素子12の参照層12aがワード線WLにスイッチング素子14を介して接続されている場合には、記憶層12cがビット線BLに直接接続される。
【0024】
図4Aは、メモリセル1122のメモリ素子12の記憶層12cの磁化方向を、参照層12aの磁化方向に平行から反平行になる書き込みを行う場合を説明する図である。なお、図4Aにおいては、図1に示す駆動回路210、220.230,240は、ワード線WLおよびビット線BLに接続されたトランジスタ212、222,232,242以外は省略している。
【0025】
まず、駆動回路210,220,230,240を用いて、全てのワード線WL~WLおよび全てのビット線BL~BLに電位VSSを与える。これは、駆動回路210のトランジスタ212、駆動回路220のトランジスタ222、駆動回路230のトランジスタ232、駆動回路240のトランジスタ242をオフ状態にし、駆動回路210のトランジスタ214、駆動回路230のトランジスタ234をオン状態にすることにより得ることができる。
【0026】
次に、メモリセル1122のメモリ素子12に情報を書き込むために、ワード線WLに接続されたトランジスタ212をオン状態にするとともにトランジスタ222をオフ状態にし、さらにビット線BLに接続されたトランジスタ232をオフ状態にするとともにトランジスタ242をオン状態にする(図4A参照)。これにより、ワード線WLには電位VDDが印加され、ビット線BLには電位VNNが印加され、メモリセル1122のメモリ素子12には書き込み電圧(=VDD-VNN)が印加されて、書き込み電流がワード線WLからメモリセル1122およびビット線BLに流れる。メモリセル1122の参照層12aがワード線WLに電気的に接続され、記憶層12cがビット線BLに電気的に接続されているので、書き込み電流は参照層12aから記憶層12cに流れ、上述したように、記憶層12cの磁化方向が反転し、参照層12aの磁化方向に逆(反平行)になる。
【0027】
このとき、選択され電圧VDDが印加されたワード線WLに接続されかつ書き込みを行わない半選択のメモリセル1121、1123、1124は対応するビット線BL、BL、BLに電圧VSSが印加されているため、半選択のメモリセル1121、1123、1124には、スイッチング素子14の閾値Vth以下となる電圧VDD-VSS(=VDD)が印加され、書き込みが行われない。すなわち誤書き込みを防止することができる。また、選択され電圧VNNが印加されたビット線BLに接続されかつ書き込みが行われない半選択のメモリセル1112、1132、1142は対応するワード線WL、WL、WLに電圧VSSが印加されているため、半選択のメモリセル1112、1132、1142には、スイッチング素子14の閾値Vth以下となる電圧VDD-VSS(=VDD)が印加され、書き込みが行われない。
【0028】
図4Bは、メモリセル1122の記憶層12cの磁化方向を、参照層12aの磁化方向に反平行から平行になる書き込みを行う場合を説明する図である。なお、図4Bにおいては、図1に示す駆動回路210、220.230,240は、ワード線WLおよびビット線BLに接続されたトランジスタ212、222,232,242以外は省略している。
【0029】
まず、駆動回路210,220,230,240を用いて、全てのワード線WL~WLおよび全てのビット線BL~BLに電位VSSを与える。これは、駆動回路210のトランジスタ212、駆動回路220のトランジスタ222、駆動回路230のトランジスタ232、駆動回路240のトランジスタ242をオフ状態にし、駆動回路210のトランジスタ214、駆動回路230のトランジスタ234をオン状態にすることにより得ることができる。
【0030】
次に、メモリセル1122のメモリ素子12に情報を書き込むために、ワード線WLに接続されたトランジスタ212をオフ状態にするとともにトランジスタ222をオン状態にし、さらにビット線BLに接続されたトランジスタ232をオン状態にするとともにトランジスタ242をオフ状態にする(図4B参照)。これにより、ワード線WLには電位VNNが印加され、ビット線BLには電位VDDが印加され、メモリセル1122には書き込み電圧(=VDD-VNN)が印加されて、書き込み電流がビット線BLからメモリセル1122およびワード線WLに流れる。メモリセル1122の参照層12aがワード線WLに電気的に接続され、記憶層12cがビット線BLに電気的に接続されているので、書き込み電流は記憶層12cから参照層12aに流れ、上述したように、記憶層12cの磁化方向が反転し、参照層12aの磁化方向と同じ(平行)になる。
【0031】
このとき、選択され電圧VDDが印加されたビット線BLに接続されかつ書き込みを行わない半選択のメモリセル1112、1132、1142は対応するワード線WL、WL、WLに電圧VSSが印加されているため、半選択のメモリセル1121、1123、1124には、スイッチング素子14の閾値Vth以下となる電圧VDD-VSSが印加され、書き込みが行われない。すなわち誤書き込みを防止することができる。また、選択され電圧VNNが印加されたワード線WLに接続されかつ書き込みが行われない半選択のメモリセル1121、1123、1124は対応するビット線BL、BL、BLに電圧VSSが印加されているため、半選択のメモリセル1121、1123、1124には、スイッチング素子14の閾値Vth以下となる電圧VDD-VSS(例えば、VDD)が印加され、書き込みが行われない。すなわち誤書き込みを防止することができる。
【0032】
(書き込み方法の第2例)
次に、第1実施形態の記憶装置における書き込み方法の第2例について図5A、5Bを参照して説明する。一般に、メモリ素子がMTJ素子の場合、平行から反平行に情報を書き込む場合は、反平行から平行に情報を書き込む場合に比べて高い電圧が必要になる。そこで、図5A、5Bに示すように、反平行から平行に情報を書き込むのに使用される駆動回路230において、トランジスタ232のソースに接続する電位をVDDからVDD”(=VDD-α、α<VDD)にするとともに駆動回路220におけるトランジスタ222のソースに接続する電位を-VDDから-VDD“に変更する。
【0033】
平行から反平行に情報を書き込む動作は、図5Aからわかるように、図4Aに示す第1例の書き込み動作と同様に行う。
【0034】
反平行から平行に情報を書き込む場合は、図5Bに示すように行う。図5Bは、メモリセル1122の記憶層12cの磁化方向を、参照層12aの磁化方向に反平行から平行になる書き込みを行う場合を説明する図である。なお、図5Bにおいては、図1に示す駆動回路210、220.230,240は、ワード線WLおよびビット線BLに接続されたトランジスタ212、222,232,242以外は省略している。
【0035】
まず、駆動回路210,220,230,240を用いて、全てのワード線WL~WLおよび全てのビット線BL~BLに電位VSSを与える。これは、駆動回路210のトランジスタ212、駆動回路220のトランジスタ222、駆動回路230のトランジスタ232、駆動回路240のトランジスタ242をオフ状態にし、駆動回路210のトランジスタ214、駆動回路230のトランジスタ234をオン状態にすることにより得ることができる。
【0036】
次に、メモリセル1122のメモリ素子12に情報を書き込むために、ワード線WLに接続されたトランジスタ212をオフ状態にするとともにトランジスタ222をオン状態にし、さらにビット線BLに接続されたトランジスタ232をオン状態にするとともにトランジスタ242をオフ状態にする(図5B参照)。これにより、ワード線WLには-VDD”が印加され、ビット線BLには-VDD”が印加され、メモリセル1122には書き込み電圧(=VDD”-(-VDD”)=VDD”+VDD”)が印加されて、書き込み電流がビット線BLからメモリセル1122およびワード線WLに流れる。メモリセル1122の参照層12aがワード線WLに電気的に接続され、記憶層12cがビット線BLに電気的に接続されているので、書き込み電流は記憶層12cから参照層12aに流れ、上述したように、記憶層12cの磁化方向が反転し、参照層12aの磁化方向と同じ(平行)になる。
【0037】
このとき、選択されVDD”が印加されたビット線BLに接続されかつ書き込みを行わない半選択のメモリセル1112、1132、1142は対応するワード線WL、WL、WLに電圧VSSが印加されているため、半選択のメモリセル1121、1123、1124には、スイッチング素子14の閾値Vth以下となるVDD”-VSSが印加され、書き込みが行われない。すなわち誤書き込みを防止することができる。また、選択され-|VDD“が印加されたワード線WLに接続されかつ書き込みが行われない半選択のメモリセル1121、1123、1124は対応するビット線BL、BL、BLに電圧VSSが印加されているため、半選択のメモリセル1121、1123、1124には、スイッチング素子14の閾値Vth以下となる―VDD”-VSS(例えば、―VDD”)が印加され、書き込みが行われない。すなわち誤書き込みを防止することができる。
【0038】
(読み出し方法)
次に、記憶装置の読み出し方法について、メモリセル1122のメモリ素子12から情報を読み出す場合を例にとって説明する。この場合は、図1に示す制御回路300によってワード線WLとビット線BLを選択し、これらの選択した配線の一方(例えば、ワード線WL)から他方(例えばビット線BL)に読み出し電流を流し、例えば選択した配線間の電圧を測定することにより行う。この読み出し電流は、上述の書き込み電流より絶対値が小さく、誤書込みが生じない大きさである。
【0039】
以上説明したように、第1実施形態においては、書き込み動作を行う前にワード線およびビット線を電位VSSにプリチャージしているので、安定した書き込み動作を行うことができる。
【0040】
(比較例)
次に、第1実施形態の比較例による記憶装置について図6参照して説明する。この記憶装置は、図1に示す記憶装置のメモリセルアレイ100と同じ構造のメモリセルアレイ100を有している。更に、各ワード線WL(i=1,2,3,4)の一端には、pチャネルトランジスタおよびnチャネルトランジスタからなるトランスファーゲート216の一端と、nチャネルトランジスタ218のソースおよびドレインの一方が電気的に接続されている。トランスファーゲート216の他端は、電位VHH(例えば、5V)を供給する電源(以下、VHHとも云う)または電位VSSを供給する電源VSSに電気的に接続される。トランスファーゲート216のPチャネルトランジスタのゲートとnチャネルトランジスタ218のゲートが電気的に接続されている。nチャネルトランジスタ218のソースおよびドレインの他方は、電位VHH/2を供給する電源に接続されている。
【0041】
また、各ビット線BL(j=1,2,3,4)の一端には、pチャネルトランジスタおよびnチャネルトランジスタからなるトランスファーゲート236の一端と、nチャネルトランジスタ238のソースおよびドレインの一方が電気的に接続されている。トランスファーゲート236の他端は、電位VHH(例えば、5V)を供給する電源(以下、VHHとも云う)または電位VSSを供給する電源VSSに電気的に接続される。トランスファーゲート236のPチャネルトランジスタのゲートとnチャネルトランジスタ238のゲートが電気的に接続されている。nチャネルトランジスタ238のソースおよびドレインの他方は、電位VHH/2を供給する電源に接続されている。
【0042】
次に、この比較例の記憶装置への情報の書き込み方法について説明する。まず、情報を書き込む前に、ワード線WL~WLおよびビット線BL~BLに電位VSSを印加する。これは、以下のようにして行う。ワード線WL~WLにそれぞれ電気的に接続されたトランスファーゲート216の他端を電源VSSに電気的に接続するとともに、トランスファーゲート216をオン状態にする。このとき、nチャネルトランジスタ218はオフ状態になっている。すると、全てのワード線WL~WLには、電位VSSが印加される。また、ビット線BL~BLにそれぞれ電気的に接続されたトランスファーゲート236の他端を電源VSSに電気的に接続するとともに、トランスファーゲート236をオン状態にする。このとき、nチャネルトランジスタ238はオフ状態になっている。すると、全てのビット線BL~BLには、電位VSSが印加される。
【0043】
次に、メモリセル1122の記憶層の磁化方向を、参照層の磁化方向に対して平行から反平行にする書き込みを行う。この場合は、図4で説明した場合と同様に、ワード線WL、メモリセル1122、およびビット線BLに書き込み電流を流す。これは、以下のように行う。まず、トランスファーゲート216の他端を電源VHHに電気的に接続するとともにトランスファーゲート216をオン状態にする。このとき、ワード線WLにソースおよびドレインの一方が電気的に接続されたnチャネルトランジスタ218はオフ状態になっている。すると、ワード線WLには、電位VHHが印加される。また、非選択のワード線WL、WL、WLにそれぞれ電気的に接続されたトランスファーゲート216はオフ状態にしかつnチャネルトランジスタ218をオン状態にする。すると、非選択のワード線WL、WL、WLにnチャネルトランジスタ218を介して電位VHH/2が印加される。
【0044】
これに対して、トランスファーゲート236の他端を電源VSSに電気的に接続するとともにトランスファーゲート236をオン状態にする。このとき、ビット線BLにソースおよびドレインの一方が電気的に接続されたnチャネルトランジスタ238はオフ状態になっている。すると、ビット線BLには、電位VSSが印加される。また、非選択のビット線BL、BL、BLにそれぞれ電気的に接続されたトランスファーゲート236はオフ状態にしかつnチャネルトランジスタ238をオン状態にする。すると、非選択のビット線BL、BL、BLにnチャネルトランジスタ238を介して電位VHH/2が印加される。
【0045】
以上により、ワード線WL、メモリセル1122、およびビット線BLに書き込み電流が流れ、図4で説明した場合と同様に、選択されたメモリセル1122の記憶層の磁化方向が参照層の磁化方向に対して平行から反平行になる書き込みが行われる。一方、半選択のメモリセル1121、1123、1124には、VHH/2(=VHH―VHH/2)が印加され、半選択のメモリセル1112、1132、1142にはVHH/2の電位が印加され、それぞれ書き込みが行われない。
【0046】
次に、メモリセル1122の記憶層の磁化方向を、参照層の磁化方向に対して平行から反平行にする書き込みを行う。この書き込みを行う前に、前述した場合と同様に、ワード線WL~WLおよびビット線BL~BLに電位VSSを印加する。続いて、図5で説明した場合と同様に、ビット線BL、メモリセル1122、およびワード線WLに書き込み電流を流す。これは、以下のように行う。まず、トランスファーゲート236の他端を電源VHHに電気的に接続するとともにトランスファーゲート236をオン状態にする。このとき、ビット線BLにソースおよびドレインの一方が電気的に接続されたnチャネルトランジスタ238はオフ状態になっている。すると、ビット線BLには、電位VHHが印加される。また、非選択のビット線BL、BL、BLにそれぞれ電気的に接続されたトランスファーゲート236はオフ状態にしかつnチャネルトランジスタ238をオン状態にする。すると、非選択のビット線BL、BL、BLにnチャネルトランジスタ238を介して電位VHH/2が印加される。
【0047】
これに対して、トランスファーゲート216の他端を電源VSSに電気的に接続するとともにトランスファーゲート216をオン状態にする。このとき、ワード線WLにソースおよびドレインの一方が電気的に接続されたnチャネルトランジスタ218はオフ状態になっている。すると、ワード線WLには、電位VSSが印加される。また、非選択のワード線WL、WL、WLにそれぞれ電気的に接続されたトランスファーゲート216はオフ状態にしかつnチャネルトランジスタ218をオン状態にする。すると、非選択のワード線WL、WL、WLにnチャネルトランジスタ218を介して電位VHH/2が印加される。
【0048】
以上により、ビット線BL、メモリセル1122、およびワード線WLに書き込み電流が流れ、図5で説明した場合と同様に、選択されたメモリセル1122の記憶層の磁化方向が参照層の磁化方向に対して反平行から平行になる書き込みが行われる。一方、半選択のメモリセル1121、1123、1124には、VHH/2(=VHH―VHH/2)が印加され、半選択のメモリセル1112、1132、1142にはVHH/2の電位が印加され、それぞれ書き込みが行われない。
【0049】
以上説明したように、この比較例においては、ワード線およびビット線を駆動するトランスファ-ゲート216、236を構成するトランジスタおよびトランジスタ218、238は、電圧5Vで駆動される。
【0050】
これに対して、第1実施形態においては、ワード線およびビット線を駆動するトランジスタ212、214、222,224、232、234、242、244は、VDDで駆動される。このため、第1実施形態においては、比較例に比べて駆動回路のトランジスタのサイズ(例えばチャネル長)を短くすることができ、CUAのサイズを大幅に削減することができる。また、駆動電圧を下げることが可能となり、消費電力を削減することができる。
【0051】
以上説明したように、本実施形態によれば、高集積化することが可能な、3次元的構造を有するアーキテクチャを備えた不揮発性記憶装置を提供することができる。
【0052】
本実施形態においては、ワード線WL~WLはビット線BL~BLより下層に配置されたが、上層に配置してもよい。
【0053】
また、本実施形態においては、メモリ素子12としてMTJ素子を用いていたが、トンネルバリア層を非磁性金属層に置き換えたGMR(Giant Magneto-Resistive)素子を用いても同様の効果を得ることができる。
【0054】
また、メモリ素子12として2つの電極の間に金属酸化物が挿入されたメモリ素子を用いてもよい。この場合、不揮発性記憶装置は、ReRAM(Resistive Random Access Memory)となる。
【0055】
(第2実施形態)
第2実施形態による不揮発性記憶装置(以下、記憶装置とも云う)について図7および図8を参照して説明する。この第2実施形態の記憶装置は、図1乃至図2Cに示す第1実施形態の記憶装置のビット線の上層の第5階層に新たな複数(例えば4本)のワード線を設けるとともに、これらのワード線と上記ビット線との間に新たにメモリセルを設けた構成を有している。
【0056】
図7は、第2実施形態の記憶装置を図8に示す切断面B-Bで切断した断面図、図8は、第2実施形態の記憶装置を図7に示す切断面A-Aで切断した断面図である。第2実施形態の記憶装置は、メモリセルアレイ100Aを備えている。このメモリセルアレイ100Aは、第1アレイ101と、この第1アレイ101の上層に設けられた第2アレイ102と、を備えている。
【0057】
第1アレイ101は、第1実施形態のメモリセルアレイ100と同様に、第1階層に配置され第1方向(x方向)に沿って設けられたワード線WL (i=1.・・・、4)と、第1階層の上方の第3階層に配置され、第1方向に交差する第2方向(y方向)に沿って設けられたビット線BL (j=1,・・・,4)と、第1階層と第3階層との間の第2階層に配置され、第1方向(x方向)および第2方向(y方向)にそれぞれ交差する第3方向(z方向)に沿って設けられたメモリセル11ij (i、j=1,・・・,4)と、を備えている。メモリセル11ij (i、j=1,・・・,4)は、ワード線WL と、ビット線BL との間の交差領域に設けられ、第1端子および第2端子を有する。メモリセル11ij (i、j=1,・・・,4)においては、第1端子は対応するワード線WL に電気的に接続され、第2端子は対応するビット線BL に電気的に接続される。メモリセル11ij (i、j=1,・・・,4)は、図3Aに示すメモリセルアレイ11ijと同じ構造を有している。したがって、第1実施形態と同様に、メモリセル11ij (i、j=1,・・・,4)を構成するメモリ素子12は参照層12aが対応するワード線WL に電気的に接続され、記憶層12cが対応するビット線BL に電気的に接続される。
【0058】
第2アレイ102は、第3階層に配置され第2方向(y方向)に沿って設けられたビット線BL (j=1,・・・,4)と、第3階層の上方の第5階層に配置され第1方向(x方向)に沿って設けられたワード線WL (i=1.・・・、4)と、第3階層と第5階層との間の第4階層に配置され、第3方向(z方向)に沿って設けられたメモリセル11ij (i、j=1,・・・,4)と、を備えている。すなわち、第1アレイ101と第2アレイ102は、第3階層に配置され第2方向(y方向)に沿って設けられたビット線BL (j=1,・・・,4)を共有している。メモリセル11ij (i、j=1,・・・,4)は、ワード線WL と、ビット線BL との間の交差領域に設けられ、第1端子および第2端子を有する。メモリセル11ij (i、j=1,・・・,4)においては、第1端子は対応するワード線WL に電気的に接続され、第2端子は対応するビット線BL に電気的に接続される。メモリセル11ij (i、j=1,・・・,4)は、図3Aに示すメモリセルアレイ11ijと同じ構造を有している。したがって、第1実施形態と同様に、メモリセル11ij (i、j=1,・・・,4)を構成するメモリ素子12は参照層12aが対応するワード線WL に電気的に接続され、記憶層12cが対応するビット線BL に電気的に接続される。
【0059】
第2実施形態の記憶装置には、図7に示すように、第1アレイ101の各ワード線WL (i=1,・・・4)の一端に電気的に接続され直列接続されたpチャネルトランジスタ212およびnチャネルトランジスタ214を有する駆動回路210と、他端に電気的に接続されたnチャネルトランジスタ222を備えた駆動回路220と、が設けられている。なお、本実施形態においては、駆動回路210においては、pチャネルトランジスタ212およびnチャネルトランジスタ214は、ゲートが共通に接続され、この共通に接続されたゲートに制御回路300からのワード線選択信号を受ける。pチャネルトランジスタ212は、ソースが電源VDDに電気的に接続され、ドレインがnチャネルトランジスタ214のドレインに接続されるとともに対応するワード線WL (i=1,・・・4)に電気的に接続される。nチャネルトランジスタ214は、ドレインが接地電源VSSに電気的に接続されるとともにソースが対応するワード線WL (i=1,・・・4)に電気的に接続される。
【0060】
また、駆動回路220のnチャネルトランジスタ222は、ドレインが対応するワード線WL (i=1,・・・4)の他端に電気的に接続され、ソースが電源VNNに電気的に接続される。
【0061】
また、第2アレイ102においては、各ワード線WL (i=1,・・・4)の一端に電気的に接続され直列接続されたpチャネルトランジスタ212およびnチャネルトランジスタ214を有する駆動回路210と、他端に電気的に接続されたnチャネルトランジスタ222を備えた駆動回路220と、が設けられている。なお、本実施形態においては、駆動回路210においては、pチャネルトランジスタ212およびnチャネルトランジスタ214は、ゲートが共通に接続され、この共通に接続されたゲートに制御回路300からのワード線選択信号を受ける。pチャネルトランジスタ212は、ソースが電源VDDに電気的に接続され、ドレインがnチャネルトランジスタ214のドレインに接続されるとともに対応するワード線WL (i=1,・・・4)に電気的に接続される。nチャネルトランジスタ214は、ドレインが接地電源VSSに電気的に接続されるとともにソースが対応するワード線WL (i=1,・・・4)に電気的に接続される。駆動回路220のnチャネルトランジスタ222は、ドレインが対応するワード線WL (i=1,・・・4)の他端に電気的に接続され、ソースが電源VNNに電気的に接続される。
【0062】
また、本実施形態の記憶装置には、図8に示すように、ビット線BL (j=1,・・・,4)の一端にドレインが電気的に接続されソースが電源VDDに電気的に接続され、ゲートが制御回路300からのビット線選択信号を受けるpチャネルトランジスタ232およびビット線BL (j=1,・・・,4)の一端にドレインが電気的に接続されソースが接地電源VSSに電気的に接続されゲートが制御回路300からの制御信号を受けるnチャネルトランジスタ234を備えた駆動回路230と、ビット線BL (j=1,・・・,4)の他端にドレインが電気的に接続されソースが電源VNNに電気的に接続されゲートが制御回路300からの制御信号を受けるnチャネルトランジスタ242を備えた駆動回路240と、が設けられている。
【0063】
なお、駆動回路210,220,230,240、210,220,230,240、および制御回路300は、ワード線WL ~WL が設けられる第1階層より下の階層に配置される。
【0064】
(書き込み動作)
次に、書き込み動作について、例えば第1アレイ101のメモリセル1122 に情報(磁化方向)を書き込む場合を例に取って説明する。まず、情報の書き込みを行う前に、全てのワード線WL ~WL および全てのビット線BL ~BL に電位VSSを与えプリチャージ動作を行う。これは、駆動回路220のトランジスタ222をオフ状態にし、駆動回路210へのワード線選択信号をH(ハイ)レベルにすることにより達成することができる。このとき、第2アレイにおいても、プリチャージ動作を行ってもよいし、行わなくてもよい。
【0065】
次に、第1実施形態で説明した場合と同様にして、メモリセル1122 のメモリ素子12に情報を書き込む。これは、例えば図4または図5に示すように、選択されたメモリセル1122 に接続されたワード線WL およびビット線BL にそれぞれ電位を供給し、ワード線WL 以外のワード線およびビット線BL 以外のビット線に電位VSSを供給する。これにより、選択されたメモリセル1122 の第1端子および第2端子間に印加される電圧がVDD-VNNとなるようにし、非選択メモリセルの第1端子および第2端子間に印加される電圧が(VDD-VNN)/2または0Vとなるようにする。
【0066】
また、第2アレイ102の選択されたメモリセルに情報を書き込み場合も同様にして行う。
【0067】
なお、第1アレイ101または第2アレイの選択されたメモリセルからの情報の読み出しは、第1実施形態で説明した場合と同様にして行う。
【0068】
以上説明したように、第2実施形態によれば、第1実施形態と同様に、駆動回路のトランジスタのサイズ(例えばチャネル長)を短くすることができ、CUAのサイズを大幅に削減することができる。また、駆動電圧を下げることが可能となり、消費電力を削減することができる。したがって、第2実施形態によれば、高集積化することが可能な、3次元的構造を有するアーキテクチャを備えた不揮発性記憶装置を提供することができる。
【0069】
なお、第2実施形態において、ワード線WL ~WL が設けられた階層より上層に新たな複数ビット線がy方向に沿って延びるように配置され、これらの新たなビット線とワード線WL ~WL との交差領域にメモリセルが新たに配置された構造、すなわち第2アレイの上方に第3アレイを備えた構造の記憶装置であってもよい。また、mを4以上の整数とした場合、第1乃至第mアレイを備えた構造の記憶装置であってもよい。
【0070】
(第3実施形態)
第3実施形態による不揮発性記憶装置(以下、記憶装置とも云う)について図9および図10を参照して説明する。
【0071】
図9は、第3実施形態の記憶装置を図10に示す切断面B-Bで切断した断面図、図10は、第3実施形態の記憶装置を図9に示す切断面A-Aで切断した断面図である。
【0072】
第3実施形態の記憶装置は、図7および図8に示す第2実施形態の記憶装置において、ワード線WL (i=1,・・・,4)に対してnチャネルトランジスタ251を有する駆動回路250と、ワード線WL (i=1,・・・,4)に対してnチャネルトランジスタ251を有する駆動回路250と、を新たに設けた構成を有している。nチャネルトランジスタ251は、ドレインが対応するワード線WL (i=1,・・・,4)の他端に電気的に接続され、ドレインが電源VSSに電気的に接続され、ゲートに制御回路300からの制御信号を受ける。nチャネルトランジスタ251は、ドレインが対応するワード線WL (i=1,・・・,4)の他端に電気的に接続され、ドレインが電源VSSに電気的に接続され、ゲートに制御回路300からの制御信号を受ける。
【0073】
なお、駆動回路210,220,230,240、250、210,220,230,240、250、および制御回路300は、ワード線WL ~WL が設けられる第1階層より下の階層に配置される。
【0074】
更に、第3実施形態の記憶装置においては、駆動回路210および駆動回路210に同じワード線選択信号が入力されるとともに、駆動回路210のpチャネルトランジスタ212のソースが電源FX1に電気的に接続され、駆動回路210のpチャネルトランジスタ212のソースが電源FX2に電気的に接続され、駆動回路220のpチャネルトランジスタ222のソースが電源FY1に電気的に接続されている。電源FX1、FX2、FY1は、それぞれVDDかまたはVSSの値をとる。これを書き込み動作を例にとって説明する。
【0075】
(書き込み動作)
第1アレイ101のメモリセル1122 に情報を書き込む場合、まず、第1アレイ101の全てのワード線WL ~WL に電位VSSを供給するとともに全てのビット線BL ~WL に電位VSSを供給し、プレチャージを行う。これは、駆動回路250のnチャネルトランジスタ251および駆動回路2301のnチャネルトランジスタ234をオン状態にすることに達成できる。
【0076】
このとき、第2アレイにおいても、プリチャージ動作を行ってもよいし、行わなくてもよい。
【0077】
次に、第1実施形態で説明した場合と同様にして、メモリセル1122 のメモリ素子12に情報を書き込む。これは、例えば図4または図5に示すように、選択されたメモリセル1122 に接続されたワード線WL およびビット線BL にそれぞれ電位を供給し、ワード線WL 以外のワード線およびビット線BL 以外のビット線に電位VSSを供給する。このとき、例えば図4に示すように、ワード線WL に電位VDDを供給する場合は、電源FX1を電源VDDにし、電源FX2を電源VSSにして、かつ駆動回路210および駆動回路210へのワード線制御信号をL(ロウ)レベルにする。この場合、駆動回路210のpチャネルトランジスタ212はオン状態となり、ワード線WL2がフローティング状態になる。そこで、駆動回路250のnチャネルトランジスタ251をオン状態にしてワード線WL2に電位VSSを供給する。
【0078】
これにより、選択されたメモリセル1122 の第1端子および第2端子間に印加される電圧がVDD-VNNとなるようにし、非選択メモリセルの第1端子および第2端子間に印加される電圧が(VDD-VNN)/2または0Vとなるようにする。
【0079】
なお、第3実施形態においては、電源FY1はVDDに固定される。しかし、ワード線WL ~WL が設けられた階層より上層に新たな複数ビット線がy方向に沿って延びるように配置され、これらの新たなビット線とワード線WL ~WL との交差領域にメモリセルが新たに配置された構造、すなわち第2アレイの上方に第3アレイを備えた構造の記憶装置であってもよい。この場合、新たな複数のビット線に電源FY2(図示せず)が供給され、電源FY1と電源FY2は、電源FX1と電源FX2と同じような役目をする。すなわち、電源FY1と電源FY2は、電位VDDまたは電位VSSの値をとる。
【0080】
また、第2アレイ102の選択されたメモリセルに情報を書き込み場合も同様にして行う。
【0081】
なお、第1アレイ101または第2アレイの選択されたメモリセルからの情報の読み出しは、第1実施形態で説明した場合と同様にして行う。
【0082】
以上説明したように、第3実施形態によれば、第1実施形態と同様に、駆動回路のトランジスタのサイズ(例えばチャネル長)を短くすることができ、CUAのサイズを大幅に削減することができる。また、駆動電圧を下げることが可能となり、消費電力を削減することができる。したがって、第3実施形態によれば、高集積化することが可能な、3次元的構造を有するアーキテクチャを備えた不揮発性記憶装置を提供することができる。
【0083】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0084】
1111~1144・・・メモリセル、12・・・メモリ素子(抵抗変化素子)、12a・・・磁性層(参照層)、12b・・・非磁性絶縁層(トンネルバリア層)、12c・・・磁性層(記憶層)、14・・・スイッチング素子、100,100A・・・メモリセルアレイ、101・・・第1アレイ、102・・・第2アレイ、210,210,210・・・駆動回路、212,212,212・・・pチャネルトランジスタ、214,214,214・・・nチャネルトランジスタ、220,220,210・・・駆動回路、212,212,212・・・pチャネルトランジスタ、214,214,214・・・nチャネルトランジスタ、230,230・・・駆動回路、234,234・・・nチャネルトランジスタ、240,240・・・駆動回路、242,242・・・nチャネルトランジスタ、300・・・制御回路、WL~WL,WL ~WL ,WL ~WL ・・・ワード線、BL~BL,BL ~BL ・・・ビット線
図1
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B
図6
図7
図8
図9
図10