(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022013683
(43)【公開日】2022-01-18
(54)【発明の名称】人間工学的デュアル・モード・スニップ
(51)【国際特許分類】
B26B 13/14 20060101AFI20220111BHJP
【FI】
B26B13/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021069481
(22)【出願日】2021-04-16
(31)【優先権主張番号】16/916,966
(32)【優先日】2020-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】519412811
【氏名又は名称】タフビルト インダストリーズ、インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マイケル パノジアン
(72)【発明者】
【氏名】ジョシュア キーラー
【テーマコード(参考)】
3C065
【Fターム(参考)】
3C065AA07
3C065BA01
3C065DA00
3C065FA06
(57)【要約】
【課題】工具のピボット点に対して異なる位置への、ユーザの手の柔軟性及び移動範囲の欠如を有しないスニップを提供する。
【解決手段】人間工学的スニップは、1対の枢動レバーと、第1の枢動手段と、1対の相補的な細長いブレードレバーと、第2の枢動手段と、第3の枢動手段と、第1のハンドグリップと、第2のハンドグリップとを備え、レバーが、ユーザの親指と、ユーザの人差し指及び中指と、の間の距離が、手の第1の位置及び手の第2の位置の両方で実質的に同じままであるように構成されていることによって、スニップが、ユーザがより大きな切断力を加える、又はより小さい切断力を加えるけどもより優れた精密さで切断するためのより優れた制御、を可能にしながら、第1の位置及び第2の位置の両方で実質的に同等の快適さでユーザがスニップを使用することを人間工学的に可能にする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人間工学的スニップであって、
(A)対称軸をほぼ画定する1対の枢動レバーであって、各レバーが、前方又は先頭枢動端と、手部分を形成する後方後続端と、を有する、1対の枢動レバーと、
(B)前記レバーを前記先頭端で一緒に枢動させるための、第1の枢動手段と、
(C)1対の相補的な細長いブレードレバーであって、各々が、対向する切断ブレード及び作動端を有する、1対の相補的な細長いブレードレバーと、
(D)前記ブレードレバーを、前記ブレードレバーの中間端で互いに対して枢動させるための、第2の枢動手段と、
(E)各ブレードレバーの前記作動端を、関連するハンドルレバーに対して枢動させるための、第3の枢動手段と、
(F)前記手部分のうちの一方を覆い、第1の滑り止め耳又は突出部であって、前記第3の枢動手段に近接しており、全体として前記軸から離れる方向に延びて、ユーザの親指と係合するのに適した滑り止めキャッチを形成している、第1の滑り止め耳又は突出部を含む、第1のハンドグリップと、
(G)前記手部分のうちの他方を覆い、第2の滑り止め耳又は突出部であって、前記軸から全体として離れる方向に延びており、前記第2の滑り止め耳又は突出部と前記第3の枢動手段と間に指グリップ部分を形成し、ほぼ軸方向の長さを有してユーザの人差し指及び中指の一方又は両方を収容して、ユーザが、手の第1の位置において、前記第2の滑り止め耳又は突出部を前記ユーザの人差し指と中指との間に置いて、前記手部分のトルクを最大にするか、前記手の第2の位置において、前記第2の滑り止め耳又は突出部を前記中指と薬指との間に置いて、前記切断ブレードによる切断のより優れた制御又は精密さを提供するか、のいずれかを可能にする、第2の滑り止め耳又は突出部を含む、第2のハンドグリップと、を備え、
前記レバーが、ユーザの親指と、前記ユーザの人差し指及び中指と、の間の距離が、前記手の前記第1の位置及び前記手の前記第2の位置の両方で実質的に同じままであるように構成されていることによって、前記スニップが、ユーザがより大きな切断力を加える、又はより小さい切断力を加えるけどもより優れた精密さで切断するためのより優れた制御、を可能にしながら、前記第1の位置及び前記第2の位置の両方で実質的に同等の快適さでユーザが前記スニップを使用することを人間工学的に可能にする、人間工学的スニップ。
【請求項2】
前記第1の枢動手段と前記第2のハンドグリップの最前方端との間の軸方向寸法が、「a」であり、前記第1の枢動手段と前記第2の滑り止め耳又は突出部との間の軸方向寸法が、「b」であり、前記第1の滑り止め耳又は突出部の最前方部分における、前記軸に実質的に垂直な方向に沿った横方向寸法が、「c」であり、前記第1の滑り止め耳又は突出部の最後方部分における、前記軸に実質的に垂直な方向に沿った横方向寸法が、「d」であり、かつb≒2dである、請求項1に記載の人間工学的スニップ。
【請求項3】
a≒dである、請求項2に記載の人間工学的スニップ。
【請求項4】
d>cである、請求項2に記載の人間工学的スニップ。
【請求項5】
(b-a)が、39~45mmの範囲内である、請求項2に記載の人間工学的スニップ。
【請求項6】
前記第1の滑り止め耳又は突出部が、ユーザの親指を、前記軸に実質的に垂直であり、かつ全体として前記第2の滑り止め耳又は突出部を通って延びている線に沿って位置付けるように配置されている、請求項1に記載の人間工学的スニップ。
【請求項7】
前記第2のハンドグリップの長さが、前記第2の滑り止め耳又は突出部の前方で、少なくともユーザの人差し指と中指とを合わせた幅に等しい、請求項1に記載の人間工学的スニップ。
【請求項8】
指受入れスペースが、前記第2の滑り止め耳又は突出部の前方で、ユーザの人差し指及び中指の少なくとも一方、又は両方をわずかなクリアランスで収容するように寸法決めされていることによって、前記第2の滑り止め耳又は突出部と突起との両方が、前記切断ブレード端に向かって前方方向に前記軸に沿って前記第2のハンドグリップに力を加えるために役立ち、かつ機能する、請求項6に記載の人間工学的スニップ。
【請求項9】
前記第2のハンドグリップが、ユーザの親指に位置付けられた中心を有する円弧をほぼ形成しており、前記円弧が、前記第2の滑り止め耳又は突出部の両側への長さに沿って延びている、請求項1に記載の人間工学的スニップ。
【請求項10】
前記第1の滑り止め耳又は突出部が、前記軸に対して90°未満の角度で後方に傾斜しており、前記第2の滑り止め耳又は突出部が、90°に実質的に等しい角度を前記軸と形成している、請求項1に記載の人間工学的スニップ。
【請求項11】
人間工学的スニップであって、
(A)対称軸をほぼ画定する1対の枢動レバーであって、各レバーが、切断ブレードとして形成された前方又は先頭端と、手部分を形成する後方又は後続端と、を有する、1対の枢動レバーと、
(B)前記レバーを前記端の中間の位置で枢動させるための、枢動手段と、
(C)前記手部分のうちの一方を覆い、第1の滑り止め耳又は突出部であって、前記枢動手段に近接しており、全体として前記軸から離れる方向に延びて、ユーザの親指と係合するのに適した滑り止めキャッチを形成している、第1の滑り止め耳又は突出部を含む、第1のハンドグリップと、
(D)前記手部分のうちの他方を覆い、第2の滑り止め耳又は突出部であって、前記軸から全体として離れる方向に延びており、前記第2の滑り止め耳又は突出部と前記枢動手段と間に指グリップ部分を形成し、軸方向の長さをほぼ有してユーザの人差し指及び中指の一方又は両方を収容して、ユーザが、手の第1の位置において、前記第2の滑り止め耳又は突出部を前記ユーザの人差し指と中指との間に置いて、前記手部分のトルクを最大にするか、前記手の第2の位置において、前記第2の滑り止め耳又は突出部を前記中指と薬指との間に置いて、前記切断ブレードによる切断のより優れた制御又は精密さを提供するか、のいずれかを可能にする、第2の滑り止め耳又は突出部を含む、第2のハンドグリップと、を備え、
前記レバーが、ユーザの親指と、前記ユーザの人差し指及び中指と、の間の距離が、前記手の前記第1の位置及び前記手の前記第2の位置の両方で実質的に同じままであるように構成されていることによって、前記スニップが、ユーザがより大きな切断力を加える、又はより小さい切断力を加えるけどもより優れた精密さで切断するためのより優れた制御、のいずれかを可能にしながら、前記第1の手の位置及び前記第2の手の位置の両方で実質的に同等の快適さでユーザが前記スニップを使用することを人間工学的に可能にする、人間工学的スニップ。
【請求項12】
前記第1の滑り止め耳又は突出部が、ユーザの親指を、前記軸に垂直であり、かつ全体として前記第2の滑り止め耳又は突出部を通って延びている線に沿って位置付けるように配置されている、請求項10に記載の人間工学的スニップ。
【請求項13】
前記第2のハンドグリップの長さが、前記第2の滑り止め耳又は突出部の前方で、ユーザの人差し指と中指とを合わせた幅に少なくとも等しい、請求項10に記載の人間工学的スニップ。
【請求項14】
前記第2のハンドグリップには、前記枢動手段に近接する前記端の、前記軸から全体として離れる方向に外向きに延びる突起が設けられており、前記突起及び前記第2の滑り止め耳又は突出部が、ユーザの人差し指及び中指を収容するための受入れスペースを作り出すように配置されている、請求項10に記載の人間工学的スニップ。
【請求項15】
前記受入れスペースが、ユーザの人差し指及び中指をわずかなクリアランスで収容するように寸法決めされていることによって、前記第2の滑り止め耳又は突出部と前記突起との両方が、前記切断ブレード端に向かって前方方向に前記軸に沿って前記第2のハンドグリップに力を加えるために役立ち、かつ機能する、請求項14に記載の人間工学的スニップ。
【請求項16】
前記第2のハンドグリップが、ユーザの親指の位置付近に中心を有する円弧をほぼ形成しており、前記第2の滑り止め耳又は突出部の両側への長さに沿って延びている、請求項10に記載の人間工学的スニップ。
【請求項17】
前記枢動手段と前記第2のハンドグリップの最前方端との間の軸方向寸法が、「a」であり、前記枢動手段と前記第2の滑り止め耳又は突出部との間の軸方向寸法が、「b」であり、前記第1の滑り止め耳又は突出部の最前方部分における、前記軸に実質的に垂直な方向に沿った横方向寸法が、「c」であり、前記第1の滑り止め耳又は突出部の最後方部分における、前記軸に実質的に垂直な方向に沿った横方向寸法が、「d」であり、かつb≒2dである、請求項10に記載の人間工学的スニップ。
【請求項18】
a≒dである、請求項17に記載の人間工学的スニップ。
【請求項19】
d>cである、請求項17に記載の人間工学的スニップ。
【請求項20】
(b-a)が、39~45mmの範囲内である、請求項17に記載の人間工学的スニップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、広義には手工具に関し、より具体的には人間工学的デュアル・モード・スニップに関する。
【背景技術】
【0002】
スニップ又は大ばさみは、シート金属及び他の強靭なシート材料を切断するために使用される手工具である。ブリキばさみは、単一のピボットで結合された2つのレバーであり、一般的なはさみに類似する。航空スニップとも呼ばれる複合動作スニップは、複合レバレッジ・ハンドル・システムを使用して機械的利点を向上し、ユーザがより硬いシート材料を切断することを可能にする。航空スニップは、例えば、18ゲージまでのアルミニウムシート、24ゲージまでの軟鋼、又は26ゲージまでのステンレス鋼を切断することができる。シート又はウェブは、概して硬いため、それらは、切断に抵抗し、前方への又は軸方向のかなりの力が、ユーザによって切断方向に加えられなければならない。したがって、切断ジョー又はブレードを閉じるためにスニップのハンドルを一緒に絞ることに加えて、ユーザはまた、述べたように、工具の軸に沿って切断方向に甚大な力を加えなければならない。そのような軸方向の力を加えるときにユーザの手がハンドル又はハンドグリップ上で滑ることを回避するために、スニップには通常、グリップ上に滑り止め耳部、外向きに突出した隆起部又は膨出部が設けられる。軸方向の甚大な力が加えられるときに手がハンドグリップに沿って滑るのを防止するために、指は、これらの要素の後ろに配置される。しかしながら、既存の複合スニップは、構成されて、単一の使用中の手の位置又は動作モードを意図している。それにおいて、ユーザの親指は、一方のハンドグリップ上の滑り止め隆起部又は突出部の後ろに位置付けられるのに対して、他方のハンドグリップには、ユーザの人差し指と中指との間に位置付けられるように配置された、滑り止め隆起部又は突出部が設けられる。従来技術の構成は、ユーザが必要な力を滑ることなくハンドルに加えることを可能にするが、結果として生じる手の位置は、ハンドルに加えられる絞りの力又はトルクを最大にすることを意図している。そのような従来技術のスニップの例としては、以下の米国特許、米国特許第4,463,497号明細書、米国特許第4,569,132号明細書、米国特許第5,003,695号明細書、米国特許第6,574,870号明細書、米国特許第7,346,991号明細書及び米国特許第10,136,583号明細書が挙げられる。米国意匠特許第D503,081号も参照されたい。しかしながら、場合によっては、より優れた精密さで切断しながらユーザにより優れた制御を提供するために、切断ジョー又はブレードにより近く、手を前に出すことが望ましい。したがって、既存のスニップは、ハンドグリップに対する手の複数の位置の選択肢がユーザに与えられない、単一の使用又は動作モードに機能的に特化している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第4,463,497号明細書
【特許文献2】米国特許第4,569,132号明細書
【特許文献3】米国特許第5,003,695号明細書
【特許文献4】米国特許第6,574,870号明細書
【特許文献5】米国特許第7,346,991号明細書
【特許文献6】米国特許第10,136,583号明細書
【特許文献7】米国意匠特許第D503,081号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、本発明の目的は、従来技術のスニップの不利な点、すなわち、工具のピボット点に対して異なる位置への、ユーザの手の柔軟性及び移動範囲の欠如を有しないスニップを提供することである。
【0005】
本発明の別の目的は、使用モード又は手の位置に関係なくユーザにとって同等に快適な、人間工学的スニップを提供することである。
【0006】
本発明のさらに別の目的は、簡素な構造で製造が経済的な、上述の人間工学的デュアル・モード・スニップを提供することである。
【0007】
本発明のまた別の目的は、使用が容易かつ便利な、スニップを提供することである。
【0008】
本発明のさらなる目的は、スニップを提供することである。ここで、スニップは、必要な場合にユーザがハンドル又はハンドグリップにより大きな力又はトルクを加えることを可能にして、より硬いシート材料を切断することを可能にし、一方、正確な切断が必要とされる場合にユーザがより優れた制御及び切断の正確さのためにトルクをいくらか落とすことを可能にする。
【0009】
本発明のまたさらなる目的は、上述の利点を提供するために、ブリキばさみと、さらには複合スニップとの両方のために、ハンドグリップを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的、さらには当業者に明らかになるであろう他のことを達成するために、本発明による人間工学的スニップは、
(A)対称軸をほぼ画定する1対の枢動レバーであって、各レバーは、切断ブレードとして形成された前方又は先頭端と、手部分を形成する後方又は後続端と、を有する、1対の枢動レバーと、
(B)前記レバーを前記端の中間の位置で枢動させるための、枢動手段と、
(C)前記手部分のうちの一方を覆い、第1の滑り止め耳又は突出部であって、前記枢動手段に近接しており、全体として前記軸から離れる方向に延びて、ユーザの親指と係合するのに適した滑り止めキャッチを形成している、第1の滑り止め耳又は突出部を含む、第1のハンドグリップと、
(D)前記手部分のうちの他方を覆い、第2の滑り止め耳又は突出部であって、前記軸から全体として離れる方向に延びており、前記第2の滑り止め耳又は突出部と前記枢動手段と間に指グリップ部分を形成し、軸方向の長さをほぼ有してユーザの人差し指及び中指の一方又は両方を収容して、ユーザが、手の第1の位置において、前記第2の滑り止め耳又は突出部を前記ユーザの人差し指と中指との間に置いて、前記手部分のトルクを最大にするか、前記手の第2の位置において、前記第2の滑り止め耳又は突出部を前記中指と薬指との間に置いて、前記切断ブレードによる切断のより優れた制御又は精密さを提供するか、のいずれかを可能にする、第2の滑り止め耳又は突出部を含む、第2のハンドグリップと、を備え、
前記レバーが、ユーザの親指と、前記ユーザの人差し指及び中指と、の間の距離が、前記手の前記第1の位置及び前記手の前記第2の位置の両方で実質的に同じままであるように構成されていることによって、前記スニップが、ユーザがより大きな切断力を加える、又はより小さい切断力を加えるけどもより優れた精密さで切断するためのより優れた制御、のいずれかを可能にしながら、前記第1の手の位置及び前記第2の手の位置の両方で実質的に同等の快適さでの前記スニップの使用を人間工学的に可能にする。
【0011】
本発明による複合スニップは、
(A)対称軸をほぼ画定する1対の枢動レバーであって、各レバーは、前方又は先頭枢動端と、手部分を形成する後方後続端と、を有する、1対の枢動レバーと、
(B)前記レバーを前記先頭端で一緒に枢動させるための、第1の枢動手段と、
(C)1対の相補的な細長いブレードレバーであって、各々が、対向する切断ブレード及び作動端を有する、1対の相補的な細長いブレードレバーと、
(D)前記ブレードレバーを、前記ブレードレバーの中間端で互いに対して枢動させるための、第2の枢動手段と、
(E)各ブレードレバーの前記作動端を、関連するハンドルレバーに対して枢動させるための、第3の枢動手段と、
(F)前記手部分のうちの一方を覆い、第1の滑り止め耳又は突出部であって、前記第3の枢動手段に近接しており、全体として前記軸から離れる方向に延びて、ユーザの親指と係合するのに適した滑り止めキャッチを形成している、第1の滑り止め耳又は突出部を含む、第1のハンドグリップと、
(G)前記手部分のうちの他方を覆い、第2の滑り止め耳又は突出部であって、前記軸から全体として離れる方向に延びており、前記第2の滑り止め耳又は突出部と前記第3の枢動手段と間に指グリップ部分を形成し、ほぼ軸方向の長さを有してユーザの人差し指及び中指の一方又は両方を収容して、ユーザが、手の第1の位置において、前記第2の滑り止め耳又は突出部を前記ユーザの人差し指と中指との間に置いて、前記手部分のトルクを最大にするか、前記手の第2の位置において、前記第2の滑り止め耳又は突出部を前記中指と薬指との間に置いて、前記切断ブレードによる切断のより優れた制御又は精密さを提供するか、のいずれかを可能にする、第2の滑り止め耳又は突出部を含む、第2のハンドグリップと、を備え、
前記レバーが、ユーザの親指と、前記ユーザの人差し指及び中指と、の間の距離が、前記手の前記第1の位置及び前記手の前記第2の位置の両方で実質的に同じままであるように構成されていることによって、前記スニップが、ユーザがより大きな切断力を加える、又はより小さい切断力を加えるけどもより優れた精密さで切断するためのより優れた制御、を可能にしながら、前記第1の手の位置及び前記第2の手の位置の両方で実質的に同等の快適さでユーザが前記スニップを使用することを人間工学的に可能にする。
【0012】
本発明の上記及び他の態様、特徴及び利点は、添付の図面と併せた場合、以下の説明によってより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】切断ジョー又はブレードが閉じているときの状態で示されている、本発明による複合又は多重レバレッジスニップの側面図である。
【
図2】ユーザの手が第1の位置に置かれ、いくらかの制御及び切断の精密さを多少犠牲にするが、最大の切断トルク又は仕事率を提供する、
図1に示すスニップの第1の使用モードを示す図である。
【
図3】
図2に類似するが、ユーザの手が代替の又は第2の位置に移動しており、ユーザに、より小さい切断トルクを提供するが、しかし精密な切断のために向上した制御を提供する、スニップの第2の使用モードを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
ここで具体的に図を参照すると、同一又は類似の部分は全体を通して同じ参照番号で示されており、最初に
図1を参照すると、本発明による1対のスニップが全体として参照10で示されている。
【0015】
スニップ10は、対称軸Aを全体として画定する1対の枢動レバー12、14を含む。各レバー12、14は、手部分を形成する前方又は先頭枢動端12a、14a及び後方又は後続端12b、14bとを有する。レバー12、14は、前方又は先頭端でピボット16によって互いに対して枢動される。
【0016】
1対の相補的な細長いブレードレバー18、20は各々、対向する切断ブレード端18a、20a及び作動端18b、20bを有する。細長いブレードレバー18、20は、その中間端においてピボット22で互いに対して枢動される。第3のピボット24、26は、作動端18b、20bを、関連するハンドルレバー12、14に対して枢動させる。
【0017】
第1のハンドグリップ28は、レバー14の後方又は後続端14bを少なくとも部分的に覆う。ハンドグリップ28は、プラスチック、発泡材料などを含む、そのような工具のためのハンドグリップに使用される任意の従来の材料で形成されていてもよい。ハンドグリップ28は、ピボット26に近接した第1の滑り止め耳又は突出部30を含み、全体として軸Aから離れる方向に延びて、
図2に示すようにユーザの親指42と係合するのに適した滑り止めキャッチを形成する。
図1に示す実施形態では、滑り止め耳又は突出部30は、示されているように後方に傾斜しており、軸Aに平行なほぼ軸方向に対して、90度以下の角度Θを形成する。
【0018】
第2のハンドグリップ32は、レバー14の後方又は後続端14bを少なくとも部分的に覆う。第2のハンドグリップ32は、第2の滑り止め耳又は突出部34を含む。第2の滑り止め耳又は突出部34は、全体として軸Aから離れる方向に延びて、第2の滑り止め耳又は突出部34と、第2のハンドグリップ32の最前方端において外向きに突出する突起38と、の間に指受入れ部分36を形成する。指受入れ部分36は、レバー14に沿ってほぼ軸方向の長さを有し、ユーザの人差し指及び中指44、46の一方又は両方をそれぞれ収容して、ユーザが、
図2に示すように、手の第1の位置において、滑り止め耳又は突出部のいずれか34をユーザの人差し指と中指44、46との間にそれぞれ置いて、レバーの手部分のトルクを最大にすることを可能にする。明らかに、ピボット16に対してさらに後方に手が置かれるほど、切断又はせん断ブレード18a、20aに加えることができるレバレッジ及び力がより大きくなる。
【0019】
図3を参照すると、手をピボット16により近づけるために、手を第2の滑り止め耳又は突出部34に対して前に出すことができる。これにより、レバーアームが縮まり、したがって、切断ブレードに加えることができるトルク又は切断力の量が減少する。しかしながら、スニップのこの第2の位置又は使用モードでは、ユーザは、より優れた制御及び切断の精密さを達成することができる。
【0020】
本発明の特徴は、両方の動作モードにおいて固定位置に留まるユーザの親指と、ユーザの人差し指及び中指と、の間の距離が、手の第1及び第2の位置の両方で実質的に同じままであるように、レバーの構成及び滑り止め耳又は突出部30、34の位置が選択されることである。このようにして、スニップは、ユーザがより大きな切断力を加えるか、又はより小さい切断力を加えるけどもより優れた精密さで切断するためのより優れた制御の、いずれかを可能にしながら、両方の動作モード又は手の位置で実質的に同等の快適さでユーザがスニップを使用することを人間工学的に可能にする。
【0021】
図1を参照すると、第1のピボット16と第2のハンドグリップの最前方端との間の軸方向寸法は、「a」であり、第1のピボット16と第2の滑り止め耳又は突出部との間の軸方向寸法は、「b」である。第1の滑り止め耳又は突出部30の最前方部分を通る、軸Aに実質的に垂直な方向に沿った横方向寸法は、「c」である。第1の滑り止め耳又は突出部30の最後方部分における、軸Aに実質的に垂直な方向に沿った横方向寸法は、「d」である。寸法b≒2dである。また、a≒d、d>cである。例示的な実施形態では、「a」は46.5mmに等しく、「b」は88.54mmに等しく、「c」は34.36mmに等しく、「d」は43.05mmに等しく、「e」は38.31mmに等しく、「f」は75.59mmに等しく、「g」は46.00mmに等しい。したがって、人差し指及び中指44、46の一方又は両方を収容するための、滑り止め耳又は突出部34と突起38との間の、ハンドグリップ32の指受入れスペース36の寸法は、約42mmであるが、39~45mmの範囲内であってもよい。
【0022】
突起38及び第2の滑り止め耳又は突出部34は、示されるように、ユーザの人差し指及び中指を収容するための受入れスペース36を作り出すように配置される。好ましくは、受入れスペース36は、ユーザの人差し指及び中指をわずかなクリアランスで収容するように寸法決めされ、それによって、第2の滑り止め耳又は突出部と突起38の両方が、切断ブレード端18a、20aに向かって前方方向に軸Aに沿って第2のハンドグリップに力を加えるために役立ち、かつ機能する。
【0023】
本発明による構造では、
図2及び
図3を参照すると、第2のハンドグリップ32は、滑り止め耳又は突出部34の両側へ、ユーザの親指を中心とする円弧Cをほぼ形成する。このような構造、特に受入れスペース36の寸法と組み合わせた場合、ユーザが、
図2及び
図3に例示されるように、各々がその利益又は利点を有する2つの異なる動作モードのうちの1つで、スニップを使用することが可能である。重要なことに、ユーザは、工具を人間工学的かつ高度に機能的にするために、2つの手の位置のどちらにも容易にかつ同等の快適さで移動することができる。
【0024】
図1~
図3に示す実施形態は、複合又は多重レバレッジスニップ、又は航空スニップであるが、本発明は、単純なスニップ又はブリキばさみにも適用することができる。ハンドグリップ12、14の構造及び動作は、任意の既知のスニップについて本質的に同じである。本発明は、主としてハンドグリップ構造を対象とし、かつこれらは、異なる程度の利点を有する任意のプライヤ、スニップなどに使用することができるからである。
【0025】
上記は、本発明の原理の例示としてのみ考慮される。さらなる修正及び変更は、当業者には容易に想到されるであろう。本発明は、図示及び説明された厳密な構造及び動作に限定されず、したがって、すべての適切な修正及び同等なものが、本発明の範囲内にあってそれらに頼ることができる。
【外国語明細書】