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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022136832
(43)【公開日】2022-09-21
(54)【発明の名称】合成樹脂製容器、及びプリフォーム
(51)【国際特許分類】
   B65D 1/02 20060101AFI20220913BHJP
   B65D 1/40 20060101ALI20220913BHJP
【FI】
B65D1/02 220
B65D1/40 200
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021036629
(22)【出願日】2021-03-08
(71)【出願人】
【識別番号】000003768
【氏名又は名称】東洋製罐グループホールディングス株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】518172978
【氏名又は名称】メビウスパッケージング株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】313005282
【氏名又は名称】東洋製罐株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002354
【氏名又は名称】弁理士法人平和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】飯野 裕喜
(72)【発明者】
【氏名】市川 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】平松 健太
(72)【発明者】
【氏名】中谷 豊彦
(72)【発明者】
【氏名】押川 克哉
【テーマコード(参考)】
3E033
【Fターム(参考)】
3E033AA02
3E033BA18
3E033BB07
3E033CA18
3E033CA20
3E033DA04
3E033DB01
3E033DD01
3E033DE04
3E033FA03
3E033GA02
(57)【要約】
【課題】内容液を視認可能な遮光層を有する合成樹脂製容器を提供する。
【解決手段】内容液の注入出口となる口部2と、内溶液が収容される収容部3とを備える容器1であって、収容部3が、軸方向に沿って帯状に延在する少なくとも一条の突条部6が形成された透光層3aと、透光層3aの突条部6が形成された側に積層され、突条部6に重なる部位で部分的に欠失された遮光層3bとを含む。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
有底筒状のプリフォームを所定の容器形状にブロー成形してなる合成樹脂製容器であって、
内容液の注入出口となる口部と、内溶液が収容される収容部とを備え、
前記収容部が、軸方向に沿って帯状に延在する少なくとも一条の突条部が形成された透光層と、前記透光層の前記突条部が形成された側に積層され、前記突条部に重なる部位で部分的に欠失された遮光層とを含むことを特徴とする合成樹脂製容器。
【請求項2】
前記透光層には、複数の前記突条部が、中心軸に対して対称に形成されている請求項1に記載の合成樹脂製容器。
【請求項3】
前記透光層には、前記突条部が形成されている位置に対して径方向反対側に、一又は複数の肉厚部が前記突条部と平行に形成されている請求項1に記載の合成樹脂製容器。
【請求項4】
前記口部が、透光性を有する請求項1~3のいずれか一項に記載の合成樹脂製容器。
【請求項5】
前記遮光層が、多数の気泡を含む発泡構造を有する請求項1~4のいずれか一項に記載の合成樹脂製容器。
【請求項6】
口部と胴部とを備える有底筒状のプリフォームであって、
前記胴部が、軸方向に沿って帯状に延在する少なくとも一条の突条部が形成された透光部層と、前記透光部層の前記突条部が形成された側に積層され、前記突条部に重なる部位が部分的に欠失された遮光部層とを含むことを特徴とするプリフォーム。
【請求項7】
前記透光部層には、複数の前記突条部が、中心軸に対して対称に形成されている請求項6に記載のプリフォーム。
【請求項8】
前記透光部層には、前記突条部が形成されている位置に対して径方向反対側に、一又は複数の肉厚部が前記突条部と平行に形成されている請求項6に記載のプリフォーム。
【請求項9】
前記口部が、透光性を有する請求項6~8のいずれか一項に記載のプリフォーム。
【請求項10】
前記遮光部層が、多数の気泡を含む発泡構造を有する請求項6~9のいずれか一項に記載のプリフォーム。
【請求項11】
請求項10に記載のプリフォームの前駆体としてのプリフォームであって、前記遮光部層が、発泡剤を含有させた非発泡状態の発泡性樹脂によって形成されているプリフォーム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内容液の液面を視認可能な透光部を備える合成樹脂製容器、及びそのような合成樹脂製容器をブロー成形するためのプリフォームに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ポリエチレンテレフタレートなどの熱可塑性樹脂を用いて有底筒状のプリフォームを形成し、次いで、このプリフォームを二軸延伸ブロー成形などによってボトル状に成形してなる合成樹脂製の容器が知られている。
【0003】
近年、この種の合成樹脂製容器は、飲料品用、調味料用などに限らず、各種の用途に広く利用されるようになってきており、用途に応じた工夫も種々なされている。例えば、特許文献1では、内容物を紫外線から保護するために、容器自体を着色した樹脂により不透明にするとともに、内容物を再充填して使用する際に、充填の状態が見えるように、透明乃至半透明な樹脂からなる縦帯状の窓部が形成された合成樹脂製窓付き容器が提案されており、不透明な樹脂からなる周壁の所定の周位置に、透明乃至半透明な樹脂からなる縦帯状部が形成されたプリフォームをブロー成形することによって、当該窓付き容器を作製している。
【0004】
特許文献1では、プリフォームを共射出によって成形しているため、プリフォームに縦帯状部を形成する際の微調整が困難であり、ショット間のばらつきもあることから、窓部の形状などを設計する際の自由度が制限されてしまったり、不透明な樹脂からなる周壁と、透明乃至半透明な樹脂からなる窓部との境界が不明瞭になってしまったりする虞がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2014-108796号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明者らは、内容液を視認可能な遮光層を有する合成樹脂製容器を提供するべく鋭意検討を重ねた結果、本発明を完成するに至った。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る合成樹脂製容器は、有底筒状のプリフォームを所定の容器形状にブロー成形してなる合成樹脂製容器であって、内容液の注入出口となる口部と、内溶液が収容される収容部とを備え、前記収容部が、軸方向に沿って帯状に延在する少なくとも一条の突条部が形成された透光層と、前記透光層の前記突条部が形成された側に積層され、前記突条部に重なる部位で部分的に欠失された遮光層とを含む構成としてある。
【0008】
また、本発明に係るプリフォームは、口部と胴部とを備える有底筒状のプリフォームであって、前記胴部が、軸方向に沿って帯状に延在する少なくとも一条の突条部が形成された透光部層と、前記透光部層の前記突条部が形成された側に積層され、前記突条部に重なる部位が部分的に欠失された遮光部層とを含む構成としてある。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、内容液を視認可能な遮光層を有する合成樹脂製容器、そのような容器をブロー成形するためのプリフォームを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の第一実施形態に係る合成樹脂製容器の概略を示す斜視図である。
図2】本発明の第一実施形態に係る合成樹脂製容器の概略を示す正面図である。
図3図2のA-A断面図である。
図4】本発明の第一実施形態に係るプリフォームの一例を示す説明図である。
図5図4のB-B断面図である。
図6】本発明の第一実施形態に係るプリフォームの一例におけるプリフォーム中間体を示す説明図である。
図7図6のC-C断面図である。
図8】本発明の第一実施形態に係るプリフォームの変形例を示す説明図である。
図9図8のD-D断面図である。
図10】本発明の第一実施形態に係る合成樹脂製容器の変形例を示す横断面図である。
図11】本発明の第一実施形態に係るプリフォームの他の変形例を示す説明図である。
図12図11のE-E断面図である。
図13】本発明の第一実施形態に係る合成樹脂製容器の他の変形例を示す横断面図である。
図14】本発明の第二実施形態に係る合成樹脂製容器の概略を示す正面図である。
図15図14のF-F断面図である。
図16】本発明の第二実施形態に係るプリフォームの一例を示す説明図である。
図17図16のG-G断面図である。
図18】本発明に係る合成樹脂製容器の他の例を示す説明図である。
図19】本発明に係る合成樹脂製容器の他の例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の好ましい実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0012】
[第一実施形態]
まず、本発明の第一実施形態について説明する。
図1は、本実施形態に係る合成樹脂製容器の概略を示す斜視図であり、図2は、同正面図である。図3は、図2のA-A断面図であるが、断面にあらわれる肉厚を誇張して描写しており、実際の寸法は反映されていない。図2に示す容器1の一部を切り欠いて示す断面にあっても同様である。
【0013】
これらの図に示す容器1は、内容液の注入出口となる口部2と、内溶液が収容される収容部3とを備えている。収容部3は、その高さ方向上端側の部位が口部2に向かって縮径して口部2の下端に連接する胴部4と、胴部4の高さ方向下端側を閉塞する底部5とを含むように成形することができる。図示する例では、容器1が、概ね円筒状の容器形状を備えるように成形されているが、容器1の形状は、これに限定されない。
【0014】
ここで、高さ方向とは、口部2側を上にして容器1を水平面に正立させたときに、水平面に直交する方向をいうものとし、容器1の上下左右及び縦横の方向は、口部2側を上にして正立させた図2に示す状態で規定するものとする。
【0015】
図示する例において、円筒状に形成された口部2の周面には、図示しない蓋体を打栓によって取り付けるための係合突部2aが設けられているが、蓋体の取り付け手段は、これに限定されない。係合突部2aに代えてネジ山を設けることにより、螺着によって蓋体が取り付けられるようにしてもよい。
また、口部2の下端側には、周方向に沿って外方に突出する環状のネックリング2bが設けられている。
【0016】
本実施形態において、収容部3は、内層側に位置する透光層3aと、外層側に位置する遮光層3bとを含み、透光層3aには、軸方向に沿って帯状に延在する突条部6が形成されている。遮光層3bは、透光層3aの突条部6が形成された側に積層され、突条部6に重なる部位で部分的に欠失されており、これによって、当該部位における遮光性が減じるようにしている。その結果、遮光性が減じられた当該部位を通して内容液を視認することができ、例えば、容器1に内容液を再充填する際には、内容液が溢れたりしないように、内容液の液面を視認しながら、適量の内容液を再充填することができる。
【0017】
このようにして内容液を視認できるようにする上で、突条部6に重なる部位で遮光層3bが途絶えて、突条部6が遮光層3bと面一に露出するように、遮光層3bを部分的に欠失させるのが好ましい(図3参照)。特に図示しないが、内容液を視認できる程度に遮光性を減じることができれば、遮光層3bの厚みが突条部6に重なる部位で薄くなるように、遮光層を部分的に欠失させてもよい。
【0018】
本実施形態において、容器1は、例えば、図4に示すようなプリフォーム10をブロー成形することによって、所定の容器形状を備えるように成形することができる。
【0019】
図4は、容器1をブロー成形するためのプリフォーム10の一例を示しており、プリフォーム10は、上端側に口部20が形成され、下端側が半球状に閉塞する胴部30を備える有底筒状に形成されている。
【0020】
ここで、プリフォーム10の上下左右及び縦横の方向は、口部20側を上にして図4に示す状態で規定するものとする。
なお、図5は、図4のB-B断面図であるが、断面にあらわれる肉厚を誇張して描写しており、実際の寸法は反映されていない。
【0021】
プリフォーム10の口部20は、ブロー成形によって延伸されずに、その外観を概ね維持して容器1の口部2となる部位であり、プリフォーム10の口部20には、容器1に付された符号と同一の符号を以て示す係合突部2a、ネックリング2bが設けられている。プリフォーム10は、後述するように、口部20に設けられたネックリング2bの下方を起点として胴部30が延伸されて、容器1の収容部3となるように成形されることによって、所定の容器形状を呈するようにブロー成形される。
【0022】
図4に示す例において、プリフォーム10の胴部30は、それぞれが一体にブロー成形されて、容器1の収容部3を形成する透光層3aに成形される透光部層30aと、同遮光層3bに成形される遮光部層30bとを含むように形成されている。透光部層30aには、軸方向に沿って帯状に延在する突条部60が形成されており、この突条部60が、透光層3aに形成される突条部6となるように形成されている。そして、遮光部層30bは、透光部層30aに形成された突条部60に重なる部位で部分的に欠失されるように、透光部層30aの突条部60が形成された側に積層されており(図5参照)、このようなプリフォーム10の胴部30の構成が、プリフォーム10をブロー成形してなる容器1の収容部3の構成に反映される。
【0023】
透光部層30aを形成する樹脂材料(すなわち、透光層3aを形成する樹脂材料)としては、透光性の樹脂を用いることができる。例えば、ポリエチレンテレフタレート,ポリブチレンテレフタレート,ポリエチレンナフタレート,非晶ポリアリレート,ポリ乳酸,ポリエチレンフラノエート又はこれらの共重合体などの熱可塑性ポリエステルを用いることができ、特に、ポリエチレンテレフタレートなどのエチレンテレフタレート系熱可塑性ポリエステルを好適に用いることができる。
【0024】
また、遮光部層30bを形成する樹脂材料(すなわち、遮光層3bを形成する樹脂材料)としては、例えば、上記した樹脂に顔料などの着色剤を配合して所望の色相に調製された着色樹脂や、上記した樹脂を熔融混錬する際に、炭酸ガス、窒素ガスなどの不活性ガスを物理発泡剤として、又は熱分解により炭酸ガスを発生する炭酸塩、熱分解により窒素ガスを発生するアゾ化合物などの熱分解性化合物を化学発泡剤として、熔融された樹脂に溶解させるなどして、所定量の発泡剤を樹脂中に含有させた発泡性樹脂を用いることができる。容器1のリサイクル性を考慮すると、後述するようにして、発泡性樹脂を発泡させてなる発泡構造によって遮光性が発現されるようにするのが好ましい。
【0025】
このようなプリフォーム10は、二色成形又はダブルモールドと称される射出成形法によって、例えば、次のようにして成形することができる。
【0026】
まず、プリフォーム10の内周面及び口部20の上端面を成形するコア型200と、ネックリング2bの上面及び周端面を含む口部20の周面側を成形する口部型201と、ネックリング2bの下面及び突条部60を含む透光部層30aの周面側を成形する一次胴部型202aとを型締めし、透光部層30aを形成する樹脂材料をキャビティ内に射出する(一次射出工程)。これにより、口部20と透光部層30aとが一体に成形された、図6に示すプリフォーム中間体10aを射出成形する。
なお、図7は、図6のC-C断面図であるが、断面にあらわれる肉厚を誇張して描写しており、実際の寸法は反映されていない。
【0027】
次いで、一次胴部型202aに代えて、成形されたプリフォーム中間体10aとの間に、遮光部層30bを成形する空隙が形成されるように構成された二次胴部型202bを用いて型締めし直してから、遮光部層30bを形成する樹脂材料を射出する(二次射出工程)。これにより、図5に示すように、突条部60が形成された部位を除く透光部層30aの周面に遮光部層30bを射出成形するが、遮光部層30bを形成する樹脂材料として発泡性樹脂を用いる場合には、発泡性樹脂の流動中の破泡と充填後の発泡を抑制できるように、キャビティ内を高圧に保持し、保圧しながら射出するのが、遮光性、外観の点から好ましい。
【0028】
このような一次射出工程と二次射出工程とを経ることで、軸方向に沿って帯状に延在する突条部60が形成された透光部層30aと、透光部層30aの突条部60が形成された側に積層され、突条部60に重なる部位が部分的に欠失された遮光部層30bとを含む胴部30を備えるプリフォーム10を成形することができる。
【0029】
ここで、透光部層30aに形成される突条部60が一条である場合には、一次射出工程において、樹脂材料をキャビティ内に射出したときの樹脂圧が、コア型200に対して周方向に均等に作用せずに、樹脂量が相対的に多い突条部60が形成される側からコア型200が押されて傾いてしまい、成形されるプリフォーム中間体10aに偏肉が生じてしまう虞がある。
【0030】
本実施形態にあっては、かかる不具合を有効に回避するために、透光部層30aに形成する突条部60を複数(図示する例では、二条)とし、これらが中心軸に対して対称に配置されるようにするのが好ましい。これにより、一方の突条部60が形成される側からコア型200に作用する樹脂圧と、他方の突条部60が形成される側からコア型200に作用する樹脂圧とが相殺され、コア型200の傾きを抑止することができる。
【0031】
突条部60が形成される側からコア型200に作用する樹脂圧に抗して、コア型200の傾きを有効に抑止することができれば、例えば、図8及び図9に示す変形例、又は図11及び図12に示す他の変形例のように、突条部60が形成されている位置に対して径方向反対側に、一又は複数の肉厚部60aを突条部60と平行に形成するようにしてもよい。このような肉厚部60aは、突条部60が形成される側からコア型200に作用する樹脂圧、換言すれば、突条部60を形成する樹脂量に応じて適宜設計することができる。
なお、図9は、図8のD-D断面図であるが、断面にあらわれる肉厚を誇張して描写しており、実際の寸法は反映されていない。図12に示す図11のE-E断面図においても同様である。
【0032】
プリフォーム10は、加熱により軟化させてブロー成形が可能な状態とされてから、図示しないブロー成形型にセットされ、必要に応じて延伸ロッドにより軸方向(縦方向)に延伸されつつ、プリフォーム10内に吹き込まれたブローエアーによって軸方向及び周方向(横方向)に延伸される。このとき、口部20に設けられたネックリング2bの下方を起点として胴部30が延伸され、ブロー成形型のキャビティ形状が転写されることによって、延伸された胴部30が容器1の収容部3となるように成形される。
【0033】
プリフォーム10を加熱するには、例えば、赤外線ヒータなどによって加熱することができる。その際、口部20を遮蔽体で覆うなどして、胴部30が選択的に加熱されるようにするが、遮光部層30bを形成する樹脂材料として発泡性樹脂を用いる場合、非発泡状態の発泡性樹脂によって遮光部層30bが形成されている前駆体としてのプリフォーム10に、このような加熱処理を施すことによって、当該発泡性樹脂を発泡せしめ、それによって形成された多数の気泡を含む発泡構造を有するように、遮光部層30bの内部構造を変化させることができる。これにより、遮光部層30bによって形成される遮光層3bが、多数の気泡を含む発泡構造を有するようにして、かかる発泡構造によって遮光性が発現されるようにすることができる。
【0034】
このようにしてプリフォーム10をブロー成形することで、内容液を視認可能な前述の如き容器1を成形できるが、複数の突条部60が、中心軸に対して対称に配置されるように透光部層30aに形成されたプリフォーム10を用いた場合には、成形された容器1の透光層3aに、複数の突条部6が、中心軸に対して対称に形成されることになる(図3参照)。
【0035】
また、図8及び図9に示す変形例、又は図11及び図12に示す他の変形例のように、突条部60が形成されている位置に対して径方向反対側に、一又は複数の肉厚部60aが突条部60と平行に形成されたプリフォーム10を用いた場合、成形された容器1の透光層3aには、突条部6が形成されている位置に対して径方向反対側に、一又は複数の肉厚部6aが突条部6と平行に形成されることになる(図10及び図13参照)。
なお、図10は、図8及び図9に示すプリフォーム10を用いて成形された容器1が備える収容部3の横断面(図2のA-A断面に相当する断面)を示しており、図13は、図11及び図12に示すプリフォーム10を用いて成形された容器1が備える収容部3の横断面(同上)を示しているが、これらの断面にあらわれる肉厚を誇張して描写しており、実際の寸法は反映されていない。
【0036】
また、容器1に内容液を再充填する際の内容液の液面の視認性を高めるには、口部2を通しても内容液の液面を視認できるように、口部2が透光性を有しているのが好ましい。本実施形態によれば、前述したようにしてプリフォーム10を射出成形する一次射出工程において、透光部層30aを形成する樹脂材料を用いて、口部20と透光部層30aとが一体に成形されるようにすることで、口部20が透光性を有するプリフォーム10を成形することができる。したがって、当該プリフォーム10をブロー成形してなる容器1において、透光性を有するように口部2を成形することができる。
【0037】
[第二実施形態]
次に、本発明の第二実施形態について説明する。
図11は、本実施形態に係る合成樹脂製容器の概略を示す正面図である。図12は、図11のE-E断面図であるが、断面にあらわれる肉厚を誇張して描写しており、実際の寸法は反映されていない。図11に示す容器1の一部を切り欠いて示す断面にあっても同様である。
【0038】
前述した第一実施形態では、容器1の収容部3が、軸方向に沿って帯状に延在する突条部6が形成された透光層3aが内層側に位置し、透光層3aの突条部6が形成された側に積層され、突条部6に重なる部位で部分的に欠失された遮光層3bが外層側に位置するように構成されている。これに対して、本実施形態における容器1は、第一実施形態と同様の外観を呈するようにしたまま、当該透光層3aが外層側に位置し、当該遮光層3bが内層側に位置するように収容部3を構成した点が、第一実施形態と相違する。このような第一実施形態との相違点を中心に、本実施形態について以下に説明する。
【0039】
図13は、本実施形態における容器1をブロー成形するためのプリフォーム10の一例を示しており、プリフォーム10は、外層側に位置する透光部層30aに形成された突条部60に重なる部位で部分的に欠失された遮光部層30bが、口部20と一体に成形されており、内層側に位置する遮光部層30bの欠失部に、透光部層30aに形成された突条部60が埋設されように構成されている(図14参照)。
なお、図14は、図13のF-F断面図であるが、断面にあらわれる肉厚を誇張して描写しており、実際の寸法は反映されていない。図13に示すプリフォーム10の一部を切り欠いて示す断面にあっても同様である。
【0040】
このようなプリフォーム10は、第一実施形態で説明したのと同様にして成形することができるが、プリフォーム中間体10aを射出成形する一次射出工程では、遮光部層30bを形成する樹脂材料によって、口部20と遮光部層30bとが一体に成形されるようにする。そして、二次射出工程において、透光部層30aを射出成形する。
【0041】
このようにして成形されたプリフォーム10にあっても、第一実施形態と同様にして、加熱処理後にブロー成形型にセットされて、ブロー成形することによって、容器1に成形することができるが、本実施形態では、プリフォーム10の口部20が遮光部層30bと一体に成形されている。このため、遮光部層30bを形成する樹脂材料として発泡性樹脂を用いた場合には、口部20も発泡性樹脂により形成されることになる。この場合であっても、ブロー成形に先立って、プリフォーム10を加熱するに際し、口部20を遮蔽体で覆うなどして、胴部30が選択的に加熱されるようにすることで、口部20を形成する発泡性樹脂が発泡しないようにしつつ、遮光部層30bを形成する発泡性樹脂を発泡させ、それによって形成された多数の気泡を含む発泡構造を有するように、遮光部層30bの内部構造を変化させることができる。そして、プリフォーム10の口部20を非発泡とすることで、第一実施形態と同様に、当該プリフォーム10をブロー成形してなる容器1においても、透光性を有するように口部2を成形することができ、内容液の液面の視認性を高めることが可能にもなる。
【0042】
以上の通り、本実施形態は、上記の点で、第一実施形態と相違するが、これ以外の構成は、第一実施形態と共通するため、第一実施形態と共通する構成については、重複する説明は省略する。
【0043】
以上、本発明について、好ましい実施形態を示して説明したが、本発明は、前述した実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能であることはいうまでもない。
【0044】
本発明によれば、意匠性や機能性が向上するように、内容液を視認可能な遮光層3bを有する容器1を高い自由度を以て設計することができ、例えば、図15に示すように、透光層3aに形成される突条部6が、収容部3の上方側と下方側とに分離して形成されるようにしてもよい。このような態様とすることで、遮光層3bの遮光性が減じられる範囲を少なくして、内溶液の光による変質をより良好に抑制しつつ、内容液を再充填する際には、収容部3の上方側で内容液の液面の視認することができ、収容部3の下方側では内溶液の残量が視認できるようにすることが可能となる。さらに、図16に示すように、収容部3の上方側でより良好に内容液の液面を視認できるように、収容部3の上方側を除く範囲に、遮光層3bが形成されるようにすることもできる。
なお、図15図16のいずれにおいても、容器1の一部を切り欠いて示す断面にあらわれる肉厚を誇張して描写しており、実際の寸法は反映されていない。
【符号の説明】
【0045】
1 容器
2 口部
3 収容部
3a 透光層
3b 遮光層
6 突条部
6a 肉厚部
10 プリフォーム
20 口部
30 胴部
30a 透光部層
30b 遮光部層
60 突条部
60a 肉厚部
図1
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