(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022136869
(43)【公開日】2022-09-21
(54)【発明の名称】蓄電素子ユニット及び建物
(51)【国際特許分類】
H01M 50/20 20210101AFI20220913BHJP
【FI】
H01M2/10 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021036677
(22)【出願日】2021-03-08
(71)【出願人】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100120617
【弁理士】
【氏名又は名称】浅野 真理
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 康宏
【テーマコード(参考)】
5H040
【Fターム(参考)】
5H040AA03
5H040AT04
5H040AY05
5H040CC01
5H040CC13
5H040NN03
(57)【要約】
【課題】筐体に対する蓄電素子モジュールの位置合わせを容易にする。
【解決手段】蓄電素子ユニット10は、底壁部21及び側壁部22を有し第1方向D1に開口した筐体20と、筐体20に収容される蓄電素子モジュール40と、を有している。筐体20は、底壁部21から第1方向D1に突出した膨出部32を含む位置決め部30を有している。蓄電素子モジュール40は、底板部51A及び側板部52を有するケース50と、ケース50に収容されたセル70と、を有している。ケース50の底板部51A及び側板部52が固定される固定部60に、膨出部32を受ける凸部64が設けられている。膨出部32が凸部64内に位置する状態で、蓄電素子モジュール40が筐体20に対して位置決めされる。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
底壁部および側壁部を有し第1方向に開口した筐体と、
前記筐体に収容される蓄電素子モジュールと、を備え、
前記筐体は、前記底壁部から前記第1方向に突出した膨出部を含む位置決め部を有し、
前記蓄電素子モジュールは、底板部および側板部を有するケースと、前記ケース内に収容されたセルと、を有し、
前記ケースの前記底板部および前記側板部が固定される固定部に、前記膨出部を受ける凹部が設けられ、
前記膨出部が前記凹部内に位置する状態で、前記蓄電素子モジュールが前記筐体に対して位置決めされる、蓄電素子ユニット。
【請求項2】
前記膨出部は、前記第1方向に直交する第2方向に延び、
前記筐体に対して位置決めされた前記蓄電素子モジュールの前記固定部は、前記第1方向および前記第2方向の両方に直交する第3方向に前記膨出部と並ぶ、請求項1に記載の蓄電素子ユニット。
【請求項3】
前記位置決め部は、前記第1方向に直交する第2方向に互いから離間して並べられた複数の膨出部を含み、
前記固定部に、前記複数の膨出部を受ける複数の凹部が設けられている、請求項1又は2に記載の蓄電素子ユニット。
【請求項4】
前記固定部は、前記第2方向に隣り合う二つの凹部の間に凸部を有し、
前記位置決め部の前記第2方向に隣り合う二つの膨出部の間に受け部が形成され、
前記凸部が前記受け部に収容された状態で、前記蓄電素子モジュールが前記筐体に対して位置決めされる、請求項3に記載の蓄電素子ユニット。
【請求項5】
前記固定部は複数の凸部を有し、前記位置決め部は複数の受け部を有する、請求項4に記載の蓄電素子ユニット。
【請求項6】
一つの位置決め部に含まれた前記複数の膨出部の前記第2方向への配列ピッチと、一つの位置決め部に含まれた前記複数の膨出部の前記第2方向への長さと、の少なくとも一方は一定でない、請求項3~5のいずれか一項に記載の蓄電素子ユニット。
【請求項7】
一つの位置決め部に含まれた前記複数の膨出部の最小の配列ピッチは、前記第2方向に沿った前記筐体の内寸と、前記筐体に対して位置決めされた前記蓄電素子モジュールの前記第2方向に沿った長さと、の差より長い、請求項3~6のいずれか一項に記載の蓄電素子ユニット。
【請求項8】
前記位置決め部は、前記第1方向に直交する第3方向に離間して配置された第1位置決め部および第2位置決め部を有し、
前記ケースは、前記蓄電素子モジュールが位置決めされた状態において前記第3方向に対向する第1側板部及び第2側板部を有し、
前記第1側板部及び前記底板部が固定される第1固定部に前記凹部が設けられ、前記第2側板部及び前記底板部が固定される第2固定部に前記凹部が設けられ、
前記第1位置決め部の前記膨出部は、前記第1固定部の前記凹部内に位置し、
前記第2位置決め部の前記膨出部は、前記第2固定部の前記凹部内に位置する、請求項1~7のいずれか一項に記載の蓄電素子ユニット。
【請求項9】
前記第1位置決め部に含まれる前記膨出部および前記第2位置決め部に含まれる前記膨出部は、前記第1方向および前記第3方向の両方に直交する第2方向に沿って延びる軸線を中心として線対称な位置に配置されている、請求項8に記載の蓄電素子ユニット。
【請求項10】
複数の蓄電素子モジュールが、前記第1方向に直交する第3方向に並べられるようにして前記筐体に収容され、
前記位置決め部は、前記第3方向において隣り合う二つの蓄電素子ユニットの間に位置する中間位置決め部を有し、
前記ケースは、前記前記蓄電素子モジュールが位置決めされた状態において前記第3方向に対向する第1側板部及び第2側板部を有し、
前記第1側板部及び前記底板部が固定される第1固定部に前記凹部が設けられ、前記第2側板部及び前記底板部が固定される第2固定部に前記凹部が設けられ、
前記中間位置決め部の前記膨出部が、前記第3方向に隣り合う二つの蓄電素子ユニットの前記凹部内に位置する状態で、前記二つの蓄電素子モジュールが前記筐体に対して位置決めされる、請求項1~9のいずれか一項に記載の蓄電素子ユニット。
【請求項11】
前記筐体に対して位置決めされた前記蓄電素子モジュールの前記第1固定部に含まれる前記凹部と、前記第2固定部に含まれる前記凹部とは、前記第1方向および前記第3方向の両方に直交する第2方向に沿って延びる軸線を中心として線対称な位置に配置されている、請求項8~10のいずれか一項に記載の蓄電素子ユニット。
【請求項12】
前記ケースは、前記前記蓄電素子モジュールが位置決めされた状態において前記第1方向に直交する第3方向に対向する第1側板部及び第2側板部を有し、
前記第1側板部及び前記底板部が固定される第1固定部に前記凹部が設けられ、前記第2側板部及び前記底板部が固定される第2固定部に前記凹部が設けられ、
前記筐体に対して位置決めされた前記蓄電素子モジュールの前記第1固定部に含まれる前記凹部と、前記第2固定部に含まれる前記凹部とは、前記第1方向に沿って延びる軸線を中心として回転非対称な位置に配置されている、請求項1~11のいずれか一項に記載の蓄電素子ユニット。
【請求項13】
複数の蓄電素子モジュールが前記第1方向に重ねて前記筐体に収容され、
前記第1方向において前記底壁部に最も近接する蓄電素子モジュールのみが、前記固定部の前記凹部に前記位置決め部の前記膨出部を収容し、
前記蓄電素子モジュールは、前記第1方向における前記底壁部側に位置する他の蓄電素子モジュールに接触して当該他の蓄電素子モジュールに対して位置決めされる、請求項1~12のいずれか一項に記載の蓄電素子ユニット。
【請求項14】
前記蓄電素子モジュールの前記ケースは、前記筐体に対して位置決めされた状態において前記第1方向に突出する突出部を有し、
前記固定部は、前記第1方向に直交する第2方向に前記凹部と隣り合う位置に凸部を有し、
前記凸部は、前記第1方向及び前記第2方向の両方に直交する第3方向に突出し、前記第1方向における前記底壁部側に開口して前記他の蓄電素子モジュールの前記突出部を受ける、請求項13に記載の蓄電素子ユニット。
【請求項15】
前記筐体の内部に取り付けられるストッパを更に備え、
前記筐体に対して位置決めされた前記蓄電素子モジュールは、前記第1方向において、前記底壁部と前記ストッパとの間に位置し、前記ストッパによって前記第1方向への所定長さを超える移動を規制され、
前記所定長さは、前記第1方向への前記膨出部の前記底壁部からの突出長さよりも小さい、請求項1~14のいずれか一項に記載の蓄電素子ユニット。
【請求項16】
前記筐体を閉鎖する蓋板部を更に備え、
前記筐体に収容された部材は、前記蓋板部によって前記第1方向への所定長さを超える移動を規制され、
前記所定長さは、前記第1方向への前記膨出部の前記底壁部からの突出長さよりも小さい、請求項1~15のいずれか一項に記載の蓄電素子ユニット。
【請求項17】
請求項1~16のいずれか一項に記載の蓄電素子ユニットを備える、建物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄電素子ユニット及び建物に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は蓄電素子ユニットを開示している。この蓄電素子ユニットは、筐体と、筐体内に収容された蓄電素子モジュールと、を有している。蓄電素子モジュールは、多数のセルを有している。近年、蓄電素子ユニットの容量増大の要求から、蓄電素子モジュールの寸法が大型化し、蓄電素子モジュールの重量が増加している。その一方で、蓄電素子ユニットの小型化を目的として、筐体内の余剰スペースを省くことが求められている。したがって、筐体の限られた内部スペースに重量の重い蓄電素子モジュールを精度良く位置合わせすることが要求されているが、この作業は容易でない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、以上の点を考慮してなされたものであり、筐体に対する蓄電素子モジュールの位置合わせを容易にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明による蓄電素子ユニットは、
底壁部および側壁部を有し第1方向に開口した筐体と、
前記筐体に収容される蓄電素子モジュールと、を備え、
前記筐体は、前記底壁部から前記第1方向に突出した膨出部を含む位置決め部を有し、
前記蓄電素子モジュールは、底板部および側板部を有するケースと、前記ケース内に収容されたセルと、を有し、
前記ケースの前記底板部および前記側板部が固定される固定部に、前記膨出部を受ける凹部が設けられ、
前記膨出部が前記凹部内に位置する状態で、前記蓄電素子モジュールが前記筐体に対して位置決めされる。
【0006】
本発明による蓄電素子ユニットにおいて、
前記膨出部は、前記第1方向に直交する第2方向に延び、
前記筐体に対して位置決めされた前記蓄電素子モジュールの前記固定部は、前記第1方向および前記第2方向の両方に直交する第3方向に前記膨出部と並んでもよい。
【0007】
本発明による蓄電素子ユニットにおいて、
前記位置決め部は、前記第1方向に直交する第2方向に互いから離間して並べられた複数の膨出部を含み、
前記固定部に、前記複数の膨出部を受ける複数の凹部が設けられてもよい。
【0008】
本発明による蓄電素子ユニットにおいて、
前記固定部は、前記第2方向に隣り合う二つの凹部の間に凸部を有し、
前記位置決め部の前記第2方向に隣り合う二つの膨出部の間に受け部が形成され、
前記凸部が前記受け部に収容された状態で、前記蓄電素子モジュールが前記筐体に対して位置決めされてもよい。
【0009】
本発明による蓄電素子ユニットにおいて、前記固定部は複数の凸部を有し、前記位置決め部は複数の受け部を有してもよい。
【0010】
本発明による蓄電素子ユニットにおいて、一つの位置決め部に含まれた前記複数の膨出部の前記第2方向への配列ピッチと、一つの位置決め部に含まれた前記複数の膨出部の前記第2方向への長さと、の少なくとも一方は一定でなくてもよい。
【0011】
本発明による蓄電素子ユニットにおいて、一つの位置決め部に含まれた前記複数の膨出部の最小の配列ピッチは、前記第2方向に沿った前記筐体の内寸と、前記筐体に対して位置決めされた前記蓄電素子モジュールの前記第2方向に沿った長さと、の差より長くてもよい。
【0012】
本発明による蓄電素子ユニットにおいて、
前記位置決め部は、前記第1方向に直交する第3方向に離間して配置された第1位置決め部および第2位置決め部を有し、
前記ケースは、前記蓄電素子モジュールが位置決めされた状態において前記第3方向に対向する第1側板部及び第2側板部を有し、
前記第1側板部及び前記底板部が固定される第1固定部に前記凹部が設けられ、前記第2側板部及び前記底板部が固定される第2固定部に前記凹部が設けられ、
前記第1位置決め部の前記膨出部は、前記第1固定部の前記凹部内に位置し、
前記第2位置決め部の前記膨出部は、前記第2固定部の前記凹部内に位置してもよい。
【0013】
本発明による蓄電素子ユニットにおいて、前記第1位置決め部に含まれる前記膨出部および前記第2位置決め部に含まれる前記膨出部は、前記第1方向および前記第3方向の両方に直交する第2方向に沿って延びる軸線を中心として線対称な位置に配置されてもよい。
【0014】
本発明による蓄電素子ユニットにおいて、
複数の蓄電素子モジュールが、前記第1方向に直交する第3方向に並べられるようにして前記筐体に収容され、
前記位置決め部は、前記第3方向において隣り合う二つの蓄電素子ユニットの間に位置する中間位置決め部を有し、
前記ケースは、前記前記蓄電素子モジュールが位置決めされた状態において前記第3方向に対向する第1側板部及び第2側板部を有し、
前記第1側板部及び前記底板部が固定される第1固定部に前記凹部が設けられ、前記第2側板部及び前記底板部が固定される第2固定部に前記凹部が設けられ、
前記中間位置決め部の前記膨出部が、前記第3方向に隣り合う二つの蓄電素子ユニットの前記凹部内に位置する状態で、前記二つの蓄電素子モジュールが前記筐体に対して位置決めされてもよい。
【0015】
本発明による蓄電素子ユニットにおいて、前記筐体に対して位置決めされた前記蓄電素子モジュールの前記第1固定部に含まれる前記凹部と、前記第2固定部に含まれる前記凹部とは、前記第1方向および前記第3方向の両方に直交する第2方向に沿って延びる軸線を中心として線対称な位置に配置されてもよい。
【0016】
本発明による蓄電素子ユニットにおいて、
前記ケースは、前記前記蓄電素子モジュールが位置決めされた状態において前記第1方向に直交する第3方向に対向する第1側板部及び第2側板部を有し、
前記第1側板部及び前記底板部が固定される第1固定部に前記凹部が設けられ、前記第2側板部及び前記底板部が固定される第2固定部に前記凹部が設けられ、
前記筐体に対して位置決めされた前記蓄電素子モジュールの前記第1固定部に含まれる前記凹部と、前記第2固定部に含まれる前記凹部とは、前記第1方向に沿って延びる軸線を中心として回転非対称な位置に配置されてもよい。
【0017】
本発明による蓄電素子ユニットにおいて、
複数の蓄電素子モジュールが前記第1方向に重ねて前記筐体に収容され、
前記第1方向において前記底壁部に最も近接する蓄電素子モジュールのみが、前記固定部の前記凹部に前記位置決め部の前記膨出部を収容し、
前記蓄電素子モジュールは、前記第1方向における前記底壁部側に位置する他の蓄電素子モジュールに接触して当該他の蓄電素子モジュールに対して位置決めされてもよい。
【0018】
本発明による蓄電素子ユニットにおいて、
前記蓄電素子モジュールの前記ケースは、前記筐体に対して位置決めされた状態において前記第1方向に突出する突出部を有し、
前記固定部は、前記第1方向に直交する第2方向に前記凹部と隣り合う位置に凸部を有し、
前記凸部は、前記第1方向及び前記第2方向の両方に直交する第3方向に突出し、前記第1方向における前記底壁部側に開口して前記他の蓄電素子モジュールの前記突出部を受けてもよい。
【0019】
本発明による蓄電素子ユニットは、
前記筐体の内部に取り付けられるストッパを更に備え、
前記筐体に対して位置決めされた前記蓄電素子モジュールは、前記第1方向において、前記底壁部と前記ストッパとの間に位置し、前記ストッパによって前記第1方向への所定長さを超える移動を規制され、
前記所定長さは、前記第1方向への前記膨出部の前記底壁部からの突出長さよりも小さくてもよい。
【0020】
本発明による蓄電素子ユニットは、
前記筐体を閉鎖する蓋板部を更に備え、
前記筐体に収容された部材は、前記蓋板部によって前記第1方向への所定長さを超える移動を規制され、
前記所定長さは、前記第1方向への前記膨出部の前記底壁部からの突出長さよりも小さくてもよい。
【0021】
本発明による建物は、上述の本発明による蓄電素子ユニットのいずれかを備える。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、筐体に対して蓄電素子モジュールを容易に位置合わせすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】
図1は、本発明の一実施の形態を説明するための図であって、蓄電素子ユニットの一例を示す分解斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1の蓄電素子ユニットを、一部の構成を省略して、示す斜視図である。
【
図3】
図3は、
図1の蓄電素子ユニットに含まれ得る筐体を示す斜視図である。
【
図5】
図5は、
図4の筐体に含まれる位置決め部を示す斜視図である。
【
図6】
図6は、
図5の位置決め部および
図1の蓄電素子ユニットに含まれ得る蓄電素子モジュールを示す斜視図であって、蓄電素子モジュールの位置合わせ方法を説明する図である。
【
図7】
図7は、
図5の位置決め部および
図6の蓄電素子モジュールを示す斜視図であって、蓄電素子モジュールが位置決め部により位置合わせされた状態を示す拡大斜視図である。
【
図8】
図8は、
図6の蓄電素子モジュールを下方から示す斜視図である。
【
図9】
図9は、
図6の蓄電素子モジュールを下方から示す斜平面図である。
【
図10】
図10は、
図3の蓄電素子モジュールに含まれ得るセルを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照して本発明の一実施の形態について説明する。なお、本件明細書に添付する図面においては、図示と理解のしやすさの便宜上、適宜縮尺および縦横の寸法比等を、実物のそれらから変更し誇張してある。
【0025】
図1~
図10は、本発明による一実施の形態を説明するための図である。このうち、
図1は蓄電素子ユニットを示す分解斜視図であり、
図2は蓄電素子ユニットの部分斜視図である。蓄電素子ユニット10は、充放電が可能な二次電池ユニットとして用いられる。図示された蓄電素子ユニット10は、例えば、住宅や公共施設等の建物に適用される。蓄電素子ユニット10は、建物の配線と電気的に接続され、建物内に設置された電気装置の電源として機能する。蓄電素子ユニット10は、主たる構成要素として、筐体20と、筐体20内に収容された蓄電素子モジュール40を有している。
【0026】
なお、方向の関係を図面間で明確にするため、いくつかの図面には、第1方向D1、第2方向D2、第3方向D3、Z方向DZ、X方向DX及びY方向DYを図面間で共通する方向として矢印で示している。矢印の先端側が、各方向D1,D2,D3,DZ,DX,DYの一側となる。図面の紙面に垂直な方向に沿って紙面から手前に向かう矢印を、例えば
図4に示すように、円の中に点を設けた記号により示した。図面の紙面に垂直な方向に沿って紙面の奥に向かう矢印を、例えば
図9に示すように、円の中に×を設けた記号により示した。
【0027】
Z方向DZ、X方向DX及びY方向DYは、蓄電素子モジュール40に対して用いる。第1方向D1、第2方向D2及び第3方向D3は、蓄電素子ユニット10に対して用いる。すなわち、第1方向D1、第2方向D2及び第3方向D3は、筐体20や、筐体20の内部スペース20Sの適切に収容された状態の蓄電素子モジュール40に用いる。
【0028】
図例された筐体20は、
図1に示すように、一つの面が開口した直方体状の外形状を有している。筐体20は、蓄電素子モジュール40等を収容するための内部スペース20Sを形成している。内部スペース20Sは、直方体状のスペースとなっている。蓄電素子ユニット10は、筐体20の開口を閉鎖する蓋板部15を更に有している。蓋板部15は、取り外し可能に筐体20に取り付けられる。筐体20及び蓋板部15は、蓄電素子モジュール40を収容する収納箱を構成する。筐体20及び蓋板部15は、重量物である蓄電素子モジュール40を収容するのに必要となる強度を有している。筐体20及び蓋板部15は、例えば、フレームと、フレームに固定されたパネル材とを有する。フレームは、例えば金属によって構成される。パネルは、例えば金属や樹脂によって構成される。
【0029】
図1~
図4に示すように、直方体状の内部スペース20Sを形成する筐体20は、底壁部21と、底壁部21から第1方向D1に沿って一側に立ち上がった側壁部22とを、有している。筐体20は、第1方向D1における一側に開口している。底壁部21は、第1方向D1における他側から内部スペース20Sを区画する。図示された例において、側壁部22は、第1~第4側壁部22A~22Dを含んでいる。第1側壁部22Aは、第3方向D3における一側から内部スペース20Sを区画する。第2側壁部22Bは、第3方向D3における他側から内部スペース20Sを区画する。第3側壁部22Cは、第2方向D2における一側から内部スペース20Sを区画する。第4側壁部22Dは、第2方向D2における他側から内部スペース20Sを区画する。第1方向D1、第2方向D2及び第3方向D3は、互いに直交している。第3方向D3において、第1側壁部22A及び第2側壁部22Bは、内部スペース20Sを間に位置させて、対向している。第2方向D2において、第3側壁部22C及び第4側壁部22Dは、内部スペース20Sを間に位置させて、対向している。第1方向D1において、底壁部21及び筐体20に取り付けられた蓋板部15は、内部スペース20Sを間に位置させて、対向する。
【0030】
図2及び
図3では、第1側壁部22A及び第3側壁部22Cを取り除いた筐体20を示している。
図3は筐体20を示す斜視図であり、
図4は筐体20を示す平面図である。
【0031】
図3及び
図4に示すように、筐体20は、蓄電素子モジュール40の位置合わせに用いられる位置決め部30を有している。位置決め部30は、底壁部21から第1方向D1における一側へ突出した膨出部32を有している。後述するように、位置決め部30の膨出部32が蓄電素子モジュール40に接触することにより、蓄電素子モジュール40を筐体20に対して位置合わせすることができる。また、膨出部32と蓄電素子モジュール40との接触により、蓄電素子モジュール40を筐体20に対して位置合わせした位置に保持すること、すなわち位置決めすることができる。
【0032】
図4及び
図5に示すように、図示された筐体20は、第1位置決め部30A、第2位置決め部30B及び中間位置決め部30Cを有している。
図5は、位置決め部30を構成する部材以外の部材を除去して
図3の筐体20を示す斜視図である。第1位置決め部30A、第2位置決め部30B及び中間位置決め部30Cは、第3方向D3に離間して配置されている。第3方向D3において、中間位置決め部30Cは、第1位置決め部30A及び第2位置決め部30Bの間に位置している。とりわけ、中間位置決め部30Cは、第3方向D3において、第1位置決め部30A及び第2位置決め部30Bの中心に位置している。すなわち、第1位置決め部30A及び第2位置決め部30Bは、中間位置決め部30C上を通過して第2方向D2に延びる軸線を中心として、線対称な位置に配置されている。
【0033】
図5に示すように、各位置決め部30A,30B,30Cは、第2方向D2に離間した複数の膨出部32を有している。一つの位置決め部30に含まれる複数の膨出部32は、第2方向D2に一直線上に配置されている。第1位置決め部30A及び第2位置決め部30Bは、第1膨出部32A、第2膨出部32B、第3膨出部32C、第4膨出部32D及び第5膨出部32Eを有している。これらのうち、第2~第4膨出部32B~32Dは、第2方向D2に細長く延びている。中間位置決め部30Cは、第2膨出部32B、第3膨出部32C及び第4膨出部32Dを有している。これらのうち、第3及び第4膨出部32C,32Dは、第2方向D2に細長く延びている。
【0034】
第1位置決め部30Aは、底壁部21と第1側壁部22Aが接続する領域に設けられている。第1位置決め部30Aに含まれる膨出部32A~32Eは、底壁部21及び第1側壁部22Aの両方に接続している。第1位置決め部30Aに含まれる膨出部32A~32Eは、底壁部21から第1方向D1における一側に突出し、且つ、第1側壁部22Aから第3方向D3における他側に突出している。
【0035】
第2位置決め部30Bは、底壁部21と第2側壁部22Bが接続する領域に設けられている。第2位置決め部30Bに含まれる膨出部32A~32Eは、底壁部21及び第2側壁部22Bの両方に接続している。第2位置決め部30Bに含まれる膨出部32A~32Eは、底壁部21から第1方向D1における一側に突出し、且つ、第2側壁部22Bから第3方向D3における一側に突出している。
【0036】
図4に示すように、一つの位置決め部30に含まれた複数の膨出部32の第2方向D2への配列ピッチP1及び一つの位置決め部30に含まれた複数の膨出部32の第2方向D2への長さL1は一定でなくてもよい。すなわち、一つの位置決め部30について、異なる配列ピッチP1で複数の膨出部32が配置されてもよい。一つの位置決め部30に異なる長さL1の膨出部32が設けられてもよい。図示された例において、一つの位置決め部30に含まれた複数の膨出部32の第2方向D2への配列ピッチP1は、一定ではなく、変化している。一つの位置決め部30に含まれた複数の膨出部32の第2方向D2への長さL1は、一定ではなく、変化している。
【0037】
各位置決め部30A,30B,30Cにおいて、第2方向D2に膨出部32と隣接する位置に、後述する蓄電素子モジュール40の凸部64を受ける受け部34が形成されている。各位置決め部30A,30B,30Cは、第2方向D2に離間した複数の受け部34を有している。一つの位置決め部30に含まれる複数の受け部34は、第2方向D2に一直線上に配置されている。第1位置決め部30A及び第2位置決め部30Bは、第1受け部34A、第2受け部34B、第3受け部34C及び第4受け部34Dを有している。中間位置決め部30Cは、第2受け部34B、第3受け部34C及び第3受け部34Cを有している。
【0038】
図示された例において、一つの位置決め部30に含まれた複数の受け部34の第2方向D2への配列ピッチは、複数の膨出部32の第2方向D2への配列ピッチP1と同一であり、一定でない。図示された例において、一つの位置決め部30に含まれた複数の受け部34の第2方向D2への長さL2は一定でもよい。さらには、すべての位置決め部30A,30B,30Cに含まれる受け部34の第2方向D2への長さL2は、一定となっていてもよい。
【0039】
図示された例において、第1位置決め部30A及び第2位置決め部30Bは、中間位置決め部30C上を通過して第2方向D2に延びる軸線を中心として、線対称な構成を有している。すなわち、第1位置決め部30Aに含まれる複数の膨出部32A~32E及び第2位置決め部30Bに含まれる複数の膨出部32A~32Eは、中間位置決め部30C上を通過して第2方向D2に延びる軸線を中心として、線対称な構成を有している。第1位置決め部30Aに含まれる複数の受け部34A~34D及び第2位置決め部30Bに含まれる複数の受け部34A~34Dは、中間位置決め部30C上を通過して第2方向D2に延びる軸線を中心として、線対称な構成を有している。
【0040】
中間位置決め部30Cに含まれる膨出部32及び受け部34の第3方向D3に沿った幅WCは、第1位置決め部30Aに含まれる膨出部32及び受け部34の第3方向D3に沿った幅WAよりも太くてもよい。中間位置決め部30Cに含まれる膨出部32及び受け部34の第3方向D3に沿った幅WCは、第2位置決め部30Bに含まれる膨出部32及び受け部34の第3方向D3に沿った幅WBよりも太くてもよい。図示された例において、幅WCは、幅WAの略二倍であり、幅WBの略二倍である。第1位置決め部30Aに含まれる膨出部32及び受け部34の第3方向D3に沿った幅WAは、第2位置決め部30Bに含まれる膨出部32及び受け部34の第3方向D3に沿った幅WBと同一であってもよい。
【0041】
図5に示された具体的な構成において、第1位置決め部30Aは、例えば板金や射出成形等により一つの部材として構成されている。すなわち、第1位置決め部30Aに含まれる複数の膨出部32A~32Eは、金属や樹脂等を用いて一体的に形成されている。同様に、第2位置決め部30Bは、一つの部材として構成されている。第2位置決め部30Bに含まれる複数の膨出部32A~32Eは、金属や樹脂等を用いて一体的に形成されている。また、中間位置決め部30Cは、一つの部材として構成されている。中間位置決め部30Cに含まれる複数の膨出部32B~32Dは、金属や樹脂等を用いて一体的に形成されている。一つの位置決め部30に含まれる複数の膨出部32が繋がっていることにより、複数の膨出部32の相対位置を安定して維持することができる。
【0042】
図5に示された構成において、第1位置決め部30Aに含まれる複数の膨出部32A~32Eは、第3方向D3における他側に突出している。第1位置決め部30Aに含まれる複数の受け部34A~34Dは、第3方向D3における一側に凹み、第3方向D3における他側に開口している。第2位置決め部30Bに含まれる複数の膨出部32A~32Eは、第3方向D3における一側に突出している。第2位置決め部30Bに含まれる複数の受け部34A~34Dは、第3方向D3における他側に凹み、第3方向D3における一側に開口している。
【0043】
図2に示すように、蓄電素子ユニット10は、複数の蓄電素子モジュール40を含んでもよい。筐体20の内部スペース20Sにおいて、複数の蓄電素子モジュール40が、第1方向D1に積み重ねられてもよい。内部スペース20Sにおいて、複数の蓄電素子モジュール40が、第3方向D3に並べられてもよい。筐体20に収容される蓄電素子モジュール40の数量は、蓄電素子ユニット10に要求される電気特性に対応して適宜選択され得る。
【0044】
図示された例において、蓄電素子ユニット10は、蓄電素子モジュールの第1群G1及び蓄電素子モジュールの第2群G2を含んでいる。第1群G1は、第1方向D1に積み重ねられた三つの蓄電素子モジュール40を有している。第2群G2は、第1方向D1に積み重ねられた四つの蓄電素子モジュール40を含んでいる。第1群G1及び第2群G2は、第3方向D3に隣接して配置されている。第1群G1が第3方向D3における一側に位置し、第2群G2が第3方向D3における他側に位置している。第1群G1及び第2群G2は、第2方向D2において同一の位置に配置されている。
【0045】
蓄電素子モジュール40は、ケース50を有している。
図6~
図9に示すように、ケース50は、直方体状の外形状を有している。ケース50は、X方向DX及びY方向DYに広がる一対の主板部51を有している。主板部51は、Z方向DZに対向する底板部51A及び天板部51Bを有している。天板部51BがZ方向DZにおける一側に位置し、底板部51AがZ方向DZにおける一側に位置する。ケース50は、一対の主板部51を連結しZ方向DZに延びる側板部52を有している。側板部52は、Y方向DYに対向する第1側板部52A及び第2側板部52Bと、X方向DXに対向する第3側板部52C及び第4側板部52Dと、を有している。Z方向DZ、X方向DX及びY方向DYは互いに直交している。
【0046】
図2に示すように、図示された蓄電素子モジュール40が筐体20内に適切に収容された状態において、Z方向DZが第1方向D1に沿い、X方向DXが第2方向D2に沿い、Y方向DYが第3方向D3に沿う。このとき、Z方向DZにおける一側が第1方向D1における一側となり、X方向DXにおける一側が第2方向D2における一側となり、Y方向DYにおける一側が第3方向D3における一側となる。
【0047】
ケース50内には、セル70が収容されている。セル70は、蓄電素子として取り扱われる最小単位である。セル70は、種々の型式を採用することができ、例えばリチウムイオン二次電池とすることができる。
図10は、蓄電素子モジュール40に含まれ得るセル70の一例を示している。図示されたセル70は、偏平形状を有している。このセル70は、正極板および負極板を含む複数の電極板71を収容する外装体72と、電極板71と電気的に接続して外装体72の外部まで延び出したタブ73と、を有している。
【0048】
一つの蓄電素子モジュール40に、複数のセル70が設けられてもよい。複数のセル70は、Z方向DZに積み重ねてケース50内に配置されてもよい。一つのケース50に収容された複数のセル70はタブ73を電気的に接続することによって、直列接続または並列接続されてもよい。一つの蓄電素子モジュール40に収容されるセル70の数量は、蓄電素子ユニット10に要望される電気的特性に応じて、適宜選択され得る。一つの蓄電素子モジュール40に収容された複数のセル70は、蓄電素子ユニット10に要望される電気的特性に対応して、直列または並列に電気的に接続される。
【0049】
図6~
図9に示すように、ケース50は、底板部51A及び側板部52が固定される固定部60を含んでいる。底板部51A及び側板部52は、固定部60において互いに接続している。固定部60に凹部62が形成されている。凹部62は、筐体20に設けられた位置決め部30を受け入れるように構成されている。図示された例において、凹部62はX方向DXに沿って延びている。
図8に示すように、凹部62が形成された固定部60は、上述した位置決め部30の構成に対応して、第3方向D3を向く側板部52と底板部51Aとが接続する接続部である。図示された例では、ケース50の長軸方向に延びる側板部52と底板部51Aとが接続する固定部60に、凹部62が形成されている。具体的には、第1側板部52Aと底板部51Aとが固定される第1固定部60Aに凹部62が形成されている。第1固定部60Aは、第1側板部52Aと底板部51Aとが接続する接続部である。さらに、第2側板部52Bと底板部51Aとが固定される第2固定部60Bに凹部62が形成されている。第2固定部60Bは、第2側板部52Bと底板部51Aとが接続する接続部である。第1固定部60A及び第2固定部60Bは、Y方向DYに延びる軸線を中心として線対称な位置に配置されている。
【0050】
図8に示すように、各固定部60A,60Bは、X方向DXに離間した複数の凹部62を有している。一つの固定部60に含まれる複数の凹部62は、X方向DXに一直線上に配置されている。第1固定部60A及び第2固定部60Bは、第1凹部62A、第2凹部62B、第3凹部62C、第4凹部62D及び第5凹部62Eを有している。これらのうち、第2~第4凹部62B~62Dは、X方向DXに細長く延びている。
【0051】
図9に示すように、一つの固定部60に含まれた複数の凹部62のX方向DXへの配列ピッチP3及び一つの固定部60に含まれた複数の凹部62のX方向DXへの長さL3は一定でなくてもよい。すなわち、一つの固定部60について、異なる配列ピッチP3で複数の凹部62が配置されてもよい。一つの固定部60に異なる長さL3の凹部62が設けられてもよい。図示された例において、一つの固定部60に含まれた複数の凹部62の第2方向D2への配列ピッチP3、一定ではなく、変化している。一つの固定部60に含まれた複数の凹部62の第2方向D2への長さL3、一定ではなく、変化している。
【0052】
後述するように、凹部62に位置決め部30の膨出部32を収容可能とするため、凹部62の第2方向D2への長さL3は、膨出部32の第2方向D2への長さL1以上であり、好ましくは長さL1よりいくらか大きい。
【0053】
図8に示すように、各固定部60A,60Bは、X方向DXに凹部62と隣接する位置に、位置決め部30の受け部34に挿入される凸部64を有している。凸部64は、X方向DXに沿って延びている。各固定部60A,60Bは、X方向DXに離間した複数の凸部64を有している。一つの固定部60に含まれる複数の凸部64は、X方向DXに一直線上に配置されている。第1固定部60A及び第2固定部60Bは、第1凸部64A、第2凸部64B、第3凸部64C及び第4凸部64Dを有している。
【0054】
図示された例において、一つの固定部60に含まれた複数の凸部64の第2方向D2への配列ピッチは、複数の凹部62の第2方向D2への配列ピッチP2(
図9参照)と同一であり、一定でない。図示された例において、一つの固定部60に含まれた複数の凸部64のX方向DXへの長さL4(
図9参照)は一定でもよい。さらには、すべての固定部60A,60Bに含まれる凸部64のX方向DXへの長さL4は、一定となっていてもよい。
【0055】
後述するように、位置決め部30の受け部34に凸部64を収容可能とするため、受け部34の第2方向D2への長さL2は、凸部64の第2方向D2への長さL4以上であり、好ましくは長さL4よりいくらか大きい。
【0056】
図示された例において、第1固定部60A及び第2固定部60Bは、X方向DXに延びる軸線を中心として、線対称な構成を有している。すなわち、第1固定部60Aに含まれる複数の凹部62A~62E及び第2固定部60Bに含まれる複数の凹部62A~62Eは、X方向DXに延びる軸線を中心として、線対称な構成を有している。第1固定部60Aに含まれる複数の凸部64A~64D及び第2固定部60Bに含まれる複数の凸部64A~64Dは、X方向DXに延びる軸線を中心として、線対称な構成を有している。
【0057】
図示された例において、第1側板部52A及び第2側板部52Bは、セル70の収容空間を区画する内面を構成する板状部52x(
図7参照)と、当該板状部から第3方向D3における外方に突出いたリブ52y(
図7参照)と、によって構成されている。この例において、
図6~8に示すように、凹部62は、リブが省かれることによって、或いは、リブの高さが低くなることによって、形成されている。したがって、
図8及び
図9に示すように、第1固定部60Aに含まれる複数の凹部62A~62Eは、Y方向DYにおける他側に凹み、Y方向DYにおける一側に開口している。第2固定部60Bに含まれる複数の凹部62A~62Eは、Y方向DYにおける一側に凹み、第3方向D3における他側に開口している。
【0058】
図9に示すように、第1固定部60Aに含まれる凹部62及び凸部64のY方向DYに沿った幅WDは、第2固定部60Bに含まれる凹部62及び凸部64のY方向DYに沿った幅WEと同一でもよい。これらの幅WD,WEは、中間位置決め部30Cに含まれる膨出部32及び受け部34の第3方向D3に沿った幅WCよりも小さく、この幅WCの半分以上であってもよい。これらの幅WD,WEは、第1位置決め部30A及び第2位置決め部30Bに含まれる膨出部32及び受け部34の第3方向D3に沿った幅WA,WB以上であってもよいし、これらの幅WA,WBと同一でもよい。図示された例において、幅WD及び幅WEは、幅WCの半分であり、幅WA,WBと同一となっている。
【0059】
図6に示すように、ケース50は、Z方向DZにおける一側に突出する突出部55を有している。突出部55は、第1側板部52Aに設けられ、当該第1側板部52Aから第1方向D1における一側に突出している。第1側板部52A上に、X方向DXに離間して複数の突出部55が設けられている。同様に、突出部55は、第2側板部52Bに設けられ、当該第2側板部52Bから第1方向D1における一側に突出している。第1側板部52A上に、X方向DXに離間して複数の突出部55が設けられている。突出部55は、X方向DXに延びている。
【0060】
また、
図8及び
図9に示すように、ケース50は、Z方向DZにおける他側に位置する他の蓄電素子モジュール40の突出部55を受ける開口部66を有している。開口部66は、Z方向DZにおける一側に凹み、Z方向DZにおける他側に開口している。開口部66は、突出部55を収容可能となっている。突出部55が開口部66に収容されることによって、複数の蓄電素子モジュール40をZ方向DZに積み重ね且つ複数の蓄電素子モジュール40のX方向DXやY方向DYへの相対移動を規制することができる。一つの蓄電素子モジュール40において、突出部55及び開口部66は、第1方向D1への投影において重なるように位置している。これにより、複数の蓄電素子モジュール40が、X方向DXやY方向DYにずれることなく、Z方向DZに積み重ねられる。とりわけ図示された例において、開口部66は、凸部64に設けられている。
【0061】
ケース50は、ケース本体50A及びケース蓋体50Bを有していてもよい。ケース蓋体50Bが、ケース本体50Aから取り外し可能に取り付けられてもよい。この例においては、ケース50内に収容されたセル70の検査や交換を行うことができる。
【0062】
図6及び
図7に示すように、ケース本体50Aは、天板部51B及び側板部52を構成してもよい。この例において、ケース蓋体50Bは、側板部52のZ方向DZにおける一側端部によって取り囲まれる位置に配置されている。ケース蓋体50Bは、天板部51Bを形成している。
図6及び
図7に示された例において、凹部62及び凸部64を含む固定部60は、ケース本体50Aに含まれる。例えば射出成形によって、固定部60はケース本体50Aのその他の部分と一体的に成形され得る。突出部55もケース本体50Aに含まれる。例えば射出成形によって、突出部55はケース本体50Aのその他の部分と一体的に成形され得る。このような例によれば、ケース50に含まれる複数の凹部62及び複数の凸部64の相対位置を安定して維持することができる。また、ケース50に含まれる突出部55及び開口部66の相対位置を安定して維持し、複数の蓄電素子モジュール40の積み重ねを安定させることができる。
【0063】
ところで、
図2に示すように、筐体20は、側壁部22に取り付けられた第1ストッパ81及び第2ストッパ82を更に有している。第1ストッパ81は、第1方向D1における一側から、蓄電素子モジュールの第1群G1に対面している。第2ストッパ82は、第1方向D1における一側から、蓄電素子モジュールの第2群G2に対面している。第1ストッパ81は、筐体20に固定されて、底壁部21上に載置された蓄電素子モジュールの第1群G1の第1方向D1における一側への移動を規制する。第2ストッパ82は、筐体20に固定されて、底壁部21上に載置された蓄電素子モジュールの第2群G2の第1方向D1における一側への移動を規制する。
図4に示すように、第1側壁部22Aには第1支持部23a及び第2支持部23bが設けられている。第2側壁部22Bには、
図3及び
図4に示すように、第2側壁部22Bには、第3支持部23c及び第4支持部23dが設けられている。第1ストッパ81は、第1支持部23a及び第3支持部23cに取り外し可能に取り付けられる。第2ストッパ82は、第2支持部23b及び第4支持部23dに取り外し可能に取り付けられる。
【0064】
また、
図2に示すように、蓄電素子ユニット10は、制御モジュール80を更に有している。図示された制御モジュール80は、第2ストッパ82上に配置されている。制御モジュール80は、例えば、複数の蓄電素子モジュール40の充電及び放電を制御する機能、蓄電素子モジュール40の充電状態(例えば充電量)を監視する機能、蓄電素子モジュール40の異常の有無を監視する機能の一以上を有する。また、制御モジュール80は、蓄電素子ユニット10の外部に設置された制御装置に、蓄電素子モジュール40の充電状態や異常の有無の監視結果などの情報を、送信するようにしてもよい。また、制御モジュール80は、蓄電素子ユニット10の外部の配線(例えば、建物の配線)と、蓄電素子モジュール40と、の間の電気的接続および遮断を切り替える開閉器を有するようにしてもよい。
【0065】
次に、以上の構成からなる蓄電素子ユニット10において、筐体20の内部スペース20Sに蓄電素子モジュール40を配置する方法について説明する。
【0066】
まず、筐体20を用意して床面や地面等の安定した場所に配置する。第1方向D1が鉛直方向に沿い、第1方向D1における一側が鉛直方向における上側となるようにして、筐体20を配置することが好ましい。所定位置に配置された筐体20は、第1方向D1における一側に開口している。
【0067】
次に、蓄電素子モジュール40を筐体20の内部スペース20Sに配置する。図示された例では、筐体20の底壁部21上に、二つ蓄電素子モジュール40を第3方向D3に並べて配置する。
図4及び
図5に示すように、筐体20は、底壁部21によって形成される底面から突出した三つの位置決め部30A,30B,30Cを有している。三つの位置決め部30A,30B,30Cは、互いから離間して第3方向D3に配置されている。一つの蓄電素子モジュール40が、第1位置決め部30A及び中間位置決め部30Cの間に配置され、他の一つの蓄電素子モジュール40が、中間位置決め部30C及び第2位置決め部30Bに配置される。各位置決め部30は、複数の膨出部32及び複数の受け部34を有している。膨出部32及び受け部34は、第2方向D2に交互に並んでいる。
【0068】
蓄電素子モジュール40は、ケース50の底板部51A及び側板部52A,52Bが接続する固定部60A,60Bを有している。
図9に示すように、固定部60A,60Bは、ケース50の長手方向であるX方向DXに延びている。各固定部60A,60Bは、複数の凹部62及び複数の凸部64を有している。凹部62及び凸部64は、X方向DXに交互に並んでいる。
【0069】
Z方向DZが第1方向D1に沿い、X方向DXが第2方向D2に沿うようにして、蓄電素子モジュール40を第1方向D1に一側から他側へ移動させ、蓄電素子モジュール40を筐体20の内部スペース20S内に挿入する。このとき、蓄電素子モジュール40を筐体20に対して第2方向D2及び第3方向D3にも位置合わせする。
【0070】
図6に示された例では、第3方向D3における他側に位置する蓄電素子モジュール40が、第3方向D3における一側に位置する蓄電素子モジュール40よりも先に筐体20の底壁部21上に配置されている。第3方向D3における他側に配置する蓄電素子モジュール40は、第1固定部60Aが中間位置決め部30Cに第1方向D1から対面し、第2固定部60Bが第2位置決め部30Bに第1方向D1から対面するように、筐体20に対して第3方向D3に位置合わせする。
【0071】
蓄電素子モジュール40を筐体20に対して第2方向D2にも位置合わせする。このとき、中間位置決め部30Cに対して第1固定部60Aを第2方向D2に位置合わせしてもよい。例えば、中間位置決め部30Cの第3膨出部32Cに第1固定部60Aの第3凹部62Cが第1方向D1対面し、中間位置決め部30Cの第4膨出部32Dに第1固定部60Aの第3凹部62Cが第1方向D1対面するように、蓄電素子モジュール40を筐体20に対して第2方向D2に位置合わせしてもよい。或いは、第2位置決め部30Bに対して第2固定部60Bを第2方向D2に位置合わせしてもよい。例えば、第2位置決め部30Bの第3膨出部32Cに第2固定部60Bの第3凹部62Cが第1方向D1対面し、第2位置決め部30Bの第4膨出部32Dに第2固定部60Bの第3凹部62Cが第1方向D1対面するように、蓄電素子モジュール40を筐体20に対して第2方向D2に位置合わせしてもよい。
【0072】
図4及び
図5に示すように、位置決め部30の膨出部32は、底壁部21から第1方向D1における一側に突出している。
図8に示すように、固定部60の凹部62は、Z方向DZにおける一側に凹んでいる。したがって、Z方向DZが第1方向D1に沿うようにして、蓄電素子モジュール40を第1方向D1における他側に移動させることによって、位置決め部30の膨出部32が、固定部60の凹部62に挿入される。膨出部32を凹部62に挿入することによって、蓄電素子モジュール40を筐体20に対して位置合わせすることができる。凹部62が設けられた固定部60は、蓄電素子モジュール40の側方から観察可能である。したがって、凹部62の位置を確認しながら、蓄電素子モジュール40を筐体20に対して容易に位置合わせすることができる。膨出部32が凹部62内に位置する状態で、蓄電素子モジュール40が筐体20に対して位置決めされる、すなわち位置合わせされた位置に保持される。
【0073】
また、
図8に示すように、固定部60のX方向DXに隣り合う二つの凹部62の間に、凸部64が設けられている。この凸部64に対応して、位置決め部30の第1方向D1に隣り合う二つの膨出部32の間に、凸部64を受ける受け部34が形成されている。位置決め部30の膨出部32が固定部60の凹部62に挿入される際、固定部60の凸部64が位置決め部30の受け部34に挿入される。すなわち、凸部64が受け部34に収容された状態で、蓄電素子モジュール40が筐体20に対して位置決めされる。
【0074】
なお、蓄電素子モジュール40が、位置合わせされるべき適切な位置からずれて、筐体20内に持ち込まれることも想定される。位置合わせが不十分のまま蓄電素子モジュール40を第1方向D1における他側に移動させると、固定部60の凸部64が位置決め部30の膨出部32上に乗り上げる。この場合、蓄電素子モジュール40のケース50を位置決め部30上で摺動させることによって、蓄電素子モジュール40を適切な位置に誘導することができる。したがって、蓄電素子モジュール40を筐体20に対して容易に位置合わせすることができる。
【0075】
以上に説明した第3方向D3における他側に位置する蓄電素子モジュール40と同様の手順により、第3方向D3における一側に位置する蓄電素子モジュール40も、筐体20に対して位置合わせされ、筐体20に対して位置決めされる。
【0076】
図6や
図7に示すように、位置決め部30の膨出部32は、第2方向D2に延びている。筐体20に対して位置決めされた蓄電素子モジュール40の固定部60は、第3方向D3に膨出部32と並ぶようになる。この具体例によれば、膨出部32は蓄電素子モジュール40の固定部60に沿って延びるようになる。したがって、第2方向D2に延びた膨出部32によって、蓄電素子モジュール40を筐体20に対して安定して位置決めすることができる。また、限られた筐体20の内部スペース20Sを有効利用して、蓄電素子モジュール40及び位置決め部30の配置に必要なスペースを小さくすることができる。
【0077】
位置決め部30は、第2方向D2に互いから離間して並べられた複数の膨出部32を含んでいる。固定部60に、複数の膨出部32を受ける複数の凹部62が設けられている。すなわち、複数の膨出部32のそれぞれに対して別個の凹部62が、第2方向D2に並べて用意されている。この図示された具体例によれば、複数の膨出部32及び複数の凹部62を利用して、蓄電素子モジュール40を筐体20に対して安定して位置決めすることができる。また、蓄電素子モジュール40が、位置合わせされるべき適切な位置からずれて、筐体20内に持ち込まれることも想定される。この想定において、複数の膨出部32及び複数の凹部62が設けられていると、蓄電素子モジュール40の位置調整が不十分で固定部60が位置決め部30の膨出部32上に乗り上げた場合としても、位置決め部30に乗り上げた蓄電素子モジュールの姿勢が不安定となることを抑制できる。したがって、例えば蓄電素子モジュール40のケース50を位置決め部30上で摺動させることによって、蓄電素子モジュール40を筐体20に対して容易に位置合わせすることができる。
【0078】
同様に、固定部60は複数の凸部64を有し、位置決め部30は複数の受け部34を有している。この構成によれば、複数の膨出部32がそれぞれ対応する凹部62に収容され且つ複数の凸部64がそれぞれ対応する受け部34に収容された状態で、蓄電素子モジュール40を筐体20に対して安定して位置決めすることができる。その一方で、蓄電素子モジュール40の筐体20への位置合わせが複雑化することもなく、位置合わせを容易に行うことができる。
【0079】
位置決め部30との位置合わせに用いられる固定部60は、蓄電素子モジュール40の長手方向であるX方向DXに沿って延びている。このため、凸部64や凹部62の第2方向D2に沿った長さを十分に長くすることができる。一つの固定部60に含まれる凸部64の数量や凹部62の数量を、十分に確保することができる。したがって、蓄電素子モジュール40を筐体20に対して安定して位置決めすること、すなわち適切な相対位置に維持することができる。
【0080】
図示された例において、筐体20は、第3方向D3に離間して第1位置決め部30A及び第2位置決め部30Bを有している。蓄電素子モジュール40は、第3方向D3に離間して配置された第1固定部60A及び第2固定部60Bを有している。第1位置決め部30Aの膨出部32は、第1固定部60Aの凹部62内に位置し、第2位置決め部30Bの膨出部32は、第2固定部60Bの凹部62内に位置する。この構成によれば、第3方向D3に配置される二つの蓄電素子モジュール40を、それぞれ、筐体20に対して容易に位置合わせすることができ、且つ、位置合わせした位置に安定して位置決めすることができる。
【0081】
図4~
図6に示すように、筐体20は、第3方向D3において隣り合う二つの蓄電素子モジュール40の間に位置する中間位置決め部30Cを有している。蓄電素子モジュール40は、第3方向D3に離間して配置された第1固定部60A及び第2固定部60Bを有している。中間位置決め部30Cの膨出部32は、第3方向D3に隣り合って配置される二つの蓄電素子モジュール40の固定部60の凹部62内に位置するようになる。すなわち、中間位置決め部30Cによって、第3方向D3に並べられた二つの蓄電素子モジュール40の両方を位置合わせすることができる。したがって、筐体20の構成が複雑化することを抑制し、簡易な構成の位置決め部30によって複数の蓄電素子モジュール40を位置合わせすることができる。また、
図4及び
図6に示すように、中間位置決め部30Cの第3方向D3における幅WCが広くなる。したがって、先に配置される蓄電素子モジュール40を第1方向D1において底壁部21に接近させる際、当該蓄電素子モジュール40に重なる領域から第3方向D3に延び出した膨出部32を観察することができる。したがって、膨出部32の位置を確認しながら、蓄電素子モジュール40を容易に位置合わせすることができる。
【0082】
第1位置決め部30Aに含まれる膨出部32及び第2位置決め部30Bに含まれる膨出部32は、第2方向D2に沿って延びる軸線を中心として線対称な位置に配置されている。同様に、蓄電素子モジュール40が適切に位置合わせされた状態において、蓄電素子モジュール40の第1固定部60Aに含まれる凹部62と、第2固定部60Bに含まれる凹部62とは、第2方向D2に沿って延びる軸線を中心として線対称な位置に配置されている。これらの構成によれば、一定の構成を有した蓄電素子モジュール40を、筐体20に対する一定の位置に容易に位置合わせすることができ、且つ、位置合わせした位置に安定して保持することができる。
【0083】
加えて、図示された蓄電素子モジュール40において、蓄電素子モジュール40の第1固定部60Aに含まれる凹部62と、第2固定部60Bに含まれる凹部62とは、Z方向DZに沿って延びる軸線を中心として回転非対称(例えば、二回対称(点対称))な位置に配置されている。つまり、蓄電素子モジュール40が筐体20に対して適切に位置合わせされた状態において、第1固定部60Aに含まれる凹部62と、第2固定部60Bに含まれる凹部62とは、第1方向D1に沿って延びる軸線を中心として回転非対称な位置に配置されている。この具体例によれば、ケース50の第1側板部52Aが第3方向D3における一側を向いている場合に限り、位置決め部30の膨出部32が凹部62に挿入され得るようにできる。したがって、蓄電素子モジュール40が、誤った向きにて筐体20内に収容されることを抑制することができる。これにより、一定の構成を有した蓄電素子モジュール40の第3方向D3における向きを正しく位置合わせすることができる。すなわち、ケース50の第1側板部52Aが第3方向D3における一側を向くように位置合わせすることができる。
【0084】
上述したように、好ましくは、一つの位置決め部30に含まれた複数の膨出部32の第2方向D2への配列ピッチと、一つの位置決め部30に含まれた複数の膨出部32の第2方向D2への長さと、の少なくとも一方が、一定でなく、変化する。この構成によれば、本来収容されるべき凹部62と第2方向D2に隣り合う他の凹部62に膨出部32が収容されることを、効果的に防止することができる。この構成によれば、蓄電素子モジュール40を筐体20に対して第2方向D2において適切ではない位置に配置することを抑制することができる。すなわち、第2方向D2において、蓄電素子モジュール40を筐体20に対して精度良く位置合わせすることができ、且つ、位置合わせした位置に安定して保持することができる。
【0085】
さらに、一つの位置決め部30に含まれた複数の膨出部32の配列ピッチP1の最小値(mm)は、第2方向D2に沿った筐体20の内寸LA(
図4参照)と、筐体20に対して位置決めされた蓄電素子モジュール40の第2方向D2に沿った長さ(蓄電素子モジュール40のX方向DXに沿った長さ)LB(
図9参照)と、の差(mm)より長くてしてもよい。この差は、筐体20の内部スペース20Sにおいて蓄電素子モジュール40が第2方向D2に移動できる長さとなる。この構成によれば、第2方向D2における蓄電素子モジュール40の筐体20に対する位置合わせが不十分であったとしても、膨出部32が収容されるべき凹部62とは異なる凹部62に収容されることを防止することができる。したがって、第2方向D2において、蓄電素子モジュール40を筐体20に対して精度良く位置合わせすることができ、且つ、位置合わせした位置に安定して保持することができる。
【0086】
以上のようにして、筐体20の底壁部21上に、二つ蓄電素子モジュール40が第3方向D3に並べて位置決めされる。次に、底壁部21上に載置された蓄電素子モジュール40に、別の蓄電素子モジュール40を積み重ねる。
【0087】
上述したように、蓄電素子モジュール40のケース50は、筐体20に対して位置決めされた状態において第1方向D1における一側に突出する突出部55を有している。また、ケース50は、筐体20に対して位置決めされた状態において第1方向D1における他側に開口した開口部66を有している。開口部66は、第1方向D1における一側に凹んだ凹所を形成している。第1方向D1における他側に位置する蓄電素子モジュール40の突出部55を開口部66で受けるようにして、この他側に位置する蓄電素子モジュール40の上に次の蓄電素子モジュール40を積み重ねていく。突出部55及び開口部66によって第2方向D2及び第3方向D3への位置合わせを行いながら、複数の蓄電素子モジュール40を第1方向D1に積み上げていくことができる。
【0088】
すなわち、図示された例において、第1方向D1において底壁部21に最も近接する蓄電素子モジュール40のみが、固定部60の凹部62に位置決め部30の膨出部32を収容することによって、筐体20に対して直接位置合わせ及び位置決めされる。蓄電素子モジュール40は、第1方向D1における底壁部21側に位置する他の蓄電素子モジュール40に接触することによって、当該他の蓄電素子モジュール40に対して位置合わせ及び位置決めされる。この具体例によれば、筐体20内に配置される複数の蓄電素子モジュール40を順に位置合わせ及び位置決めすることができる。したがって、例えば
図7に示すように、膨出部32の第1方向D1への突出高さを低くすることができる。これにより、筐体20の内部スペース20Sの小型化を図りながら、複数の蓄電素子モジュール40を精度良く筐体20の内部スペース20Sに配置することができる。
【0089】
なお、一つの蓄電素子モジュール40のケース50において、Z方向DZへの投影において、突出部55と重なる位置に開口部66が形成されている。また、一つのケース50に、複数の突出部55及び複数の開口部66が設けられている。したがって、蓄電素子モジュール40を第1方向D1へ安定して積み上げていくことができ、内部スペース20Sも省スペース化できる。また、蓄電素子モジュール40を積み重ねる際に、二つの蓄電素子モジュール40の間での位置合わせを容易に行うことができる。
【0090】
とりわけ、図示された例において、固定部60の凸部64が、第3方向D3に突出し、第1方向D1における底壁部21側に開口して他の蓄電素子モジュール40の突出部55を受ける。すなわち、凸部64に開口部66が設けられている。この具体例によれば、筐体20との位置合わせ及び位置決めに用いられる凸部64を利用して、第1方向D1に並ぶ二つの蓄電素子モジュール40の位置決めを行うことができる。これにより、蓄電素子モジュール40や筐体20の構成を複雑化させることなく、第1方向D1に重ねられる複数の蓄電素子モジュール40を筐体20に対して精度良く位置合わせすることができ、且つ、位置合わせした位置に安定して保持することができる。
【0091】
以上のようにして、内部スペース20S内における第3方向D3における一側に、第1群G1として、三つの蓄電素子モジュール40を積み重ねて収容する。また、内部スペース20S内における第3方向D3における他側に、第2群G2として、四つの蓄電素子モジュール40を積み重ねて収容する。その後、第1ストッパ81を筐体20に取り付ける。第1ストッパ81によって、蓄電素子モジュールの第1群G1の第1方向D1への移動を規制する。第2ストッパ82を筐体20に取り付け、蓄電素子モジュールの第2群G2の第1方向D1への移動を規制する。次に、第2ストッパ82上に制御モジュール80を配置および固定する。その後、各蓄電素子モジュール40と制御モジュール80とを電気的に接続する。次に、蓋板部15を筐体20に取り付ける。
【0092】
以上のようにして、複数の蓄電素子モジュール40を筐体20内に収容してなる蓄電素子ユニット10が得られる。
【0093】
この蓄電素子ユニット10において、筐体20の内部スペース20Sに収容された蓄電素子モジュール40は、第1方向D1において底壁部21と第1ストッパ81又は第2ストッパ82との間に位置している。蓄電素子モジュール40は、対応するストッパ81,82によって第1方向D1への所定長さを超える移動を規制される。この蓄電素子ユニット10において、ストッパ81,82によって第1方向D1への移動を許容される所定長さを、第1方向D1への膨出部32の底壁部21からの突出長さ(突出高さ)よりも小さくしてもよい。
【0094】
上述したように、第2方向D2及び第3方向D3への位置合わせが不十分なまま蓄電素子モジュール40を底壁部21上に配置しようとすると、ケース50が位置決め部30の膨出部32に乗り上げる。このとき、蓄電素子モジュール40は、本来予定された位置よりも第1方向D1における一側にずれた位置に配置される。この蓄電素子モジュール40を修正することなく、第1方向D1に別の蓄電素子モジュール40を積み上げていくと、第1方向D1における最も一側に位置する蓄電素子モジュール40は、少なくとも部分的に、ストッパ81,82が取り付けられるべき領域に位置するようになる。このとき、ストッパ81,82を予定された位置に配置すること、例えば第1~第4支持部23a~23d上に載置することは、不可能となる。結果として、ストッパ81,82の取り付け時に、位置合わせが不十分である蓄電素子モジュール40の存在を、作業者が把握することができる。
【0095】
また、筐体20に蓋板部15が取り付けられる。筐体20の内部スペース20Sに収容された蓄電素子モジュール40や制御モジュール80等の部材は、第1方向D1において底壁部21と蓋板部15との間に位置している。筐体20の内部スペース20Sに収容された部材は、蓋板部15よって第1方向D1への所定長さを超える移動を規制される。この蓄電素子ユニット10において、蓋板部15によって第1方向D1への移動を許容される所定長さを、第1方向D1への膨出部32の底壁部21からの突出長さ(突出高さ)よりも小さくしてもよい。このような構成によっても、蓋板部15の取り付け時に、位置合わせが不十分である蓄電素子モジュール40の存在を、作業者が把握することができる。
【0096】
上述してきた一実施の形態において、蓄電素子ユニット10は、底壁部21及び側壁部22を有し第1方向D1に開口した筐体20と、筐体20に収容される蓄電素子モジュール40と、を有している。筐体20は、底壁部21から第1方向D1に突出した膨出部32を含む位置決め部30を有している。蓄電素子モジュール40は、底板部51A及び側板部52を有するケース50と、ケース50に収容されたセル70と、を有している。ケース50の底板部51A及び側板部52が接続する固定部60に、膨出部32を受ける凸部64が設けられている。膨出部32が凸部64内に位置する状態で、蓄電素子モジュール40が筐体20に対して位置決めされる。
【0097】
この一実施の形態によれば、筐体20の膨出部32と蓄電素子モジュール40の凹部62とを用いて、蓄電素子モジュール40を筐体20に対して容易に位置合わせすることができ、さらに位置合わせした状態に蓄電素子モジュール40を位置決めすることができる。例えば、ケース50が膨出部32に乗り上げた状態で、蓄電素子モジュール40を第2方向D2や第3方向D3にずらすことで、蓄電素子モジュール40を筐体20に対して容易に位置合わせすることもできる。とりわけ、凹部62がケース50の底板部51A及び側板部52の固定部60に設けられているので、作業者が凹部62の位置を容易に把握することができる。以上のことから、筐体20の限られた内部スペース20S内における重量の重い蓄電素子モジュール40の取り扱いを容易化することができる。
【0098】
上述した一実施の形態の具体例において、
図8に示すように、固定部60のX方向DXに隣り合う二つの凹部62の間に、凸部64が設けられている。この凸部64に対応して、位置決め部30の第1方向D1に隣り合う二つの膨出部32の間に、凸部64を受ける受け部34が形成されている。位置決め部30の膨出部32が固定部60の凹部62に挿入される際、固定部60の凸部64が位置決め部30の受け部34に挿入される。すなわち、凸部64が受け部34に収容された状態で、蓄電素子モジュール40が筐体20に対して位置決めされる。この構成によれば、膨出部32が凹部62内に位置し且つ凸部64が受け部34内に位置することによって、蓄電素子モジュール40を筐体20に対して安定して位置決めすることができる。その一方で、蓄電素子モジュール40の筐体20への位置合わせが複雑化することもなく、位置合わせを容易に行うことができる。
【0099】
具体例を参照しながら一実施の形態を説明してきたが、上述の具体例は一実施の形態を限定しない。上述した一実施の形態は、その他の様々な具体例で実施でき、その要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、追加等を行うことができる。
【0100】
例えば、一つ位置決め部30に含まれる膨出部32及び受け部34の位置、数量、長さ、幅等を、適宜変更してもよい。同様に、一つの固定部60に含まれる凹部62及び凸部64の位置、数量、長さ、幅等を、適宜変更してもよい。また、筐体20に含まれる位置決め部30の位置、数量、長さ等を、適宜変更してもよい。同様に、一つのケース50に含まれる固定部60の位置、数量、長さ、幅等を、適宜変更してもよい。また、膨出部32や位置決め部30が底壁部21に固定されることに代えて、膨出部32や位置決め部30の少なくとも一部分が、側壁部22に固定されてもよいし、底壁部21および側壁部22の両方に固定されてもよい。また、膨出部32や位置決め部30の少なくとも一分部が、底壁部21と一体的に形成されてもよいし、側壁部22と一体的に形成されてもよいし、底壁部21及び側壁部22の両方と一体的に形成されてもよい。
【0101】
また、図示された例とは異なり、一つの位置決め部30に含まれる膨出部32の配列ピッチP1を一定としてもよい。一つの位置決め部30に含まれる膨出部32の長さL1を一定としてもよい。同様に、一つの固定部60に含まれる凹部62の配列ピッチP3を一定としてもよい。一つの固定部60に含まれる凹部62の長さL3を一定としてもよい。
【符号の説明】
【0102】
10:蓄電素子ユニット、15:蓋板部、20:筐体、20S:内部スペース、21:底壁部、22:側壁部、22A:第1側壁部、22B:第2側壁部、22C:第3側壁部、22D*第4側壁部、23a:第1支持部、23b:第2支持部、23c:第3支持部、23d:第4支持部、30:位置決め部、30A:第1位置決め部、30B:第2位置決め部、30C:中間位置決め部、32:膨出部、32A第1膨出部、32B第2膨出部、32C第3膨出部、32D第4膨出部、32E第5膨出部、34:受け部、34A:第1受け部、34B:第2受け部、34C:第3受け部、34D:第4受け部、40:蓄電素子モジュール、50:ケース50、50A:ケース本体、50B:ケース蓋体、51:主板部、51A:底板部、51B:天板部、52:側板部、52A:第1側板部、52B:第2側板部、52C:第3側板部、52D:第4側板部、55:突出部、60:固定部、60A:第1固定部、60B:第2固定部、62:凹部、62A:第1凹部、62B:第2凹部、62C:第3凹部、62D:第4凹部、62E:第5凹部、64:凸部、64A:第1凸部、64B:第2凸部、64C:第3凸部、64D:第4凸部、66:開口部、70:セル、71:電極板、72:外装体、73:タブ、80:制御モジュール、81:第1ストッパ、82:第2ストッパ、D1:第1方向、D2:第2方向、D3:第3方向、DZ:Z方向、DX:X方向、DY:Y方向、G1:第1群、G2:第2群