(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022136888
(43)【公開日】2022-09-21
(54)【発明の名称】電源装置
(51)【国際特許分類】
H02M 3/28 20060101AFI20220913BHJP
【FI】
H02M3/28 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021036710
(22)【出願日】2021-03-08
(71)【出願人】
【識別番号】000002037
【氏名又は名称】新電元工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山田 規昭
【テーマコード(参考)】
5H730
【Fターム(参考)】
5H730AA14
5H730BB26
5H730BB27
5H730BB62
5H730BB82
5H730BB88
5H730DD03
5H730DD04
5H730EE03
5H730EE04
5H730EE07
5H730EE59
5H730EE73
5H730EE76
5H730FD01
5H730FD31
5H730FG05
5H730FG07
5H730FG22
(57)【要約】
【課題】出力電流を少なくすることができる電源装置を提供する。
【解決手段】電源装置は、DC-DCコンバータと、DC-DCコンバータの第1の出力電流-出力電圧特性よりも高電力側では、DC-DCコンバータのスイッチング制御信号のスイッチング周波数を変化させる第1モードによってDC-DCコンバータを制御し、第1の出力電流-出力電圧特性よりも低電力側では、スイッチング制御信号のスイッチング周波数を固定しパルス幅を変化させる、又は、パルス幅を固定しスイッチング周波数を変化させる、第2モードによってDC-DCコンバータを制御する制御装置と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力電圧を変換して出力するDC-DCコンバータと、
前記DC-DCコンバータの第1の出力電流-出力電圧特性よりも高電力側では、前記DC-DCコンバータのスイッチング制御信号のスイッチング周波数を変化させる第1モードによって前記DC-DCコンバータを制御し、前記第1の出力電流-出力電圧特性よりも低電力側では、前記スイッチング制御信号のスイッチング周波数を固定しパルス幅を変化させる、又は、パルス幅を固定しスイッチング周波数を変化させる、第2モードによって前記DC-DCコンバータを制御する制御装置と、
を備える、
ことを特徴とする、電源装置。
【請求項2】
前記制御装置は、
前記第1の出力電流-出力電圧特性よりも低電力側において、操作量が予め定められた第1閾値未満且つ前記第1閾値よりも小さい予め定められた第2閾値以上の場合には、前記スイッチング制御信号のスイッチング周波数を固定してパルス幅を変化させる制御を行い、操作量が前記第2閾値未満の場合には、パルス幅を固定してスイッチング周波数を変化させる制御を行う、
ことを特徴とする、請求項1に記載の電源装置。
【請求項3】
前記制御装置は、
前記第1モードと前記第2モードとの間の切り替えの際には、前記第1の出力電流-出力電圧特性よりも高電力側の第2の出力電流-出力電圧特性まで、前記第2モードによって前記DC-DCコンバータを制御する、
ことを特徴とする、請求項1又は2に記載の電源装置。
【請求項4】
前記制御装置は、
前記第1モードから前記第2モードへの切り替えの際には、前記第1の出力電流-出力電圧特性まで前記第1モードによって前記DC-DCコンバータを制御し、前記スイッチング制御信号のスイッチング周波数が前記第1モードの周波数変調における周波数上限であることが一定時間継続したら、前記第2モードの出力電圧別に予め定められている操作量によって前記DC-DCコンバータを制御する、
ことを特徴とする、請求項3に記載の電源装置。
【請求項5】
前記第2の出力電流-出力電圧特性になるように、前記第2モードの出力電圧別に、操作量の上限値である操作量上限値が予め定められており、前記第2の出力電流-出力電圧特性になるように、前記第2モードの出力電圧別に、出力電流の上限値である出力電流上限値が予め定められており、
前記制御装置は、
前記第2モードから前記第1モードへの切り替えの際には、操作量が前記操作量上限値であることが一定時間継続したら、又は、出力電流が前記出力電流上限値であることが一定時間継続したら、前記第1モードの周波数変調の周波数上限又はその付近で前記DC-DCコンバータを制御する、
ことを特徴とする、請求項3又は4に記載の電源装置。
【請求項6】
前記制御装置は、前記DC-DCコンバータの内のハイサイドのスイッチング素子及びローサイドのスイッチング素子に前記スイッチング制御信号を出力する駆動回路を含み、
前記駆動回路の内の前記ハイサイドのスイッチング素子に前記スイッチング制御信号を出力する回路の電源回路は、前記ローサイドのスイッチング素子のスイッチング動作に依存しない電源回路である、
ことを特徴とする、請求項1から5のいずれか1項に記載の電源装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、スイッチングトランジスタを間欠動作させるDC-DCコンバータが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Andrea Merello、”アプリケーション・ノート:AN-1123”、[online]、インターナショナル・レクティファイアー・ジャパン、[令和2年12月10日検索]、インターネット(URL:https://www.infineon.com/dgdl/AN-1123J.pdf?fileId=5546d46256fb43b301574c5f2b487be7)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
電流共振コンバータ(LLCコンバータ)は、スイッチング周波数を変化させること(以下、「周波数変調」と称する)により、出力電流を変化させることができる。即ち、LLCコンバータは、スイッチング周波数を高くすると、出力電流を少なくすることができ、スイッチング周波数を低くすると、出力電流を多くすることができる。
【0006】
但し、特に出力電圧が低い領域において、周波数変調のみで制御するLLCコンバータは、出力電流に下限がある。しかしながら、出力電流を更に少なくすることが望ましい。
【0007】
本発明は、出力電流を少なくすることが可能な電源装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様の電源装置は、
入力電圧を変換して出力するDC-DCコンバータと、
前記DC-DCコンバータの第1の出力電流-出力電圧特性よりも高電力側では、前記DC-DCコンバータのスイッチング制御信号のスイッチング周波数を変化させる第1モードによって前記DC-DCコンバータを制御し、前記第1の出力電流-出力電圧特性よりも低電力側では、前記スイッチング制御信号のスイッチング周波数を固定しパルス幅を変化させる、又は、パルス幅を固定しスイッチング周波数を変化させる、第2モードによって前記DC-DCコンバータを制御する制御装置と、
を備える、
ことを特徴とする。
【0009】
前記電源装置において、
前記制御装置は、
前記第1の出力電流-出力電圧特性よりも低電力側において、操作量が予め定められた第1閾値未満且つ前記第1閾値よりも小さい予め定められた第2閾値以上の場合には、前記スイッチング制御信号のスイッチング周波数を固定してパルス幅を変化させる制御を行い、操作量が前記第2閾値未満の場合には、パルス幅を固定してスイッチング周波数を変化させる制御を行う、
ことを特徴とする。
【0010】
前記電源装置において、
前記制御装置は、
前記第1モードと前記第2モードとの間の切り替えの際には、前記第1の出力電流-出力電圧特性よりも高電力側の第2の出力電流-出力電圧特性まで、前記第2モードによって前記DC-DCコンバータを制御する、
ことを特徴とする。
【0011】
前記電源装置において、
前記制御装置は、
前記第1モードから前記第2モードへの切り替えの際には、前記第1の出力電流-出力電圧特性まで前記第1モードによって前記DC-DCコンバータを制御し、前記スイッチング制御信号のスイッチング周波数が前記第1モードの周波数変調における周波数上限であることが一定時間継続したら、前記第2モードの出力電圧別に予め定められている操作量によって前記DC-DCコンバータを制御する、
ことを特徴とする。
【0012】
前記電源装置において、
前記第2の出力電流-出力電圧特性になるように、前記第2モードの出力電圧別に、操作量の上限値である操作量上限値が予め定められており、前記第2の出力電流-出力電圧特性になるように、前記第2モードの出力電圧別に、出力電流の上限値である出力電流上限値が予め定められており、
前記制御装置は、
前記第2モードから前記第1モードへの切り替えの際には、操作量が前記操作量上限値であることが一定時間継続したら、又は、出力電流値が前記出力電流上限値であることが一定時間継続したら、前記第1モードの周波数変調の周波数上限又はその付近で前記DC-DCコンバータを制御する、
ことを特徴とする。
【0013】
前記電源装置において、
前記制御装置は、前記DC-DCコンバータの内のハイサイドのスイッチング素子及びローサイドのスイッチング素子に前記スイッチング制御信号を出力する駆動回路を含み、
前記駆動回路の内の前記ハイサイドのスイッチング素子に前記スイッチング制御信号を出力する回路の電源回路は、前記ローサイドのスイッチング素子のスイッチング動作に依存しない電源回路である、
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明の一態様の電源装置は、出力電流を少なくすることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、第1の実施の形態の電源装置の構成を示す図である。
【
図2】
図2は、DC-DCコンバータの出力電流-出力電圧特性の一例を示す図である。
【
図3】
図3は、第1の実施の形態の電源装置の動作モードを示す図である。
【
図4】
図4は、第2の実施の形態の電源装置の構成を示す図である。
【
図5】
図5は、第3の実施の形態の電源装置の構成を示す図である。
【
図6】
図6は、第4の実施の形態の電源装置の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明の電源装置の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態により本発明が限定されるものではない。
【0017】
<第1の実施の形態>
(全体構成)
図1は、第1の実施の形態の電源装置の構成を示す図である。電源装置1は、入力電圧Vinの供給を直流電源2から受けて、直流の出力電圧Voutを負荷3に出力する。
【0018】
電源装置1は、DC-DCコンバータ4と、電流センサ5と、電圧センサ6と、制御装置7と、を含む。
【0019】
DC-DCコンバータ4は、トランス駆動回路11と、トランス12と、整流回路13と、コンデンサ14と、を含む。
【0020】
DC-DCコンバータ4は、ハーフブリッジ型の電流共振コンバータ(LLCコンバータ)とするが、本開示はこれに限定されない。
【0021】
トランス駆動回路11は、トランジスタ11a及び11bと、コンデンサ11c及び11dと、を含む。第1の実施の形態では、トランス駆動回路11は、ハーフブリッジ回路である。
【0022】
なお、本開示では、各トランジスタがMOSFETであることとしたが、これに限定されない。各トランジスタは、シリコンパワーデバイス、GaNパワーデバイス、SiCパワーデバイス、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)などでも良い。
【0023】
各トランジスタは、寄生ダイオード(ボディダイオード)を有する。寄生ダイオードとは、MOSFETのバックゲートとソース及びドレインとの間のpn接合である。寄生ダイオードは、トランジスタのオフ時の過渡的な逆起電力を逃すためのフリーホイールダイオードとして利用可能である。寄生ダイオードに加えて、各トランジスタのドレインとソース間にダイオード素子を付加しても良い。
【0024】
トランジスタ11a及び11bの各々は、制御装置7によってオン状態又はオフ状態に制御される。
【0025】
トランジスタ11aのソースは、トランジスタ11bのドレインに電気的に接続されている。トランジスタ11aのドレインは、コンデンサ11cの一端(高電位側端)に電気的に接続されている。コンデンサ11cの他端(低電位側端)は、コンデンサ11dの一端(高電位側端)に電気的に接続されている。トランジスタ11bのソースは、コンデンサ11dの他端(低電位側端)に電気的に接続されている。
【0026】
トランジスタ11aのドレインとコンデンサ11cの一端との接続点が、トランス駆動回路11の一方の入力端子である。トランジスタ11bのソースとコンデンサ11dの他端との接続点が、トランス駆動回路11の他方の入力端子である。
【0027】
トランス駆動回路11の一方の入力端子は、直流電源2の一端(高電位側端)に電気的に接続されている。トランス駆動回路11の他方の入力端子は、直流電源2の他端(低電位側端)に電気的に接続されている。
【0028】
トランス駆動回路11の2つの入力端子には、直流電源2から入力電圧Vinが入力される。
【0029】
コンデンサ11cの他端とコンデンサ11dの一端との接続点が、トランス駆動回路11の一方の出力端子である。トランジスタ11aのソースとトランジスタ11bのドレインとの接続点が、トランス駆動回路11の他方の出力端子である。
【0030】
トランス12は、1次巻線12aと、2次巻線12bと、コア12cと、を含む。1次巻線12a及び2次巻線12bは、コア12cに巻回されている。
【0031】
DC-DCコンバータ4は、トランス駆動回路11とトランス12との間に、インダクタンス12eを含む。インダクタンス12eは、トランス12に含まれても良い。
【0032】
1次巻線12aは、励磁インダクタンス12dを含む。1次巻線12aの一端は、トランス駆動回路11の一方の出力端子に電気的に接続されている。1次巻線12aの他端は、トランス駆動回路11の他方の出力端子に電気的に接続されている。なお、励磁インダクタンス12dでは不足の場合は、インダクタンスを有する素子を更に付加しても良い。
【0033】
トランス駆動回路11は、正方向の直流電圧、負方向の直流電圧、又は、共振電圧をトランス12の1次巻線12aに出力する。共振電圧は、トランジスタ11a及び11bの容量成分と、インダクタンス成分(インダクタンス12e及び励磁インダクタンス12d)とによるLC共振で生じる電圧である。
【0034】
例えば、トランス駆動回路11は、トランジスタ11aがオフ状態、且つ、トランジスタ11bがオン状態の場合、正方向の直流電圧をトランス12の1次巻線12aに出力する。
【0035】
また例えば、トランス駆動回路11は、トランジスタ11aがオン状態、且つ、トランジスタ11bがオフ状態の場合、負方向の直流電圧をトランス12の1次巻線12aに出力する。
【0036】
また例えば、トランス駆動回路11は、トランジスタ11aがオフ状態、且つ、トランジスタ11bがオフ状態の場合、共振電圧をトランス12の1次巻線12aに出力する。
【0037】
整流回路13は、ダイオード13a及び13bを含む。ダイオード13aのアノードは、トランス12の2次巻線12bの一端に電気的に接続されている。ダイオード13bのアノードは、トランス12の2次巻線12bの他端に電気的に接続されている。
【0038】
ダイオード13aのカソード及びダイオード13bのカソードは、コンデンサ14の一端(高電位側端)に電気的に接続されている。コンデンサ14の他端(低電位側端)は、トランス12の2次巻線12bの中点に電気的に接続されている。
【0039】
整流回路13は、トランス12の2次巻線12bに励磁される電圧を整流して、コンデンサ14に出力する。コンデンサ14は、整流回路13で整流された電圧を平滑化する。整流回路13は、同期整流スイッチング素子で構成されても良い。
【0040】
コンデンサ14の一端は、負荷3の一端(例えば、リチウムイオン電池の正極)に電気的に接続されている。コンデンサ14の他端は、負荷3の他端(例えば、リチウムイオン電池の負極)に電気的に接続されている。負荷3には、コンデンサ14で平滑化された直流電圧が入力される。
【0041】
電流センサ5は、コンデンサ14の他端と負荷3の他端との間に電気的に接続されている。電流センサ5は、DC-DCコンバータ4から負荷3に流れる出力電流Ioutを表す電流センサ信号S1を制御装置7に出力する。
【0042】
電圧センサ6は、コンデンサ14の両端の間に電気的に接続されている。電圧センサ6は、DC-DCコンバータ4から負荷3に印加される出力電圧Voutを表す電圧センサ信号S2を制御装置7に出力する。
【0043】
制御装置7は、電流センサ信号S1で表される出力電流値が電流、電力、電圧指示部8から入力される電流、電力、電圧指示値信号S3で表される電流、電力、電圧指示値になるように、DC-DCコンバータ4を制御する。
【0044】
制御装置7は、減算器7aと、電流制御器7bと、スイッチング制御部7cと、駆動回路7dと、目標電流値出力部7eと、を含む。駆動回路7dは、第1駆動回路7d1と、第2駆動回路7d2と、を含む。
【0045】
目標電流値出力部7eは、電圧センサ信号S2で表される電圧が電流、電力、電圧指示値信号S3で表される目標電圧より高ければ、目標電流を下げる。目標電流値出力部7eは、電圧センサ信号S2で表される電圧が電流、電力、電圧指示値信号S3で表される電圧より低ければ、目標電流を上げる。目標電流値出力部7eは、目標電流を表す目標電流信号S9を、減算器7aに出力する。
【0046】
減算器7aは、目標電流値出力部7eから入力される目標電流信号S9から、電流センサ信号S1を減算することにより、電流偏差信号S4を、電流制御器7bに出力する。
【0047】
電流制御器7bは、電流偏差信号S4に制御演算を実行することにより、操作量S5を、スイッチング制御部7cに出力する。電流制御器7bが実行する制御演算は、PID(比例積分微分)制御演算、PI制御演算、PD制御演算等が例示されるが、本開示はこれに限定されない。
【0048】
操作量S5は、負荷が重いほど大きな値となり、負荷が軽いほど小さな値となる。
【0049】
スイッチング制御部7cは、電流センサ信号S1、電圧センサ信号S2、及び、操作量S5に基づいて、スイッチング周波数及びパルス幅を決定する。スイッチング制御部7cは、スイッチング周波数及びパルス幅を表す制御信号S6を、駆動回路7dに出力する。
【0050】
第1駆動回路7d1は、制御信号S6に基づいて、スイッチング制御信号S7を、トランジスタ11aのゲートに出力する。第2駆動回路7d2は、制御信号S6に基づいて、スイッチング制御信号S8を、トランジスタ11bのゲートに出力する。
【0051】
(制御動作)
図2は、DC-DCコンバータの出力電流-出力電圧特性の一例を示す図である。
図2において、横軸は、DC-DCコンバータ4の出力電流を表し、縦軸は、出力電圧を表す。線100は、DC-DCコンバータ4の仕様上の最大出力(定格出力)のmax値を表す。線101は、DC-DCコンバータ4の仕様上の最大出力のmin値を表す。線102は、DC-DCコンバータ4の最大出力の実測値を表す。
【0052】
線103は、DC-DCコンバータ4が、LLCコンバータの一般的な制御と同じ周波数変調で出力することが可能な出力電流の下限を示す線である。線103は、DC-DCコンバータ4を構成する素子の素子値、スイッチング周波数の上限値によって定まる。
【0053】
線103で示すように、DC-DCコンバータ4は、出力電圧が高い場合は、出力電流を非常に小さくすることができる。しかし、DC-DCコンバータ4は、出力電圧が低い場合は、出力電流を小さくすることができない。
【0054】
線103で表される電源装置1の特性が、本開示の「第1の出力電流-出力電圧特性」の一例に相当する。
【0055】
図3は、第1の実施の形態の電源装置の動作モードを示す図である。
【0056】
表110に示すように、電源装置1は、第1モード(重負荷モード)と、第2モード(軽負荷モード)と、を有する。
【0057】
第1モードは、LLCコンバータの一般的な制御と同じ周波数変調モードである。第2モードは、電源装置1に特有なモードであり、周波数固定パルス幅変調制御と、パルス幅固定周波数変調制御と、を含む。
【0058】
スイッチング制御部7cは、操作量S5が予め定められた第1閾値Th1以上の場合は、DC-DCコンバータ4を第1モードで動作させる。第1モードでは、スイッチング制御部7cは、デッドタイムを固定する。そして、スイッチング制御部7cは、操作量S5に応じて、スイッチング周波数を予め定められたf3[kHz(キロヘルツ)]から予め定められたf4[kHz]までの範囲で変動させる。ここで、f3>f4である。
【0059】
スイッチング制御部7cは、操作量S5が第1閾値Th1未満の場合は、DC-DCコンバータ4を第2モードで動作させる。
【0060】
更に、スイッチング制御部7cは、操作量S5が第1閾値Th1未満且つ予め定められた第2閾値Th2以上の場合は、DC-DCコンバータ4を周波数固定パルス幅変調で制御する。ここで、Th2<Th1である。
【0061】
スイッチング制御部7cは、第2モードの周波数固定パルス幅変調制御では、スイッチング周波数を予め定められたf2[kHz]に固定する。そして、スイッチング制御部7cは、操作量S5に応じて、パルス幅を、予め定められた固定値のA[μs(マイクロ秒)]から、変動し得るB[μs]までの範囲で変動させる。ここで、f2<f3であり、A<Bである。なお、B[μs]は、出力電圧Voutに応じて変動することとしても良い。
【0062】
一方、スイッチング制御部7cは、操作量S5が第2閾値Th2未満の場合は、DC-DCコンバータ4をパルス幅固定周波数変調で制御する。
【0063】
スイッチング制御部7cは、第2モードのパルス幅固定周波数変調制御では、パルス幅をA[μs]に固定する。そして、スイッチング制御部7cは、操作量S5に応じて、スイッチング周波数をf1[kHz]からf2[kHz]までの範囲で変動させる。ここで、f1<f2である。
【0064】
再び
図2を参照すると、線104は、DC-DCコンバータ4が第2モードのパルス幅固定周波数変調制御で出力することが可能な出力電流の下限を示す線である。
【0065】
基本的には(例えば、定常動作時には)、スイッチング制御部7cは、線103よりも高出力側(
図2中右側)では、第1モードでDC-DCコンバータ4を動作させ、線103よりも低出力側(
図2中左側)では、第2モードでDC-DCコンバータ4を動作させる。
【0066】
但し、スイッチング制御部7cは、第1モードと第2モードとの切り替えの際に、線103よりも高出力側の線105まで、第2モードでDC-DCコンバータ4を動作させるようにした。その理由は、第1モードと第2モードとが頻繁に切り替わらないようにするためである。
【0067】
線105で表される電源装置1の特性が、本開示の「第2の出力電流-出力電圧特性」の一例に相当する。
【0068】
スイッチング制御部7cは、第1モードから第2モードへの切り替えの際には、線103まで、第1モードでDC-DCコンバータ4を動作させる。そして、スイッチング制御部7cは、線103から一定範囲内での動作が一定時間継続したら、線103上になるように、出力電圧Vout別に予め定められた操作量によって、第2モードでDC-DCコンバータ4を動作させる。
【0069】
例えば、スイッチング制御部7cは、スイッチング周波数が第1モードの周波数変調における周波数上限であることが一定時間継続したら、第2モードの出力電圧Vout別に予め定められた操作量によってDC-DCコンバータ4を制御する。
【0070】
これにより、1ms(ミリ秒)から3ms程度の時間は、DC-DCコンバータ4の出力電流が乱れることになるが、この出力電流の乱れは、直ぐに収束する。
【0071】
また、スイッチング制御部7cは、第2モードから第1モードへの切り替えの際には、線105まで、第2モードでDC-DCコンバータ4を動作させる。そして、スイッチング制御部7cは、線105から一定範囲内での動作が一定時間継続したら、線103上で、第1モードでDC-DCコンバータ4を動作させる。
【0072】
例えば、線105の出力電流-出力電圧特性になるように、第2モードの出力電圧Vout別に、操作量S5の上限値である操作量上限値が予め定められる。また、線105の出力電流-出力電圧特性になるように、第2モードの出力電圧Vout別に、出力電流Ioutの上限値である出力電流上限値が予め定められる。そして、スイッチング制御部7cは、操作量S5が操作量上限値であることが一定時間継続したら、又は、出力電流Ioutが出力電流上限値であることが一定時間継続したら、第1モードの周波数変調における周波数上限又はその付近でDC-DCコンバータ4を動作させる。周波数上限の付近とは、周波数上限から1kHzから10kHz程度の範囲が例示されるが、本開示はこれに限定されない。
【0073】
これにより、1msから3ms程度の時間は、DC-DCコンバータ4の出力電流が乱れることになるが、この出力電流の乱れは、直ぐに収束する。
【0074】
以上を整理すると、線103から高出力側(
図2中右側)の範囲が、DC-DCコンバータ4が第1モードで動作する動作範囲106となる。また、線104から線105までの範囲が、DC-DCコンバータ4が第2モードで動作する動作範囲107となる。
【0075】
(効果)
LLCコンバータの一般的な周波数変調制御では、線103までしか、出力電流を下げることができなかった。一方、電源装置1は、第2モードで動作することにより、線104まで、出力電流を下げることが可能である。
【0076】
(変形例)
なお、ハイサイドのトランジスタ11aのゲートにスイッチング制御信号S7を出力する第1駆動回路7d1の電源回路は、一般に、ブートストラップ回路(例えば、非特許文献1参照)が用いられる。
【0077】
Nチャネル型のトランジスタは、ゲート-ソース間の電位差(電圧)によって、オンオフ制御される。ローサイドのトランジスタ11bは、ソースが基準電位であるので、ゲートに印加されるスイッチング制御信号S8の電位が高電位ではなくても、オンオフ制御可能である。しかし、ハイサイドのトランジスタ11aは、ソースが高電位であるので、ゲートに印加されるスイッチング制御信号S7の電位が高電位でないと、オンオフ制御できない。従って、ハイサイドのトランジスタ11aのゲートに高い電位のスイッチング制御信号S7を印加するために、第1駆動回路7d1は高い電源電圧を必要とする。
【0078】
上記した高い電源電圧をシンプル且つ低コストで実現するために、一般に、ブートストラップ回路が用いられる。
【0079】
しかしながら、ブートストラップ回路は、ローサイドのトランジスタ11bが或る程度のスイッチング周波数及びパルス幅で動作しないと、コンデンサが充分にチャージされず、充分な電圧を生じることができない。このことから、トランジスタ11bのスイッチング周波数及びパルス幅には、下限がある。第2モードの下限である線104は、この下限によるものである。
【0080】
なお、従来の周波数変調制御(本実施の形態の第1モードに相当)は、線103が下限であったので、第1駆動回路7d1の電源回路がブートストラップ回路であるか否かが下限に関係することはなかった。一方、本実施の形態では、第2モードを備え、線104が下限になったので、第1駆動回路7d1の電源回路がブートストラップ回路であるか否かが下限に関係することになる。
【0081】
そこで、第1駆動回路7d1の電源回路は、ブートストラップ回路ではなく、ローサイドのトランジスタ11bのスイッチング動作に依存しない、独立した電源回路とすると好ましい。これにより、電源装置1は、トランジスタ11bのスイッチング周波数及びパルス幅の下限が実質的に無くなるので、線104よりも更に出力電流を下げることが可能になる。
【0082】
<第2の実施の形態>
第2の実施の形態の構成要素のうち、第1の実施の形態と同一の構成要素については、同一の参照符号を付して、説明を省略する。
【0083】
第1の実施の形態では、DC-DCコンバータ4をハーフブリッジ型のLLCコンバータとしたが、フルブリッジ型のLLCコンバータであっても良い。
【0084】
図4は、第2の実施の形態の電源装置の構成を示す図である。電源装置1Aは、電源装置1(
図1参照)と比較して、DC-DCコンバータ4に代えて、DC-DCコンバータ4Aを含む。DC-DCコンバータ4Aは、フルブリッジ型のLLCコンバータである。
【0085】
DC-DCコンバータ4Aは、DC-DCコンバータ4(
図1参照)と比較して、トランス駆動回路11に代えて、トランス駆動回路11Aを含む。また、DC-DCコンバータ4Aは、整流回路13に代えて、整流回路13Aを含む。
【0086】
トランス駆動回路11Aは、トランス駆動回路11(
図1参照)と比較して、コンデンサ11c及び11dに代えて、トランジスタ11e及び11fを含む。
【0087】
トランジスタ11a、11b、11e及び11fの各々は、制御装置7によってオン状態又はオフ状態に制御される。
【0088】
トランジスタ11aのソースは、トランジスタ11bのドレインに電気的に接続されている。トランジスタ11aのドレインは、トランジスタ11eのドレインに電気的に接続されている。トランジスタ11eのソースは、トランジスタ11fのドレインに電気的に接続されている。トランジスタ11bのソースは、トランジスタ11fのソースに電気的に接続されている。
【0089】
トランジスタ11aのドレインとトランジスタ11eのドレインとの接続点が、トランス駆動回路11Aの一方の入力端子である。トランジスタ11bのソースとトランジスタ11fのソースとの接続点が、トランス駆動回路11Aの他方の入力端子である。
【0090】
トランス駆動回路11Aの一方の入力端子は、直流電源2の一方の出力端子に電気的に接続されている。トランス駆動回路11Aの他方の入力端子は、直流電源2の他方の出力端子に電気的に接続されている。
【0091】
トランス駆動回路11Aの2つの入力端子には、直流電源2の入力電圧Vinが入力される。
【0092】
トランジスタ11eのソースとトランジスタ11fのドレインとの接続点が、トランス駆動回路11Aの一方の出力端子である。トランジスタ11aのソースとトランジスタ11bのドレインとの接続点が、トランス駆動回路11Aの他方の出力端子である。
【0093】
トランス12の1次巻線12aの一端は、コンデンサ12fを介して、トランス駆動回路11Aの一方の出力端子に電気的に接続されている。1次巻線12aの他端は、トランス駆動回路11Aの他方の出力端子に電気的に接続されている。
【0094】
トランス駆動回路11Aは、正方向の直流電圧、負方向の直流電圧、又は、共振電圧をトランス12の1次巻線12aに出力する。
【0095】
例えば、トランス駆動回路11Aは、トランジスタ11b及び11eがオン状態、且つ、トランジスタ11a及び11fがオフ状態の場合、正方向の直流電圧をトランス12の1次巻線12aに出力する。
【0096】
また例えば、トランス駆動回路11Aは、トランジスタ11b及び11eがオフ状態、且つ、トランジスタ11a及び11fがオン状態の場合、負方向の直流電圧をトランス12の1次巻線12aに出力する。
【0097】
また例えば、トランス駆動回路11Aは、トランジスタ11a、11b、11e及び11fがオフ状態の場合、共振電圧をトランス12の1次巻線12aに出力する。
【0098】
整流回路13Aは、ブリッジダイオードとするが、本開示はこれに限定されない。
【0099】
整流回路13Aは、ダイオード13cから13fまでを含む。ダイオード13cのアノードは、ダイオード13dのカソードに電気的に接続されている。ダイオード13eのアノードは、ダイオード13fのカソードに電気的に接続されている。
【0100】
ダイオード13cのカソード及びダイオード13eのカソードは、コンデンサ14の一端に電気的に接続されている。ダイオード13dのアノード及びダイオード13fのアノードは、コンデンサ14の他端に電気的に接続されている。
【0101】
ダイオード13cのアノードとダイオード13dのカソードとの接続点が、整流回路13Aの一方の入力端子である。ダイオード13eのアノードとダイオード13fのカソードとの接続点が、整流回路13Aの他方の入力端子である。
【0102】
整流回路13Aの一方の入力端子は、トランス12の2次巻線12bの一端に電気的に接続されている。整流回路13Aの他方の入力端子は、トランス12の2次巻線12bの他端に電気的に接続されている。
【0103】
ダイオード13cのカソードとダイオード13eのカソードとの接続点が、整流回路13Aの一方の出力端子である。ダイオード13dのアノードとダイオード13fのアノードとの接続点が、整流回路13Aの他方の出力端子である。
【0104】
整流回路13Aは、トランス12の2次巻線12bに励磁される電圧を全波整流して、コンデンサ14に出力する。コンデンサ14は、整流回路13Aで全波整流された電圧を平滑化する。
【0105】
電源装置1Aは、電源装置1と同様の効果を奏する。
【0106】
<第3の実施の形態>
第3の実施の形態の構成要素のうち、第1又は第2の実施の形態と同一の構成要素については、同一の参照符号を付して、説明を省略する。
【0107】
図5は、第3の実施の形態の電源装置の構成を示す図である。電源装置1Bは、電源装置1A(
図4参照)と比較して、チョークコイル22と、第1力率改善回路23B-1と、第2力率改善回路23B-2と、を含む。また、電源装置1Bは、DC-DCコンバータ4Aに代えて、DC-DCコンバータ4Bを含む。
【0108】
DC-DCコンバータ4Bは、DC-DCコンバータ4A(
図4参照)と比較して、トランス駆動回路11Aに代えて、第1トランス駆動回路11A-1及び第2トランス駆動回路11A-2を含む。また、DC-DCコンバータ4Bは、トランス12に代えて、第1トランス12-1及び第2トランス12-2を含む。
【0109】
第1力率改善回路23B-1は、ダイオード23a及び23cと、トランジスタ23b及び23dと、コンデンサ23eと、を含む。
【0110】
ダイオード23aのアノードは、トランジスタ23bのドレインに電気的に接続されている。ダイオード23cのアノードは、トランジスタ23dのドレインに電気的に接続されている。ダイオード23aのカソードは、ダイオード23cのカソードに電気的に接続されている。トランジスタ23bのソースは、トランジスタ23dのソースに電気的に接続されている。
【0111】
トランジスタ23b及び23dは、制御装置7により、オン状態又はオフ状態に制御される。
【0112】
ダイオード23aのカソード及びダイオード23cのカソードは、コンデンサ23eの一端(高電位側端)に電気的に接続されている。トランジスタ23bのソース及びトランジスタ23dのソースは、コンデンサ23eの他端(低電位側端)に電気的に接続されている。
【0113】
ダイオード23aのアノードとトランジスタ23bのドレインとの接続点が、第1力率改善回路23B-1の一方の入力端子である。ダイオード23cのアノードとトランジスタ23dのドレインとの接続点が、第1力率改善回路23B-1の他方の入力端子である。コンデンサ23eの両端が、第1力率改善回路23B-1の出力端子である。
【0114】
第2力率改善回路23B-2の回路構成は、第1力率改善回路23B-1の回路構成と同じであるので、説明を省略する。
【0115】
第1力率改善回路23B-1の一方の入力端子は、チョークコイル22を介して、交流電源21の一方の出力端子に電気的に接続されている。第1力率改善回路23B-1の他方の入力端子は、第2力率改善回路23B-2の一方の入力端子に電気的に接続されている。第2力率改善回路23B-2の他方の入力端子は、交流電源21の他方の出力端子に電気的に接続されている。
【0116】
つまり、第1力率改善回路23B-1と第2力率改善回路23B-2とは、直列接続(カスケード接続)されている。
【0117】
交流電源21の電圧が正極性の場合、まず、第1力率改善回路23B-1及び第2力率改善回路23B-2のトランジスタ23b及び23dがオン状態に制御される。これにより、電流が、交流電源21→チョークコイル22→第1力率改善回路23B-1のトランジスタ23b→トランジスタ23d→第2力率改善回路23B-2のトランジスタ23b→トランジスタ23d→交流電源21の経路に流れる。これにより、チョークコイル22にエネルギが蓄えられる。
【0118】
次に、第1力率改善回路23B-1及び第2力率改善回路23B-2のトランジスタ23bはオフ状態に制御され、トランジスタ23dはオン状態に制御される。これにより、電流が、交流電源21→チョークコイル22→第1力率改善回路23B-1のダイオード23a→コンデンサ23e→トランジスタ23d→第2力率改善回路23B-2のダイオード23a→コンデンサ23e→トランジスタ23d→交流電源21の経路に流れる。これにより、第1力率改善回路23B-1及び第2力率改善回路23B-2のコンデンサ23eが蓄電される。
【0119】
交流電源21の電圧が負極性の場合、まず、第1力率改善回路23B-1及び第2力率改善回路23B-2のトランジスタ23b及び23dがオン状態に制御される。これにより、電流が、交流電源21→第2力率改善回路23B-2のトランジスタ23d→トランジスタ23b→第1力率改善回路23B-1のトランジスタ23d→トランジスタ23b→チョークコイル22→交流電源21の経路に流れる。これにより、チョークコイル22にエネルギが蓄えられる。
【0120】
次に、第1力率改善回路23B-1及び第2力率改善回路23B-2のトランジスタ23dはオフ状態に制御され、トランジスタ23bはオン状態に制御される。これにより、電流が、交流電源21→第2力率改善回路23B-2のダイオード23c→コンデンサ23e→トランジスタ23b→第1力率改善回路23B-1のダイオード23c→コンデンサ23e→トランジスタ23b→チョークコイル22→交流電源21の経路に流れる。これにより、第1力率改善回路23B-1及び第2力率改善回路23B-2のコンデンサ23eが蓄電される。
【0121】
第1トランス駆動回路11A-1及び第2トランス駆動回路11A-2の各々の回路構成は、トランス駆動回路11A(
図4参照)の回路構成と同じであるので、説明を省略する。
【0122】
第1トランス駆動回路11A-1の2つの入力端子には、第1力率改善回路23B-1内のコンデンサ23eの電圧が入力される。第2トランス駆動回路11A-2の2つの入力端子には、第2力率改善回路23B-2内のコンデンサ23eの電圧が入力される。
【0123】
第1トランス12-1の1次巻線12aの一端は、コンデンサ12fを介して、第1トランス駆動回路11A-1の一方の出力端子に電気的に接続されている。第1トランス12-1の1次巻線12aの他端は、第1トランス駆動回路11A-1の他方の出力端子に電気的に接続されている。
【0124】
第2トランス12-2の1次巻線12aの一端は、コンデンサ12fを介して、第2トランス駆動回路11A-2の一方の出力端子に電気的に接続されている。第2トランス12-2の1次巻線12aの他端は、第2トランス駆動回路11A-2の他方の出力端子に電気的に接続されている。
【0125】
第1トランス12-1の2次巻線12bの他端と、第2トランス12-2の2次巻線12bの一端と、は電気的に接続されている。つまり、第1トランス12-1の2次巻線12bと、第2トランス12-2の2次巻線12bと、は直列接続されている。
【0126】
整流回路13Aの一方の入力端子は、第1トランス12-1の2次巻線12bの一端に電気的に接続されている。整流回路13Aの他方の入力端子は、第2トランス12-2の2次巻線12bの他端に電気的に接続されている。
【0127】
整流回路13Aは、第1トランス12-1の2次巻線12b及び第2トランス12-2の2次巻線12bに励磁される電圧を全波整流して、コンデンサ14に出力する。
【0128】
電源装置1Bは、電源装置1及び1Aと同様の効果を奏する。
【0129】
<第4の実施の形態>
第4の実施の形態の構成要素のうち、第1、第2又は第3の実施の形態と同一の構成要素については、同一の参照符号を付して、説明を省略する。
【0130】
図6は、第4の実施の形態の電源装置の構成を示す図である。電源装置1Cは、電源装置1B(
図5参照)と比較して、全波整流回路24を含む。また、電源装置1Cは、第1力率改善回路23B-1及び第2力率改善回路23B-2に代えて、第1力率改善回路23C-1及び第2力率改善回路23C-2を含む。また、電源装置1Cは、DC-DCコンバータ4Bに代えて、DC-DCコンバータ4Cを含む。
【0131】
全波整流回路24は、ブリッジダイオードとするが、本開示はこれに限定されない。
【0132】
全波整流回路24は、ダイオード24aから24dまでを含む。ダイオード24aのアノードは、ダイオード24bのカソードに電気的に接続されている。ダイオード24aのカソードは、ダイオード24cのカソードに電気的に接続されている。ダイオード24bのアノードは、ダイオード24dのアノードに電気的に接続されている。ダイオード24cのアノードは、ダイオード24dのカソードに電気的に接続されている。
【0133】
ダイオード24aのアノードとダイオード24bのカソードとの接続点が、全波整流回路24の一方の入力端子である。ダイオード24cのアノードとダイオード24dのカソードとの接続点が、全波整流回路24の他方の入力端子である。全波整流回路24の2つの入力端子は、交流電源21に電気的に接続されている。
【0134】
ダイオード24aのカソードとダイオード24cのカソードとの接続点が、全波整流回路24の一方(高電位側)の出力端子である。ダイオード24bのアノードとダイオード24dのアノードとの接続点が、全波整流回路24の他方(低電位側)の出力端子である。
【0135】
全波整流回路24は、交流電源21から入力される交流入力電圧を全波整流して出力する。
【0136】
第1力率改善回路23C-1は、ダイオード23fと、トランジスタ23gと、コンデンサ23hと、を含む。
【0137】
ダイオード23fのアノードは、トランジスタ23gのドレインに電気的に接続されている。
【0138】
トランジスタ23gは、制御装置7により、オン状態又はオフ状態に制御される。
【0139】
ダイオード23fのカソードは、コンデンサ23hの一端(高電位側端)に電気的に接続されている。トランジスタ23gのソースは、コンデンサ23hの他端(低電位側端)に電気的に接続されている。
【0140】
ダイオード23fのアノードとトランジスタ23gのドレインとの接続点が、第1力率改善回路23C-1の一方の入力端子である。トランジスタ23gのソースとコンデンサ23hの他端との接続点が、第1力率改善回路23C-1の他方の入力端子である。コンデンサ23hの両端が、第1力率改善回路23C-1の出力端子である。
【0141】
第2力率改善回路23C-2の回路構成は、第1力率改善回路23C-1の回路構成と同じであるので、説明を省略する。
【0142】
第1力率改善回路23C-1の一方の入力端子は、チョークコイル22-1を介して、交流電源21の一方の出力端子に電気的に接続されている。第1力率改善回路23C-1の他方の入力端子は、第2力率改善回路23C-2の一方の入力端子に電気的に接続されている。第2力率改善回路23C-2の他方の入力端子は、チョークコイル22-2を介して、交流電源21の他方の出力端子に電気的に接続されている。
【0143】
つまり、第1力率改善回路23C-1と第2力率改善回路23C-2とは、直列接続(カスケード接続)されている。
【0144】
なお、電源装置1Cが、2個のチョークコイル22-1及び22-2を含むこととしたが、本開示はこれに限定されない。チョークコイルはどちらか1個でも良い。
【0145】
第1トランス駆動回路11A-1の2つの入力端子には、第1力率改善回路23C-1内のコンデンサ23hの電圧が入力される。第2トランス駆動回路11A-2の2つの入力端子には、第2力率改善回路23C-2内のコンデンサ23hの電圧が入力される。
【0146】
整流回路13Aの一方の入力端子は、チョークコイル25-1を介して、第1トランス12-1の2次巻線12bの一端に電気的に接続されている。整流回路13Aの他方の入力端子は、チョークコイル25-2を介して、第2トランス12-2の2次巻線12bの他端に電気的に接続されている。
【0147】
整流回路13Aは、第1トランス12-1の2次巻線12b及び第2トランス12-2の2次巻線12bに励磁される電圧を全波整流して、コンデンサ14に出力する。
【0148】
コンデンサ14の一端は、チョークコイル26を介して、負荷3の一端に電気的に接続されている。コンデンサ14の他端は、負荷3の他端に電気的に接続されている。
【0149】
電源装置1Cは、電源装置1、1A及び1Bと同様の効果を奏する。
【0150】
本発明のいくつかの実施の形態を説明したが、これらの実施の形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施の形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施の形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0151】
1、1A、1B、1C 電源装置
2 直流電源
3 負荷
4、4A、4B、4C DC-DCコンバータ
5 電流センサ
6 電圧センサ
7 制御装置
7a 減算器
7b 電流制御器
7c スイッチング制御部
7d 駆動回路
7d1 第1駆動回路
7d2 第2駆動回路
8 電流、電力、電圧指示部
11、11A トランス駆動回路
11A-1 第1トランス駆動回路
11A-2 第2トランス駆動回路
12 トランス
12-1 第1トランス
12-2 第2トランス
13、13A 整流回路
14 コンデンサ
21 交流電源
22、22-1、22-2、25-1、25-2、26 チョークコイル
23B-1 第1力率改善回路
23B-2 第2力率改善回路
23C-1 第1力率改善回路
23C-2 第2力率改善回路
24 全波整流回路