IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社フジキカイの特許一覧

<>
  • 特開-袋詰め機 図1
  • 特開-袋詰め機 図2
  • 特開-袋詰め機 図3
  • 特開-袋詰め機 図4
  • 特開-袋詰め機 図5
  • 特開-袋詰め機 図6
  • 特開-袋詰め機 図7
  • 特開-袋詰め機 図8
  • 特開-袋詰め機 図9A
  • 特開-袋詰め機 図9B
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022136890
(43)【公開日】2022-09-21
(54)【発明の名称】袋詰め機
(51)【国際特許分類】
   B65B 61/02 20060101AFI20220913BHJP
【FI】
B65B61/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021036712
(22)【出願日】2021-03-08
(71)【出願人】
【識別番号】000136387
【氏名又は名称】株式会社フジキカイ
(74)【代理人】
【識別番号】100076048
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 喜幾
(74)【代理人】
【識別番号】100141645
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 健司
(72)【発明者】
【氏名】柴田 隆
(72)【発明者】
【氏名】瀬戸山 敬之
(72)【発明者】
【氏名】礒辺 昭
【テーマコード(参考)】
3E056
【Fターム(参考)】
3E056AA05
3E056BA14
3E056CA01
3E056DA01
3E056EA07
3E056FA01
3E056FH01
3E056GA09
(57)【要約】
【課題】袋詰め前のシート状の袋に良好にプリントできると共に、プリントに際して袋の取り出し、開口、袋詰めまでの各処理を袋の移動を伴うことなく実施し得る袋詰め機を提供する。
【解決手段】積層した袋10が、袋載置台21に底部側が垂れ下がるようにして載置される。積層した袋10の垂れ下がり部27における袋表面に臨んで、プリントヘッド40が配置される。垂れ下がり部27から積層表面の袋10が持ち上がる際に、層になった袋10の底部側を所定高さだけ持ち上げる持ち上げ部材82が配設される。垂れ下がり部27における袋10の袋表面側を昇降可能な撫で付け体63を備える。撫で付け体63は、積層表面の袋10が垂れ下がり部27から持ち上がって上方に抜けるのを許容する許容位置まで移動し、垂れ下がり部27から積層表面の袋10が持ち上がる際に、下層に重なる袋10を撫で付け体63で撫で下ろす。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
袋を開口して物品を詰める袋詰め機であって、
積層した袋を、その底部側が垂れ下がるようにして載置する袋載置台と、
該袋載置台に載置された袋の積層量を検出する検出手段と、
前記袋載置台から垂れ下がる袋が位置する垂れ下がり部において層になった袋の袋表面に相対するようプリントヘッドが臨み、前記検出手段で検出した積層量に応じて袋表面とプリントヘッドとの間隔を保って、垂れ下がり部の袋表面へ表示情報をプリントするプリント装置と、
該プリント装置で袋表面へプリントする際に袋表面を支持すると共に、袋表面へプリントされた袋を開口して膨らませる際に、該開口する袋の底部側が前記垂れ下がり部から持ち上がるのを許容し、垂れ下がり部において開口する袋より下層の袋を撫で下ろすように動作する撫で付け体と、
前記積層表面の袋が開口して膨らむ際に、前記垂れ下がり部において層になった袋を、該袋の底部側において、袋表面とは反対側から支えて持ち上げる持ち上げ部材と、を備えた
ことを特徴とする袋詰機。
【請求項2】
前記撫で付け体を昇降するリニア作動手段が備えられ、該リニア作動手段により撫で付け体を下降して、袋表面へプリントする際に垂れ下がり部で層になった袋の表面に撫で付け体が臨み、開口する袋の底部側が前記垂れ下がり部から持ち上がるのに伴い、リニア作動手段により撫で付け体を上昇した後に下降して、前記垂れ下がり部において前記開口する袋より下層の袋を撫で下ろすよう構成したことを特徴とする請求項1記載の袋詰機。
【請求項3】
前記垂れ下がり部における袋表面から一部の重なり量までの袋の底部側を、前記持ち上げ部材によって持ち上げるよう構成したことを特徴とする請求項1または2記載の袋詰機。
【請求項4】
前記垂れ下がり部において層になった袋を、該袋の袋表面とは反対側において支持する支持部を設けたことを特徴とする請求項1~3の何れか一項に記載の袋詰機。
【請求項5】
前記持ち上げ部材による袋の底部側の持ち上げ量と、該持ち上げ部材による層になった袋の下端縁からの支え長さを調節可能に、前記持ち上げ部材を位置調節可能な調節手段を設けたことを特徴とする請求項1~4の何れか一項に記載の袋詰機。
【請求項6】
前記撫で付け体は、袋の幅方向の両側縁部に接する幅方向の撫で付け寸法と、前記袋の底部側が前記垂れ下がり部から持ち上がるのを許容する空所の幅寸法を、袋の幅寸法に応じて変更可能に構成したことを特徴とする請求項1~5の何れか一項に記載の袋詰機。
【請求項7】
前記持ち上げ部材は、袋の幅方向の中央部が上方に持ち上がるように、前記層になった袋の袋表面とは反対側となる面を支えて持ち上げるよう構成したことを特徴とする請求項1~6の何れか一項に記載の袋詰機。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品を袋詰めする袋詰め機に関する。
【背景技術】
【0002】
食品包装において、食パンを袋詰めする食パン袋詰め機などでは、消費期限やロット番号、製造者コードなどの各種情報を、袋詰め後の袋詰品の搬送中に、インクジェットプリンタなどにより袋表面にプリントするようにしている。このような形態では、袋詰めされた食パンと、食パンの外側を覆う袋の包装材とが密着しておらず、袋表面が張った状態で平坦にはなっておらず、袋の袋表面とプリンタのプリントヘッドとの距離が定まらないばかりか、袋表面の波うちやしわの発生などにより、プリントされた文字などのプリント情報が途切れたり、ゆがみが生じたりするプリント不良を招いてしまう。
【0003】
前記問題に対処するための提案として、特許文献1、2などには、袋積層部から取り出して袋詰め部まで袋を搬送する過程で、搬送中の袋詰め前の平らな袋にプリントする技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6185499号公報
【特許文献2】特開2018-144826号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1、2に開示の従来装置では、何れもプリント状態は改善できるが、袋積層部から取り出した袋を袋詰め部まで搬送する装置を設置する必要があり、装置コストが嵩むと共に広い設置スペースが必要となるなどの問題があるばかりでなく、袋積層部から1枚ずつ袋を分離して取り出すときに、下方に重なる袋が一緒に捲れ上がって積層状態が乱れてしまう問題や、取り出した袋を袋詰め部まで搬送する際の搬送不良に起因して袋詰め部のオープナー(袋開口手段)に袋を良好に位置付けて開口するのが困難となる難点も指摘される。
【0006】
本発明は、設置スペースを広げることなく、袋詰め前のシート状の袋に良好にプリントできると共に、プリントに際して袋の取り出し、開口、袋詰めまでの各処理を袋の移動を伴うことなく実施し得る袋詰め機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願の請求項1に係る発明の袋詰め機は、
袋(10)を開口して物品(13)を詰める袋詰め機であって、
積層した袋(10)を、その底部側が垂れ下がるようにして載置する袋載置台(21)と、
該袋載置台(21)に載置された袋(10)の積層量を検出する検出手段(54)と、
前記袋載置台(21)から垂れ下がる袋(10)が位置する垂れ下がり部(27)において層になった袋(10)の袋表面に相対するようプリントヘッド(40)が臨み、前記検出手段(54)で検出した積層量に応じて袋表面とプリントヘッド(40)との間隔を保って、垂れ下がり部(27)の袋表面へ表示情報をプリントするプリント装置(PR)と、
該プリント装置(PR)で袋表面へプリントする際に袋表面を支持すると共に、袋表面へプリントされた袋(10)を開口して膨らませる際に、該開口する袋(10)の底部側が前記垂れ下がり部(27)から持ち上がるのを許容し、垂れ下がり部(27)において開口する袋(10)より下層の袋(10)を撫で下ろすように動作する撫で付け体(63)と、
前記積層表面の袋(10)が開口して膨らむ際に、前記垂れ下がり部(27)において層になった袋(10)を、該袋(10)の底部側において、袋表面とは反対側から支えて持ち上げる持ち上げ部材(82)と、を備えたことを特徴とする。
請求項1に係る発明によれば、袋載置台に積層されて垂れ下がった積層表面の袋の表面に、消費期限などの各種表示情報を良好にプリントすることができる。特に、積層表面の袋を開口する際に持ち上がる袋と一緒になって下層に重なる袋が捲れ上がろうとしても、該下層の袋を撫で下ろし、垂れ下がり状態の乱れを防ぐことができると共に、次にプリントされる際に袋の表面側から支持するので、プリント面となる袋表面を平滑化してプリント不良が生じるのを防止することができる。また、積層表面の袋が持ち上がる際に、層になった袋の底部側における袋の下層面側から袋表層に向けて押し付けるように袋の底部側を持ち上げるので、袋底部側が緩やかな垂れ下がり状態となって、垂れ下がり部において下層に重なる袋が層表面の袋にくっついて、垂れ下がり部から上方に引き上げられたり、捲れ上がったりしてしまうのを抑制して撫で付け体による効果的な撫で下ろし動作を行うことができる。また、撫で付け体により撫で下ろされる下層の袋の底部が、積層表面の袋に密着して撫で付け体より表層側へすり抜けて引き上げられてしまうのを防ぐことができ、撫で付け体による袋の撫で下ろし動作により2枚以上で重なった複数の袋が一緒に連なって袋載置台から取り出されてしまうといった、袋取り出し不良を生じることなく、袋に消費期限などの日付や包装品の品質情報、その他の所定の情報を良好にプリントされた、袋詰め食パンなどの包装品を効果的に得ることができる。
【0008】
請求項2に係る発明では、前記撫で付け体(63)を昇降するリニア作動手段(64)が備えられ、該リニア作動手段(64)により撫で付け体(63)を下降して、袋表面へプリントする際に垂れ下がり部(27)で層になった袋(10)の表面に撫で付け体(63)が臨み、開口する袋(10)の底部側が前記垂れ下がり部(27)から持ち上がるのに伴い、リニア作動手段(64)により撫で付け体(63)を上昇した後に下降して、前記垂れ下がり部(27)において前記開口する袋(10)より下層の袋(10)を撫で下ろすよう構成したことを特徴とする。
請求項2の発明によれば、撫で付け体をリニア作動手段で昇降して、袋の撫で下ろしを良好に行うことができ、下降時には垂れ下がり部の下方で層になった袋の表面に臨んで垂れ下がり部の袋表面を支持することでプリント面となる積層表面の袋を平滑化して良好にプリントを行うことができる。
【0009】
請求項3に係る発明では、前記垂れ下がり部(27)における袋表面から一部の重なり量までの袋(10)の底部側を、前記持ち上げ部材(82)によって持ち上げるよう構成したことを特徴とする。
請求項3の発明によれば、袋が元の垂れ下がり状態まで戻った際に、積層表面の袋が位置ずれしてプリント位置が変化してしまうようなことを抑制することができる。
【0010】
請求項4に係る発明では、前記垂れ下がり部(27)において層になった袋(10)を、該袋(10)の袋表面とは反対側において支持する支持部(36,39)を設けたことを特徴とする。
請求項4の発明によれば、垂れ下がり部において層になった袋を、撫で付け体と支持部とにより両側から挟み込むように支持したもとでプリントするので、袋表面のズレや、歪みなどを効果的に防止して、良好にプリントすることができる。
【0011】
請求項5に係る発明では、前記持ち上げ部材(82)による袋(10)の底部側の持ち上げ量と、該持ち上げ部材(82)による層になった袋(10)の下端縁からの支え長さを調節可能に、前記持ち上げ部材(82)を位置調節可能な調節手段(89)を設けたことを特徴とする。
請求項5の発明によれば、袋のサイズや種類の変更に応じて、適正な持ち上げ状態に設定することができる。
【0012】
請求項6に係る発明では、前記撫で付け体(63)は、袋(10)の幅方向の両側縁部に接する幅方向の撫で付け寸法と、前記袋(10)の底部側が前記垂れ下がり部(27)から持ち上がるのを許容する空所(68)の幅寸法を、袋(10)の幅寸法に応じて変更可能に構成したことを特徴とする。
請求項6の発明によれば、袋幅の変更に対応して撫で付け体による撫で付け作用位置と、袋が膨らむ際に底部側の袋がすり抜ける空所のサイズを変更することができ、積層表面の袋の持ち上げが阻害されることなく、その下層に重なる袋を良好に撫で下ろすことができる。
【0013】
請求項7に係る発明では、前記持ち上げ部材(82)は、袋(10)の幅方向の中央部が上方に持ち上がるように、前記層になった袋(10)の袋表面とは反対側となる面を支えて持ち上げるよう構成したことを特徴とする。
請求項7の発明によれば、袋の幅方向中央部が上方に持ち上がった山形状態になるように持ち上げられ、積層袋の重なり端縁両側部が斜状にバラケ、袋がくっついて捲れ上がるのを一層抑制することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、積層表面の袋の袋詰めに際し、下層に重なる袋の底部側が垂れ下がり部から一緒に捲れ上がるのを防止し、層になって垂れ下がった積層表面の袋を平滑にして、プリント装置によって、製造年月日などの日付や製造者コードその他の各種表示情報を良好にプリントすることができる。また、開口前のシート状となってフラットな袋にプリントするにあたり、袋載置台へ積層した袋を取り出し位置から移動せずにその場で開口前の袋にプリントするようにしたので、開口前の袋へプリント情報をプリントするにあたり、袋積層部から取り出した袋の搬送中にプリントして袋詰め部まで搬送する工程を要せず、その搬送装置などの設置場所を別途設ける必要が無いので、設置スペースを増すことがない。また、開口手段までに至る袋の搬送に伴う、袋の姿勢変化などに起因して搬送中にプリントしたプリント位置のずれが生ずるなどの包装不良品の発生を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】袋詰め機の全体を示す概略正面図である。
図2】袋載置台とプリント装置と撫で付け手段との配置を示す概略平面図である。
図3】袋積層部における撫で付け手段および持ち上げ手段の配置を示す要部概略側面図である。
図4】袋載置台、撫で付け手段および持ち上げ手段の配置を示す概略正面図である。
図5】持ち上げ手段を示す要部概略正面図である。
図6】袋載置台と撫で付け手段と持ち上げ手段との配置を示す概略平面図である。
図7】袋載置台への袋の積層状態を示す要部概略正面図である。
図8図7の概略平面図である。
図9A】撫で付け手段および持ち上げ手段による作用を表す説明図である。
図9B】袋載置台に積層した袋の積層量の変化および撫で付け手段による作用を表す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、本発明に係る袋詰め機の好適な実施例を挙げて、添付図面を参照しながら以下説明する。
【実施例0017】
実施例に係る袋詰め機は、図1図3に示す如く、一側に袋口部10aを有する多数の平袋状の袋10が積層される袋積層部11と、該袋積層部11における最上部(積層表面)の袋10の袋口部10aを拡張して開口状態に維持する袋開口手段12と、袋口部10aが拡張された袋10に食パン(物品)13を詰め込む押送手段14と、を備え、袋積層部11に集積されている袋10における袋表面(表側のプリント面)の所定のプリント位置(プリント領域)10bに、袋詰品の消費期限や製造者コードなどの各種情報をプリントするプリントヘッド40を有するプリント装置PRが設けられる。袋詰め機では、袋積層部11に積層されて袋詰め位置Nに位置する積層表面の袋10が袋開口手段12で開口され、該袋10に押送手段14により押送されて開口から食パン13が詰め込まれた袋10は、袋詰め位置Nから下流側の封止部まで搬送されて、該封止部で袋口部10aが封止される。
【0018】
前記袋開口手段12は、図1に示す如く、前記袋積層部11に集積される積層表面の袋10の袋口部10aから袋内に圧縮エアを噴き付けるエア噴き込み手段15と、袋口部10aを開口状態に維持する袋口部保持手段16とを備え、エア噴き込み手段15から噴き付ける圧縮エアによって予備開口した袋口部10aに先端部を挿入した袋口部保持手段16により、前記袋詰め位置Nにおいて袋口部10aを拡張して開口状態に維持する。また、袋口部保持手段16により開口状態に維持された袋口部10aに向けてエア噴き込み手段15から高圧の圧縮エアを噴き込むことによって、袋10の全体を筒状に膨らませ得るよう構成される。前記押送手段14は、袋開口手段12の上流側に配置される搬入テーブル17および袋開口手段12の上方を循環走行する無端チェンに所定間隔で多数の押送部材18を取り付けた押送コンベヤ14であって、搬入テーブル17に載置された食パン13に当接した押送部材18によって、該食パン13は袋開口手段12を経て前記封止部に向けて押送される。
【0019】
ここで、前記袋10は、平袋状態で閉塞されている底部側の幅方向全体に包装材が底面側から袋内方側に折込まれて、包装材が4重に重なったマチを有する形態である。また袋10は、図2図6図8に示す如く、相対向する一方のフィルムに、他方のフィルムにおける袋口部10aの端縁より外方に延出する延出部10cが1枚のフィルムにより形成されると共に、該延出部10cには、一対の位置決め孔10d,10dが袋幅方向に離間して穿設されている。また、袋10には、袋底部側における袋表面に、各種情報がプリントされる前記プリント位置10bが設けられる。実施例では、プリント位置10bは、袋10に施される消費期限などの日付や製造ロット、製造工場記号などとは識別可能に、包装材となるフィルムに商品デザインなどと同様に、予め所定幅、所定高さの領域として白色などで印刷されている。
【0020】
図1図3に示す如く、前記袋積層部11は、サーボモータなどの駆動モータ19aによって回転駆動されるスプロケット19bに巻き掛けられて上下方向に走行する無端チェン19cからなる昇降手段19によって昇降移動する昇降台20に、袋10が載置される袋載置台21が図示しない係合手段によって着脱可能に装着され、該袋載置台21は昇降台20と係合して一体的に昇降移動する。なお、オーダ変更により袋10の種類が変更された場合や、袋10が消費尽くされた場合など、袋10を載置した状態で準備しておいた別の袋載置台21と交換する際には、昇降手段19によって袋載置台21は着脱可能な位置まで下降される。
【0021】
図2図3図6図8に示す如く、前記袋載置台21は、幅方向に離間する一対の側部フレーム22,22の間に、積層した袋10が載置される載置部23を備える。載置部23は、側部フレーム22,22間に架設された載置部材24と、幅方向と交差する前後方向に移動可能に側部フレーム22,22間に支持されて、載置部材24に対して近接離間移動可能な調節ローラ25と、該調節ローラ25と一体的に前後方向に移動し、積層した袋10の下面を載置部材24と調節ローラ25との間で支持する移動ベッド61とを有する。載置部材24より袋口側に近接して、袋10の前記延出部10cの位置決め孔10d,10dが挿通される一対の支持ピン26,26が上下方向に延在するよう設けられる。該支持ピン26は、バネ26aによって上向きに付勢されて、該支持ピン26に設けた下支持部26bと、両支持ピン26,26の間の延出部10cを上側から押さえる上支持部材60とによって、積層した袋10における延出部10cを上下から挟持するよう構成される。なお、上支持部材60は、袋載置台21からの袋10の取り出しに際して袋10の押さえを解除する。そして、位置決め孔10d,10dに支持ピン26,26が下方から挿通された状態で載置部材24上に積層した袋10は、積層表面から1枚ずつ取り出し可能に支持される。また、袋10は、延出部10cが形成された一方のフィルムが下側で、袋表面となる他方のフィルムが上側になると共に、袋口部10aが食パン13の搬送方向上流側を向く姿勢で載置部23に積層状態で載置される。また、積層した袋10は、位置決め孔10d,10dに挿通した支持ピン26,26で支持された状態で載置部23に載置されて水平支持されると共に、マチを有する底部側の調節ローラ25より先が、積層下方からの支持が開放されて所定長さで調節ローラ25から自重で垂れ下がり、その袋10が位置する垂れ下がり部27において層になった袋10の袋表面に前記プリント位置10bが位置するよう構成される。
【0022】
図1図3図6に示す如く、前記側部フレーム22,22に、前後方向に延在するガイド孔22a,22aが形成されると共に、両ガイド孔22a,22a間に前記調節ローラ25を回転可能に支持する支持軸28が挿通されて、該調節ローラ25は、ガイド孔22a,22aに沿って前後方向にスライド可能に構成される。支持軸28の両端部にピニオン29が夫々配設されると共に、各側部フレーム22に、前後方向に延在するラック30が設けられ、両ピニオン29,29が対応するラック30,30に噛合することで、調節ローラ25は前後方向に平行移動し得るよう構成される。調節ローラ25は、前記昇降台20に配設されて袋載置台21と一体的に昇降移動する移動手段31によって、前後方向に移動される。移動手段31は、前記支持軸28における一方の側部フレーム22から外方に延出する端部28aを、前記載置部材24から離間する後側に押すアーム32と、該アーム32に連結したリニアスライド機構33と、該リニアスライド機構33を作動するサーボモータなどの駆動モータ34とを備え、駆動モータ34によってリニアスライド機構33を作動してアーム32を支持軸28に前側から係合して押すことで、調節ローラ25を後退移動(図1の左側に移動)する。また、移動手段31のアーム32を前方に移動することで調節ローラ25は、積層した袋10の重みによって支持軸28がアーム32の移動に追従して前進移動(図1の右側に移動)する。
【0023】
袋詰め機は、図1図3に示す如く、前記袋載置台21の後方に、積層表面の袋10に前記エア噴き込み手段15から圧縮エアが袋内に噴き込まれて袋10が開口するのに伴って持ち上げられる際に、垂れ下がり部27において、層になった袋10の内の表面の袋10に対して、下層に重なる袋10が密着して一緒に捲れ上がらないように撫で下ろす撫で付け手段62が設けられる。撫で付け手段62は、前記下層の袋表面を撫でる撫で付け体63と、該撫で付け体63を昇降するエアシリンダなどからなるリニア作動手段64とを備える。そして、撫で付け体63は、上昇位置において積層表面の袋10が開口される際に袋10の膨れ上がりおよび該袋10の上方への抜けを許容する許容位置(図1図3の二点鎖線位置)に位置付くと共に、該許容位置から下方へ下降して垂れ下がり部27において層になった積層表面の袋10を、幅方向左右において支持する支持位置(図1図3の実線位置)に位置付く。そして、前記プリント装置PRのプリントヘッド40が、層になって垂れ下がった袋10の表面に近接して相対するように臨む。
【0024】
図2図3図6に示す如く、前記撫で付け体63は、袋10の幅方向に離間する一対の撫で付け部材65,65を備え、各撫で付け部材65は、L字状に屈曲形成した丸棒からなり、取着部材64aに配設されて垂れ下がり部27に位置する袋10に向けて延出する取着部65aと、取着部65aに交差して袋幅方向に延出する撫で部65bを形成し、該撫で部65bが前記垂れ下がり部27における袋10の積層表面に対向している。前記取着部材64aは前記リニア作動手段64に接続されると共に、撫で付け体63は、前記支持位置では、垂れ下がり部27における前記袋10の下方において、撫で部65bが袋10の積層表面側に臨んで、前記プリント位置10bと対応した所定高さ(実施例では略同じ高さ)で、撫で部65b,65bが袋幅方向両縁部付近において両縁の外側から内側(中央側)の所定範囲までに亘って支持して、撫で部65b,65bの延出端が所定間隔離間して対峙するよう配設され、袋表面の膨らみを規制し得る。また撫で付け体63は、前記許容位置では、載置部23において袋10が上下方向に重なる上下積層部66から袋10が前記垂れ下がり部27に垂れ下がるように転向する転向部67付近の高さに位置付く。該位置に臨んだ撫で付け部材65,65の撫で部65b,65bには、その延出端間に空所68を形成しており、該空所68は、袋内にエアが噴き込まれて膨らむ袋10の持ち上がりを許容する。そして、撫で付け体63は、積層表面の袋10の底部側が垂れ下がり部27から持ち上がるのに伴い支持位置まで下降する際に、両撫で付け部材65,65の撫で部65b,65bが、膨らみながら持ち上がる積層表面の袋10より下層に重なる袋10が一緒に捲れ上がろうとするのを規制しつつ、垂れ下がり部27において、袋10の幅方向の両縁部を撫で下ろすように直線的に下降する。撫で付け部材65は、前記取着部材64aに対して着脱交換可能に配設されて、撫で部65bの延出長さが異なる撫で付け部材65に交換することで、撫で部65bの延出長さによって規定される空所68の幅寸法および撫で部65bが袋10の幅方向の側縁部に接する幅方向の撫で付け寸法を、袋10の幅寸法に応じて変えることができるよう構成される。また、実施例の袋詰め機では、オーダ変更によって長さが異なる袋10を用いる場合においても、垂れ下がり部27で層になった袋10の袋表面のプリント位置10bの高さが一定範囲内になるように、前記調節ローラ25によって転向部67の位置を設定するよう構成されており、該転向部67の位置に合わせて前記取着部65aの延出長さが異なる撫で付け部材65,65に交換することで、撫で部65b,65bが昇降する前後位置を袋長さに応じて変えることができるよう構成される。
【0025】
図2図3に示す如く、前記転向部67が定位置に位置付くように支持する支持手段35が設けられる。支持手段35は、前記支持軸28に自由回転可能に支持されて下方へ延出し、垂れ下がり部27において層になった袋10を内側(一方)から支持する受け部材36と、前記撫で付け体63と、後述する制限部材39と、を備える。撫で付け体63が下方に位置した前記支持位置において、垂れ下がり部27において層になった袋10を受け部材36との間で前後(袋の重なり方向の表裏両側)から挟んで支持することで、袋表面を押さえてプリントヘッド側への波打ち状の膨出を規制して平滑化すると共に、垂れ下がり部27において層になった袋10の表面を乱すことなく定位置に位置付ける。実施例では、受け部材36と制限部材39とが、垂れ下がり部27において層になった袋10を袋表面とは反対側から支持する支持部となる。
【0026】
前記袋10の底部側にはマチが設けられて袋素材が4重に重なっており、この袋底部側が垂れ下がる位置が垂れ下がり部27となり、重なり厚が倍となって扇形に広がる。図9A(a)に示す如く、層になって垂れ下がる袋10の内側から所定重なり厚分における袋10の下縁部は、袋載置台21の底部から所定高さで立ち上がる制限部材39の延出端で引っ掛けるよう支持され、該制限部材39と支持位置にある撫で付け体63との間に存する袋10の重なり厚を制限するよう構成される。
【0027】
前記積層表面の袋10に前記エア噴き込み手段15から圧縮エアが袋内に噴き込まれて袋10が開口するのに伴って持ち上げられる際に、垂れ下がり部27において、層になった袋10の底部側を持ち上げる持ち上げ手段81が設けられる。図3図6に示す如く、持ち上げ手段81は、層になった袋10の底部側を袋表面とは反対側から支えて持ち上げる持ち上げ部材82と、該持ち上げ部材82を作動する上昇作動手段83と、を備える。上昇作動手段83は、サーボモータなどの駆動モータ83aによって上下方向に移動する作動部材83bと、該作動部材83bを持ち上げ部材82に連繋する連繋機構84とを備え、作動部材83bを上下動することで、持ち上げ部材82は、袋10の底部側から下方に離間する待機位置(図4の実線位置)と、該袋10の底部側を持ち上げた状態での持ち上げ位置(図4の二点鎖線位置)との間で移動するよう構成される。持ち上げ部材82は、棒状の部材であって、袋10の幅方向の中央部を上方に持ち上げるよう位置決めされている。なお、前記制限部材39は、待機位置と持ち上げ位置との間を移動する持ち上げ部材82と干渉しないよう左右で分割した一対として設けられている。
【0028】
図5に示す如く、前記連繋機構84は、実施例では複数のリンク部材85,86,87,88を用いたリンク機構が採用される。すなわち、連繋機構84は、前記駆動モータ83aが取付けられる本体84aに配設されて上方に延在する支持部材84bに一端部が回動自在に支持された第1リンク部材85と、該第1リンク部材85と同軸で一体的に回動する第2リンク部材86と、支持部材84bの上端部に一端部が回動自在に支持された第3リンク部材87と、第2リンク部材86および第3リンク部材87の他端部に夫々回動自在に支持された第4リンク部材88とを備え、前記持ち上げ部材82は、長手方向の一端部が第3リンク部材87と同軸で一体的に回動するよう構成される。第1リンク部材85の他端部に回動自在に支持したローラ85aが、前記作動部材83bに形成されて前後方向に延在する長孔83cに移動自在に支持されており、駆動モータ83aによって作動部材83bを上下動することで連繋機構84が作動し、持ち上げ部材82を、持ち上げ位置と退避位置との間で揺動するよう構成される。持ち上げ部材82の待機位置では、図4に示す如く、前記制限部材39で制限されて該制限部材39の後方において垂れ下がり部27において層になった袋10より内側(前側)下方に位置し、該持ち上げ部材82を持ち上げ位置に向けて後方(図4の左方)に傾動することで、持ち上げ部材82が、垂れ下がり部27において層になった袋10における袋表面から一部の重なり量までの袋10の底部内側(袋表面とは反対側の面)に接して、袋底部を持ち上げるよう構成される(図9A(b)参照)。
【0029】
前記持ち上げ部材82は、調節手段89によって上下方向および前後方向に移動することで、当該持ち上げ部材82で袋10の底部側を持ち上げた持ち上げ位置を調節可能に構成されている。図3図4図6に示す如く、調節手段89は、持ち上げ部材82を、垂れ下がり部27で層になった袋10の袋裏面(袋内面)に対する前後方向の位置調節を行う前後調節機構90と、持ち上げ部材82の上下方向の位置調節を行う高さ調節機構91と、を備え、両機構90,91によって前記待機位置および持ち上げ位置を変更し得るよう構成される。高さ調節機構91は、基体92に配設されて上下方向に延在する第1レール93,93にスライダ94を介して摺動自在に支持された上下動部材95と、基体92に回転可能に支持されて上下方向に延在する第1ネジ軸96と、該第1ネジ軸96を回転するサーボモータなどの第1調節モータ97と、を備え、上下動部材95に配設したホルダ98が第1ネジ軸96に螺合されている。そして、第1調節モータ97によって第1ネジ軸96を正転または逆転することで、上下動部材95が上下方向に移動し、該上下動部材95に後述する前後動部材101を介して配設された前記持ち上げ手段81の持ち上げ部材82の高さ位置(持ち上げ位置)が変更される。これにより、持ち上げ部材82が持ち上げ位置に移動した際に、該持ち上げ部材82で袋10の底部側を支える、袋下端縁からの支え長さが変更される。
【0030】
前記前後調節機構90は、前記上下動部材95に配設されて前後方向に延在する第2レール99にスライダ100を介して摺動自在に支持された前後動部材101と、上下動部材95に回転可能に支持されて前後方向に延在する第2ネジ軸102と、該第2ネジ軸102を回転するサーボモータなどの第2調節モータ103と、を備え、前後動部材101に配設したホルダ104が第2ネジ軸102に螺合されると共に、前後動部材101に前記持ち上げ手段81が配設されている。すなわち、第2調節モータ103によって第2ネジ軸102を正転または逆転することで、前後動部材101が前後方向に移動し、該前後動部材101に配設された持ち上げ手段81の持ち上げ部材82の前後位置が変更される。これにより、持ち上げ部材82が持ち上げ位置に移動した際の、袋10の底部側の持ち上げ量が変更される。
【0031】
図1図2に示す如く、前記袋積層部11の後方に離間して、前記プリント装置PRが配置される。プリント装置PRは、前記載置部23に積層した袋10における垂れ下がり部27において層になった袋10の袋表面に相対するように臨み、前記プリント位置10bに各種表示情報をプリントする前記プリントヘッド40と、該プリントヘッド40を袋表面に対して近接離間移動する進退移動手段41と、プリントヘッド40を袋10の幅方向に横移動する横移動手段(移動手段)42と、プリントヘッド40を上下方向に移動する昇降移動手段(移動手段)43と、を備える。昇降移動手段43は、サーボモータなどの第1駆動モータ44に連結する第1リニアスライド機構45を備え、該第1リニアスライド機構45に連結して上下方向に移動される昇降部材46に、横移動手段42が設けられる。横移動手段42は、サーボモータなどの第2駆動モータ47に連結する第2リニアスライド機構48を備え、該第2リニアスライド機構48に連結して横移動される横移動部材49に、進退移動手段41が設けられる。進退移動手段41は、サーボモータなどの第3駆動モータ50に連結した第3リニアスライド機構51を備え、該第3リニアスライド機構51に連結して前後方向に移動される進退移動部材52に、プリントヘッド40が設けられる。前記昇降移動手段43は、プリントヘッド40を、袋10の垂れ下がり部27における前記プリント位置10bの高さ位置に合わせた高さ位置に位置付ける。前記進退移動手段41は、前記垂れ下がり部27において層になった積層表面の袋10と近接してプリントを開始可能な印字待機位置(図1の実線位置)と、袋10の底部側が垂れ下がり部27から袋載置台21による袋積層上面を越える上方まで持ち上げられるのを許容するよう、後方へ移動した退避位置(図1の二点鎖線位置)との間を進退移動する。印字待機位置に位置付いたプリントヘッド40は、垂れ下がり部27で垂れ下がった積層表面の袋10におけるプリント位置10bに臨み、前記横移動手段42によってプリントヘッド40を、プリント位置10bの範囲内において袋幅の一側から他側に向けて水平に横移動する。すなわち、プリント装置PRは、1包装毎に、垂れ下がり部27における袋表面のプリント位置10bに応じて、プリントヘッド40を、袋表面との離間距離とプリント高さとプリント開始位置とを夫々適正位置に位置付け、プリント開始位置から水平に横移動して、袋10の指定されたプリント位置10bに各種表示情報をプリントした後、プリントヘッド40を袋表面から離間した退避位置まで後退する動作を繰り返すよう動作制御される。実施例では、プリント装置PRとして、インクジェットプリンタを採用しているが、レーザマーカなどのプリンタを採用してもよい。
【0032】
図1に示す如く、前記袋積層部11の後方に、前記プリント位置10bを含む袋10の垂れ下がり部27での所定範囲を撮像するCCDカメラなどの撮像手段53が配設される。制御部において、撮像手段53で撮像して得た画像データ(撮像結果)からプリント位置10bを特定して、前記各駆動モータ44,47,50を駆動制御して、目標とするプリント位置10bに対応した所定のプリント開始位置にプリントヘッド40を位置付けると共に、該プリント位置10b内に消費期限などの日付や製造者コード、その他の各種プリント情報がプリントされる。
【0033】
前記載置部23に積層した積層表面の袋10の高さレベルを検出可能な検出手段54が配設されている。図7図8に示す如く、前記袋積層部11の上方において、袋幅方向に離間する一対の保持部材69,69の延出端に、支え部材79に昇降移動可能に支持され、前記積層表面の袋上面に自重により当接する検出片となる昇降体55が設けられ、検出手段54は、昇降体55と、いずれか一方の昇降体55の移動を検知するセンサとで構成される。そして、食パン13の袋詰めに伴い前記積層した袋10が消費され、昇降体55により積層袋の高さ変化を検出するのに応じて、袋載置台上の積層袋の高さレベルが所定高さ範囲(基準レベル)を保つように、前記昇降台20に配置した袋載置台21を前記昇降手段19によって移動するよう構成されている。前記検出片として機能しない他方の昇降体55は、積層した袋10の押さえ体として機能する。
【0034】
ここで、前記印字待機位置のプリントヘッド40と、前記調節ローラ25から袋10が垂れ下がる垂れ下がり部27における袋表面との間隔は、前記袋載置台21に積層した袋10の積層量ならびに垂れ下がり部27において層になって重なる袋10の厚みの変化に比例して変化する関係となっている。そこで、実施例では、前記制御部は、前記昇降手段19による袋載置台21の上昇量を検出する検出手段54の検出に基づき得られる積層した袋10の積層量の変化に応じて、前記移動手段31の駆動モータ34を駆動制御して前記調節ローラ25を後方に移動し、印字待機位置のプリントヘッド40と袋表面との間隔を一定に保つよう構成される。実施例では、前記調節ローラ25および移動手段31が、前記垂れ下がり部27における袋10の重なり厚の変化に応じて、プリント時において、前記垂れ下がり部27における袋表面とプリントヘッド40との間隔を保持する位置決め手段となる。
【0035】
図1図7図8に示す如く、前記載置部23に積層した袋10における前記転向部67に向けて、斜め上方から重なり方向に圧縮エアを噴き付けて押圧するエア噴出手段70,70が設けられる。なお、エア噴出手段70は、調節ローラ25で内側から支持されている積層した袋10の外側に、袋10の転向部67を調節ローラ25に押圧するように圧縮エアを噴き付ける。エア噴出手段70は、前記両保持部材69,69の夫々に対して、ガイドレール71aに沿って移動自在に支持されたスライダ71bからなるリニアガイド71によって、前後方向に移動可能に支持された可動体72に配設される。これにより、積層表面の袋10の下層に重なる袋10が一緒になって捲れ上がるのを効果的に防止する。
【0036】
図8に示す如く、前記載置部23における移動ベッド61の左右両外側には、連携部材73が夫々配設され、該連携部材73が、前記各可動体72に夫々配設される係合部材74に前方から当接して係合されるよう構成される。連携部材73は、可動体72が移動する前後方向に延在する基部73aと、該基部73aの後端から立上がる係合片73bとからなるL型の部材であって、係合片73bに係合部材74が係合する。また、前記保持部材69には可動体72が、引張りバネからなる付勢手段75により、保持部材69の載置部23に向けた延出方向に向けて付勢されており、前記連携部材73が係合部材74に押圧されることで連携部材73と係合部材74との係合状態が保たれる。そして、可動体72に配設されたエア噴出手段70が前記調節ローラ25の前後移動と連動して前後位置を変化させるので、袋10に対する圧縮エアの噴き付け位置は、前記垂れ下がり部27において層になった袋10の重なり厚の変化に応じて前後方向に移動される。
【0037】
前記転向部67の曲率は、前記載置部23へ載置される袋10の積層量によって前記調節ローラ25の回転中心から袋10の積層表面までの距離が変化することによって、その転向半径が変化することになる。図9A(a)、図9B(d)に示す如く、袋10の積層量が変化しても層になって垂れ下がる袋10の表面とプリントヘッド40との間の距離を保つために、袋10の積層量に応じて前記調節ローラ25が前後方向に移動され、積層した袋10の転向部67も前後に変動する。そして、前記したように、エア噴出手段70により転向部67に向けて噴き付ける圧縮エアの噴き付け位置は、変化した転向部67の位置に追従して変更され、エア噴出手段70による圧縮エアの噴き付け先は、常に前記転向部67を指向して、該転向部67に圧縮エアが噴き付けられる。
【0038】
図7図8に示す如く、前記載置部23において、袋10が上下方向に重なる前記上下積層部66から前記転向部67へ移行するまでの前記昇降体55の袋表面への当接位置との間の所定範囲で、袋10の幅方向両縁部の内側において袋10の積層表面を支持する薄板状の支持片76,76が配設されている。該支持片76は、前記一対の保持部材69,69の夫々に配設したブラケット80に、袋10を支持する支持面が下方を向くよう配置され、前記エア噴出手段70で押し付けられる前記転向部67より袋開口部寄りとなる所定範囲で、前記積層した袋10の幅方向左右上縁部において、該袋10を支持片76で上方から軽接触状態で押さえて支持する。支持片76,76による支持力は、袋口部10aからの圧縮エアの噴き込みにより袋10が膨らんで袋載置台21上に筒状となって立ち上がる際に、袋10の側縁が支持片76の下から離脱し得る程度の押圧力として設定される。袋10の幅方向両縁部を支持する支持片76,76が、積層した袋10の上下積層部66を上方から押さえる押し部材を構成する。
【0039】
前記一対の保持部材69,69は、図示しない位置調節手段によって、相互に近接・離間移動可能に構成されて、夫々保持部材69に配設された前記エア噴出手段70による圧縮エアの噴き付け位置と前記支持片76による押し位置を、袋10の幅寸法に応じて変更し得るよう構成される。
【0040】
図1に示す如く、前記袋開口手段12の下流側に、前記袋詰め位置Nで袋10に食パン13が押送コンベヤ14により詰め込まれた袋詰品が下流側へ搬送される際に、袋詰品の下面を支持して案内する案内部としての搬送コンベヤ56を備える。搬送コンベヤ56は、前記プリントヘッド40の進退移動領域の上方の開放空間Sを前後方向に水平に進退する移動部57を備え、該移動部57は、開放空間Sを閉ざして前記袋詰め位置Nから下流側(前方)に移動して袋詰品の下面を支持可能な案内位置(図1の二点鎖線位置)と、前記開放空間Sの前後幅を広げて、前記袋載置台21に積層されている積層表面の袋10が、垂れ下がり部27から前記案内位置(案内高さ)より上方に持ち上がるのを許容する、待機位置(図1の実線位置)との間を進退する。搬送コンベヤ56は、前記袋載置台21に積層した積層表面の袋10内への圧縮エアの噴き込みにより袋10が筒状に膨らみ、垂れ下がり部27にある袋底部側が持ち上がる際に、その持ち上げを許容する待機位置まで移動し、膨らんだ袋10の底部側が案内位置より上方へ持ち上がった後に案内位置に移動するよう構成される。
【0041】
次に、実施例に係る袋詰め機の作用について説明する。
前記袋積層部11の袋載置台21には、積層した袋10が載置され、該袋10における底部側は所定長さで前記調節ローラ25から垂れ下がると共に、積層表面の袋10の高さレベルは、前記基準レベルに保持される。図9A(a)に示す如く、前記垂れ下がり部27における袋10は、前記制限部材39の上に後側から前側に引っ掛けられ、該制限部材39の後側には、袋表面側の一部(所定枚数)の袋10が略鉛直に垂れ下がる。そして、袋10が垂れ下がる垂れ下がり部27において層になった袋10は、前記支持位置に位置する前記撫で付け体63により受け部材36との間に挟まれて、プリントヘッド側に臨む袋表面は、波打ち状などのしわが寄った状態とはならずに、平滑化されたフラット面として、定位置に位置付けられるように支持される。前記撮像手段53により垂れ下がり部27の袋表面が撮像され、その画像データに基づいて制御部によりプリント装置PRの前記昇降移動手段43の第1駆動モータ44および前記進退移動手段41の第3駆動モータ50が駆動制御されて、プリント位置10bに対応する印字待機位置に前記プリントヘッド40を位置付けると共に、前記横移動手段42の第2駆動モータ47を駆動制御して、プリントヘッド40を指定されたプリント開始位置に位置付ける。そして、横移動手段42の第2駆動モータ47を駆動制御して、プリントヘッド40をプリント開始位置から水平に横移動することで、前記プリント位置10bに製造年月日、賞味期限、製造者コードその他の表示を要する各種表示情報がプリントされる。
【0042】
前記プリント位置10bへのプリントを完了すると、制御部は、前記進退移動手段41の第3駆動モータ50を駆動制御してプリントヘッド40を印字待機位置から退避位置まで後退移動すると共に、前記リニア作動手段64,64により撫で付け体63を支持位置から許容位置に上昇する。すなわち、プリント位置10bにプリントされた袋10の膨れ上がりおよび該袋10の上方への抜けが許容される状態となる。また、図9A(b)に示す如く、前記持ち上げ部材82が、上昇作動手段83によって待機位置から持ち上げ位置まで移動し、垂れ下がり部27において前記制限部材39の後側で略鉛直に垂れ下がる一部の袋10は、持ち上げ部材82によって底部側の下端縁から上方へ所定の支え長さで内側から支えて持ち上げられる。
【0043】
前記エア噴き込み手段15からの圧縮エアの噴き付けによって、前記袋載置台21に積層した積層表面の袋10における食パン13の搬送方向上流側を向く袋口部10aが予備開口されると共に、前記袋口部保持手段16が袋口から袋内に挿入されつつ挿入先端が四方に拡がって、袋口部10aは、食パン13が通過可能な略矩形状に大きく拡張して開口状態に維持される。また、エア噴き込み手段15からの圧縮エアの噴き付けによって袋10の全体が前記基準レベルから浮き上がることで、袋10の位置決め孔10dが支持ピン26から上方に抜けると共に、袋10の底部側が垂れ下がり部27から撫で付け体63における撫で部65b,65bの間の空所68において膨らみながら持ち上がり、袋詰め位置Nの積層表面の袋10は開口状態に保持される(図1参照)。
【0044】
このようにして、積層表面の袋10が膨らむ際には、袋10の上下積層部66および転向部67における幅方向の両側部は、前記支持片76,76の下方から抜け出て膨らみ、前記エア噴出手段70,70の噴き付け範囲外へ移動し、また、積層表面の袋10の下層に重なる袋10は、エア噴出手段70,70からの圧縮エアおよび支持片76,76によって下方へ押し付けられて、その幅方向の両側部が上方へ浮き上がるのが防止される。
【0045】
積層表面の袋10が膨らむ際に、袋10は前記空所68に引き寄せられ、積層表面の袋10の幅方向左右縁部は、撫で部65b,65bの中間で膨らみながら袋10の底部側が持ち上げられる。そして、積層表面の袋10が撫で部65b,65bに干渉しない状態で膨らんで袋底部側が上方へ向けて持ち上がる時に、前記撫で付け体63を許容位置から垂れ下がり部27における下方の支持位置まで下降する。図9B(c)に示す如く、垂れ下がり部27から持ち上がる積層表面の袋10と、それより下層の袋10が一緒に捲れ上がらないように、垂れ下がった下層の袋10の表面の幅方向の両縁部が下方へ撫で下ろされる。すなわち、積層表面の袋10の底部側が持ち上がる際には、該袋10が一気に持ち上がることで重なっている袋相互が負圧で密着したり、包装材に帯電した静電気によって袋相互が密着したりしていることで、積層表面の袋10と、それより下層の袋10が一時的に一緒に捲れ上がってしまった場合においても、撫で付け体63を許容位置から支持位置まで下降することで、捲れ上がってしまう下層の袋10を撫で下ろすことができる。また、積層表面の袋10が膨らんでその底部側が持ち上がるときには、垂れ下がり部27において垂れ下がる一部の袋10の底部側を前記持ち上げ部材82によって斜めに持ち上げているので、袋底部が持ち上がったときの角度が緩やかになり、2枚目以降の積層袋が撫で付け部材65,65により撫で下ろされる際に、表面の袋10に密着してすり抜け、袋底部が引き上げられてしまうことでプリント位置より大きく隔てた上方まで至ってしまうのを未然に防ぐことができる。
【0046】
前記袋表面のプリント位置10bにプリントされた袋10が、垂れ下がり部27から上方へ持ち上がる際には、プリントヘッド40を、プリント可能な印字待機位置から後退して、袋表面との間隔を拡げ、積層表面の袋10が垂れ下がり部27から持ち上がるのを許容する退避位置まで移動させ、また、前記プリントヘッド40の上方の前記開放空間Sが開放されるよう、前記搬送コンベヤ56の移動部57が前記待機位置まで後退し、積層表面の袋10が垂れ下がり部27から上方へ持ち上げられる際に、持ち上げ経路に障害物が無く、積層表面の袋10の垂れ下がり部27からの持ち上げが許容される。前記袋10が前記搬送コンベヤ56の案内位置より上方へ上昇すると、前記移動部57を案内位置まで前進移動して前記開放空間Sを閉ざす。袋10に食パン13が詰め込まれた袋詰品は、その下面が前記移動部57で支持された状態で下流側に向けて搬送される。前記袋詰品が移動部57に載り移ったタイミングで、該移動部57が案内位置から待機位置まで移動して前記開放空間Sの上方が開放される。
【0047】
また、前記持ち上げ部材82が待機位置に戻ると共に、前記撫で付け体63が支持位置まで下降し、垂れ下がり部27において層になった袋10の表面がプリントヘッド側へ波打つことなく平坦面にして位置ずれすること無く支持する。そして、前記撮像手段53により垂れ下がり部27の袋表面を撮像し、その撮像により得た画像データに応じて前記第1、第2、第3駆動モータ44,47,50を駆動制御して、プリントヘッド40を前記プリント位置10bのプリント開始位置に位置付けて該位置から水平に横移動することで、前記袋表面における所定のプリント位置10bに製造年月日、賞味期限、製造者コードその他の各種表示情報がプリントされる。プリント中には、撫で付け体63が支持位置において垂れ下がり部27において層になった袋10の表面を支持しているので、プリントした表示状態に位置ずれや、歪み、かすれなどのプリント不良が生じるのを防いで、良好なプリント結果を得ることができる。また、袋詰め部となる袋載置台21に積層した袋10に直接プリントするようにしたので、袋積層部から取り出した袋を、袋詰め部まで搬送する行程を備えた従来の装置構造を備えていないので、袋詰め機の設置スペースを増すこともない。更に、プリント装置PRとしてインクジェットプリンタを採用することで、より良好なプリントが可能となり、またプリントする表示内容の変更に柔軟に対応できると共に、袋幅方向のプリント長さが変わっても簡単に変更することができる。
【0048】
前記袋10内への食パン13の詰め込み処理が繰り返されて、積層した袋10が消費されるのに伴い、前記積層表面の袋上面に当接している昇降体55が所定量だけ下降したことが検出されると、積層表面の袋上面の高さレベルが基準レベルとなるように、前記昇降手段19により袋載置台21が上昇される。すなわち、前記袋10が所定量だけ減少する毎に袋載置台21を上昇させて、積層表面の袋上面の高さレベルを所定範囲内(基準レベル)に保持するから、袋10の開口不良を招くことなく良好に行うことができる。
【0049】
ここで、前記袋載置台21に積層した袋10の積層量が減少すると、プリントヘッド40に臨む袋表面の位置が前方に比例的に変化することになる。実施例では、図9B(d)に示す如く、積層量の減少に伴う袋表面の垂れ下がり位置の変化に対して、プリントヘッド40の印字待機位置と袋表面との間隔を保持すべく、前記移動手段31によって、調節ローラ25による垂れ下がり部27の内側からの支持位置を袋表面側に向けて押し出すように、垂れ下がり部27の前方から後方に向けて水平移動する。そして、垂れ下がり部27において、プリントヘッド40と袋10の袋表面との間隔は定間隔に保持されると共に、袋表面のプリント位置10bの高さも一定範囲内に収まり、また前記支持位置に移動した撫で付け体63によって袋表面が平らに支持される。これにより、袋表面のプリント位置10bに前記各種表示情報が良好にプリントされる。また、調節ローラ25の移動に連動して、前記可動体72,72と共にエア噴出手段70,70が移動し、積層量の変化によって曲率が変化する前記転向部67に対するエア噴出手段70,70からの圧縮エアの噴き付け位置は一定の関係に維持され、垂れ下がり部27から持ち上がる積層表面の袋10より下層に重なる袋10の転向部67が一緒に浮き上がってしまうのを防ぐことができる。
【0050】
食パン13が詰め込まれる前の袋10であって、袋載置台21に積層されて垂れ下がった袋10のプリントヘッド側への膨らみが前記支持手段35によって規制されて、平らに保たれるように定位置で支持された袋表側のプリント位置10bに消費期限などの各種表示情報をプリントするので、プリント状態が歪んだり、かすれが生じたりするなどのプリント不良を防止して、良好なプリント結果を得ることができる。また、袋載置台21に積層した袋表面に直接プリントするようにしたので、袋積層部から取り出した袋を袋詰め部まで搬送する行程を設けていないので、袋を個々に取り出して袋詰め部まで搬送するのに要する各種機構を省略でき、また袋の搬送処理に係る設置スペースの増加や、袋の袋積層部から袋詰め部までの搬送経路での袋の姿勢変化や受渡し不良などを招来することなく、強いては、不良包装品の発生を抑制することができる。また、本例では、プリント装置PRとしてインクジェットプリンタを採用したので、より良好なプリントが可能となると共に、プリントすべき表示情報の変更やプリント長さの変更に容易に対応することができる。
【0051】
前記袋載置台21に積層した袋10において、垂れ下がり部27から底部側が持ち上がった積層表面の袋10より下層に重なる袋10を、撫で付け体63で撫で付けて撫で下ろすようにしたので、積層表面の袋10とそれより下層の袋10が一緒に捲れ上がることなく、プリント漏れを防止することができると共に、該下層の袋10を垂れ下がり部27において平にして袋表面へのプリント情報の欠け、かすれなどのプリント不良を防止することができる。また、撫で付け体63は、袋幅左右縁部から内側に所定長さ延出して、袋10の幅方向中央部に空所68を設け、積層表面の袋10が垂れ下がり部27から持ち上がる時に許容位置に位置させるので、積層表面の袋10は、その幅方向両縁が空所68に引き寄せられるようにして袋10の中央が膨らむことで、該空所68を通過して上方へ持ち上がるのを許容し、また、その際、撫で付け体63は、下層に重なる袋10の両縁部を引っ掛けながら下降するので、下層に重なる袋10が積層表面の袋10と一緒に垂れ下がり部27から持ち上がってしまうことなく、下層に重なる袋10を下方へ撫で下ろすことができる(図9B(c)参照)。また、撫で付け体63を、リニア作動手段64によって下降して下層に重なる袋10の表面に沿って撫で下ろすことができるので、下層に重なる袋10が積層表面の袋10と共に垂れ下がり部27から持ち上がろうとした場合でも、下方へ撫で下ろして袋表面を平滑化することができると共に、下方の位置において垂れ下がり部27の袋10の積層表面を支持するようにしているので、袋表面へのプリント位置10bが変化したり、プリント時に袋表面がゆがんだり、ずれたりしてしまうことを防止することができる。垂れ下がり部27において袋10を撫で付ける撫で付け部材65,65を、丸棒状の部材とするなどの少なくとも撫で付け面を円弧状に形成しているので、袋10を撫で付ける際に引掛かったり傷付けたりすることなくスムーズに撫で付けて、袋表面を、しわの発生を防いで、平滑にすることができる。また、垂れ下がり部27において層になった袋10を、撫で付け部材65,65と受け部材36および制限部材39により両側から挟み込むように支持するので、袋表面のズレや、歪みなどを効果的に防止して、良好にプリントすることができる。更に、撫で付け部材65は、前記取着部材64aに対して着脱交換可能に配設されて袋サイズに対応できるように構成しているので、オーダ変更により幅寸法が異なる袋10に変更された場合は、撫で付け部材65,65の撫で部65b,65b間の空所68の幅寸法を、袋10の幅寸法に応じたものに交換することで、積層表面の袋10の上方への持ち上がりを許容しつつ、下層の袋10を良好に撫で下ろして袋表面を平にすることができる。また、袋10の厚み、材質などによる腰の強弱に応じて撫で部65bの延出長さが異なる撫で付け部材65に交換することで、該撫で部65bが袋10に接する幅方向の撫で付け寸法(撫で付け作用位置)を変更し、袋10の幅方向の両側縁部を良好に撫で下ろすことができる。更にまた、オーダ変更によって長さが異なる袋10に変更された場合は、調節ローラ25によって転向部67の前後位置が、垂れ下がり部27における袋表面のプリント位置10bの高さが一定範囲内に収まるよう変更されるので、その位置変更に応じた延出長さの取着部65a,65aの撫で付け部材65,65に交換することで、垂れ下がり部27において袋表面を平にするように袋10を良好に撫で下ろすことができる。また、前記袋載置台21に積層した袋10の上下積層部66および垂れ下がり部27に向けた下方への転向部67の幅方向の両側部を、支持片76,76およびエア噴出手段70,70によって積層表面側から押圧して支持するよう構成したので、袋載置台21から中央が膨らみながら取り出される積層表面の袋10より下層に重なる袋10が支持片76,76およびエア噴出手段70,70で押されて、取り出される袋10と一緒に取り出されてしまうのを防ぐことができる。
【0052】
前記積層表面の袋10が垂れ下がり部27から持ち上がる際に、層になった袋10の底部側を、前記持ち上げ部材82で持ち上げるので、袋底部が持ち上がったときの角度が緩やかになり、撫で付け部材65,65により撫で下ろされる下層の袋10の底部が、積層表面の袋10に密着してすり抜けて引き上げられてしまうのを防ぐことができ、撫で付け部材65,65による袋10の撫で下ろしを良好に行うことができる。また、持ち上げ部材82で層になった袋10の幅方向の中央部を持ち上げることで、該層になった袋10は幅方向中央部が上方に持ち上がった山形状態になるように持ち上げられ、幅方向の重なり端縁両側部を斜状にバラケさせることができ、袋10がくっついて捲れ上がるのを一層抑制できる。また、持ち上げ部材82は、垂れ下がり部27における袋表面側から一部の重なり量までの袋10を持ち上げるようにしたので、袋10が元の垂れ下がり状態まで戻った際に、積層表面の袋10が位置ずれしてプリント位置10bが変化してしまうのを抑制することができる。更に、垂れ下がり部27における袋底部の垂れ下がり長さが袋サイズの変更によって変化したり、該垂れ下がり部27における袋10の重なり厚が袋10の種類によって変化した場合には、前記調節手段89によって持ち上げ部材82を前後および上下に移動して、該持ち上げ部材82による袋10の底部側の持ち上げ量および袋10の支え長さを調節することができ、袋10のサイズや種類の変更に応じて、袋底部を適正な持ち上げ状態に設定することができる。
【0053】
前記袋載置台21に積層した袋10が消費されて積層量が変化し、垂れ下がり部27で層になった袋10の重なり厚が変わった場合は、前記調節ローラ25を内方から外方へ向けて水平移動して、プリントヘッド40と、該プリントヘッド40に臨む袋表面との間隔を一定に保つようにしたので、袋10のプリント位置10bに良好に所定の表示情報をプリントすることができる。また、調節ローラ25の移動に連動してエア噴出手段70,70による圧縮エアの噴き付け位置を移動し、積層量の変化によって曲率が変化する前記転向部67と噴き付け位置との関係を一定に維持するようにしたので、垂れ下がり部27から持ち上がった積層表面の袋10より下層に重なる袋10が一緒に捲れ上がることがなく、プリント漏れ、プリント位置のずれなどによる不良包装品を招来することがない。更に、前記昇降移動手段43によってプリントヘッド40を上下方向に移動し得るようにしたので、袋載置台21への袋10の積層量や垂れ下がり部27における袋10の垂れ下がり高さの変化によりプリント位置10bの高さ位置が変化しても、変化した高さ位置にプリントヘッド40を位置付けて、適正なプリント位置10bにプリントすることができる。前記横移動手段42によってプリントヘッド40を横移動し得るようにしたので、積層した袋10の積層量状態によってプリント位置10bが袋幅方向に変化した場合であっても、プリントヘッド40を位置合わせして、適正なプリント位置10bへ正しくプリントすることができる。また、袋10の幅方向でプリント位置10bが異なる袋10を用いる場合でも、プリントヘッド40を位置合わせして、適正なプリント位置10bへ良好にプリントすることができる。
【0054】
前記撮像手段53で撮像した撮像結果に応じたプリント位置10bの位置情報に基づいて、プリント装置PRの第1~第3駆動モータ44,47,50を駆動制御してプリントヘッド40を位置合わせするようにしたので、作業者が設定変更することなくプリントヘッド40をプリント位置10bに対応する適正な位置に自動位置合わせできる。このように、常に一袋ごとに、垂れ下がり部27における袋10の実際の垂れ下がり状態に応じて、リアルタイムでプリント位置10bを自動設定するので、作業者による位置設定操作を必要としない。
【0055】
食パン用の包装用袋の如く、底部にマチを備えて、袋口側の2倍の厚みとなる袋10であっても、垂れ下がり部27において層になった袋10を重なり方向の両側から受け部材36と制限部材39とを含む支持手段35により支持して、袋10の垂れ下がり状態を規制してプリントヘッド側への袋10の膨出を抑え、袋表面を平滑化すると共に垂れ下がり部27における袋表面を定位置に位置付けるので、プリント状態の歪みや文字欠け、かすれなどによりプリント不良となるのを防止することができる。
【0056】
前記プリントヘッド40は、袋表面へのプリント後に、退避位置に移動すると共に、前記支持手段35の撫で付け体63を許容位置に移動するようにしたので、プリントされた袋10に食パン13を袋詰めする際に、垂れ下がり部27から袋10の底部側を支障なく持ち上げて袋詰めに備えることができる。また、前記搬送コンベヤ56の移動部57を待機位置まで移動して前記開放空間Sの上方を開放し、垂れ下がり部27に垂れ下がった袋底部側を、開放空間Sを経て搬送コンベヤ56の案内位置である搬送面より上方へ持ち上げ、移動部57を案内位置まで戻すよう移動させるので、袋詰め位置Nで袋10に食パン13が詰め込まれた袋詰品の下面を移動部57で受け支えて、下流側に向けて安定して搬送することができる。
【0057】
前記袋載置台21に制限部材39を設け、垂れ下がり部27において制限部材39と支持位置の撫で付け体63との間の袋10の重なり厚を制限するようにしたので、積層した袋10が消費される初期の重なり厚が大きい場合に、垂れ下がり部27において層になった袋10が扇形に拡がり、プリントヘッド40に相対する袋表面が傾斜してプリントヘッド40側へ飛び出してしまうのを防ぐことができる。
【0058】
また、前記袋載置台21は、前記昇降手段19によって上下方向に移動される昇降台20に対して着脱可能に配設されると共に、該昇降台20に配設されて前記調節ローラ25の位置を調節するアーム32と支持軸28とは連結しない構成としてあるので、袋10の種類に応じて複数の袋載置台21を用意する場合や予備の袋載置台21を用意する場合であっても、1基の昇降手段19および移動手段31のみで対応することができ、コストを低廉に抑えることができる。
【0059】
(変更例)
本発明は実施例の構成に限定されるものではなく、例えば、以下のようにも変更実施可能である。また、以下の変更例に限らず、実施例に記載した構成については、本発明の主旨の範囲内において種々の実施形態を採用し得る。
(1) 実施例では、撫で付け体63を2つの撫で付け部材65,65で構成したが、垂れ下がり部27からの袋10の持ち上がりが許容されれば、1つの部材に垂れ下がり部27から袋10の底部側が持ち上がるのを許容する空所68を形成したものや、袋10の底部側の持ち上がりを阻害しない位置まで移動する構成を採用することができる。
(2) 撫で付け部材65は、丸棒状に限らず、袋表面の撫で付け面が例えば円弧状に形成されるなどにより、袋表面を傷付けることのない各種形状の部材を採用することができる。また、撫で付け部材65を、自由回転可能なローラなどにより構成してもよい。
(3) 実施例では、撫で付け部材65,65を着脱交換可能に構成したが、該撫で付け部材65,65を幅方向と垂れ下がり部27との接近離間方向とに位置調節可能に構成することで、袋10の長さと幅夫々の変更に対応するようにすることができる。
(4) 撫で付け部材65のリニア作動手段64は、エアシリンダに限らず、駆動モータを駆動源とするリニアスライド機構や直線的な移動を伴わないリンク機構など、他の形態の機構を採用することができる。
(5) 実施例では、リンク機構からなる連繋機構84によって持ち上げ部材82を待機位置と持ち上げ位置との間を揺動するよう構成したが、エアシリンダなどのリニア移動手段によって、持ち上げ部材82を斜め上方へ直線的に移動する構成など、持ち上げ部材82を移動する機構は、公知の各種機構を採用することができる。
(6) 実施例では、層になった袋10の底部側を、持ち上げ部材82によって幅方向の中央部において持ち上げるよう構成したが、垂れ下がった袋10のすベての層を持ち上げる構成を採用することができる。
(7) 実施例では、袋10の底部側を、持ち上げ部材82の持ち上げ位置において斜めになるように持ち上げたが、底部側を略水平となるまで持ち上げるようにしてもよい。
(8) 実施例では、エア噴出手段70を調節ローラ25の前後動に連動するよう構成したが、支持片76を可動体72に配設して、エア噴出手段70および支持片76を調節ローラ25の前後動に連動する構成としてもよい。
【0060】
(9) 実施例では、好ましい態様としてエア噴出手段70と支持片76の夫々を設けた構成としたが、これらは必要に応じて選択的に採用されるものであればよい。
(10) 支持手段35は、垂れ下がり部27において、袋10の重なり方向の少なくとも一方から袋10を支持し得る適宜構成を採用することができる。
(11) 実施例では、袋10の積層量(積層高さ)を検出して、比例関係となる、垂れ下がり部27における袋10の重なり厚を算出し、袋表面に臨むプリントヘッド40の前記印字待機位置を設定するように構成したが、垂れ下がり部27において垂れ下がった袋表面の位置を検出して、プリントヘッド40の印字待機位置を設定し、袋表面との間隔を一定に保った状態でプリントできるようにすることで、より精度良くプリントヘッド40を位置付けることができる。
(12) 実施例では、調節ローラ25と移動手段31とで位置決め手段を構成し、調節ローラ25を移動することで、プリント時におけるプリントヘッド40と袋表面との間隔を一定に保つよう構成したが、進退移動手段41を位置決め手段として、該進退移動手段41によりプリントヘッド40を移動して印字待機位置を前後方向に調節することで、プリントヘッド40と袋表面との間隔を一定に保つ構成を採用することができる。
(13) 実施例では、予め印刷されたプリント位置10bを撮像手段53で撮像し、その撮像結果から認識したプリント位置10bの位置情報に基づいて、プリントヘッド40の高さ位置やプリント開始位置を自動で設定しているが、袋10の印刷デザインからプリント位置10bを割り出して、プリントヘッド40を前進位置およびプリント開始位置に位置決めする構成を採用することができる。また、検出センサでプリント位置10bを検出したり、袋10の直交する縁部を夫々検出可能な適宜手段により縁部を検出してプリント位置10bを割り出したりする他の形態も採用することができる。
(14) 袋詰めする物品は、食パンに限らず、その他の食品などであってもよい。
【符号の説明】
【0061】
10 袋,13 食パン(物品),21 袋載置台,27 垂れ下がり部
36 受け部材(支持部),39 制限部材(支持部),40 プリントヘッド
54 検出手段,63 撫で付け体,64 リニア作動手段,68 空所
82 持ち上げ部材,89 調節手段,PR プリント装置

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B