(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022136934
(43)【公開日】2022-09-21
(54)【発明の名称】車両用収容装置
(51)【国際特許分類】
E05B 83/32 20140101AFI20220913BHJP
B60R 7/04 20060101ALI20220913BHJP
【ＦＩ】
E05B83/32
B60R7/04 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】ＯＬ
(21)【出願番号】P 2021036781
(22)【出願日】2021-03-08
(71)【出願人】
【識別番号】000241463
【氏名又は名称】豊田合成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000604
【氏名又は名称】弁理士法人 共立特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】福井 直行
(72)【発明者】
【氏名】池 泰文
(72)【発明者】
【氏名】住谷 大樹
(72)【発明者】
【氏名】菱田 裕
【テーマコード（参考）】
2E250
3D022
【Ｆターム（参考）】
2E250AA21
2E250HH01
2E250JJ47
2E250LL12
3D022CA07
3D022CB01
3D022CC19
3D022CD14
3D022CD18
(57)【要約】 （修正有）
【課題】リッドを閉位置に安定してロックできるロック機構を有する車両用収容装置を提供する。
【解決手段】ケース３と、ケース３の開口を閉じるリッド２と、リッド２をロックするロック機構とを具備し、ロック機構は、第１係合部５１ｅが第１方向に向けて進む第１ロック位置と、第１方向とは異なる第２方向に向けて退く第１ロック解除位置との間を位置変化する第１ロック部５１と、第１ロック部５１に従動し、第２係合部５２ｅが第１方向に向けて進む第２ロック位置と、第２係合部５２ｅが第２方向に向けて退く第２ロック解除位置との間を位置変化する第２ロック部５２と、第１ロック部５１を第１ロック位置に向けて付勢する第１付勢部材４４とを具備し、リッド２が閉位置になると、第１係合部５１ｅがリッド２の端部をケース３に固定し、第２係合部５２ｅがリッド２の他端部をケース３に固定する。
【選択図】図４
【解決手段】ケース３と、ケース３の開口を閉じるリッド２と、リッド２をロックするロック機構とを具備し、ロック機構は、第１係合部５１ｅが第１方向に向けて進む第１ロック位置と、第１方向とは異なる第２方向に向けて退く第１ロック解除位置との間を位置変化する第１ロック部５１と、第１ロック部５１に従動し、第２係合部５２ｅが第１方向に向けて進む第２ロック位置と、第２係合部５２ｅが第２方向に向けて退く第２ロック解除位置との間を位置変化する第２ロック部５２と、第１ロック部５１を第１ロック位置に向けて付勢する第１付勢部材４４とを具備し、リッド２が閉位置になると、第１係合部５１ｅがリッド２の端部をケース３に固定し、第２係合部５２ｅがリッド２の他端部をケース３に固定する。
【選択図】図４
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口を上方に向けた内部空間を有するケースと、前記ケースの前記開口を閉じる閉位置と前記開口を開く開位置との間を位置変化するリッドと、前記リッドを前記閉位置にロックするロック機構と、を具備し、
前記ロック機構は、
第１方向を向く第１係合部を有し、前記第１係合部が前記第１方向に向けて進む第１ロック位置と、前記第１係合部が前記第１方向とは異なる第２方向に向けて退く第１ロック解除位置と、の間を位置変化する第１ロック部と、
前記第１ロック部に従動し、前記第１方向を向く第２係合部を有し、前記第２係合部が前記第１方向に向けて進む第２ロック位置と、前記第２係合部が前記第２方向に向けて退く第２ロック解除位置と、の間を位置変化する第２ロック部と、
前記第１ロック部を前記第１ロック位置に向けて付勢する第１付勢部材と、を具備し、
前記リッドが前記開位置から前記閉位置に位置変化すると、
前記第１ロック部が前記第１ロック解除位置から前記第１ロック位置に位置変化して、前記第１係合部が前記リッドにおける前記第１方向の端部を前記ケースに固定し、
前記第２ロック部が前記第２ロック解除位置から前記第２ロック位置に位置変化して、前記第２係合部が前記リッドにおける前記第２方向の端部を前記ケースに固定する、車両用収容装置。
前記ロック機構は、
第１方向を向く第１係合部を有し、前記第１係合部が前記第１方向に向けて進む第１ロック位置と、前記第１係合部が前記第１方向とは異なる第２方向に向けて退く第１ロック解除位置と、の間を位置変化する第１ロック部と、
前記第１ロック部に従動し、前記第１方向を向く第２係合部を有し、前記第２係合部が前記第１方向に向けて進む第２ロック位置と、前記第２係合部が前記第２方向に向けて退く第２ロック解除位置と、の間を位置変化する第２ロック部と、
前記第１ロック部を前記第１ロック位置に向けて付勢する第１付勢部材と、を具備し、
前記リッドが前記開位置から前記閉位置に位置変化すると、
前記第１ロック部が前記第１ロック解除位置から前記第１ロック位置に位置変化して、前記第１係合部が前記リッドにおける前記第１方向の端部を前記ケースに固定し、
前記第２ロック部が前記第２ロック解除位置から前記第２ロック位置に位置変化して、前記第２係合部が前記リッドにおける前記第２方向の端部を前記ケースに固定する、車両用収容装置。
【請求項2】
前記ロック機構は、
貫通孔状をなし前記リッドにおける前記第１方向の端部に設けられている第１孔部と、
貫通孔状をなし前記リッドにおける前記第２方向の端部に設けられている第２孔部と、
前記ケースに設けられている第３孔部と、
前記第２ロック部を前記第２ロック解除位置に向けて付勢する第２付勢部材と、を有し、
前記第１ロック部と前記第２ロック部とは別体であり、
前記第１ロック部は、前記ケースに取り付けられ、
前記第２ロック部は、前記リッドに内蔵され、前記第１方向を向き前記第２ロック解除位置においては前記第１孔部内にある連絡部を有し、
前記第１ロック位置において、前記第１係合部は、前記第１孔部に入り込み、かつ、前記第１孔部内で前記連絡部を前記第２方向に向けて押圧することで前記第２ロック部を前記第２ロック解除位置から前記第２ロック位置に位置変化させ、
前記第２ロック位置において、前記第２係合部は、前記第２孔部を経て前記第３孔部に入り込む、請求項１に記載の車両用収容装置。
貫通孔状をなし前記リッドにおける前記第１方向の端部に設けられている第１孔部と、
貫通孔状をなし前記リッドにおける前記第２方向の端部に設けられている第２孔部と、
前記ケースに設けられている第３孔部と、
前記第２ロック部を前記第２ロック解除位置に向けて付勢する第２付勢部材と、を有し、
前記第１ロック部と前記第２ロック部とは別体であり、
前記第１ロック部は、前記ケースに取り付けられ、
前記第２ロック部は、前記リッドに内蔵され、前記第１方向を向き前記第２ロック解除位置においては前記第１孔部内にある連絡部を有し、
前記第１ロック位置において、前記第１係合部は、前記第１孔部に入り込み、かつ、前記第１孔部内で前記連絡部を前記第２方向に向けて押圧することで前記第２ロック部を前記第２ロック解除位置から前記第２ロック位置に位置変化させ、
前記第２ロック位置において、前記第２係合部は、前記第２孔部を経て前記第３孔部に入り込む、請求項１に記載の車両用収容装置。
【請求項3】
前記第１ロック部と前記第２ロック部とは一体でありかつ前記リッドに内蔵され、
前記ロック機構は、前記ケースに設けられている第３孔部および第４孔部を有し、
前記第１ロック部が前記第１ロック位置に配置されると前記第２ロック部は前記第２ロック位置に配置され、前記第１係合部は前記第４孔部に入り込み、前記第２係合部は前記第３孔部に入り込む、請求項１に記載の車両用収容装置。
前記ロック機構は、前記ケースに設けられている第３孔部および第４孔部を有し、
前記第１ロック部が前記第１ロック位置に配置されると前記第２ロック部は前記第２ロック位置に配置され、前記第１係合部は前記第４孔部に入り込み、前記第２係合部は前記第３孔部に入り込む、請求項１に記載の車両用収容装置。
【請求項4】
前記第２ロック位置における前記第２係合部と前記第３孔部とのラップ量は、前記第１ロック位置における前記第１係合部と前記第１孔部とのラップ量よりも小さい、請求項２に記載の車両用収容装置。
【請求項5】
前記第２ロック位置において、前記第２係合部と前記第３孔部の外縁との間に隙間がある、請求項２～請求項４の何れか１項に記載の車両用収容装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開口を有するケースと当該ケースを開閉するリッドとを有し車両に搭載される車両用収容装置に関する。
【背景技術】
【0002】
開口を有するケースと当該ケースを開閉するリッドとを有し車両に搭載される、センターコンソールボックス等の車両用収容装置として、開口を開く開位置と開口を閉じる閉位置との間をリッドが位置変化するものが知られている（例えば、特許文献１参照）。
【0003】
この種の車両用収容装置は、一般に、リッドを閉位置にロックするロック機構を有する。一般的には、リッドのロック機構は、リッドにおける長手方向または短手方向の一方側にのみ設けられる。そして当該ロック機構は、リッドが閉位置にまで位置変化するとリッドを自動的にロックし、車両用収容装置に設けられた開閉スイッチや開閉ノブ等の操作部をユーザーが操作することにより解除される。
【0004】
ユーザーが、操作部を操作することなくリッドに力を加えると、ロック機構やリッドには大きな力が作用する。例えば、ユーザーがリッドの自由端部、すなわち、リッドにおけるロック機構を設けていない側の端部に肘をついた場合には、リッドがねじれ方向に変形して、リッドやロック機構が変形または破損する虞がある。また、リッドがケースに対して回動することで位置変化する場合、リッドと回動軸との位置関係によっては、リッドの自由端部にユーザーが肘をつくと、リッドに対して開位置に向けた力が作用する場合がある。この場合、リッドが沈み込むことでユーザーの肘が安定的に支持されなかったり、ロックが解除されたりする虞がある。
このため、リッドを安定してロックできる車両用収容装置の開発が望まれている。
このため、リッドを安定してロックできる車両用収容装置の開発が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第２０１８／２２５５０６号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、リッドを閉位置に安定してロックできるロック機構を有する車両用収容装置を提供することを解決すべき課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決する本発明の車両用収容装置は、
開口を上方に向けた内部空間を有するケースと、前記ケースの前記開口を閉じる閉位置と前記開口を開く開位置との間を位置変化するリッドと、前記リッドを前記閉位置にロックするロック機構と、を具備し、
前記ロック機構は、
第１方向を向く第１係合部を有し、前記第１係合部が前記第１方向に向けて進む第１ロック位置と、前記第１係合部が前記第１方向とは異なる第２方向に向けて退く第１ロック解除位置と、の間を位置変化する第１ロック部と、
前記第１ロック部に従動し、前記第１方向を向く第２係合部を有し、前記第２係合部が前記第１方向に向けて進む第２ロック位置と、前記第２係合部が前記第２方向に向けて退く第２ロック解除位置と、の間を位置変化する第２ロック部と、
前記第１ロック部を前記第１ロック位置に向けて付勢する第１付勢部材と、を具備し、
前記リッドが前記開位置から前記閉位置に位置変化すると、
前記第１ロック部が前記第１ロック解除位置から前記第１ロック位置に位置変化して、前記第１係合部が前記リッドにおける前記第２方向の端部を前記ケースに固定し、
前記第２ロック部が前記第２ロック解除位置から前記第２ロック位置に位置変化して、前記第２係合部が前記リッドにおける前記第１方向の端部を前記ケースに固定する、車両用収容装置である。
開口を上方に向けた内部空間を有するケースと、前記ケースの前記開口を閉じる閉位置と前記開口を開く開位置との間を位置変化するリッドと、前記リッドを前記閉位置にロックするロック機構と、を具備し、
前記ロック機構は、
第１方向を向く第１係合部を有し、前記第１係合部が前記第１方向に向けて進む第１ロック位置と、前記第１係合部が前記第１方向とは異なる第２方向に向けて退く第１ロック解除位置と、の間を位置変化する第１ロック部と、
前記第１ロック部に従動し、前記第１方向を向く第２係合部を有し、前記第２係合部が前記第１方向に向けて進む第２ロック位置と、前記第２係合部が前記第２方向に向けて退く第２ロック解除位置と、の間を位置変化する第２ロック部と、
前記第１ロック部を前記第１ロック位置に向けて付勢する第１付勢部材と、を具備し、
前記リッドが前記開位置から前記閉位置に位置変化すると、
前記第１ロック部が前記第１ロック解除位置から前記第１ロック位置に位置変化して、前記第１係合部が前記リッドにおける前記第２方向の端部を前記ケースに固定し、
前記第２ロック部が前記第２ロック解除位置から前記第２ロック位置に位置変化して、前記第２係合部が前記リッドにおける前記第１方向の端部を前記ケースに固定する、車両用収容装置である。
【発明の効果】
【0008】
本発明の車両用収容装置におけるロック機構は、リッドを閉位置に安定してロックすることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】実施例１の車両用収容装置を分解した様子を模式的に表す説明図である。
【図2】実施例１の車両用収容装置の外観を模式的に表す説明図である。
【図3】実施例１の車両用収容装置の外観を模式的に表す説明図である。
【図4】実施例１の車両用収容装置におけるロック機構の動作を模式的に表す説明図である。
【図5】実施例１の車両用収容装置におけるロック機構の動作を模式的に表す説明図である。
【図6】実施例１の車両用収容装置を後側から見た様子を模式的に表す説明図である。
【図7】実施例２の車両用収容装置におけるロック機構の動作を模式的に表す説明図である。
【図8】実施例２の車両用収容装置におけるロック機構の動作を模式的に表す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の車両用収容装置は、車両に搭載される収容装置であれば良く、例えば、運転席と助手席との間に配設されるセンターコンソールボックス、サイドコンソールボックス、後部座席において乗員席の側方に配置され飲料用の容器を収容保持する容器ホルダ装置等として具現化することができる。
【0011】
本発明の車両用収容装置は、開口を上方に向けた内部空間を有するケースと、当該ケースの開口を閉じる閉位置と開口を開く開位置との間を位置変化するリッドと、当該リッドを閉位置にロックするロック機構と、を具備する。
本発明の車両用収容装置において、ロック機構は、第１ロック部、第２ロック部および第１付勢部材を具備する。
本発明の車両用収容装置において、ロック機構は、第１ロック部、第２ロック部および第１付勢部材を具備する。
【0012】
このうち第１ロック部は、第１方向を向く第１係合部を有する。そして、第１ロック部は、当該第一係合部が第１方向に向けて進む第１ロック位置と、当該第１係合部が当該第１方向とは異なる第２方向に向けて退く第１ロック解除位置と、の間を位置変化し、第１付勢部材によって第１ロック位置に向けて付勢されている。
第２ロック部は、第１ロック部に従動し、第１方向を向く第２係合部を有する。そして、第２ロック部は、当該第２係合部が第１方向に向けて進む第２ロック位置と、当該第２係合部が第２方向に向けて退く第２ロック解除位置と、の間を位置変化する。
第２ロック部は、第１ロック部に従動し、第１方向を向く第２係合部を有する。そして、第２ロック部は、当該第２係合部が第１方向に向けて進む第２ロック位置と、当該第２係合部が第２方向に向けて退く第２ロック解除位置と、の間を位置変化する。
【0013】
リッドが開位置から閉位置に位置変化すると、第１付勢部材の付勢力によって第１ロック部が第１ロック解除位置から第１ロック位置に位置変化する。その詳細は後述するが、このとき第１ロック部が、リッドにおける第２方向の端部をケースに固定する。
またこのとき、第１ロック部に従動する第２ロック部は、第２ロック解除位置から第２ロック位置に位置変化する。そして、当該第２ロック部の第２係合部が、リッドにおける第１方向の端部をケースに固定する。
つまり、閉位置にあるリッドは、ロック機構によって、第１方向の端部と第２方向の端部との２か所で、ケースに対して固定される。これにより、本発明の車両用収容装置では、リッドを閉位置に安定的にロックすることが可能である。
以下、本発明の車両用収容装置を構成要素毎に説明する。
またこのとき、第１ロック部に従動する第２ロック部は、第２ロック解除位置から第２ロック位置に位置変化する。そして、当該第２ロック部の第２係合部が、リッドにおける第１方向の端部をケースに固定する。
つまり、閉位置にあるリッドは、ロック機構によって、第１方向の端部と第２方向の端部との２か所で、ケースに対して固定される。これにより、本発明の車両用収容装置では、リッドを閉位置に安定的にロックすることが可能である。
以下、本発明の車両用収容装置を構成要素毎に説明する。
【0014】
本発明の車両用収容装置におけるケースは、既述したように、内部空間を有し、当該内部空間と外界との境界となる開口を上方に向ける。したがってケースの内部空間は、少なくとも側方において外界から区画される。本明細書では、ケースの内部空間と外界とを区画する当該側方の部分を、ケースの周壁と称する。
【0015】
ケースの周壁は、ケースの内部空間を全周にわたって連続的に取り囲んでも良いし、断続的に取り囲んでも良い。
ケースの内部空間の用途は特に問わず、ケースの形状や、内部空間および開口の形状は特に限定されず、これらは必要とされる用途に応じて適宜適切に設計すれば良い。例えば、ケースの内部空間は、物品を収容するための収容室としても利用可能であるし、オーディオ機器等を配設するための空間としても利用可能である。
ケースの内部空間の用途は特に問わず、ケースの形状や、内部空間および開口の形状は特に限定されず、これらは必要とされる用途に応じて適宜適切に設計すれば良い。例えば、ケースの内部空間は、物品を収容するための収容室としても利用可能であるし、オーディオ機器等を配設するための空間としても利用可能である。
【0016】
リッドはケースの開口を覆う閉位置と当該開口を開く開位置との間を位置変化する。
リッドは、開位置と閉位置との間を位置変化できれば良く、その動作機序は特に問わない。例えばリッドは、回動することによって開位置と閉位置との間を位置変化しても良いし、スライドすることによって開位置と閉位置との間を位置変化しても良い。
リッドは、開位置と閉位置との間を位置変化できれば良く、その動作機序は特に問わない。例えばリッドは、回動することによって開位置と閉位置との間を位置変化しても良いし、スライドすることによって開位置と閉位置との間を位置変化しても良い。
【0017】
ここで、リッドが回動する場合、リッドはケースに枢支されて一軸的に回動しても良いし、二軸以上の多軸的に回動しても良い。近年、リッドの回動軌跡を縮小すべく、リッドが多軸的に回動する車両用収容装置が提案されている。この種の車両用収容装置においては、後述する実施例で詳説するように、リッドの回動中心の少なくとも一つはリッドに対して幅方向の外側または内側に偏って設けられる場合が多い。この場合、閉位置にあるリッドにユーザーが肘をつく等してリッドに対して下方向の力が作用すると、当該力を回動軸で受けることができず、リッドが当該回動中心を中心として閉位置から開位置に向けて位置変化する場合がある。したがって、この種の車両用収容装置においては、リッドを閉位置に安定的にロックする技術の必要性が高く、本発明の車両用収容装置は、多軸的に回動するリッドを有する車両用収容装置として特に好ましく具現化できる。
【0018】
ところで、本発明の車両用収容装置は１つのみのリッドを有しても良いし、２つのリッドを有しても良い。つまり、本発明の車両用収容装置は１つのリッドで開口の全体を覆っても良いし、２つのリッドで開口を覆っても良い。本発明の車両用収容装置が２つのリッドを有する場合、当該リッドの一方を第１リッド部と称し、他方を第２リッド部と称する。第１リッド部および第２リッド部を有する本発明の車両用収容装置においては、第１リッド部および第２リッド部が各々閉位置と開位置との間を位置変化する。つまり、この場合の本発明の車両用収容装置は、所謂スプリットオープン型の収容装置といえる。
【0019】
本発明の車両用収容装置が上記したスプリットオープン型の収容装置である場合、第１リッド部および第２リッド部は独立して動作しても良いし、同期して動作しても良い。第１リッド部および第２リッド部が同期して動作する場合、本発明の車両用収容装置は、上記したケース、リッドおよびロック機構以外に、第２リッド部および第２リッド部を同期させるためのリンク機構を有すれば良い。当該リンク機構としては、ギヤやクランク機構等の既知の機構を採用すれば良い。第１リッド部および第２リッド部が別々に動作する場合には当該リンク機構は不要である。
【0020】
以下、特に説明なく単にリッドという場合には、本発明の車両用収容装置が１つのみのリッドを有する場合のリッドと、本発明の車両用収容装置が第１リッド部および第２リッド部を有する場合の第１リッド部および第２リッド部の各々とを総称するものとする。
【0021】
ロック機構は、既述したように、第１ロック部、第２ロック部および第１付勢部材を具備する。
【0022】
このうち第１ロック部は、第１係合部が第１方向に向けて進む第１ロック位置と、第１係合部が第２方向に退く第２ロック位置と、の間を位置変化する。第１方向と第２方向とは互いに異なる方向であれば良いが、リッドをより安定的にロックするためには、第１方向と第２方向とは反対方向であるのが好ましく、第１方向を向く直線と第２方向を向く直線とのなす角θ１は１８０°に近い角度であるのが望ましい。また、当該θ１の好ましい範囲として、９０°～２７０°の範囲内、１５０°～２１０°の範囲内を例示できる。
【0023】
なお、例えばリッドが回動する場合、意図せぬリッドの動作を効果的に阻害するためには、第１方向および第２方向は、リッドの回動軸の軸線方向と平行であるのが好ましい。当該軸線方向を向く直線と第１方向を向く直線とのなす角θ２、および、当該軸線方向を向く直線と第２方向を向く直線とのなす角θ３は、各々、１８０°に近い角度であるのが望ましい。当該θ２およびθ３の好ましい範囲として、９０°～２７０°の範囲内、１５０°～２１０°の範囲内を例示できる。
【0024】
第１ロック部の動作機序は特に限定されず、当該動作機序としては回動やスライドを例示できる。第１ロック部が位置変化する際の軌跡を小さくするためには、第１ロック部は第１ロック位置と第１ロック解除位置との間を回動するのが好ましい。
【0025】
第１ロック部は、ケースに取り付けられても良いし、リッドに内蔵されても良い。
【0026】
第１ロック部がケースに取り付けられる場合、第１ロック位置において、ケースに取り付けられている第１ロック部の第１係合部が、リッドに設けた第１ロック部用係合受部に係合すれば、リッドをケースに固定できる。また、第１ロック部がリッドに内蔵される場合、第１ロック位置において、リッドに内蔵されている第１ロック部の第１係合部が、ケースに設けた第１ロック部用係合受部に係合すれば、リッドをケースに固定できる。第１係合部は突起状や鉤状等、係合部として一般的な形状を有すれば良く、当該第１係合部と係合部する第１ロック部用係合受部もまた、孔状や鉤状等、係合受部として一般的な形状を有すれば良い。これらの第１ロック部用係合受部は、ロック機構の一部として機能する。なお、第１ロック部用係合受部は孔状をなすのが好適である。孔状をなす第１ロック部用係合受部のうちリッドに設けられたものについては、第１孔部として後述する。また、孔状をなす第１ロック部用係合受部のうちケースに設けられたものを第４孔部と称する。
【0027】
第１ロック部は、第１付勢部材によって上記した第１ロック位置に向けて付勢される。第１付勢部材は第１ロック部を第１ロック位置に向けて付勢できるものであれば良く、特に限定されないが、ねじりコイルバネやつる巻きバネ等の既知構造のバネからなるものが好適である。
【0028】
第２ロック部は、第１ロック部に従動すれば良く、第１ロック部と一体であっても良いし、第１ロック部と別体であっても良い。第２ロック部が第１ロック部と一体である場合、第２ロック部のうち第２係合部以外の部分が第１ロック部に連結されれば良い。
何れの場合にも第２ロック部は、第２係合部が第１方向に向けて進む第２ロック位置と、当該第２係合部が第２方向に向けて退く第２ロック解除位置と、の間を位置変化する。
何れの場合にも第２ロック部は、第２係合部が第１方向に向けて進む第２ロック位置と、当該第２係合部が第２方向に向けて退く第２ロック解除位置と、の間を位置変化する。
【0029】
このような第２ロック部はリッドに取り付けられるのが良い。第２ロック部は、リッドに外装されても良いしリッドに内蔵されても良いが、リッドの意匠性を高めるためには、リッドに内蔵されるのが好ましい。
なお、第２ロック部は、第１ロック部に従動する都合上、第１付勢部材によって間接的に第２ロック位置に向けて付勢される。
なお、第２ロック部は、第１ロック部に従動する都合上、第１付勢部材によって間接的に第２ロック位置に向けて付勢される。
【0030】
第２ロック部が第１ロック部と一体である場合、第１ロック部が第１ロック解除位置から第１ロック位置に位置変化すると、第２ロック部もまた当該第１ロック部に従動して第２ロック解除位置から第２ロック位置に位置変化する。これにより第２ロック部の第２係合部がリッドをケースに固定する。
【0031】
第２ロック部が第１ロック部とともにリッドに取り付けられる場合、第２ロック位置において、リッドに取り付けられている第２ロック部の第２係合部が、ケースに設けた第２ロック部用係合受部に係合すれば、リッドをケースに固定できる。第２係合部は第１係合部と同様に、突起状や鉤状等、係合部として一般的な形状を有すれば良く、当該第２係合部と係合部する第２ロック部用係合受部もまた、孔状や鉤状等、係合受部として一般的な形状を有すれば良い。当該第２ロック部用係合受部もまた、ロック機構の一部として機能する。
【0032】
一方、第２ロック部が第１ロック部と別体である場合、第１ロック部は既述したようにケースに取り付けられ、また、第２ロック部はリッドに内蔵されるのが良い。この場合、第２ロック部は第２係合部以外に連絡部を有するのが良い。当該連絡部は第１方向を向き、第２ロック位置においては第２方向に進み、第２ロック解除位置においては第１方向に進むのが良い。この場合、第２ロック部は、第１ロック位置に配置された第１ロック部の第１係合部によって連絡部が第２方向に押圧されることで、全体として第２方向に進むのが好ましい。こうすることで、ロック機構に要する部品点数を低減でき、ロック機構をシンプルにできる利点がある。
さらにこの場合、本発明の車両用収容装置は、第２ロック部を第２ロック解除位置に向けて付勢する第２付勢部材を有するのが良い。こうすることで、第１ロック部が第１ロック解除に位置変化する際には、第２付勢部材によって第２ロック部を第２ロック解除位置に位置変化させることができる。
さらにこの場合、本発明の車両用収容装置は、第２ロック部を第２ロック解除位置に向けて付勢する第２付勢部材を有するのが良い。こうすることで、第１ロック部が第１ロック解除に位置変化する際には、第２付勢部材によって第２ロック部を第２ロック解除位置に位置変化させることができる。
【0033】
ところで、第２ロック部がリッドに内蔵される場合、リッドにおける第１方向の端部には第２係合部が出入りする貫通孔を設けるのが良い。当該貫通孔を第２孔部と称する。この場合、当該第２孔部を経て、第２係合部がケースに設けた第２ロック部用係合受部と係合すれば良い。
【0034】
さらに、リッドにおける第２方向の端部にもまた、貫通孔を設けるのが良い。当該貫通孔を第１孔部と称する。
第１孔部は、第１ロック部および第２ロック部がリッドに内蔵される場合には、第１ロック部の第１係合部が出入りする通路として機能する。この場合、当該第１孔部を経て、第１係合部がケースに設けた第１ロック部用係合受部、例えば既述した第４孔部と係合すれば良い。
または、第１孔部は、第１ロック部がケースに取り付けられかつ第２ロック部がリッドに内蔵される場合には、第２ロック部の連絡部が出入りする通路として機能するとともに、第１ロック部の第１係合部が係合する第１ロック部用係合受部としても機能する。この場合、第１ロック位置において、当該第１孔部に入り込んだ第１係合部が、当該第１孔部内にある連絡部を第１方向に押圧し、これにより第２ロック部を第２ロック位置に位置変化させれば良い。この場合にも、第２ロック部の第２係合部が第２孔部を経て第２ロック部用係合受部と係合すれば、第２ロック部によりリッドをケースにロックできる。
第１孔部は、第１ロック部および第２ロック部がリッドに内蔵される場合には、第１ロック部の第１係合部が出入りする通路として機能する。この場合、当該第１孔部を経て、第１係合部がケースに設けた第１ロック部用係合受部、例えば既述した第４孔部と係合すれば良い。
または、第１孔部は、第１ロック部がケースに取り付けられかつ第２ロック部がリッドに内蔵される場合には、第２ロック部の連絡部が出入りする通路として機能するとともに、第１ロック部の第１係合部が係合する第１ロック部用係合受部としても機能する。この場合、第１ロック位置において、当該第１孔部に入り込んだ第１係合部が、当該第１孔部内にある連絡部を第１方向に押圧し、これにより第２ロック部を第２ロック位置に位置変化させれば良い。この場合にも、第２ロック部の第２係合部が第２孔部を経て第２ロック部用係合受部と係合すれば、第２ロック部によりリッドをケースにロックできる。
【0035】
第２ロック部の動作機序もまた特に限定されず、当該動作機序としてはスライドや回動を例示できる。好ましくは、第２ロック部用のガイドをリッドに設け、第２ロック部は当該ガイドに沿ってスライドするのが良い。
【0036】
第２ロック部を第２ロック解除位置に向けて付勢する第２付勢部材としては、上記した第１付勢部材と同様に如何なるものを用いても良いが、ねじりコイルバネやつる巻きバネ等の既知構造のバネからなるものが好適である。
【0037】
第２ロック部用係合受部は、ケースに設けられた孔部であるのが好適である。当該孔部を第３孔部と称する。第３孔部は、第２部材が第２ロック位置にあるときに当該第２部材の第２係合部が入り込み得る位置に設けられれば良く、好ましくは、ケースのうち、閉位置にあるリッドの第２孔部に対面する位置に設けるのが良い。なお、第３孔部については孔状をなせば良く、貫通孔状であっても良いし行き止まり孔状であっても良い。
【0038】
ところで、本発明の車両用収容装置においては、第２ロック部は第１ロック部に従動する。このため、第１ロック部の位置変化量にバラツキがあると第２ロック部が十分に位置変化せず、例えば、第２ロック位置における第２係合部とケースに設けられた第２ロック部用係合受部とのラップ量が十分に確保されなくなる場合がある。特に、第１ロック部と第２ロック部とが別体でありかつ第１ロック部により押圧されることで第２ロック部が第２ロック解除位置から第２ロック位置に位置変化する場合に、この現象が顕著になる。
【0039】
第２ロック位置における第２係合部と第２ロック部用係合受部とのラップ量を十分に確保することを考慮すると、第２ロック位置における第２係合部と第２ロック部用係合受部とのラップ量が、第１ロック位置における第１係合部と第１ロック部用係合受部とのラップ量よりも小さくなるように設計するのが好ましい。上記の第１ロック部用係合受部は、第１孔部または第４孔部と読み替えることができる。また、第２ロック部用係合受部は、第３孔部と読み替えることができる。
【0040】
第２ロック位置における第２係合部と第２ロック部用係合受部とのラップ量は、第１ロック位置における第１係合部と第１ロック部用係合受部とのラップ量の０．５～０．９倍の範囲内であるのが好ましく、０．７～０．８倍の範囲内であるのがより好ましい。
【0041】
また、第１ロック部の位置変化量にバラツキがあると第２ロック部の位置変化量のバラツキはより大きくなる。このため、第２ロック部のうち第１ロック部とは逆側に位置する第２係合部が入り込む部分、すなわち、第２ロック部用係合受部付近の構造は、当該第２ロック部の位置変化量のバラツキを吸収できる構造とするのが好ましい。具体的には、ケースに設けられた第３孔部の外縁は、第２ロック部の第２係合部の外形よりもやや大きいのが好ましく、第２ロック位置において、第３孔部の外縁と第２係合部との間に隙間があるのが好ましい。更には、当該隙間は、第２ロック位置において第２係合部の上方に形成されるのがより好ましい。
当該隙間の大きさは特に限定しないが、好ましい範囲として、０．５ｍｍ～３ｍｍの範囲内、０．６５ｍｍ～２ｍｍの範囲内、または、０．７５ｍｍ～１．５ｍｍの範囲内を例示できる。
当該隙間の大きさは特に限定しないが、好ましい範囲として、０．５ｍｍ～３ｍｍの範囲内、０．６５ｍｍ～２ｍｍの範囲内、または、０．７５ｍｍ～１．５ｍｍの範囲内を例示できる。
【0042】
本発明の車両用収容装置において、第１ロック部を第１ロック位置から第１ロック解除位置に位置変化させると、当該第１ロック部の第１係合部が第２方向に向けて退く。これにより、第１係合部と第１ロック部用係合受部との係合が解除され、第１ロック部によるリッドのロックが解除される。
また、第１ロック部に従動して第２ロック部が第２ロック位置から第２ロック解除位置に位置変化すると、第２ロック部の第２係合部が第２方向に向けて退く。これにより、第２係合部と第２ロック部用係合受部との係合が解除され、第２ロック部によるリッドのロックが解除される。そして、第１ロック部によるロックおよび第２ロック部によるロックの両方が解除されることで、リッドは閉位置から開位置に位置変化可能となる。
また、第１ロック部に従動して第２ロック部が第２ロック位置から第２ロック解除位置に位置変化すると、第２ロック部の第２係合部が第２方向に向けて退く。これにより、第２係合部と第２ロック部用係合受部との係合が解除され、第２ロック部によるリッドのロックが解除される。そして、第１ロック部によるロックおよび第２ロック部によるロックの両方が解除されることで、リッドは閉位置から開位置に位置変化可能となる。
【0043】
上記したロック機構におけるロック解除時の動作は、第１ロック部が第１ロック解除位置に向けて位置変化することで開始する。第１ロック部の当該位置変化は、例えば、ユーザーが第１ロック部を手で動かすことによって行っても良い。しかし、利便性を考慮すると、本発明の車両用収容装置は、第１ロック部を第１ロック位置から第１ロック解除位置に位置変化させるための操作部を有するのが好ましい。当該操作部は、ユーザーが操作するための入力部と、当該入力部が受けた力を第１ロック部に伝達するための出力部と、を有すれば良い。入力部は、スイッチ、ノブ、レバーまたはダイヤル等の既知の形状とすれば良い。入力部と出力部との接続機構や、出力部と第１ロック部との接続機構は、既知の機構を採用すれば良い。
【0044】
本発明の車両用収容装置は、さらに、リッドを閉位置から開位置に向けて付勢する開付勢部材を有するのが好ましい。この場合には、開付勢部材によりリッド本体部を閉位置から開位置に自動的に位置変化させることができる。開付勢部材は特に限定されないが、金属製のねじりコイルバネやつる巻きバネ等を例示できる。
【0045】
以下、具体例を挙げて本発明の車両用収容装置を説明する。
【0046】
（実施例１）
実施例１の車両用収容装置は、本発明の車両用収容装置を運転席と助手席との間に配置されるセンターコンソールボックスとして具現化したものである。
図１は実施例１の両用収容装置を分解した様子を模式的に表す説明図である。図２および図３は実施例１の車両用収容装置の外観を模式的に表す説明図である。なお、図２はリッドが閉位置にある様子を表し、図３はリッドが開位置にある様子を表す。図４および図５は実施例１の車両用収容装置におけるロック機構の動作を模式的に表す説明図である。このうち図４は第１ロック部が第１ロック位置にあり第２ロック部が第２ロック位置にある様子を表す。図５は第１ロック部が第１ロック解除位置にあり第２ロック部が第２ロック解除位置にある様子を表す。図６は実施例１の車両用収容装置を後側から見た様子を模式的に表す説明図である。
また、上、下、左、右、前、後とは、各図に示す上、下、左、右、前、後を意味するものとする。上下方向は鉛直方向であり、左右方向は車幅方向であり、前後方向は車両進行方向である。第１方向は後方向であり、第２方向は前方向である。
実施例１の車両用収容装置は、本発明の車両用収容装置を運転席と助手席との間に配置されるセンターコンソールボックスとして具現化したものである。
図１は実施例１の両用収容装置を分解した様子を模式的に表す説明図である。図２および図３は実施例１の車両用収容装置の外観を模式的に表す説明図である。なお、図２はリッドが閉位置にある様子を表し、図３はリッドが開位置にある様子を表す。図４および図５は実施例１の車両用収容装置におけるロック機構の動作を模式的に表す説明図である。このうち図４は第１ロック部が第１ロック位置にあり第２ロック部が第２ロック位置にある様子を表す。図５は第１ロック部が第１ロック解除位置にあり第２ロック部が第２ロック解除位置にある様子を表す。図６は実施例１の車両用収容装置を後側から見た様子を模式的に表す説明図である。
また、上、下、左、右、前、後とは、各図に示す上、下、左、右、前、後を意味するものとする。上下方向は鉛直方向であり、左右方向は車幅方向であり、前後方向は車両進行方向である。第１方向は後方向であり、第２方向は前方向である。
【0047】
実施例１の車両用収容装置１は、リッド２、ケース３、ロック機構４および開付勢部材８５を具備する。
【0048】
図１に示すように、ケース３は長手方向を前後に向けた箱状をなす。ケース３は、開口３０を上方に向けた内部空間３１を有し、当該内部空間３１はケース３の周壁３２及び底壁３３によって、側方及び下方において外界と区画されている。ケース３の周壁３２のうち前側に位置する部分を前周壁３２ｆと称し、後側に位置する部分を後周壁３２ｒと称する。
【0049】
前周壁３２ｆ及び後周壁３２ｒは、各々、２つの第２回動軸支部３４および二つのガイドラック３５を有する。２つの第２回動軸支部３４は、各々、後述する第２回動軸部２７ｓを枢支する。２つのガイドラック３５は、各々、後述する第１脚部２４に設けられているガイド歯列２６ｇに噛み合う。各ガイドラック３５は第２回動軸支部３４を中心とする円弧状をなす。
【0050】
更に、前周壁３２ｆの前側及び後周壁３２ｒの後側は、各々、カバー３９によって覆われている。カバー３９は、各々対応する前周壁３２ｆ又は後周壁３２ｒに固定されている。なお、前周壁３２ｆを覆うカバー３９には、後述する第１ロック部５１の第１係合部５１ｅが出入り可能な窓部３９ｗが設けられている。
【0051】
カバー３９と前周壁３２ｆとの間、及びカバー３９と後周壁３２ｒとの間には、各々、第２回動軸支部３４およびガイドラック３５、並びに、後述する第１脚部２４、第２脚部２５および開付勢部材８５等の収容装置構成部材が収容される。
【0052】
リッド２は、互いに独立して動作する第１リッド部２１および第２リッド部２２を有する。第１リッド部２１は、図１に示すように左側に配置されて開口３０の左半分を開閉する。第２リッド部２２は右側に配置されて開口３０の右半分を開閉する。以下、単にリッド２という場合には、第１リッド部２１および第２リッド部２２を総称するものとする。
リッド２は、各々、リッド本体部２３、２つの第１脚部２４、及び、２つの第２脚部２５を有する。
リッド２は、各々、リッド本体部２３、２つの第１脚部２４、及び、２つの第２脚部２５を有する。
【0053】
各リッド本体部２３は、図１～図３に示すように、略矩形の薄い箱状をなし、その長手方向を前後に向ける。図１、図４および図５に示すように、各リッド本体部２３の内部には、前後方向に延びる収容凹部２３ｒが設けられている。
【0054】
各リッド本体部２３の前端部および後端部には、各々、第１脚部２４が一体化されている。第１脚部２４は、リッド本体部２３から延びる略板状をなし、上記したガイドラック３５に噛み合うガイド歯列２６ｇと、凸状をなす第１回動軸部２６ｆとを有する。ガイドラック３５とガイド歯列２６ｇとによってリッド本体部２３の位置がガイドされる。
各第２脚部２５は、略棹状をなし、凹状をなし第１回動軸部２６ｆを枢支する第１回動軸支部２７ｆと、凸状をなす第２回動軸部２７ｓとを有する。第２脚部２５の第２回動軸部２７ｓは、ケース３に設けられている第２回動軸支部３４に枢支される。したがって、第１リッド部２１および第２リッド部２２は、第１回動軸部２６ｆおよび第２回動軸部２７ｓを中心として、二軸的に回動し、図２に示す閉位置と図３に示す開位置との間を位置変化する。
各第２脚部２５は、略棹状をなし、凹状をなし第１回動軸部２６ｆを枢支する第１回動軸支部２７ｆと、凸状をなす第２回動軸部２７ｓとを有する。第２脚部２５の第２回動軸部２７ｓは、ケース３に設けられている第２回動軸支部３４に枢支される。したがって、第１リッド部２１および第２リッド部２２は、第１回動軸部２６ｆおよび第２回動軸部２７ｓを中心として、二軸的に回動し、図２に示す閉位置と図３に示す開位置との間を位置変化する。
【0055】
図１に示すように、第２脚部２５の第２回動軸部２７ｓには、各々、ねじりコイルバネからなる開付勢部材８５が外装される。各開付勢部材８５の一端は第２脚部２５に固定され、他端はケース３の前周壁３２ｆに固定されている。開付勢部材８５は圧縮状態でリッド２の第２脚部２５とケース３との間に介装され、第１リッド部２１および第２リッド部２２を各々図３に示す開位置に向けて付勢する。
【0056】
ロック機構４は、２つの第１孔部４１、２つの第２孔部４２、２つの第１ロック部５１、２つの第２ロック部５２、２つの第３孔部４３、２つの第１付勢部材４４、２つの第２付勢部材４５、および２つの操作部５５を具備する。
【0057】
各第１孔部４１および第２孔部４２は、各リッド本体部２３に各々一つずつ設けられている。第１孔部４１はリッド本体部２３の前壁に設けられている貫通孔であり、第２孔部４２はリッド本体部２３の後壁に設けられている貫通孔である。第１孔部４１は既述した収容凹部２３ｒの前側に配置され収容凹部２３ｒに連絡する。第２孔部４２は収容凹部２３ｒの後側に配置され収容凹部２３ｒに連絡する。
【0058】
各第１ロック部５１は、鉤状をなし後方を向く第１係合部５１ｅを有し、基端部に凹状をなす第１ロック回動軸部５１ａを有する。第１ロック部５１は、全体として、略Ｌ字状をなす。
ケース３の前側を覆うカバー３９には、左右２箇所に第１ロック回動軸支部３９ａが設けられている。各第１ロック部５１の第１ロック回動軸部５１ａは、各々対応する第１ロック回動軸支部３９ａに枢支される。第１ロック部５１は、第１係合部５１ｅを上側および後側に向け、カバー３９を介してケース３に取り付けられている。第１ロック部５１は、第１ロック回動軸部５１ａを中心として回動することで、図４に示す第１ロック位置と図５に示す第１ロック解除位置との間を位置変化する。
ケース３の前側を覆うカバー３９には、左右２箇所に第１ロック回動軸支部３９ａが設けられている。各第１ロック部５１の第１ロック回動軸部５１ａは、各々対応する第１ロック回動軸支部３９ａに枢支される。第１ロック部５１は、第１係合部５１ｅを上側および後側に向け、カバー３９を介してケース３に取り付けられている。第１ロック部５１は、第１ロック回動軸部５１ａを中心として回動することで、図４に示す第１ロック位置と図５に示す第１ロック解除位置との間を位置変化する。
【0059】
【0060】
各第１ロック部５１の第１ロック回動軸部５１ａには、ねじりコイルバネからなる第１付勢部材４４が外装されている。第１付勢部材４４の一端は第１ロック部５１に取り付けられ、他端はケース３に取り付けられている。
【0061】
各第２ロック部５２は、略Ｉ字状をなし、長手方向の一端部である連絡部５２ｃを前方に向け、長手方向の他端部である第２係合部５２ｅを後方に向けて、各々対応するリッド本体部２３の収容凹部２３ｒに内蔵される。収容凹部２３ｒは第２ロック部５２用のガイドとして機能する。
【0062】
各第２ロック部５２の第２係合部５２ｅには、つる巻きバネからなる第２付勢部材４５が外装されている。第２付勢部材４５は、第２ロック部５２のうち第２係合部５２ｅに隣接する部分であるストッパ部５２ｅｔと、リッド本体部２３の後壁２３ｒｗと、の間に装着されている。
【0063】
ケース３の後側を覆うカバー３９には、貫通孔状をなす第３孔部４３が設けられている。第３孔部４３は、リッド２が閉位置にあるときに、第２孔部４２と対面する。なお、実施例１の車両用収容装置１においては、リッド２が閉位置にある時には、カバー３９の窓部３９ｗ、リッド２に設けられている第１孔部４１および第２孔部４２、ならびに当該第３孔部４３が直線上に配列する。
【0064】
各操作部５５は、操作ロッド５６および操作付勢部材５７を有する。操作ロッド５６は、ブロック状をなす入力部５６ｉと、ロッド状をなし当該入力部５６ｉの下端から下方に延びる出力部５６ｏと、を有する。各操作部５５は左右に配列し、ケース３の前周壁３２ｆを覆うカバー３９に取り付けられ、当該カバー３９を介してケース３に取り付けられている。各操作ロッド５６における出力部５６ｏの下端は、図４に示すように、第１ロック部５１の受圧面５１ｒの上方に配置されている。各操作ロッド５６は、図４に示す定常位置と図５に示す入力位置と、の間を上下にスライドする。
操作付勢部材５７はつる巻きバネからなり、圧縮状態で操作ロッド５６に装着されている。操作付勢部材５７は、操作ロッド５６を上方すなわち定常位置に向けて付勢する。
以下、実施例１の車両用収容装置１の動作を説明する。
操作付勢部材５７はつる巻きバネからなり、圧縮状態で操作ロッド５６に装着されている。操作付勢部材５７は、操作ロッド５６を上方すなわち定常位置に向けて付勢する。
以下、実施例１の車両用収容装置１の動作を説明する。
【0065】
先ず、第１リッド部２１および第２リッド部２２が図３に示す開位置にある時には、各第１ロック部５１は第１付勢部材４４に付勢されて図４に示す第１ロック位置に配置される。各第２ロック部５２は第２付勢部材４５に付勢されて図５に示す第２ロック解除位置に配置される。
【0066】
ユーザーが開位置にある第１リッド部２１（図３）における左側端部を上方に持ち上げると、第１リッド部２１は第１回動軸部２６ｆおよび第２回動軸部２７ｓを中心として二軸的に回動し、図３に示す開位置から図２に示す閉位置に向けて位置変化する。同様に、ユーザーが第２リッド部２２における右側端部を上方に持ち上げると、第２リッド部２２は第１回動軸部２６ｆおよび第２回動軸部２７ｓを中心として二軸的に回動し、図３に示す開位置から図２に示す閉位置に向けて位置変化する。
【0067】
ここで、このとき各第１ロック部５１は図４に示す第１ロック位置に配置されており、第１係合部５１ｅを後方に進めている。このため第１ロック部５１の第１係合部５１ｅは各々対応するリッド２の移動軌跡に干渉する。しかし、第１係合部５１ｅは前方および上方から後方および下方に向けて傾斜する傾斜面５１ｓを有し、リッド本体部２３における前側下面２３ｂは、リッド２が閉位置に至る直前に、当該傾斜面５１ｓを上方から押圧する。これにより、第１ロック部５１には前方に向けた力が作用する。このため第１ロック部５１は、第１付勢部材４４の付勢力に抗して、第１ロック回動軸部５１ａを中心として図４中の反時計回りに回動して前方に退き、図５に示すロック解除位置に配置される。
【0068】
リッド２が閉位置に到達すると、リッド２に設けられている第１孔部４１が第１ロック部５１の第１係合部５１ｅに対面する。このとき第１孔部４１には第２ロック部５２の連絡部５２ｃが入り込んでおり、当該第２ロック部５２は、第２付勢部材４５によって第２ロック解除位置に向けて、すなわち、前方に向けて付勢されている。
【0069】
しかし、第１ロック部５１は第１付勢部材４４によって図５中の時計回りに付勢されているため、第１ロック部５１の第１係合部５１ｅは第１孔部４１内の連絡部５２ｃを後方に押圧する。第１付勢部材４４の付勢力は第２付勢部材４５の付勢力よりも大きいために、第１ロック部５１の第１係合部５１ｅは第２付勢部材４５の付勢力に抗して第１孔部４１に入り込み、第２ロック部５２の連絡部５２ｃを後方に押圧する。このため、図４に示すように、第２ロック部５２は後方にスライドし、第２ロック部５２の第２係合部５２ｅはリッド２に設けられている第２孔部４２を経てケース３に設けられている第３孔部４３に入り込む。これにより、閉位置にあるリッド２は、前側においては第１ロック部５１によってケース３に固定され、かつ、後側においては第２ロック部５２によってケース３に固定される。
【0070】
ここで、図６に示すように、閉位置において第１リッド部２１の第１回動軸部２６ｆはリッド本体部２３に対して左側すなわち幅方向の外側に偏って配置され、第１リッド部２１の第２回動軸部２７ｓはリッド本体部２３に対して右側すなわち幅方向の内側に偏って配置されている。また、閉位置において第２リッド部２２の第１回動軸部２６ｆはリッド本体部２３に対して右側すなわち幅方向の外側に偏って配置され、第２リッド部２２の第２回動軸部２７ｓはリッド２本体に対して左側すなわち幅方向の内側に偏って配置されている。つまり、第１回動軸部２６ｆおよび第２回動軸部２７ｓは、何れも、リッド本体部２３の直下から外れた位置にある。第１リッド部２１および第２リッド部２２は、このような第１回動軸部２６ｆおよび第２回動軸部２７ｓを中心として回動するために、ユーザーが第１リッド部２１や第２リッド部２２におけるリッド本体部２３の幅方向端部に肘をつく等すると、当該第１リッド部２１や第２リッド部２２には開位置に向けた力が作用する。
【0071】
しかし上記したように、第１リッド部２１および第２リッド部２２は、閉位置において、第１ロック部５１および第２ロック部５２によって、前側と後側との２か所でケース３に対して固定されている。これにより、閉位置にある第１リッド部２１や第２リッド部２２は、リッド本体部２３に力が加わった場合にも、閉位置に安定的にロックされ、開位置には位置変化し難い。
【0072】
また、図４に示すように、第２ロック位置における第２係合部５２ｅと第３孔部４３とのラップ量ｗ２、すなわち、第３孔部４３における前端から後方に向けた第２係合部５２ｅの突出長さは、第１ロック位置における第１係合部５１ｅと第１孔部４１とのラップ量ｗ１、すなわち第１孔部４１の後端から前方に向けた第１係合部５１ｅの突出長さよりも小さい。これにより、第１ロック部５１、第２ロック部５２、リッド２およびケース３の形状や互いの位置に多少の誤差があっても、第２ロック部５２が第２ロック位置において十分な長さで第２孔部４２および第３孔部４３に入り込む。これにより、閉位置にあるリッド２がケース３に安定的にロックされる。なお、実施例１の車両用収容装置１においては、第２ロック位置における第２係合部５２ｅと第３孔部４３とのラップ量ｗ２は、第１ロック位置における第１係合部５１ｅと第１孔部４１とのラップ量ｗ１の０．７５倍である。
【0073】
さらに、図４に示すように、第２ロック位置において、第３孔部４３の外縁と第２係合部５２ｅとの間に隙間ｓがあり、当該隙間ｓは第２係合部５２ｅの上方に形成されている。隙間ｓを設けることで、第１ロック部５１の位置変化量に多少バラツキがあっても、当該バラツキを吸収することができ、第２ロック部５２によりリッド２を閉位置に安定的にロックできる。なお、実施例１の車両用収容装置１において、隙間ｓは１ｍｍである。
【0074】
（実施例２）
実施例２の車両用収容装置は、第１ロック部と第２ロック部とを一体化した例である。実施例２の車両用収容装置におけるケースには第４孔部が設けられている。その他、実施例２の車両用収容装置は、リッド本体部の形状、操作部の位置およびその動作機構において実施例１の車両用収容装置と大きく相違する。実施例２の車両用収容装置は、その余においては実施例１の車両用収容装置と概略同様である。以下、実施例１の車両用収容装置との相違点を中心に、実施例２の車両用収容装置を説明する。
図７および図８は実施例２の車両用収容装置におけるロック機構の動作を模式的に表す説明図である。このうち図７は第１ロック部が第１ロック位置にあり第２ロック部が第２ロック位置にある様子を表す。図８は第１ロック部が第１ロック解除位置にあり第２ロック部が第２ロック解除位置にある様子を表す。
実施例２の車両用収容装置は、第１ロック部と第２ロック部とを一体化した例である。実施例２の車両用収容装置におけるケースには第４孔部が設けられている。その他、実施例２の車両用収容装置は、リッド本体部の形状、操作部の位置およびその動作機構において実施例１の車両用収容装置と大きく相違する。実施例２の車両用収容装置は、その余においては実施例１の車両用収容装置と概略同様である。以下、実施例１の車両用収容装置との相違点を中心に、実施例２の車両用収容装置を説明する。
図７および図８は実施例２の車両用収容装置におけるロック機構の動作を模式的に表す説明図である。このうち図７は第１ロック部が第１ロック位置にあり第２ロック部が第２ロック位置にある様子を表す。図８は第１ロック部が第１ロック解除位置にあり第２ロック部が第２ロック解除位置にある様子を表す。
【0075】
図７に示すように、実施例２の車両用収容装置１における第１ロック部５１は、先端部に鉤状をなす第１係合部５１ｅを有し、基端部に凹状をなす第１ロック回動軸部５１ａを有する。第１ロック部５１は、第１係合部５１ｅを後方に向け、第１ロック回動軸部５１ａを前方に向けている。第２ロック部５２は、第１ロック部５１よりも長尺であり、連絡部５２ｃを前方に向け第２係合部５２ｅを後方に向けている。第２ロック部５２の連絡部５２ｃは第１ロック部５１の基端部と一体化されている。第１ロック部５１および第２ロック部５２はともにリッド本体部２３の収容凹部２３ｒに内蔵されている。
【0076】
リッド本体部２３における前端部は、ケース３における前周壁３２ｆの上部を前側から覆う。一方、ケース３における前周壁３２ｆの上部には、孔状をなす第４孔部４９が設けられている。リッド本体部２３に設けられている第１孔部４１は、閉位置において、ケース３に設けられている第４孔部４９に対面する。
【0077】
操作部５５は、操作ロッド５６および回動リンク５８を有する。操作ロッド５６は、ブロック状をなす入力部５６ｉと、ロッド状をなし当該入力部５６ｉから延びる出力部５６ｏと、を有し、入力部５６ｉを前方に向け出力部５６ｏを後方に向けて、リッド本体部２３の前端側に取り付けられている。より具体的には、出力部５６ｏはリッド本体部２３に内蔵されている。リッド本体部２３の前端には開口２３ｏがあり、入力部５６ｉは当該開口を通じてリッド本体部２３の前側に露出している。
【0078】
回動リンク５８は、略Ｌ字状をなし、リッド本体部２３に内蔵されている。回動リンク５８の略中央部にはリッド本体部２３に枢支されるリンク回動軸部５８ａが設けられており、回動リンク５８は当該リンク回動軸部５８ａを中心として回動する。回動リンク５８の一端部には操作ロッド５６の出力部５６ｏが枢支されている。また、回動リンク５８の他端部には第１ロック部５１の第１ロック回動軸部５１ａが枢支されている。操作ロッド５６が後方に位置変化すると、回動リンク５８が図７中の時計回りに回動し、第１ロック部５１および第２ロック部５２が前方に位置変化する。このとき第１係合部５１ｅおよび第２係合部５２ｅは各々前方に退き、第１ロック部５１は第１ロック解除位置に位置変化し第２ロック部５２は第２ロック解除位置に位置変化する。
【0079】
実施例２の車両用収容装置１において、第１付勢部材４４は回動リンク５８のリンク回動軸部５８ａに外装されている。
操作付勢部材５７はねじりコイルバネからなり、その一端が回動リンク５８に取り付けられ、他端がリッド本体部２３に取り付けられている。操作ロッド５６が後方に位置変化し、回動リンク５８が図７中の時計回りに回動すると、第１付勢部材４４が開き方向に弾性変形して付勢力を蓄積する。この付勢力により、第１付勢部材４４は回動リンク５８を反時計回り方向に付勢する。これにより、回動リンク５８に枢支されている第１ロック部５１は後方すなわち図７に示す第１ロック位置に向けて付勢される。第１ロック部５１に一体化されている第２ロック部５２もまた、後方すなわち図７に示す第２ロック位置に向けて付勢される。さらにこのとき、回動リンク５８に枢支されている操作ロッド５６は前方に向けて付勢される。これにより、操作ロッド５６の入力部５６ｉは開口２３ｏを経てリッド本体部２３の前方に突出する。
操作付勢部材５７はねじりコイルバネからなり、その一端が回動リンク５８に取り付けられ、他端がリッド本体部２３に取り付けられている。操作ロッド５６が後方に位置変化し、回動リンク５８が図７中の時計回りに回動すると、第１付勢部材４４が開き方向に弾性変形して付勢力を蓄積する。この付勢力により、第１付勢部材４４は回動リンク５８を反時計回り方向に付勢する。これにより、回動リンク５８に枢支されている第１ロック部５１は後方すなわち図７に示す第１ロック位置に向けて付勢される。第１ロック部５１に一体化されている第２ロック部５２もまた、後方すなわち図７に示す第２ロック位置に向けて付勢される。さらにこのとき、回動リンク５８に枢支されている操作ロッド５６は前方に向けて付勢される。これにより、操作ロッド５６の入力部５６ｉは開口２３ｏを経てリッド本体部２３の前方に突出する。
【0080】
実施例２の車両用収容装置１においても、閉位置にあるリッド２は、前側においては第１ロック部５１によりケース３に固定され後側においては第２ロック部５２によりケース３に固定される。これにより、リッド２は前側と後側との２か所でケース３に対して安定的にロックされる。
【0081】
リッド２が閉位置にロックされているときに、ユーザーが操作ロッド５６の入力部５６ｉを後方に向けて押圧すると、操作ロッド５６が後方に位置変化する。すると、図８に示すように、第１付勢部材４４の付勢力に抗して回動リンク５８が時計回りに回動し、これに従動して第１ロック部５１および第２ロック部５２が前方に位置変化する。すなわち、第１ロック部５１は図８に示す第１ロック解除位置に位置変化し、第２ロック部５２もまた図８に示す第２ロック解除位置に位置変化する。このため、第１ロック部５１の第１係合部５１ｅは第４孔部４９から前方に退き、第１ロック部５１によるリッド２のロックが解除される。また第２ロック部５２の第２係合部５２ｅは第３孔部４３から前方に退き、第２ロック部５２によるリッド２のロックが解除される。これにより、リッド２は閉位置から開位置に位置変化可能になる。
【0082】
本発明は、上記し且つ図面に示した実施形態にのみ限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施できる。また、実施形態を含む本明細書に示した各構成要素は、それぞれ任意に抽出し組み合わせて実施できる。
【符号の説明】
【0083】
１：車両用収容装置
２：リッド
３：ケース
３０：開口
３１：内部空間
４：ロック機構
４１：第１孔部
４２：第２孔部
４３：第３孔部
４４：第１付勢部材
４５：第２付勢部材
４９：第４孔部
５１：第１ロック部
５１ｅ：第１係合部
５２：第２ロック部
５２ｅ：第２係合部
５２ｃ：連絡部
ｗ２：第２ロック位置における第２係合部と第３孔部とのラップ量
ｗ１：第１ロック位置における第１係合部と第１孔部とのラップ量
ｓ：隙間
２：リッド
３：ケース
３０：開口
３１：内部空間
４：ロック機構
４１：第１孔部
４２：第２孔部
４３：第３孔部
４４：第１付勢部材
４５：第２付勢部材
４９：第４孔部
５１：第１ロック部
５１ｅ：第１係合部
５２：第２ロック部
５２ｅ：第２係合部
５２ｃ：連絡部
ｗ２：第２ロック位置における第２係合部と第３孔部とのラップ量
ｗ１：第１ロック位置における第１係合部と第１孔部とのラップ量
ｓ：隙間
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】