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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022136937
(43)【公開日】2022-09-21
(54)【発明の名称】自然換気窓システム
(51)【国際特許分類】
   E05F 15/71 20150101AFI20220913BHJP
   E06B 7/02 20060101ALN20220913BHJP
【FI】
E05F15/71
E06B7/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021036786
(22)【出願日】2021-03-08
(71)【出願人】
【識別番号】000175560
【氏名又は名称】三協立山株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100184066
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 恭
(72)【発明者】
【氏名】藤井 誠
(72)【発明者】
【氏名】水野 高伸
【テーマコード(参考)】
2E036
2E052
【Fターム(参考)】
2E036JA01
2E036LA03
2E036LA06
2E036LB01
2E036LB05
2E036LB09
2E036MA10
2E052AA01
2E052CA06
2E052DA06
2E052DA08
2E052DB06
2E052DB08
2E052EA01
2E052EA16
2E052EB01
2E052EB06
(57)【要約】
【課題】自然換気窓が設置された建物に対して、自然換気の効率を向上させる。
【解決手段】建物の開口部に設けられ屋内外の気圧差によって自然に開閉する自然開閉型建具と、建物の開口部に設けられ電動によって開閉する電動開閉型建具を備え、電動開閉型建具は、自然開閉型建具の開閉に基づいて自動的に開閉する。
【選択図】 図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の開口部に設けられ屋内外の気圧差によって自然に開閉する自然開閉型建具と、建物の開口部に設けられ電動によって開閉する電動開閉型建具を備え、
電動開閉型建具は、自然開閉型建具の開閉に基づいて自動的に開閉する自然換気窓システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物に設けられる自然風や気圧差等を利用して屋内の自然換気を行うことができる自然換気窓システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建物外部を流れる自然風や気圧差等を利用して屋内の自然換気を行うことができる自然換気窓が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5926841号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載された自然換気窓は、風等の自然の力を利用して窓を開閉するものであるが、さらに自然換気の効率を向上させることが求められている。
本発明は、自然換気窓が設置された建物に対して、自然換気の効率を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の自然換気窓システムは、建物の開口部に設けられ屋内外の気圧差によって自然に開閉する自然開閉型建具と、建物の開口部に設けられ電動によって開閉する電動開閉型建具を備え、電動開閉型建具は、自然開閉型建具の開閉に基づいて自動的に開閉する自然換気窓システムである。
【発明の効果】
【0006】
本実施形態の自然換気窓システムによれば、自然換気窓が設置された建物に対して、自然換気の効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】一実施形態の自然換気窓システムの全体構成図である。
図2】一実施形態の自然換気窓システムの自然換気窓(自然開閉型建具)の構成図である。
図3】一実施形態の自然換気窓システムの自然換気窓の竪断面図である。
図4】一実施形態の自然換気窓システムの電動内動片引き窓(電動開閉型建具)の図であり、閉鎖時の構成図である。
図5】一実施形態の自然換気窓システムの電動内動片引き窓の図であり、一部開放時の図である。
図6】一実施形態の自然換気窓システムの電動内動片引き窓の図であり、全開放時の図である。
図7】一実施形態の自然換気窓システムの電動内動片引き窓の図であり、手動によって開放した時の図である。
図8】一実施形態の自然換気窓システムの電動内動片引き窓の電動開閉モードにおける制御フロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
-自然換気窓システムの構成-
自然換気窓システムの一実施形態について、屋内外の気圧差によって自然に開閉する自然換気窓(自然開閉型建具)と電動により開閉する内動片引き窓(電動開閉型建具)を連動させた自然換気窓システムの例を用いて、図面を参考に説明する。
【0009】
本実施形態の自然換気窓システムは、図1に示すように、管理装置1と、自然換気窓装置2と、電動の内動片引き窓装置3と、風速センサ401、降雨センサ402等の検知装置4と、操作装置5を有しており、各装置がネットワーク6を介して接続され、各装置間で情報通信を行うように構成されている。なお、ネットワーク6は有線、無線の何れであってもよく、ネットワーク6の一部を有線で構成し、一部を無線で構成してもよい。
【0010】
-管理装置―
本実施形態の管理装置1は、自然換気窓システム全体を制御するコンピュータであって、自然換気窓装置2及び内動片引き窓装置3の開閉を管理する。
例えば、管理装置1は、各装置から入力される情報に基づいて、自然換気窓装置2の開閉を制限したり、内動片引き窓装置3の開閉を制御したりする。
【0011】
-自然換気窓装置-
本実施形態の自然換気窓装置2は、建物開口部に設置され屋内外の気圧差によって自然に開閉する自然換気窓200と、自然換気窓制御ユニット290を有している。
【0012】
自然換気窓200は、左右に二つの窓が連設される連窓であり、図2,3に示すように、アルミ等の金属材料からなる上枠211、下枠212、方立215及び右竪枠214(及び左竪枠)によって構成される開口枠210と、アルミ等の金属材料からなる上框221,下框222及び左、右竪框223,224を四周に組んでなる框体の内周にガラス等のパネル体を装着してなる障子220を有している。
【0013】
障子220は、左、右竪框223,224の高さ方向で中間高さよりも上方(上から1/3程度)の位置で回動軸220aに回動自在に支持されており、回動軸220aの上方部分が屋内側となり回動軸220aの下方部分が屋外側となるように傾倒することで開口部を開閉する。
障子220の上框221には、屋内側に突出する錘225が設けられており、障子220にかかる風力(外力)によって回動軸220aを中心に自然に開閉するようにバランスされている。
【0014】
方立215の屋内側の見込面には、開閉用電動モータ285によって駆動され、障子220の開閉状態を制御する開閉アーム240が設けられている。
開閉アーム240は、回動軸240aの上方に設けられた上アーム241と回動軸240aの下方に設けられた下アーム242を有しており、上アーム241と下アーム242が所定の角度(例えば135度)で連続して構成されている。上アーム241及び下アーム242の先端部には障子220の左竪框223(もしくは右竪框)の屋内側面に当接するローラ241a,242aが設けられている。
【0015】
自然換気窓200は、開閉アーム240の上アーム241が垂直から屋内側に45度程度傾斜し下アーム242がほぼ垂直となる状態で、図3の点線で示すように障子220の開放が許容され、開閉アーム240の上アーム241がほぼ垂直となる状態で障子220の開放が規制される。
【0016】
自然換気窓200の下枠212には、施錠用電動モータ286によって駆動され、障子220を閉状態で拘束するロック装置250が設けられている。
自然換気窓200は、回動軸220aの回転角度によって障子220の開閉状態を検知する開閉検知センサ260を有しており、開閉検知センサ260は、検知した窓の開閉状態を示す信号を自然換気窓制御ユニット290に出力する。
【0017】
開閉アーム240を駆動する開閉用電動モータ285及びロック装置250を駆動する施錠用電動モータ286は、自然換気窓制御ユニット290によって駆動制御されており、自然換気窓制御ユニット290は、管理装置1から出力される信号に基づいて開閉用電動モータ285及び施錠用電動モータ286を駆動する。
また、自然換気窓制御ユニット290は、開閉検知センサ260によって検知された障子220の開閉状態に関する情報を管理装置1に出力する。
【0018】
-内動片引き窓装置-
本実施形態の内動片引き窓装置3は、建物開口部に設置され電動により開閉する内動片引き窓300と、開閉窓制御ユニット390を有している。
【0019】
内動片引き窓300は、図4に示すように、建物開口部に配置される枠体310と、枠体310の屋内側から見て左側に固定される外障子330と、枠体310に左右方向に摺動自在に配置される内障子320と、内動片引き窓300の内障子320を開閉駆動する障子開閉装置340と、障子開閉装置340と内障子320を連結する連結装置350と、内障子320を閉鎖状態で拘束する電動クレセント360を有している。
【0020】
枠体310は、アルミ等の金属材料からなる上枠311、下枠312及び左、右竪枠313,314を四周に組んで形成されている。
内、外障子320,330は、アルミ等の金属材料からなる上框321(外障子330の上框は符号を付していない)、下框322,332、左竪框323,333及び右竪框324,334を四周に組んでなる框体の内周にガラス等のパネル体を装着して形成されている。
【0021】
障子開閉装置340は、上枠311の屋内側に左右(長手)方向に沿って配置され回転自在に支持されるスライドレール340aと、上枠311の左側端部に固定され歯車等の伝達機構を介してスライドレール340aを回転させる電動モータ装置340bと、上枠311の屋内側面に左右(長手)方向に移動自在に配置されスライドレール340aの回転に伴って左右方向に移動する駒部材340cを有している。
【0022】
また、障子開閉装置340は、左右方向に移動した駒部材340cが当接することで内障子320の開閉状態を検出するリミットスイッチからなる閉検知センサ340d,一部開検知センサ340e及び全開検知センサ340fを有している。なお、閉検知センサ340dは内障子320が閉鎖位置にあることを検知し、一部開検知センサ340eは内障子320が一部開放(例えば、予め任意で設定された開口幅(例:300mm)まで開放)位置にあることを検知し、全開検知センサ340fは内障子320が全開放位置にあることを検知し、それぞれ開閉窓制御ユニット390に対して検知信号を出力する。
【0023】
連結装置350は、左竪框(召合框)に上下動自在に配置される連結バー350aと、連結バー350aの上部に上下動自在に保持され障子開閉装置340の駒部材340cと係合可能な係合部350bと、左竪框(召合框)323の屋内側面に操作可能に配置され上下方向の操作によって係合部350bと駒部材340cとの係脱操作を行う操作レバー350cを有している。
【0024】
そして、内動片引き窓装置3は、内障子320に設けられた連結装置350の係合部350bと障子開閉装置340の駒部材340cを係合させた状態で電動モータ装置340bを駆動することで、駒部材340cが左右方向に移動し、それに伴って内障子320をスライド開閉することができる。
【0025】
また、内動片引き窓装置3は、操作レバー350cを下方に操作して内障子320の連結装置350の係合部350bと障子開閉装置340の駒部材340cの係合を解除することで、内障子320を障子開閉装置340の電動モータ装置340bによる負荷を感じることなく手動で開閉することができる。
【0026】
電動クレセント360は、内障子320の左竪框323に固定され電動モータ等によって回動するクレセント錠と、外障子330の右竪框334に固定されたクレセント受とを有しており、電動によって施錠操作及び解錠操作が可能なクレセントである。
なお、電動クレセント360は、電動による施錠もしくは解錠が完了した時点で、電動による駆動を自動的に停止するようにしてもよい。
【0027】
-検知装置-
本実施形態の自然換気窓システムは、屋外の気象状態を検知する検知装置4として、風速センサ401と、降雨センサ402を備えている。
風速センサ401は、風速を検知する検知装置であり、降雨センサ402は、降雨の有無を検知する検知装置である。
【0028】
各検知装置4は、所定時間(例えば1分)ごとに検知対象を測定し、検知結果を管理装置1に出力する。なお、各検知装置4は、検知対象が検知されることをトリガーとして、検知結果を管理装置1に出力するように構成してもよい。
【0029】
-操作装置-
本実施形態の操作装置5は、例えばタブレット端末によって構成され、タブレット端末に導入されたアプリを用いて自然換気窓システムを操作する。
自然換気窓システムは、現在の自然換気窓システムの状態及び各検知装置4の検知結果を操作装置(タブレット端末)上の表示画面に表示するとともに、自然換気窓システムに対するコマンドボタンを表示画面に表示する。
【0030】
表示画面に表示されるコマンドボタンとしては、例えば、自然換気窓システムの運転モードを選択する「自動運転ボタン」及び「手元運転ボタン」や、手元運転時に操作する「開ボタン」、「閉ボタン」及び「停止ボタン」等があり、操作装置5は、ユーザによって操作されたボタンに関する信号を管理装置1に出力する。
なお、管理装置1もしくは内動片引き窓装置3等の一部に操作装置5を一体的に設けてもよい。
【0031】
-自然換気窓システムの運転モード-
本実施形態の自然換気窓システムは、自然換気窓装置2の開閉に基づいて自動的に内動片引き窓装置3の開閉を制御する自動運転モードと、ユーザの操作に応じて内動片引き窓装置3の開閉を制御する手元運転モードの二つの電動開閉モードと、手動により内動片引き窓装置3の開閉を行う手動開閉モードに設定可能であり、それぞれのモードにおいて片引き窓の開閉を行うことができる。
なお、本実施形態の自然換気窓システムにおけるモードは、内動片引き窓装置3を開閉するための方法・様式を意味するものであって、電動によって窓を開閉する方法・様式と手動によって窓を開閉する方法・様式のいずれもモードとして説明している。
【0032】
(自動運転モード)
自動運転モードは、検知装置4の検知結果及び自然換気窓装置2の開閉に応じて内動片引き窓装置3の開閉を制御する運転モードである。
自然換気窓システムは、自動運転モードにおいて、風雨が強いなどの悪天候時には、内動片引き窓装置3及び自然換気窓装置2の開放を制限する。
【0033】
例えば、管理装置1は、風速センサ401から屋外の風速が所定以上の風速であることを示す信号が入力された場合もしくは降雨センサ402から降雨を検知したことを示す信号が入力された場合には閉鎖処理を実行して、開閉窓制御ユニット390及び自然換気窓制御ユニット290に対して閉鎖指示信号を出力する。
【0034】
閉鎖指示信号を入力した内動片引き窓装置3の開閉窓制御ユニット390は、電動モータ装置340bを閉方向に駆動する。電動モータ装置340bの閉方向への駆動は、閉検知センサ340dによって内障子320の閉鎖が検知され、内障子320が閉鎖位置にあることを示す閉鎖位置信号が出力されるまで続けられる。
【0035】
開閉窓制御ユニット390は、閉検知センサ340dが出力した閉鎖位置信号が入力されると、電動モータ装置340bの駆動を停止して、電動クレセント360を施錠方向に駆動して内動片引き窓装置3の閉鎖処理を完了する。
【0036】
また、閉鎖指示信号を入力した自然換気窓200の自然換気窓制御ユニット290は、開閉用電動モータ285を駆動して開閉アーム240を閉方向に回動し、自然換気窓200を強制的に閉鎖する。開閉用電動モータ285の駆動は、自然換気窓200の開閉検知センサ260によって障子220の閉鎖を示す閉鎖信号が出力されるまで続けられる。
【0037】
自然換気窓制御ユニット290は、開閉検知センサ260が出力した閉鎖信号が入力されると、開閉用電動モータ285の駆動を停止して、ロック装置250の施錠用電動モータ286を施錠方向に駆動して自然換気窓装置2の閉鎖処理を完了する。
【0038】
なお、自然換気窓制御ユニット290は、風速センサ401もしくは降雨センサ402からの信号の程度(風速の高さ等)によって、自然換気窓200を閉鎖して施錠するのではなく、開閉角度を制限するように開閉アーム240を駆動してもよい。
【0039】
一方、自然換気窓システムは、自動運転モードにおいて、好天時には、自然換気窓装置2の開閉に応じて内動片引き窓装置3を開閉する。
例えば、自然換気窓システムの管理装置1は、風速センサ401からの屋外の風速が所定以上である信号及び降雨センサ402からの降雨を検知したことを示す信号が入力されない場合で、自然換気窓装置2の開閉検知センサ260から自然換気窓200が開放したことを示す開放信号が入力されたときには一部開放処理を実行して、開閉窓制御ユニット390に対して内動片引き窓300の一部開放指示信号を出力する。
【0040】
一部開放指示信号を入力した開閉窓制御ユニット390は、電動モータ装置340bを所定時間閉方向に駆動した後に、電動クレセント360を解錠方向に駆動する。
【0041】
開閉窓制御ユニット390は、電動クレセント360が解錠されると、電動モータ装置340bを開方向に駆動する。電動モータ装置340bの開方向への駆動は、図5に示すように、内障子320が一部開放し一部開検知センサ340eに対して駒部材340cが当接することで、一部開検知センサ340eが内障子230の一部開放を示す一部開信号を出力するまで続けられる。
【0042】
開閉窓制御ユニット390は、一部開検知センサ340eが出力した一部開信号が入力されることによって電動モータ装置340bの駆動を停止して、内動片引き窓装置3の一部開放処理を完了する。
【0043】
なお、天候の急変などの可能性があるので、自動運転モードにおいては、内動片引き窓装置3の開放は、一部開放(例えば、予め任意で設定された開口幅(例:300mm程度)まで開放)にとどめておくことが好ましいが、全開放するまで内障子320の開放を続けるようにしてもよい。
【0044】
(手元運転モード)
手元運転モードは、ユーザが操作装置5を用いて内動片引き窓装置3の開閉操作を行うことのできる運転モードであり、自然換気窓200の開閉状態に関わらず独立して内動片引き窓300の開閉操作が可能である。
【0045】
自然換気窓システムは、手元運転モードにおいて、風雨が強いなどの悪天候時には、内動片引き窓装置3及び自然換気窓装置2の開放を制限する。
【0046】
例えば、管理装置1は、風速センサ401から屋外の風速が所定以上の風速であることを示す信号が入力された場合もしくは降雨センサ402から降雨を検知したことを示す信号が入力された場合には閉鎖処理を実行して、開閉窓制御ユニット390及び自然換気窓制御ユニット290に対して閉鎖指示信号を出力する。
【0047】
なお、手元運転モードにおいてはユーザが窓の開閉操作を行うことから、多少の降雨では窓の開放を行うようにしてもよく、管理装置1は、風速センサ401からの入力情報のみに基づいて閉鎖処理を実行してもよく、自然換気窓装置2及び内動片引き窓装置3の開放を制限するようにしてもよい。
【0048】
閉鎖処理時における開閉窓制御ユニット390及び自然換気窓制御ユニット290の動作は、自動運転モード時の閉鎖処理時における動作と同様であるので、ここではその説明を省略する。
【0049】
一方、自然換気窓システムは、手元運転モードにおいて、好天時には、ユーザの開閉指示操作に応じて内動片引き窓装置3を開閉する。
例えば、風速センサ401からの屋外の風速が所定以上である信号が入力されない場合で、ユーザによって操作装置5の表示画面に表示される「開放ボタン」が操作されると、操作装置5は、障子開放信号を管理装置1に出力する。
障子開放信号を入力した管理装置1は、全開放処理を実行して、開閉窓制御ユニット390に全開放指示信号を出力する。
【0050】
全開放指示信号を入力した開閉窓制御ユニット390は、電動モータ装置340bを所定時間閉方向に駆動した後に、電動クレセント360を解錠方向に駆動する。
【0051】
開閉窓制御ユニット390は、電動クレセント360が解錠されると、電動モータ装置340bを開方向に駆動する。電動モータ装置340bの開方向への駆動は、図6に示すように、内障子320が全開し、全開検知センサ340fに対して駒部材340cが当接することで、全開検知センサ340fが内障子230の全開放を示す全開信号を出力するまで続けられる。
【0052】
開閉窓制御ユニット390は、全開検知センサ340fが出力した全開信号を入力することによって電動モータ装置340bの駆動を停止して、全開放処理を完了する。
【0053】
なお、手元運転モードにおける処理は、ユーザによって操作装置5の表示画面に表示される「開放ボタン」が押されている間だけ電動モータ装置340bを駆動して、「開放ボタン」が放されたときに電動モータ装置340bの駆動を停止するようにしてもよい。
【0054】
また、ユーザによって操作装置5の表示画面に表示される「閉鎖ボタン」が操作されると、操作装置5は、障子閉鎖信号を管理装置1に出力する。
障子閉鎖信号を入力した管理装置1は、閉鎖処理を実行して、開閉窓制御ユニット390に閉鎖指示信号を出力する。
【0055】
閉鎖処理時における開閉窓制御ユニット390の動作は、自動運転モード時の閉鎖処理時における動作と同様であるので、ここではその説明を省略する。
【0056】
また、ユーザによって操作装置5の表示画面に表示される「停止ボタン」が操作されると、操作装置5は、動作停止信号を管理装置1に出力する。
動作停止信号を入力した管理装置1は、停止処理を実行して、開閉窓制御ユニット390に停止指示信号を出力する。
そして、停止指示信号を入力した開閉窓制御ユニット390は、電動モータ装置340bの駆動を停止して停止処理を完了する。
【0057】
(手動開閉モード)
自然換気窓システムは、ユーザが連結装置350の操作レバー350cを下方に操作することで、障子開閉装置340の駒部材340cと連結装置350の係合部350bとの係合を解除して手動開閉モードに移行することができる。
手動開閉モードにおいて、自然換気窓システムは、障子開閉装置340の電動モータ装置340bによる抵抗なく、図7に示すように、内障子320を手動によって任意の位置に開放することができる。
【0058】
なお、操作レバー350cを操作して手動開閉モードに移行するに先立って、電動クレセント360を解錠しておくことが好ましい。電動クレセント360の解錠は、電動による自動解錠によって行ってもよく、また、手動によって電動クレセント360を解錠してもよい。
【0059】
電動クレセント360を解錠した状態で操作レバー350cを下方に操作して内障子320を左方向に移動させることで、内障子320を開放することができる。
また、内障子320を閉鎖位置に移動させたのちに連結装置350の操作レバー350cを上方に操作することで、自動運転モードもしくは手元運転モードに復帰することができる。
【0060】
なお、手動開閉モードにおいて開放された内障子320は、例えば所定時間後に自動的に閉鎖するようにしてもよい。
例えば、障子開閉装置340の駒部材340cが連結装置350の係合部350bの上方位置に移動することによって駒部材340cと係合部350bとが自動的に係合するように構成して、手動開閉モードが所定時間経過することもしくは所定時刻になることによって、開閉窓制御ユニット390は、電動モータ装置340bを駆動して駒部材340cを係合部350bの上方位置に移動させて係合し、その後、閉鎖動作を実行するようにしてもよい。
【0061】
-自然換気窓システムにおける開閉制御―
本実施形態の自然換気窓システムにおける電動駆動モードの制御フローの一例について、図8に示すフローを示しながら説明する。
【0062】
自然換気窓システムは、電源が入ると、ステップS101において、自然換気窓システムが自動運転モードであるか、手元運転モードであるかを確認する。運転モードの切り替えは、ユーザがタブレット端末(操作装置)5の表示画面に表示された「自動運転ボタン」もしくは「手元運転ボタン」のモード選択ボタンを選択することで行うことができる。
【0063】
(自動運転モード)
自然換気窓システムは、自動運転モードが選択されている場合には、ステップS102に進み、風速センサ401によって検知された風速が閾値a以上であるか否かを確認する。
【0064】
自然換気窓システムは、風速センサ401によって検知された風速が閾値a以下である場合には、ステップS103に進み、降雨センサ402によって降雨が検知されたか否かを確認する。自然換気窓システムは、ステップS102において風速センサ401によって検知された風速が閾値a以上である場合もしくはステップS103において降雨センサ402によって降雨が検知された場合には、ステップS107に進む。
【0065】
一方、自然換気窓システムは、ステップS103において、降雨が検知されていない場合には、ステップS104に進んで自然換気窓200の開閉検知センサ260によって自然換気窓200が開放しているか否かを確認し、自然換気窓200が開放していると判断した場合には、ステップS105に進んで、内動片引き窓装置3の内障子320を開放駆動して、ステップS101に戻る。
一方、ステップS104において、自然換気窓200が閉鎖していると判断した場合には、ステップS106に進んで、内動片引き窓装置3を閉鎖駆動して、ステップS101に戻る。
【0066】
自然換気窓システムは、ステップS107において、内動片引き窓装置3を閉鎖駆動する。
自然換気窓システムは、内動片引き窓装置3を閉鎖駆動すると同時に計時して、その後30分経過するまで閉鎖状態を維持し、30分経過したらステップS101に戻る(ステップS108)。
【0067】
(手元運転モード)
一方、自然換気窓システムは、手元運転モードが選択されている場合には、ステップS112に進み、風速センサ401によって検出された風速が閾値a以上であるか否かを確認する。
【0068】
自然換気窓システムは、風速センサ401によって検出された風速が閾値a以上である場合には、ステップS117に進み、内動片引き窓装置3を閉鎖駆動する。
一方、自然換気窓システムは、風速センサ401によって検出された風速が閾値a以下である場合には、ステップS113に進み、ユーザによって選択された内動片引き窓300の操作を確認する。
【0069】
自然換気窓システムは、ユーザによって選択された内動片引き窓300の操作が開放操作である場合には、内動片引き窓装置3を開放駆動し、選択された内動片引き窓300の操作が閉鎖操作である場合には、内動片引き窓装置3を閉鎖駆動し、選択された内動片引き窓300の操作が停止操作である場合には、内動片引き窓装置3の開放駆動もしくは閉鎖駆動を停止してステップS101に戻る。
【0070】
ステップS117において、内動片引き窓装置3を閉鎖駆動した自然換気窓システムは、内動片引き窓装置3を閉鎖駆動すると同時に計時して、その後30分経過するまで閉鎖状態を維持し、30分経過したらステップS101に戻る(ステップS118)。
以上、本実施形態の自然換気窓システムにおける電動駆動モードの制御フローの一例についてについて説明した。
【0071】
-実施形態の自然換気窓システムの効果-
以上のように、本実施形態の自然換気窓システムは、自然換気窓の開閉に連動して内動片引き窓が自動的に開閉するので、屋内に自然換気窓による換気の換気経路を形成することができ、効率の良い換気を実行することができる。
【0072】
また、自然換気窓の開閉に連動する電動開閉窓を内動片引き窓とすることで、開放時の屋内外への突出がなく、さまざまな位置への配置が可能であり、窓を大きく開放することができ最大限の効率を得ることができる。
【0073】
なお、自然換気窓システムは、検出装置として、屋内の埃の量を検出する埃センサ403や屋内のCO2濃度を検出するCO2センサ404等の検出装置を備えていてもよく、該検出装置の検出結果に応じて内動片引き窓装置3を開閉制御してもよい。
【0074】
また、自然換気窓200の開閉検知センサ260を、自然換気窓200の開度が検知できる開度検知装置として、自然換気窓の開度に応じて内動片引き窓の開口面積を変更するようにしてもよい。
【0075】
また、内動片引き窓装置3の内障子320の開度の検知は、リミットスイッチによる検知に限定されるものではなく、例えば、電動モータ装置340bやスライドレール340aの回転数をエンコーダ等の検知手段によって検知し、回転数から駒部材の位置を検知するようにしてもよい。
それに合わせて、内障子320の一部開放位置等を適宜設定可能にしてもよい。
【0076】
また、上記自然換気窓システムが実行する処理は、ネットワークによって接続されるどの装置によって行われてもよく、例えば管理装置1を配置することなく、内動片引き窓装置3を制御する開閉窓制御ユニット390を管理装置1と兼用させてシステムを構築してもよい。
【0077】
以上の実施形態は,請求項に記載された発明を限定するものではなく,例示として取り扱われることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0078】
1 :管理装置
2 :自然換気窓装置
200 :自然換気窓(自然開閉型建具)
290 :自然換気窓制御ユニット
3 :内動片引き窓装置
300 :内動片引き窓(電動開閉型建具)
320 :内障子
340 :障子開閉装置
350 :連結装置
390 :開閉窓制御ユニット
4 :検知装置
401 :風速センサ
402 :降雨センサ
5 :操作装置
6 :ネットワーク

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