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  • 特開-ドーム状構造物用骨組みの接合方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022136944
(43)【公開日】2022-09-21
(54)【発明の名称】ドーム状構造物用骨組みの接合方法
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/32 20060101AFI20220913BHJP
   E04B 1/19 20060101ALI20220913BHJP
   E04B 1/58 20060101ALI20220913BHJP
【FI】
E04B1/32 102B
E04B1/19 F
E04B1/58 M
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2021072906
(22)【出願日】2021-03-08
(71)【出願人】
【識別番号】521090391
【氏名又は名称】プランエイチ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】林 渚
【テーマコード(参考)】
2E125
【Fターム(参考)】
2E125AA36
2E125AB16
2E125AG03
2E125AG23
2E125BE08
2E125BF01
2E125CA05
2E125CA14
2E125EA33
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ドーム状構造物を構成する複数の骨格の接合部材を提供する。
【解決手段】ドーム状構造物(1)を構成する複数の骨格(30)の接合部材(10)であって、多角形と矩形で構成する一定の厚みを持った板状の部材と、円柱部材(20)と、両端に切り込みと角度をつけて裁断した骨格部材があって、板状の部材の中心に円柱の部材を固定し、張り出した矩形部に骨格部材の切り込みを差し込み、円柱部材の側周面に骨格部材の裁断面が線接触する位置で固定する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
接合部材と、当該接合部材に取り付けられる円柱部材と、当該円柱部材に接触する骨格部材と、からなるドーム状構造物用骨組みの接合方法であって、
前記接合部材は、一定の厚みを持った板状であり、
直線状の辺部を複数有する外縁部を具備する多角本体部と、
前記多角本体部の辺部から外側に向かって放射状に所定長さで張り出された複数の矩形部と、を備え、
前記多角本体部に対して前記矩形部は、当該多角本体部における板厚方向に沿って所定角度αだけ屈曲しており、
前記骨格部材は、長尺であり、両端部には裁断面が形成されており、
前記裁断面は、当該骨格部材における長尺方向に沿う軸線に対して(90°-α)だけ傾斜しているとともに、当該裁断面には、前記骨格部材の長尺方向を深さ方向とする切り込み部が形成されており、さらに前記切り込み部の深さは、前記矩形部の前記所定長さに等しくされており、
前記円柱部材は、当該円柱部材の端面が前記接合部材の多角本体部の表面及び裏面のうち少なくとも一方に接して固定された状態で、当該円柱部材の側周面が、前記矩形部が前記切り込み部に差し込まれた前記骨格部材の裁断面と線接触した状態となるものであり、
前記接合部材の多角本体部の表面及び裏面のうち少なくとも一方の面と前記円柱部材の一方の端面とが接触するように当該接合部材と当該円柱部材とを接合した後、前記接合部材の矩形部を前記骨格部材の切り込み部に差し込み、当該骨格部材の裁断面と前記円柱部材の側周面とを線接触させて当該骨格部材と当該接合部材とを接合する
ことを特徴とするドーム状構造物用骨組みの接合方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドーム状構造物用骨組みの接合方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、正多面体、或いは半正多面体ドーム状構造物がある。例えばジオデシックドーム(フラードーム)と呼ばれる、半正多面体の切頂二十面体を、対称性をできるだけ持たせながら正三角形に近い三角形で細分割し、球面をその測地線ないし測地線を近似する線分の集まりで構成したドーム、特に、そのような構造を均質な構造材を多数並べることによって組み上げたものなどがある。トラス構造により形成されたドーム状構造は、建造における構築の容易性がありながら、それを構成する部材が何であっても、ドーム状構造体そのものの軽量化を図りながら優れた一定の強度を確保することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-66114 号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ドーム状構造物を形成する為には、トラス構造の辺の接合点に角度をつける必要がある。骨格部材を用いてドーム状構造物を形成するには、様々な方法がある。
(イ)交わる辺の接合部に骨格部材を重ねて点で固定する方法、(ロ)交わる接合部を、辺が分割した頂点の角度に裁断した骨格部材を面で固定する方法、(ハ)接合部の頂点を接合部材に置き換えて接合する方法が考えられる。(イ)は、骨格部材の厚みが、6つ分重なると仮定する。重なりの厚みが出ると、骨格部材を重ねる順番によってドーム中心からの距離、接合点からの辺の距離に相違が生まれる。従って、正確なドームとはならない。(図7)(ロ)は、ジオデシックドームの場合、5カ所の接合点は、10面の接合面で成り立ち、6箇所の接合面は、12面の接合面で成り立つ(図8)。接合面が多い程狂いや誤差が生まれやすい。構築の際に12面を狂いなく接合するには時間を要する。(ハ)は、特許文献1参照(図5図7)。73a・74a・75aにあいている穴に骨格部材を固定すると考えられる。73・74・75の正確性は高いが、73a・74a・75aの付け根で角度をつけて接合することを考えると、コネクタ部材自体の製作に正確性が左右される。もしくは、コネクタ製作が容易ではない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、接合部材と、当該接合部材に取り付けられる円柱部材と、当該円柱部材に接触する骨格部材と、からなるドーム状構造物用骨組みの接合方法であって、前記接合部材は、一定の厚みを持った板状であり、直線状の辺部を複数有する外縁部を具備する多角本体部と、前記多角本体部の辺部から外側に向かって放射状に所定長さで張り出された複数の矩形部と、を備え、前記多角本体部に対して前記矩形部は、当該多角本体部における板厚方向に沿って所定角度αだけ屈曲しており、前記骨格部材は、長尺であり、両端部には裁断面が形成されており、前記裁断面は、当該骨格部材における長尺方向に沿う軸線に対して(90°-α)だけ傾斜しているとともに、当該裁断面には、前記骨格部材の長尺方向を深さ方向とする切り込み部が形成されており、さらに前記切り込み部の深さは、前記矩形部の前記所定長さに等しくされており、前記円柱部材は、当該円柱部材の端面が前記接合部材の多角本体部の表面及び裏面のうち少なくとも一方に接して固定された状態で、当該円柱部材の側周面が、前記矩形部が前記切り込み部に差し込まれた前記骨格部材の裁断面と線接触した状態となるものであり、前記接合部材の多角本体部の表面及び裏面のうち少なくとも一方の面と前記円柱部材の一方の端面とが接触するように当該接合部材と当該円柱部材とを接合した後、前記接合部材の矩形部を前記骨格部材の切り込み部に差し込み、当該骨格部材の裁断面と前記円柱部材の側周面とを線接触させて当該骨格部材と当該接合部材とを接合することを特徴とするドーム状構造物用骨組みの接合方法である。
【発明の効果】
【0006】
多角形とそこから張り出す矩形で構成される接合部材は、一定の厚みを持った板状素材に多角形の内角の角度を折曲げてつける為、接合部材の再現性、生産性が向上し、量産が可能となる。円柱部材の側周面に骨格部材の裁断面が接触する位置で固定することにより、骨格部材と接合点の頂点までの正確で均一な位置に骨格部材を容易に取り付けることが可能になり、骨格部材の多面体構成における辺の長さを均一に揃えることができる。また矩形部に骨格部材を挟み込むことで2重摩擦構造となり、剛性が増す。この工法で組み上げたドーム状構造物の正多面体、半正多面体としての正確さを確保する。角度をつけるため折曲げた接合部材の多角形と矩形が共有する辺は最も負荷が掛かりやすい。例えば、屋外からの強風が吹き当たって負荷がかかると、この部分に破損が発生する可能性がある。しかし、円柱部材に骨格部材が線接触することで負荷が骨格部材に伝わり力が分散する。外的負荷にも内的負荷にも強い構造となる。この接合パーツは、ドーム状構造物の構築において構築のし易さを可能にする。また、固定解除をすれば、脱着も可能となる為、解体のしやすさも可能な接合方法となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施例にかかるドーム状構造物用骨組みの正面図
図2】実施例にかかる接合部材の平面図
図3】実施例にかかる接合部材の縦断面図
図4】実施例にかかる接合部周辺の拡大図及び縦断面図
図5】実施例にかかる骨格部材と円柱部材とが線接触していることを説明する部分拡大縦断面図
図6】実施例にかかる接合部周辺の透視図
図7】従来技術(イ)を説明する図
図8】従来技術(ロ)を説明する図
【発明を実施するための形態】
【0008】
直径6mで3v(辺の数が165本で構成される半球)のドーム状構造物を構築する場合、多角形と多角形の辺と一辺を共有する長辺70mmの矩形が放射状に張り出した形状の部材を厚み2mmのステンレス板から切り出し、多角形と矩形が共有する辺を156度になるように曲げ、それぞれの矩形部に取付の為の直径10mmの穴を開ける。上記板状部材の多角形の中心から多角形の辺に垂直に引いた線分を半径とした84mm径、厚み32mmの円柱型の部材を木材板より切り出し、上記板状部材に取付ける為に、ドーム外側取付円柱部材には10mm、ドーム内側取付円柱には17mmの穴を中心に開ける。両側からボルトナットを差し込む為の高ナットを上記部材の内側に設置し、外側円柱部材をボルトと高ナットにて固定する。ドーム内側取付円柱を高ナットに差し込み、内側から外側に向かって、ボルトと高ナットにて固定する。高ナットには、両方向からボルトが差し込まれる。骨格部材となる木材の両端を70mmで切り込み、両端を78度の角度で裁断した骨格部材を165本作る。両端に、上記部材の矩形部に8mmのボルトで固定するために、爪付きナットを取り付けておく。矩形部を骨格部材の切り込みで挟み込み、円柱部材の側周面に骨格部材の裁断面が線接触する位置で取付け、8mmのボルトで固定する。
【0009】
図に従って説明すると、ドーム状構造物用骨組み1は、図1に示すように、板状部材ともいう接合部材10,11,12と、接合部材10,11,12に取り付けられる円柱部材20と、円柱部材20に突き当てられて接触する骨格部材30と、からなる。
【0010】
接合部材10,11,12は、図2等に示すように、一定の厚みを持った板状であり、接合部材10,11,12の中心部には、直線状の辺部41を複数有する外縁部を具備してほぼ多角形状となっている多角本体部51を備えている。また、多角本体部51の辺部41からは、外側に向かって放射状に所定長さで張り出された複数の矩形部61が形成されている。
【0011】
なお本実施例において、接合部材10,11,12は、略六角形の多角本体部51と6個の矩形部61とを具備する六角接合部材10と、略五角形の多角本体部51と5個の矩形部61とを具備する五角接合部材11と、略五角形の多角本体部51と4個の矩形部61とを具備する縁部接合部材12と、が含まれている。
【0012】
また、各接合部材10,11,12の辺部41の長さは約35mmであり、矩形部61の張り出し長さは約70mmである。
【0013】
さらに、図3に示すように、各多角本体部51に対して矩形部61は、多角本体部51における板厚方向に沿って所定角度α=24度だけ屈曲している。すなわち、多角本体部51と矩形部61とが直線状に接続している場合を180度とした場合、辺部41においてβ=(180-α)度=156度だけ屈曲している。
【0014】
また、骨格部材30は、長さ約1119mmの長尺状であり、両端部には裁断面71が形成されている。裁断面71は、図4図5に示すように、骨格部材30における長尺方向に沿う軸線に対してγ=(β―90)度=(180-α-90)度=(90-α)=66度だけ傾斜している。
【0015】
なお、この傾斜角γは、ドーム状構造物用骨組み1において、骨格部材30が形成する多面体の内角の半分に等しい。
【0016】
さらに、裁断面71には、骨格部材30の長尺方向を深さ方向とする切り込み部81が形成されている。切り込み部81の深さは、矩形部61の張り出し長さと等しく約70mmとされている。
【0017】
また、円柱部材20は、図4等に示すように、各接合部材10,11,12の複数の辺部41に内接する円を横断面とした円柱形状を具備している。これにより、円柱部材20は、当該円柱部材20の端面が接合部材10,11,12の多角本体部51の表面及び裏面に1個ずつ接した状態で、当該円柱部材20の側周面が、矩形部61が切り込み部81に差し込まれた骨格部材30の裁断面71と線接触した状態となる。
【0018】
ドーム状構造物用骨組み1を接合するにあたっては、まず接合部材10,11,12の多角本体部51の表面及び裏面と円柱部材20の一方の端面とが接触するように当該接合部材10,11,12と当該円柱部材20とを接合する。
【0019】
その後、接合部材10,11,12の矩形部61を骨格部材30の切り込み部81に差し込み、当該骨格部材30の裁断面71と円柱部材20の側周面とを線接触させて当該骨格部材30と当該接合部材10,11,12とを接合する。
【0020】
ここで、各部材を接合する際には、図6等に示したように、ボルト・ナット等の固定手段を用いて接合することができる。
【0021】
なお、所定の角度αや骨格部材30の長さ等は構築するドーム状構造物用骨組みの形状や大きさ等に合わせて種々異なるものが適用可能である。
【符号の説明】
【0022】
1 ドーム状構造物用骨組み
10,11,12 接合部材
20 円柱部材
30 骨格部材
41 辺部
51 多角本体部
61 矩形部
71 裁断面
81 切り込み部
α 所定角度
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8