(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022136952
(43)【公開日】2022-09-21
(54)【発明の名称】ヘッドユニット、ヘッドユニットの調整方法、着脱治具および交換方法
(51)【国際特許分類】
B41J 2/01 20060101AFI20220913BHJP
【FI】
B41J2/01 307
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021122977
(22)【出願日】2021-07-28
(31)【優先権主張番号】P 2021036194
(32)【優先日】2021-03-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100105935
【弁理士】
【氏名又は名称】振角 正一
(74)【代理人】
【識別番号】100136836
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 一正
(72)【発明者】
【氏名】山下 真祐
(72)【発明者】
【氏名】浅田 和彦
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056HA07
2C056HA11
2C056HA12
2C056HA13
2C056HA60
(57)【要約】
【課題】優れた印刷品質を有するヘッドユニット、ヘッドユニットの調整方法、着脱治具および交換方法を提供する。
【解決手段】この発明は、インクを吐出するノズル面を有するインク吐出ヘッドと、インク吐出ヘッドを保持領域で保持しながらベース部材に着脱自在なヘッドホルダと、ベース部材に対してヘッドホルダを未装着の状態で、ノズル面の面法線および配列方向の両方に垂直な回転軸まわりにヘッドホルダに対してインク吐出ヘッドを回転させることで、ヘッドホルダに対するノズル面の姿勢を調整する姿勢調整機構と、を備えている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース部材に対して着脱自在に、所定の配列方向に配列されるヘッドユニットであって、
インクを吐出するノズル面を有するインク吐出ヘッドと、
前記インク吐出ヘッドを保持領域で保持しながら前記ベース部材に着脱自在なヘッドホルダと、
前記ベース部材に対して前記ヘッドホルダを未装着の状態で、前記ノズル面の面法線および前記配列方向の両方に垂直な回転軸まわりに前記ヘッドホルダに対して前記インク吐出ヘッドを回転させることで、前記ヘッドホルダに対する前記ノズル面の姿勢を調整する姿勢調整機構と、
を備えることを特徴とするヘッドユニット。
【請求項2】
請求項1に記載のヘッドユニットであって、
前記ヘッドホルダは、前記配列方向において、前記保持領域の一方側に設けられる第1ホルダ部材と、前記保持領域の他方側に設けられる第2ホルダ部材と、を有し、
前記姿勢調整機構は、
前記第1ホルダ部材に対して前記保持領域に向けて進退自在に設けられ、前記保持領域に突出して前記保持領域に位置する前記インク吐出ヘッドに当接する第1可動部材および第2可動部材と、
前記第1可動部材および前記第2可動部材の間に位置する前記第1ホルダ部材の中間部位に対向しながら前記第2ホルダ部材に対して前記保持領域に向けて進退自在に設けられ、前記保持領域に突出して前記保持領域に位置する前記インク吐出ヘッドに当接する第3可動部材と、を有し、
前記第1可動部材および前記第2可動部材のうちの一方の前記保持領域への突出量が増加されるとともに、他方の前記保持領域への突出量が減少されるのに応じて前記インク吐出ヘッドの前記回転軸まわりの回転量を調整するヘッドユニット。
【請求項3】
請求項2に記載のヘッドユニットであって、
前記姿勢調整機構は、
前記第1可動部材および前記第2可動部材の前記保持領域への突出量が増加されるとともに、前記第3可動部材の前記保持領域への突出量が減少されることで前記インク吐出ヘッドを前記第2ホルダ部材側に移動させ、
前記第1可動部材および前記第2可動部材の前記保持領域への突出量が減少されるとともに、前記第3可動部材の前記保持領域への突出量が増加されることで前記インク吐出ヘッドを前記第1ホルダ部材側に移動させるヘッドユニット。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか一項に記載のヘッドユニットであって、
前記ベース部材に対して前記ヘッドホルダを未装着の状態で、前記ノズル面の面法線と平行な高さ方向に前記ヘッドホルダに対して前記インク吐出ヘッドを相対的に移動させることで、前記ヘッドホルダに対する前記ノズル面の高さ位置を調整する高さ調整機構をさらに備えるヘッドユニット。
【請求項5】
ベース部材に対して着脱自在に、所定の配列方向に配列されるヘッドユニットであって、
インクを吐出するノズル面を有するインク吐出ヘッドと、
前記インク吐出ヘッドを保持領域で保持しながら前記ベース部材に着脱自在なヘッドホルダと、
前記ベース部材に対して前記ヘッドホルダを未装着の状態で、前記ノズル面の面法線と平行な高さ方向に前記ヘッドホルダに対して前記インク吐出ヘッドを移動させることで、前記ヘッドホルダに対する前記ノズル面の高さ位置を調整する高さ調整機構と、
を備えることを特徴とするヘッドユニット。
【請求項6】
請求項4または5に記載のヘッドユニットであって、
前記ヘッドホルダは、前記ベース部材に対して着脱自在なホルダ基台を有し、
前記高さ調整機構は、前記ホルダ基台に対して前記高さ方向に移動自在に取り付けられた第4可動部材と、前記第4可動部材を前記高さ方向に移動させる移動部と、を有し、前記高さ方向において前記第4可動部材の一方端部を前記インク吐出ヘッドに当接させた状態で前記移動部により前記第4可動部材を移動させることで、前記高さ方向における前記ヘッドホルダに対する前記ノズル面の相対位置を調整するヘッドユニット。
【請求項7】
請求項6に記載のヘッドユニットであって、
前記第4可動部材の他方端部は前記高さ方向に対して傾斜する傾斜面に仕上げられ、
前記移動部は、先端部を前記傾斜面に摺接させながら前記高さ方向と直交する方向に沿って移動することで前記高さ方向における前記第4可動部材の位置を調整する調整部材を有するヘッドユニット。
【請求項8】
ベース部材に対して着脱自在に、所定の配列方向に配列されるヘッドユニットの調整方法であって、
前記ヘッドユニットを前記ベース部材に装着する前に
(a)インクを吐出するノズル面を有するインク吐出ヘッドを、ヘッドホルダの保持領域に挿入する工程と
(b1)前記ノズル面の面法線および前記配列方向の両方に垂直な回転軸まわりに前記ヘッドホルダに対して前記保持領域に挿入された前記インク吐出ヘッドを回転させることで、前記ヘッドホルダに対する前記ノズル面の姿勢を調整する工程と
(c)前記工程(b1)を実行した後で、前記インク吐出ヘッドを前記ヘッドホルダに固定して前記ヘッドユニットを形成する工程と、
を実行することを特徴とするヘッドユニットの調整方法。
【請求項9】
請求項8に記載のヘッドユニットの調整方法であって、
前記ヘッドユニットを前記ベース部材に装着する前に
(b2)前記ノズル面の面法線と平行な高さ方向に前記ヘッドホルダに対して前記保持領域に挿入された前記インク吐出ヘッドを移動させることで、前記ヘッドホルダに対する前記ノズル面の高さ位置を調整する工程を、実行し、
前記工程(c)は、前記工程(b1)および前記工程(b2)の両方が実行された後で、実行されるヘッドユニットの調整方法。
【請求項10】
ベース部材に対して着脱自在に、所定の配列方向に配列されるヘッドユニットの調整方法であって、
前記ヘッドユニットを前記ベース部材に装着する前に
(a)インクを吐出するノズル面を有するインク吐出ヘッドを、ヘッドホルダの保持領域に挿入する工程と
(b2)前記ノズル面の面法線と平行な高さ方向に前記ヘッドホルダに対して前記保持領域に挿入された前記インク吐出ヘッドを移動させることで、前記ヘッドホルダに対する前記ノズル面の高さ位置を調整する工程と
(c)前記工程(b2)を実行した後で、前記インク吐出ヘッドを前記ヘッドホルダに固定して前記ヘッドユニットを形成する工程と、
を実行することを特徴とするヘッドユニットの調整方法。
【請求項11】
ベース部材に対して配列方向に並べて装着される複数のヘッドユニットを、ヘッドユニット単位で前記ベース部材に着脱するためのヘッドユニットの着脱治具であって、
前記配列方向と直交するスライド方向に延設されたガイド部材を有し、前記ベース部材に着脱自在な治具本体部と、
前記ヘッドユニットを支持しながら前記ガイド部材に沿って前記スライド方向に移動自在に支持されるスライダと、
を備えることを特徴とするヘッドユニットの着脱治具。
【請求項12】
請求項11に記載のヘッドユニットの着脱治具であって、
前記配列方向において、前記スライダの幅は前記ヘッドユニットの幅以下であるヘッドユニットの着脱治具。
【請求項13】
ベース部材に対して配列方向に並べて装着された複数のヘッドユニットのうちの第1ヘッドユニットを第2ヘッドユニットに交換するヘッドユニットの交換方法であって、
前記第1ヘッドユニットに対し、請求項11または12に記載の着脱治具の前記スライダが対向するように前記治具本体部を前記ベース部材に装着する工程と、
前記第1ヘッドユニットを前記スライダで支持する工程と、
前記第1ヘッドユニットを支持したまま前記スライダを前記ベース部材から前記スライド方向に離れた離間位置まで移動させる工程と、
前記離間位置で前記スライダから前記第1ヘッドユニットを取り外した後で前記スライダに前記第2ヘッドユニットを載置する工程と、
前記第2ヘッドユニットを支持したまま前記スライダを前記ベース部材に移動させることで前記第1ヘッドユニットが装着されていた交換位置に前記第2ヘッドユニットを位置させる工程と、
前記交換位置で前記第2ヘッドユニットを前記ベース部材に装着するとともに前記ベース部材から前記着脱治具を取り外す工程と、
を備えることを特徴とするヘッドユニットの交換方法。
【請求項14】
請求項13に記載のヘッドユニットの交換方法であって、
前記第2ヘッドユニットは、請求項8ないし10のいずれか一項に記載のヘッドユニットの調整方法により、調整されたヘッドユニットであるヘッドユニットの交換方法。
【請求項15】
請求項4または5に記載のヘッドユニットであって、
前記ヘッドホルダは、前記ベース部材に対して着脱自在なホルダ基台を有し、
前記高さ調整機構は、
前記ホルダ基台に対して前記高さ方向に移動自在に取り付けられる第5可動部材と、
前記ホルダ基台に取り付けられた前記第5可動部材の上面に上方から当接することで、前記吐出ヘッドと連結された状態で前記ホルダ基台に沿って懸架される懸架部材と、を有し、
前記第5可動部材の取付位置に応じて前記懸架部材が前記高さ方向に変位することで、前記高さ方向における前記ヘッドホルダに対する前記ノズル面の相対位置を調整するヘッドユニット。
【請求項16】
請求項15に記載のヘッドユニットであって、
前記懸架部材は、前記第5可動部材の前記上面と当接する当接部位を有し、
前記高さ調整機構は、前記第5可動部材に懸架された前記懸架部材の前記当接部位を上方から押えて前記懸架部材の上方移動を規制する規制部材をさらに有するヘッドユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ベース部材に対して着脱自在に、所定の配列方向に配列されるヘッドユニット、当該ヘッドユニットの調整方法、着脱治具および交換方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
インク吐出ヘッドのノズル面からインクジェット方式で水性や油性などのインクを印刷媒体に吐出して印刷媒体の上面に画像を印刷する印刷装置が知られている。この印刷装置では、例えば特許文献1に記載されているように、流体吐出モジュールを複数個、所定方向に配列してフレーム(本願発明の「ベース部材」に相当)に装着している。より詳しくは、流体吐出モジュールをモジュールマウントに接合することでモジュールマウントアセンブリ(本願発明の「インク吐出ヘッド」に相当)が形成される。こうして複数のモジュールマウントアセンブリが準備される。その一方で、フレームに対して複数のクランプアセンブリが取り付けられ、さらに整合治具を用いてクランプアセンブリ間の整合性が図られている。そして、クランプアセンブリに対してモジュールマウントアセンブリが1対1で装着されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来技術では、クランプアセンブリの整合により複数のモジュールマウントアセンブリは相互に整合されている。しかしながら、印刷品質に直接影響を及ぼすのはノズル面の整合であり、この点について従来技術は十分に考慮されていない。つまり、流体吐出モジュールをモジュールマウントに単に接合しているのみで、フレームへの装着前に流体吐出モジュールのノズル面の姿勢や位置は一定に整えられていない。また、フレーム装着した状態でノズル面毎にノズル面の姿勢や高さを高精度に調整することは困難であることから、特許文献1に記載の装置では、クランプアセンブリに仕込んだバネの付勢力を利用して自動調整している。しかしながら、当該調整方式では、調整精度に限界がある。また、ヘッドクリーニング時に、ノズル面に対して外力が作用して上記調整がずれることもあった。これらに起因してノズル面毎に吐出方向や吐出位置などの吐出性能が不均一となり、その結果、十分な印刷品質が得られないという問題があった。
【0005】
また、上記従来技術のように複数のモジュールマウントアセンブリを配列方向に並べて配置する場合、互いに隣接するモジュールマウントアセンブリの間隔は狭い。そのため、複数のモジュールマウントアセンブリのうちの一つを交換するためには、交換対象となるモジュールマウントアセンブリを選択的に取り外し、新たなモジュールマウントアセンブリを取り外された位置に装着する必要がある。しかしながら、モジュールマウントアセンブリの交換を作業者の目視を頼りに行っていたため、取外位置に正確に装着するのが難しく、これが印刷品質に悪影響を及ぼすことがあった。なお、印刷品質の低下以外にも、その交換作業中に、モジュールマウントアセンブリの抜き取り方向や挿入方向が僅かにずれただけで着脱中のモジュールマウントアセンブリが破損してしまう。このため、モジュールマウントアセンブリの交換には、高度な作業が要求されていた。
【0006】
この発明は上記課題に鑑みなされたものであり、優れた印刷品質を有するヘッドユニット、ヘッドユニットの調整方法、着脱治具および交換方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明の第1態様は、ベース部材に対して着脱自在に、所定の配列方向に配列されるヘッドユニットであって、インクを吐出するノズル面を有するインク吐出ヘッドと、インク吐出ヘッドを保持領域で保持しながらベース部材に着脱自在なヘッドホルダと、ベース部材に対してヘッドホルダを未装着の状態で、ノズル面の面法線および配列方向の両方に垂直な回転軸まわりにヘッドホルダに対してインク吐出ヘッドを回転させることで、ヘッドホルダに対するノズル面の姿勢を調整する姿勢調整機構と、を備えることを特徴としている。
【0008】
また、この発明の第2態様は、ベース部材に対して着脱自在に、所定の配列方向に配列されるヘッドユニットであって、インクを吐出するノズル面を有するインク吐出ヘッドと、インク吐出ヘッドを保持領域で保持しながらベース部材に着脱自在なヘッドホルダと、ベース部材に対してヘッドホルダを未装着の状態で、ノズル面の面法線と平行な高さ方向にヘッドホルダに対してインク吐出ヘッドを移動させることで、ヘッドホルダに対するノズル面の高さ位置を調整する高さ調整機構と、を備えることを特徴としている。
【0009】
また、この発明の第3態様は、ベース部材に対して着脱自在に、所定の配列方向に配列されるヘッドユニットの調整方法であって、ヘッドユニットをベース部材に装着する前に、(a)インクを吐出するノズル面を有するインク吐出ヘッドを、ヘッドホルダの保持領域に挿入する工程と、(b1)ノズル面の面法線および配列方向の両方に垂直な回転軸まわりにヘッドホルダに対して保持領域に挿入されたインク吐出ヘッドを回転させることで、ヘッドホルダに対するノズル面の姿勢を調整する工程と、(c)工程(b1)を実行した後で、インク吐出ヘッドをヘッドホルダに固定してヘッドユニットを形成する工程と、を実行することを特徴としている。
【0010】
また、この発明の第4態様は、ベース部材に対して着脱自在に、所定の配列方向に配列されるヘッドユニットの調整方法であって、ヘッドユニットをベース部材に装着する前に、(a)インクを吐出するノズル面を有するインク吐出ヘッドを、ヘッドホルダの保持領域に挿入する工程と、(b2)ノズル面の面法線と平行な高さ方向にヘッドホルダに対して保持領域に挿入されたインク吐出ヘッドを移動させることで、ヘッドホルダに対するノズル面の高さ位置を調整する工程と、(c)工程(b2)を実行した後で、インク吐出ヘッドをヘッドホルダに固定してヘッドユニットを形成する工程と、を実行することを特徴としている。
【0011】
また、この発明の第5態様は、ベース部材に対して配列方向に並べて装着される複数のヘッドユニットを、ヘッドユニット単位でベース部材に着脱するためのヘッドユニットの着脱治具であって、配列方向と直交するスライド方向に延設されたガイド部材を有し、ベース部材に着脱自在な治具本体部と、ヘッドユニットを支持しながらガイド部材に沿ってスライド方向に移動自在に支持されるスライダと、を備えることを特徴としている。
【0012】
また、この発明の第6態様は、ベース部材に対して配列方向に並べて装着された複数のヘッドユニットのうちの第1ヘッドユニットを第2ヘッドユニットに交換するヘッドユニットの交換方法であって、第1ヘッドユニットに対し、請求項11または12に記載の着脱治具のスライダが対向するように治具本体部をベース部材に装着する工程と、第1ヘッドユニットをスライダで支持する工程と、第1ヘッドユニットを支持したままスライダをベース部材からスライド方向に離れた離間位置まで移動させる工程と、離間位置でスライダから第1ヘッドユニットを取り外した後でスライダに第2ヘッドユニットを載置する工程と、第2ヘッドユニットを支持したままスライダをベース部材に移動させることで第1ヘッドユニットが装着されていた交換位置に第2ヘッドユニットを位置させる工程と、交換位置で第2ヘッドユニットをベース部材に装着するとともにベース部材から着脱治具を取り外す工程と、を備えることを特徴としている。
【発明の効果】
【0013】
以上のように、本発明によれば、ベース部材に対してヘッドユニットを装着していない未装着状態で、ヘッドユニットにおいてヘッドホルダに対するノズル面の姿勢や高さ位置を調整することができ、優れた印刷品質が得られる。
【0014】
また、上記調整済のヘッドユニットをベース部材に安定して着脱することができるため、ベース部材に装着された状態においても、優れた印刷品質が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明に係るヘッドユニットの一実施形態を装備する印刷システムの一例を模式的に示す正面図である。
【
図2】印刷バーユニットの主要部分を示す斜視図である。
【
図3】
図2に示す印刷バーユニットの製造方法を示すフローチャートである。
【
図5】インク吐出ヘッドを背面下方側から見た斜視図である。
【
図6】ヘッドユニットを製造する作業手順を示すフローチャートである。
【
図7】ヘッドユニットの製造において実行される水平・回転調整動作を模式的に示す図である。
【
図8】ヘッドユニットの製造において実行される高さ調整動作を模式的に示す図である。
【
図9】印刷バーユニットの製造手順を示すフローチャートである。
【
図10】印刷バーユニットを製造する際に使用するアライメント装置の概略構成を示す図である。
【
図11】本発明にかかるヘッドユニットの着脱治具の一実施形態を示す斜視図である。
【
図12】
図11の着脱治具のベース部材への装着の一例を示す斜視図である。
【
図13】本発明に係るヘッドユニットの他の実施形態に装備される高さ調整機構をインク吐出ヘッド側から見た図である。
【
図14】
図13に示す高さ調整機構を構成する当たり部材の斜視図である。
【
図15】
図13に示す高さ調整機構をヘッドホルダ側から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1は、本発明に係るヘッドユニットの一実施形態を装備する印刷システムの一例を模式的に示す正面図である。
図1および以下に示す図では、装置各部の配置関係を明確にするために、印刷システム1を構成する塗布装置2、印刷装置3および乾燥装置4を配列する水平方向を「X方向」とし、
図1の右手側から左手側に向かう水平方向を「+X方向」と称し、逆方向を「-X方向」と称する。また、X方向と直交する水平方向Yのうち、装置の正面側を「+Y方向」と称するとともに、装置の背面側を「-Y方向」と称する。さらに、鉛直方向Zにおける上方向および下方向をそれぞれ「+Z方向」および「-Z方向」と称する。
【0017】
この印刷システム1は、装置各部を制御部100により制御することで、繰出ロール11から巻取ロール12へロール・トゥ・ロールで長尺帯状の印刷媒体Mを搬送しつつ、塗布処理、印刷処理および乾燥処理を印刷媒体Mに施す。すなわち、塗布装置2が塗布液を印刷媒体Mに塗布する。そして、当該印刷媒体Mに対して印刷装置3がインクジェット方式で各種インクを付着させて画像を印刷する。さらに、乾燥装置4が印刷媒体Mに付着するインクを乾燥させる。なお、印刷媒体Mの素材は、OPP(orientedpolypropylene)あるいはPET(polyethyleneterephthalate)等のフィルムである。ただし、印刷媒体Mの素材はフィルムに限られず、紙等でもよい。かかる印刷媒体Mは、可撓性を有する。また、以下では、印刷媒体Mの両面のうち、画像が印刷される面を表面M1と、表面M1の反対側の面を裏面M2と適宜称する。
【0018】
塗布装置2は、液状のプライマー(塗布液)を貯留するパン21と、パン21に貯留されたプライマーに部分的に浸かるグラビアローラ22と、印刷媒体Mを搬送する搬送部23とを有する。塗布装置2では、搬送部23により搬送される印刷媒体Mにグラビアローラ22が下方から接触する塗布領域が設けられており、搬送部23は、印刷媒体Mの表面M1を下方に向けつつ塗布領域に沿って印刷媒体Mを搬送する。一方、グラビアローラ22は、その周面にプライマーを保持しつつ回転することで塗布領域にプライマーを供給する。こうして、グラビアローラ22により供給されたプライマーが塗布領域において印刷媒体Mの表面M1に塗布される。また、塗布領域では、印刷媒体Mの進行方向と、グラビアローラ22の周面の回転方向とが逆である。つまり、いわゆるリバースキス方式でプライマーが印刷媒体Mに塗布される。そして、搬送部23は、プライマーが塗布された印刷媒体Mの表面M1を上方へ向けつつ、塗布装置2から印刷装置3へ印刷媒体Mを搬出する。
【0019】
印刷装置3は、筐体31と、筐体31内に配置されたカラー印刷部32と、筐体31内においてカラー印刷部32の上方に配置された白印刷部33と、筐体31内に配置された複数のローラによって印刷媒体Mを搬送する搬送部34とを備える。
【0020】
カラー印刷部32は、搬送部34によって搬送される印刷媒体Mの上方において、印刷媒体Mの進行方向に配列された複数(本実施形態では4個)の印刷バーユニット321を有する。複数の印刷バーユニット321は、それぞれの下方を通過する印刷媒体Mの表面M1に上方から対向するノズルを有し、互いに異なる色のカラーインクをインクジェット方式でノズルから吐出する。ここで、カラーインクとは、白色以外のインクを意味し、シアン、マゼンタ、イエローおよびブラック等のインクを含む。こうして、カラー印刷部32の複数の印刷バーユニット321は、それぞれの下方を通過する印刷媒体Mの表面M1に上方からカラーインクを吐出することで、印刷媒体Mの表面M1にカラー画像を印刷する。
【0021】
また、白印刷部33は、搬送部34によって搬送される印刷媒体Mの上方に配置された単一の印刷バーユニット331を有する。印刷バーユニット331は、その下方を通過する印刷媒体Mの表面M1に上方から対向するノズルを有し、白インクをインクジェット方式でノズルから吐出する。こうして、白印刷部33の印刷バーユニット331は、その下方を通過する印刷媒体Mの表面M1に上方から白インクを吐出することで、印刷媒体Mの表面M1に白画像を印刷する。
【0022】
上記印刷バーユニット321、331は、インクジェット方式でインクをノズル面から吐出する、複数のインク吐出ヘッドで構成される。本実施形態では、10個のインク吐出ヘッドが印刷媒体Mの幅方向Yに並べられている。つまり、幅方向Yが本発明の「配列方向」に相当している。印刷バーユニット321、331の詳しい構成、各インク吐出ヘッドの調整や交換などについては、後で詳述する。
【0023】
なお、
図1への図示を省略しているが、印刷装置3の筐体31内には、2種類の乾燥部が設けられている。一方はカラー印刷部32により印刷媒体Mの表面M1に付着されたカラーインクを乾燥させるプレ乾燥部である。他方は白印刷部33により印刷媒体Mの表面M1に付着された白インクを乾燥させる上方乾燥部である。
【0024】
乾燥装置4は印刷装置3から搬送されてくる印刷媒体Mの表面M1に付着するインクを乾燥させるものである。乾燥装置4は筐体41(乾燥炉)を有している。また、筐体41では、(+X)方向側にローラ42、43、46が配置されるとともに(-X)方向側にエアターンバー44、45が配置されている。これによって、(+Y)方向側から見て略S字状の搬送経路が構成され、当該搬送経路に沿って印刷媒体Mが搬送される。この搬送中に印刷媒体Mの表面M1に付着するインクが乾燥される。そして、乾燥処理を受けた印刷媒体Mは乾燥装置4から搬出され、巻取ロール12に巻き取られる。
【0025】
図2は印刷バーユニットの主要部分を示す斜視図である。印刷バーユニット321、331では、配列方向Yに延設されたベース部材5に対し、10個のヘッドユニット6が配列方向Yに隣接して取り付けられている。各ヘッドユニット6は、同図中の部分拡大図に示すように、インク吐出ヘッド61をヘッドホルダ62で保持し、姿勢調整および高さ調整後に、固定ネジ65で固定したものである。
【0026】
図3は
図2に示す印刷バーユニットの製造方法を示すフローチャートである。印刷バーユニット321、331の製造にあたっては、作業者が
図3に示すステップS1ないしS5を実行する。以下、ヘッドユニット6の構成を適宜説明しつつ、インク吐出ヘッド61の形成、ヘッドユニット6の製造およびヘッドユニット6の装着について説明する。まず、印刷バーユニット321、331でのヘッドユニット6の装着数NだけステップS1~S3が繰り返して実行されることにより、ヘッドユニット6が準備される。なお、本実施形態では、印刷バーユニット毎に、10個のヘッドユニット6を装着するため、N=10に設定されているが、Nの値は任意である。
【0027】
図4はヘッドユニットの分解組立斜視図である。
図5はインク吐出ヘッドを背面下方側から見た斜視図である。ヘッドユニット6を構成するインク吐出ヘッド61およびヘッドホルダ62はそれぞれ以下のような構造を有しており、インク吐出ヘッド61をヘッドホルダ62の保持領域62aに挿入可能となっている。ここで、印刷バーユニット321、331は、インクを吐出するノズル面611cが印刷媒体Mの表面M1(
図1)と対向するように配置される。したがって、ノズル面611cの面法線NL(
図5)や表面M1の面法線の方向は上下方向Zと常に一致するわけではない。しかしながら、発明内容の理解を容易とするため、以下においては、上記面法線NLの方向が上下方向Zとほぼ一致しており、方向Zが本発明の「高さ方向」に相当していると仮定して説明を進める。
【0028】
インク吐出ヘッド61は、
図2および
図4に示すように、インク吐出モジュール611と、モジュールマウント612とを有している。インク吐出モジュール611は、従来より周知のように、インク流入口611aおよびインク流出口611bを介して循環供給されるインクをノズル面611cから下方(-Z)に液滴状で吐出する機能を有している。一方、モジュールマウント612は、印刷媒体Mと対向する水平部位612aと、水平部位612aの(-X)方向側の端部から上方に立設される垂直部位612bとを有し、略L字の断面構造を有している。水平部位612aには、ノズル面611cよりも若干狭い矩形開口(図示省略)が設けられており、上方からの平面視で額縁形状を有している。このため、ノズル面611cを下方に向けた状態で、インク吐出モジュール611が上記矩形開口を介して上方(+Z)に挿入されると、ノズル面611cを下方に露出させながらインク吐出モジュール611が水平部位612aの額縁部分で係止される。そして、インク吐出モジュール611がモジュールマウント612に固定される。こうして、インク吐出モジュール611とモジュールマウント612とが一体化され、インク吐出ヘッド61が形成される(ステップS1)。
【0029】
こうして形成されたインク吐出ヘッド61では、
図5に示すように、垂直部位612bの(-X)方向側の垂直面には、一対の突出部位612cが(-X)方向に突設されている。これら一対の突出部位612cは上下方向Zに延設され、ヘッドホルダ62と嵌合自在な形状に仕上げられている。そのため、
図4に示すように、インク吐出ヘッド61を下方側からヘッドホルダ62の保持領域62aに安定して挿入することが可能となっている。もちろん、ヘッドホルダ62を上方側からインク吐出ヘッド61に移動させることで、インク吐出ヘッド61およびヘッドホルダ62を一体化させることも可能である。
【0030】
ヘッドホルダ62は、
図4に示すように、上下方向Zに延設されたホルダ基台620と、ホルダ基台620の(-Y)方向側で上下方向Zに延設される第1ホルダ部材621と、ホルダ基台620の(+Y)方向側で上下方向Zに延設される第2ホルダ部材622と、を有している。これらホルダ基台620、第1ホルダ部材621および第2ホルダ部材622で囲まれた領域が保持領域62aに相当しており、当該保持領域62aでインク吐出ヘッド61を保持可能となっている。
【0031】
ホルダ基台620の中央下部において、
図4に示すように、ヘッドホルダ62に対するノズル面611cの相対的な高さ位置、つまり相対位置を調整する高さ調整機構63が取り付けられている。また、第1ホルダ部材621および第2ホルダ部材622には、ノズル面611cの姿勢を調整する姿勢調整機構64が取り付けられている。
【0032】
高さ調整機構63は、ホルダ基台620の(+X)方向側の側面に沿って上下方向Zに移動自在に設けられた可動部材631と、可動部材631を高さ方向Zに移動させる移動部として機能する先端丸ネジ632とを有している。可動部材631は、本発明の「第4可動部材」の一例に相当しており、その下端部631aは下向きに突起した形状に仕上げられている。一方、可動部材631の上端部631bは高さ方向Zにおいて傾斜する傾斜面に仕上げられており、後で説明する
図8中の拡大図に示すように、(+X)方向側(同図の左手側)が(-X)方向側(同図の右手側)よりも高くなっている。また、先端丸ネジ632は(-X)方向側からホルダ基台620に螺入されており、作業者が先端丸ネジ632を時計まわりに回転させることで先端丸ネジ632の先端部が傾斜面上を摺動しながら(+X)方向に進行する。その結果、可動部材631が下方(-Z)に移動させられる。逆に、作業者が先端丸ネジ632を反時計まわりに回転させることで先端丸ネジ632を(-X)方向に後退させることで、可動部材631を上方(+Z)に移動させることが可能となっている。すなわち、先端丸ネジ632の回転量に応じて高さ方向Zにおける可動部材631の位置を制御し、後で説明するヘッドユニット6の製造時においてヘッドホルダ62に対するノズル面611cの相対的な高さ位置(相対位置)を調整可能となっている。
【0033】
姿勢調整機構64は、第1ホルダ部材621に取り付けられる2つの可動部材641、642と、第2ホルダ部材622に取り付けられる1つの可動部材643とを有している。これら3つの可動部材641~643は基本的に同一構成を有しており、取付位置のみが相互に相違している。
【0034】
可動部材641は、第1ホルダ部材621の上方位置でY方向に貫通する貫通孔621a(
図7)に挿入される、ステンレス製または樹脂製のボール641aとイモネジ641bとで構成される。ボール641aは貫通孔621a内で配列方向Yに移動自在に配置されている。また、イモネジ641bは、ボール641aの(-Y)方向側で貫通孔621aの内周面に刻設された雌ネジに螺合しながら配列方向Yに進退自在に設けられている。このため、作業者がイモネジ641bを回転させて配列方向Yに移動させると、その移動に応じて貫通孔621aの(+Y)方向側開口から保持領域62aに向けて突出する量(以下「突出量」という)が変化する。つまり、イモネジ641bの回転量に応じてボール641aが保持領域62aに位置しているインク吐出ヘッド61に対する押込量を調整可能となっている。
【0035】
可動部材642は、可動部材641から下方に離れた位置(第1ホルダ部材621の下方位置)でY方向に貫通する貫通孔621b(
図7)に挿入されるボール642aとイモネジ642bとで構成される。このため、作業者がイモネジ642bを回転させて配列方向Yに移動させると、その移動に応じて貫通孔621bの(+Y)方向側開口からの突出量が変化する。つまり、イモネジ642bの回転量に応じてボール642aが保持領域62aに位置しているインク吐出ヘッド61に対する押込量を調整可能となっている。
【0036】
可動部材643は、第2ホルダ部材622の中央位置でY方向に貫通する貫通孔621cに挿入されるボール643a(
図7)とイモネジ643bとで構成される。この「中央位置」とは、可動部材641、642の間に位置する第1ホルダ部材621の中間部位に対向する位置を意味している。このため、作業者がイモネジ643bを回転させて配列方向Yに移動させると、その移動に応じて貫通孔621cの(-Y)方向側開口からの突出量が変化する。つまり、イモネジ643bの回転量に応じてボール643aが保持領域62aに位置しているインク吐出ヘッド61に対する押込量を調整可能となっている。
【0037】
このように互いに異なる3つの位置でインク吐出ヘッド61への押込量を調整することで、ヘッドホルダ62に対するノズル面611cの姿勢を調整することが可能となっている。例えば、可動部材641、642のうちの一方の保持領域62aへの突出量を増加させるとともに、他方の保持領域62aへの突出量を減少させると、
図4に示すように、ヘッドホルダ62に対し、ノズル面611cの面法線NLおよび配列方向Yの両方に垂直な方向(X方向)と平行な回転軸AXまわりにインク吐出ヘッド61を回転させることができる。これにより、YZ平面内でノズル面611cの姿勢を精度良く調整することができる。
【0038】
また、可動部材641、642の突出量を増加させるとともに、可動部材643の突出量を減少させることで、インク吐出ヘッド61は第2ホルダ部材622側(+Y方向側)に移動する。逆に、可動部材641、642の突出量を減少させるとともに、可動部材643の突出量を増加させることで、インク吐出ヘッド61は第1ホルダ部材621側(-Y方向側)に移動する。これにより、配列方向Yにおけるノズル面611cの位置を精度良く調整することができる。
【0039】
このように構成されたヘッドホルダ62に対し、ステップS1で形成されたインク吐出ヘッド61を作業者が嵌合させてヘッドユニット6を製造する(ステップS2)。以下、
図4ないし
図8を参照しつつヘッドユニット6の製造について説明する。
【0040】
図6はヘッドユニットを製造する作業手順を示すフローチャートである。
図7はヘッドユニットの製造において実行される水平・回転調整動作を模式的に示す図である。
図8はヘッドユニットの製造において実行される高さ調整動作を模式的に示す図である。
図4に示すように、一対の突出部位612cをホルダ部材621、622に摺接させながらインク吐出ヘッド61をヘッドホルダ62の保持領域62aに挿入する(ステップS21)。これにより、一定の精度でヘッドホルダ62に対してインク吐出ヘッド61が一体化される。こうして一体化されたヘッドユニット6では、ヘッドホルダ62に対するノズル面611cの位置決め精度は要求される印刷品質を確保するには十分ではない。そこで、本実施形態では、水平・回転調整動作(ステップS22~S24)と、高さ調整動作(ステップS25~S27)とを実行することで、上記位置決め精度を高めている。以下においては、両調整動作が完了する前のヘッドユニット6を「未調整ヘッドユニット6」と称する。なお、未調整ヘッドユニット6に対する水平・回転調整動作および高さ調整動作の順序は任意であるが、本実施形態では、水平・回転調整装置7を用いた水平・回転調整動作を先に実行している。
【0041】
ここでは、水平・回転調整動作の説明に先立って、水平・回転調整装置7の構成について説明する。水平・回転調整装置7は、
図7の(a)欄に示すように、装置基台71と、撮像部72と、投光器73と、受光器74と、水平・回転制御部75とを備えている。同図の(a)欄には水平・回転調整装置7に対して未調整ヘッドユニット6が装着された状態をX方向から見た側面図が図示され、同図の(b)欄には装着状態の未調整ヘッドユニット6の断面図が図示されている。同図の(a)欄に示すように、装置基台71には未調整ヘッドユニット6のヘッドホルダ62を所定位置で保持する保持機構(図示省略)が設けられており、ノズル面611cを下方に向けた状態で装置基台71に対して未調整ヘッドユニット6を着脱自在となっている。未調整ヘッドユニット6が装置基台71に装着されると、ヘッドホルダ62が基準位置に位置決めされる。
【0042】
撮像部72、投光器73および受光器74は、装置基台71に装着された未調整ヘッドユニット6の下方に配置されている。撮像部72はノズル面611cおよびその周辺を撮像し、撮像した画像の信号を水平・回転制御部75に出力する。この信号を受けた水平・回転制御部75は当該画像を水平・回転制御部75のディスプレイ(図示省略)に映し出す。このため、作業者は、ディスプレイ上の画像を観察することで、XY平面におけるノズル面611cの現在位置およびノズル面611cの姿勢を確認することができる。
【0043】
投光器73は、水平・回転制御部75の点灯指令に応じてYZ平面(
図7の紙面)内でノズル面611cに対して一定の入射角度(例えば45゜)で光を照射する。一方、受光器74はノズル面611cで反射された反射光を受光し、受光位置に関する情報を水平・回転制御部75に出力する。この情報を受け取った水平・回転制御部75は、受光位置に関する情報に基づき、X方向と平行な回転軸AXを回転中心とするノズル面611cの回転角度θ2を算出し、その算出値をディスプレイに表示する。このため、作業者は、ディスプレイ上の数値を確認することで、ノズル面611cの回転角度θ2を正確に把握することができる。
【0044】
上記水平・回転調整装置7を用いて水平・回転調整動作を実行するために、
図7に示すように、作業者は装置基台71に未調整ヘッドユニット6を装着する(ステップS22)。それに続いて、作業者が水平・回転制御部75に調整開始を指示すると、上記したようにノズル面611cの全体画像およびノズル面611cの回転角度θ2の値がディスプレイに表示される。これにより、作業者は、ノズル面611cの現在位置およびノズル面611cの回転角度θ2を把握し、必要に応じてイモネジ641b~643bの全部あるいは一部をY方向に進退させて水平・回転調整する(ステップS23)。なお、配列方向Yにおけるノズル面611cの水平位置調整および回転軸AXまわりのノズル面611cの回転調整を行う具体的な手法は既述のとおりであり、これらの調整が完了する(ステップS24で「YES」)と、装置基台71から未調整ヘッドユニット6を取り外し、高さ調整動作に移行する。
【0045】
次に、高さ調整動作の説明に先立って、高さ調整装置8の構成について説明する。高さ調整装置8は、
図8の(a)欄に示すように、装置基台81と、測長器82と、高さ制御部83とを備えている。同図の(a)欄には高さ調整装置8に対して未調整ヘッドユニット6が装着された状態をX方向から見た側面図が図示され、同図の(b)欄には装着状態の未調整ヘッドユニット6の断面図が図示されている。同図の(a)欄に示すように、装置基台81には未調整ヘッドユニット6のヘッドホルダ62を所定位置で保持する保持機構(図示省略)が設けられており、ノズル面611cを下方に向けた状態で装置基台81に対して未調整ヘッドユニット6を着脱自在となっている。未調整ヘッドユニット6が装置基台81に装着されると、ヘッドホルダ62が基準位置に位置決めされる。
【0046】
測長器82は、装置基台81に装着された未調整ヘッドユニット6の直下位置に配置されている。測長器82は、ノズル面611cに向けて光を照射するとともにノズル面611cで反射された光を受光してノズル面611cまでの距離を計測し、当該距離に関する情報を高さ制御部83に出力する。この情報を受け取った高さ制御部83は、距離に関する情報に基づき、高さ方向Zにおけるヘッドホルダ62に対するノズル面611cの高さ位置を算出し、その算出値をディスプレイに表示する。このため、作業者は、ディスプレイ上の数値を確認することで、ノズル面611cの高さ位置を正確に把握することができる。
【0047】
上記高さ制御部83を用いて高さ調整動作を実行するために、
図8に示すように、作業者は装置基台81に未調整ヘッドユニット6(ただし、水平・回転調整済)を装着する(ステップS25)。それに続いて、作業者が高さ制御部83に調整開始を指示すると、上記したようにノズル面611cの高さ位置がディスプレイに表示される。これにより、作業者は、高さ方向Zにおけるノズル面611cの現在位置を把握し、必要に応じて先端丸ネジ632をX方向に進退させて高さ調整を実行する(ステップS26)。なお、高さ方向Zにおけるノズル面611cの高さ位置調整を行う具体的な手法は既述のとおりであり、水平・回転調整および高さ調整の両方が完了する(ステップS27で「YES」)と、その調整済の状態のまま固定ネジ65(
図2)によりインク吐出ヘッド61をヘッドホルダ62の下端部に固定する(ステップS28)。こうして、水平・回転調整および高さ調整を完了したヘッドユニット6を作業者が装置基台81から取り外し、ヘッドユニット6の製造を完了する。
【0048】
図3に戻って説明を続ける。上記した一連の動作により1個のヘッドユニット6の製造が完了すると、調整済のヘッドユニット6の個数がベース部材5に装着すべき個数Nに達したか否かを作業者が判定する(ステップS3)。そして、ヘッドユニット6の準備個数が未達であると判定する間、作業者はステップS1、S2を繰り返す。一方、水平・回転調整および高さ調整を完了したヘッドユニット6がN個揃うと、作業者はN個のヘッドユニット6をベース部材5に装着して印刷バーユニットを製造する(ステップS4)。以下、
図9ないし
図11を参照しつつ印刷バーユニットを製造する作業手順について説明する。
【0049】
図9は印刷バーユニットの製造手順を示すフローチャートである。また、
図10は印刷バーユニットを製造する際に使用するアライメント装置の概略構成を示す図である。
図11は本発明にかかるヘッドユニットの着脱治具の一実施形態を示す斜視図である。
図12は
図11の着脱治具のベース部材への装着の一例を示す斜視図である。印刷バーユニットの製造に用いるアライメント装置9は、
図10に示すように、アライメント基台91と、一対の柱部92、92と、撮像部93と、表示部94とを備えている。一対の柱部92、92は配列方向Yに離間しながらアライメント基台91の上面から立設されている。これら柱部92、92の上端部は、ベース部材5を水平姿勢で着脱自在に保持可能となっている。また、アライメント基台91の上面では、撮像部93が配列方向Yに移動自在に設けられている。撮像部93は下方側からベース部材5を臨むように取り付けられており、後で説明するようにしてベース部材5に装着されるヘッドユニット6のノズル面611cおよびその周辺の画像を撮像可能となっている。そして、撮像部93により取得された画像が表示部94に表示される。
【0050】
また、着脱治具10は、ヘッドユニット単位でベース部材5に対してヘッドユニット6を着脱するための治具である。着脱治具10は、
図11に示すように、ベース部材5に着脱自在な治具本体部101を有している。治具本体部101は、ボルトなどの締結金具102によりベース部材5に装着される一対の装着部材103と、配列方向Yと直交するスライド方向Zに延設されたガイド部材104とを有している。装着部材103は、例えば
図12に示すように、ベース部材5にヘッドユニット6を装着する装着予定位置に対応してベース部材5に装着される。この装着により、ガイド部材104はベース部材5の下方に延びている。ガイド部材104には、ヘッドユニット6を支持可能なスライダ105がスライド方向Zに移動自在に取り付けられている。このため、スライダ105にヘッドユニット6a(
図12参照)を支持した状態でスライダ105を上方(+Z)に移動させることで当該ヘッドユニット6aをベース部材5の所望位置に容易に、しかも正確に位置させることができる。ここで、配列方向Yにおいて、スライダ105の幅がヘッドユニット6の幅以下に設定すると、スライダ105がベース部材5に装着されているヘッドユニット6と干渉するのを効果的に防止することができる。例えば
図12に示すように、ヘッドユニット6aを支持しているスライダ105は、ベース部材5においてヘッドユニット6aに隣接するヘッドユニット6b、6cと干渉することなく、ヘッドユニット6aをヘッドユニット6b、6cの間に挿入、あるいはヘッドユニット6b、6cの間から取り出すことが容易となる。
【0051】
本実施形態では、上記したアライメント装置9および着脱治具10を用いながら
図9に示す作業手順で作業者がN個のヘッドユニット6を1個ずつベース部材5に装着して印刷バーユニットを製造する(ステップS41~S48)。すなわち、ベース部材5の長手方向を配列方向Yと平行に配置しながら、ベース部材5を一対の柱部92、92の上端部に取り付ける(ステップS41)。そして、ヘッドユニット6毎に着脱治具10によるヘッドユニット6のベース部材5への装着作業を実行する(ステップS42~S47)。この装着作業では、ヘッドユニット6の装着予定位置に対応して着脱治具10の装着部材103を締結金具102によりベース部材5に取り付ける(ステップS42)。このとき、ガイド部材104は、
図11に示すように、下方(-Z)に延びている。また、スライダ105は、その自重により、ガイド部材104の最下端位置まで下降し、図示を省略するストッパにより係止されている。このスライダ105は、ガイド部材104に対してスライド方向Zにスライド自在に取り付けられたスライド部位106と、スライド部位106の下から(+X)方向に突出された突出部位107とを有している。このため、作業者が突出部位107の上面にヘッドユニット6を載置すると、スライダ105はヘッドユニット6を下方から支持しながらヘッドユニット6と一体的にガイド部材104に沿って上方に移動可能となる(ステップS43)。そこで、スライダ105およびヘッドユニット6を一体的に装着予定位置まで上昇させる(ステップS44)。これにより、ヘッドユニット6のヘッドホルダ62はベース部材5の(+X)方向側の側面と対向しながら装着予定位置に位置決めされる。このとき、表示部94には、スライダ105および当該スライダ105で支持されたヘッドユニット6を含む画像が映し出されている。したがって、作業者が当該画像を参照しながらヘッドユニット6の装着予定位置への位置決めを行ってもよく、これは、作業性を高め、位置決め精度を高める上で好適である。
【0052】
しかも、本実施形態では、先に説明したように、ヘッドユニット6においては、ヘッドホルダ62に対してノズル面611cの高さ調整および姿勢調整が完了している。その結果、いずれのヘッドユニット6についても、ベース部材5に対するノズル面611cの姿勢や位置は一定に整えられる。もちろん、装着予定位置でのヘッドユニット6の位置決め作業に加え、ベース部材5に対するヘッドユニット6の微調整作業を行ってノズル面611cの姿勢や位置をさらに調整してもよい。このときの調整としては、例えば特許第5968632号に記載されたインクジェットヘッド位置調整方法を用いることができる。
【0053】
装着予定位置へのヘッドユニット6の位置決めが完了すると、突出部位107を上下方向Zに貫通した3つの貫通孔108(
図11)を介してボルトなどの締結金具66(
図2、
図4)を下方からヘッドホルダ62に向けて進入させる。そして、締結金具66をヘッドホルダ62およびベース部材5に螺入し、ヘッドユニット6をベース部材5に固定する(ステップS45)。その後で、着脱治具10をベース部材5から取り外す(ステップS46)。
【0054】
これら一連の装着作業(ステップS42~S46)により、1つのヘッドユニット6が精度良くベース部材5に装着される。そこで、次のステップS47では、ベース部材5に対してN個のヘッドユニット6のすべてが装着されたか否かを判定する。そして、未装着のヘッドユニット6が存在する(ステップS47で「NO」)間、ステップS42に戻って上記一連の装着作業(ステップS42~S46)を繰り返す。一方、N個のヘッドユニット6のすべてが装着されて印刷バーユニットが完成すると、当該印刷バーユニットをアライメント装置9から取り外し(ステップS48)、印刷バーユニットの製造を終了する。
【0055】
図3に戻って、説明を続ける。こうして製造された印刷バーユニット321(331)は印刷部32(33)に装着される(ステップS5)。
【0056】
以上のように、本実施形態によれば、ベース部材5に対してヘッドユニット6を装着していない未装着状態で、ヘッドユニット6においてヘッドホルダ62に対するノズル面611cの姿勢や高さ位置を調整している。つまり、印刷バーユニット321、331の製造前に、N個のヘッドユニット6の全部について同一の調整を施している。このため、印刷バーユニット321、331を構成するヘッドユニット6の間において、インクの吐出方向や吐出位置などの吐出性能が均質となる。しかも、可動部材631、641~643がヘッド吐出ユニット61に当接させてノズル面611cの高さ位置や姿勢を調整している。したがって、バネ力を利用している従来装置よりも安定的、かつ高精度に調整される。その結果、優れた印刷品質が得られる。
【0057】
また、ベース部材5にN個のヘッドユニット6を装着して印刷バーユニット321、331を製造する際に、着脱治具10の使用は必須ではないが、上記実施形態のように着脱治具10を使用することで、当該製造作業を効率的、かつ安定的に行うことができ、好適である。
【0058】
上記したように、実施形態では、先端丸ネジ632が本発明の「調整部材」の一例に相当している。可動部材641~643がそれぞれ本発明の「第1可動部材」、「第2可動部材」および「第3可動部材」の一例に相当している。
【0059】
ところで、印刷バーユニット321、331の製造は
図9に示す作業手順で実行されるが、印刷バーユニット321、331を構成するヘッドユニット6の一つが故障し、交換する必要が生じた場合、
図11に示す着脱治具10を使用するのが好適である。例えば
図12に示すように、ヘッドユニット6b、6cに挟まれたヘッドユニット6aの取り外しを以下の作業手順(a)~(e)を実行することで、上記取外を円滑に行うことができる。すなわち、取外作業は
(a)ヘッドユニット6aに対応する位置で着脱治具10の装着部材103を締結金具102によりベース部材5に取り付ける
(b)空のスライダ105を上記位置まで上昇させ、スライダ105でヘッドユニット6aを支持する
(c)締結金具66によるヘッドユニット6の固定を解除する
(d)スライダ105およびヘッドユニット6を一体的にガイド部材104の最下端位置(離間位置)まで下降させる(
図12参照)
(e)スライダ105からヘッドユニット6を取り除く、
を含んでいる。
【0060】
一方、上記高さ調整および姿勢調整が既に実行された交換用のヘッドユニット6aのヘッドユニット6b、6cの間への装着は、上記実施形態の装着作業(ステップS42~S46)により実行することができる。このような取外作業および装着作業を組み合わせることでヘッドユニット6の交換を円滑、かつ安定的に行うことができる。この交換作業において、取外対象となるヘッドユニット6aが本発明の「第1ヘッドユニット」の一例に相当し、上記交換用のヘッドユニット6aが本発明の「第2ヘッドユニット」の一例に相当している。ヘッドユニット6b、6cで挟まれた位置が本発明の「交換位置」の一例に相当している。
【0061】
上記交換作業に先立って、交換用のヘッドユニット6に対して上記調整を事前に施しておくのが好適である。これにより、交換されたヘッドユニット6と、従前より使用していたユニット6との間でも、上記吐出性能の均質性が担保され、優れた印刷品質がそのまま維持される。
【0062】
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。例えば上記実施形態では、水平・回転調整および高さ調整の両方を行っているが、少なくとも一方のみを実行するように構成してもよい。また、水平・回転調整においても、配列方向Yへの移動による水平調整のみ、あるいは回転軸AXまわりの回転による回転調整のみを実行してもよい。
【0063】
また、上記実施形態では、高さ調整機構63の先端丸ネジ632をX方向に進退させることで、ヘッドホルダ62に対するノズル面611cの高さ位置を調整しているが、高さ調整機構63の構成はこれに限定されるものではない。例えば
図13ないし
図15に示すように、可動ブロック633、当たり部材634、支持ブロック635およびボールプランジャ636で高さ調整機構63を構成してもよい(他の実施形態)。
【0064】
図13は、本発明に係るヘッドユニットの他の実施形態に装備される高さ調整機構をインク吐出ヘッド側から見た図である。
図14は、
図13に示す高さ調整機構を構成する当たり部材の斜視図である。
図15は、
図13に示す高さ調整機構をヘッドホルダ側から見た図である。
図13では、ヘッドホルダ62に対する高さ調整機構63の各部の位置関係を明示するために、インク吐出ヘッド61が省略して図示されている。一方、
図15では、インク吐出ヘッド61に対する高さ調整機構63の各部の位置関係を明示するために、ヘッドホルダ62が省略して図示されている。
【0065】
この高さ調整機構63では、
図13に示すように、ホルダ基台620に対して可動ブロック633が(+X)方向側から(-X)方向側に取り付けられている。より具体的には、可動ブロック633には、2つの雌ネジ部633a、633bが設けられている。そして、ボルトなどの2本の締結部材637、637がそれぞれ(-X)方向側よりホルダ基台620に設けられた貫通孔(図示省略)に挿入され、さらに各先端部に設けられた雄ネジ部が雌ネジ部633a、633bに螺合されることで、可動ブロック633はホルダ基台620に取り付けられる。ここで、上記貫通孔の内径は締結部材637、637の軸部よりも若干大きく設定されている。このため、その差分だけ、高さ方向Zにおける可動ブロック633の取付位置を調整することが可能となっている。
【0066】
こうしてホルダ基台620に取り付けられた可動ブロック633に対して当たり部材634がホルダ基台620に沿って懸架される。この当たり部材634は、
図14に示すように、高さ方向Zに延設した延設部位634aを有している。この延設部位634aの下端部634bはインク吐出ヘッド61に連結可能となっている(
図15参照)。一方、延設部位634aの上端部では、当接部位634cが(-X)方向に突設されている。当接部位634cの下端部は下方に向かって先細り形状に仕上げられている。したがって、
図15に示すように、当たり部材634の当接部位634cが可動ブロック633の上面に上方から当接することで、保持領域62aにおいて、インク吐出ヘッド61を連結したまま当たり部材634がホルダ基台620に沿って懸架される。したがって、上記したように高さ方向Zにおける可動ブロック633の取付位置を作業者が調整することで、インク吐出ヘッド61の高さ位置を高精度に調整することが可能となっている。
【0067】
このように当たり部材634は本発明の「懸架部材」として機能するが、インク吐出ヘッド61を懸架したのみでは、外力によってインク吐出ヘッド61が高さ方向Zに移動する可能性がある。そこで、インク吐出ヘッド61の高さ位置を安定化させるために、本実施形態では、当たり部材634の直上に支持ブロック635およびボールプランジャ636が配置されている。支持ブロック635には、2つの雌ネジ部635a、635bが設けられている。そして、ボルトなどの2本の締結部材638、638がそれぞれ(-X)方向側よりホルダ基台620に設けられた貫通孔(図示省略)に挿入され、さらに各先端部に設けられた雄ネジ部が雌ネジ部635a、635bに螺合されることで、支持ブロック635は当たり部材634の当接部位634cの直上位置でホルダ基台620に取り付けられる。この支持ブロック635には、(+Z)方向からボールプランジャ636が埋設されている。ボールプランジャ636の先端部は支持ブロック635の下面から下方に突起し、当たり部材634の上面を上方から押えて当たり部材634の上方移動を規制する。つまり、ボールプランジャ636は本発明の「規制部材」の一例として機能しており、可動ブロック633(本発明の「第5可動部材」の一例に相当)とで当たり部材634を高さ方向Zにおいて挟み込んでいる。その結果、インク吐出ヘッド61に対して外力が作用しても、インク吐出ヘッド61の高さ位置が変動するのを効果的に防止することができる。なお、ボールプランジャ636の代わりに、先端丸ネジなどを用いてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0068】
この発明は、ベース部材に対して着脱自在に、所定の配列方向に配列されるヘッドユニット、当該ヘッドユニットの調整方法、着脱治具および交換方法全般に適用することができる。
【符号の説明】
【0069】
5…ベース部材
6,6a,6b,6c…ヘッドユニット
10…(ヘッドユニットの)着脱治具
61…インク吐出ヘッド
62…ヘッドホルダ
62a…保持領域
63…高さ調整機構
64…姿勢調整機構
101…治具本体部
104…ガイド部材
105…スライダ
321,331…印刷バーユニット
611c…ノズル面
620…ホルダ基台
621…第1ホルダ部材
622…第2ホルダ部材
631…(第4)可動部材
631a…(第4可動部材の)下端部
641…(第1)可動部材
642…(第2)可動部材
643…(第3)可動部材
632…先端丸ネジ(移動部)
633…可動ブロック(第5可動部材)
634…当たり部材(懸架部材)
634c…当接部位
636…ボールプランジャ(規制部材)
AX…回転軸
M…印刷媒体
NL…(ノズル面の)面法線
Y…配列方向
Z…スライド方向