(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022136986
(43)【公開日】2022-09-21
(54)【発明の名称】情報処理装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 40/216 20200101AFI20220913BHJP
G06F 40/279 20200101ALI20220913BHJP
【FI】
G06F40/216
G06F40/279
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022027516
(22)【出願日】2022-02-25
(31)【優先権主張番号】P 2021035957
(32)【優先日】2021-03-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【新規性喪失の例外の表示】新規性喪失の例外適用申請有り
(71)【出願人】
【識別番号】510058391
【氏名又は名称】株式会社調和技研
(74)【代理人】
【識別番号】100207619
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 知晴
(72)【発明者】
【氏名】山形 聖志
(72)【発明者】
【氏名】但野 友美
【テーマコード(参考)】
5B091
【Fターム(参考)】
5B091AA15
5B091CA01
5B091EA01
(57)【要約】
【課題】所定の分析結果を出力する技術を提供する。
【解決手段】テキスト情報取得部60は、ユーザ装置2から送信されてきたテキスト情報を取得する。文節部62は、テキスト情報取得部60で取得されたテキスト情報に基づいて、入力文章を文節毎に切り分けて、管理する。語特定部64は、文節部62で管理されている文節の夫々について、所定の条件を満たす語句を特定する。分析部66は、他の多数のコンテキスト情報を統計的に処理した結果として生成された所定の指標に関する基準に基づいて、テキスト情報を分析する。補助情報生成部68は、分析手段による分析の結果の把握を補助する補助情報を生成する。出力情報管理部70は、分析手段による分析の結果及び補助情報に基づいて、出力情報を生成し、生成した出力情報をユーザ装置2に提示する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の分析に用いられる情報処理装置であって、
分析対象となるコンテキスト情報を取得する分析対象取得手段と、
前記コンテキスト情報とは異なる他の多数のコンテキスト情報を統計的に処理した結果として生成される所定の基準に基づいて、前記コンテキスト情報を所定の観点で分析する分析手段と、
前記分析手段による分析の結果を出力するための出力情報を生成する出力情報生成手段と、
を備える情報処理装置。
【請求項2】
前記分析手段は、前記コンテキスト情報に含まれる感情の強さに関する分析を行う、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記分析手段は、喜び、悲しみ、怒り、嫌悪、恐怖、驚きを少なくとも含む、それぞれの感情の強さに関する分析を行う、
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記分析手段は、前記コンテキスト情報を所定の単位に分割し、当該単位の夫々において感情の種別を表現し得る語句を特定し、当該語句の夫々の感情の強さを分析する、
請求項2又は3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記分析手段は、前記コンテキスト情報のハラスメントのリスクに関する分析を行う、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記分析手段は、前記コンテキスト情報を所定の単位に分割し、当該単位の夫々においてハラスメントのリスクを表現し得る語句を特定し、当該語句の夫々のハラスメントのリスクを分析する、
請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記出力情報生成手段は、前記分析手段による分析の結果の理解を補助するための情報を含む前記出力情報を生成する、
請求項1乃至6のうちいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記出力情報は、前記分析手段による分析結果に基づく、警告に関する情報を含む、
請求項1乃至7のうちいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項9】
所定の分析に用いられる情報処理装置に、
分析対象となるコンテキスト情報を取得する分析対象取得ステップと、
前記コンテキスト情報とは異なる他の多数のコンテキスト情報を統計的に処理した結果として生成される所定の基準に基づいて、前記コンテキスト情報を所定の観点で分析する分析ステップと、
前記分析ステップによる分析の結果を出力するための出力情報を生成する出力情報生成ステップと、
を含む処理を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自然言語処理や機械学習等に関する技術の進歩は著しく、テキスト文章等に基づいて、人の感情や心情等を予測する技術の開発が試みられている。
例えば、従来技術として、入力されたテキスト文章に対して、機械学習に関する技術を用いた分析を行い、喜び、好き、恐れ、悲しみ、怒りの5つの感情の分析を行い、その結果を出力する技術が提案されている(非特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】「テキスト感情認識AI」、[online]、[令和3年1月6日検索]、インターネット(URL: https://emotion-ai.userlocal.jp/)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述の非特許文献1に記載の技術を含む従来技術によれば、単に文章全体に対して、分析結果が出力される。そのため、特に長文が入力されたような場合には、分析の根拠が分かりにくかったり、改善の方法が分かりにくいという問題があった。
【0005】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、所定の分析結果を出力する技術を提供することを目的とする。
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の一態様の情報処理装置は、
所定の分析に用いられる情報処理装置であって、
分析対象となるコンテキスト情報を取得する分析対象取得手段と、
前記コンテキスト情報とは異なる他の多数のコンテキスト情報を統計的に処理した結果として生成される所定の基準に基づいて、前記コンテキスト情報を所定の観点で分析する分析手段と、
前記分析手段による分析の結果を出力するための出力情報を生成する出力情報生成手段と、
を備える。
【0007】
本発明の一態様のプログラムも、本発明の一態様の情報処理装置に対応するプログラムとして提供される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、所定の分析結果を出力する技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一実施形態に係る情報処理システムの構成を示すシステム構成図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る情報処理システムのうち、サーバのハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る情報処理システムのサーバ等の機能的構成のうち、感情分析処理に係る機能的構成の一例を示す機能ブロック図である。
【
図4】
図3のサーバにより実行される感情分析処理に際して、ユーザ装置に表示される画像の一例を示す図である。
【
図5】
図3のサーバにより実行される感情分析処理に際して、ユーザ装置に表示される画像の一例を示す図であり、
図4の例とは異なる例を示す図である。
【
図6】
図3の機能的構成を有するサーバにより実行される処理のうち、感情分析処理の流れの一例を説明するフローチャートである。
【
図7】感情分析の結果に関して、ユーザ装置に表示される画像の一例を示す図である。
【
図8】本発明の一実施形態に係る情報処理システムのサーバ等の機能的構成のうち、ハラスメント判定処理に係る機能的構成の一例を示す機能ブロック図である。
【
図9】
図8のサーバにより実行されるハラスメント判定処理に際して、ユーザ装置に表示される画像の一例を示す図である。
【
図10】
図8のサーバにより実行されるハラスメント判定処理に際して、ユーザ装置に表示される画像の一例を示す図であり、
図9の例とは異なる例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。
【0011】
<概要の説明>
まず
図1を用いた具体的な説明に先立ち、本発明の一実施形態に係る情報処理システムの適用対象となるサービス(以下、「感情分析サービス」と呼ぶ)について説明する。
感情分析サービスとは、機械学習等の統計的手法に基づく学習の結果を利用して、ユーザにより入力された所定のテキスト文章に包含される感情の強さを分析し、出力する。すなわち、感情分析サービスとは、機械学習等の技術を利用したテキスト文章の分析サービスである。
感情分析サービスでは、ユーザにより入力されたテキスト文章に対する分析の結果として、「喜び」、「悲しみ」、「怒り」、「嫌悪」、「恐怖」、「驚き」、「無感情」の7種類の感情毎に夫々の感情の強さを分析し、その結果を出力する。
なお、統計的手法とは、例えば、ディープラーニング等の深層学習、クラスタリング、強化学習等の機械学習に分類される手法だけでなく、単純な統計的な演算処理等を広く含むものである。
【0012】
図1は、本発明の一実施形態に係る情報処理システムの構成を示すシステム構成図である。
図1に示す情報処理システムは、本システムの管理者等により管理されるサーバ1と、感情分析サービスの提供を希望するユーザにより使用されるユーザ装置2とを含むシステムである。サーバ1と、ユーザ装置2とは、インターネット等の所定のネットワークNを介して相互に接続されている。
なお、ネットワークNは、LANやインターネットなどである必要はなく、例えば、ブルートゥース(登録商標)など任意の方法により通信を行ってもよい。
【0013】
<ハードウェア構成>
図2は、本発明の一実施形態に係る情報処理システムのうち、サーバのハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
サーバ1は、パーソナルコンピュータ等で構成される。
図2に示すように、サーバ1は、制御部11と、ROM(Read Only Memory)12と、RAM(Random Access Memory)13と、バス14と、入出力インターフェース15と、出力部16と、入力部17と、記憶部18と、通信部19と、ドライブ20と、を備えている。
【0014】
制御部11は、CPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)、及び半導体メモリを含むマイクロコンピュータ等で構成され、ROM22に記録されているプログラム、または、記憶部18からRAM13にロードされたプログラムに従って各種の処理を実行する。
RAM13には、制御部11が各種の処理を実行する上において必要な情報等も適宜記憶される。
【0015】
制御部11、ROM12およびRAM13は、バス14を介して相互に接続されている。このバス14にはまた、入出力インターフェース15も接続されている。入出力インターフェース15には、出力部16、入力部17、記憶部18、通信部19、ドライブ20が接続されている。
【0016】
出力部16は、各種液晶ディスプレイやスピーカ等で構成され、各種情報を画像や音声として出力する。
【0017】
入力部17は、キーボードやマウス等で構成され、各種情報を入力する。
【0018】
記憶部18は、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)等で構成され、各種データを記憶する。本実施形態では、例えば、各種プログラムや各種データベースを含む各種情報が記憶されている。
【0019】
通信部19は、インターネットを含むネットワークNを介して他の装置(例えば、ユーザ装置2)との間で行う通信を制御する。
【0020】
ドライブ20は、必要に応じて設けられる。ドライブ20には磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、或いは半導体メモリ等よりなる、リムーバブルメディア31が適宜装着される。ドライブ20によってリムーバブルメディア31から読み出されたプログラムは、必要に応じて記憶部18にインストールされる。またリムーバブルメディア31は、記憶部18に記憶されている各種データも、記憶部18と同様に記憶することができる。
【0021】
なお、ユーザ装置2のハードウェア構成は、サーバ1のハードウェア構成と基本的に同様とすることができるので、ここでは説明を省略する。
サーバ1及びユーザ装置2の各種ハードウェアと各種ソフトウェアとの協働により、後述する感情分析処理を含む、各種処理の実行が可能となる。
【0022】
次に、サーバ1の機能的構成のうち、感情分析サービスに係る各種処理の実行時の機能的構成を説明する。
図3は、本発明の一実施形態に係る情報処理システムのサーバ等の機能的構成のうち、感情分析処理に係る機能的構成の一例を示す機能ブロック図である。
【0023】
図3に示すように、サーバ1の制御部11においては、テキスト情報取得部60と、文節部62と、語特定部64と、分析部66と、補助情報生成部68と、出力情報管理部70とが機能する。
また、サーバ1の記憶部18の一領域には、感情基準DB300が設けられている。感情基準DB300は、予め多数のサンプルデータ(テキスト文書)等に対する学習の結果として取得された学習結果が、感情分析の基準として用いるために格納されている。具体的には、例えば、感情語の夫々に対応する各感情強度の強さに関する情報(以下、「感情強度基準」と呼ぶ)が定められている。
【0024】
サーバ1のテキスト情報取得部60は、ユーザ装置2から送信されてきたユーザにより入力されたテキスト文章に関する情報(以下、「テキスト情報」と呼ぶ)を、通信部19を介して取得する。なお、ユーザは、感情分析を希望するテキスト文章の内容をユーザ装置2等に入力し、その情報は、ユーザ装置2のテキスト情報管理部120等を介してサーバ1へ送信される。
【0025】
文節部62は、テキスト情報取得部60で取得されたテキスト情報に基づいて、感情分析の対象として入力された文章(以下、「入力文章」と呼ぶ)を文節毎に切り分けて、管理する。
【0026】
語特定部64は、文節部62で管理されている文節の夫々について、所定の条件を満たす語句を特定する。
また、語特定部64は、感情語特定部80を含む。感情語特定部80は、文節部62で管理されている文節の夫々について、「喜び」、「悲しみ」、「怒り」、「嫌悪」、「恐怖」、「驚き」、「無感情」の夫々の感情を特徴的に表現する語句(以下、「感情語」と呼ぶ)を特定する。
【0027】
分析部66は、他の多数のコンテキスト情報を統計的に処理した結果として生成された所定の指標に関する基準に基づいて、テキスト情報を分析する。
また、分析部66は、感情分析部90を含む。感情分析部90は、感情語特定部80で特定された感情語に基づいて、感情語の夫々の感情の強さ(以下、「感情強度」と呼ぶ)を決定する。
ここで、感情分析部90による分析は、感情基準DB300に格納されている感情強度基準に基づいて行われる。すなわち、感情分析部90は、感情語特定部80で特定された感情語に対して、感情強度基準を適用することで、各感情語の感情強度を決定する。そして、感情分析部90は、決定された各感情語の感情強度に基づいて、夫々の文節及び入力文章全体の感情強度を決定する。
なお、上述の通り、感情強度基準は、多数のサンプルに対する学習の結果として生成された基準である。そのため、感情分析部90において決定される各感情語の感情強度は、広く汎用的に利用可能な値であることが期待できる。
【0028】
補助情報生成部68は、分析手段による分析の結果の把握を補助する補助情報を生成する。
具体的に、例えば、補助情報生成部68は、入力文章のうち、所定の感情の感情強度が一定値以上である場合に、根拠となる部分(文章、文節、感情語等)を特定する。
また、補助情報生成部68は、根拠となる部分に関して、根拠となる理由や感情強度を変化させる(例えば、感情強度を高める)ためにはどのような文章に変更すべきか等の情報を生成してもよい。
【0029】
出力情報管理部70は、分析手段による分析の結果及び補助情報に基づいて、出力情報を生成し、生成した出力情報をユーザ装置2に提示する。
具体的に、例えば、出力情報管理部70は、感情分析部90による分析の結果(決定された文章全体または各感情語等の感情強度)及び補助情報(各感情の根拠となる部分)に基づいて、ユーザに出力するための出力画像を生成し、生成した出力画像に関する情報(以下、「出力画像情報」と呼ぶ)をユーザ装置2へ送信する。
また、出力情報管理部70は、出力画像を生成する際に、例えば、各感情の根拠となる部分をハイライト(マーカー)で表示する。これにより、ユーザは、入力した文章のうち分析結果の根拠となった箇所の特定が可能となる。
【0030】
さらに、ユーザ装置2の機能的構成を説明する。ユーザ装置2の制御部100においては、テキスト情報管理部120と、出力情報管理部122とが機能する。
【0031】
ユーザ装置2のテキスト情報管理部120は、上述の通り、ユーザからのテキスト文章の入力を受け付ける。また、テキスト情報管理部120は、入力文章に関するテキスト情報を、サーバ1へ送信する。
【0032】
出力情報管理部122は、サーバ1から送信されてきた出力画像情報を取得し、図示せぬ表示部等に出力画像を表示する。
【0033】
続いて、
図4及び
図5を参照しながら、感情分析サービスに関して、ユーザに表示される画像のイメージについて説明する。
まず、
図4は、
図3のサーバにより実行される感情分析処理に際して、ユーザ装置に表示される画像の一例を示す図である。すなわち、
図4に示す画像は、例えば、ユーザがテキスト文章を入力する際に、ユーザ装置2に表示される。
【0034】
図4の例では、テキストの入力欄において、「心温まるサービスをありがとうございました。とてもよい時間を過ごせました。おいしかったです。次また予約しますので。その時はよろしくお願いいたします。」という文章が入力されている。ユーザは、このような任意のテキスト文章を入力欄に入力し、「判定する」というボタンを押下することで、テキスト文章に対する感情分析を実行することができる。
なお、入力欄の上部に表示された「商談へのお礼」、「接客へのクレーム」、「〇〇のニュース」等の表示領域は、ユーザにサンプルテキストを提供するための表示領域である。ユーザが、これらの表示領域をクリック等した場合、入力欄にはそのテーマにおいて汎用的に利用可能なテキスト文章が自動で入力される。
【0035】
次に、
図5の例では、
図4の「心温まるサービスをありがとうございました。とてもよい時間を過ごせました。おいしかったです。次また予約しますので。その時はよろしくお願いいたします。」という入力文章に対する感情分析サービスの結果を示す出力画像が提示されている。
具体的に
図5の例では、「喜び」、「悲しみ」、「怒り」、「嫌悪」、「恐怖」、「驚き」、「無感情」の7種類の感情の感情強度がグラフとして表示されているとともに、文章全体として、「喜び」の感情が強い点が示されている。また、
図5の例では、「心温まるサービスをありがとうございました。とてもよい時間を過ごせました。おいしかったです。次また予約しますので。その時はよろしくお願いいたします。」という文章のうち、「よい」という部分と、「おいしかった」という部分が強調して表示されている。
このように感情分析の根拠となる箇所を提示することにより、ユーザは、修正箇所をより明確に把握することができ、文章の取り扱いに対する心理的な負担の減少が期待できる。また、極端な感情の箇所のみを抜き出して文章を再構成することができるため、例えば、SNS(ソーシャル ネットワーキング サービス)における炎上の監視等に有用である。
【0036】
続いて、
図6を参照しながら、サーバ1において実行される感情分析サービスに関する処理(以下、「感情分析処理」と呼ぶ)の流れを説明する。
図6は、
図3の機能的構成を有するサーバにより実行される処理のうち、感情分析処理の流れの一例を説明するフローチャートである。
ステップS1において、サーバ1のテキスト情報取得部60は、ユーザ装置2から送信されてきたユーザにより入力されたテキスト情報を、通信部19を介して取得する。
【0037】
ステップS2において、文節部62は、テキスト情報取得部60で取得されたテキスト情報に基づいて、入力文章を文節毎に切り分けて、管理する。
【0038】
ステップS3において、感情語特定部80は、文節部62で管理されている文節の夫々について、「喜び」、「悲しみ」、「怒り」、「嫌悪」、「恐怖」、「驚き」、「無感情」の夫々の感情を特徴的に表現する感情語を特定する。
【0039】
ステップS4において、感情分析部90は、感情語特定部80で特定された感情語に基づいて、感情語の夫々の感情強度を決定する。また、ステップS4において、感情分析部90は、特定した感情語の夫々の感情強度に基づいて、夫々の文節及び入力文章全体の感情強度を決定する。
【0040】
ステップS5において、補助情報生成部68は、入力文章のうち、所定の感情の感情強度が一定値以上である場合に、根拠となる部分(文章、文節、感情語等)を特定する。
【0041】
ステップS6において、感情分析部90による分析の結果(決定された文章全体または各感情語等の感情強度)及び補助情報(各感情の根拠となる部分)に基づいて、ユーザに出力するための出力画像を生成する。
また、ステップS7において、感情分析部90は、生成した出力画像情報をユーザ装置2へ送信する。これにより、感情分析処理は終了する。
【0042】
続いて、
図7を参照しながら、感情分析の結果の管理方法について説明する。
図7は、感情分析の結果に関して、ユーザ装置に表示される画像の一例を示す図である。
【0043】
図7の例では、「ユーザ名」、「件数」、「感情傾向」、「直近の感情」、「感情グラフ」の項目が表示されている。
ここで、ユーザ名は、ユーザの名前(ID)を示している。件数は、
図7に示すユーザT1が過去に行った感情分析の件数を示している。感情傾向は、過去に行われた感情分析の結果の感情傾向(平均値)を示している。直近の感情は、直近に行われた感情分析の結果の最も主要な感情が示されている。感情グラフは、過去に行われた感情分析の結果を、横軸に時間(日時)、縦軸に各感情の強さ(数値)を設定し、グラフ化している。
また
図7には、過去にユーザT1が行った感情分析に関する、「日付」、「文章」、「感情傾向」、「強い感情」の夫々が合わせて表示されている。具体的に
図7の例では、2021年1月1日に行われた「明けましておめでとうございます。今年もよろしく。どんな年になるか楽しみ!」という文章に対する感情分析の結果の詳細が示されている。ユーザは、このような管理画像を確認しながら感情分析の結果を管理することで、自身の過去の感情の移り変わりや直近の感情の状態等を容易に把握し、活用することができる。
【0044】
以上本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
【0045】
ここで、本発明の一実施形態に係る情報処理システムの適用対象となるサービスは、上述した実施形態に限定されない。以下、
図8乃至
図10を参照しながら、上述の実施形態とは異なる仕様が採用されたハラスメント判定サービスについて説明する。
【0046】
図8は、本発明の一実施形態に係る情報処理システムのサーバ等の機能的構成のうち、ハラスメント判定処理に係る機能的構成の一例を示す機能ブロック図である。
図8に示す機能ブロックのうち、多くの機能ブロックは
図3に示す機能ブロックの夫々と同様であるので、ここでは、異なる機能ブロックのみ説明する。
ここで、ハラスメント基準DB400には、予め多数のサンプルデータ(テキスト文書)等に対する学習の結果として取得されたハラスメント判定の基準(以下、「ハラスメント判定基準」と呼ぶ)として用いるための学習結果が格納されている。
【0047】
語特定部64に含まれるハラスメント語特定部82は、文節部62で管理されている文節の夫々について、「ハラスメント」を特徴的に表現する語句(以下、「ハラスメント語」と呼ぶ)を特定する。
【0048】
分析部66に含まれるハラスメント分析部92は、ハラスメント語特定部82で特定されたハラスメント語に基づいて、ハラスメント語の夫々のハラスメントの強さ(以下、「ハラスメント強度」と呼ぶ)を決定する。ここで言う、ハラスメントとは、職場内での地位等を利用したパワーハラスメント、いわゆるパワハラである。
【0049】
続いて、
図9及び
図10を参照しながら、ハラスメント判定サービスに関して、ユーザに表示される画像のイメージについて説明する。
【0050】
図9の例では、テキストの入力欄において、「もう明日から仕事に来なくていいよ。」という文章が入力されている。
図4の例と同様に、ユーザは、このような任意のテキスト文章を入力欄に入力し、「判定する」というボタンを押下することで、テキスト文章に対するハラスメント判定を実行することができる。
なお、
図4の例と同様に、入力欄の上部に表示された「仕事に来ないで」、「部下の悪口」、「仕事の依頼」等の表示領域は、ユーザにサンプルテキストを提供するための表示領域である。ユーザが、これらの表示領域をクリック等した場合、入力欄にはそのテーマにおいて汎用的に利用可能なテキスト文章が自動で入力される。
そして、
図10には、
図9の「もう明日から仕事に来なくていいよ。」という入力文章に対するハラスメント判定サービスの結果を示す出力画像が提示されている。
具体的に
図9の例では、「もう明日から仕事に来なくていいよ。」という入力文章は96.7%もの高確率でパワハラに該当するという結果が示されている。ユーザは、このようなハラスメント判定サービスを利用することで、事前に他者(例えば部下)に対するメッセージに問題がないかを確認でき、問題があれば容易に修正できる。
【0051】
以上本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
【0052】
ここで、上述の実施形態で説明を省略したが、文章が入力されたシチュエーションと感情分析との関係について補足する。
入力された文章と感情(又はハラスメント)との関係は単に1対1の対応関係になることは少なく、用いられたシチュエーションや言い回しによって現れる感情(又はハラスメント)は変動することも珍しくない。例えば、「明日行っても良いですか?」という内容の文章は一般的には無感情と考えられるが、通常、ビジネスメール等で用いられる場合には謙譲語が用いられ「明日伺ってもよろしいでしょうか?」というような言い回しとなり、軽度に「恐れ」の感情が現れる。上述の実施形態における感情分析サービスやハラスメント判定サービスにおいても、このようなシチュエーションに関する情報を組み合わせて各種サービスを提供してもよい。なお、シチュエーションとは、例えば、「一般(日常会話等)」、「ビジネス(ビジネスメール等)」、「SNS」等が想定される。
【0053】
また例えば、本システムは、SNSを利用しているユーザの過去の発言(メッセージ、ツイート等)を解析し、過去から現在に至るまでの感情の変遷を解析してもよい。
さらに言えば、本システムは、例えば、感情分析の結果、ユーザが通常とは異なる感情(例えば、怒りや嫌悪が強い場合等)であると判定した場合、ユーザに対してSNSの利用を中断するように警告を行うことができる。これにより、ユーザは、炎上等のリスクを低減することができる。
【0054】
また例えば、本システムは、書籍等(小説の主人公、映画のキャラクタ等)の感情の遷移等の分析に利用することもできる。これにより、小説の主人公等が作品中でどのような感情を有していると考えられるのか、またその作品はどのような感情を惹起する作品なのかを容易に示すことができる。
なお、本システムは、書籍や映画等の内容を容易に公開してしまうことを防ぐために、これらの分析結果を表示するか、非表示とするかを変更できてもよい。本システムは、例えば、作家やユーザの性質等に応じて、表示又は非表示を変更してもよい。
【0055】
また、上述の実施形態では説明を省略したが、本システムは、例えば、以下のような用途に利用することができる。
(1)本システムは、辞典等の公共性の高い文章の適否を分析するのに利用できる。例えば、本システムは、辞典等の文章を解析し、感情の強い文章表現を辞典等にふさわしくない文章表現として検知することができる。
(2)本システムは、インターネット通販等の商品評価(レビュー、コメント等)の感情評価に利用できる。また、本システムは、商品評価(レビュー、コメント等)の表現の妥当性の判断に利用してもよい(感情的過ぎる文章は削除する等)。
(3)本システムは、自身の精神状態の維持(いわゆるアンガーマネジメント)の確認、習得に利用することができる。
(4)本システムは、ユーザの通常時の感情分析の結果との差異に基づく、ユーザのストレス状態等の評価に利用することができる。
(5)本システムは、職場(コールセンター、介護、福祉等)における担当者の精神状態(精神的な負荷)のチェックに利用することができる。また、本システムは、特に介護や福祉等の分野においては、夜間の見回りチェックや介護対象者のストレスチェック等に利用することができる。
(6)本システムは、演劇やお笑いイベント等の観客の反応の可視化に利用できる。本システムは、リアルタイムでの反応(リアクション)又は実施後のアンケート等において感情を分析し、その結果をフィードバックしてもよい。
(7)本システムは、例えば、日記等のログを解析し、ポジティブな感情が強く包含された内容の日記のみを自動で集約する等してもよい。これにより、ユーザは、ポジティブな感情の日記を容易に確認することができ、自身のメンタルコントロールに利用することができる。
(8)本システムは、学校や職場における精神状態の確認に利用できる。本システムは、例えば、生徒の記載したアンケートや日記等に基づいて、生徒の感情分析を行うことができる。
【0056】
また、上述の実施形態において、感情分析を行う感情の種別は、「喜び」、「悲しみ」、「怒り」、「嫌悪」、「恐怖」、「驚き」、「無感情」の7種類であるものとして説明したが、特に限定されない。すなわち、上述の感情の種別は、例示であり、例えば、「愛情」、「楽しさ」等の他の感情の種別であってもよい。
【0057】
また、上述の実施形態において、ハラスメントはパワハラであるものとして説明したが、特に限定されない。すなわち、ハラスメントとは、セクシャルハラスメント、マタニティハラスメント等の各種各様のハラスメントであってもよい。
【0058】
また、上述の実施形態において、感情基準DB300には、感情語の夫々に対応する各感情強度の強さに関する情報(感情強度基準)が定められているものとして説明したが、特に限定されない。例えば、感情基準DB300には、所定の文節それ自体に対応する感情強度の値や感情語の夫々に対応する感情強度と異なる観点を含む情報等が格納されていてもよい。
【0059】
また、上述の実施形態では、入力文章を文節単位で切り分けるものとして説明したが、特に限定されない。例えば、入力文章を切り分ける単位は、段落、文、または単語等の各種サービスの提供者等の任意の単位で切り分けられてもよい。
さらに言えば、感情分析等の根拠となる部分を表示する単位も任意でよい。例えば、上述の実施形態(特に
図5の実施形態)のように単語の単位で表示してもよいし、段落、文等の任意の単位で表示してもよい
なお、上述の各種サービスにおいて、各種単位に入力文章を分割し、夫々の単位毎に感情強度等を分析した上で、入力文章全体の感情分析を行っているため、分割した文章のどれがより全体の分析結果に影響を与えるかが分かる。そして、その結果として、ユーザは、分析結果の根拠となった箇所の特定が可能となる。
【0060】
また、上述の実施形態において、本システムにおける入力情報はテキスト情報であるものとして説明しているが、特に限定されない。本システムの入力情報は、音声情報等であってもよい。この場合、本システムは、入力した音声情報をテキスト情報等に変換してもよい。
【0061】
また、上述の実施形態において(特に
図5や
図7の実施形態)、本システムは、各感情の強さをグラフ又はマークで表現しているが、各感情の強さを表現する方法は任意である。本システムは、例えば、各感情の強さを任意の数値やグラフ、マーク等で表現してもよい。
【0062】
また例えば、上述した一連の処理は、ハードウェアにより実行させることもできるし、ソフトウェアにより実行させることもできる。
すなわち、
図3等の機能的構成は例示に過ぎず限定されない。上述した一連の処理を全体として実行できる機能が情報処理システムに備えられていれば足り、この機能を実現するためにどのような機能ブロックを用いるかは特に限定されない。また、機能ブロックの存在場所も、
図3等の例に限定されず、任意でよい。
さらに言えば、1つの機能ブロックは、ハードウェア単体で構成してもよいし、ソフトウェア単体で構成してもよいし、それらの組み合わせで構成してもよい。
【0063】
一連の処理をソフトウェアにより実行させる場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、コンピュータ等にネットワークや記録媒体からインストールされる。
コンピュータ等は、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータであってもよい。また、コンピュータ等は、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能なコンピュータ、例えばサーバの他汎用のスマートフォンやパーソナルコンピュータであってもよい。
【0064】
このようなプログラムを含む記録媒体は、ユーザにプログラムを提供するために装置本体とは別に配布される図示せぬリムーバブルメディアにより構成されるだけでなく、装置本体に予め組み込まれた状態でユーザに提供される記録媒体等で構成されてもよい。
【0065】
なお、本明細書において、記録媒体に記録されるプログラムを記述するステップは、その順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的あるいは個別に実行される処理をも含むものである。
すなわち、
図6のステップの一部のステップは、適宜、変更もしくは省略されてもよい。
【0066】
また例えば、本明細書において、システムの用語は、複数の装置や複数の手段等より構成される全体的な装置を意味するものとする。
【0067】
以上を換言すると、本発明が適用される情報処理装置は、次のような構成を有していれば足り、各種各様な実施の形態を取ることができる。
即ち、本発明が適用される情報処理装置は、
所定の分析に用いられる情報処理装置であって、
分析対象となるコンテキスト情報を取得する分析対象取得手段(例えば、テキスト情報取得部60)と、
前記コンテキスト情報とは異なる他の多数のコンテキスト情報を統計的に処理した結果として生成される所定の基準に基づいて、前記コンテキスト情報を所定の観点で分析する分析手段(例えば、分析部66)と、
前記分析手段による分析の結果を出力するための出力情報を生成する出力情報生成手段(例えば、出力情報管理部70)と、
を備えることができる。
【0068】
また、前記分析手段は、前記コンテキスト情報に含まれる感情の強さに関する分析を行うことができる。
【0069】
また、前記分析手段は、喜び、悲しみ、怒り、嫌悪、恐怖、驚きを少なくとも含む、それぞれの感情の強さに関する分析を行うことができる。
【0070】
また、前記分析手段は、前記コンテキスト情報を所定の単位に分割し、当該単位の夫々において感情の種別を表現し得る語句を特定し、当該語句の夫々の感情の強さを分析することができる。
【0071】
また、前記分析手段は、前記コンテキスト情報のハラスメントのリスクに関する分析を行うことができる。
【0072】
また、前記分析手段は、前記コンテキスト情報を所定の単位に分割し、当該単位の夫々においてハラスメントのリスクを表現し得る語句を特定し、当該語句の夫々のハラスメントのリスクを分析することができる。
【0073】
また、前記出力情報生成手段は、前記分析手段による分析の結果の理解を補助するための情報を含む前記出力情報を生成することができる。
【0074】
また、前記出力情報は、前記分析手段による分析結果に基づく、警告に関する情報を含むことができる。
【符号の説明】
【0075】
1・・・サーバ
11・・・制御部
60・・・テキスト情報取得部
62・・・文節部
64・・・語特定部
80・・・感情語特定部
82・・・ハラスメント語特定部
66・・・分析部
90・・・感情分析部
92・・・ハラスメント分析部
68・・・補助情報生成部
70・・・出力情報管理部
300・・・感情基準DB
400・・・ハラスメント基準DB
2・・・ユーザ装置
100・・・制御部
120・・・テキスト情報管理部
122・・・出力情報管理部