IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ブルーム エネルギー コーポレイションの特許一覧

特開2022-136989デュアルモードマイクログリッドインバータを含むマイクログリッド及び負荷管理方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022136989
(43)【公開日】2022-09-21
(54)【発明の名称】デュアルモードマイクログリッドインバータを含むマイクログリッド及び負荷管理方法
(51)【国際特許分類】
   H02J 9/06 20060101AFI20220913BHJP
   H02J 9/00 20060101ALI20220913BHJP
   H02J 3/38 20060101ALI20220913BHJP
【FI】
H02J9/06
H02J9/00 120
H02J3/38 170
H02J3/38 180
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022030610
(22)【出願日】2022-03-01
(31)【優先権主張番号】63/158,147
(32)【優先日】2021-03-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】514116578
【氏名又は名称】ブルーム エネルギー コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110002354
【氏名又は名称】弁理士法人平和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ピムスヴィースヴィ,プラサド
(72)【発明者】
【氏名】イバド,メフディ
(72)【発明者】
【氏名】グルナサン,ランガナサン
(72)【発明者】
【氏名】ゴパラクリシュナン,ヴィシャル アナンド
(72)【発明者】
【氏名】モードリア,ジャヤンス
(72)【発明者】
【氏名】ナラヤナサミ,サラバナ
(72)【発明者】
【氏名】ロイ,ラケッシュ クマール
(72)【発明者】
【氏名】バラクリシュナン,ディーパック
【テーマコード(参考)】
5G015
5G066
【Fターム(参考)】
5G015GA01
5G015GA11
5G015GB01
5G015GB05
5G015JA05
5G015JA32
5G015JA48
5G066HA11
5G066HA24
5G066HB07
(57)【要約】      (修正有)
【課題】アイランドモード中、電力が非重要負荷に供給されないように、システム電力ライン、ATS及び重要負荷ラインを介して、電力を重要負荷に供給するマイクログリッド及びその操作方法を提供する。
【解決手段】マイクログリッドは、システム電力を出力する電力システム40と、自動切換えスイッチ(ATS)330と、を含む。ATSは、電力ユーティリティ201から系統電力を受け入れる系統電力ライン316に電気的に接続された通常端子Nと、電力システムからシステム電力を受け入れるシステム電力ライン312電気的に接続された緊急用端子Eと、重要負荷23に電力を供給する重要負荷ライン314に電気的に接続された負荷端子Lと、ATSを迂回するようにシステム電力ラインと重要負荷ラインとに電気的に接続されたバイパスライン322と、バイパスラインを通る電力流を制御する回路遮断器320と、を含む。
【選択図】図3A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
システム電力を出力するように構成された電力システムと、
自動切換えスイッチ(ATS)であって、
電力ユーティリティから系統電力を受け入れるように構成された系統電力ラインに電気的に接続された通常端子と、
前記電力システムからシステム電力を受け入れるように構成されたシステム電力ラインに電気的に接続された緊急用端子と、
重要負荷に電力を供給するように構成された重要負荷ラインに電気的に接続された負荷端子と、
を備える該自動切換えスイッチ(ATS)と、
前記ATSを迂回するように、前記システム電力ラインと前記重要負荷ラインとに電気的に接続されたバイパスラインと、
前記バイパスラインを通る電力流を制御するように構成された回路遮断器と
を含むマイクログリッド。
【請求項2】
前記マイクログリッドが電力系統並行モードで動作しているとき、前記マイクログリッドは、
前記系統電力ライン、前記ATS、及び前記重要負荷ラインを介して前記重要負荷に前記系統電力を供給し、
前記回路遮断器を閉じ、
前記バイパスラインを介して前記重要負荷に前記システム電力を供給する
ように構成されている、請求項1に記載のマイクログリッド。
【請求項3】
前記マイクログリッドが前記電力系統並行モードで動作しているとき、前記マイクログリッドは、前記系統電力ライン又は前記電力ユーティリティのうちの1つに電気的に接続された非重要負荷に、前記重要負荷の電力要求を超えるシステム電力を供給するように構成されている、請求項2に記載のマイクログリッド。
【請求項4】
前記マイクログリッドがアイランドモードで動作しているとき、前記マイクログリッドは、
前記回路遮断器を開き、
前記ATSを介して前記重要負荷に前記システム電力を供給する
ように構成されている、請求項1に記載のマイクログリッド。
【請求項5】
前記ATSは、
前記ATSが、前記系統電力は相互接続に適合すると判断した場合には、前記系統電力ラインを前記重要負荷ラインに電気的に接続し、
前記ATSが、前記系統電力は相互接続に適合せず、前記電力システムは前記システム電力を前記システム電力ラインに供給していると判断した場合には、前記システム電力ラインを前記重要負荷ラインに電気的に接続する
ように構成される、請求項1に記載のマイクログリッド。
【請求項6】
前記ATSは、前記緊急用端子を前記負荷端子に電気的に接続する前に、前記負荷端子を前記通常端子及び前記緊急用端子から遅延期間の間電気的に切断するように構成されている、請求項5に記載のマイクログリッド。
【請求項7】
前記ATSは、相互接続に適合する系統電力が前記系統電力ラインに回復されると前記ATSが判断した場合、前記負荷端子を前記通常端子に電気的に再接続するように構成されている、請求項6に記載のマイクログリッド。
【請求項8】
前記電力システムは、前記系統電力が相互接続に適合しないと前記電力システムが判断した場合、前記回路遮断器を開くように構成されている、請求項1に記載のマイクログリッド。
【請求項9】
前記電力システムは、前記系統電力が相互接続に適合すると前記電力システムが判断した場合、前記回路遮断器を閉じるように構成されている、請求項8に記載のマイクログリッド。
【請求項10】
前記電力システムは、
燃料電池スタックを含むパワーモジュールと、
前記ATSの接続状態、前記回路遮断器の接続状態、又は前記系統電力の相互接続についての適合性の少なくとも1つに基づいて、前記システム電力ラインに出力される前記システム電力と前記回路遮断器の動作とを制御するように構成されたコントローラとを含むインバータモジュールと
を含む、請求項1に記載のマイクログリッド。
【請求項11】
電力系統並行モード及びアイランドモードでマイクログリッドを順次操作する方法であって、
前記電力系統並行モード中に、
非重要負荷に電気的に接続された系統電力ラインを介して前記非重要負荷に、及び、前記系統電力ラインと、重要負荷に電気的に接続された重要負荷ラインと、前記系統電力ライン及び前記重要負荷ラインに電気的に接続された自動切換えスイッチ(ATS)とを介して前記重要負荷に、系統電力を供給することと、
電力システムによって生成されたシステム電力を、システム電力ラインと、前記重要負荷ラインと、前記ATSと並列にシステム電力ライン及び前記重要負荷ラインに電気的に接続されるバイパスラインとを介して、前記重要負荷に供給することと、
前記アイランドモード中に、
前記システム電力が前記非重要負荷に供給されないように、前記システム電力ラインと、前記ATSと、前記重要負荷ラインとを介して、前記システム電力を前記重要負荷に供給することと
を含む方法。
【請求項12】
前記アイランドモード中に、前記ATSは、前記システム電力ラインを前記重要負荷ラインに電気的に接続し、前記バイパスライン上に配置された回路遮断器が開いて、前記システム電力が前記ATSを迂回するのを防ぎ、
前記電力系統並行モード中に、前記ATSは、前記系統電力ラインを前記重要負荷ラインに電気的に接続し、前記システム電力が前記ATSを迂回するように前記回路遮断器が閉じられる、
請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記系統電力が相互接続に適合しない場合に、前記回路遮断器が開かれ、前記系統電力が相互接続に適合する場合に、前記回路遮断器が閉じられる、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記電力系統並行モード中に、前記重要負荷の電力要求を超えるシステム電力が、前記非重要負荷の少なくとも1つに、又は、前記系統電力ラインに電気的に接続された電力ユーティリティに供給される、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記電力系統並行モードと前記アイランドモードとの間で起こる移行モード中に、前記系統電力の電圧又は周波数が相互接続に適合しないと判断される場合、前記システム電力は、前記システム電力ラインに出力されない、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記移行モード中に、前記システム電力が前記システム電力ラインに出力されない場合、前記回路遮断器が開かれる、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記系統電力が相互接続に適合する場合、前記ATSは前記系統電力ラインを前記重要負荷ラインに電気的に接続し、
前記系統電力が相互接続に適合せず、前記電力システムが前記システム電力を前記システム電力ラインに供給している場合、ATSは前記システム電力ラインを前記重要負荷ラインに電気的に接続する、
請求項11に記載の方法。
【請求項18】
前記系統電力が相互接続に適合しない場合には、前記ATSは、前記システム電力ラインを前記重要負荷ラインに電気的に接続する前に、前記重要負荷ラインを前記系統電力ラインから電気的に切断することをさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記系統電力が相互接続に適合するようになり、前記系統電力ラインに回復される場合には、前記ATSは前記重要負荷ラインを前記系統電力ラインに電気的に再接続することをさらに含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記電力システムは、
燃料電池スタックを含むパワーモジュールと、
前記ATSの接続状態、前記回路遮断器の接続状態、又は前記系統電力の相互接続についての適合性の少なくとも1つに基づいて、前記システム電力ラインに出力される前記システム電力と、前記回路遮断器の動作とを制御するように構成されたコントローラを含むインバータモジュールと
を含む、請求項12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般にマイクログリッドを対象とし、特に、燃料電池システム及びデュアルモードインバータを含むマイクログリッド、及び、マイクログリッドを利用する負荷管理の方法を対象とする。
【背景技術】
【0002】
マイクログリッドは、主要な電力系統に対して単一の制御可能なエンティティとして機能する、明確に定義された電気的境界内で相互接続された負荷及び分散型エネルギー源のグループである。例えば、マイクログリッドは、ローカル発電機、負荷、負荷管理コントローラ、電力系統分離スイッチ、及びスイッチコントローラを含む。
【0003】
マイクログリッドは、主要な電力系統に電気的に接続される電力系統モードで動作でき、また、マイクログリッドが主要な電力系統から切断されて、マイクログリッドがローカル発電機のみによって電力供給されるアイランドモードで動作できる。電力系統モードでは、電力系統は、バッファ(スラック母線)として動作して、マイクログリッド内のローカル発電と負荷との間の電力差を供給又は吸収することができる。
【発明の概要】
【0004】
様々な実施形態によれば、マイクログリッドは、システム電力を出力するように構成された電力システムと、自動切換えスイッチ(ATS)とを含む。ATSは、電力ユーティリティから系統電力を受け入れるように構成された系統電力ラインに電気的に接続された通常端子と、電力システムからシステム電力を受け入れるように構成されたシステム電力ラインに電気的に接続された緊急用端子と、重要負荷に電力を供給するように構成された重要負荷ラインに電気的に接続された負荷端子とを含む。マイクログリッドは、また、ATSを迂回するようにシステム電力ラインと重要負荷ラインとに電気的に接続されたバイパスラインと、バイパスラインを通る電力流を制御するように構成された回路遮断器とを含む。
【0005】
様々な実施形態によれば、方法は、電力系統並行モード及びアイランドモードでマイクログリッドを順次動作させることを含む。電力系統並行モード中、上記方法は、非重要負荷に電気的に接続された系統電力ラインを介して非重要負荷に、及び、系統電力ラインと、重要負荷に電気的に接続された重要負荷ラインと、系統電力ライン及び重要負荷ラインに電気的に接続された自動切換えスイッチ(ATS)とを介して重要負荷に、系統電力を供給することと、電力システムによって生成されたシステム電力を、システム電力ラインと、重要負荷ラインと、ATSと並列にシステム電力ライン及び重要負荷ラインに電気的に接続されたバイパスラインとを介して重要負荷に供給することとを含む。アイランドモード中、上記方法は、システム電力が非重要負荷に供給されないように、システム電力ライン、ATS、及び重要負荷ラインを介して、システム電力を重要負荷に供給することとを含む。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1A図1Aは、本開示の実施形態による、システム起動時の燃料電池システムの電気的アーキテクチャを通る電力流を示す概略図である。
図1B図1Bは、本開示の実施形態による、定常状態動作中の燃料電池システムの電気的アーキテクチャを通る電力流を示す概略図である。
図2A図2Aは、本開示の他の実施形態による、燃料電池システムの電気的アーキテクチャを示す概略図である。
図2B図2Bは、本開示の他の実施形態による、燃料電池システムの電気的アーキテクチャを示す概略図である。
図3A図3Aは、本開示の様々な実施形態による、マイクログリッドの概略図である。
図3B図3Bは、電力系統並行モードとアイランドモードとの間でマイクログリッドが移行するときの、図3Aのマイクログリッドを通る電力流を示す概略図である。
図3C図3Cは、電力系統並行モードとアイランドモードとの間でマイクログリッドが移行するときの、図3Aのマイクログリッドを通る電力流を示す概略図である。
図3D図3Dは、電力系統並行モードとアイランドモードとの間でマイクログリッドが移行するときの、図3Aのマイクログリッドを通る電力流を示す概略図である。
図3E図3Eは、電力系統並行モードとアイランドモードとの間でマイクログリッドが移行するときの、図3Aのマイクログリッドを通る電力流を示す概略図である。
図3F図3Fは、電力系統並行モードとアイランドモードとの間でマイクログリッドが移行するときの、図3Aのマイクログリッドを通る電力流を示す概略図である。
図3G図3Gは、電力系統並行モードとアイランドモードとの間でマイクログリッドが移行するときの、図3Aのマイクログリッドを通る電力流を示す概略図である。
図3H図3Hは、電力系統並行モードとアイランドモードとの間でマイクログリッドが移行するときの、図3Aのマイクログリッドを通る電力流を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
添付の図は、本出願に組み込まれ、この明細書の一部を構成するものであるが、開示の装置及び方法の実施例を例示し、上記の概括的な説明と以下の詳細な説明とともに、本発明の特徴を説明するためのものである。
【0008】
添付の図面を参照して、様々な実施例を詳細に説明する。可能な限り、同じ又は同様の部品への言及には図面全体を通して同じ参照番号を使用する。特定の実施例及び実装形態への言及は、例示を目的とするものであって、本発明の範囲又は特許請求の範囲を限定することを意図するものではない。また、図に示される実施例は互いに排他的ではないことが理解されよう。1つの実施例(例えば、1つの図)に示される特徴は、他の実施例(例えば、他の図)に含むことができる。
【0009】
燃料電池システムは、マイクログリッドの基本的及び非基本的な負荷等の、1つ又は複数の負荷に電力を供給するために利用され得る一種の分散型電源である。このようなマイクログリッドが主要な電力系統に接続される場合、マイクログリッド負荷に必要とされる電力を超える電力は、電力系統に供給することができる。加えて、電力系統からの電力を利用して、燃料電池システムの起動時に燃料電池システムのバランスオブプラント(BOP)構成要素を稼働することができる。
【0010】
例えば、固体酸化物形燃料電池(SOFC)系の分散型発電システム等の燃料電池発電システムは、定常状態発電モード中は比較的高い動作温度、例えばSOFCの場合は750℃以上の温度を有し得る。したがって、システム起動時には、このようなシステムは一般的に、BOP構成要素(例えば、ファン、ブロワ、スイッチ等)及び/又は寄生負荷に電力を供給するために、接続されるユーティリティ又は他の外部AC発電機等の外部電源から電力が供給される。この外部起動電力は、外部的に供給されるAC電圧を、コンバータにより使用可能なDC電圧に変換することによって、BOP構成要素及び他の寄生負荷に電力を供給することができる。
【0011】
図1Aは、本開示の比較例による、システム起動時に燃料電池システム10の電気的アーキテクチャを通る電力流を概略的に示し、図1Bは、本開示の比較例による、定常状態動作中の燃料電池システムの電気的アーキテクチャを通る電力流を概略的に示す。当業者には明らかであるように、以下に記載の構成要素の「接続」とは、別段の指定がない限り、「電気的接続」を意味するものとする。
【0012】
図1A及び1Bを参照すると、システム10は、インバータモジュール200、及び、燃料電池110を含む少なくとも1つのパワーモジュール100を含み得る。燃料電池110は、1つ又は複数のスタック又はカラムに配置され得る。燃料電池110は、導電性インターコネクトプレートによって隔てられたセラミック酸化物電解質を有する複数の固体酸化物形燃料電池を含み得る。プロトン交換膜(PEM)形、溶融炭酸塩形、リン酸形等の他の燃料電池タイプを用いてもよい。パワーモジュール100は、以下で説明するように、起動母線及び燃料電池(例えば定常状態)母線によってインバータモジュール200に接続され得る。いくつかの実施形態において、システム10は、複数のパワーモジュール100にそれぞれ接続された複数のインバータモジュール200を含み得る。
【0013】
システム10は、インバータモジュール200及び/又はパワーモジュール100の動作を制御するように構成されたコントローラ50を含むことができる。コントローラ50は、インバータモジュール200又はパワーモジュール100内に配置され得るか、又はそれらに動作可能に接続され得る。コントローラ50は、オペレーティングソフトウェアを格納するように構成されたメモリ及び/又は中央処理ユニットを含んでよい。いくつかの実施形態において、コントローラ50は、オペレータがシステム10を制御することを可能にするためのインターフェースを提供することができる。
【0014】
コントローラ50は、特定の機能を実行するための命令を用いてプログラムされた、プロセッサ、メモリ、及び、他の構成要素を含むコンピューティングデバイス(コンピュータ等)を用いて実装されてもよいし、又は特定の機能を実行するように設計されたプロセッサに実装されてもよい。プロセッサは、任意のプログラム可能なマイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ若しくはマルチプロセッサチップ、又は、本明細書に記載の様々な実施形態の機能を含む様々な機能を実行するためのソフトウェア命令(アプリケーション)によって構成することができるチップであってよい。一部のコンピューティングデバイスでは、複数のプロセッサが提供され得る。通常、ソフトウェアアプリケーションは、アクセスされてプロセッサにロードされる前に、内部メモリに保存され得る。一部のコンピューティングデバイスでは、プロセッサは、アプリケーションソフトウェア命令を格納するのに十分な内部メモリを含むことができる。プロセッサは、汎用プロセッサ、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)又はその他のプログラマブルロジックデバイス、ディスクリートゲート又はトランジスタロジック、ディスクリートハードウェアコンポーネント、又は、本明細書に記載の機能を実行するように設計されたそれらの任意の組み合わせを含むことができる。汎用プロセッサはマイクロプロセッサであってよいが、代替として、プロセッサは、任意の従来のプロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、又はステートマシンであってよい。プロセッサはまた、コンピューティングデバイスの組み合わせ、例えば、DSPとマイクロプロセッサの組み合わせ、複数のマイクロプロセッサの組み合わせ、DSPコアと組み合わせた1つ又は複数のマイクロプロセッサの組み合わせ、又は任意の他のそのような構成として実装され得る。
【0015】
インバータモジュール200は、外部電源母線226によって電力ユーティリティ201(例えば、電力系統又は外部発電機)などの外部電源に接続された定常状態変圧器202及び起動変圧器204を含むことができる。定常状態変圧器202は、AC/DCインバータ212に接続され得る。インバータ212は、第1のバランスオブプラント負荷BOP1に接続された定常状態ダイオード210に接続され得る。起動変圧器204は、整流器206に接続され得る。整流器206は、起動母線222を介して、負荷BOP1に接続された起動ダイオード208に接続され得る。
【0016】
パワーモジュール100は、DC/DCコンバータ218、起動ダイオード214、及び定常状態ダイオード216を含み得る。DC/DCコンバータ218は、インバータ212とパワーモジュール100の燃料電池110とに電気的に接続され得る。DC/DCコンバータ218はまた、定常状態ダイオード216に接続され得る。ダイオード214,216は、第2のバランスオブプラント負荷BOP2に接続され得る。起動ダイオード214はまた、整流器206に電気的に接続され得る。
【0017】
図1Aを参照すると、システム10の起動時には、燃料電池110が定常状態動作温度(例えば、SOFCの場合は750℃から900℃など少なくとも750℃)に達する前では、燃料電池110はBOP負荷に十分な電力量を生成できない可能性がある。したがって、起動時には、ユーティリティからの電力が、起動母線222を介して負荷BOP1,BOP2に供給される。特に、電力は、起動母線222を介して、起動変圧器204、整流器206、起動ダイオード208,214を通って、その後BOP負荷BOP1,BOP2へと流れる。インバータ212、コンバータ218、及び定常状態母線220は、システム起動時には使用されない。
【0018】
図1Bを参照すると、一旦燃料電池が所望の定常状態動作温度(例えば、750℃以上)に達すると、システム10の定常状態動作が始まり、電力が燃料電池110から負荷BOP1,BOP2に供給される。特に、電力は、燃料電池110から、定常状態母線220を介して、DC/DCコンバータ218、インバータ212を通り、定常状態変圧器202を通って、ユーティリティ及び/又は任意のローカル負荷に流れる。電力はまた、必要に応じて、定常状態ダイオード210,216を通って負荷BOP1,BOP2へと回すことができる。したがって、整流器206及び起動変圧器204は使用されない。定常状態モード動作は、燃料電池110が電力を生成するのに十分に高温であるときは常に継続し、これは燃料電池の動作寿命のほぼすべてを占める。これは、変圧器202,204がユーティリティ201(例えば、電力系統)から切断され、定常状態変圧器202が、燃料電池110からの電力を、電力系統ではなくローカル負荷「L」に供給する期間を含む。
【0019】
したがって、変圧器204、整流器206、ヒューズ(図示せず)、及び、起動時の電力変換に使用される配線は、システム10のライフサイクルの大部分にあたる定常状態動作中には使用されない。したがって、このアーキテクチャはシステム10のコストを増加させ、システム10のエネルギー密度を減少させる。整流器206はまた、起動時に高調波電流を生成する可能性がある。
【0020】
図2Aは、本開示の別の比較実施形態による燃料電池システム20の電気的アーキテクチャを示す概略図である。システム20の電気的アーキテクチャは、図1A及び図1Bに示されるシステム10の電気的アーキテクチャと類似であるので、両者の違いについてのみ詳細に説明する。
【0021】
図2Aを参照すると、システム20は、連結母線224によって電気的に接続されたパワーモジュール100Aとインバータモジュール200Aとを含む。インバータモジュール200Aは、連結母線224に電気的に接続されている双方向インバータ240を含む。双方向インバータ240は、システム起動時に、ユーティリティから供給されたAC電力を、負荷BOP1,BOP2を駆動するのに適したDC電力に変換でき、定常状態動作中に、燃料電池110からのDC電力を、ユーティリティに供給され得るAC電力へと変換することができる。換言すれば、連結母線224は、定常状態動作及び起動動作の間の両方で電力を伝送するために使用することができる。したがって、図1A及び図1Bのシステム10の起動母線222、起動変圧器204、整流器206、及び起動ダイオード208,214を、起動時の機能性を失うことなく、システム20から省略することができる。
【0022】
図2Bは、本開示の様々な実施形態による、燃料電池システム30の電気的アーキテクチャを示す概略図である。システム30の電気的アーキテクチャは、図1A及び図1Bに示されるシステム10の電気的アーキテクチャに類似であるので、両者の違いについてのみ詳細に説明する。図2Bを参照すると、システム30は、パワーモジュール100及びインバータモジュール200Bを含み、これらは定常状態母線220及び起動母線222によって電気的に接続されている。1つのパワーモジュール100が示されているが、システム30は、インバータモジュール200Bに電気的に接続された複数のパワーモジュール100を含むことができる。システム30はまた、システム30の定常状態動作及び起動動作を制御するように構成されたコントローラ50を含み得る。
【0023】
インバータモジュール200Bは、第1の双方向インバータ240、第2の双方向インバータ242、及び、少なくとも1つの一方向性の第3のインバータ244(例えば、1から10個の一方向性インバータ)を含むことができ、これらは、外部電源母線226により、電力ユーティリティ(例えば、システム30の外にある電源)及びシステム変圧器202に電気的に接続され得る。インバータモジュール200Bは、図1A及び1Bに示す2つの変圧器202,204の代わりに、起動モード及び定常状態モードの両方で動作する単一のシステム変圧器202を含む。インバータモジュール200Bはまた、起動ダイオード208及び定常状態ダイオード210を含み得、これらは、第1のバランスオブプラント負荷BOP1に電気的に接続されている。インバータモジュール200Bはまた、障害ダイオード230及び任意選択の補助ダイオード232を含むことができる。
【0024】
パワーモジュール100は、起動母線222に電気的に接続された起動ダイオード214、及び、定常状態母線220に電気的に接続された定常状態ダイオード216を含むことができる。両方のダイオード214,216は、第2のBOP負荷BOP2への電流フローを制御する。
【0025】
起動モード中、外部電源母線226は、ユーティリティ201からの電力をシステム変圧器202と第1のインバータ240に順次供給することができる。変圧器202は、ユーティリティ電力の電圧を変更するように動作することができ、第1のインバータ240は、ACユーティリティ電力(つまり、交流)をDC電力(つまり、直流)に変換するように動作することができる。次に、起動母線222は、起動ダイオード208を介して、第1のBOP負荷BOP1にユーティリティ電力を供給することができる。したがって、第1のインバータ240は、整流器として動作することができ、図1Aに示される別個の整流器206及び起動変圧器204を省略して、システム30のコストを削減することができる。したがって、システム30は、追加の変圧器(単一のシステム変圧器202以外)及び整流器を除くことができる。起動母線222はまた、起動ダイオード214を介して第2のBOP負荷BOP2にユーティリティ201電力を供給することができる。障害ダイオード230は、起動モード中に定常状態母線220を通って燃料電池110に電流が流入するのを防ぐ。第2のインバータ242は、電力が第2のインバータ242を通って定常状態母線220に流れないように、オフのままにすることができる。さらに、第3のインバータ244は一方向性であるため、第3のインバータ244もまた、起動時に、電力が定常状態母線220に供給されるのを防ぐことができる。したがって、システムの起動時に、インバータモジュール200Bは、起動母線222を介して両方の負荷BOP1,BOP2にユーティリティ電力を供給するように構成することができる。
【0026】
マイクログリッドインバータと負荷管理
【0027】
電力系統障害によるマイクログリッドアイランドの形成は、通常、電力系統の電圧(V)と周波数(F)とを監視する、SEL751やBeckwithリレーなどの標準的な保護リレーを介して検出される。V及びFの監視とは別に、これらの保護リレーは、電力系統とマイクログリッドとの間のいずれかの方向に追従する電力も監視して、単独運転を検出し、電力系統分離装置を開く。しかしながら、マイクログリッド内の過剰な発電による余剰電力を電力系統にエクスポートするように設計されたマイクログリッドの場合、単独運転検出の逆電力法は機能しない。したがって、マイクログリッド内のすべての発電機に、高価なUL認定の能動型単独運転防止装置が必要となる可能性がある。
【0028】
マイクログリッドは通常、マイクログリッドの総負荷が利用可能な総発電よりも常に少なくなるように動作する負荷管理コントローラを含む。マイクログリッド内で十分な電力貯蔵バッファが利用できる場合、マイクログリッドコントローラは、貯蔵出力電力を監視することによって過剰な需要を検出し、それに応じて負荷を制限することができる。しかしながら、十分な電力貯蔵が利用できない場合は、電力系統障害後、ローカル発電がローカルマイクログリッド負荷のサポートを開始する前に、マイクログリッド負荷管理コントローラが作動して負荷を制限する必要がある。負荷制限には、いくつかの課題といくつかの単一障害点が伴い得る。
【0029】
図3Aは、本開示の様々な実施形態による、マイクログリッド400の概略図である。図3B-3Hは、マイクログリッド400が電力系統モードとアイランドモードとの間で移行するときのマイクログリッド400を通る電力流を示す概略図である。
【0030】
図3Aを参照すると、マイクログリッド400は、電力システム40、配電システム(PDS)310、回路遮断器320、及び自動切換えスイッチ(ATS)330を含み得る。PDS310は、追加の従来の回路遮断器を含み得る。回路遮断器320は、以下でより詳細に説明されるラップアラウンド型回路遮断器であってよい。電力システム40は、少なくとも1つのパワーモジュール100及びインバータモジュール300を含み得る。一実施形態では、電力システム40は、同じPDS310に接続された複数のパワーモジュール100及び複数のインバータモジュール300を含み得る。パワーモジュール100は、SOFCスタックなどの燃料電池スタックを含み得る。
【0031】
ATS330は、通常端子N、緊急用端子E、負荷端子L、及び任意選択の浮遊中間端子若しくは位置Mを含むことができる。ATS330は、通常の位置(ATS330が通常端子Nを負荷端子Lに電気的に接続する位置)と、開位置(ATS330が負荷端子Lを通常端子Nや緊急用端子Eに電気的に接続しない位置)と、緊急位置(ATS330が緊急用端子Eを負荷端子Lに接続する位置)との間で切り換わることができる。あるいは、ATS330は、3ポジションATSではなく2ポジションATSであってもよい。ATS330は、システム要件に応じて、コンタクタベース、サーキットブレーカーベース、又はモールドケーススイッチベースのATS330であってよい。
【0032】
パワーモジュール100、インバータモジュール300、及びPDS310は、システム電力ライン312(例えば、ローカル電力ライン)によって、ATS330の緊急用端子Eに電気的に接続することができる。負荷端子Lは、重要負荷ライン314によって1つ又は複数の重要負荷23を含む重要負荷パネル22に接続され得る。通常のソース端子Nは、系統電力ライン316によってユーティリティ電力系統201に接続され得る。系統電力ライン316は、1つ又は複数の非重要負荷25を含むメインパネル(すなわち、メイン負荷配電盤又はパネル)24に電気的に接続され得る。
【0033】
バイパスライン322は、ATS330を迂回しながら、システム電力ライン312と重要負荷ライン314とを電気的に接続することができる。回路遮断器320は、バイパスライン322上に配置され、バイパスライン322を通る電力流を制御するように構成され得る。回路遮断器320は、ATS330の定格電流に応じて、電気的に作動される回路遮断器、接触器、リレー、又は半導体スイッチであってよい。いくつかの実施形態において、マイクログリッド400は、無停電電源(UPS)326、及び、回路遮断器320を作動させるための介在リレー324を含んでよい。
【0034】
インバータモジュール300は、図1A-2Bの、インバータモジュール200、200A、又は200Bのいずれかと同様であってよい。例えば、インバータモジュール300は、コントローラ50、システム電力ライン312に電気的に接続された変圧器202、変圧器202に電気的に接続された双方向の第1及び第2のインバータ240,242などの少なくとも1つのインバータ、第1のインバータ240に電気的に接続された障害ダイオード230、第1のバランスオブプラント(BOP)負荷BOP1、第1及び第2のインバータ240,242をパワーモジュール100の第1のBOP負荷及び第2のBOP負荷BOP2に電気的に接続している定常状態母線220、及び、第1及び第2のインバータ240,242を第1のBOP負荷BOP1及び第2のBOP負荷BOP2に電気的に接続している起動母線222を含むことができる。あるいは、上記少なくとも1つのインバータは、1つ又は複数の一方向性インバータを含み得る。
【0035】
インバータモジュール300のコントローラ50は、データ接続経路「CBステータス」を介して回路遮断器320の接続状態を、データ接続経路「ATSステータス」を介してATS330の接続状態を、及び、系統電力の状況(例えば、系統電力の電圧及び/又は周波数)を、監視するように構成され得る。データ接続は、有線接続又は無線接続であってよい。例えば、インバータモジュール300は、回路遮断器320及び/又はATS330を通る電流フローを監視するように電気的に接続及び/又は構成され得る。インバータモジュール300はまた、電力系統201の状況、回路遮断器320の接続状態、及び/又はATS330の接続状態に基づいて、システム電力ライン312に出力される電力、及び、(例えば、UPS326によって作動される介在リレー324を介した)回路遮断器320の動作を制御するように構成され得る。
【0036】
図3Aに示されるように、マイクログリッド400が電力系統並行モードで動作しているとき、ATS330は通常の位置にセットされて、系統電力ライン316を重要負荷ライン314に電気的に接続することができる。具体的には、ATS330は、通常端子Nを負荷端子Lに接続することができる。バイパスライン322がシステム電力ライン312を重要負荷ライン314に電気的に接続するように、回路遮断器320を閉じることができる。パワーモジュール100によって生成されたDC電力は、電力系統モード電圧でインバータモジュール300からAC電力として出力され得、システム電力ライン312、バイパスライン322、及び重要負荷ライン314を介して、重要負荷23に供給され得る。重要負荷23によって必要とされない過剰に生成された電力は、ATS330及び系統電力ライン316を介して非重要負荷25及び/又は電力系統201に供給され得る。例えば、インバータモジュール300によって出力される電圧は、重要負荷23の電圧要件と同期させることができるか、及び/又は、電力系統201の電圧と同期させることができる。重要負荷23の電力需要がパワーモジュール100の電力出力を超える場合には、電力系統201からATS330を通って重要負荷23に追加の電力が供給されて、重要負荷23の負荷需要を満たすことができる。非重要負荷25の電力需要がパワーモジュール100の電力出力を超える場合には、非重要負荷25に電力系統201から系統電力ライン316を介して追加の電力が供給されて、非重要負荷25の負荷需要を満たすことができる。
【0037】
インバータモジュール300は、系統電力が電力システム40との相互接続に適合するかどうかを判断するために、ATS330の負荷側の系統電力を監視することができる。例えば、インバータモジュール300は、系統電力を絶えず又は定期的に監視して、電力ユーティリティ、IEEE1547、及び/又はUL1741規格に準拠しているかどうかを判断することができる。インバータモジュール300は、接続状態を監視するために、回路遮断器320及び/又はATS330を通る電流フローを絶えず又は定期的に監視することができる。さらに、ATS330もまた、電力系統201の状態を絶えず又は定期的に監視することができる。
【0038】
図3Bを参照すると、インバータモジュール300が、ATS330が検出しない系統電力の不適合状態を検出した場合、インバータモジュール300は、システム電力ライン312への電力のエクスポートを停止し、電力システム40は無負荷状態で動作し、一方で、ATS330は通常の位置に留まって、電力系統201から重要負荷23に系統電力を供給する。インバータモジュール300は、閉じた回路遮断器320を通る系統電力を監視し続けることができ、系統電力が電力ユーティリティ、IEEE1547、及び/又はUL1741規格に準拠しているとインバータモジュール300が判断した場合、インバータモジュール300は、システム電力ライン312への燃料電池システム電力の供給を再開することができる。
【0039】
図3C-3Eを参照すると、マイクログリッド400のアイランド移行モード中に、コントローラ50(インバータモジュール300及び/又はATS330の状態を監視する)が、系統電力が相互接続に適合しないと判断した場合、例えば、電力系統201からの系統電力が止まるか、又は中断される場合、インバータモジュール300は、システム電力ライン312への電力出力を停止し、電力システム40は無負荷状態で動作する。図3Cに示すように、ATS330は通常の位置に留まり、回路遮断器320は閉じたままである。したがって、インバータモジュール300は、ユーティリティ、IEEE1547及び/又はUL1741の制限に従って、一次の単独運転防止装置として機能し、電力系統(例えば、ユーティリティ)201が止まるとすぐにシャットダウンする(例えば、PDS310でシステム電力ラインから切り離す)。
【0040】
図3Dを参照すると、インバータモジュール300のコントローラ50が、電力系統201からの系統電力が(経路ATSステータスを介して)ATS330の負荷端子Lで利用できないことを検出し、(経路CBステータスを介して)回路遮断器320に障害がないと判断した場合、インバータモジュール300は、(図3Dの第3のデータ経路を介して)駆動信号を出力して、UPS326からの電力を使用して介在リレー324に回路遮断器320を開かせる。
【0041】
次に、インバータモジュール300のコントローラ50は、データ経路CBステータスを介して、回路遮断器320の補助接点を読み取ることによって、回路遮断器320が開いていることを確認することができる。開いた回路遮断器320の確認後、電力システム40はアイランドモードを開始し、PDS310が起動され、インバータモジュール300は、480VのAC電圧などのアイランドモード電圧を、PDS310を介してシステム電力ライン312に出力する。ATS330がアイランド電圧を検出した場合には、第1の遅延期間の満了後、ATS330は中間位置Mに切り換わる。
【0042】
図3Eを参照すると、ATS330がアイランド電圧を検出し続ける場合、コントローラ50は、マイクログリッド400を制御して、アイランドモード動作を開始する。特に、コントローラ50は、(経路ATSステータスを介して)ATS330を制御し、第2の遅延期間の満了後にATS330をその緊急位置に切り換え、緊急用端子Eと負荷端子Lとを接続することによって、システム電力ライン312を重要負荷ライン314に電気的に接続する。したがって、アイランドモードでは、アイランドモード電圧が、システム電力ライン312、ATS330及び重要負荷ライン314を介して、パワーモジュール100から重要負荷パネル22の重要負荷23に供給され得る。したがって、電力システム40からの電力は、重要負荷23に供給され、非重要負荷25には供給されない。インバータモジュール300のコントローラ50は、アイランドモード動作中のATS330の接続状態を絶えず又は定期的に監視することができる。
【0043】
電力システム40がアイランドモードにある間に、ATS330が、系統電力が回復されたことを検出した場合(すなわち、系統電力が、データ経路ATSステータスを介してコントローラ50によってATS330で検出される場合)には、マイクログリッド400は、図3F-3Hに示されるように、電力系統並行移行モードを開始することができる。特に、図3Fに示されるように、コントローラは、第3の遅延期間の満了後、重要負荷23に電力が供給されないように、ATS330をその中間位置に切り換えることができる。インバータモジュール300のコントローラ50が、ATS330が中間位置Mにあると判断した場合、電力システム40は、アイランドモード動作を停止し(例えば、PDS310が開かれ、インバータモジュール300からシステム電力ライン312に電力が流れない)、移行モード動作を開始することができる。移行モード動作中、電力システム40は、モーター負荷などの回生負荷を減らし、システム電力ライン312への電力の出力を停止することができる。ATS330は、第4の遅延期間の間、中間位置Mに留まることができる。
【0044】
図3Gに示されるように、第4の遅延期間の満了後、コントローラ50は、ATS330を通常端子Nに切り換えて、系統電力ライン316を負荷端子Lに電気的に接続し、系統電力を重要負荷23に供給することができる。インバータモジュール300は、第4の遅延期間中及び/又は第4の遅延期間後、システム電力ライン312へのすべての電力出力を停止することができる。したがって、非重要負荷25及び重要負荷23には、電力系統201からライン316及び314並びにATS330を介して系統電力が供給される。
【0045】
図3Hに示されるように、インバータモジュール300のコントローラ50が、その後、系統電力が相互接続に適合すると判断した場合には、インバータモジュール300のコントローラ50は、回路遮断器320を閉じるための信号を送信する。具体的には、インバータモジュール300のコントローラ50が、システム電力ライン312に電圧が印加されておらず、ATS330が通常端子Nを負荷端子Lに電気的に接続しており、系統電力がATS330を通って利用可能であり、回路遮断器320に障害がないことを検出した場合、インバータモジュール300のコントローラ50は、回路遮断器320を閉じる。
【0046】
インバータモジュール300のコントローラ50が、ATS330が通常の位置にあり、回路遮断器320が閉じられ、系統電力が相互接続に適合することを検出した場合、図3Bに示されるように、インバータモジュール300のコントローラ50は、電力系統モード電圧をPDS310を介してシステム電力ライン312に出力し、電力システム40の電力系統並行モード動作が再開されるように、電力システム40を制御する。
【0047】
本発明の実施形態は、電力系統が利用可能であるときに電力を電力系統にエクスポートすることを可能にしながら、マイクログリッド内の重要な負荷を確実にサポートするためのハードウェア構成及び制御方法を提供する。具体的には、電力系統並行モードとアイランドモードとを切り換えるときのリアルタイムの負荷管理を必要とせずに、1つ又は複数のインバータが電力系統並行モードとアイランドモードとで動作し、電力系統が利用可能なときは、最初に重要負荷に電力を埋め合わせ、次に余剰電力を非重要負荷にエクスポートし、その後、電力系統にエクスポートすることができる。
【0048】
一実施形態では、重要負荷、非重要負荷、及び電力系統は、標準のATS330及び動作可能なスイッチとして機能するラップアラウンド型回路遮断器320を介して電気的に接続されている。ラップアラウンド型回路遮断器320は、電力系統及び非重要負荷を、重要負荷を有するマイクログリッドから分離するように、又は非重要負荷及び電力系統に余剰電力を与えるように制御される。回路遮断器320を操作可能なスイッチとして使用することにより、電圧ライドスルーを維持しながら、負荷制限制御を除去することができる。
【0049】
様々な実施例に示されている構造及び配置は例示にすぎない。本開示において詳細に説明されている実施例はごくわずかであるが、本明細書に記載の主題の新規な教示及び利点から実質的に逸脱することなく、多くの変更が可能である(例えば、様々な要素のサイズ、寸法、構造、形状及び比率、パラメータの値、取り付け配置、材料の使用、色、配向などの変更)。一体的に形成されたものとして示されるいくつかの要素は、複数の部品又は要素で構成されてもよく、要素の位置を逆にしたり、あるいは変えたりすることができ、個別の要素の性質又は数又は位置を、変える又は変更することができる。任意のプロセス、論理アルゴリズム、又は方法ステップの順又は順序は、代換の実施例に従って変更又は並べ直すことができる。本開示の範囲から逸脱することなく、様々な実施例の設計、動作条件、及び配置において、他の置換、修正、変更、及び省略を行うこともできる。任意の実施例の任意の1つ又は複数の特徴は、1つ又は複数の他の実施例の任意の1つ又は複数の他の特徴と任意の組み合わせで使用することができる。明細書及び実施例は例示としてのみ考慮されることが意図されており、真の範囲は以下の特許請求の範囲及びそれらの同等物によって示される。
図1A
図1B
図2A
図2B
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図3F
図3G
図3H
【外国語明細書】