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特開2022-137071経皮薬物送達システムのための伸縮可能なバッキング層
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  • 特開-経皮薬物送達システムのための伸縮可能なバッキング層 図1A
  • 特開-経皮薬物送達システムのための伸縮可能なバッキング層 図1B
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022137071
(43)【公開日】2022-09-21
(54)【発明の名称】経皮薬物送達システムのための伸縮可能なバッキング層
(51)【国際特許分類】
   A61K 9/70 20060101AFI20220913BHJP
   A61K 47/32 20060101ALI20220913BHJP
   A61K 31/192 20060101ALI20220913BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20220913BHJP
【FI】
A61K9/70 401
A61K47/32
A61K31/192
A61P29/00
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022098833
(22)【出願日】2022-06-20
(62)【分割の表示】P 2018524728の分割
【原出願日】2016-11-15
(31)【優先権主張番号】62/255,700
(32)【優先日】2015-11-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】500134562
【氏名又は名称】ノーヴェン ファーマシューティカルズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100123766
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 七重
(72)【発明者】
【氏名】モリ ケイタ
(72)【発明者】
【氏名】シマ タキト
(72)【発明者】
【氏名】リャオ ジュン
(57)【要約】      (修正有)
【課題】経皮薬物送達貼付剤などの経皮薬物送達システムにおいて、システムの他の層および成分を保護し、使用時の環境への成分の損失を防止するバッキング層を提供する。
【解決手段】経皮薬物送達システムのための伸縮可能な閉塞性バッキング層が開示され、伸縮後に閉塞性を維持する。バッキング層は、スチレン-イソプレン-スチレンブロックコポリマーおよび粘着剤を含む閉塞性コーティング剤を備えた伸縮可能なバッキング材からなる。また、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)のための経皮薬物送達システムを含む、このようなバッキング層を有する経皮薬物送達システム、および、このようなバッキング層および経皮薬物送達システムを作製し使用する方法が記載される。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スチレン-イソプレン-スチレンブロックコポリマー(「SIS」)および粘着剤を含む閉塞性ポリマーコーティング剤でコーティングされた伸縮可能なバッキング材を含む、経皮薬物送達システムのための伸縮可能な閉塞性バッキング層。
【請求項2】
伸縮可能なバッキング材が、伸縮可能な布材料である、請求項1に記載のバッキング層。
【請求項3】
粘着剤が、C5-C9水素化炭化水素樹脂(「HHR」)を含む、請求項1に記載のバッキング層。
【請求項4】
閉塞性ポリマーコーティング剤が、閉塞性ポリマーコーティング剤の乾燥質量に対して、10~70質量%のHHRを含む、請求項3に記載のバッキング層。
【請求項5】
閉塞性ポリマーコーティング剤が、閉塞性ポリマーコーティング剤の乾燥質量に対して、10~90質量%のSISを含む、請求項3に記載のバッキング層。
【請求項6】
閉塞性ポリマーコーティング剤のSIS対HHRの比が、約10:90から約90:10である、請求項3に記載のバッキング層。
【請求項7】
閉塞性ポリマーコーティング剤のSIS対HHRの比が、約20:80から約80:20である、請求項3に記載のバッキング層。
【請求項8】
閉塞性ポリマーコーティング剤が、ポリイソブチレンポリマーをさらに含む、請求項1に記載のバッキング層。
【請求項9】
ポリイソブチレンポリマーが、閉塞性ポリマーコーティング剤の最大25質量%の量で存在する、請求項8に記載のバッキング層。
【請求項10】
閉塞性ポリマーコーティング剤が、約1mg/cm2から約15mg/cm2のコーティング質量で伸縮可能なバッキング材に適用される、請求項1に記載のバッキング層。
【請求項11】
閉塞性ポリマーコーティング剤が、約3.5mg/cm2から約11mg/cm2のコーティング質量で伸縮可能なバッキング材に適用される、請求項1に記載のバッキング層。
【請求項12】
66%の伸長まで伸縮後、約60g/m2/日未満の水蒸気透過率を有する、請求項1に記載のバッキング層。
【請求項13】
40℃で6か月保管後、約100g/m2/日未満の水蒸気透過率を有する、請求項1に記載のバッキング層。
【請求項14】
請求項1に記載の伸縮可能な閉塞性バッキング層および薬物含有ポリマーマトリックスを含む、柔軟で有限なシステムの形態での経皮薬物送達システム。
【請求項15】
薬物含有ポリマーマトリックスが、NSAIDを含む、請求項14に記載の経皮薬物送達システム。
【請求項16】
NSAIDが、フルルビプロフェンを含む、請求項15に記載の経皮薬物送達システム。
【請求項17】
20%の伸長まで伸縮後または40℃で6か月保管後、閉塞性を呈する伸縮可能な閉塞性バッキングを調製するための方法であって、伸縮可能なバッキング材に、スチレン-イソプレン-スチレンブロックコポリマー(「SIS」)および粘着剤を含む閉塞性ポリマーコーティング剤を供給することを含む、方法。
【請求項18】
伸縮可能なバッキング材が、伸縮可能な布材料である、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
粘着剤が、C5-C9水素化炭化水素樹脂(「HHR」)を含む、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
閉塞性ポリマーコーティング剤が、閉塞性ポリマーコーティング剤の乾燥質量に対して、10~70質量%のHHRを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
閉塞性ポリマーコーティング剤が、閉塞性ポリマーコーティング剤の乾燥質量に対して、10~90質量%のSISを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
閉塞性ポリマーコーティング剤が、ポリイソブチレンポリマーをさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項23】
ポリイソブチレンポリマーが、閉塞性ポリマーコーティング剤の最大25質量%の量で存在する、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
閉塞性ポリマーコーティング剤が、約1mg/cm2から約15mg/cm2のコーティング質量で伸縮可能なバッキング材に適用される、請求項17に記載の方法。
【請求項25】
バッキング層が、66%の伸長まで伸縮後、約60g/m2/日未満の水蒸気透過率を有する、請求項17に記載の方法。
【請求項26】
バッキング層が、40℃で6か月保管後、約100g/m2/日未満の水蒸気透過率を有する、請求項17に記載の方法。
【請求項27】
薬物の経皮送達のための方法であって、請求項14に記載の経皮薬物送達システムを、それを必要とする対象の皮膚または粘膜に局所適用することを含む、方法。
【請求項28】
経皮薬物送達システムが、それを必要とする対象の関節に局所適用される、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
経皮薬物送達システムが、NSAIDを含む薬物含有ポリマーマトリックスを含む、請求項27に記載の方法。
【請求項30】
経皮薬物送達システムが、フルルビプロフェンを含む薬物含有ポリマーマトリックスを含む、請求項27に記載の方法。
【請求項31】
それを必要とする対象への薬物の経皮送達での使用のための、請求項14に記載の経皮薬物送達システム。
【請求項32】
それを必要とする対象の疼痛または炎症の処置での使用のための、請求項15に記載の経皮薬物送達システム。
【請求項33】
疼痛または炎症を処置するための医薬の調製での、請求項1に記載のバッキング層の使用であって、医薬が、バッキング層およびNSAIDを含む薬物含有ポリマーマトリックスを含む経皮薬物送達システムである、使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、米国特許法第119条(e)項に基づき、2015年11月16日に出願された米国仮特許出願第62/255,700号の利益を主張し、その内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
本発明は、一般には、経皮薬物送達システム、特に、経皮薬物送達システムに有用である伸縮可能なバッキング層に関する。具体的な実施形態において、伸縮可能なバッキング層は、伸縮後の水蒸気転移率特性を維持する。本発明はまた、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)のための経皮薬物送達システムを含む、このようなバッキング層を有する経皮薬物送達システム、および、このようなバッキング層および経皮薬物送達システムを作製し使用する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
皮膚または粘膜を通して作用剤を投与する、経皮薬物送達貼付剤などの経皮薬物送達システムの使用は、周知である。このようなシステムは、典型的には、作用剤を、ポリマー組成物および/または感圧接着性組成物などの担体組成物に組み込み、これにより、作用剤は、使用者の皮膚または粘膜を通して送達される。このようなシステムは、通常、システムの他の層および成分を保護し、使用時の環境への成分の損失を防止するバッキング層を備えている。
多くの因子は、経皮薬物送達システムの設計および性能、例えば個別の薬物それ自体、システムの成分および一旦併用した他のシステムの成分に関する性能/挙動の物理的/化学的特質、その後の製造および保管中の外部/環境の状態、局所的な適用部位の特性、薬物送達および開始の所望の速度、薬物送達プロファイル、ならびに、送達の意図した持続性に影響を及ぼす。費用、外観、サイズおよび製造の容易さもまた、考慮すべき重要な点である。バッキング層の特性は、薬物動態(例えば、薬物送達の速度および/または持続性)ならびに物理特性(例えば、摩耗特性)などの経皮薬物送達システムの性能の多くの態様に影響を及ぼし得る。
米国特許出願第2014/0188056号は、閉塞性コーティング剤でコーティングされた布地バッキング材からなる閉塞的で柔軟である伸縮可能なバッキング層を有し得るNSAIDのための経皮薬物送達システムを記載する。しかし、本適用において例示的なバッキング材の水蒸気透過率(MVTR)は、バッキングが伸縮された後(例えば、20%以上の伸長後)または40℃もしくは60℃で保管後、増加し得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、伸縮後、所望の特性を維持するバッキング層に対する必要性がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
経皮薬物送達システムのための伸縮可能な閉塞性バッキング層が記載される。いくつかの実施形態において、伸縮可能な閉塞性バッキング層は、伸縮後の水蒸気転移率特性を維持する。また、このようなバッキング層を有する経皮薬物送達システム、および、このようなバッキング層および経皮薬物送達システムを作製し使用する方法が記載される。
具体的な実施形態において、伸縮可能な閉塞性バッキング層は、スチレン-イソプレン-スチレンブロックコポリマー(SIS)および粘着剤を含む閉塞性ポリマーコーティング剤でコーティングされた伸縮可能なバッキング材を含む。いくつかの実施形態において、粘着剤は、C5-C9HHRなどの水素化炭化水素樹脂(HHR)を含む。具体的な実施形態において、伸縮可能な材料は、織布または不織布材料などの伸縮可能な布材料である。
【0005】
いくつかの実施形態において、閉塞性ポリマーコーティング剤は、閉塞性ポリマーコーティング剤の乾燥質量に対して、10~90質量%または10~70質量%のHHRを含む。いくつかの実施形態において、閉塞性ポリマーコーティング剤は、閉塞性ポリマーコーティング剤の乾燥質量に対して、10~90質量%のSISを含む。いくつかの実施形態において、閉塞性ポリマーコーティング剤のSIS対HHRの比は、約20:80から約80:20である。
いくつかの実施形態において、閉塞性ポリマーコーティング剤は、ポリイソブチレンポリマーをさらに含む。いくつかの実施形態において、ポリイソブチレンポリマーは、閉塞性ポリマーコーティング剤の最大25質量%の量で存在する。
いくつかの実施形態において、閉塞性ポリマーコーティング剤は、約1mg/cm2から約15mg/cm2のコーティング質量で伸縮可能なバッキング材に適用される。いくつかの実施形態において、閉塞性ポリマーコーティング剤は、約3.5mg/cm2から約11mg/cm2のコーティング質量で伸縮可能なバッキング材に適用される。
【0006】
いくつかの実施形態において、バッキング層は、66%の伸長まで伸縮後、約60g/m2/日未満の水蒸気透過率を有する。いくつかの実施形態において、バッキング層は、40℃で6か月保管後、約100g/m2/日未満の水蒸気透過率を有する。
また、本明細書に記載される伸縮可能な閉塞性バッキング層および薬物含有ポリマーマトリックスを含む、柔軟で有限なシステムの形態での経皮薬物送達システムが提供される。いくつかの実施形態において、薬物含有ポリマーマトリックスは、フルルビプロフェンなどのNSAIDを含む。
また、20%の伸長まで伸縮後または40℃で6か月保管後、閉塞性を呈する伸縮可能な閉塞性バッキングを調製するための方法であって、本明細書に記載されるように、伸縮可能なバッキング材に、スチレン-イソプレン-スチレンブロックコポリマー(「SIS」)および粘着剤を含む閉塞性ポリマーコーティング剤を供給することを含む、方法が提供される。いくつかの実施形態において、伸縮可能なバッキング材は、上述の、および以下でより詳細に記載されるいずれか1つまたは複数の特性を呈するように調製される。
【0007】
また、薬物の経皮送達のための方法であって、本明細書に記載される伸縮可能な閉塞性バッキング層を含む本明細書に記載される経皮薬物送達システムを、それを必要とする対象の皮膚または粘膜に局所適用することを含む、方法が提供される。いくつかの実施形態において、経皮薬物送達システムは、それを必要とする対象の関節に局所適用される。いくつかの実施形態において、経皮薬物送達システムは、NSAIDを含む薬物含有ポリマーマトリックスを含む。いくつかの実施形態において、経皮薬物送達システムは、フルルビプロフェンを含む薬物含有ポリマーマトリックスを含む。
また、本明細書に記載される経皮薬物送達システムであって、それを必要とする対象への薬物の経皮送達での使用のための、または、それを必要とする対象の疼痛もしくは炎症の処置での使用のための、本明細書に記載される伸縮可能な閉塞性バッキング層を含む、システムが提供される。
また、疼痛または炎症を処置するための医薬の調製での、本明細書に記載される伸縮可能な閉塞性バッキング層の使用であって、医薬が、バッキング層およびNSAIDなどの薬物を含む薬物含有ポリマーマトリックスを含む経皮薬物送達システムである、使用が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1A】市販のフルルビプロフェン貼付剤(20mg/70cm2YAKUBAN(登録商標)テープ、◆)からの薬物フラックスと比較して、室温または40℃で保管後の、PIBコーティングされた布製バッキングを有するシステム(A)からの、フルルビプロフェンのインビトロ薬物フラックス研究の結果を示すグラフである。
図1B】市販のフルルビプロフェン貼付剤(20mg/70cm2YAKUBAN(登録商標)テープ、◆)からの薬物フラックスと比較して、室温または40℃で保管後の、本明細書に記載されるSISコーティングされた布製バッキングを有するシステム(B)からの、フルルビプロフェンのインビトロ薬物フラックス研究の結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
経皮薬物送達システムのためのバッキング層が、本明細書に記載される。いくつかの実施形態において、バッキング層は、閉塞的、柔軟、および/または伸縮可能である。また、このようなバッキング層を有する経皮薬物送達システム、および、このようなバッキング層および経皮薬物送達システムを作製し使用する方法が記載される。
【0010】
定義
本明細書で使用される専門用語および科学用語は、別段の定めがない限り、本発明が属する当業者が通常理解している意味を有する。参照は、当業者に公知の様々な方法で本明細書において行う。参照が行われるこのような公知の方法を記載する刊行物および他の資料は、全体で記載されているように、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。当業者に公知の任意の適切な材料および/または方法は、本明細書を実行するのに使用され得る。しかし、具体的な材料および方法を記載する。以下の明細書および例で参照が行われる材料、試薬などは、別段の定めがない限り、商業的供給源から得ることが可能である。
本明細書で使用される場合、単数形「a」、「an」および「the」は、単数形のみを示すことが明確に記述されない限り、単数および複数の両方を示す。
用語「約」は、包含される数が記載される正確な数に限定されないことを意味し、本発明の範囲から逸脱せずに、記載された値の周囲の値を包含することを意図する。本明細書で使用される場合、「約」は当業者に理解され、使用される文脈である程度まで変化する。使用される文脈で得られる当業者に明白でない用語の使用の場合、「約」は、特定の用語のプラスマイナス10%までを意味する。
【0011】
句「実質的に含まない(substantially free)」は、本明細書で使用される場合、記載される組成物(例えば、ポリマーマトリックスなど)が、問題になっている組成物の総質量をベースとして、約5質量%未満、約3質量%未満、または約1質量%未満の排除される成分を含むことを意味する。
本明細書で使用される場合、「対象」は、ヒトを含む、薬物療法を必要する任意の哺乳動物を示す。例えば、対象は、NSAIDで処置または予防できる状態(例えば、疼痛または炎症)に罹患しているもしくはその状態を発症するリスクがあり得る、または、他の目的でNSAIDを服用し得る。
本明細書で使用される場合、用語「局所的な」および「局所的に」は、哺乳動物の皮膚または粘膜の表面への適用を意味する一方、用語「経皮的な」および「経皮的な」は、皮膚または粘膜(口腔、頬、鼻腔、直腸および膣の粘膜を含む)を通した全身循環への通過を含む。したがって、本明細書に記載される組成物は、対象に局所的に適用して、NSAIDの経皮送達を達成し得る。
本明細書で使用される場合、句「治療有効量」および「治療レベル」は、このような処置を必要とする対象に薬物を投与することに対して具体的な薬理効果をそれぞれもたらす、対象の薬物投与量または血漿濃度を意味する。治療有効量または治療レベルの薬物は、このような投与が当業者によって治療有効量であると認められたとしても、本明細書に記載される状態/疾患を処置するのに常に有効であるとは限らないことは強調される。ただ便宜上、典型的な投与量、薬物送達量、治療有効量および治療レベルは、成人のヒト対象に関して以下に提供される。当業者は、具体的な対象および/または状態/疾患を処置するのに必要な標準的技法に従って、こうした量を調節できる。
【0012】
本明細書に記載される経皮薬物送達システムは、「柔軟で有限な形態」である。本明細書で使用される場合、句「柔軟で有限な形態」は、接触する表面に一致することが可能で、局所適用を容易にするように接触が持続することが可能な、実質的に固体の形態を意味する。このようなシステムは一般に、当技術分野で公知であって、市販されており、例えば経皮薬物送達貼付剤である。
【0013】
組成物は、皮膚(または上述の任意の他の表面)への適用時に、NSAIDなどの薬物を放出する薬物含有ポリマーマトリックスを含む。柔軟で有限な形態の組成物はまた、薬物含有ポリマーマトリックス層に加えてバッキング層を含む。いくつかの実施形態において、柔軟で有限な形態の組成物は、薬物含有ポリマーマトリックス層およびバッキング層に加えて剥離ライナー層を含み得る。
本明細書で使用される場合、「薬物含有ポリマーマトリックス」は、1種または複数のNSAIDなどの1種または複数の薬物、および、感圧接着性ポリマーまたは生体接着性ポリマーなどのポリマーを含有する、ポリマー組成物を指す。ポリマーは、それ自体、接着性の特性を有する場合、「接着性」または「生体接着性」である。他のポリマーは、粘着剤、可塑剤、架橋剤または他の賦形剤の添加によって、接着剤または生体接着剤として機能できる。したがって、いくつかの実施形態において、ポリマーは、当技術分野で公知の粘着剤、可塑剤、架橋剤または他の添加剤を含んでもよい。
【0014】
本明細書で使用される場合、用語「感圧接着剤」は、ごくわずかな圧力をかけることで多くの基材と即座に接着し、恒久的に生乾きを維持する粘弾性材料を指す。上述の通り、ポリマーは、それ自体、感圧接着剤の特性を有する場合、感圧接着性ポリマーである。他のポリマーは、粘着剤、可塑剤または他の添加剤の混合によって、感圧接着剤として機能し得る。用語、感圧接着剤はまた、異なるポリマーの混合物を含む。
いくつかの実施形態において、ポリマーマトリックスは、室温で感圧接着剤であり、皮膚への良好な接着、皮膚に実質的な外傷を残さずに剥がせるまたは取り除ける能力、経時的な粘着性の保持などの望ましい物理特性を呈する。いくつかの実施形態において、ポリマーマトリックスは、異なる走査熱量計を使用して測定し、約-70℃~0℃である、ガラス転移温度(Tg)を有する。
いくつかの実施形態において、柔軟で有限な形態の組成物は、「モノリシック」または「単層」システムであり、その結果、薬物含有ポリマーマトリックス層は、存在する場合、バッキング層および剥離ライナー以外である単なるポリマー層である。このような実施形態において、ポリマーマトリックスは、薬物担体、および、システムを皮膚または粘膜に接着させる手段の両方として機能する。
【0015】
伸縮可能なバッキング層
本明細書に記載されるバッキング層は、システムの他の層および成分を保護し、使用時の環境への成分の損失を防止するように設計されている。いくつかの実施形態において、バッキング層は、実質的に薬物に対して不浸透性、および/または、担体組成物中に配合された他の成分であり、バッキング層を通しての薬物および/または他の成分の損失を防止または最小限にする。いくつかの実施形態において、バッキング層は、伸縮可能(および任意選択で柔軟)であり、閉塞的である。本明細書で使用される場合、用語「閉塞的な」は、制限された水蒸気透過率を有するバッキング層を指す。具体的な実施形態において、水蒸気透過率は、約300g/m2/日未満、約200g/m2/日未満または約100g/m2/日未満であり、300g/m2/日未満、200g/m2/日未満または100g/m2/日未満を含み、例えば約10~約100g/m2/日または約20~約100g/m2/日であり、10~100g/m2/日または20~100g/m2/日を含む。伸縮可能(および任意選択で柔軟)で閉塞的な実施形態は、特に、関節などの、曲げるおよび/または動きを経験する体の領域での使用に適切であるが、依然として良好な薬物フラックスを提供する。このようなバッキング層は、例えば、以下でより詳細に記載され、例で実証されるような、スチレン-イソプレン-スチレン(SIS)ブロックコポリマーおよび粘着剤を含む閉塞性コーティング剤を、布製バッキング材に塗布することにより作製できる。
【0016】
本明細書に記載される伸縮可能(および任意選択で柔軟)な閉塞性バッキング層は、従来の非閉塞的で伸縮可能なバッキング層(例えば、不織布地からなるバッキング)と比較して、増加したフラックスを呈し、これは、これらの比較的低い閉塞性および比較的高い水蒸気透過率(MVTR)のため、一般に低い薬物フラックスを呈する。いくつかの実施形態において、本明細書に記載される伸縮可能(および任意選択で柔軟)な閉塞性バッキング層は、伸縮後(例えば、20%以上の伸長後)および/または40℃もしくは60℃で保管後にMVTRを低く維持するのに対して、以前記載された伸縮可能な閉塞性バッキング層(例えば、米国特許出願第2014/0188056号の例に記載されたポリイソブチレンコーティングされたバッキング層)は、伸縮後に増加したMVTRを呈し得る。増加したMVTRは、薬物フラックスの低下に関係し得るので、本明細書に記載される伸縮後にMVTRを低く維持される伸縮可能な閉塞性バッキング層はまた、伸縮後にその薬物フラックスの特性が維持し得るのに対して、伸縮後に増加したMVTRを呈する以前記載された伸縮可能な閉塞性バッキング層は、伸縮後に低下した薬物フラックスを呈し得る。
上述の通り、いくつかの実施形態において、本明細書に記載される伸縮可能(および任意選択で柔軟)な閉塞性バッキング層は、SISブロックコポリマーおよび粘着剤を含むコーティング剤などの閉塞性コーティング剤を備えた伸縮可能(および任意選択で柔軟)なバッキング材を含む。
【0017】
いくらかの実施形態において、バッキング材は、織布または不織布材料などの伸縮可能(および任意選択で柔軟)な布材料である。経皮薬物送達システムのためのバッキング材としての使用に適切な伸縮可能(および任意選択で柔軟)な布材料は、当技術分野で公知であって、市販されている。
経皮薬物送達システムのポリマーマトリックスでの使用に適切なSISポリマーは、本明細書に記載される閉塞性コーティング剤のSIS成分として使用できる。このようなSISポリマーは、当技術分野で公知であって、市販されており、例えば、Kratonによって、KRATON(登録商標)D(SIS)ポリマー、例としてKRATON(登録商標)D111KTなどのKRATON(登録商標)ブランドで販売されているものがある。KRATON(登録商標)D(SIS)ポリマーは、分子のエラストマー中間ブロックが不飽和ゴム(SIS)である、ブロックコポリマーである。約16%~約24%などの低いポリスチレン含有量を有するこれらは、柔らかく生乾きの感圧接着剤を配合するのに適切なより低率の柔らかいポリマーの創出にとって有利である。
【0018】
適切な粘着剤は、ロジンエステル、ロジン系樹脂、脂肪族炭化水素樹脂、芳香族炭化水素樹脂、テルペン樹脂、ポリブテンおよび水添ポリブテンを含む。具体的な実施形態において、粘着剤は、C5-C9水素化炭化水素樹脂(HHR)、例えば、Eastmanによる、REGALITE(登録商標)R1090、R1100もしくはR1125、または、荒川化学工業株式会社による、ARKON(登録商標)P-70、P-80、P-90、P-100、P-115もしくはP-125である。閉塞性コーティング剤は、閉塞性コーティング剤の乾燥質量に対して、約10質量%~約70質量%の粘着剤(HHRなど)を含み、閉塞性コーティング剤の乾燥質量に対して、約10質量%、約15質量%、約20質量%、約25質量%、約30質量%、約35質量%、約40質量%、約45質量%、約50質量%、約55質量%、約60質量%、約65質量%または約70質量%の粘着剤を含み、10質量%、15質量%、20質量%、25質量%、30質量%、35質量%、40質量%、45質量%、50質量%、55質量%、60質量%、65質量%または70質量%の粘着剤を含み得る。
【0019】
いくつかの実施形態において、閉塞性コーティング剤は、別のポリマー、例えば、ポリイソブチレン(PIB)ポリマーをさらに含む。経皮薬物送達システムのポリマーマトリックスでの使用に適切なPIBポリマーは、本明細書に記載される閉塞性コーティング剤のPIB成分として使用できる。このようなPIBポリマーは、当技術分野で公知であって、市販されており、例えば、BASFによって、OPPANOL(登録商標)Bブランドで販売されているものがあり、これは、一連の培地、および、質量平均分子量(Mw)が40,000~4,000,000である高分子量のPIBポリマーであり、OPPANOL(登録商標)B100およびOPPANOL(登録商標)B11SFNを含む。いくつかの実施形態において、PIBポリマーは、PIB513であり、これは、6.29%のOPPANOL(登録商標)B100(MW1,110,000)、37.39%のOPPANOL(登録商標)B11SFN(MW46,000)および55.92%のトルエンを含有する接着剤溶液である。他の実施形態において、PIBポリマーは、OPPANOL(登録商標)B100およびOPPANOL(登録商標)B11SFNを、質量で35:65の比を含む任意の適切な比で含む。
【0020】
閉塞性コーティング剤が、SISブロックコポリマーおよび粘着剤に加えて、PIBポリマーなどの付加ポリマーを含む場合、付加ポリマーは、閉塞性コーティング剤の約1質量%~約25質量%の量で存在し得、閉塞性コーティング剤の乾燥質量に対して、約1%、約5%、約10%、約15%、約20%または約25%の量を含む。具体的な実施形態において、コーティング剤は、少なくとも約75質量%のSIS/HHR成分を含み、少なくとも75質量%のSIS/HHR成分を含み、約75質量%~100質量%のSIS/HHR成分を含み、例えば、約75質量%、約80質量%、約85質量%、約90質量%、約95質量%または約100質量%のSIS/HHR成分であり、75質量%、80質量%、85質量%、90質量%、95質量%または100質量%のSIS/HHR成分を含む。
【0021】
本明細書に記載される伸縮可能なバッキング層の水蒸気透過率は、以下の例で実証されるような、例えば、閉塞性コーティング剤の具体的な成分および/または閉塞性コーティング剤の厚さを制御することで制御できる。例えば、閉塞性コーティング剤中の粘着剤対SISブロックコポリマーの比が増加することは、一般に、MVTRがより低いバッキングという結果となり、閉塞性コーティング剤の厚さが増加することは、一般に、MVTRがより低いバッキングという結果となる。いくつかの実施形態において、閉塞性コーティング剤中の(質量による)SISブロックコポリマー対粘着剤の比は、約10:90~90:10であり、約20:80~約70:30を含み、10:90、20:80、40:60、50:50、60:40、70:30、80:20および90:10のSISブロックコポリマー対粘着剤を含む。いくつかの実施形態において、閉塞性コーティング剤は、バッキング材に、約2、3、3.5、5、7、9、11、13または15mg/cm2の厚さを含む、約2mg/cm2~約15mg/cm2の厚さで塗布する。
【0022】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載される伸縮可能(および任意選択で柔軟)な閉塞性バッキング層は、以下の例で実証されるような、プラスチックバッキングと同等のシステムと同じもしくはそのシステムよりさらに低い、ならびに/または、伸縮後(例えば、20%以上の伸長後)および/もしくは40℃または60℃で保管後に閉塞性(例えば、その低いMVTR)を維持する、水蒸気透過率を有するシステムを製造するのに使用できる。いくつかの実施形態において、伸縮可能なバッキング層のMVTRは、約300g/m2/日未満、約200g/m2/日未満または約100g/m2/日未満であり、300g/m2/日未満、200g/m2/日未満または100g/m2/日未満を含み、例えば、約10~約100g/m2/日または約20~約100g/m2/日であり、10~100g/m2/日または20~100g/m2/日を含む。いくつかの実施形態において、バッキング層は、66%の伸長まで伸縮後、約100g/m2/日未満の水蒸気透過率を呈する。いくつかの実施形態において、バッキング層は、66%の伸長まで伸縮後、約60g/m2/日未満の水蒸気透過率を呈する。いくつかの実施形態において、バッキング層は、40℃で6か月保管後、約100g/m2/日未満の水蒸気透過率を呈する。MVTRは、標準的な手順で、例えば、MVTR評価で用いられるカップを使用して測定できる。典型的なプロトコル(ASTM E96に基づく)において、MVTRカップは、塩化カルシウムを充填し、秤量し、次いでバッキング材で密封して試験する。カップは、40℃/100%RHに設定した多湿チャンバーに設置し、24時間試験を実施して、どの程度の水蒸気がバッキング材を通して多湿雰囲気からカップへ通るかを評価する。
【0023】
また、20%の伸長まで伸縮後または40℃で6か月保管後、閉塞性を呈する伸縮可能な閉塞性バッキングを調製するための方法であって、上記の実施形態のいずれかによる伸縮可能なバッキング材に、上記の実施形態のいずれかによる閉塞性ポリマーコーティング剤を供給することを含む、方法が提供される。コーティング剤は、容器内でコーティング剤成分をブレンドすることを含む、任意の適切な方法により調製できる。コーティング剤は、例えば、経皮薬物送達システムの調製で典型的に使用されるコーティング装置を使用することにより、任意の適切な方法によりバッキング材に塗布できる。
【0024】
伸縮可能(および任意選択で柔軟)な閉塞性バッキング層は、NSAIDの経皮送達での柔軟で有限なシステムに関して、以下の本明細書で論じられ、例証されるが、任意の柔軟で有限な経皮薬物送達システムでの(例えば、任意の経皮薬物貼付剤での)バッキング層として使用できる。実際に、上で論じたように、伸縮可能(および任意選択で柔軟)な閉塞性バッキング層は、特に、関節(例えば、膝、肘、手首、足首、指および爪先)などの、曲げるおよび/または動きを経験する体の領域に適用され得るシステムに有用であるが、また良好な薬物フラックスを提供するので、任意の作用剤を配合したシステムに有用であり得る。
【0025】
ポリマーマトリックス
いくつかの実施形態によれば、本明細書に記載される組成物は、NSAIDおよび/またはその薬学的に許容される塩を含む、それらから本質的になる、またはそれらからなるポリマーマトリックス、ならびに、シリコーンポリマー、アクリルポリマーおよび/またはアクリルブロックコポリマーを含み、SISコポリマーを含んでもよい。これに関連して、句「から本質的になる」は、経皮組成物で有用として公知の他の賦形剤(当技術分野で公知の粘着剤、可塑剤、架橋剤または他の賦形剤など)を、これら他の賦形剤が組成物の物理特性および/または薬物動態を薬学的に許容できないレベルまで低下させない限り、含み得るが、ポリマーマトリックスが、他のポリマー成分(例えば、シリコーンポリマー、アクリルポリマーおよびスチレン-イソプレン-スチレンブロックコポリマー以外のポリマーを実質的に含まない)、ならびに皮膚浸透エンハンサーを実質的に含まないことを意味する。いくつかの実施形態によれば、本明細書に記載される組成物は、NSAIDおよび/またはその薬学的に許容される塩を含む、それらから本質的になる、またはそれらからなるポリマーマトリックス、シリコーンポリマー、アクリルポリマーおよび/またはアクリルブロックコポリマーを含み、SISコポリマーを含んでもよく、1種または複数の皮膚浸透エンハンサーを含んでもよい。
【0026】
NSAID
NSAIDは、当技術分野で公知であり、イブプロフェン、デクスイブプロフェン、ナプロキセン、フェノプロフェン、ケトプロフェン、デクスケトプロフェン、フルルビプロフェン、オキサプロジン、ロキソプロフェン、インドメタシン、トルメティン、スリンダク、エトドラク、ケトロラク、ジクロフェナク、ナブメトン、ピロキシカム、メロキシカム、テノキシカム、ドロキシカム、ロルノキシカム、イソキシカム、メフェナム酸、メクロフェナム酸、フルフェナム酸、トルフェナム酸、ニフルミン酸、アスピリン、ジフルニサルおよびサルサラートを含む。
具体的な実施形態において、NSAIDはフルルビプロフェンである。フルルビプロフェンは、抗炎症性、鎮痛性および解熱性の特性を有する。例えば、関節リウマチ、変形性関節症を処置し、眼手術中の縮瞳を予防するのに使用される。
【0027】
本明細書に記載される組成物は、遊離酸の形でのNSAIDもしくは任意の薬学的に許容されるそのエステル、またはそれらの任意の組合せを配合し得る。典型的で適切な薬学的に許容される塩は、弱無機塩および有機塩、ならびに四級アンモニウム塩である。これらは、制限されないが、酸、例えば、硫酸、リン酸、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、スルファミン酸、クエン酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、コハク酸、酒石酸、ケイ皮酸、酢酸、安息香酸、グルコン酸もしくはアスコルビン酸などの塩、または、硫酸、ハロゲン化水素酸もしくは芳香族スルホン酸、例えば、塩化メチル、臭化メチル、塩化エチル、塩化プロピル、塩化ブチル、塩化イソブチル、塩化ベンジル、臭化ベンジル、臭化フェネチル、塩化ナフチルメチル、硫酸ジメチル、ベンゼンスルホン酸メチル、トルエンスルホン酸エチル、エチレンクロロヒドリン、プロピレンクロロヒドリン、臭化アリル、臭化メチルアリルもしくは臭化クロチルのエステルなどの有機エステルの四級アンモニウム塩を含む。
【0028】
本明細書に記載される組成物は、治療有効量のNSAIDまたは薬学的に許容されるその塩を含む。一般に、NSAIDの量は、ポリマーマトリックスの乾燥総質量に対して、約0.1質量%~約50質量%であり、約1質量%~約20質量%を含み、例えば、約1質量%~約10質量%であり、約1質量%、約2質量%、約3質量%、約4質量%、約5質量%、約6質量%、約7質量%、約8質量%、約9質量%または約10質量%である。具体的な実施形態において、ポリマーマトリックスは、ポリマーマトリックスの乾燥総質量に対して、約3~5質量%のNSAID、例えば、ポリマーマトリックスの乾燥総質量に対して、約3質量%または約5質量%のNSAIDを含む。
【0029】
組成物が局所効果に対して使用される場合、これらは約20mg~約35mgのNSAID(例えばフルルビプロフェン)を含み得る。組成物は、局所効果に対して、例えば適用部位のまたは適用部位周囲の状態を処置するために使用される場合、特定の利点を有する。消化管および関連する副作用を回避することに加え、組成物は、望まれない全身作用を軽減または最小化しながら、高用量のNSAIDを直接処置する部位に送達することができる。
【0030】
シリコーンポリマー
上述の通り、いくつかの実施形態において、ポリマーマトリックスは、1種または複数のシリコーンポリマー、例えば、1種または複数の感圧接着性シリコーンポリマーを含む。ポリマーマトリックスの使用に適切なシリコーンポリマーは、公知である。
用語「シリコーン系」ポリマーは、本明細書で使用され、当技術分野で公知である、用語、シリコーンポリマー、シロキサン、ポリシロキサン、およびシリコーンと互換的に使用される。適切なシリコーン系ポリマーはまた、感圧接着剤であり得る。したがって、いくつかの実施形態において、シリコーン系ポリマーは、接着性ポリマーである。他の実施形態において、シリコーン系ポリマーは、粘着剤、可塑剤、架橋剤または他の添加剤の添加によって、接着剤として機能する。
適切なポリシロキサンは、以下の2つの主成分に基づく、シリコーン感圧接着剤を含む:(i)ポリマーまたはガム、および、(ii)粘着付加樹脂。ポリシロキサン接着剤は、ガム、典型的には高分子量のポリジオルガノシロキサンと、樹脂とを架橋結合することにより調製して、適当な有機揮発性溶媒、例えば酢酸エチルまたはヘプタンなどでの縮合反応を介して3次元のシリケート構造を生成できる。樹脂対ポリマーの比は、ポリシロキサン接着剤の物理特性を変更するために調節できる。Sobieski, et al., “Silicone Pressure Sensitive Adhesives,” Handbook of Pressure-Sensitive Adhesive Technology, 2nd ed., pp. 508-517 (D. Satas, ed.), Van Nostrand Reinhold, New York (1989)。
【0031】
典型的なシリコーン系ポリマーは、感圧接着剤を含む、(例えば、局所適用の部位に接着することができる)接着剤である。シラノール濃度が低下したシリコーン系ポリマーの実例として、例えばその全体が参照により本明細書に組み込まれる米国再発行特許第35,474号および米国特許第6,337,086号に記載され、Dow Corning社(Dow Corning Corporation、Medical Products、ミシガン州ミッドランド)から、BIO-PSA(登録商標)7-4100、7-4200および7-4300製品シリーズとして市販されているシリコーン系接着剤(およびキャッピングされたポリシロキサン接着剤)、ならびに、互換性のある有機揮発性溶媒(例えば酢酸エチルまたはヘプタンなど)で生成され、BIO-PSA(登録商標)7-4400シリーズ、7-4202および7-42-3などの7-4200シリーズ、7-4502および7-4503などの7-4500シリーズ、ならびに7-4600シリーズで市販されている非敏感性の感圧接着剤が挙げられる。
本明細書に記載されるポリマーマトリックスならびに組成物および方法で有用なシリコーン感圧接着剤のさらなる詳細および例は、以下:米国特許第4,591,622号、米国特許第4,584,355号、米国特許第4,585,836号、および米国特許第4,655,767号に記載され、それら全ては、参照によりその全体が本明細書に明確に組み込まれている。また、シリコーン液がまた、本明細書に記載されるポリマーマトリックスおよび方法での使用を企図することは理解されるべきである。
【0032】
アクリルポリマー
上述の通り、いくつかの実施形態において、ポリマーマトリックスは、1種または複数のアクリルポリマー、例えば、1種または複数の感圧接着性アクリルポリマーを含む。ポリマーマトリックスの使用に適切なアクリルポリマーは、公知である。
用語「アクリルポリマー」は、「ポリアクリレート」、「ポリアクリルポリマー」および「アクリル接着剤」と互換的に本明細書で当技術分野と同様に使用される。アクリル系ポリマーは、様々なアクリル酸またはエステルの、ホモポリマー、コポリマー、ターポリマーなどのいずれかであり得る。いくつかの実施形態において、アクリル系ポリマーは、接着性ポリマーである。他の実施形態において、アクリル系ポリマーは、粘着剤、可塑剤、架橋剤または他の添加剤の添加によって、接着剤として機能する。
【0033】
アクリルポリマーは、コポリマー、ターポリマーおよびマルチポリマーを含むことができる。例えば、アクリルポリマーは、様々なアクリル酸の、ホモポリマー、コポリマー、ターポリマーなどのいずれかであり得る。いくつかの実施形態において、アクリルポリマーは、ポリマーマトリックスの約2質量%~約95質量%のポリマー含有量を構成し、約3%~約90%および約5%~約85%を含み、例えば2%~95%、3%~90%、および5%~85%である。いくつかの実施形態において、アクリルポリマーの量および種類は、使用される治療的に有効な薬剤の種類と量に依存する。
【0034】
本発明を実行するのに有用なアクリルポリマーは、アクリル酸の1種または複数のモノマーおよび他の共重合性モノマーのポリマーを含む。アクリルポリマーはまた、アクリル酸アルキルおよび/もしくはメタクリレートならびに/または共重合性副モノマーもしくは官能基でのモノマーのコポリマーを含む。官能基を基準にしたアクリル系ポリマーの組合せもまた企図する。官能基を有するアクリル系ポリマーは、非官能性モノマー単位に加えて、遊離官能基を有するさらなるモノマー単位を含有する、コポリマーおよびターポリマーを含む。モノマーは、単官能性または多官能性であり得る。添加される各種のモノマーの量を変化させることにより、得られるアクリルポリマーの凝集特性は、当技術分野で公知のように変化できる。いくつかの実施形態において、アクリルポリマーは、少なくとも50質量%のアクリレートまたはアクリル酸アルキルモノマー、0~20%のアクリレートと共重合性の官能性モノマー、および、0~40%の他のモノマーから構成される。
【0035】
使用できるアクリレートモノマーは、アクリル酸およびメタクリル酸、ならびにアクリル酸アルキルエステルまたはメタクリル酸アルキルエステルを含み、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸アミル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸ブチル、アクリル酸ヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸ヘキシル、アクリル酸ヘプチル、アクリル酸オクチル、アクリル酸ノニル、アクリル酸2-エチルブチル、メタクリル酸2-エチルブチル、アクリル酸イソオクチル、メタクリル酸イソオクチル、アクリル酸2-エチルヘキシル、メタクリル酸2-エチルヘキシル、アクリル酸デシル、メタクリル酸デシル、アクリル酸ドデシル、メタクリル酸ドデシル、アクリル酸トリデシル、メタクリル酸トリデシル、アクリル酸グリシジル、および対応するメタクリル酸エステルである。
非官能性アクリル系ポリマーは、遊離官能基を含まない、または実質的に含まない、任意のアクリル系ポリマーを含むことができる。
【0036】
使用できる上記のアクリル酸アルキルまたはメタクリル酸アルキルと共重合性の官能性モノマーは、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、アクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシプロピル、アクリルアミド、ジメチルアクリルアミド、アクリロニトリル、アクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、アクリル酸tert-ブチルアミノエチル、メタクリル酸tert-ブチルアミノエチル、アクリル酸メトキシエチル、およびメタクリル酸メトキシエチルを含む。
【0037】
本明細書で使用される場合、「官能性モノマーまたは官能基」は、アクリル系ポリマーを直接変性する、または、さらなる反応のための部位を提供する反応性の化学基を有する、典型的にはアクリル系ポリマーでのモノマー単位である。官能基の例として、カルボキシル基、エポキシ基、ヒドロキシル基、スルホキシル基およびアミノ基が挙げられる。官能基を有するアクリル系ポリマーは、上記の非官能性モノマー単位に加えて、遊離官能基を有するさらなるモノマー単位を含有する。モノマーは、単官能性または多官能性であり得る。これらの官能基は、カルボキシル基、ヒドロキシル基、アミノ基、アミド基、エポキシ基などを含む。典型的なカルボキシル官能性モノマーは、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸およびクロトン酸を含む。典型的なヒドロキシル官能性モノマーは、メタクリル酸2-ヒドロキシエチル、アクリル酸2-ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシメチル、メタクリル酸ヒドロキシメチル、アクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシプロピル、メタクリル酸ヒドロキシプロピル、アクリル酸ヒドロキシブチル、メタクリル酸ヒドロキシブチル、アクリル酸ヒドロキシアミル、メタクリル酸ヒドロキシアミル、アクリル酸ヒドロキシヘキシル、メタクリル酸ヒドロキシヘキシルを含む。上述の通り、いくつかの実施形態において、アクリルポリマーは、このような官能基を含まない。他の実施形態において、アクリルポリマーは、ヒドロキシ官能基を含まない。
【0038】
具体的な実施形態によれば、ポリマーマトリックスは、ポリマー成分として1種または複数の非酸官能性アクリルポリマーを含む、またはそれらからなる。非酸官能性アクリルポリマーは、酸官能基を含まない他のモノマーで共重合されるアクリルエステルから形成されるものを含む。非酸官能性アクリルポリマーは、アクリル酸およびエステルのホモポリマー、コポリマー、ターポリマーなどを含む。本明細書で使用される場合、「非酸官能性アクリルポリマー」は、1種または複数のアミド基を有するモノマーを含むポリマーを含む。具体的な実施形態において、非酸官能性アクリルポリマーは、メタクリレートモノマーおよびアクリル酸2-エチルヘキシルモノマーを含む。具体的な実施形態において、非酸官能性アクリルポリマーは、メタクリレートモノマー、アクリル酸2-エチルヘキシルモノマーおよびアミド基含有モノマーを含む。
【0039】
いくつかの実施形態において、ポリマーマトリックスのアクリルポリマー成分は、単一アクリルポリマーからなる。他の実施形態において、ポリマーマトリックスのアクリルポリマー成分は、第一のアクリルポリマーおよび第二のアクリルポリマーのブレンドを含み、追加の(例えば、第三のまたはそれ以上の)アクリルポリマーを含んでもよい。
アクリルポリマー成分が1種以上のアクリルポリマーを含む場合、ポリマーは、十分な物理特性および薬物動態での生成物をもたらす任意の比で存在できる。例えば、アクリルポリマー成分は、アクリル成分の乾燥総質量に対して、0~100%の第一のアクリルポリマー、および100~0%の第二のアクリルポリマーを含み、約10~約90%、約15~約85%、約20~約80%、約25~約75%、約33~約66%、および約50%の第一のアクリルポリマー、ならびに第二の(または第三などの)アクリルポリマーとなる残りを含む。具体的な実施形態において、アクリルポリマー成分は、ポリマーの総含有量に対して、約80%の第一のアクリルポリマーおよび約20%の第二のアクリルポリマーを含む。
【0040】
適切なアクリルポリマーはまた、市販されている感圧接着剤、例えば、Henkel Corporation、ニュージャージー州ブリッジウォーターにより、900Aまたは87-9900などの商標DURO-TAK(登録商標)、および、3087および3235などのGELVA(登録商標)で販売されるアクリル系接着剤を含む。他の適切なアクリルポリマーは、当技術分野で公知である。
本発明の実行に適切である同様に適切なアクリル接着剤のさらなる詳細および例は、Satas, “Acrylic Adhesives,” Handbook of Pressure-Sensitive Adhesive Technology, 2nd ed., pp. 396-456 (D. Satas, ed.), Van Nostrand Reinhold, New York (1989)、“Acrylic and Methacrylic Ester Polymers,” Polymer Science and Engineering, Vol. 1, 2nd ed., pp 234-268, John Wiley & Sons, (1984)、米国特許第4,390,520号、および米国特許第4,994,267号に記載され、それらの全ては、参照によりその全体が明確に組み込まれている。
【0041】
アクリルブロックコポリマー
上述の通り、いくつかの実施形態において、ポリマーマトリックスは、1種または複数のアクリルブロックコポリマー、例えば、1種または複数の感圧接着性アクリルブロックコポリマーを含み、非官能性アクリル感圧接着剤(例えば、上記の任意のもの)およびシリコーン液のポリジメチルシロキサンまたはトリメチルシロキシシラン部分の共役を含む。適切なアクリルブロックコポリマーは、例えば、Henkelから市販されている(例えば、Henkel14700-14またはDURO-TAK(登録商標)87-9900)。
【0042】
他のポリマー
上述の通り、いくつかの実施形態において、ポリマーマトリックスは、1種または複数のゴム系ポリマー、例えば、1種または複数のゴム系感圧接着剤を含み、例えば、天然または合成ポリイソプレン、ポリブチレン、ポリイソブチレン、スチレン-ブタジエンポリマー、SISコポリマー、ブチルゴムなどの炭化水素ポリマー、ポリアクリロニトリル、ポリテトラフルオロエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデンおよびポリクロロジエンなどのハロゲン含有ポリマー、ならびにそれらの他のコポリマーである。具体的な実施形態において、ポリマーマトリックスは、1種または複数のSISブロックコポリマーを含む。
上述の通り、いくつかの実施形態において、本明細書に記載される組成物のポリマーマトリックスは、このような組成物が、以下でより詳細に論じられるように、組成物の物理特性および/または薬物動態を薬学的に許容できないレベルまで低下させない他の非ポリマー成分、例えば1種または複数の浸透エンハンサーを含み得るが、NSAIDまたは薬学的に許容されるその塩、および1種または複数の上記のポリマーから本質的になる。
【0043】
浸透エンハンサー
上述の通り、いくつかの実施形態において、本明細書に記載される組成物のポリマーマトリックスは、1種または複数の浸透エンハンサーをさらに含む。「浸透エンハンサー」は、皮膚を通した薬物の送達を加速することで知られる薬剤である。これらの薬剤はまた、加速剤、アジュバントおよび収着促進剤と呼ばれており、本明細書ではまとめて「エンハンサー」と呼ぶ。このクラスの薬剤は、作用の多様な機能を伴うものを含み、例えば、角質層の能力を変化させて水分を保持すること、皮膚を柔らかくすること、皮膚の浸透性を改善すること、浸透補助剤もしくは毛孔開孔剤として作用する、または、境界層を含む皮膚の状態を変化させることにより、経皮的吸収を改善する機能を有するものを含む。具体的な実施形態において、エンハンサーは、角質層を通してNSAIDの浸透を高めること、および、投与する部位でNSAIDを保持することの両方として役立つ。
【0044】
浸透エンハンサーの実例として、ジプロピレングリコール、プロピレングリコールおよびポリエチレングリコールなどの多価アルコール、オリーブ油、スクワレンおよびラノリンなどの油、セチルエーテルおよびオレイルエーテルなどの脂肪エーテル、ミリスチン酸イソプロピルなどの脂肪酸エステル、モノオレイン酸グリセロールなどの脂肪酸のグリセロールモノ、ジおよびトリエステル、角質の能力に影響を及ぼして水分を保持するアラントインなどの尿素および尿素誘導体、角質浸透性に影響を及ぼすジメチルデシルホスホキシド、メチルオクチルスルホキシド、ジメチルラウリルアミド、ドデシルピロリドン、イソソルビトール、ジメチルアセトニド、ジメチルスルホキシド、デシルメチルスルホキシドおよびジメチルホルムアミドなどの極性溶媒、角質を柔らかくするサリチル酸、浸透補助剤であるアミノ酸、毛孔開孔剤であるニコチン酸ベンジル、ならびに、皮膚および投与される薬物の表面の状態を変化させるラウリル硫酸塩などのより高分子量の脂肪族界面活性剤が挙げられるが、これらに限定されない。他の薬剤は、オレイン酸およびリノール酸、アスコルビン酸、パンテノール、ブチル化ヒドロキシトルエン、トコフェロール、酢酸トコフェリル、リノール酸トコフェリル、オレイン酸プロピルおよびパルミチン酸イソプロピルを含む。
いくつかの実施形態において、エンハンサーの組合せを使用する。例えば、ミリスチン酸イソプロピルおよびオレイン酸を含む二重化エンハンサーシステムは、特にフルルビプロフェンなどのNSAIDを配合するのに有用であり得る。
【0045】
概して、ポリマーマトリックスは、ポリマーマトリックスの乾燥総質量に対して、約1質量%~約50質量%、例えば約1質量%~約10質量%、例えば、約1質量%~約5質量%、約1質量%、約2質量%、約3質量%、約4質量%、約5質量%、約6質量%、約7質量%、約8質量%、約9質量%または約10質量%の量で、NSAIDを含むことができ、約3~5%、約3%および約5%を含む量のNSAIDを含み得る。
概して、シリコーン感圧接着剤は、存在する場合、ポリマーマトリックスの乾燥総質量に対して、約1質量%~約99質量%、例えば約50質量%~約99質量%、例えば、約80質量%~約99質量%、例えば約90質量%~約99質量%、例えば約80質量%、約81質量%、約82質量%、約83質量%、約84質量%、約85質量%、約86質量%、約87質量%、約88質量%、約89質量%、約90質量%、約91質量%、約92質量%、約93質量%、約94質量%、約95質量%、約96質量%、約97質量%、約98質量%または約99質量%の範囲で存在し得る。
【0046】
概して、アクリルポリマーは、存在する場合、ポリマーマトリックスの乾燥総質量に対して、約1質量%~約50質量%、例えば約1質量%~約20質量%、例えば、約1質量%~約10質量%、例えば約2質量%、約3質量%、約4質量%、約5質量%、約6質量%、約7質量%、約8質量%、約9質量%または約10質量%の範囲で存在し得る。
概して、アクリルブロックコポリマーは、存在する場合、ポリマーマトリックスの乾燥総質量に対して、約1質量%~約50質量%、例えば約1質量%~約20質量%、例えば、約1質量%~約10質量%、約2質量%、約3質量%、約4質量%、約5質量%、約6質量%、約7質量%、約8質量%、約9質量%または約10質量%の範囲で存在し得る。
【0047】
概して、他のポリマー(例えば、スチレン-イソプレン-スチレンブロックコポリマーなど)は、存在する場合、ポリマーマトリックスの乾燥総質量に対して、約0.1質量%~約50質量%、例えば約0.1質量%~約10質量%、例えば、約0.1質量%~約5質量%、例えば約0.2質量%、約0.3質量%、約0.4質量%、約0.5質量%、約0.6質量%、約0.7質量%、約0.8質量%、約0.9質量%、約1.0質量%、約2質量%、約3質量%、約4質量%または約5質量%の範囲で存在し得る。
概して、浸透エンハンサーは、存在する場合、各々、ポリマーマトリックスの乾燥総質量に対して、約0.1質量%~約10質量%、例えば、約0.1質量%~約5質量%、例えば約0.2質量%、約0.4質量%、約0.6質量%、約0.8質量%、約1.0質量%、約2質量%、約3質量%、約4質量%、約5質量%、約6質量%、約7質量%、約8質量%、約9質量%または約10質量%の量で存在し得る。1種以上のエンハンサーを使用する実施形態において、各々は、本明細書に記載される任意の量(例えば、約0.1%~約10%)で存在し得、または、エンハンサーの総量は、本明細書に記載される量内(例えば、約0.1%~約10%)であり得る。
【0048】
いかなる特定の理論に束縛されるものではないが、本明細書に記載されるポリマーブレンドは、薬物溶解度および薬物送達量の競合する目的および特性で均衡が保たれると考えられる。例えば、シリコーンポリマー系システムは、とても低い(例えば1%)ために長期間にわたる送達を達成するのに十分な量のNSAIDを配合するのは困難である、NSAID(例えば、フルルビプロフェン)に対する溶解度を有し得る。一方、アクリルポリマー系システムは、とても高い(例えば15%)ために非常に高い薬物負荷がシステムから薬物フラックスを達成するのに必要である、NSAID(例えば、フルルビプロフェン)に対する溶解度を有し得る。発明者は、シリコーン系ポリマーならびにアクリルポリマーおよび/またはアクリルブロックコポリマーならびに任意選択でSISブロックコポリマーを含む、本明細書に記載されるポリマーブレンドが、それらの競合する特性で均衡が保たれ、高い薬物負荷がなくても良好な薬物フラックスを達成することを発見している。
【0049】
剥離ライナー
柔軟で有限な形態の組成物は、典型的にはバッキング層と対比してシステムの反対側の面に接して位置する剥離ライナーをさらに含み得る。存在する場合、剥離ライナーは、使用前にシステムから除去して、局所適用前にポリマーマトリックス層を露出する。剥離ライナーとしての使用に適切な材料は、当技術分野で周知であり、市販されており、例えば、ポリエステル剥離ライナーであり、コーティングされたポリエステル剥離ライナーを含む。
【0050】
製造の方法
本明細書に記載される組成物は、当技術分野で公知の方法により調製できる。一ステップとして、本明細書に記載されるポリマーマトリックスは、当技術分野で公知の方法により調製でき、例えば、揮発性有機溶媒などの適切な溶媒の存在下で、粉末または液体状のポリマー成分を、適切な量の薬物と、任意選択で他の賦形剤と、ブレンド(混合)することである。最終生成物を形成するために、薬物/ポリマー/溶媒の混合物は、剥離ライナー上に(任意選択で周囲温度および圧力で)流延し、次いで、例えば室温、わずかに高めた温度で、または、加熱/乾燥ステップにより、揮発性溶媒を蒸発して、剥離ライナー上の薬物含有ポリマーマトリックスを形成し得る。本明細書に記載されるバッキング層を適用して最終生成物を形成し得る。
【0051】
柔軟で有限な形態の、本明細書に記載される組成物の単位最終生成物を調製するための典型的な一般的方法は、以下の通りである:
1.適切な量の1種または複数のポリマー、溶媒および/または共溶媒、ならびに任意選択の賦形剤を組み合わせて、容器内で共にしっかりと混合する。
2.NSAIDを混合物に添加し、薬物がその中で均等に混合されるまで撹拌を実行する。
3.組成物は、制御された特定の厚さで剥離ライナー上にコーティングするコーティング作業に移す。次いで、コーティングされた組成物は、全ての揮発性の処理溶媒を取り除くためにオーブンを通過させる。
4.次いで、剥離ライナーでコーティングされた組成物は、以前調製されたラミネート加工されたバッキング層で接触させて、ロールに巻き取る。
5.適切なサイズおよび形状の送達システムは、ロール材からダイカットし、次いで袋状にする。
上述のように、伸縮可能(および任意選択で柔軟)な閉塞性バッキング層は、本明細書に記載される閉塞性コーティング剤を、例えば、布地バッキング材に適用することにより調製できる。
【0052】
ステップの順番、成分の量および撹拌または混合の量と時間は、組成物で使用される、具体的なポリマー、作用剤、溶媒および/または共溶媒、ならびに、任意選択の賦形剤に依存する重要なプロセス変数であり得るが、これらの因子は、当業者により調節できる。各方法のステップを実施する順番は、本発明を損ねることなく、必要があれば変更できる。
上記の組成物の実施形態のいずれかによれば、最終生成物のサイズは、いくつかの実施形態において、約2cm2~約140cm2であり、5cm2、10cm2、20cm2、25cm2、30cm2、40cm2、50cm2、60cm2、70cm2、75cm2、80cm2、90cm2、100cm2、110cm2、120cm2、130cm2および140cm2を含む範囲である。
【0053】
使用の方法
本明細書に記載される組成物は、例えば、関節リウマチまたは変形性関節症などの関節炎に関係し得る、慢性疼痛または持続性疼痛を含む局所疼痛を処置するための方法を含む、NSAIDの経皮送達のための方法で有用である。このような実施形態において、本明細書に記載される治療有効量のフルルビプロフェンなどのNSAIDを含む組成物は、それを必要とする対象に局所適用される。
いくつかの実施形態において、組成物は、少なくとも約8時間であり、少なくとも約8時間から少なくとも約12時間、少なくとも約24時間またはそれ以上を含む期間にわたって、NSAIDの経皮送達を達成する。
【0054】
本明細書に記載される組成物は、治療効果を発揮するのに十分なNSAID(および/または、1つまたは複数の薬学的に許容されるその塩)の経皮フラックスを達成する。本明細書で使用される場合、「フラックス」(「透過率」ともいう)は、皮膚または粘膜組織を通した薬物の吸収と定義され、拡散のFickの第一法則で説明される:
J=-D(dCm/dx)
式中、Jは、g/cm2/秒でのフラックス、Dは、cm2/秒での皮膚または粘膜を通した薬物の拡散係数、および、dCm/dxは、皮膚または粘膜を横断する薬物の濃度勾配である。
以下の具体的な例には、本明細書に記載される組成物の実例が含まれる。これらの例は、本発明の範囲を制限することを決して意図しない。本発明の他の態様は、本発明が属する当業者には明白であろう。
【実施例0055】
(例1)
伸縮可能で柔軟な閉塞性バッキング層を、SISブロックコポリマー(KRATON(登録商標)D1111)およびHHR粘着剤(ARKON(登録商標)P-100)からなる様々なコーティング剤を、布製バッキング材に適用することにより調製し、バッキング層の水蒸気透過率(MVTR)を評価した。
【0056】
MVTRは、標準的な手順で、例えば、MVTR評価で用いられるカップを使用して測定する。カップは、塩化カルシウムを充填し、秤量し、次いで、バッキング材で密封し、試験する。カップは、40℃/100%RHに設定した多湿チャンバーに設置する。24時間試験を実施して、どの程度の水蒸気がバッキング材を通して多湿雰囲気からカップへ通ったかを評価する。
【0057】
以下の表に報告される結果は、SISブロックコポリマー対HHRの比が増加することで、バッキング層の閉塞性が減少した(MVTRが増加した)ことを示す。
【表1】
【0058】
以下の表に報告される結果は、バッキング材上の閉塞性コーティング剤の厚さが増加することで、バッキング層の閉塞性が増加した(MVTRが減少した)ことを示す。
【表2】

【表3】
【0059】
(例2)
本明細書に記載される伸縮可能で柔軟な閉塞性バッキング層のMVTRでの伸縮の効果を評価し、PIBコーティングされたバッキング層を有する、米国特許第2014/0188056号に記載された柔軟な閉塞性バッキング層と比較した。
【表4】
【0060】
(例3)
伸縮可能で柔軟な閉塞性バッキング層を、SISブロックコポリマー(KRATON(登録商標)D1111)、HHR粘着剤(ARKON(登録商標)P-100)およびPIBポリマー(35:65のOPPANOL(登録商標)B100:B11SFN)からなる様々なコーティング剤を、布製バッキング材に適用することにより調製し、バッキング層の水蒸気透過率(MVTR)を評価した。
【0061】
結果は、閉塞性コーティング剤中にPIBポリマーが含まれることで、バッキング層の閉塞性が増加した(MVTRが減少した)ことを示し、伸縮に対するMVTR抵抗性が、閉塞性コーティング剤中にSISブロックコポリマーおよびHHR粘着剤もまた含むことにより達成したことを示す。
【表5】
【0062】
(例4)
フルルビプロフェンを含むポリマーマトリックスおよび異なるバッキング層を含む経皮薬物送達システムを調製した。
【0063】
以下のポリマーマトリックスを、各システムで使用した:
フルルビプロフェン:5.00%
DURO-TAK(登録商標)87-9900:4.4%
BIO-PSA(登録商標)4502:83.6%
ミリスチン酸イソプロピル:2.0%
オレイン酸:2.0%
ポビドン30:3.0%
【0064】
以下のバッキング層を使用した:(i)PIBコーティングされた布製バッキング、40%SIS/60%HHRコーティングされた布製バッキング、YAKUBAN(登録商標)テープ(株式会社トクホン(東京都港区)による、市販のフルルビプロフェン貼付剤)。
【0065】
システムを様々な条件下で保管し、MVTRを評価した。これらの結果は、SISブロックコポリマーおよびHHR粘着剤を配合した閉塞性コーティング剤でのバッキング層が、PIBポリマーのみを配合した閉塞性コーティング剤でのバッキング層と比較して、加速条件下での保管後、MVTRの増加に対してより抵抗性があったことを示す。これは、本明細書に記載されるバッキング層が、加速条件下での保管後、良好な閉塞性(比較的低いMVTR)を維持したことを意味し、これらが、加速条件下での保管後、許容される薬物フラックスを維持したことを示す。
【表6】
【0066】
室温または加速条件(40℃)下で保管されたシステムからの薬物フラックスを評価した。結果は、図1Aおよび図1Bに示す。図から分かる通り、PIBコーティングされた布製バッキングでのシステムからの薬物フラックスは、室温で6か月保管したシステムからの薬物フラックスと比較して、40℃で6か月保管した後、減少した。(図1A:◆-YAKUBAN(登録商標)テープ、X-PIBコーティングされた布製バッキング(4mg/cm2)(RT、6か月)、●-PIBコーティングされた布製バッキング(4mg/cm2)(40℃、6か月))。一方、SIS/HHRコーティングされた布製バッキングでのシステムからの薬物フラックスは、室温で3か月保管したシステムからの薬物フラックスと比較して、40℃で3か月保管した後、比較的、一定を維持した。(図1B:◆-YAKUBAN(登録商標)テープ、■-40%SIS/60%HHRコーティングされた布製バッキング(5mg/cm2)(RT、3か月)、●-40%SIS/60%HHRコーティングされた布製バッキング(5mg/cm2)(40℃、3か月))。
これらの結果は、本明細書に記載されるバッキング層が、加速条件下での保管後、薬物フラックスの特性を維持することを確証する。
図1A
図1B
【手続補正書】
【提出日】2022-07-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スチレン-イソプレン-スチレンブロックコポリマー(「SIS」)および粘着剤を含む閉塞性ポリマーコーティング剤でコーティングされた伸縮可能なバッキング材を含む、経皮薬物送達システムのための伸縮可能な閉塞性バッキング層。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0066
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0066】
室温または加速条件(40℃)下で保管されたシステムからの薬物フラックスを評価した。結果は、図1Aおよび図1Bに示す。図から分かる通り、PIBコーティングされた布製バッキングでのシステムからの薬物フラックスは、室温で6か月保管したシステムからの薬物フラックスと比較して、40℃で6か月保管した後、減少した。(図1A:◆-YAKUBAN(登録商標)テープ、X-PIBコーティングされた布製バッキング(4mg/cm2)(RT、6か月)、●-PIBコーティングされた布製バッキング(4mg/cm2)(40℃、6か月))。一方、SIS/HHRコーティングされた布製バッキングでのシステムからの薬物フラックスは、室温で3か月保管したシステムからの薬物フラックスと比較して、40℃で3か月保管した後、比較的、一定を維持した。(図1B:◆-YAKUBAN(登録商標)テープ、■-40%SIS/60%HHRコーティングされた布製バッキング(5mg/cm2)(RT、3か月)、●-40%SIS/60%HHRコーティングされた布製バッキング(5mg/cm2)(40℃、3か月))。
これらの結果は、本明細書に記載されるバッキング層が、加速条件下での保管後、薬物フラックスの特性を維持することを確証する。
次に、本発明のまた別の好ましい態様を示す。
1. スチレン-イソプレン-スチレンブロックコポリマー(「SIS」)および粘着剤を含む閉塞性ポリマーコーティング剤でコーティングされた伸縮可能なバッキング材を含む、経皮薬物送達システムのための伸縮可能な閉塞性バッキング層。
2. 伸縮可能なバッキング材が、伸縮可能な布材料である、上記1に記載のバッキング層。
3. 粘着剤が、C5-C9水素化炭化水素樹脂(「HHR」)を含む、上記1に記載のバッキング層。
4. 閉塞性ポリマーコーティング剤が、閉塞性ポリマーコーティング剤の乾燥質量に対して、10~70質量%のHHRを含む、上記3に記載のバッキング層。
5. 閉塞性ポリマーコーティング剤が、閉塞性ポリマーコーティング剤の乾燥質量に対して、10~90質量%のSISを含む、上記3に記載のバッキング層。
6. 閉塞性ポリマーコーティング剤のSIS対HHRの比が、約10:90から約90:10である、上記3に記載のバッキング層。
7. 閉塞性ポリマーコーティング剤のSIS対HHRの比が、約20:80から約80:20である、上記3に記載のバッキング層。
8. 閉塞性ポリマーコーティング剤が、ポリイソブチレンポリマーをさらに含む、上記1に記載のバッキング層。
9. ポリイソブチレンポリマーが、閉塞性ポリマーコーティング剤の最大25質量%の量で存在する、上記8に記載のバッキング層。
10. 閉塞性ポリマーコーティング剤が、約1mg/cm 2 から約15mg/cm 2 のコーティング質量で伸縮可能なバッキング材に適用される、上記1に記載のバッキング層。
11. 閉塞性ポリマーコーティング剤が、約3.5mg/cm 2 から約11mg/cm 2 のコーティング質量で伸縮可能なバッキング材に適用される、上記1に記載のバッキング層。
12. 66%の伸長まで伸縮後、約60g/m 2 /日未満の水蒸気透過率を有する、上記1に記載のバッキング層。
13. 40℃で6か月保管後、約100g/m 2 /日未満の水蒸気透過率を有する、上記1に記載のバッキング層。
14. 上記1に記載の伸縮可能な閉塞性バッキング層および薬物含有ポリマーマトリックスを含む、柔軟で有限なシステムの形態での経皮薬物送達システム。
15. 薬物含有ポリマーマトリックスが、NSAIDを含む、上記14に記載の経皮薬物送達システム。
16. NSAIDが、フルルビプロフェンを含む、上記15に記載の経皮薬物送達システム。
17. 20%の伸長まで伸縮後または40℃で6か月保管後、閉塞性を呈する伸縮可能な閉塞性バッキングを調製するための方法であって、伸縮可能なバッキング材に、スチレン-イソプレン-スチレンブロックコポリマー(「SIS」)および粘着剤を含む閉塞性ポリマーコーティング剤を供給することを含む、方法。
18. 伸縮可能なバッキング材が、伸縮可能な布材料である、上記17に記載の方法。
19. 粘着剤が、C5-C9水素化炭化水素樹脂(「HHR」)を含む、上記17に記載の方法。
20. 閉塞性ポリマーコーティング剤が、閉塞性ポリマーコーティング剤の乾燥質量に対して、10~70質量%のHHRを含む、上記19に記載の方法。
21. 閉塞性ポリマーコーティング剤が、閉塞性ポリマーコーティング剤の乾燥質量に対して、10~90質量%のSISを含む、上記19に記載の方法。
22. 閉塞性ポリマーコーティング剤が、ポリイソブチレンポリマーをさらに含む、上記17に記載の方法。
23. ポリイソブチレンポリマーが、閉塞性ポリマーコーティング剤の最大25質量%の量で存在する、上記22に記載の方法。
24. 閉塞性ポリマーコーティング剤が、約1mg/cm 2 から約15mg/cm 2 のコーティング質量で伸縮可能なバッキング材に適用される、上記17に記載の方法。
25. バッキング層が、66%の伸長まで伸縮後、約60g/m 2 /日未満の水蒸気透過率を有する、上記17に記載の方法。
26. バッキング層が、40℃で6か月保管後、約100g/m 2 /日未満の水蒸気透過率を有する、上記17に記載の方法。
27. 薬物の経皮送達のための方法であって、上記14に記載の経皮薬物送達システムを、それを必要とする対象の皮膚または粘膜に局所適用することを含む、方法。
28. 経皮薬物送達システムが、それを必要とする対象の関節に局所適用される、上記27に記載の方法。
29. 経皮薬物送達システムが、NSAIDを含む薬物含有ポリマーマトリックスを含む、上記27に記載の方法。
30. 経皮薬物送達システムが、フルルビプロフェンを含む薬物含有ポリマーマトリックスを含む、上記27に記載の方法。
31. それを必要とする対象への薬物の経皮送達での使用のための、上記14に記載の経皮薬物送達システム。
32. それを必要とする対象の疼痛または炎症の処置での使用のための、上記15に記載の経皮薬物送達システム。
33. 疼痛または炎症を処置するための医薬の調製での、上記1に記載のバッキング層の使用であって、医薬が、バッキング層およびNSAIDを含む薬物含有ポリマーマトリックスを含む経皮薬物送達システムである、使用。
【外国語明細書】