(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022137123
(43)【公開日】2022-09-21
(54)【発明の名称】インテークプラズマ発生システム及び方法
(51)【国際特許分類】
F02M 27/04 20060101AFI20220913BHJP
F02B 51/04 20060101ALI20220913BHJP
H05H 1/24 20060101ALI20220913BHJP
【FI】
F02M27/04 C
F02B51/04
H05H1/24
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022104663
(22)【出願日】2022-06-29
(62)【分割の表示】P 2021531618の分割
【原出願日】2019-08-09
(31)【優先権主張番号】62/716,531
(32)【優先日】2018-08-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】521059860
【氏名又は名称】スライバルテック エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】THRIVALTECH,LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ヒル、ギャレット
(57)【要約】
【課題】改良されたインテークプラズマ発生システム及び方法を提供する。
【解決手段】プラズマアクチュエータ、誘電体バリア放電電極、又はその両方を含むプラズマ発生器は、吸気ストリーム内に配置される。プラズマアクチュエータは、プラズマ発生器の内面に配置され、吸気ストリームに露出する。誘電体バリア放電電極は、吸気ストリーム内に突出する。プラズマ、好ましくはDBDプラズマ、グロープラズマ、又はフィラメントプラズマは、空気の吸気ストリームで生成され、ストリーム中でラジカルを生成し、ストリーム中でラジカルを混合し、抵抗を減らしながら、吸気ストリーム中の空気の推力を増加させる。同心シリンダをプラズマ発生器内にさらに配置することができ、プラズマアクチュエータ、誘電体バリア放電電極、又はその両方をさらにシリンダの内面及び外面に配置することができる。
【選択図】
図14B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸気ストリームに連結された燃焼室を有する内燃機関(ICE)用のインテークプラズマ発生器であって、
少なくとも部分的に前記吸気ストリームの基端側に配置された第一及び第二の誘電体バリア放電(DBD)電極を含み、
前記第一のDBD電極は、非熱プラズマを発生させ、
前記第一及び第二のDBD電極は、吸気ストリーム中の反応領域に複数の酸化体を生成し、前記複数の酸化体は、前記吸気ストリームの物質を処理して、前記燃焼室内の燃焼効率を高め、
前記第一のDBD電極はプラズマアクチュエータである、インテークプラズマ発生器。
【請求項2】
前記第一のDBD電極の上流側で、前記プラズマ発生器の内壁上に円周方向に配置されたプラズマアクチュエータをさらに備える、請求項1に記載のインテークプラズマ発生器。
【請求項3】
前記第一のDBD電極の壁は、前記壁の外側に配置された第一の高電圧電極の接地電極である、請求項1に記載のインテークプラズマ発生器。
【請求項4】
前記第二のDBD電極の壁は、前記第二のDBD電極の壁の外側に配置された第二の高電圧電極の接地電極である、請求項3に記載のインテークプラズマ発生器。
【請求項5】
第三のDBD電極をさらに備え、前記第一、第二、及び第三の電極は、前記吸気ストリーム中に配置されて、前記吸気ストリームを通過する物質のカルマン渦列の流体不安定性を相互に補償する、請求項1~4のいずれか一項に記載のインテークプラズマ発生器。
【請求項6】
前記第一及び第二のDBD電極は、前記各電極の最大長さに沿った軸をそれぞれ有し、前記第一及び第二のDBD電極は、各軸が前記吸気ストリーム中の物質の流れに垂直な状態で前記吸気ストリーム中に配置される、請求項1に記載のインテークプラズマ発生器。
【請求項7】
前記第一及び第二のDBD電極は、壁を含む管状である、請求項1~6のいずれか一項に記載のインテークプラズマ発生器。
【請求項8】
燃焼室に連結された吸気ストリームを有する内燃機関(ICE)用のインテークプラズマ発生器であって、
前記インテークプラズマ発生器の内壁上に円周方向に配置され、前記吸気ストリーム内に配置され且つ少なくとも部分的に前記吸気ストリームに露出された第一のプラズマアクチュエータと、
前記インテークプラズマ発生器の内面に配置され、前記吸気ストリーム内に配置され且つ少なくとも部分的に前記吸気ストリームに露出されたDBD電極と、を備え、
前記第一のプラズマアクチュエータ又はDBD電極は、前記吸気ストリーム中に複数のラジカルを生成し、前記複数のラジカルは、前記燃焼室における燃焼効率を高め、
前記プラズマ発生器は、前記ICEの排気再循環(EGR)の上流に配置され、前記DBD電極は、第二のプラズマアクチュエータである、インテークプラズマ発生器。
【請求項9】
前記インテークプラズマ発生器内に配置され、前記インテークプラズマ発生器の一部に平行に配置されたシリンダをさらに備え、前記シリンダは、前記シリンダの表面の周囲に第二のプラズマアクチュエータを備え、前記シリンダは前記複数のラジカルの混合を誘発する、請求項8に記載のインテークプラズマ発生器。
【請求項10】
前記第一のプラズマアクチュエータは非熱プラズマを生成する、請求項8又は9に記載のインテークプラズマ発生器。
【請求項11】
電気的に遮蔽され、前記インテークプラズマ発生器に連結された回路筐体をさらに含み、前記電気的に遮蔽された回路筐体は、接地ワイヤ及び高電圧変圧器用の高電圧ワイヤを取り囲む、請求項8~10のいずれか一項に記載のインテークプラズマ発生器。
【請求項12】
前記プラズマ発生器のリアクタチャンバは接地されている、請求項11に記載のインテークプラズマ発生器。
【請求項13】
前記第一のプラズマアクチュエータ又は前記DBD電極のうちの少なくとも1つは、プラズマを使用して前記吸気ストリームに推力を生成する、請求項8~12のいずれか一項に記載のインテークプラズマ発生器。
【請求項14】
前記第一のプラズマアクチュエータは、前記DBD電極の上流側で、前記内面の円周方向に沿って埋め込まれている、請求項8~13のいずれか一項に記載のインテークプラズマ発生器。
【請求項15】
電力送達モジュールは、前記インテークプラズマ発生器のリアクタへのブラインドメイト接続を有する、請求項8~14のいずれか一項に記載のインテークプラズマ発生器。
【請求項16】
第一及び第二の電力送達モジュールは、前記第一のプラズマアクチュエータ及び第二のプラズマアクチュエータに独立して電力を供給する、請求項8~15のいずれか一項に記載のインテークプラズマ発生器。
【請求項17】
前記シリンダは、前記シリンダから半径方向に延びる構造部材によって支持され、前記構造部材は、電極を含む、請求項9に記載のインテークプラズマ発生器。
【請求項18】
ICE装置の空気の吸気ストリームに構造的に一体化されている、又は別個に追加されている、請求項8~17のいずれか一項に記載のプラズマ発生器を含むシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の分野は、プラズマ発生システムである。
【背景技術】
【0002】
背景の説明は、本発明の理解に有益であり得る情報を含む。これは、本明細書で提供される情報の何れかが先行技術であること、本願で特許請求される本発明に関係していること、又は具体的若しくは黙示的に言及された何れかの刊行物が先行技術であることを認めるものではない。
【0003】
内燃機関(ICE:internal combustion engines)は、本質的に汚染物質を排出するが、これは、長年の問題であり、排出ガス制御技術、例えば業界標準の触媒の開発により、その低減が模索されている。しかしながら、触媒及び他の排出ガス制御技術は、一部の汚染物質排出の低減に有効であることが分かっているものの、このような技術は、ICEの全動作温度で機能できるわけではない。
【0004】
既知の排出ガス制御技術には、放電被毒(discharge poisoning)のために酸化体生成範囲が限定的であること、及び該当する場合には吸気ストリームの内部のプラズマ発生器の外壁における摩擦抵抗が高いという問題がある。さらに、既知の方法では、ICE装置の燃焼室に引き込まれる空気の成分の混合があまりうまくいかない。さらに、既知の技術は、一般に、平均的な消費者が、ICE装置の効率を改善するために設計されたシステムにアクセスする、同システムを組み立てる若しくは保守するには技術的に高度でありすぎるか、又はモジュール性を欠いている。
【0005】
本明細書に記載の刊行物のすべては、それぞれの個々の刊行物又は特許出願が具体的且つ個別に参照により援用されると明示されているかのように、参照により援用される。援用された参考文献内のある用語の定義又は使用が、本明細書で提供されるその用語の定義と矛盾するか又は異なる場合、本明細書において提供されるその用語の定義が適用され、参照文献内のその用語の定義は、適用されない。
【0006】
以下の説明は、本発明の理解に有益であり得る情報を含む。これは、本明細書で提供される情報の何れかが先行技術であること、本願で特許請求される本発明に関係していること、又は具体的若しくは黙示的に言及された何れかの刊行物が先行技術であることを認めるものではない。
【0007】
幾つかの実施形態において、本発明の特定の実施形態を説明及び特許請求するために使用される成分の量、濃度等の特性、反応条件などを表す数は、場合により「約」という用語で修飾されると理解されたい。したがって、幾つかの実施形態において、本明細書及び添付の特許請求の範囲に記された数値パラメータは、概数であり、特定の実施形態によって得ようとする所望の特性に応じて変化し得る。幾つかの実施形態において、数値パラメータは、報告された有効桁数に照らし、通常の丸め法を適用することによって解釈されるべきである。本発明の幾つかの実施形態の広い範囲を示す数値範囲及びパラメータは、概数であるものの、特定の例において示される数値は、できるだけ正確に報告される。本発明の幾つかの実施形態において提示される数値は、それぞれの試験測定に見られる標準偏差から必然的に生じる特定の誤差を含み得る。
【0008】
本明細書中及びそれに続く特許請求の範囲全体を通して使用されるとき、「1つの(a)」、「1つの(an)」及び「その(the)」の意味は、文脈上明らかに異なる解釈が必要でない限り、複数への言及を含む。また、本明細書で使用されるとき、「内(in)」の意味は、文脈上明らかに異なる解釈が必要でない限り、「内(in)」及び「上(on)」を含む。
【0009】
本明細書中の数値範囲の引用は、その範囲に含まれる別々の値の各々に個別に言及するための簡略的方法としての役割を果たすにすぎないものとする。本明細書に別段の明記がない限り、個々の値は、それぞれ本明細書で個別に引用されているかのように本明細書に含まれる。本明細書に記載のすべての方法は、本明細書中に別段の明記がない限り又は文脈上明らかに矛盾しない限り、何れの適当な順序で行うこともできる。本明細書において特定の実施形態に関して提供されるいかなる例又は例示的用語(例えば、「等」)の使用も、本発明をより明らかにしようとするものにすぎず、他に特許請求される本発明の範囲を限定しない。本明細書中の何れの文言も、本発明の実施にとって必要である要素であって、特許請求されていない何れかの要素を示すと解釈すべきではない。
【0010】
本明細書で開示されている本発明の代替的要素又は実施形態の分類は、限定と解釈されないものとする。各群の構成要素は、個別に又はその群の他の構成要素若しくは本明細書に記載されている他の要素との何れの組合せでも言及及び特許請求され得る。ある群の1つ以上の構成要素は、便宜上且つ/又は特許性の点から、ある群に含めるか又はそれから除外することができる。このような何れかの包含又は削除が行われた場合、本明細書は、変更後のその群を含み、したがって添付の特許請求の範囲で使用されるすべてのマーカッシュ分類の記載を満たすと本明細書においてみなされる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
したがって、酸素及び窒素ラジカルで燃焼効率を増大させ、システム内の抵抗を低減させるための改善されたプラズマ、ラジカル及び酸化体発生システム及び方法が依然として求められている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の主題は、インテーク(intake)プラズマ発生器が、少なくとも部分的に内燃機関の吸気ストリームの基端側、例えばICEエンジンの上流の吸気ストリーム中、に配置された2つのプラズマアクチュエータ(例えば、2つの誘電体バリア放電(DBD:dielectric barrier discharge)電極)を有する、装置、システム及び方法を提供する。2つのDBD電極は、例えば、吸気ストリーム中の反応領域について複数の酸化体を生成する。複数の酸化体は、吸気ストリーム中の物質を処理して、吸気ストリームの下流のICEエンジンのシリンダ又は燃焼室内の燃料の燃焼効率を向上させる。
【0013】
一般に、第一及び第二のDBD電極は、管状であり、且つ管状壁を有する。しかしながら、幾つかの実施形態において、DBD電極の少なくとも一方(好ましくは両方)は、プラズマ発生器の内部表面、例えばプラズマ発生器内の誘電体表面に取り付けられた(例えば、誘電材料に埋め込まれた)プラズマアクチュエータである。幾つかの実施形態において、第一及び第二のDBD電極は、グライディングアークプラズマ及びDBDプラズマを含むハイブリッドプラズマを反応領域内で発生させるが、プラズマの追加的な組合せ、例えば非熱プラズマ(例えば、フィラメントプラズマ、グロープラズマ等)又はその組合せが想定される。好ましい実施形態において、反応領域は、DBD又は非熱プラズマである。
【0014】
DBD電極の壁は、壁の外側に配置された第一の高電圧電極のための接地電極としての役割を果たすこともできる(例えば、第一のDBD電極は、第一の高電圧電極のための接地電極である等)。幾つかの実施形態において、アークプラズマ放電は、第一のDBD電極及び第一の高電圧電極の壁にわたって発生するが、非熱プラズマ、DBDプラズマ、グロープラズマ又はフィラメントプラズマも放電され得ることが想定される。
【0015】
同様に、第二のDBD電極の壁は、壁の外側に位置付けられた第二の高電圧電極のための接地電極であり得、第一及び第二の高電圧電極(誘電材料なし)にわたるアークプラズマ放電、若しくは第一及び第二のDBD電極壁(例えば、誘電材料あり)にわたる非熱プラズマ放電又はその組合せが発生する。幾つかの実施形態において、第一のプラズマ放電(例えば、非熱プラズマ、DBDプラズマ、グロープラズマ又はフィラメントプラズマ、稀にアークプラズマ)は、第一及び第二のDBD電極壁にわたって発生する一方、第二のプラズマ放電は、第三の電極の壁並びに第一及び第二のDBD電極の何れか(又は両方)の壁にわたって発生する。第二の放電は、第一の放電より大きい電圧のものであり得ることが想定される。
【0016】
好ましくは、DBD電極(1つ、2つ、3つ、6つ以上、21以上等)は、吸気ストリーム中に配置されて、吸気ストリームを通過する物質(例えば、空気、空気/燃料混合物等)のカルマン渦列の流体不安定性を補償する。別の視点から見ると、DBD電極は、発生器の長さに沿った軸をそれぞれ有し、DBD電極の(少なくとも)幾つかは、その軸が吸気ストリーム中の流れに垂直な状態で吸気ストリーム中に配置される。
【0017】
第一のDBD電極の上流の吸気ストリーム中に配置されたプラズマアクチュエータも想定され、それにより、プラズマアクチュエータは、吸気ストリームを通過する物質を帯電させ、荷電物質を第一のDBD電極に向けて加速させる。幾つかの実施形態において、プラズマアクチュエータ(又は複数のプラズマアクチュエータ)は、本発明の主題のプラズマ発生器の上流、下流又は反応領域内に配置される。本発明の主題のプラズマアクチュエータは、DBDプラズマ、グロープラズマ又はフィラメントプラズマを発生させることができる。別の視点から見ると、幾つかのプラズマアクチュエータは、DBD電極でもある。例えば、プラズマアクチュエータは、プラズマ発生器の内面(例えば、プラズマ発生器の内部に露出されて、吸気ストリームに露出されて、吸気ストリーム中の空気に露出されて等)に点として、又は不規則(例えば、ランダム)若しくは規則的(例えば、均一、反復、幾何学的等)パターンとして埋め込まれ得る。幾つかの実施形態において、プラズマアクチュエータ、より好ましくは複数のプラズマアクチュエータは、DBD電極を追加することなく使用される。
【0018】
本発明の主題は、非熱誘電体バリア放電プラズマがICEエンジンの吸気ストリーム中の空気においてラジカル酸化体を生成することを想定し、これは、エンジンのシリンダ又は燃焼室の内部の燃料の燃焼を向上させる。これは、向上した効率、より高い出力及びより低い排出を促進する。本発明の主題は、有利には、コールドスタート状態で排出ガスを減少させ、これは、排ガス触媒のライトオフ温度より低い温度で動作する既知の排出ガス制御技術がないように思われるため、重要である。
【0019】
本発明の主題は、非熱誘電体バリア放電プラズマが、好ましくは、ICEエンジンの吸気ストリーム中の電子及び陽イオンを加速させることにより、周囲の空気に対する推力を発生させ、これが中性の空気分子を取り込むことをさらに想定する。これは、向上した効率、より高い出力及びより低い排出をさらに促進する。
【0020】
本発明の主題の様々な目的、特徴、態様及び利点は、添付図面の図とともに好ましい実施形態の以下の詳細な説明からより明らかとなり、図中、同様の番号は、同様の構成要素を表す。
【0021】
以下の定義は、本発明の主題の技術分野において有益である。
DBD:電子に対するイオン/気体/中性粒子の温度間で非平衡状態であるフィラメント又はグロー型プラズマによる誘電体バリア放電。
【0022】
アーク放電:電子に対するイオン/気体/中性粒子の温度間で平衡状態に近いアークプラズマ放電。
ハイブリッドプラズマ:同じ反応領域内における、又は相互に近接する反応領域内における2種類以上のプラズマ。
【0023】
ラジカル:酸化体。
O3:オゾン。
NO:一酸化窒素。
【0024】
NO2:二酸化窒素。
DOC:ディーゼル酸化触媒。
DPF:ディーゼル微粒子捕集フィルタ。
【0025】
電気フィードスルー:絶縁体及び実装機構を含む電極。
コアンダ効果:流れの中で表面に付着する、巻き込まれた流れ。
放電被毒:過剰なエネルギーがプラズマ発生器に供給され、過剰な熱によって酸化体の生成が減少すること。
【0026】
プラズマアクチュエータ:空気の荷電粒子種を加速させるプラズマ発生器。
内燃機関(ICE):レシプロ、ロータリ、タービン、ジェット及びロケットエンジンを含むあらゆる燃焼機関。
【0027】
インテークカウル:ジェットタービンの圧縮ステージに入るところ。
コールドスタート:エンジンが周囲/環境温度から始動されること。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図2A-2C】本発明の主題の電極の周囲の物質の流れを示す図である。
【
図3】本発明の主題のインテークプラズマ発生器内の電極アレイの断面図である。
【
図4】本発明の主題のインテークプラズマ発生器内の他の電極アレイを示す図である。
【
図5A-5B】本発明の主題のインテークプラズマ発生器を示す図である。
【
図6】本発明の主題の電極間の放電を示す図である。
【
図8】本発明の主題の他の電極アレイを示す図である。
【
図9】本発明の主題の別の電極アレイを示す図である。
【
図10】本発明の主題の他のインテークプラズマ発生器を示す図である。
【
図11】本発明の主題のシステムの概略を示す図である。
【
図12】本発明の主題の他のシステムの概略を示す図である。
【
図13】本発明の主題のプラズマ発生器の動作の概略を示す図である。
【
図14A-14C】本発明の主題のまた別のプラズマ発生器を示す図である。
【
図14D】本発明の主題のプラズマ発生器の構成要素を示す図である。
【
図14E】本発明の主題のプラズマ発生器の他の構成要素を示す図である。
【
図15A】本発明の主題のさらに別のプラズマ発生器を示す図である。
【
図15B】本発明の主題のプラズマ発生器の一部を示す図である。
【
図15C】本発明の主題のプラズマ発生器の他の部分を示す図である。
【
図16A-16C】本発明の主題のプラズマ発生器のまた別の構成要素を示す図である。
【
図17】エアインテーク部品に組み込まれた本発明の主題のプラズマ発生器を示す図である。
【
図18】他のエアインテーク部品に組み込まれた本発明の主題のプラズマ発生器を示す図である。
【
図19】本発明の主題のプラズマ発生器を2つ搭載するシステムを示す図である。
【
図20】また別のエアインテーク部品に組み込まれた本発明の主題のプラズマ発生器を示す図である。
【
図21】さらに別のエアインテーク部品に組み込まれた本発明の主題のプラズマ発生器を示す図である。
【
図22A-22B】ジェットタービンエンジンに組み込まれた本発明の主題のプラズマ発生器を示す図である。
【
図23A-23B】本発明の主題のさらに別のプラズマ発生器を示す図である。
【
図24】本発明の主題のプラズマ発生器のまた別の構成要素を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明の主題の方法、システム及び機器は、ICEエンジンの吸気ストリーム中央の内部での混合を促進するために、同心円筒チャンバを使用する。絶縁体(例えば、誘電材料等)上の表面特徴物及び電極表面は、吸気ストリーム中の空気の混合を増強するために利用され、吸気ストリーム中の酸化体の発生を促進する。プラズマ発生器の内部の所与のエリア(例えば、反応領域)内のプラズマの量を最大にするための、吸気ストリーム中(例えば、プラズマ発生器の内壁、同心円筒チャンバの内壁及び外壁等の上)のパターン化された電極アレイである。高電圧電界も、正確な流れベクトル(flow vectoring)と共に吸気ストリームに推力を付与するために使用される。ブラインドメイトコネクタ及び他のユーザフレンドリなコネクタが構成部品間(例えば、電源モジュールと電極との間等)に使用され、それにより、本発明の主題の実施形態は、使用しやすく、ユーザフレンドリであり、組立及び保守時に安全なものとなる。
【0030】
好ましい実施形態において、機器の構成要素は、自己接地型であり、高電圧配線及び接続の少なくとも一部(好ましくは全部)を外部システムから遮蔽し、それにより、動作中にプラズマ発生器と接触しても安全である。プラズマ発生器は、好ましくは、外部の電気、制御又は通信システムとの電気的干渉からさらに遮蔽される。例えば、幾つかの実施形態において、少なくとも幾つか(好ましくは全部)の高電圧構成要素は、プラズマ発生器(例えば、リアクタ)の筐体に取り付けられて遮蔽される。幾つかの実施形態において、複数のモジュラ電源が使用され、これらは、一緒に絶縁電極群に電源供給し(例えば、モジュラ電源と電極群との比は、1:1、1:2、1:3、1:4、1:5、1:10又は1:20等である)、それにより、1つのモジュラ電源と電極群とのペアが故障しても、他のモジュラ電源及びペアの電極群がバックアップとして動作するように利用可能である。幾つかの実施形態において、このようなモジュラ電源及びペアの電極群は、故障した電源と電極とのペアを補償するために通常の動作時より高い電力又は電圧、例えば通常の動作パラメータの110%、120%、130%、140%、150%、200%又はそれを超えて動作できる。不良な電源、電源コントローラ又は電極インサートも、同様に、プラズマ発生器の他の電力送達モジュール、電源コントローラ又は電極インサートの性能に影響を与えずに取り外し、交換することができる。
【0031】
プラズマ発生器(例えば、リアクタ)は、好ましくは、ICEエンジンの吸気ストリーム中の排気再循環(「EGR」:exhaust gas recirculation)の上流に配置されて、例えば水蒸気及び微粒子状物質(例えば、煤)等による絶縁体及び他のプラズマ発生器の構成要素の汚染の可能性を排除する。さらに、リアクタ/プラズマ発生器内の絶縁体は、好ましくは、釉薬を施したトップコートを有して、排気ガスの成分又はICEエンジンのエアインテークの内部の他のあらゆる液体、気体及び/又は微粒子状物質に対して少なくとも半透過性、好ましくは不透過性とされる。幾つかの実施形態において、センサは、プラズマ発生器の内部のプラズマ又は吸気ストリーム中の圧力差(若しくは電圧フィードバック又はそれらの両方)を検出し、電源コントローラは、プラズマ発生器の電極の放電を変化させて、圧力差(若しくは電圧フィードバック又はそれらの両方)を補償する。
【0032】
図1は、本発明の主題の電極の断面図である。
図1は、管の途中の断面100を示し、内部導体110及び誘電体層120を有する。内部導体110は、好ましくは、少なくとも部分的に(より好ましくは全体的に)ステンレススチール、ニッケル、チタン、銅、タングステン若しくはアルミニウム又はそれらの組合せで製作される。誘電体層120は、好ましくは、少なくとも部分的に石英、セラミック(例えば、アルミナセラミック)、マイカ、バリウム、チタン、チタン酸ストロンチウム、共役ポリマ、チタン酸カルシウム銅又はそれらの組合せで製作され、好ましくは無孔である。好ましい実施形態において、内部導体110の直径は、約1mmであるが、0.5mm、2mm、3mm及び5mmの直径も想定される。同様に、誘電体層の外壁から測定された誘電体層120の直径は、好ましくは、約5mmであり、常に内部導体110の直径より大きい。
【0033】
図2aは、ICEエンジンの吸気ストリーム中における、本発明の主題の電極210aの周囲の物質(例えば、空気)の流れを示す。電極210aの直後の下流に分離点220aがあり、ここで、電極210aを越えて左から右に流れる物質(例えば、空気)が電極から分離する。分離点220aの下流に後流領域230aがあり、これは、電極の下流の物質の流れにおける乱流を示す。この実施形態において、後流領域230a中の物質は、大きく乱れ、電極を越えた物質の流れの抵抗が増大し、混合ダイナミクスが非対称となる。電極220aの形状及び表面輪郭並びに他の電極の間隔及び配置を調整して、抵抗を増減させ、また電極の下流に非対称の混合ダイナミクス、対称の混合ダイナミクスを誘導するか、又は混合ダイナミクスを誘導しないようにすることができる。
【0034】
図2bは、ICEエンジンの吸気ストリーム中における、本発明の主題の電極210bの周囲の物質(例えば、空気)の流れを示し、物質の流れは、
図2aと比較して低減した抵抗及び後流領域230b内の対称の混合ダイナミスクを示し、分離点220bは、
図2a及び分離点220aと比較して小さい。
【0035】
図2cは、ICEエンジンの吸気ストリーム中における、本発明の主題の電極210cの周囲の物質(例えば、空気)の流れを示し、物質の流れは、
図2bと比較して低減した抵抗を示し、後流領域230c内に混合ダイナミスクがなく、分離点220cは、
図2bと比較してさらに小さい。
【0036】
図3は、本発明の主題のインテークプラズマ発生器内の電極310のアレイ300a及び300bの断面図であり、各アレイは、異なる流動ダイナミクスを示す。管断面流路面積320a及び320bは、アレイを通して各電極の管の内側及び外側の両方を流れる物質(例えば、気体、液体、固体、プラズマ、それらの組合せ)についての流れ特性(背圧、流速、動的形状、渦周波数)を特定するように調整される。例えば、断面流路面積320aは、断面流路面積320bより小さく、アレイを通る物質のより制約された流れを生じさせる。
【0037】
図4は、本発明の主題のインテークプラズマ発生器の電極のアレイ400a、400b、400c及び400dを示し、各アレイは、異なる流動ダイナミスクを示す。ここで、アレイ400aは、正方形90°構成であり、アレイ400bは、正方形45°構成であり、アレイ400cは、三角形30°構成であり、及びアレイ400dは、三角形45°構成である。管(電極)アレイ構成は、管のそれぞれの隣接する管に関する相関位置に応じて混合及び抵抗を促進又は縮小することができる。
【0038】
図5Aは、本発明の主題のインテークプラズマ発生器500の電極(管)のアレイ530の正面図を示し、各管の軸が吸気ストリーム中の物質(例えば、空気)の流れに垂直になるように配置されている。プラズマ発生器500は、筐体510を含み、そのリム520は、インテークプラズマ発生器500の吸気ストリーム中に配置された電極のアレイ530への流れを提供する。
図5Bは、プラズマ発生器500の別の図を示し、
図5Aのインテークプラズマ発生器500の断面斜視図である。
【0039】
図6は、本発明の主題のインテークプラズマ発生器600のそれぞれの電極(管)620の各々の外側誘電体層表面610間のDBD放電630を示す。DBD放電630は、インテークプラズマ発生器を通る物質(例えば、空気)の流れ中に酸化体を生成する。
【0040】
図7は、本発明の主題のインテークプラズマ発生器で使用される他の実施形態である電極700を示す。電極700は、電極(管)720の外側誘電体層722を取り囲む第二の高電圧電極710を含む。第二の高電圧電極710は、上流の穿孔712及び下流の穿孔714も含み、これらにより、吸気ストリーム中の物質(空気)が穿孔を通して流れることができ、これらの物質は、誘電体層722と第二の高電圧電極710との間のプラズマ放電730(典型的には非熱プラズマ、DBD又はハイブリッドプラズマ、好ましくはDBD、フィラメント又はグロープラズマ)にさらされる。
【0041】
図8は、電極(管)700a及び700bのアレイ800を示し、各々が
図7に示されるような第二の高電圧電極(穿孔あり)によって取り囲まれている。この配置では、誘電体層と各ペアの第二の高電圧電極との間のアークプラズマ放電(又はDBD、又はハイブリッドプラズマ、又はフィラメント、又はグロープラズマ)に加えて、各ペアの穿孔された第二の高電圧電極間にアークプラズマ放電(又はDBD、又はハイブリッドプラズマ)810が起こる。
【0042】
図9は、本発明の主題のインテークプラズマ発生器の1つの実施形態において、各発生器910間に発生する第一及び第二のプラズマ放電920及び922(例えば、非熱プラズマ、フィラメントプラズマ、グロープラズマ、DBDプラズマ等)とともに電極(管)910の900アレイを示し、物質(例えば、空気)は、矢印Aの方向に流れる。業界標準のプラズマ改質器は、1つの電圧で動作する単一の放電を有する。より多くの酸化体を生成する必要がある場合、単純により多くの電力を追加することのみによる酸化体の増加範囲は、限定的であり、これは、例えば、酸化体生成効率を低下させる排熱に起因する。しかしながら、本発明の主題は、より多くの酸化体を生成する必要がある場合、より高い電圧で動作する(例えば、第一の放電(30kv、20kv、10kv、5kv等未満)より高い電圧(例えば、30kv、40kv、50kv又は60kv等より高い)の第二の放電)、複数の放電地点(例えば、第一の放電920及び第二の放電922等)を想定する。
【0043】
図10は、本発明の主題の電極アレイを含むインテークプラズマ発生器の代替的な実施形態を示し、これは、電極アレイ(パターン化された管)の上流に配置されたプラズマアクチュエータ(アクチュエータ外部電極及びアクチュエータ内部電極を含む)をさらに含む。プラズマ発生器1000は、筐体1010を含み、それには、ICEエンジンのインテークにおいて、上流の開口1014を通り、アクチュエータ内部電極1032を通過し、電極アレイ(パターン化された管)1020を通り、下流の開口1016から出る空気の流れを受けるための流路1012がある。高電圧AC及び/又はDCは、電極アレイ1020の管の表面と、アクチュエータ電極1030及び1032との間に印加され、気体の流れを取り込んでよりコヒーレントとなる。この効果は、管上の前面抵抗を低減させるのに有益である。アクチュエータ外部電極1030は、上流開口1014の外側に円周方向に配置され、プラズマ放電を隔離するために誘電体基板内に埋め込まれる。アクチュエータ内部電極1032は、上流開口1014の内側表面に円周方向に配置され、電極の縁にプラズマを発生させて、空気の流れに推進力を付与し、管アレイ1020上の前面抵抗を有効に低減させる。管アレイ1020は、プラズマ発生器1000の空気のストリーム中に配置され、酸化体を生成して、これを空気のバルク流と混合させる。
【0044】
図11は、本発明の主題のシステム1100の概略図を示し、これは、ICE1120の吸気ストリーム中で動作するインテークプラズマ発生器1110を含む。空気は、矢印Aで示される方向においてインテークプラズマ発生器1110内に入り、それを通して流れる。インテークプラズマ発生器1110は、空気を混合し、推力/空気の流れを増大させ、空気流中に一貫した分布の酸化体を生成する。酸化体を含む空気流は、矢印Bで発生器1110から出て、ICE1120内に(例えば、インテークマニホルドからシリンダに)流れる。酸化体を含む空気流は、ICE1120の燃焼特性を改善し、排ガスは、矢印Cで排出される。システム1100は、発生器1110を有さずに動作するシステムと比較してICE1120の効率を向上させ、出力を増大させ、排出ガスを低減させる。
【0045】
図12は、本発明の主題のシステム1200の概略図を示し、これは、ICE1240の吸気ストリームA中で動作するインテークプラズマ発生器1210を含む。空気は、矢印Aの方向においてプラズマ発生器1210内に入り、それを通して流れる。プラズマ発生器1210は空気を混合し、推力/空気の流れを増大させ、プラズマを用いて空気流中に一貫した分布の酸化体を生成する。酸化体を含む空気流は、矢印Bで発生器1210から出て、プレナム/マニホルド1230内に流れ、これは、流れをICE1240に(例えば、シリンダに)さらに分配する。矢印Bにおける酸化体を含む空気流は、ICE1240の燃焼特性を改善する。発生器1210は、EGR1220の上流に配置される点にも留意すべきであり、これにより、発生器1210が水分、微粒子状物質(例えば、煤)又はICE1240に再循環されるEGR1220からの他の汚染物質で汚染されることを回避する。システム1200は、発生器1210を有さずに動作するシステムと比較してICE1240の効率を向上させ、出力を増大させ、排出が図を低減させる。
【0046】
図13は、本発明の主題のプラズマ発生器1310の動作の概略
図1300を示す。プラズマ発生器1310は、電力送達モジュール1322、1324及び1326を含み、その各々は、独立して、プラズマ発生器1310内のそれぞれ絶縁された電極アレイ1332、1334及び1336に電気的に連結される。電力送達モジュール1322、1324及び1326の各々は、概略図中の破線、点線及び二点鎖線によって示されるようなICEエンジンの動作ステージA、B及びCで絶縁された電極アレイ1332、1334及び1336を別々に駆動する。
【0047】
ステージAは、ICEエンジンのコールドスタートである。ステージA中、電力送達モジュール1322、1324及び1326の各々は、絶縁された電極アレイ1332、1334及び1336に電力を供給して、空気流中にプラズマ(例えば、DBD、アーク、ハイブリッド等)、好ましくはDBDを発生させる。これは、プラズマ発生器1310を通り、ICEエンジン(例えば、エンジンのシリンダ)に入る空気流の推力を増大させ、酸化体及び他のラジカルを空気流中に導入し、空気流を混合して、酸化体及びラジカルの安定した混合物を生成する。推力の増大及び酸化体/ラジカルの混合は、コールドスタート時のICEエンジンの出力及び効率を大幅に向上させ、且つエンジンの汚染物質排出を実質的に低減させる。なぜなら、エンジン内の排ガス削減のための触媒は、ICEエンジンの熱平衡に到達するまで十分に又は最適に機能しないからである。
【0048】
ステージBは、ICEエンジンの動作の、エンジンが熱平衡に近づきつつあるコールドスタート後のステージである。ステージB中、電力送達モジュール1322及び1326の各々は、絶縁された電極アレイ1332及び1336に電力を供給して、空気流中にプラズマ(例えば、DBD、アーク、ハイブリッド等)、好ましくはDBDを発生させる。これも同様に推力及び空気流中に存在する酸化体/ラジカルを増大させ、それは、ICEエンジンの出力及び効率を向上させ、且つ有害排出ガスを大幅に低減させる。ステージCは、ICEエンジンの動作の、エンジンが熱平衡に到達した熱平衡後のステージである。このステージでは、電力送達モジュール1322のみが、絶縁された電極アレイ1332に電力を送達して、プラズマを発生させ、それが推力及び空気流中の酸化体/ラジカルの存在を増大させる。
【0049】
図14Aは、本発明の主題のプラズマ発生器1400の分解図を示し、これは、電源筐体1410、リアクタ本体1420及び絶縁体電極インサート1430を含む。組み立てた状態で、絶縁体電極インサート1430は、リアクタ本体1420内に入れられ(矢印A)、電源筐体1410は、リアクタ本体1420の周囲を取り込む(矢印B)。電源筐体1410は、電力送達モジュール1412、1414及び(図示されていない)1416を含む。リアクタ本体1420は、リアクタ回路1422、1424及び(図示されていない)1426を含み、これは、発生器1400が動作可能な形態であるとき、電力送達モジュール1412、1414及び1416の各々に連結される。絶縁体電極インサート1430は、例えば、
図13において開示される方法において、入れ子状の絶縁された電極アレイ1432、1434及び1436(図示せず)を含む。絶縁された電極アレイ1432、1434及び1436の各々は、例えば、電気フィードスルーポート1432を介してそれぞれリアクタ回路1422、1424及び1426に電気的に連結され、発生器1400が動作可能な形態にあるとき、それぞれ電力送達モジュール1412、1414及び1416によって電源供給される。
【0050】
図14Bは、本発明の主題のプラズマ発生器1400の動作可能な形態を示す。電力送達モジュール1412、1414及び1416は、発生器1400の外部の周囲に配置される。発生器1400のリアクタチャンバは、外側シリンダ1440及び内側シリンダ1450を含む。外側シリンダ1440は、外側シリンダ1440の内面上の誘電材料1441に沿って配置される電極パターン1442を含む。内側シリンダは、外側シリンダ1440のほぼ中央に配置され、内側シリンダ1450の内面上の誘電材料1451に沿って配置される電極パターン1452を含む。
【0051】
図14Cは、プラズマ発生器1400の側面から見た分解図をさらに示す。
図14Dは、リアクタ筐体1460の周囲に配置されたリアクタ回路1422、1424及び1426を含むリアクタ本体1420の側面分解図をさらに示す。
【0052】
図14Eは、絶縁体電極インサート1430の軸断面図をさらに示し、これは、外側シリンダ1440(シリンダ壁の誘電材料上の電極パターンを含む)と、外側シリンダ1450のほぼ中央に配置された内側シリンダ1450(再びシリンダ内壁及び外壁の誘電材料の上の電極パターンを有する)とを有する。内側シリンダ1450は、外側シリンダ1440内において、電気フィードスルーポート1432(図示せず)を含む支持コラム1434によって配置される。動作中、絶縁体電極インサートは、DBDを発生させ、電極の電荷分布は、領域Aで負の電荷、領域Bで正の電荷及び領域Cで負の電荷となる。
【0053】
図15Aは、本発明の主題のプラズマ発生器1500の横断面図を示す。
図15Bは、プラズマ発生器1500の領域Aの拡大図を示し、
図15Cは、プラズマ発生器1500の領域Bの拡大図を示す。
【0054】
図15Bは、プラズマ発生器1500の領域Aの拡大図を示し、これは、外側シリンダ1510及び内側シリンダ1520を含む。外側シリンダ1510及び内側シリンダ1520の壁は、実質的に誘電材料(例えば、石英、アルミナセラミック、マイカ、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、共役ポリマ、チタン酸カルシウム銅等)で製作される。アクチュエータの外側電極1512及び1514は、外側シリンダ1510の外周に沿って配置され、プラズマ放電を隔離するために誘電材料中に埋め込まれる。露出した電極パターン1516は、外側シリンダ1510の内周に沿って配置され、電極パターン1516の縁にプラズマ(例えば、DBD、アーク、ハイブリッド、好ましくはDBD)を発生させるために使用され、次に酸化体及び他のラジカルを発生させる一方、外側シリンダを通る空気流に推進力を付与し、シリンダの内壁の抵抗を有効に低減させる。内側シリンダ1520は、内側シリンダ1520の外周に沿った電極パターン1522及び内側シリンダ1520の内周に沿った電極パターン1524も含む。電極パターン1522及び1524も、同様に、電極パターンの縁にプラズマ(例えば、DBD、アーク、ハイブリッド、好ましくはDBD)を発生させるために使用され、次に酸化体及び他のラジカルを発生させる一方、外側及び内側シリンダを通る空気流に推進力を付与する。
【0055】
図15Cは、プラズマ発生器1500の領域Bの拡大図を示し、これは、支持コラム1530及びリアクタコントロール1540を含む。支持コラム1530の壁1531は、実質的に誘電材料(例えば、石英、アルミナセラミック、マイカ、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、共役ポリマ、チタン酸カルシウム銅等)で製作され、内側及び外側シリンダに連結される。支持コラム1533は、接地ワイヤ1535の付近に高電圧絶縁1533(例えば、テフロン(登録商標)、セラミック、石英、シリコン、それらの組合せ等で製作される)をさらに含む。リアクタコントロール1540は、プラズマ電源回路構成要素1541を含み、これらは、電極でのプラズマの生成を制御する。リアクタコントロール1540は、接地ワイヤ1546をさらに含み、これは、リアクタ筐体1548に(接地ワイヤ1535と共に)さらに連結される。リアクタコントロール1540は、高電圧変圧器コア1543及び高電圧変圧器二次コイル1545をさらに含む。回路筐体1544及び回路筐体カバー1542は、リアクタコントロール1540をさらに取り囲む。
図15Cから、プラズマ発生器1500の構成要素が自己接地型であることが分かるはずである。
【0056】
図16Aは、本発明の主題のプラズマ発生器のリアクタ筐体1600の電力カップリング1610を示す。電力カップリング1610は、雄のブラインドメイトコネクタ1612及び1614を含み、これらは、テーパ状であり、高電圧である。電力カップリング1610は、ブラインドメイトテーパスライドコネクタ1616をさらに含み、これは、電力送達モジュールの相補的なテーパ状のスライドコネクタと嵌合し、電力送達モジュールを案内して電力カップリング1610と連結するように設計される。
【0057】
図16Bは、本発明の主題のプラズマ発生器の電力送達モジュール1620を示す。電力送達モジュール1620は、雌のブラインドメイトコネクタ1622及び1624を含み、これらは、テーパ状であり、高電圧である。雌コネクタ1622及び1624は、雄コネクタ1612及び1614と相補的であり、電力送達モジュール1620を電力カップリング1610に電気的に連結するような大きさ及び寸法である。電力送達モジュール1620は、ブラインドメイトテーパスライドコネクタ1626をさらに含み、これらは、電力カップリング1610の相補的なテーパスライドコネクタ1616と嵌合し、電力送達モジュール1620を案内して、電力カップリング1610に連結するように設計される。
【0058】
図16Cは、リアクタ筐体1600のカップリング1610と連結された電力送達モジュール1620の断面図を示す。雄コネクタ1612(及び1614)は、セラミックカバー1611及び導体1613を含む。雄コネクタ1612は、電力送達モジュール1620のセラミックカバー1625と連結され、それにより、導体1613は、雌コネクタ1622の導体と接触する。電力送達モジュールは、高電圧変圧器コア1628をさらに含み、これは、少なくとも部分的に高電圧変圧器一次コイル1627によって取り囲まれる。上筐体カバー1621及び下筐体カバー1623は、電力送達モジュール1620の内容物を取り囲む。
【0059】
図17は、本発明の主題の実施形態の分解図を示し、プラズマ発生器1710は、エアインテーク管1721及び1723を含む既存のエアインテークシステムに連結されている。
【0060】
図18は、本発明の主題の実施形態を示し、プラズマ発生器1810は、ICEエンジンのエアインテークエルボウと一体化されている。
図19は、本発明の主題の実施形態の一部分解図を示し、プラズマ発生器1910及び1920は、エアインテーク管1931及び1932と整列されて直列に(例えば、対面して)連結されている。
【0061】
図20は、本発明の主題の実施形態の図を示し、プラズマ発生器2010は、ICEエンジンの4シリンダマニホルド2020に連結されている。
図21は、本発明の主題の実施形態の図を示し、プラズマ発生器2110は、ICEエンジンの3シリンダマニホルド2120に連結されている。
【0062】
図22Aは、本発明の主題のジェットタービンインレットカウル2200を示す。ジェットタービンインレットカウル2200は、外側シリンダ2210と、外側シリンダ2210のほぼ中央に配置された内側シリンダ2220と、内側シリンダ2210を所定の位置に固定する支持コラム2230とを含む。外側シリンダ2210は、シリンダの内面上の誘電材料2211をさらに含み、誘電材料2211上に電極パターン2212を有する。内側シリンダ2220は、シリンダの壁を構成する誘電材料2221を含み、内側シリンダ2220の内面に沿って配置された電極パターン2222と、内側シリンダ2220の外面に沿って配置された電極パターン2223とを有する。
【0063】
図22Bは、ジェットタービンインレットカウル2200の断面図を示し、電源回路2241、接地ワイヤ2242及び2243及びコンプレッサ2250をさらに示す。電源回路2241は、電極パターンを動作させてプラズマ(例えば、DBD、アーク、ハイブリッド等)を発生させる。接地ワイヤ2242及び2243は、それぞれ内側シリンダとインレットカウルを接地する。
【0064】
図23Aは、本発明の主題の絶縁体電極インサート2300の軸断面図を示し、これは、外側シリンダ2210、内側シリンダ2220、及び内側シリンダ2220を所定の場所に固定する複数の管電極2330(例えば、
図1の管電極)を含む。
【0065】
図23Bは、絶縁体電極インサート2300の断面図を示す。複数の管電極2330は、内側シリンダ2320の周囲にあるパターンで配置される。プラズマアクチュエータ電極2342は、内側シリンダ2320の外周に沿ってあるパターンで配置される一方、プラズマアクチュエータ電極2346は、内側シリンダ2320の内周に沿ってあるパターンで配置される。プラズマアクチュエータ電極2344は、外側シリンダ2310の内周に沿ってあるパターンで配置される。
【0066】
図24は、本発明の主題の絶縁体電極インサート2400の軸断面図を示す。絶縁体電極2400は、六角形の形状(例えば、六角プリズム)を有し、誘電材料で製作された6つの絶縁体電極板を含み、電極パターンは、各板の外面及び内面に配置される。電極パターンは、プラズマ(例えば、DBD、アーク、ハイブリッド等)を発生するように動作され、電極の電荷分布は、領域Aで負の電荷及び領域Bで正の電荷である。
【0067】
以下の議論は、本発明の主題の多くの例示的実施形態を提供する。各実施形態は、本発明の要素の1つの組合せを表すが、本発明の主題は、開示された要素のあらゆる可能な組合せを含むと考えられる。したがって、1つの実施形態が要素A、B及びCを含み、第二の実施形態が要素B及びDを含む場合、本発明の主題は、明示的に開示されていないとしても、A、B、C又はDによる他の残りの組合せも含むと考えられる。
【0068】
本明細書で使用されるとき且つ文脈上他の解釈が必要でない限り、「に連結される(coupled to)」という用語は、直接的な連結(相互に連結される2つの要素が相互に接触する)と、間接的な連結(少なくとも1つの追加の要素が2つの要素間にある)との両方を含むものとする。したがって、「に連結される(coupled to)」及び「と連結される(coupled with)」という用語は、同じ意味として使用される。
【0069】
記載されたもの以外にも、本明細書に記される本発明の概念から逸脱せずに多くのさらなる改良形態が可能であることが当業者に明らかであるはずである。したがって、本発明の主題は、添付の特許請求の範囲の趣旨以外に限定されない。さらに、本明細書及び特許請求の範囲の両方を解釈するうえで、すべての用語は、文脈と矛盾しない最大限に広い範囲で解釈すべきである。特に、「含む(comprises)」及び「含んでいる(comprising)」という用語は、要素、構成要素又はステップに非限定的な方法で言及し、言及された要素、構成要素又はステップが、明示的に言及されていない他の要素、構成要素又はステップと共に存在するか若しくは利用されるか又は組み合わされ得ることを意味すると解釈すべきである。本明細書及び特許請求の範囲が、A、B、C、...及びNからなる群から選択される何らかの少なくとも1つに言及する場合、その文章は、A及びN又はB及びN等ではなく、その群内の1つの要素のみを必要とすると解釈すべきである。
【手続補正書】
【提出日】2022-07-06
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも部分的に流体ストリームの基端側に配置された第一及び第二の誘電体バリア放電(DBD)電極を含むプラズマ発生器であって、前記第一のDBD電極は非熱プラズマを発生させ、第一及び第二の電力送達モジュールは前記第一のDBD電極及び前記第二のDBD電極に独立して電力を供給する、プラズマ発生器。
【請求項2】
前記第一のDBD電極はプラズマアクチュエータである、請求項1に記載のプラズマ発生器。
【請求項3】
前記第一のDBD電極の上流側で、前記プラズマ発生器の内壁上に円周方向に配置されたプラズマアクチュエータをさらに備える、請求項1に記載のプラズマ発生器。
【請求項4】
前記第一のDBD電極の壁は、前記壁の外側に配置された第一の高電圧電極の接地電極である、請求項2に記載のプラズマ発生器。
【請求項5】
前記第二のDBD電極の壁は、前記第二のDBD電極の前記壁の外側に配置された第二の高電圧電極の接地電極である、請求項4に記載のプラズマ発生器。
【請求項6】
第三のDBD電極をさらに備え、前記第一、第二、及び第三の電極は、前記流体ストリーム中に配置されて、前記流体ストリームを通過する物質のカルマン渦列の流体不安定性を相互に補償する、請求項1に記載のプラズマ発生器。
【請求項7】
前記第一及び第二のDBD電極は、前記各電極の最大長さに沿った軸をそれぞれ有し、前記第一及び第二のDBD電極は、各軸が前記流体ストリーム中の物質の流れに垂直な状態で前記流体ストリーム中に配置される、請求項2に記載のプラズマ発生器。
【請求項8】
前記第一及び第二のDBD電極は、前記流体ストリーム中の反応領域について複数の酸化体を生成し、前記複数の酸化体は、前記流体ストリームの物質を処理して、内燃機関(ICE)の燃焼室内の燃焼効率を高める、請求項1に記載のプラズマ発生器。
【請求項9】
プラズマ発生器であって、
前記プラズマ発生器の円周方向の内面に配置され、流体ストリーム内に配置され且つ少なくとも部分的に流体ストリームに露出された第一のプラズマアクチュエータと、
前記プラズマ発生器の内面に配置され、前記流体ストリーム内に配置され且つ少なくとも部分的に前記流体ストリームに露出されたDBD電極と、を備え、第一及び第二の電力送達モジュールは、前記第一のプラズマアクチュエータ電極及び第二のプラズマアクチュエータ電極に独立して電力を供給する、プラズマ発生器。
【請求項10】
前記プラズマ発生器は、内燃機関(ICE)の排気再循環(EGR)の上流に配置され、前記DBD電極は、第二のプラズマアクチュエータである、請求項9に記載のプラズマ発生器。
【請求項11】
前記プラズマ発生器内に配置され、前記プラズマ発生器の一部と実質的に平行に配置されたシリンダをさらに備え、前記シリンダは、前記シリンダの表面の周囲に第二のプラズマアクチュエータ電極を備え、前記シリンダは複数のラジカルの混合を誘発する、請求項9に記載のプラズマ発生器。
【請求項12】
前記第一のプラズマアクチュエータは非熱プラズマを生成する、請求項9に記載のプラズマ発生器。
【請求項13】
電気的に遮蔽され、前記プラズマ発生器に連結された回路筐体をさらに含み、前記電気的に遮蔽された回路筐体は、接地ワイヤ及び高電圧変圧器用の高電圧ワイヤを取り囲む、請求項9に記載のプラズマ発生器。
【請求項14】
前記プラズマ発生器のリアクタチャンバは接地されている、請求項13に記載のプラズマ発生器。
【請求項15】
前記第一のプラズマアクチュエータ又は前記DBD電極のうちの少なくとも1つは、プラズマを使用して前記流体ストリームに推力を生成する、請求項9に記載のプラズマ発生器。
【請求項16】
前記第一のプラズマアクチュエータは、前記DBD電極の上流側にある、請求項9に記載のプラズマ発生器。
【請求項17】
前記第一のプラズマアクチュエータ又は前記DBD電極は、前記流体ストリーム中に複数のラジカルを生成し、前記複数のラジカルは、内燃機関(ICE)の燃焼室における燃焼効率を高める、請求項9に記載のプラズマ発生器。
【請求項18】
前記シリンダは、前記シリンダから半径方向に延びる構造部材によって支持され、前記構造部材は、電極を含む、請求項11に記載のプラズマ発生器。
【請求項19】
前記DBD電極は、第二のプラズマアクチュエータ電極である、請求項9に記載のプラズマ発生器。
【請求項20】
ICE装置の空気の吸気ストリームに構造的に一体化されている、又は別個に追加されている、請求項9に記載のプラズマ発生器を含むシステム。