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特開2022-137127polXファミリーDNAポリメラーゼのバリアント
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022137127
(43)【公開日】2022-09-21
(54)【発明の名称】polXファミリーDNAポリメラーゼのバリアント
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/54 20060101AFI20220913BHJP
   C12N 15/63 20060101ALI20220913BHJP
   C12N 1/15 20060101ALI20220913BHJP
   C12N 1/19 20060101ALI20220913BHJP
   C12N 1/21 20060101ALI20220913BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20220913BHJP
   C12N 9/12 20060101ALI20220913BHJP
   C12P 19/34 20060101ALI20220913BHJP
   C12N 15/10 20060101ALI20220913BHJP
   C12P 21/02 20060101ALI20220913BHJP
【FI】
C12N15/54 ZNA
C12N15/63 Z
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
C12N9/12
C12P19/34 A
C12N15/10 Z
C12P21/02 C
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022105854
(22)【出願日】2022-06-30
(62)【分割の表示】P 2018564828の分割
【原出願日】2017-06-13
(31)【優先権主張番号】1655475
(32)【優先日】2016-06-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(71)【出願人】
【識別番号】516304610
【氏名又は名称】ディーエヌエー スクリプト
(71)【出願人】
【識別番号】593218462
【氏名又は名称】インスティチュート・パスツール
【氏名又は名称原語表記】INSTITUT PASTEUR
(71)【出願人】
【識別番号】508242056
【氏名又は名称】センター ナショナル デ ラ ルシェルシュ サイエンティフィック
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】イベール, トマス
(72)【発明者】
【氏名】ドュラリュ, マルク
(57)【要約】      (修正有)
【課題】増強したDNAポリメラーゼを提供する。
【解決手段】少なくとも1つの特定の位置における残基の少なくとも1つの変異を含む、鋳型鎖を用いずに核酸分子を合成することができるpolXファミリーDNAポリメラーゼまたはそのようなポリメラーゼの機能的断片のバリアント、およびとりわけ3’-OH修飾ヌクレオチドを含む核酸分子を合成するための上記バリアントの使用に関する。一局面において、鋳型鎖を用いずに核酸分子を合成することができるpolXファミリーDNAポリメラーゼまたはそのようなポリメラーゼの機能的断片のバリアントが提供され、上記バリアントは、E457、T331、G332などからなる群より選択される少なくとも1つの位置における残基または機能的に同等な残基の少なくとも1つの変異を含み、示された位置は配列番号1とのアラインメントにより決定される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鋳型鎖を用いずに核酸分子を合成することができるpolXファミリーDNAポリメラーゼまたはそのようなポリメラーゼの機能的断片のバリアントであって、前記バリアントが、E457、T331、G332、G333、F334、R336、K338、H342、D343、V344、D345、F346、A397、D399、D434、V436、A446、L447、L448、G449、W450、G452、R454、Q455、F456、R458、R461、N474、E491、D501、Y502、I503、P505、R508、N509、およびA510からなる群より選択される少なくとも1つの位置における残基または機能的に同等な残基の少なくとも1つの変異を含み、示された位置は配列番号1とのアラインメントにより決定される、バリアント。
【請求項2】
DNA鎖および/またはRNA鎖を合成することができる、請求項1に記載のpolXファミリーDNAポリメラーゼのバリアント。
【請求項3】
Pol IV、Pol μ、または末端デオキシリボヌクレオチジルトランスフェラーゼ(TdT)のバリアントである、請求項1または2に記載のpolXファミリーDNAポリメラーゼのバリアント。
【請求項4】
配列番号1の配列と少なくとも60%の同一性、優先的には配列番号1の配列と少なくとも70%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%の同一性を有する、前記請求項の一項に記載のpolXファミリーDNAポリメラーゼのバリアント。
【請求項5】
少なくとも1つの変異が、1つまたは複数のアミノ酸残基の置換、欠失、または付加からなる、前記請求項の一項に記載のpolXファミリーDNAポリメラーゼのバリアント。
【請求項6】
前記バリアントが、T331、G332、G333、F334、R336、D343、L447、L448、G449、W450、G452、R454、Q455、E457、R461、およびR508からなる群より選択される少なくとも1つの位置における残基または機能的に同等な残基の少なくとも1つの変異、優先的には、R336、R454、およびE457からなる群より選択される少なくとも1つの位置における残基または機能的に同等な残基の少なくとも1つの変異を含み、示された位置は配列番号1とのアラインメントにより決定される、前記請求項の一項に記載のpolXファミリーDNAポリメラーゼのバリアント。
【請求項7】
R336、R454、およびE457からなる群より選択される少なくとも2つの位置における残基の少なくとも1つの変異、優先的には、前記3つの位置R336、R454、およびE457における残基の変異を含む、前記請求項の一項に記載のpolXファミリーDNAポリメラーゼのバリアント。
【請求項8】
配列
(i)XGGFRGKX(配列番号4)
(式中、
は、M、I、V、Lから選択される残基を表し、
は、T、A、M、Qから選択される残基を表し、
は、M、K、E、Q、L、S、P、R、Dから選択される残基を表し、
は、T、I、M、F、K、V、Y、E、Q、H、S、R、Dから選択される残基を表す)、
(ii)XLGXGSRER(配列番号5)
(式中、
は、A、C、G、Sから選択される残基を表し、
は、L、T、Rから選択される残基を表し、
は、W、Yから選択される残基を表し、
は、T、S、Iから選択される残基を表し、
は、Q、L、H、F、Y、N、E、D、またはφから選択される残基を表し、
は、F、Yから選択される残基を表す)、
(iii)LXYXPXRNA(配列番号6)
(Xは、D、E、S、P、A、Kから選択される残基を表し、
は、I、L、M、V、A、Tから選択される残基を表し、
は、E、Q、P、Y、L、K、G、Nから選択される残基を表し、
は、W、S、V、E、R、Q、T、C、K、Hから選択される残基を表し、
は、E、Q、D、H、Lから選択される残基を表す)
の少なくとも1つの半保存領域における残基の少なくとも1つの変異を有する、前記請求項の一項に記載のpolXファミリーDNAポリメラーゼのバリアント。
【請求項9】
- 配列番号4の配列の前記半保存領域の少なくとも1つの位置R、R、および/またはKにおける残基の少なくとも1つの置換、ならびに/または
- 配列番号5の配列の前記半保存領域の少なくとも1つの位置S、R1、および/またはEにおける残基の少なくとも1つの置換、ならびに/または
- 配列番号6の配列の前記半保存領域のX1位における残基の欠失ならびに/またはR位および/もしくはN位における少なくとも1つの置換
を有する、請求項8に記載のpolXファミリーDNAポリメラーゼのバリアント。
【請求項10】
前記バリアントが、R336、K338、H342、A397、S453、R454、E457、R461、N474、D501、Y502、I503、R508、およびN509からなる群より選択される少なくとも1つの位置における残基または機能的に同等な残基の置換、優先的には、R336、A397、R454、E457、R461、N474、D501、Y502、およびI503からなる群より選択される少なくとも1つの位置における残基または機能的に同等な残基の置換、より優先的には、R336、R454、およびE457からなる群より選択される少なくとも1つの位置における残基または機能的に同等な残基の置換、さらにより優先的には、E457位における残基または機能的に同等な残基の少なくとも1つの置換を含み、示された位置は配列番号1とのアラインメントにより決定される、前記請求項の一項に記載のpolXファミリーDNAポリメラーゼのバリアント。
【請求項11】
R336位、K338位、H342位、A397位、S453位、R454位、E457位、R461位、N474位、D501位、Y502位、I503位、R508位、およびN509位における前記置換が、R336K/H/N/G/D、K338A/C/G/S/T/N、H342A/C/G/S/T.N、A397R/H/K/D/E、S453A/C/G/S/T、R454F/Y/W/A、E457G/N/S/T、N474S/T/N/Q、D501A/G/X、Y502A/G/X、I503A/G/X、R508A/C/G/S/T、N509A/C/G/S/Tからなる群より選択される、請求項10に記載のpolXファミリーDNAポリメラーゼのバリアント。
【請求項12】
前記バリアントが、表1に列挙される置換、欠失、置換および/または欠失の組合せを含むかまたは有し、示された位置は配列番号1とのアラインメントにより決定される、前記請求項の一項に記載のpolXファミリーDNAポリメラーゼのバリアント。
【請求項13】
前記バリアントが、配列番号1の配列のTdTのバリアントであり、C378位からL406位の間の残基または機能的に同等な残基の、配列番号2の配列のポリメラーゼPolμの残基H363~C390または機能的に同等な残基による置換をさらに含む、前記請求項の一項に記載のpolXファミリーDNAポリメラーゼのバリアント。
【請求項14】
前記バリアントが、R336G-E457N、R336N-E457N、R336N-R454A-E457N、R336N-E457N、R336N-R454A-E457G、R336N-E457G、R336G-R454A-E457N、R336G-E457Nから選択される置換の組合せを含み、示された位置は配列番号1とのアラインメントにより決定される、前記請求項の一項に記載のpolXファミリーDNAポリメラーゼのバリアント。
【請求項15】
請求項1から14の一項に記載のpolXファミリーDNAポリメラーゼのバリアントをコードする核酸。
【請求項16】
請求項15に記載の核酸のための発現カセット。
【請求項17】
請求項15に記載の核酸または請求項16に記載の発現カセットを含むベクター。
【請求項18】
請求項15に記載の核酸、または請求項16に記載の発現カセット、または請求項17に記載のベクターを含む、宿主細胞。
【請求項19】
請求項1から14のいずれか一項に記載のpolXファミリーDNAポリメラーゼのバリアントを産生するための、請求項15に記載の核酸、請求項16に記載の発現カセット、請求項17に記載のベクター、または請求項18に記載の細胞の使用。
【請求項20】
請求項1から14のいずれか一項に記載のpolXファミリーDNAポリメラーゼのバリアントを産生するためのプロセスであって、前記バリアントをコードする核酸の発現を可能にする培養条件下で請求項18に記載の宿主細胞を培養し、任意選択で、そのように発現した前記バリアントを培養培地または前記宿主細胞から回収する、プロセス。
【請求項21】
3’-OH修飾ヌクレオチドから鋳型鎖を用いずに核酸分子を合成するための、請求項1から14のいずれか一項に記載のpolXファミリーDNAポリメラーゼのバリアントの使用。
【請求項22】
DNA鎖またはRNA鎖を合成するための、請求項21に記載の使用。
【請求項23】
請求項1から14のいずれか一項に記載のpolXファミリーDNAポリメラーゼのバリアントの存在下で、少なくとも1つのヌクレオチド、優先的には3’-OH修飾ヌクレオチドにプライマー鎖を接触させる、鋳型鎖を用いない核酸分子の酵素的合成のためのプロセス。
【請求項24】
請求項1から14のいずれか一項に記載のpolXファミリーDNAポリメラーゼの少なくとも1つのバリアントと、ヌクレオチド、優先的には3’-OH修飾ヌクレオチドと、任意選択で少なくとも1つのヌクレオチドプライマーとを含む、鋳型鎖を用いない核酸分子の酵素的合成のためのキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、酵素増強の分野に属する。本発明は、polXファミリーDNAポリメラーゼの増強されたバリアント、前記バリアントをコードする核酸、宿主細胞における前記バリアントの産生、鋳型鎖を用いずに核酸分子を合成するためのその使用、および鋳型鎖を用いずに核酸分子を合成するためのキットに関する。
【背景技術】
【0002】
核酸断片の化学合成は、研究室で広く使用されている技術である(Adamsら、1983年、J. Amer. Chem. Soc.、105巻:661頁;Froehlerら、1983年、Tetrahedron Lett.、24巻:3171頁)。これにより、所望のヌクレオチド配列を含む核酸分子の迅速な産生が可能になる。5’から3’の方向に合成する酵素とは異なり、化学合成は3’から5’の方向で起こる。しかしながら、化学合成はある特定の制限を有する。実際、複数の溶媒および試薬の使用が必要とされる。加えて、短い核酸断片しか得ることができず、所望の最終的な核酸鎖を得るためにはこれを次にアセンブルしなければならない。
【0003】
最初の核酸断片(プライマー)から、鋳型鎖の非存在下で、ヌクレオチド間のカップリング反応を行うことができる酵素を使用した、代替的な解決策が開発された。いくつかのポリメラーゼ酵素はそのような合成方法に好適であると思われる。
【0004】
鋳型鎖の有無にかかわらず、核酸鎖の合成を触媒することができるDNAポリメラーゼが極めて多数存在する。例えば、polXファミリーDNAポリメラーゼは、広範な生物学的プロセス、特にDNA修復機構またはDNA配列に現れるエラーの補正機構に関与する。これらの酵素は、配列内のエラーが特定された後に切除を受けた核酸鎖にヌクレオチドを導入することができる。polXファミリーDNAポリメラーゼには、DNAポリメラーゼβ(Pol β)、λ(Pol λ)、μ(Pol μ)、酵母由来のIV(Pol IV)、および末端デオキシリボヌクレオチジルトランスフェラーゼ(TdT)が含まれる。特にTdTは、核酸分子の酵素的合成プロセスで広く使用されている。
【0005】
しかしながら、これらのDNAポリメラーゼは通常、天然ヌクレオチドの取り込みしか可能にしない。あらゆる場合において、天然DNAポリメラーゼは、天然ヌクレオチドよりも大きな立体容積を有する非天然ヌクレオチド、特に3’OH修飾ヌクレオチドの存在下で、その触媒活性を失う。
【0006】
しかしながら、修飾ヌクレオチドの使用は、ある特定の適用には有用であり得る。したがって、そのようなヌクレオチドを組み込むことにより核酸鎖の合成を触媒することができる酵素を開発する必要があった。したがって、顕著な構造修飾を含むヌクレオチドを用いた研究を目的として、DNAポリメラーゼのバリアントが開発された。
【0007】
しかしながら、現在利用可能なバリアントは、それらの活性が低く研究室規模の酵素的合成としか適合性がないことをとりわけ理由として、完全に満足のいくものとはいえない。したがって、鋳型鎖の非存在下で、かつ修飾ヌクレオチドを使用し、可能であれば工業規模で、核酸を合成することができるDNAポリメラーゼが必要とされている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Adamsら、J.Amer.Chem.Soc.(1983年)105巻:661頁
【非特許文献2】Froehlerら、Tetrahedron Lett.(1983年)24巻:3171頁
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、核酸の酵素的合成のためにDNAポリメラーゼを工業規模で使用することを妨げる、ある特定の技術的障壁を取り除く。
【0010】
したがって本発明は、鋳型鎖の非存在下で核酸を合成することができ、かつ修飾ヌクレオチドを使用することができる、polXファミリーDNAポリメラーゼのバリアントを提案する。開発されたバリアントは、バリアントが由来する天然DNAポリメラーゼのものよりもはるかに優れた修飾ヌクレオチド取り込み能力を有する。特に、本発明に関係するDNAポリメラーゼのバリアントは、糖修飾のあるヌクレオチドの取り込みに特に有効である。実際、本発明者らは、バリアントが由来するDNAポリメラーゼのものと比較して触媒ポケット容積が増加したことで天然ヌクレオチドよりも嵩高な修飾ヌクレオチドの取り込みを促進するバリアントを開発した。より詳細には、本発明に関係するpolXファミリーDNAポリメラーゼのバリアントは、酵素の触媒キャビティに直接介在するか、またはヌクレオチドに存在する修飾に起因する立体容積に適応するためにこのキャビティの輪郭を変形させる、アミノ酸の少なくとも1つの変異を含む。例えば、導入された変異は、修飾ヌクレオチドの3’-OH末端が嵌る酵素の触媒キャビティを拡大することを可能にする。代替的または付加的に、作られた変異は、3’-OH修飾ヌクレオチドによる触媒ポケットへのアクセスを増大させ、かつ/または、酵素の構造に必要な柔軟性を与えて3’-OH修飾ヌクレオチドの立体的に大幅な修飾に適応できるようにするために、触媒キャビティの膨張または容積増加を行うことを可能にする。そのような変異により、伸長すべき核酸断片にポリメラーゼが結合すると、アクセスが拡大され最適な空間的コンフォメーションを採る触媒ポケットのコアに修飾ヌクレオチドが進入し、核酸鎖の最後のヌクレオチドの3’-OH末端と修飾ヌクレオチドの5’-三リン酸末端との間にホスホジエステル結合が作出される。
【0011】
したがって本発明は、鋳型鎖を用いずに核酸分子を合成することができるpolXファミリーDNAポリメラーゼのバリアント、またはそのようなポリメラーゼの機能的断片のバリアントであって、前記バリアントが、T331、G332、G333、F334、R336、K338、H342、D343、V344、D345、F346、A397、D399、D434、V436、A446、L447、L448、G449、W450、G452、R454、Q455、F456、E457、R458、R461、N474、E491、D501、Y502、I503、P505、R508、N509、およびA510からなる群より選択される少なくとも1つの位置における残基または機能的に同等な残基の少なくとも1つの変異を含み、示された位置は配列番号1とのアラインメントにより決定される、バリアントに関する。
【0012】
特定の実施形態では、バリアントは、DNA鎖またはRNA鎖を合成することができる。
【0013】
本発明は特に、polXファミリーDNAポリメラーゼ、特に酵母Pol IV、Pol μ、または野生型TdTの、選択された変異を含む、バリアントに関する。特定の実施形態では、本発明によるバリアントは、配列番号1の配列または配列番号1の配列と少なくとも70%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%の同一性を有する相同配列のTdTのバリアントであり、選択された変異を保有する。
【0014】
本発明は、本発明によるpolXファミリーDNAポリメラーゼのバリアントをコードする核酸、本発明による核酸を含む発現カセット、および本発明による核酸または発現カセットを含むベクターにも関する。本発明のバリアントをコードする核酸は、本発明によるDNAポリメラーゼの成熟型または前駆体型のものであってもよい。
【0015】
本発明は、宿主細胞の形質転換またはトランスフェクションを行うための、本発明による核酸、発現カセット、またはベクターの使用にも関する。本発明はさらに、本発明によるpolXファミリーDNAポリメラーゼをコードする核酸、発現カセット、またはベクターを含む、宿主細胞に関する。本発明は、本発明によるpolXファミリーDNAポリメラーゼのバリアントを産生するための、そのような核酸、発現カセット、ベクター、または宿主細胞の使用に関する。
【0016】
本発明は、本発明によるpolXファミリーDNAポリメラーゼのバリアントを産生するためのプロセスであって、本発明による核酸、発現カセット、またはベクターで宿主細胞の形質転換またはトランスフェクションを行うことと、前記バリアントをコードする核酸の発現を可能にする培養条件下で、形質転換/トランスフェクトされた宿主細胞を培養することと、任意選択で、宿主細胞により産生されたpolXファミリーDNAポリメラーゼのバリアントを回収することとを含む、プロセスにも関する。
【0017】
宿主細胞は、原核生物のものであっても真核生物のものであってもよい。特に、宿主細胞は、微生物、好ましくは細菌、酵母、または真菌であり得る。一実施形態では、宿主細胞は、細菌、好ましくはE.coliである。別の実施形態では、宿主細胞は、酵母、好ましくはP.pastorisまたはK.lactisである。別の実施形態では、宿主細胞は、哺乳動物細胞、好ましくはCOS7またはCHO細胞である。
【0018】
本発明は、3’-OH修飾ヌクレオチドから鋳型鎖を用いずに核酸分子を合成するための、本発明によるpolXファミリーDNAポリメラーゼのバリアントの使用にも関する。当然ながら、本発明によるpolXファミリーDNAポリメラーゼのバリアントは、本発明の文脈においては、未修飾ヌクレオチドまたは修飾ヌクレオチドおよび未修飾ヌクレオチドの混合物から、鋳型鎖を用いずに核酸分子を合成するために使用することもできる。
【0019】
本発明は、本発明によるpolXファミリーDNAポリメラーゼのバリアントの存在下で、少なくとも1つのヌクレオチド、好ましくは3’-OH修飾ヌクレオチドにプライマー鎖を接触させる、鋳型鎖を用いない核酸分子の酵素的合成のためのプロセスも提案する。本プロセスは特に、精製されたバリアント、前記バリアントを発現するように形質転換された宿主細胞の培養培地、および/またはそのような宿主細胞の細胞抽出物を使用して実施してもよい。
【0020】
本発明は、本発明によるpolXファミリーDNAポリメラーゼの少なくとも1つのバリアントと、ヌクレオチド、好ましくは3’-OH修飾ヌクレオチドと、任意選択で少なくとも1つのプライマー鎖もしくはヌクレオチドプライマー、および/または反応バッファーとを含む、鋳型鎖を用いない核酸分子の酵素的合成のためのキットにも関する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明のある実施形態によるTdTバリアントの画分のSDS-PAGEゲル(M:分子量マーカー、1:ロード前の遠心分離物、2:ロード後の遠心分離物、3:ロード後の洗浄バッファー、4:溶出画分3mL、5:溶出画分30mL、6:溶出ピークアセンブリ、7:濃縮)。
図2】Mutalinオンラインアラインメントソフトウェア(http://multalin.toulouse.inra.fr/multalin/multalin.html)を用いて得られた、Homo sapiens由来のPol μ(UniProtKB Q9NP87)、Pan troglodytes由来のPol μ(UniProtKB H2QUI0)、Mus musculus由来のPol μ(UniProtKB Q924W4)、Canis lupus familiaris由来のTdT(UniProtKB F1P657)、Mus musculus由来のTdT(UniProtKB Q3UZ80)、Gallus gallus由来のTdT(UniProtKB P36195)、およびHomo sapiens由来のTdT(UniProtKB P04053)の各DNAポリメラーゼのアミノ酸配列のアラインメント。
図3】SDS-PAGEゲル上の、事前に5’放射性標識されたプライマーおよび3’-O-アミノ-2’,3’-ジデオキシアデノシン-5’-三リン酸修飾ヌクレオチド(ONH2ゲル)または3’-biot-EDA-2’,3’-ジデオキシアデノシン-5’-三リン酸修飾ヌクレオチド(Biot-EDAゲル)の存在下における、配列番号3の配列の切断型野生型TdTおよび表1に示される様々な置換を含むこの切断型TdTのいくつかのバリアントの活性の比較(なし:酵素の存在なし、wt:配列番号3の配列の切断型野生型TdT、DSi:表1で定義するバリアントi)。
図4】SDS-PAGEゲル上の、事前に5’放射性標識されたプライマーおよび3’-O-アミノ-2’,3’-ジデオキシアデノシン-5’-三リン酸で修飾された様々なヌクレオチドの存在下における、本発明によるバリアントDS124(表1参照)の活性の研究。
図5】SDS-PAGEゲル上の、事前に5’放射性標識されたプライマーおよび3’-O-アミノ-2’,3’-ジデオキシアデノシン-5’-三リン酸で修飾された様々なヌクレオチドの存在下における、バリアントDS22、DS24、DS124、DS125、DS126、DS127、およびDS128の活性の研究。
図6】R336N-R454A-E457Gの置換の組合せを有する本発明によるTdTのバリアント(DS125)を用いた、配列5’-AAAAAAAAAAGGGG-3’(配列番号14)のプライマーの後に配列5’-GTACGCTAGT-3’(配列番号15)が続くDNA鎖の合成。
【発明を実施するための形態】
【0022】
定義
本文書において、アミノ酸は、次の命名法による1文字または3文字のコード:A:Ala(アラニン)、R:Arg(アルギニン)、N:Asn(アスパラギン)、D:Asp(アスパラギン酸)、C:Cys(システイン)、Q:Gln(グルタミン)、E:Glu(グルタミン酸)、G:Gly(グリシン)、H:His(ヒスチジン)、I:Ile(イソロイシン)、L:Leu(ロイシン)、K:Lys(リシン)、M:Met(メチオニン)、F:Phe(フェニルアラニン)、P:Pro(プロリン)、S:Ser(セリン)、T:Thr(スレオニン)、W:Trp(トリプトファン)、Y:Tyr(チロシン)、V:Val(バリン)によって表される。
【0023】
本発明の目的では、2つの核酸またはアミノ酸配列間の「同一性百分率」とは、最良のアラインメントの後に得られた、比較される2つの配列間で同一のヌクレオチドまたはアミノ酸残基の百分率を意味し、この百分率は純粋に統計的なものであり、2つの配列間の差はランダムに、またそれらの全長にかけて分布している。最良のアラインメントまたは最適なアラインメントとは、比較される2つの配列間の同一性百分率が、下記のように計算した場合に最も高いアラインメントである。2つの核酸またはアミノ酸配列間の配列比較は、従来、これらの配列を最適なアラインメント後に比較することによって行われ、前記比較は、配列類似性の局所領域を特定し比較するためのセグメントまたは比較ウィンドウによって行われる。比較のための最適な配列アラインメントは、手作業に加えて、Sm
ithおよびWaterman(1981年)(Ad. App. Math.、2巻:482頁)の局所相同性アルゴリズムを用いて、NeddlemanおよびWunsch(1970年)(J. Mol. Biol.、48巻:443頁)の局所相同性アルゴリズムを用いて、PearsonおよびLipman(1988年)(Proc. Natl. Acad. Sci. USA、85巻:2444頁)の類似性検索法を用いて、これらのアルゴリズムを使用したコンピュータソフトウェア(Wisconsin Genetics Software Package(Genetics Computer Group、575 Science Dr.、Madison、WI)のGAP、BESTFIT、FASTA、およびTFASTA)を用いて、Mutalinオンラインアラインメントソフトウェア(http://multalin.toulouse.inra.fr/multalin/multalin.html、1988年、Nucl. Acids Res.、16巻(22号)、10881~10890頁)を用いて、達成することができる。2つの核酸またはアミノ酸配列間の同一性百分率は、これらの最適にアラインメントされた2つの配列を、これら2つの配列間の最適なアラインメントのための参照配列に対する付加または欠失が、比較される核酸またはアミノ酸配列の領域に含まれ得る比較ウィンドウによって比較することにより、決定される。同一性百分率は、2つの配列間で同一であるヌクレオチドまたはアミノ酸残基の同一位置数を決定し、この同一位置数を比較ウィンドウ内の位置の総数で除し、得られた結果に100を乗じて、これら2つの配列間の同一性百分率を得ることにより計算される。
【0024】
本発明に関係するバリアントは、それらの特定の残基上の変異に従って記載され、この残基の位置は、配列番号1の酵素配列とのアラインメントにより、またはそれを参照して決定される。本発明の文脈においては、これらの同じ変異を機能的に同等な残基に保有する任意のバリアントも関係する。「機能的に同等な残基」とは、配列番号1と相同であり同一の機能的役割を有する配列のpolXファミリーDNAポリメラーゼの配列内の残基を意味する。機能的に同等な残基は、配列アラインメントを使用して、例えばMutalinオンラインアラインメントソフトウェア(http://multalin.toulouse.inra.fr/multalin/multalin.html、1988年、Nucl. Acids Res.、16巻(22号)、10881~10890頁)を使用して特定される。アラインメント後、機能的に同等な残基は、問題の異なる配列上で相同な位置にある。配列アラインメントおよび機能的に同等な残基の特定は、任意のpolXファミリーDNAポリメラーゼと、種間のバリアントを含むその天然バリアントとの間で行われ得る。例として、ヒトTdT(UniProtKB P04053)の残基L40は、ニワトリTdT(UniProtKB P36195)の残基M40およびPan troglodytes Polμ(UniProtKB H2QUI0)の残基V40と機能的に同等であり、前記残基は配列アラインメント後のものとみなされる(図2)。
【0025】
「機能的断片」とは、DNAポリメラーゼ活性を有するpolXファミリーDNAポリメラーゼの断片を意味する。この断片は、polXファミリーDNAポリメラーゼの、100、200、300、310、320、330、340、350、360、370、380個、またはそれよりも多くの連続したアミノ酸を含み得る。優先的には、この断片は、polXファミリーDNAポリメラーゼの、前記酵素の触媒断片からなる380個の連続したアミノ酸を含む。
【0026】
「変異体」および「バリアント」という用語は、polXファミリーDNAポリメラーゼに由来するか、またはそのようなDNAポリメラーゼ、とりわけ配列番号1の配列によるマウスTdTなどのTdTの機能的断片に由来し、かつ1つまたは複数の位置に変化、すなわち置換、挿入、および/または欠失を含み、かつDNAポリメラーゼ活性を有するポリペプチドを指すように、互換的に使用される場合がある。バリアントは、当技術分野
で周知である種々の技術によって得ることができる。特に、野生型タンパク質をコードするDNA配列を修飾するための例示的な技術としては、定方向変異誘発、ランダム変異誘発、および合成オリゴヌクレオチドの構築が挙げられるが、これらに限定されない。
【0027】
アミノ酸の位置または残基に関して本明細書で使用される「修飾」または「変異」という用語は、問題の位置におけるアミノ酸が、参照の野生型タンパク質のアミノ酸と比べて修飾されていることを意味する。そのような修飾は、1つまたは複数のアミノ酸、とりわけ1~5、1~4、1~3、1~2つのアミノ酸の、1つまたは複数の位置、とりわけ1、2、3、4、5、またはそれよりも多くの位置における、置換、欠失、および/または挿入を含む。
【0028】
アミノ酸の位置または残基に関する「置換」という用語は、特定の位置におけるアミノ酸が、野生型または親DNAポリメラーゼにおけるそれ以外のアミノ酸に置き換えられていることを意味する。好ましくは、「置換」という用語は、1つのアミノ酸残基を、20種の標準的な天然アミノ酸残基、稀な天然に存在するアミノ酸残基(例えば、ヒドロキシプロリン、ヒドロキシリシン、アロヒドロキシリシン、6-N-メチルリシン(6-N-methylysine))、N-エチルグリシン、N-メチルグリシン、N-エチルアスパラギン、アロ-イソロイシン、N-メチルイソロイシン、N-メチルバリン、ピログルタミン、アミノ酪酸、オルニチン)、および合成的に産生されることが多い稀な非天然アミノ酸残基(例えば、ノルロイシン、ノルバリン、およびシクロヘキシル-アラニン)から選択される別のものに置き換えることを意味する。好ましくは、「置換」という用語は、1つのアミノ酸残基を、20種の標準的な天然に存在するアミノ酸残基(G、P、A、V、L、I、M、C、F、Y、W、H、K、R、Q、N、E、D、S、およびT)から選択される別のものに置き換えることを意味する。置換は、保存的であっても非保存的であってもよい。保存的置換は、塩基性アミノ酸(アルギニン、リシン、およびヒスチジン)、酸性アミノ酸(グルタミン酸およびアスパラギン酸)、極性アミノ酸(グルタミンおよびアスパラギン)、疎水性アミノ酸(メチオニン、ロイシン、イソロイシン、およびバリン)、芳香族アミノ酸(フェニルアラニン、トリプトファン、およびチロシン)、および小さなアミノ酸(グリシン、アラニン、セリン、およびスレオニン)の中の同じ群のアミノ酸内で行われる。本文書中では、置換の表記には次の用語法が使用される:R454Fは、配列番号1の454位におけるアミノ酸残基(アルギニン、R)がフェニルアラニン(F)に置き換えられることを示す。N474S/T/N/Qは、474位のアミノ酸残基(アスパラギン、N)が、セリン(S)、スレオニン(T)、アスパラギン(N)、またはグルタミン(Q)に置き換えられ得ることを意味する。「+」の記号は置換の組合せを示す。
【0029】
本発明は、核酸分子、とりわけDNAまたはRNA鎖を、鋳型鎖を用いずに合成することができる、polXファミリーDNAポリメラーゼ(EC 2.7.7.7;Advances in Protein Chemistry、71巻、401~440頁)のバリアントに関する。polXファミリーDNAポリメラーゼは、とりわけ、DNAポリメラーゼPolβ(ヒトではUniProt P06746;マウスではQ8K409)、Polδ、Polλ(ヒトではUniProt Q9UGP5;マウスではQ9QUG2およびQ9QXE2)およびPolμ(ヒトではUniProt Q9NP87;マウスではQ9JIW4)、Pol4(酵母Vanderwaltozyma polysporaではUniProt A7TER5;酵母Saccharomyces cerevisiaeではP25615)、ならびに末端デオキシリボヌクレオチジルトランスフェラーゼすなわちTdT(EC 2.7.7.31;ヒトではUniProt P04053;マウスではP09838)を含む。
【0030】
より詳細には、本発明は、鋳型鎖を用いずに核酸分子を合成することができるpolX
ファミリーDNAポリメラーゼのバリアント、またはそのようなポリメラーゼの機能的断片のバリアントであって、前記バリアントが、T331、G332、G333、F334、R336、K338、H342、D343、V344、D345、F346、A397、D399、D434、V436、A446、L447、L448、G449、W450、G452、R454、Q455、F456、E457、R458、R461、N474、E491、D501、Y502、I503、P505、R508、N509、およびA510からなる群より選択される少なくとも1つの位置における残基または機能的に同等な残基の少なくとも1つの変異を含み、示された位置は配列番号1の配列とのアラインメントにより、またはそれを参照して決定される、バリアントに関する。
【0031】
一実施形態では、バリアントは、DNA鎖および/またはRNA鎖が可能である。
【0032】
「少なくとも1つの変異を含む」または「少なくとも1つの変異を含むこと」という表現は、バリアントが、配列番号1のポリペプチド配列と比べて示される1つまたは複数の変異を有するが、他の修飾、とりわけ置換、欠失、または付加を有してもよいことを意味する。
【0033】
一般に、上記の位置における1つまたは複数の残基の変異は、触媒ポケットを拡大し(例えばW450位、D434位、D435位、H342位、D343位、T331位、R336位、D399位、R461位、および/またはR508位を標的とすることによる)、触媒ポケットへのアクセス可能性を高め(例えばR458位、E455位、R454位、A397位、K338位、および/またはN509位を標的とすることによる)、かつ/または酵素の構造により大きな柔軟性を与えて、それが相当な立体容積を有する修飾ヌクレオチドを受容することができるようにする(例えばV436位、F346位、V344位、F334位、M330位、L448位、E491位、E457位、および/またはN474位を標的とすることによる)。
【0034】
本発明に関係するバリアントは、Pol IV、Pol μ、Polβ、Polλ、またはTdTのバリアント、優先的にはPol IV、Pol μ、またはTdTのバリアントであり得る。代替的に、バリアントは、例えば、少なくとも2つのpolXファミリーDNAポリメラーゼの異なる配列の部分を組み合わせたキメラ酵素のバリアントであってもよい。
【0035】
特定の実施形態では、バリアントは、配列番号1の配列と少なくとも60%の同一性、優先的には配列番号1の配列と少なくとも70%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、および100%未満の同一性を有する。
【0036】
本発明によれば、変異は、1つまたは複数のアミノ酸残基の置換、欠失、または付加からなる場合がある。欠失の場合は、Xの注記が使用され、これは、問題の残基をコードするコドンが終止コドンに置き換えられ、したがって、問題の残基のみならず続くアミノ酸の全てが欠失することを示す。したがって、変異D501Xとは、その酵素が、501位のアスパラギン酸(D)に先行する残基、すなわち500位のロイシン(L)で終わり、それ以降の残基は全て欠失していることを意味する。一方で、φの注記は、考慮されている残基の単純な点欠失を示す。したがって、変異D501φとは、501位のアスパラギン酸(D)が欠失していることを意味する。
【0037】
優先的には、本発明によるバリアントは、T331、G332、G333、F334、R336、D343、L447、L448、G449、W450、G452、R454、Q455、E457、およびR508からなる群より選択される少なくとも1つの位置における残基または機能的に同等な残基の少なくとも1つの変異、優先的には、R336、
R454、E457からなる群より選択される少なくとも1つの位置における残基または機能的に同等な残基の少なくとも1つの変異を含み、示された位置は配列番号1とのアラインメントにより決定される。
【0038】
特定の実施形態では、前記バリアントは、R336、R454、およびE457からなる群より選択される少なくとも2つの位置における残基の少なくとも1つの変異、優先的には、前記3つの位置R336、R454、およびE457における残基または機能的に同等な残基の変異を含み、示された位置は配列番号1とのアラインメントにより決定される。
【0039】
特定の実施形態では、バリアントは、配列XGGFRGKX(配列番号4)(式中、
は、M、I、V、Lから選択される残基を表し、
は、T、A、M、Qから選択される残基を表し、
は、M、K、E、Q、L、S、P、R、Dから選択される残基を表し、
は、T、I、M、F、K、V、Y、E、Q、H、S、R、Dから選択される残基を表す)
の少なくとも半保存領域における残基の少なくとも1つの変異をさらに含む。
【0040】
優先的には、前記バリアントは、配列番号4の配列の半保存領域の少なくとも1つの位置R、R、および/またはKにおける残基の少なくとも1つの置換を有する。
【0041】
別の特定の実施形態では、バリアントは、配列XLGXGSRER(配列番号5)(式中、
は、A、C、G、Sから選択される残基を表し、
は、L、T、Rから選択される残基を表し、
は、W、Yから選択される残基を表し、
は、T、S、Iから選択される残基を表し、
は、Q、L、H、F、Y、N、E、D、またはφから選択される残基を表し、
は、F、Yから選択される残基を表す)
の少なくとも1つの半保存領域における残基の少なくとも1つの変異をさらに含む。
【0042】
優先的には、前記バリアントは、配列番号5の配列の半保存領域の少なくとも1つの位置S、R、および/またはEにおける残基の少なくとも1つの置換を有する。
【0043】
別の特定の実施形態では、バリアントは、配列LXYXPXRNA(配列番号6)(式中、
は、D、E、S、P、A、Kから選択される残基を表し、
は、I、L、M、V、A、Tから選択される残基を表し、
は、E、Q、P、Y、L、K、G、Nから選択される残基を表し、
は、W、S、V、E、R、Q、T、C、K、Hから選択される残基を表し、
は、E、Q、D、H、Lから選択される残基を表す)
の少なくとも1つの半保存領域における残基の少なくとも1つの変異をさらに含む。
【0044】
優先的には、前記バリアントは、配列番号6の配列の半保存領域のX位における残基の少なくとも1つの欠失ならびに/またはR位および/もしくはN位における少なくとも1つの置換を有する。
【0045】
特定の実施形態では、バリアントは、R336、K338、H342、A397、S453、R454、E457、N474、D501、Y502、I503、R508、およ
びN509からなる群より選択される少なくとも1つの位置における残基または機能的に同等な残基の置換、優先的には、R336、A397、R454、E457、N474、D501、Y502、およびI503からなる群より選択される少なくとも1つの位置における残基または機能的に同等な残基の置換、より優先的には、R336、R454、E457からなる群より選択される少なくとも1つの位置における残基または機能的に同等な残基の少なくとも1つの置換を含み、示された位置は配列番号1とのアラインメントにより決定される。
【0046】
本発明は、好ましくは、R336K/H/G/N/D、K338A/C/G/S/T/N、H342A/C/G/S/T/N、A397R/H/K/D/E、S453A/C/G/S/T、R454F/Y/W/A、E457G/N/S/T、N474S/T/N/Q、D501A/G/X、Y502A/G/X、I503A/G/X、R508A/C/G/S/T、N509A/C/G/S/Tからなる群よりの少なくとも1つの置換を含む、polXファミリーDNAポリメラーゼのバリアントに関する。特定の実施形態では、バリアントは、R336、R454、E457からなる群より選択される少なくとも2つの位置における残基または機能的に同等な残基の置換、優先的には、前記3つの位置における残基または機能的に同等な残基の置換を含み、示された位置は配列番号1とのアラインメントにより決定される。とりわけ、置換は、R336K/H/G/N/D、R454F/Y/W/A、およびE457N/D/G/S/Tからなる群より、優先的には、R336N/G、R454A、およびE457G/N/S/Tからなる群より選択される。
【0047】
一実施形態では、バリアントは、E457G/N/S/Tによる少なくとも1つの置換を含む。
【0048】
有利なことには、バリアントは、上記に挙げた群から選択される置換の組合せを含む。この組合せは、前記群から選択される2、3、4、5、6、7、8、9、10、または11の置換からなることができる。
【0049】
本発明は、より特定すると、DNAまたはRNA鎖などの核酸分子を鋳型鎖を用いずに合成することができるpolXファミリーDNAポリメラーゼまたはそのようなポリメラーゼの機能的断片のバリアントであって、前記バリアントが、表1に記載の変異の少なくとも1つの組合せを含み、示された位置は配列番号1とのアラインメントにより決定される、バリアントに関する。
【0050】
一実施形態では、polXファミリーDNAポリメラーゼのバリアントは、R336G-E457N、R336N-E457N、R336N-R454A-E457N、R336N-R454A-E457G、R336N-E457G、およびR336G-R454A-E457Nのうちの置換の組合せを含む。
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【表1-4】
【0051】
特定の実施形態では、バリアントは、polXファミリーDNAポリメラーゼのキメラ構築物である。「キメラ構築物」とは、考慮されているDNAポリメラーゼのバリアントにおける1つまたは複数の相同配列の代わりの、polXファミリーに属する酵素の1つまたは複数の規定の配列の結合、とりわけ融合またはコンジュゲーションからなるキメラ酵素を意味する。
【0052】
したがって本発明は、上記の位置のうちの1つおよび/またはその他における1つまたは複数の点変異に加えて、C378位からL406位の間に含まれる残基または機能的に同等な残基の、配列番号2の配列のポリメラーゼPolμの残基H363~C390または機能的に同等な残基による置換を含む、配列番号1の配列のTdTのバリアントを提案する。
【0053】
代替的または付加的に、本発明に関係するバリアントは、N末端部分における1つまた
は複数の連続したアミノ酸残基の欠失を有し得る。これらの欠失は、とりわけ、他のタンパク質との結合に関与し、かつ/または細胞局在に関与する、1つまたは複数の酵素ドメインを標的とし得る。例えば、TdTポリペプチド配列は、Ku70/80などの他のタンパク質との相互作用のためのN末端BRCTドメイン、および核局在化ドメイン(NLS)を含む。
【0054】
本発明の特定の実施形態では、バリアントは、上記の変異のうちの1つまたは複数に加えて、野生型TdTのN末端に対応する残基1~129の欠失を有する、配列番号1の配列のTdTのバリアントである。
【0055】
ある特定の特定事例では、変異誘発の方策は、天然バリアントの配列、同様のタンパク質との配列比較、物理的特性、三次元構造またはいくつかの実体が関わるコンピュータシミュレーションの研究などの公知の情報によってガイドされ得る。
【0056】
本発明は、本発明による鋳型鎖を用いずに核酸分子を合成することができるpolXファミリーDNAポリメラーゼのバリアントをコードする核酸に関する。本発明は、本発明による核酸のための発現カセットにも関する。本発明はさらに、本発明による核酸または発現カセットを含むベクターに関する。ベクターは、プラスミドおよびウイルスベクターから選択することができる。
【0057】
DNAポリメラーゼのバリアントをコードする核酸は、DNA(cDNAまたはgDNA)、RNA、これら両方の混合物であってもよい。核酸は、一本鎖もしくは二本鎖の形態、またはこれら両方の混合物であってもよい。核酸は、例えば修飾された結合、修飾されたプリンもしくはピリミジン塩基、または修飾された糖を含む、修飾ヌクレオチドを含んでもよい。核酸は、化学合成、組換え、変異誘発などを含む、当業者に公知のあらゆる方法によって調製することができる。
【0058】
発現カセットは、本発明による鋳型鎖を用いずに核酸分子を合成することができるpolXファミリーDNAポリメラーゼのバリアントの発現に必要な全てのエレメント、とりわけ、宿主細胞における転写および翻訳に必要なエレメントを含む。宿主細胞は、原核生物のものであっても真核生物のものであってもよい。特に、発現カセットは、プロモーターおよびターミネーター、任意選択で増幅因子を含む。プロモーターは、原核生物のものであっても真核生物のものであってもよい。好ましい原核生物プロモーターの例は、Lacl、LacZ、pLacT、ptac、pARA、pBAD、T3またはT7バクテリオファージRNAポリメラーゼプロモーター、ポリヘドリンプロモーター、ラムダファージプロモーターPRまたはPLである。好ましい真核生物プロモーターの例は、CMV初期プロモーター、HSVチミジンキナーゼプロモーター、SV40初期または後期プロモーター、マウスメタロチオネイン-Lプロモーター、およびある特定のレトロウイルスのLTR領域である。一般に、好適なプロモーターの選択に関して、当業者は有利なことに、Sambrookら(1989年)の研究あるいはFullerら(1996年、Immunology in Current Protocols in Molecular Biology)により記載された技術を参照することができる。
【0059】
本発明は、本発明による鋳型鎖を用いずに核酸分子を合成することができるpolXファミリーDNAポリメラーゼのバリアントをコードする核酸または発現カセットを保有するベクターに関する。ベクターは、好ましくは発現ベクターであり、すなわち、ベクターは、宿主細胞におけるバリアントの発現に必要なエレメントを含む。宿主細胞は、原核生物、例えばE.coli、または真核生物であってもよい。真核生物は、酵母(例えば、P.PastorisまたはK.lactis)もしくは真菌(例えばAspergillus属のもの)などの下等真核生物、または昆虫細胞(例えばSf9またはSf21)
、哺乳動物細胞、もしくは植物細胞などの高等真核生物であってもよい。細胞は、哺乳動物細胞、例えばCOS(ミドリザル細胞株)(例えば、COS 1(ATCC CRL-1650)、COS 7(ATCC CRL-1651)、CHO(US4,889,803;US5,047,335、CHO-K1(ATCC CCL-61))、マウス細胞、およびヒト細胞であってもよい。特定の実施形態では、細胞は、非ヒトかつ非胚性である。ベクターは、プラスミド、ファージ、ファージミド、コスミド、ウイルス、YAC、BAC、Agrobacterium pTiプラスミドなどであり得る。ベクターは、好ましくは、複製起点、多重クローニング部位、および選択可能な遺伝子から選択される1つまたは複数のエレメントを含み得る。好ましい実施形態では、ベクターはプラスミドである。原核生物ベクターのいくつかの非包括的な例は、次のとおりである:pQE70、pQE60、pQE-9(Qiagen)、pbs、pD10、ファージスクリプト、psiX174、pブルースクリプト(pbluescript)SK、pbsks、pNH8A、pNH16A、pNH18A、pNH46A(Stratagene);ptrc99a、pKK223-3、pKK233-3、pDR540、pBR322、およびpRIT5(Pharmacia)、pET(Novagen)。真核生物ベクターのいくつかの非包括的な例は、次のとおりである:pWLNEO、pSV2CAT、pPICZ、pcDNA3.1(+)Hyg(Invitrogen)、pOG44、pXT1、pSG(Stratagene);pSVK3、pBPV、pCI-neo(Stratagene)、pMSG、pSVL(Pharmacia);およびpQE-30(QLAexpress)。ウイルスベクターとしては、アデノウイルス、AAV、HSV、レンチウイルスなどを挙げることができるが、これらに限定されない。好ましくは、発現ベクターはプラスミドまたはウイルスベクターである。
【0060】
本発明によるバリアントをコードする配列は、任意選択でシグナルペプチドを含み得る。これを含まない場合、メチオニンを任意選択でN末端に付加してもよい。別の代替形態では、異種シグナルペプチドを導入してもよい。この異種シグナルペプチドは、E.coliなどの原核生物に由来しても、真核生物、とりわけ哺乳動物、昆虫、または酵母細胞に由来してもよい。
【0061】
本発明は、細胞の形質転換またはトランスフェクションを行うための、本発明によるポリヌクレオチド、発現カセット、またはベクターの使用に関する。本発明は、鋳型鎖を用いずに核酸分子を合成することができるpolXファミリーDNAポリメラーゼのバリアントをコードする核酸、発現カセット、またはベクターを含む宿主細胞、および本発明による組換え鋳型鎖を用いずに核酸分子を合成することができるpolXファミリーDNAポリメラーゼのバリアントを産生するためのその使用に関する。「宿主細胞」という用語は、前記細胞の培養または増殖から生じる娘細胞を含む。特定の実施形態では、細胞は、非ヒトかつ非胚性である。本発明は、本発明による組換え鋳型鎖を用いずに核酸分子を合成することができるpolXファミリーDNAポリメラーゼのバリアントを産生するための方法であって、本発明によるポリヌクレオチド、発現カセット、またはベクターを用いて細胞の形質転換またはトランスフェクションを行うことと、トランスフェクト/形質転換された細胞を培養することと、細胞により産生された、鋳型鎖を用いずに核酸分子を合成することができるpolXファミリーDNAポリメラーゼのバリアントを収集することとを含む方法にも関する。代替的な実施形態では、本発明による組換え鋳型鎖を用いずに核酸分子を合成することができるpolXファミリーDNAポリメラーゼのバリアントを産生するための方法は、本発明によるポリヌクレオチド、発現カセット、またはベクターを含む細胞を提供することと、トランスフェクト/形質転換された細胞を培養することと、細胞により産生された、鋳型鎖を用いずに核酸分子を合成することができるpolXファミリーDNAポリメラーゼのバリアントを収集することとを含む。特に、細胞は、バリアントをコードする核酸で一過的または安定に形質転換/トランスフェクトされてもよい。この核酸は、エピソームまたは染色体として細胞に含まれていてもよい。組換えタンパ
ク質を産生するための方法は、当業者には周知である。例えば、E.coliにおける産生に関しては、US5,004,689、EP446582、Wangら(Sci. Sin. B、24巻:1076~1084頁、1994年、およびNature、295巻、503頁)、哺乳動物細胞における産生に関してはJAMESら(Protein Science(1996年)、5巻:331~340頁)に記載されている、特定の方法を挙げることができる。
【0062】
本発明によるDNAポリメラーゼのバリアントは、鋳型鎖を用いない核酸の合成を特に目的とする。より特定すると、本発明によるバリアントは、天然ヌクレオチドよりも大きな嵩を有する修飾ヌクレオチドを使用した核酸合成に特に適した、拡大された触媒ポケットを有する。本発明によるバリアントは、とりわけ、WO2016/034807の出願に記載されているような核酸鎖修飾ヌクレオチドへの取り込みを可能にすることができる。
【0063】
上記の特定の変異または変異の組合せを有する、本発明によるDNAポリメラーゼのバリアント、特にTdTのバリアントの取り込みの動態は、野生型DNAポリメラーゼの取り込みの動態と比較して大きく増強されている。これらのバリアントは、有利なことに、高性能酵素DNA合成法の文脈において使用され得る。
【0064】
したがって本発明は、とりわけWO2016034807の出願に記載されているような3’-OH修飾ヌクレオチドから鋳型鎖を用いずに核酸分子を合成するための、本発明によるpolXファミリーDNAポリメラーゼのバリアントの使用にも関する。
【0065】
本発明は、本発明によるpolXファミリーDNAポリメラーゼのバリアントの存在下で、少なくとも1つのヌクレオチド、優先的には3’-OH修飾ヌクレオチドにプライマー鎖を接触させる、鋳型鎖を用いない核酸分子の酵素的合成のためのプロセスにも関する。
【0066】
有利なことには、本発明によるバリアントは、WO2015/159023の出願に記載されている合成プロセスを実施するために使用することができる。
【0067】
本発明は、本発明によるpolXファミリーDNAポリメラーゼの少なくとも1つのバリアントと、ヌクレオチド、優先的には3’-OH修飾ヌクレオチドと、任意選択で少なくとも1つのヌクレオチドプライマーとを含む、鋳型鎖を用いない核酸分子の酵素的合成のためのキットにも関する。
【0068】
本明細書において引用される参考文献は全て、参照により本出願に組み込まれる。本発明の他の特色および利点は、当然ながら例証的かつ非限定的である以下の実施例を読むことによって、より容易に明らかとなるであろう。
【実施例0069】
(実施例1-本発明によるpolXファミリーDNAポリメラーゼのバリアントの生成、産生、および精製)
産生株の生成
その構築が[Bouleら、1998年、Mol. Biotechnol.、10巻、199~208頁]に記述されているプラスミドpET28bから、切断型マウスTdT遺伝子を生成した。次のプライマー:
【化1】
を使用し、従来のPCR増幅および分子生物学技術を使用して、対応する配列番号3の配列(配列番号1の最初の120個のアミノ酸が切断されたものに対応する)を増幅した。これをプラスミドpET32にクローニングして、ベクターpET32-配列番号3を得た。
【0070】
プラスミドpET32-配列番号3の配列決定をまず行い、次に市販のE.coli株BL21(DE3)(Novagen)に形質転換した。カナマイシン/クロラムフェニコールプレートで増殖することができたコロニーを単離し、Ec-配列番号3とマークした。
【0071】
バリアントの生成
ベクターpET32-配列番号3を出発ベクターとして使用した。点変異を含むプライマー(またはそれらが十分に近ければ、ある特定の場合では複数の点変異)を、Agilentのオンラインツール:(http://www.genomics.agilent.com/primerDesignProgram.jsp)から生成した。
【0072】
QuickChange IIキット(Agilent)を使用して、所望の変異を有するバリアントのプラスミドを生成した。プラスミドpET32-DSi(iは、表1に示される問題のバリアントの番号である)を得るために、製造元により与えられた変異誘発プロトコールに忠実に従った。手順の最後に、プラスミドpET32-DSxの配列決定をまず行い、次に市販のE.coli株BL21(DE3)(Novagen)に形質転換した。カナマイシン/クロラムフェニコールプレートで増殖することができたコロニーを単離し、Ec-DSxとマークした。
【0073】
産生
カナマイシンおよびクロラムフェニコールを適量添加した50mLのLB培地を含む250mLのエルレンマイヤーフラスコ内で、Ec-配列番号3およびEc-DSx細胞を前培養した。この培養物を振盪しながら37℃で一晩インキュベートした。次にこの前培養物を使用して、カナマイシンおよびクロラムフェニコールを適量補充した2LのLB培地を含む5Lのエルレンマイヤーフラスコに播種した。初期の光学密度(OD)は0.01であった。この培養物を振盪しながら37℃でインキュベートした。ODが0.6から0.9の間の値に達するまでこれを定期的に測定した。この値に達したら、1mLの1Mイソプロピルβ-D-1-チオガラクトピラノシドを培養培地に添加した。この培養物を翌日まで再度37℃でインキュベートした。次に、5000rpmを超えずに遠心分離によって細胞を収集した。得られた種々のペレットを、溶解バッファー(20mMトリス-HCl、pH8.3、0.5M NaCl)を用いた洗浄中に単一のペレットに組み合わせた。細胞ペレットを-20℃で冷凍した。細胞ペレットはこのようにして数か月間保存することができる。
【0074】
抽出
先のステップ中に冷凍した細胞ペレットを25~37℃の水浴中で解凍した。完全に解凍されたら、約100mLの溶解バッファーにこれを再懸濁した。再懸濁は、非常に均質な溶液をもたらし、特に凝集物が全く存在しないことが必要であるため、特に注意した。このように再懸濁した細胞を、14000psiの圧力下でフレンチプレスを使用して溶解した。収集したライセートを、10000gで1時間~1時間30分にわたり高速で遠
心分離した。遠心分離物を0.2μMフィルタで濾過し、十分な容積の管に収集した。
【0075】
精製
TdTをアフィニティカラムで精製した。5mLのHis-Trap Crudeカラム(GE Life Sciences)を蠕動ポンプ(MINIPULS(登録商標)Evolution、Gilson)と共に使用した。まず、2~3CV(カラム容積)の溶解バッファーを使用してカラムを平衡化した。次に、先のステップの遠心分離物を約0.5~5mL/分の速度でカラムにロードした。遠心分離物の全体をロードしたら、3CVの溶解バッファーおよび3CVの洗浄バッファー(20mMトリス-HCl、pH8.3、0.5M NaCl、60mMイミダゾール)でカラムを洗浄した。このステップの最後に、約0.5~1ml/分で総容積3CVにわたり溶出バッファー(20mMトリス-HCl、pH8.3、0.5M NaCl、1Mイミダゾール)をカラムに注入した。溶出段階全体を通して、カラム出力を1mLの画分に収集した。これらの画分をSDS-PAGEにより分析して、どの画分が溶出ピークを含むかを決定した。決定されたら、これらを単一の画分に組み合わせ、透析バッファー(20mMトリス-HCl、pH6.8、200mM NaCl、50mM MgOAc、100mM [NHSO)に対して透析した。次にTdTを5~15mg/mLの最終濃度まで濃縮した(Amicon Ultra-30 Centrifugal Filters、Merk Millipore)。濃縮されたTdTに50%グリセロールを添加した後、長期間保存のため-20℃で冷凍した。精製段階全体を通して、SDS-PAGEゲル分析のために種々の試料のアリコート(約5μL)を収集した。分析の結果を図1に提示する。
【0076】
(実施例2-本発明によるバリアントの作出に使用される可能性が高いPolXファミリーの種々のポリメラーゼ間の配列アラインメント)
Mutalinオンラインアラインメントソフトウェア(http://multalin.toulouse.inra.fr/multalin/multalin.html、アクセス日:2016年4月4日)を使用し、PolXファミリーの種々のDNAポリメラーゼのアラインメントを行った。
【表2】
【0077】
結果として得られたアラインメントを図2に示す。
【0078】
(実施例3-非天然基質の存在下におけるバリアントの活性の研究)
本発明による様々なバリアントの活性を、以下の試験によって決定した。結果を、各バリアントが由来する天然酵素で得られたものと比較した。
活性試験
【表3】
【0079】
使用した配列5’-AAAAAAAAAAGGGG-3’(配列番号14)のプライマーは、酵素PNK(NEB)および放射性ATP(PerkinElmer)を使用し、標準的な標識プロトコールを用いて事前に5’放射性標識した。
【0080】
250mMトリス-HCl(pH7.2)、80mM MgCl、3.3mM ZnSOからなる10×バッファーを使用した。
【0081】
使用した修飾ヌクレオチドは、3’-O-アミノ-2’,3’-ジデオキシヌクレオチド-5’-三リン酸(ONH2、Firebird Biosciences)または3’-biot-EDA-2’,3’-ジデオキシヌクレオチド-5’-三リン酸(Biot-EDA、Jena Biosciences)、例えば3’-O-アミノ-2’,3’-ジデオキシアデノシン-5’-三リン酸または3’-biot-EDA-2’,3’-ジデオキシアデノシン-5’-三リン酸などである。3’-O-アミノ基は、3’-OH末端に結合した、より容積の大きい基である。3’-biot-EDA基は、3’-OH末端に結合した、極めて容積が大きく柔軟性のない基である。
【0082】
天然TdT(配列番号3)と比べた、表1に列挙されるバリアントにより行われる修飾ヌクレオチドの取り込み性能を、酵素のみを変更した同時の活性試験を行うことによって評価した。
【0083】
上記の表3に示した順序で試薬を添加し、次に37℃で90分間インキュベートした。次に、ホルムアミドブルー(100%ホルムアミド、1~5mgのブロモフェノールブルー;Simga)を添加することによって反応を停止させた。
【0084】
ゲルおよびX線撮影
先の活性試験の分析のために、16%変性ポリアクリルアミドゲル(Biorad)を使用した。ゲルは事前に注ぎ、放置して重合させた。これを次に、TBEバッファー(Sigma)で満たした好適なサイズの電気泳動槽に載置した。種々の試料を前処理せずにゲルに直接ロードした。
【0085】
次にこのゲルを、3~6時間500~2000Vの電位差に供した。泳動が満足のいくものになったら、ゲルを取り外し、次にインキュベーションカセットに移した。適切な検
出モードを予め設定したTyphoon機器(GE Life Sciences)を使用して行った可視化のため、蛍光スクリーン(Amersham)を10~60分間使用した。
【0086】
結果
使用した2つの酵素の比較結果を図3に提示する。
【0087】
より詳細には、第1のゲル(ONH2の取り込み)では、天然TdT(wtの列)は、陰性対照(「なし」の列)との比較により示されるように、3’-O-アミノ-2’,3’-ジデオキシアデノシン-5’-三リン酸修飾ヌクレオチドを取り込むことができない。
【0088】
様々なバリアントの中で、3つの異なる群を観察することができる。
第1の群のバリアント(DS7~DS34の列)は、約50%の取り込みが可能である。第2の群のバリアント(DS46~DS73の列)は、95%超、場合によっては98%超の取り込みが可能である。
第3の群のバリアント(DS83~DS106の列)は、60~80%の取り込みが可能である。
【0089】
第2のゲル(Biot-EDAの取り込み)では、天然TdT(wtの列)は、陰性対照(「なし」の列)との比較により示されるように、3’-biot-EDA-2’,3’-ジデオキシアデノシン-5’-三リン酸修飾ヌクレオチドを同様に取り込むことができない。
【0090】
様々なバリアントの中で、3つの異なる群を観察することができる。
第1の群のバリアント(DS7~DS34の列)は、約5~10%の取り込みが可能である。
第2の群のバリアント(DS46~DS73の列)は、30%超、場合によっては40%超の取り込みが可能である。
第3の群のバリアント(DS83~DS106の列)は、10~25%の取り込みが可能である。
【0091】
これらの結果は、本発明によるTdTのバリアントが全て、野生型酵素とは異なり、基質として、修飾ヌクレオチド、とりわけ3’-OH修飾ヌクレオチドを使用することができることを確認する。特に有利なことには、ある特定のバリアントは非常に高い取り込み率を有し、これは、修飾を保有するヌクレオチドの存在下でさえも、前記ヌクレオチドの立体容積を大きく増加させる傾向がある。
【0092】
(実施例4-本発明によるバリアントの動態の研究)
先行する実施例1に従い、R336N-R454A-E457Nの置換の組合せを有する変異体(DS124)を生成し、産生した。
【0093】
活性試験
活性試験では、酵素をONH2修飾ヌクレオチドの存在下におき、種々の長さの時間にわたって37℃でインキュベートする。反応を停止させてDS124の取り込み動態を観察し、これを天然のWT酵素(配列番号3)の動態と比較する。
【表4】
【0094】
使用するプライマーおよびバッファーは実施例3と同一である。
【0095】
使用した修飾ヌクレオチドは、3’-O-アミノ-2’,3’-ジデオキシヌクレオチド-5’-三リン酸(ONH2、Firebird Biosciences):3’-O-アミノ-2’,3’-ジデオキシグアノシン-5’-三リン酸、3’-O-アミノ-2’,3’-ジデオキシシチジン-5’-三リン酸、および3’-O-アミノ-2’,3’-ジデオキシチミジン-5’-三リン酸である。3’-O-アミノ基は、3’-OH末端に結合した、より容積の大きい基である。
【0096】
プライマー以外の全ての試薬(表4に示した順序で添加した)を含むプレミックスを調製した活性試験を行うことにより、酵素DS124によるヌクレオチド混合物の取り込み性能を評価した。これらを様々な反応ウェルに分配する。初期時間t=0において、プライマーを全てのウェルに同時に加える。t=2分、t=5分、t=10分、t=15分、t=30分、およびt=90分の異なる時間において、ホルムアミドブルー(100%ホルムアミド、1~5mgのブロモフェノールブルー;Simga)を添加することによって反応を停止させる。
【0097】
ゲルおよびX線撮影
実施例3に記載したプロトコールに従い、ポリアクリルアミドゲル中の種々の試料の泳動により、活性試験の分析を行う。
【0098】
結果
2つの酵素(DS124およびWT)の比較結果を図4に提示する。
【0099】
より詳細には、このゲルでは、使用するプライマーが伸長されていない場合、すなわちヌクレオチドが取り込まれていない場合、陰性対照(「なし」の列)は、予想されるサイズのプライマーをもたらす。天然のTdT(WTの列)は、修飾ヌクレオチド(ここではONH2-dGTP)を取り込むことができない:「なし」の列と同じレベルのバンドが観察される。
【0100】
試験した全てのヌクレオチド、そして90分間(ここでは陽性対照として使用した)から2分間の範囲の全ての時間、すなわちインキュベーション時間の45分の1への低減に関して、バリアントDS124は、100%の見かけの効率で修飾ヌクレオチドを取り込むことができる。
【0101】
これらの結果は、本発明によるTdTのバリアントが、取り込み効率および取り込み率の両方の観点から、天然TdTのものよりも大幅に高い取り込み性能を有し得ることを確認する。本発明によるTdTのバリアントの動態は、本発明により記載される特定の変異または変異の組合せによって大きく増強される。
【0102】
(実施例5-本発明によるバリアントの特異性の研究)
実施例1に従い、以下の表5による置換の組合せを有する変異体を生成し、産生した。
【表5】
【0103】
活性試験
この活性試験では、天然ヌクレオチドおよび修飾ヌクレオチドの高度に濃縮された混合物と、様々なバリアントを合わせた。インキュベーション時間を短縮するため、また定量的な添加を達成するため(実施例4参照)、酵素濃度も増加させる。
【0104】
生成した様々なバリアントの活性を以下の試験によって決定した。
【0105】
各バリアントを、(1)ヌクレオチドの非存在下(HOに置き換える)または(2)ヌクレオチド混合物の存在下の、2つの条件下で試験する。様々なバリアントの結果を互いと比較する。ヌクレオチドも酵素も含まない(HOに置き換えられた)対照試料を添加した。
【表6】
【0106】
使用するプライマーおよびバッファーは実施例3と同一である。
【0107】
存在する場合、ヌクレオチド混合物は、天然の2’-デオキシヌクレオチド5’-三リン酸ヌクレオチド(Nuc、Sigma-Aldrich)、例えば2’-デオキシグアノシン5’-三リン酸(dGTP)、および3’-O-アミノ-2’,3’-ジデオキシヌクレオチド-5’-三リン酸修飾ヌクレオチド(ONH2、Firebird Biosciences)、例えば3’-O-アミノ-2’,3’-ジデオキシグアノシン-5’-三リン酸などからなる。3’-O-アミノ基は、3’-OH末端に結合した、より容
積の大きい基である。この混合物は、90%のONH2-dGTP修飾ヌクレオチドおよび10%の天然dGTPヌクレオチドからなる。
【0108】
互いと比べた、表5に列挙されるバリアントによるヌクレオチド混合物の取り込み性能を、酵素のみを変更した同時の活性試験を行うことによって評価した。
【0109】
上記の表6に示した順序で試薬を添加し、次に37℃で15分間インキュベートした。次に、ホルムアミドブルー(100%ホルムアミド、1~5mgのブロモフェノールブルー;Simga)を添加することによって反応を停止させた。
【0110】
ゲルおよびX線撮影
実施例3に記載したプロトコールに従い、ポリアクリルアミドゲル中の種々の試料の泳動により、活性試験の分析を行った。
【0111】
結果
使用した酵素の比較結果を図5に提示する。
【0112】
より詳細には、このゲルでは、使用するプライマーが伸長されていない場合、すなわちヌクレオチドが取り込まれていない場合、陰性対照(「なし」の列)は、予想されるサイズのプライマーをもたらす。以下の試料はペアになっており、各ペアは、同じ酵素バリアントをヌクレオチドの非存在下および存在下(それらが存在する場合は混合物の形態)の2つの条件下で試験したものに対応する。
【0113】
試験した様々なバリアントの中で、3つの異なる群を観察することができる。
【0114】
第1の群は、陰性対照を構成するバリアントDS128である。このバリアントは、極めて低いヌクレオチド取り込み率を有する:ヌクレオチド混合物が存在する場合、混合物中に存在する天然ヌクレオチドの割合に対応する5%から10%の間の取り込みが観察される。
【0115】
第2の群は、バリアントDS127およびDS22からなる。これらのバリアントは、高いヌクレオチド取り込み率を有する:ヌクレオチド混合物が存在する場合、50%から60%の間の取り込みが観察される。この場合でも、これら2つのバリアントに関して、2つのヌクレオチドの連続的な取り込みに対応する過剰添加バンド(une bande
de sur-addition)が観察される。このバンドの強度は、ヌクレオチド混合物中に存在する天然ヌクレオチドの割合に対応する。
【0116】
最後の群は、バリアントDS124、DS24、DS125、およびDS126からなる。これらのバリアントは、ヌクレオチド混合物が存在する場合、DS124およびDS125については80%から100%の間の極めて高いヌクレオチド取り込み率を有する。この場合、過剰添加バンドは存在しない。バリアントDS24およびDS126の場合、非取り込みの割合は、混合物中に存在する天然ヌクレオチドの割合と同様である。
【0117】
これらの結果は、本発明によるTdTのバリアントが、修飾ヌクレオチドおよび天然ヌクレオチドの混合物の中でも修飾ヌクレオチドを優先的に使用することができることを確認する。特に有利なことには、これらのバリアントは、修飾ヌクレオチドの極めて高い取り込み率を有し、天然ヌクレオチドを取り込まないようにそれらを区別することができ、したがって、過剰添加を回避することによりDNA合成の質を大きく向上させる。
【0118】
(実施例6-鋳型鎖を用いないDNA鎖の合成の例)
実施例1に従い、R336N-R454A-E457Gの置換の組合せを有するTdTのバリアント(DS125)を生成し、産生した。
【0119】
バリアントDS125を使用して、配列5’-AAAAAAAAAAGGGG-3’(配列番号14)のプライマーの後に5’-GTACGCTAGT-3’(配列番号15)が続く配列を合成する。このプライマーは、酵素PNK(NEB)および放射性ATP(PerkinElmer)を使用し、標準的な標識プロトコールを用いて事前に5’放射性標識した。
【0120】
このプライマーは、配列5’-CCTTTTTTTTTT-3’(配列番号16)の相補的な捕捉断片との相互作用により、固体支持体に結合する。捕捉断片は、その3’末端に、それが、表面に結合した反応基と共有結合性に反応することができるようにする基を有する。例えば、この基は、NH2、反応基のN-ヒドロキシスクシンイミド、および磁性ビーズ(Dynabeads、Thermofisher)の表面であってもよい。捕捉断片とプライマーの相互作用は、標準的なDNA断片ハイブリダイゼーション条件下で行われる。
【0121】
使用した修飾ヌクレオチドは、3’-O-アミノ-2’,3’-ジデオキシヌクレオチド-5’-三リン酸(ONH2、Firebird Biosciences)、例えば3’-O-アミノ-2’,3’-ジデオキシグアノシン-5’-三リン酸、3’-O-アミノ-2’,3’-ジデオキシシチジン-5’-三リン酸、3’-O-アミノ-2’,3’-ジデオキシチミジン-5’-三リン酸、または3’-O-アミノ-2’,3’-ジデオキシアデノシン-5’-三リン酸である。3’-O-アミノ基は、3’-OH末端に結合した、より容積の大きい基である。
合成
【表7】
【0122】
250mMトリス-HCl(pH7.2)、80mM MgCl2、3.3mM ZnSO4からなる10×バッファーを使用した。
【0123】
使用した洗浄バッファーWは、pH7.2の25mMトリス-HClからなる。
【0124】
使用した脱保護バッファーDは、10mM MgCl2の存在下でpH5.5の50mM酢酸ナトリウムからなる。
【0125】
合成の開始前、総当量35pmolのプライマーに対し、プライマーをハイブリダイズさせる固体支持体を構成するビーズを、バッファーWで数回洗浄した。これらの洗浄の後、ビーズを磁石上に保持し、上清の全体を除去した。
【0126】
表7に示した順序で添加した様々な試薬からなる、いくつかのプレミックスを調製した。これらのプレミックスのそれぞれは、以下の表8に示されるように、異なるヌクレオチドを含む。
【表8】
【0127】
事前に洗浄し上清を取り除いたビーズにプレミックス1を添加すると、合成が始まる。以下の表9に提示される合成ステップは、新たな配列5’-GTACGCTAGT-3’を産生するために、示されている順序で行われる。
【表9-1】
【表9-2】
【0128】
試料採取ステップを除く各ステップ間で、磁石を用いてビーズを収集し、上清の全体を除去する。
【0129】
ホルムアミドブルー(100%ホルムアミド、1~5mgのブロモフェノールブルー;Simga)の15μL溶液に各試料を添加して、反応を停止させ、分析を作成する。
【0130】
ゲルおよびX線撮影
実施例3に記載したプロトコールに従い、ポリアクリルアミドゲル中の種々の試料の泳動により、活性試験の分析を行う。
【0131】
結果
この合成の結果を図6に提示する。
【0132】
0の列(「なし」、ヌクレオチドなし)は、使用するプライマーが伸長されていない場合、すなわちヌクレオチドが取り込まれてない場合、予想されるサイズのプライマーをもたらす。
【0133】
1~10の列は、合成中の試料1~10に対応する。ヌクレオチドの取り込みはそれぞれ、最大の性能を有する酵素によって行った。さらなる精製ステップは行わない。
【0134】
天然のTdTを用い、同様の合成実験を行った。後者は修飾ヌクレオチドを取り込むことができず、所望の配列を合成することは不可能であった。
図2
図3
図4
図5
図6
【配列表】
2022137127000001.app
【手続補正書】
【提出日】2022-07-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載の一発明。
【誤訳訂正書】
【提出日】2022-08-04
【誤訳訂正1】
【訂正対象書類名】図面
【訂正対象項目名】全図
【訂正方法】変更
【訂正の内容】
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【外国語明細書】