(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022137149
(43)【公開日】2022-09-21
(54)【発明の名称】逐次生理学的測定による血管の評価方法
(51)【国際特許分類】
A61B 5/0215 20060101AFI20220913BHJP
【FI】
A61B5/0215
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022108754
(22)【出願日】2022-07-06
(62)【分割の表示】P 2020557203の分割
【原出願日】2019-04-15
(31)【優先権主張番号】62/659,514
(32)【優先日】2018-04-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】506192652
【氏名又は名称】ボストン サイエンティフィック サイムド,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】BOSTON SCIENTIFIC SCIMED,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】リー、ウェングアン
(57)【要約】 (修正有)
【課題】患者の血管、特に患者の血管内の狭窄の血行力学的影響を評価するための方法、装置、及びシステムを提供する。
【解決手段】近位及び遠位の圧力測定は、第1の圧力感知医療装置10が血管内で長手方向に移動し、第2の圧力感知医療装置74が固定位置に留まっている間に行われる。一連の圧力比の値が計算され、圧力比曲線が生成される。圧力比曲線は、ディスプレイシステム78に出力され得る。自動段差検出アルゴリズムを使用して、圧力比曲線における1つ以上の段差のある変化が特定される。特定された段差のある変化に対応する血管内の第1の圧力感知医療装置の位置を示す画像が得られる。画像は、圧力比曲線における特定された段差のある変化に登録される。画像は、ディスプレイに出力され得る。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の血管を評価するためのシステムであって、
プロセッサを備え、該プロセッサは、
第1の器具が第1の位置から第2の位置に血管を通って長手方向に移動する間に、ある時間間隔にわたって血管内にある第1の器具から第1の一連の圧力測定値を取得し、
第2の器具が血管内の固定された長手位置に留まっている間に、前記時間間隔にわたって血管内に配置された第2の器具から第2の一連の圧力測定値を取得し、
第1の圧力測定値及び第2の圧力測定値を使用して一連の圧力比値を計算し、
一連の圧力比値を使用して、当該時間間隔における圧力比曲線を生成し、
前記圧力比曲線をディスプレイシステムに出力し、
自動段差検出プロセスを使用して、前記圧力比曲線における段差のある変化を特定し、
前記圧力比曲線における特定された段差のある変化に対応する血管内の第1の器具の位置を示す画像を取得し、
前記圧力比曲線における特定された段差のある変化に画像を登録し、
前記ディスプレイシステムに前記画像を出力する
ように構成され、
前記自動段差検出プロセスは、
第1の閾値変化値以上である圧力比曲線に沿った第1のウィンドウ内の圧力比値の変化を特定することによって段差のある変化の開始点の一般的な位置を特定し、かつ、
第2の閾値変化値以上である圧力比曲線に沿った第2のウィンドウ内の圧力比値における変化を特定することによって開始点の最適化された位置を特定することを含み、
前記第2のウィンドウは前記第1のウィンドウよりも小さく、前記第2の閾値変化値は前記第1の閾値変化値よりも小さい、システム。
【請求項2】
前記プロセッサは、ユーザインターフェースを含み、前記プロセッサは、前記ユーザインターフェースを介して行われたユーザによる命令に応じて、前記ディスプレイシステムに画像を選択的に出力するように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記ユーザによる命令は、前記ユーザが、前記ディスプレイシステム上の予め設定された位置にカーソルを配置することを含む、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記ディスプレイシステム上の前記予め設定された位置は、前記圧力比曲線上の段差変化インジケータの場所を含む、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記プロセッサは、前記圧力比曲線上で特定された段差のある変化に対応する前記圧力比曲線上の段差変化インジケータを前記ディスプレイシステムに出力するように構成される、請求項1~4のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項6】
前記段差変化インジケータは、前記圧力比曲線上の段差のある変化の開始点にあるインジケータ、前記圧力比曲線上の段差のある変化の終了点にあるインジケータ、前記圧力比曲線上の段差のある変化の開始点と終了点との間の差を示すインジケータ、又はこれらの組み合せを含む、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記プロセッサは、ユーザインターフェース機能を含み、前記ユーザインターフェース機能は、ユーザが画像上にカーソルを置くことを可能にし、前記プロセッサは、応答して、画像に対応する圧力比曲線上の位置を示すインジケータを前記ディスプレイシステムに出力するように構成される、請求項1~6のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項8】
段差のある変化を特定するように構成されているプロセッサが、段差のある変化の開始点を特定するように構成されているプロセッサを含み、前記画像が、段差のある変化の開始点における血管内の前記第1の器具の位置を示す、請求項1~7のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項9】
段差のある変化を特定するように構成されているプロセッサが、段差のある変化の終了点を特定するように構成されているプロセッサを含む、請求項1~8のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項10】
前記プロセッサは、段差のある変化の終了点での血管内の前記第1の器具の位置を示す第2の画像を取得するとともに、段差のある変化の特定された終了点に前記第2の画像を登録するようにさらに構成される、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記ディスプレイシステムをさらに含む、請求項1~10のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項12】
前記画像は、段差のある変化の特定時にリアルタイムで取得されるとともに登録され、又は、前記画像は、所定時間内に撮像された連続する若しくは一連の画像から取得されるとともに、その後、特定された段差のある変化に登録される、請求項1~11のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項13】
前記自動段差検出プロセスは、
第3の閾値変化値以下である圧力比曲線に沿った第3のウィンドウ内の圧力比値における変化を特定することによって段差のある変化の終了点の一般的な位置を特定し、
第4の閾値変化値以下である圧力比曲線に沿った第4のウィンドウ内の圧力比値における変化を特定することによって曲線に沿った終了点の最適化された位置を特定することを含み、
前記第4のウィンドウは前記第3のウィンドウよりも小さく、前記第4の閾値変化値は前記第3の閾値変化値よりも小さい、請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
前記プロセッサは、前記自動段差検出プロセスを使用して曲線内の1つ以上の追加的な段差のある変化を特定するとともに、1つ以上の追加的な段差のある変化に対応する血管内の前記第1の器具の位置を示す1つ以上の追加的な画像を取得し、かつ、1つ以上の追加的な段差のある変化に対応する1つ以上の追加的な画像を登録するようにさらに構成される、請求項1~13のいずれか一項に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療装置、医療システム、並びに医療システム及び装置を使用するための方法に関する。より具体的には、本発明は、血管内の1つ以上の閉塞の重症度を評価する際に使用するために構成された装置、システム、及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
多種多様な体内医療装置、システム、及び方法が、医療用途、例えば血管内使用のために開発されてきた。これらの装置及びシステムのいくつかは、ガイドワイヤ、カテーテル、プロセッサ、ディスプレイ等を含む。これらの装置及びシステムは、様々な異なる製造方法のいずれか1つによって製造され、しかも、様々な方法のいずれか1つに従って使用することが可能である。既知の医療装置、システム、及び方法のうち、それぞれに所定の利点と欠点がある。代替的な医療装置及びシステム、並びに医療装置及びシステムを製造及び使用するための代替的な方法を提供する継続的な必要性が存在する。
【発明の概要】
【0003】
この開示は、設計、材料、製造方法を提供し、医療装置、システム、及び方法の代替を使用する。一例は、圧力測定を使用して患者の血管を評価するためのシステムである。本システムは、第1の器具が第1の位置から第2の位置に血管を長手方向に通って移動する間に、ある時間間隔にわたって血管内にある第1の器具から第1の一連の圧力測定値を取得し、第2の器具が血管内の固定された長手位置に留まっている間に、前記時間間隔にわたって血管内に配置された第2の器具から第2の一連の圧力測定値を取得し、第1の圧力測定値及び第2の圧力測定値を使用して一連の圧力比値を計算し、一連の圧力比値を使用して圧力比曲線を生成し、ディスプレイシステムに圧力比曲線を出力し、自動段差検出プロセスを使用して、圧力比曲線における段差のある変化を特定し、圧力比曲線において特定された段差のある変化に対応する、血管内の第1の器具の位置を示す画像を取得し、圧力比曲線において特定された段差のある変化に画像を登録し、画像をディスプレイシステムに出力する、ように構成されたプロセッサを備える。
【0004】
代替的又は追加的に、プロセッサは、ユーザインターフェースを含み、プロセッサは、ユーザインターフェースを介して行われたユーザによる命令に応じて、ディスプレイシステムに画像を選択的に出力するように構成される。
【0005】
代替的又は追加的に、ユーザによる命令は、ディスプレイシステム上の予め設定された位置におけるカーソルのユーザ配置を含む。
代替的又は追加的に、ディスプレイシステム上の予め設定された位置は、圧力比曲線における段差変化インジケータの場所を含む。
【0006】
代替的又は追加的に、プロセッサは、圧力比曲線上で特定された段差のある変化に対応する圧力比曲線上の段差変化インジケータをディスプレイシステムに出力するように構成される。
【0007】
代替的又は追加的に、段差変化インジケータは、圧力比曲線上の段差のある変化の開始点にあるインジケータ、圧力比曲線上の段差のある変化の終了点にあるインジケータ、圧力比曲線上の段差のある変化の開始点と終了点との間の差を示すインジケータ、又はこれらの組み合わせを含む。
【0008】
代替的又は追加的に、プロセッサは、ユーザインターフェース機能を含み、ユーザインターフェース機能は、ユーザが画像上にカーソルを置くことを可能にし、プロセッサは、応答して、当該画像に対応する圧力比曲線上の位置を示すインジケータをディスプレイシステム上に出力するように構成される。
【0009】
代替的又は追加的に、段差のある変化を特定するように構成されたプロセッサは、段差のある変化の開始点を特定するように構成されたプロセッサを含むとともに、画像は、段差のある変化の開始点での血管内の第1の器具の位置を示す。
【0010】
代替的又は追加的に、段差のある変化を特定するように構成されているプロセッサは、段差のある変化の終了点を特定するように構成されているプロセッサを含む。
代替的又は追加的に、プロセッサは、段差のある変化の終了点での血管内の第1の器具の位置を示す第2の画像を取得するとともに、段差のある変化の特定された終了点に第2の画像を登録するようにさらに構成される。
【0011】
代替的又は追加的に、システムは、ディスプレイシステムをさらに含む。
代替的又は追加的に、画像は、段差のある変化の特定時にリアルタイムで取得され登録され、又は、画像は、所定時間中に撮像された連続する若しくは一連の画像から取得されるとともに、その後、特定された段差のある変化に登録される。
【0012】
代替的又は追加的に、自動段差検出ステップは、第1の閾値変化値以上の圧力比曲線に沿う第1のウィンドウ内における圧力比値の変化を特定することにより、段差のある変化の開始点の一般的な位置を特定することと、第2の閾値変化値以上の圧力比曲線に沿う第2のウィンドウ内における圧力比値の変化を特定することにより、開始点の最適化された位置を特定することとを含み、第2のウィンドウは、第1のウィンドウよりも小さく、第2の閾値変化値は、第1の閾値変化値よりも小さい。
【0013】
代替的又は追加的に、自動段差検出ステップは、第3の閾値変化値以下の圧力比曲線に沿う第3のウィンドウ内における圧力比値の変化を特定することにより、段差のある変化の終了点の一般的な位置を特定することと、第4の閾値変化値以上の圧力比曲線に沿う第4のウィンドウ内における圧力比値の変化を特定することにより、曲線に沿う終了点の最適化された位置を特定することとをさらに含み、第4のウィンドウは、第3のウィンドウよりも小さく、第4の閾値変化値は、第3の閾値変化値よりも小さい。
【0014】
代替的又は追加的に、プロセッサは、自動段差検出プロセスを使用して曲線の1つ以上の追加的な段差のある変化を特定し、1つ以上の追加的な段差に対応する、血管内の第1の器具の位置を示す1つ以上の追加の画像を取得し、さらに、1つ以上の追加的な段差のある変化に対応する1つ以上の追加の画像を登録するように、さらに構成される。
【0015】
代替的又は追加的に、システムは、第1の器具をさらに含み、第1の器具は、圧力感知ガイドワイヤからなる。
代替的又は追加的に、システムは、プルバック機構をさらに含み、プルバック機構は、長手方向に血管を通る第1の器具を第1の位置から第2の位置へ動かすように構成される。
【0016】
代替的又は追加的に、システムは、画像装置をさらに含み、画像装置は、特定された段差のある変化に対応する血管内の第1の器具の位置を示す画像を作成し、画像をプロセッサに送信するように構成される。
【0017】
別の実施態様は、患者の血管を評価するためのシステムを含む。本システムは、ディスプレイシステムと、ディスプレイシステムと通信するプロセッサとを備え、プロセッサは、第1の器具が第1の位置から第2の位置に血管を長手方向に通って移動する間に、ある時間間隔にわたって血管内にある第1の器具から第1の一連の圧力測定値を取得し、第2の器具が血管内の固定された長手位置に留まっている間に、前記時間間隔にわたって血管内に配置された第2の器具から第2の一連の圧力測定値を取得し、第1の圧力測定値及び第2の圧力測定値を使用して一連の圧力比値を計算し、一連の圧力比値を使用して圧力比曲線を生成し、ディスプレイシステムに圧力比曲線を出力し、自動段差検出プロセスを使用して、圧力比曲線における段差のある変化の開始点及び終了点を特定し、圧力比曲線において特定された段差のある変化の開始点に対応する、血管内の第1の器具の位置を示す画像を取得し、圧力比曲線において特定された段差のある変化に画像を登録し、画像をディスプレイシステムに出力する、ように構成されたプロセッサを備える。
【0018】
代替的又は追加的に、プロセッサは、圧力比曲線の段差のある変化の特定された終了点に対応する、血管内の第1の器具の位置を示す第2の画像を取得し、第2の画像を圧力比曲線の特定された終了点に登録し、さらに、第2の画像をディスプレイシステムに出力するようにさらに構成される。
【0019】
代替的又は追加的に、システムはユーザインターフェースをさらに含むとともに、プロセッサは、ユーザインターフェースを介して発せられる1つ以上の予め設定されたユーザ命令に応答して、段差のある変化に対応する、血管内の第1の器具の位置を示す画像をディスプレイに出力するとともに、画像に対応する、圧力比曲線上のマークをディスプレイに出力するように構成される。
【0020】
別の実施形態は、患者の血管を評価する方法を含む。本方法は、第1の器具が第1の位置から第2の位置に血管を長手方向に通って移動する間に、ある時間間隔にわたって血管内にある第1の器具から第1の一連の圧力測定値を取得することと、第2の器具が血管内の固定された長手位置に留まっている間に、前記時間間隔にわたって血管内に配置された第2の器具から第2の一連の圧力測定値を取得することと、第1の圧力測定値及び第2の圧力測定値を使用して一連の圧力比値を計算することと、一連の圧力比値を使用して圧力比曲線を生成することと、圧力比曲線を表示することと、自動段差検出プロセスを使用して、圧力比曲線における段差のある変化を特定することと、圧力比曲線において特定された段差のある変化に対応する、血管内の第1の器具の位置を示す画像を取得することと、圧力比曲線において特定された段差のある変化に画像を登録し、画像を表示することとを備える。
【0021】
いくつかの実施態様の上記の要約は、開示された各実施形態又は本発明のすべての実施を説明することを意図するものではない。以下の図面及び詳細な説明は、これらの実施形態をより具体的に例示する。
【0022】
本発明は、添付の図面に関連して以下の詳細な説明を考慮すると、より完全に理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】血管を評価するために使用され得る例示的なシステムを概略的に示す図。
【
図2】自動段差検出(ASD)プロセス又はアルゴリズムの例示的なステップを示す例示的なフローチャート。
【
図3】例示的なプルバック処置中に測定された経時的な圧力比値を示す例示的な血圧比曲線を示すグラフ。
【
図3A】例示的なプルバック処置の間、血管内の第1の位置にある医療装置を示す画像の概略図。
【
図3B】例示的なプルバック処置の間、血管内の第2の位置にある医療装置を示す画像の概略図。
【
図3C】例示的なプルバック処置の間、血管内の第3の位置にある医療装置を示す画像の概略図。
【
図3D】例示的なプルバック処置の間、血管内の第4の位置にある医療装置を示す画像の概略図。
【
図3E】例示的なプルバック処置の間、血管内の第5の位置にある医療装置を示す画像の概略図。
【
図3F】例示的なプルバック処置の間、血管内の第6の位置にある医療装置を示す画像の概略図。
【
図4】別の例のプルバック処置中に測定された経時的な圧力比値を示す別の例の血圧比曲線を示すグラフ。
【
図4A】別の例示的なプルバック処置の間、血管内の第1の位置にある医療装置を示す画像の概略図。
【
図4B】別の例示的なプルバック処置の間、血管内の第2の位置にある医療装置を示す画像の概略図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明は、様々な変更例や代替例に修正可能であるが、その詳細は、図面において例として示されており、詳細に説明されることになる。しかしながら、その意図は、記載された特定の実施形態に本発明を限定することではないことを理解されたい。それどころか、その意図は、本発明の精神及び範囲に含まれるすべての修正、同等物、及び代替物を網羅することにある。
【0025】
以下の定義された用語については、請求項又は本明細書の他の場所で異なる定義が与えられていない限り、これらの定義が適用される。
本明細書では、すべての数値は、明示的に示されているかどうかにかかわらず、「約」という用語で修飾されていると想定されている。「約」という用語は、一般に、当業者が列挙された値と同等であると考える(例えば、同じ機能又は結果を有する)数値の範囲を指す。多くの場合、「約」という用語には、最も近い有効数字に四捨五入された数値が含まれ得る。
【0026】
端点による数値範囲の列挙には、その範囲内の全ての数値が含まれる(例えば、1~5には、1,1.5,2,2.75,3,3.80,4,5が含まれる)。
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用されるように、単数形「a」、「an」、及び「the」は、内容が明らかに他に指示しない限り、複数の指示対象を含む。本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用されるように、用語「又は」は、内容が明確に他のことを指示しない限り、「及び/又は」を含むその意味で一般に使用される。
【0027】
本明細書における「一実施形態」、「いくつかの実施形態」、「他の実施形態」等への言及は、記載された実施形態が1つ以上の特定の特徴、構造、及び/又は特性を含み得ることを示すことに留意されたい。しかしながら、そのような記載は、すべての実施形態が、その特定の特徴、構造、及び/又は特性を含むことを必ずしも意味しない。加えて、特定の特徴、構造、及び/又は特性が一実施形態に関連して説明される場合、明確に逆のことが記載されない限り、そのような特徴、構造、及び/又は特性は、明示的に記載されているかどうかにかかわらず、他の実施形態に関連して使用されてもよいことを理解されたい。
【0028】
以下の詳細な説明は、異なる図面を通して同様の要素に同一の参照番号を付している図面を参照して読まれるべきである。図面は、必ずしも縮尺通りではなく、例示的な実施形態を示し、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。
【0029】
一部の医学的介入及び/又は診断処置の間、血管内の1つ以上の狭窄の血行力学的影響の生理学的評価を提供することが望ましい場合がある。そのような評価は、1つ以上の狭窄等の関心領域の遠位に配置された第1の器具と、当該関心領域の近位に配置された第2の器具との両方から、血管内から圧力測定値を取得することによって達成され得る。血管内の2つの圧力測定値(例えば、遠位圧力測定値と近位圧力測定値)の差圧を使用して、2つの圧力測定値の圧力比(遠位圧力測定値を近位圧力測定値で割ったもの)を計算することが可能である。そのような圧力比は、血管内の1つ以上の狭窄の血行力学的影響を評価するのに役立つ可能性がある。この出願の文脈において、これらの比は、まとめて一般的に圧力比値と呼ばれる。本明細書で使用される場合、遠位圧力測定はしばしばPdと呼ばれ得、そして大動脈圧である近位圧力測定はしばしばPaと呼ばれ得る。
【0030】
このような有用な圧力比のいくつかの例は、冠血流予備量比(FFR)、安静時全サイクル遠位圧/近位圧(安静時Pd/Pa)、安静時遠位圧/拡張期近位圧(dPR)、瞬時血流予備量比(iFR)などを含む。これらの比は、例えば、冠状動脈における狭窄の血行力学的影響を評価するために有用であり得る。FFRは、アデノシン等の充血剤の影響下で、心周期全体にわたる多数の心拍数の平均圧力測定値を使用して計算された圧力比(Pd/Pa)である。安静時Pd/Paは、(例えば、充血剤の影響のない)安静時における心周期全体にわたる多数の心拍数の平均圧力測定値を使用して計算された圧力比(Pd/Pa)である。dPRは、拡張期においてなされた多数の心拍数の平均圧力測定値を使用して計算された圧力比(Pd/Pa)である。iFRは、特定された拡張期時相に限定された多数の心拍数の平均圧力測定値を使用して計算された圧力比(Pd/Pa)である。従って、これらの異なる圧力比のそれぞれは、近位及び遠位の圧力測定が行われるタイミングパラメータと条件がこれらの間で異なっている、Pd/Paの比として理解できる。
【0031】
計算された圧力比の値を閾値又は予め設定された値と比較することにより、医療従事者は、介入治療が必要又は正当化されるかどうかを判断するのに役立つ。例えば、冠動脈狭窄の血行力学的影響を評価する状況では、0.8の閾値を下回る圧力比の値は、血管形成術やステント留置術等のより積極的又は侵襲的な治療に値する可能性のある狭窄を示す一方、0.8の閾値以上の圧力比の値は、薬物療法等の積極性若しくは侵襲性の低い治療、又は全く治療しないことが潜在的にふさわしい狭窄症(又はその欠如)を示し得る。上記の例は、冠状血管系で使用できる圧力比の値を表すが、本明細書で説明する装置、システム、及び方法は、他の様々な血管用途でも使用できる。他の血管用途には、下肢、頸動脈、及び神経血管を含む末梢血管系、腎血管系、及び/又は静脈血管系が含まれ得る。
【0032】
いくつかの場合において、血管の長さの一部に沿った関心領域の一連の圧力比値を取得し、及び/又は計算することが有用である。血管の長さの一部に沿った圧力比値の著しい及び/又は急速な段差のある変化は、血管内の所定の1つ以上の場所における1つ以上の著しい又は注目すべき狭窄を示している可能性がある。これは、複雑な狭窄及び/又は血管の長さの一部に沿った一連の狭窄を有する場合に特に価値があるかも知れない。血管の長さの一部に沿って一連の圧力比値を計算するべく圧力測定データを取得するために、基となる遠位圧力測定値と近位圧力測定値、例えば、PdとPaは、圧力測定器具の1つ、典型的には遠位の圧力測定をする器具が血管内の長手に沿って一方の側から関心領域を通って動く一方、他の圧力測定器具、典型的には近位の圧力測定をする器具が血管の関心領域の反対側に静止したままにある間のある時間間隔にわたって取得され得る。移動器具は、典型的には、関心領域、例えば狭窄領域を通って長手方向に動かされ、固定器具に向かって近位に戻る。このような処置は、「プルバック」と呼ばれる場合がある。しかしながら、他の実施形態において、移動器具は、固定器具の近傍若しくは隣接して出発し、固定器具から長手方向に離れて移動し、遠位に関心領域を通ることが想定される。このような処置は、「プッシュスルー」と呼ばれる場合がある。
【0033】
プルバック及び/又はプッシュスルー中に取得された一連の圧力比値を使用して、圧力比曲線を生成すると便利な場合がある。圧力比値のそれほど著しくない変化(例えば、より非集中的な、より小さな、より消極的な、又はより緩慢な段差のある変化)とは対照的に、プルバック又はプッシュスルーの時間間隔にわたって圧力比値を示す圧力比曲線は、血管の長さの一部に沿う圧力比値における著しい段差のある変化(例えば、より集中的な、より大きな、より積極的な、又はより急速な段差のある変化)を特定するために用いることが可能である。所与のウィンドウ内における圧力比曲線の変化は、著しくない段差のある変化に対し著しい段差のある変化を特定するために所定のセットの(予め設定された)閾値と比較することが可能である。プルバック処置の間、所定の/予め設定された閾値を超える段差のある変化は、所定のウィンドウ内における圧力比値の著しい増加によって表される。しかしながら、プッシュスルー時にはその逆が当てはまり、この場合、所定の/予め設定された閾値を超える段差のある変化は、ウィンドウ内における圧力比値の著しい減少によって表される。圧力比曲線に沿ったより著しい段差のある変化を使用して、より積極的な治療オプションの焦点となる可能性がある著しい(例えば、より集中した、若しくはより大きな、若しくはより鮮鋭な)狭窄領域の存在を特定可能である。圧力比曲線のそれほど重要ではない変化を使用して、それほど積極的ではない治療に当てる、又はまったく治療しなくてもよい、それほど著しくない(例えば、それほど集中しない、若しくはそれほど大きくはない、若しくはより緩慢な)狭窄領域の存在を特定することが可能である。
【0034】
本分析において圧力比曲線を使用することに伴い得る1つの問題及び/又は困難性は、圧力比曲線における著しい段差のある変化の正確及び/又は一貫した特定と、治療のために1つ以上の著しい狭窄領域の存在を特定するために用いられる潜在的なラベル付けとに関係する。特に、圧力比曲線における著しい段差のある増加の開始場所及び/又は終了場所の正確及び/又は一貫性のある標示、さらにはオプション的なラベル付けを提供することは望ましい場合がある。圧力比曲線における所定の著しい段差のある変化のサイズ又は振幅を決定し、表示し、及び/又はラベル付けすることも望ましい場合がある。また、圧力比曲線における「著しい」段差のある変化と考え得るもの、及び「あまり著しくない」段差のある変化と考え得るものを一貫して特定するシステム及び/又はプロセスを有することが望ましい場合がある。例えば、圧力比曲線における著しい段差のある増加の開始場所及び/又は終了場所の一般的な場所を決定するために、一貫した閾値を設定するとともに適用することが望ましい場合がある。圧力比曲線における著しい段差のある増加の開始点及び/又は終了点の位置を一貫して最適化することも望ましい場合もある。例えば、圧力比曲線における著しい段差のある増加の開始場所及び/又は終了場所の最適化された場所を決定するために、一貫した閾値を設定するとともに適用することが望ましい場合がある。そのようなシステム及び/又はプロセスは、治療のための著しい狭窄領域の開始と停止をよりよく特定するために使用され得る。
【0035】
その文脈において、本明細書に開示されるのは、例示的な自動段差検出(ASD)プロセス及び/又はアルゴリズムであり、同自動段差検出(ASD)プロセス及び/又はアルゴリズムは、これらの問題及び/又は困難を解決し、所望の結果(例えば、開始及び/若しくは終了及び/若しくは圧力比曲線における著しい段差のある変化の振幅の特定並びに/又はラベル付け)を達成するのを助けるために使用され得る。ASDプロセスは、圧力比曲線の著しい段差のある変化の一般的な開始位置及び/又は終了位置を特定するために、設定された1又は2以上のウィンドウ内で一貫した閾値を適用する。ASDプロセスはまた、圧力比曲線の著しい段差のある変化の開始位置及び/又は終了場所の位置を最適化するために、設定された1又は2以上のウィンドウ内で設定された閾値を一貫して適用し得る。
【0036】
ASDプロセス及び/又はアルゴリズムを使用する方法及びシステムが本明細書に開示されている。例えば、血管を分析するための方法は、プルバック及び/又はプッシュスルー中に器具から圧力測定値(例えば、Pd及びPa)を取得すること、一連の圧力比値を計算すること、圧力比曲線を生成すること、及びASDプロセス及び/又はアルゴリズムを使用して、圧力比曲線に1つ以上の著しい段差のある変化があるか否かを特定することを含む。本明細書に開示されるいくつかの例示的なシステムは、ASDプロセス及び/又はアルゴリズムの使用を含む、そのような方法を実行するように構成されたプロセッサを含む。ASDプロセス及び/又はアルゴリズムのより詳細な説明を含む、システム、方法、及びプロセッサのいくつかの例示的な実施形態が、本明細書でより詳細に記載される。
【0037】
解剖学的構造内の1つ以上の特定された著しい狭窄領域の場所及び/又は性質をより具体的に確認する際にユーザを支援し得るシステム及び方法を提供することもまた有用であり得る。著しい狭窄領域の1つ以上の特定の場所(開始点と終了点など)及び/又は性質に関する詳細情報は、医療専門家が解剖学的構造内の特定の場所に適切な治療を適用することに役立つ。例えば、ASDを使用しているときに、圧力比曲線で特定された著しい狭窄領域の場所及び/又は性質を示す画像を提供することは有用な情報である。
【0038】
その点に関して、プルバック及び/又はプッシュスルー処置の間、例えば、解剖学的構造内の移動器具の場所が判定され得るように、画像装置が稼働され得る。圧力比曲線に沿って著しい段差のある変化が検出されると、移動器具は、著しい段差のある変化(例えば、著しい狭窄領域)に対応する解剖学的構造内の位置に配置されることになる。従って、段差のある変化の検出に対応する時点での解剖学的構造内の移動器具の位置を示す画像装置からの画像が、取得及び/又は撮像され得る。撮像された画像内の基準点として移動器具の位置を使用して、解剖学的構造内の著しい段差のある変化(例えば、著しい狭窄領域)の場所を決定することが可能である。従って、この撮像された画像は、著しい段差のある変化に対応する解剖学的構造内の移動器具の位置を示す。
【0039】
撮像された画像は、圧力比曲線上の対応する著しい段差のある変化に関連付けられ及び/又は登録され得る。加えて、曲線における1つ以上の追加的な段差のある変化は、ASDプロセスを使用して特定でき、1つ以上の追加的な段差のある変化に対応する血管内の移動器具の位置を示す1つ以上の追加的な画像は撮像されることができ、対応する、圧力比曲線における1つ以上の追加的な段差のある変化に関連付けられ及び/又は登録され得る。圧力比曲線及び/又は関連付けられた/登録された1つ以上の画像は、ディスプレイシステムに出力され得、医療専門家は、次いで、解剖学的構造内の著しい段差のある変化の場所を判定することを支援するために、圧力比曲線及び/又は関連付けられた/登録された画像を検討し得る。いくつかの実施形態において、1つ以上の画像は、圧力比曲線において著しい段差のある変化が特定されたときに、リアルタイムで撮像され、圧力比曲線に関連付けられる。他の実施形態において、連続する又は一連の画像(例えば、ストリーミング)は、プルバック又はプッシュスルー処置の間に(例えば、移動器具が血管を通って長手方向に移動する期間にわたって)撮像され得るとともに、タイムマークされ、メモリに格納され得る。処置が部分的又は完全に完了した後、対応する1つ以上の画像が登録され、及び/又は圧力比曲線上の対応する場所(例えば、著しい1つ以上の段差のある変化)にそれぞれリンクされ得る。
【0040】
ここで、いくつかの例示的な実施形態の説明のために図を参照する。例示的なシステム100は、
図1に概略的に表されている。システム100は、例えばFFR、iFR、dPR、又は安静時P
d/P
a等の圧力比を静的又はプルバック処置中に評価/決定するように構成され得る。システム100は、第1の圧力感知医療装置10を含み得る。少なくともいくつかの場合において、第1の圧力感知医療装置10は、圧力感知ガイドワイヤ10の形をとり得る。そのようなガイドワイヤ10の例に関するいくつかの追加的な詳細が以下に開示され、
図5に示されている。他の例では、第1の圧力感知医療装置10は、カテーテル又は他の型式の圧力感知医療装置であり得る。圧力感知医療装置10を利用して、1つ以上の血管内狭窄等の関心領域の遠位の血圧を測定する(例えば、遠位圧力P
dを測定する)ことができる。第1の圧力感知医療装置10は、静止している間、又は血管を通って第1の場所から第2の場所へ長手方向に移動している間に血圧を測定するように構成することが可能である。従って、第1の圧力感知医療装置10は、「プルバック」又は「プッシュスルー」処置の間に、血管内で長手方向に移動され得る。
【0041】
いくつかの実施形態において、システム100は、例えばプルバック又はプッシュスルー処置の間に、第1の圧力感知医療装置10に長手方向の動きを与えるための装置又は機構(図示せず)を含み得る。いくつかの実施形態において、プルバック/プッシュスルー装置又は機構は、連続的な速度で、及び/又は設定された距離にわたって、第1の圧力感知医療装置10に係合して長手方向の動きを与えるように構成され得る。いくつかの実施形態において、プルバック/プッシュスルー装置は、第1の圧力感知医療装置10を可変速度で、及び/又は段階的若しくは断続的な方法で、オプション的には患者の心拍に協調して移動するように構成される。いくつかの実施形態において、システム100はプルバック又はプッシュスルー装置を含まず、必要に応じて、又は所望の場合には、第1の圧力感知医療装置10を操作者が手動で血管を通して長手方向に動かし得る。
【0042】
第1の圧力感知医療装置10は、リンク装置70に接続され得る。いくつかの場合において、これは、第1の圧力感知医療装置10をリンク装置70に直接取り付けることを含み得る。他の例では、第1の圧力感知医療装置10をリンク装置70に接続するために、コネクタケーブル(図示せず)等の別の構造を使用し得る。第1の圧力感知医療装置10がリンク装置70に接続されると、第1の圧力データ72が、第1の圧力感知医療装置10とリンク装置70との間で通信され得る。
図1では、第1の圧力感知医療装置10とリンク装置70との間に線が引かれ、第1の圧力感知医療装置10とリンク装置70の接続を表すことに留意されたい。加えて、第1の圧力データ72の送信(及び/又は第1の圧力データ72自体)を表すために、第1の圧力感知医療装置10とリンク装置70との間の線には参照番号72が付けられている。少なくともいくつかの場合において、第1の圧力データ72は、遠位圧力P
dである。
【0043】
システム100はまた、第2の圧力感知医療装置74を含み得る。少なくともいくつかの場合において、第2の圧力感知医療装置74は、圧力感知カテーテルの形をとり得る。しかしながら、圧力感知ガイドワイヤ又はその他の装置を含む別の装置が想定されている。第2の圧力感知医療装置74は、例えば、関心領域の近位の血圧を測定するために利用され得る。いくつかの場合において、第2の圧力感知医療装置74を利用して、大動脈圧を測定し得る。第2の圧力感知医療装置74は、使用している間、例えば、プルバック処置又はプッシュスルー処置の間、静止したままであるように構成され得る。
【0044】
第2の圧力感知医療装置74はまた、リンク装置70に接続され得るものであり、第2の圧力感知医療装置74とリンク装置70との間で第2の圧力データ76を通信し得る。
図1では、第2の圧力感知医療装置74とリンク装置70との間に第2の圧力感知医療装置74とリンク装置70との接続を表す線が引かれていることに留意されたい。加えて、第2の圧力データ76の送信(及び/又は第2の圧力データ76自体)を表すために、第2の圧力感知医療装置74とリンク装置70との間の線には参照番号76が付けられている。少なくともいくつかの場合において、第2の圧力データ76は、大動脈圧P
a等の近位圧力である。
【0045】
いくつかの場合において、リンク装置70は、血行力学的システム78(例えば、血行力学的ディスプレイシステム78)と通信し得る。その場合、遠位圧力Pd(参照番号80で表される)を表すデータは、血行力学的システム78に伝達され、大動脈圧Pa(参照番号82で表される)を表すデータは、血行力学的システム78に通信され得る。いくつかの場合において、リンク装置70と血行力学的システム78との間の両方の接続(例えば、Pd及びPaを通信するための)は、有線接続であり得る。他の例では、接続の一方又は両方が無線接続であってもよい。さらに他の例では、PdとPaの両方が単一の有線接続に沿って通信されてもよい。
【0046】
いくつかの場合において、リンク装置70は、処理及び/又はディスプレイシステム84と通信もなし得る。その場合、遠位圧力P
dを表すデータと、近位、すなわち大動脈圧力P
aを表すデータ(遠位圧力P
dと大動脈P
aを表すデータの両方は、
図1において、参照番号86で表される)とは、処理及び/又はディスプレイシステム84に通信され得る。少なくともいくつかの場合において、P
d及びP
aは、無線接続を使用して、リンク装置70と、処理及び/又はディスプレイシステム84との間で通信され得る。他の例では、P
d及びP
aの一方又は両方は、有線接続を用いてリンク装置70と処理及び/又はディスプレイシステム84との間で通信され得る。
【0047】
処理及び/又はディスプレイシステム84は、プロセッサ88を含み得る。プロセッサ88は、処理及び/又はディスプレイシステム84に統合された構成要素であってもよく(例えば、プロセッサ88は、処理及び/又はディスプレイシステム84と同じハウジング内に設けられてもよい)、又はプロセッサ88は、別個の構成要素であって、処理及び/又はディスプレイシステム84と接続されていてもよい。プロセッサ88は、第1の圧力感知医療装置10に結合され得、第2の圧力感知医療装置74に結合され得、第1及び第2の圧力測定値(例えば、Pd及びPa)が、圧力感知医療装置10、74からプロセッサ88によって受信及び/又は取得されるように構成され得る。プロセッサ88は、両圧力感知医療装置が血管内で静止したままである間、又は圧力感知医療装置の少なくとも1つが血管内で長手方向に移動する間(例えば、プルバック又はプッシュスルー中)に、第1及び第2圧力測定値を受信及び/又は取得するように構成され得る。例えば、プロセッサ88は、第1の圧力感知医療装置10が血管を通って長手方向に移動している間に、ある時間間隔にわたって第1の圧力感知医療装置10から第1の一連の圧力測定値を受信及び/又は取得するように構成されるとともに、第2の装置が血管内の固定された長手方向の位置に留まっている間に、前記時間間隔にわたって第2の圧力感知医療装置74からの第2の一連の圧力測定値を受信及び/又は取得するように構成され得る。
【0048】
プロセッサ88は、いくつもの計算を実行し、命令を実行する等できるように構成され得るか、及び/又はそうでなければ可能である。例えば、プロセッサ88は、(例えば、1つ以上の心周期にわたって第1の圧力感知医療装置10によって測定された)平均遠位圧力Pdを計算し/決定し、(例えば、1つ以上の心周期にわたって第2の圧力感知医療装置74によって測定された)平均近位圧力Paを計算し/決定し、経時的に遠位圧力Pd及び/又は近位圧力Paを示す曲線をプロットし及び/又は生成し、遠位圧力Pdのプロットの勾配及び/又は近位圧力Paのプロットの勾配(例えば、プロットに沿う様々な点)等を計算し/決定するように構成され得る。プロセッサ88は、必要に応じて、この情報のいずれかをディスプレイ90に出力するように構成され得る。処理及び/又はディスプレイシステム84は、1つ以上のメモリを含み得、プロセッサ88は、必要に応じて、この情報のいずれかをメモリに格納するように構成され得る。
【0049】
プロセッサ88は、遠位圧Pd及び近位圧Paの圧力測定値が与えられた場合に、圧力比値(例えば、FFR、iFR、dPR、安静時Pd/Paなど)を計算及び/又は決定するように構成され得る。例えば、プロセッサ88は、第1及び第2の器具から受信若しくは取得した、及び/又は、プロセッサ88によって計算された圧力測定値を使用して(例えば、第1及び第2の圧力感知医療装置10/74から取得されたPd及びPaを使用して)、1つ以上の若しくは一連の圧力比値(例えば、Pd/Pa)を計算するように構成される。いくつかの場合において、測定値Pd及びPaは、少なくとも1つの圧力感知医療装置が血管内で長手方向に移動している間(例えば、プルバック又はプッシュスルーの間)に取得され、一連の圧力比値は、血管の長さの一部に沿った圧力比値を示す。プロセッサ88は、一連の圧力比値を使用して圧力比曲線をプロットし及び/又は生成するように構成され得る。プロセッサ88はまた、圧力比曲線の勾配(例えば、圧力比曲線又はプロットに沿った様々な点で)等を計算し/決定するように構成され得る。プロセッサ88は、圧力比値を出力し及び/若しくはプロットし、及び/若しくは生成された圧力比曲線をディスプレイシステム90に出力するように構成され得、及び/又は、プロセッサ88は、必要に応じて、この情報のいずれかをメモリに格納するように構成され得る。
【0050】
本明細書で示唆されるように、ディスプレイ90は、処理システム及び/又はディスプレイシステム84に接続され得るか、そうでなければ統合され得る。ディスプレイシステム90は、1つ以上のディスプレイ及び/又はスクリーンを含み得る。1つ以上のディスプレイ及び/又はスクリーンは、プロセッサ、第1の圧力感知医療装置10及び第2の圧力感知医療装置74から受信した様々なデータ、プロセッサ88によって生成された圧力データ及び/若しくは圧力比の画像、プロット、グラフ、及び/又は曲線を表示し得るとともに、必要に応じて、任意のマーキング、ラベリング、番号付けなどを表示し得る。ディスプレイシステム90はまた、プロセッサ88から又はプロセッサ88を介して受信される様々なデータ(例えば、画像)、及び/又は本明細書で説明される画像装置すなわちシステム89などの1つ以上の画像装置又はシステムを介して受信される様々なデータ(例えば、画像)を表示し得る。
【0051】
本明細書で示唆されるように、メモリは、処理及び/又はディスプレイシステム84に結合されるか、そうでなければ統合され得る。メモリは、1つ以上の記憶装置及び/又はシステムを含み得る。1つ以上の記憶装置及び/又はシステムは、プロセッサ、第1の圧力感知医療装置10及び第2の圧力感知医療装置74から受信し、及び/又はこれらによる様々なデータ、プロセッサ88によって生成された圧力データ及び/若しくは圧力比の画像、プロット、グラフ、及び/又は曲線を格納し得るとともに、必要に応じて、任意のマーキング、ラベリング、番号付けなどを格納し得る。メモリはまた、プロセッサ88から又はプロセッサ88を介して受信される様々なデータ(例えば、画像)、及び/又は本明細書で説明される画像装置すなわちシステム89などの1つ以上の画像装置又はシステムを介して受信される様々なデータ(例えば、画像)を格納し得る。
【0052】
プロセッサ88を含む処理システム及び/又はディスプレイシステム84は、未処理のデータ及び/若しくは計算値を使用及び/若しくは提供するように構成でき、又はオプション的には、エンハンスドデータ若しくは計算値を使用及び/若しくは提供するように構成し得る。例えば、平均遠位圧力Pd、平均近位圧力Pa、プロット、及び/若しくは経時的な遠位圧力Pd及び/若しくは近位圧力Paを示す曲線、圧力比値(Pd/Pa)、経時的な圧力比値のプロット若しくは曲線、等は、未処理のデータ及び/若しくは計算値として使用され、示され得、例えばノイズや異常値を削除するために、オプション的には濾過され、平滑化され、エンハンスされ、調整され、及び/若しくはその他の方法でプロセッサにより処理され得る。フィルタのいくつかの例には、Moving Maximum Filter(移動最大フィルタ)、Median Builder filter(中央値ビルダフィルタ)、又は他の一般的に知られているフィルタ等が含まれる。
【0053】
いくつかの実施形態において、本明細書で説明されるASD及び画像を含む、プロセッサ88によって実行される計算、実行命令、データ又は画像のディスプレイへの出力などは、例えば、圧力比の値及び曲線、圧力比曲線及び/又は圧力比曲線における段差のある変化(段差のある変化の開始点及び終了点を含む)、及び/又は処置中に受信及び/又は取得された画像の表示を特定するために、リアルタイム又はライブで行われ得る。本願の文脈において、「リアルタイム」又は「ライブ」は、データ取得から10秒以内にデータを計算し及び/又は表示することを意味する。これには、いくつかの場合において5秒以内、1秒以内、又は処置中のデータ収集と同時に発生する計算も含まれる。他のいくつかのケースでは、計算、命令の実行、ディスプレイへの出力等の一部又はすべてが、データ取得後の遅延後に発生し得る。例えば、システムは、データ(画像を含む)を取得及び/又は撮像し、その後のある時点で、計算を実行し、及び/又はデータ及び/若しくは画像及び/若しくは結果を表示するように構成され得る。例えば、プロセッサ88は、治療の間にデータが収集された後しばらくして発生するレビューモード及び/又は再生モードを提供するように構成され得、計算、実行命令、画像などの少なくともいくつかは、レビューモード又は再生モードの間に表示され得る。
【0054】
血行力学的システム78、リンク装置70、又はその両方は、プロセッサ、及び/又はディスプレイシステム、及び/又はプロセッサ80と同様の処理システム及び/又はディスプレイシステム、ディスプレイシステム90、又は、本明細書に記載されるように構成された処理及びディスプレイシステム84を含み得ることも想定される。例えば、そのようなプロセッサ及び/又はディスプレイは、本明細書に開示される方法と手順を実行するように構成され得る。該方法と手順は、本明細書でより詳細に説明されるように、ASDプロセス及び/又はアルゴリズム、圧力比曲線の作成、曲線に対する画像のリンク付け、及び曲線と画像の表示を含む本明細書に記載の機能及び方法を含む。
【0055】
プロセッサ88は、1つ以上の曲線又はプロットにおける段差のある変化を特定するように構成され得る。例えば、プロセッサ88は、自動段差検出(ASD)プロセス及び/又はアルゴリズムを使用して、圧力比曲線における段差のある変化(例えば、所定の設定された閾値以上の著しい段差のある変化)を特定するように構成され得る。ASDプロセスは、圧力比曲線の著しい段差のある変化の特定とラベル付けに使用可能であり、さらには、潜在的な治療のために血管内の1つ以上の著しい狭窄の存在を特定するために使用可能である。特に、ASDは、圧力比曲線における著しい段差のある増加の開始場所及び/又は終了場所の特定とオプション的なラベル付けとに使用し得、圧力比曲線における所定の著しい段差のある変化の判定、表示、及び/又は、サイズ若しくは振幅のラベル付けにも使用し得る。加えて、プロセッサ88は、圧力比曲線上で特定された段差のある変化に対応する1つ以上の段差変化インジケータをディスプレイ88に出力するように構成され得る。1つ以上の段差変化インジケータは、例えば、段差のある変化の開始点の位置のインジケータ、段差のある変化の終了点の位置のインジケータ、段差のある変化の開始点と終了点との間の差異を示す段差変化ラベル、又はこれらの任意の組み合わせを含み得る。
【0056】
本明細書に示されるように、システム100はまた、画像装置すなわちシステム89を含み、及び/又はそれと通信し得る。少なくともいくつかの例において、データは、無線接続を使用して、処理及び/又はディスプレイシステム84と、画像装置すなわちシステム89との間で通信され得る。他の例では、データは、有線接続を用いて、処理及び/又はディスプレイシステム84と画像装置すなわちシステム89との間で通信され得る。画像装置すなわちシステム89と処理及び/又はディスプレイシステム84との間の通信を使用して、画像データを撮像及び/又は通信し得る。解剖学的構造の画像、及び/又は解剖学的構造内の器具(例えば、第1の圧力感知医療装置10、第2の圧力感知医療装置74、又は第1、第2の圧力感知医療装置10、74)の位置を示す画像のデータ表現が、治療の間、継続的であれ、特定の時点であれ、画像装置すなわちシステム89から処理及び/又はディスプレイシステム84に伝達し得る。次に、処理及び/又はディスプレイシステム84は、必要に応じて、この画像データをディスプレイシステム90に出力するように構成され得る。
【0057】
いくつかの実施形態において、プロセッサ88を含む処理及び/又はディスプレイシステム84は、圧力比曲線上の特定の場所に対応する(例えば、圧力比曲線における特定された段差のある変化に対応する)血管内の器具(例えば、第1の圧力感知器具)の位置を示す画像を取得及び/又は撮像し、取得された画像を圧力比曲線上のその特定の位置に登録し、及び/又はリンク付けするように構成され得る。例えば、圧力比曲線における段差のある変化が検出されると、第1の圧力感知器具は、解剖学的構造において検出された段差のある変化に対応する場所において、解剖学的構造内に配置される。従って、第1の圧力感知器具の位置を基準点として使用することにより、撮像された画像は、検出された段差のある変化の場所を示す。いくつかの実施形態において、段差のある変化が圧力比曲線上で特定及び/又は検出されると、圧力比曲線において特定された段差のある変化に対応する血管内の第1の圧力感知器具の位置を示す画像を撮像又は取得するために、プロセッサ88から画像システム89に対して命令が実行され得、次いで、画像をプロセッサ88に伝達し得る(例えば、プロセッサはそれによって画像を取得する)。他の実施形態において、画像データ(例えば、一連の画像又はビデオ)は、画像システム89からプロセッサ88に連続的にストリーミング及び/又は配信され得、次いで、プロセッサ88は、段差のある変化が特定及び/又は検出されたときに、圧力比曲線における特定された段差のある変化に対応する血管内の第1の圧力感知器具の位置を示す画像を撮像及び/又は取得し得る。さらに他の実施形態において、画像データは、例えば、適切なタイムマーキングとともに、連続的にストリーミング及び/又は配信及び/又はメモリに格納され得る。その後、タイムマーキングを使用して保存された画像から適切な画像を選択し得る。プロセッサ88は、撮像された画像をディスプレイシステム90に出力するように構成され得、取得された画像をメモリに格納し得る。
【0058】
プロセッサ88は、得られた画像を圧力比曲線上の対応する場所にリンク付けし及び/又は登録するように構成され得る。このリンク付け及び/又は登録は、リアルタイムで行われ得る、又は、圧力比曲線及び画像がメモリに格納され得るとともに、リンク付け又は登録は、例えば、圧力比曲線と画像との間のタイムデータを照合することによって、しばらくして行われ得る。得られた画像は、圧力比曲線自身の特定の場所にリンク付けされ、及び/若しくは登録され得、並びに/又は、得られた画像を圧力比曲線上の1つ以上のインジケータ及び/若しくはラベルにリンク付けすることによってリンク付けされ得る(例:ラベル、マーキング、ハイライトなど)。プロセッサ88は、圧力比曲線及び/又はリンクされた/登録された画像をディスプレイに出力するように構成され得るとともに、医療専門家は、解剖学的構造内の著しい段差のある変化の場所を判定することに役立てるため、圧力比曲線及び/又はリンクされた/登録された画像をレビューし得る。
【0059】
例えば、システム100(例えば、処理及び/又はディスプレイシステム84及び/又はシステム100のプロセッサ88)は、ユーザがプロセッサ88及び/又はディスプレイ90とやりとりすることを可能にするユーザインターフェース機構及び/又は機能を含み得る。いくつかの実施形態において、ユーザインターフェース機能は、ユーザが表示された圧力比曲線とやりとりし、その上の特定の場所にリンクされた1つ以上の取得された画像をアクティブ化することを可能にする。例えば、ユーザインターフェースは、ユーザが圧力比曲線上の特定の場所においてリンクをアクティブ化することを可能にし得、それに応答して、プロセッサは、圧力比曲線上のその場所に対応する第1の医療装置10の位置を示す画像をディスプレイに出力するように構成され得る。いくつかの実施形態において、ユーザインターフェースはカーソルを含み得るとともに、ユーザインターフェースは、ユーザが、画像へのリンクを含む圧力比曲線上の場所、例えば、段差のある変化の上、又は1つ以上の段差変化インジケータの上に、カーソルを配置することを可能にし得る。プロセッサ88は、応答して、リンクされた画像を開き得るとともに、圧力比曲線上の段差のある変化に対応する血管内の第1の器具の位置を示す得られた画像をディスプレイに出力し得るように構成され得る。追加的に又は代替的に、いくつかの実施形態において、ユーザインターフェース機能は、ユーザが得られた1つ以上の画像とやりとりすることを可能にし得るとともに、応答して、特定の画像に対応する圧力比曲線上の位置を表示し又は強調表示するインジケータへのリンクをアクティブにし得る。例えば、ユーザインターフェースは、表示される(例えば、特定された段差のある変化に対応する血管内の第1の器具の位置を示す)取得された画像上にカーソルを置くことを可能にし得、応答として、プロセッサは、得られた画像に対応する位置にある圧力比曲線上のマークをディスプレイに出力するように構成されている。本明細書で使用される場合、「カーソル」は、コンピュータモニタ又は他のディスプレイ装置上でのユーザ対話の現在の位置を示すために使用される単なるインジケータであり、必要に応じて任意の形態をとることができる。
【0060】
ここで、
図2を参照して、ASDプロセス又はアルゴリズムの例を含むフローチャート図を示す。この例示的なフローチャートでは、未処理の圧力比曲線410がボックス410に概略的に表されている。未処理の圧力比曲線410は、例えば、プルバック及び/又はプッシュスルーの間に、第1及び第2の圧力感知医療装置10、74から取得された圧力測定値(例えば、P
d及びP
a測定値)を使用することにより計算された一連の圧力比値を使用して、プロセッサ88により計算され、生成され得る。ボックス412に示すように、未処理の圧力比曲線410は、未処理の圧力比曲線410のノイズ及び/又は異常を除去するために、オプション的には濾過され、平滑化され、エンハンスされ、調整され、及び/又はそうでなければ他の方法で処理され得る。他の実施形態において、圧力比曲線はフィルタリング又は調整されなくてもよく、未処理の圧力比曲線410が使用されてもよく、その場合、ボックス412は省略され得る。(未処理又はエンハンスされた)圧力比曲線は、ディスプレイ84に出力され得る。
【0061】
ASDプロセス又はアルゴリズムを使用して、圧力比曲線に存在する可能性がある1つ以上の段差のある変化(例えば、所定の/予め設定された閾値を超える著しい段差のある変化)を特定及び/又は配置し得る。ASDは、段差ウィンドウ関数(SWF)414を含む。SWF414は、第1の閾値変化値(例えばT1)と同じ及び/又は第1の閾値変化値(例えばT1)を超える圧力比曲線(例えばD1)に沿う第1のウィンドウ内にある圧力比値の変化を特定することにより、圧力比曲線に沿う段差のある変化(例えば「段差開始」)の開始点の一般的位置を特定することを含む。これは、
図2に、SWFボックス414の左側に出る矢印として示され、D1>=T1とラベル付けされている。D1は、圧力比曲線に沿った第1のウィンドウ内における圧力比値における実際の変化を表しているとともに、T1は、システムがプログラムされたときに設定された第1の閾値変化値を表す。D1(第1のウィンドウ内における実際の変化)がT1(第1の閾値)以上の場合、圧力比曲線における著しい段差のある変化の潜在的開始の条件を満たす。
【0062】
第1のウィンドウは、圧力比曲線に沿って設定された持続時間を有することが可能であり、典型的にはプログラミング中に設定される。このように、第1のウィンドウは、圧力比曲線に沿った持続時間及び/又は幅を有し、D1は、圧力比曲線に沿った第1のウィンドウの所与の持続時間にわたる圧力比値の実際の変化を表す値である。第1のウィンドウの持続時間は、必要に応じて選択でき、必要に応じて、例えば時間(例えば、秒、分等)といった単位で測定することも、生理的期間(例えば、心拍、呼吸等)といった単位で測定することもなし得る。いくつかの実施形態において、第1のウィンドウは、2~10心拍、2~8心拍、3~5心拍、又はいくつかの場合では4心拍の範囲の持続時間を有する。いくつかの場合において、第1のウィンドウ持続時間は、秒で、例えば、2~30秒、2~20秒、3~10秒、3~5秒の範囲で、又は所望の範囲で、測定可能、及び/又は、設定可能である。
【0063】
第1の閾値T1及び第1のウィンドウD1内の実際の変化値は、それらが単に第1のウィンドウ内における圧力比値の変化を表すので、一般的に単位はない。閾値T1は、第1のウィンドウの持続時間を考慮して、必要に応じて選択できる。一般に、閾値T1の値は、所与の第1のウィンドウ内における圧力比値の著しい変化を示すレベルに設定され、これは、血管内の著しい狭窄を示す。従って、閾値T1は、一般に、第1のウィンドウの持続時間内の圧力比値における臨床上の著しい変化を示すレベルに、プログラミング中に設定される。いくつかの実施形態において、閾値T1は、0.01から0.06の範囲、又は0.02から0.05の範囲、又は0.025から0.04の範囲で設定し得る。
【0064】
段差ウィンドウ関数(SWF)414においてD1>=T1条件が満たされる場合、ASDプロセスは、次いで、特定されたD1>=T1条件が段差の開始を示すか否か(例えば、段差のある変化の開始点の一般的な位置)を決定するために、使用され得る。これは、フローチャートのボックス416の「段差開始?」によって表わされている。段差開始条件がすでに存在し、(後述する)段差終了が検出されていない場合、現在検出されたD1>=T1条件は(段差開始がすでに存在し、段差終了がないため)、段差開始のように扱われない。従って、「段差開始?」の問いの答えが「No」であり、ボックス422で示すように、段差開始が表示されないときは、ラベルが貼り付けられることはなく、プロセスは、ボックス422から段差ウィンドウ関数414に戻る矢印によって示すように、段差ウィンドウ関数に戻り、再び開始する。
【0065】
しかしながら、段差の開始がそれ以前に存在していない場合、また、段差開始が以前にあったがそれに対応する段差終了が存在し関連付けられた場合(例えば、開始点と終了点とが存在する事前に特定された段差のある増加)、現在の検出されたD1>=T1条件は、段差開始と扱われる。従って、「段差開始?」ボックス416の問いは「YES」と判定され、ボックス418で表されるように「段差開始最適化」に進む。
【0066】
フローチャートにボックス418によって表される「段差開始最適化」(SOO)関数は、第2の閾値変化値、T2以上の圧力比曲線(例えば、D2)に沿う第2のウィンドウ内における圧力比値の変化を特定することによって、段差のある変化の開始点の最適化された位置(例えば、最初に開始した著しい段差のある圧力比曲線上の点)を特定することを含み、第2のウィンドウは、第1のウィンドウよりも小さく、第2の閾値変化値T2は、第1の閾値変化値T1よりも小さい。つまり、SOO関数は、第1のウィンドウよりも狭いウィンドウに焦点を当てるとともに、第1の閾値(例えば、T1)よりも小さい閾値(例えばT2)に合致する変化値を探すことにより、圧力比曲線における段差のある変化の開始点の位置をより調整し及び/又は最適化する。
【0067】
第2のウィンドウは、圧力比曲線に沿って設定された持続時間を持つことができ、プログラミング中に設定される。第2のウィンドウは、圧力比曲線に沿う持続時間及び/又は幅を有し、SWFによって示すように、段差のある変化(例えば、段差開始)の開始点の一般的位置を含む圧力比曲線の一部と概ね重なる及び/又は含む。つまり、第2のウィンドウは、開始点の一般的な位置がSWFの間に第1のウィンドウで特定された領域に沿った圧力比曲線上で「ズームイン」する。第2のウィンドウの持続時間は、必要に応じて選択することが可能であり、必要に応じて、例えば、第1のウィンドウに与えられた単位で測定し得る。第2のウィンドウは、第1のウィンドウよりも小さい。いくつかの実施形態において、第2のウィンドウは、1~5心拍、1~3心拍、又はある場合には2心拍の範囲の持続時間を有する。他の場合では、第2のウィンドウ持続時間は、例えば、1~10秒、1~5秒、1~3秒、又はいくつかの場合では2秒の範囲で、秒単位で測定可能、及び/又は、設定可能である。
【0068】
閾値T2及び実際の変化値D2は、それらが単に第2のウィンドウ内における圧力比値の変化を表すので、一般的に単位はない。第2の閾値T2は、第2のウィンドウの持続時間を考慮して、必要に応じて選択できる。一般に、閾値T2の値は、所与の第2のウィンドウ内における圧力比値の著しい変化を示すレベルに設定され、これは、血管内の著しい狭窄の開始を示す。従って、閾値T2は、一般に、所与の第2のウィンドウの持続時間内の圧力比値における臨床上の著しい変化を示すレベルに、プログラミング中に設定される。いくつかの実施形態において、閾値T2は、0.002から0.012の範囲、又は0.004から0.01の範囲、又は0.006から0.008の範囲で設定し得る。
【0069】
段差開始最適化(SOO)418は、条件D2>=T2が最初に満たされる圧力比曲線に沿って、より詳細に及び/又は最適化された場所を特定し、次いで、この点を、段差のある増加の開始のより詳細な及び/又は最適化された場所として特定する。最適化された場所が特定されると、プロセスは、ボックス420に示されるように、段差開始として、それに応じてこのポイントにラベルを付けることを含み得る。最適化されたステップ開始場所及び/又はラベルは、例えば、圧力比曲線と併せてステップ開始を示すために、ディスプレイに出力され得る。
【0070】
さらに、ボックス420に示されるように、段差開始が検出され、オプション的にラベル付けされると、検出/特定された段差のある変化に対応する血管内の第1の圧力送信医療装置10の位置を示す画像が、プロセッサによって撮像及び/又は取得され得る(例えば、ディスプレイ90及び/又は画像装置89からのデータから撮像及び/又は取得される)。このように、プロセッサ88は、圧力比曲線における特定された段差のある変化に対応する血管内の第1の圧力感知器具の位置を示す画像を取得及び/又は撮像するように構成され得る。次に、プロセッサ88は、(例えば、特定された段差のある変化に対応する血管内の第1の器具の位置を示す)得られた画像を、圧力比曲線における対応する特定された段差のある変化にリンク付けし、及び/又は登録することが可能である。この場合、得られた画像は、段差のある変化の開始点での血管内の第1の器具の位置を示すとともに、当該画像は、圧力比曲線の段差のある変化の特定された開始点にリンク付けされ、及び/又は登録され得る。本明細書で説明されるように、システムは、ユーザが次に圧力比曲線上のリンクをアクティブにすることによって画像を表示することを可能にするユーザインターフェースを含み得る。
【0071】
次に、プロセスは、段差ウィンドウ関数414にフィードバックし、段差ウィンドウ関数にループバックする矢印によって示されるように、再び開始する。特に、本プロセスは、段差終了の場所を特定し、最適化して、さらに特定された段差開始と関連付け、しかして段差のある増加のパラメータを定義するために使用し得る。
【0072】
この点に関して、ASDプロセスは、第3の閾値変化値未満の圧力比曲線に沿った第3のウィンドウ内における圧力比値の変化を特定することにより、段差のある変化の終了点の一般的な位置を特定することをさらに含み得る。例えば、SWF414は、第3の閾値変化値T3以下の圧力比曲線D3に沿う第3のウィンドウ内にある圧力比値の変化を特定することにより、圧力比曲線に沿う段差のある変化(例えば「段差終了」)の終了点の一般的位置を特定する関数を含む。これは、SWFボックスの右側にある矢印D3<=T3として、
図2に示されている。D3は、圧力比曲線に沿った第3のウィンドウ内における圧力比値の実際の変化を表し、T3は、システムがプログラムされたときに設定される第3の閾値変化値を表す。D3(第3のウィンドウ内における実際の変化)がT3(第3の閾値)以下の場合、段差のある変化の潜在的終了の条件を満たす。
【0073】
第3のウィンドウは、圧力比曲線に沿う設定された持続時間を有することができ、プログラミングの間に設定される。このように、第3のウィンドウは、圧力比曲線に沿った持続時間及び/又は幅を有し、D3は、第3のウィンドウの所与の持続時間にわたる圧力比値の実際の変化を表す値である。第3のウィンドウの持続時間は、必要に応じて選択でき、必要に応じて、例えば時間(例えば、秒、分等)といった単位で測定することも、生理的期間(例えば、心拍、呼吸等)といった単位で測定することもなし得る。いくつかの実施形態において、第3のウィンドウは、2~10心拍、2~8心拍、3~5心拍、又はいくつかの場合では4心拍の範囲の持続時間を有する。他の場合では、第3のウィンドウ持続時間は、例えば、2~30秒、2~20秒、3~10秒の範囲で、秒単位で測定可能、及び/又は、設定可能である。
【0074】
第3の閾値T2及び実際の変化値D3は、それらが単に第3のウィンドウ内における圧力比値の変化を表すので、一般的に単位はない。閾値T3は、第3のウィンドウの持続時間を考慮して、必要に応じて選択できる。一般に、閾値T3の値は、実際の変化の値以下が、血管内の著しくない狭窄領域を表し得る所与の第3のウィンドウ内における圧力比値における小さな著しくない変化を表すように、あるレベルに設定される。従って、閾値T3は、一般に、第3のウィンドウの持続時間内の圧力比値における臨床上の著しくない変化を示すレベルに、プログラミング中に設定される。いくつかの実施形態において、T3は、0.01から0.06の範囲、又は0.02から0.05の範囲、又は0.025から0.04の範囲に設定し得る。
【0075】
いくつかの実施形態において、第1及び第3のウィンドウは同じ持続時間を有し得、第1及び第3の閾値T1及びT3もまた同じであり得る。このような場合、同じ閾値(例えば、T1=T3)を使用して、圧力比曲線における著しい段差の開始と終了の一般的な位置を決定する。閾値以上の変化値(例えばD1)は、段差の開始の潜在的な一般的位置を表す一方、閾値以下の変化位置(例えばD3)は、段差の終了の潜在的な一般的位置を表す。理解され得るように、これらの状況では、SWF内のロジックはそれに応じて設定され得ることとなり、D1及び/又はD3の一方のみが、満たされる必要条件の閾値に等しくなり得る。D1とD3の両方の変化値が両方とも閾値と等しくなる(例えば、T1=T3)ことができないことが論理的に望ましい場合がある。そのため、
図2に示した式から方程式を変更することが望ましい場合がある。例えば、一般的段差開始関数について、該方程式は、変化値D1が閾値以上となるものであり(例えば、図示のようにD1>=T1)、一方、段差終了関数について、変化値D3は、単純に閾値未満である(例えば、D3<T3)。他の代替案として、一般的段差開始関数について、変化値D1は、単純に閾値を超えるものであり(例えば、D1>T1)、一方、段差終了関数について、変化値D3は、単純に閾値以下である(例えば、図示のように、D3<=T3)。
【0076】
図2を参照して、段差ウィンドウ関数(SWF)414においてD3<=T3条件が満たされる場合、ASDプロセスにおける次の潜在的なステップは、フローチャートのボックス424に「段差終了?」によって示したように、D3<=T3条件が段差の終了を示すか否かを決定することである。段差開始条件が現在存在しない場合、現在検出されているD3<=T1条件は、段差終了とは取り扱われない(例えば、開始がないので、検出された条件は終了とはなり得ない)。従って、「段差終了?」の問いの答えが「No」であり、段差終了が表示されないときは、ラベルが貼り付けられることはなく、プロセスは、ボックス422から段差ウィンドウ関数414に戻る矢印によって示すように、段差ウィンドウ関数に戻り、再び開始する。
【0077】
しかしながら、段差開始条件がすでに現に存在し、当該段差開始に対応する検出された段差終了が存在しない場合、現在検出されたD1<=T1条件は(段差開始が存在し、段差終了を必要としているため)、段差終了として扱われる。従って、「段差終了?」の問いは「YES」と判定され、ボックス426で表されるように「段差終了最適化」に進む。
【0078】
ボックス426によって表される「段差終了最適化」(SEO)関数は、第4の閾値変化値(例えばT4)以下の圧力比曲線(例えばD4)に沿う第4のウィンドウ内の圧力比曲線において変化を特定することにより、段差のある増加の終了点(例えば段差終了)の最適化された位置を特定することを含み、ここで、第4のウィンドウは、第3のウィンドウよりも小さく、第4の閾値変化値T4は、第3の閾値変化値T3よりも小さい。つまり、SEOは、第3のウィンドウよりも狭いウィンドウに焦点を当てるとともに、第3の閾値よりも小さい閾値に合致する変化値を探すことにより、圧力比曲線における段差のある変化の終了点の位置をより調整し及び/又は最適化する。
【0079】
第4のウィンドウは、圧力比曲線に沿う設定された持続時間を有することができ、プログラミングの間に設定される。第4のウィンドウは、圧力比曲線に沿う持続時間及び/又は幅を有し、SWFによって示す段差のある変化(例えば、段差終了)の終了点の一般的位置を含む圧力比曲線の一部と概ね重なる及び/又は含む。つまり、第4のウィンドウは、終了点の一般的な位置が第3のウィンドウで特定された領域に沿った圧力比曲線上で「ズームイン」する。第4のウィンドウの持続時間は、必要に応じて選択することが可能であり、必要に応じて、例えば、第3のウィンドウに与えられた単位で測定し得る。第4のウィンドウは、第3のウィンドウより小さい。いくつかの実施形態において、第4のウィンドウは、1~5心拍、1~3心拍、又はいくつかの場合では2心拍の範囲の持続時間を有する。他の場合では、第4のウィンドウ持続時間は、例えば、1~10秒、1~5秒、1~3秒、又はいくつかの場合では2秒の範囲で、秒単位で測定可能、及び/又は設定可能である。
【0080】
閾値T4及び実際の変化値D4は、それらが単に第4のウィンドウ内における圧力比値の変化を表すので、一般的に単位はない。第4の閾値T4は、第4のウィンドウの持続時間を考慮して、必要に応じて選択することが可能である。一般に、閾値T4の値は、変化の値以下が、血管内の著しくない狭窄領域を表し得る所与の第4のウィンドウ内における圧力比値における小さな著しくない変化を表すように、あるレベルに設定される。従って、閾値T4は、一般に、第4のウィンドウの持続時間内の圧力比値における臨床上の僅かな或いは著しくない変化を示すレベルに、プログラミング中に設定される。いくつかの実施形態において、T4は、0.002から0.012の範囲、又は0.004から0.01の範囲、又は0.006から0.008の範囲で設定し得る。理解されるように、いくつかの実施形態において、第2及び第4のウィンドウは同じ持続時間を有し得、第2及び第4の閾値T2及びT4もまた同じであり得る。
【0081】
段差終了最適化(SEO)426は、条件D4<=T2が最初に満たされる圧力比曲線に沿って、より詳細に及び/又は最適化された場所を特定し、次いで、この点を、段差のある増加終了のより詳細な及び/又は最適化された場所として特定する。プロセスは、ボックス422に示されるように、段差終了として、それに応じてこのポイントにラベルを付けることを含み得る。最適化された段差終了場所及び/又はラベルを、例えば、圧力比曲線と関連して段差終了を示すために、ディスプレイに出力し得る。段差終了の場所及び/又はラベルは、ディスプレイに出力され、圧力比曲線に沿った適切な位置に表示される。次にプロセスは、段差ウィンドウ関数にフィードバックし、ボックス422から段差ウィンドウ関数414にループバックする矢印によって示されるように、再び開始する。特に、このプロセスは、次いで、何らかの追加的な段差のある増加の場所を特定し、最適化し得るものであり、そのような追加的な段差のある増加の段差の開始及び段差の終了の場所を特定及び最適化することを含む。
【0082】
さらに、ボックス422に示されるように、段差終了が検出され、オプション的にラベル付けされると、検出/特定された段差のある変化に対応する血管内の第1の圧力送信医療装置10の位置を示す画像が、プロセッサによって撮像及び/又は取得され得る(例えば、ディスプレイ90及び/又は画像装置89からのデータから撮像及び/又は取得される)。このように、プロセッサ88は、圧力比曲線における特定された段差のある変化に対応する血管内の第1の圧力感知器具の位置を示す画像を取得及び/又は撮像するように構成され得る。次に、プロセッサ88は、(例えば、特定された段差のある変化に対応する血管内の第1の器具の位置を示す)得られた画像を、圧力比曲線における対応する特定された段差のある変化にリンク付けし、及び/又は登録し得る。この場合、得られた画像は、段差のある変化の終了点での血管内の第1の器具の位置を示すとともに、当該画像は、圧力比曲線の段差のある変化の特定された終了点にリンク付けされ、及び/又は登録され得る。本明細書で説明されるように、システムは、ユーザが次に圧力比曲線上のリンクをアクティブにすることによって画像を表示することを可能にするユーザインターフェースを含み得る。
【0083】
上述のように、段差開始点と段差終了点の場所を含む段差のある増加の場所は、ディスプレイに表示され得るとともに、例えば、マーキングやラベル等とともに、圧力比曲線に沿った適切な位置に示される。そのようなマーキング及び/又はラベルは、必要に応じて、インジケータの任意の所望の形状又は形態を取ることができる。1つ以上のマーキング及び/又は1つ以上のラベルは、圧力比曲線の段差開始及び/又は段差終了の場所において、点、ドット、線、星、その他のインジケータを示すことを含み得る。1つ以上のマーキング及び/又は1つ以上のラベルは、数値のインジケータを含み及び/又は示す場合があり、例えば、段差開始及び/又は段差終了の特定の点における圧力比値を示すことは、圧力比曲線上に特定される。加えて、特定された特定の段差のある変化について、プロセッサは、特定の段差のある変化に関連するパラメータを計算し、圧力比曲線に関連して示されるべきパラメータをディスプレイに出力し得る。例えば、プロセッサは、段差のある変化(例えば、圧力比曲線上の段差開始点と段差終了点の間の圧力比値の差)の大きさ及び/又は振幅を計算するように構成されているとともに、この情報を、例えば圧力比曲線上の特定の段差のある増加に関連する数値的ラベルとしてディスプレイに出力する。本明細書に示されるように、そのようなマーキング、ラベルなどはまた、圧力比曲線にリンクされた得られた画像のためのリンクインジケータとして使用され得る。
【0084】
次に、本発明による、方法を実行するように構成されたシステムを使用して患者の血管を評価するための方法の机上の例示的実施形態の説明について、
図3~
図3Fを参照する。
図3は、例えば、プロセッサ88によって計算/生成され、ディスプレイ90に出力され得る圧力比曲線42を示すグラフ40の概略図である。圧力比曲線42は、本明細書に開示されるような方法及びシステムを使用して、及び/又はそれらと併せて生成され得る。
【0085】
特に、本方法は、第1の器具10が血管に沿って第1の位置から第2の位置に移動する間に、ある時間間隔にわたって血管内にある第1の器具10から第1の一連の圧力測定値を取得するとともに、第2の器具74が血管内の固定された長手位置に留まっている間に、前記時間間隔にわたって血管内に配置された第2の器具74から第2の一連の圧力測定値を取得することを含む。本方法は、第1の圧力測定値及び第2の圧力測定値を使用して一連の圧力比値を計算するとともに、一連の圧力比値を使用して圧力比曲線42を生成することをさらに含む。次に、本方法は、上述のように、ASDプロセスを使用して圧力比曲線の1つ以上の段差のある変化を特定することを必然的に関連し得る。本方法はまた、圧力比曲線における1つ以上の特定された段差のある変化に対応する血管内の第1の器具の位置を示す1つ以上の画像を取得すること、及び得られた1つ以上の画像を、圧力比曲線における特定された段差のある変化に登録及び/又はリンクすることを必然的に伴い得る。本方法はまた、圧力比曲線をディスプレイシステムに出力すること、及び/又は画像をディスプレイシステムに出力することを含み得る。
【0086】
システムは、プロセッサ、例えば、プロセッサ88を含むことが可能であり、該プロセッサは、圧力比曲線を生成すること、圧力比曲線における1つ以上の段差のある変化の特定を処理するためにASDプロセスを実行すること、並びに画像を取得すること及び圧力比曲線へのリンクし、/登録することを含む、方法を実行するように構成及び/又はプログラムされる。この特定の例では、圧力比曲線42は、プルバックの間に行われた圧力測定から得られたFFR圧力比値を使用して生成され得る。グラフ40は、圧力比値(Pd/Pa)がY軸上に表され、時間がx軸に沿って表されるように、圧力比曲線42を示す。曲線42は、プルバック中に血管に沿った圧力比値を表しており、x軸に沿うゼロ時点のところが、(例えば、関心領域の遠位で)プルバックの間に、第1の器具10の最も遠位の場所において当該第1の器具10から取得した圧力測定値Pdを使用して計算された圧力比値を表し、x軸に沿う曲線42の右端のところが、(例えば、冠状動脈口で)プルバックの間に、最も近位の場所において第1の器具10から取得された圧力測定値Pdを使用して計算された圧力比値を表し、これら2点間の曲線42の残りが血管に沿う両者間の圧力比値を表す。
【0087】
図3に示すように、例示的な圧力比曲線42は、当該圧力比曲線において1つ以上の段差のある変化(例えば、44,144,244)を含み得るものであり、圧力比における段差のある変化は、圧力比曲線42に沿う段差のない領域(例えば、43,143,243)に比べた場合、(例えば、所定の閾値変化を超える)所定のウィンドウ内においてより著しく、又は急峻であり、所定のウィンドウ内における圧力比値の変化は、それほど著しくなく、又はより緩慢である(例えば、所定の閾値変化未満)。プロセッサ88は、段差のある変化(例えば、44、144、244)の場所を特定し、必要に応じてオプション的にそれらにラベルを付けるために、上述のように、ASDプロセス及び/又はアルゴリズムを使用し得る。
【0088】
例えば、プロセッサ88は、ASDプロセスを使用して、圧力比曲線42の段差のある変化44を特定し、圧力比曲線42の段差のある変化44の開始点48及び/又は終了点54の場所を最適化し得る。次にプロセッサ88は、特定された開始点48と終了点54のために、マーク及び/又はラベルを特定し、かつ、ディスプレイに出力することも行い得る。例えば、開始点は線46でマークされてもよく、開始点での圧力比値はラベル56に示されてもよい。同様に、終了点54は線50でマークされてもよく、終了点54での圧力比値はラベル58に示されてもよい。さらに、段差のある増加のサイズ、振幅、及び/又は大きさ(例えば、終了点54と開始点48での圧力比値の間の差)を示すラベル59が生成され得る。例えば、
図3に示すように、段差のある増加44の場合、開始点48における圧力比値は、ラベル56で示すように0.66であり、終了点54における圧力比値は、ラベル58で示すように0.72である。従って、段差のある増加44の振幅は、ラベル59に示されるように、0.72-0.66=0.06である。
【0089】
プロセッサ88は、圧力比曲線42上の特定の場所に対応する血管99内の第1の圧力感知器具10の位置を示す画像を取得及び/又は撮像し、取得された画像を圧力比曲線42上の特定の場所に登録及び/又はリンクするように構成され得る。例えば、
図3Aは、圧力比曲線42における段差のある変化44の開始点48の時間に対応する時間に撮像された第1の医療装置10の位置を示す画像の概略図である。
図3Aに示される画像は、圧力比曲線42上の開始点48に適切にリンク付けされ得る。例えば、リンクは、開始点48において曲線自体に存在し得るか、又は、リンクは、マークされた線46に、ラベル56に、又は曲線42上の開始点48に関連する他の何らかのインジケータに存在し得る。例えば、ユーザインターフェースを使用して、曲線上のリンクをアクティブ化すると、プロセッサ88は、画像3Aをディスプレイに出力するように促される。追加的に又は代替的に、例えば、ユーザインターフェースを使用して、画像3A上のリンクをアクティブ化することで、画像3Aに対応する曲線上の場所/位置を示す曲線42上のインジケータを出力するためにプロセッサ88を促すように、画像3Aは、開始点48にリンクを含み得る(例えば、曲線42上の開始点48のインジケータ又はハイライト)。同様に、
図3Bは、圧力比曲線42における段差のある変化44の終了点54の時間に対応する時間に撮像された第1の医療装置10の位置を示す画像の概略図である。
図3Bのこの画像は、圧力比曲線42上の終了点54にリンク付けされ得るものであり、及び/又は終了点54は、同様の方法で画像3Bにリンク付けされ得る。これらのリンクは、ここで説明するように、同様にアクティブ化可能である。
【0090】
プロセッサ88はまた、圧力比曲線42における1つ以上の追加的な段差のある変化(例えば、144及び244)を特定するために、ASDプロセスを使用し得るとともに、圧力比曲線42における1つ以上の他の段差のある変化144及び244の開始点(例えば、148及び248)及び終了点(例えば、154及び254)の場所を最適化し得る。同様に、プロセッサ88はまた、開始点(例えば、148及び248)及び終了点(例えば、154及び254)の表示マーク及び/又はラベルを特定し、それらに出力し得る。例えば、開始点148及び248は、それぞれ線146及び246でマークされ得るとともに、各開始点148及び248における圧力比値は、それぞれラベル156及び256で示し得る。同様に、終了点154及び254は、線150及び250でマークされ得るとともに、各終了点154及び254における圧力比値は、それぞれラベル158及び258に示され得る。さらに、段差のある増加のサイズ、振幅、及び/又は大きさ(例えば、各段差のある増加の終了点と開始点での圧力比値の差)を示すラベル159及び259も生成され得る。例えば、
図3に示すように、段差のある増加144の場合、開始点148における圧力比値は、ラベル156で示すように0.72であり、終了点154における圧力比値は、ラベル158で示すように0.83である。従って、段差のある増加144の振幅は、ラベル159に示されるように、0.83-0.72=0.11である。
図3にも示すように、段差のある増加244の場合、開始点248における圧力比値は、ラベル256で示すように0.83であり、終了点254における圧力比値は、ラベル258で示すように0.98である。従って、段差のある増加244の振幅は、0.98-0.83=0.15であり、これは、ラベル259に示されている。
【0091】
さらに、プロセッサ88は、圧力比曲線42上の特定の位置に対応する血管99内の第1の圧力感知器具10の位置を示す対応する画像を取得及び/又は撮像し、得られた画像を圧力比曲線42上のその特定の場所に登録及び/又はリンクするように構成され得る。例えば、
図3Cは、開始点148の時間に対応する時間に撮像されるとともに、圧力比曲線42上の開始点148に登録され及び/又はリンクされ得る第1の医療装置10の位置を示す画像の概略図であり、
図3Dは、終了点154の時間に対応する時間に撮像されるとともに、圧力比曲線42上の終了点154に登録され及び/又はリンクされ得る第1の医療装置10の位置を示す画像の概略図であり、
図3Eは、開始点248の時間に対応する時間に撮像されるとともに、圧力比曲線42上の開始点248に登録され及び/又はリンクされ得る第1の医療装置10の位置を示す画像の概略図であり、
図3Fは、終了点254の時間に対応する時間に撮像されるとともに、圧力比曲線42上の終了点254に登録され及び/又はリンクされ得る第1の医療装置10の位置を示す画像の概略図である。これらの画像のそれぞれは、曲線上のそれらの対応する位置(例えば、時間)において、又はそれに隣接する圧力比曲線42上のリンクを介して、圧力比曲線42にリンクされ得る。同様に、これらの画像のそれぞれは、
図3A及び
図3Bについて上述したように、圧力比曲線上のそれらの対応する位置に戻るリンクを含み得る。
【0092】
この特定の例では、ADSプロセスを使用したプルバックの間に特定された3つの段差のある変化44、144、244を含む、その長さに沿った曲線の圧力比値において著しい変化がある。これは、血管のこの部分内に3つの巣状病変があることを示す。ADSプロセスは、これらの段差のある変化のマークされた開始点と終了点を特定するとともにその場所を最適化し、マークされた開始点と終了点を提供し、それぞれの振幅を示すことが可能である。このように、本システム及び方法は、介入治療が必要又は正当であるか否か、及び/又は、どのように、どのような種類の治療を使用するかを決定する際に、検査中の特定の領域に関する有用な情報を医療関係者に提供し得る。例えば、段差のある変化44,144,244の領域は、血管形成術又はステント留置術といったより積極的で侵襲的な治療に値する可能性がある血管内の場所を示す一方、段差のない変化の領域(例えば、43,143,243)は、投薬治療や全く治療を行わないといった消極的な若しくは非侵襲的な治療に値する可能性がある血管内の場所を示し得る。加えて、段差のある変化の領域(例えば、44、144、244)は互いに比較することができ、その結果、医療従事者は、最も著しい血行力学的影響を有し得る領域に治療を集中させ得る。例えば、この特定のケースでは、最も著しい狭窄領域又は病変は、最も近位なもの、すなわち、振幅が0.15と測定された段差のある増加244に現れている。
【0093】
ここで、別の机上の例示的実施形態の説明のために
図4を参照する。
図4は、例えば、プロセッサ88によって計算/生成され、ディスプレイ90に出力され得る圧力比曲線342を示すグラフ340の概略図である。圧力比曲線42は、ASDプロセスの使用を含む、本明細書に開示されるような方法及びシステムを使用して、及び/又はそれらと併せて生成され得る。
図4に示されるように、例示的な圧力比曲線342は、段差のない部分343の大きな領域を含み得るものであり、圧力比値の変化は、より緩慢で及び/又は緩やかであるとともに、圧力比曲線342内にただ1つの段差のある変化344を含んでおり、圧力比値の変化は、(上述した所定の閾値変化を超える)所定のウィンドウ内において、より著しく急峻である。プロセッサ88は、段差のある変化344の場所を特定し、必要に応じてオプション的にラベルを付けるために、上述のように、ASDプロセス及び/又はアルゴリズムを使用し得る。例えば、プロセッサ88は、圧力比曲線342の段差のある変化344を特定するとともに、段差のある変化344の開始点348及び/又は終了点354の場所を最適化するために、ASDプロセスを使用し得る。次に、プロセッサ88は、特定された開始点348及び終了点354のために、マーク及び/又はラベルを特定し、かつ、ディスプレイに出力することも行い得る。例えば、開始点は線346でマークされてもよく、開始点での圧力比値はラベル356に示されてもよい。同様に、終了点354は線350でマークされてもよく、終了点354での圧力比値はラベル358に示されてもよい。さらに、段差のある増加のサイズ、振幅、及び/又は大きさ(例えば、終了点354と開始点348の圧力比値の間の差)を示すラベル359も生成され得る。例えば、
図4に示すように、段差のある増加344の場合、開始点348における圧力比値は、ラベル356で示すように0.88であり、終了点354における圧力比値は、ラベル358で示すように0.96である。従って、段差のある増加344の振幅は、ラベル359に示されるように、0.96-0.88=0.08である。
【0094】
この場合も、プロセッサは、圧力比曲線342上の特定の場所に対応する血管99内の第1の圧力感知器具10の位置を示す画像を取得及び/又は撮像するように構成され得るとともに、得られた画像を圧力比曲線342上のそれらの特定の場所に登録及び/又はリンクする。例えば、
図4Aは、圧力比曲線342における段差のある変化344の開始点348の時間に対応する時間に撮像された第1の医療装置10の位置を示す画像の概略図であり、
図4Bは、終了点354の時間に対応する時間に撮像された第1の医療装置10の位置を示す画像の概略図である。これらの画像のそれぞれは、曲線上のそれらの対応する位置(例えば、時間)において、又はそれに隣接する圧力比曲線342上のリンクを介して、圧力比曲線342にリンクされ得る。同様に、これらの画像のそれぞれは、
図3A及び
図3Bについて上述したように、圧力比曲線上のそれらの対応する位置に戻るリンクを含み得る。
【0095】
この机上の例では、圧力比曲線342は、一般に、上述した圧力比曲線242と比較して、その長さの大部分にわたってより緩やかである。曲線342の全長に沿って全体の圧力比値に著しい変化があるが、曲線342の大部分はより緩やかであり、かつ/又は段差のある増加を含んではおらず、ASDプロセスを使用して特定された、ただ1つの小さな段差のある変化344がある。これは、この症例の治療方法を決定するときに、医療関係者に役立つ情報を提供し得る。振幅が0.08しか測定されない小さな段差のある変化344が1つしかないため、所定の処理は、適切でない場合がある。例えば、ステント留置術及び/又は血管形成術によってより近位の段差のある増加344を除去することは、このセクションに沿った圧力比値を許容可能なレベルに戻すのに十分ではない可能性がある。そのため、この狭窄領域のびまん性のため、バイパス手術等の他の治療法がより適切な場合がある。
【0096】
図5は、例えば、第1の圧力感知医療装置10として好適な血圧感知ガイドワイヤ10の1つの例示的な実施形態を示す。ガイドワイヤ10は、シャフト又は管状部材12を含み得る。管状部材12は、近位領域14及び遠位領域16を含み得る。近位領域14及び遠位領域16の材料は異なっていてもよく、本明細書に開示されるそれらの材料を含み得る。例えば、遠位領域16は、ニッケル-コバルト-クロム-モリブデン合金(例えば、MP35-N)を含み得る。近位領域14は、遠位領域16と同じ材料、又はステンレス鋼等の異なる材料から作製され得る。これらは単なる例である。他の材料も想定される。
【0097】
いくつかの実施形態において、近位領域14及び遠位領域16は、同じ単一材料から形成される。換言すると、近位領域14及び遠位領域16は、管状部材12を規定する同じ管の一部である。他の実施形態において、近位領域14及び遠位領域16は、一緒に接合される別体の管状部材である。例えば、部分14,16の外面のセクションを除去することができ、除去されたセクションにスリーブ17を被せて、領域14,16を結合することが可能である。代替的に、スリーブ17は、領域14,16の上に単に配置されてもよい。溶接、熱結合、接着剤結合等を含む他の結合も使用することが可能である。利用される場合、近位領域14を遠位領域16と接合するために使用されるスリーブ17は、近位領域14と遠位領域16の両方と望ましく結合する材料を含み得る。例えば、スリーブ17は、ニッケル-クロム-モリブデン合金(例えば、インコネル)を含み得る。
【0098】
複数のスロット18が管状部材12に形成され得る。少なくともいくつかの実施形態において、スロット18は、遠位領域16に形成される。少なくともいくつかの実施形態において、近位領域14にはスロット18が欠けている。しかしながら、近位領域14は、スロット18を含み得る。スロット18は、いくつかの理由で望ましい場合がある。例えば、スロット18は、(例えば、遠位領域16に沿って)管状部材12に望ましいレベルの柔軟性を提供し得る一方、トルクの適切な伝達も可能にする。スロット18は、適切な方法で遠位領域16に沿って配置/分散されてもよい。例えば、スロット18は、遠位領域16の長さに沿って分配されるスロット18の対向する対として配置されてもよい。いくつかの実施形態において、隣接するスロット18の対は、互いに対して概ね一定の間隔を有し得る。代替的に、隣接するペア間の間隔はばらつく場合がある。例えば、遠位領域16のより遠位の領域は、間隔が短くなり(及び/又はスロット密度が高まり)、これは、柔軟性を富み得る。他の実施形態において、遠位領域16のより遠位の領域は、間隔が広がり(及び/又はスロット密度が低まり)得る。これらは単なる例である。他の構成が想定される。
【0099】
圧力センサ20は、管状部材12内(例えば、管状部材12のルーメン内)に配置され得る。圧力センサ20が
図3に概略的に示されているが、圧力センサ20の構造的形態及び/又は型式が変化し得ることが理解され得る。例えば、圧力センサ20は、半導体(例えば、シリコンウエハー)圧力センサ、圧電圧力センサ、光ファイバ又は光学圧力センサ、ファブリーペロー型圧力センサ、超音波トランスデューサー及び/又は超音波圧力センサ、磁気圧力センサ、固体圧力センサ等、又は任意の他の適切な圧力センサを含み得る。
【0100】
上記のように、圧力センサ20は、光学圧力センサを含み得る。これらの実施形態の少なくともいくつかにおいて、光ファイバ又は光ファイバケーブル24(例えば、マルチモード光ファイバ)は、圧力センサ20に取り付けられてもよく、そこから近位に延び得る。光ファイバ24は、中心コア60及び外側クラッド62を含み得る。いくつかの場合において、シール部材(図示せず)が光ファイバ24を管状部材12に取り付け得る。そのような取り付け部材は、光ファイバ24の周りに円周方向に配置され、取り付けられてもよく、管状部材12の内面(例えば、遠位領域16)に固定されてもよい。加えて、センタリング部材26を光ファイバ24に接着してもよい。少なくともいくつかの実施形態において、センタリング部材26は、圧力センサ20から近位に離間される。他の構成が想定される。センタリング部材26は、ガイドワイヤのナビゲーション中及び/又は使用中に圧力センサ20にさらされる可能性がある力を低減するのに役立ち得る。
【0101】
少なくともいくつかの実施形態において、遠位領域16は、センサハウジング領域52を画定する、薄壁及び/又は拡開した内径を有する領域を含み得る。一般に、センサハウジング領域52は、最終的に圧力センサ20を「収容する」遠位領域16の領域である。管状部材12の内壁の一部がセンサハウジング領域52において取り除かれていることにより、センサ20を収容することができる付加的な空間が生成されるか、さもなければ規定され得る。センサハウジング領域52は、圧力センサ20への流体アクセスを提供する1つ以上の遠位ポートホール開口部66等の1つ以上の開口部を含み得る。
【0102】
先端部材30は、遠位領域16に結合され得る。先端部材30は、コア部材32及びばね又はコイル部材34を含み得る。遠位先端36は、コア部材32及び/又はばね34に取り付けられ得る。少なくともいくつかの実施形態において、遠位先端36は、はんだボール先端の形態をとり得る。先端部材30は、溶接等の結合部材46で管状部材12の遠位領域16に接合され得る。
【0103】
管状部材12は、外側コーティング19を含み得る。いくつかの実施形態において、コーティング19は、管状部材12の概ね全長に沿って延び得る。他の実施形態において、管状部材12の1つ以上の別体のセクションは、コーティング19を含み得る。コーティング19は、疎水性コーティング、親水性コーティング等であり得る。管状部材12はまた、その内側表面に沿って設けられた内側コーティング64(例えば、疎水性コーティング、親水性コーティング等)を含み得る。例えば、親水性コーティング64は、ハウジング領域52の内面に沿って設けられ得る。これらのいくつか及び他の例において、コア部材32は、コーティング(例えば、親水性コーティング)を含み得る。例えば、コア部材32の近位端領域及び/又は近位端は、コーティングを含み得る。これらのいくつか及び他の例において、圧力センサ20はまた、コーティング(例えば、親水性コーティング)を含み得る。
【0104】
システム100及び/又はガイドワイヤ10の様々な構成要素に使用することができる材料は、医療装置に一般的に関連するものを含み得る。簡単にするために、以下の説明では、管状部材12及びガイドワイヤ10の他の構成要素を参照する。しかしながら、これは、本明細書に開示された他の管状部材及び/又は管状部材若しくは装置の構成要素に適用され得るため、これは、本明細書に記載された装置及び方法を限定することを意図しない。
【0105】
ガイドワイヤ10の管状部材12及び/又は他の構成要素は、金属、金属合金、ポリマー(そのいくつかの例は以下に開示される)、金属-ポリマー複合材料、セラミック、それらの組み合わせ、他の適切な材料等から作製され得る。適切なポリマーのいくつかの例には、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、エチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)、フッ化エチレンプロピレン(FEP)、ポリオキシメチレン(POM、例えばデュポン社から入手できるDELRIN(登録商標))、ポリエーテルブロックエステル、ポリウレタン(例えば、ポリウレタン85A)、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエーテル-エステル(例えば、DSMエンジニアリングプラスチック社から入手可能なARNITEL(登録商標))、エーテル又はエステルベースのコポリマー(例えば、ブチレン/ポリ(アルキレンエーテル)フタル酸塩及び/又は他のポリエステルエラストマー(デュポン社から入手可能なHYTREL(登録商標)等)、ポリアミド(例えば、バイヤー社から入手可能なDURETHAN(登録商標)、又はエルフ・アトケム社から入手可能なCRISTAMID(登録商標))、エラストマポリアミド、ブロックポリアミド/エーテル、ポリエーテルブロックアミド(PEBA、例えば、商品名PEBAX(登録商標)で入手可能)、エチレン酢酸ビニルコポリマー(EVA)、シリコーン、ポリエチレン(PE)、Marlex高密度ポリエチレン、Marlex低密度ポリエチレン、線形低密度ポリエチレン(例えば、REXELL(登録商標))、ポリエステル、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリイミド(PI)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリフェニレンオキシド(PPO)、ポリパラフェニレンテレフタルアミド(例えば、KEVLAR(登録商標))、ポリスルホン、ナイロン、ナイロン-12(EMSアメリカン・グリロン社から入手可能なGRILAMID(登録商標)等)、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)(PFA)、エチレンビニルアルコール、ポリオレフィン、ポリスチレン、エポキシ、ポリ塩化ビニリデン(PVdC)、ポリ(スチレン-b-イソブチレン-b-スチレン)(例えば、SIBS及び/又はSIBS50A)、ポリカーボネート、アイオノマ、生体適合性ポリマー、他の適切な材料、又はそれらの混合物、組み合わせ、コポリマー、ポリマー/金属複合材等を含む。いくつかの実施形態において、シースは、液晶ポリマー(LCP)とブレンドすることが可能である。例えば、混合物は最大約6パーセントのLCPを含むことができる。
【0106】
適切な金属及び金属合金のいくつかの例には、304V、304L、316LVステンレス鋼等のステンレス鋼;軟鋼;線形弾性ニチノール及び/又は超弾性ニチノール等のニッケルチタン合金;ニッケル-クロム-モリブデン合金等のその他のニッケル合金(例えば、INCONEL(登録商標)625等のUNS:N06625、HASTELLOY(登録商標)C-22(登録商標)等のUNS:N06022、HASTELLOY(登録商標)C276(登録商標)、その他のHASTELLOY(登録商標)合金等のUNS:N10276)、ニッケル-銅合金(例えば、MONEL(登録商標)400、NICKELVAC(登録商標)400、NICORROS(登録商標)400等のUNS:N04400)、ニッケル-コバルト-クロム-モリブデン合金(例えば、MP35-N(登録商標)等のUNS:R30035)、ニッケル-モリブデン合金(例えば、HASTELLOY(登録商標)ALLOY B2(登録商標)等のUNS:N10665)、他のニッケル-クロム合金、他のニッケル-モリブデン合金、他のニッケル-コバルト合金、他のニッケル-鉄合金、他のニッケル-銅合金、他のニッケル-タングステン又はタングステン合金等;コバルトクロム合金;コバルト-クロム-モリブデン合金(例えば、ELGILOY(登録商標)、PHYNOX(登録商標)等のUNS:R30003);プラチナ強化ステンレス鋼;チタン;それらの組み合わせ;その他;又は他の適切な材料が含まれる。
【0107】
少なくともいくつかの実施形態において、ガイドワイヤ10の一部又は全部はまた、放射線不透過性材料でドープされ、それから作られ、又はそうでなければそれを含み得る。放射線不透過性材料は、比較的明るい画像を蛍光透視スクリーン生成することができる材料、すなわち、医療処置の間における他の画像化技術であると理解される。この比較的明るい画像は、ガイドワイヤ10のユーザがその場所を決定するのを支援する。放射線不透過性材料のいくつかの例には、金、プラチナ、パラジウム、タンタル、タングステン合金、放射線不透過性充填剤が充填されたポリマー材料等が含まれ得るが、これらに限定されない。加えて、他の放射線不透過性マーカーバンド及び/又はコイルも、同じ結果を達成するために、ガイドワイヤ10の設計に組み込まれ得る。
【0108】
いくつかの実施形態において、ある程度の磁気共鳴画像法(MRI)の適合性がガイドワイヤ10に付与される。例えば、ガイドワイヤ10又はその一部は、画像を実質的に歪ませたり、概ね不自然な結果(例えば、画像内のギャップ)を生成しない材料で作られ得る。例えば、所定の強磁性材料は、MRI画像に不自然な結果を生成する可能性があるため、適切でない場合があり得る。ガイドワイヤ10又はその一部は、MRI装置が作像可能な材料からも作られ得る。これらの特性を示すいくつかの材料には、例えば、タングステン、コバルト-クロム-モリブデン合金(例えば、ELGILOY(登録商標)、PHYNOX(登録商標)等のUNS:R30003)、ニッケル-コバルト-クロム-モリブデン合金(例えば、MP35-N(登録商標)等のUNS:R30035)、ニチノール等、及び、その他のものを含み得る。
【0109】
この開示は、多くの点で、単なる例示であることを理解されたい。本発明の範囲を超えることなく、詳細、特に形状、サイズ、及びステップの配置に関して変更を加え得る。これは、適切な範囲で、他の実施形態で使用される1つの例示的な実施形態の特徴のいずれかの使用を含み得る。本発明の範囲は、もちろん、添付の特許請求の範囲が表現される言語で定義される。
【手続補正書】
【提出日】2022-08-03
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の血管を評価するためのシステムであって、
プロセッサを備え、該プロセッサは、
第1の器具が第1の位置から第2の位置に血管を通って長手方向に移動する間に、ある時間間隔にわたって血管内にある第1の器具から第1の一連の圧力測定値を取得し、
第2の器具が血管内の固定された長手位置に留まっている間に、前記時間間隔にわたって血管内に配置された第2の器具から第2の一連の圧力測定値を取得し、
第1の圧力測定値及び第2の圧力測定値を使用して一連の圧力比値を計算し、
一連の圧力比値を使用して、当該時間間隔における圧力比曲線を生成し、
前記圧力比曲線をディスプレイシステムに出力し、
自動段差検出プロセスを使用して、前記圧力比曲線における段差のある変化を特定し、
前記圧力比曲線における特定された段差のある変化に対応する位置における血管内の第1の器具を示す画像を取得し、
前記圧力比曲線における特定された段差のある変化に画像を登録し、
前記ディスプレイシステムに前記画像を出力する
ように構成される、システム。
【請求項2】
前記プロセッサは、ユーザインターフェースを含み、前記プロセッサは、前記ユーザインターフェースを介して行われたユーザによる命令に応じて、前記ディスプレイシステムに画像を選択的に出力するように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記ユーザによる命令は、前記ユーザが、前記ディスプレイシステム上の予め設定された位置にカーソルを配置することを含む、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記ディスプレイシステム上の前記予め設定された位置は、前記圧力比曲線上の段差変化インジケータの場所を含む、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記プロセッサは、前記圧力比曲線上で特定された段差のある変化に対応する前記圧力比曲線上の段差変化インジケータを前記ディスプレイシステムに出力するように構成される、請求項1~4のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項6】
前記段差変化インジケータは、前記圧力比曲線上の段差のある変化の開始点にあるインジケータ、前記圧力比曲線上の段差のある変化の終了点にあるインジケータ、前記圧力比曲線上の段差のある変化の開始点と終了点との間の差を示すインジケータ、又はこれらの組み合せを含む、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記プロセッサは、ユーザインターフェース機能を含み、前記ユーザインターフェース機能は、ユーザが画像上にカーソルを置くことを可能にし、前記プロセッサは、応答して、画像に対応する圧力比曲線上の位置を示すインジケータを前記ディスプレイシステムに出力するように構成される、請求項1~6のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項8】
段差のある変化を特定するように構成されているプロセッサが、段差のある変化の開始点を特定するように構成されているプロセッサを含み、前記画像が、段差のある変化の開始点の位置における血管内の前記第1の器具を示す、請求項1~7のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項9】
段差のある変化を特定するように構成されているプロセッサが、段差のある変化の終了点を特定するように構成されているプロセッサを含む、請求項1~8のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項10】
前記プロセッサは、段差のある変化の終了点の位置での血管内の前記第1の器具を示す第2の画像を取得するとともに、段差のある変化の特定された終了点に前記第2の画像を登録するようにさらに構成される、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記ディスプレイシステムをさらに含む、請求項1~10のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項12】
前記画像は、段差のある変化の特定時にリアルタイムで取得されるとともに登録され、又は、前記画像は、所定時間内に撮像された連続する若しくは一連の画像から取得されるとともに、その後、特定された段差のある変化に登録される、請求項1~11のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項13】
前記自動段差検出プロセスは、
第1の閾値変化値以上である圧力比曲線に沿った第1のウィンドウ内の圧力比値の変化を特定することによって段差のある変化の開始点の一般的な位置を特定し、かつ、
第2の閾値変化値以上である圧力比曲線に沿った第2のウィンドウ内の圧力比値における変化を特定することによって開始点の最適化された位置を特定することを含み、
前記第2のウィンドウは前記第1のウィンドウよりも小さく、前記第2の閾値変化値は前記第1の閾値変更値よりも小さい、請求項1~12のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項14】
前記自動段差検出プロセスは、
第3の閾値変化値以下である圧力比曲線に沿った第3のウィンドウ内の圧力比値における変化を特定することによって段差のある変化の終了点の一般的な位置を特定し、
第4の閾値変化値以下である圧力比曲線に沿った第4のウィンドウ内の圧力比値における変化を特定することによって曲線に沿った終了点の最適化された位置を特定することを含み、
前記第4のウィンドウは前記第3のウィンドウよりも小さく、前記第4の閾値変化値は前記第3の閾値変化値よりも小さい、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記プロセッサは、前記自動段差検出プロセスを使用して曲線内の1つ以上の追加的な段差のある変化を特定するとともに、1つ以上の追加的な段差のある変化に対応する位置において血管内の前記第1の器具を示す1つ以上の追加的な画像を取得し、かつ、1つ以上の追加的な段差のある変化に対応する1つ以上の追加的な画像を登録するようにさらに構成される、請求項1~14のいずれか一項に記載のシステム。