(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022137153
(43)【公開日】2022-09-21
(54)【発明の名称】無線コネクタシステム
(51)【国際特許分類】
H04B 5/02 20060101AFI20220913BHJP
H02J 50/20 20160101ALI20220913BHJP
【FI】
H04B5/02
H02J50/20
【審査請求】有
【請求項の数】30
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022109045
(22)【出願日】2022-07-06
(62)【分割の表示】P 2019510957の分割
【原出願日】2017-08-25
(31)【優先権主張番号】62/379,940
(32)【優先日】2016-08-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】513058068
【氏名又は名称】ニューカレント インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】NuCurrent, Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】110001829
【氏名又は名称】弁理士法人開知
(72)【発明者】
【氏名】ヴィニット シン
(72)【発明者】
【氏名】パヴェル ショスタック
(72)【発明者】
【氏名】ジェイソン リュージンスキー
(72)【発明者】
【氏名】グレン リーゼ
(72)【発明者】
【氏名】ロバート ジオメッティ
(72)【発明者】
【氏名】オレグ ロス
(72)【発明者】
【氏名】ウンナティ ワドカー
(72)【発明者】
【氏名】マーク メロン
(72)【発明者】
【氏名】アルベルト ペラルタ
(72)【発明者】
【氏名】ジェイコブ バブコック
(72)【発明者】
【氏名】ミカエル ゴトリーブ
(72)【発明者】
【氏名】ナズムル アラム
(57)【要約】 (修正有)
【課題】ニアフィールド磁気結合を介して電気エネルギー及び/またはデータを無線送信するトランスミッタモジュール及びレシーバモジュールを有する無線コネクタシステムを提供する。
【解決手段】無線コネクタシステム10は、より大きな離間距離にわたって無線送信される電力の大きさを増大させるように設計されており、レシーバモジュールを有し、さらにはシステムの動作に干渉する不所望な物体及び上昇した温度とを当該システムに警告する様々な検知回路を用いて電力の伝送を開始するように構成されている。無線コネクタシステムは、表面実装されるように設計された比較的小さいフットプリントを有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
i)無線信号を送信するように構成されたトランスミッタアンテナを支持する第1の基
板と、
ii)前記トランスミッタアンテナに電気的に接続されたトランスミッタモジュール電
子回路を支持する第2の基板と、
iii)前記トランスミッタモジュール電子回路と前記トランスミッタアンテナとの間
に配置された第1の絶縁体と、
を有するトランスミッタモジュール(a)と、
i)前記無線信号を受信するように構成されたレシーバアンテナを支持する第3の基板
と、
ii)前記レシーバアンテナに電気的に接続されたレシーバモジュール電子回路を支持
する第4の基板と、
iii)前記レシーバモジュール電子回路と前記レシーバアンテナとの間に配置された
第2の絶縁体と、
を有するレシーバモジュール(b)と、
を備える無線コネクタシステム。
【請求項2】
前記トランスミッタアンテナと前記トランスミッタ電子回路との間に第1の遮蔽材料が
配置されており、前記レシーバアンテナと前記レシーバ電子回路との間に第2の遮蔽材料
が配置されており、前記第1の遮蔽材料及び前記第2の遮蔽材料はフェライト材料を含む
、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記第1の基板または前記第2の基板はプリント回路基板、フレックス回路基板、及び
それらの組み合わせを備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記第1の基板または前記第2の基板の外面内に複数の離間したキャステレーションを
備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記第1の基板または前記第2の基板の外面上に複数の離間した導電パッドが形成され
ており、前記複数の導電パッドのうちの少なくとも1つは前記電子回路基板に電気的に接
続可能である、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記無線信号は、電圧、電流、電力、データ信号、及びそれらの組み合わせからなる群
から選択される、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
さらに、約100μW~約10Wの範囲にわたる電力を伝送するように構成されている
、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記レシーバアンテナと前記トランスミッタアンテナとの少なくとも一方は、複数の導
体と前記複数の導体の各々の間に配置された少なくとも一つの絶縁体とを備え、前記複数
の導体は少なくとも1回のターンを有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記トランスミッタモジュール電子回路は、
a)前記トランスミッタアンテナに電気的に接続された第1の電気インピーダンス整合サ
ブ回路であって、前記第1の電気インピーダンス整合サブ回路は、少なくとも1つの第1
のキャパシタ、及び電力インバータサブ回路を有し、前記第1の電気インピーダンス整合
サブ回路及び前記電力インバータサブ回路は、前記トランスミッタアンテナによる送信に
対して前記無線信号を準備するように構成されている、前記第1の電気インピーダンス整
合サブ回路と、
b)マスタ制御ユニットを有するトランスミッタモジュールマスタ制御サブ回路と、
c)前記トランスミッタモジュールマスタ制御サブ回路と前記電力インバータサブ回路と
に電気的に接続されたドライバサブ回路と、
d)前記トランスミッタモジュールマスタ制御サブ回路と前記電力インバータサブ回路と
に電気的に接続された第1の電圧レギュレータと、
を備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記レシーバ電子回路は、
a)マスタ制御ユニットを有するレシーバモジュールマスタ制御サブ回路と、
b)前記レシーバ回路に電気的に接続された第2の電気インピーダンス整合サブ回路であ
って、前記第2の電気インピーダンス整合サブ回路は、少なくとも1つの第2のキャパシ
タを有し、前記第2の電気インピーダンス整合サブ回路は、受信した前記無線信号を電子
装置による使用に対して準備するように構成されている、前記第2の電気インピーダンス
整合サブ回路と、
c)前記レシーバモジュールマスタ制御サブ回路に電気的に接続された第2の電圧レギュ
レータサブ回路と、
を備える、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
さらに、前記第2の電気インピーダンス整合サブ回路と前記第2の電圧レギュレータサ
ブ回路とに電気的に接続された電圧ダブラーサブ回路を備える、請求項10に記載のシス
テム。
【請求項12】
前記トランスミッタモジュールは、さらに、前記トランスミッタモジュール電子回路に
電気的に接続されたレシーバモジュール検出サブ回路を備え、前記レシーバモジュール検
出サブ回路は、前記レシーバモジュールからの電気信号を検出すると、前記トランスミッ
タモジュール電子回路の構成が前記レシーバモジュールと通信することを可能にする、請
求項1に記載のシステム。
【請求項13】
前記第1の電気インピーダンス整合サブ回路と前記第2の電気インピーダンス整合サブ
回路との少なくとも一方の内部にスイッチキャパシタサブ回路が電気的に接続されており
、前記スイッチキャパシタサブ回路は前記第1の電気インピーダンス整合サブ回路と前記
第2の電気インピーダンス整合サブ回路との少なくとも一方の静電容量を動的に変更する
ように構成されている、請求項9に記載のシステム。
【請求項14】
前記第1の電気インピーダンス整合サブ回路と前記第2の電気インピーダンス整合サブ
回路との少なくとも一方の内部にシャントキャパシタが電気的に接続されている、請求項
9に記載のシステム。
【請求項15】
フレックスコネクタ、基板間コネクタ、ピンソケットコネクタ、ばね接触コネクタ、ポ
ゴピンコネクタ、スルーホールピン半田コネクタ、半田付けされたワイヤ接続部、及びそ
れらの組み合わせからなる群から選択される電気コネクタが、前記トランスミッタアンテ
ナ及び前記レシーバアンテナの少なくとも一方をそれぞれの前記トランスミッタ電子回路
及び前記レシーバ電子回路に電気的に接続する、請求項1に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、2016年8月26日に出願された米国仮特許出願第62/379,940
号の優先権を主張し、その開示の全体は参照によって本明細書に組み入れられる。
【技術分野】
【0002】
本開示は、概して、電気エネルギー及びデータの無線送信に関する。より詳細には、本
出願は、複数の動作周波数及び周波数帯域において電気エネルギーの無線伝送を容易にす
る電気装置に関する。
【背景技術】
【0003】
従来の電気コネクタは、伝統的に、対応する受け入れポートに物理的に挿入される複数
のピンを用いて構成される。これらのコネクタの各半部は、一般に、後に嵌合されて電気
接点を形成するオスとメスという名で呼ばれる。
【0004】
基本的に、電気コネクタは、他の導体どうしや装置及び機器の電気端子を電気的かつ機
械的に連結して電気回路を形成するのに用いられる導体を備えた電気機械装置である。電
気コネクタという用語は、一般に、例えば、通信回路に利用される小型導体を大型のケー
ブル及びバスバー(母線)に接続するように設計された広範囲の装置をカバーする。電気
コネクタは、一般に、受動型であり、プラグ(オス)とジャック(メス)とから構成され
る。接続は、ポータブル機器に関しては一時的であることもあれば、2つのワイヤどうし
または装置どうしを恒久的に電気的に連結するものとして作用することもある。
【0005】
従来のコネクタの例には、USBプラグやHDMI(登録商標)プラグがある。これら
のコネクタの電力レベルは、数ワットから約100ワット(例えば、最近リリースされた
USB-Cのように)の範囲に及ぶ。これらのコネクタは、また、10Gbpsまたはそ
れ以上のデータ能力を提供するように構成され、定格が定められる。さらに、ごく単純な
「ワイヤナット」から、例えばイーサネット(登録商標)、CAN、IOリンク、及びR
S485などの既知の接続インタフェース規格に大抵が準拠するもっと複雑なUSBコネ
クタまたはRFコネクタまでの範囲にわたる、多くのタイプのコネクタが存在する。これ
らのコネクタの電力レベルは、マイクロワットからメガワットにわたることがある。
【0006】
典型的なコネクタタイプは、インラインスプライスカプラ、Tタップコネクタ、ターミ
ナルラグ、及びスタッドコネクタである。カプラは導体の端部と端部を連結する。Tタッ
プコネクタは、スルー導体を他の導体と直角に連結する。ターミナルラグは、導体を穿孔
されたタングに連結して機器の端子にボルト締めする。スタッドコネクタは導体を機器ス
タッドに連結する。スタッドクランプは、典型的には、スタッドに整合するようにネジ切
りされるか平滑である。
【0007】
他のコネクタタイプには、一般にコンパクトな構成でワイヤをスプライシング及びテー
ピングするのに広く用いられるスプリットボルトコネクタがある。このスプリットボルト
コネクタは、幅広で深い長手方向のスロットを有するボルト形状のキャスティングから成
る。導体がスロットに挿入され、ナットがその導体をボルトの内側にまとめてクランプす
る。
【0008】
さらに別のタイプのコネクタは、接続された導体間の制限された動きを許容する拡張ま
たはフレキシブルコネクタである。このコネクタのクランプ部は、柔軟性を有する短尺の
銅編組によって連結されるか、または入れ子式のガイドによって整合位置に保持されるこ
ともある。
【0009】
別のタイプの従来のコネクタは、一般に整合したプラグとレセプタクルとからなる分離
可能なタイプのコネクタを含む。分離可能なタイプのコネクタは、導体または導体群を回
路またはシステムから分離または切り離すように設計されている。分離可能なタイプのコ
ネクタは、通常、可搬型の装置や機器の電気配線システムへの接続に用いられる。
【0010】
従来のコネクタは、また、整形された開口部を通してプラグを挿入してねじり、プラグ
を適正位置にロックするように設計されているロックタイプのコネクタを含む。したがっ
て、このロックタイプのコネクタは、接続されると、一般に、接続されたコードに対する
引っ張りなどの機械的な引張によっては分離されない。
【0011】
電気コネクタは、一般に、電気接続部(例えば、ピン)の数、物理的構成、寸法、形状
、接触抵抗、電気接続部間の絶縁、振動に対する耐性、汚染物及び圧力への耐性、信頼性
、推定寿命(故障前の接続/切断動作の回数)、及び接続切断の容易さを含む多様なパラ
メータに限定されるものではないが、特徴づけられる。従来のコネクタの、ピンなどの物
理的な電気接続部は電気エネルギー及びデータの通路を提供する。さらに、電力定格及び
データレートなどの電力及びデータの特性も、様々な電気コネクタを特徴づけるのに利用
される。
【0012】
これらの従来のコネクタの動作は、通常、ピンとそれぞれのパッドとか、ピンを受ける
ポートまたはジャックなどの2つの導電部品間の物理的な接続に依存する。物理的な接続
は、ピンと対応するレセプタクルなどの物理的に接触する導電部品間の比較的小さいイン
タフェース領域にわたって微細レベルで生じる。また、従来のコネクタは、一般に、電気
信号を安全に通過させるように接続部材の十分な物理的接続を確保するために、相当な大
きさの機械的な力を要する。この微細な接続領域は、過酷な環境や振動の他に、通常の動
作条件下における経時的な損耗などの種々の要因によって影響を受けるようになるかもし
れない。
【0013】
したがって、これらの従来のコネクタの性能及び信頼性は、それらの物理的な接続の完
全性によって大きく支配される。また、これらの従来の機械的なコネクタは、一般に、適
切に機能するためには高精度に位置合わせされた物理的な接触を要する。
【0014】
また、有線のコネクタは、通常、オス部とメス部との間のいかなる相対的な動きも全く
許容しない。経時的に、この物理的な接触に起因して、これらの機械的な接続点は、通常
、ピンまたはポートを疲労及び損傷させ得る力を受け、それによって適切な機能が阻害さ
れる。このような従来のコネクタは、摩耗、屈曲し得る、または腐食もしくは損傷される
。結果として、ピンとそれぞれのポートなどの対応するオス部とメス部との間の物理的な
接続は低質化し、それにより、障害を受けた、または動作不能なコネクタに起因して、そ
れらの間におけるデータまたは電気エネルギー転送の損失が生じる。消費者、医療、軍事
、または産業環境における汚染物質、湿気、及び液体の侵入は、災害、危険、または脅迫
的な条件を生じ得る明白な機能喪失を含む望ましくない問題を引き起こし得る。欠陥のあ
る物理的な接続に起因する不適切な機能性に加えて、ユニバーサル非同期レシーバ及びト
ランスミッタプロトコル(Universal Asynchronous Receiver and Transmitter Protocol
, UART)、集積プロトコル間(I2C)、シリアルペリフェラルインタフェースプロトコル
(Serial Peripheral Interface Protocol、SPI)などの有線通信の方法は、種々の無線
通信方法と比較して、制限された帯域幅性能を有し得る。
【0015】
その上、オートメーション及びロボット工学の発達が、多くの様々な産業装置のダイナ
ミックに動く部品とアセンブリとの間で電力を転送する需要を増大させた。これらの条件
下で慣用的な有線の電気コネクタを用いて電力を転送することは相当に困難である。
【0016】
上述した欠点に加えて、このような従来のコネクタには、一般に、コネクタから延びる
電気コードがある。このような電気コードは、一般に、損傷を受けてデータまたはエネル
ギー転送の損失を生じることがあるため望ましくない。また、このような電気コードは、
重要なスペースを過度に占有し、ユーザーにとって障害となり得る。その上、露出したま
たは損傷したコードは、滅菌された環境を汚染することがある。また、このような露出ま
たは損傷したコード、例えば、電気絶縁を失ったコードは、危険物になり得るとともに、
人間と動物の両方に潜在的に電気ショックの原因になることがある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0017】
したがって、これらの問題を解決するために、本発明は無線コネクタシステムを提供す
る。実施形態において、本出願の無線コネクタシステムは、ニアフィールド磁気結合(ne
ar field magnetic coupling, NFMC)を用いて、離間したトランスミッタモジュールとレ
シーバモジュールとの間で電力及び/またはデータの無線伝送を可能にする。実施形態に
おいて、それぞれのトランスミッタ無線モジュール及びレシーバ無線モジュールは、絶縁
され、及び/またはハーメチックシールされてもよい。
【0018】
本発明のコネクタは、露出した接触ピンと、その接触ピンを、電気部品表面実装(surf
ace mount, SMT)アセンブリプロセスを用いてプリント回路基板(printed circuit boar
d, PCB)またはフレキシブル回路基板(flexible circuit board, FPC)などのより大き
い電気回路上に組み付けることを可能にする機構とを有する。
【0019】
したがって、有線コネクタに対する必要性を置き換えまたは解消することができるフォ
ームファクタを有する電気コネクタが提供される。
【0020】
本出願の無線コネクタシステムは、2つの部品を物理的に連結する電気コネクタなどの
物理的な接続に対する必要性を解消する無線電力リンクを提供する。したがって物理的な
接続を解消することによって、無線コネクタまたは電力リンクが完全にカプセル化でき、
液体や他の残積物が適切な機能性を阻害することを防止することができる。物理的な接触
がないので、コネクタの機械的及び環境的なストレスと摩耗とが解消され、電力及びデー
タを転送するためのより信頼性のある丈夫なリンクが実現する。この解決手法は、また、
従来のコネクタと比較してトランスミッタとレシーバとの間のより大きな位置不整合及び
/または相対的な動きを可能にする。これによって、これらのコネクタを、以前は有線コ
ネクタに対してはその限界によって考えられなかった用途に用いることが可能になる。
【0021】
本出願の態様のうちの1つ以上において、無線信号を送信するように構成されたトラン
スミッタアンテナを支持する第1の基板を有するトランスミッタモジュールを含む無線コ
ネクタシステムが提供される。さらに、前記無線コネクタシステムは、前記トランスミッ
タアンテナに電気的に接続されたトランスミッタモジュール電子回路を支持する第2の基
板を含む。さらに、前記トランスミッタ電子回路と前記トランスミッタアンテナとの間に
第1の絶縁体が配置されている。無線コネクタシステムは、さらに、無線信号を受信する
ように構成された受信アンテナを支持する第3の基板を有するレシーバモジュールを含む
。また、無線コネクタシステムは、前記レシーバアンテナに電気的に接続されたレシーバ
モジュール電子回路を支持する第4の基板を含む。さらに、前記レシーバモジュール電子
回路と前記レシーバアンテナとの間に第2の絶縁体が配置されている。
【0022】
本出願の前記無線コネクタシステムの前記トランスミッタモジュール及び前記レシーバ
モジュールは、前記トランスミッタモジュールと前記レシーバモジュールとの間のより大
きな離間距離にわたって無線伝送される電力の大きさを増大させる電気回路を備えて設計
されている。さらに、前記無線コネクタシステムは、電気エネルギー転送モジュール、熱
、または不所望な異物体の存在を検出する種々のセンサを備えて構成してもよい。実施形
態において、前記トランスミッタモジュール及び/または前記レシーバモジュールの動作
は、前記モジュール内に組み込まれてもよいし組み込まれなくてもよい種々のセンサから
得られる情報によってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1は、本出願の無線コネクタシステムの実施形態のブロック図を示す。
【0024】
図2は、本出願の無線コネクタシステムの実施形態のブロック図を示す。
【0025】
図3乃至
図6は、トランスミッタモジュールの実施形態の電気的なブロック図を示す。
【0026】
図7、
図8A、及び
図8Bは、本出願のトランスミッタ回路またはレシーバ回路のイン
ピーダンス整合回路内に組み込まれ得るスイッチングキャパシタンス回路の実施形態を示
す。
【0027】
図9乃至
図12は、トランスミッタ回路の実施形態の電気的な概略図を示す。
【0028】
図13は、本出願の無線コネクタシステムのレシーバモジュールの実施形態のブロック
図を示す。
【0029】
図14は、レシーバモジュール内のレシーバ回路の実施形態の電気的な概略図を示す。
【0030】
図15は、レシーバモジュールの実施形態の電気的なブロック図を示す。
【0031】
図16は、レシーバモジュール内のレシーバ回路の実施形態の電気的な概略図を示す。
【0032】
図17は、レシーバモジュールの実施形態の電気的なブロック図である。
【0033】
図18A乃至
図18Dは、トランスミッタ回路またはレシーバ回路において利用され得
るインピーダンス整合回路内のキャパシタの実施形態を示す。
【0034】
図19乃至
図21は、本出願のトランスミッタモジュール及びレシーバモジュールの実
施形態を示す。
【0035】
図22乃至
図23は、ホスト装置に電気的に接続された本出願の無線コネクタのトラン
スミッタモジュール及びレシーバモジュールの実施形態を示す。
【0036】
図24は、トランスミッタモジュールハウジング及びレシーバモジュールハウジング内
の遮蔽材料及びスペーサ材料に対するアンテナとトランスミッタ及びレシーバ回路基板と
の位置の実施形態を示す。
【0037】
図25及び
図26は、トランスミッタモジュール及びレシーバモジュールをホスト装置
の回路基板に電気的に接続する実施形態を示す。
【0038】
図27乃至
図30は、本発明のトランスミッタモジュールまたはレシーバモジュールの
代替構造の実施形態を示す。
【0039】
図30Aは、
図30に示す組み付けられたトランスミッタモジュールまたはレシーバモ
ジュールの実施形態の断面図である。
【0040】
図31乃至
図34は、回路基板に実装された
図27乃至
図30に示すトランスミッタモ
ジュールまたはレシーバモジュールの種々の実施形態を示す。
【0041】
図35は、トランスミッタモジュール及びレシーバモジュールのいずれかまたは両方に
おいて利用され得るアンテナの実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下の説明では、関連する教示の完全な理解を提供するために、例示的に多くの具体的
な詳細に言及する。しかし、本教示がこのような詳細無しに実施され得ることは当業者に
は明らかなはずである。その他の例では、周知の方法、手順、構成要素、及び/または回
路は、本教示の態様が不必要に曖昧になることを避けるために、詳細を伴わずに比較的上
位概念で説明されている。
【0043】
本開示の無線コネクタシステム10は、電気エネルギー及び/またはデータの無線転送
を提供する。より詳細には、本発明の無線コネクタシステム10は、ニアフィールド磁気
結合を介して電気エネルギー及び/またはデータの無線転送を提供する。実施形態におい
て、無線コネクタシステム10は、電気エネルギーを伝送するように構成されたトランス
ミッタモジュール12と、このトランスミッタモジュール12によって伝送された電気エ
ネルギーを受け取るように構成されたレシーバモジュール14とを備える。実施形態にお
いて、トランスミッタモジュール12はレシーバモジュール14から離間して配置され、
これによって、電気エネルギーがトランスミッタモジュール12から離間距離またはギャ
ップ16(
図2、及び
図19乃至
図22)を越えて無線伝送され、レシーバモジュール1
4によって受け取られる。したがって、トランスミッタモジュール12とレシーバモジュ
ール14との組み合わせによって、その間に物理的な接続を必要とせずに電気エネルギー
が無線伝送され得るように無線コネクタシステム10を提供する。
【0044】
本出願において、本発明概念は、特に、ニアフィールド磁気結合(NFMC)に関する
。ニアフィールド磁気結合は、送信アンテナと対応する受信アンテナとの間の磁気誘導を
介して電気エネルギー及び/またはデータの無線転送を可能にする。ニアフィールド通信
インタフェース及びプロトコルモードに基づくNFC規格は、ISO/IEC規格180
92によって規定されている。また、本明細書で定義されるように、「誘導充電」は、交
流電磁界を利用して2つのアンテナ間で電気エネルギーを転送する無線充電技術である。
「共振誘導結合」は、同様の周波数で共振するように調整された2つの磁気結合したコイ
ル間の電気エネルギーのニアフィールド無線伝送として本明細書で定義される。本明細書
で定義されるように、「分路」という用語は、電流または電圧が通過し得るように回路の
2つの点を電気的に連結することによって生成された導電路である。本明細書で定義され
るように、「相互インダクタンス」は、第1の回路に磁気的に結合した第2の回路内の電
流の変化による回路内の起電力の生成量である。本明細書で定義されるように、「遮蔽材
料」は、磁界を捕捉する材料である。遮蔽材料の例には、限定されるものではないが、マ
ンガン亜鉛、ニッケル亜鉛、銅亜鉛、マグネシウム亜鉛、及びそれらの組み合わせなどの
フェライト材料を含んだ亜鉛などのフェライト材料が含まれる。したがって、遮蔽材料を
用いて、電気回路内または電気回路の近くの遮蔽材料の位置に応じて、磁界を寄生金属な
どの物体に向け、または物体から遠ざけることができる。また、遮蔽材料を用いて磁界の
形状及び方向性を変更することができる。本明細書で定義されるように、寄生金属などの
寄生材料は、インダクタアンテナにおいて渦電流損失を誘起する材料である。このことは
、通常、アンテナのインダクタンスの減少及び抵抗の増加、すなわちクオリティファクタ
の減少によって特徴付けられる。
【0045】
図1は、本発明の無線コネクタシステム10の包括的なブロック図を示す。図示するよ
うに、システム10は、ギャップ16だけレシーバモジュール14から離間したトランス
ミッタモジュール12を備える。トランスミッタモジュール12は、トランスミッタアン
テナ20に電気的に接続されたトランスミッタモジュール回路18を備える。実施形態に
おいて、トランスミッタアンテナ20は、電力及び/またはデータの無線転送を容易にす
る1つまたは複数のアンテナを備え得る。実施形態において、トランスミッタモジュール
回路18は、電源(不図示)、またはトランスミッタモジュール12に電気的に接続され
たトランスミッタホスト装置22から受信する電気エネルギーを変化させるように構成さ
れている。実施形態において、トランスミッタホスト装置22は、電気的に操作される装
置、回路基板、電子アセンブリ、または他の電子装置を備え得る。トランスミッタホスト
装置22の例には、限定されるものではないが、医療装置、コンピュータなどの集積回路を備える装置、及び、限定されるものではないが電子部品を用いて構成された眼鏡及び衣服などのパーソナル電子装置が含まれる。
【0046】
トランスミッタアンテナ20は、ニアフィールド磁気誘導結合を介したトランスミッタ
モジュール回路18による無線伝送のために調整及び変更された電気エネルギーを無線送
信するように構成されている。実施形態において、トランスミッタモジュール12はトラ
ンスミッタホスト装置22によって電力供給され得る。
【0047】
実施形態において、レシーバモジュール14は、レシーバモジュールアンテナ26に電
気的に接続されたレシーバモジュール回路24を備える。レシーバアンテナ26は、トラ
ンスミッタモジュール12によって伝送される電気エネルギー及び/またはデータを受け
取るように構成されている。実施形態において、レシーバモジュール回路24は、受信し
た無線電気エネルギーを調整するように構成されており、これによって、当該無線電気エ
ネルギーを用いて装置に電力供給し、またはバッテリまたはキャパシタなどの電気エネル
ギー蓄積装置に電気エネルギーを供給することができるようになっている。
【0048】
実施形態において、レシーバモジュール14は、レシーバホスト装置28に電気的に接
続されている。実施形態において、レシーバホスト装置28は、電気的に操作される装置
、回路基板、電子アセンブリ、または他の電子装置を備える。レシーバホスト装置の例に
は、限定されるものではないが、医療装置、コンピュータなどの集積回路を備える装置、
及び、限定されるものではないが電子部品を用いて構成された眼鏡及び衣服などのパーソ
ナル電子装置が含まれる。実施形態において、レシーバモジュール14は、レシーバホス
ト装置28から供給される電源105(
図17)から電力供給され得る。なお、トランス
ミッタモジュール12及びレシーバモジュール14は、トランシーバとして構成され得る
ことによって、トランスミッタ12とレシーバモジュール14とのいずれかまたは両方が
、電力及び/またはデータを送受することが可能になる。
【0049】
実施形態において、トランスミッタモジュール12及びレシーバモジュール14は、同
じホスト装置に接続されてホスト装置内の電気エネルギーの無線転送を容易にし得る。こ
れに代えて、トランスミッタモジュール12及びレシーバモジュール14が異なるホスト
装置に接続されることによって、2つの異なる装置間の電気エネルギーの無線転送を容易
にしてもよい。
【0050】
図2は、本出願の無線コネクタシステム10の実施形態のブロック図を示す。図示する
ように、トランスミッタモジュール回路18は、ゲートドライバ30及び電力増幅器32
を備える。トランスミッタホスト装置22からの電圧源及び電気グランドは、トランスミ
ッタモジュール回路18のゲートドライバ30及び電力増幅器32に電気的に接続されて
いる。実施形態において、ゲートドライバ30を用いて電力増幅器32の動作を制御する
。さらに、トランスミッタホスト装置22からの制御信号及びパルス幅変調信号は、トラ
ンスミッタモジュール回路18のゲートドライバ30に電気的に接続されている。実施形
態において、制御信号及びパルス幅変調信号を用いてトランスミッタモジュール12の動
作を制御する。レシーバアンテナ26、整流器34、及び電圧レギュレータ36を備えて
示されたレシーバモジュール14は、トランスミッタモジュール12からギャップ16だ
け離間して配置されている。図示するように、レシーバホスト装置28及びレシーバモジ
ュール回路24に電気的に接続された電力線は、レシーバモジュール14を出て、接続さ
れたレシーバホスト装置28に電力を供給する。実施形態において、制御信号及びパルス
幅変調信号を用いてトラスミッタモジュール12の動作を制御する。実施形態において、
整流器34は、受け取った無線電力を交流電力から直流電力に整流する。電圧レギュレー
タ36は、受け取った無線電力の電圧を、当該電力がレシーバモジュール14を出る前に
変化させるように構成されている。
【0051】
図3乃至
図6は、種々のトランスミッタモジュールサブ回路を備える、本発明のトラン
スミッタモジュール回路18の実施形態を示すブロック図である。
図3に示す実施形態に
示されるように、トランスミッタモジュール回路18は、電気ドライバサブ回路38、電
気インピーダンス整合またはネットワークサブ回路40、及びレシーバ検知サブ回路42
を備える。さらに、トランスミッタモジュール回路18は、電圧レギュレータ36及びマ
スタ制御ユニット44を備えてもよい。これに代えて、図示するように、電圧レギュレー
タ36及びマスタ制御ユニット44をトランスミッタホスト装置22内に備えてもよい。
【0052】
実施形態において、電圧レギュレータ36は、トランスミッタホスト装置22などの電
源から受け取った電気エネルギーの電圧の大きさをトランスミッタモジュール回路18に
よって調整するように構成されている。図示された実施形態において、電圧レギュレータ
36は、電源46及びドライバサブ回路38に電気的に接続されている。実施形態におい
て、電源46は、電気化学セル(不図示)、バッテリパック(不図示)、またはキャパシ
タ(不図示)などの蓄電装置を備え得る。さらに、電源46は、トランスミッタホスト装
置22からの交流電源または直流電源を備え得る。実施形態において、ドライバ回路38
は、電気インピーダンス整合またはネットワークサブ回路40、及び/またはトランスミ
ッタアンテナ20の動作を制御する。実施形態において、ドライバサブ回路38は、ハー
フブリッジ集積回路などの集積回路を備え得る。実施形態において、ドライバサブ回路3
8は、電力の少なくとも一部を直流電力から無線伝送に供される交流電力に変換するよう
に構成され得る。
【0053】
実施形態において、レシーバ検知サブ回路42は、レシーバモジュール14の存在を検
出するように構成されている。実施形態において、レシーバモジュール14の存在が検出
される場合、トランスミッタモジュール12によるレシーバモジュール14への電力及び
/またはデータの無線伝送が可能になる。同様に、実施形態において、レシーバモジュー
ル14の存在が検出されない場合、電力及び/またはデータの無線伝送は生じないように
阻止される。さらに、集積回路を備え得るマスタ制御ユニット44は、ドライバサブ回路
38に電気的に接続されている。実施形態において、マスタ制御ユニット44は、トラン
スミッタアンテナ20及びトランスミッタモジュール回路18の動作を制御する。少なく
とも1つのキャパシタを備える電気インピーダンス整合またはネットワーク回路40は、
電気ドライバサブ回路38及びトランスミッタアンテナ20に電気的に接続されている。
インピーダンス整合回路40は、レシーバアンテナ26の電気インピーダンスをトランス
ミッタアンテナ20の駆動周波数において電力発生器または負荷の特性インピーダンスに
調整及び整合するように設計された、キャパシタンスを生じる。
【0054】
実施形態において、トランスミッタホスト装置22などの電源46からの電力は、電圧
レギュレータ36及びマスタ制御ユニット44によって受け取られる。電源46からの電
力の第1の部分は、マスタ制御ユニット44などのトランスミッタモジュール12の構成
要素に電力供給するように構成されている。電源46からの電力の第2の部分は、レシー
バモジュール14への無線伝送のために調整及び変更される。実施形態において、電圧レ
ギュレータ36は、電力の第2の部分の電圧の大きさを変化させて、レシーバホスト装置
28の電圧要求に適合させる。無線伝送のためにトランスミッタモジュール回路18によ
って調整された電力の第2の部分は、トランスミッタアンテナ20によって受け取られ、
レシーバモジュール14に無線伝送される。
【0055】
実施形態において、
図4に示すように、トランスミッタモジュール回路18は、デュア
ル電界効果トランジスタ電力段インバータなどの電力段インバータ48を用いて構成され
てもよい。実施形態において、電力段インバータ48は、ドライバサブ回路38及びネッ
トワークアナライザサブ回路40に電気的に接続された電気増幅器である。実施形態にお
いて、トランスミッタモジュール回路18内への電力インバータ48の追加によって、大
きさが増大された電力の無線伝送が可能になる。例えば、インバータサブ回路48の追加
によって、トランスミッタモジュール12が約300mW~約600mWの電力を伝送す
ることが可能になる。電力段インバータ48の実施形態を用いない場合、トランスミッタ
モジュール12は、約100mW~約300mWの電力を伝送するように構成される。ま
た、電力段インバータ48は、伝送される電力を直流電力から交流電力に変化させるよう
に構成され得る。
【0056】
図5に示すように、トラスミッタモジュール回路18は、多様な検知回路を用いて構成
され得る。レシーバ検知サブ回路42に加えて、トランスミッタモジュール回路18は、
熱検知サブ回路50及び/または物体検知サブ回路52を用いて構成されてもよい。図示
するように、熱検知サブ回路50及び物体検知サブ回路52は、トランスミッタマスタ制
御ユニット44に電気的に接続されている。熱検知サブ回路50は、トランスミッタモジ
ュール12内の温度をモニタするように構成されている。実施形態において、マスタ制御
ユニット44が熱検知サブ回路50を通してトランスミッタモジュール12内の温度が約
20℃から約50℃に上昇したことを検知する場合、トランスミッタマスタ制御ユニット
44はトランスミッタモジュール12の動作を阻止する。実施形態において、熱検知サブ
回路50は、熱電対、負性温度係数(negative temperature coefficient, NTC)抵抗器
などのサーミスタ、抵抗温度検出器(resistance temperature detector, RTD)、または
それらの組み合わせを備え得る。実施形態において、物体検出サブ回路52は、トランス
ミッタマスタ制御ユニット44に電気的に接続されている。実施形態において、物体検出
サブ回路52は、不所望な物体の存在を検出するように構成されている。実施形態におい
て、マスタ制御ユニット44が物体検出サブ回路52を通して不所望な物体の存在を検出
する場合、マスタ制御ユニット44はトランスミッタモジュール12の動作を阻止する。
実施形態において、物体検出サブ回路52は、受容可能な電気インピーダンス値または電
気インピーダンス値の範囲に反するトランスミッタアンテナ20によって観測される電気
インピーダンスの変化をマスタ制御ユニット44が解析するインピーダンス変化検出方式
を利用する。さらに、物体検出サブ回路52は、レシーバアンテナ26などの物体が検出
されることについての既知のクオリティファクタ値またはクオリティファクタ値の範囲か
らの変化をマスタ制御ユニットが解析するクオリティファクタ変化検出方式を利用し得る
。実施形態において、物体検出サブ回路52は、光センサ、ホール効果センサ、またはそ
れらの組み合わせを備え得る。実施形態において、これらのセンサは、マスタ制御ユニッ
ト44、コンピュータ(不図示)、比較器(不図示)、または当業者に既知の他の能動型
または受動型のモニタ方法を用いてモニタされ得る。また、センサから取得した情報を用
いてトランスミッタモジュール12、レシーバモジュール14、またはシステム10の動
作を制御し得る。さらに、トランスミッタモジュール回路18は、データ54を伝送し、
受け取るように構成され得る。実施形態において、トランスミッタモジュール12は、デ
ータ54の変調及び復調を介してレシーバモジュール14と通信し合うように構成され得
る。実施形態において、データ54は、電圧及び/または電流の形式についての情報を含
み得る。
【0057】
図6は、マスタ制御ユニット44を備える本出願のトランスミッタモジュール回路18
の実施形態を示し、ドライバ回路38はハーフブリッジドライバを備え、電力段インバー
タ48はデュアル電界効果電力段インバータ及びインピーダンス整合回路40を備える。
検知線(SNS)は、マスタ制御ユニット(MCU)44を、レシーバ検知サブ回路42
、熱検知サブ回路50、及び物体検出サブ回路52のうちの少なくとも1つに接続する。
【0058】
実施形態において、
図7、
図8A、及び
図8Bに示すように、インピーダンス整合サブ
回路40は、スイッチキャパシタンスサブ回路56を備え得る。実施形態において、スイ
ッチキャパシタンスサブ回路56は、電気スイッチ58と、電気的に並列に接続された少
なくとも2つのキャパシタC1及びC2を備える。
図7に示すように、3つのキャパシタ
C1、C2、及びC3は電気的に並列に接続されており、スイッチ58はキャパシタC1
とキャパシタC2との間に示されている。実施形態において、インピーダンス整合回路4
0の静電容量は、マスタ制御ユニット44によってスイッチ58をオン及びオフに調整す
ることによって調整することができ、それによりインピーダンス整合サブ回路40内のキ
ャパシタを動的に接続または切断し、結果として生じるインピーダンスを調整する。
【0059】
図8Aは、スイッチキャパシタンスサブ回路56の代替実施形態を示し、この場合にス
イッチ58は、電気的に並列に接続されたキャパシタC4とキャパシタC5との間に電気
的に接続されている。さらに、インダクタL1及び抵抗器R1がキャパシタC4及びキャ
パシタC5に電気的に接続されている。
図8Bは、スイッチキャパシタサブ回路56の代
替実施形態を示し、トランスミッタモジュール回路18またはレシーバモジュール回路2
4内に組み込まれ得る第1及び第2のスイッチ58、抵抗器R2、R3、及びR4、キャ
パシタC6及びC7、及びダイオードD1~D4を備えてインピーダンス整合回路40の
インピーダンスを動的に調整する。
【0060】
図9乃至
図12は、本出願のトランスミッタモジュール回路18の実施形態を示す電気
的な概略図である。実施形態において、トランスミッタモジュール回路18は、インピー
ダンス整合サブ回路40と、電力サブ回路60と、レシーバモジュール検知サブ回路42
、熱検知サブ回路50、物体検知サブ回路52、またはそれらの組合せなどの検知サブ回
路62とを備える。実施形態において、電力サブ回路60は、電源46から受け取った電
力を変更及び構成してトランスミッタモジュール12を備える種々の回路に電力供給し、
レシーバモジュール14への無線伝送に供される電力を供給する。
【0061】
図9及び
図10に示す実施形態に示されるように、電力サブ回路60は、ハーフブリッ
ジドライバ回路などのドライバサブ回路38を備える。これに代えて、ドライバサブ回路
38の代わりに、電力サブ回路60がマスタ制御ユニット44を備えてもよい。電源46
またはトランスミッタホスト装置22からの電気エネルギーは、トランスミッタドライバ
サブ回路38またはマスタ制御ユニット44によって受け取られる。ドライバサブ回路3
8またはマスタ制御ユニット44は、電力の一部を直流電力から無線伝送に供される交流
電力に変換するように構成されている。さらに、ドライバサブ回路38またはマスタ制御
ユニット44は、受け取った電力の電圧の大きさを調整するように構成され得る。ドライ
バサブ回路38またはマスタ制御ユニット44は、また、電力を供給して、トランスミッ
タモジュール12を備える他の構成要素を動作させるように構成されている。
【0062】
図9及び
図10に示すトランスミッタ回路の実施形態は、電力サブ回路60に加えて、
さらに、レシーバモジュール検知サブ回路42の異なる実施形態を示す。
図9の実施形態
に示すように、レシーバモジュール検知サブ回路42は、電気的に直列に接続された抵抗
器R5及び抵抗器R6と、抵抗器R5に電気的に直列に接続されたダイオードD5と、抵
抗器R5と抵抗器R6との間に電気的に接続されたキャパシタC11とを備えるエンベロ
ープトラッカサブ回路64を備える。エンベロープトラッカ回路64は、抵抗器R5と抵
抗器R6との間に存在するノード66にアナログ電圧信号を生成するように構成されてい
る。実施形態において、アナログ電圧は、マスタ制御ユニット44に電気的に接続された
アナログデジタル変換器(不図示)によって受け取られる。実施形態において、レシーバ
モジュール14がトランスミッタアンテナ20から発せられる磁界内に配置される場合、
レシーバモジュール14内のレシーバアンテナ26が発振し始める。トランスミッタアン
テナ20から発せられる磁界内のレシーバアンテナ26の存在は、トランスミッタアンテ
ナ20とレシーバアンテナ26との間の電気結合を確立し、トランスミッタアンテナ20
によって検出される電気インピーダンスの変動を生じる。レシーバモジュール14のレシ
ーバアンテナ26が磁界内に配置されたときに結果として生じる電気インピーダンスのこ
の変化は、ノード66に電圧の変化を生じる。したがって、この電圧信号はトランスミッ
タモジュール12のマスタ制御ユニット44に警告し、マスタ制御ユニット44は次いで
トランスミッタモジュール12からレシーバモジュール14への電気エネルギーの伝送を
開始する。例えば、電圧検知信号からトランスミッタホスト装置22またはトランスミッ
タマスタ制御ユニット44によって0より大きい電圧が検出される場合、レシーバモジュ
ール14が存在すると判定する。実施形態において、レシーバモジュール14が存在する
と判定される場合、ドライバサブ回路38またはトランスミッタマスタ制御ユニット44
がアクティブ化され、トランスミッタホスト装置22または電源46からの電力が、トラ
ンスミッタアンテナ20によってレシーバモジュール14に無線伝送される。
【0063】
図10は、エンベロープトラッカ回路64の代替実施例を示す。抵抗器R7、R8、ダ
イオードD6、及びキャパシタC15に加えて、エンベロープトラッカ回路64は、集積
回路68、キャパシタC16、及び抵抗器R9及びR10を備えた集積サブ回路67を備
える。実施形態において、集積サブ回路67は、ノード69で受け取ったアナログ電圧を
、トランスミッタモジュール回路18内のマスタ制御ユニット44によって受け取られる
デジタル信号に変換するように構成されている。
【0064】
図11及び
図12は、トランスミッタモジュール回路18の代替実施形態を示す。特に
、
図11及び
図12は、電力サブ回路60の代替実施形態を示す。図示するように、
図1
1及び
図12の電力サブ回路60は、電界効果トランジスタQ1(
図11)及び電界効果
トランジスタQ2(
図12)を備える。実施形態において、
図11及び
図12の電力サブ
回路60は、トランスミッタアンテナ20を駆動して無線電力伝送を可能にするように構
成されている。実施形態において、
図11に示すように、電力サブ回路60は、マスタ制
御ユニット44からの、または、トランスミッタホスト装置22内に存在して(FET)
Q1及び無線電力転送を制御する必要な入力を生成する信号発生器などの他の信号発生器
からの制御信号によってターンオン及びターンオフされる電界効果トランジスタ(FET
)Q1を備える。
図11に示す実施形態において、電力サブ回路60は、さらに、抵抗器
R11、キャパシタC11、C18、及びインダクタL3~L5を備える。
【0065】
実施形態において、
図12に示すように、電界効果トランジスタ(FET)Q2は、抵
抗器R19~R21、インダクタL6、及びキャパシタC25~C28と集積回路72及
び74とを備えた電力増幅器60に電気的に接続されて、直流の(DC)電圧入力を、ト
ランスミッタアンテナ20を駆動して無線電力転送を可能にする交流の(AC)増幅され
た電圧信号に変化させる。
【0066】
電力サブ回路60に加えて、
図11及び
図12に示すトランスミッタモジュール回路1
8の実施形態は、さらに、レシーバモジュール検知サブ回路42の種々の実施形態を示す
。
図11に示すように、レシーバ検知サブ回路42は、キャパシタC21~C23、抵抗
器R12~R17、及びダイオードD8を備えた演算増幅器76を備える。図示するよう
に、電気インピーダンスの変化は、トランスミッタアンテナ20とキャパシタC19及び
C20を備えるインピーダンス整合回路40との間に存在するノード78で検出される。
電気インピーダンスは、次いで、ダイオードD7、抵抗器R18、及びキャパシタC24
によってノード80における電流信号に変換される。電流信号は、ノード80において受
け取った検知信号を増幅するように構成された演算増幅器76によって受け取られる。実
施形態において、演算増幅器76は、また、エンベロープ検出器電圧をレシーバが存在す
るか否かを判定するための設定閾値に対して比較する比較器として作用し、マスタ制御ユ
ニット44にデジタル信号(すなわち、「ロー」(二進の0)または「ハイ」(二進の1
)信号)を出力するように構成され得る。
【0067】
増幅された信号は、次いで、マスタ制御ユニット44によって受け取られる。実施形態
において、検知信号を増幅することは、検出の分解能を増大させることによってレシーバ
モジュール14の存在に対する検出の精度を増大させる。
図12に示すさらに他の実施形
態において、レシーバ検知サブ回路42は、電気インピーダンス信号変換サブ回路82及
び検知制御サブ回路84を備える。実施形態において、電気インピーダンス信号変換サブ
回路82は、ダイオードD9と、キャパシタC34に電気的に並列に接続された抵抗器R
25とを備える。検知制御サブ回路84は、集積回路86、抵抗器R22~R27、及び
キャパシタC31~C33を備える。実施形態において、ノード88における電気インピ
ーダンスは、ダイオードD9、抵抗器R25、及びキャパシタC34によってノード90
における電流信号に変換される。電流信号は、検知制御サブ回路84内の集積回路86に
よって受け取られる。実施形態において、集積回路86は、電流信号を、マスタ制御ユニ
ット44に送られてレシーバモジュール14の存在を通知する電気データ信号に変換する
ように構成されている。
【0068】
図13は、本発明のレシーバモジュール14内に存在するレシーバモジュール回路24
の実施形態のブロック図を示す。レシーバモジュール回路24は、トランスミッタモジュ
ール12のトランスミッタアンテナ20からニアフィールド磁気結合を介して無線伝送さ
れる電力を受け取るように構成されている。
図13に示すように、レシーバモジュール回
路24は、レシーバアンテナ26、レシーバインピーダンス整合サブ回路92、整流器9
4、及び電圧レギュレータ96を備える。図示するように、レシーバアンテナ26は、整
流器94及び電圧レギュレータ96に電気的に接続されたレシーバインピーダンス整合回
路92に電気的に接続されている。実施形態において、レシーバインピーダンス整合回路
92は、レシーバモジュール14の電気インピーダンスを調整して、トランスミッタモジ
ュール12の電気インピーダンスに整合するように構成されている。整流器94は、受け
取った電力を交流電力から直流電力に変化させるように構成されている。電圧レギュレー
タ96は、無線により受け取った電力の電圧の大きさを調整するように構成されている。
【0069】
図14は、
図13に示すレシーバモジュール回路24の実施例形態の電気的な概略図で
ある。図示するように、インダクタL9を備えるレシーバアンテナ26は、キャパシタC
35~C37を備えるインピーダンス整合サブ回路92に電気的に接続されている。イン
ピーダンス整合サブ回路92は、ダイオードD10~D13を備える整流器94と、低ド
ロップアウト線形電圧レギュレータを備える電圧レギュレータ96とに電気的に接続され
ている。
【0070】
図15は、本出願のレシーバモジュール14内のレシーバモジュール回路24の代替実
施形態を示すブロック図である。図示するように、レシーバモジュール回路14は、レシ
ーバアンテナ26、電気インピーダンス整合サブ回路92、電圧ダブラーサブ回路98、
電圧レギュレータ96、及びレシーバマスタ制御ユニット100を備える。実施形態にお
いて、レシーバアンテナ26は、電気インピーダンス整合回路92に電気的に接続されて
おり、電気インピーダンス整合回路92はレシーバアンテナ26の電気インピーダンスを
、トランスミッタアンテナ20の駆動周波数において電力発生器または負荷の特性インピ
ーダンスに動的に調整及び整合するように構成されている。実施形態において、インピー
ダンス整合回路92は、電圧ダブラーサブ回路98に電気的に接続されており、電圧ダブ
ラーサブ回路98は、無線により受け取った電力を交流電力から直流電力に整流するよう
に設計されている。電圧ダブラ回路98は、また、無線により受け取った電力の電圧を増
加させる、すなわち2倍にするように構成されている。実施形態にさらに示すように、電
圧ダブラーサブ回路98は電圧レギュレータ96に電気的に接続されており、電圧レギュ
レータ96は、無線により受け取った電力の電圧の大きさをさらに調整するように設計さ
れている。電圧レギュレータ96は、レシーバマスタ制御ユニット100に電気的に接続
されている。実施形態において、レシーバマスタ制御ユニット100は、レシーバモジュ
ール14内のレシーバモジュール回路24を動作させるように構成されている。実施形態
において、トランスミッタモジュール12から無線により受け取られてレシーバモジュー
ル回路24によって変更された電力は、ホスト装置に電力供給するために用いられ、及び
/または電気化学セルまたはキャパシタなどの蓄電装置102を電気的に充電するために
用いられ得る。
【0071】
図16は、
図15に示すレシーバモジュール回路24の電気的な概略図を示す。図示す
るように、インダクタL10を備えるレシーバアンテナ26は、少なくとも1つのキャパ
シタを備える電気インピーダンス整合サブ回路92に電気的に接続されている。図示する
ように、電気インピーダンス整合サブ回路92はキャパシタC40~C42を備える。図
16にさらに示すように、電気インピーダンス整合回路92は、ダイオードD14、D1
5及びキャパシタC43を備える電圧ダブラーサブ回路98に電気的に接続されている。
レシーバモジュール回路24内の電圧ダブラーサブ回路98の組み込みは、無線により受
け取った電力を整流し、トランスミッタモジュール12とレシーバモジュール14との間
の離間距離16を越えて伝送され得る電力の量を増大させる。さらに、電圧レギュレータ
96を備える電圧レギュレータサブ回路97は、抵抗器R28~R30及びキャパシタC
44及びC45に電気的に接続されており、電圧ダブラーサブ回路98に電気的に接続さ
れている。
【0072】
実施形態において、電圧ダブラーサブ回路98は、レシーバモジュール回路24が感じ
る電気インピーダンスの減少に起因して増大したシステム効率を可能にする。実験結果は
、レシーバモジュール回路24内の電圧ダブラーサブ回路98の組み込みは、無負荷条件
下で回路24の電気インピーダンスを約301Ωから約31Ωに減少させ、全負荷条件下
で電気インピーダンスを約154Ωから約4.9Ωに減少させ、97%もの電気インピー
ダンスの減少である。電圧ダブラーサブ回路98がレシーバモジュール回路24の電気イ
ンピーダンスを著しく減少させるため、レシーバモジュール回路24内の電圧ダブラーサ
ブ回路98の組み込みは、こうして所与の周波数においてモジュール離間距離16を越え
てより大きい量の電力の伝送を生じる。また、電圧ダブラーサブ回路98は、減少した構
成要素サイズと増加したシステム性能とを可能にする。その上、電圧ダブラーサブ回路9
8は、システム10の動作、特に、他の整流トポロジー(例えば、全波整流器)と比較し
てより広いモジュール離間距離16を越える電気エネルギー及びデータの無線転送を可能
にする。例えば、電圧ダブラーサブ回路98を用いて構成された本発明のレシーバモジュ
ール14は、約0.5mm~約5mmのモジュールの離間距離16を越える電気エネルギ
ー及び/またはデータの無線転送を可能にする。比較として、電圧ダブラーサブ回路98
を用いて構成されていないレシーバモジュールは、約0.5mm~約2mmのモジュール
離間距離16を越える電気エネルギー及び/またはデータの転送を可能にする。したがっ
て、電圧ダブラーサブ回路98は、モジュール離間距離16の約100パーセントまたは
約2倍だけモジュール離間距離16の増大を可能にする。また、より近い離間距離におい
て、ゲートドライバまたはFET電力段の電気インピーダンスが減少して増加した無線電
力送達を可能にする。
【0073】
図17は、本出願のレシーバモジュール回路24の実施形態のブロック図を示す。図示
するように、レシーバマスタ制御ユニット100、レシーバアンテナ26、整流器94、
及び電圧レギュレータ96に加えて、レシーバモジュール回路24が熱検知サブ回路10
4を用いて構成され得る。実施形態において、熱検知サブ回路104は、レシーバモジュ
ール14内の温度をモニタするように構成されている。実施形態において、レシーバマス
タ制御ユニット100が熱検知サブ回路104を通してレシーバモジュール内の温度が約
20℃から約50℃に上昇することを検出する場合、レシーバマスタ制御ユニット100
はレシーバモジュール14の動作を阻止する。さらに、レシーバモジュール14は、トラ
ンスミッタモジュール12との間でデータを送受信するように構成され得る。実施形態に
おいて、レシーバモジュール14は、トランスミッタモジュール12からのデータを変調
及び復調してトランスミッタモジュール12との間の通信を可能にするように構成され得
る。実施形態において、本出願の無線コネクタシステム10は、帯域内振幅、位相、及び
/または周波数シフトキーイング通信などの帯域内通信用に構成され得る。さらに、本出
願の無線コネクタシステム10は、帯域外通信用に構成されてもよい。帯域内通信は、無
線電力信号にわたる情報/データの転送に基づく。無線電力信号はキャリア周波数であり
、種々の方法(振幅、周波数、及び位相)によりこのキャリア周波数を変調してデータを
送達する。帯域外通信は、無線電力信号とは別の外部信号を利用してデータ/通信を送達
する。
【0074】
図18A~18Dは、レシーバモジュール回路24及び/またはトランスミッタモジュ
ール回路18内で利用され得るインピーダンス整合サブ回路40、92の実施形態を示す
。図示するように、
図18Aの実施形態において、インピーダンス整合回路40、92は
、電気的に並列に接続された2つのキャパシタC46及びC48と、キャパシタC46と
キャパシタC48との間に電気的に接続された分路キャパシタC47とを備え得る。
図1
8Bは、分路キャパシタC50がキャパシタC49とキャパシタC51との間に電気的に
並列に接続された実施形態を示す。
図18Cは、電気インピーダンス整合回路が受信アン
テナまたはトランスミッタアンテナの正極側に電気的に接続された少なくとも1つのキャ
パシタC52を備え得る実施形態を示す。
図18Dは、2つのキャパシタC53及びC5
4がそれぞれ、受信アンテナまたはトランスミッタアンテナのそれぞれ正極端子及び負極
端子に電気的に接続された実施形態を示す。
【0075】
実施形態において、
図18Aまたは
図18Bに示されたものなどの分路キャパシタを組
み込むことによって、電力をより大きい離間距離16を越えて伝送することが可能になる
。実施形態において、直列のみの調整トポロジーと比較して、分路キャパシタを用いて、
受け取った電圧をレシーバ整流器34内へと昇圧する。分路キャパシタは、ある距離にお
いて転送され得る電力の大きさを増加させるとともにシステムの最大動作距離を増加させ
るために、アンテナの抵抗を変化させることを可能にする。実施形態において、
図18A
または
図18Bに示すように、レシーバモジュール回路24の電気インピーダンス整合サ
ブ回路92内に分路キャパシタを組み込むことによって、電力を2mmの離間距離にわた
って無線伝送することが可能になる。発明者等は、レシーバモジュール14のレシーバモ
ジュール回路24の電気インピーダンス整合サブ回路92内に分路キャパシタを用いない
場合、電力の無線伝送が及ぶ離間距離が短くなることを見出した。例えば、発明者等は、
同じ大きさの伝送電力に対し、分路キャパシタを備えないレシーバモジュールと比較して
、約50パーセント長い離間距離16にわたって電力を無線伝送することが可能になるこ
とを見出した。
【0076】
図19~
図22は、トランスミッタモジュール12及びレシーバモジュール14を備え
る無線コネクタシステム10の実施形態を示す。図示するように、トランスミッタモジュ
ール12は、トランスミッタモジュール回路18及びトランスミッタアンテナ20を内部
に収容するトランスミッタモジュールハウジング106を備える。レシーバモジュール1
4は、レシーバモジュール回路24及びレシーバアンテナ26を内部に収容するレシーバ
モジュールハウジング108を備える。実施形態において、トランスミッタモジュールハ
ウジング106とレシーバモジュールハウジング108とのいずれかまたは両方は、ハー
メチックシールされている。実施形態において、トランスミッタモジュールハウジング1
06とレシーバモジュールハウジング108との少なくとも一方は、高分子材料、金属、
セラミック材料、またはそれらの組み合わせからなり得る。さらに、トランスミッタモジ
ュールハウジング106とレシーバモジュールハウジング108とのいずれかまたは両方
は、封止材料(不図示)内に埋め込まれ得る。この封止材料は、モジュール12、14の
回路を保護するのに役立ち、ハーメチックシールを確保するのに役立つ。なお、無線コネ
クタシステムの動作中に、トランスミッタモジュール12及びレシーバモジュール14は
、モジュール離間距離16がモジュール12とモジュール14との間にわたるように配置
されている。実施形態において、モジュール離間距離16は、約0.1mm~約5mmの
範囲にわたり得る。実施形態において、システムの動作中におけるトランスミッタモジュ
ール12とレシーバモジュール14との間のモジュール離間距離またはキャップ16は、
約01mm~約2mmの範囲にわたる。実施形態において、本発明の無線コネクタシステ
ム10は、5MHzより大きい周波数で約1mW~約200mWを無線伝送するように構
成されている。実施形態において、無線コネクタシステム10は、トランスミッタモジュ
ール12とレシーバモジュール14との間において、約1MHz~約50MHzの範囲に
わたる周波数で約1mW~約200mWを無線送信するように構成されている。実施形態
において、無線コネクタシステム10は、限定されるものではないが、100kHz、6
.78MHz、10MHz、13.56MHz、27.12MHz、433MHz、91
5MHz、1.8GHz、2.4GHz、60GHz、及び5.7GHzを含み得る任意
の周波数または複数の周波数で動作し得る。さらに、このような周波数は、認可周波数帯
域を含み得る。
【0077】
実施形態において、トランスミッタモジュール12とレシーバモジュール14の両方は
コンパクトなサイズである。実施形態において、トランスミッタモジュール12は、トラ
ンスミッタモジュール近位端112からトランスミッタモジュール遠位端114まで延び
る長さ110を有する。このトランスミッタモジュール12はこの長さ110にほぼ垂直
な方向のトランスミッタモジュール幅116を有する。実施形態において、レシーバモジ
ュール14は、レシーバモジュール近位端122からレシーバモジュール遠位端124ま
で延びる長さ120を有する。このレシーバモジュール14は、長さ120にほぼ垂直な
方向のレシーバモジュール幅126を有する。
図19に示すように、実施形態において、
トランスミッタモジュール12は、トランスミッタモジュール長さ110にほぼ垂直に延
在するトランスミッタモジュール高さ118を有する。実施形態において、レシーバモジ
ュール14は、レシーバモジュール長さ120にほぼ垂直に延びるレシーバモジュール高
さ128を有する。
【0078】
実施形態において、トランスミッタモジュール12とレシーバモジュール14のいずれ
かまたは両方は、表面実装されるように構成されている。実施形態において、
図22に示
すように、複数のブラケット130が、モジュール12、14をそれぞれのホスト装置の
回路基板132に対して支持し、電気的に接続する。さらに、
図21に示すように、モジ
ュール12、14の各々は、トランスミッタモジュールハウジング106及び/またはレ
シーバモジュールハウジング108の外面の内側に存在する複数のキャステレーション1
34を備え得る。これらのキャステレーション134は、表面実装(不図示)が内部に配
置され得るスペースを提供して、モジュール12、14を表面に機械的に固定し、ホスト
装置への電気的接続を与える。
【0079】
実施形態において、
図23に示すように、トランスミッタモジュール12とレシーバモ
ジュール14の少なくとも一方は、モジュールハウジング106、108の外面のエッジ
に配置された複数の金属パッド136を備える。これらの金属パッド136は、回路基板
132またはホスト装置22、28にモジュール12、14の電気接点を与えるように設
計されている。また、トランスミッタモジュール12とレシーバモジュール14との少な
くとも一方は、モジュールハウジング106、108の外面から外側に延在する少なくと
も1つのポスト138を備え得る。これらのポスト138は、少なくとも1つのトランス
ミッタモジュール12及びレシーバモジュール14を回路基板132またはホスト装置2
2、28に対して支持し、機械的に固定する。さらに、モジュール12、14は、溶接、
半田付け、ピンなどの締結具、ばね接触などの使用によってそれらのそれぞれのホスト装
置に電気的に接続され得る。
【0080】
図24は、モジュール12、14内のそれぞれのハウジング106、108内の構造の
実施形態を示す。実施形態において、モジュール12、14の各々は、それぞれのトラン
スミッタアンテナ20またはレシーバアンテナ26と、トランスミッタモジュール12ま
たはレシーバモジュール14のハウジング106、108内に存在するモジュール回路基
板とを備えて構成されている。実施形態において、トランスミッタモジュール回路基板1
40はトランスミッタモジュールハウジング106内に存在し、レシーバモジュール回路
基板142はレシーバモジュールハウジング108内に存在する。実施形態において、ト
ランスミッタアンテナ20及びレシーバアンテナ26は、それらのそれぞれのモジュール
12、14の遠位端におけるハウジング106、108内に存在する。実施形態において
、トランスミッタモジュール140とレシーバモジュール回路基板142はそれぞれのト
ランスミッタモジュールハウジング106およびレシーバモジュールハウジング108の
それぞれのモジュール12および14の近位端にある。実施形態において、フレックスコ
ネクタ、基板間コネクタ、ピンソケットコネクタ、ばね接触コネクタ、ポゴピンコネクタ
、スルーホールピン半田コネクタ、半田付けワイヤコネクタ、またはそれらの組み合わせ
を用いて、トランスミッタアンテナ20はトランスミッタモジュール回路基板140に電
気的に接続されている。
【0081】
実施形態において、トランスミッタモジュール12とレシーバモジュール14の少なく
とも一方は、そのハウジング106、108内に配置された電気絶縁性の非磁性材料から
なるスペーサ144をもって構成してもよい。実施形態において、少なくとも1つのスペ
ーサ144は、それぞれハウジング106、108内の、トランスミッタモジュール回路
基板140またはレシーバモジュール回路基板142と送信アンテナ20または受信アン
テナ26との間に配置されている。実施形態において、少なくとも1つの遮蔽材料146
は、トランスミッタモジュール12とレシーバモジュール14とのいずれかまたは両方の
ハウジング106、108内に配置され得る。実施形態において、少なくとも1つの遮蔽
材料146は、それぞれハウジング106、108内の、トランスミッタモジュール回路
基板140またはレシーバモジュール回路基板142とトランスミッタアンテナ20また
はレシーバアンテナ26との間に配置されている。実施形態において、少なくとも1つの
遮蔽材料146は、トランスミッタモジュール回路基板140またはレシーバモジュール
回路基板142と少なくとも1つのスペーサ144との間に配置され得る。実施形態にお
いて、少なくとも1つの遮蔽材料146は、少なくとも1つのスペーサ144とトランス
ミッタモジュールアンテナ20またはレシーバモジュールアンテナ26との間に配置され
得る。
図25に示す例に示されるように、トランスミッタアンテナ20またはレシーバア
ンテナ26は、それぞれのモジュール12、14の遠位端に配置されている。スペーサ1
44はアンテナ20、26の近位に配置されており、遮蔽材料146はスペーサ144の
近位に配置されており、トランスミッタモジュール回路基板140またはレシーバモジュ
ール回路基板142はモジュール12、14の近位端に配置されている。実施形態におい
て、本発明の無線コネクタシステム10の動作中に、トランスミッタモジュール12及び
レシーバモジュール14のそれぞれのアンテナ20、26は、モジュール離間距離16を
隔てて互いに対向配置されている。さらに、以下の表1は、ハウジング106、108内
の位置の様々なシーケンスを示す。なお、位置1はモジュールの近位端112、122で
あり、位置4はモジュール12、14のそれぞれの遠位端114、124である。位置2
は位置1の遠位にあり、位置3は位置2の遠位にある。
【表1】
【0082】
実施形態において、回路基板はトランスミッタモジュール回路基板140またはレシー
バモジュール回路基板142の一方でよく、アンテナはトランスミッタアンテナ20また
はレシーバアンテナ26の一方でよい。スペーサ144は、空気、FR4、高分子材料、
またはそれらの組み合わせなどの電気絶縁性材料から成る。遮蔽材料146は、フェライ
ト材料、金属、またはそれらの組み合わせから成る。なお、表1の実施例3及び実施例4
に詳述されているように、遮蔽材料146をトランスミッタアンテナ20またはレシーバ
アンテナ26に近づけて配置すると、電気インダクタンスが増大し、その結果としてトラ
ンスミッタモジュール12とレシーバモジュール14との間の相互インダクタンスが改善
される。
【0083】
さらに
図25に示すように、導電ブラケット130はトランスミッタモジュール12及
びレシーバモジュール14のそれぞれの回路基板140、142をホスト装置に電気的に
接続する。
図25及び
図26に示す実施形態に示すように、ホスト装置は回路基板である
。
図26は、導電ブラケット130が位置1と位置2との間に配置されたさらなる実施形
態を示す。
図26に詳細に示すように、ブラケット130はトランスミッタ回路基板14
0またはレシーバ回路基板142と遮蔽材料146との間に配置されている。これに代え
て、ブラケット130は、トランスミッタ回路基板140またはレシーバ回路基板142
とスペーサ144との間に配置されてもよい。
【0084】
図27~
図34は、ハイブリッドリジッドフレックスプリント回路基板構成を有するト
ランスミッタモジュール148及びレシーバモジュール150の代替実施形態を示す。こ
の構成において、トランスミッタモジュール電力回路基板152またはレシーバモジュー
ル電力回路基板154のいずれかのモジュール電力回路基板は、それぞれトランスミッタ
アンテナアセンブリ156またはレシーバアンテナアセンブリ158のいずれかのアンテ
ナアセンブリに電気的に接続されている(
図27)。電気ブリッジまたは電気コネクタ1
60は、アンテナアセンブリ156、158とモジュール電力回路基板152、154と
の間に延在してこれらを電気的に接続する。この構成を用いて、1つまたは複数のリジッ
ド(FR4)回路基板レイヤの内側にトランスミッタアンテナ20またはレシーバアンテ
ナ26を備える1つまたは複数のフレキシブルプリント回路(FPC)レイヤを封止する
ことによって、トランスミッタモジュール回路基板140とトランスミッタアンテナ20
との間、及び/またはレシーバモジュール回路基板142とレシーバアンテナ26との間
の接続を設けることができる。
【0085】
図27は、本発明のハイブリッドリジッドフレックスプリント回路基板構成を有するト
ランスミッタモジュール148及びレシーバモジュール150を備える構成要素の実施形
態を示す。図示するように、トランスミッタモジュール電力回路基板152またはレシー
バモジュール電力回路基板154のいずれかのモジュール電力回路基板は、電気コネクタ
160によって、それぞれトランスミッタアンテナアセンブリ156またはレシーバアン
テナアセンブリ158のいずれかのアンテナアセンブリに電気的に接続されている。実施
形態において、電気ブリッジまたは電気コネクタ160は、柔軟性を有し、曲げることが
可能である。実施形態において、電気ブリッジまたは電気コネクタ160は、1つまたは
複数の銅シート、回路コネクタリボン、フレキシブルリボン、電気フレックスコネクタ、
導電性リボン、またはそれらの組み合わせから成る。
【0086】
実施形態において、トランスミッタモジュール電力回路基板152及びレシーバモジュ
ール電力回路基板154は、実質的に剛性で且つ多様なトランスミッタモジュール電力回
路基板電気部品162またはレシーバモジュール電力回路基板電気部品164を支持する
FR4またはプリント回路基板などの基板166から成る。実施形態において、これらの
電気部品162、164は、それぞれトランスミッタモジュール電力回路基板152及び
レシーバモジュール電力回路基板154の外面に実装される面でよい。
【0087】
実施形態において、トランスミッタアンテナアセンブリ156及びレシーバアンテナア
センブリ158は、トランスミッタアンテナ20またはレシーバアンテナ26を支持する
リジッドプリント回路基板またはFR4基板などの基板168を備える。
図27に示すよ
うに、基板168は、トランスミッタアンテナ20またはレシーバアンテナ26のいずれ
かを支持する。フェライト材料のレイヤなどの遮蔽材料170は、トランスミッタアンテ
ナ20またはレシーバアンテナ26上に配置されている。実施形態において、フェライト
材料シートなどの遮蔽材料170は、接着剤を用いてトランスミッタアンテナ20または
レシーバアンテナ26に積層または接着してもよい。
【0088】
実施形態において、
図28に示すように、アンテナアセンブリ156、158は、それ
ぞれ、モジュール電力回路基板152、154上に折りたたまれてトランスミッタモジュ
ールアセンブリ172またはレシーバモジュールアセンブリ174を形成する。実施形態
において、
図29に示すように、フェライト材料などの第2の遮蔽材料176は、アンテ
ナアセンブリ156、158とモジュール電力回路基板152、154との間に配置され
得る。この構成は、限定されるものではないが、以下のものを含む多くの利益をもたらす
。
1.アンテナアセンブリ156、158とモジュール電力回路基板162、164との間
の連続的な接続。実施形態において、アンテナアセンブリ156、158は、アンテナ2
0、26の導通配線がモジュール電力回路基板162、164に直接接続するように配置
され得る。この構成は、全体の電気インピーダンスを低減する。
2.アンテナアセンブリ156、158及びモジュール電力回路基板162、164は単
一の構造(すなわち、トランスミッタモジュールアセンブリ172またはレシーバモジュ
ールアセンブリ174)を有し、これによって、接続信頼性及び製造歩留まりを向上させ
、ディスクリート部品の数、複雑さ及びアセンブリコストを低減する。
3.当該構造は、大規模製造を可能にする、より簡略化された製造プロセスを可能にする
。
4.アンテナと電力基板とを同時に試験することができるため、試験が簡略化される。
【0089】
図29は、それぞれレシーバモジュールアセンブリ172またはトランスミッタモジュ
ールアセンブリ174を備える、本出願のトランスミッタモジュール148またはレシー
バモジュール150の実施形態の分解図を示す。実施形態に示すように、トランスミッタ
148及び/またはレシーバモジュール150は、トランスミッタアンテナアセンブリ1
56またはレシーバアンテナアセンブリ158をそれぞれトランスミッタモジュール電力
回路基板152またはレシーバモジュール電力回路基板154から分離するスペーサまた
はハウジング構造178を備える。これに代えて、ハウジング構造178は、トランスミ
ッタモジュールアセンブリ172またはレシーバモジュールアセンブリ174が配置され
るスペースをそれらの間に設け得る。
【0090】
実施形態において、ハウジング構造178は、電気絶縁性材料を含み、トランスミッタ
モジュールアセンブリ172またはレシーバモジュールアセンブリ174を、ハウジング
構造178の外面上に配置され得る付加的な遮蔽材料から分離するスペーサとして作用す
る。
図29に示す実施形態に示されるように、ハウジング構造178の外面上に、フェラ
イト材料などの第3の遮蔽材料180及び第4の遮蔽材料182が配置され得る。実施形
態において、第3の遮蔽材料180及び第4の遮蔽材料182に剛性のある回路基板材料
184のレイヤが接触配置されて、付加された構造支持体を設け得る。実施形態において
、トランスミッタモジュール148またはレシーバモジュール150は、ハウジング側壁
から外側へ延在する保持締結具186及び/または位置決めポスト188を備え得る。実
施形態において、保持締結具186及び/または位置決めポスト188を用いて、プリン
ト回路基板などのトランスミッタモジュールホスト装置22またはレシーバモジュールホ
スト装置28上にモジュール148、150を正確に配置する。実施形態において、保持
締結具186及び/または位置決めポスト188は、それぞれのトランスミッタモジュー
ルホスト装置22またはレシーバモジュールホスト装置28に対してトランスミッタモジ
ュール12及び/またはレシーバモジュール14を保持する。さらに、保持締結具186
及び/または位置決めポスト188は、それぞれのホスト装置22、28に電気的に接続
され得る。
【0091】
図30は、モジュールハウジング構造178から外側に延在する保持締結具186及び
位置決めポスト188を備える、組み付けられたトランスミッタモジュール148または
レシーバモジュール150の実施形態を示す。図示するように、ハウジング構造178は
、トランスミッタモジュール電力回路基板152またはレシーバモジュール電力回路基板
154とトランスミッタアンテナアセンブリ156またはレシーバアンテナアセンブリ1
58との間に配置されている。このようにして、保持締結具186は、バランスの取れた
半田付けを生じるとともに半田リフロープロセス中の部品剥離のおそれを回避するのに役
立つ部品保持を向上させる。また、保持締結具186及び位置決めポスト188はモジュ
ール148、150の取り付けに対する位置整合ガイドを提供する。
【0092】
図30Aは、
図30に示す組み付けられたモジュール12、14の実施形態の断面図を
示す。図示するように、モジュール回路基板140、142は、アンテナアセンブリ15
6、158に対向して配置されている。モジュールスペーサまたはハウジング構造178
は、それらの間に配置されている。実施形態において、スペーサ178は、電気部品16
2、164の配置に対する様々な切除部分を有する中実構造からなり得る。これに代えて
、スペーサ178が、電気部品162、164の配置に対して、それらの間に空洞スペー
スを有して構成されてもよい。実施形態において、スペーサ178は、モジュール回路基
板140、142及びアンテナアセンブリ156、158の配置に対してそれらの間に空
洞スペースを有して構成され得る。図示するように、接着レイヤ187が、モジュール回
路基板140、142及びアンテナアセンブリ156、158をスペーサ178に接着す
るようになっていてもよい。
【0093】
図31乃至
図34は、回路基板などのホスト装置22、28に実装された、
図27乃至
図30に示すトランスミッタモジュール148及びレシーバモジュール150の種々の実
施形態を示す。図示するように、モジュール148、150は、ホスト装置回路基板に電
気的に接続されたパッド190を含み得る。また、
図34に示すように、モジュール14
8、150は、ハウジング構造178から外側に延在する位置整合脚192(
図34)を
備え得る。実施形態において、位置整合脚192は、モジュール148、150がホスト
装置22、28の基板194内の開口部に実装される時に、付加的な位置整合支援を提供
し、付加的な機械的安定性を提供する。
図34に示す実施形態において、トランスミッタ
モジュール148及びレシーバモジュール150は、ホスト装置回路基板22、28の厚
さを貫いて延在する開口部194内に配置され得る。
【0094】
図35は、トランスミッタモジュール12、148またはレシーバモジュール14、1
50のいずれかとともに用いられ得るアンテナ20、26の実施形態の上面図を示す。実
施形態において、アンテナ20、26は平坦な螺旋コイル構成をなす。図示された実施形
態において、アンテナは、プリント回路基板(PCB)またはフレキシブル回路基板(F
CB)に集積された、導電体の交互する4つのレイヤと電気絶縁性レイヤとを備える。図
示するように、アンテナ20、26は、電気的に直列に接続された2つのアンテナセグメ
ントを備える。図示するように、アンテナ20、26は、絶縁性基板198の表面上に堆
積された5つのターンの銅配線196を各配線196間に15~200ミクロンのギャッ
プ200を備えた状態に有して構成されている。各セグメントは、電気的に並列の構成で
絶縁性基板198上に配置された導電体(例えば、配線196)を備える。非限定的な例
を、本出願の譲渡人に譲渡され、本明細書に全体が組み入れられる、米国特許出願第20
17/0040690号、第2017/0040692号、第2017/0040107
号、第2017/0040105号、第2017/0040696号、第2017/00
40688号(すべてPeralta等)、第2017/0040691、第2017/
0040694(Singh等)、第2017/0040693(Luzinski)、
及び第2017/0040695(Rajagopalan)に見つけることができる。
【0095】
さらに、アンテナ20、26は、複数の導体間に少なくとも1つの絶縁体が配置された
マルチレイヤマルチターン(multi-layer-multi-turn, MLMT)構成を有して構成され得る
。トランスミッタモジュール12、148及び/またはレシーバモジュール14、150
内に組み込まれ得るMLMT構成を有するアンテナの非限定的な例を、本出願の譲渡人に
譲渡され、全体が本明細書に組み入れられる、米国特許第8,610,530号、第8,
653,927号、第8,680,960号、第8,692,641号、第8,692,
642号、第8,698,590号、第8,698,591号、第8,707,546号
、第8,710,948号、第8,803,649号、第8,823,481号、第8,
823,482号、第8,855,786号、第8,898,885号、第9,208,
942号、第9,232,893号、第9,300,046号(すべて Singh等)
に見つけることができる。なお、さらに、本発明の無線コネクタシステム10内に、限定
されるものではないが、IEEE規格802.15.1などのUHF無線波周波数の信号
を送受信するように構成されたアンテナなどの他のアンテナが組み込まれてもよい。
【0096】
無線コネクタシステム10は、効率的で、安定な、かつ信頼できる態様で動作して多様
な動作条件及び環境条件を満たすように設計されている。システムは、データ及び/また
は電気エネルギーが効率的に、かつ最小の損失で伝送されるように、広範囲の熱的及び機
械的ストレス環境で動作するように設計されている。さらに、無線コネクタシステム10
は、スケーラビリティを可能にする製造技術を用いて、また開発者及び採用者になじみや
すいコストで、小さいフォームファクタを有して設計されている。さらに、無線コネクタ
システム10は、広範囲の周波数にわたって動作して広範囲の用途の要件を満たすように
設計されている。
【0097】
実施形態において、本システムは、約100μW~約10Wのオーダーの電力を送信し
得る。別の実施形態において、約100Wの電力も伝送され得る。特に、トランスミッタ
モジュール12、148とレシーバモジュール14、150との間の無線電力転送のメカ
ニズムとしてのニアフィールド磁気結合を考慮すると、より高い動作周波数を選択する場
合に、サイズが小さくなるほど、一般に達成しやすくなることは周知である。これは、必
要とされる相互インダクタンスと動作周波数との反比例の関係に依るもので、次の式で示
される。
【数1】
ここで、
・Vinducedはレシーバコイル上の誘導電圧
・Itxは、トランスミッタコイルを流れるAC電流
・ωは動作周波数の2π倍
【0098】
増大させた電気エネルギーの無線転送を可能にするために必要となる相互インダクタン
スが増加することから、AC損失を参照しながらトランスミッタまたはレシーバのインダ
クタンスまたは結合を増加させることが必要である。相互インダクタンスは次の関係によ
って計算することができる。
【数2】
・Mはシステムの相互インダクタンス
・kはシステムの結合
・LTxはトランスミッタコイルのインダクタンス
・LRxはレシーバコイルのインダクタンス
【0099】
アンテナコイルのフォームファクタが減少するにつれ、レシーバまたはトランスミッタ
のいずれかで必要となるインダクタンスを得ることは、必要となる多数のターンが配線幅
の減少をもたらすため、アンテナコイル抵抗の増加に付随する。抵抗のこの増加は、通常
、コイルのクオリティファクタと、システムの全体のコイル間効率とを減少させ、この場
合にクオリティファクタは、
【数3】
と定義される。ここで、
・Qはコイルのクオリティファクタ
・Lはコイルのインダクタンス
・ωはラジアン/秒で表したコイルの動作周波数である。あるいは、Hzで表した動作周
波数はωを2πで除したもの
・Rは動作周波数における等価直列抵抗
そして、コイル間効率は、
【数4】
と定義される。ここで、
・Effはシステムのアンテナ間効率
・kはシステムの結合
・Qrxはレシーバのクオリティファクタ
・Qtxはトランスミッタのクオリティファクタ
【0100】
実施形態において、フェライト遮蔽はアンテナ構造内に組み込まれてアンテナ性能を向
上させ得る。フェライト遮蔽材料の選択は、複素透磁率(μ=μ´-j*μ´´)が周波数
依存であるように、動作周波数に依存する。当該材料は焼結された柔軟性を有するフェラ
イトシートまたは硬いシールドであってもよく、様々な材料組成からなっていてもよい。
材料の例には、限定されるものではないが、マンガン亜鉛、ニッケル亜鉛、銅亜鉛、マグ
ネシウム亜鉛、及びそれらの組み合わせなどのフェライト材料を含む亜鉛が含まれ得る。
【0101】
さらに、無線コネクタシステム10の動作周波数及び電力要件に応じて、ハイブリッド
リッツ線及びPCBコイルアンテナ構造組み合わせが、電力を効率的に転送するのに必要
であり得る。実施形態において、ハイブリッドリッツ線とPCBコイルとの組み合わせは
、被覆リッツ線のトランスミッタアンテナ20またはレシーバアンテナ26を備えること
ができ、トランスミッタアンテナ20またはレシーバアンテナ26のもう一方は、
図35
に示すアンテナなどの回路基板の表面上に設けられたコイルを有して構成され得る。およ
そ100kHz~数MHzの範囲の低域側の動作周波数は、トランスミッタアンテナ20
とレシーバアンテナ26との間にある一定の相互インダクタンスを要し得る。これは、図
35に示すアンテナなどの、回路基板の表面上に設けられたコイルを備えるレシーバアン
テナ26と組み合わせた新規なフェライトコアを有するリッツ線構成のトランスミッタア
ンテナ20を用いることによって、達成可能である。
【0102】
相互インダクタンスを増加させるために、トランスミッタモジュール12、148また
はレシーバモジュール14、150の結合及び/またはインダクタンスを増加させなけれ
ばならない。しかし、小さいフォームファクタの制約のために、コネクタモジュールの物
理的サイズによって結合が制限される。なお、
図35に示すアンテナなどの、回路基板の
表面上に設けられたコイルを備える構成のトランスミッタアンテナ20及びレシーバアン
テナ26を用いることは、アンテナコイルのインダクタンスを増加させるとともに抵抗を
増加させ、これによりクオリティファクタQ及びアンテナ間効率を減少させ得る。
【0103】
実施形態において、リッツ線構成及び遮蔽材料のトランスミッタアンテナ20を有する
トランスミッタモジュール12、148と、回路基板の表面上に設けられたコイルを備え
るレシーバアンテナ26を有するレシーバモジュール14、150とを備える無線コネク
タシステム10(
図35)を用いて、無線コネクタシステム10の小さいフォームファク
タの結合及び相互インダクタンスを増加させ得る。より高いアンテナ間効率を達成するた
めに、この構成を用いて、低域側周波数で高いQファクタを維持しながら必要な電力転送
を達成する。これらの向上は、また、比較的小さいフォームファクタを有する無線コネク
タシステム10の全性能を向上させ得る。
【0104】
コイルの設計及び構成の選択は、次の電気パラメータと磁気パラメータとの組み合わせ
によって決定される。
・インダクタンス
・動作周波数におけるESR(等価直列抵抗)
・結合(k)
・相互インダクタンス(M)
【0105】
低域側の動作周波数、すなわち約100kHz~約10MHzに対して、およそ約0.
1mm~約100mmの増加した電力伝送を達成するために、この特定のアンテナトポロ
ジーが有益である。例えば、相互インダクタンスの式ごとに、負荷に送達される電力が一
定の場合、動作周波数が減少する一方、トランスミッタアンテナコイルとレシーバアンテ
ナコイルとの間の相互インダクタンスは、一定の伝送電流において増加する。表2は相互
インダクタンスの向上を示す。表3は結合の向上を示し、表4はアンテナ間効率の向上を
示す。
【表2】
【表3】
【表4】
【0106】
さらに、システム10がより高い周波数、すなわち約1MHz以上のあたりで動作する
場合、必要となる相互インダクタンスが減少し、これにより、より小さいトランスミッタ
アンテナ20及びレシーバアンテナ26とモジュール12、14、148、150とが可
能になる。本明細書で定義されるように、遮蔽材料は磁界を捕捉する材料である。その例
はフェライト材料である。表2乃至表4に詳細が示される実施形態において、フェライト
材料のシートが、トランスミッタアンテナ20が直接隣接して、例えばトランスミッタア
ンテナ20の後ろに配置される。本明細書で定義されるように、「Tコア」遮蔽材料は、
トランスミッタアンテナ20またはレシーバアンテナ26の直後に配置された、フェライ
ト材料などの遮蔽材料のシートと、トランスミッタアンテナ20またはレシーバアンテナ
26の面内におけるコイルの内側領域内に配置された、フェライト材料などの付加的な第
2の遮蔽材料とを備える磁界遮蔽アセンブリである。また、トランスミッタモジュール1
2、148またはレシーバモジュール14、150は、文字「C」に類似して構成された
フェライト材料などの遮蔽材料がアンテナ20、26に隣接して配置された「Cコア」遮
蔽材料を含むそれぞれのトランスミッタアンテナ20またはレシーバアンテナ26を有し
て構成され得る。さらに、トランスミッタモジュール12、148またはレシーバモジュ
ール14、150は、文字「E」に類似して構成されたフェライト材料などの遮蔽材料が
アンテナ20、26に隣接して配置された「Eコア」遮蔽材料を含むそれぞれのトランス
ミッタアンテナ20またはレシーバアンテナ26を有して構成され得る。
【0107】
実施形態において、最大200mWの受け取りDC電力を定格とする無線コネクタシス
テム10は、トランスミッタモジュール12、148またはレシーバモジュール14、1
50の各々が約11mm×4mmのフォームファクタを有するとともに約2MHz~30
MHzの範囲にわたる周波数で動作するように構成され得る。しかし、このことは、アン
テナ設計における重大な困難を提示する。11mm×4mmほどの小さいフットプリント
に適合し得る巻線リッツアンテナを実装することは、通常、コスト効率的ではなく、特に
信頼性もない。また、動作周波数が約6MHz以上に増加する際に、巻線リッツアンテナ
コイルは性能の点で好適でない場合がある。
【0108】
比較的小さいサイズのプリント回路基板またはフレキシブルプリント回路基板(PCB
/FPC)ベースのコイルアンテナを利用することは、より高い周波数に対してより好適
である、適切な積層、適切な配線幅、ギャップ幅、及び銅(または他の導電材料)深さを
可能にする。また、プリント回路基板及びフレックスプリント回路基板ベースのコイルア
ンテナは、PCB製造プロセスに高集積化され、これにより、回路の残りとの集積が可能
になる。これは、また、ESRを低減するとともにアンテナのQを向上させるMLMTア
ンテナ設計の集積化を可能にする。
【0109】
また、レイヤ化手法においてコイルを利用することは、他の製造プロセス、例えば、印
刷、ファブリック上の印刷、低温焼成セラミック(LTCC)プロセス、高温焼成セラミ
ック(HTCC)プロセスなどの半導体製造プロセスを可能にする。
【0110】
小さいフォームファクタのPCBコイル設計は、低いコイルESRを維持して送受コイ
ルにおける電力散逸を最小化しながら、必要となるインダクタンスがより低いため、より
高い動作周波数に好適である。プリント回路基板(PCB)コイルアンテナは、巻線アン
テナコイル解決手法と比較して、製造、コスト、及びアセンブリの見地から付加的な利益
を提供する。全体のアセンブリ厚への厳しい要求を有する用途に対して、プリント回路基
板(PCB)コイルアンテナは、マルチレイヤ構成を用いても可能な低減された厚さによ
り、好ましい。
【0111】
コイルの組み合わせに選択されるフェライト遮蔽材料は、また、複素透磁率(μ=μ´
-j*μ´´)が周波数依存であるように、動作周波数に依存する。当該材料は、焼結さ
れた柔軟性を有するフェライトシート、または硬いシールドであり得るとともに、変化す
る材料組成からなり得る。
【0112】
なお、アンテナ20、26の構成は非限定的である。モジュール内に組み込まれたアン
テナは、磁性ワイヤを備え、スタンプ成形金属構成を有し得る。また、アンテナ20、2
6は、その構成において、厚膜、薄膜、または他の印刷製造記述を利用し得る。
【0113】
実施形態において、マルチレイヤマルチターン(MLMT)構成を有するトランスミッ
タアンテナ20及びレシーバアンテナ26の組み込みは、それぞれのトランスミッタモジ
ュール12、148及びレシーバモジュール14、150の等価直列抵抗(ESR)を著
しく低減する。本発明者等は、マルチレイヤマルチターン(MLMT)構成を有する少な
くとも1つのトランスミッタアンテナ20及びレシーバアンテナ26の組み込みが、トラ
ンスミッタモジュール12及びレシーバモジュール14の等価直列抵抗(ESR)を約5
0%低減することを見出した。
【0114】
また、ESRを低減することは、全体のシステム効率を向上させ、コイルにおける損失
(I2×R)を低減することによってアンテナ20、26及びシステム10の発熱を低減
する。以下に示す表Vは、インダクタの周りに被覆されたリッツ線を備えて構成されたア
ンテナと比較して、2つのマルチレイヤマルチターン(MLMT)アンテナ設計に対する
計測されたESRを詳細に示す。以下の表5に示すように、MLMT設計を用いて構成さ
れたアンテナは、リッツ線構成を有するアンテナと比較して、より低いインダクタンス(
0.60μH)、及びより低い等価直列抵抗(ESR)(0.50Ω)を呈した。したが
って、マルチレイヤマルチターン(MLMT)構成を有するトランスミッタアンテナ20
及びレシーバアンテナ26は、本発明の無線コネクタシステム10の、増加した電力伝送
及び増加したモジュール離間距離16という増加した電気性能に寄与する。
【表5】
【0115】
モジュールをホスト装置に接続する例示的な方法は、限定されるものではないが、回路
基板またはホスト装置22、28上に少なくとも1つのトランスミッタモジュール12、
148及びレシーバモジュール14、150を直接半田付け及びまたは配置することを含
む。これに代えて、少なくとも1つのトランスミッタモジュール12、148及びレシー
バモジュール14、150を、ワイヤ/ケーブルを用いて回路基板またはホスト装置22
、28に接続することができる。一旦ホスト装置22、28に接続されると、少なくとも
1つのトランスミッタモジュール12、148及びレシーバモジュール14、150の完
全な構造または構造の少なくとも一部分を絶縁性コーティング内に封止してもよい。
【0116】
実施形態において、単一のアンテナ素子を備えるトランスミッタモジュール12、14
8の動作手順は、以下の動作プロセスを有し得る。本実施形態において、無線コネクタシ
ステム10は、ある周波数、例えば2.4GHzにおいて無指向性の電力転送システムで
ある。実施形態において、レシーバモジュール14、150は、トランスミッタモジュー
ル12、148の近傍に置かれる。
【0117】
実施形態において、トランスミッタモジュール12、148内のレシーバ検知サブ回路
42は、レシーバモジュール14、150の存在を検出する。トランスミッタモジュール
12、148内のマスタ制御ユニット(MCU)44はシステム10をアクティブ化し、
確定ステージ(identification stage)が開始される。この確定ステージは、スプリアス検知信号と真のレシーバモジュール14、150を検出する検知信号とを区別するために重要であり得る。この確定ステージは、また、どのような大きさの電力とどのような種類のデータとを伝送すべきかをトランスミッタモジュール12、148及びホスト装置22に通知する特定の種類のレシーバモジュール14、150を特定するために重要であり得る。
【0118】
実施形態において、一旦レシーバモジュール14、150が肯定的に認識されると、ト
ランスミッタモジュール12、148は電力の伝送を開始する。実施形態において、電力
の伝送は、限定されるものではないが、以下のものが含むいくつかの条件下で停止し得る
。
(1)レシーバモジュールの除去
(2)所定の受容限界を超えて上昇するシステム内の温度上昇がある発熱(この発熱は、
トランスミッタモジュール12、148またはレシーバモジュール14、150における
ものであり得る)
(3)レシーバモジュール14、150がバッテリに電力供給する場合に、バッテリが完
全充填される
(4)トランスミッタモジュール12、148に対する電源が除去される
(5)トランスミッタモジュール12、148に対する電源がバッテリである場合に、バ
ッテリからの電力が所定閾値未満に低下する
【0119】
なお、上記の例示的なプロセスは、トランスミッタモジュール12、148が単一の目
的(送るのみ)として構成されており、レシーバモジュール14、150が単一の目的(
受け取るのみ)として構成されている場合のものであり、各トランスミッタモジュール1
2、148及びレシーバモジュール14、150に単一のアンテナ要素が存在する。つま
り、これは、無指向性の無線電力システムである。
【0120】
別の実施形態において、本出願の無線コネクタシステム10は、トランスミッタとレシ
ーバとの両方、すなわちトランシーバとして動作することができるモジュールを含み得る
。さらなる実施形態において、本出願の無線コネクタシステム10は、単一のアンテナに
加えて、データを電力周波数に変調する電力及びデータ転送システムを備え得る。
【0121】
別の実施形態において、本発明の無線コネクタシステム10は、各トランスミッタモジ
ュール12、148及びレシーバモジュール14、150内に複数のアンテナを備え得る
。複数のアンテナシステムを利用する場合に、第1のアンテナを識別、診断、及び任意の
単方向または双方向データ転送用に確保し得る一方、第2のアンテナを電力転送に専用化
することができる。
【0122】
実施形態において、レシーバモジュール存在検知機能の信頼性及び反復性を、以下のス
テップにおいて説明するように、較正方法を用いて向上させることができる。
1.トランスミッタモジュール12、148がアイドルモードにあり、物体(レシーバモ
ジュールのアンテナコイルなど)が存在しない場合、トランスミッタモジュール回路18
内の検知線を増幅またはバッファし、次いでアナログデジタル変換器(ADC)に接続し
得る。ADCは、所定の時間間隔で検知線をモニタし(またはサンプリングし)、アイド
ルモードにおける検知電圧(Vidle)をデジタル形式に変換し、その値をトランスミ
ッタマスタ制御ユニット(MCU)44によってメモリに格納する。
2.ADCは電圧を計測することによって、アイドルモードの間、検知線をサンプリング
し続け、Videltaとして指定されたVidleの連続する値の間の差を算出する。
Vthresholdとして指定された所定の電圧閾値を用いてVideltaと比較す
る。この場合に、装置がアイドルモードを保持する間にVidleの変化は小さいことか
ら、Videltaは、Vthreshold未満である(シナリオ1)。
3.物体が存在する(レシーバアンテナコイルなど)場合、検知線は、トランスミッタモ
ジュール12、148とレシーバアンテナコイルとの間の相互インダクタンス(M)に起
因して、検知線が異なる電圧レベル(Vactive)に変化する。ADCは、Vact
iveをデジタル形式に変換し、その値をトランスミッタモジュール12、148のマイ
クロコントローラまたはマスタ制御ユニット(MCU)によってメモリに格納する。
4.プロセッサは、格納されたVidleの値とVadeltaとして指定されたVac
tiveとの差を算出し、この値をメモリに格納する。同じ所定の閾値Vthresho
ldを用いて、Vactiveの後続のサンプルとともにVadeltaと比較する。こ
の場合に、検知線電圧は変化しており、VadeltaはVthresholdより大き
くなり、そのことはレシーバアンテナコイルの存在を示す。プロセッサはここで装置をア
クティブモードに切り替えることができる(シナリオ2)。
5.ADCは、電圧(Vactive)を計測することによって、アクティブモードにあ
る間に検知線をサンプリングし続け、Vadeltaとして指定されたVactiveの
連続する値の間の差を算出する。Vthresholdとして指定された同じ所定の電圧
閾値を用いてVadeltaと比較する。この場合に、装置がアクティブモードを保持す
る間にVactiveの変化は小さいことから、VadeltaはVthreshold
未満である(シナリオ3)。
6.物体(レシーバアンテナコイルなど)が除去される場合、トランスミッタアンテナコ
イルとレシーバアンテナコイルとの相互インダクタンス(M)に起因して、検知線はアイ
ドルモード電圧レベル(Vidle)に戻る。ADCは、Vidleをデジタル形式に変
換し、その値をマイクロコントローラまたはプロセッサによってメモリに格納する。
7.トランスミッタモジュール12、148内のプロセッサは、格納されたVactiv
eの値とVideltaとして指定されたVidleとの差を算出し、この値をメモリに
格納する。同じ所定の閾値Vthresholdを用いて、Vidleの後続のサンプル
とともにVideltaと比較する。この場合に、検知線電圧は変化しており、Vide
ltaはVthresholdより大きくなり、そのことはレシーバアンテナコイルの除
去を示す。プロセッサはここで装置をアイドルモードに切り替えることができる(シナリ
オ4)。
8.なお、本方法論は、固有の製造プロセス許容公差に起因する任意の変動が除去される
ことから、「自動較正」である。本方法論は、また、より大きいモジュール変動性が許容
され得ることから、比較器の必要性を解消し、より低いコストの構成要素の使用を可能に
する。
【0123】
実施形態のうちの1つまたは複数において、無線コネクタシステムは、トランスミッタ
アンテナを支持する第1の基板を含むトランスミッタモジュールを含み、トランスミッタ
アンテナは無線信号を送信するように構成されている。無線コネクタシステムはトランス
ミッタモジュール電子回路を支持する第2の基板を含み、トランスミッタモジュール電子
回路は、トランスミッタアンテナと、トランスミッタモジュール電子回路とトランスミッ
タアンテナとの間に配置された第1の絶縁体とに、電気的に接続されている。無線コネク
タシステムは、レシーバアンテナを支持する第3の基板を含むレシーバモジュールを含み
、レシーバアンテナは無線信号を受信するように構成されている。無線コネクタシステム
はレシーバモジュール電子回路を支持する第4の基板を含み、レシーバモジュール電子回
路は、レシーバアンテナと、レシーバモジュール電子回路とレシーバアンテナとの間に配
置された第2の絶縁体とに、電気的に接続されている。
【0124】
システムは、トランスミッタアンテナとトランスミッタ電子回路との間に第1の遮蔽材
料が配置されており、レシーバアンテナとレシーバ電子回路との間に第2の遮蔽材料が配
置されており、第1の遮蔽材料及び第2の遮蔽材料はフェライト材料を含むことを含む。
システムは、第1の基板または第2の基板がプリント回路基板、フレックス回路基板、及
びそれらの組み合わせを備えることを含む。システムは、第1の基板または第2の基板の
外面内に複数の離間したキャステレーションが形成されていることを含む。
【0125】
システムは、第1の基板または第2の基板の外面上に複数の離間した導電パッドが形成
されており、複数の導電パッドのうちの少なくとも1つは電子回路基板に電気的に接続可
能であることを含む。システムは、無線信号は、電圧、電流、電力、データ信号、及びそ
れらの組み合わせからなる群から選択されることを含む。システムは、約100μW~約
10Wの範囲にわたる電力を伝送するように構成されていることを含む。システムは、レ
シーバアンテナとトランスミッタアンテナとの少なくとも一方は、複数の導体と複数の導
体の各々の間に配置された少なくとも一つの絶縁体とを備え、複数の導体は少なくとも1
回のターンを有することを含む。
【0126】
システムは、トランスミッタモジュール電子回路が、さらに、トランスミッタアンテナ
に電気的に接続された第1の電気インピーダンス整合サブ回路を含み、第1の電気インピ
ーダンス整合サブ回路は、少なくとも1つの第1のキャパシタ、及び電力インバータサブ
回路を有し、第1の電気インピーダンス整合サブ回路及び電力インバータサブ回路は、ト
ランスミッタアンテナによる送信に対して無線信号を準備するように構成されている、こ
とを含む。
【0127】
システムは、マスタ制御ユニットを有するトランスミッタモジュールマスタ制御サブ回
路を含む。システムは、トランスミッタモジュールマスタ制御サブ回路と電力インバータ
サブ回路とに電気的に接続されたドライバサブ回路と、トランスミッタモジュールマスタ
制御サブ回路と電力インバータサブ回路とに電気的に接続された第1の電圧レギュレータ
とを含む。
【0128】
システムは、レシーバ電子回路が、マスタ制御ユニットを有するレシーバモジュールマ
スタ制御サブ回路を含むことを含む。システムは、さらに、レシーバ回路に電気的に接続
された第2の電気インピーダンス整合サブ回路であって、第2の電気インピーダンス整合
サブ回路は、少なくとも1つの第2のキャパシタを有し、第2の電気インピーダンス整合
サブ回路は、受信した無線信号を電子装置による使用に対して準備するように構成されて
いる、第2の電気インピーダンス整合サブ回路と、レシーバモジュールマスタ制御サブ回
路に電気的に接続された第2の電圧レギュレータサブ回路と、を含む。
【0129】
システムは、第2の電気インピーダンス整合サブ回路と第2の電圧レギュレータサブ回
路とに電気的に接続された電圧ダブラーサブ回路を備える。システムは、トランスミッタ
モジュールが、さらに、トランスミッタモジュール電子回路に電気的に接続されたレシー
バモジュール検出サブ回路を備えることを含み、レシーバモジュール検出サブ回路は、レ
シーバモジュールからの電気信号を検出すると、トランスミッタモジュール電子回路の構
成がレシーバモジュールと通信することを可能にする。システムは、第1の電気インピー
ダンス整合サブ回路と第2の電気インピーダンス整合サブ回路との少なくとも一方の内部
にスイッチキャパシタサブ回路が電気的に接続されており、スイッチキャパシタサブ回路
は第1の電気インピーダンス整合サブ回路と第2の電気インピーダンス整合サブ回路との
少なくとも一方の静電容量を動的に変更するように構成されていることを含む。システム
は、第1の電気インピーダンス整合サブ回路と第2の電気インピーダンス整合サブ回路と
の少なくとも一方の内部にシャントキャパシタが電気的に接続されていることを含む。シ
ステムは、さらに、フレックスコネクタ、基板間コネクタ、ピンソケットコネクタ、ばね
接触コネクタ、ポゴピンコネクタ、スルーホールピン半田コネクタ、半田付けされたワイ
ヤ接続部、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される電気コネクタが、トランス
ミッタアンテナ及びレシーバアンテナの少なくとも一方をそれぞれのトランスミッタ電子
回路及びレシーバ電子回路に電気的に接続することを含む。
【0130】
本出願の1つまたは複数の実施形態において、通信システムは、無線信号を発するよう
に構成されたトランスミッタアンテナを備えるトランスミッタ回路を含む。さらに、通信
システムのトランスミッタ回路は、トランスミッタアンテナに電気的に接続された第1の
電気インピーダンス整合サブ回路を含み、第1の電気インピーダンス整合サブ回路は、伝
送アンテナによる伝送に無線信号を準備するように構成されている。また、通信システム
のトランスミッタ回路は、第1のマスタ制御ユニットを備えるトランスミッタモジュール
マスタ制御サブ回路と、トランスミッタモジュールマスタ制御サブ回路と電力インバータ
サブ回路とに電気的に接続されたドライバサブ回路とを含む。実施形態において、通信シ
ステムのトランスミッタ回路は、トランスミッタモジュールマスタ制御サブ回路と電力イ
ンバータとに接続された第1のレギュレータサブ回路を含む。
【0131】
本出願の実施形態のうちの1つまたは複数において、通信システムは、トランスミッタ
回路から送信された無線信号を受信するように構成されたレシーバ回路を含む。実施形態
において、通信システムのレシーバ回路は、トランスミッタアンテナからの無線信号を受
信するように構成されたレシーバアンテナを含む。さらに、通信システムのレシーバ回路
は、第2のマスタ制御ユニットを備えるレシーバモジュールマスタ制御サブ回路を含む。
実施形態のうちの1つまたは複数において、通信システムのレシーバ回路は、レシーバア
ンテナに電気的に接続された第2の電気インピーダンス整合サブ回路を含み、この第2の
電気インピーダンス整合サブ回路は、少なくとも1つの第2のキャパシタを含み、この第
2の電気インピーダンス整合サブ回路は受信した無線信号を、電気的に接続された電気装
置による使用に準備するように構成されている。さらに、 通信システムのレシーバ回路
は、第2の電気インピーダンス整合サブ回路とレシーバモジュールマスタ制御サブ回路と
に電気的に接続された第2の電圧レギュレータサブ回路を含む。
【0132】
本出願の実施形態のうちの1つまたは複数において、トランスミッタ回路は、無線信号
を発するように構成されたトランスミッタアンテナを含んで設けられている。トランスミ
ッタ回路は、さらに、トランスミッタアンテナに電気的に接続された電気インピーダンス
整合サブ回路を含み、電気インピーダンス整合サブ回路は少なくとも1つのキャパシタを
備え、電力インバータサブ回路は電気インピーダンス整合サブ回路に電気的に接続されて
おり、電気インピーダンス整合サブ回路及び電力インバータサブ回路は、無線信号をトラ
ンスミッタアンテナによる伝送に準備するように構成されている。実施形態のうちの1つ
または複数において、トランスミッタ回路は、マスタ制御ユニットを備えるトランスミッ
タマスタ制御サブ回路と、トランスミッタマスタ制御サブ回路に電気的に接続されたドラ
イバサブ回路とを含む。トランスミッタ回路は、電力インバータサブ回路と、トランスミ
ッタマスタ制御サブ回路と電力インバータサブ回路とに電気的に接続された電圧レギュレ
ータサブ回路とを含む。
【0133】
本出願の実施形態のうちの1つまたは複数において、無線信号を受信するように構成さ
れたレシーバ回路が設けられている。レシーバ回路は、無線信号を受信するように構成さ
れたレシーバアンテナと、マスタ制御ユニットを備えるレシーバマスタ制御サブ回路とを
含む。本出願の実施形態のうちの1つまたは複数において、レシーバ回路は、レシーバア
ンテナに電気的に接続された電気インピーダンス整合サブ回路を含み、電気インピーダン
ス整合サブ回路は少なくとも1つのキャパシタを備え、電気インピーダンス整合サブ回路
は、レシーバ回路により受信した無線信号を、電気的に接続可能な電気装置による使用に
準備するように構成されている。実施形態において、レシーバ回路は、レシーバマスタ制
御サブ回路に電気的に接続された電圧レギュレータサブ回路を含む。
【0134】
本出願の実施形態のうちの1つまたは複数において、トランスミッタモジュールは、外
面を有するハウジングと、無線信号を送信するように構成されたトランスミッタアンテナ
とを含んで設けられ、トランスミッタアンテナはハウジング内に存在する。トランスミッ
タモジュールは、さらに、トランスミッタアンテナに電気的に接続された電子回路基板を
含み、電子回路基板はハウジング内に配置されている。トランスミッタモジュールは、さ
らに、トランスミッタアンテナに電気的に接続された電子回路基板を含み、電子回路基板
は、ハウジング内に配置されている。さらに、トランスミッタモジュールは、ハウジング
内に配置されるとともにトランスミッタアンテナと電子回路基板との間に配置された少な
くとも1つの遮蔽材料と、電子回路基板とトランスミッタアンテナとの間に配置された少
なくとも1つの絶縁体とを含む。
【0135】
実施形態のうちの1つまたは複数において、外面を有するハウジングとレシーバアンテ
ナを支持する第1の基板を有するレシーバアンテナアセンブリとを含むレシーバモジュー
ルが設けられており、レシーバアンテナは無線信号を受信するように構成されており、レ
シーバアンテナアセンブリはハウジング内に存在する。さらに、レシーバモジュールはハ
ウジング内に配置された電子回路基板を含み、電子回路基板はレシーバアンテナに電気的
に接続されている。レシーバモジュールは、さらに、レシーバアンテナと電子回路基板と
の間に配置された少なくとも1つの遮蔽材料と、電子回路基板とレシーバアンテナとの間
に配置された少なくとも1つの絶縁体とを含む。
【0136】
本出願の実施形態のうちの1つまたは複数において、絶縁材料を備えるスペーサとトラ
ンスミッタアンテナを支持する第1の基板を備えるトランスミッタアンテナアセンブリと
を含むトランスミッタモジュールが設けられており、トランスミッタアンテナは無線信号
を送信するように構成されている。実施形態のうちの1つまたは複数において、トランス
ミッタモジュールは、トランスミッタ電子回路を支持する第2の基板と、トランスミッタ
アンテナアセンブリとトランスミッタ電子回路とに電気的に接続された電気コネクタとを
含む。さらに、スペーサがトランスミッタアンテナアセンブリとトランスミッタ電子回路
との間に配置されていることを含む。
【0137】
本出願の実施形態のうちの1つまたは複数において、絶縁性材料を含むスペーサとレシ
ーバアンテナを支持する第1の基板を備えるレシーバアンテナアセンブリとを含むレシー
バモジュールが設けられており、レシーバアンテナは無線信号を受信するように構成され
ている。実施形態のうちの1つまたは複数において、レシーバモジュールは、レシーバ電
子回路を支持する第2の基板と、レシーバアンテナアセンブリとレシーバ電子回路とを電
気的に接続する電気コネクタとを含む。さらに、レシーバモジュールは、レシーバアンテ
ナアセンブリとレシーバ電子回路との間に配置されたスペーサを含む。
【0138】
本出願の実施形態のうちの1つまたは複数において、無線コネクタを動作させる方法が
提供され、本方法は、トランスミッタモジュールを設けることを含み、トランスミッタモ
ジュールはトランスミッタアンテナを支持する第1の基板を含み、トランスミッタアンテ
ナは、送信するように構成されている。トランスミッタモジュールは、さらに、トランス
ミッタモジュール電子回路を支持する第2の基板を含み、トランスミッタモジュール電子
回路は、トランスミッタアンテナとレシーバモジュール検知サブ回路とに電気的に接続さ
れたトランスミッタモジュールマスタ制御サブ回路を含む。さらに、トランスミッタモジ
ュールは、トランスミッタ電子回路とトランスミッタアンテナとの間に配置された少なく
とも1つの第1の絶縁体を含む。実施形態のうちの1つまたは複数において、本方法は、
レシーバアンテナを支持する第3の基板であって、レシーバアンテナは無線信号を受信す
るように構成されている第3の基板と、レシーバモジュール電子回路を支持する第4の基
板とを含む。
【0139】
本出願の実施形態のうちの1つまたは複数において、トランスミッタモジュールを設け
る方法が提供され、本方法は、第1の基板上に支持されたトランスミッタアンテナを設け
ることを含み、トランスミッタアンテナは、無線信号を送信するように構成されている。
さらに、本方法は、第2の基板上に支持された電子回路を設けることと、電子回路をトラ
ンスミッタアンテナに電気的に接続することとを含む。本方法は、少なくとも1つの絶縁
体を設けることと、少なくとも1つの絶縁体を電子回路とトランスミッタアンテナとの間
に配置することとを含む。
【0140】
本出願の実施形態のうちの1つまたは複数において、レシーバモジュールを設ける方法
が提供され、本方法は、レシーバアンテナを支持する第1の基板を設けることを含み、レ
シーバアンテナは、無線信号を受信するように構成されている。さらに、本方法は、電子
回路を支持する第2の基板を設けることであって、電子回路はレシーバアンテナに電気的
に接続されている、第2の基板を設けることと、少なくとも1つの絶縁体を設け、少なく
とも1つの絶縁体を電子回路とレシーバアンテナとの間に配置することとを含む。
【0141】
本明細書で用いる、「及び」または「または」という用語を用いて項目のうちの任意の
ものを分離する一連の用語に先行する「のうちの少なくとも1つ」との語句は、列記の各
構成要素(すなわち、各項目)ではなく、列記全体を修飾する。「少なくとも1つ」との
語句は、列記された各項目のうちの少なくとも1つの選択を要するのではなく、当該語句
は項目のうちの任意の1つの少なくとも1つ、及び/または項目の任意の組み合わせのう
ちの少なくとも1つ、及び/または項目の各々の少なくとも1つのとも1つを含む意味を
許容する。例として、「A、B、Cのうちの少なくとも1つ」との語句、または「A、B
、Cのうちの少なくとも1つ」との語句は、それぞれ、Aのみ、Bのみ、Cのみ、A、B
、Cの任意の組み合わせ、及び/またはA、B、Cの各々の少なくとも1つのことを指す
。
【0142】
「~のように構成された」、「~のように動作可能である」、及び「~のようにプログ
ラムされた」のような述語は、主語の特定の実体のある修飾も実体のない修飾も全く含意
しないが、交換可能に使用されるように図られている。1つまたは複数の実施形態におい
て、動作または構成要素をモニタ及び制御するように構成されたプロセッサが、プロセッ
サは動作をモニタ及び制御するようにプログラムされたこと、またはプロセッサは動作を
モニタ及び制御するように動作可能であることを意味してもよい。同様に、コードを実行
するように構成されたプロセッサは、コードを実行するようにプログラムされたプロセッ
サ、またはコードを実行するように動作可能であるプロセッサとして構成され得る。
【0143】
「態様」などの語句は、このような態様が主題技術に不可欠であることも、このような
態様が主題技術のすべての構成に該当することも意味しない。態様に関する開示は、すべ
ての構成に該当してもよく、1つまたは複数の構成に該当してもよい。「態様」などの語
句が1つまたは複数の態様を指してもよいし、その逆も可能である。「実施形態」などの
語句は、このような実施形態が主題技術に不可欠であることも、このような実施形態が主
題技術のすべてに該当することも意味しない。実施形態に関する開示は、すべての実施形
態に該当してもよいし、1つまたは複数の実施形態に該当してもよい。実施形態は、開示
の1つまたは複数の例を提供することができる。「実施形態」などの語句が1つまたは複
数の実施形態を指してもよいし、その逆も可能である。「構成」などの語句は、このよう
な構成が主題技術に不可欠であることも、このような構成が主題技術のすべてに該当する
ことも意味しない。構成に関する開示は、すべての構成に該当してもよいし、1つまたは
複数の構成に該当してもよい。構成は、開示の1つまたは複数の例を提供することができ
る。「構成」などの語句が1つまたは複数の構成を指してもよいし、その逆も可能である
。
【0144】
「例示的な」との語は、「例、実例、例証として役立つこと」を意味するために本明細
書で使用される。「例示的」として、または「例」として本明細書で説明される任意の実
施形態は、必ずしも他の実施形態に対して好ましい、または有利であるとはみなされない
。また、説明または請求項において「含む」、「有する」などの用語が使用される限りに
おいて、このような用語は、「備える」が請求項において移行語として採用される場合に
解釈されるように、「備える」という用語に類似して包含的であることが図られている。
また、説明または請求項において「含む」、「有する」などの用語が使用される限りにお
いて、このような用語は、「備える」が請求項において移行語として採用される場合に解
釈されるように、「備える」という用語に類似して包含的であることが図られている。
【0145】
当業者に既知の、または後に知られることになる、本開示を通して説明される様々な態
様の要素に対するすべての構造に関する均等物、及び機能に関する均等物は、参照によっ
て明示的に本明細書に組み入れられ、請求項に包含されることが図られている。さらに、
本明細書で開示されるもので、このような開示が明示的に請求項に記載されるか否かにか
かわらず公開されることに特化されるように図られるものはない。米国特許法第112条
第6パラグラフの条項下で解釈される請求項要素は、当該要素が「する手段」との語句を
用いて明示的に記載されること、または方法の請求項の場合には当該要素が「するステッ
プ」との語句を用いて記載されることがない限り、ない。
【0146】
単数形の要素への言及は、特に述べない限り、「1つ、かつ唯一」を意味するようには
図られておらず、「1つまたは複数」であるように図られている。特段の指定がない限り
、「いくつかの」という用語は、1つまたは複数のことを指す。男性語の代名詞(例えば
、彼の)は、女性語及び中性語(例えば、彼女の、及びその)を含み、その逆も可能であ
る。見出し及び小見出しは、もしある場合には、便宜上使用されるにすぎず、主題開示を
限定しない。
【0147】
本明細書は多くの詳細を含むが、これらは、権利主張され得るものの範囲に対する限定
とみなされるものではなく、主題の特定の実施の説明であるとみなされるものである。別
々の実施形態の文脈において本明細書で説明される特定の特徴を、単一の実施形態におい
て組み合わせで実施することもできる。逆に、単一の実施形態の文脈において説明される
様々な特徴を、複数の実施形態で別々に、または公的なサブコンビネーションで実施する
こともできる。さらに、特徴は特定の組み合わせで作用するように上述され、最初にその
ようにも権利主張され得るが、権利主張される組み合わせからの1つまたは複数の特徴は
、場合によっては当該組み合わせから削除されることが可能であり、当該権利主張される
組み合わせはサブコンビネーションまたはサブコンビネーションの変形を対象とし得る。
【手続補正書】
【提出日】2022-07-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
近接場磁気結合を介して電気エネルギーの無線伝送に係わるように構成されたトランスミッタアンテナと、
(a) 所定の周波数範囲内で電力を無線伝送するように構成されたいずれかのレシーバ
モジュールがトランスミッタモジュールの近接場にあるか否かを感知し、(b)その感知に基づいてトランスミッタアンテナによる電気エネルギーの無線伝送の活性化状態を制御するように構成された制御回路と
を備え、
前記制御回路が、
(1)エンベロープ検出器から成り、前記トランスミッタアンテナによって検出され、所
定の周波数範囲内で電力を無線送信するように構成されたいずれかのレシーバーモ
ジュールがトランスミッタモジュールの近接場にあるか否かに依存するインピーダ
ンスを現わす電圧レベルを出力するように構成された第1の回路と、
(2)(i)前記第1の回路によって出力されたら電圧レベルをモニターし、(ii)そのモニ
ターした電圧レベルに基づいて、前記トランスミッタアンテによる電気エネルギー
の無線伝送の活性化状態を変えるべきか否かを決定するように構成された第2の回
路と、
を備えたことを特徴とする所定の周波数範囲内で電力を無線伝送するように構成されたトランスミッタモジュール。
【請求項2】
前記エンベロープ検出器は、互いに電気的に直列に接続された第1の抵抗と第2の抵抗を備え、前記第1の回路により出力された電圧レベルが前記第1の抵抗と前記第2の抵抗との間にあるノードの電圧レベルから成る請求項1に記載のトランスミッタモジュール。
【請求項3】
前記エンベロープ検出器は、さらに、前記第1の抵抗とトランスミッタアンテナとの間に電気的に接続されたダイオードから成る請求項2に記載のトランスミッタモジュール。
【請求項4】
前記エンベロープ検出器は、さらに、前記第1の抵抗と前記第2の抵抗との間にあるノードに接続されたキャパシタから成る請求項2に記載のトランスミッタモジュール。
【請求項5】
前記第2の回路は、前記第1の回路により出力された電圧レベルを増幅するように構成された増幅器から成る請求項1に記載のトランスミッタモジュール。
【請求項6】
前記第2の回路がADコンバータから成る請求項1に記載のトランスミッタモジュール。
【請求項7】
前記第2の回路が作動増幅器から成る請求項1に記載のトランスミッタモジュール。
【請求項8】
前記第2の回路は、電圧レベルを周期的にサンプリングすることによって前記第1の回路により出力される電圧レベルをモニターするように構成された請求項1に記載のトランスミッタモジュール。
【請求項9】
前記第2の回路は、モニターされた電圧レベルがしきい値量だけ変化したか否かを決定することによりトランスミッタアンテナによる電気エネルギーの無線伝送の活性化状態を変えるべきかどうかを決定するように構成された請求項1に記載のトランスミッタモジュール。
【請求項10】
前記第2の回路は、(i) 前記モニターされた電圧レベルがしきい値量だけ変化したと決定されなかった場合は、トランスミッタアンテナによる電気エネルギーの無線伝送の活性化状態を変える必要はないと決定するか、(ii) 前記モニターされた電圧レベルがしきい値量だけ増加したと決定された場合は、トランスミッタアンテナによる電気エネルギーの無線伝送の活性化状態を非活性状態から活性状態に変えるべきであると決定するか、または(iii)前記モニターされた電圧レベルがしきい値量だけ減少したと決定された場合は、トランスミッタアンテナによる電気エネルギーの無線伝送の活性化状態を活性状態から非活性状態に変えるべきであると決定するように構成された請求項9に記載のトランスミッタモジュール。
【請求項11】
前記第2の回路は、さらに、トランスミッタアンテナによる電気エネルギーの無線伝送の活性化状態を変えるべきか否かを示す制御信号を出力するように構成された請求項1に記載のトランスミッタモジュール。
【請求項12】
前記制御回路は、さらに、(i)前記第2の回路によって出力された制御信号を受信し、(ii)その受信した制御信号に従ってトランスミッタアンテナの活性化状態を制御するように構成された第3の回路を有する請求項11に記載のトランスミッタモジュール。
【請求項13】
前記第3の回路は、その受信した制御信号がトランスミッタアンテナによる電気エネルギーの無線伝送の活性化状態を非活性状態から活性状態に変えるべきであることを示す場合は、レシーバモジュールに対して確定ステージ(identification stage)を開始するように構成された請求項12に記載のトランスミッタモジュール。
【請求項14】
前記第3の回路はマイクロコントローラから成る請求項12に記載のトランスミッタモジュール。
【請求項15】
パワーステージインバータとインピーダンスマッチング回路とをさらに備え、前記パワーステージインバータが前記インピーダンスマッチング回路を介してトランスミッタアンテナに接続された請求項1に記載のトランスミッタモジュール。
【請求項16】
前記第1の回路は、前記トランスミッタアンテナと前記インピーダンスマッチング回路との間にあるノードに接続された請求項15に記載のトランスミッタモジュール。
【請求項17】
前記制御回路は、さらに、(a)何か不要なものがトランスミッタモジュールの近接場にあることを感知し、(b)感知したときは、トランスミッタアンテナによる電気エネルギーの無線伝送の活性化状態を制御するようにさらに構成された請求項1に記載のトランスミッタモジュール。
【請求項18】
前記制御回路は、さらに、(a)トランスミッタモジュール内の温度レベルをモニターし、(b)そのモニターした温度レベルに基づいてトランスミッタアンテナによる電気エネルギーの無線伝送の活性化状態を制御するように構成された請求項1に記載のトランスミッタモジュール。
【請求項19】
近接場磁気結合を介して電気エネルギーの無線伝送に係わるように構成されたトランスミッタアンテナと、
(a) 所定の周波数範囲内で電力を無線伝送するように構成されたいずれかのレシーバモジュールがトランスミッタモジュールの近接場にあるか否かを感知し、(b)その感知に基づいてトランスミッタアンテナによる電気エネルギーの無線伝送の活性化状態を制御するように構成された制御回路と
を備え、
前記制御回路が、
(1)少なくとも1つの抵抗から成り、前記トランスミッタアンテナによって検出され、
所定の周波数範囲内で電力を無線送信するように構成されたいずれかのレシーバー
モジュールがトランスミッタモジュールの近接場にあるか否かに依存するインピー
ダンスを現わす電圧レベルを出力するように構成された第1の回路と、
(2)(i)前記第1の回路によって出力されたら電圧レベルをモニターし、(ii)そのモニ
ターした電圧レベルに基づいて、前記トランスミッタアンテによる電気エネルギー
の無線伝送の活性化状態を変えるべきか否かを決定するように構成された第2の回
路と、
を備えたことを特徴とする所定の周波数範囲内で電力を無線伝送するように構成されたトランスミッタモジュール。
【請求項20】
前記第2の回路がADコンバータから成る請求項19に記載のトランスミッタモジュール。
【請求項21】
前記第2の回路が作動増幅器から成る請求項19に記載のトランスミッタモジュール。
【請求項22】
前記第2の回路は、電圧レベルを周期的にサンプリングすることによって前記第1の回路により出力される電圧レベルをモニターするように構成されている請求項19に記載のトランスミッタモジュール。
【請求項23】
前記第2の回路は、モニターされた電圧レベルがしきい値量だけ変化したか否かを決定することによりトランスミッタアンテナによる電気エネルギーの無線伝送の活性化状態を変えるべきかどうかを決定するように構成された請求項19に記載のトランスミッタモジュール。
【請求項24】
前記第2の回路は、(i) 前記モニターされた電圧レベルがしきい値量だけ変化したと決定されなかった場合は、トランスミッタアンテナによる電気エネルギーの無線伝送の活性化状態を変える必要はないと決定するか、(ii) 前記モニターされた電圧レベルがしきい値量だけ増加したと決定された場合は、トランスミッタアンテナによる電気エネルギーの無線伝送の活性化状態を非活性状態から活性状態に変えるべきであると決定するか、または(iii) 前記モニターされた電圧レベルがしきい値量だけ減少したと決定された場合は、トランスミッタアンテナによる電気エネルギーの無線伝送の活性化状態を活性状態から非活性状態に変えるべきであると決定するように構成された請求項23に記載のトランスミッタモジュール。
【請求項25】
前記第2の回路は、さらに、トランスミッタアンテナによる電気エネルギーの無線伝送の活性化状態を変えるべきか否かを示す制御信号を出力するように構成された請求項19に記載のトランスミッタモジュール。
【請求項26】
前記制御回路は、さらに、(i)前記第2の回路によって出力された制御信号を受信し、(ii)その受信した制御信号に従ってトランスミッタアンテナの活性化状態を制御するように構成された第3の回路を有する請求項25に記載のトランスミッタモジュール。
【請求項27】
前記第3の回路は、その受信した制御信号がトランスミッタアンテナによる電気エネルギーの無線伝送の活性化状態を非活性状態から活性状態に変えるべきであることを示す場合は、レシーバモジュールに対して確定ステージ(identification stage)を開始するように構成された請求項26に記載のトランスミッタモジュール。
【請求項28】
前記第3の回路はマイクロコントローラから成る請求項25に記載のトランスミッタモジュール。
【請求項29】
前記制御回路は、さらに、(a)何か不要なものがトランスミッタモジュールの近接場にあることを感知し、(b)感知したときは、トランスミッタアンテナによる電気エネルギーの無線伝送の活性化状態を制御するようにさらに構成された請求項19に記載のトランスミッタモジュール。
【請求項30】
前記制御回路は、さらに、(a)トランスミッタモジュール内の温度レベルをモニターし、(b)そのモニターした温度レベルに基づいてトランスミッタアンテナによる電気エネルギーの無線伝送の活性化状態を制御するように構成された請求項19に記載のトランスミッタモジュール。