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特開2022-137159抗APOC3抗体およびその使用方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022137159
(43)【公開日】2022-09-21
(54)【発明の名称】抗APOC3抗体およびその使用方法
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/13 20060101AFI20220913BHJP
   C12N 15/62 20060101ALI20220913BHJP
   C12N 15/63 20060101ALI20220913BHJP
   C07K 16/18 20060101ALI20220913BHJP
   C07K 16/46 20060101ALI20220913BHJP
   C07K 19/00 20060101ALI20220913BHJP
   C12P 21/08 20060101ALI20220913BHJP
   C12N 1/15 20060101ALI20220913BHJP
   C12N 1/19 20060101ALI20220913BHJP
   C12N 1/21 20060101ALI20220913BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20220913BHJP
   A61K 31/366 20060101ALI20220913BHJP
   A61K 31/397 20060101ALI20220913BHJP
   A61K 31/40 20060101ALI20220913BHJP
   A61K 31/401 20060101ALI20220913BHJP
   A61K 31/47 20060101ALI20220913BHJP
   A61K 38/16 20060101ALI20220913BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20220913BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20220913BHJP
   A61K 45/06 20060101ALI20220913BHJP
   A61P 3/06 20060101ALI20220913BHJP
   A61P 9/10 20060101ALI20220913BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20220913BHJP
【FI】
C12N15/13 ZNA
C12N15/62 Z
C12N15/63 Z
C07K16/18
C07K16/46
C07K19/00
C12P21/08
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
A61K31/366
A61K31/397
A61K31/40
A61K31/401
A61K31/47
A61K38/16
A61K39/395 D
A61K39/395 N
A61K45/00
A61K45/06
A61P3/06
A61P9/10
A61P43/00 121
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022109837
(22)【出願日】2022-07-07
(62)【分割の表示】P 2019521522の分割
【原出願日】2017-07-07
(31)【優先権主張番号】62/360,084
(32)【優先日】2016-07-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/491,591
(32)【優先日】2017-04-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】519005473
【氏名又は名称】スターテン・バイオテクノロジー・ベー・フェー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ポール・ダシルヴァ-ジャーディン
(72)【発明者】
【氏名】ハンス・デ・ハールト
(72)【発明者】
【氏名】ジェームズ・エー・ランドロ
(57)【要約】      (修正有)
【課題】肝細胞によるTRL摂取を阻害するApoC3の能力を減弱させることができ、高トリグリセリド血症および関連する疾患(例えば、心血管疾患および膵炎)の治療および予防に有用な抗ApoC3抗体を提供する。
【解決手段】ApoC3に特異的に結合し、超低密度リポタンパク質(VLDL)の肝細胞摂取を阻害するApoC3の能力を減弱させる、単離された抗体、これらの抗体を含む医薬組成物、これらの抗体をコードする核酸、これらの抗体を作製するための発現ベクターおよび宿主細胞、ならびにこれらの抗体を使用して対象を治療する方法を提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ApoC3に特異的に結合し、超低密度リポタンパク質(VLDL)の肝細胞摂取を阻害するApoC3の能力を減弱させる、単離された抗体。
【請求項2】
前記抗体が、対象における食後脂肪血症を阻害することができる、請求項1に記載の単離された抗体。
【請求項3】
前記抗体が、対象の血液からのApoBのクリアランスの速度を増加させることができる、請求項1または2に記載の単離された抗体。
【請求項4】
前記抗体が、対象の血液中のApoBレベルを低減させることができる、請求項1~3のいずれか1項に記載の単離された抗体。
【請求項5】
前記抗体が、VLDLのリポタンパク質リパーゼ媒介性脂肪分解を阻害するApoC3の能力を減弱させる、請求項1~4のいずれか1項に記載の単離された抗体。
【請求項6】
前記抗体が、脂肪へのApoC3の結合を阻害する、請求項1~5のいずれか1項に記載の単離された抗体。
【請求項7】
前記抗体が、脂肪結合ApoC3に結合することができる、請求項1~5のいずれか1項に記載の単離された抗体。
【請求項8】
ApoC3に特異的に結合する単離された抗体であって、前記抗体が、配列番号2[GWVTDGFSSLK]に記載されるアミノ酸配列内のエピトープに結合する、単離された抗体。
【請求項9】
前記エピトープが、配列番号2の1、4、6、7、9、または10位のアミノ酸のうちの少なくとも1つを含む、請求項8に記載の単離された抗体。
【請求項10】
前記エピトープが、配列番号2の4および9位のアミノ酸を含む、請求項8に記載の単離された抗体。
【請求項11】
前記エピトープが、配列番号2の4、6、および9位のアミノ酸を含む、請求項8に記載の単離された抗体。
【請求項12】
前記エピトープが、配列番号2の1、4、6、および9位のアミノ酸を含む、請求項8に記載の単離された抗体。
【請求項13】
前記エピトープが、配列番号2の1、4、6、7、9、および10位のアミノ酸を含む、請求項8に記載の単離された抗体。
【請求項14】
前記抗体が、VLDLのリポタンパク質リパーゼ媒介性脂肪分解を阻害するApoC3の能力を減弱させる、請求項8~13のいずれか1項に記載の単離された抗体。
【請求項15】
前記抗体が、脂肪へのApoC3の結合を阻害する、請求項8~14のいずれか1項に記載の単離された抗体。
【請求項16】
ApoC3に特異的に結合する単離された抗体であって、前記抗体が、配列番号3[FSEFWDLDPE]に記載されるアミノ酸配列内のエピトープに結合する、単離された抗体。
【請求項17】
前記エピトープが、配列番号3の2、5、6、8、または10位のアミノ酸のうちの少なくとも1つを含む、請求項16に記載の単離された抗体。
【請求項18】
前記エピトープが、配列番号3の5および6位のアミノ酸を含む、請求項16に記載の単離された抗体。
【請求項19】
前記エピトープが、配列番号3の2、5、6、および8位のアミノ酸を含む、請求項16に記載の単離された抗体。
【請求項20】
前記エピトープが、配列番号3の10位のアミノ酸を含む、請求項16に記載の単離された抗体。
【請求項21】
前記エピトープが、配列番号3の6、8、および10位のアミノ酸を含む、請求項16に記載の単離された抗体。
【請求項22】
前記エピトープが、配列番号3の6および8位のアミノ酸を含む、請求項16に記載の単離された抗体。
【請求項23】
前記抗体が、脂質結合ApoC3に結合することができる、請求項16~22のいずれか1項に記載の単離された抗体。
【請求項24】
前記抗体が、超低密度リポタンパク質(VLDL)の肝細胞摂取を阻害するApoC3の能力を減弱させる、請求項16~23のいずれか1項に記載の単離された抗体。
【請求項25】
前記抗体が、対象における食後脂肪血症を阻害することができる、請求項16~24のいずれか1項に記載の単離された抗体。
【請求項26】
前記抗体が、対象の血液からのApoBのクリアランスの速度を増加させることができる、請求項16~25のいずれか1項に記載の単離された抗体。
【請求項27】
前記抗体が、対象の血液中のApoBレベルを低減させることができる、請求項16~26のいずれか1項に記載の単離された抗体。
【請求項28】
相補性決定領域CDRH1、CDRH2、およびCDRH3を有する重鎖可変領域と、相補性決定領域CDRL1、CDRL2、およびCDRL3を有する軽鎖可変領域と、を含む、ApoC3に特異的に結合する単離された抗体であって、CDRH1、CDRH2、CDRH3、CDRL1、CDRL2、およびCDRL3がそれぞれ、配列番号4、5、6、73、74、および75;7、8、9、76、77、および78;10、11、12、79、80、および81;13、14、15、82、83、および84;16、17、18、85、86、および87;19、20、21、88、83、および89;22、23、24、90、91、および92;25、26、27、82、93、および94;28、29、30、95、96、および97;16、31、32、98、99、および100;33、34、35、101、99、および102;25、36、37、103、104、および105;38、39、40、82、106、および107;41、42、43、108、109、および110;7、8、9、111、83、および113;47、48、49、82、114、および115;50、51、52、116、117、および118;53、54、55、119、120、および121;56、57、58、122、123、および124;59、60、61、125、83、および126;62、63、64、127、128、および129;65、66、67、82、114、および130;68、69、70、131、132、および133;または68、71、72、124、135、および136に記載されるアミノ酸配列を含む、単離された抗体。
【請求項29】
ApoC3に特異的に結合する単離された抗体であって、前記抗体が、配列番号137~160からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む、単離された抗体。
【請求項30】
ApoC3に特異的に結合する単離された抗体であって、前記抗体が、配列番号161~183および151からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、単離された抗体。
【請求項31】
ApoC3に特異的に結合する単離された抗体であって、前記抗体が、重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含み、前記重鎖可変領域および前記軽鎖可変領域はそれぞれ、配列番号137および161、138および162、139および163、140および164、141および165、142および166、143および167、144および168、145および169、146および170、147および171、148および172、149および173、150および174、138および175、152および176、153および177、154および178、155および179、156および180、157および181、158および182、159および183、または160および151に記載されるアミノ酸配列を含む、単離された抗体。
【請求項32】
ApoC3への結合について請求項28~31のいずれか1項に記載の抗体と競合する、単離された抗体。
【請求項33】
請求項28~31のいずれか1項に記載の抗体と同じApoC3のエピトープに結合する、単離された抗体。
【請求項34】
前記抗体が、超低密度リポタンパク質(VLDL)の肝細胞摂取を阻害するApoC3の能力を減弱させる、請求項8~33のいずれか1項に記載の単離された抗体。
【請求項35】
前記抗体が、対象における食後脂肪血症を阻害することができる、請求項8~34のいずれか1項に記載の単離された抗体。
【請求項36】
前記抗体が、対象の血液からのApoBのクリアランスの速度を増加させることができる、請求項8~35のいずれか1項に記載の単離された抗体。
【請求項37】
前記抗体が、対象の血液中のApoBレベルを低減させることができる、請求項8~36のいずれか1項に記載の単離された抗体。
【請求項38】
前記抗体が、VLDLのリポタンパク質リパーゼ媒介性脂肪分解を阻害するApoC3の能力を減弱させる、請求項8~37のいずれか1項に記載の単離された抗体。
【請求項39】
前記抗体が、脂肪へのApoC3の結合を阻害する、請求項8~38のいずれか1項に記載の単離された抗体。
【請求項40】
前記抗体が、脂質結合ApoC3に結合することができる、請求項8~38のいずれか1項に記載の単離された抗体。
【請求項41】
請求項1~40のいずれか1項に記載の抗体と薬学的に許容される担体とを含む、医薬組成物。
【請求項42】
請求項1~41のいずれか1項に記載の抗体の重鎖可変領域または軽鎖可変領域をコードする、ポリヌクレオチド。
【請求項43】
請求項42に記載のポリヌクレオチドを含む、発現ベクター。
【請求項44】
請求項43に記載の発現ベクターを含む、宿主細胞。
【請求項45】
ApoC3に結合する抗体を産生するための方法であって、前記方法が、前記抗体の発現を可能にする条件下で、請求項44に記載の宿主細胞を培養することを含む、方法。
【請求項46】
対象の血液中のApoC3の活性を阻害するための方法であって、前記方法が、有効量の請求項1~41のいずれか1項に記載の抗体または医薬組成物を前記対象に投与することを含む、方法。
【請求項47】
対象の血液中のトリグリセリドレベルを低減させるための方法であって、前記方法が、有効量の
請求項1~41のいずれか1項に記載の抗体または医薬組成物を前記対象に投与することを含む、方法。
【請求項48】
対象における食後脂肪血症を阻害するための方法であって、前記方法が、有効量の請求項1~41のいずれか1項に記載の抗体または医薬組成物を前記対象に投与することを含む、方法。
【請求項49】
対象における高トリグリセリド血症を治療するための方法であって、前記方法が、有効量の請求項1~41のいずれか1項に記載の抗体または医薬組成物を前記対象に投与することを含む、方法。
【請求項50】
対象におけるカイロミクロン血症を治療するための方法であって、前記方法が、有効量の請求項1~41のいずれか1項に記載の抗体または医薬組成物を前記対象に投与することを含む、方法。
【請求項51】
高トリグリセリド血症を有する対象における心血管疾患のリスクを低減させるための方法であって、前記方法が、有効量の請求項1~41のいずれか1項に記載の抗体または医薬組成物を前記対象に投与することを含む、方法。
【請求項52】
前記心血管疾患が、心筋梗塞である、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
前記心血管疾患が、狭心症である、請求項51に記載の方法。
【請求項54】
前記心血管疾患が、脳卒中である、請求項51に記載の方法。
【請求項55】
前記心血管疾患が、アテローム性動脈硬化症である、請求項51に記載の方法。
【請求項56】
前記抗体が、前記対象の血液中のカイロミクロンまたはカイロミクロンレムナントレベルを低減させる、請求項46~55のいずれか1項に記載の方法。
【請求項57】
前記対象が、追加の脂質低下薬を受けている、請求項46~56のいずれか1項に記載の方法。
【請求項58】
前記追加の脂質低下薬が、HMG-CoA還元酵素阻害薬である、請求項57に記載の方法。
【請求項59】
前記HMG-CoA還元酵素阻害薬が、アトルバスタチン、フルバスタチン、ロバスタチン、ピタバスタチン、プラバスタチン、ロスバスタチン、またはシンバスタチンである、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
前記追加の脂質低下薬が、PCSK9阻害薬である、請求項57に記載の方法。
【請求項61】
前記PCSK9阻害薬が、アリロクマブ、エボロクマブ、またはボコシズマブである、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
前記追加の脂質低下薬が、エゼチミブである、請求項57に記載の方法。
【請求項63】
前記追加の脂質低下薬が、エゼチミブとHMG-CoA還元酵素阻害薬との組み合わせである、請求項57に記載の方法。
【請求項64】
前記追加の脂質低下薬が、エゼチミブとHMG-CoA還元酵素阻害薬とPCSK9阻害薬との組み合わせである、請求項57に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2016年7月8日出願の米国仮特許出願第62/360,084号および2017年4月28日出願の同第62/491,591号の利益を主張し、これらの各々は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれている。
【0002】
本開示は、ApoC3(例えば、ヒトApoC3)に特異的に結合する抗体、およびそれを使用する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
上昇した血中トリグリセリドレベル(高トリグリセリド血症)は、アテローム性動脈硬化症の要因であり、心血管死、狭心症、心筋梗塞、および脳卒中などの心血管事象のリスクを高める。
【0004】
ApoC3は、非常に高い濃度(10μΜ超)で血中を循環するタンパク質であり、そのほとんどが、高トリグリセリドリポタンパク質(TRL)、TRLレムナント、および高密度リポタンパク質に結合している。ApoC3は、血中トリグリセリドレベルの重要な制御因子であると考えられる。例えば、ヒトにおけるApoC3レベルは、血中トリグリセリドレベルと正に相関し、上昇したApoC3レベルが高トリグリセリド血症と関連することが示されている。さらに、ApoC3は、リポタンパク質リパーゼ(TRL中のトリグリセリドを加水分解する酵素)の活性を阻害し、またTRLレムナントの肝摂取を阻害することが示されており、これらはいずれも血中トリグリセリドレベルの上昇を引き起こす。
【0005】
治療高トリグリセリド血症のためのいくつかの認可された療法が存在する(例えば、フィブラート、ニコチン酸、およびω3脂肪酸)。しかしながら、これらの療法は、血漿トリグリセリドの低下について中程度にのみ効果的である。したがって、血漿トリグリセリドを低下させるための改善された療法が当該技術分野において必要とされている。
【発明の概要】
【0006】
本開示は、ApoC3(例えば、ヒトApoC3)に特異的に結合し、ApoC3機能を阻害する抗体(例えば、単離された抗体)を提供する。また、これらの抗体を含む医薬組成物、これらの抗体をコードする核酸、これらの抗体を作製するための発現ベクターおよび宿主細胞、ならびにこれらの抗体を使用して対象を治療する方法も提供される。ある特定の実施形態では、本明細書に開示される抗ApoC3抗体は、肝細胞によるTRL摂取を阻害するApoC3の能力を減弱させることができる。したがって、開示される抗ApoC3抗体は、高トリグリセリド血症および関連する疾患(例えば、心血管疾患および膵炎)の治療および予防に有用である。
【0007】
したがって、一態様では、本開示は、ApoC3に特異的に結合し、超低密度リポタンパク質(VLDL)の肝細胞摂取を阻害するApoC3の能力を減弱させる抗体を提供する。ある特定の実施形態では、抗体は、対象の食後脂肪血症を阻害することができる。ある特定の実施形態では、抗体は、対象の血液からのApoBのクリアランスの速度を増加させることができる。ある特定の実施形態では、抗体は、対象の血液中のApoBレベルを低減させることができる。ある特定の実施形態では、抗体は、VLDLのリポタンパク質媒介性脂質分解を阻害するApoC3の能力を減弱させる。ある特定の実施形態では、抗体は、脂質へのApoC3の結合を阻害する。ある特定の実施形態では、抗体は、脂質結合ApoC3に結合することができる。
【0008】
いくつかの別個の種類の抗ApoC3抗体が本明細書に開示され、これらは各々、ApoC3の異なる新規のエピトープに結合し、異なる機能特性を有する。例えば、ある特定の実施形態では、本明細書に開示される抗ApoC3抗体は、配列番号3[FSEFWDLDPE]に記載されるアミノ酸配列内のエピトープに結合し、脂質結合ApoC3に結合することができる。代替的には、ある特定の実施形態では、本明細書に開示される抗ApoC3抗体は、配列番号2[GWVTDGFSSLK]に記載されるアミノ酸配列内のエピトープに結合し、脂質へのApoC3の結合を阻害する。
【0009】
したがって、別の態様では、本開示は、ApoC3に特異的に結合する単離された抗体であって、配列番号2[GWVTDGFSSLK]に記載されるアミノ酸配列内のエピトープに結合する、単離された抗体を提供する。ある特定の実施形態では、エピトープは、配列番号2の1、4、6、7、9、または10位のアミノ酸のうちの少なくとも1つを含む。ある特定の実施形態では、エピトープは、配列番号2の4および9位のアミノ酸を含む。ある特定の実施形態では、エピトープは、配列番号2の4、6、および9位のアミノ酸を含む。ある特定の実施形態では、エピトープは、配列番号2の1、4、6、および9位のアミノ酸を含む。ある特定の実施形態では、エピトープは、配列番号2の1、4、6、7、9、および10位のアミノ酸を含む。ある特定の実施形態では、抗体は、VLDLのリポタンパク質媒介性脂質分解を阻害するApoC3の能力を減弱させる。ある特定の実施形態では、抗体は、脂質へのApoC3の結合を阻害する。
【0010】
別の態様では、本開示は、ApoC3に特異的に結合する単離された抗体であって、配列番号3[FSEFWDLDPE]に記載されるアミノ酸配列内のエピトープに結合する、単離された抗体を提供する。ある特定の実施形態では、エピトープは、配列番号3の2、5、6、8、または10位のアミノ酸のうちの少なくとも1つを含む。ある特定の実施形態では、エピトープは、配列番号3の5および6位のアミノ酸を含む。ある特定の実施形態では、エピトープは、配列番号3の2、5、6、および8位のアミノ酸を含む。ある特定の実施形態では、エピトープは、配列番号3の10位のアミノ酸を含む。ある特定の実施形態では、エピトープは、配列番号3の6、8、および10位のアミノ酸を含む。ある特定の実施形態では、エピトープは、配列番号3の6および8位のアミノ酸を含む。ある特定の実施形態では、抗体は、脂質結合ApoC3に結合することができる。ある特定の実施形態では、抗体は、超低密度リポタンパク質(VLDL)の肝細胞摂取を阻害するApoC3の能力を減弱させる。ある特定の実施形態では、抗体は、対象の食後脂肪血症を阻害することができる。ある特定の実施形態では、抗体は、対象の血液からのApoBのクリアランスの速度を増加させることができる。ある特定の実施形態では、抗体は、対象の血液中のApoBレベルを低減させることができる。
【0011】
別の態様では、本開示は、相補性決定領域CDRH1、CDRH2、およびCDRH3を有する重鎖可変領域と、相補性決定領域CDRL1、CDRL2、およびCDRL3を有する軽鎖可変領域と、を含む、ApoC3に特異的に結合する単離された抗体であって、CDRH1、CDRH2、CDRH3、CDRL1、CDRL2、およびCDRL3がそれぞれ、配列番号4、5、6、73、74、および75;7、8、9、76、77、および78;10、11、12、79、80、および81;13、14、15、82、83、および84;16、17、18、85、86、および87;19、20、21、88、83、および89;22、23、24、90、91、および92;25、26、27、82、93、および94;28、29、30、95、96、および97;16、31、32、98、99、および100;33、34、35、101、99、および102;25、36、37、103、104、および105;38、39、40、82、106、および107;41、42、43、108、109、および110;7、8、9、111、83、および113;47、48、49、82、114、および115;50、51、52、116、117、および118;53、54、55、119、120、および121;56、57、58、122、123、および124;59、60、61、125、83、および126;62、63、64、127、128、および129;65、66、67、82、114、および130;68、69、70、131、132、および133;または68、71、72、124、135、および136に記載されるアミノ酸配列を含む、単離された抗体を提供する。
【0012】
別の態様では、本開示は、ApoC3に特異的に結合する単離された抗体であって、配列番号137~160からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む、単離された抗体を提供する。別の態様では、本開示は、ApoC3に特異的に結合する単離された抗体であって、配列番号161~183および151からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、単離された抗体を提供する。別の態様では、本開示は、ApoC3に特異的に結合する単離された抗体であって、重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含み、前記重鎖可変領域および前記軽鎖可変領域はそれぞれ、配列番号137および161、138および162、139および163、140および164、141および165、142および166、143および167、144および168、145および169、146および170、147および171、148および172、149および173、150および174、138および175、152および176、153および177、154および178、155および179、156および180、157および181、158および182、159および183、または160および151に記載されるアミノ酸配列を含む、単離された抗体を提供する。
【0013】
別の態様では、本開示は、ApoC3への結合について、相補性決定領域CDRH1、CDRH2、およびCDRH3を有する重鎖可変領域と相補性決定領域CDRL1、CDRL2、およびCDRL3を有する軽鎖可変領域とを含む抗体であって、当該CDRH1、CDRH2、CDRH3、CDRL1、CDRL2、およびCDRL3がそれぞれ、配列番号4、5、6、73、74、および75;7、8、9、76、77、および78;10、11、12、79、80、および81;13、14、15、82、83、および84;16、17、18、85、86、および87;19、20、21、88、83、および89;22、23、24、90、91、および92;25、26、27、82、93、および94;28、29、30、95、96、および97;16、31、32、98、99、および100;33、34、35、101、99、および102;25、36、37、103、104、および105;38、39、40、82、106、および107;41、42、43、108、109、および110;7、8、9、111、83、および113;47、48、49、82、114、および115;50、51、52、116、117、および118;53、54、55、119、120、および121;56、57、58、122、123、および124;59、60、61、125、83、および126;62、63、64、127、128、および129;65、66、67、82、114、および130;68、69、70、131、132、および133;または68、71、72、124、135、および136に記載されるアミノ酸配列を含む、抗体と競合する抗体を提供する。
【0014】
別の態様では、本開示は、ApoC3への結合について、配列番号137~160からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む抗体と競合する抗体を提供する。別の態様では、本開示は、ApoC3への結合について、配列番号161~183および151からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む抗体と競合する抗体を提供する。別の態様では、本開示は、ApoC3への結合について、重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含む抗体であって、当該重鎖可変領域および前記軽鎖可変領域はそれぞれ、配列番号137および161、138および162、139および163、140および164、141および165、142および166、143および167、144および168、145および169、146および170、147および171、148および172、149および173、150および174、138および175、152および176、153および177、154および178、155および179、156および180、157および181、158および182、159および183、または160および151に記載されるアミノ酸配列を含む、抗体と競合する抗体を提供する。
【0015】
別の態様では、本開示は、相補性決定領域CDRH1、CDRH2、およびCDRH3を有する重鎖可変領域と相補性決定領域CDRL1、CDRL2、およびCDRL3を有する軽鎖可変領域とを含む抗体であって、CDRH1、CDRH2、CDRH3、CDRL1、CDRL2、およびCDRL3がそれぞれ、4、5、6、73、74、および75;7、8、9、76、77、および78;10、11、12、79、80、および81;13、14、15、82、83、および84;16、17、18、85、86、および87;19、20、21、88、83、および89;22、23、24、90、91、および92;25、26、27、82、93、および94;28、29、30、95、96、および97;16、31、32、98、99、および100;33、34、35、101、99、および102;25、36、37、103、104、および105;38、39、40、82、106、および107;41、42、43、108、109、および110;7、8、9、111、83、および113;47、48、49、82、114、および115;50、51、52、116、117、および118;53、54、55、119、120、および121;56、57、58、122、123、および124;59、60、61、125、83、および126;62、63、64、127、128、および129;65、66、67、82、114、および130;68、69、70、131、132、および133;または68、71、72、124、135、および136に記載されるアミノ酸配列を含む、抗体と同じApoC3のエピトープに結合する抗体を提供する。
【0016】
別の態様では、本開示は、配列番号137~160からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む抗体と同じApoC3のエピトープに結合する抗体を提供する。別の態様では、本開示は、配列番号161~183および151からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む抗体と同じApoC3のエピトープに結合する抗体を提供する。別の態様では、本開示は、重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含む抗体であって、当該重鎖可変領域および前記軽鎖可変領域はそれぞれ、配列番号137および161、138および162、139および163、140および164、141および165、142および166、143および167、144および168、145および169、146および170、147および171、148および172、149および173、150および174、138および175、152および176、153および177、154および178、155および179、156および180、157および181、158および182、159および183、または160および151に記載されるアミノ酸配列を含む、抗体と同じApoC3のエピトープに結合する抗体を提供する。
【0017】
ある特定の実施形態では、本明細書に開示される抗体は、超低密度リポタンパク質(VLDL)の肝細胞摂取を阻害するApoC3の能力を減弱させる。ある特定の実施形態では、抗体は、対象の食後脂肪血症を阻害することができる。ある特定の実施形態では、抗体は、対象の血液からのApoBのクリアランスの速度を増加させることができる。ある特定の実施形態では、抗体は、対象の血液中のApoBレベルを低減させることができる。ある特定の実施形態では、抗体は、VLDLのリポタンパク質媒介性脂質分解を阻害するApoC3の能力を減弱させる。ある特定の実施形態では、抗体は、脂質へのApoC3の結合を阻害する。ある特定の実施形態では、抗体は、脂質結合ApoC3に結合することができる。
【0018】
別の態様では、本出願は、本明細書に開示される抗体と薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物を提供する。
【0019】
別の態様では、本出願は、本明細書に開示される抗体の重鎖可変領域または軽鎖可変領域をコードするポリヌクレオチド(例えば、単離されたポリヌクレオチド)を提供する。別の態様では、本出願は、ポリヌクレオチドを含む発現ベクターを提供する。別の態様では、本出願は、発現ベクターを含む宿主細胞を提供する。別の態様では、本出願は、ApoC3に結合する抗体を産生するための方法を提供し、当該方法は、抗体の発現を可能にする条件下で宿主細胞を培養することを含む。
【0020】
別の態様では、本出願は、対象の血液中のApoC3の活性を阻害するための方法を提供し、当該方法は、有効量の本明細書に開示される抗体または医薬組成物を対象に投与することを含む。別の態様では、本出願は、対象の血液中のトリグリセリドレベルを低減させるための方法を提供し、当該方法は、有効量の本明細書に開示される抗体または医薬組成物を対象に投与することを含む。別の態様では、本出願は、対象における食後脂肪血症を阻害するための方法を提供し、当該方法は、有効量の本明細書に開示される抗体または医薬組成物を対象に投与することを含む。別の態様では、本出願は、対象における高トリグリセリド血症を治療するための方法を提供し、当該方法は、有効量の本明細書に開示される抗体または医薬組成物を対象に投与することを含む。別の態様では、本出願は、対象におけるカイロミクロン血症を治療するための方法を提供し、当該方法は、有効量の本明細書に開示される抗体または医薬組成物を対象に投与することを含む。
【0021】
別の態様では、本出願は、高トリグリセリド血症を有する患者における心血管疾患のリスクを低減させるための方法を提供し、当該方法は、有効量の本明細書に開示される抗体または医薬組成物を対象に投与することを含む。ある特定の実施形態では、心血管疾患は、心筋梗塞である。ある特定の実施形態では、心血管疾患は、狭心症である。ある特定の実施形態では、心血管疾患は、脳梗塞である。ある特定の実施形態では、心血管疾患は、アテローム性動脈硬化症である。
【0022】
ある特定の実施形態では、抗体は、対象の血液中のカイロミクロンまたはカイロミクロンレムナントレベルを低減させる。
【0023】
ある特定の実施形態では、対象は、追加の脂質低下薬を受けている。ある特定の実施形態では、追加の脂質低下薬は、HMG-CoA還元酵素阻害薬である。ある特定の実施形態では、HMG-CoA還元酵素阻害薬は、アトルバスタチン、フルバスタチン、ロバスタチン、ピタバスタチン、プラバスタチン、ロスバスタチン、またはシンバスタチンである。ある特定の実施形態では、追加の脂質低下薬は、PCSK9阻害薬である。ある特定の実施形態では、PCSK9阻害薬は、アリロクマブ、エボロクマブ、またはボコシズマブである。ある特定の実施形態では、追加の脂質低下薬は、エゼチミブである。ある特定の実施形態では、追加の脂質低下薬は、エゼチミブとHMG-CoA還元酵素阻害薬との組み合わせである。ある特定の実施形態では、追加の脂質低下薬は、エゼチミブとHMG-CoA還元酵素阻害薬とPCSK9阻害薬との組み合わせである。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】ジミリストイルホスファチジルコリン(DMPC)へのApoC3の結合に対する、ApoC3抗体の干渉を示すグラフである。ELISAマイクロプレートをDMPCでコーティングし、試験抗ApoC3抗体と混合したApoC3と共にインキュベートした。プレートに結合したままであったApoC3の量を、ELISA比色アッセイの標準ステップに従い、ビオチン化抗ApoC3ポリクローナルヤギ抗体で測定した。
【0025】
図2】抗ApoC3抗体の存在下での、VLDLへのApoC3の結合を示すグラフのセットである。パートAおよびBでは、表面プラズモン共鳴(SPR)アッセイのためにVLDLを表面上に固定化した。ApoC3単独(「ApoC3」)、14C7単独(「14C7」)、もしくはApoC3および14C7(「14C7+」)(パートA);またはApoC3単独(「ApoC3」)、5E5単独(「5E5」)、6A6単独(「6A6」)、ApoC3および5E5(「5E5+」)、もしくはApoC3および6A6(「6A6+」)(パートB)をt=1800sで注入し、緩衝液をt=2100sで注入して、未結合分子を除去した。パートCでは、Biacore LIチップ上にリポソームを捕捉し、ApoC3をt=1800sで注入し、5E5および6A6をt=4400sで注入した。SPRシグナルを測定した。
【0026】
図3】14C7および13G7が、リポタンパク質リパーゼ(LPL)活性を阻害するApoC3の能力を減弱させたことを示すグラフである。14C7、13G7、5E5、または6A6抗体をイントラリピドおよび精製ApoC3タンパク質と共にインキュベートした。非エステル化脂肪酸(NEFA)の産生を測定し、ApoC3の存在下であるが抗ApoC3抗体の不在下でのNEFA産生と比較した産生されたNEFAの割合をプロットした。
【0027】
図4】ある特定の抗ApoC3抗体はHepG2細胞による超低密度リポタンパク質(VLDL)摂取を阻害するApoC3の能力を減弱させ(パートA)、ある特定の抗ApoC3抗体は減弱させなかった(パートB)ことを示すグラフのセットである。HepG2細胞をDil VLDLおよび精製ApoC3と共に、示されるように単独または抗ApoC3抗体の存在下のいずれかでインキュベートした。「モタビズマブ」は、モタビズマブを含むが抗ApoC3抗体が添加されていない、陰性対照群を指す。HepG2細胞によって取り込まれたDil VLDLをDil染料の蛍光分光法によって測定した。
【0028】
図5】ヒトApoC3(huApoC3)またはカニクイザルApoC3(cynoApoC3)への14C7(パートA)、5A7(パートB)、5E5(パートC)、および6A6(パートD)の結合を示すグラフのセットである。
【0029】
図6】5E5(パートA)、6A6(パートB)、および14C7(パートC)のエピトープマッピングを示すグラフのセットである。7、10、または13個のアミノ酸を有する環状ApoC3ペプチドのアレイを合成した。示される抗ApoC3抗体とペプチドとの結合を測定し、結合親和性に従って強度プロットを生成した。抗体結合に寄与するアミノ酸を同定し、ハイライトした。
【0030】
図7】5E5(パートA)、6A6(パートB)、および14C7(パートC)のエピトープ置換スキャニングを示すグラフのセットである。パートAおよびBでは、他の19個のLアミノ酸で各アミノ酸を置き換える単一のアミノ酸変異を有する、13個のアミノ酸DKF SEF WDLDPEV(配列番号44)を有するApoC3ペプチドのアレイを合成した。示される抗ApoC3抗体とペプチドとの結合を測定した。野生型および変異ApoC3ペプチドの相対的結合親和性を示す置換マトリックスを結合親和性データから生成した。パートCでは、他の19個のLアミノ酸で各アミノ酸を置き換える単一のアミノ酸変異を有する、13個のアミノ酸ARGW VTDGF S SLK(配列番号45)を有するApoC3ペプチドのアレイを合成した。14C7抗ApoC3抗体とペプチドとの結合を測定した。野生型および変異ApoC3ペプチドの相対的結合親和性を示す置換マトリックスを結合親和性データから生成した。パートA、B、およびCのそれぞれにおいて、1行目は、野生型ApoC3ペプチドの配列(配列185または186)を下から上に表す。1行目に示される各位置でのアミノ酸置換は、結合親和性の順により高いもの(左)からより低いもの(右)へと並べられている。各列について、左から右に、濃淡の強度が最下点まで減少し、その後、増加する。最下点の左では、濃淡の強度は結合親和性と正に相関し、最下点の右では、濃淡の強度は結合親和性と負に相関する。
【0031】
図8】AAV8-huApoC3マウスモデルにおける循環食後脂肪血症トリグリセリドに対するhuApoC3過剰発現の効果を実証するグラフのセットである。マウスをビヒクル(「未処置」)またはAAV8-huApoC3の3xl0uウイルス粒子(「+AAVC3 14日目」)に感染させた。オリーブ油負荷後の血清トリグリセリドレベルは、AAV8-huApoC3マウスにおいてより高かった(パートA)。トリグリセリドレベルの曲線下面積(AUC)は、38%増加し、独立T検定で0.0047のp値を有した(パートB)。
【0032】
図9】は、5E5の食後脂肪血症トリグリセリド低下効果を示すグラフのセットである。3xl0uAAV8-huApoC3ウイルス粒子を受けるマウスにビヒクルまたは5E5抗体を投与した。オリーブ油の経口用量を与え、時間経過と共にトリグリセリドレベルを測定した(パートA)。曲線下面積(「AUC」)は、ビヒクル対照と比較して5E5投与で約25%低減し、0.030のp値を有した(パートB)。血清ApoC3レベル(パートC)および5E5抗体レベル(パートD)も時間経過と共に測定した。パートEでは、抗鶏卵リポソームヒトIgG抗体(「HyHEL5」)をアイソタイプ対照として使用した。
【0033】
図10】ヒトApoC3を発現するマウスへの5E5および6A6抗体の皮下注射後の、血液からのApoC3およびApoBのクリアランスの加速を示す一連のグラフである。抗鶏卵リポソームヒトIgGl抗体(HyHEL5)を5E5のアイソタイプ対照として使用し、PBSを6A6のビヒクル対照として使用した。パートCは、血漿中のヒトApoc3の濃度を示す。パートA、Bは、陰性アイソタイプ対照からの差の百分率としてグラフ化され、Dは、抗体投与の直前に採取した血液試料から測定したそれぞれのベースラインレベルに対する増減率としてグラフ化されている。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本開示は、ApoC3(例えば、ヒトApoC3)に特異的に結合し、ApoC3機能を阻害する抗体を提供する。また、これらの抗体を含む医薬組成物、これらの抗体をコードする核酸、これらの抗体を作製するための発現ベクターおよび宿主細胞、ならびにこれらの抗体を使用して対象を治療する方法も提供される。ある特定の実施形態では、本明細書に開示される抗ApoC3抗体は、肝細胞によるTRL摂取を阻害するApoC3の能力を減弱させることができる。したがって、開示される抗ApoC3抗体は、高トリグリセリド血症および関連する疾患(例えば、心血管疾患および膵炎)の治療および予防に有用である。
【0035】
いくつかの別個の種類の抗ApoC3抗体が本明細書に開示され、これらは各々、ApoC3の異なる新規のエピトープに結合し、異なる機能特性を有する。例えば、ある特定の実施形態では、本明細書に開示される抗ApoC3抗体は、配列番号3[FSEFWDLDPE]に記載されるアミノ酸配列内のエピトープに結合し、脂質結合ApoC3に結合することができる。代替的には、ある特定の実施形態では、本明細書に開示される抗ApoC3抗体は、配列番号2[GWVTDGFSSLK]に記載されるアミノ酸配列内のエピトープに結合し、脂質へのApoC3の結合を阻害する。
【0036】
1.定義
本明細書で使用される場合、「ApoC3」という用語は、アポリポタンパク質C3タンパク質を指す。ある特定の実施形態では、ApoC3は、ヒトApoC3である。例示的なヒトApoC3アミノ酸配列は、RefSeq受託番号NP000031.1に記載されている。P_000031.1の成熟アミノ酸配列は以下の通りである:SEAEDASLLSFMQGYMKHATKTAKDALSSVQESQVAQQARGWVTDGFSSLKDYWSTVKDKFSEFWDLDPEVRPTSAVAA(配列番号1)。
【0037】
本明細書で使用される場合、「抗体(antibody)」および「抗体(antibodies)」という用語には、全長抗体、全長抗体の抗原結合断片、および抗体のCDR、VH領域、またはVL領域を含む分子が含まれる。抗体の例としては、モノクローナル抗体、組換え産生された抗体、単一特異性抗体、多重特異性抗体(二重特異性抗体を含む)、ヒト抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体、免疫グロブリン、合成抗体、2つの重鎖および2つの軽鎖分子を含む四量体抗体、抗体軽鎖単量体、抗体重鎖単量体、抗体軽鎖二量体、抗体重鎖二量体、抗体軽鎖-抗体重鎖対、細胞内抗体、ヘテロコンジュゲート抗体、単一ドメイン抗体、一価抗体、一本鎖抗体または一本鎖Fvs(scFv)、scFv-Fcs、ラクダ科抗体(例えば、ラマ抗体)、ラクダ化抗体、アフィボディ、Fab断片、F(ab’)2断片、ジスルフィド結合Fvs(sdFv)、抗イディオタイプ(抗Id)抗体(例えば、抗-抗Id抗体を含む)、ならびに上記のいずれかの抗原結合断片が挙げられる。ある特定の実施形態では、本明細書に記載される抗体は、ポリクローナル抗体集団を指す。抗体は、任意の種類(例えば、IgG、IgE、IgM、IgD、IgA、もしくはIgY)、任意のクラス(例えば、IgG、IgG、IgG、IgG、IgA、もしくはIgA)、または任意のサブクラス(例えば、IgG2aもしくはIgG2b)の免疫グロブリン分子であり得る。ある特定の実施形態では、本明細書に記載される抗体は、IgG抗体、またはそのクラス(例えば、ヒトIgGもしくはIgG)もしくはサブクラスである。特定の実施形態では、抗体は、ヒト化モノクローナル抗体である。
【0038】
本明細書で使用される場合、「単離された抗体」という用語は、同定され、その天然環境の少なくとも1つの構成要素から分離および/または回収された抗体を指す。「単離された抗体」という用語には、組換え宿主細胞内での原位置の抗体が含まれる。
【0039】
本明細書で使用される場合、「CDR」または「相補性決定領域」という用語は、重鎖および軽鎖ポリペプチドの両方の可変領域内に見出される非隣接の抗原結合部位を意味する。これらの特定の領域は、Kabat et al.,J.Biol.Chem.252,6609-6616(1977)およびKabat et al.,Sequences of protein of immunological interest.(1991)によって、Chothia et al,J.Mol.Biol.196:901-917(1987)によって、ならびにMacCallum et al.,J.Mol.Biol.262:732-745(1996)によって記載されており、これらは全て、参照によりそれらの全体が組み込まれており、互いに比較した場合、定義は、アミノ酸の重複またはサブセットを含む。ある特定の実施形態では、「CDR」は、Kabat et al.,J.Biol.Chem.252,6609-6616(1977)およびKabat et al.,Sequences of protein of immunological interest.(1991)によって定義される通りである。CDRH1、CDRH2、およびCDRH3は、重鎖CDRを示し、CDRL1、CDRL2、およびCDRL3は、軽鎖CDRを示す。
【0040】
本明細書で使用される場合、「フレームワーク(FR)アミノ酸残基」という用語は、免疫グロブリン鎖のフレームワーク領域中のアミノ酸を指す。本明細書で使用される場合、「フレームワーク領域」または「FR領域」という用語には、可変領域の一部であるが、CDR(例えば、CDRのKabat定義を使用する)の一部ではないアミノ酸残基が含まれる。
【0041】
本明細書で使用される場合、「可変領域」および「可変ドメイン」という用語は、交換可能に使用され、当該技術分野において一般的である。可変領域とは、典型的には、抗体の一部、一般に、軽鎖または重鎖の一部、典型的には、成熟重鎖における約アミノ末端110~120アミノ酸または110~125アミノ酸および成熟軽鎖における約90~115アミノ酸を指し、これらは、抗体ごとに配列が大きく異なり、それらの特定の抗原に対する特定の抗体の結合および特異性において使用される。配列の可変性は、相補性決定領域(CDR)と呼ばれる領域に集中している一方、可変ドメイン中のより高度に保存された領域はフレームワーク領域(FR)と呼ばれる。特定の機構または理論に拘束されることは望まないが、軽鎖および重鎖のCDRは、抗体の抗原との相互作用および特異性に主に関与している。ある特定の実施形態では、可変領域は、ヒト可変領域である。ある特定の実施形態では、可変領域は、げっ歯類またはマウスCDRおよびヒトフレームワーク領域(FR)を含む。特定の実施形態では、可変領域は、霊長類(例えば、非ヒト霊長類)可変領域である。ある特定の実施形態では、可変領域は、げっ歯類またはマウスCDRおよび霊長類(例えば、非ヒト霊長類)フレームワーク領域(FR)を含む。
【0042】
「VL」および「VLドメイン」という用途は、抗体の軽鎖可変領域を指すように、交換可能に使用される。
【0043】
「VH」および「VHドメイン」という用途は、抗体の重鎖可変領域を指すように、交換可能に使用される。
【0044】
本明細書で使用される場合、「定常領域」および「定常ドメイン」という用語は、交換可能であり、当該技術分野において一般的である。定常領域は、抗体部分、例えば、抗原への抗体の結合に直接関与していないが、Fc受容体との相互作用などの様々なエフェクター機能を示し得る、軽鎖または重鎖のカルボキシル末端部分である。免疫グロブリン分子の定常領域は、一般に、免疫グロブリン可変ドメインと比べて、より多くの保存されたアミノ酸配列を有する。
【0045】
本明細書で使用される場合、「重鎖」という用語は、抗体に言及して使用される場合、定常ドメインのアミノ酸配列に基づき、任意の異なる種類、例えば、アルファ(α)、デルタ(δ)、イプシロン(ε)、ガンマ(γ)、およびミュー(μ)を指し得、それらから抗体のIgA、IgD、IgE、IgG、およびIgMクラス(IgGのサブクラス、例えば、IgG、IgG、IgG、およびIgGを含む)がそれぞれ生じる。
【0046】
本明細書で使用される場合、「軽鎖」という用語は、抗体に言及して使用される場合、定常ドメインのアミノ酸配列に基づき、任意の異なる種類、例えば、カッパ(κ)またはラムダ(λ)を指し得る。軽鎖アミノ酸配列は、当該技術分野で周知である。特定の実施形態では、軽鎖は、ヒト軽鎖である。
【0047】
本明細書で使用される場合、「に特異的に結合する」という用語は、約1x10~6M未満、1x10-7M、1x10-8M、1x10-9M、1x10-10M、1x10-11M、1x10-12M、もしくはそれ以下の解離定数(Kd)で抗原に結合するか、または非特異的抗原に対するその親和性よりも少なくとも2倍大きい親和性で抗原に結合する抗体の能力を指す。
【0048】
本明細書で使用される場合、「エピトープ」とは、抗体が特異的に結合することができる抗原の局所化領域を指す。エピトープは、例えば、ポリペプチドの隣接したアミノ酸(線状もしくは隣接エピトープ)であり得るか、またはエピトープは、例えば、ポリペプチド(複数可)の2つ以上の非隣接領域(立体構造、非線状、不連続、または非隣接のエピトープ)から形成され得る。ある特定の実施形態では、抗体が結合するエピトープは、例えば、MR分光法、X線回折結晶学研究、ELISAアッセイ、質量分析法と組み合わせた水素/重水素交換(例えば、液体クロマトグラフィーエレクトロスプレー質量分析)、ペプチドスキャニングアッセイ、または変異誘発マッピング(例えば、部位特異的変異誘発マッピング)によって判定され得る。
【0049】
本明細書で使用される場合、「治療する」、「治療すること」、および「治療」という用語は、本明細書に記載される治療または予防手段を指す。「治療」の方法は、疾患もしくは障害、または再発性疾患もしくは障害の1つ以上の症状を予防するか、治癒するか、遅延させるか、その重度を低減させるか、それを発症するリスクを低減させるか、または改善させるため、あるいはかかる治療の不在下で予想される対象の生存期間よりも長く延長させるために、疾患もしくは障害を有するか、または疾患もしくは障害にかかりやすい対象への抗ApoC3抗体の投与を用いる。
【0050】
本明細書で使用される場合、「有効量」という用語は、対象への療法剤の投与の文脈では、所望の予防または治療効果を達成する療法剤の量を指す。
【0051】
本明細書で使用される場合、「対象」という用語には、任意のヒトまたは非ヒト動物が含まれる。
【0052】
本明細書で使用される場合、「または」という用語は、および/またはを意味する。
【0053】
本明細書で使用される場合、「約」および「およそ」という用語は、数値または数的範囲を修飾するために使用される場合、値または範囲を5%~10%上回る、および5%~10%下回る偏差が、引用された値または範囲の意図される意味の範囲内であることを示す。
【0054】
2.抗ApoC3抗体
本開示は、ApoC3(例えば、ヒトApoC3)に特異的に結合し、ApoC3機能を阻害する抗体(例えば、単離された抗体)を提供する。
【0055】
ある特定の実施形態では、抗ApoC3抗体は、哺乳動物のApoC3タンパク質に結合する。ある特定の実施形態では、抗ApoC3抗体は、ヒトApoC3に結合する。ある特定の実施形態では、抗ApoC3抗体は、Macaca fascicularis(カニクイザル)ApoC3に結合する。ある特定の実施形態では、抗ApoC3抗体は、マウスApoC3に結合する。
【0056】
ある特定の実施形態では、本明細書に開示される抗ApoC3抗体は、TRL(例えば、VLDL)またはTRLレムナントの肝細胞摂取を阻害するApoC3の能力を減弱させる(インビボまたはインビトロ)。ある特定の実施形態では、本明細書に開示される抗ApoC3抗体は、本明細書に記載される方法によって、または当業者に既知の方法によって評価した場合、TRL(例えば、VLDL)またはTRLレムナントの肝細胞摂取を阻害するApoC3の能力を、少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、または99%減弱させる。ある特定の実施形態では、本明細書に開示される抗ApoC3抗体は、本明細書に記載される方法によって、または当業者に既知の方法によって評価した場合、TRL(例えば、VLDL)またはTRLレムナントの肝細胞摂取を阻害するApoC3の能力を、少なくとも約1.1倍、1.2倍、1.3倍、1.4倍、1.5倍、2倍、2.5倍、3倍、3.5倍、4倍、4.5倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、15倍、20倍、30倍、40倍、50倍、60倍、70倍、80倍、90倍、または100倍減弱させる。
【0057】
ある特定の実施形態では、本明細書に開示される抗体は、食前、食中、または食後に投与された場合、対象における食後脂肪血症を阻害することができる。ある特定の実施形態では、本明細書に開示される抗ApoC3抗体は、本明細書に記載される方法によって、または当業者に既知の方法によって評価した場合、対象における食後脂肪血症を少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、または99%阻害することができる。ある特定の実施形態では、本明細書に記載される抗ApoC3抗体は、本明細書に記載される方法によって、または当業者に既知の方法によって評価した場合、対象における食後脂肪血症を少なくとも約1.1倍、1.2倍、1.3倍、1.4倍、1.5倍、2倍、2.5倍、3倍、3.5倍、4倍、4.5倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、15倍、20倍、30倍、40倍、50倍、60倍、70倍、80倍、90倍、または100倍阻害することができる。
【0058】
ある特定の実施形態では、本明細書に開示される抗体は、食前、食中、または食後に投与された場合、対象におけるカイロミクロンまたはカイロミクロンレムナントレベルを低減させることができる。ある特定の実施形態では、本明細書に記載される抗ApoC3抗体は、本明細書に記載される方法によって、または当業者に既知の方法によって評価した場合、対象における食後カイロミクロンまたはカイロミクロンレムナントを少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、または99%低減させることができる。ある特定の実施形態では、本明細書に開示される抗ApoC3抗体は、本明細書に記載される方法によって、または当業者に既知の方法によって評価した場合、対象における食後カイロミクロンまたはカイロミクロンレムナントを少なくとも約1.1倍、1.2倍、1.3倍、1.4倍、1.5倍、2倍、2.5倍、3倍、3.5倍、4倍、4.5倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、15倍、20倍、30倍、40倍、50倍、60倍、70倍、80倍、90倍、または100倍低減させることができる。
【0059】
ある特定の実施形態では、本明細書に開示される単離された抗体は、対象の血液からのApoC3および/またはApoB(例えば、ApoB48および/またはApoB100)のクリアランスの速度を増加させることができる。ある特定の実施形態では、抗ApoC3抗体は、本明細書に開示される方法によって、または当業者に既知の方法によって評価した場合、対象の血液からのApoC3および/またはApoB(例えば、ApoB48および/またはApoB100)のクリアランスの速度を少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、または99%増加させることができる。ある特定の実施形態では、本明細書に開示される抗ApoC3抗体は、本明細書に開示される方法によって、または当業者に既知の方法によって評価した場合、対象の血液からのApoC3および/またはApoB(例えば、ApoB48および/またはApoB100)のクリアランスの速度を少なくとも約1.1倍、1.2倍、1.3倍、1.4倍、1.5倍、2倍、2.5倍、3倍、3.5倍、4倍、4.5倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、15倍、20倍、30倍、40倍、50倍、60倍、70倍、80倍、90倍、または100倍増加させることができる。ApoC3および/またはApoB(例えば、ApoB48および/またはApoB100)のクリアランスを評価するための方法には、限定することなく、同位体トレーサー技術が含まれ、同位体は、放射性または安定のいずれであってもよい。
【0060】
ある特定の実施形態では、本明細書に開示される単離された抗体は、対象の血液中のApoC3および/またはApoB(例えば、ApoB48および/またはApoB100)レベルを低減させることができる。ある特定の実施形態では、抗ApoC3抗体は、本明細書に開示される方法によって、または当業者に既知の方法によって評価した場合、対象の血液中のApoC3および/またはApoB(例えば、ApoB48および/またはApoB100)レベルを少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、または99%低減させることができる。ある特定の実施形態では、本明細書に開示される抗ApoC3抗体は、本明細書に開示される方法によって、または当業者に既知の方法によって評価した場合、対象の血液中のApoC3および/またはApoB(例えば、ApoB48および/またはApoB100)レベルを少なくとも約1.1倍、1.2倍、1.3倍、1.4倍、1.5倍、2倍、2.5倍、3倍、3.5倍、4倍、4.5倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、15倍、20倍、30倍、40倍、50倍、60倍、70倍、80倍、90倍、または100倍低減させることができる。ある特定の実施形態では、対象の血液中のApoC3および/またはApoB(例えば、ApoB48および/またはApoB100)レベルの低減は、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、15、18、24、30、36、42、または48時間維持される。
【0061】
ある特定の実施形態では、本明細書に開示される抗体は、TRL(例えば、VLDL)のリポタンパク質リパーゼ媒介性脂質分解を阻害するApoC3の能力を減弱させる。ある特定の実施形態では、本明細書に開示される抗ApoC3抗体は、本明細書に記載される方法によって、または当業者に既知の方法によって評価した場合、TRL(例えば、VLDL)のリポタンパク質リパーゼ媒介性脂質分解を阻害するApoC3の能力を少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、または99%減弱させる。ある特定の実施形態では、本明細書に開示される抗ApoC3抗体は、本明細書に記載される方法によって、または当業者に既知の方法によって評価した場合、TRL(例えば、VLDL)のリポタンパク質リパーゼ媒介性脂質分解を阻害するApoC3の能力を少なくとも約1.1倍、1.2倍、1.3倍、1.4倍、1.5倍、2倍、2.5倍、3倍、3.5倍、4倍、4.5倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、15倍、20倍、30倍、40倍、50倍、60倍、70倍、80倍、90倍、または100倍減弱させる。ある特定の実施形態では、本明細書に開示される抗ApoC3抗体は、1、2、3、4、または5μMの濃度で、TRL(例えば、VLDL)のリポタンパク質リパーゼ媒介性脂質分解を阻害するApoC3の能力を少なくとも50%減弱させる。
【0062】
ある特定の実施形態では、本明細書に開示される抗体は、脂質またはリポタンパク質へのApoC3の結合を阻害する。ある特定の実施形態では、脂質は、脂肪酸鎖を含む。ある特定の実施形態では、脂質は、ホスファチジル基を含む。ある特定の実施形態では、脂質は、ホスファチジルコリン(例えば、DMPC)、ホスファチジルセリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルイノシトール、またはホスファチジルグリセロールを含む。ある特定の実施形態では、脂質は、トリグリセリドである。ある特定の実施形態では、リポタンパク質は、TRL(例えば、VLDL)またはTRLレムナントである。ある特定の実施形態では、開示される抗ApoC3抗体は、本明細書に記載される方法によって、または当業者に既知の方法によって評価した場合、脂質およびリポタンパク質(例えば、トリグリセリド、TRL(例えば、VLDL)、またはTRLレムナント)へのApoC3の結合を少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、または99%阻害する。ある特定の実施形態では、本明細書に開示される抗ApoC3抗体は、本明細書に記載される方法によって、または当業者に既知の方法によって評価した場合、脂質およびリポタンパク質(例えば、トリグリセリド、TRL(例えば、VLDL)、またはTRLレムナント)へのApoC3の結合を少なくとも約1.1倍、1.2倍、1.3倍、1.4倍、1.5倍、2倍、2.5倍、3倍、3.5倍、4倍、4.5倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、15倍、20倍、30倍、40倍、50倍、60倍、70倍、80倍、90倍、または100倍減弱させる。
【0063】
ある特定の実施形態では、本明細書に開示される抗体は、本明細書(例えば、実施例3)に記載される方法によって、または当業者に既知の方法によって評価されるように、脂質結合ApoC3(例えば、トリグリセリド、TRL(例えば、VLDL)、またはTRLレムナントに結合したApoC3)に結合することができる。
【0064】
本明細書に開示される抗体は、前述の実施形態に記載される特徴のうちの1つ以上、2つ以上、3つ以上、4つ以上、5つ以上、6つ以上、7つ以上、またはその全てを有し得る。例えば、ある特定の実施形態では、本明細書に開示される抗体は、TRL(例えば、VLDL)またはTRLレムナントの肝細胞摂取を阻害するApoC3の能力を少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、または99%減弱させ、かつ1、2、3、4、5μΜの濃度で、TRL(例えば、VLDL)またはTRLレムナントのリポタンパク質リパーゼ媒介性脂質分解を阻害するApoC3の能力を少なくとも50%減弱させる。ある特定の実施形態では、本明細書に開示される抗体は、TRL(例えば、VLDL)またはTRLレムナントの肝細胞摂取を阻害するApoC3の能力を少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、または99%減弱させ、かつ脂質結合ApoC3(例えば、トリグリセリド、TRL(例えば、VLDL)、またはTRLレムナントに結合したApoC3に結合することができる。
【0065】
任意の好適なアッセイを使用して、本明細書に開示される抗体の前述の機能活性を測定することができる。例示的なアッセイには、本明細書の実施例に開示される機能アッセイが含まれるが、これらに限定されない。
【0066】
例示的な抗ApoC3抗体のアミノ酸配列は、本明細書の表1~4に記載される。
【表1】
【表2】
【表3】
【表4】
【0067】
一態様では、本開示は、ApoC3(例えば、ヒトApoC3)に特異的に結合する単離された抗体を提供し、当該抗体は、本明細書の表3に記載されるVHドメインのCDRのうちの1つ、2つ、または3つ全てを含むVHドメインを含む。ある特定の実施形態では、抗体は、表3に記載されるVHドメインのうちの1つのCDRH1を含む。ある特定の実施形態では、抗体は、表3に記載されるVHドメインのうちの1つのCDRH2を含む。ある特定の実施形態では、抗体は、表3に記載されるVHドメインのうちの1つのCDRH3を含む。
【0068】
別の態様では、本開示は、ApoC3(例えば、ヒトApoC3)に特異的に結合する単離された抗体を提供し、当該抗体は、本明細書の表4に開示されるVLドメインのCDRのうちの1つ、2つ、または3つ全てを含むVLドメインを含む。ある特定の実施形態では、抗体は、表4に記載されるVLドメインのうちの1つのCDRH1を含む。ある特定の実施形態では、抗体は、表4に記載されるVLドメインのうちの1つのCDRH2を含む。ある特定の実施形態では、抗体は、表4に記載されるVLドメインのうちの1つのCDRH3を含む。
【0069】
ある特定の実施形態では、抗体のCDRは、Kabat et al,J.Biol.Chem.252,6609-6616(1977)およびKabat et al,Sequences of protein of immunological interest(1991)に従って判定することができる。ある特定の実施形態では、抗体の軽鎖CDRは、Kabatに従って判定され、抗体の重鎖CDRは、MacCallum(上記)に従って判定される。
【0070】
ある特定の実施形態では、抗体のCDRは、免疫グロブリン構造ループの位置を指すChothia付番スキーム従って判定することができる(例えば、Chothia C&Lesk AM,(1987),J Mol Biol196:901-917、Al-Lazikani B et al,(1997)J Mol Biol273:927-948、Chothia C et al,(1992)J Mol Biol227:799-817、Tramontano A et al,(1990)J Mol Biol215(1):175-82、および米国特許第7,709,226号を参照されたい)。典型的には、Kabat付番の慣習を使用する場合、Chothia CDRH1ループは、重鎖アミノ酸26~32、33、または34に存在し、Chothia CDRH2ループは、重鎖アミノ酸52~56に存在し、Chothia CDRH3ループは、重鎖アミノ酸95~102に存在する一方、Chothia CDRL1ループは、軽鎖アミノ酸24~34に存在し、Chothia CDRL2ループは、軽鎖アミノ酸50~56に存在し、Chothia CDRL3ループは、軽鎖アミノ酸89~97に存在する。Chothia CDRH1ループの末端は、Kabat付番の慣例を使用して付番する場合、ループの長さに応じてH32~H34の間で変動する(これは、Kabat付番スキームが、H35AおよびH35Bに挿入を配置するためであり、35Aも35Bも存在しない場合、ループは32で終結し、35Aのみが存在する場合、ループは33で終結し、35Aおよび35Bの両方が存在する場合、ループは34で終結する)。
【0071】
ある特定の実施形態では、抗体のCDRは、Lefranc M-P,(1999)The Immunologist7:132-136およびLefranc M-P et al,(1999)Nucleic Acids Res27:209-212に記載されるように、EVIGT付番システムに従って判定することができる。EVIGT付番スキームによると、CDRH1は、26~35位にあり、CDRH2は、51~57位にあり、CDRH3は、93~102位にあり、CDRL1は、27~32位にあり、CDRL2は、50~52位にあり、CDRL3は、89~97位にある。
【0072】
ある特定の実施形態では、抗体のCDRは、AbM超可変領域を指すAbM付番スキームに従って判定することができ、これは、Kabat CDRとChothia構造ループとの間の折衷案を表し、Oxford Molecular’s AbM抗体モデリングソフトウェア(Oxford Molecular Group,Inc.)に使用されている。
【0073】
ある特定の実施形態では、抗体のCDRは、MacCallum RM et al,(1996)J Mol Biol262:732-745に従って判定することができる。また、例えば、Antibody Engineering,Kontermann and Diibel,eds.,Chapter31,pp.422-439,Springer-Verlag,Berlin(2001)におけるMartin A.「Protein Sequence and Structure Analysis of Antibody Variable Domains」も参照されたい。
【0074】
ある特定の実施形態では、本開示は、ApoC3(例えば、ヒトApoC3)に特異的に結合する単離された抗体を提供し、当該抗体は、表3に記載されるVHドメインのCDRH1、CDRH2、およびCDRH3領域を含む重鎖可変領域と、表4に記載されるVLドメインのCDRL1、CDRL2、およびCDRL3領域を含む軽鎖可変領域と、を含み、各CDRは独立して、本明細書に開示されるように、Kabat、Chothia、EVIGT、MacCallum、またはAbMによるCDRの定義に従って定義される。
【0075】
別の態様では、本開示は、ApoC3(例えば、ヒトApoC3)に特異的に結合する抗体を提供し、当該抗体は、
(a)配列番号4、7、10、13、16、19、22、25、28、33、38、41、47、50、53、56、62、65、もしくは68のアミノ酸配列を含むCDRH1、または
(b)配列番号5、8、11、14、17、20、23、26、29、31、34、36、39、42、48、51、54、57、60、63、66、69、もしくは71のアミノ酸配列を含むCDRH2、または
(c)配列番号6、9、12、15、18、21、24、27、30、32、35、37、40、43、49、52、55、58、61、64、67、70、もしくは72のアミノ酸配列を含むCDRH3、または
(d)配列番号73、76、79、82、85、88、90、95、98、101、103、108、111、116、119、122、125、127、131、もしくは134のアミノ酸配列を含むCDRL1、または
(e)配列番号74、77、80、83、86、91、93、96、99、104、106、109、114、117、120、123、128、132、もしくは135のアミノ酸配列を含むCDRL2、または
(f)配列番号75、78、81、84、87、89、92、94、97、100、102、105、107、110、113、115、118、121、124、126、129、130、133、もしくは136のアミノ酸配列を含むCDRL3を含む。
【0076】
別の態様では、本開示は、ApoC3(例えば、ヒトApoC3)に特異的に結合する単離された抗体を提供し、当該抗体は、それぞれ配列番号4、5、および6;7、8、および9;10、11、および12;13、14、および15;16、17、および18;19、20、および21;22、23、および24;25、26、および27;28、29、および30;16、31、および32;33、34、および35;25、36、および37;38、39、および40;41、42、および43;47、48、および49;50、51、および52;53、54、および55;56、57、および58;59、60、および61;62、63、および64;65、66、および67;68、69、および70;または68、71、および72に記載されるCDRH1、CDRH2、およびCDRH3アミノ酸配列を含むVHドメインを含む。ある特定の実施形態では、本開示は、ApoC3(例えば、ヒトApoC3)に特異的に結合する単離された抗体を提供し、当該抗体は、それぞれ配列番号7、8、および9に記載されるCDRH1、CDRH2、およびCDRH3アミノ酸配列を含むVHドメインを含む。ある特定の実施形態では、本開示は、ApoC3(例えば、ヒトApoC3)に特異的に結合する単離された抗体を提供し、当該抗体は、それぞれ配列番号10、11、および12に記載されるCDRH1、CDRH2、およびCDRH3アミノ酸配列を含むVHドメインを含む。ある特定の実施形態では、本開示は、ApoC3(例えば、ヒトApoC3)に特異的に結合する単離された抗体を提供し、当該抗体は、それぞれ配列番号62、63、および64に記載されるCDRH1、CDRH2、およびCDRH3アミノ酸配列を含むVHドメインを含む。
【0077】
別の態様では、本開示は、ApoC3(例えば、ヒトApoC3)に特異的に結合する単離された抗体を提供し、当該抗体は、それぞれ配列番号73、74、および75;76、77、および78;79、80、および81;82、83、および84;85、86、および87;88、83、および89;90、91、および92;82、93、および94;95、96、および97;98、99、および100;101、99、および102;103、104、および105;82、106、および107;108、109、および110;111、83、および113;82、114、および115;116、117、および118;119、120、および121;122、123、および124;125、83、および126;127、128、および129;82、114、および130;131、132、および133;または124、135、および136に記載されるCDRL1、CDRL2、およびCDRL3アミノ酸配列を含むVLドメインを含む。ある特定の実施形態では、本開示は、ApoC3(例えば、ヒトApoC3)に特異的に結合する単離された抗体を提供し、当該抗体は、それぞれ配列番号76、77、および78に記載されるCDRL1、CDRL2、およびCDRL3アミノ酸配列を含むVLドメインを含む。ある特定の実施形態では、本開示は、ApoC3(例えば、ヒトApoC3)に特異的に結合する単離された抗体を提供し、当該抗体は、それぞれ配列番号79、80、および81に記載されるCDRL1、CDRL2、およびCDRL3アミノ酸配列を含むVLドメインを含む。ある特定の実施形態では、本開示は、ApoC3(例えば、ヒトApoC3)に特異的に結合する単離された抗体を提供し、当該抗体は、それぞれ配列番号62、63、および64に記載されるCDRL1、CDRL2、およびCDRL3アミノ酸配列を含むVLドメインを含む。
【0078】
別の態様では、本開示は、ApoC3(例えば、ヒトApoC3)に特異的に結合する単離された抗体を提供し、当該抗体は、CDRH1、CDRH2、およびCDRH3領域を含む重鎖可変領域と、CDRL1、CDRL2、およびCDRL3領域を含む軽鎖可変領域と、を含み、当該CDRH1、CDRH2、CDRH3、CDRL1、CDRL2、およびCDRL3領域は、それぞれ配列番号4、5、6、73、74、および75;7、8、9、76、77、および78;10、11、12、79、80、および81;13、14、15、82、83、および84;16、17、18、85、86、および87;19、20、21、88、83、および89;22、23、24、90、91、および92;25、26、27、82、93、および94;28、29、30、95、96、および97;16、31、32、98、99、および100;33、34、35、101、99、および102;25、36、37、103、104、および105;38、39、40、82、106、および107;41、42、43、108、109、および110;7、8、9、111、83、および113;47、48、49、82、114、および115;50、51、52、116、117、および118;53、54、55、119、120、および121;56、57、58、122、123、および124;59、60、61、125、83、および126;62、63、64、127、128、および129;65、66、67、82、114、および130;68、69、70、131、132、および133;または68、71、72、124、135、および136に記載されるアミノ酸配列を含む。ある特定の実施形態では、本開示は、ApoC3(例えば、ヒトApoC3)に特異的に結合する単離された抗体を提供し、当該抗体は、CDRH1、CDRH2、およびCDRH3領域を含む重鎖可変領域と、CDRL1、CDRL2、およびCDRL3領域を含む軽鎖可変領域と、を含み、当該CDRH1、CDRH2、CDRH3、CDRL1、CDRL2、およびCDRL3領域は、それぞれ配列番号7、8、9、76、77、および78に記載されるアミノ酸配列を含む。ある特定の実施形態では、本開示は、ApoC3(例えば、ヒトApoC3)に特異的に結合する単離された抗体を提供し、当該抗体は、CDRH1、CDRH2、およびCDRH3領域を含む重鎖可変領域と、CDRL1、CDRL2、およびCDRL3領域を含む軽鎖可変領域と、を含み、当該CDRH1、CDRH2、CDRH3、CDRL1、CDRL2、およびCDRL3領域は、それぞれ配列番号10、11、12、79、80、および81に記載されるアミノ酸配列を含む。ある特定の実施形態では、本開示は、ApoC3(例えば、ヒトApoC3)に特異的に結合する単離された抗体を提供し、当該抗体は、CDRH1、CDRH2、およびCDRH3領域を含む重鎖可変領域と、CDRL1、CDRL2、およびCDRL3領域を含む軽鎖可変領域と、を含み、当該CDRH1、CDRH2、CDRH3、CDRL1、CDRL2、およびCDRL3領域は、それぞれ配列番号62、63、64、127、128、および129に記載されるアミノ酸配列を含む。
【0079】
別の態様では、本開示は、ApoC3(例えば、ヒトApoC3)に特異的に結合する単離された抗体であって、配列番号137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、149、150、152、153、154、155、156、157、158、159、または160に記載されるアミノ酸配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、または100%(例えば、少なくとも86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、または99%)同一であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む、単離された抗体を提供する。ある特定の実施形態では、抗体は、配列番号137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、149、150、152、153、154、155、156、157、158、159、または160に記載されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域を含む。ある特定の実施形態では、抗体は、配列番号138に記載されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域を含む。ある特定の実施形態では、抗体は、配列番号139に記載されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域を含む。ある特定の実施形態では、抗体は、配列番号157に記載されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域を含む。
【0080】
別の態様では、本開示は、ApoC3(例えば、ヒトApoC3)に特異的に結合する単離された抗体であって、配列番号161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、178、179、180、181、182、183、または151に記載されるアミノ酸配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、または100%(例えば、少なくとも86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、または99%)同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、単離された抗体を提供する。ある特定の実施形態では、抗体は、配列番号161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、178、179、180、181、182、183、または151に記載されるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域を含む。ある特定の実施形態では、抗体は、配列番号162に記載されるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域を含む。ある特定の実施形態では、抗体は、配列番号163に記載されるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域を含む。ある特定の実施形態では、抗体は、配列番号181に記載されるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域を含む。
【0081】
別の態様では、本開示は、ApoC3(例えば、ヒトApoC3)に特異的に結合する単離された抗体であって、配列番号137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、149、150、152、153、154、155、156、157、158、159、または160に記載されるアミノ酸配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、または100%(例えば、少なくとも86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、または99%)同一であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、配列番号161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、178、179、180、181、182、183、または151に記載されるアミノ酸配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、または100%(例えば、少なくとも86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、または99%)同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域と、を含む、単離された抗体を提供する。ある特定の実施形態では、抗体は、配列番号137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、149、150、152、153、154、155、156、157、158、159、または160に記載されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域と、配列番号161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、178、179、180、181、182、183、または151に記載されるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域と、を含む。ある特定の実施形態では、抗体は、それぞれ配列番号137および161、138および162、139および163、140および164、141および165、142および166、143および167、144および168、145および169、146および170、147および171、148および172、149および173、150および174、138および175、152および176、153および177、154および178、155および179、156および180、157および181、158および182、159および183、または160および151に記載されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含む。ある特定の実施形態では、抗体は、それぞれ配列番号138および163に記載されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含む。ある特定の実施形態では、抗体は、それぞれ配列番号139および163に記載されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含む。ある特定の実施形態では、抗体は、それぞれ配列番号157および181に記載されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含む。
【0082】
別の態様では、本開示は、本明細書に記載される抗体、例えば、それぞれ配列番号137および161、138および162、139および163、140および164、141および165、142および166、143および167、144および168、145および169、146および170、147および171、148および172、149および173、150および174、138および175、152および176、153および177、154および178、155および179、156および180、157および181、158および182、159および183、または160および151に記載される重鎖および軽鎖可変領域アミノ酸配列を含む抗体と同じかまたは重複するApoC3のエピトープ(例えば、ヒトApoC3のエピトープ)に結合する単離された抗体を提供する。抗体のエピトープは、例えば、NMR分光法、表面プラズモン共鳴(BIAcore(登録商標))、X線回折結晶学研究、ELISAアッセイ、質量分析法と組み合わせた水素/重水素交換(例えば、液体クロマトグラフィーエレクトロスプレー質量分析)、ペプチドスキャニングアッセイ、または変異誘発マッピング(例えば、部位特異的変異誘発マッピング)によって判定され得る。
【0083】
別の態様では、本開示は、ApoC3(例えば、ヒトApoC3)への結合について、それぞれ配列番号137および161、138および162、139および163、140および164、141および165、142および166、143および167、144および168、145および169、146および170、147および171、148および172、149および173、150および174、138および175、152および176、153および177、154および178、155および179、156および180、157および181、158および182、159および183、または160および151に記載される重鎖および軽鎖可変領域アミノ酸配列を含む抗体と競合する単離された抗体を提供する。競合結合は、試験用の免疫グロブリンがApoC3(例えば、ヒトApoC3)などの共通の抗原への参照抗体の特異的結合を阻害するアッセイにおいて判定され得る。数多くの種類の競合結合アッセイ、例えば、固相直接または間接放射免疫測定法(RIA)、固相直接または間接酵素免疫測定法(EIA)、サンドイッチ競合アッセイ(Stahli C et al,(1983)Methods Enzymol9:242-253を参照されたい)、固相直接ビオチン-アビジンEIA(Kirkland TN et al,(1986)J Immunol137:3614-9)、固相直接標識アッセイ、固相直接標識サンドイッチアッセイ(Harlow E&Lane D,(1988)Antibodies:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Pressを参照されたい)、1-125標識を使用する固相直接標識RIA(Morel GA et al,(1988)Mol Immunol25(1):7-15を参照されたい)、固相直接ビオチン-アビジンEIA(Cheung RC et al,(1990)Virology176:546-52を参照されたい)、および直接標識RIA(Moldenhauer G et al,(1990)Scand J Immunol32:77-82を参照されたい)が既知である。典型的には、かかるアッセイは、未標識の試験免疫グロブリンおよび標識参照免疫グロブリンのいずれかを保有する固体表面または細胞に結合した精製ApoC3(例えば、ヒトApoC3)の使用を伴う。競合阻害は、試験免疫グロブリンの存在下で固体表面または細胞に結合した標識の量を判定することによって測定することができる。通常、試験免疫グロブリンは、過剰に存在している。通常、競合抗体が過剰に存在する場合、それは、共通の抗原への参照抗体の特異的結合を少なくとも50~55%、55~60%、60~65%、65~70%、70~75%、またはそれ以上阻害することになる。競合結合アッセイは、標識抗原または標識抗体のいずれかを使用して多数の異なる形式で構成され得る。このアッセイの一般的なバージョンでは、抗原は、96ウェルプレート上に固定化されている。次いで、評者活性または酵素標識を使用して、抗原への標識抗体の結合をブロックする未標識抗体の能力が測定される。さらなる詳細については、例えば、Wagener C et al,(1983)J Immunol130:2308-2315、Wagener C et al,(1984)J Immunol Methods68:269-274、Kuroki M et al,(1990)Cancer Res50:4872-4879、Kuroki M et al,(1992)Immunol Invest21:523-538、Kuroki M et al,(1992)Hybridoma11:391-407、およびAntibodies:A Laboratory Manual,Ed Harlow E&Lane D(編集者上記),pp.386-389を参照されたい。
【0084】
ある特定の実施形態では、本開示は、アミノ酸配列FSEFWDLDPE(配列番号3)内のApoC3のエピトープに結合する単離された抗体を提供する。ある特定の実施形態では、エピトープは、配列番号3内の少なくとも1つのアミノ酸を含み、任意で、配列番号3と隣接した配列番号1からの1つ以上のアミノ酸を含む。ある特定の実施形態では、エピトープは、配列番号3の2、5、6、8、または10位のアミノ酸のうちの少なくとも1つを含む。ある特定の実施形態では、エピトープは、配列番号3の2、5、6、8、または10位のアミノ酸のうちの少なくとも2つを含む。ある特定の実施形態では、エピトープは、配列番号3の2、5、6、8、または10位のアミノ酸のうちの少なくとも3つを含む。ある特定の実施形態では、エピトープは、配列番号3の2、5、6、8、または10位のアミノ酸のうちの少なくとも4つを含む。ある特定の実施形態では、エピトープは、配列番号3の5および6位のアミノ酸を含む。ある特定の実施形態では、エピトープは、配列番号3の2、5、および6位のアミノ酸を含む。ある特定の実施形態では、エピトープは、配列番号3の2、5、および8位のアミノ酸を含む。ある特定の実施形態では、エピトープは、配列番号3の2、5、6、および8位のアミノ酸を含む。ある特定の実施形態では、エピトープは、配列番号3の10位のアミノ酸を含む。ある特定の実施形態では、エピトープは、配列番号3の6および10位のアミノ酸を含む。ある特定の実施形態では、エピトープは、配列番号3の8および10位のアミノ酸を含む。ある特定の実施形態では、エピトープは、配列番号3の6および8位のアミノ酸を含む。ある特定の実施形態では、エピトープは、配列番号3の6、8、および10位のアミノ酸を含む。ある特定の実施形態では、本開示は、ApoC3(例えば、ヒトApoC3)への結合について、それぞれ配列番号138および162、または139および163に記載される重鎖および軽鎖可変領域アミノ酸配列を含む抗体と競合する単離された抗体を提供する。ある特定の実施形態では、抗体は、相補性決定領域CDRH1、CDRH2、およびCDRH3を有する重鎖可変領域と、相補性決定領域CDRL1、CDRL2、およびCDRL3を有する軽鎖可変領域と、を含み、CDRH1、CDRH2、CDRH3、CDRL1、CDRL2、およびCDRL3は、それぞれ配列番号7、8、9、76、77、および78、または10、11、12、79、80、および81に記載されるアミノ酸配列を含む。ある特定の実施形態では、重鎖可変領域および軽鎖可変領域は、それぞれ配列番号138および162、または139および163に記載されるアミノ酸配列を含む。かかる抗体は、任意で、以下の特徴のうちの1つ以上、2つ以上、3つ以上、4つ以上、5つ以上、6つ以上、またはその全てをさらに有する:(a)抗体は、脂質結合ApoC3(例えば、トリグリセリド、TRL(例えば、VLDL)、またはTRLレムナントに結合したApoC3)に結合することができる;(b)抗体は、TRL(例えば、VLDL)のリポタンパク質リパーゼ媒介性脂肪分解を阻害するApoC3の能力を減弱させることができない(例えば、抗体は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10μΜの濃度で、TRL(例えば、VLDL)のリポタンパク質リパーゼ媒介性脂肪分解を阻害するApoC3の能力を50%未満減弱させる);(c)抗体は、TRL(例えば、VLDL)またはTRLレムナントの肝細胞摂取を阻害するApoC3の能力を少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、または99%減弱させる;(d)抗体は、食前、食中、または食後に対象に投与された場合、対象における食後脂肪血症を阻害する(例えば、対象の血清中の食後トリグリセリドレベルを少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、または80%阻害する)ことができる;(e)抗体は、食前、食中、または食後に対象に投与された場合、対象における食後カイロミクロンまたはカイロミクロンレムナントレベルを低減させることができる;(f)抗体は、対象の血液からのApoC3および/またはApoBのクリアランスの速度を増加させることができる;(g)抗体は、対象の血中のApoC3レベルを少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、または80%低減させることができる;ならびに(h)抗体は、対象の血中のApoBレベルを少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、または80%低減させることができる(これらの特徴は、本明細書に記載される方法によって、または当業者に既知の方法によって評価すぁれる)。
【0085】
ある特定の実施形態では、本開示は、アミノ酸配列GWVTDGFSSLK(配列番号2)内のApoC3のエピトープに結合する単離された抗体を提供する。ある特定の実施形態では、エピトープは、配列番号2内の少なくとも1つのアミノ酸を含み、任意で、配列番号2と隣接した配列番号1からの1つ以上のアミノ酸を含む。ある特定の実施形態では、エピトープは、配列番号2の1、4、6、7、9、または10位のアミノ酸のうちの少なくとも1つを含む。ある特定の実施形態では、エピトープは、配列番号2の1、4、6、7、9、または10位のアミノ酸のうちの少なくとも2つを含む。ある特定の実施形態では、エピトープは、配列番号2の1、4、6、7、9、または10位のアミノ酸のうちの少なくとも3つを含む。ある特定の実施形態では、エピトープは、配列番号2の1、4、6、7、9、または10位のアミノ酸のうちの少なくとも4つを含む。ある特定の実施形態では、エピトープは、配列番号2の1、4、6、7、9、または10位のアミノ酸のうちの少なくとも5つを含む。ある特定の実施形態では、エピトープは、配列番号2の4および9位のアミノ酸を含む。ある特定の実施形態では、エピトープは、配列番号2の4、6、および9位のアミノ酸を含む。ある特定の実施形態では、エピトープは、配列番号2の1、4、および6位のアミノ酸を含む。ある特定の実施形態では、エピトープは、配列番号2の1、4、6、および9位のアミノ酸を含む。ある特定の実施形態では、エピトープは、配列番号2の1、4、6、9、および10位のアミノ酸を含む。ある特定の実施形態では、エピトープは、配列番号2の1、4、6、7、および9位のアミノ酸を含む。ある特定の実施形態では、エピトープは、配列番号2の1、4、6、7、9、および10位のアミノ酸を含む。ある特定の実施形態では、本開示は、ApoC3(例えば、ヒトApoC3)への結合について、それぞれ配列番号157および181に記載される重鎖および軽鎖可変領域アミノ酸配列を含む抗体と競合する単離された抗体を提供する。ある特定の実施形態では、抗体は、相補性決定領域CDRH1、CDRH2、およびCDRH3を有する重鎖可変領域と、相補性決定領域CDRL1、CDRL2、およびCDRL3を有する軽鎖可変領域と、を含み、CDRH1、CDRH2、CDRH3、CDRL1、CDRL2、およびCDRL3は、それぞれ配列番号62、63、64、127、128、および129に記載されるアミノ酸配列を含む。ある特定の実施形態では、重鎖可変領域および軽鎖可変領域は、それぞれ配列番号157および181に記載されるアミノ酸配列を含む。かかる抗体は、任意で、以下の特徴のうちの1つ以上、2つ以上、3つ以上、4つ以上、5つ以上、6つ以上、またはその全てをさらに有する:(a)抗体は、1、2、3、4、または5μΜの濃度で、TRL(例えば、VLDL)のリポタンパク質リパーゼ媒介性脂肪分解を阻害するApoC3の能力を少なくとも50%減弱させることができる;(b)抗体は、脂質およびリポタンパク質(例えば、トリグリセリド、TRL(例えば、VLDL)、またはTRLレムナント)へのApoC3の結合を少なくとも70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%阻害することができる;(c)抗体は、TRL(例えば、VLDL)またはTRLレムナントの肝細胞摂取を阻害するApoC3の能力を少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、または99%減弱させることができる;(d)抗体は、食前、食中、または食後に対象に投与された場合、対象における食後脂肪血症を阻害することができる;(e)抗体は、食前、食中、または食後に対象に投与された場合、対象における食後カイロミクロンまたはカイロミクロンレムナントレベルを低減させることができる;(f)抗体は、対象の血中からのApoC3および/またはApoBのクリアランスの速度を増加させることができる;ならびに(g)抗体は、対象の血中のApoC3および/またはApoBレベルを低減させることができる(これらの特徴は、本明細書に記載される方法によって、または当業者に既知の方法によって評価される)。
【0086】
任意のIg定常領域を本明細書に開示される抗体に使用することができる。ある特定の実施形態では、Ig領域は、ヒトIgG、IgE、IgM、IgD、IgA、もしくはIgY免疫グロブリン分子、任意のクラス(例えば、IgG、IgG、IgG、IgG、IgA、およびIgA)、または任意のサブクラス(例えば、IgG2aおよびIgG2b)の免疫グロブリン分子である。
【0087】
3.使用方法
ApoC3は、肝細胞によるTRL(例えば、VLDL)およびTRLレムナントの摂取およびクリアランスを阻害し、TRL(例えば、VLDL)のリポタンパク質リパーゼ媒介性脂肪分解を阻害し、それにより対象の血中のトリグリセリドレベルを増加させるように機能する。ある特定の実施形態では、本明細書に開示される抗ApoC3抗体は、肝細胞によるTRL(例えば、VLDL)およびTRLレムナントの摂取およびクリアランスを阻害するApoC3の能力を減弱させるか、またはTRL(例えば、VLDL)のリポタンパク質リパーゼ媒介性脂肪分解を阻害するApoC3の能力を減弱させることができる。したがって、ある特定の実施形態では、本開示は、対象の血液中のApoC3の活性を阻害するための方法を提供し、当該方法は、有効量の本明細書に開示される抗ApoC3抗体または医薬組成物を対象に投与することを含む。ある特定の実施形態では、ApoC3の活性は、肝細胞によるTRL(例えば、VLDL)およびTRLレムナントの摂取およびクリアランスの阻害である。ある特定の実施形態では、ApoC3の活性は、TRLのリポタンパク質リパーゼ媒介性脂肪分解の阻害である。ある特定の実施形態では、ApoC3の活性は、肝細胞によるTRL(例えば、VLDL)およびTRLレムナントの摂取およびクリアランスの阻害、ならびにTRLのリポタンパク質リパーゼ媒介性脂肪分解の阻害である。
【0088】
本明細書に開示される抗ApoC3抗体は、対象の血液からのApoC3および/またはApoB(例えば、ApoB48および/またはApoB100)のクリアランスの速度を増加させるために有用である。したがって、ある特定の実施形態では、本開示は、対象の血液からのApoC3および/またはApoB(例えば、ApoB48および/またはApoB100)のクリアランスの速度を増加させる方法を提供し、当該方法は、有効量の本明細書に開示される抗ApoC3抗体または医薬組成物を対象に投与することを含む。
【0089】
本明細書に開示される抗ApoC3抗体は、対象の血中のApoC3および/またはApoB(例えば、ApoB48および/またはApoB100)レベルを低減させるために有用である。したがって、ある特定の実施形態では、本開示は、対象の血中のApoC3および/またはApoB(例えば、ApoB48および/ApoB100)レベルを低減させるための方法を提供し、当該方法は、有効量の本明細書に開示される抗ApoC3抗体または医薬組成物を対象に投与することを含む。ある特定の実施形態では、本方法は、本明細書に開示される方法によって、または当業者に既知の方法によって評価した場合、対象の血中のApoC3および/またはApoB(例えば、ApoB48および/またはApoB100)レベルを少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、または99%低減させる。ある特定の実施形態では、本方法は、本明細書に開示される方法によって、または当業者に既知の方法によって評価した場合、対象の血中のApoC3および/またはApoB(例えば、ApoB48および/またはApoB100)レベルを少なくとも約1.1倍、1.2倍、1.3倍、1.4倍、1.5倍、2倍、2.5倍、3倍、3.5倍、4倍、4.5倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、15倍、20倍、30倍、40倍、50倍、60倍、70倍、80倍、90倍、または100倍低減させる。ある特定の実施形態では、対象の血液中のApoC3および/またはApoB(例えば、ApoB48および/またはApoB100)レベルの低減は、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、15、18、24、30、36、42、または48時間維持される。
【0090】
開示される抗ApoC3抗体は、対象の血中のトリグリセリドレベルを低減させるために有用である。したがって、ある特定の実施形態では、本開示は、対象の血中のトリグリセリドレベルを低減させるための方法を提供し、当該方法は、有効量の本明細書に開示される抗ApoC3抗体または医薬組成物を対象に投与することを含む。
【0091】
開示される抗ApoC3抗体は、高トリグリセリド血症の治療に有用である。したがって、ある特定の実施形態では、本開示は、対象における高トリグリセリド血症を治療するための方法を提供し、当該方法は、有効量の本明細書に開示される抗ApoC3抗体または医薬組成物を対象に投与することを含む。ある特定の実施形態では、本出願は、対象におけるカイロミクロン血症を治療するための方法を提供し、当該方法は、有効量の本明細書に開示される抗ApoC3抗体または医薬組成物を対象に投与することを含む。ある特定の実施形態では、本開示は、対象におけるカイロミクロン血症症候群を治療するための方法を提供し、当該方法は、有効量の本明細書に開示される抗ApoC3抗体または医薬組成物を対象に投与することを含む。
【0092】
開示される抗ApoC3抗体は、対象における食後脂肪血症の治療および予防に有用である。したがって、ある特定の実施形態では、本開示は、対象における食後脂肪血症を阻害するための方法を提供し、当該方法は、有効量の本明細書に開示される抗ApoC3抗体または医薬組成物を対象に投与することを含む。抗ApoC3抗体は、食前、食中、または食後に対象に投与され得る。
【0093】
理論に拘束されることを望むものではないが、ある特定の実施形態では、本明細書に開示される抗体は、食前、食中、または食後に投与された場合、対象におけるカイロミクロンまたはカイロミクロンレムナントレベルを低減させることができる。したがって、ある特定の実施形態では、本開示は、対象における食後カイロミクロンまたはカイロミクロンレムナントレベルを低減させるための方法を提供し、当該方法は、有効量の本明細書に開示される抗ApoC3抗体または医薬組成物を対象に投与することを含む。抗ApoC3抗体は、食前、食中、または食後に対象に投与され得る。
【0094】
高トリグリセリド血症を有する患者の血中のトリグリセリドレベルの提言は、膵炎の発症のリスクを低減させ得る。したがって、ある特定の実施形態では、本開示は、高トリグリセリド血症を有する患者における膵炎のリスクを低減させるための方法を提供し、当該方法は、有効量の本明細書に開示される抗ApoC3抗体または医薬組成物を対象に投与することを含む。
【0095】
開示される抗ApoC3抗体は、対象の心血管疾患のリスクを低減させるために有用である。したがって、ある特定の実施形態では、本開示は、高トリグリセリド血症を有する患者における心血管疾患のリスクを低減させるための方法を提供し、当該方法は、有効量の本明細書に開示される抗ApoC3抗体または医薬組成物を対象に投与することを含む。高トリグリセリド血症または過剰な食後脂肪血症に関連するかまたはそれらによって引き起こされる任意の心血管疾患を発症するリスクは、本明細書に開示される抗ApoC3抗体または医薬組成物の投与によって低減され得る。リスクが低減され得る心血管疾患には、環状動脈疾患、アテローム性動脈硬化症、狭心症、心筋梗塞、および脳梗塞が含まれるが、これらに限定されない。
【0096】
本明細書に開示される抗ApoC3抗体または医薬組成物は、単独で、または追加の治療剤と組み合わせて投与され得る。ある特定の実施形態では、追加の治療剤は、別の脂質低下薬である。任意の1つ以上の脂質滴下薬が、本明細書に開示される抗ApoC3抗体または医薬組成物と組み合わせて使用され得る。好適な脂質低下薬には、HMG-CoA還元酵素阻害薬(例えば、アトルバスタチン、フルバスタチン、ロバスタチン、ピタバスタチン、プラバスタチン、ロスバスタチン、またはシンバスタチン)、フィブラート、ニコチン酸、胆汁酸封鎖剤(例えば、コレスチラミン、コレスチポール、およびコレセベラム)、食事性コレステロール吸収阻害剤(例えば、 エゼチミブ)、ミクロソームトリグリセリド輸送タンパク質(MTP)阻害剤(例えば、ロミタピド)、フィトステロール、膵リパーゼ阻害剤(例えば、オルリスタット)、コレステリルエステル転送タンパク質阻害剤、スクアレン合成酵素阻害薬(例えば、TAK-475、zaragozic acid、およびRPR107393)、ApoA-1Milano、サクシノブコール(AGI-1067)、アポタンパク質B阻害薬(例えば、ミポメルセン)、プロタンパク質転換酵素スブチリシン/ケキシンタイプ9(PCSK9)阻害薬(例えば、アリロクマブ、エボロクマブ、およびボコシズマブ)、ならびにこれらの任意の組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。ある特定の実施形態では、追加の脂質低下薬は、エゼチミブとHMG-CoA還元酵素阻害薬との組み合わせである。ある特定の実施形態では、脂質低下薬は、エゼチミブとHMG-CoA還元酵素阻害薬とPCSK9阻害薬との組み合わせである。
【0097】
本明細書に開示される抗ApoC3抗体または医薬組成物は、多様な経路で対象に送達され得る。これらには、非経口、皮内、筋肉内、腹腔内、静脈内、および皮下経路が含まれるが、これらに限定されない。ある特定の実施形態では、本明細書に記載される抗体または医薬組成物は、皮下または静脈内に送達される。
【0098】
状態の治療または予防に有効となる、本明細書に開示される抗ApoC3または医薬組成物の量は、疾患の性質に依存することになり、標準的な臨床技術によって経験的に判定することができる。組成物に用いられる正確な用量はまた、投与経路、および感染症またはそれによって引き起こされる疾患の重度に依存することになり、医師の判断および各対象の状況に従って決定されるべきである。例えば、有効用量はまた、投与手段、標的部位、患者の生理学的状態(年齢、体重、および健康状態を含む)、患者がヒトであるか動物であるか、投与された他の薬物、または治療が予防的であるか療法的であるかに応じて異なる場合がある。通常、患者はヒトであるが、トランスジェニック哺乳動物を含む非ヒト哺乳動物を治療することもできる。治療投薬量は、安全性および有効性を最適化するために、最適に滴定される。
【0099】
本明細書に記載される抗ApoC3抗体はまた、酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)、免疫沈降法、またはウェスタンブロッティングなどの免疫測定法を含む、当業者に既知である古典的な免疫組織学的方法を使用して生体試料中のApoC3(例えば、ヒトApoC3)タンパク質レベルをアッセイするために使用することもできる。好適な抗体アッセイ標識は当該技術分野で既知であり、これには、グルコース酸化酵素などの酵素標識、ヨウ素(125I、121I)、炭素(14C)、硫黄(35S)、トリチウム(H)、インジウム(121In)、およびテクニチウム(99Tc)などの放射性同位体、ルミノールなどの発光標識、ならびにフルオレセインおよびローダミン、およびビオチンなどの蛍光標識が含まれる。かかる標識は、本明細書に記載される抗体を標識されるために使用され得る。代替的には、本明細書に記載される抗ApoC3抗体を認識する第2の抗体が標識されてももよく、これを抗ApoC3抗体と組み合わせて使用してApoC3(例えば、ヒトApoC3)タンパク質レベルを検出する。
【0100】
ApoC3(例えば、ヒトApoC3)タンパク質の発現レベルについてアッセイすることは、直接的(例えば、絶対的タンパク質レベルを判定もしくは予測することによって)、または相対的に(例えば、第2の生体試料中の疾患関連タンパク質レベルと比較することによって)のいずれかで、第1の生体試料中のApoC3(例えば、ヒトApoC3)レベルを定性的または定量的に測定または予測することを含むように意図される。第1の生体試料中のApoC3(例えば、ヒトApoC3)ポリペプチド発現レベルは、測定または予測され、標準ApoC3(例えば、ヒトApoC3)タンパク質レベルと比較されてもよく、この標準は、障害を有しない個体から得られた第2の生体試料から取るか、または障害を有しない個体集団からのレベルを平均化することによって判定される。当該技術分野で理解されるように、「標準」ApoC3(例えば、ヒトApoC3)ポリペプチドレベルがいったん知られると、これを比較のための標準として繰り返し使用することができる。
【0101】
本明細書で使用される場合、「生体試料」という用語は、ApoC3(例えば、ヒトApoC3)を発現する可能性がある対象、細胞株、組織、または他の細胞源から得られた任意の生体試料を指す。組織生検および体液を動物(例えば、ヒト)から得る方法は、当該技術分野で周知である。生体試料には、末梢血単核細胞が含まれる。
【0102】
本明細書に記載される抗ApoC3抗体は、予後診断、診断、監視、およびスクリーニング用途に使用することができ、これには、当業者に周知および標準的であり、かつ本明細書に基づくインビトロおよびインビボ用途が含まれる。免疫系状態または免疫応答のインビトロ評価および査定のための予後診断、診断、監視、およびスクリーニングアッセイおよびキットを利用して、予測、診断、および監視して、上昇したApoC3活性を有することが知られているか、またはそれを有することが疑われるものを含む、患者試料を査定することができる。一実施形態では、抗ApoC3抗体は、生検試料の免疫組織化学的検査に使用され得る。別の実施形態では、抗ApoC3抗体を使用して、ある特定の疾患症状に繋がり得る、ApoC3(例えば、ヒトApoC3)レベルを検出することができる。本明細書に記載される抗ApoC3抗体は、検出可能な標識または機能標識を保有し得る。蛍光標識が使用される場合、現在利用可能な顕微鏡法および経口蛍光標識細胞分取分析(FACS)、または当該技術分野で既知である両方の方法手順の組み合わせを利用して、特異的結合メンバーを同定および定量化することができる。本明細書に記載される抗ApoC3抗体は、蛍光標識を保有し得る。例示的な蛍光標識としては、例えば、反応性およびコンジュゲートされたプローブ、例えば、アミノクマリン、フルオレセイン、およびテキサスレッド、Alexa Fluor染料、Cy染料、およびDyLight染料が挙げられる。抗ApoC3抗体は、同位体H、C、P、S、36Cl、51Cr、57Co、58Co、59Fe、67Cu、90Y、99Tc、111ln、117Lu、121I、124I、125I、131I、198Au、211At、213Bi、225Ac、および186Reなどの放射性標識を保有し得る。放射性標識が使用される場合、当該技術分野で既知である現在利用可能な計数手順を利用して、ApoC3(例えば、ヒトApoC3)への抗ApoC3抗体の特異的結合を同定および定量化した。標識が酵素である場合には、検出は、当該技術分野で既知である現在利用されている比色分析、分光光度法、蛍光分光光度法、電流測定法、または気体定量技術のいずれかによって達成され得る。これは、抗体とApoC3(例えば、ヒトApoC3)との複合体の形成を可能にする条件下で、試料または対照試料を抗ApoC3抗体と接触させることによって達成することができる。抗体とApoC3(例えば、ヒトApoC3)との間で形成される任意の複合体が試料および対照において検出され、比較される。また、本明細書に記載される抗体を使用して、免疫親和性精製を介してApoC3(例えば、ヒトApoC3)を精製することもできる。また、例えば、ApoC3(例えば、ヒトApoC3)の存在の程度の定量分析のための試験キットの形態で調製され得るアッセイシステムも本明細書に含まれる。システムまたは試験キットは、標識成分、例えば、標識ApoC3抗体と、1つ以上の追加の免疫化学的試薬とを含み得る。
【0103】
4.医薬組成物
薬学的に許容される担体、賦形剤、または安定化剤中で所望の純度を有する本明細書に記載される抗ApoC3抗体を含む医薬組成物が本明細書に提供される(Remington’s Pharmaceutical Sciences(1990)Mack Publishing Co.,Easton,PA)。許容される担体、賦形剤、または安定化剤は、用いられる投薬量および濃度でレシピエントに対して無毒であり、これらには、リン酸、クエン酸、および他の有機酸などの緩衝液;アスコルビン酸およびメチオニンを含む抗酸化剤;保存剤(塩化オクタデシルジメチルベンジルアンモニウム、塩化ヘキサメトニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、フェノール、ブチルもしくはベンジルアルコール、メチルもしくはプロピルパラベンなどのアルキルパラベン、カテコール、レゾルシノール、シクロヘキサノール、3-ペンタノール、およびm-クレゾールなど);低分子量(約10残基未満)ポリペプチド;血清アルブミン、ゼラチン、もしくは免疫グロブリンなどのタンパク質;ポリビニルピロリドンなどの親水性ポリマー;グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン、もしくはリジンなどの親水性ポリマー;単糖類、二糖類、およびグルコース、マンノース、もしくはデキストリンを含む他の炭水化物;EDTAなどのキレート剤;スクロース、マンニトール、トレハロース、もしくはソルビトールなどの糖;ナトリウムなどの塩形成対イオン;金属錯体(例えば、Zn-タンパク質錯体);またはTWEEN(商標)、PLURONICS(商標)、またはポリエチレングリコール(PEG)などの非イオン性界面活性剤が含まれる。
【0104】
特定の実施形態では、医薬組成物は、薬学的に許容される担体中で、本明細書に記載される抗ApoC3抗体と、任意で、1つ以上の追加の予防または治療剤とを含む。特定の実施形態では、医薬組成物は、薬学的に許容される担体中で、有効量の本明細書に記載される抗体と、任意で、1つ以上の追加の予防または治療剤とを含む。いくつかの実施形態では、抗体は、医薬組成物中に含まれる唯一の活性成分である。本明細書に記載される医薬組成物は、ApoC3活性の阻害、および癌または感染性疾患などの状態の治療に有用であり得る。
【0105】
非経口調製物に使用される薬学的に許容される担体には、水性ビヒクル、非水性ビヒクル、抗菌薬、等張化剤、緩衝液、抗酸化剤、局所麻酔薬、懸濁化剤および分散剤、乳化剤、封鎖剤またはキレート剤、ならびに他の薬学的に許容される物質が含まれる。水性ビヒクルの例としては、塩化ナトリウム注射液、リンガー液、等張性デキストロース注射液、滅菌水注射液、デキストロースおよび乳酸加リンガー液が挙げられる。非水性経口ビヒクルには、植物由来の不揮発性油、綿実油、トウモロコシ油、ゴマ油、およびピーナッツ油が含まれる。複数用量容器にパッケージ化された経口調製物に、静菌的または静真菌的濃度の抗菌薬が添加されてもよく、これには、フェノールまたはクレゾール、水銀、ベンジルアルコール、クロロブタノール、メチルおよびプロピルp-ヒドロキシ安息香酸エステル、チメロサール、塩化ベンザルコニウム、および塩化ベンゼトニウムが含まれる。等張化剤には、塩化ナトリウムおよびデキストロースが含まれる。緩衝液には、リン酸およびクエン酸が含まれる。抗酸化剤には、重硫酸ナトリウムが含まれる。局所麻酔薬には、塩酸プロカインが含まれる。懸濁化剤および分散剤には、カルボキシメチルセルオースナトリウム(sodium carboxymethylcelluose)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、およびポリビニルピロリドンが含まれる。乳化剤には、Polysorbate80(TWEEN(登録商標)80)が含まれる。金属イオンの封鎖剤またはキレート剤には、EDTAが含まれる。また、薬学的担体には、水混和性のためのエチルアルコール、ポリエチレングリコール、およびプロピレングリコール、ならびにpH調節のための水酸化ナトリウム、塩酸、クエン酸、または乳酸も含まれる。
【0106】
医薬組成物は、対象への人の投与経路用に製剤化され得る。投与経路の具体的な例としては、鼻腔内、経口、肺、経皮、皮内、および非経口が挙げられる。皮下、筋肉内、または静脈内注射のいずれかを特徴とする非経口投与も本明細書において企図される。注射剤は、液体溶液もしくは懸濁液としての従来の形態で、注射前の液体中での溶解もしくは懸濁化に好適な固体形態で、または乳濁液として調製することができる。注射剤、溶液、および乳濁液は、1つ以上の賦形剤も含有する。好適な賦形剤は、例えば、水、生理食塩水、デキストロース、グリセロール、またはエタノールである。さらに、所望の場合、投与される医薬組成物は、少量の非毒性補助物質、例えば、湿潤剤または乳化剤、pH緩衝剤、安定化剤、可溶性増強剤、ならびに例えば、酢酸ナトリウム、ソルビタンモノラウレート、オレイン酸トリエタノールアミン、およびシクロデキストリンなどの他のかかる薬剤も含有し得る。
【0107】
抗体の非経口投与のための調製物には、注射用の滅菌溶液、使用直前に溶媒と合わせるための凍結乾燥粉末などの乾燥した滅菌可溶性生成物(皮下錠剤を含む)、注射用の滅菌懸濁液、使用直前にビヒクルと合わせるための乾燥した滅菌不溶性生成物、および滅菌乳濁液が含まれる。溶液は、水性であっても非水性であってもよい。
【0108】
静脈内に投与される場合、好適な担体には、生理食塩水またはリン酸緩衝生理食塩水(PBS)、ならびにグルコース、ポリエチレングリコール、およびポリプロピレングリコール、およびこれらの混合物などの増粘剤および可溶化剤が含まれる。
【0109】
抗体を含む局所混合物は、局所および全身投与について記載されるように調製される。得られた混合物は、溶液、懸濁液、乳濁液などであり得、クリーム、ゲル、軟膏、乳濁液、溶液、エリキシル剤、ローション、懸濁液、チンキ剤、ペースト、泡状物質、エアロゾル、潅注剤、スプレー、坐薬、包帯、皮膚パッチ、または局所投与に好適な任意の他の製剤として製剤化され得る。
【0110】
本明細書に記載される抗ApoC3抗体は、例えば吸入による局所投与のためにエアロゾルとして製剤化され得る(例えば、炎症性疾患、特に喘息の治療に有用なステロイドの送達のためのエアロゾルについて記載する、米国特許第4,044,126号、同第4,414,209号、および同第4,364,923を参照されたい)。呼吸器への投与のためのこれらの製剤は、単独で、またはラクトースなどの不活性担体と組み合わせた、ネブライザー用のエアロゾルもしくは溶液の形態、または吹送のための微小粉末であり得る。かかる場合において、製剤の粒子は、一実施形態では50ミクロン未満、一実施形態では10ミクロン未満の直径を有することになる。
【0111】
本明細書に記載される抗ApoC3抗体は、局所(local)または局所(topical)投与用に、例えば、皮膚、および眼の中などの粘膜への局所適用のためにゲル、クリーム、およびローションの形態で、ならびに眼への適用または槽内もしくは脊髄内の適用のために、製剤化され得る。局所投与は、経皮送達について企図され、そして眼もしくは粘膜への投与、または吸入療法についても企図される。抗体単独の、または他の薬学的に許容される賦形剤と組み合わせた鼻腔用溶液も投与され得る。
【0112】
イオン振とうデバイスおよび電気泳動デバイスを含む経皮パッチは、当該技術分野で周知であり、抗体を投与するために使用され得る。例えば、かかるパッチは、米国特許第6,267,983号、同第6,261,595号、同第6,256,533号、同第6,167,301号、同第6,024,975号、同第6,010715号、同第5,985,317号、同第5,983,134号、同第5,948,433号、および同第5,860,957号に開示されている。
【0113】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載されるを含む医薬組成物は、溶液、乳濁液、および他の混合物として投与のために再構築され得る、凍結乾燥した粉末である。また、再構築し、固体またはゲルとして製剤化することもできる。凍結乾燥した粉末は、本明細書に記載される抗体またはその薬学的に許容される誘導体を好適な溶媒中に溶解することによって調製される。いくつかの実施形態では、凍結乾燥した粉末は、滅菌である。溶媒は、安定性を改善させる賦形剤、または粉末もしくは粉末から調製された再構築された溶液の他の薬理成分を含有し得る。使用され得る賦形剤には、デキストロース、ソルビトール、フルクトース、コーンシロップ、キシリトール、グリセリン、グルコース、スクロース、または他の好適な薬剤が含まれるが、これらに限定されない。溶媒はまた、一実施形態では約中性pHの、緩衝液、例えば、クエン酸、リン酸ナトリウムもしくはカリウム、または当業者に既知である他の緩衝液も含有し得る。当業者に既知である標準条件下でのその後の溶液の滅菌濾過に続く凍結乾燥によって、所望の製剤が提供される。一実施形態では、得られた溶液は、凍結乾燥用のバイアルに配分される。各バイアルは、単回投薬量または複数回投薬量の化合物を含有することになる。凍結乾燥した粉末は、約4℃~室温などの適切な条件下で保管され得る。この凍結乾燥した粉末を注射用に水で再構築することにより、非経口投与における使用のための製剤を提供される。再構築のために、凍結乾燥した粉末は、滅菌水または他の好適な担体に添加される。正確な量は、選択される化合物によって異なる。かかる量は、経験的に判定され得る。
【0114】
本明細書に記載される抗ApoC3抗体および本明細書に提供される他の組成物はまた、特定の組織、受容体、または治療される対象の身体の他の領域を標的化するように製剤化され得る。多くのかかる標的化の方法は、当業者には周知である。全てのかかる標的化の方法は、本組成物における使用のために本明細書において企図される。標的化の方法の非限定的な例については、例えば、米国特許第6,316,652号、同第6,274,552号、同第6,271,359号、同第6,253,872号、同第6,139,865号、同第6,131,570号、同第6,120,751号、同第6,071,495号、同第6,060,082号、同第6,048,736号、同第6,039,975号、同第6,004,534号、同第5,985,307号、同第5,972,366号、同第5,900,252号、同第5,840,674号、同第5,759,542号、および同第5,709,874号を参照されたい。
【0115】
インビボ投与に使用される組成物は、滅菌であり得る。これは、例えば、滅菌濾過膜を通した濾過によって容易に達成される。
【0116】
5.ポリヌクレオチド、ベクター、および抗ApoC3抗体を産生する方法
別の態様では、本明細書に記載される抗ApoC3抗体(例えば、軽鎖可変領域または重鎖可変領域)をコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド、ならびにベクター、例えば、宿主細胞(例えば、E.coliおよび哺乳動物細胞)における組換え発現のためのかかるポリヌクレオチドを含むベクターが本明細書に提供される。
【0117】
本明細書で使用される場合、「単離された」ポリヌクレオチドまたは核酸分子は、核酸分子の天然源において(例えば、マウスまたはヒトにおいて)存在する他の核酸分子から分離したものである。さらに、cDNA分子などの「単離された」核酸分子は、他の細胞形質成分、もしくは組換え技術によって産生された場合には培養培地を実質的に含まないか、または化学的に合成された場合には化学的前駆体もしくは他の化学物質を実質的に含まないことがある。例えば、「実質的に含まない」という表現は、約15%、10%、5%、2%、1%、0.5%、または0.1%未満(特に、約10%未満)の他の物質、例えば、細胞形質成分、培養培地、他の核酸分子、化学的前駆体、または他の化学物質を有するポリヌクレオチドまたは核酸分子の調製物を含む。特定の実施形態では、本明細書に記載される抗体をコードする核酸分子(複数可)は、単離または精製されている。
【0118】
具体的な態様では、ApoC3(例えば、ヒトApoC3)ペプチドに特異的に結合し、本明細書に記載されるアミノ酸配列を含む抗体、ならびにApoC3(例えば、ヒトApoC3)ポリペプチドへの結合についてかかる抗体と競合する(例えば、用量依存的な様式で)か、またはかかる抗体と同じエピトープに結合する抗体をコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドが本明細書に提供される。
【0119】
ある特定の態様では、本明細書に記載される抗体の軽鎖または重鎖をコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドが本明細書に提供される。ポリヌクレオチドは、本明細書に記載される抗体のVH、VL、またはCDRをコードするヌクレオチド配列を含み得る(例えば、本明細書の表1~4を参照されたい)。
【0120】
また、例えば、コドン/RNA最適化、異種シグナル配列での置き換え、およびmRNA不安定要素の排除によって最適化されている、抗ApoC3抗体をコードするポリヌクレオチドも本明細書に提供される。コドン変化を導入するか、またはmRNAにおける阻害領域を排除することによって、組換え発現のための抗ApoC3抗体(例えば、軽鎖、重鎖、VHドメイン、またはVLドメイン)をコードする最適化された核酸を生成する方法は、例えば、米国特許第5,965,726号、同第6,174,666号、同第6,291,664号、同第6,414,132号、および同第6,794,498号に記載される最適化方法を適宜適応させることによって実施することができる。例えば、RNA内の潜在的なスプライス部位および不安定要素(例えば、A/TまたはA/Uに富む要素)は、各配列によってコードされたアミノ酸配列を改変せずに変異されて、組換え発現のためのRNAの安定性を増加させることができる。改変は、例えば、同一のアミノ酸の代替的なコドンを使用して、遺伝暗号の縮重を利用する。いくつかの実施形態では、1つ以上のコドンを改変して、保存的変異、例えば、元のアミノ酸と類似の化学構造および特性または機能を有する類似のアミノ酸をコードすることが望ましい場合がある。かかる方法は、最適化されていないポリヌクレオチドによってコードされた抗ApoC3抗体の発現と比べて、抗ApoC3の発現を少なくとも1倍、2倍、3倍、4倍、5倍、10倍、20倍、30倍、40倍、50倍、60倍、70倍、80倍、90倍、または100倍以上増加させることができる。
【0121】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載される抗ApoC3抗体(例えば、VLドメインまたはVHドメイン)をコードする最適化されたポリヌクレオチド配列は、本明細書に記載される抗ApoC3抗体(例えば、VLドメインまたはVHドメイン)をコードする最適化されていないポリヌクレオチド配列のアンチセンス(例えば、補体)ポリヌクレオチドにハイブリダイズすることができる。特定の実施形態では、本明細書に記載される抗ApoC3抗体または断片をコードする最適化されたヌクレオチド配列は、高ストリンジェンシー条件下で、本明細書に記載される抗ApoC3抗体をコードする最適化されていないポリヌクレオチド配列のアンチセンスポリヌクレオチドにハイブリダイズする。特定の実施形態では、本明細書に記載される抗ApoC3抗体をコードする最適化されたヌクレオチド配列は、高ストリンジェンシー、中または低ストリンジェンシーのハイブリダイゼーション条件下で、本明細書に記載される抗ApoC3抗体の最適化されていないヌクレオチド配列のアンチセンスポリヌクレオチドにハイブリダイズする。ハイブリダイゼーション条件に関する情報は記載されており、例えば、参照により本明細書に組み込まれている米国特許出願公開第US2005/0048549号(例えば、段落72~73)を参照されたい。
【0122】
当該技術分野で既知の任意の方法によって、ポリヌクレオチドを得ることができ、ポリヌクレオチドのヌクレオチド配列を判定することができる。本明細書に記載される抗体、例えば、表1に記載される抗体、およびこれらの抗体の修飾バージョンをコードするヌクレオチド配列は、当該技術分野で周知の方法を使用して、すなわち、特定のアミノ酸をコードすることが知られているヌクレオチドコドンを、抗体をコードする核酸を生成するように集合させて、判定することができる。抗体をコードするかかるポリヌクレオチドは、化学的に合成されたオリゴヌクレオチドから集合させることができ(例えば、Kutmeier G et al,(1994),BioTechniques17:242-6に記載されるように)、これは簡潔には、抗体をコードする配列の一部を含有する重複オリゴヌクレオチドの合成、それらのオリゴヌクレオチドのアニーリングおよびライゲーション、ならびにその後の、ライゲートされたオリゴヌクレオチドのPCRによる増幅を伴う。
【0123】
daiイ的には、本明細書に記載される抗体をコードするポリヌクレオチドは、当該技術分野で周知の方法(例えば、PCRおよび他の分子クローニング法)を使用して、好適な供給源(例えば、ハイブリドーマ)由来の核酸から生成することができる。例えば、目的の抗体を産生するハイブリドーマ細胞から得たゲノムDNAを使用して、既知の配列の3’および5’末端にハイブリダイズすることができる合成プライマーを使用したPCR増幅を実施することができる。かかるPCR増幅法を使用して、抗体の軽鎖または重鎖をコードする配列を含む核酸を得ることができる。かかるPCR増幅法を使用して、抗体の可変軽鎖領域または可変重鎖領域をコードする配列を含む核酸を得ることができる。増幅した核酸は、宿主細胞における発現のため、ならびに例えば、キメラおよびヒト化抗体を生成するためのさらなるクローニングのためにベクター内にクローニングすることができる。
【0124】
特定の抗体をコードする核酸を含有するクローンが入手できないが、抗体分子の配列が既知である場合、免疫グロブリンをコードする核酸は、配列の3’および5’末端にハイブリダイズすることができる合成プライマーを使用したPCR増幅によって、または例えば、抗体をコードするcDNAライブラリ由来のcDNAクローンを同定するための特定の遺伝子配列に特異的なオリゴヌクレオチドプローブを使用したクローニングによって、好適な供給源(例えば、抗体cDNAライブラリ、または本明細書に記載される抗体を発現するために選択されたハイブリドーマ細胞などの、抗体を発現する任意の組織または細胞から生成された抗体cDNAライブラリ、もしくはそれから単離された核酸、好ましくはポリA+RNA)から化学的に合成されるか、またはそれから得ることができる。PCRによって精製された増幅した核酸は、その後、当該技術分野で周知の任意の方法を使用して複製可能なクローニングベクターにクローニングされ得る。
【0125】
本明細書に記載される抗ApoC3(例えば、ヒトApoC3)抗体をコードするDNAは、従来の手順を使用して(例えば、抗ApoC3(例えば、ヒトApoC3)抗体の重鎖および軽鎖をコードする遺伝子に特異的に結合することができるオリゴヌクレオチドプローブを使用することによって)容易に単離および配列決定され得る。ハイブリドーマ細胞は、かかるDNAの供給源として機能し得る。いったん単離されると、DNAは発現ベクター内に置かれ、これは次いで、別様に免疫グロブリンタンパク質を産生しない、E.coli細胞、サルCOS細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞(例えば、CHO GS System(商標)(Lonza)由来のCHO細胞)、または骨髄腫細胞などの宿主細胞内にトランスフェクトされて、組換え宿主細胞中の抗ApoC3(例えば、ヒトApoC3)抗体の合成を得る。
【0126】
完全抗体を生成するために、VHまたはVLヌクレオチド配列、制限部位、および制限部位を保護する隣接配列を含むPCRプライマーを使用して、scFvクローンのVHまたはVL配列を増幅させることができる。当業者に既知のクローニング技術を利用して、PCR増幅したVHドメインを、重鎖定常領域、例えば、ヒトガンマ4定常領域を発現するベクターにクローニングすることができ、PCR増幅したVLドメインを、軽鎖定常領域例えば、ヒトカッパまたはラムダ定常領域を発現するベクターにクローニングすることができる。ある特定の実施形態では、VHまたはVLドメインを発現するためのベクターは、EF-1αプロモーター、文筆シグナル、可変領域のためのクローニング部位、定常領域、およびネオマイシンなどの選択マーカーを含む。VHおよびVLドメインはまた、必要な定常領域を発現する1つのベクターにクローニングされてもよい。次いで、当業者に既知である技術を使用して、重鎖変換ベクターおよび軽鎖変換ベクターを細胞株に同時にトランスフェクトして、全長抗体、例えば、IgGを発現する安定または一過性細胞株を生成する。
【0127】
DNAはまた、例えば、マウス配列の代わりにヒト重鎖および軽鎖定常ドメインのコード配列を置換することによって、または免疫グロブリンコード配列に非免疫グロブリンポリペプチドのコード配列の全てもしくは一部を共有結合させることによって修飾され得る。
【0128】
本明細書に記載される抗体をコードするポリヌクレオチドに、高、中、または低ストリンジェンシーのハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドも提供される。特定の実施形態では、本明細書に記載されるポリヌクレオチドは、高、中、または低ストリンジェンシーのハイブリダイゼーション条件下で、本明細書に提供されるVHドメインまたはVLドメインをコードするポリヌクレオチドにハイブリダイズする。
【0129】
ハイブリダイゼーション条件は、当該技術分野で記載されており、当業者には既知である。例えば、ストリンジェント条件下のハイブリダイゼーションは、約45℃の6x塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム(SSC)中でのフィルター結合DNAへのハイブリダイゼーション、続いて約50~65℃の0.2xSSC/0.1%SDS中での1回以上の洗浄を伴いうる。高ストリンジェント条件下でのハイブリダイゼーションは、約45℃の6xSSC中でのフィルター結合核酸へのハイブリダイゼーション、続いて約68℃の0.1xSSC/0.2%SDS中での1回以上の洗浄を伴い得る。他のストリンジェントハイブリダイゼーション条件下でのハイブリダイゼーションは、当業者には既知であり、記載されており、例えば、Ausubel FM et al,eds.,(1989)Current Protocols in Molecular Biology,Vol.I,Green Publishing Associates,Inc.and John Wiley&Sons,Inc.,New Yorkの6.3.1~6.3.6および2.10.3頁を参照されたい。
【0130】
ある特定の態様では、ApoC3(例えば、ヒトApoC3)に特異的に結合する本明細書に記載される抗体を発現する(例えば、組換えで)細胞(例えば、宿主細胞)、ならびに関連するポリヌクレオチドおよび発現ベクターが本明細書に提供される。宿主細胞、好ましくは哺乳動物細胞における組換え発現のための抗ApoC3(例えば、ヒトApoC3)抗体または断片をコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドを含むベクター(例えば、発現ベクター)が本明細書に提供される。また、本明細書に記載されるApoC3(例えば、ヒトApoC3)抗体(例えば、ヒトまたはヒト化抗体)を組換え発現するためのかかるベクターを含む宿主細胞も提供される。特定の態様では、宿主細胞由来のかかる抗体を発現させることを含む、本明細書に記載される抗体を産生するための方法が本明細書に提供される。
【0131】
ApoC3(例えば、ヒトApoC3)に特異的に結合する本明細書に記載される抗体(例えば、本明細書に記載される全長抗体、抗体の重鎖もしくは軽鎖、または一本鎖抗体)の組換え発現は、抗体をコードするポリヌクレオチドを含有する発現ベクターの構築を伴う。本明細書に記載される抗体分子、抗体の重鎖または軽鎖(例えば、重鎖または軽鎖可変領域)をコードするポリヌクレオチドが得られると、抗体分子の産生のためのベクターは、当該技術分野で周知の技術を使用した組換えDNA技術によって産生され得る。したがって、ヌクレオチド配列をコードする抗体または抗体断片(例えば、軽鎖または重鎖)を含有するポリヌクレオチドを発現することによってタンパク質を調製するための方法が本明細書に記載される。当業者に周知である方法を使用して、配列ならびに転写および翻訳制御シグナルをコードする抗体または抗体断片(例えば、軽鎖または重鎖)を含有する発現ベクターを構築することができる。これらの方法には、例えば、インビトロ組換えDNA技術、合成技術、およびインビボ遺伝子組み換えが含まれる。また、プロモーターに操作可能に連結した、本明細書に記載される抗体分子、抗体の重鎖もしくは敬アs、抗体の重鎖もしくは軽鎖可変領域、または重鎖もしくは軽鎖CDRをコードするヌクレオチド配列を含む複製可能なベクターも提供される。かかるベクターは、例えば、抗体分子の定常領域をコードするヌクレオチド配列(例えば、国際公開第WO86/05807号および同第WO89/01036号、ならびに米国特許第5,122,464号を参照されたい)を含んでもよく、抗体の可変領域は、重鎖全体、軽鎖全体、または重鎖および軽鎖全体の両方の発現のためのかかるベクターにクローニングされてもよい。
【0132】
発現ベクターは、従来の技術によって細胞(例えば、宿主細胞)に転送され得、得られた細胞はその後、本明細書に記載される抗体を産生するために従来の技術によって培養され得る。したがって、宿主細胞におけるかかる配列の発現のためのプロモーターに操作可能に連結した、本明細書に記載される抗体、またはその重鎖もしくは軽鎖、またはその断片、または本明細書に記載される一本鎖抗体をコードするポリヌクレオチドを含有する宿主細胞が本明細書に提供される。ある特定の実施形態では、二本鎖抗体の発現の場合、重鎖および軽鎖の両方をコードするベクターは個々に、以下に詳述されるように、免疫グロブリン分子全体の発現のための宿主細胞中で共発現され得る。ある特定の実施形態では、宿主細胞は、本明細書に記載される抗体の重鎖および軽鎖の両方をコードするポリヌクレオチドを含むベクターを含有する。特定の実施形態では、宿主細胞は、本明細書に記載される抗体またはその断片の重鎖または重鎖可変領域をコードするポリヌクレオチドを含む第1のベクターと、本明細書に記載される抗体またはその断片の軽鎖または軽鎖可変領域をコードするポリヌクレオチドを含む第2のベクターと、の2つの異なるベクターを含有する。他の実施形態では、第1の宿主細胞は、本明細書に記載される抗体またはその断片の重鎖または重鎖可変領域をコードするポリヌクレオチドを含む第1のベクターを含み、第2の宿主細胞は、本明細書に記載される抗体の軽鎖または軽鎖可変領域をコードするポリヌクレオチドを含む第2のベクターを含む。特定の実施形態では、第1の細胞によって発現された重鎖/重鎖可変領域は、第2の細胞の軽鎖/軽鎖可変領域と会合して、本明細書に記載される抗ApoC3抗体を形成した。ある特定の実施形態では、かかる第1の宿主細胞と、かかる第2の宿主細胞とを含む宿主細胞集団が本明細書に提供される。
【0133】
特定の実施形態では、本明細書に記載される抗ApoC3抗体の軽鎖/軽鎖可変領域をコードするポリヌクレオチドを含む第1のベクターと、本明細書に記載される抗ApoC3抗体の重鎖/重鎖可変領域をコードするポリヌクレオチドを含む第2のベクターとを含むベクター集団が本明細書に提供される。
【0134】
多様な宿主発現ベクター系を利用して、本明細書に記載される抗体分子を発現させることができる(例えば、米国特許第5,807,715号を参照されたい)。かかる宿主発現系は、目的のコード配列が産生され、その後精製され得るビヒクルを表すが、適切なヌクレオチドコード配列で形質転換またはトランスフェクトされた場合に本明細書に記載される抗体分子をインサイツで発現することができる細胞も表す。これらには、抗体コード配列を含有する、組換えバクテリオファージDNA、プラスミドDNA、もしくはコスミドDNA発現ベクターで形質転換された細菌(例えば、E.coliおよびB.subtilis)などの微生物;抗体コード配列を含有する、組換え酵母発現ベクターで形質転換された酵母菌(例えば、Saccharomyces Pichia);抗体コード配列を含有する組換えウイルス発現ベクター(例えば、バキュロウイルス)に感染した昆虫細胞系;抗体コード配列を含有する、組換えウイルス発現ベクター(例えば、カリフラワーモザイクウイルス、CaMV;タバコモザイクウイルス、TMV)に感染したか、もしくは組換えプラスミド発現ベクター(例えば、Ti plasmid)で形質転換された植物細胞系(例えば、Chlamydomonas reinhardtiiなどの緑藻類);または哺乳動物細胞のゲノムに由来するプロモーター(例えば、メタロチオネインプロモーター)もしくは哺乳動物ウイルスに由来するプロモーター(例えば、アデノウイルス後期プロモーター、ワクシニアウイルス7.5Kプロモーター)を含有する組換え発現構築物を保有する哺乳動物細胞系(例えば、COS(例えば、COS1もしくはCOS)、CHO、BHK、MDCK、HEK293、NS0、PER.C6、VERO、CRL7030、HsS78Bst、HeLa、およびNIH3T3、HEK-293T、HepG2、SP210、R1.1、B-W、L-M、BSC1、BSC40、YB/20、およびBMT10細胞)が含まれるが、これらに限定されない。特定の実施形態では、本明細書に記載される抗体を発現させるための細胞は、CHO細胞、例えば、CHO GS System(商標)(Lonza)由来のCHO細胞である。特定の実施形態では、本明細書に記載される抗体を発現させるための細胞は、ヒト細胞、例えば、ヒト細胞株である。特定の実施形態では、哺乳動物発現ベクターは、pOptiVEC(商標)またはpcDNA3.3である。特定の実施形態では、特に、全組換え抗体分子の発現の場合、Escherichia coliなどの細菌細胞または真核細胞(例えば、哺乳動物細胞)が、組換え抗体分子の発現に使用される。例えば、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞などの哺乳動物細胞は、ヒトサイトメガロウイルス由来の主要な中間体である初期遺伝子プロモーター要素などのベクターと併せて、抗体のための有効な発現系である(Foecking MK&Hofstetter H(1986)Gene45:101-5およびCockett MI et al,(1990)Biotechnology8(7):662-7)。ある特定の実施形態では、本明細書に記載される抗体は、CHO細胞またはNSO細胞によって産生される。特定の実施形態では、ApoC3(例えば、ヒトApoC3)に特異的に結合する本明細書に記載される抗体をコードするヌクレオチド配列の発現は、構成型プロモーター、誘導性プロモーター、または組織特異的プロモーターによって制御されている。
【0135】
細菌系において、発現される抗体分子について意図される用途に応じて、いくつかの発現ベクターが有利に選択され得る。例えば、大量のかかる抗体が産生される場合、抗体分子の医薬組成物の生成のために、容易に精製される高レベルの融合タンパク質産物の発現を指示するベクターが望ましいことがある。かかるベクターには、融合タンパク質が産生されるように、抗体コード配列がlac Zコード領域を有するフレーム中でベクター内に個々にライゲーションされ得る、E.coli発現ベクターpUR278(Ruether U&Mueller-Hill B(1983)EMBO J2:1791-1794);pINベクター(InouyeS&Inouye M(1985)Nuc Acids Res13:3101-3109、Van Heeke G&Schuster SM(1989)J Biol Chem24:5503-5509)などが含まれるが、これらに限定されない。例えば、pGEXベクターを使用して、グルタチオン5-転移酵素(GST)を有する融合タンパク質として異種ポリペプチドを発現させることができる。一般に、かかる融合タンパク質は可溶性であり、マトリックスグルタチオンアガロースビーズへの吸着および結合、続いて遊離グルタチオンの存在下での溶出によって、溶解細胞から容易に精製することができる。pGEXベクターは、クローニングされた標的遺伝子産物がGST部分から放出され得るようにトロンビンまたは因子Xaプロテアーゼ切断部位を含むように設計されている。
【0136】
昆虫系において、異種遺伝子を発現させるためのベクターとして例えば、Autographa californica核多角体病ウイルス(Ac PV)を使用することができる。ウイルスは、Spodoptera frugiperda細胞中で増殖する。抗体コード配列は、ウイルスの非本質的な領域(例えば、ポリヘドリン遺伝子)内へ個々にクローニングされ、AnNPVプロモーター(例えば、ポリヘドリンプロモーター)の制御下に置かれ得る。
【0137】
哺乳動物宿主細胞において、いくつかのウイルスベースの発現系を利用することができる。発現ベクターとしてアデノウイルスが使用される場合、目的の抗体コード配列をアデノウイルス転写/翻訳制御複合体、例えば、後期プロモーターおよび3つに分かれた(tripartite)リーダー配列にライゲーションされ得る。その後、インビトロまたはインビボ組換えによりこのキメラ遺伝子をアデノウイルスゲノムに挿入することができる。ウイルスゲノムの非本質的な領域(例えば、領域E1またはE3)への挿入は、感染した宿主において生存可能であり、抗体分子を発現することができる組換えウイルスをもたらすことになる(例えば、Logan J&Shenk T(1984)PNAS81(12):3655-9を参照されたい)。また、挿入された抗体コード配列の効率的な翻訳のために特定の開始シグナルも必要とされ得る。これらのシグナルには、ATG開始コドンおよび隣接する配列が含まれる。さらに、挿入全体の翻訳を確実にするために、開始コドンは所望のコード配列のリーディングフレームと一致していなければならない。これらの外因性制御シグナルおよび開始コドンは、様々な起源のもの(天然および合成の両方)であり得る。発現の有効性は、適切な転写エンハンサー要素、転写ターミネーターなどを含むことによって増強され得る(例えば、Bitter G et al,(1987)Methods Enzymol.153:516-544を参照されたい)。
【0138】
さらに、挿入された配列の発現を調節するか、または所望される特定の様式で遺伝子産物を修飾およびプロセシングする宿主細胞株が選択され得る。タンパク質産物のかかる修飾(例えば、糖鎖付加)およびプロセシング(例えば、切断)は、タンパク質の機能にとって重要であり得る。異なる宿主細胞は、タンパク質および遺伝子産物の翻訳後プロセシングおよび修飾のための特徴および特定の機構を有する。発現された異種タンパク質の正確な修飾およびプロセシングを確実にするために、適切な細胞株または宿主系が選択され得る。この目的で、一次転写産物の適切なプロセシング、糖鎖付加、および遺伝子産物のリン酸化のための細胞機構を保有する真核宿主細胞を使用することができる。かかる哺乳動物宿主細胞には、CHO、VERO、BHK、Hela、MDCK、HEK293、NIH3T3、W138、BT483、Hs578T、HTB2、BT20およびT47D、NS0(一切の免疫グロブリン鎖を外因的に産生しないマウス骨髄腫細胞株)、CRL7030、COS(例えば、COS1またはCOS)、PER.C6、VERO、HsS78Bst、HEK-293T、HepG2、SP210、R1.1、B-W、L-M、BSC1、BSC40、YB/20、BMT10、ならびにHsS78Bst細胞がふくまれるが、これらに限定されない。ある特定の実施形態では、本明細書に記載される抗ApoC3(例えば、ヒトApoC3)抗体は、CHO細胞などの哺乳動物細胞において産生される。
【0139】
特定の実施形態では、本明細書に記載される抗体は、低減されたフコース含量を有するか、またはフコース含量を有しない。かかる抗体は、当業者に既知である技術を使用して産生され得る。例えば、抗体は、フコシル化の能力を不足または欠損している細胞において発現され得る。特定の例では、1,6-フコシル転移酵素の両方のアレルのノックアウトを有する細胞株を使用して、低減したフコース含量を有する抗体を産生することができる。Potelligent(登録商標)システム(Lonza)は、低減したフコース含量を有する抗体を産生するために使用され得るシステムの一例である。
【0140】
組換えタンパク質の長期的な高収量の産生のために、安定的な発現細胞が生成され得る。例えば、本明細書に記載される抗ApoC3抗体を安定的に発現する細胞株は、操作され得る。特定の実施形態では、本明細書に提供される細胞は、本明細書に記載される抗体を形成するために会合する軽鎖/軽鎖可変領域および重鎖/重鎖可変領域を安定的に発現する。
【0141】
ある特定の態様では、ウイルス複製開始点を含有する発現ベクターを使用するのではなく、宿主細胞は、適切な発現制御要素(例えば、プロモーター、エンハンサー、配列、転写ターミネーター、ポリアデニル化部位など)および選択マーカーによって制御されたDNAで形質転換され得る。異種DNA/ポリヌクレオチドの導入後、操作された細胞を、富化された培地中で1~2日間成長させ、その後、選択培地に切り替えることができる。組換えプラスミド中の選択マーカーは、選択に対する抵抗を付与し、細胞がそれらの染色体内にプラスミドを安定的に組み込み、成長して増殖巣を形成することを可能にし、これを細胞株へとクローニングおよび増殖させることができる。この方法を有利に使用して、本明細書に記載される抗ApoC3抗体を発現する細胞株を操作することができる。かかる操作された細胞株は、抗体分子と直接または間接的に相互作用する組成物のスクリーニングおよび評価においてとりわけ有用であり得る。
【0142】
いくつかの選択システムを使用することができ、これには、それぞれtk細胞、hgprt細胞、またはaprt細胞中の単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ(Wigler M et al,(1977)Cell11(1):223-32)、ヒポキサンチングアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(Szybalska EH&Szybalski W(1962)PNAS48(12):2026-2034)、およびアデニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(Lowy I et al,(1980)Cell22(3):817-23)遺伝子が含まれるが、これらに限定されない。また、以下の遺伝子の選択の基準として抗代謝抵抗を使用することもできる:メトトレキサートに対する抵抗を付与するdhfr(Wigler M et al,(1980)PNAS77(6):3567-70、O’Hare K et al,(1981)PNAS78:1527-31);ミコフェノール酸に対する抵抗を付与するgpt(Mulligan RC&Berg P(1981)PNAS78(4):2072-6);アミノグリコシドG-418に対する抵抗を付与するneo(Wu GY&Wu CH(1991)Biotherapy3:87-95、Tolstoshev P(1993)Ann Rev Pharmacol Toxicol32:573-596、Mulligan RC(1993)Science260:926-932、およびMorgan RA&Anderson WF(1993)Ann Rev Biochem62:191-217、Nabel GJ&Feigner PL(1993)Trends Biotechnol11(5):211-5);ならびにハイグロマイシンに対する抵抗を付与するhygro(Santerre RF et al,(1984)Gene30(1-3):147-56)。組換えDNA技術の当該技術分野で一般的に既知な方法が日常的に選択され得、かかる方法は、例えば、Ausubel FM et al(eds.),Current Protocols in Molecular Biology John Wiley&Sons,NY(1993)、Kriegler M,Gene Transfer and Expression,A Laboratory Manual,Stockton Press,NY(1990)、ならびにDracopoli NC et al,(eds.),Current Protocolの第12および13章、Human Genetics,John Wiley&Sons,NY(1994)、Colbere-Garapin F et al,(1981)J Mol Biol 150:1-14に記載され、これの全体は参照により本明細書に組み込まれている。
【0143】
抗体の発現レベルは、ベクター増幅によって増加させることができる(概説について、Bebbington CR&Hentschel CCG,The use of vectors based on gene amplification for the expression of cloned genes in mammalian cells in DNA cloning,Vol.3(Academic Press,New York,1987)を参照されたい)。抗体を発現するベクター系におけるマーカーが増幅可能である場合、宿主細胞の培養中に存在する阻害剤のレベルの増加は、マーカー遺伝子のコピー数を増加させることになる。増幅された領域が抗体遺伝子に関連するため、抗体の産生も増加することになる(Crouse GF et al,(1983)Mol Cell Biol3:257-66)。
【0144】
宿主細胞を、重鎖由来のポリペプチドをコードする第1のベクターおよび軽鎖由来のポリペプチドをコードする第2のベクターの、本明細書に記載される2つ以上の発現ベクターで同時にトランスフェクトすることができる。2つのベクターは同一の選択マーカーを含有し得、これは重鎖および軽鎖ポリペプチドの同等の発現を可能にする。宿主細胞を、異なる量の2つ以上の発現ベクターで同時にトランスフェクトすることができる。例えば、宿主細胞は、1:1、1:2、1:3、1:4、1:5、1:6、1:7、1:8、1:9、1:10、1:12、1:15、1:20、1:25、1:30、1:35、1:40、1:45、または1:50の第1の発現ベクターおよび第2の発現ベクターの比でトランスフェクトすることができる。
【0145】
代替的には、重鎖および軽鎖ポリペプチドの両方をコードし、かつこれらを発現することができる単一のベクターを使用してもよい。かかる状況では、過剰な毒性を有しない重鎖を回避するために、重鎖の前に軽鎖が置かれるべきである(Proudfoot NJ(1986)Nature322:562-565およびKohler G(1980)PNAS77:2197-2199)。重鎖および軽鎖のコード配列は、cDNAまたはゲノムDNAを含み得る。発現ベクターは、モノシストロン性であってもマルチシストロン性であってもよい。マルチシストロン性核酸構築物は、ヌクレオチド当たり、2、3、4、5、6、7、8、9、10個、もしくはそれ以上、または2~5、5~10、もしくは10~20個の遺伝子をコードすることができる。例えば、バイシストロン性核酸構築物は、以下の順序で、プロモーター、第1の遺伝子(例えば、本明細書に記載される抗体の重鎖)、および第2の遺伝子および(例えば、本明細書に記載される抗体の軽鎖)を含み得る。かかる発現ベクターにおいて、両方の遺伝子の転写はプロモーターによって駆動され得る一方、第1の遺伝子からのmRNAの翻訳は、キャップ依存性スキャニング機構によるものであり得、第2の遺伝子からのmRNAの翻訳は、キャップ依存性機構、例えばIRESによるものであり得る。
【0146】
いったん本明細書に記載される抗体分子が組換え発現によって産生されると、これは、免疫グロブリン分子の精製のための当該技術分野で既知の任意の方法によって、例えば、クロマトグラフィー(例えば、イオン交換、親和性、特にタンパク質Aの後の特定の抗原に対する親和性、およびサイズカラムクロマトグラフィー)、遠心分離、差次的溶解度、またはタンパク質の精製のための任意の他の標準的技術によって精製され得る。さらに、本明細書に記載される抗体を、本明細書に記載されるか、または他の様式で当該技術分野において既知である異種ポリペプチド配列に融合させて、精製を容易にすることができる。
【0147】
特定の実施形態では、本明細書に記載される抗体は、単離または精製されている。一般に、単離された抗体は、単離された抗体とは異なる抗原特異性を有する他の抗体を実質的に含まないものである。例えば、特定の実施形態では、本明細書に記載される抗体の調製物は、細胞形質成分または化学的前駆体を実質的に含まない。「細胞形質を実質的に含まない」という表現は、抗体が、それがそこから単離または組換え産生された細胞の細胞形質成分から分離されている抗体の調製物を含む。したがって、細胞形質成分を実質的に含まない抗体には、約30%、20%、10%、5%、2%、1%、0.5%、または0.1%未満(乾燥重量で)の異種タンパク質(本明細書において「混在タンパク質」とも呼ばれる)を有する抗体の調製物、または抗体のバリアント、例えば、抗体の異なる翻訳後修飾形態もしくは抗体の他の異なるバージョン(例えば、抗体断片)が含まれる。抗体が組換え産生された場合、これはまた培養培地も概して実質的に含まず、すなわち、培養培地は、タンパク質調製物の容積の約20%、10%、2%、1%、0.5%、または0.1%未満に相当する。抗体が化学的合成によって産生された場合、これは化学的前駆体または他の化学物質を概して実質的に含まず、すなわち、これは、タンパク質の合成に関与する化学的前駆体または他の化学物質から分離されている。したがって、抗体のかかる調製物は、約30%、20%、10%、または5%未満(乾燥重量で)の化学的前駆体または目的の抗体以外の化合物を有する。特定の実施形態では、本明細書に記載される抗体は、単離または精製されている。
【0148】
ApoC3(例えば、ヒトApoC3)に特異的に結合する抗体は、抗体の合成のための当該技術分野で既知の任意の方法によって、例えば、化学的合成によって、または組換え発現技術によって産生され得る。本明細書に記載される方法は、別途示されない限り、分子生物学、微生物学、遺伝子解析、組換えDNA、有機化学、生化学、PCR、オリゴヌクレオチド合成および修飾、核酸ハイブリダイゼーション、ならびに当該技術分野内の関連分野における従来の技術を用いる。これらの技術は、例えば、本明細世に引用される参考文献に記載され、文献において十分に説明されている。例えば、Maniatis T et al,(1982)Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press、Sambrook J et al,(1989),Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Second Edition,Cold Spring Harbor Laboratory Press、Sambrook J et al,(2001)Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,NY、Ausubel FM et al,Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley&Sons(1987and annual updates)、Current Protocols in Immunology,John Wiley&Sons(1987and annual updates)Gait(ed.)(1984)Oligonucleotide Synthesis:A Practical Approach,IRL Press、Eckstein(ed.)(1991)Oligonucleotides and Analogues:A Practical Approach,IRL Press、Birren B et al,(eds.)(1999)Genome Analysis:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Pressを参照されたい。
【0149】
特定の実施形態では、本明細書に記載される抗体は、例えば合成、遺伝子操作を介したDNA配列の作製を伴う任意の手段によって調製、発現、作製、または単離された抗体(例えば、組換え抗体)である。ある特定の実施形態では、かかる抗体は、インビボで動物または哺乳動物(例えば、ヒト)の抗体生殖系列レパートリー内に天然で存在しない配列(例えば、DNA配列またはアミノ酸配列)を含む。
【0150】
一態様では、ApoC3(例えば、ヒトApoC3)に特異的に結合する抗体を作製する方法であって、本明細書に記載される細胞または宿主細胞を培養することを含む、方法が本明細書に提供される。ある特定の態様では、ApoC3(例えば、ヒトApoC3)に特異的に結合する抗体を作製する方法であって、本明細書に記載される細胞または宿主細胞(例えば、本明細書に記載される抗体をコードするポリヌクレオチドを含む細胞または宿主細胞)を使用して抗体を発現させる(例えば、組換え発現させる)ことを含む、方法が本明細書に提供される。特定の実施形態では、細胞は、単離された細胞である。特定の実施形態では、外因性ポリヌクレオチドが細胞内に導入されている。特定の実施形態では、本方法は、細胞または宿主細胞から得た抗体を精製するステップをさらに含む。
【0151】
ポリクローナル抗体を産生するための方法は、当該技術分野で既知である(例えば、Short Protocols in Molecular Biology,(2002)5th Ed.,Ausubel FM et al,eds.,John Wiley and Sons,New Yorkの第11章を参照されたい)。
【0152】
モノクローナル抗体は、ハイブリドーマ、組換え、およびファージディスプレイ技術、またはこれらの組み合わせの使用を含む、当該技術分野で既知の幅広い技術を使用して調製することができる。例えば、モノクローナル抗体は、当該技術分野で既知であり、かつ例えば、Harlow E&Lane D,Antibodies:A Laboratory Manual,(Cold Spring Harbor Laboratory Press,2nd ed.1988)、Hammerling GJ et al,in:Monoclonal Antibodies and T-Cell Hybridomas563 681(Elsevier,N.Y.,1981)に教示されるものを含む、ハイブリドーマ技術を使用して産生され得る。本明細書で使用される場合、「モノクローナル抗体」という用語は、ハイブリドーマ技術によって産生された抗体に限定されない。例えば、モノクローナル抗体は、本明細書に記載される抗体、例えば、かかる抗体の軽鎖または重鎖を外因的に発現する宿主細胞から組換え産生され得る。
【0153】
特定の実施形態では、本明細書で使用される場合、「モノクローナル抗体」は、単一の細胞(例えば、組換え抗体を産生するハイブリドーマまたは宿主細胞)によって産生され、抗体は、例えば、ELISA、または当該技術分野で既知であるか、もしくは本明細書に提供される実施例における他の抗原結合もしくは競合結合アッセイによって判定されるように、ApoC3(例えば、ヒトApoC3)に特異的に結合する。特定の実施形態では、モノクローナル抗体は、キメラ抗体またはヒト化抗体であり得る。ある特定の実施形態では、モノクローナル抗体は、一価抗体または多価(例えば、二価)抗体である。特定の実施形態では、モノクローナル抗体は、単一特異性または多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)であり得る。本明細書に記載されるモノクローナル抗体は、例えば、Kohler G&Milstein C(1975)Nature256:495に記載されるようなハイブリドーマ法によって作製されてもよく、または例えば、本明細書に記載される技術を使用してファージライブラリから単離されてもよい。クローン細胞株、およびそれにより発現されたモノクローナル抗体の調製のための他の方法は、当該技術分野で周知である(例えば、Short Protocols in Molecular Biology,(2002)5th Ed.,Ausubel FM et al,(上記)の第11章を参照されたい)。
【0154】
ハイブリドーマ技術を使用して特定の抗体を産生およびスクリーニングするための方法は、慣例的であり、当該技術分野で周知である。例えば、ハイブリドーマ法において、マウス、またはヒツジ、ヤギ、ウサギ、ラット、ハムスター、もしくはマカクザルなどの他の適切な宿主動物に免疫付与して、免疫付与に使用されるタンパク質(例えば、ApoC3(例えば、ヒトApoC3))に特異的に結合することになる抗体を産生するか、またはそれを産生することができるリンパ球を誘発する。代替的には、リンパ球は、インビトロで免疫付与され得る。その後、ポリエチレングリコールなどの好適な融合剤を使用してリンパ球を骨髄腫細胞に融合させて、ハイブリドーマ細胞を形成する(Goding JW(Ed),Monoclonal Antibodies:Principles and Practice,pp.59-103(Academic Press,1986))。さらに、RFMMS(繰り返し免疫複数部位)技術を使用して、動物に免疫付与することができる(Kilpatrick KE et al,(1997)Hybridoma16:381-9、参照によりその全体が組み込まれている)。
【0155】
いくつかの実施形態では、マウス(またはラット、サル、ロバ、ブタ、ヒツジ、ハムスター、もしくはイヌなどの他の動物)に抗原(例えば、ApoC3(例えば、ヒトApoC3))で免疫付与することができ、いったん免疫応答が検出される(例えば、抗原に対して特異的な抗体がマウス血清中で検出される)と、マウス脾臓を採取し、脾細胞を単離した。次いで、周知の技術によって脾細胞を任意の好適な骨髄腫細胞、例えば、American Type Culture Collection(ATCC(登録商標))(Manassas,VA)から入手可能な細胞株SP20に融合させて、ハイブリドーマを形成する。ハイブリドーマを選択し、限界希釈によってクローニングする。ある特定の実施形態では、免疫付与したマウスのリンパ節を採取し、NSO骨髄腫細胞と融合させる。
【0156】
このように調製されたハイブリドーマ細胞を、好ましくは、未融合の親骨髄腫細胞の成長または生存を阻害する1つ以上の物質を含有する好適な培養培地中で播種および増殖させる。例えば、親骨髄腫細胞が酵素ヒポキサンチングアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(HGPRTまたはHPRT)を欠く場合、ハイブリドーマのための培養培地は、典型的には、ヒポキサンチン、アミノプテリン、およびチミジンを含むことになり(HAT培地)、これらの物質は、HGPRT欠損細胞の増殖を防止する。
【0157】
特定の実施形態は、効率的に融合し、選択された抗体産生細胞による抗体の安定的な高レベルの産生を支持し、HAT培地などの培地に対して感応性である骨髄腫細胞を用いる。これらの骨髄腫細胞株の中には、マウス骨髄腫細胞株、例えば、NSO細胞株、またはSalk Institute Cell Distribution Center(San Diego,CA,USA)から入手可能なMOPC-21およびMPC-11マウス腫瘍、ならびにAmerican Type Culture Collection(Rockville,MD,USA)から入手可能なSP-2もしくはX63-Ag8.653細胞に由来するものがある。ヒト骨髄腫およびマウス-ヒトヘテロ骨髄腫細胞株はまた、ヒトモノクローナル抗体の産生について記載されている(Kozbor D(1984)J Immunol133:3001-5、Brodeur et al,Monoclonal Antibody Production Techniques and Applications,pp.51-63(Marcel Dekker,Inc.,New York,1987))。
【0158】
ハイブリドーマ細胞を増殖させている培養培地を、ApoC3(例えば、ヒトApoC3)に対するモノクローナル抗体の産生についてアッセイする。ハイブリドーマ細胞によって産生されたモノクローナル抗体の結合特異性は、当該技術分野で既知の方法、例えば、免疫沈降法によって、または放射免疫測定法(RIA)もしくは酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)などのインビトロ結合アッセイによって判定される。
【0159】
所望の特異性、親和性、または活性の抗体を産生するハイブリドーマ細胞の同定後、クローンは、限界希釈手順によりサブクローニングされ、標準方法によって増殖され得る(Goding JW(Ed),Monoclonal Antibodies:Principles and Practice(上記))。この目的のために好適な培養培地には、例えば、D-MEMまたはRPMI1640培地が含まれる。さらに、ハイブリドーマ細胞は、動物において腹水腫瘍としてインビボで増殖され得る。
【0160】
サブクローンによって分泌されたモノクローナル抗体は、好適には、例えば、タンパク質A-セファロース、ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィー、ゲル電気泳動法、透析、または親和性クロマトグラフィーなどの従来の免疫グロブリン精製手順によって、培養培地、腹水液、または血清から分離される。
【0161】
本明細書に記載される抗体には、特異的ApoC3(例えば、ヒトApoC3)を認識し、かつ当業者に既知である任意の技術によって生成され得る抗体断片が含まれる。例えば、本明細書に記載されるFabおよびF(ab’)断片は、パパイン(Fab断片を産生するため)またはペプシン(F(ab’)断片を産生するため)などの酵素を使用して、免疫グロブリンのタンパク質切断によって産生され得る。Fab断片は、抗体分子の2つの同一のアームのうちの一方に対応し、重鎖のVHおよびCHIドメインと対になった完全な軽鎖を含有する。F(ab’)断片は、ヒンジ領域においてジスルフィド結合によって結合した抗体分子の2つの抗原結合アームを含有する。
【0162】
さらに、本明細書に記載される抗体はまた、当該技術分野で既知の様々なファージディスプレイ法を使用して生成することもできる。ファージディスプレイ法では、機能的抗体ドメインが、それらをコードするポリヌクレオチド配列を保有するファージ粒子の表面上に提示される。特に、VHおよびVLドメインをコードするDNA配列は、動物cDNAライブラリ(例えば、患部組織のヒトまたはマウスcDNAライブラリ)から増幅される。VHおよびVLドメインをコードするDNAをPCRによってscFvリンカーと共に組換え、ファージミドベクターにクローニングする。ベクターをE.coli中に電気穿孔し、E.coliは、ヘルパーファージに感染させる。これらの方法に使用するファージは、典型的には、fdおよびMl3を含む繊維状ファージであり、VHおよびVLドメインは通常、ファージ遺伝子IIIまたは遺伝子VIIIのいずれかに組換え融合されている。特定の抗原に結合する抗原結合ドメインを発現するファージは、例えば、標識抗原、または固体表面もしくはビーズに結合もしくは捕捉された抗原を使用して、抗原により選択または同定され得る。本明細書に記載される抗体を作製するために使用され得るファージディスプレイ法の例としては、Brinkman U et al,(1995)J Immunol Methods182:41-50、Ames RS et al,(1995)J Immunol Methods184:177-186、Kettleborough CA et al,(1994)Eur J Immunol 24:952-958、Persic L et al,(1997)Gene187:9-18、Burton DR&Barbas CF(1994)Advan Immunol57:191-280、PCT出願第PCT/GB91/001134号、国際公開第WO90/02809号、同第WO91/10737号、同第WO92/01047号、同第WO92/18619号、同第WO93/11236号、同第WO95/15982号、同第WO95/20401号、および同第WO97/13844号、ならびに米国特許第5,698,426号、同第5,223,409号、同第5,403,484号、同第5,580,717号、同第5,427,908号、同第5,750,753号、同第5,821,047号、同第5,571,698号、同第5,427,908号、同第5,516,637号、同第5,780,225号、同第5,658,727号、同第5,733,743号、および同第5,969,108号に開示されるものが挙げられる。
【0163】
上記の参考文献に記載されるように、ファージ選択後、ファージ由来の抗体コード領域は、単離され、ヒト抗体を含む全抗体、または任意の他の所望の抗原結合断片を生成するために使用され、例えば、以下に記載されるように、哺乳動物細胞、昆虫細胞、植物細胞、酵母菌、および細菌を含む任意の所望の宿主において発現され得る。PCT公開第WO92/22324号、Mullinax RL et al,(1992)BioTechniques12(6):864-9、Sawai H et al,(1995)Am J Reprod Immunol34:26-34、およびBetter M et al,(1988)Science240:1041-1043に開示されものなどの当該技術分野で既知の方法を使用して、Fab、Fab’、およびF(ab’)断片などの抗体断片を組換え産生する技術も用いられ得る。
【0164】
ある特定の実施形態では、完全抗体を生成するために、VHまたはVLヌクレオチド配列、制限部位、および制限部位を保護する隣接配列を含むPCRプライマーを使用して、鋳型、例えばscFvクローンからVHまたはVL配列を増幅させることができる。当業者に既知のクローニング技術を利用して、PCR増幅したVHドメインを、VH定常領域を発現するベクターにクローニングすることができ、PCR増幅したVLドメインを、VL定常領域例えば、ヒトカッパまたはラムダ定常領域を発現するベクターにクローニングすることができる。VHおよびVLドメインはまた、必要な定常領域を発現する1つのベクターにクローニングされてもよい。次いで、当業者に既知である技術を使用して、重鎖変換ベクターおよび軽鎖変換ベクターを細胞株に同時にトランスフェクトして、全長抗体、例えば、IgGを発現する安定または一過性細胞株を生成する。
【0165】
キメラ抗体は、抗体の異なる部分が異なる免疫グロブリン分子に由来する分子である。例えば、キメラ抗体は、ヒト抗体の定常領域に融合した、マウスまたはラットモノクローナル抗体の可変領域を含有し得る。キメラ抗体を産生するための方法は、当該技術分野で既知である。例えば、Morrison SL(1985)Science229:1202-7、Oi VT&Morrison SL(1986)BioTechniques4:214-221、Gillies SD et al,(1989)J Immunol Methods125:191-202、ならびに米国特許第5,807,715号、同第4,816,567号、同第4,816,397号、および同第6,331,415号を参照されたい。
【0166】
ヒト化抗体は、所定の抗原位結合することができ、ヒト免疫グロブリンのアミノ酸配列を実質的に有するフレームワーク領域と、非ヒト免疫グロブリン(例えば、マウス免疫グロブリン)のアミノ酸配列を実質的に有するCDRとを含む。特定の実施形態では、ヒト化抗体はまた、免疫グロブリン定常領域(Fc)(典型的には、ヒト免疫グロブリンのもの)の少なくとも一部を含む。抗体はまた、重鎖のCH1、ヒンジ、CH2、CH3、およびCH4領域を含んでもよい。ヒト化抗体は、IgM、IgG、IgD、IgA、およびIgEを含む、任意のクラスの免疫グロブリン、ならびにIgG、IgG、IgG、およびIgGを含む任意のアイソタイプから選択され得る。ヒト化抗体は、CDR移植(欧州特許第EP239400号、国際公開第WO91/09967号、および米国特許第5,225,539号、同第5,530,101号、および同第5,585,089号)、ベニアリング(veneering)または表面最古構成(resurfacing)(欧州特許第EP592106号および同第EP519596号、Padlan EA(1991)Mol Immunol28(4/5):489-498、Studnicka GM et al,(1994)Prot Engineering7(6):805-814、およびRoguska MA et al,(1994)PNAS91:969-973)、鎖シャッフリング(米国特許第5,565,332号)、ならびに例えば、米国特許第6,407,213号、米国特許第5,766,886号、国際公開第WO93/17105号、Tan P et al,(2002)J Immunol169:1119-25、Caldas C et al,(2000)Protein Eng.13(5):353-60、Morea V et al,(2000)Methods20(3):267-79、Baca M et al,(1997)J Biol Chem272(16):10678-84、Roguska MA et al,(1996)Protein Eng9(10):895 904、Couto JR et al,(1995)Cancer Res.55(23Supp):5973s-5977s、Couto JR et al,(1995)Cancer Res55(8):1717-22、Sandhu JS(1994)Gene150(2):409-10、およびPedersen JT et al,(1994)J Mol Biol 235(3):959-73に開示される技術を含むがこれらに限定されない、当該技術分野で既知多様な技術を使用して産生され得る。参照によりその全体が組み込まれている米国出願公開第US2005/0042664A1号(2005年2月24日)も参照されたい。
【0167】
多重特異性(例えば、二重特異性抗体)を作製するための方法は記載されており、例えば、米国特許第7,951,917号、同第7,183,076号、同第8,227,577号、同第5,837,242号、同第5,989,830号、同第5,869,620号、同第6,132,992号、および同第8,586,713号を参照されたい。
【0168】
単一ドメイン抗体、例えば、軽鎖を欠く抗体は、当該技術分野で周知の方法によって産生され得る。See Riechmann L&Muyldermans S(1999)J Immunol231:25-38、Nuttall SD et al,(2000)Curr Pharm Biotechnol1(3):253-263、Muyldermans S,(2001)J Biotechnol74(4):277-302、米国特許第6,005,079号、および国際公開第WO94/04678号、同第WO94/25591号、および同第WO01/44301号を参照されたい。
【0169】
さらに、ApoC3(例えば、ヒトApoC3)抗原に特異的に結合する抗体を利用して、当業者に周知の技術を使用して抗原を「模倣する」抗イディオタイプ抗体を生成することができる。(例えば、Greenspan NS&Bona CA(1989)FASEB J 7(5):437-444およびNissinoff A(1991)J Immunol147(8):2429-2438を参照されたい)。
【0170】
特定の実施形態では、本明細書に記載される抗ApoC3抗体と同じApoC3(例えば、ヒトApoC3)のエピトープに結合する本明細書に記載される抗体は、ヒト抗体である。特定の実施形態では、本明細書に記載される抗体のいずれか1つのApoC3(例えば、ヒトApoC3)への結合を競合的にブロックする本明細書に記載される抗体は、ヒト抗体である。ヒト抗体は、当業者に既知である任意の方法を使用して産生され得る。例えば、機能的内因性免疫グロブリンを発現することができないが、ヒト免疫グロブリン遺伝子を発現することができるトランスジェニックマウスを使用することができる。特に、ヒト重鎖および軽鎖免疫グロブリン遺伝子複合体は、ランダムに、または相同組換えによって、マウス胚幹細胞内に導入され得る。代替的には、ヒト重鎖および軽鎖遺伝子に加えて、ヒト可変領域、定常領域、および多様性領域がマウス胚幹細胞内に導入されてもよい。マウス重鎖および軽鎖免疫グロブリン遺伝子は、相同組換えによるヒト免疫グロブリン遺伝子座の導入と別に、または同時に非機能性となってもよい。特に、JH領域のホモ接合性欠失は、内因性抗体産生を防止する。修飾された胚肝細胞を増殖させ、胚盤胞に微量注入して、キメラマウスを産生する。その後、キメラマウスを繁殖させて、ヒト抗体を発現するホモ接合性子孫を産生する。トランスジェニックマウスに通常の様式で、選択された抗原、例えば、抗原(例えば、ApoC3(例えば、ヒトApoC3))の全てまたは一部で免疫付与する。従来のハイブリドーマ技術を使用して、免疫付与したトランスジェニックマウスから抗原に対するモノクローナル抗体を得ることができる。トランスジェニックマウスによって保有されるヒト免疫グロブリントランス遺伝子は、B細胞分化中に再構成し、その後、クラススイッチおよび体細胞変異を受ける。このように、かかる技術を使用して、治療的に有用なIgG、IgA、IgM、およびIgE抗体を産生することが可能である。ヒト抗体を産生するためのこの技術の概説については、Lonberg N&Huszar D(1995)Int Rev Immunol13:65-93を参照されたい。ヒト抗体およびヒトモノクローナル抗体を産生するためのこの技術、ならびにかかる抗体を産生するためのプロトコルの詳細な考察については、例えば、国際公開第WO98/24893号、同第WO96/34096号、および同第WO96/33735号、ならびに米国特許第5,413,923号、同第5,625,126号、同第5,633,425号、同第5,569,825号、同第5,661,016号、同第5,545,806号、同第5,814,318号、および同第5,939,598号を参照されたい。ヒト抗体を産生することができるマウスの例としては、Xenomouse(商標)(Abgenix,Inc、米国特許第6,075,181号および同第6,150,184号)、HuAb-Mouse(商標)(Mederex,Inc./Gen Pharm、米国特許第5,545,806号および同第5,569,825号)、Trans Chromo Mouse(商標)(Kirin)、ならびにKM Mouse(商標)(Medarex/Kirin)が挙げられる。
【0171】
ApoC3(例えば、ヒトApoC3)に特異的に結合するヒト抗体は、ヒト免疫グロブリン配列に由来する抗体ライブラリを使用する上記のファージディスプレイ法を含む、当該技術分野で既知の多様な方法によって作製され得る。米国特許第4,444,887号、同第4,716,111号、および同第5,885,793号、ならびに国際公開第WO98/46645号、同第WO98/50433号、同第WO98/24893号、同第WO98/16654号、同第WO96/34096号、同第WO96/33735号、および同第WO91/10741号も参照されたい。
【0172】
いくつかの実施形態では、マウス-ヒトハイブリドーマを使用してヒト抗体を産生することができる。例えば、エプスタイン・バーウイルス(EBV)で形質転換されたヒト末梢血リンパ球をマウス骨髄腫細胞と融合させて、ヒトモノクローナル抗体を分泌するマウス-ヒトハイブリドーマを産生することができ、これらのマウス-ヒトハイブリドーマをスクリーニングして、標的抗原(例えば、ApoC3(例えば、ヒトApoC3))に特異的に結合するヒトモノクローナル抗体を分泌するものを判定することができる。かかる方法は既知であり、当該技術分野で記載されている(例えば、Shinmoto H et al,(2004)Cytotechnology46:19-23、Naganawa Y et al,(2005)Human Antibodies14:27-31を参照されたい)。
【0173】
6.キット
1つ以上の本明細書に記載される抗体またはその医薬組成物もしくはコンジュゲートを含むキットも提供される。特定の実施形態では、本明細書に提供される1つ以上の抗体などの、本明細書に記載される医薬組成物の1つ以上の成分で充填した1つ以上の容器を含む医薬パックまたはキットが本明細書に提供される。いくつかの実施形態では、キットは、本明細書に記載される医薬組成物と、本明細書に記載されるものなどの任意の予防剤または治療剤とを含有する。医薬製品または生物学的製品の製造、使用、または販売を規制する政府機関によって規定された形式の通知が、かかる容器(複数可)と任意で関連付けられ得、この通知は、ヒトへの投与についての当該機関による製造、使用、または販売の承認を示す。
【0174】
また、上記の方法に使用され得るキットも提供される。一実施形態では、キットは、本明細書に記載される抗体、好ましくは精製された抗体を1つ以上の容器に含む。特定の実施形態では、本明細書に記載されるキットは、実質的に単離されたApoC3(例えば、ヒトApoC3)抗原を対照として含有する。別の特定の実施形態では、本明細書に記載されるキットは、ApoC3(例えば、ヒトApoC3)と反応しない対照抗体をさらに含む。別の特定の実施形態では、本明細書に記載されるキットは、ApoC3(例えば、ヒトApoC3)抗原への抗体の結合を検出するために1つ以上の要素を含有する(例えば、抗体は、蛍光化合物、酵素基質、放射性化合物、または発光化合物などの検出可能な基質にコンジュゲートされ得るか、第1の抗体を認識する第2の抗体は、検出可能な基質にコンジュゲートされ得る)。特定の実施形態では、本明細書に提供されるキットは、組換え産生されたか、または化学的に合成されたApoC3(例えば、ヒトApoC3)抗原を含んでもよい。キットに提供されるApoC3(例えば、ヒトApoC3)抗原はまた、固体支持体に結合していてもよい。より具体的な実施形態では、上記のキットの検出手段は、ApoC3(例えば、ヒトApoC3)抗原が結合している固体支持体を含む。かかるキットはまた、非結合リポーター標識抗ヒト抗体または抗マウス/ラット抗体を含んでもよい。この実施形態では、ApoC3(例えば、ヒトApoC3)抗原への抗体の結合は、当該リポーター標識抗体の結合によって検出され得る。
【実施例0175】
このセクション中の実施例は、本出願の利点および特徴をさらに明瞭にするために提供されるが、本出願の範囲を限定することは意図しない。実施例は、例示目的のみのためのものである。
【0176】
実施例1:免疫付与した動物からの抗ApoC3抗体ファージディスプレイライブラリの構築
この実施例は、抗ApoC3抗体ライブラリの最初の構築を説明する。ヒト血清から精製されたヒトApoC3(huApoC3)タンパク質をAthens Research and Technologyから入手した。このhuApoC3タンパク質を、本実施例および以下の実施例のいくつかに使用した。HuApoC3をジミリストイルホスファチジルコリン(DMPC)リポソームと複合体化して、生理学的に適切な構造と近似させた。Klarenbeekおよび同僚ら(Klarenbeek et al.,Protein Eng Des Sel(2016)29(4):123-133)(参照によりその全体が本明細書に組み込まれている)によって記載される手順に従い、筋肉内注射によってフロイント不完全アジュバントを含む6用量のhuApoC3で2匹のラマに免疫付与した。免疫付与スケジュールは、各100μgのhuApoC3の最初の2回の投与、各50μgのhuApoC3のさらに4回の投与、続いて各50μgのhuApoC3の2回のブースター投与での毎週の注射を含んだ。ブースト後に、免疫付与したラマの血液試料から末梢血リンパ球を単離した。全RNAを抽出し、ランダムプライマーで増幅したcDNAライブラリの調製のための鋳型として使用した。抗体レパートリーを増幅し、前述したようにscFvファージディスプレイライブラリとしてのクローン(Van der Woning et al.,DNA immunization combined with scFv phage display identifies antagonistic GCGR specific antibodies and reveals new epitopes on the small extracellular loops.(2016)mAbs,8(6):1126-35(参照によりその全体が本明細書に組み込まれている))。
【0177】
バイオパニング手順においてコーティングされたhuApoC3上で、または代替的にはコーティングされたストレプトアビジン上に捕捉されたビオチン化ApoC3を用いて、ファージディスプレイライブラリを選択した。ファージをpH5.5で溶出させて、酸性条件下でhuApoC3に対する親和性を失った抗体クローンを選択した。3ラウンドの選択の後、単一のコロニーを調製し、実施例2に記載される抗体スクリーニングに供した。
【0178】
実施例2:抗ApoC3モノクローナル抗体のスクリーニング
この実施例は、ApoC3に結合する抗体についての、実施例1で調製したscFvファージディスプレイライブラリのスクリーニングを記載する。プレート上に直接コーティングした精製されたApoC3を用いるもの、およびプレート上にコーティングしたストレプトアビジンによって捕捉されたビオチン化ApoC3を用いるものの、2つのELISAベースのスクリーニング法を採用した。各方法は、ApoC3に対する親和性を有するいくつかの抗体クローンを明らかにした。これらの2つのアッセイから同定されたクローン間で著しい重複があり、その差は、ApoC3タンパク質の構造の相違および2つの条件下でのエピトープの曝露を反映している可能性がある。
【0179】
2.1直接コーティングしたApoC3に対する親和性の分析
プレート上に直接コーティングした精製されたhuApoC3(Athens Research and Technology)を用いるELISAアッセイによって、実施例1で構築したscFvファージディスプレイライブラリから選択した抗体クローンを分析した。リン酸緩衝生理食塩水(PBS)(pH7.4)中に希釈した1~10μg/ml(100μl/ウェル)の濃度のヒト天然ApoC3を、Microtiter Immunoassay Maxisorp96ウェルプレート(NUNC cat#456537または同様)中で、4℃で一晩インキュベートした。0.05%(v/v)のTween-20を含有する250μl/ウェルのPBS(PBS-T)でコーティングしたプレートを3回洗浄して、過剰な未結合抗原を除去した。洗浄後、PBS中で調製した250μlの4%(m/v)乾燥脱脂乳溶液をブロッキングのために各コーティングしたウェルに添加し、プレートシェーカー(TitraMax1000またはHeidolph)上で、室温で1~2時間インキュベートした。ブロッキング後、250μl/ウェルのPBS-Tでプレートを3回洗浄して、過剰なブロッキング溶液を除去した。粗製ペリプラズム抽出液(P.E.)(100μlの最終容積になるようにPBS中で1:5に希釈された)からの抗体断片(scFv)を、プレートシェーカー上で室温で1時間、固定化した抗原に結合させた。250μl/ウェルのPBS-Tでプレートを5回洗浄することによってP.E.中の未結合の可溶性scFvを除去した。検出のために、ウェルあたり100μlの、scFv抗体断片のC末端に融合したc-mycタグを認識する抗c-myc西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)コンジュゲートモノクローナルAb(Bethyl、cat#:A190-1.05Pまたは同様)を、1%(m/v)乾燥脱脂乳溶液中1:5000希釈で使用した。室温で1時間のインキュベーション後、250μl/ウェルのPBS-Tで3回、および250μl/ウェルのPBSで3回、プレートを続けて洗浄した。分光光度検出を使用して、HRP酵素コンジュゲートによって触媒された3,3’,5,5’-テトラメチルベンジジン(TMB、eBioscience、cat#:00-4201-56)の酸化を監視した。ウェル当たり100μlの0.5MのHSOを添加することによって反応を停止させた。Microplate分光光度計を使用して最終生成物の吸光度を450nmで測定した。盲検のP.E.を受けた対照ウェルと比較した吸光度値に基づいて、結合親和性を判定した。
【0180】
huApoC3に対する親和性を有するものとして30個の抗体が同定された。最も強いシグナルをもたらしたクローンは、8B4、8A4、8H4、1D5、12E12、6A6、10B6、4H1、5A7、8F4、5C11、7D9、5A8、9A4、4C2、5A4、12C3、および5E5である。これらのクローンのうちのいくつかのVHおよびVLの配列は、表1~4に列挙される。
【0181】
2.2捕捉されたビオチン化ApoC3に対する親和性の分析
プレート上にコーティングしたストレプトアビジンによって捕捉されたビオチン化ApoC3を用いるELISAアッセイによって、実施例1で構築したscFvファージディスプレイライブラリから選択した抗体クローンを分析した。PBS(pH7.4)中で希釈した2~5μg/mlの濃度のニュートラアビジン(Fisher Scientific LDAcat#:W9995L)(100μl/ウェル)を、Microtiter Immunoassay Maxisorp96ウェルプレート(NUNC cat#456537または同様)中で、4℃で一晩インキュベートした。コーティングしたプレートを250μl/ウェルのPBS-Tで3回洗浄して、過剰な未結合ニュートラアビジンを除去した。洗浄後、PBS中で調製した250μlの1%(m/v)カゼイン溶液をブロッキングのために各コーティングしたウェルに添加し、プレートシェーカー(TitraMax1000、Heidolph、または同様)上で、室温で1~2時間インキュベートした。ブロッキング後、250μl/ウェルのPBS-Tでプレートを3回洗浄して、過剰なブロッキング溶液を除去した。ヒト天然ApoC3タンパク質(Athens Research and Technology)のランダム部位にビオチン基を導入した。PBS中0.1%(m/v)カゼイン中で1~5nM(ウェル当たり100μl)の濃度で希釈したビオチン化ApoC3を、コーティングおよびブロックしたプレート中で、ApoC3抗原の捕捉のために室温で1時間インキュベートした。250μl/ウェルのPBS-Tでプレートを5回洗浄することによって、未結合の抗原を除去した。室温で1時間のインキュベーションの間に、粗製P.E.(100μlの最終容積になるようにPBS中で1:5に希釈された)からの抗体断片(scFv)を捕捉された抗原に結合させた。250μl/ウェルのPBS-Tでプレートを5回洗浄することによって未結合の可溶性scFv断片を除去した。検出のために、ウェルあたり100μlの、scFv抗体断片のC末端に融合したc-mycタグを認識する抗c-myc西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)コンジュゲートモノクローナルAb(Bethyl、cat#:A190-1.05Pまたは同様)を、1%(m/v)乾燥脱脂乳溶液中1:5000希釈で使用した。室温で1時間のインキュベーション後、250μl/ウェルのPBS-Tで3回、および250μl/ウェルのPBSで3回、プレートを続けて洗浄した。分光光度検出を使用して、HRP酵素コンジュゲートによって触媒されたTMBの酸化を監視した。ウェル当たり100μlの0.5MのHSOを添加することによって反応を停止させた。Microplate分光光度計を使用して最終生成物の吸光度を450nmで測定した。盲検のP.E.を受けた対照ウェルと比較した吸光度値に基づいて、結合親和性を判定した。
【0182】
huApoC3に対する親和性を有するものとして17個の抗体が同定された。450nmで最も強い吸光度をもたらしたクローンは、12E12、12C3、13C10、13G7、12G8、14C4、13F2、13C7、14G4、12D7、14C7、12A3、および12E3である。クローンのうちのいくつかのVHおよびVLの配列は、表1~4に列挙される。
【0183】
2.3Biacore SPRアッセイ
この実施例は、Biacore3000器具(Biacore AB)を使用するSPRベースアッセイを使用した、中性条件下でのApoC3に対するそれらの親和性に関する抗ApoC3抗体の特性評価について記載する。天然huApoC3タンパク質をCM5チップ上に固定化した。Biacoreによって提供される方法に従い、NHS/EDCキット(Biacore AB)を使用して固定化を実施した。チップの活性化後、10mM酢酸緩衝液(pH4.5)中、60μg/mlのヒトApoC3を調製し、表面密度が約1000RUに達するまでこれを注入した。Biacoreによって提供される方法に従い、20μlの10μg/mlビオチン化ヒトApoC3の注入によって、ストレプトアビジンでコーティングしたチップ(SA)上でのヒトApoC3の捕捉を実施し、それにより約500RUの表面密度に達した。HBS-EP緩衝液(GE、cat#BR-1008-26、0.010M HEPES、0.150M NaCl、3mM EDTA、0.05%(v/v)界面活性剤P20、pH7.4)中で希釈された1~100nMの範囲の60μLの試験抗体を注入し、30μl/分の流速でフローセルに通し、続いてpH7.4またはpH5.5で5分間オフ速度洗浄した。解離後、10μlの10mM NaOH/1M NaClおよび10μlの10mMグリシン(pH1.5)を注入することによってフローセル表面を再生させた。ラングミュア1:1結合モデルを使用するBIAevaluation4.1ソフトウェアを使用して、得られたセンサグラムを分析して、結合速度を得た。データをゼロ調節し、参照セルセンサグラムを減じた。
【0184】
このアッセイでは、いくつかのscFv-Fc抗体を検証した。これらの抗体の会合速度(ka)、解離速度(kd)、分析物結合能力(Rmax)、平衡会合定数(KA)、および平衡解離定数(KD)は、表5に示される。
【表5】
【0185】
実施例3:脂質競合アッセイ
この実施例は、ApoC3への結合について脂質と競合するかどうかに関する抗ApoC3抗体の特性評価について記載する。最初にELISAベースアッセイを行って、脂質結合を抑止したかまたはしなかった抗体を同定した。結果をさらに確認するために、次に、ある特定のクローンで表面プラズモン共鳴(SPR)ベースアッセイを行った。
【0186】
3.1ELISAベースアッセイ
実施例2から同定された抗ApoC3抗体が、huApoC3タンパク質とELISAプレート上に固定化された脂質との間の相互作用に干渉したかどうかを判定するために、ELISAベース脂質競合アッセイを実施した。簡潔には、クロロホルム中の1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(Avanti Polar Lipids DMPC、14:0PC)をメタノール:クロロホルム:水(2.0:1.0:0.8)の混合物中で希釈した。5μgのDMPCをGreiner U底高結合プレート(#850345)の各ウェル内に分配し、クロロホルム、メタノール、および水溶媒を室温で最低3時間蒸発させた。PBS中に溶解した無脂肪乳粉末(本明細書において「クリアミルクPBS」と呼ばれる)からなる200μLの緩衝液中でウェルを4℃で一晩ブロックした。各試験抗体を、ヒト血清(Athens Research and Technology)から精製した天然ApoC3タンパク質と混合した。50μLの混合溶液をDMPCでコーティングしたマイクロタイタープレート内に分配し、プレートを室温で2時間、300rpmで回転させた。200μLのPBSでプレートを4回洗浄した。クリアミルクPBS中に溶解した50μLのビオチン化抗apoC3ポリクローナルヤギ抗体(Abeam#ab21024)を添加し、プレートを室温で1時間、300rpmで回転させた。200μlのPBSでプレートを1回洗浄し、50μlのストレプトアビジン-HRP溶液(Abeam#34028、PBS中で100倍希釈)を添加した。プレートを室温で30分間、300rpmで回転させた。200μLのPBSでウェルを4回洗浄した。80μLのTMB ELISA開発試薬(Thermo Ultra-TMB ELISA#34028)を添加し、発色した後に50uLの0.5N HCLにより発色反応を停止させた。450nmでの吸光度を読み取り、4パラメータロジスティック関数(GraphPad Prism6)を使用してデータを分析した。
【0187】
図1に示されるように、クローン12C12、12D7、12G8、13G7、14C4、および14C7は、huApoC3への脂肪の結合を阻害した一方、クローン12A3、12C3、12D1、12D4、12E12、13C7、13C10、13F2、14F2、および14G4はそれを阻害しなかった。
【0188】
3.2SPRベースVLDL結合アッセイ
選択された抗ApoC3抗体、すなわちscFv-Fcフォーマットの14C7、5E5、および6A6が、ApoC3結合について脂質と競合したかどうかを確認するために、SPRベース脂質競合アッセイを実施した。Mendoza-Barberaおよび同僚ら(Mendoza-Barbera et al.,J Lipid Res2013)によって記載されたように、LIセンサーチップ(Biacore、Uppsala,Sweden)上にVLDLリポソームを固定化した。図2のパートAに示されるように、10μl/分での10μg/mlのApoC3の注入は、t=1800sで、緩衝液または14C7mAbが注入された陰性対照と比較して増加した結合シグナルを生成し、これは、固定化されたVLDLリポソーム内にApoC3が組み込まれたことを示す。t=2100sでの緩衝液の注入はシグナルの低減をもたらしたが、シグナルは、陰性対照と比較してベースラインを上回ったままであり、これは、VLDLリポソーム内にApoC3が組み込まれたことを示す。比較すると、事前にインキュベートした10μg/mlのApoC3および10μg/mlの14C7抗体の混合物がt=1800sで注入されたとき(「14C7+」として示される)、結合シグナルの初めの増加が認められたが、t=2100sで緩衝液が注入されると、応答は陰性対照と同様にバックグラウンドレベルに戻り、これは、14C7がApoC3と脂質との間の安定的な相互作用に干渉したことを示す。
【0189】
ELISAアッセイにおいてApoC3への結合について脂質と競合しなかった5E5および6A6も、このSPRベースアッセイ系で検証した。図2のパートBに示されるように、5E5または6A6の存在下でのApoC3の注入は結合シグナルの増加をもたらし、この結合シグナルは、t=2100sでの緩衝液注入時にApoC3単独のシグナルよりも強いままに留まった。この結果は、ApoC3-5E5またはApoC3-6A6複合体は、ApoC3-VLDLとの相互作用を介してセンサーチップ上に保持されたことを示した。したがって、5E5および6A6は、ApoC3結合について脂質と競合しなかった。ApoC3を含まない5E5または6A6単独の対照試料は、試験表面に結合しなかった。
【0190】
3.3SPRベースリポソーム結合アッセイ
IgG1フォーマットの14C7、5E5、および6A6抗体がApoC3結合について脂質と競合したかどうかを確認するために、第2のSPRベース脂質競合アッセイを実施した。簡潔には、100mg/mlの濃度に達するようにガラスバイアル中で約5mgのDMPC(Sigma)をクロロホルム中に溶解することによってDMPCリポソームを調製した。ガラスバイアルを真空下に3時間置いてクロロホルムを除去し、それによりDMPCに脂質膜を形成させた。1mlの再懸濁緩衝液(20mM Tris-HCl、140mM NaCl、pH7.4)を脂質膜に添加し、膜が壁から外れるまで激しくボルテックスした。6回の凍結解凍サイクル(液体窒素中)の後、100nmポリカーボネート膜を通して懸濁液を30回のストロークで押し出してリポソームを形成した。リポソームをHBS-N緩衝液中で1:10に希釈した。10μlの100mM NaOHを10μl/分で、続いて300μlのHBS-N緩衝液を150μl/分で注入することによって、LIセンサーチップを活性化させた。活性化したチップ表面上に固定化させるために、20μlのリポソームを2μl/分で注入した。その後、20μlの100mM NaOH、続いて10μlの100μg/mlのBSAを注入した。HBS-N緩衝液で表面を洗浄した後、天然ヒトApoC3タンパク質をt=1800sで注入して、リポソーム-ApoC3複合体を形成した。次いで、14C7、5E5、および6A6抗体をt=4400sで注入した。
【0191】
図2のパートCに示されるように、5E5および6A6抗体の注入時により大きい複合体が検出され、これは、これらの2つの抗体が脂質結合ApoC3に結合することができたことを示す。5E5および6A6抗体は、ApoC3についてApoAlが置換された対照群においてシグナルを生成せず(データは示されない)、これは、それらがApoAlまたはDMPCリポソーム単独には結合しなかったことを示す。
【0192】
実施例4:ApoC3媒介性リポタンパク質リパーゼ(LPL)阻害アッセイ
4.1LPL活性の調節の分析
この実施例は、ApoC3媒介性LPL阻害を減弱させるそれらの能力に関する抗ApoC3抗体の特性評価について記載する。14C7、13G7、5E5、および6A6抗体を、IgGl形態に再フォーマット化し、インビトロLPL活性アッセイにおいて検証した。14C7および13G7は、LPLのApoC3媒介性阻害を減弱させ、用量依存性様式でLPL活性を著しく増加させた(図3)。14C7および13G7のEC50値は、それぞれ約2μΜおよび3μΜであった。かかる減弱は、5E5または6A6抗体ではより弱く、それほど顕著ではなく、これらは5μΜ超のEC50値を有した。
【0193】
4.2材料および方法
20%のイントラリピド乳濁液(intralipid emulsion)(Santa Cruz Biotechnology、SC-215182)を、10℃で15分間、15,000xgでの浮上分離により50mMのTRIS-HCl(pH8.0)で3回洗浄して、過剰なリン脂質および他のより小さい脂質粒子を除去した。洗浄プロセスの終わりに、イントラリピドは10%であると予測された。50mMのTRIS-HCl(pH8.0)、150mMのNaCl、2%のBSA、15ユニット/mLのヘパリンからなるアッセイ緩衝液にイントラリピドを100倍で希釈した。試験抗体を含有する20μLのイントラリピド、アッセイ緩衝液中のヒト血清(Athens Research and Technology)から精製された20μLの天然ApoC3タンパク質、およびウシ乳から単離されたアッセイ緩衝液中の20μLのLPLの添加によってアッセイをV底ポリプロピレンプレート(Falcon#353263)に集めた。アッセイ緩衝液中のイントラリピド、ApoC3タンパク質、およびLPLの最終濃度は、それぞれ0.1%、1.5μΜ、および30nMであった。アッセイを30℃で30分間進行させ、20μΜのオルリステート(Orlistate)を補充した100μLのWako NEFA試薬A(999-34691、995-34791)の添加によって終結させた。30℃で20分間の後、200μΜのAmplex Red(AAT Bioquest)を補充した50μlのWako NEFA試薬B(991-34891、993-35191)を添加し、プレートを30℃で20分間インキュベートした。120μlの一定分量を黒色の96ウェルプレート(Costar#3915)に移し、ex560nm/em585nmで蛍光を読み取った。4パラメータロジスティック関数(GraphPad Prism6)を使用してデータを分析した。
実施例5:肝細胞VLDL摂取アッセイ
5.1肝細胞VLDL摂取の分析
この実施例は、ApoC3による肝細胞VLDL摂取の阻害を逆転させるそれらに能力に関する抗ApoC3抗体の特性評価について記載する。図4に示されるように、クローン5A4、5A7、5A11、5E5、6A6、7A9、8A4、8B4、8B7、8F4、8H4、10B6、12A3、12C3、12C12、12D1、12D4、12E12、13C7、13G7、14C4、14C7、および14G4は、HepG2細胞によるVLDL摂取を増加させた。VLDL摂取を阻害するApoC3の能力の減弱は、図4中の値から定量化することができる。「ApoC3」と標識された第1の棒は、肝細胞培養液に添加した精製されたApoC3によるVLDL摂取のレベルを示す。「対照」と標識された第2の棒は、外因性ApoC3の不在化での肝細胞培養液中のVLDL摂取のレベルを示す。第1の棒の値を阻害0%とし、第2の棒の値を阻害100%として、5A4、5A7、5A11、5E5、6A6、7A9、8A4、8B4、8B7、8F4、8H4、10B6、12A3、12C3、12C12、12D1、12D4、12E12、13C7、13G7、14C4、14C7、および14G4によるVLDL摂取を阻害するApoC3の能力の減弱は、それぞれ約100%、50%、55%、100%、75%、50%、40%、60%、40%、75%、70%、70%、100%、85%、100%、60%、60%、40%、95%、100%、60%、100%、および100%である(図4のパートA)。5A7、7A9、および8B7は、同じVHおよびVL配列を有した。クローン1D5、1D8、1G4、4C2、4H1、5A8、5E7、7D9、および13C10は、HepG2細胞によるVLDL摂取を阻害するApoC3の能力を減弱させなかった(図4のパートB)。
【0194】
5.2材料および方法
10%FCS(Seradigm)を補充した100μL完全MEM(Life Technologies)中でポリ-d-リジンでコーティングした96ウェル組織培養プレート(Greiner Bio-One#655940)上にHepG2細胞(ATCC Hb-8065)を播種し、5%C02を用いて37℃で培養した。24時間後、培地を除去し、0.0125%ウシ血清アルブミン(Roche)を補充した200μLの完全MEMで細胞単層を1回洗浄した。0.0125%ウシ血清アルブミンを補充した完全MEMの100μLの新鮮な培地を添加した。さらに24時間後、培地を除去し、0.0125%BSAを補充したMEM中の、3μΜのApoC3(Athens Research and Technology)および1.5~4μΜの試験抗体(scFv-Fcフォーマット)を含有する50μLの試験混合物で置き換えた。37℃で15分間のインキュベーションの後、30μg/mlのApoC3枯渇Dil VLDL(Kalen Biomedical、LLC#770130-9)を試験混合物に添加した。4時間のインキュベーション後、試験混合物を除去し、完全MEM中で100μLの1%イントラリピドと共に細胞を20分間インキュベートした(37℃、5%CO2)。培地を除去し、200μl、37℃のDPBS(Life Technologies14190-144)で細胞を3回洗浄した。洗浄後、100μlのイソプロパノールを各ウェルに添加し、軽く振とうさせながら室温で15分間プレートをインキュベートした。75μlの一定分量を黒色の96ウェルプレート(VWR89089-582)に移し、蛍光を測定した(ex=520nm、em=580)。イソプロパノールの単位容積当たりの細胞から抽出されたDil-VLDLの量は、Dil-VLDL標準曲線から判定される。残りのイソプロパノールを細胞プレートから除去し、100μlの溶解緩衝液(0.1N NaOH、0.1%SDS)を各ウェルに添加した。最低30分間のインキュベーションの後、25μLの一定分量を使用してタンパク質を定量化した(Pierce BCA Protein Assay、Thermo Scientific#23225)。Dil-VLDL対タンパク質の量の比として細胞へのVLDL摂取の量を計算した。データは、GraphPad Prism6を使用してグラフ化され、平均+/-SEMとして報告される。GraphPad Prism6を使用して複数の比較を伴う一元配置分散分析を計算した。
【0195】
実施例6:異種間反応性アッセイ
この実施例は、Biacoreベースアッセイを使用して、Macaca fascicularis(カニクイザル)ApoC3(cynoApoC3)タンパク質と交差反応するそれらの能力に関する抗ApoC3抗体の特性評価について記載する。図5に示されるように、IgG1フォーマットの14C7(パートA)、5A7(パートB)、5E5(パートC)、および6A6(パートD)は全てcynoApoC3に結合することができたが、cynoApoC3に対するそれらの親和性は、huApoC3に対するそれらの親和性よりも低かった。
【0196】
Biacore3000器具(GE Healthcare)を使用してSPR実験を行った。アミンカップリング化学を使用して、CM5センサーチップのフローセルを、生成された14C7、5A7、5E5、および6A6のIgGフォーマット化抗体(-2000RU)と結合させた。pH5.0の10mM酢酸ナトリウム緩衝液中の10μg/mlの抗体溶液を使用して、コーティング密度として2000RUを目標とする適合固定化Biacoreプロトコルを使用してカップリングを実施した。全ての実験について、泳動および希釈緩衝液としてpH7.4のF1BS-EP緩衝液を使用した。10~200μg/mlの濃度範囲の60μlのヒト天然ApoC3またはカニクイザル天然ApoC3タンパク質調製物をフローチャネル上に注入、続いてpH7.4で5分間、オフ速度で洗浄した。25℃で30μl/分の一定速度で全ての注入を実施した。解離後、10μlの10mM NaOH/1M NaClおよび10μlの10mMグリシン(pH1.5)を注入することによって、フローセル表面を再生した。ブランクチャネルを減算した後に得られたセンサグラムを使用して、異種間反応性を確認し、親和性を評価した。
【0197】
実施例7:抗ApoC3抗体5E5、6A6、および14C7のエピトープマッピング
7.1 5E5、6A6、および14C7のエピトープスキャニング
この実施例は、5E5、6A6、および14C7抗体のエピトープスキャニングについて記載する。ラマ抗体5E5を、1μg/mlの濃度のApoC3ペプチドマイクロアレイと共にインキュベートし、マイクロアレイを二次および対照抗体で染色した。7/7(赤/緑)のスキャニング強度での読み出しは、非常に良好なシグナル対ノイズ比を表し、コンセンサスモチーフFSEFWDLDPE(配列番号3)を有する隣接する10aaおよび13aaペプチドによって形成された2つのエピトープ様スポットパターンとの強く、明らかなモノクローナル応答を示した(図6、パートA)。
【0198】
ラマ抗体6A6を、0.2μg/mlの濃度のApoC3ペプチドマイクロアレイと共にインキュベートし、マイクロアレイを二次および対照抗体で染色した。7/7(赤/緑)のスキャニング強度での読み出しは、非常に良好なシグナル対ノイズ比を表し、コンセンサスモチーフFSEFWDLDPE(配列番号3)を有する隣接する10aaおよび13aaペプチドによって形成された2つのエピトープ様スポットパターンとの強く、明らかなモノクローナル応答を示した(図6、パートB)。
【0199】
ラマ抗体14C7を、1μg/mlおよび10μg/mlの濃度のApoC3ペプチドマイクロアレイと共にインキュベートし、マイクロアレイを二次および対照抗体で染色した。7/7(赤/緑)のスキャニング強度での読み出しは、良好なシグナル対ノイズ比を表し、コンセンサスモチーフGWVTDGFSSLK(配列番号2)を有する隣接する13aaペプチドによって形成された単一のエピトープ様スポットパターンとの明らかなモノクローナル応答を示した(図5、パートC)。
【0200】
7.2 5E5、6A6、および14C7のエピトープ置換スキャニング
エピトープと5E5または6A6抗体との間の相互作用にとって重要であるアミノ酸残基を同定するために、置換スキャニングによってコンセンサスモチーフFSEFWDLDPE(配列番号3)をさらに分析した。13aa環状拘束ペプチドのアレイを合成した。アレイの各列において、ペプチドDKFSEFWDLDPEV(配列番号44)中の単一のアミノ酸残基が置換され、置換する残基は、アレイの行によって示された。
【0201】
表6(親和性が野生型ApoC3ペプチド(配列番号44)への結合のパーセンテージとして表される)置換マトリックス(図7のパートA)に示される置換アレイへの5E5の結合は、成熟huApoC3(配列番号1)のW65およびD66は、mAb5E5の結合に不可欠であり、任意の他のアミノ酸による交換を許容しなかったことを示した。成熟huApoC3のS62およびD68も高度に保存されており、AまたはVによるS62の置換、およびEまたはPによるD68の置換は、-60%以上のスポット強度の減少を引き起こした。しかしながら、TによるS62の保存的置換は、スポット強度の倍増をもたらした。アミノ酸L67およびP69は中程度に保存されており、TまたはVによるL67の置換、およびTまたはSによるP69の置換は十分に許容された一方、他のアミノ酸による交換は、結合の約50%の喪失をもたらした。アミノ酸F61位およびE63位は、より保存されなかったが、野生型およびいくつかの追加のアミノ酸(F61位においてEおよびY、E63位においてY、P、およびA)に対して明らかな嗜好性を示し、他のアミノ酸による交換は、スポット強度のわずかな減少のみをもたらした。アミノ酸F64は、完全に可変であった。可変アミノ酸D59位およびE70位も、野生型アミノ酸に対する嗜好性を明らかに示し、酸性アミノ酸DおよびEについては一般的、かつより特異的でない嗜好性を示した。
【表6】
1列目は、野生型ApoC3ペプチドにおけるアミノ酸位置を示す。1行目は、特定のアミノ酸置換を示す。
【0202】
表7(親和性が野生型ApoC3ペプチド(配列番号44)への結合のパーセンテージとして表される)および置換マトリックス(図7のパートB)に示される置換アレイへの6A6の結合は、成熟huApoC3(配列番号1)のE70は、mAb6A6の結合に不可欠であり、任意の他のアミノ酸による交換を許容しなかったことを示した。成熟huApoC3のD66およびD68も高度に置換されていることを示し、Eによる保存的交換は、D66位におけるスポット強度の80%の減少、およびD68における44%の減少を引き起こし、他のアミノ酸による置き換えは、抗体結合の完全な抗体を伴わずには許容されなかった。L67は十分に保存され、IまたはTによる置換は抗体結合に影響を及ぼさなかったが、VまたはMによる交換は、スポット強度の訳50%の減少をもたらした。E63は中程度に保存されたが、Dによる保存的交換に影響されやすく、Pによる置き換えはさらに-1.5倍高いスポット強度をもたらし、これは折り畳み効果に起因する可能性がある。W65も中程度に保存されたが、E、S、D、およびTによる交換はスポット強度の増加をもたらした。しかしながら、他のアミノ酸による置換は、抗体結合の少なくとも45%の減少を引き起こした。F61は、野生型アミノ酸に対する、またはYによる保存的交換に対する明らかな嗜好性を示したが、一般的により保存的でなく、6A6への結合を完全に喪失することなく全ての他のアミノ酸による交換に影響されやすかった。S62およびP69は野生型アミノ案に対してある特定の嗜好性を示したが、両方の位置の保存は乏しく、抗体結合への影響が一切ないいくつかの置換を許容した。F64は、完全に可変的であった。全ての他の可変位置は、酸性アミノ酸DおよびEに対する明らかな嗜好性を示し、これはイオン性効果に起因する可能性がある。
【表7】
1列目は、野生型ApoC3ペプチドにおけるアミノ酸位置を示す。1行目は、特定のアミノ酸置換を示す。
【0203】
エピトープと14C7抗体との間の相互作用にとって重要であるアミノ酸残基を同定するために、置換スキャニングによってコンセンサスモチーフGWVTDGFSSLK(配列番号2)をさらに分析した。13aa環状拘束ペプチドのアレイを合成した。アレイの各列において、ペプチドARGWVTDGFSSLK(配列番号45)中の単一のアミノ酸残基が置換され、置換する残基は、アレイの行によって示された。
【0204】
表8(親和性が野生型ApoC3ペプチド(配列番号45)への結合のパーセンテージとして表される)置換マトリックス(図7のパートC)に示される置換アレイへの14C7の結合は、成熟huApoC3(配列番号1)のT44およびS49は、mAb14C7の結合に不可欠であり、結合の完全またはほぼ完全な喪失を伴わずに任意の他のアミノ酸による交換を許容しなかったことを示した。アミノ酸G41およびG46は高度に保存されており、E、N、またはQによるG41の置換は、-70%以上のスポット強度の減少を引き起こした一方、NによるG46の交換はほとんど許容されず、90%低減されたスポット強度をもたらした。アミノ酸F47位およびL50位も高度な配列保存を示し、Y(F47)による、または他の疎水性アミノ酸FおよびW(L50)による保存的交換のみを許容し、これはスポット強度の顕著な現象を伴った。アミノ酸V43位、D45位、およびK51位も十分に保存され、野生型アミノ酸に対する明らかな嗜好性を伴い、かつ特に、Y、F、およびI(V43)、A、E、およびK(D45)、ならびにR(K51)による保存的交換に対してある特定の許容度を有した。これらの交換はスポット強度の30~55%の低減をもたらした一方、他のアミノ酸交換はより許容されなかった。しかしながら、YによるV43の置き換えは、スポット強度を2倍に増加させた。アミノ酸W42位および48S位の保存は乏しく、またはさらには可変的であり、両方の位置は、いくつかのアミノ酸交換のみに影響されやすく、F、S、およびT(W42)による、またはE(S48)による交換はスポット強度の2~3倍の増加さえ引き起こした。アミノ酸A39位およびR40位は可変的であった。
【表8】
1列目は、野生型ApoC3ペプチドにおけるアミノ酸位置を示す。1行目は、特定のアミノ酸置換を示す。
【0205】
7.3材料および方法
欠損ペプチドを回避するために、中性GSGSGSG(配列番号46)リンカーによってC末端およびN末端でApoC3の配列を延長させた。延長した配列を、6、9、および12アミノ酸のペプチド-ペプチド重複を含む7、10、および13アミノ酸ペプチドに変換した。Pepperchip(登録商標)プラットホームを介したペプチド合成後、C末端システイン側鎖チオール基と、適切に修飾されたN末端との間のチオエーテル結合を介して全てのペプチドを環化させた。得られた環状ApoC3ペプチドマイクロアレイは、複製(504ペプチドスポット)でプリントされた252個の異なる環状拘束ペプチドを含有し、追加のHA制御ペプチド(YPYDVPDYAG(配列番号112)、80スポット)によってフレームされていた。
【0206】
洗浄緩衝液中で15分間、およびブロック緩衝液中で30分間の前膨潤の後、ApoC3ペプチドマイクロアレイコピーのうちの1つを初めに1:5000希釈の二次抗体ヤギ抗ヒトIgG(Fc)DyLight680および1:2000希釈の対照抗体マウスモノクローナル抗HA(12CA5)DyLight800と共に室温で45分間インキュベートして、抗原由来のペプチドとのバックグラウンド相互作用を分析した。7/7(赤/緑)のスキャニング強度で、二次抗体および対照抗体の両方とのApoC3ペプチドのバックグラウンド相互作用は、輝度およびコントラストの顕著な増加に際してさえも、一切認められなかった(調節されたスキャンを参照されたい)。マウスモノクローナル抗HA(12CA5)DyLight800対照抗体は、ペプチドマイクロアレイをフレーミングする予想された十分に規定されたHA対照スポットパターンをもたらし、全体的なペプチドマイクロアレイの完全性およびアッセイの品質を実証した。
【0207】
二次抗体ヤギ抗ヒトIgG(Fc)DyLight680(1:5000)および対照抗体マウスモノクローナル抗HA(12CA5)DyLight800(1:2000)を用いてApoC3ペプチドマイクロアレイのうちの1つの予備染色を行って、二次抗体と、メインアッセイに干渉し得る抗原由来のペプチドとのバックグラウンド相互作用を調査した。他のApoC3ペプチドマイクロアレイの、抗体試料との後続のインキュベーションの後、二次抗体および対照抗体で染色し、7/7(赤/緑)のスキャニング強度で読み出した。ペプチドアレイをフレーミングする追加のHAペプチドを内部品質対照として染色して、アッセイの品質およびペプチドマイクロアレイの完全性を確認した。
【0208】
スポット強度の定量化およびペプチドアノテーションは、24ビット色付きファイルよりも高いダイナミックレンジを示す、7/7のスキャニング強度での16ビットグレースケールtiffファイルに基づき、PepSlide(登録商標)Analyzerを用いてマイクロアレイ画像解析を行い、材料および方法に列挙されるエクセルファイル中に要約した。ソフトウェアアルゴリズムは、各スポットの蛍光強度を、未加工のフォアグラウンドおよびバックグラウンドシグナルに分解し、スポット複製の平均フォアグラウンド強度中央値およびスポット毎偏差偏差を計算する。平均フォアグラウンド強度中央値に基づき、強度マップを生成し、高いスポット強度については赤、および低いスポット強度については白を用いる強度の色コードでペプチドマップ中の相互作用をハイライトした。40%の最大スポット毎偏差を許容し、そうでなければ対応する強度値はゼロとした。
【0209】
さらに、抗体試料でのアッセイの平均スポット強度を、N末端からC末端へのApoC3配列に対してプロットして、全体的なスポット強度およびシグナル対ノイズ比を可視化した。ペプチドおよび強度マップ、ならびにマイクロアレイスキャンの目視検査と強度プロットを相関させて、抗体試料によって認識されたエピトープを同定した。抗体結合に寄与するアミノ酸を同定し、ハイライトした。
【0210】
実施例8:抗ApoC3抗体5E5による食後トリグリセリドの低減
8.1AAV8-huApoC3マウスモデルの産生および特性評価
この実施例では、マウスモデル発現ヒトApoC3を最初に産生し、特性評価した。マウス(C57BL/6)を、ヒトApoC3遺伝子を保有する3×1011個のAAV8ベクターのウイルス粒子、またはビヒクル対照で感染させた。感染の14日後、AAV8-huApoC3マウスの平均血清huApoC3レベルは、5.7μΜであった。4時間の絶食後の循環トリグリセリドレベルは、対照マウスにおける109mg/dL(p=0.0065)と比較して、これらのマウスにおいて163mg/dLであった。経口脂質負荷のクリアランスに対する増加したhuApoC3の影響を判定するために、AAVまたはビヒクル感染の14日後にオリーブ油の経口用量(体重1mg当たり10μL)をマウスに与えた。血清トリグリセリドレベルを時間経過と共に測定した。食後のトリグリセリドの増加は、実験の時間経過にわたりAAV8-huApoC3マウスにおいてより高く(図8のパートA)、時間経過にわたるAAV8-huApoC3マウスにおけるトリグリセリドレベルの曲線下面積(AUC)は、38%高かった(独立T検定でp=0.0047)(図8のパートB)。まとめると、3×1011個のAAV8-huApoC3ウイルス粒子の注入は、マウスにおけるトリグリセリドクリアランスを減じさせ、抗ApoC3抗体を特性評価するための動物モデルとして機能し得る。
8.2マウスモデルにおける食後脂肪血症に対する5E5の効果の特性評価
この実施例は、マウスモデルにおける食後トリグリセリドの低減に対するmAb5E5のインビボ有効性について記載する。_3×1011個のAAV8-huApoC3ウイルス粒子を受けているマウスを使用して、食餌から吸収されカイロミクロン中に包含された食後トリグリセリドの低減において抗ApoC3抗体5E5を特性評価した。図9のパートAに示されるように、5E5抗体の投与は、血清トリグリセリドの食後上昇の顕しい低減をもたらした。増加した食後トリグリセリドレベルは約ゼロに低減し、時間経過にわたるトリグリセリドレベルの曲線下面積は、約25%低減し、0.030のp値を有した(図9のパートB)。ApoC3の血清レベルは、5E5の存在下で、オリーブ油負荷の2時間および3時間後に著しく低減した(図9のパートC)一方、5E5抗体自体の血清レベルは、最初の分配相の後に徐々に減退した(図9のパートD)。
【0211】
8.3材料および方法
この実施例で使用したヒトAAV8-ApoC3ウイルスベクターは、RegenXbio(Rockville Maryland)から得た。60~63日齢の24匹のC57B16雄マウス(Charles River)を、水を自由に利用でき、かつ標準的な食物の食餌(Lab Diet;5001)を適宜利用できる状態で、一定の12時間明状態:12時間暗状態のサイクルに維持した。マウス1匹当たり3×1011個のウイルス粒子の腹腔内投与の12日後に、マウスの後眼窩洞から採血し、同等の平均apoC3レベルに従って群分けした。14日目に、マウスを6時間絶食させ、後眼窩洞からの25μlの血液を採集して、トリグリセリドベースラインを確立した。25mg/kgのIgG1フォーマットの5E5抗体を腹腔内に注入し、直後に250μlのオリーブ油(Sigma#01514)の経口ボーラスを注入した。オリーブ油負荷の15、30、60、120、および240分後に、後眼窩洞を介してマウスから採血して、血漿トリグリセリド、ApoC3、および試験抗体のレベルを判定した。測定された値を、時間の関数としてプロットし、GraphPad Prismを使用して血漿グリセリドの曲線下面積(AUC)を計算した。全ての動物実験は、the Guide for the Care and Use of Laboratory Animals of the National Institutes of Healthにおける推奨に従って実施した。全ての手順は、Institutional Animal Care and Use Committee of Vascumab,LLCによって承認された。
【0212】
5μLのEDTA-血漿を、黒色の96ウェルプレート(Costar#3915)中で200μLのAmplex Red(AAT Bioquest)を補充した150μLのThermo Scientific(商標)Triglycerides Reagent(TR22421)と共にインキュベートすることによってトリグリセリドを分析した。30℃で10分間の後、プレートを読み出し(ex560nm;em585nm)、グリセロール標準曲線の4パラメータ適合(Molecular Devices)から濃度を計算した。
【0213】
ELISAアッセイを用いてApoC3レベルを判定した。96ウェルプレート(Griener#655061)を、PBS中で希釈した50μLの一次apoC3抗体(Abeamウサギポリクローナル抗ヒトApoC3#ab21032)で、4℃で一晩コーティングした。200μLのTBS-Tでプレートを4回洗浄し、200μLのブロック緩衝液(PBS中のPierce Clear Milk Blocker#37587)を用いて30℃で90分間ブロックした。ブロック緩衝液を除去し、ブロック緩衝液中で希釈した50μLの試験試料を添加し、300rpmでの回転と共に室温で2時間インキュベートさせた。200μLのTBS-Tでプレートを4回洗浄し、ブロック緩衝液中で希釈した50μLの二次抗体(AbeamヤギポリクローナルビオチンコンジュゲートApoC3#ab21024)を添加し、300rpmでの回転と共に室温で1時間インキュベートさせた。TBS-Tでプレートを1回洗浄し、PBS中で100倍希釈した50μLのSA-HRP(Abeam#34028)を添加し、300rpmでの回転と共に室温で30分間インキュベートさせた。200μLのTBS-Tでプレートを4回洗浄し、80μLのTMB(Thermo Ultra-TMB ELISA#34028)、続いて50μLの0.5N HCLで開発した。吸光度を450nmで読み出した。精製されたApoC3(Athens Research and Technology)を使用して構築した標準曲線(Molecular Devices)の4パラメータ適合から試験ウェル中のApoC3の量を計算した。
【0214】
ELISAアッセイを用いて5E5抗体のレベルを判定した。96ウェルプレート(Griener#655061)を、PBS中で希釈した50μLの一次IgG抗体(Fitzgerald41-XG57ヤギ抗ヒトIgG Fcポリクローナル)で、4℃で一晩コーティングした。200μLのTBS-Tでプレートを4回洗浄し、PBS中の、3%BSA(Roche BSA画分Vプロテアーゼ不含#03 117 332 001)およびクリアミルク(Pierce Clear Milk Blocker#37587)からなる200μLのブロック緩衝液(PBS中のPierce Clear Milk Blocker#37587)を用いて30℃で90分間ブロックした。ブロック緩衝液を除去し、ブロック緩衝液中で希釈した50μLの試験試料を添加し、300rpmでの回転と共に室温で2時間インキュベートさせた。200μLのTBS-Tでプレートを4回洗浄し、ブロック緩衝液中で希釈した50μLの二次抗体(Abeamヤギ抗ヒトIgG-Fc(ビオチン)ポリクローナル#ab97223)を添加し、300rpmでの回転と共に室温で1時間インキュベートさせた。TBS-Tでプレートを1回洗浄し、PBS中で100倍希釈した50μLのSA-HRP(Abeam#34028)を添加し、300rpmでの回転と共に室温で30分間インキュベートさせた。200μLのTBS-Tでプレートを4回洗浄し、80μLのTMB(Thermo Ultra-TMB ELISA#34028)、続いて50μLの0.5N HCLで開発した。吸光度を450nmで読み出した。精製された試験抗体を使用して構築した標準曲線(Molecular Devices)の4パラメータ適合から試験ウェル中のIgGの量を計算した。
【0215】
実施例9:マウスモデルにおける5E5および6A6抗体によるApoC3およびApoBの低減
ヒトApoC3を発現するマウスを生成し、セクション8.1に記載されるように処置した。AAV感染の12日後に、後眼窩洞から血液試料を採集して、ベースライン(T=0)ヒトApoC3およびマウスApoBレベルを確立した。その後、全ての群がT0で同様の平均ApoC3レベルを有するようにマウスを群分けした。最初のAAV感染の145日後に、IgG1フォーマットの、5E5抗体の25mg/kgの単一用量または6A6抗体の20mg/kgの単一用量を、背部皮下腔内への注射により各マウスに投与した。試験抗体の投与の0、2、4、8、および24時間後、ならびにその後30日間にわたり2日ごとに血液試料を後眼窩洞から採集した。全ての動物実験は、the Guide for the Care and Use of Laboratory Animals of the National Institutes of Healthにおける推奨に従って実施した。
【0216】
ELISAアッセイを用いてヒトApoC3およびマウスApoBの血漿レベルを判定した。具体的には、96ウェルプレート(Griener#655061)を、PBSで希釈した50μLの一次ApoC3抗体(Abeamウサギポリクローナル抗ヒトApoC3#ab21032)または50μLの一次ApoB抗体(Meridian Life Sciencesヤギポリクローナル抗ヒトApoB#K45253G)で、4℃で一晩コーティングした。200μLのTBS-Tでプレートを4回洗浄し、200μLのブロック緩衝液(PBS中のPierce Clear Milk Blocker#37587)を用いて30℃で90分間ブロックした。ブロック緩衝液を除去し、ブロック緩衝液中で希釈した50μLの試験試料を添加し、300rpmでの回転と共に室温で2時間インキュベートさせた。200μLのTBS-Tでプレートを4回洗浄し、ブロック緩衝液中で希釈した50μLの二次抗体(AbeamヤギポリクローナルビオチンコンジュゲートApoC3#ab21024)または二次ApoB抗体(Meridian Life SciencesヤギポリクローナルビオチンコンジュゲートApoB48/100#34003G)を添加し、300rpmでの回転と共に室温で1時間インキュベートさせた。TBS-Tでプレートを1回洗浄し、PBS中で100倍希釈した50μLのSA-HRP(Abeam#64269)を添加し、300rpmでの回転と共に室温で30分間インキュベートさせた。次いで、200μLのTBS-Tでプレートを4回洗浄し、80μLのTMB(Thermo Ultra-TMB ELISA#34028)、続いて50μLの0.5N HCLで開発した。吸光度を450nmで読み出した。精製されたApoC3(Athens Research and Technology)を使用して構築した標準曲線(Molecular Devices)の4パラメータ適合から試験ウェル中のApoC3の量を計算した。遠心分離によって単離したマウスVLDLを使用して構築した標準曲線(Molecular Devices)の4パラメータ適合から、試験ウェル中のApoBの量を計算した(ApoB含量は全タンパク質含量の20%であると想定する)。
【0217】
図10に示されるように、5E5抗体(パートAおよびB)ならびに6A6抗体(パートCおよびD)は、陰性対照群における対応するレベルと比べて、ヒトApoC3およびマウスApoBの血漿レベルを1~2日間にわたり同様に低減させた。ApoC3の血漿レベルは、5E5および6A6抗体の投与の4~8時間後に50%超低減した(パートAおよびC)。ApoBの血漿レベルは、5E5および6A6抗体の投与の4~8時間後に約40~50%低減した(パートBおよびD)。
【0218】
本発明は、本明細書に記載される特定の実施形態によって範囲を限定されるものではない。実際に、記載されているものに加えた、本発明の様々な修正は、前述の説明および添付の図面から当業者には明らかとなるであろう。かかる修正は、添付の特許請求の範囲内にあることが意図される。
【0219】
本明細書に引用される全ての参考文献(例えば、出版物または特許または特許出願)は、各個々の参考文献(例えば、出版物または特許または特許出願)が具体的かつ個々に全ての目的でその全体が参照により組み込まれていると示されているのと同程度に、全ての目的でそれらの全体が参照により本明細書に組み込まれている。
【0220】
他の実施形態は、以下の特許請求の範囲内である。
図1
図2-1】
図2-2】
図2-3】
図3
図4-1】
図4-2】
図5-1】
図5-2】
図5-3】
図5-4】
図6-1】
図6-2】
図6-3】
図7-1】
図7-2】
図7-3】
図8-1】
図8-2】
図9-1】
図9-2】
図9-3】
図9-4】
図10-1】
図10-2】
図10-3】
図10-4】
【配列表】
2022137159000001.app
【手続補正書】
【提出日】2022-08-05
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載の発明。
【外国語明細書】