(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022137161
(43)【公開日】2022-09-21
(54)【発明の名称】バックアップ装置、バックアップ方法、プログラム、および記録媒体
(51)【国際特許分類】
G06F 3/06 20060101AFI20220913BHJP
G06F 11/14 20060101ALI20220913BHJP
【FI】
G06F3/06 301X
G06F3/06 304F
G06F11/14 664
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022110104
(22)【出願日】2022-07-08
(62)【分割の表示】P 2018060619の分割
【原出願日】2018-03-27
(71)【出願人】
【識別番号】000232092
【氏名又は名称】NECソリューションイノベータ株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115255
【弁理士】
【氏名又は名称】辻丸 光一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100201732
【弁理士】
【氏名又は名称】松縄 正登
(74)【代理人】
【識別番号】100154081
【弁理士】
【氏名又は名称】伊佐治 創
(72)【発明者】
【氏名】大谷 寛之
(57)【要約】 (修正有)
【課題】大量のデータを、短時間で、簡便、且つ、安価に1次データセンタから2次データセンタへの転送を可能とするバックアップ装置、方法、プログラム及び記録媒体を提供する。
【解決手段】バックアップ装置は、1次データセンタと、2次データセンタと、自律型飛行装置と、を含む。1次データセンタ又は2次データセンタと自律型飛行装置とは、接近した状態において、無線通信により接続可能である。また、1次ストレージ装置と2次ストレージ装置とは、通信回線網4を介して接続可能である。1次ストレージ装置は、通信方式切替部を含み、バックアップのデータ量から、無線通信と自律型飛行装置3を用いた通信方式により転送するのに必要な時間(T1)と、通信回線網4を用いた通信方式により転送するのに必要な時間(T2)とを算出し、転送時間(T1)が転送時間(T2)よりも短いと判断した場合、自律型飛行装置を用いた通信方式を選択する。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1次データセンタと、2次データセンタと、自律型飛行装置とを含み、
前記1次データセンタは、1次ストレージ装置を含み、前記2次データセンタは、2次ストレージ装置を含み;
前記1次ストレージ装置は、記憶部、選択部、および無線通信部を含み、
前記2次ストレージ装置は、記憶部、および無線通信部を含み、
前記自律型飛行装置は、操縦制御部、記憶部、および無線通信部を含み;
前記1次ストレージ装置は、
前記記憶部が、データを記憶し、
前記選択部が、前記記憶部のデータから、前記2次ストレージ装置に転送するデータを任意に選択し、
前記無線通信部が、前記自律型飛行装置の無線通信部と通信可能な距離において、前記自律型飛行装置に、前記選択した選択データと、前記2次データセンタに向かって飛行する飛行指示情報とを、送信し;
前記自律型飛行装置は、
前記無線通信部が、前記1次ストレージ装置の無線通信部と通信可能な距離において、前記1次ストレージ装置から、前記選択データと前記飛行指示情報とを、受信し、
前記記憶部が、前記選択データを記憶し、
前記操縦制御部が、前記飛行指示情報にしたがって飛行操縦を制御し、
前記無線通信部が、前記2次ストレージ装置の無線通信部と通信可能な距離において、前記2次ストレージ装置に前記選択データを送信し;
前記2次ストレージ装置は、
前記無線通信部が、前記自律型飛行装置の無線通信部と通信可能な距離において、前記自律型飛行装置から、前記選択データを受信し、
前記記憶部が、前記選択データを記憶し、
前記1次ストレージ装置と前記2次ストレージ装置とは、通信回線網を介して接続可能であり、
前記1次ストレージ装置は、さらに、通信方式切替部を含み、
前記通信方式切替部は、前記選択データが、前記2次ストレージ装置を初期構築または初期同期するデータである場合、前記自律型飛行装置を用いた通信方式を選択し、選択した通信方式によるデータの転送を、前記1次ストレージ装置に指示する
ことを特徴とするバックアップ装置。
【請求項2】
前記1次ストレージ装置、前記自律型飛行装置、および前記2次ストレージ装置において、それぞれの前記無線通信部が、近距離高速無線通信方式の無線通信部である、請求項1記載のバックアップ装置。
【請求項3】
記憶部、選択部、無線通信部、および通信方式切替部を含み、
2次ストレージ装置と、通信回線網を介して接続可能であり、
前記記憶部が、データを記憶し、
前記選択部が、前記記憶部のデータから、2次ストレージ装置に転送するデータを任意に選択し、
前記無線通信部が、自律型飛行装置の無線通信部と通信可能な距離において、前記自律型飛行装置に、前記選択した選択データと、前記2次データセンタに向かって飛行する飛行指示情報とを、送信し、
前記通信方式切替部は、前記選択データが、前記2次ストレージ装置を初期構築または初期同期するデータである場合、前記自律型飛行装置を用いた通信方式を選択し、選択した通信方式によるデータの転送を指示する
請求項1または2記載のバックアップ装置に使用する
ことを特徴とする1次ストレージ装置。
【請求項4】
記憶部、および無線通信部を含み、
1次ストレージ装置と、通信回線網を介して接続可能であり、
前記無線通信部が、自律型飛行装置の無線通信部と通信可能な距離において、前記自律型飛行装置から、選択データを受信し、
前記記憶部が、前記選択データを記憶し、
請求項1または2記載のバックアップ装置に使用する
ことを特徴とする2次ストレージ装置。
【請求項5】
操縦制御部、記憶部、および無線通信部を含み;
前記無線通信部が、
1次ストレージ装置の無線通信部と通信可能な距離において、前記1次ストレージ装置から、選択データと飛行指示情報とを、受信し、
2次ストレージ装置の無線通信部と通信可能な距離において、前記2次ストレージ装置に前記選択データを送信し、
前記記憶部が、前記選択データを記憶し、
前記操縦制御部が、前記飛行指示情報にしたがって飛行操縦を制御し、
請求項1または2記載のバックアップ装置に使用する
ことを特徴とする自律型飛行装置。
【請求項6】
1次ストレージ装置を含む1次データセンタと、2次ストレージ装置を含む2次データセンタと、自律型飛行装置とを使用し、
前記1次ストレージ装置と前記自律型飛行装置とは、無線通信が可能であり、
前記自律型飛行装置と前記2次ストレージ装置とは、無線通信が可能であり、
前記1次ストレージ装置は、記憶したデータから、前記2次ストレージ装置に転送するデータを任意に選択する選択工程と、
前記1次ストレージ装置から、前記自律型飛行装置と無線通信可能な距離において、前記自律型飛行装置に、前記選択した選択データと、前記2次データセンタに向かって飛行する飛行指示情報とを、送信する送信工程と、
前記選択データが、前記2次ストレージ装置を初期構築または初期同期するデータである場合、前記自律型飛行装置を用いた通信方式を選択し、選択した通信方式によるデータの転送を、前記1次ストレージ装置に指示する通信方式切替工程と、を実行し、
前記自律型飛行装置は、前記1次ストレージ装置と無線通信可能な距離において、前記1次ストレージ装置から、前記選択データと前記飛行指示情報とを、受信する受信工程と、
前記自律型飛行装置において、前記選択データを記憶する記憶工程と、
前記自律型飛行装置を、前記飛行指示情報にしたがって飛行操縦を制御する操縦工程と、
前記自律型飛行装置から、前記2次ストレージ装置と無線通信可能な距離において、前記2次ストレージ装置に、前記選択データを送信する送信工程と、を実行し、
前記2次ストレージ装置は、前記自律型飛行装置と無線通信可能な距離において、前記自律型飛行装置から、前記選択データを受信する受信工程と、
前記2次ストレージ装置において、前記選択データを記憶する記憶工程と、を実行する
ことを特徴とするバックアップ方法。
【請求項7】
前記無線通信の方式が、近距離高速無線通信方式である、請求項6記載のバックアップ方法。
【請求項8】
前記通信方式切替工程は、前記選択データのデータ量から、前記自律型飛行装置を用いた通信方式により前記1次ストレージ装置から前記2次ストレージ装置まで転送するのに必要な時間と、前記通信回線網を用いた通信方式により前記1次ストレージ装置から前記2次ストレージ装置まで転送するのに必要な時間とを算出して、転送時間が短い通信方式を選択し、選択した通信方式によるデータの転送を、前記1次ストレージ装置に指示する、請求項6または7記載のバックアップ方法。
【請求項9】
請求項6から8のいずれか一項に記載のバックアップ方法をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バックアップ装置、バックアップ方法、プログラム、および記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
あらゆる分野においてIT化が進む中、メインデータシステムが使用不可となることに備えて、データのバックアップが必須となっている。特に、地震、洪水等の災害を想定した災害復旧システム(Disaster Recovery System)として、1次データセンタ(マスタデータセンタともいう)に対し、そのバックアップ用である2次データセンタ(リモートデータセンタともいう)が、前記災害の影響を受けにくい遠隔地に設置されている。そして、2次データセンタのストレージ装置には、1次データセンタのストレージ装置に格納されているデータの複製データが、同様に格納されている。このシステムによれば、例えば、1次データセンタが被災すると、直ちに2次データセンタの業務アプリケーションを開始させることで、1次データセンタに代わって、2次データセンタにより速やかな業務再開が可能となる。この際、1次データセンタに代わって、2次データセンタが引き続き業務を開始するには、業務の開始時点において、1次データセンタのストレージに格納されたデータと2次データセンタのストレージに格納された複製データとの内容に、できる限り差分が少ないことが望まれる。
【0003】
ここで、1次データセンタのデータを、2次データセンタに複製する方法としては、例えば、1次データセンタのストレージ装置と、2次データセンタのストレージ装置とを、公衆通信回線で接続し、前記公衆通信回線を介して、1次データセンタのデータを2次データセンタに転送し、2次データセンタのストレージ装置に書き込みする方法がある。しかし、公衆通信回線の場合、回線の品質によって、データ転送に時間がかかる場合がある。特に、2次データセンタの初期構築および障害復帰後の初期同期においては、1次データセンタのストレージ装置における全データの転送が必要であり、このように膨大なデータ量の転送には、非常に時間がかかる。
【0004】
そこで、例えば、公衆回線ではなく、専用の高速回線を用いて、転送時間の短縮化を図る方法がある。しかしながら、専用の高速回線を使用する方法は、時間を短縮できても、回線コストが非常に高価という問題がある。
【0005】
この他にも、例えば、記憶媒体を使用する方法が報告されている。この方法においては、まず、作業員によって、1次データセンタのストレージ装置のデータを、テープ等の記憶媒体に書き込みし、前記記憶媒体を遠隔地の2次データセンタに輸送し、前記記憶媒体を受け取った別の作業員が、前記記憶媒体から、書き込みされたデータを読み出して、2次データセンタのストレージ装置に書き込みする作業を行うことで、バックアップが行われる(特許文献1)。しかしながら、前記記憶媒体の輸送は、様々な工程において手作業が必要であり、また、前記記憶媒体の輸送には、車、電車、飛行機等の交通手段を利用する必要があるため、手間や費用がかかり、また、交通渋滞の可能性があり、それに伴う所要時間の長時間化という問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明は、例えば、大量のデータであっても、短時間で簡便且つ安価に、1次データセンタから2次データセンタへの転送を可能とするバックアップシステムおよびバックアップ方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するために、本発明のバックアップ装置は、
1次データセンタと、2次データセンタと、自律型飛行装置とを含み、
前記1次データセンタは、1次ストレージ装置を含み、前記2次データセンタは、2次ストレージ装置を含み;
前記1次ストレージ装置は、記憶部、選択部、および無線通信部を含み、
前記2次ストレージ装置は、記憶部、および無線通信部を含み、
前記自律型飛行装置は、操縦制御部、記憶部、および無線通信部を含み;
前記1次ストレージ装置は、
前記記憶部が、データを記憶し、
前記選択部が、前記記憶部のデータから、前記2次ストレージ装置に転送するデータを任意に選択し、
前記無線通信部が、前記自律型飛行装置の無線通信部と通信可能な距離において、前記自律型飛行装置に、前記選択した選択データと、前記2次データセンタに向かって飛行する飛行指示情報とを、送信し;
前記自律型飛行装置は、
前記無線通信部が、前記1次ストレージ装置の無線通信部と通信可能な距離において、前記1次ストレージ装置から、前記選択データと前記飛行指示情報とを、受信し、
前記記憶部が、前記選択データを記憶し、
前記操縦制御部が、前記飛行指示情報にしたがって飛行操縦を制御し、
前記無線通信部が、前記2次ストレージ装置の無線通信部と通信可能な距離において、前記2次ストレージ装置に前記選択データを送信し;
前記2次ストレージ装置は、
前記無線通信部が、前記自律型飛行装置の無線通信部と通信可能な距離において、前記自律型飛行装置から、前記選択データを受信し、
前記記憶部が、前記選択データを記憶する
ことを特徴とする。
【0009】
本発明の1次ストレージ装置は、
記憶部、選択部、および無線通信部を含み、
前記記憶部が、データを記憶し、
前記選択部が、前記記憶部のデータから、2次ストレージ装置に転送するデータを任意に選択し、
前記無線通信部が、自律型飛行装置の無線通信部と通信可能な距離において、前記自律型飛行装置に、前記選択した選択データと、前記2次データセンタに向かって飛行する飛行指示情報とを、送信し、
前記本発明のバックアップ装置に使用する
ことを特徴とする。
【0010】
本発明の2次ストレージ装置は、
記憶部、および無線通信部を含み、
前記無線通信部が、自律型飛行装置の無線通信部と通信可能な距離において、前記自律型飛行装置から、選択データを受信し、
前記記憶部が、前記選択データを記憶し、
前記本発明のバックアップ装置に使用する
ことを特徴とする。
【0011】
本発明の自律型飛行装置は、
操縦制御部、記憶部、および無線通信部を含み;
前記無線通信部が、
1次ストレージ装置の無線通信部と通信可能な距離において、前記1次ストレージ装置から、選択データと飛行指示情報とを、受信し、
2次ストレージ装置の無線通信部と通信可能な距離において、前記2次ストレージ装置に前記選択データを送信し、
前記記憶部が、前記選択データを記憶し、
前記操縦制御部が、前記飛行指示情報にしたがって飛行操縦を制御し、
前記本発明のバックアップ装置に使用する
ことを特徴とする。
【0012】
本発明のバックアップ方法は、
1次ストレージ装置を含む1次データセンタと、2次ストレージ装置を含む2次データセンタと、自律型飛行装置とを使用し、
前記1次ストレージ装置と前記自律型飛行装置とは、無線通信可能であり、
前記自律型飛行装置と前記2次ストレージ装置とは、無線通信可能であり、
前記1次ストレージ装置において、記憶したデータから、前記2次ストレージ装置に転送するデータを任意に選択する選択工程、
前記1次ストレージ装置から、前記自律型飛行装置と無線通信可能な距離において、前記自律型飛行装置に、前記選択データと、前記2次データセンタに向かって飛行する飛行指示情報とを、送信する送信工程、
前記自律型飛行装置により、前記1次ストレージ装置と無線通信可能な距離において、前記1次ストレージ装置から、前記選択データと前記飛行指示情報とを、受信する受信工程、
前記自律型飛行装置において、前記選択データを記憶する記憶工程、
前記自律型飛行装置を、前記飛行指示情報にしたがって飛行操縦を制御する操縦工程、
前記自律型飛行装置から、前記2次ストレージ装置と無線通信可能な距離において、前記2次ストレージ装置に、前記選択データを送信する送信工程、
前記2次ストレージ装置により、前記自律型飛行装置と無線通信可能な距離において、前記自律型飛行装置から、前記選択データを受信する受信工程、および、
前記2次ストレージ装置において、前記選択データを記憶する記憶工程
を有することを特徴とする。
【0013】
本発明のプログラムは、前記本発明のバックアップ方法をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【0014】
本発明の記録媒体は、前記本発明のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能である。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、例えば、大量のデータであっても、短時間で簡便且つ安価に、1次データセンタから2次データセンタへ転送し、バックアップを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、実施形態1のバックアップ装置の一例を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、実施形態1のバックアップ装置における自律型飛行装置の一例を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、実施形態1における1次データセンタのハードウエア構成を示すブロックズである。
【
図4】
図4は、実施形態1における2次データセンタのハードウエア構成を示すブロックズである。
【
図5】
図5は、実施形態1における自律型飛行装置のハードウエア構成を示すブロックズである。
【
図6】
図6は、実施形態1のバックアップ方法の一例を示すフローチャートである。
【
図7】
図7は、実施形態2のバックアップ装置の一例を示すブロック図である。
【
図8】
図8は、実施形態2のバックアップ方法の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の実施形態について説明する。なお、本発明は、以下の実施形態には限定されない。なお、以下の各図において、同一部分には、同一符号を付している。また、各実施形態の説明は、特に言及がない限り、互いの説明を援用できる。さらに、各実施形態の構成は、特に言及がない限り、組合せ可能である。
【0018】
[実施形態1]
本発明のバックアップ装置、およびバックアップ方法の一例について、図を用いて説明する。
【0019】
<バックアップ装置>
図1は、本実施形態のバックアップ装置の一例を示すブロック図であり、
図2は、本実施形態のバックアップ装置における自律型飛行装置の一例を示すブロック図である。前記バックアップ装置は、1次データセンタ1、2次データセンタ2、および自律型飛行装置3を含む。1次データセンタ1は、例えば、マスタサイトまたはマスタデータセンタともいい、これに対して、2次データセンタ2は、例えば、リモートサイトまたはリモートデータセンタともいう。本実施形態のバックアップ装置は、バックアップシステムともいう。
【0020】
1次ストレージ装置10と自律型飛行装置3とは、例えば、自律型飛行装置3が、1次ストレージ装置10に接近した状態において、無線通信により接続可能であり、また、2次ストレージ装置20と自律型飛行装置3とは、例えば、自律型飛行装置3が、2次ストレージ装置20に接近した状態において、無線通信により接続可能である。
【0021】
1次ストレージ装置10と2次ストレージ装置とは、例えば、通信回線網4を介して接続可能であってもよい。
【0022】
(1)1次データセンタ
1次データセンタ1は、1次ストレージ装置10を含み、1次ストレージ装置10は、記憶部101、選択部102、および無線通信部103を含む。1次データセンタ1は、例えば、さらに、ホスト装置11を含み、ホスト装置11は、1次ストレージ装置10に接続されている。1次データセンタ1は、通常、ホスト装置11により業務アプリケーションが実行され、それにより得られた情報が、1次ストレージ装置10に記憶されていく。
【0023】
1次ストレージ装置10における記憶部101は、データを記憶する。前記データは、例えば、前述のように、ホスト装置11による業務アプリケーションの実行により得られた情報である。
【0024】
1次ストレージ装置10における選択部102は、記憶部101のデータから、2次データセンタ2の2次ストレージ装置20に転送するデータを任意に選択する。2次ストレージ装置20に対して、初期構築または障害復帰後等の初期同期を行う場合、例えば、1次ストレージ装置10の記憶部101における全データを選択する。一方、2次ストレージ装置20におけるデータの複製後、新たに1次ストレージ装置10の記憶部101のデータが更新されている場合は、更新されたデータ、つまり、2次ストレージ装置20の記憶部201のデータに対する1次ストレージ装置10の記憶部101の差分データを、選択する。
【0025】
1次ストレージ装置10における無線通信部103は、自律型飛行装置3の無線通信部303と通信可能な距離において、自律型飛行装置3に、前記選択データと、前記2次データセンタ2に向かって飛行する飛行指示情報とを、送信する。1次ストレージ装置10の無線通信部103については、自律型飛行装置3の無線通信部303および2次ストレージ装置20の無線通信部203とあわせて、後述する。
【0026】
(2)2次データセンタ
2次データセンタ2は、2次ストレージ装置20を含み、2次ストレージ装置20は、記憶部201、および無線通信部203を含む。2次データセンタ2は、例えば、さらに、ホスト装置21を含み、ホスト装置21は、2次ストレージ装置20に接続されている。2次データセンタ2は、通常、1次データセンタ1が使用不可となった場合、1次データセンタ1に代わって業務を実行する。具体的には、ホスト装置21により業務アプリケーションが実行され、それにより得られたデータが、2次ストレージ装置20に、新たに記憶されていく。
【0027】
2次ストレージ装置20における記憶部201は、前記選択データを記憶する。2次ストレージ装置20は、前述のように、1次データセンタ1における1次ストレージ装置10のバックアップであるため、1次ストレージ装置10で選択された前記選択データを記憶する。なお、2次データセンタ2が、前述のように、1次データセンタ1に代わって業務を実行した場合、記憶部201は、さらに、ホスト装置21の業務アプリケーションの実行により得られたデータも記憶する。
【0028】
2次ストレージ装置20における無線通信部203は、自律型飛行装置3の無線通信部303と通信可能な距離において、自律型飛行装置3から、前記選択データを受信する。2次ストレージ装置20の無線通信部203については、自律型飛行装置3の無線通信部303および1次ストレージ装置10の無線通信部103とあわせて、後述する。
【0029】
(3)自律型飛行装置
自律型飛行装置3は、操縦制御部302、記憶部301、および無線通信部303を含む。自律型飛行装置3は、いわゆる無人での自動運転が可能な飛行装置である。自律型飛行装置3としては、例えば、ドローン等があげられる。自律型飛行装置3の自動操縦方式は、特に制限されず、例えば、GPS(Global Pointing System)方式が利用できる。前記GPS方式は、例えば、自律型飛行装置3の現在座標と、目的地(2次データセンタ2)の座標を測位し、飛行ルートを設定する方式である。
【0030】
自律型飛行装置3は、前述のように、無線通信部303を含み、無線通信部303は、1次ストレージ装置10の無線通信部103と通信可能な距離において、1次ストレージ装置10から、前記選択データと前記飛行指示情報とを、受信する。自律型飛行装置3の無線通信部303については、1次ストレージ装置10の無線通信部103および2次ストレージ装置20の無線通信部203とあわせて、後述する。
【0031】
自律型飛行装置3の記憶部301は、受信した前記選択データを記憶する。
【0032】
自律型飛行装置3の操縦制御部302は、受信した前記飛行指示情報にしたがって飛行操縦を制御する。前記飛行指示情報は、例えば、目的地である2次データセンタ2の場所を特定する情報を含む。自律型飛行装置3は、前記飛行指示情報に基づいて、操縦制御部302が、飛行操縦を制御することによって、前述のような自動操縦を行うことができる。
【0033】
自律型飛行装置3の無線通信部303は、2次ストレージ装置20の無線通信部203と通信可能な距離において、2次ストレージ装置20に前記選択データを送信する。
【0034】
(4)無線通信
1次ストレージ装置10の無線通信部103、2次ストレージ装置20の無線通信部203、および自律型飛行装置3の無線通信部303について、あわせて説明する。
【0035】
無線通信部103、203、303は、それぞれ、1次ストレージ装置10と自律型飛行装置3との間、自律型飛行装置3と2次ストレージ装置20との間における、データの送受信を行う。前記データは、前述のように、1次ストレージ装置10の選択部102で選択された前記選択データである。本実施形態のバックアップ装置において、自律型飛行装置3を介した、1次ストレージ装置10から2次ストレージ装置20へのデータの転送は、特に、前記選択データのデータ量が多い場合に行われる。このため、無線通信部103、203、303の通信方式は、それぞれ、転送時間の短縮化の点から、高速無線通信が好ましい。高速無線通信の転送速度は、特に制限されず、例えば、使用する高速無線通信の種類および規格に応じて、設定できる。前記規格がIEEE 802.11adの場合、例えば、距離は10mで、帯域は数Gbps程度が可能であり、具体的には、10Gbps以上も可能である。
【0036】
また、本実施形態のバックアップ装置において、特定の1次データセンタ1と特定の自律型飛行装置3と特定の2次データセンタ2との間においてのみ、それぞれ、前記選択データの転送を行うことが好ましい。つまり、前記選択データが、1次データセンタ1、自律型飛行装置3、および2次データセンタ2以外の装置に対して、転送されることを防止することが望ましい。このため、無線通信部103、203、303の通信方式は、それぞれ、近距離無線通信が好ましい。これによって、まず、1次データセンタ1の1次ストレージ装置10と自律型飛行装置3とが、前記近距離無線通信によって通信可能な距離、すなわち近距離にある状態において、1次ストレージ装置10から自律型飛行装置3に、前記選択データを転送し、さらに、自律型飛行装置3が、1次データセンタ1から2次データセンタ2に移動した後、自律型飛行装置3と2次データセンタ2の2次ストレージ装置20とが、前記近距離無線通信によって通信可能な距離、すなわち近距離にある状態において、自律型飛行装置3から2次ストレージ装置20に、前記選択データを転送できる。前記近距離とは、特に制限されず、例えば、使用する近距離無線通信の種類に応じて、設定できる。前記通信方式は、例えば、近距離高速無線通信が特に好ましい。
【0037】
同様の理由から、例えば、1次データセンタ1と自律型飛行装置3との間の無線通信、および、自律型飛行装置3と2次データセンタ2との間の無線通信において、前記選択データの送受信に先立って、互いの照合を行い、認証された場合に、送受信を実行することが好ましい。
【0038】
本実施形態のバックアップ装置は、例えば、1次データセンタ1の1次ストレージ装置10と、2次データセンタ2の2次ストレージ装置20との接続において、自律型飛行装置3と無線通信とを利用する前記選択データの転送方式の他に、通信回線網4によって、1次データセンタ1の1次ストレージ装置10と、2次データセンタ2の2次ストレージ装置20とが、接続可能であってもよい。なお、通信回線網4の利用については、実施形態2において後述するが、本発明は、これには限定されない。
【0039】
<ハードウエア構成>
つぎに、
図3および
図4に、それぞれ、本実施形態のバックアップ装置における1次データセンタ1および2次データセンタ2のハードウエア構成のブロック図を例示し、
図5に、前記バックアップ装置における自律型飛行装置3のハードウエア構成のブロック図を例示する。
【0040】
(1)1次データセンタ
1次データセンタ1におけるホスト装置11は、例えば、CPU(中央処理装置)400、メモリ410を有し、メモリ410は、例えば、通信バスによってCPU400に接続されている。また、ホスト装置11は、例えば、さらに、入出力等のインターフェイス(I/F)を有し、前記I/Fは、前記通信バスに接続され、前記I/Fには、例えば、入力装置、ディスプレイ、記憶装置、通信デバイス等が接続されている。プログラム411は、例えば、ホスト装置11が業務処理を行うための業務プログラム、1次ストレージ装置10を制御する制御プログラム等である。CPU400は、ホスト装置11の全体の制御を担い、例えば、メモリ410のプログラム411を実行することにより、ホスト装置11の各種機能を実現する。プログラム411は、例えば、前記記憶装置に格納され、メモリ410が読み出し、CPU400によって実行される。
【0041】
1次データセンタ1における1次ストレージ装置10は、例えば、CPU300、メモリ310、記憶装置320、および通信デバイス330を有する。メモリ310は、例えば、通信バスによってCPU300に接続されている。また、1次ストレージ装置11は、例えば、さらに、入出力等のI/Fを有し、前記I/Fは、前記通信バスに接続され、前記I/Fには、例えば、記憶装置320、通信デバイス330、入力装置、ディスプレイ等が接続されている。プログラム311は、例えば、記憶装置320へのデータの書き込み機能、書き込んだデータから任意のデータを選択する選択機能、通信デバイス330を介した外部との接続機能等を実行するためのプログラムである。CPU300は、1次ストレージ装置10の全体の制御を担い、例えば、メモリ310のプログラム311を実行することにより、1次ストレージ装置10の各種機能を実現する。プログラム311は、例えば、記憶装置320に格納され、メモリ310が読み出し、CPU300によって実行される。1次ストレージ装置10の選択部102は、例えば、CPU300により実行される。通信デバイス330は、前述した無線通信方式により無線通信を行うデバイスであり、また、さらに、通信回線網による通信を行うデバイスを含んでもよい。記憶装置320は、情報を記憶するボリュームを確保する記憶装置である。
【0042】
1次データセンタ1において、ホスト装置11および1次ストレージ装置10は、例えば、それぞれポートを有し、前記ポートを介して接続されている。
【0043】
メモリ310、410は、例えば、メインメモリを含み、前記メインメモリは、主記憶装置ともいう。CPU300、400が処理を行う際には、例えば、後述する補助記憶装置に記憶されている、本発明のプログラム等の種々の動作プログラムを、メモリ310、410が読み込み、CPU300、400は、メモリ310、410からデータを受け取って、前記プログラムを実行する。前記メインメモリは、RAM(ランダムアクセスメモリ)であり、さらに、例えば、ROM(読み出し専用メモリ)を含む。
【0044】
記憶装置320は、例えば、前記メインメモリ(主記憶装置)に対して、いわゆる補助記憶装置ともいう。記憶装置320は、例えば、記憶媒体と、前記記憶媒体に読み書き(出入力)するドライブとを含む。前記記憶媒体は、特に制限されず、例えば、内蔵型でも外付け型でもよく、HD(ハードディスク)、FD(フロッピー(登録商標)ディスク)、CD-ROM、CD-R、CD-RW、MO、DVD、フラッシュメモリー、メモリーカード等があげられ、前記ドライブは、特に制限されない。記憶装置320は、例えば、記憶媒体とドライブとが一体化されたハードディスクドライブ(HDD)、ソリッドステートドライブ(SSD)等も例示できる。記憶装置320は、例えば、本発明のプログラム等の動作プログラムが格納される。1次データセンタ1の1次ストレージ装置10において、記憶装置320が、記憶部101となる。
【0045】
前記無線通信デバイスは、例えば、高速無線通信デバイス、近距離無線通信デバイス、近距離高速無線通信デバイスが好ましい。このような無線通信デバイスは、例えば、市販の通信デバイスが使用できる。
【0046】
(2)2次データセンタ
つぎに、2次データセンタ2におけるホスト装置21は、例えば、CPU400、メモリ410を有し、メモリ410は、例えば、通信バスによってCPU400に接続されている。また、ホスト装置21は、例えば、さらに、入出力I/Fを有し、前記I/Fは、前記通信バスに接続され、前記I/Fには、例えば、入力装置、ディスプレイ、記憶装置、通信デバイス等が接続されている。プログラム412は、例えば、ホスト装置21が業務処理を行うための業務プログラム、2次ストレージ装置20を制御する制御プログラム等である。CPU400は、ホスト装置21の全体の制御を担い、例えば、メモリ410のプログラム412を実行することにより、ホスト装置21の各種機能を実現する。プログラム412は、例えば、前記記憶装置に格納され、メモリ410が読み出し、CPU400によって実行される。
【0047】
2次データセンタ2における2次ストレージ装置20は、例えば、CPU300、メモリ310、記憶装置320、および通信デバイス330を有する。メモリ310は、例えば、通信バスによってCPU300に接続されている。また、2次ストレージ装置20は、例えば、さらに、入出力I/Fを有し、前記I/Fは、前記通信バスに接続され、前記I/Fには、例えば、記憶装置320、通信デバイス330、入力装置、ディスプレイ等が接続されている。プログラム312は、例えば、記憶装置320へのデータの書き込み機能、通信デバイス330を介した外部との接続機能等を実行するためのプログラムである。CPU300は、2次ストレージ装置20の全体の制御を担い、例えば、メモリ310のプログラム312を実行することにより、2次ストレージ装置20の各種機能を実現する。プログラム312は、例えば、記憶装置320に格納され、メモリ310が読み出し、CPU300によって実行される。通信デバイス330は、前述した無線通信方式により無線通信を行うデバイスであり、また、さらに、通信回線網による通信を行うデバイスを含んでもよい。記憶装置320は、情報を記憶するボリュームを確保する記憶装置である。
【0048】
2次データセンタ2において、ホスト装置21および2次ストレージ装置20は、例えば、それぞれポートを有し、前記ポートを介して接続されている。2次データセンタ2において、メモリ310、410、および記憶装置320は、1次データセンタ1の例示と同様である。2次データセンタ2の2次ストレージ装置20において、記憶装置320が、記憶部201となる。
【0049】
(3)自律型飛行装置
つぎに、自律型飛行装置3は、例えば、CPU500、メモリ510を有し、メモリ510は、例えば、通信バスによってCPU500に接続されている。また、自律型飛行装置3は、例えば、さらに、入出力I/Fを有し、前記I/Fは、前記通信バスに接続され、前記I/Fには、例えば、入力装置、ドライブ、通信デバイス、カメラ、センサ等が接続されている。プログラム511は、例えば、自律型飛行装置3の飛行操縦機能、記憶装置520へのデータの書き込み機能、通信デバイス530を介した外部との接続機能等を実行するためのプログラムである。CPU500は、自律型飛行装置3の全体の制御を担い、例えば、メモリ510のプログラム511を実行することにより、自律型飛行装置3の各種機能を実現する。プログラム511は、例えば、記憶装置520に格納され、メモリ510が読み出し、CPU500によって実行される。自律型飛行装置3の操縦制御部302は、例えば、CPU500により実行される。通信デバイス530は、前述した無線通信方式により無線通信を行うデバイスである。記憶装置520は、情報を記憶するボリュームを確保する記憶装置である。
【0050】
メモリ510および記憶装置520は、例えば、1次データセンタ1の例示と同様である。自律型飛行装置3は、記憶装置520を搭載した状態で飛行するため、記憶装置520は、例えば、中でも、SSD等の半導体記憶装置が好ましい。
【0051】
<バックアップ方法>
つぎに、本実施形態のバックアップ方法について、
図6のフローチャートを用いて説明する。本実施形態のバックアップ方法は、例えば、
図1のバックアップ装置を用いて、次のように実施する。なお、本実施形態のバックアップ方法は、
図1のバックアップ装置の使用には限定されない。
【0052】
まず、1次データセンタ1の1次ストレージ装置10の選択部102は、記憶部101に記憶したデータから、2次データセンタ2の2次ストレージ装置20にバックアップのために転送するデータを任意に選択する(S100)。
【0053】
転送するデータの選択方法は、特に制限されず、2次ストレージ装置20を初期構築する場合、および、障害復帰後、2次ストレージ装置20を1次ストレージ装置10と初期同期する場合は、1次ストレージ装置10の記憶部101における全データを選択し、前記選択データとする。また、2次ストレージ装置20におけるバックアップ後、新たに1次ストレージ装置10の記憶部101のデータが更新されている場合は、更新されたデータ、つまり、2次ストレージ装置20の記憶部201のデータに対する1次ストレージ装置10の記憶部101の差分データを選択し、前記選択データとする。差分データの管理は、特に制限されず、例えば、特開2007-241848号公報等に記載されているシステムが利用できる。
【0054】
つぎに、1次ストレージ装置10と自律型飛行装置3とが無線通信可能な距離において、1次ストレージ装置10から自律型飛行装置3に、前記選択データと、2次データセンタ2に向かって飛行する飛行指示情報とを、無線通信で送信する(S101)。一方、1次ストレージ装置10と自律型飛行装置3とが無線通信可能な距離において、自律型飛行装置3は、1次ストレージ装置10から送信された、前記選択データと前記飛行指示情報とを、受信する(S102)。1次ストレージ装置10に対して、無線通信可能な距離に、自律型飛行装置3を配置することによって、無線通信により、両者間における前記選択データの転送(送受信)が可能である。前記飛行指示情報は、前述のように、飛行先である2次データセンタ2の場所を特定する情報等である。
【0055】
そして、自律型飛行装置3は、受信した前記選択データを、その記憶部301に記憶する(S103)。
【0056】
つぎに、自律型飛行装置3を、1次データセンタ1から2次データセンタ2に向かって、飛行により移動させる(S104)。自律型飛行装置3は、自律型であるため、受信した前記飛行指示情報にしたがって飛行操縦を制御することにより、2次データセンタ2に向かって飛行できる。
【0057】
自律型飛行装置3が、2次データセンタ2の2次ストレージ装置20と無線通信可能な距離に到達すると、自律型飛行装置3から2次ストレージ装置20に、前記選択データを送信する(S105)。一方、2次ストレージ装置20は、自律型飛行装置3と2次ストレージ装置20とが無線通信可能な距離において、自律型飛行装置3から送信された、前記選択データを受信する(S106)。
【0058】
そして、2次ストレージ装置20は、受信した前記選択データを、その記憶部201に記憶し(S107)、2次ストレージ装置20におけるバックアップが完了する。2次ストレージ装置20におけるバックアップは、例えば、定期的に、前記工程(S100)から前記工程(S107)を繰り返してもよいし、1次ストレージ装置10の記憶部101に所定量の更新データが記憶される度に、前記工程(S100)から前記工程(S107)を繰り返してもよい。
【0059】
このように、本実施形態のバックアップ装置を用いたバックアップ方法によれば、無線通信を利用して、1次ストレージ装置10の前記選択データを、自律型飛行装置3に搭載した記憶部301に転送し、前記選択データの移動は、自律型飛行装置3の飛行により行われる。さらに、無線通信を利用して、自律型飛行装置3の記憶部301の前記選択データを、2次ストレージ装置20の記憶部201に転送できる。このため、例えば、前述したような、交通機関、公衆回線を使用する際の転送時間の問題を回避し、また、専用高速回線の設置も不要であることから、低コスト化も可能である。
【0060】
[実施形態2]
本発明のバックアップ装置は、前記実施形態1で示したように、例えば、通信回線網4によって、1次データセンタ1の1次ストレージ装置10と、2次データセンタ2の2次ストレージ装置20とが、接続可能であってもよい。そこで、本実施形態は、1次ストレージ装置10から2次ストレージ装置20への前記選択データの転送において、自律型飛行装置3を利用する無線通信の通信方式と、公衆回線等の通信回線網4を利用する通信方式とを切替可能な形態について、例をあげて説明する。なお、特に示さない限り、前記実施形態1を援用できる。
【0061】
図7に、本実施形態のバックアップ装置のブロック図の一例を示す。本実施形態のバックアップ装置において、1次データセンタ1の1次ストレージ装置10が、さらに、通信方式切替部104を有する以外、その他の構成は、前記実施形態1と同様である。
【0062】
通信方式切替部104は、例えば、前記選択データの転送に要する時間に応じて、通信方式を選択し、通信方式の切替を行う。具体的には、通信方式切替部104は、例えば、前記選択データのデータ量から、自律型飛行装置3を用いた無線通信の通信方式により1次ストレージ装置10から2次ストレージ装置20まで前記選択データを転送するのに必要な時間と、通信回線網4を用いた通信方式により1次ストレージ装置10から2次ストレージ装置20まで前記選択データを転送するのに必要な時間とを算出して、転送時間が短い通信方式を選択し、選択した通信方式によるデータの転送を、1次ストレージ装置10に指示する。また、通信方式切替部104は、例えば、前記選択データが、2次ストレージ装置20を初期構築または初期同期するデータである場合、自律型飛行装置3を用いた通信方式を選択し、選択した通信方式によるデータの転送を、1次ストレージ装置10に指示してもよい。
【0063】
1次ストレージ装置10における通信方式切替部104は、例えば、CPU300により実行できる。
【0064】
通信回線網4の種類は、特に制限されず、例えば、無線の公衆通信回線網があげられ、具体例としては、例えば、インターネット回線、LAN(Local Area Network)、WiFi(Wireless Fidelity)等があげられる。
【0065】
つぎに、本実施形態のバックアップ方法について、
図8のフローチャートを用いて説明する。本実施形態のバックアップ方法は、例えば、
図7のバックアップ装置を用いて、次のように実施する。なお、本実施形態のバックアップ方法は、
図7のバックアップ装置の使用には限定されない。
【0066】
まず、1次データセンタ1の1次ストレージ装置10の選択部102は、記憶部101に記憶したデータから、2次データセンタ2の2次ストレージ装置20にバックアップのために転送するデータを任意に選択する(S100)。
【0067】
つぎに、1次ストレージ装置10の通信方式切替部104により、前記選択データの転送時間を算出する(S200)。具体的には、前記選択データのデータ量から、無線通信と自律型飛行装置3を用いた通信方式により1次ストレージ装置10から2次ストレージ装置20まで転送するのに必要な時間(T1)と、通信回線網4を用いた通信方式により1次ストレージ装置10から2次ストレージ装置20まで転送するのに必要な時間(T2)とを算出する。
【0068】
そして、通信方式切替部104により、前記転送時間(T1)が前記転送時間(T2)よりも短いかを判断する。無線通信と自律型飛行装置3を用いた通信方式による転送時間(T1)が短い場合(YES)、こちらを通信方式として選択し(S202)、その後は、前記実施形態1と同様に、前記工程(S101)~前記工程(S107)を実行する。
【0069】
一方、通信回線網4を用いた通信方式による転送時間(T2)が転送時間(T1)と同じまたは短い場合(NO)、こちらを通信方式として選択し(S203)、通信回線網4を介して、1次ストレージ装置10から2次ストレージ装置20に、前記選択データを送信し、2次ストレージ装置20は、前記工程(S107)を実行する。
【0070】
このように、本実施形態によれば、転送する前記選択データのデータ量に応じて、自律型飛行装置3を用いて無線通信方式により転送するか、公衆回線等の通信回線網4を用いて転送するかを切り替えることができる。このため、前記選択データが、初期データのようにデータ量が大きい場合、例えば、高速通信が可能な無線通信方式により、自律型飛行装置3を利用して、転送時間を短縮化した転送を行うことができる。他方、前記選択データが、更新データ(差分データ)のようにデータ量が小さい場合、公衆通信回線を利用した転送を行うことができる。
【0071】
[実施形態3]
本実施形態のプログラムは、前記各実施形態のバックアップ方法を、コンピュータ上で実行可能なプログラムである。または、本実施形態のプログラムは、例えば、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されてもよい。前記記録媒体としては、特に限定されず、例えば、読み出し専用メモリ(ROM)、ハードディスク(HD)、光ディスク、フロッピー(登録商標)ディスク(FD)等があげられる。
【0072】
以上、実施形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は、上記実施形態に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【0073】
<付記>
上記の実施形態および実施例の一部または全部は、以下の付記のように記載されうるが、以下には限られない。
(付記1)
1次データセンタと、2次データセンタと、自律型飛行装置とを含み、
前記1次データセンタは、1次ストレージ装置を含み、前記2次データセンタは、2次ストレージ装置を含み;
前記1次ストレージ装置は、記憶部、選択部、および無線通信部を含み、
前記2次ストレージ装置は、記憶部、および無線通信部を含み、
前記自律型飛行装置は、操縦制御部、記憶部、および無線通信部を含み;
前記1次ストレージ装置は、
前記記憶部が、データを記憶し、
前記選択部が、前記記憶部のデータから、前記2次ストレージ装置に転送するデータを任意に選択し、
前記無線通信部が、前記自律型飛行装置の無線通信部と通信可能な距離において、前記自律型飛行装置に、前記選択した選択データと、前記2次データセンタに向かって飛行する飛行指示情報とを、送信し;
前記自律型飛行装置は、
前記無線通信部が、前記1次ストレージ装置の無線通信部と通信可能な距離において、前記1次ストレージ装置から、前記選択データと前記飛行指示情報とを、受信し、
前記記憶部が、前記選択データを記憶し、
前記操縦制御部が、前記飛行指示情報にしたがって飛行操縦を制御し、
前記無線通信部が、前記2次ストレージ装置の無線通信部と通信可能な距離において、前記2次ストレージ装置に前記選択データを送信し;
前記2次ストレージ装置は、
前記無線通信部が、前記自律型飛行装置の無線通信部と通信可能な距離において、前記自律型飛行装置から、前記選択データを受信し、
前記記憶部が、前記選択データを記憶する
ことを特徴とするバックアップ装置。
(付記2)
前記1次ストレージ装置、前記自律型飛行装置、および前記2次ストレージ装置において、それぞれの前記無線通信部が、近距離高速無線通信方式の無線通信部である、付記1記載のバックアップ装置。
(付記3)
前記1次ストレージ装置と前記2次ストレージ装置とは、通信回線網を介して接続可能である、付記1または2記載のバックアップ装置。
(付記4)
前記1次ストレージ装置と前記2次ストレージ装置とは、通信回線網を介して接続可能であり、
前記1次ストレージ装置は、さらに、通信方式切替部を含み、
前記通信方式切替部は、前記選択データのデータ量から、前記自律型飛行装置を用いた通信方式により前記1次ストレージ装置から前記2次ストレージ装置まで転送するのに必要な時間と、前記通信回線網を用いた通信方式により前記1次ストレージ装置から前記2次ストレージ装置まで転送するのに必要な時間とを算出して、転送時間が短い通信方式を選択し、選択した通信方式によるデータの転送を、前記1次ストレージ装置に指示する、付記1から3のいずれかに記載のバックアップ装置。
(付記5)
前記1次ストレージ装置と前記2次ストレージ装置とは、通信回線網を介して接続可能であり、
前記1次データセンタは、さらに、通信方式切替部を含み、
前記通信方式切替部は、前記選択データが、前記2次ストレージ装置を初期構築または初期同期するデータである場合、前記自律型飛行装置を用いた通信方式を選択し、選択した通信方式によるデータの転送を、前記1次ストレージ装置に指示する、付記1から3のいずれかに記載のバックアップ装置。
(付記6)
前記通信回線網が、公衆回線である、付記3から5のいずれかに記載のバックアップ装置。
(付記7)
前記1次データセンタは、前記1次ストレージ装置とアクセスする、業務アプリケーションを実行する1次ホスト装置を含み、
前記1次ストレージ装置の記憶部は、前記1次ホスト装置の業務アプリケーションの実行により得られるデータを記憶する、付記1から6のいずれかに記載のバックアップ装置。
(付記8)
記憶部、選択部、および無線通信部を含み、
前記記憶部が、データを記憶し、
前記選択部が、前記記憶部のデータから、2次ストレージ装置に転送するデータを任意に選択し、
前記無線通信部が、自律型飛行装置の無線通信部と通信可能な距離において、前記自律型飛行装置に、前記選択した選択データと、前記2次データセンタに向かって飛行する飛行指示情報とを、送信し、
付記1から7のいずれかに記載のバックアップ装置に使用する
ことを特徴とする1次ストレージ装置。
(付記9)
記憶部、および無線通信部を含み、
前記無線通信部が、自律型飛行装置の無線通信部と通信可能な距離において、前記自律型飛行装置から、選択データを受信し、
前記記憶部が、前記選択データを記憶し、
付記1から7のいずれかに記載のバックアップ装置に使用する
ことを特徴とする2次ストレージ装置。
(付記10)
操縦制御部、記憶部、および無線通信部を含み;
前記無線通信部が、
1次ストレージ装置の無線通信部と通信可能な距離において、前記1次ストレージ装置から、選択データと飛行指示情報とを、受信し、
2次ストレージ装置の無線通信部と通信可能な距離において、前記2次ストレージ装置に前記選択データを送信し、
前記記憶部が、前記選択データを記憶し、
前記操縦制御部が、前記飛行指示情報にしたがって飛行操縦を制御し、
付記1から7のいずれかに記載のバックアップ装置に使用する
ことを特徴とする自律型飛行装置。
(付記11)
1次ストレージ装置を含む1次データセンタと、2次ストレージ装置を含む2次データセンタと、自律型飛行装置とを使用し、
前記1次ストレージ装置と前記自律型飛行装置とは、無線通信可能であり、
前記自律型飛行装置と前記2次ストレージ装置とは、無線通信可能であり、
前記1次ストレージ装置において、記憶したデータから、前記2次ストレージ装置に転送するデータを任意に選択する選択工程、
前記1次ストレージ装置から、前記自律型飛行装置と無線通信可能な距離において、前記自律型飛行装置に、前記選択した選択データと、前記2次データセンタに向かって飛行する飛行指示情報とを、送信する送信工程、
前記自律型飛行装置により、前記1次ストレージ装置と無線通信可能な距離において、前記1次ストレージ装置から、前記選択データと前記飛行指示情報とを、受信する受信工程、
前記自律型飛行装置において、前記選択データを記憶する記憶工程、
前記自律型飛行装置を、前記飛行指示情報にしたがって飛行操縦を制御する操縦工程、
前記自律型飛行装置から、前記2次ストレージ装置と無線通信可能な距離において、前記2次ストレージ装置に、前記選択データを送信する送信工程、
前記2次ストレージ装置により、前記自律型飛行装置と無線通信可能な距離において、前記自律型飛行装置から、前記選択データを受信する受信工程、および、
前記2次ストレージ装置において、前記選択データを記憶する記憶工程
を有することを特徴とするバックアップ方法。
(付記12)
前記無線通信の方式が、近距離高速無線通信方式である、付記11記載のバックアップ方法。
(付記13)
前記1次ストレージ装置と前記2次ストレージ装置とは、通信回線網を介して接続可能であり、
さらに、通信方式切替工程を含み、
前記通信方式切替工程は、前記選択データのデータ量から、前記自律型飛行装置を用いた通信方式により前記1次ストレージ装置から前記2次ストレージ装置まで転送するのに必要な時間と、前記通信回線網を用いた通信方式により前記1次ストレージ装置から前記2次ストレージ装置まで転送するのに必要な時間とを算出して、転送時間が短い通信方式を選択し、選択した通信方式によるデータの転送を、前記1次ストレージ装置に指示する、付記11または12記載のバックアップ方法。
(付記14)
前記1次ストレージ装置と前記2次ストレージ装置とは、通信回線網を介して接続可能であり、
さらに、通信方式切替工程を含み、
前記通信方式切替工程は、前記選択データが、前記2次ストレージ装置を初期構築または初期同期するデータである場合、前記自律型飛行装置を用いた通信方式を選択し、選択した通信方式によるデータの転送を、前記1次ストレージ装置に指示する、付記11または12記載のバックアップ方法。
(付記15)
前記通信回線網が、公衆回線である、付記13または14記載のバックアップ方法。
(付記16)
付記11から15のいずれかに記載のバックアップ方法をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
(付記17)
付記16記載のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【産業上の利用可能性】
【0074】
本発明によれば、例えば、大量のデータであっても、短時間で簡便且つ安価に、1次データセンタから2次データセンタへ転送し、バックアップを行うことができる。
【符号の説明】
【0075】
1 1次データセンタ
10 1次ストレージ装置
11、21 ホスト装置
101、201、301 記憶部
102 選択部
104 通信方式切替部
103、203、303 無線通信部
2 2次データセンタ
20 2次ストレージ装置
3 自律型飛行装置
302 操縦制御部
4 通信回線網
300、400、500 CPU
310、410、510 メモリ
320、520 記憶装置
330、530 通信デバイス