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特開2022-137257フィルム、及び二軸延伸ポリプロピレンフィルムを製造する方法
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  • 特開-フィルム、及び二軸延伸ポリプロピレンフィルムを製造する方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022137257
(43)【公開日】2022-09-21
(54)【発明の名称】フィルム、及び二軸延伸ポリプロピレンフィルムを製造する方法
(51)【国際特許分類】
   B32B 27/32 20060101AFI20220913BHJP
   B32B 27/34 20060101ALI20220913BHJP
   B29C 48/21 20190101ALI20220913BHJP
   B29C 48/08 20190101ALI20220913BHJP
   B29C 48/305 20190101ALI20220913BHJP
   B29C 55/14 20060101ALI20220913BHJP
【FI】
B32B27/32 C
B32B27/34
B29C48/21
B29C48/08
B29C48/305
B29C55/14
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022114341
(22)【出願日】2022-07-15
(62)【分割の表示】P 2019514853の分割
【原出願日】2017-05-23
(31)【優先権主張番号】102016000052545
(32)【優先日】2016-05-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(71)【出願人】
【識別番号】518416573
【氏名又は名称】タグリフ インダストリーズ エス.ピー.アー. コン ソシオ ウニコ
【氏名又は名称原語表記】TAGHLEEF INDUSTRIES S.P.A. CON SOCIO UNICO
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】弁理士法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】ガルジット,ヴァレリオ
(72)【発明者】
【氏名】ピアセンテ,フランチェスカ
(57)【要約】      (修正有)
【課題】優れた美的品質と耐性、そして時間が経過しても低いレベルの収縮率を有するフィルム、ならびに該フィルムを製造する方法を提供する。
【解決手段】二軸延伸ポリプロピレン(BOPP)フィルムは、10μm~120μmの厚さを有しており、包装材、フレキシブルパッケージ、ラミネート製品、及びラベルを製造するのに適している。フィルムは、フラットダイ共押出し、およびそれぞれ縦方向(MD)および縦方向を横切る方向(TD)に、逐次延伸することによって得られる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
10μm~120μmの厚さを有し、フラットヘッドダイ共押出及び縦方向(MD)及び縦方向を横切る方向(TD)へのそれぞれの逐次延伸によって得られ、包装、フレキシブルパッケージ、ラミネート製品、及びラベルを製造するのに適している二軸配向ポリプロピレン(BOPP)フィルムであって、
前記フィルムは、
外側面および内側面を有するポリプロピレンをベースとするベース層(12)、
前記ベース層(12)の外側面に隣接し、酢酸ビニル、アクリル酸アルキル、メタクリル酸アルキル、アクリル酸又は無水マレイン酸などの極性コモノマーを含むオレフィンコポリマーをベースとする外側結合層(14)、及び
前記外側結合層(14)の外側面に隣接し、ポリアミドをベースとする外側スキン層(16)を少なくとも含み、
前記外側スキン層(16)は、非晶質ポリアミドと半結晶質ポリアミドとの混合物を含み、前記混合物は、25%~75%(重量)の非晶質ポリアミドと75%~25%(重量)の半結晶質ポリアミドとを含む、フィルム。
【請求項2】
前記外側スキン層(16)と反対側の内側スキン層(20)をさらに含み、
前記内側スキン層(20)は、
プロピレンホモポリマー、コポリマー、またはターポリマー、エチレンまたはプロピレンコモノマー、プロピレンまたはエチレンエラストマー、ポリエチレン、またはそれらの混合物を含むアルファオレフィンコポリマー、請求項1に記載のフィルム。
【請求項3】
前記ベース層(12)と前記内側スキン層(20)との間に配置された内側結合層(18)をさらに含み、
前記内側スキン層は、プロピレンホモポリマーまたはコポリマーを含む、請求項2に記載のフィルム。
【請求項4】
前記ベース層(12)の内側面に隣接し、酢酸ビニル、アクリル酸アルキル、メタクリル酸アルキル、アクリル酸又は無水マレイン酸などの極性コモノマーを含むオレフィンのコポリマーをベースとする内側結合層(114)と、
前記内側結合層(114)の内側面に隣接し、ポリアミドをベースとする内側スキン層(116)と、をさらに含み、
前記内側スキン層(116)は、25重量%~75重量%の非晶質ポリアミド及び75重量%~25重量%の半結晶質ポリアミドの混合物を含むポリアミドをベースとする、請求項1に記載のフィルム。
【請求項5】
前記ベース層(12)の前記内側面に隣接し、プロピレンコポリマー、ターポリマー、C2 C3プラストマー、又はこれらの混合物を含む内側結合層(219)と、
前記内側結合層(219)の前記内側面に隣接し、プロピレンホモポリマー、コポリマー、もしくはターポリマー、エチレンもしくはプロピレンコモノマーを含むアルファ-オレフィンコポリマー、プロピレンもしくはエチレンエラストマー、ポリエチレン、またはこれらの混合物を含む、内側スキン層(220)と、を含む、請求項1に記載のフィルム。
【請求項6】
前記内側スキン層(220)の内側面に隣接し、脂肪族ポリウレタンもしくはポリアジリジン、またはEVA樹脂をベースとする内側コーティング層(322)を含む、請求項5に記載のフィルム。
【請求項7】
前記ベース層(12)の内側面に隣接し、プロピレンホモポリマーを含む内側結合層(
312)と、
前記内側結合層の内側面に隣接し、 無水マレイン酸変性ポリプロピレンコポリマーの
混合物をベースとする内側スキン層(321)と、を含む、請求項1に記載のフィルム。
【請求項8】
前記内側スキン層(321)の内側面に隣接し、脂肪族ポリウレタンを含む内側コーティング層(322)を含む、請求項7に記載のフィルム。
【請求項9】
前記外側結合層(14)は、エチレンと酢酸ビニルのような極性コモノマー、メチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレートまたはアクリル酸または無水マレイン酸、またはこれらのコモノマーのいずれかとポリオレフィンとのグラフトコポリマーをベースとする、請求項1~8のいずれかに記載のフィルム。
【請求項10】
前記外側スキン層(16)は、火炎、コロナ、プラズマ、または他の技術で処理される、上記請求項いずれかに記載のフィルム。
【請求項11】
前記外側スキン層(16)は、金属、金属酸化物、有機もしくは無機ラッカー、またはそれらの組み合わせによってコーティングされる、上記請求項いずれかに記載のフィルム。
【請求項12】
前記ベース層(12)は、充填剤、ボイド形成剤、および/または硬質樹脂、および/または添加剤を含む、上記請求項いずれかに記載のフィルム。
【請求項13】
前記外側スキン層(16)は、約0.3μm~10μmの厚さを有する、上記請求項いずれかに記載のフィルム。
【請求項14】
前記外側スキン層(16)は、約0.3μm~1μmの間に含まれる厚さを有する、請求項1~12のいずれか一項に記載のフィルム。
【請求項15】
前記フィルムは、縦方向(MD)および横方向(TD)の両方において、130℃で7%未満、より好ましくは5%未満の収縮率を有する、上記請求項いずれかに記載のフィルム。
【請求項16】
10μm~120μmの厚さを有し、包装、フレキシブルパッケージ、ラミネート製品およびラベルを製造するのに適した二軸延伸ポリプロピレン(BOPP)フィルムを製造する方法であって、
フラットダイ押出しユニットによる、フィルムの形態の共押出し中間製品を製造するための第1共押出工程、
縦方向(MD)に延伸する第2延伸工程、
所望の二軸配向構造(BOPP)を決定し、各層の最終的な厚さを規定するように前記中間生成物の縦方向を横切る方向(TD)に延伸する第3延伸工程、
前記第1共押出工程は、ポリプロピレンをベースとし、外側面および内側面を有するベース層、酢酸ビニル、アクリル酸アルキル、メタクリル酸アルキル、アクリル酸又は無水マレイン酸などの極性コモノマーを含むオレフィンコポリマーをベースとする外側結合層、及び前記外側結合層の外側面に隣接し、ポリアミドをベースとする外側スキン層で形成された中間生成物を押し出すことを提供し、
前記外側スキン層を押し出すために、25%~75%(重量)の非晶質ポリアミドおよび75重量%~25重量%の非晶質ポリアミドを含む、非晶質ポリアミド及び半結晶質ポリアミドの混合物を使用し、
前記第2延伸工程および前記第3延伸工程は、中間製品を縦方向に3~6倍、続いて縦方向を横切る方向に7~12倍に延伸することを含む、二軸延伸ポリプロピレンフィルム
を製造する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フラットヘッド押出しダイを通して共押出しすることによって得られる、包装および食品分野用の包装、またはラベルを製造するのに使用できる二軸配向ポリプロピレン(BOPP)多層フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、食品包装として使用されるフィルムは、例えば、プロピレンホモポリマー、コポリマーまたはターポリマーをベースとする少なくとも1つのベース層又はコア層、及び一般にプロピレンホモポリマー、コポリマー、および/またはターポリマーをベースとする2つ以上のスキン層または外側層によって形成されることが知られている。必要に応じて、コア層をそれぞれのスキン層に結合する1つ以上の中間層、または結合層をベース層の各面に設けることができる。
【0003】
そのようなフィルムを実現するために、当分野で好ましい標準的でより安価な技術は、順次延伸によるフラットヘッド共押出である。
【0004】
この技術は、フィルムを冷却ローラー上で共押出しおよびキャスティングした後、フィルムを機械の長手方向に延伸し(MD延伸)、続いてフィルムを、縦方向を横切る方向に延伸する(TD延伸)。
【0005】
そのような延伸操作の順序は、既知の二軸配向ポリプロピレン(BOPP)構造を決定し、そしてこれ以降BOPPプロセスという。
【0006】
上述のフィルムの種類の問題は、一般にそのようなフィルムが湿気に対して良好な遮断特性を示すが、酸素遮断は重要な用途には十分ではない可能性である。
【0007】
酸素遮断は、包装された食品のより長い保存期間を可能にし、同時に官能特性を適切に保存するので、包装および食品包装に使用されるフィルムにとって重要な特性である。
【0008】
さらに、このタイプのフィルムのもう1つの重要な要素は、鉱物油に対するバリア効果が低いことである。鉱物油は、包装に使用されるカートンおよび厚紙に通常存在する汚染物質であり、それらがそれらに対して十分かつ特定のバリアを持たないフィルムに包装されている場合、特に脂肪性食品によって吸収され得る。
【0009】
さらに、ポリプロピレンは一般に濡れ性が低く、表面張力が低いため印刷にはあまり適していない。そのため、表面エネルギーの高いラッカーまたはプライマーを使用する必要がある。
【0010】
酸素および鉱物油バリア効果を達成するために、フィルム上に金属の薄層またはシートを堆積させることによって金属フィルムを製造すること(金属化)が知られている。しかしながら、この手段は、コストと製造時間の増加につながる。
【0011】
金属化を回避しながら高い酸素バリアを達成するために、ポリエチレンビニルアルコール(EVOH)を用いることも知られている。しかしながら、EVOHは通常ポリプロピレンとは相溶性がない。さらに、その結晶化温度は従来使用されている延伸温度よりも高いため、結晶の破壊およびその結果としての酸素バリア効果の劇的な減少を引き起こし得る。
【0012】
それ故、ポリプロピレンおよびEVOHをベースとするフィルムの製造は高価で特殊な技術を必要とする。
【0013】
コーティングによって適用することができる金属化層及びEVOH層の両方を含むフィルムも知られているが、そのようなフィルムは、高い製造コストを必要とするだけでなく、前述の短所を示す。
【0014】
酸素遮断性を与えるために、二軸延伸ポリアミドまたはナイロンのフィルムが、ポリオレフィンフィルム、例えば、ポリプロピレンキャストフィルムを有する多層構造の構成要素として広く使用されている。典型的には、12μmまたは15μmの厚さのポリアミド層を使用するこのような構造において、ポリアミド層は酸素遮断性および/または収縮性を提供する。そのようなフィルムは、典型的には熱成形および/または収縮性のチーズおよび肉の包装に使用される。
【0015】
ポリアミド(PA)は、ポリプロピレン(PP)よりも良好な酸素遮断性を有するため、ポリアミドをポリプロピレンと組み合わせて使用することも知られている。
【0016】
ポリアミドはまた高い表面張力を示し、例えば18ヶ月の長期間経過した後でさえもラッカーまたはプライマーを使用することなく、印刷に非常に適したポリマーにする。
【0017】
US2011/300363A1には、少なくとも3層を有し、ポリプロピレン(PP)キャリア層、PPキャリア層上に配置された接着層、および非晶質または部分結晶質ポリアミド(PA)からなる外部機能層を含む多層バリアフィルムが記載されている。多層バリアフィルムは、チルロール上でフラットヘッド押出ダイを通して多層フィルムを共押出し、固化した一次多層フィルムを非接触同時延伸にかけることによって製造される。特に、US2011/300363は、逐次延伸法でフィルムを製造するときに生じるポリアミド層の表面欠陥の問題を解決するために、フィルムを製造するために同時延伸を使用することを教示している。そのような欠陥は、その後の金属化の適用において、欠陥のない緻密な金属層を形成することができないことを意味し、これは、高いバリア特性、特に酸素に対する高いバリア作用にとって不可欠である。この解決法は特別に製造された機械を必要とし、それ故に高いスタートアップおよびランニングコストを必要とする。
【0018】
EP2030784には、深絞り用途に使用するための高レベルの収縮を提供する二軸延伸熱収縮性多層フィルムが記載されている。多層フィルムは、少なくとも一つの第1外側ヒートシール可能なポリオレフィン層、塩化ビニリデンコポリマー(PVDC)またはエチレン-ビニル-アルコールコポリマー(EVOH)のような内側ガスバリア層、および主要割合の1種以上の非晶質ポリアミドを含むポリアミド層を含む。ポリアミド層は、バリア層とポリオレフィン層との間の結合層として、またはこの場合には厚い厚さを必要とする外側の乱用防止層として使用することができる。このようなフィルムは、いわゆる捕捉バブル法を用いた同時延伸法で二軸延伸された管状フィルムとして製造されているため、生産性が低いという欠点がある。
【0019】
EP0546709B1には、プロピレンホモポリマーまたはコポリマーのベース層、その少なくとも一方の表面がマレイン酸変性プロピレンを含み、および非晶質ポリアミドまたは非晶質および半結晶質ポリアミドの混合物を含む金属化外側層(スキン層)を有する多層フィルムが記載されている。
【0020】
EP1554113B1は、ポリプロピレンホモポリマーを含む中心層を有する第1成分と、ポリエチレン、エチレンビニルアルコールポリマー、ポリプロピレンおよび非晶質
ポリアミドから選択される熱可塑性材料を含む中心層に隣接する第1スキン層と、無水マレイン酸変性ポリプロピレンを含む第1スキン層に隣接する中間層と、第1スキン層に隣接するアルミニウム金属層と、ポリオレフィンまたは低密度ポリエチレンの中から選択されるポリマーを含む第2押出成分またはスキン層と、を含む多層フィルムが記載されている。
【0021】
それ故、ポリアミドはポリオレフィンよりも良好な特性を有し、エチレンビニルアルコールよりも安価であるので、高いバリア性を必要とするフィルムを製造するためにポリアミドを含むフィルムを製造することは当業界で知られている。
【0022】
特に、十分に厚いポリアミド層を提供するか、または同時延伸によって得られる無欠陥ポリアミドスキン層にバリア金属層を適用することによって、またはポリエチレンビニルアルコール、またはEVOHのような酸素遮断材料の追加の層と、ポリアミドを併用することによって、高いバリア特性を提供するポリアミドおよびポリプロピレンを有するフィルムを製造することが知られている。典型的な用途は高レベルの収縮を必要とする。
【0023】
広く利用可能である費用効果が高いプロセスにおいて魅力的なバリア効果ならびに機械的特性を達成するために、さらに、このような共押出フィルムを二軸延伸することが望ましい。しかしながら、一般に、ポリプロピレンおよびポリアミドは、BOPPフィルムまたは延伸ポリアミドフィルムのいずれかを製造するために通常使用されるプロセスパラメータでは互いに相溶性がない。実際、ポリアミドは、BOPPフィルムに一般的に使用されている延伸パラメータでは、延伸するのが非常に困難で破裂する傾向があり、一方で、求められているバリア特性およびより一般的には有用性を損ない、審美的および構造的欠陥を生じる。
【0024】
そのような二軸配向プロセスにおけるポリアミド層の破裂および分割の問題を克服することを試みるために、縦方向および縦方向に対して横方向にフィルムを同時にフィルム化することが試みられてきた。しかしながら、同時延伸は、生産性が低いという欠点を有するか、または特別に製造された機械を必要とし、それ故に高い立上げおよびランニングコストを必要とする。二軸延伸フィルムを製造するための最も一般的な機械は、実際、逐次延伸機である。なぜなら、それらは高い生産性を可能にし、そしてより費用効果が高いからである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0025】
【特許文献1】米国特許第2011/300363号明細書
【特許文献2】欧州特許第2030784号明細書
【特許文献3】欧州特許第0546709号明細書
【特許文献4】欧州特許第1554113号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0026】
本発明の1つの目的は、改良された酸素遮断性、高い湿潤性および表面張力を有する、少なくとも1層の二軸延伸ポリプロピレン(BOPP)層および少なくとも1層のポリアミド(PA)を含む外層によって形成され、同時に、優れた美的品質と耐性、そして時間が経過しても、低レベルの収縮率を有するフィルムを提供することである。
【0027】
本発明の他の目的は、上記の低コストタイプの多層フィルムを製造し、そして上記の標準的で経済的な共押出し法を利用する方法を提供することである。
【0028】
本出願人は、最先端技術の欠点を克服し、そしてこれらおよび他の目的および利点を得るために本発明を考案し、試験しそして具体化した。
【課題を解決するための手段】
【0029】
本発明は、独立請求項に記載され、特徴づけられている。従属請求項は、本発明の他の特徴または本発明の主な概念の変形例を記載する。
【0030】
前述の目的に従って、本発明は、包装、フレキシブルパッケージ、ラミネート製品およびラベルを製造するのに適し、そして高い表面張力を有する二軸配向ポリプロピレン(BOPP)多層フィルムに関する。
【0031】
本発明に係るフィルムは、10μm~120μmの厚さを有し、フラットヘッド押出ダイとの共押出および縦方向(MD)および機械を横切る方向(TD)へのそれぞれの逐次延伸によって得られる。
【0032】
本発明の一態様によれば、
外側面および内側面を有するポリプロピレンをベースとするベース層、
ベース層の外側面に隣接し、酢酸ビニル、アクリル酸アルキル、メタクリル酸アルキル、アクリル酸または無水マレイン酸などの極性コモノマーを含むオレフィンコポリマーをベースとする外側中間層、または外側結合層、及び
外側結合層の外側面に隣接し、ポリアミドをベースとする外側スキン層を少なくとも含むフィルムである。
【0033】
本発明の特徴によれば、外側スキン層は、非晶質ポリアミドと半結晶質ポリアミドとの混合物を含み、混合物は、25重量%~75重量%の非晶質ポリアミドおよび75重量%~25重量%の半結晶質ポリアミドを含む。
【0034】
本発明の一実施形態によれば、フィルムは、外側スキン層と反対側の内側スキン層をさらに含み、プロピレンホモポリマー、コポリマーまたはターポリマー、エチレンまたはプロピレンコモノマー、プロピレンまたはエチレンエラストマー、ポリエチレン、またはそれらの混合物を含むアルファオレフィンコポリマーを含む。
【0035】
さらなる実施形態によれば、フィルムは、ベース層と内側スキン層との間に配置された内側結合層をさらに含み、内側スキン層は、プロピレンホモポリマーまたはコポリマーを含む。
【0036】
他の実施形態によれば、フィルムは、ベース層の内側面に隣接し、酢酸ビニル、アクリル酸アルキル、メタクリル酸アルキル、アクリル酸又は無水マレイン酸などの極性コモノマーを含むオレフィンのコポリマーをベースとする内側結合層と、内側結合層の内側面に隣接し、ポリアミドをベースとする内側スキン層と、をさらに含み、内側結合層は、25重量%~75重量%の非晶質ポリアミド及び75重量%~25重量%半結晶質ポリアミドの混合物を含むポリアミドをベースとする。
【0037】
このようにして、内側から外側へ、すなわち使用時に包装される製品に面する側から、そして使用時には外部環境に対して面する対称的な層を有するフィルムを得ることが可能である。
【0038】
さらなる実施形態によれば、フィルムは、プロピレンコポリマーもしくはターポリマー、またはC2~C3プラストマー、またはそれらの混合物を含む、ベース層の内側面に隣接する内側結合層と、プロピレンホモポリマー、コポリマーまたはターポリマー、エチレ
ンまたはプロピレンコモノマー、エチレンまたはプロピレンエラストマー、ポリエチレン、またはそれらの混合物を含むアルファオレフィンコポリマーを含む、その内側面に隣接する内側スキン層とを含む。
【0039】
さらなる実施形態によれば、フィルムは、ホモポリマープロピレンを含む、ベース層の内側面に隣接する内側結合層と、無水マレイン酸変性ポリプロピレンコポリマーの混合物をベースとする内側結合層の内側面に隣接する内側スキン層とを含む。
【0040】
この実施形態によれば、フィルムは、非限定的な例として、脂肪族ポリウレタンを含み、内側スキン層の内側面に隣接した内側コーティング層も含んでいてもよい。
【0041】
さらなる実施形態によれば、外側スキン層および/または内側スキン層、後者は任意選択で内側コーティング層の塗布前に、例えばコロナ処理、火炎処理、プラズマ処理、または他の技術を含む群から選択される表面処理を施してもよい。
【0042】
さらなる実施形態では、金属コーティング層を外側スキン層の外側に設けてもよい。
【0043】
本発明に係るフィルムは、そのような外側スキン層の組成によって、ラッカー、接着剤、インクに対して高い接着性を示し、耐擦傷性、及び様々な種類の基材に対して高い接着性を示す。
【0044】
外側スキン層に適用される金属コーティングの場合、金属層は擦傷性に対する感度が低い。
【0045】
本発明に係る外側スキン層の存在はまた、エンボス加工、芳香バリア、特定の化学物質に対するバリアなど、これらに限定されない、有益で望ましい効果を得ることを可能にする。
【0046】
外側スキン層の特性は、フィルムの使用を多くの異なる用途に特に適したものにする。可能な用途の非限定的な例には、インモールドラベル(IML)、自己接着性、ラップアラウンド、およびパッチラベル、重ね合わせ用フィルム、垂直および水平包装用途、粘着テープ、タバコフィルム、包装用フィルムなどの技術用途、家具用装飾表面フィルム、自動車 、家電製品などが含まれる。
【0047】
本発明に係るフィルムはまた、セルロースをベースとする支持体(紙および厚紙)用の積層フィルムとして、グラフィック分野での用途に有利に使用することができる。
【0048】
本発明はまた、10μm~120μmの厚さを有し、包装、フレキシブルパッケージ、ラミネート製品およびラベルの製造に適した二軸配向ポリプロピレン(BOPP)フィルムを製造する方法に関する。
プロセスは以下のステップを含み、
-フラットダイ押出機によって、フィルム形態の共押出中間製品を製造する第1共押出工程、
-縦方向(MD)に延伸する第2延伸工程、及び
-所望の二軸配向構造を決定し、各層の最終厚さを規定するように、中間製品の縦方向を横切る方向(TD)に延伸する第3延伸工程。
【0049】
第1共押出工程は、ポリプロピレンをベースとし、外側面および内側面を有するベース層と、ベース層の外側に隣接し、極性コモノマー、例えば酢酸ビニル、アルキルアクリレート、アルキルメタクリレート、アクリル酸または無水マレイン酸を含むオレフィンのコ
ポリマーをベースとする外側結合層と、外側結合層の外側面に隣接し、ポリアミドをベースとする外側スキン層とで形成された中間生成物を押し出すことを提供する。
【0050】
本発明のさらなる態様によれば、外側スキン層を押し出すために、25%~75%(重量)の非晶質ポリアミドおよび75重量%~25重量%の非晶質ポリアミドを含む、非晶質ポリアミド及び半結晶質ポリアミドの混合物を使用する方法を提供する。
【0051】
さらなる態様によれば、第2延伸工程および第3延伸工程は、中間製品を縦方向に3~6倍、続いて縦方向を横切る方向に7~12倍に延伸することを含む。
【0052】
有利には、本発明に係る方法は、BOPPの製造のために使用される場合、バリア特性および美的外観を損なうことなく、フラットヘッド押出しダイを使用する標準的な二軸配向ラインを使用することによって実施できる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
本発明の特徴および他の特徴は、添付の図面を参照しながら、非限定的な例として提供されるいくつかの実施形態の以下の説明から明らかになるであろう。
【0054】
図1】本明細書に記載の実施形態に係るフィルムの概略断面図である。
図2】本明細書に記載のさらなる実施形態に係るフィルムの概略断面図である。
図3】本明細書に記載のさらなる実施形態に係るフィルムの概略断面図である。
図4】本明細書に記載のさらなる実施形態に係るフィルムの概略断面図である。
図5】本明細書に記載のさらなる実施形態に係るフィルムの概略断面図である。
図6】本明細書に記載のさらなる実施形態に係るフィルムの概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0055】
理解を容易にするために、可能な場合には、図中の同一の共通要素を識別するために同じ参照番号が使用されている。一実施形態の要素および特徴は、さらなる説明なしに他の実施形態に都合が良いように組み込むことができると理解される。
【0056】
本明細書において、図1図6を参照して説明する実施形態は、例えば、酸素、芳香、および湿度制御に対する高いバリア性を必要とする、例えば、チョコレート、スナック、ビスケットまたは他の菓子類または塩味製品などの食品用の包装および包装の製造などの非限定的に使用できる多層フィルム10についてである。
【0057】
図1を参照して記載された実施形態によれば、フィルム10は、
内側面および外側面を有する、ポリプロピレン(PP)をベースとするベース層12、
またはコア層、
ベース層12の外側面に隣接し、極性コモノマーを含むオレフィンのコポリマーベースとする外側結合層14、及び
外側結合層14の外側面に隣接し、ポリアミド(PA)をベースとする外側スキン層16を少なくとも含む。
【0058】
フィルム10は、ラベル、例えば自己接着ラベルを製造するためにも使用することができる。ポリアミドを含有する層の存在によって得られる高い表面張力は、これらのラベルが保護として作用するので、自動車の車輪のような汚染物質にさらされる場所でさえも貼り付けるのに適したものにする。これらのラベルは、独自の色を保持し、黄色に変色しない。
【0059】
本発明に係るフィルム10はまた、優れた加工および加工特性を有する。特に、外側ス
キン層16は、経時的に安定した高い表面張力を得ることを可能にする。さらに、外側スキン層16は、ポリオレフィン基材よりも広範囲のインクおよびラッカーと適合する。
【0060】
ベース層12は最終フィルム10のより厚い層であり、そしてこのようなフィルムの機械的特性および剛性特性を実質的に決定する。
【0061】
いくつかの実施形態によれば、ベース層12は、プロピレンホモポリマーから形成することができ、所望の特性および物理的特性に応じて、1つ以上の充填剤、ボイド形成剤、および/または硬質樹脂、または非晶質樹脂、および/または添加剤を含み得る。
【0062】
いくつかの実施形態によれば、ベース層12は、包装される製品の種類に応じて、約10μm~約100μm、好ましくは約15μm~約70μm、より好ましくは約17μm~約60μmの厚さを有してもよい。
【0063】
可能な実施形態によれば、ベース層12は、最終フィルム10において望まれる効果に関して様々な量で二酸化チタン(TiO2)を含まれてもよい。
【0064】
例えば、白色効果が特に求められていない場合、二酸化チタンは、存在する層に使用される量の1.5%~2.5%の割合で含まれていてもよいが、非常に白い外観が必要な場合は、20%~30%程度まで増加させてもよい。
【0065】
さらなる実施形態によれば、ベース層12は、フィルム10に不透明効果を与える炭酸カルシウム(CaCO3)を含有してもよい。炭酸カルシウムは、ベース層12中の材料
の総量の1.5%~23%、好ましくは3%~20%、より好ましくは5%~17%の割合で含まれていてもよい。
【0066】
さらなる変形実施形態によれば、不透明効果を達成するために、ベース層12は、例えば、限定するものではないが、ラベルを作るために使用されるフィルム10の場合、1%~15%の割合でポリブチレンテレフタレート(PBT)も含み得る。
【0067】
さらなる変形実施形態によれば、ベース層12は、エトキシル化アルキルアミン(EAA)、またはグリセロールモノステアレート(GMS)などの帯電防止剤、またはステアリン酸アミド、エルカミド、ベヘナミドなどの脂肪酸アミドなどのスリップ剤などの1つ以上の移動性添加剤を含み得る。
【0068】
ベース層12と外側スキン層16との間に配置された外側結合層14は、酢酸ビニル、アクリル酸アルキル、メタクリル酸アルキル、アクリル酸または無水マレイン酸などの極性コモノマーを含むオレフィンのコポリマーをベースとし、ベース層12のポリプロピレンを外側スキン層16のポリアミドに貼り合わせた状態に保つのに適している。
【0069】
好ましい実施形態によれば、外側結合層14は、酢酸ビニル、メチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、アクリル酸もしくは無水マレイン酸のような極性コモノマー、またはポリオレフィンでグラフトされたこれらのコモノマーのいずれかのコポリマー、またはこれらのコポリマーと、同じまたはプロピレンホモポリマー、コポリマー、またはターポリマーとの混合物を含むエチレンコポリマーを含んでいてもよい。
【0070】
他の好ましい実施形態によれば、外側結合層14は、プロピレンホモポリマーまたはプロピレンコポリマー、あるいはエチレンおよび/または1-ブテンとのターポリマー、酢酸ビニル、メチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、アクリル酸、無水マレイン酸などの極性コモノマーをグラフトしたもの、プロピレンのホモ-、コ-また
はターポリマーとエチレンと極性コモノマー、例えば酢酸ビニル、メチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、アクリル酸または無水マレイン酸とのコポリマーとの混合物を含む。
【0071】
さらにより好ましい実施形態によれば、外側結合層14は、プロピレンホモポリマー、またはエチレンおよび/または無水マレイン酸でグラフトされた1-ブテン、またはプロピレンホモポリマー、コポリマー、もしくはエチレンおよび/または1-ブテンのターポリマーでグラフトされたこれらのコポリマーの混合物を含む。グラフトコポリマーは、PolyBond 3150(Chemtura)、Admer QF500A、アドマーAT1179E(三井化学ヨーロッパ)、G-3003(イーストマン)、Fusabond MD511D(デュポン)、SCONA TPPP 9212 FA / GA(Byk Chemie)および類似の樹脂を含む群から選択することができる。
【0072】
可能な実施形態によれば、外側結合層14は、約1μm~約6μmの間に含まれる厚さを有していてもよい。
【0073】
本発明の好ましい実施形態によれば、外側スキン層16は、非晶質ポリアミドと結晶質または半結晶質の種類のポリアミドとの混合物で形成される。
【0074】
実際、本出願人は、ポリアミドの2つのタイプの混合物が、それらの限界を克服することによってそれらの固有の性質を利用することを可能にすることを見出した。
【0075】
一方では、非晶質ポリアミドはその固有の性質のためにポリプロピレンでも容易かつ効果的に延伸可能であり、一方、半結晶質ポリアミドは非晶質ポリアミドにより与えられるよりも高い酸素、ガスおよび芳香バリア性を有する。
【0076】
したがって、所望の最終フィルム特性および加工パラメータに関して、本発明に係る方法では、非晶質ポリアミドおよび半結晶質ポリアミドの割合は、最終組成物を得るために、25%および75%、好ましくは35%および65%、より好ましくは30%および60%、75%および25%、好ましくは65%および35%、より好ましくは60%および40%それぞれ(重量で、外側スキン層の総重量に対して)変動し得る。
【0077】
例えば、バリア効果が延伸特性よりも好ましい場合、外側スキン層16は、25%の非晶質ポリアミドおよび残りの75%の半結晶質ポリアミドから構成されてもよい。
【0078】
反対の例では、延伸効果が主にバリア効果よりも考慮される場合、外側スキン層16は、75%の非晶質ポリアミドおよび25%の半結晶質ポリアミドから構成されてもよい。
【0079】
上記の範囲内の任意の可能な組み合わせ、例えば、30%-70%、35%-65%、40%-60%、45%-65%、47%-53%、49%-51%、53%-47%、55%-45%、60%-40%、65%-35%、70%-30%、または間隔に含まれる他の中間値が考えられる。
【0080】
いくつかの実施形態によれば、外側スキン層16は、約0.3μm~約10μmの間に含まれる厚さを有していてもよい。
【0081】
他の実施形態によれば、外側スキン層16は、約0.3μm~2μmの間に含まれる厚さを有していてもよい。
【0082】
他の実施形態によれば、外側スキン層16は、約0.4μm~1.7μmの間に含まれ
る厚さを有していてもよい。
【0083】
さらなる実施形態によれば、外側スキン層16は、ブロッキング防止添加剤を含んでいてもよく、その平均サイズは、外側スキン層16の全厚の50%~500%の範囲内であり得る。
【0084】
さらなる実施形態によれば、外側スキン層16は、酢酸ビニル、アクリル酸アルキル、メタクリル酸アルキル、アクリル酸または無水マレイン酸などの極性コモノマーを含むオレフィンのコポリマーを少量の割合で含むことができる。
【0085】
いくつかの実施形態によれば、外側スキン層16は、使用時に外部環境と接触しているフィルム10の層、またはベース層12に対して外側に面する層に対応してもよい。
【0086】
ポリアミドをベースとするこのような外側スキン層16は、高い表面張力、またはダインレベル、長期間の印刷適性を有する表面を提供するのに、または特に真空金属化と組み合わせて、例えば200nmの透過に対する増強されたまたはさらに顕著な酸素、鉱物油、芳香バリアさえも提供する。
【0087】
いくつかの実施形態によれば、用途および使用に応じて、コロナ処理、火炎処理およびプラズマ処理、または他の処理技術を含む群から選択される表面処理を行ってもよい。
【0088】
さらに、いくつかの実施形態によれば、外側スキン層16を金属、金属酸化物、有機もしくは無機ラッカー、またはそれらの組み合わせによってコーティングして、フィルム10のさらなる外層を設けることで、より大きなバリア効果を得ることができる。
【0089】
例えば、図2を参照して記載された、いくつかの実施形態によれば、フィルム10はまた、外側スキン層16の反対側に内側スキン層20を含む。可能な実施形態によれば、内側スキン層20は、プロピレンホモポリマー、コポリマーもしくはターポリマー、エチレンもしくはプロピレンコモノマー、プロピレンもしくはエチレンエラストマー、またはそれらの混合物を含むアルファオレフィンコポリマーを含む。
【0090】
例えば、図3に示されるさらなる実施形態によれば、フィルム10はまた、ベース層12と内側スキン層20との間に配置された内側結合層18を含み得る。
【0091】
これらの実施形態によれば、内側結合層18はプロピレンホモポリマーまたはコポリマーを含み得る。
【0092】
例えば、図4を参照して説明する他の実施形態によれば、フィルム10は、ベース層12の内側面に隣接して、極性コモノマーを含むオレフィンのコポリマーをベースとする内側結合層114を含む。
【0093】
極性コモノマーの例は、酢酸ビニル、アクリル酸アルキル、メタクリル酸アルキル、アクリル酸または無水マレイン酸であり得る。
【0094】
いくつかの実施形態によれば、フィルム10は、ポリアミドをベースとする、内側結合層114の内側面に隣接する内側スキン層116をさらに含む。
【0095】
可能な実施形態によれば、ポリアミドをベースとする内側スキン層116は、25重量%~75重量%の非晶質ポリアミドと75重量%~25重量%の半結晶質ポリアミドとの混合物を含む。
【0096】
可能な実施形態によれば、フィルム10は対称的な構造を有することができ、内側スキン層116は外側スキン層16と実質的に同様の特性、厚さおよび組成を有し、内側結合層114は、外側結合層14と実質的に同様の特性、厚さおよび組成を有する。
【0097】
適切な非晶質ポリアミドは、非限定的な例として、ポリアミド4I(テトラメチレンジアミンおよびイソフタル酸から本質的になる)、ポリアミド4I/4T(イソフタル酸と酸性テレフタル酸の混合物を含むテトラメチレンジアミンコポリマー)、ポリアミド6I(本質的にヘキサメチレンジアミンとイソフタル酸からなる)、ポリアミド6I/6T(イソフタル酸とテレフタル酸の混合物を含むヘキサメチレンジアミンコポリマー)、ポリアミド6I/69/66(イソフタル酸、アゼライン酸およびアジピン酸の混合物を有するヘキサメチレンジアミンコポリマー)、ポリアミドDT/DI(2-メチルペンタメチレンジアミンとイソフタル酸およびテレフタル酸の混合物とのコポリマー)、またはポリアミド6/3-T(テレフタル酸および2,2,4-トリメチルヘキサエチレンジアミンをベースとする樹脂)から選択することができる。
【0098】
好適な半結晶質ポリアミドは、非限定的な例として、ポリアミド6、ポリアミド6/6T、ポリアミド6.6、ポリアミド6/6.6、ポリアミド4.6、ポリアミド4.10、ポリアミド4.12、ポリアミド6.10、ポリアミド6.12、ポリアミドMDX6、またはポリアミド6/3-Tを含むコポリマーの群から選択できる。
【0099】
これらの非晶質および半結晶質ポリアミドは、好ましくは100~3000cm3/g
、より好ましくは180~400cm3/g、さらに好ましくは200~260cm3/gの範囲の粘度を有する。
【0100】
可能な実施形態によれば、非晶質ポリアミドは、ポリアミド6/3-T、ポリアミド4I/4Tおよびポリアミド6I/6T、ポリアミド6I/69/66、ポリアミド6/6.6、ポリアミドDT/DIから選択され、半結晶質ポリアミドは、ポリアミド6、ポリアミド6-3T、ポリアミド6/6Tコポリマー、ポリアミド6/6.6、ポリアミド6.10、およびポリアミドMDX6から選択される。非晶質ポリアミドの市販の例は、Grilon FE4494、Grilon FE4495、Grivory G21(EMS)、Selar(登録商標)PA 3626(Du Pont)、Trogamid
T5000(Evonik)、Novadyn DT/DIであり、半結晶質ポリアミドの市販の例は、Ultramid C33L01(BASF)、K7007C(三菱ガス化学)、Grilon F34(EMS)、TrogamidMX97である。
【0101】
図5を参照して記載されたさらなる実施形態によれば、フィルム10は、プロピレンのコポリマーもしくはターポリマー、またはエチレンもしくはプロピレンプラストマー、またはそれらの混合物を含む、ベース層12の内側面に隣接する内側結合層219をさらに含む。
【0102】
さらなる実施形態によれば、内側結合層219は、顔料、帯電防止剤、および/または他の添加剤を任意に含み得る。
【0103】
さらなる実施形態によれば、内側スキン層219は、2μm~6μmの間、好ましくは2.5μm~5μmの間に含まれる厚さを有していてもよい。
【0104】
この変形実施形態によれば、フィルム10は、プロピレンホモポリマー、コポリマーもしくはターポリマー、エチレンもしくはポリプロピレンコモノマー、プロピレンもしくはエチレンエラストマー、ポリエチレン、またはそれらの混合物をベースとするアルファオ
レフィンコポリマー、内側結合層219の内側面に隣接する内側スキン層220をさらに含む。
【0105】
さらなる実施形態によれば、内側スキン層20、220は、例えば火炎、コロナまたは他の技術などの処理を任意に施されてもよい。
【0106】
さらなる実施形態によれば、内側スキン層20、220は、合成シリカ粒子、架橋シロキサン粒子、および/または架橋ポリメチルメタクリレート粒子(PMMA)などのブロッキング防止剤も含むことができ、それらはすべてほぼ球形である。好ましくは、これらのブロッキング防止粒子は、主成分中に組み込まれるか、または適切なポリオレフィン、好ましくはポリプロピレン樹脂中に分散して提供される。
【0107】
実施形態の変形によれば、内側スキン層20、220は、好ましくはポリメチルメタクリレート粒子(PMMA)を含む。
【0108】
いくつかの実施形態によれば、PMMA粒子は実質的に球形の形状を有し、狭い粒径分布を示すことができる。非限定的な例によれば、Schulmannの市販品ABVT22SC(PP系マスターバッチ)を使用することができる。
【0109】
さらなる実施形態によれば、内側スキン層20、220はシリカ粒子も含み得る。非限定的な例によれば、Schulmanの市販品ABPP05SC(PP系マスターバッチ)として、Sylobloc 44またはSylobloc 45を使用することができる。
【0110】
さらなる実施形態によれば、内側スキン層20、220はまた、架橋された実質的に球形のシロキサン粒子を含み得る。非限定的な例によれば、トスパールの商品名の商品を使用することができる。
【0111】
可能な例示的解決法によれば、内側スキン層20、220は、大部分のプロピレンコポリマーおよび/またはターポリマーおよび/またはポリブテン-1コポリマー、またはそれらの混合物で構成され、例えば95%~99.9%の間で構成され、そしてポリメチルメタクリレート粒子の残りの部分については、0.1%~5%で構成される。
【0112】
さらなる実施形態によれば、内側スキン層20、220は、0.7μm~3μmの間、好ましくは0.8μm~2μmの間、より好ましくは0.9μm~1.5μmの間に含まれる厚さを有することができる。
【0113】
図6を参照して説明するさらなる実施形態によれば、特にラベルの製造に適しており、フィルム10は、ベース層12の内側面に隣接し、プロピレンホモポリマーを含む内側結合層312を含む。
【0114】
この実施形態による内側結合層312は、ベース層12の組成と実質的に同様の組成を有することができる。このように、2層のプロピレンホモポリマーを有することで、フィルム10の剛性特性を改善することができる。
【0115】
いくつかの実施形態によれば、内側結合層312は、2μm~6μmの間、好ましくは2.5μm~5μmの間に含まれる厚さを有することができる。
【0116】
この実施形態によれば、フィルム10は、無水マレイン酸変性プロピレンホモポリマーまたはコポリマー、またはそれらと他の未変性プロピレンホモポリマーまたはコポリマー
との混合物からなる内側結合層312の内面に隣接する内側スキン層321をさらに含む。この実施形態による内側スキン層321は、画像、グラフィックおよび/またはサインを印刷するための層として有利に使用することができる。
【0117】
可能な変形実施形態によれば、内側スキン層321は、無機充填剤および/またはアンチブロッキング剤も含み得る。
【0118】
いくつかの実施形態によれば、内側スキン層321は、0.3μm~2μmの間に含まれる厚さを有することができる。
【0119】
図6を参照して例として記載された実施形態によれば、フィルム10は、これは、非限定的な例としては、脂肪族ポリウレタンまたはポリアジリジンをベースとする内側スキン層321に隣接する内側コーティング層322を含む。様々な供給業者から入手可能な、ポリアクリレートまたはポリスチレンアクリレートのような他の適切なコーティングは、例えば、BASFから、R600のような脂肪族PUまたはポリアジリジンのいずれかを含有するプライマーの事前適用を必要とし得る。
【0120】
例えば、脂肪族ポリウレタンコーティングの場合、内側コーティング層322は、約0.01g/m2~約1g/m2、好ましくは0.02g/m2~0.04g/m2の範囲の坪量または厚さで作製することができる。
【0121】
さらなる実施形態によれば、さらなる内側コーティング層322は、それぞれのスキン層20、116、220、321に隣接して設けてもよい。
【0122】
内側コーティング層322の他の非限定的な例は、アクリレート系ラッカー、防曇ラッカー、剥離ラッカー(シリコーン系)、PVDCラッカーであり得る。
【0123】
可能な変形実施形態によれば、内側コーティング層322は、それぞれのスキン層20、116、220、321に隣接して、押出コーティングによって塗布されたEVAコーティングであり得る。
【0124】
可能な変形実施形態によれば、フィルム10は、アクリレート系ラッカー、防曇ラッカー、剥離ラッカー(シリコーン系)をベースとする、内側コーティング層322の内側面に隣接する第2内側コーティング層(図示せず)を含んでいてもよい。
【0125】
いくつかの実施形態において、第2内側コーティング層は、0.8g/m2~3g/m2、好ましくは1.0g/m2~2.5g/m2の坪量を有することができる。
【0126】
好ましい実施形態によれば、本発明に係るフィルム10は、130℃で7%未満、より好ましくは5%未満のMD方向およびTD方向の収縮をもたらす。
【0127】
より好ましい実施形態によれば、本発明に係るフィルム10は以下を含んでいてもよい。
ポリプロピレン(PP)をベースとするベース層12、またはコア層は、内側面と外側面とを有し、約10μm~約100μm、好ましくは約15μm~約70μm、より好ましくは、約17μm~約60μmの厚さを有し、ポリプロピレンは、1.5~30の二酸化チタンを任意に含んでいてもよく、1.5~23%のCaCO3または1~15%のPBTを任意に含んでいてもよく、EAAおよび/またはGMSおよび/または脂肪酸アミノを任意に含んでいてもよい。
外側結合層14は、ベース層12の外側面に隣接し、約1μm~約6μmの厚さを有し
、極性コモノマーを含むオレフィンのコポリマー、無水マレイン酸でグラフトされたプロピレンホモポリマーまたはプロピレンコポリマーまたはターポリマー、または、プロピレンホモポリマー、コポリマー、またはターポリマーとグラフトしたこれらのコポリマーの混合物をベースとする。
外側スキン層16は、外側結合層14の外面に隣接し、約0.3μm~2μmの間、優先的には約0.4μm~1.7μmの間の厚さを有し、そして任意にコロナまたは火炎処理され、好ましくは65%と35%、より好ましくは60%と40%の割合の、少なくとも1つの非晶質および1つの半結晶質の混合物で、180~400cm3/g、より好ま
しくは200~260cm3/gの範囲の粘度のポリアミドをベースとする。
内側結合層219は、ベース層12の内面に隣接し、2μmと6μmの間、特に2.5μmと5μmの間の厚さを有し、プロピレンのコポリマーもしくはターポリマー、またはエチレンもしくはプロピレンのプラストマー、またはそれらの混合物を含み、顔料、帯電防止剤、および/または他の添加剤を任意に含み得る。
内側スキン層220は、内側結合層219の内側に隣接し、0.8μm~2μm、好ましくは0.9μm~1.5μmの厚さを有し、プロピレンホモポリマー、コポリマーまたはターポリマーに基づいて、エチレンコモノマー、プロピレンまたはエチレンエラストマーまたはそれらのブレンドを含むアルファオレフィンコポリマー、およびブロッキング防止剤も含んでもよく、内側スキン層の0.1~5%の部分において、合成シリカ粒子、架橋シロキサン粒子および/または架橋ポリメチルメタクリレート粒子(PMMA)など、これらはすべてほぼ球形であり、好ましくは実質的に球形で粒径分布が狭い架橋PMMA粒子を含む。
任意選択で、内側コーティング層322は、内側スキン層220の内面に隣接し、坪量約0.01g/m2~約1g/m2、好ましくは0.02g/m2~0.04g/m2の脂肪族ポリウレタンまたはポリアジリジン、あるいは押出しコーティングによって塗布されたEVA樹脂をベースにした内側コーティングを含んでいてもよい。
【0128】
特に好ましい他の実施形態によれば、本発明に係るフィルム10は以下を含むことができる。
ポリプロピレン(PP)をベースとするベース層12、またはコア層は、内側面および外側面を有し、約10μm~約100μmの間、好ましくは約15μm~約70μmの間、より好ましくは約17μm~約60μmの間の厚さを有し、ポリプロピレンをベースとしたものであり、任意に1.5~30%の二酸化チタン、さらに任意に1.5~23%のCaCO3または1~15%のPBT、および任意にEAAおよび/またはGMSおよび
/または脂肪酸のアミドを含有することができる。
外側結合層14は、ベース層12の外側面に隣接し、約1μm~約6μmの厚さを有し、極性コモノマーを含むオレフィンのコポリマー、または無水マレイン酸でグラフトされたプロピレンコポリマーもしくはターポリマーとグラフトしたこれらのコポリマーの混合物をベースとする。
外側スキン層16は、外側結合層14の外側面に隣接し、約0.3μm~2μmの間、優先的には約0.4μm~1.7μmの間の厚さを有し、任意にコロナまたは火炎処理され、好ましくは65%と35%、より好ましくは60%と40%の割合の、少なくとも1つの非晶質および1つの半結晶質の混合物で、180%~400cm3/g、より好まし
くは200~260cm3/gの範囲の粘度のポリアミドをベースとする。
内側結合層312は、ベース層12の内側に隣接し、2μm~6μmの間、特に2.5μm~5μmの間の厚さを有し、プロピレンホモポリマーを含み、場合によりベース層12の組成と実質的に同様の組成を有する。
内側スキン層321は、内側結合層312の内側面に隣接し、0.3μm~2μmの厚さを有し、無水マレイン酸変性プロピレンホモポリマーまたはコポリマー、あるいはそれらと他の未変性プロピレンホモポリマーまたはコポリマーとの混合物を含み、無機充填剤および/またはブロッキング防止剤も場合により含む。
任意選択で、内側コーティング層322は、内側スキン層321に隣接し、秤量約0.01g/m2~約1g/m2、好ましくは0.02g/m2~0.04g/m2の脂肪族ポリウレタンまたはポリアジリジンをベースとするものであってもよい。
さらなる選択肢として、二次内側コーティング層は、内側コーティング層322に隣接し、秤量0.8~3g/m2、好ましくは1.0g/m2~2.5g/m2のアクリレート系ラッカー、防曇ラッカー、剥離ラッカー(これもシリコーン系)、PVDCラッカーをベースとしてもよい。
チルロール上にキャストされる工程を本質的に含む工程において、典型的な連続BoPPライン上で製造されたフィルムを用いて、場合によっては一方または両方のフィルム面のその後の処理として、MD方向への再加熱および延伸、さらにTD方向への再加熱および延伸してもよい。
30℃で7%未満、より好ましくは5%未満のMD方向およびTD方向の収縮もたらし、真空メタライゼーション後の優れた酸素バリアおよび鉱油および芳香浸透に対する異常なバリア、ならびに優れた長期印刷適性を有する。
【0129】
酸素遮断効果を有し、互いに重ね合わされた複数の層によって形成された食品パッケージを製造するのに適した、ポリプロピレンおよびポリアミドをベースとする二軸配向フィルムを製造する方法は以下の工程を含み、
フラットヘッド押出しダイユニットを用いて、中間フィルムの形態の共押出し中間製品を製造する第1共押出工程、
縦方向(MD)に延伸する第2段階、
中間製品の縦方向を横切る方向(TD)に延伸して、所望の二軸配向構造およびフィルムの機械的特性を決定する第3工程。
【0130】
いくつかの実施形態によれば、共押出工程の下流で、冷却または溶融生成物の結晶化工程がチルロール上に提供される。
【0131】
本発明による方法は、ポリプロピレンをベースとするベース層12、酢酸ビニル、アクリル酸アルキル、メタクリル酸アルキル、アクリル酸または無水マレイン酸などの極性コモノマーを含むオレフィンコポリマーをベースとする外側結合層14、およびポリアミドをベースとする外側スキン層16を少なくとも含む中間フィルムを共押出することを提供する。
【0132】
外側スキン層16を実現するために、本方法は、特に、25重量%~75重量%の非晶質ポリアミドおよび75重量%~25重量%のポリアミドを含む、非晶質ポリアミドと半結晶質ポリアミドとの混合物を用いることを提供する。
【0133】
縦方向(MD)の第2延伸工程は、特に、中間製品の前進方向(縦方向またはMD)に3~6倍、好ましくは4.5~5.4倍に、中間製品を延伸することを提供する。
【0134】
最後に、縦方向(MD)に延伸した後、第3延伸工程は、中間製品を縦方向に対して横方向(TD)に7~12倍、好ましくは8~10倍延伸することを含む。
【0135】
縦方向(MD)および横方向(TD)の延伸係数は、中断せずに製造工程を確実にし、最終フィルム10の目標とする特性に一致するように、それぞれ、または一方に対して選択することができる。
【0136】
さらなる実施形態によれば、縦方向(MD)および縦方向を横切る方向(TD)への延伸工程の後に、または横方向(TD)への延伸工程の前に、本方法は、例えばコロナ、火炎、プラズマまたはプラズマを用いた外側スキン層16の処理工程を含むことができる。
【0137】
以下の材料を用いたいくつかの具体例を参照しながら、本発明を説明する。
【0138】
<材料>
EMS Grilon FE4495は、イソフタル酸、アゼライン酸、およびアジピン酸を含むヘキサメチレンジアミンから本質的になる、非晶質ナイロン6I/69/66コポリマーである。
BASF Ultramid C33L01は、半結晶質ナイロン 6/66である。
Mitsui QF500Aは、無水マレイン酸を結合したポリプロピレンホモポリマーである。
Total 3371は、ポリプロピレンホモポリマーである。
DuPont Selar PA2072は、イソフタル酸およびテレフタル酸を含むヘキサメチレンジアミンから本質的になる、非晶質ナイロン6I/6Tコポリマーである。
EMS Grilon F34は、ナイロン6である。
Novadyn DT/DIは、テレフタル酸およびイソフタル酸を含む2-メチルペンタメチレンジアミンから本質的になる、非晶質ナイロンコポリマーである。
三菱 K7007Cは、半結晶質ナイロンMDX6であり、本質的にはMDXAとアジピン酸との重縮合物である。
Mitsui AT1179Eは、無水マレイン酸を含むポリプロピレンホモポリマーである。
Sabic PP 524 Pは、ポリプロピレンホモポリマーである。
Schulman P80560は、プロピレンホモポリマー担体中に60%の二酸化チタン(TiO2)を含む。
Schulman PF97NTSは、プロピレンホモポリマー担体中に70%の炭酸カルシウム(CaCO3)を含む。
EVONIK Trogamid MX97は、2,2,4-および2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジアミンとテレフタル酸重縮合物から本質的になる半結晶質ナイロンである。
Braskem DS6D82は、融点134℃のプロピレン-エチレンコポリマーである。
Schulman ABPP05SCは、プロピレンエチレンコポリマー中に分散された5%の3.4ミクロンシリカブロッキング防止剤を含む。
Schulman P8266は、プロピレンホモポリマー担体中に60%の二酸化チタン(TiO2)を含む。
Schulman PF97はプロピレンホモポリマー担体中に70%の炭酸カルシウム(CaCO3)を含む。
LyondelBasell Adsyl 5C39F:C2C3C4ポリプロピレンのターポリマーである。
【0139】
<テスト方法>
実施例1~9に従って製造されたフィルムサンプルを評価するために使用される試験方法は、以下の例外を除いて表1の項目に示される標準化された方法である。
【0140】
強度試験用のシールは、Bruggerラボシーラーを使用して作製した。使用した条件は、ジョー温度130℃、シール圧力0.27N/mm2、滞留時間0.5秒であった
。シール強度は、500gロードセルを備えた引張試験機を使用して決定された。試験速度は50mm/分であった。
【0141】
平均厚さは、密度に対する単位重量の比として計算した。
【0142】
ある種の食品の芳香中の代表的な成分としてのオクタナールおよび鉱物油中の代表的な成分としてのドデカン(C1226パラフィン)の移動速度は次のようにして測定された。
【0143】
フィルム試験片によって分離された試験セルの2つの同一の室の下側に試験物質(移動剤)を装填し、他方を空のままにした。オクタノールの場合、下部チャンバー内のレベルは約2300μg/Lに保たれた。ドデカンの場合、750μg/gの試験物質を約6gのきれいな厚紙片に浸し、試験片と完全に接触するように取り付けた。密閉試験セルを全試験期間にわたって30℃、40℃で貯蔵した。窒素を空の上部チャンバーを通過させ、Supelcoport吸着剤を装着した-45℃のコールドトラップに340℃で脱着した適切な間隔で透過物を収集し、移動剤を定量するために較正してから窒素でフラッシュした。濃度を少なくとも40日間または読み取り値が一定になるまで40日間モニターした。最終的な値が報告された。
【0144】
実施例:製造方法
以下の実施例に記載するように、適切なサイズおよびデザインの5つの押出機および5チャンネルフラットヘッド押出ダイを備えた逐次延伸BoPPラインを使用して、材料ブレンドの同時押出によって5層シートを製造した。
【0145】
BoPPフィルムの製造に典型的な条件下で、押出機の温度は、ポリプロピレンについては245~255℃、ポリアミドについては245~260℃に設定され、そして必要に応じてそして当技術分野で知られているように均一な溶融を達成するように調節された。
【0146】
ダイ温度は、約255℃とした。
【0147】
共押出物をキャストロール上で、30℃で急冷し、ロール上で128℃に再加熱しそして縦方向にその元の長さの4.8倍延伸した。続いてシートを170℃で再加熱し、160℃のテンター装置内でその元の幅の9倍に延伸し、165℃で焼鈍し、そしてロールに巻き取られる前に内側表面をコロナ処理した。回線速度は20mpmであった。総フィルム厚は30μmであった。
【0148】
必要に応じて、上記のように製造したフィルムを、その後、ポリアミド外側スキン層上のアルミニウムで、従来の真空金属化技術を用いて光学密度2.3に金属化した。フィルム特性を下記の表1に要約する。
【0149】
実施例1
組成:
外側スキン層:厚さ1.0μm;組成:EMS FE4495 40%+Ultramid C33L01 60%
外側結合層:厚さ2.0μm;組成:三井 QF500A 100%
ベース層:公称厚さ22μm;組成:Total 3371 100%
内側結合層:厚さ2.0μm;組成:Total 3371 100%
内側スキン層:厚さ1.0μm;組成:Adsyl 5C39F 100%
回線速度は、20mpmであった。総フィルム厚は、30μmであった。
【0150】
透明フィルムは、従来の真空金属化技術を使用して、ポリアミドスキン上のアルミニウムで光学密度が2.3になるまで真空蒸着した。
【0151】
実施例2~4および比較例1
実施例1について記載したのと本質的に同じ方法を使用して、外側スキン層と外側結合層の組成を変えて、以下のフィルムサンプルを製造した。コア層の押出機を適宜変更することによって、コアの厚さを必要なフィルム厚に合わせるようにした。
【0152】
実施例2:
外側スキン層:厚さ1.0μm;組成:Selar PA2072 40%+Grilon F34 60%
外側結合層:厚さ2.0μm;組成:三井 QF500A 100%
【0153】
実施例3:
外側スキン層:厚さ0.8μm;組成:Novadyn DT/DI 50%+三菱 K7007C 50%
外側結合層:厚さ3.0μm;組成:三井 QF500A 100%
【0154】
比較例CE-1:
外側スキン層:厚さ1.0μm;組成:Novadyn DT/DI 20%+三菱 K7007C 80%
外側結合層:厚さ4.0μm;組成:三井 QF500A 100%
所見:
【0155】
上記の非晶質ポリアミドおよび半結晶質ポリアミドのパーセンテージでは、チルロール上へのキャスティング中に、フラットヘッド押出ダイのリップ上に部分的に蓄積し、そして部分的にフィルムに通過する非溶融部分が存在する。横延伸(TD)工程中に、これらの非溶融部分はフィルムを破断させ、本発明に記載の特徴を有するフィルムを製造することを不可能にする。
【0156】
実施例4:
外側スキン層:厚さ1.0μm;組成:Novadyn DT/DI 25%+三菱 K7007C 75%
外側結合層:厚さ4.0μm;組成:三井 QF500A 100%
【0157】
実施例5:
実施例1に記載したのと本質的に同じ方法を使用して、金属化の前に真珠光沢のある白色の外観のフィルムを製造するために以下の材料を使用する。
外側スキン層:厚さ0.8μm;組成:Novadyn DT/DI 50%+Trogamid MX97 50%
外側結合層:厚さ2.0μm;組成:三井 AT1179E 100%
ベース層:公称厚さ49.2μm;組成:Sabic PP524P 89%+Schulman P80560 2%+Schulman PF97NTS 9%
内側結合層:厚さ3.5μm;組成:三井 AT1179E 100%
内側スキン層:厚さ1.5μm;Novadyn DT/DI 50%+Trogamid MX97 50%
ライン速度は180mpmであった。このフィルムは以下の性質を有していた。
総フィルム厚:57μm
単位重量:41.0g/m2
密度:0.72g/cm3
【0158】
実施例6
実施例5の真珠光沢のある白色フィルムを、従来の真空金属化技術を使用して、外側ポリアミドスキン上のアルミニウムで光学密度3.3になるまで真空金属化した。
【0159】
実施例7~8
実施例5について記載したのと本質的に同じ方法を使用して、外側スキン層と外側結合層の組成を変えて、以下のフィルムサンプルを製造した。ライン速度は180mpmであった。コア押出機の出力および延伸条件は、要求されるフィルム厚、密度および単位重量を満たすように適合された。
【0160】
実施例7
外側スキン層:厚さ0.8μm;組成:Grilon G21 60%+三菱 K7007C 40%
外側結合層:厚さ2.0μm;組成:三井 AT1179E 100%
【0161】
実施例8
外側スキン層:厚さ0.8μm;組成:Grilon G21 75%+三菱 K7007C 25%
外側結合層:厚さ2.0μm;組成:三井 AT1179E 100%
【0162】
実施例9
実施例5に記載したのと本質的に同じ方法を使用して、以下の材料を使用した。ライン速度は180mpmであった。コア層の押出機を適宜変更することによって、コアの厚さを必要なフィルム厚に合わせるようにした。
【0163】
組成
外側スキン層:厚さ1.3μm;組成:Novadyn DT/DI 50%+Trogamid MX97 50%
外側結合層:厚さ4.0μm;組成:三井 AT1179E 100%
ベース層:厚さ26.7μm;組成:Sabic PP524P 89%+Schulman P80560 2%+Schulman PF97NTS 9%
内側結合層:厚さ2.0μm;組成:Sabic PP524P 88%+Schulman P80560 12%
内側スキン層:厚さ1.0μm;Adsyl 5C39F 50%+Tafmer XM7070 48%+ABVT 22SC 3%
【0164】
ライン速度は180mpmであった。このフィルムは、以下の性質を有していた。
総フィルム厚:35μm
単位重量:25.2g/m2
密度:0.72g/cm3
下記の表1は、上記のフィルムの機械的および物理的性質を示す。
【0165】
【表1】
【0166】
本発明の分野および範囲から逸脱することなく、これまでに説明したようにフィルム10に部品の修正および/または追加を行うことができることは明らかである。
【0167】
本発明はいくつかの特定の実施例を参照して説明したが、当業者は他の多くの等価な形態のフィルムを確実に達成することができ、特許請求の範囲に記載された特徴を有し、それゆえに全てがそれによって定義された保護の分野内に入ることは明らかである。
【符号の説明】
【0168】
12:ベース層、14:外側結合層、16:外側スキン層、18:内側結合層、20:内側スキン層、114:内側結合層、116:内側スキン層、219:内側結合層、220:内側スキン層、312:内側結合層、321:内側スキン層、322:内側コーティング層
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2022-08-09
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
10μm~120μmの厚さを有し、フラットヘッドダイ共押出及び縦方向(MD)及び縦方向を横切る方向(TD)へのそれぞれの逐次延伸によって得られ、包装、フレキシブルパッケージ、ラミネート製品、及びラベルを製造するのに適している二軸配向ポリプロピレン(BOPP)フィルムであって、
前記フィルムは、
外側面および内側面を有するポリプロピレンをベースとするベース層、
前記ベース層の外側面に隣接し、酢酸ビニル、アクリル酸アルキル、メタクリル酸アルキル、アクリル酸又は無水マレイン酸などの極性コモノマーを含むオレフィンコポリマーをベースとする外側結合層、
前記外側結合層の外側面に隣接し、ポリアミドをベースとする外側スキン層
前記ベース層の前記内側面に隣接する内側結合層、及び
前記内側結合層の前記内側面に隣接する内側スキン層を含み、
前記外側スキン層は、非晶質ポリアミドと半結晶質ポリアミドとの混合物を含み、前記混合物は、25%~75%(重量)の非晶質ポリアミドと75%~25%(重量)の半結晶質ポリアミドとを含み
前記内側結合層は、プロピレンコポリマー、ターポリマー、C2 C3プラストマー、又はこれらの混合物を含み、前記内側スキン層は、プロピレンホモポリマー、コポリマー、もしくはターポリマー、エチレンもしくはプロピレンコモノマーを含むアルファ-オレフィンコポリマー、プロピレンもしくはエチレンエラストマー、ポリエチレン、またはこれらの混合物を含む、又は前記内側結合層は、プロピレンホモポリマーを含み、前記内側スキン層は、無水マレイン酸変性ポリプロピレンコポリマーの混合物をベースとすることを含む、フィルム。
【請求項2】
前記内側スキン層の内側面に隣接し、脂肪族ポリウレタンもしくはポリアジリジン、またはEVA樹脂をベースとする内側コーティング層を含む、請求項に記載のフィルム。
【請求項3】
前記内側スキン層の内側面に隣接し、脂肪族ポリウレタンを含む内側コーティング層を含む、請求項に記載のフィルム。
【請求項4】
前記外側結合層は、エチレンと酢酸ビニルのような極性コモノマー、メチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレートまたはアクリル酸または無水マレイン酸、またはこれらのコモノマーのいずれかとポリオレフィンとのグラフトコポリマーをベースとする、請求項1~のいずれか一項に記載のフィルム。
【請求項5】
前記外側スキン層は、金属、金属酸化物、有機もしくは無機ラッカー、またはそれらの組み合わせによってコーティングされる、請求項1~4のいずれか一項に記載のフィルム。
【請求項6】
前記ベース層は、充填剤、ボイド形成剤、および/または硬質樹脂、および/または添加剤を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載のフィルム。
【請求項7】
前記外側スキン層は、0.3μm~10μmの厚さを有する、請求項1~6のいずれか一項に記載のフィルム。
【請求項8】
前記外側スキン層は、0.3μm~1μmの間に含まれる厚さを有する、請求項1~のいずれか一項に記載のフィルム。
【請求項9】
前記フィルムは、縦方向(MD)および横方向(TD)の両方において、130℃で7%未満の収縮率を有する、請求項1~8いずれか一項に記載のフィルム。
【請求項10】
10μm~120μmの厚さを有し、包装、フレキシブルパッケージ、ラミネート製品およびラベルを製造するのに適した二軸延伸ポリプロピレン(BOPP)フィルムを製造する方法であって、
フラットダイ押出しユニットによる、フィルムの形態の共押出し中間製品を製造するための第1共押出工程、
縦方向(MD)に延伸する第2延伸工程、
所望の二軸配向構造(BOPP)を決定し、各層の最終的な厚さを規定するように前記中間製品の縦方向を横切る方向(TD)に延伸する第3延伸工程、
前記第1共押出工程は、ポリプロピレンをベースとし、外側面および内側面を有するベース層、酢酸ビニル、アクリル酸アルキル、メタクリル酸アルキル、アクリル酸又は無水マレイン酸などの極性コモノマーを含むオレフィンコポリマーをベースとする外側結合層、前記外側結合層の外側面に隣接し、ポリアミドをベースとする外側スキン層、前記ベース層の前記内側面に隣接する内側結合層、及び前記内側結合層の前記内側面に隣接する内側スキン層で形成された前記中間製品を押し出すことを提供し、
前記外側スキン層を押し出すために、25%~75%(重量)の非晶質ポリアミドおよび75重量%~25重量%の非晶質ポリアミドを含む、非晶質ポリアミド及び半結晶質ポリアミドの混合物を使用し、
前記内側結合層は、プロピレンコポリマー、ターポリマー、C2 C3プラストマー、又はこれらの混合物を含み、前記内側スキン層は、プロピレンホモポリマー、コポリマー、もしくはターポリマー、エチレンもしくはプロピレンコモノマーを含むアルファ-オレフィンコポリマー、プロピレンもしくはエチレンエラストマー、ポリエチレン、またはこれらの混合物を含む、又は前記内側結合層は、プロピレンホモポリマーを含み、前記内側スキン層は、無水マレイン酸変性ポリプロピレンコポリマーの混合物をベースとすることを含み、
前記第2延伸工程および前記第3延伸工程は、前記中間製品を縦方向に3~6倍、続いて縦方向を横切る方向に7~12倍に延伸することを含む、二軸延伸ポリプロピレンフィルムを製造する方法。
【外国語明細書】