IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社YUIMA NAKAZATOの特許一覧

特開2022-137314衣服生産システム、その制御方法および衣服
<>
  • 特開-衣服生産システム、その制御方法および衣服 図1
  • 特開-衣服生産システム、その制御方法および衣服 図2
  • 特開-衣服生産システム、その制御方法および衣服 図3
  • 特開-衣服生産システム、その制御方法および衣服 図4
  • 特開-衣服生産システム、その制御方法および衣服 図5
  • 特開-衣服生産システム、その制御方法および衣服 図6
  • 特開-衣服生産システム、その制御方法および衣服 図7
  • 特開-衣服生産システム、その制御方法および衣服 図8
  • 特開-衣服生産システム、その制御方法および衣服 図9
  • 特開-衣服生産システム、その制御方法および衣服 図10
  • 特開-衣服生産システム、その制御方法および衣服 図11
  • 特開-衣服生産システム、その制御方法および衣服 図12
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022137314
(43)【公開日】2022-09-22
(54)【発明の名称】衣服生産システム、その制御方法および衣服
(51)【国際特許分類】
   A41D 1/00 20180101AFI20220914BHJP
   A41H 43/00 20060101ALI20220914BHJP
   A41H 42/00 20060101ALI20220914BHJP
   A44B 17/00 20060101ALI20220914BHJP
   A44B 99/00 20100101ALI20220914BHJP
   G05B 19/418 20060101ALI20220914BHJP
   G06Q 30/06 20120101ALI20220914BHJP
【FI】
A41D1/00 G
A41H43/00 D
A41H42/00
A44B17/00
A44B99/00 611G
G05B19/418 Z
G06Q30/06 300
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2018027595
(22)【出願日】2018-02-20
(71)【出願人】
【識別番号】515148631
【氏名又は名称】株式会社YUIMA NAKAZATO
(74)【代理人】
【識別番号】110000279
【氏名又は名称】特許業務法人ウィルフォート国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中里 唯馬
【テーマコード(参考)】
3B030
3B100
3C100
5L049
【Fターム(参考)】
3B030AA01
3B030AA09
3B030AB11
3B030AB12
3B100AA01
3B100AB01
3C100AA22
3C100BB01
3C100BB11
3C100EE16
5L049BB24
5L049BB47
(57)【要約】
【課題】ユーザの希望に応じた衣服を効率よく生産することができるようにした衣服生産システムおよび制御方法を提供すること。
【解決手段】衣服生産システム1は、ユーザに関するデータと所定の衣服100のタイプを指定するタイプ情報とを含む基本情報D1を取得する基本情報取得部11と、基本情報に基づいて、所定の衣服が備える所定の各領域をそれぞれ構成する各ユニット110のパターンデータを生成するパターンデータ生成部12と、パターンデータに基づいて各ユニットを生成するユニット生成部14と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
衣服生産システムであって、
ユーザに関するデータと所定の衣服のタイプを指定するタイプ情報とを含む基本情報を取得する基本情報取得部と、
前記基本情報に基づいて、前記所定の衣服が備える所定の各領域をそれぞれ構成する各ユニットのパターンデータを生成するパターンデータ生成部と、
前記パターンデータに基づいて前記各ユニットを生成するユニット生成部と、
を備える、
衣服生産システム。
【請求項2】
前記所定の衣服に関する一部のユニットの変更を要求する変更要求情報が取得された場合に、
前記パターンデータ生成部は、前記変更要求情報に基づいて、前記変更に対応するパターンデータを生成し、
前記ユニット生成部は、前記変更に対応するパターンデータに基づいて、前記変更に対応するユニットを生成する、
請求項1に記載の衣服生産システム。
【請求項3】
前記各ユニットを所定の配列で連結させることにより、前記所定の衣服を組み立てる組立部をさらに備える、
請求項2に記載の衣服生産システム。
【請求項4】
前記組立部により組み立てられた前記所定の衣服が所定の宛先へ出荷された後に、前記変更要求情報が取得される、
請求項3に記載の衣服生産システム。
【請求項5】
前記組立部は、前記所定の衣服を構成する各ユニットの一部を前記変更に対応するユニットで置き換えることにより、前記所定の衣服を組み立てる、
請求項3に記載の衣服生産システム。
【請求項6】
前記変更に対応するユニットを前記所定の宛先へ出荷することができる、
請求項2に記載の衣服生産システム。
【請求項7】
前記基本情報取得部と、前記パターンデータ生成部と、前記ユニット生成部とを収容する筐体をさらに備え、
前記筐体は持ち運び可能に構成されている、
請求項1に記載の衣服生産システム。
【請求項8】
前記所定の衣服を取得するユーザと、前記変更に対応して前記組立部により組み立てられた所定の衣服を取得するユーザとは異なる、
請求項5に記載の衣服生産システム。
【請求項9】
衣服生産システムの制御方法であって、
前記衣服生産システムは、計算機と前記計算機により制御される加工装置を備え、
前記計算機は、
ユーザに関するデータと所定の衣服のタイプを指定するタイプ情報とを含む基本情報を取得し、
前記取得された基本情報に基づいて、前記所定の衣服が備える所定の各領域をそれぞれ構成する各ユニットのパターンデータを生成し、
前記パターンデータに基づいて前記加工装置の動作を制御することにより前記各ユニットを生成させ、
前記所定の衣服に関する一部のユニットの変更を要求する変更要求情報が取得された場合に、前記変更要求情報に基づいて前記変更に対応するパターンデータを生成し、前記変更に対応するパターンデータに基づいて前記加工装置の動作を制御することにより前記変更に対応するユニットを生成させる、
衣服生産システムの制御方法。
【請求項10】
前記所定の衣服は、
複数のユニットと、前記複数のユニットを連結するための留め具とを備え、
前記留め具は、前記複数のユニットの裏面側で前記複数のユニットにまたがって配置された連結ベースと、前記複数のユニットと前記連結ベースとを連結する複数の連結部とを備え、
前記連結部は、ピンと、押圧部材とを備え、
前記ピンは、前記ユニットと前記連結ベースとを貫通するシャフトと、前記シャフトの一端に設けられ前記ユニットの表面に当接する第1当接部と、前記シャフトの他端に設けられた第2当接部と、を有し、
前記押圧部材は、前記ピンが貫通する貫通孔を有し前記第2当接部に対して前記連結ベース側に位置し前記第2当接部が当接する基部と、前記基部に対し前記連結ベース側で前記ピンを挟む位置に設けられ前記連結ベースを押圧する一対の押圧部とを有する、
請求項1または請求項2のいずれか一項に記載の衣服生産システム。
【請求項11】
前記所定の衣服は、
複数のユニットと、前記複数のユニットを連結するための留め具とを備え、
前記留め具は、前記複数のユニットの裏面側で前記複数のユニットにまたがって配置された連結ベースと、前記複数のユニットと前記連結ベースとを連結する複数の連結部とを備え、
前記連結部は、ピンと、押圧部材とを備え、
前記ピンは、前記ユニットと前記連結ベースとを貫通するシャフトと、前記シャフトの一端に設けられ前記ユニットの表面に当接する第1当接部と、前記シャフトの他端に設けられた第2当接部と、を有し、
前記押圧部材は、前記ピンが貫通する貫通孔を有し前記第2当接部に対して前記連結ベース側に位置し前記第2当接部が当接する基部と、前記基部に対し前記連結ベース側で前記ピンを挟む位置に設けられ前記連結ベースを押圧する一対の押圧部とを有する、
請求項8に記載の衣服生産システムの制御方法。
【請求項12】
複数のユニットと、前記複数のユニットを連結するための留め具とを備え、
前記留め具は、前記複数のユニットの裏面側で前記複数のユニットにまたがって配置された連結ベースと、前記複数のユニットと前記連結ベースとを連結する複数の連結部とを備え、
前記連結部は、ピンと、押圧部材とを備え、
前記ピンは、前記ユニットと前記連結ベースとを貫通するシャフトと、前記シャフトの一端に設けられ前記ユニットの表面に当接する第1当接部と、前記シャフトの他端に設けられた第2当接部と、を有し、
前記押圧部材は、前記ピンが貫通する貫通孔を有し前記第2当接部に対して前記連結ベース側に位置し前記第2当接部が当接する基部と、前記基部に対し前記連結ベース側で前記ピンを挟む位置に設けられ前記連結ベースを押圧する一対の押圧部とを有する、
衣服。
【請求項13】
前記基部には、各押圧部が設けられた位置の反対側から、各押圧部に向かって各押圧部まで延び、前記貫通孔に連通する一対のスリットが形成されている、
請求項12に記載の衣服。
【請求項14】
各押圧部の先端には、前記連結ベースを押圧する半鍔状の押圧片が設けられている、
請求項12または請求項13のいずれか一項に記載の衣服。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衣服生産システム、その制御方法および衣服に関する。
【背景技術】
【0002】
衣服は、固定的なデザインで大量生産される既製服と、ユーザに合わせたデザインで一品一様で製作される仕立て服とに大別される。本来は、ユーザのファッションセンスや価値観等に応じた、そのユーザのためだけの衣服であることが好ましい。しかし一般に、仕立て服の製作には手間がかかり、各ユーザに適したオリジナルのデザインで衣服を効率的に生産するには難しい。そこで、衣服を予め複数のピースに分けて管理し、ピースの組合せを変更できるようにした技術が提案されている(特許文献1,2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4526569号明細書
【特許文献2】特表2006-513482号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記特許文献に記載の従来技術では、身頃や襟などの単位で選択できるにとどまり、ユーザの細かな要望に対応する衣服を生産するのが難しい。
【0005】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたもので、その目的は、ユーザの希望に応じた衣服を効率よく生産することができるようにした衣服生産システム、その制御方法および衣服を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一つの観点に係る衣服生産システムは、ユーザに関するデータと所定の衣服のタイプを指定するタイプ情報とを含む基本情報を取得する基本情報取得部と、基本情報に基づいて、所定の衣服が備える所定の各領域をそれぞれ構成する各ユニットのパターンデータを生成するパターンデータ生成部と、パターンデータに基づいて各ユニットを生成するユニット生成部と、を備える。
【0007】
所定の衣服に関する一部のユニットの変更を要求する変更要求情報が取得された場合に、パターンデータ生成部は、変更要求情報に基づいて、変更に対応するパターンデータを生成し、ユニット生成部は、変更に対応するパターンデータに基づいて、変更に対応するユニットを生成してもよい。
【0008】
各ユニットを所定の配列で連結させることにより、所定の衣服を組み立てる組立部をさらに備えてもよい。
【0009】
組立部により組み立てられた所定の衣服が所定の宛先へ出荷された後に、変更要求情報が取得されてもよい。
【0010】
組立部は、所定の衣服を構成する各ユニットの一部を変更に対応するユニットで置き換えることにより、所定の衣服を組み立ててもよい。
【0011】
変更に対応するユニットを所定の宛先へ出荷してもよい。
【0012】
基本情報取得部と、パターンデータ生成部と、ユニット生成部とを収容する筐体をさらに備え、筐体は持ち運び可能に構成されてもよい。
【0013】
所定の衣服を取得するユーザと、変更に対応して組立部により組み立てられた所定の衣服を取得するユーザとは異なってもよい。
【0014】
本発明の他の観点に従う衣服生産システムの制御方法では、衣服生産システムは、計算機と計算機により制御される加工装置を備え、計算機は、ユーザに関するデータと所定の衣服のタイプを指定するタイプ情報とを含む基本情報を取得し、取得された基本情報に基づいて、所定の衣服が備える所定の各領域をそれぞれ構成する各ユニットのパターンデータを生成し、パターンデータに基づいて加工装置の動作を制御することにより各ユニットを生成させ、所定の衣服に関する一部のユニットの変更を要求する変更要求情報が取得された場合に、変更要求情報に基づいて変更に対応するパターンデータを生成し、変更に対応するパターンデータに基づいて加工装置の動作を制御することにより変更に対応するユニットを生成させる。
【0015】
本発明の別の観点に従う衣服は、複数のユニットと、複数のユニットを連結するための留め具とを備え、留め具は、複数のユニットの裏面側で複数のユニットにまたがって配置された連結ベースと、複数のユニットと連結ベースとを連結する複数の連結部とを備え、連結部は、ピンと、押圧部材とを備え、ピンは、ユニットと連結ベースとを貫通するシャフトと、シャフトの一端に設けられユニットの表面に当接する第1当接部と、シャフトの他端に設けられた第2当接部と、を有し、押圧部材は、ピンが貫通する貫通孔を有し第2当接部に対して連結ベース側に位置し第2当接部が当接する基部と、基部に対し連結ベース側でピンを挟む位置に設けられ連結ベースを押圧する一対の押圧部とを有する。
【0016】
基部には、各押圧部が設けられた位置の反対側から、各押圧部に向かって各押圧部まで延び、貫通孔に連通する一対のスリットが形成されてもよい。
【0017】
各押圧部の先端には、連結ベースを押圧する半鍔状の押圧片が設けられてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】衣服生産システムの全体構成図である。
図2】データベースの構成例を示す説明図である。
図3】衣服生産システムの利用方法を示す説明図である。
図4】第2実施例に係り、衣服生産システムの他の利用例を示す説明図である。
図5】第3実施例に係り、衣服生産システムを持ち運び可能に構成する場合の説明図である。
図6】第4実施例に係り、ユニットまたは留め具にセンサ等のチップを内蔵する場合の説明図である。
図7】第5実施例に係り、衣服の各ユニットの履歴を照会できるようにした場合の説明図である。
図8】第6実施例に係り、衣服の模式図である。
図9】ユニットを留め具で連結した状態の平面図である。
図10】連結部のピンおよび押圧部材の分解斜視図である。
図11】(a)は押圧部材の平面図、(b)は(a)の押圧部材を右側から見た側面図、(c)は(a)の押圧部材を下側から見た側面図である。
図12】ユニットを留め具により連結した状態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本実施形態では、以下に詳述する通り、所定の各領域がそれぞれ複数のユニットで構成される構成変更の容易な衣服を生産できる。これにより、本実施形態によれば、ユーザの要求に応じたデザインの衣服を生産できる。さらに、本実施形態によれば、後から一部のユニットの変更が可能であるため、ユーザの嗜好の変化に追従できる。
【0020】
さらに、本実施形態によれば、各ユニットを再利用可能なため、環境に優しい衣服を生産することができる。さらに、本実施形態によれば、ミシン等の特別な装置を用いずに、衣服のデザインを変更可能なため、ユーザは自宅等で自分の衣服のデザインを変更することができ、使い勝手が向上する。
【0021】
本実施形態では、例えば、シャツ、ジャケット、ワンピース、スカート等の各種衣服をユーザの要求に応じて個別に生産するシステムを説明するが、本発明はこれに限らず、例えば、バッグや靴等の服飾品にも適用することができる。衣服だけでなく服飾品を含める場合、例えば「衣服等」と表現してもよい。
【実施例0022】
図1図3を用いて第1実施例を説明する。図1は、衣服(または衣服等)を個別生産する衣服生産システム1の全体構成を示す説明図である。
【0023】
衣服生産システム1は、ユーザの要求に応じた衣服を構成する衣服100を生産するシステムである。衣服生産システム1は、衣服100の完成品を生産することもできるし、あるいは後述の他の実施例のように、衣服100の構成部品であるユニット110だけを生産することもできる。衣服100の詳細な構成例は、他の実施例で後述する。
【0024】
衣服生産システム1は、例えば、基本情報取得部11と、パターンデータ生成部12と、カスタマイズ部13と、ユニット生成部14と、組立部15と、出荷部16と、データベース部17とを備えることができる。図中、データベースをDBと略記する。上述の通り、衣服生産システム1は、組立部15を必ずしも備える必要はない。本実施例の衣服100は、組立および分解が容易な複数ユニットを連結させて構成されるため、衣服生産システム1の外部において衣服100を組み立てることが可能だからである。
【0025】
本実施例で生産される衣服100では、身頃、袖、まち等の衣服の基本要素をそれぞれ複数ずつのユニット110で分割している。衣服を構成する全ての基本要素が複数のユニット110で分割される必要はなく、基本要素のうちの主要な要素(少なくとも身頃と袖を含む)が複数のユニット110から構成されていればよい。すなわち「所定の各領域」とは、衣服の各基本要素、または、衣服の各基本要素のうちの主要な要素、のいずれかを示す。
【0026】
本実施例では、ユーザの注文に応じて各ユニット110を生成し、生成された各ユニット110を所定の配列にしたがって留め具120により連結させることで、ユーザの要望に応じた衣服100を個別生産することができる。
【0027】
ユーザは、後日、変更要求情報D2を衣服生産システム1へ送信することにより、衣服100の構成の一部変更を希望する場合がある。以下、構成変更前の衣服に符号100(1)を付し、構成変更後の衣服に符号100(2)を付して説明する。構成変更の前後を問わない場合、衣服100と呼ぶ。また、衣服100(1)を注文したユーザと、衣服(1)の構成変更(カスタマイズ)を要求するユーザとは同一ユーザU1であるとして説明する。これに限らず、後述する他の実施例のように、構成変更前の衣服100(1)の注文主であるユーザU1と、構成変更を要求するユーザU2とが異なってもよい。
【0028】
基本情報取得部11は、ユーザに関するデータと所定の衣服のタイプを指定するタイプ情報とを含む基本情報D1を、ユーザから取得する(S1)。ユーザに関するデータとしては、例えば、ユーザの氏名、住所、連絡先アドレス等の書誌的事項に加えて、身長や胸囲等のサイズデータを含む。タイプ情報とは、本実施例に特有の構造を備える衣服100のタイプを指定する情報であり、例えば、シャツ、ジャケット、パンツ、ワンピース、スカート等の予め用意されたタイプの中から選択される。
【0029】
ユーザの身体各部のサイズは、例えば、設置型スキャナまたはハンディスキャナ、カメラ、超音波測定装置等で計測されて、衣服生産システム1へ電子データとして入力させることができる。あるいは、サイズを数値で記入するためのシートを用意し、そのシートに書き込まれた値をカメラ等で文字認識することにより、衣服生産システム1へ入力してもよい。あるいは、ユーザの身体各部のサイズを販売員が手作業で計測して読み上げ、その読み上げた音声を自動認識した結果を衣服生産システム1へ入力してもよい。
【0030】
パターン生成部12は、基本情報取得部11の取得した基本情報D1に基づいて、ユーザに指定された衣服100の各領域をそれぞれ構成する各ユニット110のパターンデータを生成する(S2)。
【0031】
カスタマイズ部13により、パターンデータの生成に際してユニットの色や素材等をカスタマイズすることもできる(S3)。カスタマイズ操作は、ユーザが自ら行ってもよいし、あるいは、販売員等がユーザの要望を聞きながら行ってもよい。全てのユニット110の素材が同一であってもよいし、ユニット毎に素材が異なってもよい。
【0032】
ユニット生成部14は、パターンデータ生成部12により生成されたパターンデータに基づいて、各ユニットを生成する(S4)。ユニット生成部14は、例えば、選択された素材を札段し、切断された素材に識別番号を付加し、所定の位置に穴をあける。ユニット生成部14は、例えば、レーザ加工機やレーザプリンタ等を備えることができる。
【0033】
ここで、識別番号は、衣服100におけるユニット110の位置を一意に決定する情報である。識別番号は、目視で確認できるようにユニット110に印字してもよいし、赤外線や紫外線等で検出可能な形態でユニット110に付加してもよい。あるいは、情報を書き込んだメモリ素子をユニット110に埋め込み、RFID技術等を用いてメモリ素子から識別番号を読み出す構成でもよい。
【0034】
組立部15は、ユニット生成部14で生成された各ユニットを所定の配列に連結させることにより、衣服100を組み立てる。組立部15は、留め具120を準備し、準備した留め具120により、隣接するユニット同士を連結する(S5)。留め具120は、ユニット110を手動でも組立および分解可能に連結する。したがって、組立部15を衣服生産システム1から除外してもよい。
【0035】
出荷部16は、組立部15により組み立てられた衣服100にタグを付けたり、梱包したり、発送伝票を作成したりして出荷準備を整えた後、衣服100を所定の宛先へ出荷する(S6)。所定の宛先とは、衣服100の注文主であるユーザU1である。ユーザU1へ向けて出荷される衣服を衣服100(1)と呼ぶ。
【0036】
ユーザU1は、衣服100(1)を受領した後、嗜好の変化や流行の変化等に応じて、衣服100(1)のデザイン変更を希望する場合がある(S7)。この場合、ユーザU1は、変更要求情報D2を衣服生産システム1へ送信すると共に、変更対象の衣服100(1)を衣服生産システム1へ送付する(S8)。
【0037】
パターンデータ生成部12は、変更要求情報D2に基づいて、ユーザから要求された変更に対応するパターンデータを生成する(S2)。ユニット生成部14は、変更に対応するパターンデータに基づいて、変更に対応するユニット110を生成する(S4)。これにより、構成変更前の衣服100(1)が有するユニット110のうち、例えば、一部のユニット110が新しいデザインのユニット110に変更されたり、構成変更前の衣服100(1)に新たなユニット110が追加されたりする。構成変更前の衣服100(1)からユーザの指定したユニット110を取り除くこともできる。
【0038】
組立部15は、新たなユニット110を衣服100(1)へ組み込んだりすることにより、新しいデザインの衣服100(2)を組み立てる。デザイン構成が変更された衣服100(2)は、出荷部16からユーザU1に向けて発送される(S9)。
【0039】
ユーザU1は、デザインのさらなる変更を希望する場合、既存の衣服100(2)と要求変更要求情報D2を衣服生産システム1へ送る(S8)。2度目のデザイン変更では、衣服100(2)が構成変更前の衣服となる。2度のデザイン変更を経た衣服には、例えば符号100(3)を与えることができる(不図示)。
【0040】
図2を用いてデータベース部17の構成例を説明する。データベース部17は、例えば、ユーザ管理テーブルT1と、基本タイプ管理テーブルT2と、パターンデータ管理テーブルT3と、ユニットデータ管理テーブルT4とを備える。
【0041】
ユーザ管理テーブルT1は、ユーザに関するデータを管理する。ユーザに関するデータには、例えば、ユーザの氏名、住所、連絡先アドレス、サイズデータ、決済情報、衣服100の購入履歴等を含めることができる。
【0042】
基本タイプ管理テーブルT2は、衣服100の基本タイプを管理する。基本タイプの形状のほかに素材の種類やサイズ区分等を含めてもよい。
【0043】
パターンデータ管理テーブルT3は、ユーザの注文した衣服を構成する各ユニット110のパターンデータを管理する。
【0044】
ユニットデータ管理テーブルT4は、例えば、各ユニット110の製造年月日、識別番号、履歴等を管理する。
【0045】
図3は、衣服生産システム1の利用方法の例を示す。図3の例では、衣服生産システム1をウェブサイト(ECサイト)18と工場19とに分散させて配置している。
【0046】
ユーザU1は、例えば、スマートフォン等のユーザ端末2を用いることにより、衣服生産システム1と連携したEC(Electronic Commerce)サイト18へアクセスする。ECサイト18は、基本情報取得部11とカスタマイズ部13とを有する。ユーザは、ユーザ端末2から基本情報取得部11に対して基本情報D1を入力する(S11)。さらに、ユーザは、ユーザ端末2からカスタマイズ部13に入力することにより、基本タイプのデザインを変更することもできる。
【0047】
工場19は、例えば、パターンデータ生成部12と、ユニット生成部14と、組立部15とを備えている。図示は省略するが、工場19は出荷部16を備えてもよい。工場19は、ECサイト18から渡された基本情報D1に基づいて、各ユニット110のパターンデータを生成し、それらパターンデータから各ユニット110を生成し、各ユニット110を組み立てることによって衣服100(1)を生産する(S12)。工場19は、生産した衣服100(1)を注文主であるユーザU1へ向けて発送する(S13)。
【0048】
ユーザU1は、衣服100(1)を着てしばらく楽しむが、流行や嗜好、ライフスタイル等は時とともに変化する。デザイン変更を希望するユーザU1は、ユーザ端末2を用いてECサイト18へアクセスし、ECサイト18へ変更要求情報D2を入力することにより、現在所有している衣服100(1)のデザイン変更を要求する(S15)。変更対象の衣服100(1)は、工場19へ送られる(S15)。
【0049】
工場19は、変更要求情報D2に基づいてパターンデータを少なくとも一部作り直し、ユニット110を新たに作成するなどして、衣服100(1)を衣服100(2)に作り直す(S16)。作り替えられた衣服100(2)は、工場19からユーザU1へ向けて出荷される(S17)。
【0050】
このように構成される本実施例によれば、衣服100が備える所定の各領域をそれぞれ構成する各ユニット110のパターンデータを生成し、パターンデータに基づいて各ユニット110を生成し、衣服に関する一部のユニットの変更を要求する変更要求情報D2が取得された場合に、変更要求情報D2に基づいて、変更に対応するパターンデータを生成し、変更に対応するパターンデータに基づいて、変更に対応するユニット110を生成するため、ユーザの細かな要望に応えることのできる衣服100を生産できる。
【0051】
すなわち本実施例によれば、身頃などの所定領域を複数のユニットから構成するため、ユーザの細かな要求に応じたデザインの衣服を生産できる。さらに、本実施例によれば、後から一部のユニットの変更が可能であり、ユーザの嗜好の変化や流行の変化等に追従することができ、ユーザの利便性を高めることができる。
【0052】
さらに、本実施例によれば、各ユニット110を再利用可能なため、環境に優しい衣服100を生産することができる。
【0053】
さらに、本実施例によれば、ミシン等の特別な装置を用いずに、衣服100のデザインを変更可能なため、ユーザは自宅等でユニット110を組み替えることにより、自分の衣服100のデザインを自分で変更することができ、使い勝手が向上する。
【実施例0054】
図4を用いて第2実施例を説明する。本実施例を含む以下の各実施例は、第1実施例の変形例に該当するため、第1実施例との差異を中心に述べる。本実施例では、衣服100(1)を最初に購入したユーザU1とは異なるユーザU2が、衣服生産システム1に対してデザイン変更を要求する場合を説明する。図4は、衣服生産システム1の利用方法を示す説明図である。
【0055】
ユーザU1は、衣服100(1)を中古販売サイト等のウェブサイト18aに登録し、販売を試みる(S21)。あるいは、ウェブサイト18aは、衣服交換サイトであってもよいし、ユーザU1が個人で運営するサイトであってもよい。衣服100(1)の所有者がユーザU1から他のユーザU2へ変更するための契機となる手段であればよい。したがって、ウェブサイト18aを介さずに、ユーザU1は、いわゆるフリーマーケット等で衣服100(1)を販売したり、バザーに出品したりしてもよい。
【0056】
ユーザU2は、ユーザ端末2を介してウェブサイト18aへアクセスし、衣服100(1)を購入する(S22)。あるいは、ユーザU2は、実際の中古品販売店舗や、フリーマーケット等で衣服100(1)を入手する。
【0057】
衣服100(1)には、後述のようにタグ109(図8参照)が付けられている。タグ109には、オーナーであるユーザを特定する識別情報(ID)が付加されている。ユーザIDは、可読可能な形態で印刷されてもよいし、バーコード等のように通常の人間には可読不能な形態で付加されてもよい。
【0058】
ユーザU2は、入手した衣服100(1)のユーザIDをユーザ端末2を介して読み取り、基本情報D1および変更要求情報D2と共に、衣服生産システム1aを構成する工場19aへ送信する(S23)。さらに、ユーザU2は、入手した衣服100(1)を工場19aへ送付する(S23)。
【0059】
基本情報D1には、例えば、ユーザU2の氏名や住所等の情報と、ユーザU2の身体各部のサイズデータ等が含まれている。ユーザU2は、別途、ユーザ端末2の備えるカメラや、店舗等に設置されたスキャナ装置のようなサイズデータ取得装置を用いることで、ユーザU2自身のサイズを取得することができる。
【0060】
変更要求情報D2には、衣服100(1)のデザイン変更(サイズ変更も含む)に関する情報と、オーナー変更の登録を要求する情報とを含めることができる。
【0061】
工場19aは、ユーザU2から受信した基本情報D1および変更要求情報D2に基づいて、衣服100(1)のデザインを変更する(S24)。工場19aは、タグ109に付加するユーザIDをユーザU1のIDからユーザU2のIDへ変更し、データベース部17の記憶内容を更新させる(S24)。工場19aは、ユーザU2からの指定に基づいて仕立て直した衣服100(2)を、ユーザU2へ向けて発送する(S25)。
【0062】
このように構成される本実施例も第1実施例と同様の作用効果を奏する。さらに本実施例によれば、或るユーザU1から他のユーザU2へ衣服100(1)が移った場合でも、元のユーザU1用に用意されたユニット110を有効に利用して、新しいユーザU2に適した衣服100(2)を効率的に生産することができる。
【実施例0063】
図5を用いて第3実施例を説明する。本実施例では、持ち運び可能な衣服生産システム1bを説明する。図5は、本実施例に係る衣服生産システム1bの説明図である。
【0064】
衣服生産システム1bは、移動工場部(モバイルファクトリーと呼ぶこともできる)3から構成される。モバイルファクトリー3は、例えば、移動工場本体31と、移動工場本体31に設けられた加工装置32と、コンピュータ33とを備える。
【0065】
コンピュータ33には、例えば、基本情報取得部11と、パターンデータ生成部12と、カスタマイズ部13と、ユニット生成部14の制御プログラムが格納されている。加工装置32は、ユニット生成部14のうちの加工機部分(例えばレーザ加工機等)を含んでいる。加工装置32は、組立部15の構成の少なくとも一部、例えば、留め具120をユニット110へ取り付けるロボット等を含んでもよい。
【0066】
コンピュータ33は、スキャナまたはカメラ等のサイズデータ取得装置34を用いることにより、ユーザU1の身体各部のサイズを取得することができる(S31)。サイズデータ取得装置34は、モバイルファクトリー3に付属する装置であってもよいし、ユーザU1または販売員等が所持するスマートフォン等であってもよい。
【0067】
コンピュータ33は、サイズデータやユーザの希望する衣服タイプ等の基本情報D1を取得すると、パターンデータ等を生成し、加工装置へ制御データを送る(S32)。加工装置32は、制御データに基づいてユニット110を生産する(S33)。生産された各ユニット110は、モバイルファクトリー3の外で組み立てられる。加工装置32が組立機能を備える場合、組立工程をモバイルファクトリー3内で行ってもよい。あるいは、ユーザは、できあがった各ユニット110と留め具120とを自宅等に持ち帰り、自ら組み立てることも可能である。
【0068】
このように構成される本実施例も第1実施例と同様の作用効果を奏する。さらに本実施例では、衣服生産システム1bを、移動可能または持ち運び可能に構成されたモバイルファクトリー3として構成するため、任意の場所で衣服100の製造販売を行うことができ、使い勝手が高まる。さらに、小規模な店舗にモバイルファクトリー3を持ち込むことにより、オートクチュール品、オーダメイド品をその場で生産し販売できる。
【実施例0069】
図6を用いて第4実施例を説明する。本実施例では、衣服100を構成するユニット110または留め具120にセンサ160を内蔵させる。図6の説明図では、センサ160を内蔵したユニットに符号110Sを、センサ160を内蔵した留め具に符号120Sを、それぞれ与えている。
【0070】
センサ160は、例えば、体温センサ、脈拍センサ、振動センサ、圧力センサ等のような、衣服100を身につけたユーザの身体に関するデータを検出可能なセンサとして構成される。あるいは、センサ160は、外気温、湿度、日射量等の衣服100の外部環境を測定するセンサとして構成されてもよい。衣服100は、衣服100の内部環境(ユーザの生体情報)を検出する内部環境センサと、衣服100の外部環境を検出する外部環境センサとを混在させることもできる。
【0071】
それらのセンサは、例えば、測定部と、測定部で測定した情報を外部へ送る送信部と、電源部(いずれも不図示)とを備える。電源部は、例えば、電池でもよいし、体温で発電する小型発電装置でもよいし、外部から入力される電磁波を電力に変換する装置であってもよい。
【0072】
ユニット110Sまたは留め具120Sに内蔵されたセンサ160は、データ収集装置41により情報(データ)が収集される。各センサ160から収集された情報は、データ解析システム42へ送られる。
【0073】
データ収集装置41は、例えば、腕時計型、ブレスレット型、アンクレット型、ペンダント型、ネックレス型、首輪型、眼鏡型、帽子型といった、いわゆるウエアラブル端末のように構成されてもよいし、あるいはスマートフォンのような携帯情報端末として構成されてもよい。
【0074】
データ解析システム42は、データ収集装置41から受信する各センサ160の情報に基づいて、所定のデータ解析処理を実行し、その結果を出力する。例えば、データ解析システム42は、ユーザの健康状態を推定したり、ユーザの気分を推定したりして、その推定結果をユーザの所持するスマートフォン等に送ることができる。
【0075】
このように構成される本実施例も第1実施例と同様の作用効果を奏する。さらに本実施例では、ユニット110Sまたは留め具120Sにセンサ160を内蔵させることができるため、衣服100の所定位置にセンサ160を配置することができる。これにより、ユーザの健康状態などを解析することができ、利便性が向上する。
【実施例0076】
図7を用いて第5実施例を説明する。図7は、本実施例の説明図である。本実施例では、ユーザが衣服100について、ユニット単位で履歴を照会できるようにした。
【0077】
ユニット履歴照会部51は、ユーザの持つスマートフォン等のユーザ端末2から照会要求が入力されると、その照会要求に応じたユニット履歴照会画面G1を生成して、ユーザ端末2へ送信する(S41)。照会要求には、例えば、ユーザIDが含まれる。あるいは、各衣服を一意に特定する衣服IDが衣服100に設定されている場合、照会要求には衣服IDを含めてもよい。
【0078】
ユニット履歴照会部51は、データベース部17を利用することができる装置またはコンピュータプログラムである。ユニット履歴照会部51は、ユーザ端末2からの照会要求を受信すると、データベース部17を検索して、ユーザ端末2から要求された情報を取得する(S42)。そして、ユニット履歴照会部51は、取得した情報からユニット履歴照会画面G1を生成し、ユーザ端末2へ送信する(S43)。
【0079】
ユニット履歴照会画面G1は、例えば、ユニット履歴の一覧表示部GP11と、ユニット履歴に対応する衣服の画像表示部GP12を含むことができる。一覧表示部GP11では、例えば「領域」「ユニットID」「履歴」のような項目を持つことができる。
【0080】
「領域」とは、衣服100の基本要素のうちユニット110の属する領域である。「ユニットID」は、ユニット110を一意に特定する識別情報である。「履歴」とは、ユニット110の履歴に関する情報であり、例えば、ユニットを生成した日時、ユニットが生成された場所、ユニットのオーナであるユーザIDの変遷、取り替えられた頻度、取り替えられる前の素材の種類等がある。
【0081】
ここで、ユーザは、ユニット110を連結してなる衣服100をウェブサイト等で販売することができるほかに、ユニット単位で販売することもできる。ユーザは、あちらこちらから集めたユニット110を留め具120で連結することにより、新たな衣服100を製作することもできる。
【0082】
このように構成される本実施例も第1実施例と同様の作用効果を奏する。さらに本実施例では、ユーザは自分の所持する衣服100や購入予定の衣服100について、その衣服を構成する各ユニット110の履歴を照会することができる。このため、本実施例によれば、ユーザは、衣服100を構成する各ユニット110の由来を確認することができ、利便性が向上する。
【実施例0083】
図8図12を用いて第6実施例を説明する。図8は、本実施例に係る衣服100の模式図である。図8は、本実施例に係る衣服100の模式図である。
【0084】
図8に示すように、衣服100は、前身頃部101と、後身頃部102と、袖部103と、襟部104と、前立て部105と、ポケット部106と、裾部107と、カフス部108と、タグ109とを備える。各部は、隣り合う部分に対して後述の留め具120により着脱可能に構成されている。タグ109には、ユーザIDまたはユーザに紐づく情報が記載されている。
【0085】
前身頃部101、後身頃部102、および袖部103は、複数のユニット(ピース)110と、複数の留め具120とにより構成されている。
【0086】
各ユニット110は、例えばコットン、ウール、ナイロン、皮革、毛皮、合成繊維、絹、プラスティック、メタル等の素材により構成されている。各ユニット110は、基本的に衣服100における位置、衣服100の形状等に依存しない形状であり、本実施例では大部分が矩形形状であるが、4つの辺から構成される形状であればよい。なお、各ユニット110の形状は、三角形であってもよいし、他の多角形状であってもよい。あるいは曲線を含む形状でもよい。
【0087】
各ユニット110は、表面111および裏面112を有している(図12参照)。各ユニット110の表面111には、各ユニット110の衣服100における位置を示す識別番号113が付されている。図8では、図の簡略化のため一部のユニット110のみに識別番号113を付している。図9に示すように、各ユニット110の各角部には、第1貫通孔114が形成されている。
【0088】
図9は、隣り合うユニット110を留め具120により連結した状態を示す平面図である。
【0089】
図10は、連結部140のピン141および押圧部材142の分解斜視図である。
【0090】
図11(a)は、押圧部材142の平面図、(b)は、(a)の押圧部材142を右側から見た側面図、(c)は、(a)の押圧部材142を下側から見た側面図である。
【0091】
図12は、隣り合うユニット110を留め具120により連結した状態を示す側面図である
【0092】
図9図12に示すように、留め具120は、連結ベース130と、複数(本実施例では4つ)の連結部140とを備える。
【0093】
連結ベース130は、屈曲性を有し、引張強度に優れた材料、例えば、フェルト、皮革等またはユニット110と同じ材料により構成されている。図12に示すように、連結ベース130には、複数の第2貫通孔131が形成されている。第2貫通孔131との直径は、第1貫通孔114の直径とほぼ等しく構成される。
【0094】
各連結部140は、樹脂材料等の可撓性を有する材料により構成され、ピン141と、押圧部材142とを備える。
【0095】
図10に示すように、ピン141は、例えば、シャフト143と、シャフト143の一端に設けられた表突起部144と、シャフト143他端に設けられた裏突起部145とを有する。表突起部144は「第1当接部」に、裏突起部145は「第2当接部」に、それぞれ相当する。
【0096】
シャフト143の直径は、第1貫通孔114の直径および第2貫通孔131の直径よりもわずかに小さく構成される。表突起部144は、略ドーム状をなしており、その直径は、第1貫通孔114および第2貫通孔131を通り抜けることがないように、第1貫通孔114の直径および第2貫通孔131の直径よりも十分に大きく構成されている。裏突起部145は、略円板状をなし、その直径は、第1貫通孔114の直径および第2貫通孔131の直径よりも僅かに大きく、第1貫通孔114および第2貫通孔131を通過可能に構成されている。
【0097】
図10図11に示すように、押圧部材142は、基部146と、一対の押圧部147とを有する。
【0098】
基部146は、第3貫通孔148を有する略円環状をなしている。第3貫通孔148の直径は、裏突起部145の直径よりも小さく、シャフト143の直径とほぼ同じに構成されている。第2各押圧部147は、基部146の径方向で対向する位置に設けられ、基部146から遠ざかるにつれて互いに離間するように傾斜して延びている。各押圧部147の先端には、半鍔状(扇状)の押圧片149が設けられている。
【0099】
基部146の各押圧部147が設けられた位置の反対側には、基部146の厚さ方向に沿って各押圧部147の中間付近まで延びるスリット150が形成されている。各スリット150は、第3貫通孔148に連通している。
【0100】
次に、複数のユニット110の組立方法について説明する。組立作業は、例えば、工場の作業員、店舗の販売員、ユーザのような人間が行ってもよいし、あるいは、ロボットにより行ってもよい。ここでは、以下の組立方法を実施する主体を作業主体と呼ぶ。作業主体は、上述の通り、人間でもよいし、機械でもよい。
【0101】
まず、作業主体は、識別番号113に基づき、互いに連結すべき複数のユニット110を各辺が隣接するように配置する。作業主体は、隣接配置した複数のユニット110の裏面112に、留め具120の連結ベース130を隣接配置したユニット110にまたがるように配置する。このとき、連結ベース130の第2貫通孔131と、各ユニット110の第1貫通孔114とが互いに対向するようにする。この状態で、作業主体は、複数のユニット110の表面111側から、連結部140のピン141を、第1貫通孔114および第2貫通孔131に通過させ、表突起部144をユニット110の表面111に当接させる。
【0102】
次に、作業主体は、押圧部材142を、一対の押圧部147が基部146よりも連結ベース130側に位置する状態で、一対の押圧部147を連結ベース130側に向かって押しながら、基部146を裏突起部145に押しつけ、第3貫通孔148およびスリット150を広がるように変形させて、基部146の第3貫通孔148に裏突起部145を通過させる。これにより図12に示すように、一対の押圧部147の押圧片149が連結ベース130に当接しながら、一対の押圧部147が、互いに離間するように広げられて、弾性力を有しながら連結ベース130を押圧する。これにより、ユニット110と連結ベース130とが連結部140により挟持される。4枚のユニット110を連結する場合であれば、図9に示すように、4か所に連結部140を装着することにより、隣接する4枚のユニット110を互いに連結することができる。作業主体が当該組立工程を繰り返し行うことにより、衣服100を作成することができる。
【0103】
また、複数のユニット110の連結を解除する場合には、作業主体は、一対の押圧部147の一方を引っ張りながら、第3貫通孔148およびスリット150を広がるように変形させて、押圧部147をピン141の裏突起部145から外す。次に、作業主体は、ピン141を第1貫通孔114および第2貫通孔131から抜くことにより、複数のユニット110の連結が解除される。
【0104】
以上のように、本実施例の衣服100は、複数のユニット110と、複数のユニット110を連結するための留め具120とを備え、留め具120は、複数のユニット110の裏面112側で複数のユニット110にまたがって配置された連結ベース130と、複数のユニット110と連結ベース130とを連結する複数の連結部140とを備える。連結部140は、ピン141と、押圧部材142とを備える。ピン141は、ユニット110と連結ベース130とを貫通するシャフト143と、シャフト143の一端に設けられユニット110の表面111に当接する表突起部144と、シャフト143の他端に設けられた裏突起部145と、を有する。押圧部材142は、ピン141が貫通する第3貫通孔148を有し裏突起部145に対して連結ベース130側に位置し裏突起部145が当接する基部146と、基部146に対し連結ベース130側でピン143を挟む位置に設けられ連結ベース130を押圧する一対の押圧部147とを有する。
【0105】
当該構成によれば、、ユニット110同士を何度でも組み替え、様々な柄・形・素材をひとつのテキスタイルの中で自由に組み合わせることができ、ユーザの体形および嗜好に合わせた衣服100を容易に提供することができる。また、複数のユニット110を連結ベース130および連結部140により構成される留め具120により容易に連結または分離することができるので、ユーザ側で衣服100の組立・組み替えが可能であり、ユニット110および留め具120の再利用も可能である。
【0106】
また、基部146には、各押圧部147が設けられた位置の反対側から、各押圧部147に向かって各押圧部147まで延び、第3貫通孔148に連通する一対のスリット150が形成されている。これにより、第3貫通孔148を一対のスリット150により容易に広げることができるので、押圧部材142を容易にピン141に対し装着またはピン141から取り外すことができる。
【0107】
各押圧部147の先端には、連結ベース130を押圧する半鍔状の押圧片149が設けられているので、押圧面積を増加させることができ、ユニット110同士の連結を安定させ、引張に対する強度を向上させることができる。
【0108】
第1貫通孔114、第2貫通孔131は、貫通孔でなくてもよく、例えばスリットまたは十字状の切り込み等であってもよい。
【0109】
また、表突起部144は、ドーム状でなくてもよく、例えば、十字状等の第1貫通孔114を抜けない形状であればなんでもよい。
【0110】
なお、本発明は上述の実施形態に限定されず、様々な変形例が含まれる。上記実施形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることもできる。また、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることもできる。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成を追加・削除・置換することもできる。
【0111】
上記各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部や全部を、例えば集積回路で設計する等によりハードウェアで実現してもよい。また、上記の各構成、機能等は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウェアで実現してもよい。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリ、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記録装置、ICカード、SDカード、DVD等の記録媒体に格納することができる。
【0112】
また、上述した実施形態に含まれる技術的特徴は、特許請求の範囲に明示された組み合わせに限らず、適宜組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0113】
1,1a,1b:衣服生産システム、2:ユーザ端末、3:モバイルファクトリー、11:基本情報取得部、12:パターンデータ生成部、13:カスタマイズ部、14:ユニット生成部、15:組立部、16:出荷部、17:データベース部、18,18a:ウェブサイト、19,19a:工場、31:筐体、32:加工装置、33:コンピュータ、34:サイズデータ取得装置、41:データ収集装置、42:データ解析装置、51:ユニット履歴照会部、100:衣服、110,110S:ユニット、111:表面、112:裏面、120,120S:留め具、130:連結ベース、140:連結部、141:ピン、142:押圧部材、143:シャフト、144:表突起部、145:裏突起部、146:基部、147:押圧部、148:第3貫通孔、149:押圧片、150:スリット、160:センサ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12