(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022137338
(43)【公開日】2022-09-22
(54)【発明の名称】コネクタ固定機構
(51)【国際特許分類】
H01R 13/74 20060101AFI20220914BHJP
H01R 13/46 20060101ALI20220914BHJP
【FI】
H01R13/74 Z
H01R13/46 304E
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021036818
(22)【出願日】2021-03-09
(71)【出願人】
【識別番号】599161890
【氏名又は名称】NECネットワーク・センサ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109313
【弁理士】
【氏名又は名称】机 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100149618
【弁理士】
【氏名又は名称】北嶋 啓至
(72)【発明者】
【氏名】田中 秀紀
【テーマコード(参考)】
5E087
【Fターム(参考)】
5E087HH05
5E087LL02
5E087LL12
5E087MM08
5E087MM16
5E087RR08
(57)【要約】
【課題】コネクタが取り付け孔部に挿入された状態で向きを任意に変えることを可能としながら、コネクタを取り付け孔部に固定することができるコネクタ固定機構を提供する。
【解決手段】蓋の取り付け孔部に挿入されて、固定されるコネクタのコネクタ固定機構であって、上記取り付け孔部に挿入されるコネクタ本体と、上記コネクタ本体の外縁部に設けられたハウジングと、上記コネクタ本体の外縁部に設けられ、上記取り付け孔部に上記コネクタ本体が挿入されたときに上記取り付け孔部に近接する磁石部と、を含む。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓋の取り付け孔部に挿入されて、固定されるコネクタのコネクタ固定機構であって、
前記取り付け孔部に挿入されるコネクタ本体と、
前記コネクタ本体の外縁部に設けられたハウジングと、
前記コネクタ本体の外縁部に設けられ、前記取り付け孔部に前記コネクタ本体が挿入されたときに前記取り付け孔部に近接する磁石部と、を含むコネクタ固定機構。
【請求項2】
前記取り付け孔部は、少なくともその周辺が磁性材料からなる、請求項1に記載のコネクタ固定機構。
【請求項3】
前記コネクタ本体が前記取り付け孔部に挿入されたときに、前記磁石部が磁力によって前記取り付け孔部に吸着する、請求項2に記載のコネクタ固定機構。
【請求項4】
前記取り付け孔部は、前記コネクタ本体が挿入される第1内径部と、前記第1内径部よりも幅広の第2内径部とを有して、断面が階段状をなしている、請求項1又は請求項2に記載のコネクタ固定機構。
【請求項5】
前記コネクタ本体の外縁部に設けられたパッキンであって、前記コネクタ本体が前記取り付け孔部の前記第1内径部に挿入されたときに、前記磁石部と前記取り付け孔部の前記第2内径部との間に位置する、請求項4に記載のコネクタ固定機構。
【請求項6】
前記コネクタは、前記コネクタ本体が前記取り付け孔部に挿入された状態で、回転軸を中心に回転可能である、請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載のコネクタ固定機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタ固定機構に関し、特に開孔部に挿入されて固定されるコネクタのためのコネクタ固定機構に関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器のパネルに固定されるコネクタが知られている。例えば、電子機器を使用する場合、
図6のように使用する電子機器を収納ケース11の中に実装した状態で、収納ケース11の前後のパネルの一例としての蓋13を開けた状態で使用している。コネクタ12と電子機器との間は、
図6に示すようにケーブルやコードで結ばれている。または、他の方法としてコネクタ12が収納ケース11の蓋13に取り付けられた一体型の蓋13を使用する場合もある。これらのコネクタ12の交換には、工具が必要である。
【0003】
また背景技術の蓋13に取り付けられるコネクタ12は
図7に示すように、コネクタ12のハウジング14を蓋13に取り付けた後でも、ハウジング14の位置を蓋13に対して調整可能である。
【0004】
特許文献1はケーブル接続装置に関するものであり、コネクタ本体の前部側にゴムパッキンを装着した状態で、パネルの裏面側から取付穴に嵌入させることにより、コネクタをパネルへ取り付けることが提案されている。
【0005】
特許文献2は電子機器に関するものであり、コネクタの周囲に磁石を設置することにより、非対応のプラグが挿入されることによるコネクタの破壊を防止することが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実開平02-077877号公報
【特許文献2】特開2009-231114号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述した
図7に示す背景技術のコネクタ12には以下のような課題がある。
【0008】
電子機器のパネルの一例としての蓋13に対して、コネクタ12の位置を調整する際には、ハウジング14の爪部分の引っ掛かりを外す必要がある。
図7に示す背景技術のコネクタ12では、ハウジング14の爪部をつまんで取り外すため、取り外しを繰り返していると爪部を破損する可能性がある。また、取り外し回数が増えることにより摩耗及び外的力が加わるため、コネクタ12の強度が劣化する可能性がある。
【0009】
特許文献1や特許文献2では、コネクタの強度を劣化させずに、コネクタの位置を調整できるような構造や機構は、提案されていない。
【0010】
本発明の目的は、コネクタが取り付け孔部に挿入された状態で向きを任意に変えることを可能としながら、コネクタを取り付け孔部に固定することができるコネクタ固定機構を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記目的を達成するため、本発明に係るコネクタ固定機構は、蓋の取り付け孔部に挿入されて、固定されるコネクタのコネクタ固定機構であって、
上記取り付け孔部に挿入されるコネクタ本体と、
上記コネクタ本体の外縁部に設けられたハウジングと、
上記コネクタ本体の外縁部に設けられ、上記取り付け孔部に上記コネクタ本体が挿入されたときに上記取り付け孔部に近接する磁石部と、を含む。
【発明の効果】
【0012】
本発明のコネクタ固定機構によれば、コネクタが取り付け孔部に挿入された状態で向きを任意に変えることを可能としながら、コネクタを取り付け孔部に固定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】実施形態の電子機器と、そのパネルを説明するための外観図である。
【
図2】本発明の一実施形態のコネクタの斜視図である。
【
図4A】パネルの一例としての蓋に、本発明の一実施形態のコネクタを固定した状態の側面図である。
【
図4C】
図4Bの、パネルへのコネクタの挿入を説明するための概念図である。
【
図5】上位概念の実施形態のコネクタと、このコネクタが取り付けられる取り付け孔部を有する蓋とを示す断面図である。
【
図6】背景技術の電子機器と、そのパネルを説明するための外観図である。
【
図7】背景技術のコネクタがパネルに固定された状態を説明するための斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
〔本発明の実施形態の概要〕
顧客の機材展開場所が、森林、草原等の屋外の場合、野外に天幕を展開して天幕内の机の上に電子機器を設置して使用する。使用する電子機器は、複数種類があり、電子機器をその種類に応じた専用の収納ケースに入れて持ち運びを行い、使用時に収納ケースの蓋を開けた状態で使用する。この収納ケースの蓋を開けて電子機器を使用する場合、雨天時、吹込み、使用者が着ている合羽等の衣服からの水滴により、電子機器が濡れることにより故障等が発生する可能性がある。また、収納ケースは、使用する電子機器の屋外仕様の専用品であるため、購入費用が高額になる。これらの課題を解決するために、電子機器を収納ケースの蓋面にパッキンを付与した容易に交換可能な中継コネクタ部を設けることで、収納ケース内に実装する複数の異なる電子機器を入れ替えて汎用的に使用することを可能とする。さらに、中継コネクタ部も繰り返し交換して汎用的に使用することを可能とすることにより、購入費用を低減するとともに防水性を確保する。
【0015】
〔一実施形態〕
次に、本発明の一実施形態によるコネクタ固定機構について、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態の電子機器と、そのパネルを説明するための外観図である。
【0016】
本実施形態のコネクタ2が取り付けられる対象は、例えば電子機器を収納する収納ケース1のパネルの一例としての蓋3である。収納ケース1は電子機器を収納すると共に、開閉可能な蓋3を有している。例えば電子機器を使用する際には、
図1のように電子機器を収納ケース1の中に実装した状態で、収納ケース1の前後のパネルの一例としての蓋3を開けた状態となる。本実施形態のコネクタ2は、例えば蓋3の取り付け孔部に取り付けられる中継コネクタである。本実施形態のコネクタ2と電子機器との間は、
図1に示すようにケーブルやコードで結ばれる。
【0017】
持ち出し用の収納ケース1の蓋面にコネクタ形状に合わせた取り付け孔部が設けられた蓋3に対して、本実施形態のコネクタ2が取り付け可能である。その際、収納ケース1に実装する電子機器で使用するインタフェースに合わせた電気コネクタと組み合わせることにより、任意の電子機器の実装を容易に実現することが可能である。このコネクタの取り付け方法は、中継コネクタとする汎用の電気コネクタ部品との組み合わせで形成することから任意の電子機器への対応を可能とする。
【0018】
(コネクタの構成)
本実施形態のコネクタ2の構造について、説明する。
図2は、本発明の一実施形態のコネクタの斜視図である。
図3Aは、
図2のコネクタの側面図である。
図3Bは、
図2の1-1線に沿った断面図である。
図4Aは、パネルの一例としての蓋に、本発明の一実施形態のコネクタを固定した状態の側面図であり、X1-Z1平面の側面図である。
図4Bは、
図4Aの2-2線に沿った断面図であり、Y1-Z1平面の断面図である。
図4Cは、
図4Bの、パネルへのコネクタの挿入を説明するための概念図である。
【0019】
図2、
図3A、
図3Bのコネクタ2は、蓋の取り付け孔部に挿入されるコネクタ本体と、ハウジング4と、磁石部5と、を含む。ハウジング4は、軸状のコネクタ本体の外縁部に設けられており、
図2ではコネクタ本体の外縁部に一対をなすように設けられている。磁石部5は、軸状のコネクタ本体の外縁部に設けられ、蓋の取り付け孔部にコネクタ本体が挿入されたときに取り付け孔部に近接する位置に設けられている。さらに
図2のコネクタ2は、パッキン6を含む。
【0020】
図2、
図3A、
図3Bのコネクタ2は、
図4Cに示す蓋3の取り付け孔部7に挿入されて固定される。取り付け孔部7は、好ましくは円形の開孔形状を有する。蓋3の取り付け孔部7は
図4Cに示すように、コネクタ2のコネクタ本体が挿入される第1内径部7
1と、この第1内径部7
1よりも幅広の第2内径部7
2とを有しており、
図4Cに示すように断面が階段状の形状をなしている。
【0021】
蓋3の取り付け孔部7は、少なくともその周辺が磁性材料からなる。例えば磁性材料の一例としては、鉄やニッケル、或いはこの元素を含む合金が考えられる。蓋3の取り付け孔部7は、少なくともその周辺が磁性材料からなることにより、コネクタ2のコネクタ本体が取り付け孔部7に挿入されたときに、コネクタ2の磁石部5が磁力によって取り付け孔部7に吸着する。これによりコネクタ2は、
図4Bに示すようなコネクタ2が蓋3の取り付け孔部7に挿入された状態で、磁石部5により取り付け孔部7に固定される。
【0022】
図2、
図3B、
図4B、
図4Cに示すパッキン6は、コネクタ本体の外縁部に設けられ、コネクタ本体が取り付け孔部7の第1内径部7
1に挿入されたときに、磁石部5と取り付け孔部7の第2内径部7
2との間に位置するように設けられている。パッキン6を設けることにより、コネクタ2を取り付け孔部7に取り付けた状態でのコネクタ2と取り付け孔部7との境界部分の防水性を確保する。
【0023】
(コネクタの挿抜や向きの変更)
本実施形態のコネクタ2は、蓋3の取り付け孔部7に挿入され、磁石部5に磁力により取り付け孔部7との間が固定される。そして本実施形態のコネクタ2は、蓋3の取り付け孔部7に挿入された状態で、
図2や
図4Aの矢印C1で示す周方向に沿って、コネクタ本体の回転軸を中心に回転させることが可能である。一対のハウジング4を二つの指の間でつまんで、蓋3の取り付け孔部7に本実施形態のコネクタ2を挿入した状態で、矢印C1で示す周方向に関してハウジング4が回動自在となるように、コネクタ2は蓋3の取り付け孔部7に取り付けることができる。これにより、矢印C1で示す周方向に関して、コネクタ2の向きを任意に変えることが可能である。コネクタ2の向きを任意に変えることにより、コネクタ2と電子機器とを結ぶケーブルやコードのねじれを解消することができる。
【0024】
また本実施形態のコネクタ2を中継コネクタとすることで、電気コネクタの向き、外部との接続に対する影響をなくすことが可能となる。
【0025】
(実施形態の効果)
本実施形態のコネクタ固定機構によれば、コネクタ2が取り付け孔部7に挿入された状態で向きを任意に変えることを可能としながら、コネクタ2を取り付け孔部7に固定することができる。その理由は、コネクタ2が取り付け孔部7に挿入された状態で、コネクタ本体の回転軸を中心に回転させることが可能であるからである。またコネクタ2は、蓋3の取り付け孔部7に挿入された状態で、コネクタ2の磁石部5が磁力によって取り付け孔部7に吸着することによって、コネクタ2と取り付け孔部7との間が固定されるからである。また挿入した方向に対して反対方向へ引っ張ることにより、磁石部5と取り付け孔部7との吸着が解消されコネクタ2を蓋3の取り付け孔部7から抜き去ることができる。
【0026】
また本実施形態のコネクタ固定機構によれば、一度取り付けを行った後においても収納ケース1の設置場所に合わせてコネクタ2の向きを自由に変更することが可能としており、ケーブルの脱着を容易に実施することが可能である。
【0027】
本実施形態のコネクタ固定機構では、ハウジング4に爪等をなくすことを可能としており、取り付け状態から蓋3に対して脱着、回転させる場合でも容易に位置調整可能な電気コネクタを実現できる。すなわち本実施形態のコネクタ固定機構では、挿抜の過程や向き変更の過程でコネクタを構成する要素の機械的な変形を必要としないため、固定機構を破損するといった課題を解決することができる。また本実施形態のコネクタ固定機構では、取り付け固定に磁力を応用することにより、ねじ、ナット等の取り付け部品及びドライバー、レンチ等の工具を使用せずに脱着が可能である。
【0028】
またパッキン6を設けることにより、コネクタ2を取り付け孔部7に取り付けた状態でのコネクタ2と取り付け孔部7との境界部分の防水性を確保することができる。
【0029】
〔上位概念の実施形態〕
次に、本発明の上位概念の実施形態によるコネクタ固定機構について、図面を参照しながら説明する。
図5は、本発明の上位概念の実施形態のコネクタと、このコネクタが取り付けられる取り付け孔部を有する蓋とを説明するための断面図である。
【0030】
図5のコネクタは、蓋3の取り付け孔部7に挿入されて固定される。
図5のコネクタ2は、蓋3の取り付け孔部7に挿入されるコネクタ本体と、ハウジング4と、磁石部5と、を含む。ハウジング4は、コネクタ本体の外縁部に設けられている。磁石部5は、コネクタ本体の外縁部に設けられ、蓋3の取り付け孔部7にコネクタ本体が挿入されたときに取り付け孔部7に近接する。
【0031】
図5のコネクタ固定機構によれば、コネクタ2が取り付け孔部7に挿入された状態で向きを任意に変えることを可能としながら、コネクタ2を取り付け孔部7に固定することができる。その理由は、コネクタ2が取り付け孔部7に挿入された状態で、コネクタ本体の回転軸を中心に回転させることが可能であるからである。またコネクタ2は、蓋3の取り付け孔部7に挿入された状態で、コネクタ2の磁石部5が磁力によって取り付け孔部7に吸着することによって、コネクタ2と取り付け孔部7との間が固定されるからである。
【0032】
〔その他の実施形態〕
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、上述した本発明の一実施形態によるコネクタ固定機構、これが適用されるコネクタの数は1個に限られない。例えば、上述した蓋3の取り付け孔部7の数量を1個からN個(Nは2以上の自然数)の多数まで実装することが可能である。また本実施形態のコネクタの取り付け方法は、多芯の電気コネクタ、RF(Radio Frequency)同軸コネクタ、や電気信号以外のアース線に対して使用することが可能である。また、電気信号で取り扱うパワーの大小、コネクタピン数の大小に合わせて形状を小型化/大型化することができる。特許請求の範囲に記載した発明の範囲内で、種々の変形が可能であり、それらも本発明の範囲に含まれることはいうまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明は、軍事防衛分野において、森林、平原等の屋外天幕等に電子機器を展開する際に機器種別に合わせた機材展開を容易とすることが可能である。また、パッキンの取り付けにより、防水構造を実現することが可能である。また、電気コネクタを任意の向きで取りつけ可能であることが船舶、車両等の窮屈なスペースへの設置等で効果を発揮することが可能である。また、屋外で電子機器を取り扱う露店、テント等を展開するイベント等への活用に適する。
【符号の説明】
【0034】
1 収納ケース
2 コネクタ
3 蓋
4 ハウジング
5 磁石部
6 パッキン
7 取り付け孔部