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特開2022-137342サイディングの見切り部材及び見切り構造
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022137342
(43)【公開日】2022-09-22
(54)【発明の名称】サイディングの見切り部材及び見切り構造
(51)【国際特許分類】
   E04F 13/08 20060101AFI20220914BHJP
   E04B 1/682 20060101ALI20220914BHJP
【FI】
E04F13/08 101X
E04F13/08 Y
E04B1/682 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021036822
(22)【出願日】2021-03-09
(71)【出願人】
【識別番号】390004145
【氏名又は名称】城東テクノ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】弁理士法人ATEN
(72)【発明者】
【氏名】大原 啓資
(72)【発明者】
【氏名】山田 昭夫
【テーマコード(参考)】
2E001
2E110
【Fターム(参考)】
2E001DA01
2E001FA31
2E001GA07
2E001HF02
2E001MA02
2E001MA06
2E110AA13
2E110AA42
2E110AA44
2E110AA57
2E110AB04
2E110AB15
2E110AB22
2E110AB34
2E110BA12
2E110CC04
2E110DA09
2E110DC06
2E110DC12
2E110DD03
2E110DD09
2E110GA33W
2E110GA33X
(57)【要約】
【課題】外観を損ねることなく、サイディングと見切りカバー部との間の隙間から雨水などの水の浸入を抑制する。
【解決手段】見切り部材10は、取付ベース部20と、見切りカバー部30とを含む。取付ベース部20は、下地材3に取り付けるための取付板部21、及び、係合板部22を有し、見切りカバー部30は、見切りカバー板部33、被係合板部32、及び、見切りカバー板部33の下方の離れ部分36に設けられたスペーサ板部37を有する。離れ部分36とスペーサ板部37は、見切り部材10が下地材3に取り付けられたときに、サイディング2の外表面2aとで囲まれた空間にコーキング材40を収容することが可能なコーキング材収容部50を画定可能に配置されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
サッシ廻りのサイディングの見切り部材であって、
前記サイディングの下地材に取り付けるための取付ベース部と、
前記取付ベース部に取り付けることで前記サイディングの端部を覆うことが可能な見切りカバー部とを備えており、
前記取付ベース部は、鋼板が曲げ加工されて構成され、前記下地材に取り付けるための取付板部、及び、前記取付板部から上方側へ延出する係合板部を有し、
前記見切りカバー部は、鋼板が曲げ加工されて構成され、前記サイディングの端部の上方側を覆う見切りカバー板部、前記見切りカバー板部から下方側に延出し、前記サイディングの端部の側方側を覆うとともに前記係合板部と係合可能な被係合板部、及び、前記被係合板部と所定距離離間し、前記見切りカバー板部から下方側に延出するスペーサ板部を有し、
前記見切りカバー板部と前記スペーサ板部は、前記見切り部材が前記下地材に取り付けられたときに、前記サイディングの端部とで囲まれた空間にコーキング材を収容することが可能なコーキング材収容部を画定可能に配置されていることを特徴とするサイディングの見切り部材。
【請求項2】
サッシ、前記サッシ廻りのサイディング、前記サイディングの下地材、及び、前記サイディングの見切り部材を備えたサッシ廻りのサイディングの見切り構造において、
前記見切り部材は、
前記下地材に取り付けられた取付ベース部と、
前記取付ベース部に取り付けることで前記サイディングの端部を覆うことが可能な見切りカバー部とを備えており、
前記取付ベース部は、鋼板が曲げ加工されて構成され、前記下地材に取り付けられた取付板部、及び、前記取付板部から上方側へ延出する係合板部を有し、
前記見切りカバー部は、鋼板が曲げ加工されて構成され、前記サイディングの端部の上方側を覆う見切りカバー板部、前記見切りカバー板部から下方側に延出し、前記サイディングの端部の側方側を覆うとともに前記係合板部と係合可能な被係合板部、及び、前記被係合板部と所定距離離間し、前記見切りカバー板部から下方側に延出するスペーサ板部を有し、
前記見切りカバー板部と前記スペーサ板部と前記サイディングの端部とで囲まれた空間にコーキング材が設けられていることを特徴とするサイディングの見切り構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サッシ廻りのサイディングの見切り部材及び見切り構造に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、窓下枠(サッシ)と対向する窓下の外装材(サイディング)の上端部に見切り縁が取り付けられた外装材の見切り構造について記載されている。この見切り構造における見切り縁は、見切りベース部と、見切りベース部に取り付け可能な見切りカバー部とを有する。見切りベース部は、外装材の背後に配置される後側縦片と、後側縦片の上端部から前方に突出する前方突出横片と、前方突出横片の先端部に設けられて外装材の上端部から離間して配置される係合部と、後側縦片から前方突出横片よりも上方に突出して先端が窓下枠の下面に当接可能な突起部とが一体に構成されている。見切りカバー部は、外装材の前面に配置される前側縦片と、前側縦片の上端部から後方に突出する後方突出横片と、後方突出横片の先端部に設けられて見切りベース部の係合部に引っ掛け連結される被係合部とが一体に構成されていると共に、前側縦片の下端側からその全幅に亘って外装材の前方に向かって張り出し且つその張り出した先端部分が下方に垂下した水切り部が一体に突設されている。そして、見切りベース部を外装材の背後の下地材に取り付け、外装材を施工した後に、見切りカバー部を見切りベース部に取り付けることで、見切り縁が窓枠の下側に取り付けられる。
【0003】
また、特許文献2には、サッシ部と、サッシ部の周囲に配される外壁材(サイディング)とサッシ部との隙間に配されたカバー部とからなるシーリングレス化粧部材について記載されている。このシーリングレス化粧部材のカバー部には、第1及び第2の係止部が設けられ、サッシ部には、第1及び第2の係止受部が設けられている。そして、第1の係止部及び第1の係止受部と、第2の係止部及び第2の係止受部とを互いに係止することにより、サッシ部と外壁材との隙間がシーリングレス化粧部材によりシーリングされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009-209617号公報
【特許文献2】実用新案登録第3137757号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載された見切り縁は、窓下枠の下側に取り付けられるもので、窓上枠や窓横枠の廻りに取り付けるものではない。また、近年、サイディングを施工現場ではなく、予め工場でプレカットされたものを使用することが多い。プレカットされたサイディングを使用する場合、現場での寸法誤差の問題で、例えば窓サッシとサイディングとの間に比較的に大きな隙間が生じることがある。この場合において、上記特許文献1に記載された見切り縁では、サッシの左右及び上部とサイディングとの間に設置することができないため、当該部分に生じた隙間から雨水等の水がサイディングの下地側に侵入することを防止できない。仮に、上記特許文献1に記載された見切り縁が、サッシの左右及び上部とサイディングとの間に設置することができ、サイディングと見切りカバー部との隙間の入口部分をコーキング材(シーリング材、止水材)で覆って雨水等の浸入を防止したとしても、コーキング材がユーザから直視可能となり、外観を損なうという問題がある。
【0006】
また、上記特許文献2に記載されたシーリングレス化粧材においても、サイディングとサッシとの隙間が大きい場合に、カバー部の裏面部と外壁材との隙間の入口部分をシーリング材で覆って止水したとしても、やはりシーリング材(コーキング材)がユーザから直視可能となる。このため、外観を損ない、化粧部材としての役割が果たせない問題がある。
【0007】
そこで、本発明の目的は、外観を損ねることなく、サイディングと見切りカバー部との間の隙間から雨水などの水の浸入を抑制することが可能なサイディングの見切り部材及び見切り構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のサイディングの見切り部材は、サッシ廻りのサイディングの見切り部材であって、前記サイディングの下地材に取り付けるための取付ベース部と、前記取付ベース部に取り付けることで前記サイディングの端部を覆うことが可能な見切りカバー部とを備えている。そして、前記取付ベース部は、鋼板が曲げ加工されて構成され、前記下地材に取り付けるための取付板部、及び、前記取付板部から上方側へ延出する係合板部を有し、前記見切りカバー部は、鋼板が曲げ加工されて構成され、前記サイディングの端部の上方側を覆う見切りカバー板部、前記見切りカバー板部から下方側に延出し、前記サイディングの端部の側方側を覆うとともに前記係合板部と係合可能な被係合板部、及び、前記被係合板部と所定距離離間し、前記見切りカバー板部から下方側に延出するスペーサ板部を有し、前記見切りカバー板部と前記スペーサ板部は、前記見切り部材が前記下地材に取り付けられたときに、前記サイディングの端部とで囲まれた空間にコーキング材を収容することが可能なコーキング材収容部を画定可能に配置されている。
【0009】
本発明のサイディングの見切り構造は、サッシ、前記サッシ廻りのサイディング、前記サイディングの下地材、及び、前記サイディングの見切り部材を備えたサッシ廻りのサイディングの見切り構造において、前記見切り部材は、前記下地材に取り付けられた取付ベース部と、前記取付ベース部に取り付けることで前記サイディングの端部を覆うことが可能な見切りカバー部とを備えている。そして、前記取付ベース部は、鋼板が曲げ加工されて構成され、前記下地材に取り付けられた取付板部、及び、前記取付板部から上方側へ延出する係合板部を有し、前記見切りカバー部は、鋼板が曲げ加工されて構成され、前記サイディングの端部の上方側を覆う見切りカバー板部、前記見切りカバー板部から下方側に延出し、前記サイディングの端部の側方側を覆うとともに前記係合板部と係合可能な被係合板部、及び、前記被係合板部と所定距離離間し、前記見切りカバー板部から下方側に延出するスペーサ板部を有し、前記見切りカバー板部と前記スペーサ板部と前記サイディングの端部とで囲まれた空間にコーキング材が設けられている。なお、上述の上方側及び下方側は、サイディングと下地材との並び方向である積層方向において、サイディングの下に配置される下地材側を下方側とし、サイディング側を上方側として示している。
【発明の効果】
【0010】
本発明のサイディングの見切り部材によると、例えば、プレカットされたサイディングを用いるとき等に、サッシとサイディングとの間に生じた隙間の大きさにばらつきが生じていても、コーキング材収容部にコーキング材を収容することが可能であるため、サイディングと見切りカバー板部との間の隙間の入口部分から雨水などの水が浸入するのを抑制することができ、サッシの上下左右のいずれの枠廻りのサイディングに対しても適用可能である。また、コーキング材を見切りカバー部の見切りカバー板部の裏側に収容することが可能になるため、サッシ廻りのいずれの位置に配置しても外部からコーキング材が直視されにくくなる。この結果、外観を損ねることなく、サイディングと見切りカバー板部との間の隙間からの雨水などの水の浸入を抑制することができる。また、サッシの下方のみならず、サッシ廻りにおいて、下地材にサイディングを取り付けた後に見切りカバー部を取付ベース部に取り付けることが可能となり、作業性が向上する。
本発明のサイディングの見切り構造によると、例えば、プレカットされたサイディングを用いるとき等に、サッシとサイディングとの間に生じた隙間の大きさにばらつきが生じていても、見切りカバー板部とスペーサ板部とサイディングの外表面とで囲まれた空間にコーキング材が設けられているため、サイディングと見切りカバー板部との間の隙間の入口部分から雨水などの水が浸入するのを抑制することができる。また、コーキング材を見切りカバー板部の裏側に設けることが可能になるため、サッシ廻りのいずれの位置に配置しても外部からコーキング材が直視されにくくなる。この結果、外観を損ねることなく、サイディングと見切りカバー板部との間の隙間からの雨水などの水の浸入を抑制することができる。また、サッシの下方のみならず、サッシ廻りにおいて、下地材にサイディングを取り付けた後に見切りカバー部を取付ベース部に取り付けることが可能となり、作業性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態に係るサイディングの見切り部材がサッシ廻りに設置されたサイディングの見切り構造100の概略側面図である。
図2図1に示す取付ベース部の側面図である。
図3図1に示す見切りカバー部の側面図である。
図4】変形例に係るサイディングの見切り部材がサッシ廻りに設置されたサイディングの見切り構造200の概略側面図である。
図5図4に示す取付ベース部の側面図である。
図6図4に示す見切りカバー部の側面図である。
図7】(a)は他の変形例に係る取付ベース部の側面図、(b)は他の変形例に係る見切りカバー部の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態に係るサッシ廻りのサイディングの見切り部材が採用されたサイディングの見切り構造について、図1~3を参照しつつ以下に説明する。
【0013】
本実施形態における見切り構造100は、図1に示すように、サッシ1、当該サッシ1廻りのサイディング2、下地材3、サイディング2の見切り部材10、及び、コーキング材40を含む、サッシ1廻りのサイディング2の見切り構造である。コーキング材40は、見切り部材10とサイディング2とで画定される後述のコーキング材収容部50に収容される。図1には、上下方向、上下方向と直交する水平な内外方向(図中左右方向であってサイディング2と下地材3との並び方向である積層方向)であって、サイディング2の外側(図1中右側:上方側)を屋外側、及び、サイディング2の内側(図1中左側:下方側)を屋内側として示す。なお、図2及び図3についても、図1に示す上下方向、及び、内外方向を適宜反映して示す。
【0014】
本実施形態における下地材3は、図示しない柱及び間柱間等に配置される断熱材4、断熱材4の外表面に配置される透湿防水シート5、及び、透湿防水シート5の外表面に配置される胴縁6を含むが、サイディング2を取り付けるための下地材であればどのようなものであってもよい。また、下地材3に、柱及び間柱などを含んでもよい。
【0015】
本実施形態においては、見切り部材10が、サッシ1の下側に配置されている。見切り部材10は、サッシ1の延在方向に沿って長尺に形成されている。より詳細には、本実施形態における見切り部材10は、図1中紙面垂直方向に延在している。また、見切り部材10は、図1に示すように、取付ベース部20と、取付ベース部20に取り付けることでサイディング2の端部を覆うことが可能な見切りカバー部30とを有する。
【0016】
取付ベース部20は、図2に示すように、一枚の平板状の鋼板を折り曲げ加工することで構成されている。また、取付ベース部20は、図1に示すように、上下方向に延在し、下地材3に取り付けるための取付板部21と、係合板部22とを有する。取付板部21は、上下方向に延在する垂直な板状部材からなる。係合板部22は、図2に示すように、水平板部22aと、折返し部22bとを有する。水平板部22aは、鋼板が取付板部21の上端から外側に水平に延在するように、折り曲げられて構成されている。折返し部22bは、水平板部22aの外側端から内側端に向かってU字状に折り返されて構成されている。つまり、折返し部22bは、水平板部22aの先端部がヘミング加工されることで構成されている。なお、取付ベース部21は、図2中紙面垂直方向に長尺とされているが、本発明においては、短尺のものを複数取り付けて用いるようにしてもよい。また、取付板部21を胴縁6上に取り付けるようにしてもよい。
【0017】
見切りカバー部30も、図3に示すように、一枚の平板状の鋼板を折り曲げ加工することで構成されている。見切りカバー部30は、カバー板部31と、被係合板部32とを有する。カバー板部31は、図1に示すように、サイディング2の上端部の外表面(外側)2aを覆うための見切りカバー板部33と、見切り板部33とサイディング2の外表面2aとの間を離隔するためのスペーサ板部37と有する。
【0018】
見切りカバー板部33は、被係合板部32の外側端から下方に延在する垂直板部35aと、折返し部35bとを有する。折返し部35bは、垂直板部35aの下端から上端に向かってU字状に折り返されて構成されている。折返し部35bの上端は、垂直板部35aの上下方向の中途部、ここでは略中央に配置されている。見切りカバー板部33は、図1に示すように、上下方向の中央から下端までの部分がサッシ1から最も離れた端を含む離れ部分36を構成している。
【0019】
被係合板部32は、見切りカバー板部33の上端から内側に延在し、サイディング2の上端面2b(側方側)を覆うための第1水平板部32aと、第1水平板部32aの内側端から外側端に向かってU字状に折り返されて構成された第2水平板部32bと、第2水平板部32cの外側端から内側端に向かってU字状に折り返されて構成された第3水平板部32cと、折返し部32dとを有する。第3水平板部32cの先端(内側端)は、第2水平板部32bの内外方向の中途部、ここでは中央からやや外側端寄りに配置されている。第2水平板部32bと第3水平板部32cとの間に、係合板部22を挿入可能な凹部32eが形成されている。折返し部32dは、第3水平板部32cの内側端から外側端に向かってU字状に折り返されて構成されている。つまり、折返し部32dも、第3水平板部32cの先端部がヘミング加工されることで構成されている。折返し部32dは、凹部32e内に配置されるように、折り返されている。また、折返し部32dは、その先端が第3水平板部32cの内外方向の略中央に位置するように折り返されている。これにより、見切りカバー部30を取付ベース部20に取り付ける際に、係合板部22を凹部32eに挿入させることで、係合板部22の折返し部22bの先端と被係合部板部32の折返し部32dの先端とが対向した状態となる。
【0020】
スペーサ板部37は、図3に示すように、垂直板部(見切りカバー板部)35aの裏側から内側へ延出するように設けられている。より詳細には、スペーサ板部37は、折返し部35bの上端から内側に向かって水平に延在して見切りカバー板部33の離れ部分36形成されている。つまり、スペーサ板部37は、被係合板部32から下方に所定距離離隔して配置されている。このようなスペーサ板部37が形成されていることで、図1に示すように、見切りカバー部30を取付ベース部20に取り付けることで、見切りカバー板部33とサイディング2の外表面2aとを所定距離離隔することが可能となり、見切りカバー板部33の裏側(内側)にコーキング材40を収容可能なポケット(後述するコーキング材収容部50)を設けることができる。また、スペーサ板部37は、見切りカバー部30を取付ベース部20に取り付けた状態において、その先端がサイディング2の外表面2aと近接乃至当接可能な長さに形成されている。
【0021】
このように、見切りカバー板部33とスペーサ板部37は、図1に示すように、見切り部材10が下地材3に取り付けられたときに、サイディング2の外表面2aとで囲まれた空間にコーキング材40を収容することが可能なコーキング材収容部50を画定可能に配置されている。
【0022】
続いて、サッシ1廻りに見切り部材10を取り付けるときの状況について、図1を参照しつつ以下に説明する。まず、サッシ1の下方であって、サイディング2が固定される前の下地材3に、取付ベース部20を固定する。このとき、取付ベース部20の取付板部21を、上下方向に立設させた状態で透湿防水シート5の表面上に配置し、係合板部22をサッシ1の下面に近接させ、取付板部21を下地材3にビス(不図示)などで固定する。また、このとき、取付ベース部20の係合板部22とサッシ1との間には、見切りカバー部30の第1水平板部32a及び第2水平板部32bが挿入可能な隙間7が設けられている。なお、変形例として、隙間7をより簡易に形成し得るように、図7(a)に示すように、取付ベース部320の取付板部21を係合板部22との交点(両者を接続する角部)よりも上方に延出させた突起部21aを設けるようにしてもよい。この場合、突起部21aをサッシ1の下端に当接して取付ベース部320を下地材3に固定すれば適当な隙間7を簡単に形成することができる。また、適当な厚みの板を係合板部22とサッシ1との間に挟んで取付ベース部20を下地材3に固定した後に当該板を取り除いても隙間7を簡単に形成することができる。
【0023】
次に、プレカットされたサイディング2を胴縁6に当接させた状態で、留付金具、ビス(不図示)などを用いて固定する。このとき、サイディング2の上端とサッシ1との間には、隙間8が形成される。本実施形態におけるサイディング2は、予め工場でプレカットされたものであり、施工現場で切断する必要がないため、作業効率が向上する。また、プレカットによるサイディング2を用いることで、隙間8の上下方向の高さの微調整がし辛いが、当該隙間8は見切りカバー部30によって覆われるため、外観が損なわれない。また、本実施形態においては、隙間8部分に取付ベース部20の係合板部22の折返し部22bが位置している。このことによって、下地材3に取付ベース部20を取り付けたときに隙間7の幅寸法にバラツキが生じたとしても、サイディング2を貼り付けた後であっても係合板部22の折返し部22aが視認可能で、その後の見切りカバー部30の取付作業を容易に行うことができる。
【0024】
次に、見切りカバー部30を取付ベース部20に取り付ける。このとき、見切りカバー部30の被係合板部32をサッシ1に沿わせながら、見切りカバー部30の第1水平板部32a及び第2水平板部32bを、隙間7に挿入しつつ、被係合板部32の凹部32eに係合板部22を挿入する。これにより、係合板部22の折返し部22bの先端と被係合板部32の折返し部32dの先端とが対向した状態で、見切りカバー部30が取付ベース部20に取り付けられる。このため、取付ベース部20に取り付けられた見切りカバー部30が屋外側に引っ張られても、折返し部22bの先端と折返し部32dの先端とが突き合わされた状態で係合するため、見切りカバー部30が取付ベース部20から脱落しにくくなる。また、見切りカバー部30の被係合板部32がサッシ1の下面と当接した状態となり、見切りカバー部30が安定して配置される。こうして、見切りカバー部30でサイディング2の上端部が覆われる。
【0025】
この後、見切りカバー板部33の離れ部分36とスペーサ板部37とサイディング2の外表面2aとで囲まれてなるコーキング材収容部50に、コーキング材40を収容する。なお、コーキング材40をサイディング2の端部の外表面2aにと所定量塗着後に見切りカバー部30を取付ベース部20に取り付けるようにすることで、コーキング材40が離れ部分36(見切りカバー板部33)とサイディング2の間からはみ出すことなく見切りカバー板部33の裏側にコーキング材40を設けることもできる。これにより、見切りカバー部30(見切り部材10)とサイディング2との間の隙間から雨水などの水が下地材3側に浸入するのを抑制することができる。こうして、見切り構造100が構成される。なお、見切り部材10の設置後、垂直部35とサッシ1の下面とでなす角部に三角コーキング41を施すことで、サッシ1と見切り部材10との間から、雨水などの水が浸入するのを抑制することが可能となる。
【0026】
以上に述べたように、本実施形態における見切り部材10及び見切り構造100によると、例えば、プレカットされたサイディング2を用いるとき等に、サッシ1とサイディング2との間に生じた隙間8の大きさにばらつきが生じていても、コーキング材収容部50にコーキング材40を収容することが可能であるため、サイディング2と見切りカバー部30との間の隙間の入口部分から雨水などの水が浸入するのを抑制することができるので、サッシ1の上下左右のいずれの枠に対しても適用可能となる。また、コーキング材40を見切りカバー部30の見切りカバー板部33の裏側に収容することが可能になるため、サッシ1廻りのいずれの位置に配置しても外部からコーキング材40が直視されにくくなる。この結果、外観を損ねることなく、サイディング2と見切りカバー部30との間の隙間からの雨水などの水の浸入を抑制することができる。また、サッシ1の下方において、下地材3にサイディング2を取り付けた後に見切りカバー部30を取付ベース部20に取り付けることが可能となり、作業性が向上する。
【0027】
上述の実施形態においては、サッシ1の下方に見切り部材10を配置していたが、サッシ1の左右及び上方に、上述の実施形態と同様に配置し、見切り部材10とサイディングとの間の隙間からの雨水などの水の浸入を抑制してもよい。なお、サッシ1の左右に見切り部材10を配置するときは、図1に示す見切り部材10を内外方向に沿った回転軸を中心として90°回転させて設置すればよい。また、サッシ1の上方に見切り部材10を配置することは、図1に示す見切り部材10を内外方向に沿った回転軸を中心として180°回転させて設置すればよい。これらにおいても、上述の実施形態と同様の効果を得ることができる。さらに、上述の実施形態においては、胴縁6は横胴縁とされているが、当然竪胴縁であってもよく、いずれの向きの胴縁に対しても本発明の見切り部材を好ましく適用することができる。したがって、見切り部材10及び見切り構造100によると、サッシ1の下方のみならず、サッシ1廻りにおいて、上述の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0028】
変形例として、図4図6に示すように、取付ベース部220の係合板部222の図4中内外方向の長さが上述の係合板部22よりも短く、見切りカバー部230の被係合板部232の第2水平板部232bの内外方向の長さが上述の第2水平板部32bよりも短い、見切り部材210であってもよい。本変形例の見切り部材210において、上述の見切り部材10と同じ構成である部分については、同符号で示し、説明を省略する。
【0029】
本変形例における見切り部材210の係合板部222は、図4及び図5に示すように、上述の水平板部22aよりも内外方向の長さの短い水平板部222aを有している。本変形例における水平板部222aの内外方向の長さは、下地材3の透湿防水シート5とサイディング2との間の距離よりも短い。つまり、胴縁6の厚さよりも短い。このことによって、サイディング2を胴縁上に貼り付けるときに、サイディング2の上端部等が誤って係合板部222に接触して係合板部222の延出向きが変わったり変形したりして、取付ベース部220の係合板部222に見切りカバー部230の被係合板部232を係合する作業が困難となることを軽減することができる。
【0030】
本変形例における見切り部材210の見切りカバー部230は、図4及び図6に示すように、上述の第2水平板部32bよりも内外方向の長さの短い第2水平板部232bを有している。本変形例における第2水平板部232bの内外方向の長さは、下地材3の透湿防水シート5とサイディング2との間の距離よりも短く、水平板部222aよりも若干長い。このような見切り部材210も、上述の見切り部材10と同様にして、サッシ1廻りに設置可能であり、図4に示す見切り構造200が構成される。このような変形例による見切り部材210及びこれを採用した見切り構造200においても、上述と同様な構成においては、同じ効果を得ることができる。
【0031】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な変更が可能なものである。例えば、上述の実施形態及び変形例においては、取付ベース部20,220の係合板部22,222が水平な板状部材であり、見切りカバー部30,230の被係合板部32,232は係合板部22,222が挿入される凹部32eを有していたが、これらが逆の構成であってもよい。つまり、見切りカバー部30,230の被係合板部32,232が水平な板状部材であり、取付ベース部20,220の係合板部22,222が、被係合板部32,232の水平な板状部材が挿入される凹部32eを有するように構成されていてもよい。このような変形例における見切り部材であっても、上述の実施形態及び変形例と同様に、取付ベース部に見切りカバー部を取り付けることが可能となり、同様な構成においては同じ効果を得ることができる。加えて、取付ベース部を下地材3に取り付ける際、サッシ1との隙間を考慮することなく凹状の係合板部をサッシ1に当接させて取り付けることができ、見切りカバー部の被係合板部を取付ベース部の凹状の係合板部に係合させるときも被係合板部をサッシ1に沿わせて凹状の係合板部に容易に挿し込んで見切りカバー部を取り付けることができる。
【0032】
また、上述の実施形態及び変形例においては、スペーサ板部37が水平に延在していることで、コーキング材収容部50が見切りカバー板部33の離れ部分36とスペーサ板部37とサイディング2の外表面2aとでなすコの字形状部分内に構成されていたが、図7(b)に示すように、見切りカバー部330の垂直板部35aの先端(下端)から内側上方へ斜めに延在させた傾斜面を有するスペーサ板部337としてもよい。スペーサ板部337が傾斜することで、取付ベース部に見切りカバー部330を取り付けたときに、取付ベース部の垂直板部35a(見切りカバー板部333)とサイディング2との間の距離が多少異なっていてもスペーサ板部337の傾斜角度が変わることで吸収することができる。また、スペーサ板部37の先端(サイディング2側の端)が基端よりも上方に位置するように傾斜していてもよい。このとき、離れ部分36をなす折返し部35bが形成されておらず、スペーサ板部が、離れ部分36の下端(垂直板部35aの下端)からサイディング2に向かって斜め上方に傾斜していてもよい。こうすることで、スペーサ板部とサイディング2の外表面2aとでなす三角形状部分内に、コーキング材収容部が構成されていてもよい。これらにおいても、上述と同様の効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0033】
1 サッシ
2 サイディング
2a 外表面
3 下地材
10,210 見切り部材
20,220,320 取付ベース部
21 取付板部
22,222 係合板部
30,230,330 見切りカバー部
31 カバー板部
32,232 被係合板部
33 見切りカバー板部
36 離れ部分
37,337 スペーサ板部
40 コーキング材
50 コーキング材収容部
100,200 見切り構造
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7