(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022137361
(43)【公開日】2022-09-22
(54)【発明の名称】シート装置
(51)【国際特許分類】
B60N 2/16 20060101AFI20220914BHJP
A47C 7/50 20060101ALI20220914BHJP
B60N 2/90 20180101ALI20220914BHJP
B60N 3/06 20060101ALN20220914BHJP
【FI】
B60N2/16
A47C7/50 Z
B60N2/90
B60N3/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021036848
(22)【出願日】2021-03-09
(71)【出願人】
【識別番号】000220066
【氏名又は名称】テイ・エス テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116034
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 啓輔
(74)【代理人】
【識別番号】100144624
【弁理士】
【氏名又は名称】稲垣 達也
(72)【発明者】
【氏名】東 洋祐
【テーマコード(参考)】
3B087
3B088
【Fターム(参考)】
3B087AA02
3B087BA15
3B087BB25
3B087DE09
3B087DE10
3B088JA02
3B088JB01
(57)【要約】
【課題】着座者の脚の動きを検出するのに適したシート装置を提供する。
【解決手段】シート装置1は、シートクッションS1に設けられ、シートクッションS1の座面の圧力を検出する右前センサ21Rと左前センサ21Lと、シートクッションS1の高さを変更する高さ調整機構40と、右前センサ21Rと左前センサ21Lが検出した圧力に基づいて高さ調整機構40を制御する制御部31とを備える。右前センサ21Rおよび左前センサ21Lは、シートクッションS1の座面の中央よりも前に位置する。右前センサ21Rは、左右方向においてシートクッションS1の座面の中央より右に位置する。左前センサ21Lは、左右方向においてシートクッションS1の座面の中央より左に位置する。制御部31は、右前センサ21Rおよび左前センサ21Lが検出した圧力が所定の条件を満たすように高さ調整機構40を制御してシートクッションS1の高さを変更する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートクッションを有するシート本体と、
前記シートクッションに設けられ、前記シートクッションの座面の圧力を検出する複数の圧力センサと、
前記シートクッションの高さを変更する高さ調整機構と、
前記圧力センサが検出した圧力に基づいて前記高さ調整機構を制御する制御部とを備え、
前記複数の圧力センサは、前後方向において前記シートクッションの座面の中央よりも前、かつ、左右方向において前記シートクッションの座面の中央より右に位置する右前センサと、前後方向において前記シートクッションの座面の中央よりも前、かつ、左右方向において前記シートクッションの座面の中央より左に位置する左前センサと、を含み、
前記制御部は、
前記右前センサおよび前記左前センサが検出した圧力が所定の条件を満たすように前記高さ調整機構を制御して前記シートクッションの高さを変更することを特徴とするシート装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記右前センサおよび前記左前センサで検出した圧力が基準値以下である場合、前記シートクッションを上昇させ、前記右前センサおよび前記左前センサで検出した圧力の単位時間あたりの変化量が第1しきい値以下となったときに前記シートクッションを停止させることを特徴とする請求項1に記載のシート装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記右前センサおよび前記左前センサで検出した圧力が基準値以下でない場合、前記右前センサおよび前記左前センサで検出した圧力の単位時間あたりの変化量が第2しきい値以上になるまで前記シートクッションを下降させた後、前記シートクッションを上昇させ、前記右前センサおよび前記左前センサで検出した圧力の単位時間あたりの変化量が第1しきい値以下となったときに前記シートクッションを停止させることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のシート装置。
【請求項4】
シートクッションを有するシート本体と、
前記シートクッションに設けられ、前記シートクッションの座面の圧力を検出する複数の圧力センサと、
シートクッションに座った着座者の足を支持するフットレストと、
前記シートクッションに対する前記フットレストの高さを変更するフットレスト調整機構と、
前記圧力センサが検出した圧力に基づいて前記フットレスト調整機構を制御する制御部とを備え、
前記複数の圧力センサは、前後方向において前記シートクッションの座面の中央よりも前、かつ、左右方向において前記シートクッションの座面の中央より右に位置する右前センサと、前後方向において前記シートクッションの座面の中央よりも前、かつ、左右方向において前記シートクッションの座面の中央より左に位置する左前センサと、を含み、
前記制御部は、
前記右前センサおよび前記左前センサが検出した圧力が所定の条件を満たすように前記フットレスト調整機構を制御して前記フットレストの高さを変更することを特徴とするシート装置。
【請求項5】
前記制御部は、
前記右前センサおよび前記左前センサで検出した圧力が基準値以下である場合、前記フットレストを下降させ、前記右前センサおよび前記左前センサで検出した圧力の単位時間あたりの変化量が第1しきい値以下となったときに前記フットレストを停止させることを特徴とする請求項4に記載のシート装置。
【請求項6】
前記制御部は、
前記右前センサおよび前記左前センサで検出した圧力が基準値以下でない場合、前記右前センサおよび前記左前センサで検出した圧力の単位時間あたりの変化量が第2しきい値以上になるまで前記フットレストを上昇させた後、前記フットレストを下降させ、前記右前センサおよび前記左前センサで検出した圧力の単位時間あたりの変化量が第1しきい値以下となったときに前記フットレストを停止させることを特徴とする請求項4または請求項5に記載のシート装置。
【請求項7】
前記第1しきい値は、0より大きい値であることを特徴とする請求項2、請求項3、請求項5および請求項6のいずれか1項に記載のシート装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記右前センサが検出した圧力が減少したことに基づいて、前記シート本体に座った着座者の右脚が上がったことを判定し、前記左前センサが検出した圧力が減少したことに基づいて、前記シート本体に座った着座者の左脚が上がったことを判定するように構成されていることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載のシート装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧力センサを備えるシート装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、フットレストを備える車両のシート装置において、乗員が最適な姿勢で着席できるように、フットレストまたはシートを上下動させるものが知られている(特許文献1)。このシート装置では、フットレストに圧力検出手段を有している。そして、シートクッションにも前と後に2つのシート圧力検出手段を設け、フットレストの圧力検出手段が検出した圧力と、シート圧力検出手段が検出した圧力の差が小さくなるようにフットレストまたはシートの高さを変更している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、出願人はシートに設けた圧力センサを用いて、シートに座った着座者の動きを検出して、様々なものに応用することを検討している。このような場合、従来技術では、シートクッションまたはフットレストを、目的に応じた適切な高さに設定することができないという問題がある。例えば、従来技術では、シートクッションの前と後に1つずつシート圧力検出手段があるだけであるので、着座者の各脚の圧力が適切になるように設定することができない。
【0005】
そこで、本発明は、着座者の脚の動きを検出するのに適したシート装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記した課題を解決するシート装置は、シートクッションを有するシート本体と、シートクッションに設けられ、シートクッションの座面の圧力を検出する複数の圧力センサと、シートクッションの高さを変更する高さ調整機構と、圧力センサが検出した圧力に基づいて高さ調整機構を制御する制御部とを備える。複数の圧力センサは、前後方向においてシートクッションの座面の中央よりも前、かつ、左右方向においてシートクッションの座面の中央より右に位置する右前センサと、前後方向においてシートクッションの座面の中央よりも前、かつ、左右方向においてシートクッションの座面の中央より左に位置する左前センサと、を含む。制御部は、右前センサおよび左前センサが検出した圧力が所定の条件を満たすように高さ調整機構を制御してシートクッションの高さを変更する。
【0007】
このような構成によれば、シートクッションが、右前センサと左前センサを有し、制御部が、右前センサと左前センサが検出した圧力が所定の条件を満たすように高さ調整機構を制御するので、シートクッションを、着座者の脚の動きを検出するのに適した高さにすることができる。
【0008】
制御部は、右前センサおよび左前センサで検出した圧力が基準値以下である場合、シートクッションを上昇させ、右前センサおよび左前センサで検出した圧力の単位時間あたりの変化量が第1しきい値以下となったときにシートクッションを停止させてもよい。
【0009】
制御部は、右前センサおよび左前センサで検出した圧力が基準値以下でない場合、前記右前センサおよび前記左前センサで検出した圧力の単位時間あたりの変化量が第2しきい値以上になるまでシートクッションを下降させた後、シートクッションを上昇させ、右前センサおよび左前センサで検出した圧力の単位時間あたりの変化量が第1しきい値以下となったときにシートクッションを停止させてもよい。
【0010】
また、前記した課題を解決するシート装置は、シートクッションを有するシート本体と、シートクッションに設けられ、シートクッションの座面の圧力を検出する複数の圧力センサと、シートクッションに座った着座者の足を支持するフットレストと、シートクッションに対するフットレストの高さを変更するフットレスト調整機構と、圧力センサが検出した圧力に基づいてフットレスト調整機構を制御する制御部とを備える。複数の圧力センサは、前後方向においてシートクッションの座面の中央よりも前、かつ、左右方向においてシートクッションの座面の中央より右に位置する右前センサと、前後方向においてシートクッションの座面の中央よりも前、かつ、左右方向においてシートクッションの座面の中央より左に位置する左前センサと、を含む。制御部は、右前センサおよび左前センサが検出した圧力が所定の条件を満たすようにフットレスト調整機構を制御してフットレストの高さを変更する。
【0011】
このような構成によれば、シートクッションが、右前センサと左前センサを有し、制御部が、右前センサと左前センサが検出した圧力が所定の条件を満たすようにフットレスト調整機構を制御するので、フットレストを、着座者の脚の動きを検出するのに適した高さにすることができる。
【0012】
制御部は、右前センサおよび左前センサで検出した圧力が基準値以下である場合、フットレストを下降させ、右前センサおよび左前センサで検出した圧力の単位時間あたりの変化量が第1しきい値以下となったときにフットレストを停止させてもよい。
【0013】
制御部は、右前センサおよび左前センサで検出した圧力が基準値以下でない場合、右前センサおよび左前センサで検出した圧力の単位時間あたりの変化量が第2しきい値以上になるまでフットレストを上昇させた後、フットレストを下降させ、右前センサおよび左前センサで検出した圧力の単位時間あたりの変化量が第1しきい値以下となったときにフットレストを停止させてもよい。
【0014】
第1しきい値は、0より大きい値であることが望ましい。
【0015】
このような構成によれば、脚を上下動させたときに、右前センサと左前センサが検出する圧力値が変化しやすいので、着座者の脚の動きを検出し易い。
【0016】
制御部は、右前センサが検出した圧力が減少したことに基づいて、シート本体に座った着座者の右脚が上がったことを判定し、左前センサが検出した圧力が減少したことに基づいて、シート本体に座った着座者の左脚が上がったことを判定するように構成されていてもよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明のシート装置によれば、着座者の脚の動きを検出し易い。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】第1実施形態に係るシート装置を示す図である。
【
図2】シートクッションの上下動作を説明する図であり、(a)下降した状態と、(b)中間的な位置にある状態と、(c)上昇した状態を示す。
【
図4】着座時にシートクッションが低すぎる場合の、圧力の変化(a)と高さ調整機構の動作(b)を示すタイミングチャートである。
【
図5】着座時にシートクッションが高すぎる場合の、圧力の変化(a)と高さ調整機構の動作(b)を示すタイミングチャートである。
【
図6】第2実施形態におけるフットレストの上下動作を説明する図であり、(a)上昇した状態と、(b)中間的な位置にある状態と、(c)下降した状態を示す。
【
図7】第2実施形態における制御部の処理を示すフローチャートである。
【
図8】第2実施形態において、着座時にフットレストが高すぎる場合の、圧力の変化(a)とフットレスト調整機構の動作(b)を示すタイミングチャートである。
【
図9】第2実施形態において、着座時にフットレストが低すぎる場合の、圧力の変化(a)とフットレスト調整機構の動作(b)を示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
[第1実施形態]
次に、本発明の第1実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
図1に示すように、本実施形態のシート装置1は、シートSと、シート体験装置10とを含んでなる。シート装置1は、車両に設置されていてもよいし、車両以外の施設等に設置されていてもよい。
シートSは、シート本体S10と、圧力センサ21~26とを備えてなる。シート本体S10は、シートクッションS1、シートバックS2およびヘッドレストS3を有する。シートクッションS1とシートバックS2には、表皮の下に複数の圧力センサ21~26が設けられている。
【0020】
図示は省略するが、シートクッションS1、シートバックS2およびヘッドレストS3は、それぞれ、シートフレームと、シートフレームに被せられたパッドと、パッドに被せられた表皮とを含んでなる。そして、圧力センサ21~26は、パッドと表皮の間に配置されている。
【0021】
圧力センサ21~26は、シート本体S10に着座するユーザに対向する座面の状態を検知可能に配置され、シート本体S10に座っているユーザから座面にかかる圧力を検出する。
【0022】
各圧力センサ21~26は、シートSの左右の中心に対して左右対称に(左右に並んで)1対ずつ設けられている。なお、以下の説明や図面においては、左側に配置される圧力センサ21~26については、符号の末尾に「L」を付し、右側に配置される圧力センサ21~26については、符号の末尾に「R」を付して区別することもある。
【0023】
シートクッションS1には、圧力センサ21~23が設けられている。
右側の圧力センサ21である右前センサ21Rは、前後方向においてシートクッションS1の座面の中央よりも前、かつ、左右方向においてシートクッションS1の座面の左右方向の中央よりも右に位置している。右前センサ21Rは、ユーザの右脚の大腿の下に位置し、ユーザの右脚の大腿からの圧力を測定可能である。
左側の圧力センサ21である左前センサ21Lは、前後方向においてシートクッションS1の座面の中央よりも前、かつ、左右方向においてシートクッションS1の座面の左右方向の中央よりも左に位置している。左前センサ21Lは、ユーザの左脚の大腿の下に位置し、ユーザの左脚の大腿からの圧力を測定可能である。
【0024】
圧力センサ22および圧力センサ23は、ユーザの臀部からの圧力を測定するためのものである。なお、圧力センサ22および圧力センサ23は、いずれも、ユーザの臀部からの圧力を測定するためのものであるため、いずれか一方のみが設けられていてもよい。圧力センサ22および圧力センサ23は、前後方向においてシートクッションS1の座面の中央よりも後に位置している。
【0025】
圧力センサ22および圧力センサ23は、圧力センサ21から後方に大きく離れて配置されている。詳しくは、圧力センサ23は、ユーザの坐骨の最下部に対応する位置に設けられている。この位置では、ユーザの荷重が最も大きくかかる。圧力センサ22は、圧力センサ23の少し前に配置されている。
【0026】
シートバックS2には、圧力センサ24~26が設けられている。圧力センサ24は、ユーザの腰の後ろに対応する位置に設けられている。
【0027】
圧力センサ25は、圧力センサ24の少し上に配置されている。
【0028】
圧力センサ24および圧力センサ25は、いずれも、ユーザの腰からの圧力を測定するためのものであり、いずれか一方のみが設けられていてもよい。
【0029】
圧力センサ26は、圧力センサ24および圧力センサ25から上方に大きく離れて配置されている。圧力センサ26は、ユーザの肩に対応して位置し、ユーザの肩からの圧力を測定可能である。
【0030】
シート装置1は、シートクッションS1の高さを調整する高さ調整機構40を有する。高さ調整機構40は、ベース部41と、フロントリンク42と、リアリンク43と、駆動源45とを備えてなる。ベース部41は、部屋の床、車両のフロア、または、前後スライドレールなどに設置される部分であり、シートSを支持する。フロントリンク42およびリアリンク43は、それぞれ、下端がベース部41に回動可能に連結され、上端が、シートクッションS1の図示しないフレームに回動可能に連結されている。フロントリンク42は、リアリンク43よりも前に位置する。リアリンク43は、上端部の回動軸を中心とする円弧上に配列されたギヤ歯(図示省略)を有する。駆動源45は、図示しない正逆回転可能なモータと減速ギヤとを含み、モータの回転を減速させて回転する出力ギヤが、リアリンク43のギヤ歯と係合してリアリンク43を回動させるものである。
図2(a)~(c)に示すように、ベース部41、フロントリンク42、リアリンク43およびシートクッションS1のフレームは、四節リンクを構成する。
図2(a)に示すように、フロントリンク42およびリアリンク43が水平に近く寝た状態では、シートクッションS1は低い位置に位置する。
図2(a)のようにシートクッションS1が低い位置にある状態から、駆動源45のモータが正転すると、
図2(b),(c)のように、フロントリンク42およびリアリンク43が起き上がり、シートクッションS1が上昇する。逆に、
図2(c)のようにシートクッションS1が高い位置にある状態から、駆動源45のモータが逆転すると、
図2(b),(a)のように、フロントリンク42およびリアリンク43が寝て、シートクッションS1が下降する。
【0031】
図1に戻り、シート体験装置10は、ECU100(電子制御ユニット)と、端末30とを有してなる。端末30は、制御部31を有している。
ECU100には、ブルートゥース(登録商標)またはWi-Fi(登録商標)などの近距離無線通信を可能にする近距離通信機3Aが接続されている。また、ECU100は、圧力センサ21~26と接続されている。本実施形態では、ECU100と近距離通信機3Aは、シート本体S10に設けられている。
【0032】
ECU100および制御部31は、図示しないCPU、ROM、RAM、書換可能な不揮発性メモリ等を有し、予め記憶されたプログラムを実行する。ECU100は、各圧力センサ21~26から取得した測定値を、近距離通信機3Aを介して制御部31に送信する機能を有している。つまり、制御部31は、圧力センサ21~26から測定値を取得可能に圧力センサ21~26と接続されている。
【0033】
端末30は、画面としてのディスプレイDSPをさらに備えている。ここで、ディスプレイDSPは、タッチパネルであり、ユーザは、ディスプレイDSP上に表示されたボタンを操作することで、ゲームを開始するなどの操作を行うことが可能となっている。端末30の制御部31は、プログラムに従って動作し、圧力センサ21が検出した圧力に基づいて高さ調整機構40を制御するとともに、ゲーム等のアプリケーションを着座者に提供する。端末30は、ディスプレイDSPをシート本体S10に向けた状態で、シート本体S10の前に配置されている。
【0034】
本実施形態においては、シート装置1は、一例として、各圧力センサ21~23を使用して、脚の上下動に応じてキャラクターを競争させるゲームを提供することができる。このようなゲームを提供する制御部31は、着座者Pが右脚を上げると、右前センサ21Rの圧力P1Rが減少したことに基づいて、シート本体S10に座った着座者Pの右脚が上がったことを判定する。一方、制御部31は、左前センサ21Lが検出した圧力P1Lが減少したことに基づいて、シート本体に座った着座者の左脚が上がったことを判定する。そして、右脚または左脚が上がったことを判定すると、ディスプレイDSPに表示されているキャラクターを一歩進ませる。ゲームの内容およびその処理の詳細については、詳細な説明を省略する。右脚または左脚が上がったことを判定することにより提供し得るアプリケーションは、このような競争のゲームに限定されない。
【0035】
次に、シートクッションS1の高さの調整について説明する。
図2(a)~(c)に示すように、着座者Pがシート本体S10に座ったとき、そのときのシートクッションS1の高さに応じて、
図2(a)のように、シートクッションS1が低ければ、着座者Pの足FTが床Fに着き、着座者Pの脚LGがシートクッションS1から離れ、圧力センサ21にほとんど圧力が掛からないことがある。この場合には、着座者Pが脚LGを上下に動かしても、圧力センサ21(21R,21L)の圧力P1
R,P1
Lの値がほとんど変化しないので、脚LGの動作の検出には不都合である。また、シートクッションS1の高さが中間的であれば、
図2(b)のように、着座者Pの足FTが床Fに着き、脚LGが圧力センサ21を適度に押して、適切な状態となることもある。また、シートクッションS1の高さが高ければ、
図2(c)のように、着座者Pの足FTが床Fから離れ、脚LGが圧力センサ21を押しすぎた状態となることもある。
図2(c)の場合には、着座者Pが脚LGを上下に動かせば、圧力センサ21(21R,21L)の圧力P1
R,P1
Lの値が変化するので、脚LGを動かしたことの検出は可能であるが、脚LGが動かしづらかったり、
図2(b)のような適切な状態と比較すると、圧力P1
R,P1
Lの変化の幅などが変わってきたりするので、制御部31において、適切な動作の判定ができないおそれがある。
【0036】
ここでは、一例として
図2(b)の位置でシートクッションS1の高さが適切であるように説明したが、着座者Pの脚LGの長さによって、シートクッションS1の適切な高さは異なる。そこで、本実施形態のシート装置1では、制御部31は、
図2(b)のような、床Fと、シートクッションS1の着座面の高さの関係が、座っている着座者Pに適した状態となるように、高さ調整機構40を制御する。この高さ調整の制御は、ディスプレイDSP等を通じて着座者が調整の指示を入力することで開始すればよい。もしくは、シートクッションS1の後寄りの圧力センサ22,23が、着座者Pの重さにより圧力を検出し、この圧力の値が安定した場合に開始してもよい。
【0037】
制御部31は、シートクッションS1の高さ調整をする場合、右前センサ21Rおよび左前センサ21Lが検出した圧力が所定の条件を満たすように高さ調整機構40を制御してシートクッションの高さを変更する。具体的には、制御部31は、右前センサ21Rおよび左前センサ21Lで検出した圧力P1R,P1Lが基準値Ps以下である場合、シートクッションS1を上昇させ、右前センサ21Rおよび左前センサ21Lで検出した圧力の単位時間あたりの変化量ΔPが第1しきい値ΔPth1以下となったときにシートクッションS1を停止させる。
【0038】
また、制御部31は、右前センサ21Rおよび左前センサ21Lで検出した圧力P1R,P1Lが基準値Ps以下でない場合、右前センサ21Rおよび左前センサ21Lで検出した圧力P1R,P1Lの単位時間あたりの変化量ΔPが第2しきい値ΔPth2以上になるまでシートクッションS1を下降させる。その後、シートクッションS1を上昇させ、右前センサ21Rおよび左前センサ21Lで検出した圧力の単位時間あたりの変化量ΔPが第1しきい値ΔPth1以下となったときにシートクッションS1を停止させる。
【0039】
本願において、変化量ΔPは、圧力の単位時間あたりの変化の大きさであり、正の値を意味する。変化量ΔPは、例えば、圧力P1Rについて、前回値と今回値の差の絶対値で算出することができる(|ΔP1R|とする。)。また、変化量ΔPは、圧力P1Lについて、前回値と今回値の差の絶対値で算出することができる(|ΔP1L|とする。)。
【0040】
基準値Psは、シートクッションS1が、座っている着座者Pにとって、低すぎるか否かを判定する値であり、多くの着座者Pにとって圧力P1R,P1Lが小さすぎるような値である。
【0041】
第1しきい値ΔPth1は、0より大きい値である。第1しきい値ΔPth1は、小さい値ではあるが、着座者Pが脚LGを上げ始めたときにも検出が可能なように、適度な変化量の値が設定される。
【0042】
第2しきい値ΔPth2は、第1しきい値ΔPth1よりも大きな値であり、圧力P1R,P1Lが基準値Psに近い値を示すと想定されるような変化量の値が設定される。
【0043】
圧力P1Rと圧力P1Lは、通常、ほぼ同じ値である。そのため、本願において、「圧力P1R,P1Lが基準値Ps以下であるか否か」の条件の判定は、下記の(1)~(4)の場合を含み、これらと同等の判定をするものであってもよい。
(1)圧力P1Rおよび圧力P1Lの両方が、基準値Ps以下である
(2)圧力P1Rおよび圧力P1Lの少なくとも一方が、基準値Ps以下である
(3)圧力P1Rおよび圧力P1Lの平均値が基準値Ps以下である
(4)圧力P1Rおよび圧力P1Lの一方のみに着目し、その一方の値が基準値Ps以下である
【0044】
変化量ΔPが、第1しきい値ΔPth1などのしきい値よりも大きいか否か(小さいか否か)の条件の判定は、下記の(1)~(4)の場合を含み、これらと同等の判定をするものであってもよい。
(1)圧力P1Rの変化量|ΔP1R|がしきい値より大きい(小さい)、かつ、圧力P1Lの変化量|ΔP1L|がしきい値より大きい(小さい)
(2)圧力P1Rの変化量|ΔP1R|がしきい値より大きい(小さい)、および、圧力P1Lの変化量|ΔP1L|がしきい値より大きい(小さい)の少なくとも一方を満たす
(3)圧力P1Rの変化量|ΔP1R|と圧力P1Lの変化量|ΔP1L|の平均値がしきい値より大きい(小さい)
(4)圧力P1Rの変化量|ΔP1R|と圧力P1Lの変化量|ΔP1L|の一方のみに着目し、その一方の値がしきい値より大きい(小さい)
【0045】
本実施形態においては、上述の圧力P1R,P1Lと変化量ΔPの値の判定について、上述のうち、(1)の例で説明する。
【0046】
次に
図3を参照して、制御部31によるシートクッションS1の高さ調整の処理の一例について説明する。
図3に示すように、制御部31は、高さ調整の制御を開始すると、まず、右前センサ21Rが検出した圧力P1
Rと左前センサ21Lが検出した圧力P1
Lを取得する(S101)。そして、取得した圧力値P1
R,P1
Lが、ともに基準値Ps以下であるかを判定する(S102)。制御部31は、圧力値P1
R,P1
Lが、ともに基準値Ps以下であると判定しない場合(S102,No)、駆動源45を制御してシートクッションS1を下降させる(S110)。そして、制御部31は、圧力P1
Rの変化量|ΔP1
R|と圧力P1
Lの変化量|ΔP1
L|が、ともに第2しきい値ΔPth2以上であるかを判定する(S111)。制御部31は、変化量|ΔP1
R|と変化量|ΔP1
L|が、ともに第2しきい値ΔPth2以上であると判定しない場合は(S111,No)、ステップS110に戻り、シートクッションS1の下降を続ける。
【0047】
制御部31は、ステップS102で、圧力P1R,P1Lが、ともに基準値Ps以下であると判定した場合(Yes)、または、ステップS111で、変化量|ΔP1R|と変化量|ΔP1L|が、ともに第2しきい値ΔPth2以上であると判定した場合(Yes)、駆動源45を制御してシートクッションS1を上昇させる(S120)。
【0048】
そして、制御部31は、変化量|ΔP1R|と変化量|ΔP1L|がともに第1しきい値ΔPth1以下であるかを判定する(S121)。制御部31は、変化量|ΔP1R|と変化量|ΔP1L|がともに第1しきい値ΔPth1以下であると判定しない場合(S121,No)、ステップS120に戻ってシートクッションS1の上昇を続け、変化量|ΔP1R|と変化量|ΔP1L|がともに第1しきい値ΔPth1以下であると判定した場合(S121,Yes)、駆動源45を止めて、シートクッションS1を停止させ(S130)、処理を終了する。
【0049】
このような処理によって、シートクッションS1の高さを調整した場合の動作の一例について説明する。
まず、
図2(a)のように、シートクッションS1が低すぎる状態だった場合について説明する。この場合、
図4(a),(b)に示すように、時刻t0に着座者PがシートクッションS1に座ると、時刻t1に、着座者Pの操作等により、シートクッションS1の高さ調整処理が開始される。この場合には、圧力P1
R,P1
Lは、基準値Psより小さいので、制御部31は、高さ調整機構40を制御して、シートクッションS1を上昇させる(S102,Yes→S120)。すると、脚LGがシートクッションS1の上面に当たり、この当たる力が徐々に強くなっていくので、圧力P1
R,P1
Lが上昇していく。圧力P1
R,P1
Lの単位時間あたりの変化量|ΔP1
R|,|ΔP1
L|、つまり、
図4(a)のグラフの傾きは、徐々に小さくなり、この傾きが第1しきい値ΔPth1になったとき(時刻t2)に、シートクッションS1を停止させる(S121,Yes→S130)。
【0050】
次に、
図2(c)のように、シートクッションS1が高すぎる状態だった場合について説明する。この場合、
図5(a),(b)に示すように、時刻t0に着座者PがシートクッションS1に座ると、時刻t11に、着座者Pの操作等に応じて、制御部31は、シートクッションS1の高さ調整処理を開始する。この場合には、圧力P1
R,P1
Lは、基準値Psより大きい(Ps以下ではない)ので、制御部31は、高さ調整機構40を制御して、シートクッションS1を下降させる(S102,No→S110)。すると、足FTが床Fに接触することで、圧力P1
R,P1
Lが下降していく。そして、圧力P1
R,P1
Lの単位時間あたりの変化量|ΔP1
R|,|ΔP1
L|、つまり、
図5(a)のグラフの傾きは、徐々に大きくなる。制御部31は、この傾きが第2しきい値ΔPth2になったとき(時刻t12)に、シートクッションS1を上昇させ始める(S111,Yes→S120)。その後は、脚LGがシートクッションS1の上面への当たりが徐々に強くなるので、圧力P1
R,P1
Lが上昇していく。圧力P1
R,P1
Lの単位時間あたりの変化量|ΔP1
R|,|ΔP1
L|、つまり、
図5(a)のグラフの傾きは、徐々に小さくなり、制御部31は、この傾きが第1しきい値ΔPth1になったとき(時刻t13)に、シートクッションS1を停止させる(S121,Yes→S130)。
【0051】
以上に説明した本実施形態のシート装置1によれば、シートクッションS1が、右前センサ21Rと左前センサ21Lを有し、制御部31が、右前センサ21Rと左前センサ21Lが検出した圧力が所定の条件を満たすように高さ調整機構40を制御するので、シートクッションS1を、着座者Pの脚LGの動きを検出するのに適した高さにすることができる。特に、シートクッションS1を、低い状態から上昇させていく最中に、圧力P1R,P1Lの単位時間あたりの変化量|ΔP1R|,|ΔP1L|が、0よりも大きい第1しきい値ΔPth1以下になったときにシートクッションS1の上昇を停止させるので、脚LGを上下させたときに、圧力P1R,P1Lの値が適度に変化するように、シートクッションS1の高さを設定し、着座者Pの脚LGの動きを検出し易くすることができる。
【0052】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態について説明する。第2実施形態のシート装置は、第1実施形態に対して、シートクッションS1の高さを変える代わりに、フットレストの高さを変えるものである。第2実施形態においては、第1実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
【0053】
図6(a)~(c)に示すように、シート装置1Bは、シート本体S10が、床Fに固定されている。そして、シート装置1Bは、シートクッションS1に座った着座者Pの足FTを支持するフットレスト51と、シートクッションS1に対するフットレスト51の高さを変更するフットレスト調整機構52とをさらに備える。フットレスト調整機構52は、例えば、ラックアンドピニオン機構や、油圧シリンダ機構、リニアモータなどによってフットレスト51を支持しつつ、上下に昇降させるように構成することができる。
【0054】
図6(a)に示すように、フットレスト51が高い位置にある場合には、着座者Pの足FTは、フットレスト51に持ち上げられ、右前センサ21Rと左前センサ21Lにほとんど圧力が掛からないことがある。この場合には、着座者Pが脚LGを上下に動かしても、圧力センサ21(21R,21L)の圧力P1
R,P1
Lの値がほとんど変化しないので、脚LGの動作の検出には不都合である。また、フットレスト51の高さが中間的であれば、
図6(b)のように、着座者Pの足FTがフットレスト51に着き、脚LGが圧力センサ21を適度に押して、適切な状態となることもある。また、フットレスト51の高さが低ければ、
図6(c)のように、着座者Pの足FTがフットレスト51から離れ、脚LGが圧力センサ21を押しすぎた状態となることもある。
【0055】
制御部31は、第1実施形態と異なり、圧力センサ21が検出した圧力に基づいてフットレスト調整機構52を制御する。制御部31は、右前センサ21Rおよび左前センサ21Lが検出した圧力がP1R,P1L所定の条件を満たすようにフットレスト調整機構52を制御してフットレスト51の高さを変更する。具体的には、制御部31は、右前センサ21Rおよび左前センサ21Lで検出した圧力P1R,P1Lが基準値Ps以下である場合、フットレスト51を下降させ、右前センサ21Rおよび左前センサ21Lで検出した圧力P1R,P1Lの単位時間あたりの変化量ΔPが第1しきい値ΔPth1以下となったときにフットレスト51を停止させる。
【0056】
また、制御部31は、右前センサ21Rおよび左前センサ21Lで検出した圧力P1R,P1Lが基準値Ps以下でない場合、右前センサ21Rおよび左前センサ21Lで検出した圧力P1R,P1Lの単位時間あたりの変化量ΔPが第2しきい値ΔPth2以上になるまでフットレスト51を上昇させる。その後、フットレスト51を下降させ、右前センサ21Rおよび左前センサ21Lで検出した圧力の単位時間あたりの変化量ΔPが第1しきい値ΔPth1以下となったときにフットレスト51を停止させる。
【0057】
次に
図7を参照して、制御部31によるフットレスト51の高さ調整(以下、「フットレスト調整」という。)の処理の一例について説明する。
図7に示すように、制御部31は、フットレスト調整の制御を開始すると、まず、右前センサ21Rが検出した圧力P1
Rと左前センサ21Lが検出した圧力P1
Lを取得する(S201)。そして、取得した圧力値P1
R,P1
Lが、ともに基準値Ps以下であるかを判定する(S202)。制御部31は、圧力値P1
R,P1
Lが、ともに基準値Ps以下であると判定しない場合(S202,No)、フットレスト調整機構52を制御してフットレスト51を上昇させる(S210)。そして、制御部31は、圧力P1
Rの変化量|ΔP1
R|と圧力P1
Lの変化量|ΔP1
L|が、ともに第2しきい値ΔPth2以上であるかを判定する(S211)。制御部31は、変化量|ΔP1
R|と変化量|ΔP1
L|が、ともに第2しきい値ΔPth2以上であると判定しない場合は(S211,No)、ステップS210に戻り、フットレスト51の上昇を続ける。
【0058】
制御部31は、ステップS202で、圧力P1R,P1Lが、ともに基準値Ps以下であると判定した場合(Yes)、または、ステップS211で、変化量|ΔP1R|と変化量|ΔP1L|が、ともに第2しきい値ΔPth2以上であると判定した場合(Yes)、フットレスト調整機構52を制御してフットレスト51を下降させる(S220)。
【0059】
そして、制御部31は、変化量|ΔP1R|と変化量|ΔP1L|がともに第1しきい値ΔPth1以下であるかを判定する(S221)。制御部31は、変化量|ΔP1R|と変化量|ΔP1L|がともに第1しきい値ΔPth1以下であると判定しない場合(S221,No)、ステップS220に戻ってフットレスト51の下降を続け、変化量|ΔP1R|と変化量|ΔP1L|がともに第1しきい値ΔPth1以下であると判定した場合(S221,Yes)、フットレスト調整機構52を制御してフットレスト51を停止させ(S230)、処理を終了する。
【0060】
このような処理によって、シートクッションS1の高さを調整した場合の動作の一例について説明する。
まず、
図6(a)のように、フットレスト51が高すぎる状態だった場合について説明する。この場合、
図8(a),(b)に示すように、時刻t0に着座者PがシートクッションS1に座ると、時刻t31に、着座者Pの操作等により、シートクッションS1のフットレスト調整処理が開始される。この場合には、圧力P1
R,P1
Lは、基準値Psより小さいので、制御部31は、フットレスト調整機構52を制御して、フットレスト51を下降させる(S202,Yes→S220)。すると、脚LGがシートクッションS1の上面に当たり、この当たる力が徐々に強くなっていくので、圧力P1
R,P1
Lが上昇していく。圧力P1
R,P1
Lの単位時間あたりの変化量|ΔP1
R|,|ΔP1
L|、つまり、
図8(a)のグラフの傾きは、徐々に小さくなり、この傾きが第1しきい値ΔPth1になったとき(時刻t32)に、フットレスト51を停止させる(S221,Yes→S230)。
【0061】
次に、
図6(c)のように、フットレスト51が低すぎる状態だった場合について説明する。この場合、
図9(a),(b)に示すように、時刻t0に着座者PがシートクッションS1に座ると、時刻t41に、着座者Pの操作等に応じて、制御部31は、シートクッションS1のフットレスト調整処理を開始する。この場合には、圧力P1
R,P1
Lは、基準値Psより大きい(Ps以下ではない)ので、制御部31は、フットレスト調整機構52を制御して、フットレスト51を上昇させる(S202,No→S210)。すると、足FTがフットレスト51に接触することで、圧力P1
R,P1
Lが下降していく。そして、圧力P1
R,P1
Lの単位時間あたりの変化量|ΔP1
R|,|ΔP1
L|、つまり、
図9(a)のグラフの傾きは、徐々に大きくなり、この傾きが第2しきい値ΔPth2になったとき(時刻t42)に、フットレスト51を下降させ始める(S211,Yes→S220)。その後は、脚LGがシートクッションS1の上面に当たる力が徐々に強くなるので、圧力P1
R,P1
Lが上昇していく。圧力P1
R,P1
Lの単位時間あたりの変化量|ΔP1
R|,|ΔP1
L|、つまり、
図9(a)のグラフの傾きは、徐々に小さくなり、この傾きが第1しきい値ΔPth1になったとき(時刻t43)に、シートクッションS1を停止させる(S221,Yes→S230)。
【0062】
以上に説明した本実施形態のシート装置1Bによれば、シートクッションS1が、右前センサ21Rと左前センサ21Lを有し、制御部31が、右前センサ21Rと左前センサ21Lが検出した圧力が所定の条件を満たすようにフットレスト調整機構52を制御するので、フットレスト51を、着座者Pの脚LGの動きを検出するのに適した高さにすることができる。特に、フットレスト51を、高い状態から下降させていく最中に、圧力P1R,P1Lの単位時間あたりの変化量|ΔP1R|,|ΔP1L|が、0よりも大きい第1しきい値ΔPth1以下になったときにフットレスト51の上昇を停止させるので、脚LGを上下させたときに、圧力P1R,P1Lの値が適度に変化するように、フットレスト51の高さを設定し、着座者Pの脚LGの動きを検出し易くすることができる。
【0063】
以上に本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、前記した実施形態に限定されることなく、適宜変形して実施することができる。
【0064】
前記実施形態では、制御部は、端末30が有するものとしたが、ECU100が有していてもよい。また、制御部は、シート本体S10に内蔵させてもよい。
【0065】
また、本明細書に記載した各実施形態および各変形例で説明した各要素は、適宜組み合わせて実施することが可能である。
【符号の説明】
【0066】
1,1B シート装置
21 圧力センサ
21L 左前センサ
21R 右前センサ
31 制御部
40 調整機構
45 駆動源
51 フットレスト
52 フットレスト調整機構
S シート
S1 シートクッション
S2 シートバック
S3 ヘッドレスト
S10 シート本体