IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社京三製作所の特許一覧

特開2022-137363RF帯域電源装置、及びパルス幅変調制御方法
<>
  • 特開-RF帯域電源装置、及びパルス幅変調制御方法 図1
  • 特開-RF帯域電源装置、及びパルス幅変調制御方法 図2
  • 特開-RF帯域電源装置、及びパルス幅変調制御方法 図3
  • 特開-RF帯域電源装置、及びパルス幅変調制御方法 図4
  • 特開-RF帯域電源装置、及びパルス幅変調制御方法 図5
  • 特開-RF帯域電源装置、及びパルス幅変調制御方法 図6
  • 特開-RF帯域電源装置、及びパルス幅変調制御方法 図7
  • 特開-RF帯域電源装置、及びパルス幅変調制御方法 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022137363
(43)【公開日】2022-09-22
(54)【発明の名称】RF帯域電源装置、及びパルス幅変調制御方法
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/48 20070101AFI20220914BHJP
【FI】
H02M7/48 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021036852
(22)【出願日】2021-03-09
(71)【出願人】
【識別番号】000001292
【氏名又は名称】株式会社京三製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001151
【氏名又は名称】あいわ特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】讓原 逸男
(72)【発明者】
【氏名】米山 知宏
(72)【発明者】
【氏名】小林 昌平
(72)【発明者】
【氏名】細山田 悠
【テーマコード(参考)】
5H770
【Fターム(参考)】
5H770AA05
5H770DA01
5H770DA11
5H770DA41
5H770EA02
5H770EA04
5H770KA01Y
(57)【要約】
【課題】RF帯域における単相PWMインバータにおいて各レグのスイッチング損失の偏りを抑制する。
【解決手段】本発明のパルス幅変調制御方法及びRF帯域電源装置は、変調波の変調波周波数fsをRF帯域とする、単相PWMインバータのパルス幅変調(PWM)制御であり、変調波とキャリア波との比較に基づいて生成したゲート信号(PWMパルス信号)により単相PWMインバータをパルス幅変調制御する。本制御において、(a)キャリア波のキャリア波周波数fcを変調波周波数fsの偶数N倍とする周波数同期制御、(b)変調波を奇関数の正弦波とし、キャリア波を奇関数の三角波とする奇関数制御、(c)変調波の各周期において、キャリア波を変調波と位相同期する位相同期制御の各制御を備え、周波数同期制御は、キャリア波周波数fcを変調波周波数fsの偶数N倍とし、fc=N・fsの関係に基づいて定める。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
直流電源と、
前記直流電源の正端と負端との間にスイッチング素子を上下アームに有した2つのレグを並列接続してなる単相フルブリッジ回路を備え、前記各スイッチング素子のオン/オフ動作により前記直流電源から供給される直流入力を交流出力に変換する単相PWMインバータと、
変調波とキャリア波との比較に基づいてゲート信号を生成し、当該ゲート信号をPWMパルス信号として前記スイッチング素子のオン/オフ動作させ、前記単相PWMインバータをパルス幅変調(PWM)制御するインバータ制御部と、
を備え、
前記インバータ制御部は、
ゲート信号を生成するPWM制御部と変調波/キャリア波生成部とを備え、
変調波/キャリア波生成部は、前記変調波の変調波周波数fsをRF帯域の周波数とし、
前記キャリア波のキャリア波周波数fcを前記変調波周波数fsの偶数N倍とする周波数同期部と、
前記変調波を奇関数の正弦波とし、前記キャリア波を奇関数の三角波とする奇関数制御部と、
前記変調波の各周期において前記キャリア波を変調波と位相同期する位相同期部と、を備える、
RF帯域電源装置。
【請求項2】
前記周波数同期部は、キャリア波に対して、前記変調波の一周期2πにおいて半周期πの位相時点を基準時点として正負が反転する点対称の関係とする、
請求項1に記載のRF帯域電源装置。
【請求項3】
前記奇関数制御部は、前記変調波の各一周期2π内において、変調波の前半の半周期におけるゲート信号の時系列パターンと、後半の半周期におけるゲート信号の時系列パターンを、前記各レグについて前記変調波の半周期π毎に交互に入れ替わった関係とし、半周期πの位相時点を基準時点とする交互性を有したゲート信号を生成する、
請求項1又は2に記載のRF帯域電源装置。
【請求項4】
前記奇関数制御部は、前記変調波の各半周期π内において、前記変調波の前半の四半周期におけるゲート信号の時系列パターンと、後半の四半周期におけるゲート信号の時系列パターンを、前記各レグについて前記変調波の四半周期π/2を境に反転させ、四半周期π/2の位相時点を基準時点とする対称性を有したゲート信号を生成する、
請求項1又は2に記載のRF帯域電源装置。
【請求項5】
位相が相反した二つの変調波を備え、
前記奇関数制御部は、
位相が相反する一方の変調波とキャリア波との比較により、前記変調波の前半の半周期において一方のレグのスイッチング素子を駆動し、前記変調波の後半の半周期において他方のレグのスイッチング素子を駆動する、時系列パターンを同一とする第1時系列パターンのゲート信号を生成し、
前記一方の変調波に対して位相がπずれた他方の変調波とキャリア波との比較により、前記変調波の後半の半周期において一方のレグのスイッチング素子を駆動し、前記変調波の前半の半周期において他方のレグのスイッチング素子を駆動する、時系列パターンを同一とする第2時系列パターンのゲート信号を生成し、
前記変調波の一周期内において、前記変調波の半周期πの位相時点を基準時点として、前記第1時系列パターンのゲート信号と前記第2時系列パターンのゲート信号の順序を入れ替えた二つのゲート信号は、半周期πの位相時点を基準時点とする交互性を有し、
前記変調波の一周期内において、前記各レグの各スイッチング素子を、半周期毎に前記第1時系列パターンのゲート信号及び前記第2時系列パターンのゲート信号を切り替えて駆動制御し、パルス幅変調(PWM)により直流入力を交流出力に変換する、
請求項3に記載のRF帯域電源装置。
【請求項6】
位相が相反する二つの変調波を備え、
前記奇関数制御部は、
位相が相反する一方の変調波とキャリア波との比較により、前記変調波の前半の半周期において一方のレグのスイッチング素子を駆動し、前記変調波の後半の半周期において他方のレグのスイッチング素子を駆動する、時系列パターンを同一とする第1時系列パターンのゲート信号を生成し、
前記一方の変調波に対して位相がπずれた他方の変調波とキャリア波との比較により、前記変調波の後半の半周期において一方のレグのスイッチング素子を駆動し、前記変調波の前半の半周期において他方のレグのスイッチング素子を駆動する、時系列パターンを同一とする第2時系列パターンのゲート信号を生成し、
前記変調波の各半周期において、前記第1時系列パターンのゲート信号と、前記第2時系列パターンのゲート信号の反転信号とを、前記各半周期中の四半周期の位相時点を基準時点とする対称性を有し、
前記変調波の一周期内において、前記各レグの各スイッチング素子を、半周期毎に前記第1時系列パターンのゲート信号及び前記第2時系列パターンのゲート信号を切り替えて駆動制御し、パルス幅変調(PWM)により直流入力を交流出力に変換する、
請求項3に記載のRF帯域電源装置。
【請求項7】
前記PWM制御部は二つの比較回路を備え、
前記二つの比較回路の一方の比較回路は、
位相が相反する一方の変調波Sとキャリア波Cとを比較し、二つのレグの一方のレグのスイッチング素子を駆動するゲート信号を生成し、
前記二つの比較回路の他方の比較回路は、位相が相反する他方の変調波Sとキャリア波Cとを比較し、二つのレグの他方のレグのスイッチング素子を駆動するゲート信号を生成する、
請求項5又は6に記載のRF帯域電源装置。
【請求項8】
RF帯域の変調波とキャリア波との比較に基づいてゲート信号を生成し、当該ゲート信号をPWMパルス信号として単相PWMインバータをパルス幅変調(PWM)制御し、RF帯域の正弦波を出力する単相PWMインバータのパルス幅変調(PWM)制御の制御方法であり、
前記変調波の変調波周波数fsをRF帯域の周波数とし、
前記キャリア波のキャリア波周波数fcを前記変調波周波数fsの偶数N倍とする周波数同期制御工程と、
前記変調波を奇関数の正弦波とし、前記キャリア波を奇関数の三角波とする奇関数制御工程と、
前記変調波の各周期において前記キャリア波を変調波と位相同期する位相同期制御工程と、を備える、
パルス幅変調制御方法。
【請求項9】
前記奇関数制御工程は、
変調波の一周期2πにおいて半周期πの位相時点を基準時点とする交互性を有し、
前記変調波の各一周期2π内において、変調波の前半の半周期におけるゲート信号の時系列パターンと、後半の半周期におけるゲート信号の時系列パターンを、前記各レグについて前記変調波の半周期π毎に交互に切り換え、半周期πの位相時点を基準時点とする交互性を有したゲート信号を生成する、
請求項8に記載のパルス幅変調制御方法。
【請求項10】
前記奇関数制御工程は、
変調波の一周期2πにおいて半周期πの位相時点を基準時点とする交換性を有し、
前記変調波の各半周期π内において、前記変調波の前半の四半周期におけるゲート信号の時系列パターンと、後半の四半周期におけるゲート信号の時系列パターンを、前記各レグについて前記変調波の四半周期π/2毎に交互に切り換え、四半周期π/2の位相時点を基準時点とする対称のゲート信号を生成する、
請求項8に記載のパルス幅変調制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、RF(Radio Frequency)帯域において正弦波を出力するRF帯域電源装置及びパルス幅変調制御方法に関する。RF(Radio Frequency)帯域の周波数帯域は、LF帯域(30kHz-300kHz)、MF帯域(300kHz-3MHz)、HF帯域(3MHz-30MHz)、VHF帯域(30MHz-300MHz)、UHF帯域(300MHz-30GHz)を含む。なお、詳細な説明の項においてはRF帯域の一例としてHF帯域を用いて説明する。
【背景技術】
【0002】
RF帯域における増幅回路としてアナログ増幅回路とデジタル増幅回路が知られている。アナログ増幅回路はバイアス量によりA級、B級、C級に分類される。デジタル増幅回路として、RF帯域における単相方形波インバータによるD級増幅回路が知られている。従来、正弦波を出力するRF帯域電源装置ではA級-C級の増幅回路が用いられるが、低効率で損失が大きいため大容量化の点で難点があることが知られている。
【0003】
RF帯域における単相PWMインバータによるD級増幅回路は、MOSFET等の半導体スイッチング素子の単相フルブリッジ回路により構成されD級フルブリッジ増幅器を備える。単相PWMインバータは、半導体スイッチング素子をオン/オフ切り換え動作させてブリッジ回路をPWM制御することにより、直流電源の直流電圧を交流電圧に変換する電力変換装置として用いられる。
【0004】
単相PWMインバータによる電力変換装置は、相反した二つの変調波をキャリア波と比較することによりPWM信号を生成し、生成したPWM信号により単相PWMインバータのスイッチング素子のオン/オフ切り換え動作を制御してユニポーラ波形の正弦波出力の交流波形を得る。ここで、相反する二つの波形は極性が互いに逆であり、互いに180°ずれた位相関係にあることを意味し、ユニポーラ波形は、波形の極性が正又は負の一方のみであることを意味している。
【0005】
特許文献1には、直流電圧をPWM制御によって可変電圧可変周波数の交流に変換し、正弦波を出力するPWMインバータが記載されている。特許文献2には直流電力を商用交流電力に変換するインバータ装置について、PWMキャリア信号の周波数を電流指令信号の周波数の整数倍に設定することにより、フルブリッジ回路の第1アームと第2アームのスイッチング動作を同期させることができることが記載され、その一例として、PWMキャリア信号の周波数を20kHz、電流指令信号の周波数を50Hzに設定する例が示されている。
【0006】
PWMインバータにおいて、キャリア波周波数と変調波周波数との間の関係を表すNは、スイッチング素子を駆動制御するスイッチングパルスが変調波の一周期内に存在するパルス数に相当する。変調波の一周期内のパルス数が変動しないためには、Nが整数であることが求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平04-4756号公報
【特許文献2】特開2001-320884号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
RF帯域で単相PWMインバータを動作させ、高効率の正弦波の交流を出力する。そのために、単相PWMインバータによる直流電圧から交流電圧への電力変換は、単相PWMインバータが備える各スイッチング素子のオン/オフ動作をPWMパルスで切り替えることにより行われる。このPWMパルス信号は、変調波とキャリア波との比較により生成される。この単相PWMインバータは、相反する二つの正弦波を変調波として用いることにより、ユニポーラ波形のインバータ出力電圧を形成する。インバータ出力の出力電圧は変調波と同一の周波数の正弦波となる。
【0009】
単相PWMインバータは、上アームのスイッチング素子と下アームのスイッチング素子とを直列接続してなるレグを二つ用い、二つのレグを並列接続して単相フルブリッジを構成し、両レグの一方を相反する二つの相の片方の相のPWMパルス信号で制御し、他方を他方の相のPWMパルス信号で制御する。上下アームの両レグの中点間に負荷を接続し、相反する方向の電流を流して交流負荷とし、直流電圧を交流電圧に電力変換している。
【0010】
本発明の正弦波出力の周波数帯域はRF周波数である。このRF周波数の周波数帯域の同期ずれは商用周波数の周波数帯域における同期ずれとは異なる様相を示す。
【0011】
商用周波数の周波数帯域においては、一般にキャリア波周波数fcは可聴周波数より高い20kHz以上に選定して使用されるためパルス数Nは大きな値となり、キャリア波周波数の同期ずれは無視できるほど小さくなる。そのため、商用周波数の周波数帯域では、変調波周波数fsに対して、パルス数Nの設定の基づいて生じるキャリア波周波数fcの周波数ずれを考慮する必要性は小さい。
【0012】
一方、RF周波数の周波数帯域において、商用周波数の周波数帯域と同様に大きなパルス数Nを用いた場合にはキャリア波周波数fcの周波数ずれは小さくなるが、周波数帯域が高周波帯域であるため、キャリア周波数は非常に高い周波数となる上、大きなパルス数Nを適用するとスイッチング損失が過大となるためRF帯域電源装置として不適当となる。そのため、RF帯域においては小さなパルス数Nを用いる。
【0013】
単相PWMインバータのスイッチング素子の制御は、相反する二つの変調波とキャリア波とを比較して生成されるPWMパルスを用いて行う。この制御において、変調波の一周期内のPWMパルスNを小さな値に制限して行う場合には、変調波及びキャリア波の位相、周波数、波形形状等の信号特性はPWMパルスの特性の影響を受ける。特に、RF帯域にける単相PWMインバータの動作では影響が大きく現れるため、PWMパルスの特性に対する影響を抑制する必要がある。
【0014】
パルス数Nが小さな値に制限されている場合には、変調波の各周期において、変調波とキャリア波に位相ずれが生じると、単相PWMインバータの各レグにおいて、スイッチング素子を制御するPWMパルス信号にレグ間で相違が生じる。この各レグにおけるPWMパルス信号の相違は、各レグに生じる電力損失のバランスに偏りを生じさせる。各レグの電力損失のバランスの偏りは、単相PWMインバータが出力する交流出力の電力変動の要因となる。
【0015】
単相PWMインバータの正弦波出力の電力変動が少なく安定したものとするには、各レグにおける電力変動を抑制する必要がある。そのためには、単相PWMインバータの各レグにおいて、変調波の正又は負の半周期毎の電圧波形に対称性を持たせ、変調波の各周期での出力電力に変動が生じないようなPWMパルスが求められる。
【0016】
(偶関数によるゲート信号の非対称性)
キャリア波Cを変調波Sに対して奇関数あるいは偶関数とすることにより出力波形の対称性が得られる。
【0017】
しかしながら、位相が相反する二つの変調波とキャリア波とを比較してPWMパルス出力を生成し、このPWMパルス信号を用いて単相PWMインバータのスイッチング素子を制御する場合には、変調波の一周期よりも狭い範囲の半周期内においてゲート信号の信号波形の対称性が求められる。
【0018】
キャリア波Cが変調波Sに対して偶関数である場合には、変調波の正の半周期内又は負の半周期内において、並列接続される二つのレグの各レグが備えるスイッチング素子を駆動するゲート信号は非対称な波形となる。半周期内におけるゲート信号が非対称性は、スイッチング損失の偏りを生じさせる。変調波の一周期のデューティー比Dを0.5からのずれが生じる。このデューティー比Dの0.5からのずれは、各スイッチング素子において、オン損失の偏りを生じさせる要因となる。
【0019】
したがって、偶関数のキャリア波は、変調波Sの一周期内における波形の対称性が得られるが、変調波Sの半周期内におけるゲート信号は非対称な波形となってデューティー比Dは0.5からずれるため、その結果、各スイッチング素子のオン損失に偏りが生じることになる。
【0020】
図8は、偶関数によるゲート信号の非対称性を説明するための図である。図8(a)は変調波、キャリア波を示し、図8(b)は一方のレグのスイッチング素子Q1のゲート信号を示し、図8(c)は他方のレグのスイッチング素子Q3のゲート信号を示し、図8(d)はスイッチング素子Q3のゲート信号の反転信号を示している。
【0021】
なお、図8(a)において、変調波S1を実線の正弦波で示し、位相が相反する位相がπずれた変調波S2を破線の正弦波で示し、キャリア波Cを実線の三角波で示している。また、図8(d)のスイッチング素子Q3のゲート信号の反転信号は、Q3の文字の上部にバーの符号を付して示している。また、図中の地色が白の矢印は対称性を示し、黒の矢印は非対称性を示している。ここでは、キャリア波Cのパルス数Nが“2”の例を示し、キャリア波Cが変調波Sに対して偶関数の関係にある状態を示している。
【0022】
Q1のゲート信号(図8(b))の波形とQ3のゲート信号(図8(c))の波形とを比較すると、一周期2πにおいて半周期πを境界として対称性を示している。これに対して、Q1のゲート信号(図8(b))の波形とQ3の反転ゲート信号(図8(d))の波形とを比較すると、半周期πにおいて4半周期π/2及び3π/2を境界として非対称性を示している。Q3の反転ゲート信号はQ4のゲート信号に相応する。この非対称性により、スイッチング素子Q2とスイッチング素子Q4のデューティー比Dは0.5よりも大きくなり0.5からずれる。一方、スイッチング素子Q1とスイッチング素子Q3のデューティー比Dは0.5よりも小さくなる。
【0023】
デューティー比Dが0.5からずれると、各スイッチング素子のオン損失に偏りが生じる。さらに、デューティー比Dの0.5からのずれは、ブリッジ回路のレグの中点の平均電圧Vmeanを直流電源の入力電圧Vdの中間電圧であるVd/2からずれる電圧ずれの要因となる。この中点の平均電圧Vmeanの中間電圧Vd/2からの電圧ずれは、二つのレグの中点間に接続する交流負荷に直流電圧分を生じさせることになる。RF帯域の高周波伝送では、パルストランスを用いた伝送トランス方式が不可欠であるが、ゲート信号駆動用のパルス信号を各ゲートに伝送する際、直流電圧分が含まれたパルス信号はパルストランスを介して各ゲートに伝送することは困難であるため、単相PWMインバータを駆動制御することができない。
【0024】
したがって、偶関数のキャリア波では、デューティー比Dが0.5からのずれるため、スイッチング素子のオン損失の偏り、及びパルストランスを用いた伝送トランス方式への不適応という課題がある。
【0025】
本発明は、前記した従来の問題点の課題を解決して、RF帯域における単相PWMインバータにおいて各レグのスイッチング損失の偏りを抑制することを目的とする。特に、半周期において、スイッチング損失の偏りを抑制する。
【0026】
本発明は、変調波Sの半周期内において、四半周期(1/4周期)を境としてゲート信号波形を対称とし、変調波Sの一周期内のデューティー比Dを0.5とすることを目的とする。
【0027】
本発明は、変調波Sの一周期内のデューティー比Dを0.5とすることにより、スイッチング素子のオン損失の偏りを解消して均等化すること、及びパルストランスを用いた伝送トランス方式への適応を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0028】
本発明は、パルス幅変調制御方法、及びパルス幅変調制御によるRF帯域電源装置に関する。本発明による制御は、単相PWMインバータのパルス幅変調(PWM)制御であり、変調波とキャリア波との比較に基づいてゲート信号を生成し、生成したゲート信号をPWMパルス信号として単相PWMインバータをパルス幅変調(PWM)制御する。
【0029】
本発明は、RF帯域の正弦波を出力する。そのために、本発明による制御において、変調波の変調波周波数fsはRF帯域の高周波数であり、キャリア波のキャリア波周波数fcは変調波周波数fsよりも高い周波数である。RF帯域は、LF帯域(30kHz-300kHz)、MF帯域(300kHz-3MHz)、HF帯域(3MHz-30MHz)、VHF帯域(30MHz-300MHz)を含む周波数帯域であり、本発明のパルス幅変調制御、及びRF帯域電源装置はこのRF帯域の正弦波を出力する。
【0030】
本発明は、以下の各制御を備える。
(a)キャリア波のキャリア波周波数fcを変調波周波数fsの偶数N倍とする周波数同期制御
(b)変調波を奇関数の正弦波とし、キャリア波を奇関数の三角波とする奇関数制御
(c)変調波の各周期において、キャリア波を変調波と位相同期する位相同期制御
【0031】
(a)周波数同期制御
周波数同期制御は、キャリア波周波数fcを変調波周波数fsの偶数N倍となるように制御し、キャリア波周波数fcはfc=N・fsの関係に基づいて定める。周波数同期制御は、変調波周波数fsに対してキャリア波周波数fcをfc=N・fsとし、変調波の周波数とキャリア波の周波数の間に偶数倍(N倍)の関係を持たせることにより、変調波の一周期において、前半の半周期のキャリア波の信号波形と後半の半周期のキャリア波の信号波形に交互性、及びこれに伴うスイッチング素子のゲート信号(PWMパルス信号)の対称性を担保し、変調波の一周期内における単相PWMインバータの各レグのスイッチング損失の偏りを抑制する。
【0032】
周波数同期制御において、Nの値を切り替えることにより、変調波周波数fsの周波数範囲に対するキャリア波周波数fcの周波数範囲を変更することができる。例えば、上限周波数及び下限周波数が設定されたキャリア波周波数の周波数範囲に対して、変調波周波数fsが変更された場合であっても、Nの値を切り替えることによりキャリア波周波数fcは所定の周波数範囲内に収まるように定められる。
【0033】
パルス幅変調(PWM)制御において、Nは変調波の一周期内に生成されるパルス数に相当する値である。高い変調波周波数fsに対し、Nの値を小さな値に切り替えてキャリア波周波数fcを設定することによりパルス数は抑制され、スイッチング損失が抑制される。
【0034】
商用周波数の周波数帯域では、パルス数が大きいためキャリア波周波数の同期ずれは無視できる程度に小さい。これに対して、RF帯域の周波数帯域では、パルス数が小さいためキャリア波周波数の同期ずれは無視することができないほど大きくなる。そのため、RF帯域での単相PWMインバータでは、パルス数Nは小さい整数であることが求められる。
【0035】
パルス数Nの小さな値の例として、例えば2から14程度の整数がある。なお、ここで最も大きな整数として示した14は一例であって、14よりも大きな整数を除くものではない。
【0036】
パルス数Nを整数とすることにより、キャリア波周波数fcと変調波周波数fsとの間には整数倍の関係となる。この整数倍の関係は、キャリア波の周期と変調波の周期とを同期させる。周期の同期により、変調波の各周期におけるキャリア波の周期性が担保され、周期ずれに伴うスイッチング素子のゲート信号(PWMパルス信号)のずれが抑制される。
【0037】
変調波周波数fsとキャリア波周波数fcの間の整数倍の関係において、偶数倍は変調波の一周期において前半の半周期の波形形状と後半の半周期の波形形状とを点対称の関係とする。周波数間の偶数倍の関係による波形形状の点対称な関係は、スイッチング素子のゲート信号(PWMパルス信号)に対称性を担保させ、変調波の一周期内における単相PWMインバータの各レグのスイッチング損失の偏りを抑制する。
【0038】
したがって、変調波周波数fsに対してキャリア波周波数fcをfc=N・fsとし、キャリア波周波数fcを変調波周波数fsの偶数倍(N倍)の関係を持たせることにより、前半の半周期のキャリア波の信号波形と後半の半周期のキャリア波の信号波形に交互性、及びこれに伴うスイッチング素子のゲート信号(PWMパルス信号)の対称性を担保し、変調波の一周期内における単相PWMインバータの各レグのスイッチング損失の偏りを抑制する。
【0039】
(b)奇関数制御
変調波及びキャリア波の波形自体の一周期内の対称性は奇関数と偶関数の何れによっても得られるが、スイッチング素子のゲート信号(PWMパルス信号)の対称性を担保し、変調波の一周期内におけるスイッチング素子のスイッチング損失と定常時のオン損失の偏りを抑制するには、奇関数制御が必要になる。
【0040】
(変調波とキャリア波の信号波形)
変調波とキャリア波は、両波形が奇関数、あるいは偶関数とする2種類の組み合わせがある。何れも出力波形は対称性を維持できるが、両波形を奇関数とする奇関数制御は、各スイッチング素子のゲート信号(PWMパルス信号)のデューティー比Dが50%となる対称性を有し、これにより変調波の一周期内における各スイッチング素子のスイッチング損失と定常時のオン損失の偏りを抑制することができる。
【0041】
奇関数の変調波に対して奇関数のキャリア波は、時間軸において、変調波の半周期のπの位相時点を基準時点として正負が反転する点対称の関係となる。奇関数制御は、奇関数である正弦波の変調波に対して、各スイッチング素子のゲート信号(PWMパルス信号)にデューティー比Dが50%となる対称性を与え、変調波の一周期内における各スイッチング素子のスイッチング損失と定常時のオン損失の偏りを抑制する。
【0042】
これに対して、偶関数制御の場合は、各スイッチング素子のゲート信号(PWMパルス信号)は非対称性となるため、スイッチング素子のスイッチング損失、及び定常時のオン損失に偏りが生じる。
【0043】
偶関数の変調波に対して偶関数となるキャリア波の信号波形は、時間軸において、変調波の半周期のπの位相時点を基準時点として前後の位相時点において対称性を有する。偶関数である余弦波形の変調波に対して、偶関数のキャリア波は例えば三角波波形の信号波形を用いることができる。しかし、各スイッチング素子のゲート信号(PWMパルス信号)は非対称性を有しているため、スイッチング素子のスイッチング損失と定常時のオン損失に偏りが生じる。
【0044】
(c)位相同期制御
PWM制御において、キャリア波と変調波との位相が非同期である場合には、変調波の各周期に含まれるゲート信号(PWMパルス信号)に相違が生じるため、周期毎に出力電圧が変動する。また、交流出力に含まれる高調波についても一周期ごとに大きく変動する。この高調波の周期変動はスイッチング素子の損失バランスに偏りを生じさせる。
【0045】
変調波とキャリア波の位相同期制御は、変調波の各周期において変調波とキャリア波とを位相同期させて位相ずれを抑制する。変調波とキャリア波とを奇関数制御することにより、変調波の一周期の周期端にキャリア波の周期端は一致し、変調波の一周期内でのキャリア波は各周期において同一の位相関係が担保される。
【0046】
本発明のRF帯域電源装置の装置態様、及びパルス幅変調制御方法の方法態様は、上記した周波数同期制御、奇関数制御、及び位相同期制御の各制御を備える。
【0047】
[RF帯域電源装置]
本発明のRF帯域電源装置は、直流電源と単相PWMインバータとインバータ制御部とを備える。
【0048】
単相PWMインバータは、直流電源の正端と負端との間にスイッチング素子を上下アームに有した2つのレグを並列接続してなる単相フルブリッジ回路を備え、各スイッチング素子のオン/オフ動作により直流電源から供給される直流入力を交流出力に変換する。
【0049】
インバータ制御部は、変調波とキャリア波との比較に基づいてゲート信号を生成し、生成したゲート信号をPWMパルス信号としてスイッチング素子のオン/オフ動作させ、単相PWMインバータをパルス幅変調(PWM)制御する。
【0050】
インバータ制御部は、ゲート信号(PWMパルス信号)を生成するPWM制御部と変調波/キャリア波生成部とを備える。
【0051】
(A)変調波/キャリア波生成部
変調波/キャリア波生成部は、変調波の変調波周波数fsをRF帯域の周波数とし、周波数同期部、奇関数制御部、及び位相同期部の各制御部を備える。
【0052】
(a)周波数同期部
周波数同期部はキャリア波のキャリア波周波数fcを変調波周波数fsの偶数N倍とし、キャリア波と変調波との周期を同期させる。キャリア波と変調波との周波数同期により、変調波の一周期内のキャリア波は偶数N個となると共に、隣接する変調波の各周期においても同様に、変調波の一周期内のキャリア波は偶数N個となる。キャリア波は、変調波の一周期2πにおいて半周期πの位相時点を基準時点として正負が反転する点対称の関係となる。
【0053】
(b)奇関数制御部
奇関数制御部は、変調波の正弦波及びキャリア波の三角波の両波形を奇関数とする。変調波の一周期において、キャリア波Cが変調波Sに対して奇関数あるいは偶関数とすることにより波形の対称性が得られる。しかしながら、相反する二つの変調波とキャリア波との比較で生成されるゲート信号(PWMパルス信号)を用いて単相PWMインバータのスイッチング素子を制御する場合には、変調波の一周期よりも狭い範囲の半周期内においてゲート信号(PWMパルス信号)の信号波形の対称性が求められる。この対称性により単相フルブリッジ回路の各レグにおけるスイッチング損失が均等化され偏りが抑制される。
【0054】
キャリア波Cが変調波Sに対して偶関数である場合には、変調波の一周期内において、正の半周期内又は負の半周期内において、並列接続される二つのレグの各レグが備えるスイッチング素子を駆動するゲート信号が非対称な波形となる。半周期内におけるゲート信号が非対称な場合には、変調波の一周期のデューティー比Dは0.5からずれる。デューティー比Dの0.5からのずれは、各スイッチング素子において、オン損失の偏りを生じさせる。
【0055】
奇関数制御部は、変調波とキャリア波との両波形を奇関数とすることにより、変調波の一周期内において、正の半周期内又は負の半周期内において、並列接続される二つのレグの各レグが備えるスイッチング素子を駆動するゲート信号を対称な波形とする。半周期内において対称なゲート信号は、変調波の一周期のデューティー比Dを0.5とする。デューティー比Dを0.5とすることにより、各スイッチング素子において、スイッチング損失、及び定常時のオン損失の偏りは抑制される。
【0056】
(1)奇関数制御によるゲート信号(PWMパルス信号)の時系列パターンの交互性
奇関数制御部は、位相が相反した二つの変調波において、奇関数制御により交互性を付与し、変調波の各一周期2π内において、変調波の前半の半周期におけるゲート信号の時系列パターンと、後半の半周期におけるゲート信号の時系列パターンを、各レグについて変調波の半周期π毎に交互に入れ替わった位置関係とする。
【0057】
交互性は、第1レグ及び第2レグにおいて、ゲート信号(PWMパルス信号)の時系列パターンが半周期π毎に交互に入れ替わる特性であり、前半及び後半の各半周期において、ゲート信号(PWMパルス信号)の時系列パターンが第1レグと第2レグで入れ替わる関係である。このゲート信号(PWMパルス信号)の時系列パターンの交互性は、変調波の一周期内で発生する各スイッチング素子の電力損失を、各レグについて均等化する効果を奏する。
【0058】
(2)奇関数制御によるゲート信号(PWMパルス信号)の時系列パターンの対称性
奇関数制御部は、変調波の各半周期π内において、変調波の前半の四半周期のゲート信号(PWMパルス信号)の時系列パターンと、後半の四半周期のゲート信号(PWMパルス信号)の時系列パターンを、各レグについて変調波の四半周期π/2毎に交互に切り換え、四半周期π/2の位相時点を基準時点として対称となるパルス信号を生成する。このゲート信号(PWMパルス信号)の時系列パターンの対称性は、変調波の一周期2π内のデューティー比Dを0.5とし、各スイッチング素子の定常時のオン損失を各レグについて均等化する。さらに、このオン損失の均等化は、単相ブリッジ回路のレグの中点の平均電圧Vmeanを直流電源の入力電圧Vdの中間電圧とする。
【0059】
レグの中点の平均電圧Vmeanを直流電源の入力電圧Vdの中間電圧とすることにより、パルストランスの中点電圧における直流バイアス分が解消され、RF帯域の高周波伝送において、パルストランスを用いた伝送トランス方式の適用が可能となり、ゲート信号(PWMパルス信号)はパルストランスを介して各ゲートに伝送され、単相PWMインバータを駆動制御することができる。
【0060】
(c)位相同期部
位相同期部は、変調波の各周期においてキャリア波と変調波の位相を同期する。両波形の位相同期は、変調波の一周期の前端側の零位相の位相時点と、変調波の一周期内にN個存在するキャリア波の最初のキャリア波の零位相の位相時点とが一致し、また、変調波の一周期の後端側の2π位相の位相時点と、変調波の一周期内にN個存在するキャリア波の最終のキャリア波の2π位相の位相時点とが一致する。
【0061】
(B)PWM制御部
インバータ制御部は、PWMパルス信号を生成するPWM制御部を備える。
PWM制御部は、奇関数制御によるゲート信号(PWMパルス信号)の時系列パターンが半周期πで入れ替わる交互性を、位相が相反した二つの変調波を用いた以下の制御により付与する。
【0062】
(a)位相が相反する一方の変調波とキャリア波との比較により、変調波の前半の半周期の時系列パターンを第1時系列パターン、変調波の後半の半周期の時系列パターンを第2時系列パターンとする時系列パターンのゲート信号(PWMパルス信号)を生成し、変調波の一周期において一方のレグのスイッチング素子を駆動する。
【0063】
(b)位相が相反する他方の変調波とキャリア波との比較により、変調波の前半の半周期の時系列パターンを第2時系列パターン、変調波の後半の半周期の時系列パターンを第1時系列パターンとする時系列パターンのゲート信号(PWMパルス信号)を生成し、変調波の一周期において他方のレグのスイッチング素子を駆動する。
【0064】
(c)変調波の一周期内において、変調波の前半の半周期及び後半の半周期の間、及び二つのレグ間において、第1時系列パターンのゲート信号(PWMパルス信号)と第2時系列パターンのゲート信号(PWMパルス信号)が入れ替わったゲート信号(PWMパルス信号)を用いて、各レグの各スイッチング素子を、半周期毎に第1時系列パターンのゲート信号(PWMパルス信号)及び第2時系列パターンのゲート信号(PWMパルス信号)により駆動制御し、パルス幅変調(PWM)により直流入力を交流出力に変換する。
【0065】
PWM制御部は、奇関数制御によるゲート信号(PWMパルス信号)の時系列パターンに対する四半周期π/2の対称性を、位相が相反した二つの変調波を用いて以下の制御により付与する。
【0066】
(a)位相が相反する一方の変調波とキャリア波との比較により、変調波の一周期において一方のレグのスイッチング素子を駆動する第1時系列パターンと第2時系列パターンのゲート信号を生成する。
(b)一方の変調波に対して位相がπずれた他方の変調波とキャリア波との比較により、変調波の一周期において他方のレグのスイッチング素子を駆動する第2時系列パターンと第1時系列パターンのゲート信号を生成する。
(c)変調波の各半周期において、第1時系列パターンのゲート信号と、第2時系列パターンのゲート信号の反転信号とを、各四半周期の位相時点を基準時点として対称とする。
(d)変調波の一周期内において、各レグの各スイッチング素子を、半周期毎に第1時系列パターンのゲート信号及び第2時系列パターンのゲート信号により駆動制御し、パルス幅変調(PWM)により直流入力を交流出力に変換する。
【0067】
(インバータ制御部のPWM制御)
インバータ制御部は、ゲート信号(PWMパルス信号)の時系列パターンを用いたPWM制御において以下の制御を行う。
【0068】
インバータ制御部は、
(a)定常状態において、変調波の前半の半周期において一方のレグのスイッチング素子を駆動するパルス信号の時系列パターンと、変調波の後半の半周期において他方のレグのスイッチング素子を駆動するパルス信号の時系列パターンを同一とする。
(b)定常状態において変調波の後半の半周期において一方のレグのスイッチング素子を駆動するパルス信号の時系列パターンと、変調波の前半の半周期において他方のレグのスイッチング素子を駆動するパルス信号の時系列パターンを同一とする。
(c)変調波の一周期内において、各レグの各スイッチング素子を、半周期毎に一方の時系列パターンのパルス信号及び他方の時系列パターンのパルス信号により駆動制御し、パルス幅変調(PWM)により直流入力を交流出力に変換する。
【0069】
(PWM制御部の構成例1)
PWM制御部は二つの比較回路を備え、
(a)二つの比較回路の一方の比較回路は、位相が相反する一方の変調波Sとキャリア波Cとを比較し、二つのレグの一方のレグのスイッチング素子を駆動するゲート信号(PWMパルス信号)を生成する。
(b)二つの比較回路の他方の比較回路は、位相が相反する他方の変調波Sとキャリア波Cとを比較し、二つのレグの他方のレグのスイッチング素子を駆動するゲート信号(PWMパルス信号)を生成する。
【0070】
[パルス幅変調制御方法]
パルス幅変調制御方法は、RF帯域の変調波とキャリア波との比較に基づいてゲート信号を生成し、生成したゲート信号をPWMパルス信号として単相PWMインバータをパルス幅変調(PWM)制御し、RF帯域の正弦波を出力する単相PWMインバータのパルス幅変調(PWM)制御の制御方法である。
【0071】
パルス幅変調制御方法は、変調波の変調波周波数fsをRF帯域の周波数とし、以下の各工程を備える。
【0072】
(a)キャリア波のキャリア波周波数fcを前記変調波周波数fsの偶数N倍とする周波数同期工程
(b)変調波を奇関数の正弦波とし、前記キャリア波を奇関数の三角波とする奇関数制御工程
(c)変調波の各周期において前記キャリア波を変調波と位相同期する位相同期工程
【0073】
(1)奇関数制御工程によるゲート信号(PWMパルス信号)の交互性を有する時系列パターンの生成:
奇関数制御工程は、変調波の一周期2πにおいて半周期πの位相時点を基準時点として正負が反転する点対称の関係とし、これにより、変調波の各一周期2π内において、変調波の前半の半周期πにおけるゲート信号(PWMパルス信号)の時系列パターンと、後半の半周期におけるゲート信号(PWMパルス信号)の時系列パターンを、各レグについて変調波の半周期毎に交互の関係とし、半周期πの位相時点を基準時点とする交互性を付与する。
【0074】
(2)奇関数制御工程によるゲート信号(PWMパルス信号)の対称性を有する時系列パターンの生成:
奇関数制御工程は、キャリア波に対して、変調波の一周期2πにおいて半周期πの位相時点を基準時点として正負が反転する点対称の関係とする。ゲート信号(PWMパルス信号)に対しては、第1時系列パターンのゲート信号と、第2時系列パターンのゲート信号の反転信号とを、四半周期の位相時点を基準時点として対称を付与する。
【発明の効果】
【0075】
以上説明したように、本発明によれば、RF帯域における単相PWMインバータにおいて各レグのスイッチング損失の偏りを抑制することができる。特に、半周期における各レグのスイッチング損失の偏りを抑制する。
【0076】
変調波Sの半周期内において、四半周期(1/4周期)を境としてゲート信号波形を対称とし、変調波Sの一周期内のデューティー比Dを0.5とすることができる。
【0077】
変調波Sの一周期内のデューティー比Dを0.5とすることにより、スイッチング素子の各損失の偏りを解消して均等化することができ、レグの中点の平均電圧を直流電源の電圧の1/2に合わせることにより電圧の偏りを抑制することができ、RF帯域のゲート信号(PWMパルス信号)の高周波伝送において、パルストランスを用いた伝送トランス方式の適用を有効なものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0078】
図1】本発明のRF帯域電源装置の概略構成を説明するための概略構成図、及び信号波形を示す図である。
図2】単相PWMインバータ及びローパスフィルタの一構成例を説明するための回路例を示す図である。
図3】ゲート信号(PWMパルス信号)の対称性を説明するための図である。
図4】奇関数とゲート信号(PWMパルス信号)の対称性を説明するための図である。
図5】偶関数とゲート信号(PWMパルス信号)の非対称性を説明するための図である。
図6】本発明の構成例を説明するための構成図である。
図7】本発明の構成例を説明するための信号波形図である。
図8】偶関数によるゲート信号(PWMパルス信号)の非対称性を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0079】
以下、図1,2を用いて本発明の概略を説明し、図3,4を用いて変調波及びキャリア波が共に奇関数であるときの波形例を示し、図5を用いてキャリア波が偶関数であるときの波形例を示す。図6,7は本発明の構成例を説明するための図である。
【0080】
[本発明の概略構成]
図1は本発明のRF帯域電源装置の概略構成を説明するための概略構成図、及び信号波形図であり、図1(a)は概略構成を示し、図1(b),(c)はそれぞれ変調波S及びキャリア波Cの信号波形を示し、図1(d),(e)はそれぞれ単相PWMインバータの第1レグのスイッチング素子Q1に印加されるゲート信号(PWMパルス信号)、及び第2レグのスイッチング素子Q3に印加されるゲート信号(PWMパルス信号)の波形を示している。図1(f)は第2レグのスイッチング素子Q4に印加されるゲート信号(PWMパルス信号)の波形を示している。なお、スイッチング素子Q4に印加されるゲート信号(PWMパルス信号)は、第2レグのスイッチング素子Q3に印加されるゲート信号(PWMパルス信号)の反転信号である。
【0081】
図1(a)において、RF帯域電源装置1は、直流電圧を出力する直流電源2と、直流電源2が供給する直流電圧を交流電圧に変換してインバータ出力Vinvを出力する単相PWMインバータ3と、単相PWMインバータ3が出力するインバータ出力Vinvに含まれる高周波成分を除去し、正弦波出力Voutを出力するローパスフィルタ4と、単相PWMインバータ3をPWM制御するインバータ制御部5とを備える。インバータ制御部5はPWM制御部6と変調波/キャリア波生成部7とを備える。
【0082】
単相PWMインバータ3は、スイッチング素子Q1,Q2を直列接続した第1レグと、スイッチング素子Q3,Q4を直列接続した第2レグとを並列接続したブリッジ回路から構成され、第1レグ及び第2レグのスイッチング素子Q1-Q4をオン/オフ動作させるパルス信号のパルス幅によるPWM制御により、直流電源2が供給する直流電圧Vdを交流電圧に変換し、インバータ出力Vinvを出力する。
【0083】
ローパスフィルタ4は、単相PWMインバータ3のインバータ出力Vinvに含まれる高調波成分を除去し、正弦波出力Voutを出力する。
【0084】
図2は単相PWMインバータ3及びローパスフィルタ4の一構成例を説明するための回路例を示している。
【0085】
単相PWMインバータ3は、例えば、D級フルブリッジ増幅器20により構成され、フルブリッジ回路Br及び出力トランスTrを備え、直流電源の直流電圧Vdをフルブリッジ回路Brのスイッチング動作により電力変換し、インバータ出力Vinvを出力し、出力トランスTrの出力からVを出力する。フルブリッジ回路Brは、スイッチング素子Q1、Q2、及びスイッチング素子Q3、Q4の4つのスイッチング素子を備える。スイッチング素子Q1とスイッチング素子Q2の直列回路を一方の第1レグとし、スイッチング素子Q3とスイッチング素子Q4の直列回路を他方の第2レグとしてブリッジ回路を構成する。第1レグ及び第2レグの上アーム側のスイッチング素子Q1、Q3の高電圧側は直流電源2の高電圧側に接続され、第1レグ及び第2レグの下アーム側のスイッチング素子Q2、Q4の低電圧側は直流電源2の低電圧側に接続される。第1レグの点X及び第2レグの点Yは出力トランスTrの入力端に接続する。単相PWMインバータ3は、スイッチング素子Q1、Q2、及びスイッチング素子Q3、Q4のオン/オフ動作をゲート信号(PWMパルス信号)により切り換えることにより直流電圧を交流電圧に変換する。
【0086】
各スイッチング素子Q1―Q4のそれぞれに還流ダイオードを並列接続し、スイッチング素子がオン状態からオフ状態の切り替わった際に逆流する電流を還流ダイオードを通して流すことによりスイッチング素子の破壊を防ぐ構成としてもよい。なお、第1レグ及び第2レグの名称は説明の便宜上から用いており、第1,第2の序数に技術的な意味はない。
【0087】
ローパスフィルタ4は出力トランスTrの出力側に接続され、単相PWMインバータ3により直流電圧から交流電圧に電力変換されたインバータ出力Vinvを入力とする出力トランスTrの出力Vを入力する。ローパスフィルタ4は、例えば、インダクタLとキャパシタCaのLC回路で構成され、出力トランスTrの出力Vに含まれる高周波成分を除去し、得られた正弦波出力Voutを負荷Rに供給する。なお、ローパスフィルタ4のカットオフ周波数は、正弦波出力Voutの周波数fsに対応して設定される。
【0088】
図1において、インバータ制御部5はPWM制御部6及び変調波/キャリア波生成部7を備え、単相PWMインバータ3をPWM制御するゲート信号(PWMパルス信号)を生成する。
【0089】
PWM制御部6は、変調波Sとキャリア波Cとを比較することによりゲート信号(PWMパルス信号)を生成する。ゲート信号(PWMパルス信号)は単相PWMインバータ3が備えるスイッチング素子Q1-Q4のオン/オフ動作を制御するパルス信号である。スイッチング素子Q1とスイッチング素子Q2が直列接続された第1レグにおいて、スイッチング素子Q1を制御するゲート信号(PWMパルス信号)とスイッチング素子Q2を制御するゲート信号(PWMパルス信号)とは反転した信号関係にあり、直流電源2の正端子と負端子間の短絡を防ぐために、両スイッチング素子が同時にオン状態とならないためのデッドタイムが設けられる。スイッチング素子Q3とスイッチング素子Q4が直列接続された第2レグにおいても同様の信号関係であり、デッドタイムが設けられる。
【0090】
変調波/キャリア波生成部7は、変調波S及びパルス数Nに基づいてキャリア波Cを生成する回路構成部であり、変調波Sとキャリア波Cの周波数を同期する周波数同期制御、変調波Sとキャリア波Cを共に奇関数とする奇関数制御、及び変調波Sとキャリア波Cの位相を同期する位相同期制御の各制御を行う。
【0091】
周波数同期制御は、変調波Sの変調波周波数fsに偶数のパルス数Nを乗じたN・fsをキャリア波Cのキャリア波周波数fcとして生成する。キャリア波周波数fcは変調波周波数fsに対して整数倍の関係となるため、変調波Sの周期とキャリア波Cとの周期は同期する。
【0092】
奇関数制御は、変調波とキャリア波との両波形を奇関数とすることにより、変調波の半周期πの位相時点を基準時点としてキャリア波の正負が反転する点対称の関係とする。ゲート信号(PWMパルス信号)の時系列パターンに対して、変調波の半周期πの位相時点を基準時点として入れ替わる関係の交互性を付与し、変調波の四半周期π/2の位相時点を基準時点として対称な関係の対称性を付与する。
【0093】
ゲート信号(PWMパルス信号)の時系列パターンの交互性及び対称性は、変調波の一周期内で発生する各スイッチング素子の電力損失を、各レグについて均等化する効果、変調波の一周期2π内のデューティー比Dを0.5として各スイッチング素子の定常時のオン損失を各レグについて均等化する効果を奏する。
【0094】
位相同期制御は、変調波の各周期において変調波とキャリア波とを位相同期させて位相ずれを抑制する。変調波とキャリア波とは奇関数制御されていることから、変調波の一周期内でのキャリア波の位相関係は、各周期において同一の位相関係が担保される。
【0095】
PWM制御部6は、変調波Sとキャリア波Cとを入力し、両波形を比較することによりゲート信号(PWMパルス信号)を生成する。生成したゲート信号(PWMパルス信号)は単相PWMインバータのスイッチング素子Q1-Q4のオン/オフ動作を制御する。
【0096】
図1(b)に示す変調波Sは奇関数の正弦波であり、図1(c)に示すキャリア波Cは奇関数の三角波であり、変調波Sとキャリア波Cとが同期した状態を示している。実線の変調波S1と破線の変調波S2とは位相がπだけずれた互いに位相が相反した関係にある。図1(c)は変調波Sの一周期内に6波分のキャリア波Cが含まれ、パルス数Nが6である例を示している。
【0097】
第1レグのゲート信号(PWMパルス信号)は、実線の変調波S1とキャリア波Cとの比較により生成され、第2レグのゲート信号(PWMパルス信号)は、互いに位相が相反した破線の変調波S2とキャリア波Cとの比較により生成される。
【0098】
図1(d)に示すゲート信号(PWMパルス信号)は、第1レグのスイッチング素子Q1に印加されるパルス信号であり、変調波Sの一周期内において前半の半周期と後半の半周期は、それぞれゲート信号(PWMパルス信号)の波形が異なる第1時系列パターンと第2時系列パターンを有する。
【0099】
図1(e)に示すゲート信号(PWMパルス信号)は、第2レグのスイッチング素子Q3に印加されるゲート信号(PWMパルス信号)であり、変調波Sの一周期内において前半の半周期と後半の半周期は、それぞれゲート信号(PWMパルス信号)の波形が異なる第2時系列パターンと第1時系列パターンを有する。第1レグと第2レグは、変調波の同一の一周期内において、第1時系列パターンと第2時系列パターンを交互に入れ替えた関係となる。
【0100】
図1(f)に示すゲート信号(PWMパルス信号)は、第2レグのスイッチング素子Q4に印加されるゲート信号(PWMパルス信号)であり、スイッチング素子Q3のゲート信号(PWMパルス信号)の反転信号である。
【0101】
図3を用いて、キャリア波の点対称性、ゲート信号(PWMパルス信号)の交互性及び対称性、及びデューティー比について説明する。図3は変調波Sの一周期分を示し、図3(a)は変調波Sとキャリア波Cを示し、図3(b)-(d)はゲート信号であり、図3(b)は第1レグのスイッチング素子Q1のゲート信号を示し、図3(c),(d)は第2レグのスイッチング素子Q3,Q4のゲート信号を示している。スイッチング素子Q4のゲート信号はスイッチング素子Q3の反転信号である。ここでは、信号波形を簡略化するためにパルス数Nを4とした例を示している。
【0102】
(変調波S及びキャリア波C)
図3(a)において、正弦波の変調波Sの一周期内に四周期分の三角波キャリア波が存在する。ここでは、位相が相反する二つの変調波S1,S2をキャリア波Cと比較することによりゲート信号を生成する。相反する二つの変調波S1,S2の内、一方の変調波S1を実線で示し他方の変調波S2を破線で示している。変調波Sとキャリア波Cは奇関数であり、それぞれ半周期πを基準の位相点として正負が反転する点対称の対称性を備える。
【0103】
(ゲート信号(PWMパルス信号))
図3(b)に示すゲート信号(PWMパルス信号)は、実線で示す正弦波の変調波S1と三角波キャリア波Cとを比較することにより生成され、第1レグのスイッチング素子Q1を駆動する。このゲート信号(PWMパルス信号)は、半周期πを境として、前半の半周期の第1時系列パターンと後半の半周期の第2時系列パターンを備える。
【0104】
図3(c)に示すゲート信号(PWMパルス信号)は、破線で示す正弦波の変調波S2と三角波キャリア波Cとを比較することにより生成され、第2レグのスイッチング素子Q3を駆動する。このゲート信号(PWMパルス信号)は、半周期πを境として、前半の半周期の第2時系列パターンと後半の半周期の第1時系列パターンを備え、図3(b)に示したゲート信号(PWMパルス信号)に対して半周期πを境として交互に入れ替えた関係にあり、πだけ位相がずれた関係にある。ここでは、この関係を交互性の用語で表す。
【0105】
第1レグのスイッチング素子Q1に印加されるゲート信号(PWMパルス信号)と、第2レグのスイッチング素子Q3に印加されるゲート信号(PWMパルス信号)とは、変調波Sの一周期内において共に第1時系列パターン及び第2時系列パターンを有している。これにより、一周期内において各レグには同様のスイッチング損失が発生するため、レグ間でのスイッチング損失の偏りは抑制される。
【0106】
図3(b)に示す第1レグのゲート信号(PWMパルス信号)と、図3(c)に示す第2レグのゲート信号(PWMパルス信号)とは、互いに相反する関係にある二つの変調波S1,S2を用いて生成されるため、第1レグのゲート信号(PWMパルス信号)と第2レグのゲート信号(PWMパルス信号)との間の時系列パターンの比較は、図3(b)に示す第1レグのゲート信号(PWMパルス信号)の時系列パターンと、図3(c)に示す第2レグのゲート信号(PWMパルス信号)を反転させた時系列パターン(図3(d))とにより行う。
【0107】
第1レグのゲート信号(PWMパルス信号)の時系列パターン(図3(b))と第2レグのゲート信号(PWMパルス信号)の時系列パターン(図3(d))は、四半周期(π/2又は3π/2)を対称線とする対称の関係にある。図3(b),(d)において、変調波Sの前半の半周期の第1時系列パターンは四半周期π/2を対称線として対称であり、変調波Sの後半の半周期の第2時系列パターンは四半周期3π/2を対称線として対称である。
【0108】
(デューティー比D)
ゲート信号(PWMパルス信号)の時系列パターンの対称性は、変調波の一周期2π内のデューティー比Dを0.5とし、各スイッチング素子の定常時のオン損失を各レグについて均等化する。さらに、このオン損失の均等化は、単相ブリッジ回路のレグの中点の平均電圧Vmeanを直流電源の入力電圧Vdの中間電圧とする。
【0109】
(ゲート信号(PWMパルス信号)の交互性、対称性)
ゲート信号(PWMパルス信号)の交互性と対称性について、奇関数制御と偶関数制御とを比較して説明する。図4は奇関数制御によるゲート信号(PWMパルス信号)を示し、図5は偶関数制御によるゲート信号(PWMパルス信号)を示している。
【0110】
●奇関数制御:
以下、奇関数制御について説明する。図4(a)において、正弦波の変調波S1,S2の一周期内に二周期分の三角波のキャリア波Cが存在する。位相が相反する二つの変調波S1,S2をキャリア波Cと比較することによりゲート信号を生成する。相反する二つの変調波S1,S2の内、一方の変調波S1を実線で示し他方の変調波S2を破線で示している。変調波Sとキャリア波Cは奇関数であり、それぞれ半周期πを基準の位相点として正負が反転する点対称の対称性を備える。
【0111】
図4(b)-(e)は第1レグのゲート信号及びスイッチング素子間電圧を示し、図4(b),(c)はスイッチング素子Q1のゲート信号及びスイッチング素子間電圧を示し、図4(d),(e)はスイッチング素子Q2のゲート信号及びスイッチング素子間電圧VQ1を示している。なお、スイッチング素子Q2のゲート信号はスイッチング素子Q1のゲート信号の反転信号である。
【0112】
図4(f)-(i)は第2レグのゲート信号及びスイッチング素子間電圧を示し、図4(f),(g)はスイッチング素子Q3のゲート信号及びスイッチング素子間電圧VQ3を示し、図4(h),(i)はスイッチング素子Q4のゲート信号及びスイッチング素子間電圧VQ4を示している。なお、スイッチング素子Q4のゲート信号はスイッチング素子Q3のゲート信号の反転信号である。
【0113】
交互性:
第1レグ及び第2レグの各レグ内において、ゲート信号の時系列パターンは交互性を有する。変調波Sの一周期において、第1レグのスイッチング素子Q1のゲート信号(図4(b))の時系列パターンとスイッチング素子Q2のゲート信号(図4(d))の時系列パターンは、半周期πを境にして、その順序を交互に入れ替えた交互性を有する。同様に、第2レグのスイッチング素子Q3のゲート信号(図4(f))の時系列パターンとスイッチング素子Q4のゲート信号(図4(h))の時系列パターンは、その順序を交互に入れ替えた交互性を有する。
【0114】
対称性:
第1レグ及び第2レグは、両レグ間において、ゲート信号の時系列パターンは対称性を有する。
【0115】
変調波Sの半周期において、第1レグのスイッチング素子Q1のゲート信号(図4(b))の時系列パターンと第2レグのスイッチング素子Q4(図4(h))のゲート信号の時系列パターンは、四半周期π/2及び3π/2を境にして対称性を有する。同様に、第1レグのスイッチング素子Q2のゲート信号(図4(d))の時系列パターンと第2レグのスイッチング素子Q3のゲート信号(図4(f))の時系列パターンは、四半周期π/2及び3π/2を境にして対称性を有する。
【0116】
デューティー比:
ゲート信号(PWMパルス信号)の時系列パターンの対称性は、変調波の一周期2π内のデューティー比Dを0.5とし、各スイッチング素子の定常時のオン損失を各レグについて均等化し、単相ブリッジ回路のレグの中点の平均電圧Vmeanを直流電源の入力電圧Vdの中間電圧とする。
【0117】
図4において、Q1とQ2のゲート信号のデューティー比Dは同一であり、且つQ1とQ2のゲート信号は互いに反転信号を示す。またQ3とQ4のゲート信号も同様であることから第1レグと第2レグのデューティー比Dは0.5となる。これによりQ1-Q4のゲート信号のデューティー比Dは0.5となる。
【0118】
図4(j)はPWMインバータの出力電圧Vinvを示し、変調波Sの一方の半周期で正方向の電圧を出力し、他方の半周期で負方向の電圧を出力する。スイッチング損失は各スイッチング素子Q1-Q4のオン時点及びオフ時点で発生する。第1レグのスイッチング損失と第2レグのスイッチング損失は、各半周期において四半周期を境とする対称な位相時点で発生し、変調波の一周期内で発生する各スイッチング素子の電力損失は各レグについて均等化される。
【0119】
●偶関数制御:
以下、偶関数制御について説明する。図5(a)は、変調波S1,S2とキャリア波Cと示す。図4(a)と同様に、正弦波の変調波S1,S2の一周期内に二周期分の三角波キャリア波が存在する。位相が相反する二つの変調波S1,S2をキャリア波Cと比較することによりゲート信号を生成する。相反する二つの変調波S1,S2の内、一方の変調波S1を実線で示し他方の変調波S2を破線で示している。四半周期π/2または3π/2の点を基準点として観測すれば、変調波Sとキャリア波Cは偶関数であることが判る。キャリア波Cは、半周期πを基準の位相点として同極性となり対称性を備える。
【0120】
図5(b)-(e)は第1レグのゲート信号及びスイッチング素子間電圧を示し、図5(b),(c)はスイッチング素子Q1のゲート信号及びスイッチング素子間電圧を示し、図5(d),(e)はスイッチング素子Q2のゲート信号及びスイッチング素子間電圧を示している。なお、スイッチング素子Q2のゲート信号はスイッチング素子Q1のゲート信号の反転信号である。
【0121】
図5(f)-(i)は第2レグのゲート信号及びスイッチング素子間電圧を示し、図5(f),(g)はスイッチング素子Q3のゲート信号及びスイッチング素子間電圧を示し、図5(h),(i)はスイッチング素子Q4のゲート信号及びスイッチング素子間電圧を示している。なお、スイッチング素子Q4のゲート信号はスイッチング素子Q3のゲート信号の反転信号である。
【0122】
非交互性:
第1レグ及び第2レグの各レグ内において、ゲート信号の時系列パターンは交互性を有していない。変調波Sの一周期において、第1レグのスイッチング素子Q1のゲート信号の時系列パターンとスイッチング素子Q2のゲート信号の時系列パターンは、半周期πを境として順序を交互に入れ替える交互性を有しておらず、異なるパターンである。
【0123】
同様に、第2レグのスイッチング素子Q3のゲート信号の時系列パターンとスイッチング素子Q4のゲート信号の時系列パターンについても交互性を有していない。
【0124】
非対称性:
第1レグ及び第2レグは、両レグ間において、ゲート信号の時系列パターンは非対称性を有する。
【0125】
変調波Sの半周期において、第1レグのスイッチング素子Q1のゲート信号の時系列パターンと第2レグのスイッチング素子Q4のゲート信号の時系列パターンは、四半周期π/2及び3π/2を境にして非対称である。同様に、第1レグのスイッチング素子Q2のゲート信号の時系列パターンと第2レグのスイッチング素子Q3のゲート信号の時系列パターンは、四半周期π/2及び3π/2を境にして非対称である。
【0126】
ゲート信号(PWMパルス信号)の時系列パターンの非対称性は、変調波の一周期2π内のデューティー比Dは0.5からずれた値となり、各スイッチング素子の定常時のオン損失は各レグについて非均等となり、単相ブリッジ回路のレグの中点の平均電圧Vmeanは直流電源の入力電圧Vdの中間電圧からずれた電圧となる。
【0127】
図5(j)は、PWMインバータの出力電圧Vinvを示し、変調波Sの一方の半周期で正方向の電圧を出力し、他方の半周期で負方向の電圧を出力する。
【0128】
スイッチング損失は、各スイッチング素子Q1-Q4のオン時点及びオフ時点で発生する。第1レグのスイッチング損失と第2レグのスイッチング損失は、各半周期において四半周期を境とする非対称な位相時点で発生するため、変調波の一周期内で発生する各スイッチング素子の電力損失は各レグについて非均等となる。
【0129】
[インバータ制御部の構成例]
本発明のインバータ制御部の構成例について、図6の構成図及び図7の信号波形図を用いて説明する。
【0130】
インバータ制御部5は、ゲート信号を生成するPWM制御部6、及び変調波/キャリア波生成部7を備える。変調波/キャリア波生成部7は、変調波の変調波周波数fsをRF帯域の周波数とし、キャリア波周波数fcを前記変調波周波数fsの偶数N倍とする周波数同期部7aと、変調波Sを奇関数の正弦波としキャリア波Cを奇関数の三角波とする奇関数制御部7bと、変調波Sの各周期においてキャリア波Cの位相を変調波の位相と同期させる位相同期部7cとを備える、
【0131】
周波数同期部7a:
周波数同期部7aはキャリア波周波数fcを変調波周波数fsの偶数N倍に設定し、キャリア波の周波数を変調波の周波数に同期させる。キャリア波周波数fcの設定はfc=N・fsに基づいて行われる。変調波周波数fsはPWMインバータの正弦波出力の周波数に対応して定まる。したがって、キャリア波周波数fcは、正弦波出力及び変調波の変調波周波数fsに応じてNを係数として定まる。Nは変調波Sの一周期内のPWMパルス数に相当する偶数であり、変調波周波数fsとキャリア波周波数fcとを偶数Nの関係を介して同期させる。
【0132】
周波数同期制御において、変調波周波数fsの周波数範囲が変化した場合であっても、Nの値を切り替えることにより、キャリア波周波数fcの周波数範囲を変調波周波数fsの周波数範囲の変化に係わらず、一定範囲に制限する。
【0133】
例えば、キャリア波周波数の周波数制限範囲を上限周波数及び下限周波数により設定しておき、変調波周波数fsの周波数範囲の変化に伴ってNの値を切り替えることにより、キャリア波周波数fcの周波数範囲を周波数制限範囲に制限する。キャリア波周波数fcは所定の周波数制限範囲内に収まるため、スイッチング損失は抑制される。
【0134】
キャリア波周波数fcの設定は、例えば以下の手順により行う。
(a)キャリア波周波数fcの上限周波数及び下限周波数を設定して、キャリア波周波数fcの周波数制限範囲を設定する。
(b)fc=N・fsの関係に基づいて、変調波周波数fsの変化に対してキャリア波周波数fcが周波数制限範囲内に収まるNを定め、変調波周波数fsとPWMパルス数Nとの対応付けを行う。この対応付けは、PWMパルス数NとそのPWMパルス数Nが設定された変調波周波数区間との組み合わせとの対応付けにより設定してもよい。
(c)PWMインバータの正弦波出力に応じた変調波周波数fsに対して、対応付けられたPWMパルス数Nの値を用いて、fc=N・fsに基づいてキャリア波周波数fcを設定する。
【0135】
以下、変調波周波数fsの変化範囲に対して、PWMパルス数Nを切り替えることによりキャリア波周波数fcを周波数範囲内に制限する一例を以下の表1に示す。表1に示す変調波の周波数範囲は、RF(Radio Frequency)の周波数帯域において、MF帯域(300kHz-3MHz)及びHF帯域(3MHz-30MHz)に相当する周波数帯域の例である。変調波の周波数範囲は、この例に限られるものではない。
【0136】
【表1】
【0137】
表1に示すPWMパルス数N及び周波数区例は、変調波周波数fsの周波数範囲を2.59MHz-13.56MHzとし、キャリア波周波数の周波数範囲を36.16MHz-54.24MHzとする例であるが、一例であってこの例に限られるものではない。
【0138】
各変調波周波数区間はPWMパルス数Nと対応付けられ、fc=N・fsの関係が維持される。変調波周波数区間が13.56MHz≧fs≧9.04MHzの周波数範囲では、PWMパルス数Nは“4”が対応付けられ、変調波周波数区間が3.02MHz≧fs≧2.59MHzの周波数範囲では、PWMパルス数Nは“14”が対応付けられ、変調波周波数fsによってPWMパルス数Nを切り換える。
【0139】
このように、変調波周波数fsが広帯域で変化した場合であっても、変化した変調波周波数fsに対応付けられたPWMパルス数Nに切り換え、fc=N・fsの関係に基づいてキャリア周波数fcを設定することにより、キャリア周波数fcの周波数範囲を所定の周波数制限範囲内に収めてスイッチング損失を抑制すると共に、キャリア波Cと変調波Sとの間の周波数を同期させる。
【0140】
また、キャリア波Cと変調波Sとの周波数同期において、変調波Sの一周期内に偶数N個のキャリア波Cが存在し、隣接する変調波の各周期においても同様にキャリア波Cは偶数N個存在する。これにより、キャリア波Cが、変調波Sの一周期2πにおいて半周期πの位相時点を基準時点として正負が反転する点対称の関係となる。
【0141】
奇関数制御部7b:
奇関数制御部7bは、変調波Sを正弦波とし、キャリア波Cを三角波とし、両波形を奇関数とする。
【0142】
変調波Sとキャリア波Cの両波形を奇関数とすることにより、変調波Sの一周期内の正の半周期内又は負の半周期内において、並列接続される二つのレグの各レグが備えるスイッチング素子を駆動するゲート信号が対称な波形となる。半周期内におけるゲート信号が対称な場合には、変調波の一周期のデューティー比Dは0.5となり、各スイッチング素子において、スイッチング損失、及び定常時のオン損失の偏りを抑制する。
【0143】
(1)奇関数制御によるゲート信号(PWMパルス信号)の時系列パターンの交互性
奇関数制御及び位相が相反した二つの変調波により、変調波の各一周期2π内において、変調波の前半の半周期におけるゲート信号の時系列パターンと、後半の半周期におけるゲート信号の時系列パターンを、各レグについて変調波の半周期π毎に交互に入れ替わった位置関係を有する交互性を付与する。
【0144】
(2)奇関数制御によるゲート信号(PWMパルス信号)の時系列パターンの対称性
変調波の各半周期π内において、変調波の前半の四半周期におけるゲート信号(PWMパルス信号)の時系列パターンと、後半の四半周期におけるゲート信号(PWMパルス信号)の時系列パターンを、各レグについて変調波の四半周期π/2毎に交互に切り換え、四半周期π/2の位相時点を基準時点として対称となるゲート信号を生成する。
【0145】
ゲート信号(PWMパルス信号)の時系列パターンの対称性は、変調波の一周期2π内のデューティー比Dを0.5とし、各スイッチング素子の定常時のオン損失を各レグについて均等化する。さらに、このオン損失の均等化は、単相ブリッジ回路のレグの中点の平均電圧Vmeanを直流電源の入力電圧Vdの1/2に合わせることができ、中点電圧における直流バイアス分が解消され、RF帯域のゲート信号(PWMパルス信号)の高周波伝送において、パルストランスを用いた伝送トランス方式の適用が可能となり、ゲート信号(PWMパルス信号)をパルストランスを介して各ゲートに伝送し、単相PWMインバータを駆動制御することができる。
【0146】
位相同期部7c:
位相同期部7cは、変調波の各周期においてキャリア波と変調波の位相を同期する。両波形の位相同期は、変調波の一周期の前端側の零位相の位相時点と、変調波の一周期内にN個存在するキャリア波の最初のキャリア波の零位相の位相時点とが一致し、また、変調波の一周期の後端側の2π位相の位相時点と、変調波の一周期内にN個存在するキャリア波の最終のキャリア波の2π位相の位相時点とが一致する。
【0147】
位相同期は、例えば以下の手順により行う。
(a)位相が相反する一方の変調波Sとキャリア波Cとの比較により、変調波の一周期において一方のレグのスイッチング素子を駆動し、変調波の前半の半周期の時系列パターンを第1時系列パターン、変調波の後半の半周期の時系列パターンを第2時系列パターンとする時系列パターンのゲート信号を生成する。
(b)一方の変調波に対して位相がπずれた他方の変調波とキャリア波との比較により、変調波の一周期において他方のレグのスイッチング素子を駆動し、変調波の前半の半周期の時系列パターンを第2時系列パターン、変調波の後半の半周期の時系列パターンを第1時系列パターンとする時系列パターンのゲート信号を生成する。
(c)変調波の各半周期において、第1時系列パターンのゲート信号と、第2時系列パターンのゲート信号の反転信号とを、各半周期中の四半周期の位相時点を基準時点として対称の関係とする。
(d)変調波の一周期内において、各レグの各スイッチング素子を、半周期毎に前記第1時系列パターンのゲート信号及び第2時系列パターンのゲート信号を切り替えて駆動制御し、パルス幅変調(PWM)により直流入力を交流出力に変換する。
【0148】
PWM制御部6は、変調波Sとキャリア波Cとを比較することによりゲート信号を生成し、単相PWMインバータ3を制御するPWMパルス信号として出力する。PWM制御部6は、単相PWMインバータ3の第1レグを構成する上アームのスイッチング素子Q1と下アームのスイッチング素子Q2を制御するPWMパルス信号を生成する構成部と、単相PWMインバータ3の第2レグを構成する上アームのスイッチング素子Q3と下アームのスイッチング素子Q4を制御するPWMパルス信号を生成する構成部とを備える。
【0149】
第1レグに付与するPWMパルス信号を生成する構成部は、第1レグ用の比較回路6aを備え、変調波Sとキャリア波Cとを比較する。第1レグを構成する上アームのスイッチング素子Q1には比較回路6aで生成されたPWMパルス信号が付与され、第1レグを構成する下アームのスイッチング素子Q2には、NOT回路で反転されたPWMパルス信号が付与される。
【0150】
一方、第2レグに付与するPWMパルスを生成する構成部は第2レグ用の比較回路6b、及び変調波Sの信号を反転する反転回路6cを備える。比較回路6bは、反転回路6cで反転された変調波Sとキャリア波Cの電圧を比較してPWMパルス信号を生成する。第2レグを構成する上アームのスイッチング素子Q3には比較回路6bで生成されたパルス信号が付与される。一方、第2レグを構成する下アームのスイッチング素子Q4には、比較回路6bで生成されたゲート信号をNOT回路で反転したゲート信号が付与される。
【0151】
図7は、図6に示した構成例における波形例を示している。
図7(a)、(b)は、変調波Sと反転した変調波Sの波形例を示し、図7(c)はキャリア波Cの三角波を示し、図7(d)~図7(g)はゲート信号を示している。ここでは、キャリア波Cはパルス数Nが6の例を示している。
【0152】
図7(d)のゲート信号は、変調波Sの正弦波(図7(a))とキャリアCの三角波(図7(c))との比較により生成され、第1レグの上アームのスイッチング素子Q1に付与される。図7(e)のゲート信号は、図7(d)に示されるゲート信号がNOT回路で反転された反転信号であり、第1レグの下アームのスイッチング素子Q2に付与される。
【0153】
一方、図7(f)のゲート信号は、変調波Sの反転正弦波(図7(b))とキャリアCの三角波(図7(c))との比較により生成され、第2レグの上アームのスイッチング素子Q3に付与される。図7(g)のゲート信号は、図7(f)に示されるゲート信号がNOT回路で反転された反転信号であり、第2レグの下アームのスイッチング素子Q4に付与される。
【0154】
図7(d)に示す第1レグの上アームのゲート信号において、前半の半周期の時系列パターンを第1時系列パターンとし、後半の半周期の時系列パターンを第2時系列パターンとする。
【0155】
第1レグの上アームのゲート信号を示す図7(d)の時系列パターンと、第2レグの上アームのゲート信号を示す図7(f)の時系列パターンは、変調波Sの一周期において、前半の半周期と後半の半周期で第1時系列パターンと第2時系列パターンが交互に現れることを示している。
【0156】
また、第1レグの下アームのゲート信号を示す図7(e)と、第2レグの下アームのゲート信号を示す図7(g)の時系列パターンについても、変調波Sの一周期において、前半の半周期の時系列パターンと後半の半周期の時系列パターンが交互に現れることを示している。各レグの一周期内の時系列パターンが半周期で交互となることにより、各スイッチング素子の電圧波形についても各時系列パターンに応じて半周期で交互に現れ、各レグにおいて一周期内に発生するスイッチング損失は等しくなる。
【0157】
なお、上記実施の形態及び変形例における記述は、本発明に係る広帯域RF電源の一例であり、本発明は各実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形することが可能であり、これらを本発明の範囲から排除するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0158】
本発明のRF帯域電源装置及びパルス幅変調制御方法は、半導体製造装置や液晶パネル製造装置等に用いられる高周波電源(RFジェネレータ)に適用することができる。
【符号の説明】
【0159】
1 RF帯域電源装置
2 直流電源
3 単相PWMインバータ
4 ローパスフィルタ
5 インバータ制御部
6 PWM制御部
6a 比較回路
6b 比較回路
6c 反転回路
7 キャリア波生成部
7a 周波数同期部
7b 奇関数制御部
7c 位相同期部
20 D級フルブリッジ増幅器
Br フルブリッジ回路
C キャリア波
Ca キャパシタ
D デューティー比
fc キャリア波周波数
fs 変調波周波数
L インダクタ
N パルス数
Q1,Q2,Q3,Q4 スイッチング素子
R 負荷
S 変調波
変調波
S1,S2 変調波
Tr 出力トランス
Vd 直流電圧
inv インバータ出力
out 正弦波出力
mean 単相ブリッジ回路のレグの中点の平均電圧
出力トランスTrの出力
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8