(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022013743
(43)【公開日】2022-01-18
(54)【発明の名称】1つ又は複数のマイクロバッテリデバイスを試験するための方法、及び試験方法を実装するシステム
(51)【国際特許分類】
G01R 31/378 20190101AFI20220111BHJP
G01R 31/3842 20190101ALI20220111BHJP
G01R 31/389 20190101ALI20220111BHJP
H01M 4/1395 20100101ALI20220111BHJP
【FI】
G01R31/378
G01R31/3842
G01R31/389
H01M4/1395
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021097798
(22)【出願日】2021-06-11
(31)【優先権主張番号】2006930
(32)【優先日】2020-07-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(71)【出願人】
【識別番号】311015001
【氏名又は名称】コミサリヤ・ア・レネルジ・アトミク・エ・オ・エネルジ・アルテルナテイブ
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アラン・トフォリ
(72)【発明者】
【氏名】サミ・ウカシ
【テーマコード(参考)】
2G216
5H050
【Fターム(参考)】
2G216BA42
2G216BA53
2G216BB07
2G216BB09
2G216BB21
5H050AA08
5H050BA17
5H050CA02
5H050CA17
5H050DA02
5H050GA18
5H050HA04
5H050HA17
5H050HA18
5H050HA20
(57)【要約】 (修正有)
【課題】1つ又は複数のマイクロバッテリデバイスを試験するための方法、及び試験方法を実装するシステムを提供する。
【解決手段】少なくとも1つのエネルギーマイクロ貯蔵デバイスを試験するための方法に関し、この方法は、前記アノードの製造中に一連のステップ、すなわち、エネルギーマイクロ貯蔵デバイスの初期電圧OCVを測定するステップと、アノードに形成された非常に薄いリチウム層の厚さで測定値が適合していることを検証するために、電流を印加し、デバイスの電圧及び内部抵抗を測定することを含む第1の充電ステップと、アノードに形成された薄いリチウム層の厚さで測定値が適合していることを検証するために、電流を印加し、デバイスの電圧を測定することを含む第2の充電安定化ステップと、エネルギーマイクロ貯蔵デバイスが適合していることを確認するために、ゼロ電流が印加され、電圧を測定する保持ステップと、を含む。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リチウムイオンに不活性の金属上にLi+イオンを電着することによって形成された金属リチウムで作製されたアノードと、電解質と、カソードと、を含む少なくとも1つのエネルギーマイクロ貯蔵デバイスを試験するための方法において、前記アノードの製造中に、試験ステップのシーケンスであって、
- 前記エネルギーマイクロ貯蔵デバイスの初期電圧(OCV)の値を得るために、時間t0で、開回路モードで前記デバイスの前記初期電圧を測定するステップ(Ph-a)と、
- 前記初期電圧がゼロでない場合に、
〇 前記アノードで第1のリチウム層の厚さを形成するように、最小充電時間の間、前記デバイスの第1の部分を充電するために、時間tbの間、電流Ibを印加することと、
〇 前記デバイスの端子間電圧Vbを測定することと、を含み、
内部抵抗Rbを決定する、
第1の充電ステップ(Ph-b)と、
- 前記電圧Vbが、構成要素のアーキテクチャに基づいて定義された間隔Vbmin~Vbmax内にある場合であり、且つ、前記抵抗Rbが、前記構成要素の前記アーキテクチャに基づいて定義された間隔Rbmin~Rbmax内にある場合に、
〇 前記アノードで第2のリチウム層の厚さを形成するように、第2の充電時間tcの間、前記デバイスの第2の部分を充電するために、時間tcの間、少なくとも1つの電流Icを印加し続けることと、
〇 前記デバイスの前記端子間電圧Vcを測定することと、
を含む、安定化ステップ(Ph-c)と、
- 前記電圧Vcが、前記構成要素の前記アーキテクチャに基づいて定義された間隔Vcmin~Vcmax内にある場合に、
〇 時間tdの間、ゼロ電流を印加することと、
〇 前記デバイスの前記端子間電圧Vを経時的に測定することと、
〇 パラメータVdを決定することであって、Vd=△V/△tである、決定することと、を含み、
〇 Vdが、前記構成要素の前記アーキテクチャに基づいて定義された間隔Vdmin~Vdmax内にある場合に、前記デバイスが有効であるとして試験される、
保持ステップ(Ph-d)と、
を含む前記シーケンスを含むことを特徴とする、方法。
【請求項2】
- 前記第1の充電ステップが、時間の関数としての曲線Vbiを決定するために、且つ、電圧Vbiの最大値又は前記電圧Vbiの平均値として定義されることが可能な前記電圧Vbの前記値を決定するために、時間Tbiの間隔で期間△tbiの間の前記電圧Vbiの一連の測定を含み、
- 前記抵抗Rbが、それぞれの時間tbiの後に、時間tの関数としての前記曲線Vbiの比率Vbi/Icによって決定され得る、
請求項1に記載の試験方法。
【請求項3】
前記期間△tbiが10秒のオーダーであり、前記時間Tbiが0.1秒のオーダーである、請求項2に記載の試験方法。
【請求項4】
前記第1の厚さが、数ナノメートルのオーダーであり、好ましくは、1ナノメートルから2ナノメートルである、請求項1又は2に記載の試験方法。
【請求項5】
- 前記安定化ステップが、電圧Vciの平均値として定義された前記電圧Vcの前記値を決定するために、時間Tciの間隔で期間△tciの間の前記電圧Vciの一連の測定を含む、請求項2~4のいずれか一項に記載の試験方法。
【請求項6】
前記期間△tciが50秒のオーダーであり、前記時間Tciが1秒のオーダーである、請求項5に記載の試験方法。
【請求項7】
前記第2の厚さが10ナノメートル未満であり、好ましくは、5ナノメートルに等しい、請求項1~6のいずれか一項に記載の試験方法。
【請求項8】
- 前記保持ステップが、時間の関数としての曲線Vdiを決定するために、時間Tdiの間隔で期間△tdiの間の前記電圧Vdiの一連の測定を含み、
- 前記パラメータVdが、時間tの関数としての前記曲線Vdiの勾配によって決定される、
請求項1~7のいずれか一項に記載の試験方法。
【請求項9】
前記期間△tdiが10秒のオーダーであり、前記時間Tdiが1秒のオーダーである、請求項8に記載の試験方法。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか一項に記載の、リチウムイオンに不活性の金属上にLi+イオンを電着することによって形成された金属リチウムで作製されたアノードと、電解質と、カソードと、を含む少なくとも1つのエネルギーマイクロ貯蔵デバイスを試験するための方法を実装する少なくとも1つのエネルギーマイクロ貯蔵デバイスを試験するための、システムであって、前記試験方法が、前記アノードの前記製造中に、試験ステップのシーケンスを含み、前記シーケンスが、
- 前記エネルギーマイクロ貯蔵デバイスの前記初期電圧(OCV)の前記値を得るために、時間t0で、開回路モードで前記デバイスの前記初期電圧を測定するステップ(Ph-a)と、
- 前記初期電圧がゼロでない場合に、
〇 前記アノードで第1のリチウム層の厚さを形成するように、最小充電時間の間、前記デバイスの第1の部分を充電するために、時間tbの間、電流Ibを印加することと、
〇 前記デバイスの前記端子間電圧Vbを測定することと、を含み、
前記内部抵抗Rbを決定する、
第1の充電ステップ(Ph-b)と、
- 前記電圧Vbが、前記構成要素の前記アーキテクチャに基づいて定義された間隔Vbmin~Vbmax内にある場合であり、且つ、前記抵抗Rbが、前記構成要素の前記アーキテクチャに基づいて定義された間隔Rbmin~Rbmax内にある場合に、
〇 前記アノードで第2のリチウム層の厚さを形成するように、第2の充電時間tcの間、前記デバイスの第2の部分を充電するために、時間tcの間、少なくとも1つの電流Icを印加し続けることと、
〇 前記デバイスの前記端子間電圧Vcを測定することと、
を含む、安定化ステップ(Ph-c)と、
- 前記電圧Vcが、前記構成要素の前記アーキテクチャに基づいて定義された間隔Vcmin~Vcmax内にある場合に、
〇 時間tdの間、ゼロ電流を印加することと、
〇 前記デバイスの前記端子間電圧Vを経時的に測定することと、
〇 前記パラメータVdを決定することであって、Vd=△V/△tである、決定することと、を含み、
〇 Vdが、前記構成要素の前記アーキテクチャに基づいて定義された間隔Vdmin~Vdmax内にある場合に、前記デバイスが有効であるとして試験される、
保持ステップ(Ph-d)と、
を含み、
前記試験システムが、
- 前記デバイスに接続された電流発生装置と、
- 前記デバイスに接続された電圧計と、
- 前記電流発生装置及び前記電圧計に接続された制御装置と、
を含む、試験システム。
【請求項11】
前記電流発生装置がプログラム可能であり、前記電圧計がプログラム可能である、請求項10に記載の試験システム。
【請求項12】
前記制御装置がタイマと、メモリと、プロセッサと、を含む、請求項10又は11に記載の試験システム。
【請求項13】
請求項1~9のいずれか一項に記載の方法を実装するエネルギーマイクロ貯蔵デバイス(Dn)を試験するための複数のシステムのアセンブリであって、各システムが、
- 場合によってはプログラム可能な、前記デバイス(Dn)に接続された電流発生装置(An)と、
- 場合によってはプログラム可能な、前記デバイス(Dn)に接続された電圧計(Vn)と、を含み、
- 各電流発生装置(An)及び各電圧計(Vn)が、制御装置(Cn)に接続された、複数のシステムのアセンブリ。
【請求項14】
請求項1~9のいずれか一項に記載の、リチウムイオンに不活性の金属上にLi+イオンを電着することによって形成された金属リチウムで作製されたアノードと、電解質と、カソードと、を含む少なくとも1つのエネルギーマイクロ貯蔵デバイスを試験するための方法を実装するエネルギーマイクロ貯蔵デバイス(Dn)を試験するための複数のシステムのアセンブリであって、前記試験方法が、前記アノードの前記製造中に、試験ステップのシーケンスを含み、前記シーケンスが、
- 前記エネルギーマイクロ貯蔵デバイスの前記初期電圧(OCV)の前記値を得るために、時間t0で、開回路モードで前記デバイスの前記初期電圧を測定するステップ(Ph-a)と、
- 前記初期電圧がゼロでない場合に、
〇 前記アノードで第1のリチウム層の厚さを形成するように、最小充電時間の間、前記デバイスの第1の部分を充電するために、時間tbの間、電流Ibを印加することと、
〇 前記デバイスの前記端子間電圧Vbを測定することと、を含み、
前記内部抵抗Rbを決定する、
第1の充電ステップ(Ph-b)と、
- 前記電圧Vbが、前記構成要素の前記アーキテクチャに基づいて定義された間隔Vbmin~Vbmax内にある場合であり、且つ、前記抵抗Rbが、前記構成要素の前記アーキテクチャに基づいて定義された間隔Rbmin~Rbmax内にある場合に、
〇 前記アノードで第2のリチウム層の厚さを形成するように、第2の充電時間tcの間、前記デバイスの第2の部分を充電するために、時間tcの間、少なくとも1つの電流Icを印加し続けることと、
〇 前記デバイスの前記端子間電圧Vcを測定することと、
を含む、安定化ステップ(Ph-c)と、
- 前記電圧Vcが、前記構成要素の前記アーキテクチャに基づいて定義された間隔Vcmin~Vcmax内にある場合に、
〇 時間tdの間、ゼロ電流を印加することと、
〇 前記デバイスの前記端子間電圧Vを経時的に測定することと、
〇 前記パラメータVdを決定することであって、Vd=△V/△tである、決定することと、を含み、
〇 Vdが、前記構成要素の前記アーキテクチャに基づいて定義された間隔Vdmin~Vdmax内にある場合に、前記デバイスが有効であるとして試験される、
保持ステップ(Ph-d)と、
を含み、各システムが、
- 場合によってはプログラム可能な、前記デバイス(Dn)に接続された電流発生装置(An)と、
- 場合によってはプログラム可能な、前記デバイス(Dn)に接続された電圧計(Vn)と、を含み、
- 各電流発生装置(An)及び各電圧計(Vn)が、同一の中央制御装置(Cc)に接続された、
複数のシステムのアセンブリ。
【請求項15】
各制御装置又は前記中央制御装置がタイマと、メモリと、プロセッサと、を含む、請求項10~14のいずれか一項に記載の試験システム。
【請求項16】
メモリ(Mc)を含み、各制御装置(Cn)が各試験システムごとに試験フェーズを管理し、前記各制御装置(Cn)のメモリ(Mn)に電圧測定結果を記録する中央制御装置であって、自身のメモリ(Mc)に前記測定結果を記録するように前記測定結果を回復する、中央制御装置(Cc)を含む、請求項13及び請求項15に記載の試験システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の分野は、マイクロエレクトロニクス技術を使用して製造された電子デバイス又は科学技術デバイス、すなわち集積回路、センサ、基本デバイス(抵抗器、ダイオード、キャパシタ、等)の電気的試験の分野である。
【0002】
より具体的には、一般にマイクロバッテリと呼ばれる、ある特定のカテゴリのエネルギーマイクロ貯蔵構成要素に専用の、電気的試験方法を含んでいる。
【背景技術】
【0003】
マイクロバッテリは、基板の上に以下のもの、すなわち、(i)第1の集電体、(ii)第1の電極、(iii)電解質、(iv)第2の電極、及び(v)第2の集電体を連続的に堆積することにより製造される。酸素及び水蒸気との化学反応からデバイスを保護するために、追加の層を堆積するか、又は覆いを追加することによって封入することが必要である。
【0004】
概して、マイクロバッテリは、電解質の上に堆積される場合が多い負電極(又はアノード)の型に応じて3つのカテゴリに分類することができる。
- Li+イオン貯蔵材料で作製されたアノード:これは、遷移金属の酸化物(Vox、TiOx、NiOx、等)、又は結晶生成材料(Si、Ge、C若しくは混合物)を含んでいる場合が多い。
- 金属リチウムで作製されたアノード:リチウム層が集電体の上に金属の形態で堆積されている。
- リチウムに不活性の金属で作製されたアノード:この構成は、論文J.Electrochem.Soc.-2000-Neudecker-517-23を参照して、「Liフリー」と呼ばれる場合が多い。この場合、金属リチウムで作製されたアノードは、(カソードから発生した)Li+イオンが電解質と第2の集電体との間で電着することによってバッテリの第1の充電の間に形成される。
【0005】
最後の構成は、シリコン基板に一体化したマイクロバッテリの場合、及びマイクロ製造技法を使用する場合に最も有利なものである。この構成は、リチウム金属(そのエネルギー密度、電位及びサイクル性により最も有効なアノードである)の存在を、プロセスの間のリチウム金属の存在に関連する欠点(空気に対する感受性、エッチング及びフォトリソグラフィ溶液との非互換性)なしに提供する。
【0006】
概して、最も一般に使用され、最も信頼性の高いソーティング及び電気的試験プロトコルは、(i)複数の完全な充放電サイクル(完全充電から完全放電までの変化)にわたってマイクロバッテリを試験すること、並びに(ii)容量値、電圧プロファイル、及び内部抵抗を基準値と比較することである。
【0007】
しかしながら、この手法にはいくつかの制限がある。マイクロバッテリの文脈、より具体的には、「Liフリー」マイクロバッテリの文脈では、サイクリングがアクティブスタックの構造の変動、この場合は金属リチウムの形成につながり、空気に非常に敏感になり、技術的な製造プロセスでうまく調整することが困難になる。
【0008】
より大きなバッテリの場合、長い試験期間が必要であり、これはかなりのコストを意味するという点で、この方法を適用することは、まだ非常にまれである。
【0009】
ソーティングは、マイクロバッテリをサイクリングさせる必要なく、マイクロバッテリの1つ又は複数のパラメータに基づくことができる。最も一般に使用される電気的パラメータは以下を含む。
- 開回路電圧、すなわちOCV(open-circuit voltage)。この電圧は、マイクロバッテリの製造終了時に、電気的動作を行う前にマイクロバッテリで測定された電圧に対応する。この電圧により、概してマイクロバッテリの充電状態が分かる。これは、例えば、アノードが金属リチウム又は貯蔵アノードで作製されたマイクロバッテリの場合に検証される。「Liフリー」マイクロバッテリの場合、実験において、OCVが1つのウェーハ内で、及びウェーハ間で大きな変動性を有しており、7つのウェーハのバッチで製造されたマイクロバッテリ構成要素のOCVの変動を図示する
図1に示されているように、OCVと充電状態との間には相関関係がみられ得なかったことが認められている。変動性は、1つのウェーハ内、及びウェーハ間のいずれにおいても大きい。
- 変動性は、リチウムで作製されたアノードがこの段階では形成されなくなったという事実に関連しており、OCV測定値は、充電状態又は将来の電気的挙動に関連することなく、電解質/電極界面の状態に関する情報のみを提供する。結果として、このパラメータは、マイクロバッテリ構成のすべてのソーティングを確立するためには適切ではない。
- 内部抵抗:これは、マイクロバッテリの構造内で発生するすべての抵抗性の寄与に対応し、電解質の抵抗と、電極内及び界面の電荷移動と、の合計である。このパラメータは、金属リチウムで作製されたアノードが形成されないため、上記で説明したのと同じ理由で、「Liフリー」マイクロバッテリの場合のソーティングには適切ではない。
【0010】
この場合におけるソーティングの課題は、正に、製造プロセスの終了後にしかソーティングを実行することができないという危険を冒してでも、サイクリングの実行を強いることなく、「Liフリー」マイクロバッテリを含むマイクロバッテリを分類するのに役立つ可能性のある電気的パラメータを有することができるようにする、ということである。具体的には、特に、金属リチウムの存在に関連する構造の変化、及び空気に対する感受性を避けるために、サイクリングに基づくソーティングには、ウェーハで、又はカットしてハウジングに入れた後のいずれかで、マイクロバッテリを封入することが必要である。製造コストを低減し、フォールトモードを識別する中間的なソーティングを行うことができず、この場合においては、正にこれが求められているのである。
【0011】
特許文献米国特許第9209496号明細書は、バッテリの開回路電圧すなわちOCVを測定し、ある一定期間の間放電し、放電終了時の電位をOCVの電位と比較することからなるソーティング方法を提案している。「Liフリー」マイクロバッテリの場合、このソーティング方法は、(i)OCVはバッテリの状態に関する表示を提供しない点、及び(ii)「Liフリー」バッテリを放電しても、試験時にマイクロバッテリが完全に放電される安定したやり方で電位を修正することができない点で、適していないことが明らかである。
【0012】
特許文献米国特許第6526361号明細書は、バッテリで各パルス間に緩和期間を有する複数の連続するパルスを印加(電流パルス又は電圧パルスのいずれかを印加)することと、関連する電圧応答を測定することと、この応答に基づいてソーティングを実行することと、からなるソーティング方法を提案している。電圧に関して安定している初期状態を必要とすることから、この手法は「Liフリー」マイクロバッテリに適用可能ではない。
【0013】
文献「A comparative study of sorting methods for Lithium-ion batteries」Xiaoyu Li et al著、XP032671721、及び文献「Fundamentals,impedance,and performance of solid-state LI-metal microbatteries」Collins John et al著、XP012247065は、リチウムイオン電池をソーティングするための方法を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】米国特許第9209496号明細書
【特許文献2】米国特許第6526361号明細書
【非特許文献】
【0015】
【非特許文献1】J.Electrochem.Soc.-2000-Neudecker-517-23
【非特許文献2】A comparative study of sorting methods for Lithium-ion batteries、Xiaoyu Li et al著、XP032671721
【非特許文献3】Fundamentals,impedance,and performance of solid-state LI-metal microbatteries、Collins John et al著、XP012247065
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
この文脈において、及び上述した問題を克服するために、本発明は、既知の先行技術による方法とは互換性がない、「Liフリー」マイクロバッテリに特によく適した試験方法に関する。この方法により、非劣化で、迅速な試験を実行することが可能になり、また、この方法は、1つのデバイス、又は並行して試験される複数のデバイスに適用してもまたよい。
【課題を解決するための手段】
【0017】
より正確には、本発明は、リチウムイオンに不活性の金属上にLi+イオンを電着することによって形成された金属リチウムで作製されたアノードと、電解質と、カソードと、を含む少なくとも1つのエネルギーマイクロ貯蔵デバイスを試験するための方法に関し、前記方法は、前記アノードの製造中に、試験ステップのシーケンスを含み、前記シーケンスは、
- 前記エネルギーマイクロ貯蔵デバイスの初期電圧OCVの値を得るために、時間t0で、開回路モードで前記デバイスの初期電圧を測定するステップPh-aと、
- 前記初期電圧がゼロでない場合に、
〇 アノードで第1のリチウム層の厚さを形成するように、最小充電時間の間、前記デバイスの第1の部分を充電するために、時間tbの間、電流Ibを印加することと、
〇 前記デバイスの端子間電圧Vbを測定することと、を含み、
内部抵抗Rbの決定が前記デバイスの検討中の充電状態に関連する、第1の充電ステップPh-bと、
- 電圧Vbが、構成要素のアーキテクチャに基づいて定義された間隔Vbmin~Vbmax内にある場合であり、且つ、抵抗Rbが、構成要素のアーキテクチャに基づいて定義された間隔Rbmin~Rbmax内にある場合に、
〇 アノードで第2のリチウム層の厚さを形成するように、第2の充電時間tcの間、前記デバイスの第2の部分を充電するために、時間tcの間、少なくとも1つの電流Icを印加し続けることと、
〇 前記デバイスの端子間電圧Vcを測定することと、
を含む、安定化ステップPh-cと、
- 電圧Vcが、構成要素のアーキテクチャに基づいて定義された間隔Vcmin~Vcmax内にある場合に、
〇 時間tdの間、ゼロ電流を印加することと、
〇 デバイスの端子間電圧Vを経時的に測定することと、
〇 パラメータVdを決定することであって、Vd=△V/△tである、決定することと、
を含み、
〇 Vdが、構成要素のアーキテクチャに基づいて定義された間隔Vdmin~Vdmax内にある場合に、前記デバイスが有効であるとして試験される、
保持ステップPh-dと、
を含む。
【0018】
本発明のいくつかの変形例によれば、
- 第1の充電ステップが、時間の関数としての曲線Vbiを決定するために、且つ、電圧Vbiの最大値又は電圧Vbiの平均値として定義されることが可能な電圧Vbの値を決定するために、時間Tbiの間隔で期間△tbiの間の電圧Vbiの一連の測定を含み、
- 抵抗Rbが、それぞれの時間tbiの後に、時間tの関数としての曲線Vbiの比率Vbi/Icによって決定され得る。
【0019】
本発明のいくつかの変形例によれば、期間△tbiが10秒のオーダーであり、時間Tbiが0.1秒のオーダーである。
【0020】
本発明のいくつかの変形例によれば、第1の厚さが、数ナノメートルのオーダーであり、好ましくは、1ナノメートルから2ナノメートルである。
【0021】
本発明のいくつかの変形例によれば、
- 安定化ステップが、電圧Vciの平均値として定義された電圧Vcの値を決定するために、時間Tciの間隔で期間△tciの間の電圧Vciの一連の測定を含む。
【0022】
本発明のいくつかの変形例によれば、期間△tciが50秒のオーダーであり、時間Tciが1秒のオーダーである。
【0023】
本発明のいくつかの変形例によれば、第2の厚さが10ナノメートル未満であり、好ましくは、5ナノメートルに等しい。
【0024】
本発明のいくつかの変形例によれば、
- 保持ステップが、時間の関数としての曲線Vdiを決定するために、時間Tdiの間隔で期間△tdiの間の電圧Vdiの一連の測定を含み、
- パラメータVdが、時間tの関数としての曲線Vdiの勾配によって決定される。
【0025】
本発明のいくつかの変形例によれば、期間△tdiが10秒のオーダーであり、時間Tdiが1秒のオーダーである。
【0026】
本発明はまた、本発明の試験方法を実装する少なくとも1つのエネルギーマイクロ貯蔵デバイスを試験するためのシステムであって、
- 前記デバイスに接続された電流発生装置と、
- 前記デバイスに接続された電圧計と、
- 前記電流発生装置及び前記電圧計に接続された制御装置と、を含むシステムに関する。
【0027】
本発明のいくつかの変形例によれば、電流発生装置がプログラム可能であり、電圧計がプログラム可能である。
【0028】
本発明のいくつかの変形例によれば、制御装置がタイマと、メモリと、プロセッサと、を含む。
【0029】
本発明はまた、本発明による方法を実装するエネルギーマイクロ貯蔵デバイスを試験するための複数のシステムのアセンブリであって、各システムが、
- 場合によってはプログラム可能な、前記デバイスに接続された電流発生装置と、
- 場合によってはプログラム可能な、前記デバイスに接続された電圧計と、を含み、
- 各電流発生装置及び各電圧計が制御装置に接続された、複数のシステムのアセンブリに関する。
【0030】
本発明はまた、本発明による試験方法を実装するエネルギーマイクロ貯蔵デバイスを試験するための複数のシステムのアセンブリであって、各システムが、
- 場合によってはプログラム可能な、前記デバイスに接続された電流発生装置と、
- 場合によってはプログラム可能な、前記デバイスに接続された電圧計と、を含み、
- 各電流発生装置及び各電圧計が、同一の中央制御装置に接続された、複数のシステムのアセンブリに関する。
【0031】
本発明のいくつかの変形例によれば、試験システムは、各制御装置又は中央制御装置が、タイマと、メモリと、プロセッサと、を含むようになっている。
【0032】
本発明の試験システムは、メモリを含み、各制御装置が各試験システムごとに試験フェーズを管理し、各制御装置のメモリに電圧測定結果を記録する中央制御装置であって、自身のメモリに前記測定結果を記録するように前記測定結果を回復する、中央制御装置を含むことができる。
【0033】
限定されることなく提供される以下の説明を読むことで、また、添付の図面によって、本発明は一層よく理解され、他の利点が明白になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】7つのウェーハのバッチで製造されたマイクロバッテリ構成要素のOCVの変動、より正確にはヘンリーグラフを図示し、図の縦座標はxのノーミット関数であり、以下のリンクを介してアクセス可能な文献に詳細に説明されている。http://www.modulad.fr/numero-35/Excelense-grenier-35/DiagrammedeHenry.pdf。
【
図2】本発明による試験方法のステップのすべてにわたる時間の関数としてのマイクロバッテリデバイスの端子間電圧の漸進的変化を図示する。
【
図3】本発明による試験方法における連続する試験フェーズのすべてを含むフローチャートを図示する。
【
図4】本発明による複数のエネルギーマイクロ貯蔵デバイスを試験するためのシステムの一例を図示し、各デバイスは制御装置に接続されている。
【
図5】本発明による複数のエネルギーマイクロ貯蔵デバイスを試験するためのシステムの一例を図示し、各デバイスは同一の中央制御装置に接続されている。
【発明を実施するための形態】
【0035】
概して、本発明において提案されている試験方法は、非劣化で、迅速な試験技法を使用して、様々な上述した欠点を克服することを目標としている。有利な点として、この技法は、1つのデバイス、又は並行して試験される複数のデバイスに適用することができる。
【0036】
本発明の試験方法は、後述する試験シーケンスを使用し、前のステップで判定基準を確認した後、様々なステップをともに連鎖させることで、不具合のあるデバイスについて可能な限り早期に結論付けることを可能にする。
【0037】
エネルギーマイクロ貯蔵デバイスは、以後マイクロバッテリと呼ばれる。
【0038】
それは、場合によっては、金属で作製された、例えば、チタンで作製され、且つ、場合によっては、例えば、LiPON(リン酸リチウムオキシナイトライド)で作製された固体電解質を含む金属アノードと、場合によっては、例えば、LiCoO2で作製されたカソードと、を含む、リチウムベースのマイクロバッテリの一例に関連して記載される。
【0039】
この技法は、それぞれの被試験デバイスごとに、確認判定基準が満たされると順々にトリガされる4つのフェーズを適用するため、有利である。後述するこれらの4つのフェーズは、初期OCV電圧を測定するフェーズ、充電フェーズ、安定化フェーズ、及び保持フェーズと呼ばれる。
図2は、以下でより詳細に説明する方法の一例における時間の関数として、被試験デバイスの端子間電圧の漸進的変化を示すことによって、これらのフェーズをともに連鎖させることを図示している。
【0040】
この試験フェーズのシーケンスは、本明細書の以降の部分で詳細に説明され、
図3に図示されたフローチャートによっても図示されている。
【0041】
試験システムは、デバイスに実装されるか、又は、複数の試験システムをデバイスのセットに並行して実装してもよい。本発明の試験方法を実装するために使用される手段は、本発明の第1の変形例によれば、具体的には、各デバイスDnの試験に対して、以下の手段とすることができ、これらのデバイスDnのうちの1つだけが
図4に示されている。これらの手段は、プログラム可能な電流発生装置Anと、プログラム可能な電圧計Vnと、制御装置Cnと、を含む。デバイスDnは、アノード接続部Dn-アノード及びカソード接続部Dn-カソードを有し、電流発生装置Anは、プラス接続部An-H及びマイナス接続部An-Lを有し、電圧計は、プラス接続部Vn-H及びマイナス接続部Vn-Lを有する。
【0042】
試験方法は、電流発生装置の接続部An-H、電圧計の接続部Vn-Hをマイクロバッテリデバイスの接続部Dn-アノードとともに接続し、電流発生装置の接続部An-L、電圧計の接続部Vn-Lを同じマイクロバッテリデバイスの接続部Dn-カソードとともに接続することによって、マイクロバッテリデバイスの試験を実行することからなる。複数のデバイスを試験するために、この基本システムを複数回繰り返すことができる。
【0043】
各基本システムは、プロセッサPnと、タイマCrnと、メモリMnと、を含む制御装置Cnによって駆動することができ、この制御装置は各電圧計Vn及び各電流発生装置Anに接続されており、
図4にも示されているように、このシステムの一体的な部分になっている。この場合、試験システムのすべてを駆動するために、複数の試験システムの制御装置Cnのすべてがそれ自体、中央制御装置Ccに接続されている。この構成は、使用されるアルゴリズムのフレキシビリティが向上し、実装し易くなるという点で有利である。
【0044】
本発明の別の変形例によれば、
図5に示されているように、複数のシステムは、すべての電圧計Vn及びすべての電流発生装置Anに接続されたタイマCrc及びメモリMcを含む中央制御装置Ccによって駆動することができる。
【0045】
制御手段は、したがって、中央制御装置によってか、又は個々の制御装置のセットによって設けることができる。いずれの場合にせよ、使用される制御装置は、そのメモリMn又はMcに、そこで電圧計Vnによって電圧測定が実行され、タイマCrn又はタイマCrcによって時間測定が実行される、特徴的な時間が含まれている。使用される制御装置は、そのメモリMn又はMcに、これらの時間測定値及び電圧測定値を記録する。
【0046】
中央制御装置Ccだけが存在する場合には、これが複数の試験システムの試験シーケンスを管理し、測定の結果をそのメモリMcに記録する。各試験システムに関連付けされた制御装置Cnがある場合には、各制御装置Cnが各試験システムの試験シーケンスを管理し、測定の結果をそのメモリMnに記録し、次に、中央制御装置が測定の結果をすべて回復し、それらをそのメモリMcに記録する。
【0047】
本発明による試験方法は、各デバイスに接続された電圧計Vnを使用して、各デバイスの初期電圧OCVを測定することを含む第1のフェーズPh-aから始まり、これらの測定値はそれぞれ、各システムの各制御装置CnのメモリMn、又は中央制御装置CcのメモリMcに記録される。この第1のフェーズにより、例えば、この時間t0での電圧の測定値に基づいて、各デバイスのパラメータOCV(開回路電圧)を得ることが可能になる。ゼロに等しい測定値だけが「Liフリー」マイクロバッテリの場合には有用である。これは、短絡モードの不具合を表し、問題の構成要素に対する試験を停止することが可能になるからである。
図3のフローチャートに引き継がれているフェーズPh-aは、この第1のフェーズを図示しており、それは確証的なものとすることができ、不具合のあるデバイスの試験を停止することができる。
【0048】
次に、充電フェーズと呼ばれる第2のフェーズPh-bの間に、各デバイスDnに接続された各電流発生装置Anは、時間t0から始まる各デバイスに電流Ibを印加する。この電流により、デバイスの最小限の部分を充電することが可能になり、これは、デバイスを損傷しないという効果を有する。より具体的には、この動作は、Li+イオンの移動を開始し、連続的なナノメートルの厚さ(例えば、1~2nm)のリチウムをアノードで形成し、したがって、構成要素に構造的な影響を及ぼさずに、「Liフリー」から金属Li構成に変化させることからなり、これにより、事後的なソーティングとの関連性と、製造プロセスのどの時点でもこのソーティングを実行する可能性との両方を確保することが可能になる。
【0049】
この第2のフェーズにより、例えば、このフェーズの間に記録された測定値から得られた最大電圧を抽出することによって、パラメータVbを得ることが可能になる。構成要素は、電圧Vbが、構成要素のアーキテクチャに基づいて定義された間隔V
bmin~V
bmax内にある場合、適合していると見なされる。間隔V
bmin~V
bmaxは、関係する酸化還元対によって、より具体的には、金属リチウムで作製された電極に対するカソード(又は正電極)の電位によって本質的に定義される。例えば、LiCoO
2で作製されたカソードの場合には、この間隔は、3.85~3.89Vに相当し、それに対して、Li
4Ti
5O
12で作製されたカソードの場合には、この間隔は、1.4~1.6Vに相当することになる。
図3のフローチャートに引き継がれているフェーズPh-bは、この第2のフェーズを図示しており、それは確証的なものとすることができ、期待値を満たしていないデバイスが不適合であると見なされる場合、試験を継続するか、又は停止することが可能になる。
【0050】
次に、安定化フェーズと呼ばれる第3のフェーズPh-cの間に、充電フェーズPh-bのプロセスが、例えば、1秒間隔で50秒間とすることができる異なる所定の時間で継続され、各デバイスDnに接続された電流発生装置Anはそれぞれ、各デバイスDnに電流Ic(Ibと等しくてもよい)を印加し続ける。このステップは、電気的試験の要件に対してナノメートルのLi層の厚さを調節することを目標としている。数種類の厚さがあれば有益な場合がある。最大の十分な厚さは、典型的には10nm未満、好ましくは5nm未満とすることができる。完全なサイクリングの場合に使用されることになる金属リチウムの総厚は5000nmに相当し、試験に使用される割合はおよそ1/1000であることに留意されたい。
【0051】
これは、金属リチウム電極の形成の最初から確証試験を実行することが可能になり、マイクロバッテリデバイスを試験できるようにするために製造プロセスを終了する必要がない、という本方法の大きな利益となる。
【0052】
この第3のフェーズにより、例えば、このフェーズの間に記録された測定値から得られた電圧の値の平均を抽出することによって、パラメータVcを得ることが可能になる。構成要素は、パラメータVcが、構成要素のアーキテクチャに基づいて定義された間隔V
cmin~V
cmax内にある場合、適合していると見なされる。V
cmin~V
cmaxの決定は、Ic*時間に対応する量の電荷を注入した後のマイクロバッテリの電位の理論上の変動に本質的に関連している。この量は非常に少なく(マイクロバッテリが貯蔵することが可能な総電荷量の0.1%未満)、機能マイクロバッテリの場合、V
cmin~V
cmaxの値は、V
bmin~V
bmaxの値に実質的に類似している(+/-10%)。非機能マイクロバッテリの場合には、2つの電位範囲の間の差がより大きくなる。
図3のフローチャートに引き継がれたフェーズPh-cは、この第3のフェーズを図示しており、それは確証的なものとすることができ、期待値を満たしていないデバイスが不適合であると見なされる場合、試験を継続するか、又は停止することが可能になる。
【0053】
このフェーズの間に、他のパラメータ、例えば、勾配、すなわちデルタVなどを企図することができる。勾配(V
cmin~V
cmax)/Icの値は、正にこの充電状態におけるマイクロバッテリの内部抵抗の推定値を与えることが可能になり、同じ方法で、V
cminとV
cmaxとの間の差、又は比率V
cmin/V
cmaxは、マイクロバッテリの充電のキネティックスに関する情報を提供することができる。次に、保持フェーズと呼ばれる第4のフェーズPh-dの間に、電流発生装置はそれぞれ、ゼロ電流を印加し、フェーズPh-b及びフェーズPh-cのプロセスを、例えば1秒間隔で10秒間の所定の時間で継続する。この第4のフェーズにより、例えば、このフェーズの間に記録された測定値から得られた電圧対時間曲線の勾配(導関数)を抽出することによって、パラメータVdを得ることが可能になる。構成要素は、パラメータVdが、構成要素のアーキテクチャに基づいて定義された間隔V
dmin~V
dmax内にある場合、適合していると見なされる。
図3のフローチャートに含まれているフェーズPh-dは、この第4のフェーズを図示しており、これにより、被試験デバイスが適合していると結論付けることが可能になる。このフェーズにより、先行する充電フェーズ後の、マイクロバッテリのキネティックス及び緩和振幅を評価することが可能になる。理想的には、緩和は、Ic*Rint(内部抵抗)に相当する電位の低下まで制限され、この値は、使用される低電流Icに照らして非常に小さくなっている。
理想的には:Vb=Vc=Vdである。
【0054】
複数の要素を特徴付けするために、先に得られたパラメータはすべて、統計法則を使用して処理してもまたよい。
【0055】
フェーズPh-aからPh-dで与えられた例示的な所定の値を1分10秒とすれば、現在製造されているデバイス上で(ウェーハ上で直接)、複数のデバイスを特徴付けするパラメータのセットを一度に得ることが可能になり、これを行うためにデバイスを破壊することなく、その後製造ステップを終了することが可能になるため、本発明による試験方法は有利である。
【符号の説明】
【0056】
An 電流発生装置
An-H プラス接続部
An-L マイナス接続部
Cc 中央制御装置
Cn 制御装置
Crc タイマ
Crn タイマ
Dn デバイス
Ib 電流
Ic 電流
Mc メモリ
Mn メモリ
Ph-a 測定するステップ
Ph-b 第1の充電ステップ
Ph-c 安定化ステップ
Ph-d 保持ステップ
Pn プロセッサ
Rb 内部抵抗
Rbmin~Rbmax 間隔
Rint 内部抵抗
t 時間
t0 時間
tb 時間
Tbi 時間
tc 時間
Tci 時間
td 時間
Tdi 時間
V 電圧
Vbmin~Vbmax 間隔
Vcmin~Vcmax 間隔
Vdmin~Vdmax 間隔
Vb 電圧
Vbi 電圧
Vc 電圧
Vci 電圧
Vd パラメータ
Vdi 曲線
Vn 電圧計
Vn-H プラス接続部
Vn-L マイナス接続部
△tbi 期間
△tci 期間
△tdi 期間
【外国語明細書】