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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022137446
(43)【公開日】2022-09-22
(54)【発明の名称】マイクロバブル発生装置
(51)【国際特許分類】
   B01F 23/20 20220101AFI20220914BHJP
   B01F 23/23 20220101ALI20220914BHJP
   B01F 25/40 20220101ALI20220914BHJP
   B01F 25/10 20220101ALI20220914BHJP
【FI】
B01F3/04 Z
B01F3/04 A
B01F5/00 D
B01F5/00 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021036953
(22)【出願日】2021-03-09
(71)【出願人】
【識別番号】305060154
【氏名又は名称】アルテミラ製缶株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100175802
【弁理士】
【氏名又は名称】寺本 光生
(74)【代理人】
【識別番号】100142424
【弁理士】
【氏名又は名称】細川 文広
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(72)【発明者】
【氏名】鷹取 敏治
【テーマコード(参考)】
4G035
【Fターム(参考)】
4G035AB04
4G035AB06
4G035AC02
4G035AC44
4G035AC55
4G035AE13
(57)【要約】
【課題】エア供給量を少なく抑えて、効率よくマイクロバブルを発生させることが可能なマイクロバブル発生装置を提供する。
【解決手段】液体が流通する管に設けられ、液体中にマイクロバブルを発生させるマイクロバブル発生装置10であって、装置本体20と、装置本体20の内部を延び、液体が流通する流路50と、を備え、流路50は、装置本体20の中心軸Oに沿って軸方向の下流側へ向かうに従い、中心軸O回りの周方向位置が段階的に変化する段差付き螺旋流路38bと、段差付き螺旋流路38bの軸方向の上流側に配置されて軸方向に延び、段差付き螺旋流路38bと連通するエア供給流路36と、を有し、装置本体20は、エア供給流路36にエアを供給するエア供給部14を有し、エア供給部14は、エア供給流路36の内周面に沿って環状に延び、軸方向の下流側に向けて開口するエア噴射スリット46を有する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体が流通する管に設けられ、液体中にマイクロバブルを発生させるマイクロバブル発生装置であって、
装置本体と、
前記装置本体の内部を延び、液体が流通する流路と、を備え、
前記流路は、
前記装置本体の中心軸に沿って軸方向の下流側へ向かうに従い、前記中心軸回りの周方向位置が段階的に変化する段差付き螺旋流路と、
前記段差付き螺旋流路の軸方向の上流側に配置されて軸方向に延び、前記段差付き螺旋流路と連通するエア供給流路と、を有し、
前記装置本体は、前記エア供給流路にエアを供給するエア供給部を有し、
前記エア供給部は、前記エア供給流路の内周面に沿って環状に延び、軸方向の下流側に向けて開口するエア噴射スリットを有する、
マイクロバブル発生装置。
【請求項2】
前記エア噴射スリットのスリット幅寸法が、0.1mm以下である、
請求項1に記載のマイクロバブル発生装置。
【請求項3】
前記段差付き螺旋流路は、前記中心軸回りの周方向に並んで複数設けられる、
請求項1または2に記載のマイクロバブル発生装置。
【請求項4】
前記エア噴射スリットは、前記中心軸を中心とする環状である、
請求項1から3のいずれか1項に記載のマイクロバブル発生装置。
【請求項5】
前記エア噴射スリットは、前記段差付き螺旋流路の軸方向の上流側の端部に接続される流路部分の流路中心と同心とされた環状である、
請求項1から3のいずれか1項に記載のマイクロバブル発生装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロバブル発生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば特許文献1に記載のマイクロバブル発生装置が知られている。マイクロバブル発生装置は、管の一部に設けられ、管を流れる液体中にマイクロバブルを発生させる。液体中のマイクロバブルは、管の内壁等に付着した堆積物を除去する機能や、堆積物が新たに付着することを抑制する機能等を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-142185号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この種のマイクロバブル発生装置では、液体へのエア供給量を少なく抑えて、効率よくマイクロバブルを発生させることが求められている。
【0005】
本発明は、エア供給量を少なく抑えて、効率よくマイクロバブルを発生させることが可能なマイクロバブル発生装置を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一つの態様は、液体が流通する管に設けられ、液体中にマイクロバブルを発生させるマイクロバブル発生装置であって、装置本体と、前記装置本体の内部を延び、液体が流通する流路と、を備え、前記流路は、前記装置本体の中心軸に沿って軸方向の下流側へ向かうに従い、前記中心軸回りの周方向位置が段階的に変化する段差付き螺旋流路と、前記段差付き螺旋流路の軸方向の上流側に配置されて軸方向に延び、前記段差付き螺旋流路と連通するエア供給流路と、を有し、前記装置本体は、前記エア供給流路にエアを供給するエア供給部を有し、前記エア供給部は、前記エア供給流路の内周面に沿って環状に延び、軸方向の下流側に向けて開口するエア噴射スリットを有する。
【0007】
本発明のマイクロバブル発生装置では、エア供給部のエア噴射スリットから液体中に環状に細かなエア(気泡)が噴射され、このエアを含む液体が、軸方向の下流側の段差付き螺旋流路を流れる。これにより、細かな気泡がより微小化されて、マイクロバブルが発生する。すなわち、エアを含む液体が段差付き螺旋流路を流れることで、段差付き螺旋流路の内面の凹凸によってキャビテーション作用が得られたり、液体に遠心力が作用したりして、液体中にマイクロバブルが発生する。
液体中のマイクロバブルは、管の内壁等に付着した堆積物を除去する機能や、堆積物が新たに付着することを抑制する機能等を有する。したがって、液体が流通する管を含む液体の流通系統全域にわたって、洗浄効果を得ることができる。
【0008】
本発明によれば、エア噴射スリットから、いわゆるエアナイフ等と呼ばれる厚さ寸法が薄く高速のエアカーテン状のエアが、液体中に供給される。
このようにして噴射されたエアおよびエアを含む液体は、コアンダ効果によって、流路の内周面に沿うように流れつつ、下流側の段差付き螺旋流路に流入する。細かなエアを含んだ液体が、段差付き螺旋流路の内面の凹凸に沿って流されるため、気泡を効率よくマイクロバブルへ変化させることができる。またコアンダ効果により、下流側へ送り出される液体の流速を高めることができるため、マイクロバブル発生装置から遠い管の部分にまでマイクロバブルを安定して到達させることが可能になり、流通系統の洗浄効果がより高められる。
【0009】
また、エア噴射スリットは、エア供給流路の内周面に沿って環状に、すなわち360°全周にわたって細かなエアを噴射するので、段差付き螺旋流路内の周方向の広範囲にわたって上述の作用効果を得ることができる。
また、エア噴射スリットは、液体が流れる向きつまり下流側へ向けてエアを噴射するので、エア噴射スリット内への液体の逆流が抑制される。このため、エア噴射スリット内への堆積物の付着等が抑えられ、上述したエア噴射スリットによる各機能が良好に維持される。
【0010】
段差付き螺旋流路を通過した後の液体は、旋回流となってマイクロバブル発生装置の下流側へと流れていく。この旋回流によっても、マイクロバブル発生装置から遠く離れた管の部分にまでマイクロバブルが安定して行き渡りやすくなり、液体の流通系統全域において洗浄効果を高めることができる。
【0011】
以上より本発明によれば、エア噴射スリットから高い流速かつ流量が少なく抑えられたエアを液体中に噴射することで、液体へのエア供給量を少なく抑えつつ、効率よくマイクロバブルを発生させることができる。具体的に、従来方式のマイクロバブル発生装置のエア供給量に比べて、本発明のマイクロバブル発生装置では、十分な洗浄効果を確保しつつエア供給量を1/3程度にまで削減することが可能となった。また、エア噴射スリットをコンパクトに構成することが容易であり、マイクロバブル発生装置の小型化が図りやすい。また、既存の配管設備等に本発明のマイクロバブル発生装置を適用することが容易であり、汎用性が高い。
【0012】
上記マイクロバブル発生装置において、前記エア噴射スリットのスリット幅寸法が、0.1mm以下であることが好ましい。
【0013】
エア噴射スリットのスリット幅寸法が0.1mm以下であると、エアナイフとしての機能が安定して確保される。すなわち、エア噴射スリットから液体中に高速で細かなエア(気泡)を安定して噴射することができ、マイクロバブルをより多く発生させることができる。また、エア供給量をより好適に削減できる。また、スリット幅寸法が十分に小さいことで、このエア噴射スリットを通して流路からエア供給部内へと液体が逆流することを抑制できる。したがって、エア供給部の機能が良好に維持される。
なお、好ましくは、エア噴射スリットのスリット幅寸法は0.05mm以下であり、より望ましくは、0.03mm以下である。また、製造を容易とし、かつ所定以上のエア供給量を確保する点からは、スリット幅寸法は、例えば0.01mm以上であることが好ましい。
【0014】
上記マイクロバブル発生装置において、前記段差付き螺旋流路は、前記中心軸回りの周方向に並んで複数設けられることが好ましい。
【0015】
この場合、複数の段差付き螺旋流路によって、マイクロバブルをより多く発生させることができる。
【0016】
上記マイクロバブル発生装置において、前記エア噴射スリットは、前記中心軸を中心とする環状であることとしてもよい。
【0017】
この場合、装置本体の中心軸回りに周方向均等にマイクロバブルを発生させることができる。
【0018】
上記マイクロバブル発生装置において、前記エア噴射スリットは、前記段差付き螺旋流路の軸方向の上流側の端部に接続される流路部分の流路中心と同心とされた環状であることとしてもよい。
【0019】
この場合、細かなエアを含む液体を段差付き螺旋流路の内周面全周に供給することができ、マイクロバブルをより効率よく発生させることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明の一つの態様のマイクロバブル発生装置によれば、エア供給量を少なく抑えて、効率よくマイクロバブルを発生させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1図1は、本発明の第1実施形態のマイクロバブル発生装置を含む液体の流通系統を模式的に示す側面図である。
図2図2は、本発明の第1実施形態のマイクロバブル発生装置を軸方向から見た正面図である。
図3図3は、図2のIII-III断面を示す断面図である。
図4図4は、複数の板部材の各流通孔の配置等を説明する図である。
図5図5は、図3のV部を拡大して示す断面図である。
図6図6は、本発明の第2実施形態のマイクロバブル発生装置を軸方向から見た正面図である。
図7図7は、図6のVII-VII断面を示す断面図である。
図8図8(a)は、図7のVIIIa部を拡大して示す断面図であり、図8(b)は、図8(a)のVIIIb矢視を示す背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
<第1実施形態>
本発明の第1実施形態のマイクロバブル発生装置10について、図1図5を参照して説明する。
図1に示すように、本実施形態のマイクロバブル発生装置10は、液体が流通する管100に設けられ、管100を流れる液体中にマイクロバブルを発生させる。具体的に、マイクロバブル発生装置10は、例えば製缶工場において、用水が流通する管(配管)100の途中に設けられ、管100の一部を構成する。管100に流れる液体は、例えばアルカリ性の消石灰溶液等である。すなわち、液体の溶質は消石灰等であり、溶媒は水等である。
【0023】
液体は、消石灰溶液が貯留される槽101からポンプ102によって汲み出され、管100内を流通して、管100が有する複数の分岐管100aから各処理槽(図示省略)に送られる。また、分岐管100aに流入しなかった余剰の液体については、管100を通って槽101に戻される。図示しない複数の処理槽には、製缶加工の処理に用いられた例えば酸性の排液が流入し、この排液に分岐管100aを通して消石灰溶液が供給されることにより、処理槽の排液のPHが調整される。PH調整された排液は、図示しないシックナー等に送られる。
【0024】
図2および図3に示すように、マイクロバブル発生装置10は、装置本体20と、装置本体20の内部を延び、液体が流通する流路50と、を備える。
装置本体20は、中心軸Oを中心とする柱状であり、本実施形態では略円柱状である。装置本体20は、本体筒11と、エア供給部14と、複数の板部材13と、スペーサー部材12と、固定部15と、を備える。
液体は、装置本体20の中心軸Oに沿う方向の一方側の端部から他方側の端部へ向けて、流路50の内部を流通する。
【0025】
本実施形態では、装置本体20の中心軸Oが延びる方向を軸方向と呼ぶ。軸方向は、各図に示すZ軸方向に相当する。軸方向のうち、液体が流れる方向を軸方向の下流側(+Z側)または単に下流側と呼ぶ。軸方向の下流側は、装置本体20の軸方向の一方側の端部から他方側の端部へ向かう方向である。軸方向のうち、液体が流れる方向とは反対方向を、軸方向の上流側(-Z側)または単に上流側と呼ぶ。軸方向の上流側は、装置本体20の軸方向の他方側の端部から一方側の端部へ向かう方向である。
図1に示すように、本実施形態ではマイクロバブル発生装置10が、軸方向の下流側を鉛直方向の上側へ向けた姿勢で、管100に設けられる。このため、マイクロバブル発生装置10の下流側へ、エア(気泡)とともにマイクロバブルがより流れやすくなる。
【0026】
図2および図3において、中心軸Oと直交する方向を径方向と呼ぶ。径方向のうち、中心軸Oに接近する方向を径方向内側と呼び、中心軸Oから離れる方向を径方向外側と呼ぶ。
中心軸O回りに周回する方向を周方向と呼ぶ。図2に示すように、装置本体20を軸方向の上流側から見て、周方向のうち、所定の方向を周方向一方側θ1と呼び、所定の方向とは反対方向を周方向他方側θ2と呼ぶ。本実施形態では、周方向一方側θ1は、図2において中心軸Oを中心とする反時計回りの方向であり、周方向他方側θ2は、図2において中心軸Oを中心とする時計回りの方向である。
【0027】
本体筒11は、中心軸Oを中心として軸方向に延びる略円筒状である。図3に示すように、本体筒11は、本体筒11の軸方向の下流側の端部に位置する流出筒部17と、軸方向において流出筒部17の上流側に配置される中間筒部18と、を有する。
【0028】
流出筒部17は、下流側流通筒17aと、下流側フランジ17bと、を有する。
下流側流通筒17aは、軸方向に延びる筒状である。下流側流通筒17aは、下流側シール溝17cと、下流側シール部材17dと、を有する。
【0029】
下流側シール溝17cは、下流側流通筒17aの外周面から径方向内側に窪み、周方向に延びる環状である。本実施形態では下流側シール溝17cが、軸方向に互いに間隔をあけて複数設けられる。
下流側シール部材17dは、周方向に延びる環状の弾性部材等であり、例えばOリング等である。本実施形態では下流側シール部材17dが、軸方向に互いに間隔をあけて複数設けられる。各下流側シール部材17dは、各下流側シール溝17cに配置される。
【0030】
下流側流通筒17aの内周面17eは、下流側流通筒17aの軸方向の上流側の端部から下流側へ向かうに従い、内径が小さくなる。下流側流通筒17aの内周面17eは、軸方向の下流側へ向かうに従い徐々に縮径するテーパ面状である。
【0031】
下流側フランジ17bは、下流側流通筒17aの外周面における軸方向の下流側の部分から径方向外側に拡がるフランジ状である。下流側フランジ17bは、複数のボルト部材19bにより、中間筒部18の軸方向の下流側の端部と固定される。特に図示しないが、下流側フランジ17bは、マイクロバブル発生装置10と軸方向に隣り合う管100の部分、すなわち、マイクロバブル発生装置10の軸方向の下流側に隣接する管100の接続端部と、ボルト部材等により固定される。
【0032】
中間筒部18は、軸方向に延びる円筒状である。中間筒部18の軸方向の下流側を向く端面は、下流側フランジ17bの軸方向の上流側を向く端面と接触する。中間筒部18の軸方向の下流側の端部は、下流側流通筒17aの外周面に嵌合する。中間筒部18の内周面のうち軸方向の下流側の端部には、下流側シール部材17dが周方向全周にわたって接触する。
【0033】
図2および図3において、エア供給部14は、流路50のうち、複数の板部材13の軸方向の上流側に位置する部分(後述するエア供給流路36)に、エアを供給する。
エア供給部14は、流入筒部16と、エア供給筒部43と、エア導入孔44と、エア供給路45と、エア噴射スリット46と、チェックバルブ(逆止弁)29と、エア供給源(図示省略)と、を有する。
【0034】
流入筒部16は、上流側流通筒16aと、上流側フランジ16bと、を有する。
上流側流通筒16aは、軸方向に延びる筒状である。上流側流通筒16aは、上流側シール溝16cと、上流側シール部材16dと、を有する。
【0035】
上流側シール溝16cは、上流側流通筒16aの外周面から径方向内側に窪み、周方向に延びる環状である。本実施形態では上流側シール溝16cが、軸方向に互いに間隔をあけて複数設けられる。
上流側シール部材16dは、周方向に延びる環状の弾性部材等であり、例えばOリング等である。本実施形態では上流側シール部材16dが、軸方向に互いに間隔をあけて複数設けられる。各上流側シール部材16dは、各上流側シール溝16cに配置される。
【0036】
図5に示すように、上流側流通筒16aはその内周面に、大径内周部16eと、中径内周部16fと、小径内周部16gと、テーパ部16hと、を有する。
大径内周部16eは、上流側流通筒16aの内周面のうち上流側の端部に配置される。大径内周部16eは、径方向内側を向き、軸方向に沿って延びる。
中径内周部16fは、大径内周部16eの下流側に配置される。中径内周部16fは、大径内周部16eよりも内径が小さい。中径内周部16fは、径方向内側を向き、軸方向に沿って延びる。
【0037】
小径内周部16gは、中径内周部16fの下流側に配置される。小径内周部16gは、上流側流通筒16aの内周面の中で内径が最も小さい。小径内周部16gは、径方向内側を向き、軸方向に沿って延びる。小径内周部16gの下流側部分(一部)は、エア噴射スリット46から噴射されるエアを、コアンダ効果によって、軸方向の下流側に向けてガイドする。このため小径内周部16gは、軸方向エアガイド部16gと言い換えてもよい。
また、小径内周部16gの上流側部分(上記一部とは別の一部)は、エア噴射スリット46を画成する、径方向に隙間をあけて対向する一対のスリット内壁のうち一方を構成する。
【0038】
小径内周部16gは、エア供給筒部43の下流側の端部よりも下流側に位置する部分を有する。図示の例では、小径内周部16gのうち下流側の端部を含む軸方向半分以上の部分が、エア供給筒部43よりも軸方向の下流側に突出して延びる。
【0039】
テーパ部16hは、小径内周部16gの下流側に配置される。テーパ部16hは、小径内周部16gの下流端と接続され、この接続部分から下流側へ向かうに従い径方向外側に位置する。テーパ部16hは、軸方向の下流側へ向かうに従い徐々に拡径するテーパ面状である。テーパ部16hは、エア噴射スリット46から噴射されるエアを、コアンダ効果によって、軸方向の下流側へ向かうに従い径方向外側に向けてガイドする。このためテーパ部16hは、拡径エアガイド部16hと言い換えてもよい。
【0040】
図3に示すように、上流側フランジ16bは、上流側流通筒16aの外周面における軸方向の上流側の部分から径方向外側に拡がるフランジ状である。上流側フランジ16bは、複数のボルト部材19aにより、中間筒部18の軸方向の上流側の端部と固定される。特に図示しないが、上流側フランジ16bは、マイクロバブル発生装置10と軸方向に隣り合う管100の部分、すなわち、マイクロバブル発生装置10の軸方向の上流側に隣接する管100の接続端部と、ボルト部材等により固定される。
【0041】
中間筒部18の軸方向の上流側を向く端面は、上流側フランジ16bの軸方向の下流側を向く端面と接触する。中間筒部18の軸方向の上流側の端部は、上流側流通筒16aの外周面に嵌合する。中間筒部18の内周面のうち軸方向の上流側の端部には、上流側シール部材16dが周方向全周にわたって接触する。
【0042】
エア供給筒部43は、軸方向に延びる筒状である。エア供給筒部43は、上流側流通筒16a内に嵌合する。図5に示すように、エア供給筒部43はその外周面に、大径外周部43aと、中径外周部43bと、小径外周部43cと、環状溝43dと、を有する。
大径外周部43aは、エア供給筒部43の外周面のうち上流側の端部に配置される。大径外周部43aは、径方向外側を向き、軸方向に沿って延びる。大径外周部43aは、大径内周部16eと接触する。
【0043】
中径外周部43bは、大径外周部43aの下流側に配置される。中径外周部43bは、大径外周部43aよりも外径が小さい。中径外周部43bは、径方向外側を向き、軸方向に沿って延びる。中径外周部43bは、中径内周部16fと接触する。
大径外周部43aと中径外周部43bとの間に配置されて軸方向の下流側を向く端面は、大径内周部16eと中径内周部16fとの間に配置されて軸方向の上流側を向く端面と接触する。
【0044】
小径外周部43cは、中径外周部43bの下流側に配置される。小径外周部43cは、中径外周部43bよりも外径が小さい。小径外周部43cは、エア供給筒部43の外周面のうち下流側の端部に配置される。小径外周部43cは、径方向外側を向き、軸方向に沿って延びる。小径外周部43cは、周方向全周にわたって、小径内周部16gと径方向に隙間をあけて対向する。小径外周部43cは、エア噴射スリット46を画成する、径方向に隙間をあけて対向する一対のスリット内壁のうち他方を構成する。
【0045】
環状溝43dは、軸方向において中径外周部43bと小径外周部43cとの間に配置される。環状溝43dは、小径外周部43cよりも径方向内側に窪み、周方向に延びる。環状溝43dは、中心軸Oを中心とする円形リング状の溝である。環状溝43dは、径方向から見て、中径内周部16fと重なって配置される。
【0046】
エア供給筒部43はその内周面に、傾斜部43eを有する。傾斜部43eは、エア供給筒部43の内周面のうち少なくとも下流側の端部に配置される。傾斜部43eは、軸方向の下流側へ向かうに従い径方向外側に位置するテーパ面状である。傾斜部43eは、エア噴射スリット46から下流側へ向けてエアが噴射されたときに、このエアに液体を引き込ませるようにガイドする。このため傾斜部43eは、液体引込みガイド部43eと言い換えてもよい。図示の例では、エア供給筒部43の内周面のうち傾斜部43eの上流側に位置する部分が、軸方向に沿って延びる。
【0047】
図3に示すように、エア導入孔44は、流入筒部16を径方向に貫通する。エア導入孔44の径方向外側の端部は、上流側フランジ16bの外周面に開口する。エア導入孔44の径方向内側の端部は、上流側流通筒16aの内周面に開口する。具体的には図5に示すように、エア導入孔44の径方向内端部は、中径内周部16fに開口する。
【0048】
エア供給路45は、径方向において、上流側流通筒16aとエア供給筒部43との間に配置される。エア供給路45は、中心軸Oを中心とする環状のエア流路である。エア供給路45は、エア導入孔44の径方向内端部と接続され、エア導入孔44と連通する。エア供給路45は、中径内周部16fと小径内周部16gとの間に配置されて軸方向の上流側を向く端面と、中径内周部16fと、環状溝43dと、により画成される環状の室(空間)である。
【0049】
図3および図5に示すように、エア噴射スリット46は、径方向において、上流側流通筒16aとエア供給筒部43との間に配置される。エア噴射スリット46は、中心軸Oを中心とする環状のエア流路である。具体的に、エア噴射スリット46は、軸方向に延びる円筒状のエア流路である。詳しくは、エア噴射スリット46は、径方向において、小径内周部16gと小径外周部43cとの間に画成される円筒状の隙間(空間)である。エア噴射スリット46は、エア供給路45の軸方向の下流側に配置される。エア噴射スリット46の軸方向の上流側の端部は、エア供給路45と接続される。エア噴射スリット46の軸方向の下流側の端部は、流入筒部16内で軸方向の下流側へ向けて開口する。エア噴射スリット46は、軸方向の下流側に向けて、中心軸O回りの360°全周にわたって開口する。
【0050】
図5に示すように、エア噴射スリット46の径方向寸法、すなわちスリット幅寸法Sは、0.1mm以下である。好ましくは、エア噴射スリット46のスリット幅寸法Sは0.05mm以下であり、より望ましくは、0.03mm以下である。また、スリット幅寸法Sは、例えば0.01mm以上であることが好ましい。
【0051】
図3に示すように、本実施形態ではチェックバルブ29が、流入筒部16に設けられる。チェックバルブ29は、エア導入孔44にねじ止め等により固定される。チェックバルブ29は、エア供給源(図示省略)からエア導入孔44へ向けたエアの流通を許容し、エア導入孔44からエア供給源へ向けたエアおよび液体の流通を遮断する。
【0052】
特に図示しないが、エア供給源は、配管やチューブ等によりチェックバルブ29と接続される。エア供給源は、例えばエアコンプレッサ等である。エア供給源は、チェックバルブ29に圧縮エアを供給する。
【0053】
複数の板部材13は、中間筒部18の内部に配置され、軸方向に互いに重なる。複数の板部材13は、それぞれ板状であり、各板面が軸方向を向く。軸方向に隣り合う板部材13同士は、互いの板面同士が接触する。本実施形態では図4に示すように、板部材13が、円板状である。板部材13は、軸方向の厚さ寸法が、例えば3~5mmである。板部材13は、例えばプラスチック等の樹脂製である。
板部材13は、流通孔21と、固定孔22と、を有する。
【0054】
流通孔21は、板部材13を軸方向に貫通し、流路50の一部を構成する。流通孔21は、板部材13のうち中心軸Oから径方向にずれた位置に配置される。本実施形態では流通孔21が、円孔状である。軸方向に並ぶ複数の板部材13は、互いの流通孔21同士が連通させられており、互いに連通する複数の流通孔21により、流路50の部分(後述する段差付き螺旋流路38b)が構成される。
【0055】
図2図4に示すように、複数の板部材13の各流通孔21は、軸方向の下流側へ向かうに従い中心軸O回りの周方向の位置がずらされて螺旋状に配列する。軸方向に隣り合う板部材13同士の間には、互いに連通する流通孔21同士が周方向にずらされて配置されることにより、段差部23が形成される。段差部23は、板部材13の板面のうち流通孔21に隣接する部分に配置される。複数の板部材13が軸方向に配列することで、段差部23は、軸方向に互いに間隔をあけて複数設けられる。
【0056】
なお図4は、軸方向に並ぶ複数の板部材13のうち、軸方向の中央部近傍に配置される5つの板部材13g,13h,13i,13h,13gを抜粋して示す正面図であり、各板部材13の流通孔21の配置を説明する図である。図4においては、図中の右側に位置する板部材13ほど軸方向の上流側に位置し、図中の左側に位置する板部材13ほど軸方向の下流側に位置する。
【0057】
本実施形態では、複数の板部材13の互いに連通する各流通孔21が、軸方向の下流側へ向かうに従い周方向一方側θ1へ向けて、螺旋状に配列する。すなわち本実施形態では、互いに流通孔21の配置が異なる複数種類の板部材13が設けられ、具体的には図3に示すように、10種類の板部材13a,13b,13c,13d,13e,13f,13g,13h,13i,13jが、軸方向に並んで計18枚設けられる。より詳しくは、複数の板部材13が、軸方向の上流から下流側へ向けて、板部材13a,13b,13c,13d,13e,13f,13g,13h,13i,13h,13g,13f,13e,13d,13c,13b,13a,13jの順に並ぶ。
【0058】
図2に示すように、軸方向から見て、軸方向に隣接する一対の板部材13の各流通孔21の孔中心C同士の、中心軸Oを中心とする中心角βは、1°以上5°以下であり、本実施形態では例えば2.5°である。具体的には、図3および図4に示す複数の板部材13のうち、軸方向の上流端に位置する板部材13aから、軸方向の下流側へ向けて板部材13b,13c,13d,13e,13f,13g,13h,13i,13h,13g,13f,13e,13d,13c,13b,13a,13jの順に、各板部材13の流通孔21は、例えば2.5°毎に周方向一方側θ1にずらされて配置される。
【0059】
図3において、複数の板部材13のうち、軸方向の中央部に位置する板部材13iよりも軸方向の上流側に位置する板部材13a~13hと、この板部材13iよりも軸方向の下流側に位置する板部材13a~13hとは、互いに軸方向に表裏反転した姿勢で配置されている。すなわち、板部材13a~13hのうち、板部材13iの軸方向の上流側と下流側とに配置される同一符号の一対の板部材13同士は、互いに同一部品である。言い換えると、複数の板部材13は、互いに軸方向に表裏反転された姿勢で配置される同一部品からなる一対の板部材13の組を有し、本実施形態ではこの組が複数設けられる。
【0060】
図2に示すように軸方向から見て、複数の板部材13のうち、軸方向の上流端に位置する板部材13aの流通孔21の孔中心Cと、軸方向の下流端に位置する板部材13jの流通孔21の孔中心Cとの間の、中心軸Oを中心とする中心角αは、40°以上90°以下である。本実施形態では中心角αが、例えば45°である。
【0061】
図4に示すように、流通孔21は、板部材13に周方向に互いに間隔をあけて複数設けられる。本実施形態では流通孔21が、板部材13に周方向に等ピッチで8つ設けられる。
【0062】
固定孔22は、板部材13を軸方向に貫通する。固定孔22は、板部材13において中心軸O上に位置する。固定孔22は、中心軸Oと同軸に配置される。本実施形態では固定孔22が、略円孔状である。固定孔22は、キー嵌合部22aを有する。キー嵌合部22aは、固定孔22の内周面から径方向外側に窪む凹状である。
【0063】
図3に示すように、スペーサー部材12は、中間筒部18の内部に配置される。スペーサー部材12は、一対の板面が軸方向を向く板状、または、一対の端面が軸方向を向く柱状である。本実施形態ではスペーサー部材12が、中心軸Oを中心とする円板状または円柱状である。スペーサー部材12は、中間筒部18内に嵌合し、複数の板部材13よりも軸方向の上流側に位置する。スペーサー部材12は、複数の板部材13のうち、軸方向の上流端に位置する板部材13aに対して、軸方向の上流側に隣接して配置される。つまり、軸方向においてスペーサー部材12と板部材13aとは、互いに接触する。またスペーサー部材12は、上流側流通筒16aに対して、軸方向の下流側に隣接して配置される。つまり、軸方向においてスペーサー部材12と流入筒部16とは、互いに接触する。
【0064】
スペーサー部材12は、挿通孔24aと、中間シール溝24bと、中間シール部材28と、貫通孔25と、を有する。
挿通孔24aは、スペーサー部材12を軸方向に貫通する。挿通孔24aは、スペーサー部材12において中心軸O上に位置する。挿通孔24aは、中心軸Oと同軸に配置される。本実施形態では挿通孔24aが、略円孔状である。挿通孔24aは、キー嵌合溝24cを有する。キー嵌合溝24cは、挿通孔24aの内周面から径方向外側に窪み、軸方向に延びる溝状である。軸方向から見て、キー嵌合溝24cは、複数の板部材13の各キー嵌合部22aと重なって配置される。
【0065】
中間シール溝24bは、スペーサー部材12の外周面から径方向内側に窪み、周方向に延びる溝状である。中間シール溝24bは、中心軸Oを中心とする環状の溝である。
中間シール部材28は、周方向に延びる環状の弾性部材等であり、例えばOリング等である。中間シール部材28は、中間シール溝24bに配置される。中間筒部18の内周面には、中間シール部材28が周方向全周にわたって接触する。
【0066】
貫通孔25は、スペーサー部材12を軸方向に貫通し、流路50の部分(後述する直線流路38a)を構成する。貫通孔25は、スペーサー部材12のうち中心軸Oから径方向にずれた位置に配置される。本実施形態では貫通孔25が、円孔状である。貫通孔25は、流通孔21の軸方向の上流側に位置し、流通孔21と連通する。
貫通孔25は、スペーサー部材12に周方向に互いに間隔をあけて複数設けられる。本実施形態では貫通孔25が、スペーサー部材12に周方向に等ピッチで8つ設けられる。スペーサー部材12の各貫通孔25の径方向位置と、板部材13の各流通孔21の径方向位置とは、互いに同じである。貫通孔25の内径寸法は、流通孔21の内径寸法と同じかまたはそれ以上である。
【0067】
図2および図3に示すように、固定部15は、シャフト31と、キー32と、流入ガイド33と、流出ガイド34と、を有する。
シャフト31は、軸方向に延びる。本実施形態ではシャフト31が、円柱状である。シャフト31は、スペーサー部材12の挿通孔24aと、複数の板部材13の各固定孔22とに挿入される。シャフト31は、キー溝を有する。キー溝は、シャフト31の外周面から径方向内側に窪み、軸方向に延びる。
【0068】
キー32は、軸方向に延びる。キー32は、シャフト31のキー溝に配置され、シャフト31の外周面から径方向外側に突出する。キー32は、スペーサー部材12のキー嵌合溝24cと、複数の板部材13の各キー嵌合部22aとに挿入される。これにより、シャフト31、スペーサー部材12および複数の板部材13が、周方向に相対的に移動することが規制される。
【0069】
流入ガイド33は、シャフト31の軸方向の上流側に配置される。本実施形態では流入ガイド33が、シャフト31と一体に形成される。流入ガイド33は、中心軸Oを中心として軸方向に延びる錘状であり、本実施形態では円錐状である。流入ガイド33の外径は、シャフト31の外径よりも大きい。流入ガイド33の外径は、軸方向の上流から下流側へ向かうに従い大きくなる。すなわち、流入ガイド33の外周面は、軸方向の下流側へ向かうに従い拡径するテーパ面状である。
【0070】
流入ガイド33の軸方向の上流側を向く先端面は、上流側へ向けて凸となる曲面状であり、本実施形態では凸球面状である。流入ガイド33の軸方向の下流側を向く後端面は、中心軸Oと垂直な方向に拡がる平面状である。流入ガイド33の後端面は、スペーサー部材12の軸方向の上流側を向く板面(端面)のうち、貫通孔25の径方向内側に位置する部分と接触する。
【0071】
図3に示すように、流出ガイド34は、シャフト31の軸方向の下流側に配置される。本実施形態では流出ガイド34が、ボルト部材35によりシャフト31と固定される。流出ガイド34は、軸方向に延びるボルト孔を有しており、ボルト部材35はこのボルト孔に挿入されて、シャフト31とねじ止めされる。流出ガイド34は、中心軸Oを中心として軸方向に延びる錘状であり、本実施形態では円錐状である。流出ガイド34の外径は、シャフト31の外径よりも大きい。流出ガイド34の外径は、軸方向の上流から下流側へ向かうに従い小さくなる。すなわち、流出ガイド34の外周面は、軸方向の下流側へ向かうに従い縮径するテーパ面状である。
【0072】
流出ガイド34の軸方向の下流側を向く後端面には、ボルト孔が開口する。流出ガイド34の軸方向の上流側を向く先端面は、中心軸Oと垂直な方向に拡がる平面状である。流出ガイド34の先端面は、軸方向の下流端に位置する板部材13jの軸方向の下流側を向く板面のうち、流通孔21の径方向内側に位置する部分と接触する。
【0073】
流路50は、装置本体20を軸方向に貫通して設けられる。流路50の内部には、液体が流通する。流路50は、上流側流路部(エア供給流路)36と、下流側流路部37と、中間流路部38と、を有する。本実施形態のエア供給部14は、上流側流路部36にエアを供給する。すなわち本実施形態では、上流側流路部36が、エア供給流路に相当する。このため、上流側流路部36をエア供給流路36と呼ぶ場合がある。
【0074】
上流側流路部36は、流路50のうち軸方向の上流側の端部に位置する。上流側流路部36は、装置本体20のうち少なくとも軸方向の上流側の端部に配置される。上流側流路部36は、上流側流通筒16aの内周面およびエア供給筒部43の内周面と、流入ガイド33の外面との間に形成された流路50の部分である。上流側流路部36は、軸方向の下流側へ向かうに従い直径が大きくなる。
【0075】
上流側流路部36つまりエア供給流路36は、中間流路部38の後述する段差付き螺旋流路38bの軸方向の上流側に配置されて軸方向に延び、段差付き螺旋流路38bと連通する。エア供給部14のエア噴射スリット46は、エア供給流路36の内周面に沿って環状に延び、エア供給流路36内において下流側へ向けて開口する。
【0076】
下流側流路部37は、流路50のうち軸方向の下流側の端部に位置する。下流側流路部37は、装置本体20のうち少なくとも軸方向の下流側の端部に配置される。下流側流路部37は、下流側流通筒17aの内周面17eと、流出ガイド34の外面との間に形成された流路50の部分である。下流側流路部37は、軸方向の下流側へ向かうに従い直径が小さくなる。
【0077】
中間流路部38は、流路50のうち、軸方向の上流側の端部と下流側の端部との間に位置する。中間流路部38は、装置本体20のうち軸方向の上流側の端部と下流側の端部との間の中間部分に配置される。中間流路部38は、上流側流路部36および下流側流路部37と連通する。中間流路部38の軸方向の上流側の端部は、上流側流路部36の軸方向の下流側の端部と接続する。中間流路部38の軸方向の下流側の端部は、下流側流路部37の軸方向の上流側の端部と接続する。
【0078】
中間流路部38は、直線流路38aと、段差付き螺旋流路38bと、を有する。
直線流路38aは、中間流路部38のうち、軸方向の上流側の端部に位置する。直線流路38aは、軸方向に沿って直線状に延びる。直線流路38aは、スペーサー部材12の貫通孔25の内周面により形成された流路50の部分である。直線流路38aは、周方向に互いに間隔をあけて複数設けられる。本実施形態では直線流路38aが、周方向に等ピッチで8つ設けられる。
【0079】
段差付き螺旋流路38bは、中間流路部38のうち、軸方向の上流側の端部以外の部分に位置する。段差付き螺旋流路38bは、直線流路38aの軸方向の下流側に配置される。段差付き螺旋流路38bは、直線流路38aと連通する。段差付き螺旋流路38bは、軸方向の下流側へ向かうに従い周方向に延びる。本実施形態では段差付き螺旋流路38bが、軸方向の上流から下流側へ向かうに従い、周方向一方側θ1へ向けて、螺旋状に延びる。段差付き螺旋流路38bは、軸方向の下流側へ向かうに従い、中心軸O回りの周方向位置が段階的に変化する。段差付き螺旋流路38bは、複数の板部材13の各流通孔21の内周面と、複数の段差部23とにより形成された流路50の部分である。段差付き螺旋流路38bは、周方向に互いに間隔をあけて複数設けられる。つまり段差付き螺旋流路38bは、周方向に並んで複数設けられる。本実施形態では段差付き螺旋流路38bが、周方向に等ピッチで8つ設けられる。
【0080】
このように本実施形態では、装置本体20内の流路50が、軸方向の上流から下流側へ向かって、1つの上流側流路部36から複数の中間流路部38に分岐し、さらに複数の中間流路部38から1つの下流側流路部37へとまとまる。
【0081】
以上説明した本実施形態のマイクロバブル発生装置10では、エア供給部14のエア噴射スリット46から液体中に環状に細かなエア(気泡)が噴射され、このエアを含む液体が、軸方向の下流側の段差付き螺旋流路38bを流れる。これにより、細かな気泡がより微小化されて、マイクロバブルが発生する。すなわち、エアを含む液体が段差付き螺旋流路38bを流れることで、段差付き螺旋流路38bの内面の凹凸によってキャビテーション作用が得られたり、液体に遠心力が作用したりして、液体中にマイクロバブルが発生する。
液体中のマイクロバブルは、管100の内壁等に付着した堆積物を除去する機能や、堆積物が新たに付着することを抑制する機能等を有する。したがって、液体が流通する管100を含む液体の流通系統全域にわたって、洗浄効果を得ることができる。
【0082】
本実施形態によれば、エア噴射スリット46から、いわゆるエアナイフ等と呼ばれる厚さ寸法が薄く高速のエアカーテン状のエアが、液体中に供給される。
このようにして噴射されたエアおよびエアを含む液体は、コアンダ効果によって、流路50の内周面に沿うように流れつつ、下流側の段差付き螺旋流路38bに流入する。細かなエアを含んだ液体が、段差付き螺旋流路38bの内面の凹凸に沿って流されるため、気泡を効率よくマイクロバブルへ変化させることができる。またコアンダ効果により、下流側へ送り出される液体の流速を高めることができるため、マイクロバブル発生装置10から遠い管100の部分にまでマイクロバブルを安定して到達させることが可能になり、流通系統の洗浄効果がより高められる。
【0083】
また、エア噴射スリット46は、エア供給流路36の内周面に沿って環状に、すなわち360°全周にわたって細かなエアを噴射するので、段差付き螺旋流路38b内の周方向の広範囲にわたって上述の作用効果を得ることができる。
また、エア噴射スリット46は、液体が流れる向きつまり下流側へ向けてエアを噴射するので、エア噴射スリット46内への液体の逆流が抑制される。このため、エア噴射スリット46内への堆積物の付着等が抑えられ、上述したエア噴射スリット46による各機能が良好に維持される。
【0084】
段差付き螺旋流路38bを通過した後の液体は、旋回流となってマイクロバブル発生装置10の下流側へと流れていく。この旋回流によっても、マイクロバブル発生装置10から遠く離れた管100の部分にまでマイクロバブルが安定して行き渡りやすくなり、液体の流通系統全域において洗浄効果を高めることができる。
【0085】
以上より本実施形態によれば、エア噴射スリット46から高い流速かつ流量が少なく抑えられたエアを液体中に噴射することで、液体へのエア供給量を少なく抑えつつ、効率よくマイクロバブルを発生させることができる。具体的に、従来方式のマイクロバブル発生装置のエア供給量に比べて、本実施形態のマイクロバブル発生装置10では、十分な洗浄効果を確保しつつエア供給量を1/3程度にまで削減することが可能となった。また、エア噴射スリット46をコンパクトに構成することが容易であり、マイクロバブル発生装置10の小型化が図りやすい。また、既存の配管設備等に本実施形態のマイクロバブル発生装置10を適用することが容易であり、汎用性が高い。
【0086】
また本実施形態では、エア噴射スリット46のスリット幅寸法Sが、0.1mm以下である。
エア噴射スリット46のスリット幅寸法Sが0.1mm以下であると、エアナイフとしての機能が安定して確保される。すなわち、エア噴射スリット46から液体中に高速で細かなエア(気泡)を安定して噴射することができ、マイクロバブルをより多く発生させることができる。また、エア供給量をより好適に削減できる。また、スリット幅寸法Sが十分に小さいことで、このエア噴射スリット46を通して流路50からエア供給路45へと液体が逆流することを抑制できる。したがって、エア供給部14の機能が良好に維持される。
なお、好ましくは、エア噴射スリット46のスリット幅寸法Sは0.05mm以下であり、より望ましくは、0.03mm以下である。また、製造を容易とし、かつ所定以上のエア供給量を確保する点からは、スリット幅寸法Sは、例えば0.01mm以上であることが好ましい。
【0087】
また本実施形態では、段差付き螺旋流路38bが、中心軸O回りの周方向に並んで複数設けられる。
この場合、複数の段差付き螺旋流路38bによって、マイクロバブルをより多く発生させることができる。
【0088】
また本実施形態では、エア噴射スリット46が、中心軸Oを中心とした環状である。
この場合、装置本体20の中心軸O回りに周方向均等にマイクロバブルを発生させることができる。
【0089】
また本実施形態では、複数の板部材13が、互いに軸方向に表裏反転された姿勢で配置される同一部品からなる一対の板部材13の組を有するので、部品共通化により、複数の板部材13の種類が少なく抑えられる。特に本実施形態では、上記組が複数設けられるので、板部材13の種類をより削減できる。
【0090】
また本実施形態では、軸方向から見て、複数の板部材13のうち、軸方向の上流端に位置する板部材13aの流通孔21の孔中心Cと、軸方向の下流端に位置する板部材13jの流通孔21の孔中心Cとの間の、中心軸Oを中心とする中心角αが、40°以上90°以下である。
複数の板部材13の各流通孔21により形成される螺旋階段状の流路部分(段差付き螺旋流路38b)の中心角αが、40°以上であると、段差付き螺旋流路38bを流れる液体に旋回流を安定して発生させることができ、本実施形態による洗浄効果がより高められる。また段差部23の表面積が大きく確保されるため、キャビテーション作用によりマイクロバブルがより安定して発生しやすい。
また中心角αが、90°以下であると、螺旋階段状の流路部分の軸方向の全長が長くなり過ぎることを抑えられ、装置をコンパクトに構成できる。
【0091】
また本実施形態では、軸方向から見て、軸方向に隣接する一対の板部材13の各流通孔21の孔中心C同士の、中心軸Oを中心とする中心角βが、1°以上5°以下である。
中心角βが、1°以上であると、段差付き螺旋流路38bに形成される段差部23の機能が安定して得られ、マイクロバブルが効率よく発生させられる。
また中心角βが、5°以下であると、段差付き螺旋流路38bを流れる液体の圧力損失が大きくなり過ぎることが抑えられ、流路50を流れる液体の流通状態を安定させることができる。
【0092】
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態のマイクロバブル発生装置40について、図6図8を参照して説明する。なお、第2実施形態では、第1実施形態と同じ構成については同じ符号を付して、その説明を省略する場合がある。
【0093】
本実施形態のマイクロバブル発生装置40は、前述の実施形態で説明したマイクロバブル発生装置10とは、エア供給部27等の構成が異なる。またこれにともない、エア供給部27からエアを供給するエア供給流路38aが異なる。
前述の実施形態では、エア供給部14が装置本体20の上流側の端部に設けられ、流入筒部16およびエア供給筒部43等を有するのに対して、本実施形態では、エア供給部27が装置本体20の上流端部と下流端部との間の中間部分に設けられ、中間筒部18、スペーサー部材12およびエア供給筒部41等を有する。また本実施形態では、本体筒11が流入筒部16を有する。
【0094】
図6および図7に示すように、詳しくは、本実施形態ではエア供給部27が、中間筒部18と、スペーサー部材12と、エア供給筒部41と、エア導入孔51と、エア供給路52と、連通孔42と、エア噴射スリット53と、チェックバルブ(逆止弁)29と、エア供給源(図示省略)と、を有する。
【0095】
図7に示すように、本実施形態ではスペーサー部材12が、中間シール溝24bおよび中間シール部材28の組を複数有する。複数の上記組は、軸方向に互いに間隔をあけて配置される。
またスペーサー部材12は、供給溝26を有する。供給溝26は、スペーサー部材12の外周面から径方向内側に窪み、周方向に延びる溝状である。供給溝26は、中心軸Oを中心とする環状である。本実施形態では供給溝26が、軸方向に隣り合う一対の中間シール溝24b同士の間に配置される。
【0096】
スペーサー部材12の貫通孔25は、その中心軸である孔中心Aが、装置本体20の中心軸Oと平行に延びる。このため孔中心Aが延びる方向は、中心軸Oの軸方向に相当する。
また本実施形態では、孔中心Aと直交する方向を孔径方向と呼ぶ。孔径方向のうち、孔中心Aに接近する方向を孔径方向の内側と呼び、孔中心Aから離れる方向を孔径方向の外側と呼ぶ。
孔中心A回りに周回する方向を孔周方向と呼ぶ。
【0097】
貫通孔25の内周面は、孔径方向の内側を向き、軸方向に沿って延びる。貫通孔25の下流側部分(一部)は、エア噴射スリット53から噴射されるエアを、コアンダ効果によって、軸方向の下流側に向けてガイドする。このため貫通孔25は、軸方向エアガイド部25と言い換えてもよい。
図8(a)に示すように、貫通孔25のうち軸方向において上流端部と下流端部との間に位置する中間部分の一部(上記一部とは別の一部)は、エア噴射スリット53を画成する、孔径方向に隙間をあけて対向する一対のスリット内壁のうち一方を構成する。
【0098】
貫通孔25は、エア供給筒部41の下流側の端部よりも下流側に位置する部分を有する。図示の例では、貫通孔25のうち少なくとも下流側の端部を含む下流側部分が、エア供給筒部41の下流側を向く端面41dよりも軸方向の下流側に突出して延びる。
【0099】
また本実施形態では、スペーサー部材12が、段部24dを有する。段部24dは、貫通孔25の軸方向の上流側に配置される。段部24dは、孔中心Aを中心として孔周方向に延びる環状である。段部24dの内径は、貫通孔25の内径よりも大きい。
【0100】
エア供給筒部41は、孔中心Aを中心とする筒状であり、軸方向に延びる。本実施形態ではエア供給筒部41が、略円筒状である。エア供給筒部41は、貫通孔25内に嵌合する。図6に示すように、エア供給筒部41は、中心軸O回りに互いに間隔をあけて複数設けられる。本実施形態ではエア供給筒部41が、スペーサー部材12に周方向に等ピッチで8つ設けられる。各エア供給筒部41は、各貫通孔25内に1つ配置される。
図7および図8(a)に示すように、エア供給筒部41の軸方向の長さは、貫通孔25の軸方向の長さよりも小さい。エア供給筒部41は、貫通孔25の内部のうち、下流側部分以外の部分に位置する。
【0101】
図8(a)、(b)に示すように、エア供給筒部41は、筒本体41aと、筒フランジ41bと、を有する。
筒本体41aは、孔中心Aを中心とする円筒状であり、軸方向に延びる。筒本体41aは、貫通孔25内に嵌合する。
筒本体41aは、筒エア溝41cと、筒小径外周部41eと、を有する。筒本体41aの外周面のうち筒エア溝41cおよび筒小径外周部41e以外の部分は、貫通孔25の内周面と接触する。
【0102】
筒エア溝41cは、筒本体41aの外周面から孔径方向の内側に窪み、孔周方向に延びる。筒エア溝41cは、孔中心Aを中心とする環状の溝である。筒エア溝41cは、筒本体41aの下流側部分に配置される。
【0103】
筒小径外周部41eは、筒エア溝41cの下流側に配置される。筒小径外周部41eは、筒本体41aのうち筒エア溝41cおよび筒小径外周部41e以外の部分よりも外径が小さい。筒小径外周部41eは、筒本体41aの外周面のうち下流側の端部に配置される。筒小径外周部41eは、孔径方向の外側を向き、軸方向に沿って延びる。筒小径外周部41eは、孔周方向の全周にわたって、貫通孔25の内周面と孔径方向に隙間をあけて対向する。筒小径外周部41eは、エア噴射スリット53を画成する、孔径方向に隙間をあけて対向する一対のスリット内壁のうち他方を構成する。
【0104】
筒フランジ41bは、孔中心Aを中心とする円環板状である。筒フランジ41bは、筒本体41aの軸方向の上流側の端部から、孔径方向の外側に拡がる。筒フランジ41bの外径は、貫通孔25の内径よりも大きい。筒フランジ41bは、段部24dに配置される。筒フランジ41bの軸方向の下流側を向く板面は、段部24dの軸方向の上流側を向く底面と接触する。
【0105】
図7に示すように、エア導入孔51は、中間筒部18を径方向に貫通する。エア導入孔51の径方向外側の端部は、中間筒部18の外周面に開口する。エア導入孔51の径方向内側の端部は、中間筒部18の内周面に開口する。
図6に示すように、本実施形態ではエア導入孔51が、周方向に互いに等間隔をあけて複数(2つ)設けられる。
【0106】
図7に示すように、エア供給路52は、径方向において、中間筒部18とスペーサー部材12との間に配置される。エア供給路52は、中心軸Oを中心とする環状のエア流路である。エア供給路52は、複数のエア導入孔51の各径方向内端部と接続され、各エア導入孔51と連通する。エア供給路52は、供給溝26と、中間筒部18の内周面と、により画成される環状の室(空間)である。
【0107】
連通孔42は、供給溝26と、貫通孔25のうち筒エア溝41cと対向する部分と、に開口する。連通孔42は、供給溝26と筒エア溝41cとの間で、径方向に延びる。図6に示すように、連通孔42は、周方向に互いに間隔をあけて複数設けられる。本実施形態では連通孔42が、スペーサー部材12に周方向に等ピッチで8つ設けられる。すなわち、連通孔42の数とエア供給筒部41の数とは、互いに同じであり、各連通孔42は、各エア供給筒部41の筒エア溝41cと連通する。また各連通孔42は、供給溝26を介して各エア導入孔51と連通する。
【0108】
図7および図8(a)、(b)に示すように、エア噴射スリット53は、孔径方向において、スペーサー部材12とエア供給筒部41との間に配置される。エア噴射スリット53は、孔中心Aを中心とする環状のエア流路である。すなわち、エア噴射スリット53は、段差付き螺旋流路38bの軸方向の上流側の端部に接続される流路部分(直線流路38a)の流路中心(孔中心A)と同心とされた環状である。具体的に、エア噴射スリット53は、軸方向に延びる円筒状のエア流路である。詳しくは、エア噴射スリット53は、孔径方向において、貫通孔25の内周面と筒小径外周部41eとの間に画成される円筒状の隙間(空間)である。
【0109】
エア噴射スリット53は、筒エア溝41cの軸方向の下流側に配置される。エア噴射スリット53の軸方向の上流側の端部は、筒エア溝41cと接続される。エア噴射スリット53の軸方向の下流側の端部は、貫通孔25内で軸方向の下流側へ向けて開口する。エア噴射スリット53は、軸方向の下流側に向けて、孔中心A回りの360°全周にわたって開口する。
【0110】
エア噴射スリット53の孔径方向の寸法、つまりスリット幅寸法Sは、前述の実施形態で説明したエア噴射スリット46のスリット幅寸法Sと同様である。
エア噴射スリット53は、中心軸O回りの周方向に並んで複数設けられる。各エア噴射スリット53は、各貫通孔25内に1つ配置される。本実施形態ではエア噴射スリット53が、周方向に等ピッチで8つ設けられる。
【0111】
図7に示すように、本実施形態ではチェックバルブ29が、中間筒部18に設けられる。図6に示すように、本実施形態ではチェックバルブ29が、周方向に互いに等間隔をあけて複数(2つ)設けられる。各チェックバルブ29は、各エア導入孔51にねじ止め等により固定される。チェックバルブ29は、エア供給源(図示省略)からエア導入孔51へ向けたエアの流通を許容し、エア導入孔51からエア供給源へ向けたエアおよび液体の流通を遮断する。
【0112】
図7および図8(a)、(b)に示すように、本実施形態では、流路50の直線流路38aが、エア供給筒部41の内周面と、貫通孔25の内周面の下流側部分とにより形成される。直線流路38aは、段差付き螺旋流路38bの軸方向の上流側に配置されて軸方向に延び、段差付き螺旋流路38bと連通する。そして本実施形態では、エア供給部27が、直線流路38aにエアを供給する。すなわち本実施形態では、直線流路38aが、エア供給流路に相当する。このため、直線流路38aをエア供給流路38aと呼ぶ場合がある。エア供給部27のエア噴射スリット53は、エア供給流路38aの内周面に沿って環状に延び、エア供給流路38a内において下流側へ向けて開口する。
【0113】
以上説明した本実施形態のマイクロバブル発生装置40によれば、前述した実施形態と同様の作用効果が得られる。
【0114】
また本実施形態では、エア噴射スリット53が、段差付き螺旋流路38bと接続される直線流路38aの流路中心(孔中心A)と同心の環状である。
この場合、細かなエアを含む液体を段差付き螺旋流路38bの内周面全周に供給することができ、マイクロバブルをより効率よく発生させることができる。
【0115】
また本実施形態では、エア噴射スリット53が、複数の直線流路38aに1つずつ、つまり複数設けられており、各エア噴射スリット53は、各直線流路38aを通して各段差付き螺旋流路38bにエアを供給する。
この場合、液体中にマイクロバブルをより効率よく多量に発生させることができる。
【0116】
なお、本発明は前述の実施形態に限定されず、例えば下記に説明するように、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において構成の変更等が可能である。
【0117】
前述の実施形態では、図2および図6に示すように、装置本体20を軸方向の上流側から見て、周方向一方側θ1が中心軸Oを中心とする反時計回りの方向であり、周方向他方側θ2が中心軸Oを中心とする時計回りの方向である例を挙げたが、これに限らない。すなわち、装置本体20を軸方向の上流側から見て、周方向一方側θ1が中心軸Oを中心とする時計回りの方向であり、周方向他方側θ2が中心軸Oを中心とする反時計回りの方向であってもよい。この場合、段差付き螺旋流路38bの中心軸O回りのねじれの向きが、前述の実施形態とは反対方向となる。
【0118】
その他、本発明の趣旨から逸脱しない範囲において、前述の実施形態および変形例等で説明した各構成を組み合わせてもよく、また、構成の付加、省略、置換、その他の変更が可能である。また本発明は、前述した実施形態によって限定されず、特許請求の範囲によってのみ限定される。
【産業上の利用可能性】
【0119】
本発明のマイクロバブル発生装置によれば、エア供給量を少なく抑えて、効率よくマイクロバブルを発生させることができる。したがって、産業上の利用可能性を有する。
【符号の説明】
【0120】
10,40…マイクロバブル発生装置、14,27…エア供給部、20…装置本体、36…上流側流路部(エア供給流路)、38a…直線流路(エア供給流路)、38b…段差付き螺旋流路、46,53…エア噴射スリット、50…流路、100…管、O…中心軸、S…スリット幅寸法
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8