(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022137448
(43)【公開日】2022-09-22
(54)【発明の名称】可変圧縮比機構のアクチュエータ及び内燃機関の制御装置
(51)【国際特許分類】
F02D 15/00 20060101AFI20220914BHJP
F02B 75/04 20060101ALI20220914BHJP
F16C 7/06 20060101ALI20220914BHJP
【FI】
F02D15/00
F02B75/04
F16C7/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021036956
(22)【出願日】2021-03-09
(71)【出願人】
【識別番号】509186579
【氏名又は名称】日立Astemo株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002549
【氏名又は名称】弁理士法人綾田事務所
(72)【発明者】
【氏名】永井 希志郎
(72)【発明者】
【氏名】須田 佳裕
【テーマコード(参考)】
3G092
3J033
【Fターム(参考)】
3G092AA12
3G092DD06
3G092DG08
3G092FA50
3G092GA01
3G092GA10
3J033AA04
3J033DA06
(57)【要約】
【課題】 コストダウンを図りつつ、精度の高い制御が可能な可変圧縮比機構のアクチュエータを提供すること。
【解決手段】 本発明の内燃機関の可変圧縮比機構では、リンク機構を制御する制御軸の回転を阻害するストッパは、少なくとも内燃機関の始動時において制御軸の回転範囲のうち、リンク機構及び減速機を通じて可変圧縮比機構からモータ軸に作用するトルクによりも抵抗部によるモータ軸の回転位置を保持するトルクが大きくなる位置となる構成とした。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関の可変圧縮比機構に連携し、姿勢を変更することで前記可変圧縮比機構の圧縮比を可変するリンク機構と、
回転することで前記リンク機構の姿勢を変更する制御軸と、
モータ軸を有する電動モータと、
前記モータ軸の回転を減速して前記制御軸に伝達する減速機と、
前記制御軸の回転範囲を規制するストッパと、
前記モータ軸の回転に対して回転を阻害する抵抗部と、
を備え、
前記リンク機構は、
前記アクチュエータリンク及び前記減速機を通じて前記可変圧縮比機構から前記モータ軸に作用するトルクが前記リンク機構の姿勢によって変化するものであって、
前記制御軸の回転範囲のうちの両端が、前記リンク機構及び前記減速機を通じて前記可変圧縮比機構から前記モータ軸に作用するトルクによりも前記抵抗部による前記モータ軸の回転位置を保持するトルクが大きくなるように構成されている
ことを特徴とする可変圧縮比機構のアクチュエータ。
【請求項2】
請求項1に記載の可変圧縮比機構のアクチュエータにおいて、
前記ストッパは、前記制御軸の回転範囲の一方側である第1ストッパ部と、他方側である第2ストッパ部を有し、
前記第1ストッパ部及び前記第2ストッパ部は、両方ともに前記制御軸の回転範囲のうち、前記リンク機構及び前記減速機を通じて前記可変圧縮比機構から前記モータ軸に作用するトルクによりも前記抵抗部による前記モータ軸の回転位置を保持するトルクが大きくなる位置にある
ことを特徴とする可変圧縮比機構のアクチュエータ。
【請求項3】
請求項2に記載の可変圧縮比機構のアクチュエータにおいて、
前記抵抗部は、前記モータ軸の回転に対して摩擦力を発生させる摩擦部であることを特徴とする可変圧縮比機構のアクチュエータ。
【請求項4】
請求項2に記載の内燃機関用可変圧縮比機構のアクチュエータにおいて、
前記抵抗部は、前記電動モータのコギングトルクである
ことを特徴とする可変圧縮比機構のアクチュエータ。
【請求項5】
可変圧縮比機構と、
前記可変圧縮比機構の圧縮比を可変する制御軸をリンク機構を介して回転させるアクチュエータと、
前記可変圧縮比機構又は前記アクチュエータに設けられ、回転ストッパと固定ストッパが当接することにより前記制御軸の回転角度を規制するストッパと、
を備えた内燃機関を制御する内燃機関の制御装置であって、
前記可変圧縮比機構から前記モータ軸に作用するトルクが前記リンク機構の姿勢によって変化するものであり、
前記回転ストッパは、前記内燃機関が駆動状態から停止するときに、前記固定ストッパに当接するストッパであり、
前記リンク機構は、前記回転ストッパの位置で作用するトルクが、他の位置で作用するトルクよりも小さく、
前記内燃機関が停止状態から始動するときに、前記回転ストッパを前記固定ストッパに当接させた状態で前記内燃機関を始動する
ことを特徴とする内燃機関の制御装置。
【請求項6】
請求項5に記載の内燃機関の制御装置において、
前記内燃機関が駆動中において、前記回転ストッパを前記固定ストッパに当接状態を保持する制御を行う
ことを特徴とする内燃機関の制御装置。
【請求項7】
請求項6に記載の内燃機関の制御装置において、
前記制御軸の回転範囲において、前記回転ストッパが前記固定ストッパに対して遠い角度よりも近い角度のほうが前記制御軸の回転速度が遅い
ことを特徴とする内燃機関の制御装置。
【請求項8】
請求項7に記載内燃機関の制御装置において、
前記制御軸の回転速度を遅くする範囲におけるアクチュエータの駆動電流を温度が低いほど大きくする
ことを特徴とする内燃機関の制御装置。
【請求項9】
請求項5に記載の内燃機関の制御装置において、
前記内燃機関が停止するときに、前記制御軸の回転により前記可変圧縮比機構が低圧縮比になる方向に回転させて前記回転ストッパを前記固定ストッパに当接させる
ことを特徴とする内燃機関の制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可変圧縮比機構のアクチュエータ及びこれを備えた内燃機関の制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の内燃機関の制御装置及びその制御方法においては、可変圧縮比機構を駆動するアクチュエータ198の出力軸に対して減速機198Aを介して連結された制御シャフト196の回転角度を、アクチュエータ198の回転角度に対して減速機198Aの減速比を考慮した相対角度として検出する相対角度センサ280の出力値と、制御シャフト196の絶対角度を検出する絶対角度センサ290の出力値と、に基づいてVCR機構190を制御している。
ここで、可変圧縮比機構にはストッパ機構210が設けられており、通常の制御範囲を越えて制御シャフト196が回転したときに、その変位(回転)を規制されている。ストッパ機構210は、制御シャフト196の変位を規制するだけでなく、車両の組み立て工場において制御シャフト196の基準位置を学習するためにも使用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載の内燃機関の可変圧縮比機構においては、通常の制御範囲がストッパ機構によって規制されている範囲よりも狭く設定されており、始動時には絶対角センサの出力値を起点として制御軸の回転角度を検出する必要があった。そのため、絶対角センサが必須であり、コストが高くなるおそれがあった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記課題を解決するために、ストッパは、少なくとも内燃機関の始動時において制御軸の回転範囲のうち、アクチュエータリンク及び減速機を通じて可変圧縮比機構からモータ軸に作用するトルクによりも抵抗部による前記モータ軸の回転位置を保持するトルクが大きくなる位置にあるという構成とした。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、絶対角センサを用いずに回転角度の制御が可能といった効果を得られる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】実施形態1の内燃機関の可変圧縮比機構の概略を模式的に示す。
【
図2】実施形態1の可変圧縮比機構のアクチュエータ及びセンサが一体となったユニットの斜視図である。
【
図6】実施形態1のアクチュエータリンクの拡大部分断面図である。
【
図7】実施形態1の内燃機関の可変圧縮比機構のアクチュエータの第2制御軸の回転角とトルクとの関係を表す特性図である。
【
図8】実施形態2の内燃機関の可変圧縮比機構のアクチュエータの第2制御軸の回転角とトルクとの関係を表す特性図である。
【
図9】実施形態3のアクチュエータリンクの拡大部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を実施するための形態を、図面に基づき説明する。
【0009】
〔実施形態1〕
まず、構成を説明する。以下、図面において、参考のため、x軸、y軸及びz軸からなる三次元直交座標系を設定し、適宜表示する。本実施形態の内燃機関は、4ストロークのレシプロエンジンである。
図1に示すように、本実施形態の内燃機関の(広義の)可変圧縮比機構は、マルチリンク機構1、第1制御軸2、アクチュエータ3、センサ4、及びコントロールユニット5を有する。
【0010】
マルチリンク機構1は、狭義の可変圧縮比機構である。マルチリンク機構1は、アッパリンク11、ロアリンク12、及び制御リンク13を有する。アッパリンク11及びロアリンク12は、内燃機関のシリンダブロックのシリンダ内を往復運動するピストン100と、クランクシャフト101とを連結する。アッパリンク11の上端部は、ピストンピン110を介して回転自在にピストン1に連結される。アッパリンク11の下端部は、連結ピン111を介して回転自在にロアリンク12の一端に連結される。ロアリンク12には、クランクピン120を介してクランクシャフト101が回転自在に連結される。制御リンク13の一端は、連結ピン130を介して回転自在にロアリンク12の他端に連結される。制御リンク13の他端は第1制御軸2に回転自在に連結される。
【0011】
第1制御軸2は、マルチリンク機構1の姿勢を制御する。第1制御軸2は、軸本体部20、第1アーム部21、第2アーム部22、第1偏心軸部23、及び第2偏心軸部24を有する。軸本体部20は、内燃機関の内部でクランクシャフト101の軸線に対して略平行に延び、内燃機関本体に回転自在に支持される。第1アーム部21の一端は軸本体部20に固定され、第1アーム部21の他端には第1偏心軸部23が固定される。第1偏心軸部23には、制御リンク13の他端が回転自在に連結される。第2アーム部22の一端は軸本体部20に固定され、第2アーム部22の他端には第2偏心軸部24が固定される。エンジンブロック内には、第2アーム部22と当接し、第1制御軸2の回動可能範囲を規制する高圧縮比側ストッパ(第1ストッパ部に相当)及び低圧縮比側ストッパ(第2ストッパ部に相当)を有する。
【0012】
アクチュエータ3は、第1制御軸2を駆動する。アクチュエータ3は、ハウジング30(
図2参照)、駆動ユニット31、第2制御軸32、及びアクチュエータリンク(連結リンク)33を有する。
【0013】
ハウジング30は、アルミニウム合金により形成される。
図5に示すように、ハウジング30は、制御軸収容孔301、減速機収容室302、アーム収容室303、第1開口部304A、第2開口部304B、及び第3開口部304Cを有する。制御軸収容孔301は、略円筒状であり、z軸方向に延びてハウジング30を貫通する。制御軸収容孔301は、第1軸収容部301A、第2軸収容部301Bを有する。第1軸収容部301Aの径は、第2軸収容部301Bの径より大きい。
【0014】
減速機収容室302は、制御軸収容孔301と略同じ軸線を有する円筒状であり、z軸方向に延びる。減速機収容室302のz軸負方向側は、第1開口部304Aとしてハウジング30の外部に開口する。減速機収容室302のz軸正方向側には第1隔壁305Aがある。第1隔壁305Aを制御軸収容孔301(第1軸収容部301A)が貫通する。第1隔壁305Aにおける第1軸収容部301Aの周囲(ボス部)を含む部分や、第1隔壁305Aにおけるy軸負方向側の端であって減速機収容室302の内周面に連続する部分は、(第1隔壁305Aの本体部から)z軸負方向に突出した形状の肉厚部である。
【0015】
アーム収容室303は、第1隔壁305Aを挟んで減速機収容室302のz軸正方向側に隣接する。アーム収容室303は、z軸負方向側を第1隔壁305Aにより画され、z軸正方向側を第2隔壁305Bにより画され、x軸負方向側を第3隔壁305Cにより画され(
図6参照)、y軸正方向側を第4隔壁305Dにより画され、y軸負方向側を第5隔壁305Eにより画される。アーム収容室303を画する第1隔壁305Aの面及び第2隔壁305Bの面は、xy平面と略平行である。
図6に示すように、アーム収容室303を画する第5隔壁305Eの面は、xz平面と略平行である。第2隔壁305Bを制御軸収容孔301(第2軸収容部301B)が貫通する。制御軸収容孔301のz軸正方向側は、第2開口部304Bとしてハウジング30の外部に開口する。アーム収容室303のx軸正方向側は、第3開口部304Cとしてハウジング30の外部に開口する。第3開口部304Cは、x軸正方向側から見て、矩形状であり、y軸方向に延びる長辺とz軸方向に延びる短辺を有する。
【0016】
ハウジング30の第3開口部304Cの周囲は、内燃機関本体の部材(シリンダブロック)にボルトで固定される。
図6に示すように、アーム収容室303は、第3開口部304Cを介して、シリンダブロック(クランクケース14)の内部に連通しており、クランクケース14の下部に設けられた油溜まりであるオイルパン15にも連通する。クランクケース14においてアーム収容室303に連続する部分は、アーム収容室303から離れるにつれて徐々にオイルパン15に近づくように傾斜する面140を有する。
【0017】
図3に示すように、駆動ユニット31は、電動機31A及び減速機31Bを有する。電動機31Aは、ブラシレスモータであり、
図5に示すように、第1ケーシング310A、第2ケーシング310B、出力軸311、ロータ312及びコイル313を有する。第1ケーシング310Aは、第2ケーシング310Bにボルトで固定される。第2ケーシング310Bは、ハウジング30の第1開口部304Aの周囲にボルトで固定される。第2ケーシング310Bとハウジング30との間は、シール部材35Bによって封止される。出力軸311は、軸受34A,34Bを介してそれぞれ第1,第2ケーシング310A,310Bに回転可能に支持される。コイル313は第1ケーシング310Aの内周に固定される。ロータ312は、出力軸311に固定され、コイル313の内側に回転自在に設けられる。第2ケーシング310Bと出力軸311との間は、シール部材35Aによって封止される。
【0018】
図5に示すように、減速機31Bは、ハウジング30の減速機収容室302に収容される。減速機31Bは、波動歯車装置(波動歯車減速機)である。
図3に示すように、減速機31Bは、第1サーキュラスプライン314、第2サーキュラスプライン315、フレックススプライン316、及びウェーブジェネレータ(波動発生器)317を有する。第1サーキュラスプライン314は、内周に複数の内歯が形成された円環状の出力軸部材である。第2サーキュラスプライン315は、内周に複数の内歯が形成された円環状の固定軸部材であり、第2スラストプレート318Bを介して電動機31Aの第2ケーシング310Bにボルトで固定される。ウェーブジェネレータ317は、楕円形状の外周面を有する入力軸部材であり、電動機31Aの出力軸311に固定され、出力軸311によって回転駆動される。ウェーブジェネレータ317(減速機31B)の回転軸線319は、出力軸311の回転軸線と略一致する。ウェーブジェネレータ317の軸方向一方側(z軸負方向側)は、ウェーブジェネレータ317の軸方向に延びた筒状部317aの外周との間において、軸受34Cを介して電動機31Aの第2ケーシング310Bに回転自在に支持される。フレックススプライン316は、撓み変形可能な薄肉円筒状であり、外周面に複数の外歯を有する。この外歯の数は、第1サーキュラスプライン314の内歯の数と同じであり、第2サーキュラスプライン315の内歯の数より2つだけ少ない。フレックススプライン316の軸方向一方側(z軸正方向側)は、第1サーキュラスプライン314の内側に配置され、その外歯が第1サーキュラスプライン314の内歯に噛合する。フレックススプライン316の軸方向他方側(z軸負方向側)は、第2サーキュラスプライン315の内側に配置される。ウェーブジェネレータ317の楕円形状の外周面(上記楕円の長軸の延長と重なる2カ所)はフレックススプライン316の内周面の一部に沿って摺動する。撓み変形するフレックススプライン316の外歯の一部(上記2カ所)が第2サーキュラスプライン315の内歯に噛合する。
【0019】
第2制御軸32は、軸本体部32A及びアーム32Bを有する。
図5に示すように、軸本体部32Aは、ハウジング30の制御軸収容孔301に収容される。軸本体部32Aは、その回転軸線320の方向の一端から他端に(z軸正方向に)向かって順に、固定用フランジ321、第1ジャーナル部322、固定部323、第2ジャーナル部324及びロータ設置部326を一体に有する。各部322~326は、上記一端から他端に向かって順に、径が小さくなる。例えば、第1ジャーナル部322よりも固定部323のほうが、径が小さい。第1ジャーナル部322は第1軸収容部301Aに収容され、第2ジャーナル部324は第2軸収容部301Bに収容される。軸本体部32Aは、ジャーナル部322,324を介してハウジング30に回転自在に支持される。固定用フランジ321は、回転軸線320に対し径方向外側に広がる。固定用フランジ321は、第1スラストプレート318Aを介して、減速機31Bの第1サーキュラスプライン314にボルトで固定される。第2制御軸32の回転軸線320は、減速機31B(ウェーブジェネレータ317)の回転軸線319と略一致する。軸本体部32Aの上記一端(z軸負方向端)には、凹部328が開口する。凹部328は、上記一端から他端に(z軸正方向に)向かって径が徐々に小さくなる円錐状であり、その軸線は回転軸線320と略一致する。凹部328は、第1ジャーナル部322の内部まで形成されている。固定用フランジ321は、軸本体部32Aの上記一端における凹部328の開口部の周りに広がる。
【0020】
図5,6に示すように、アーム32Bは、軸本体部32Aの回転軸線320に対して径方向に延びる。軸本体部32Aは、アーム32Bを介してアクチュエータリンク33に連結される。アーム32B(軸本体部32A)は、アクチュエータリンク33を介してマルチリンク機構1に連係する。具体的には、アーム32Bは、軸本体部32Aとは別体(別部品として分離可能)である。軸本体部32Aにおけるジャーナル部322,324に挟まれる固定部323には、アーム32Bの一端が固定される。上記一端は、円筒状の第1固定用孔327Aが貫通する大径部である。第1固定用孔327Aには固定部323が圧入固定される。アーム32Bの他端は、円筒状の第2固定用孔327Bが貫通する小径部である。上記他端は、軸本体部32Aの回転軸線320に対して径方向向外側に、回転軸線320から離れる(突出する)ように延びる。第2固定用孔327Bには連結ピン330が回転自在に嵌まる。
【0021】
アクチュエータリンク33は、レバー形状であり、湾曲した湾曲部33Aと、略直線状の直線部33Bを有する。アクチュエータリンク33における湾曲部33Aの側の一端は、連結ピン330を介して、回転自在にアーム32Bの上記他端に連結される。具体的には、アクチュエータリンク33の上記一端は、二股に分岐しており、2つの分岐部331A,331Bを有する。各分岐部331A,331Bを第2固定用孔332が貫通し、これらの第2固定用孔332に連結ピン330の両端が圧入固定される。アクチュエータリンク33における直線部33Bの側の他端は、回転自在に第1制御軸2(第2偏心軸部24)に連結される。アーム32B及びアクチュエータリンク33(湾曲部33A)の一部は、ハウジング30のアーム収容室303に収容される。
図2,4,6に示すように、アクチュエータリンク33の残りの一部は、第3開口部304Cを通ってハウジング30の内燃機関のクランクケースの内部に突出する。
【0022】
第2制御軸32は、駆動ユニット31から伝達される動力により回転することで第1制御軸2を駆動し、可変圧縮比機構(マルチリンク機構1)の姿勢を変化させる。すなわち、減速機31Bは、電動機31Aの出力軸311の回転数を減速して第2制御軸32に伝達する。第2制御軸32には、減速機31Bを介して電動機31Aからトルクが伝達される。このトルクにより、第2制御軸32が回転し、その回転位置が変更される。第2制御軸32の回転位置が変更されると、アクチュエータリンク33を介して第1制御軸2が回転し、制御リンク13の位置が移動する。これにより、ロアリンク12の姿勢が変化し、ピストン100のシリンダ内におけるストローク位置(上死点位置)やストローク量を変化させる。これに伴って機関圧縮比が連続的に変更される。
図6中の実線で示すアクチュエータリンク位置は、低圧縮比状態を表し、
図6中の点線で示すアクチュエータリンク位置は、高圧縮比状態を表す。
【0023】
図3,5に示すように、センサ4は、第2制御軸32の回転角度位置を検出する回転角センサ41、及び電動機31Aの出力軸311の回転角度位置を検出するレゾルバ42を有する。回転角センサ41は、ロータ410及びステータ411を有する。ロータ410は、第2制御軸32の軸本体部32Aにおけるロータ設置部326に固定される。ステータ411は、ハウジング30の(z軸正方向側の)第2開口部304Bの周囲に、シール部材35Cを介してボルトで固定される。ロータ410はステータ411の内側に回転自在に設けられる。ステータ411の一側面をプレート412が覆う。プレート412は、シール部材35Dを介してボルトでステータ411に固定される。
【0024】
コントロールユニット5は、クランク角センサや機関負荷センサ、水温センサ、スロットルバルブ開度センサなどのセンサ類から入力される情報に基づき現在の内燃機関の運転状態を検出し、点火プラグの点火時期等の制御を行う。また、コントロールユニット5は、電動機31A(のコイル313)、回転角センサ41(のステータ411)、及びレゾルバ42と電気的に接続されている。コントロールユニット5は、回転角センサ41やレゾルバ42から入力される情報に基づき演算処理を行い、電動機31Aへ制御電流を出力する。これにより電動機31Aの正逆回転を制御することで、内燃機関の実圧縮比を低圧縮比と高圧縮比との間で可変制御する。
【0025】
図7は、実施形態1の内燃機関の可変圧縮比機構のアクチュエータの第2制御軸の回転角とトルクとの関係を表す特性図である。横軸に第2制御軸32の回転角度をとり、縦軸左側にトルクを、縦軸右側にリンク減速比を取る。
図7中の上に凸で示す太い実線は入力トルク、すなわち電動機31Aの出力軸311に作用するトルクを示し、
図7中の下に凸の点線はリンク減速比を示し、
図7中の一定の実線はモータ軸フリクショントルクを表す。
ここで入力を、エンジン本体側から伝達される燃焼荷重がアクチュエータの電動機31Aの出力軸311に作用するトルクと定義し、第1制御軸2の軸本体部20に作用するトルクをTcs1と定義し、
図1の第1制御軸2と第2制御軸32の間のリンク減速比をR_Linkと定義し、アクチュエータ内の減速機31Bの減速比をR_hdと定義し、アクチュエータ内の減速機31Bの減速効率をηと定義したとき、下記のように表される。
入力=Tcs1/(R_Link×R_hd×η)
この入力が、
図7の上に凸で示す実線の特性である。すなわち、同じトルクをエンジン側からアクチュエータ側に作用させた場合であっても、リンク機構の各リンクが成す角によって、アクチュエータ側に伝達されるトルクが変化する。言い換えると、リンク機構の作動状態に応じてトルク伝達率が変化する。このトルク伝達率をリンク減速比と定義している。このリンク減速比によって、入力トルクは上に凸の特性を示す。
【0026】
一方アクチュエータの電動機31Aの出力軸311には、シール部材35A、軸受34A,34Bが設けられており、それらのフリクションを合算した値がモータ軸フリクションであり、T_oilseal+Σ(Tbrg)+T_hdとなる。T_oilsealはオイルシールフリクション、Tbrgはベアリングフリクション、Σ(Tbeg)はモータ軸に設けられた複数のベアリングのフリクションの合算値、T_hdは減速機31Bの入力軸フリクションを示す。これら各フリクションを総称して抵抗部とも記載する。この抵抗部のトルクがMOTOR軸フリクショントルクであり、
図7に横方向に伸びる直線で示す特性である。
【0027】
実施形態1では、全運転領域を考慮した際の最大負荷条件における出力軸311への入力トルクが出力軸311のフリクションより小さくなるようなリンク比を取る範囲に高圧縮比側及び低圧縮比側ストッパを配置させる。具体的には、以下関係式が成立する範囲にストッパを配置する。具体的には、
図7のハッチングで示す領域(入力トルクがMOTOR軸フリクションを下回る範囲)にストッパを配置する。
Tcs1/(RLink×R_hd×η)≦T_oilseal+Σ(Tbrg)+T_hd
【0028】
実施形態1では、上記の関係を満たす位置にストッパを配置することで、高/低圧縮比保持時に、フリクションによってアクチュエータの作動位置を保持することが可能となり、保持電流(消費電力)を低減できる。また、エンジン始動時、及びエンジンを信号待ち等の車両停車時に一時的に停止するアイドルストップ制御において、アイドルストップ状態からのエンジン再始動時のクランキングにおける入力でも圧縮比が変化しない。よって、圧縮比の安定性が向上する。加えて、エンジン始動時のバッテリ電圧低下によりアクチュエータが駆動不可状態となっても、圧縮比を保持できる。よって、無給電状態でも安定した圧縮比保持が可能となり、始動後の圧縮比調整が不要となる。
【0029】
以上説明したように、実施形態1にあっては、下記に列挙する作用効果が得られる。
(1)内燃機関の可変圧縮比機構に連携し、姿勢を変更することで可変圧縮比機構の圧縮比を可変するマルチリンク機構1及びアクチュエータリンク33(リンク機構)と、
回転することでマルチリンク機構1及びアクチュエータリンク33の姿勢を変更する第1制御軸2及び第2制御軸32(制御軸)と、
出力軸311(モータ軸)を有する電動機31A(電動モータ)と、
出力軸311の回転を減速して第1制御軸2に伝達する減速機31Bと、
第1制御軸2の回転範囲を規制するストッパと、
出力軸311の回転に対して回転を阻害する抵抗部と、
を備え、
マルチリンク機構1及びアクチュエータリンク33は、
アクチュエータリンク33及び減速機31Bを通じて可変圧縮比機構から出力軸311に作用するトルクがアクチュエータリンク33の姿勢によって変化するものであって、
第1制御軸2及び第2制御軸32の回転範囲のうちの両端が、アクチュエータリンク33及び減速機31Bを通じて可変圧縮比機構から出力軸311に作用するトルクによりも抵抗部による出力軸311の回転位置を保持するトルクが大きくなるように構成されている。
よって、高/低圧縮比保持時に、フリクションによってアクチュエータの作動位置を保持することが可能となり、保持電流(消費電力)を低減できる。また、第1制御軸2及び第2制御軸32が回転範囲のうちの両端に位置する場合、内燃機関が停止状態であっても、圧縮比を保持することが可能となり、始動時のクランキングによる入力によって圧縮比が変化することがなく、安定した制御を実現できる。さらに、第1制御軸2及び第2制御軸32が回転範囲のうちの両端に位置する場合、機関停止時における圧縮比を予め把握することが可能となり、内燃機関を始動する際、圧縮比を絶対角センサ等で検知する必要がない。よって、絶対角センサ等を廃止できる。
【0030】
(2)ストッパは、第1制御軸2及び第2制御軸32の回転範囲の一方側である第1ストッパ部と、他方側である第2ストッパ部を有し、
第1ストッパ部及び第2ストッパ部は、両方ともに第1制御軸2及び第2制御軸32の回転範囲のうち、アクチュエータリンク33及び減速機31Bを通じて可変圧縮比機構から出力軸311に作用するトルクによりも抵抗部による出力軸311の回転位置を保持するトルクが大きくなる位置にある。
よって、第1制御軸2及び第2制御軸32がストッパの位置にあるときは、フリクションによってアクチュエータの作動位置を確実に保持できる。
(3)抵抗部は、出力軸311の回転に対して摩擦力を発生させる摩擦部である。よって、簡単な構成で抵抗部を構成できる。
(4)実施形態1では、抵抗部として各フリクションの合計を用いたが、抵抗部として、電動機31Aのコギングトルク(非通電時に出力軸311を外部側から回転させるのに必要なトルク)として定義してもよい。この場合も、実施形態1と同様の作用効果が得られる。
【0031】
(実施形態2)
図8は、実施形態2の内燃機関の可変圧縮比機構のアクチュエータの第2制御軸の回転角とトルクとの関係を表す特性図である。実施形態1では、通常運転条件において入力されうる最大トルクの特性に基づいてストッパ配置領域を設定した。これに対し、実施形態2では、クランキング作動時の最大負荷条件におけるモータ軸への入力トルクが、抵抗部であるMOTOR軸フリクショントルクより小さくなるようなリンク比を取る範囲にストッパを配置させることを特徴とする。すなわち、エンジン始動時のようにオルタネータが作動していない状態では、極力電力消費を避けるほうが好ましく、通常運転状態であれば電力確保の懸念は低い。クランキング作動時の最大負荷条件に対応するだけであれば、比較的低めのトルクに対応可能となる。
【0032】
よって、エンジン始動時及びIDLE STOP再始動時のクランキングにおける入力が発生しても、電動機31Aを非通電状態のままで圧縮比が変化しない為、圧縮比安定性が向上するほか、始動時のバッテリ電圧低下によりアクチュエータが駆動不可状態でも圧縮比保持が可能となり、無給電状態でも安定した圧縮比保持が可能となり、始動後の圧縮比調整が不要となる。また、実施形態1よりも、より広い角度範囲でストッパ配置位置の成立範囲が広がる為、レイアウト自由度が向上し、アクチュエータのコンパクト化が可能となる。
【0033】
(実施形態3)
図9は、実施形態3のアクチュエータリンクの拡大部分断面図である。
図9中の実線で示すアクチュエータリンク位置は低圧縮比状態を表し、
図9中の点線で示すアクチュエータリンク位置は高圧縮比状態を表す。アーム32Bは、回転軸線320側の外周に凸状に形成された高圧縮比側の回転ストッパ部32B2と、連結ピン330側の外周に形成された低圧縮比側の回転ストッパ部32B1とを有する。ハウジング30には、低圧縮比側の回転ストッパ部32B1及び高圧縮比側の回転ストッパ部32B2と当接することでアーム32Bの回転を規制する低圧縮比側の固定ストッパ部305F及び高圧縮比側の固定ストッパ部305Gと、を有する。
【0034】
実施形態1では、ストッパをエンジンブロック側に構成した。これに対し、実施形態3では、ストッパの各構成をアクチュエータ側のハウジング30に構成した点が異なる。ある例では、低圧縮比側ストッパはアクチュエータ側に設け、高圧縮比側ストッパはエンジン本体側に設けられていたが、高圧縮比側のリンク減速比が大きくなる為、エンジン本体側に伝達されるトルクも大きくなる。ストッパへ伝達されるトルクの増大により、ストッパの強度向上が必要となるが、ストッパサイズの肥大化を招き、重量の増加、レイアウト性の悪化を招く。そこで、実施形態3では、アクチュエータリンク33を介さないアクチュエータ側に高圧縮比側ストッパを配置することで、ストッパに作用するトルクを低減でき、ストッパサイズの小型化により、重量増加の抑制を図ることができる。
【0035】
実施形態3では、コントールユニットが、エンジンが停止するときに、第2制御軸32を低圧縮比になる方向に回転させて回転ストッパ32B1を固定ストッパ305Fに当接させるように制御する。このとき、回転ストッパ32B1と固定ストッパ305Fとが勢いよく当接すると、異音の原因や耐久性の低下を招くため、回転ストッパ32B1が固定ストッパ305Fに対して遠い角度よりも近い角度のほうが第2制御軸32の回転速度が遅くなるように制御する。具体的には、電動機32Aへ通電する駆動電流を、回転ストッパ32B1が固定ストッパ305Fに対して遠い角度よりも近い角度のほうがを低くなるように制御する。
【0036】
ここで、回転ストッパ32B1と固定ストッパ305Fとの当接は、絶対角センサ等の値から制御してもよいし、角度センサ等を用いず、例えば電動機32Aの駆動電流が回転停止に伴い一気に上昇するような現象を検知して当接を検知してもよい。
尚、アクチュエータ内の温度やエンジン内の油温等に応じて、温度が低いほど駆動電流が大きくなるように制御することが望ましい。温度が低い場合、潤滑油の粘性抵抗が高く、各フリクションが大きくなるからである。
【0037】
以上説明したように、実施形態3では、下記の作用効果が得られる。
(5)可変圧縮比機構の圧縮比を可変する制御軸を回転させるアクチュエータ3と、
アクチュエータ3に設けられ、回転ストッパ32B1,32B2と固定ストッパ305F,305Gが当接することにより第2制御軸32の回転角度を規制するストッパと、
を備えた内燃機関を制御する内燃機関の制御装置であって、
可変圧縮比機構から出力軸311に作用するトルクがリンク機構の姿勢によって変化するものであり、
回転ストッパ32B1,32B2は、内燃機関が駆動状態から停止するときに、固定ストッパ305F,305Gに当接するストッパであり、
リンク機構は、回転ストッパ32B1,32B2の位置で作用するトルクが、他の位置で作用するトルクよりも小さく、
内燃機関が停止状態から始動するときに、回転ストッパ32B1を固定ストッパ305Fに当接させた状態で内燃機関を始動する。
【0038】
このように、エンジン停止時に、低圧縮比側の回転ストッパ32B1と固定ストッパ305Fとを当接させた状態でエンジン停止するため、センサ等の学習時間を短縮できる。また、エンジン始動ごとに行われる初期化が可能となり、センサ検出誤差による圧縮比ズレを抑制できるほか、絶対角センサを廃止可能である。
そして、エンジン始動時には、低圧縮比側の回転ストッパ32B1と固定ストッパ305Fとが当接させた状態でクランキングを行う。これにより、特に絶対角センサ等で角度を検知していなくても、予め圧縮比に関する値が明確なため、エンジン始動時における圧縮比変換が不要となり、始動性が向上する。また、ストッパで固定される領域は、入力よりも抵抗部のトルクが大きい領域であるため、駆動電流を消費することなくストッパ位置を確保することができ、電力消費を抑制できる。
【0039】
(6)内燃機関が駆動中において、回転ストッパを固定ストッパに当接状態を保持する制御を行ってもよい。例えば、低圧縮比状態と高圧縮比状態の2つの状態を切り替えることでエンジンを制御する場合、低圧縮比と高圧縮比の中間の位置で電動機32Aを通電させると必要がなく、消費電力を抑制できる。
(7)第2制御軸32の回転範囲において、回転ストッパ32B1,32B2が固定ストッパ305F,305Gに対して遠い角度よりも近い角度のほうが第2制御軸32の回転速度が遅くなるように制御する。これにより、異音の発生を抑制し、ストッパの耐久性を向上できる。
(8)第2制御軸32の回転速度を遅くする範囲におけるアクチュエータ3の電動機32Aへの駆動電流を温度が低いほど大きくする。よって、粘性抵抗が高くなっても確実にストッパを当接状態とすることができる。
(9)内燃機関が停止するときに、第2制御軸32の回転により可変圧縮比機構が低圧縮比になる方向に回転させて回転ストッパ32B1を固定ストッパ305Fに当接させる。よって、次回のエンジン始動時に低圧縮比でエンジン始動できるため、燃費を改善できる。
【0040】
以上、実施形態について説明したが、例えば、実施形態1~3を適宜組み合わせて構成してもよい。また、実施形態1では、各種センサを用いて制御する例を示したが、例えばシリーズハイブリッド車両のように、内燃機関は発電機として機能させ、車両の駆動力は電動機で発生させるような場合、内燃機関に求められる運転状態は、高圧縮比状態と低圧縮比状態の2つの運転状態に限られる場合がある。このような場合は、絶対角センサを廃止し、簡素な構成で2つの運転状態を実現するようにしてもよい。
【0041】
[実施形態から把握しうる技術的思想]
以上説明した実施形態から把握しうる技術的思想(又は技術的解決策。以下同じ。)について、以下に記載する。
(1) 本技術的思想の転がり軸受の支持構造は、その1つの態様において、
内燃機関の可変圧縮比機構に連携し、姿勢を変更することで前記可変圧縮比機構の圧縮比を可変するリンク機構と、
回転することで前記リンク機構の姿勢を変更する制御軸と、
モータ軸を有する電動モータと、
前記モータ軸の回転を減速して前記制御軸に伝達する減速機と、
前記制御軸の回転範囲を規制するストッパと、
前記モータ軸の回転に対して回転を阻害する抵抗部と、
を備え、
前記リンク機構は、
前記アクチュエータリンク及び前記減速機を通じて前記可変圧縮比機構から前記モータ軸に作用するトルクが前記リンク機構の姿勢によって変化するものであって、
前記制御軸の回転範囲のうちの両端が、前記リンク機構及び前記減速機を通じて前記可変圧縮比機構から前記モータ軸に作用するトルクによりも前記抵抗部による前記モータ軸の回転位置を保持するトルクが大きくなるように構成されている
ことを特徴とする。
(2) より好ましい態様では、前記態様において、
前記ストッパは、前記制御軸の回転範囲の一方側である第1ストッパ部と、他方側である第2ストッパ部を有し、
前記第1ストッパ部及び前記第2ストッパ部は、両方ともに前記制御軸の回転範囲のうち、前記リンク機構及び前記減速機を通じて前記可変圧縮比機構から前記モータ軸に作用するトルクによりも前記抵抗部による前記モータ軸の回転位置を保持するトルクが大きくなる位置にある。
(3) 別の好ましい態様では、前記態様のいずれかにおいて、
前記抵抗部は、前記モータ軸の回転に対して摩擦力を発生させる摩擦部である。
(4) さらに別の好ましい態様では、前記態様のいずれかにおいて、
前記抵抗部は、前記電動モータのコギングトルクである。
(5) また、他の観点から、本技術的思想のアクチュエータは、その1つの態様において、
可変圧縮比機構と、
前記可変圧縮比機構の圧縮比を可変する制御軸を回転させるアクチュエータと、
前記可変圧縮比機構又は前記アクチュエータに設けられ、回転ストッパと固定ストッパが当接することにより前記制御軸の回転角度を規制するストッパと、
を備えた内燃機関を制御する内燃機関の制御装置であって、
前記可変圧縮比機構から前記モータ軸に作用するトルクが前記リンク機構の姿勢によって変化するものであり、
前記回転ストッパは、前記内燃機関が駆動状態から停止するときに、前記固定ストッパに当接するストッパであり、
前記リンク機構は、前記回転ストッパの位置で作用するトルクが、他の位置で作用するトルクよりも小さく、
前記内燃機関が停止状態から始動するときに、前記回転ストッパを前記固定ストッパに当接させた状態で前記内燃機関を始動する。
(6) さらに別の好ましい態様では、前記態様のいずれかにおいて、
前記内燃機関が駆動中において、前記回転ストッパを前記固定ストッパに当接状態を保持する制御を行う。
(7) さらに別の好ましい態様では、前記態様のいずれかにおいて、
前記制御軸の回転範囲において、前記回転ストッパが前記固定ストッパに対して遠い角度よりも近い角度のほうが前記制御軸の回転速度が遅い。
(8) さらに別の好ましい態様では、前記態様のいずれかにおいて、
前記制御軸の回転速度を遅くする範囲におけるアクチュエータの駆動電流を温度が低いほど大きくする。
(9) さらに別の好ましい態様では、前記態様のいずれかにおいて、
前記内燃機関が停止するときに、前記制御軸の回転により前記可変圧縮比機構が低圧縮比になる方向に回転させて前記回転ストッパを前記固定ストッパに当接させる。
【符号の説明】
【0042】
2 第1制御軸
3 アクチュエータ
30 ハウジング
34C 軸受(転がり軸受)
31A 電動機
31B 減速機
32 第2制御軸
32B アーム
32B1 低圧縮比側の回転ストッパ
32B2 高圧縮比側の回転ストッパ
33 アクチュエータリンク
305F 低圧縮比側の固定ストッパ
305G 高圧縮比側の固定ストッパ
311 出力軸