IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 東芝ホームテクノ株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-加熱調理器 図1
  • 特開-加熱調理器 図2
  • 特開-加熱調理器 図3
  • 特開-加熱調理器 図4
  • 特開-加熱調理器 図5
  • 特開-加熱調理器 図6
  • 特開-加熱調理器 図7
  • 特開-加熱調理器 図8
  • 特開-加熱調理器 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022137480
(43)【公開日】2022-09-22
(54)【発明の名称】加熱調理器
(51)【国際特許分類】
   F24C 15/00 20060101AFI20220914BHJP
   F24C 7/02 20060101ALI20220914BHJP
   F24C 7/04 20210101ALI20220914BHJP
【FI】
F24C15/00 D
F24C7/02 301E
F24C7/04 301Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021036998
(22)【出願日】2021-03-09
(71)【出願人】
【識別番号】390010168
【氏名又は名称】東芝ホームテクノ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003063
【氏名又は名称】特許業務法人牛木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 崇之
【テーマコード(参考)】
3L086
3L087
【Fターム(参考)】
3L086AA01
3L086AA13
3L086CA11
3L086DA24
3L087AA01
3L087AA04
3L087BA03
3L087DA24
(57)【要約】
【課題】ユーザの使い勝手を向上させることが可能な加熱調理器を提供する。
【解決手段】本発明の加熱調理器は、表示手段6と、ユーザからのタッチ操作を受け付けるタッチ操作部として、表示手段6の表示画面の重ねた位置に設けられるタッチパネル8と、タッチパネル8への操作入力により、表示部や表示体を含む画面が表示手段6に表示されるUIが組込まれ、表示手段6に表示される画面上でのタッチ操作として、表示手段6の画面上の所定の時間、タッチパネル8から指を離さずにタッチしたままにする長押し操作を受け付ける操作・表示制御部37と、を備え、操作・表示制御部37は、オーブンレンジの制御に関する時間または温度の少なくとも一方を示す数値を設定する場合に、タッチパネル8の部位を長押し操作するたびに、長押しした時間に応じて、ピッカー表示部B6,B7,B9の数値を変動させる構成としている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示手段と、
ユーザからのタッチ操作を受け付けるタッチ操作部として、前記表示手段の表示画面の重ねた位置に設けられるタッチパネルと、
前記タッチパネルへの操作入力により、表示部や表示体を含む画面が前記表示手段に表示されるUIが組込まれ、前記表示手段に表示される画面上での前記タッチ操作として、所定の時間、前記タッチパネルから指を離さずにタッチしたままにする長押し操作を受け付ける表示制御手段と、を備え、
前記表示制御手段は、前記加熱調理器の制御に関する時間または温度の少なくとも一方を示す数値を設定する場合に、前記タッチパネルを長押し操作するたびに、前記長押しした時間に応じて前記数値を経時的に変動させる構成としたことを特徴とする加熱調理器。
【請求項2】
前記表示制御手段は、前記長押しした時間に応じて前記数値の変動する速度を変更させることを特徴とする請求項1に記載の加熱調理器。
【請求項3】
前記表示制御手段は、前記数値が所定の値に変動する直前に、前記数値の変動する速度を変化させることを特徴とする請求項1または2に記載の加熱調理器。
【請求項4】
前記数値は、前記表示手段に表示されるときに複数の桁を有し、
前記表示制御手段は、前記数値の設定が前記タッチパネルにより前記桁ごとにできるように構成され、
前記桁の変動する速度は、前記桁ごとに異なることを特徴とする請求項1または2に記載の加熱調理器。
【請求項5】
前記表示制御手段は、前記桁の値が増加するように変動して0になったときに当該桁の上の桁の値を増加させ、前記桁の値が0から減少するように変動したときに当該桁の上の桁の値を減少させることを特徴とする請求項4に記載の加熱調理器。
【請求項6】
前記表示制御手段は、前記数値の設定が行われている前記桁を前記表示手段に拡大表示することを特徴とする請求項4または5に記載の加熱調理器。
【請求項7】
前記表示制御手段は、前記桁を拡大表示した後で前記桁とは異なる前記数値の設定が行われた場合に、前記拡大表示を維持したまま、設定されている前記数値も前記表示手段に拡大してさらに表示することを特徴とする請求項6に記載の加熱調理器。
【請求項8】
前記表示制御手段は、前記加熱調理器の制御に関する出力を示す数値を設定する場合に、選択できる出力を一覧で表示した出力表示領域を形成して前記表示手段に表示し、前記出力表示領域以外の場所は無地の色で前記表示手段に表示することを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載の加熱調理器。
【請求項9】
前記表示制御手段は、前記出力表示領域から前記出力が選択された後、前記出力で選択できる時間を一覧で表示した時間表示領域を形成して前記表示手段に表示し、前記時間表示領域から前記時間が選択されたら、その時間を前記数値として設定するように構成されることを特徴とする請求項8に記載の加熱調理器。
【請求項10】
表示手段と、
ユーザからのタッチ操作を受け付けるタッチ操作部として、前記表示手段の表示画面の重ねた位置に設けられるタッチパネルと、
前記タッチパネルへの操作入力により、表示部や表示体を含む画面が前記表示手段に表示されるUIが組込まれ、前記表示手段に表示される画面上での前記タッチ操作として、所定の時間、前記タッチパネルから指を離さずにタッチしたままにする長押し操作を受け付ける表示制御手段と、を備え、
前記表示制御手段は、前記加熱調理器の制御に関する出力を示す数値を設定する場合に、選択できる出力を一覧で表示した出力表示領域を形成して前記表示手段に表示し、前記出力表示領域以外の場所は無地の色で前記表示手段に表示することを特徴とする加熱調理器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、調理の設定等を行う表示画面の操作性を向上した加熱調理器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の加熱調理器では、調理の設定等を行う表示画面の表示手段として、例えば文字、数字、写真等をカラー表示できるカラー液晶パネルを設け、当該カラー液晶パネルをタッチパネルとして構成し、例えばユーザが指でタッチパネルをタッチすることで、カラー液晶パネルに表示される画像を選択できるようにすることが行われている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-124459号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来技術において、例えば特許文献1に開示される加熱調理器では、タッチパネルの操作手段がタッチ操作であるため、情報が表示手段の一画面に収まらないような場合、例えば情報を複数のページに分けて、ユーザにページを切り替える操作を要求する等の対応が必要であり、ユーザにとって情報を閲覧するための操作が不便であった。またユーザは各種設定を行なう場合に、タッチパネルの各種設定ボタンを複数回操作して反復操作をする必要があり、ユーザにとって設定をするための操作が不便であった。そして例えば手が乾燥している人などユーザは個人間で差があり、そのためタッチパネルの反応で差が出る場合があり、ユーザの使い勝手を損ねる虞があった。
【0005】
そこで本発明は、ユーザの使い勝手を向上させることが可能な加熱調理器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の加熱調理器は、表示手段と、ユーザからのタッチ操作を受け付けるタッチ操作部として、前記表示手段の表示画面の重ねた位置に設けられるタッチパネルと、前記タッチパネルへの操作入力により、表示部や表示体を含む画面が前記表示手段に表示されるUIが組込まれ、前記表示手段に表示される画面上での前記タッチ操作として、所定の時間、前記タッチパネルから指を離さずにタッチしたままにする長押し操作を受け付ける表示制御手段と、を備え、前記表示制御手段は、前記加熱調理器の制御に関する時間または温度の少なくとも一方を示す数値を設定する場合に、前記タッチパネルを長押し操作するたびに、前記長押しした時間に応じて前記数値を経時的に変動させる構成としたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
請求項1の発明によれば、ユーザは各種設定を行なう場合に、タッチパネルの長押し操作を継続することにより、反復操作をすることなく数値を目的となる設定値まで選択することができる。そしてタッチパネルの反応で差が出る場合でも、一度反応したタッチパネルの操作を継続的に行なうことができ、ユーザの使い勝手を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の第1の実施形態における加熱調理器の外観斜視図である。
図2】同上、扉を開けた状態の加熱調理器の正面図である。
図3】同上、電気的構成を示すブロック図である。
図4】同上、第1トップ画面が表示された表示手段の正面図である。
図5】同上、第2トップ画面が表示された表示手段の正面図である。
図6】同上、(A)第1トップ画面が表示された表示手段の正面図である。(B)出力選択画面が表示された表示手段の正面図である。
図7】同上、(A)第1トップ画面で長押し操作中に、レンジ加熱の時間が「00」分「50」秒のときに表示される表示手段の状態を示す説明図である。(B)第1トップ画面で長押し操作中に、レンジ加熱の時間が「01」分「00」秒のときに表示される表示手段の状態を示す説明図である。
図8】本発明の第1の実施形態の変形例における、第1トップ画面で長押し操作中のときに表示される表示手段の状態を示す説明図である。
図9】本発明の第2の実施形態における、出力選択画面で出力を選択したときに表示される表示手段の状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明における好ましい実施形態について、添付図面を参照して説明する。なお、これらの全図面にわたり、共通する部分には共通する符号を付すものとする。
【実施例0010】
図1図7は、本発明の加熱調理器をオーブンレンジに適用した第1の実施形態を示している。図1は、オーブンレンジの全体構成を示しており、1は略矩形箱状に構成され、前面が開口した本体、2は本体1の前面に設けられる開閉自在な扉である。本実施形態のオーブンレンジは本体1と扉2とで構成され、扉2により本体1の開口3を開閉する構成となっている。
【0011】
扉2の上部には、縦開きの扉2を開閉するときに手をかける開閉操作用のハンドル4を備えており、扉2の側部には、表示や報知や操作のための操作パネル部5を備えている。操作パネル部5は、調理の設定内容や進行状況などを表示する表示手段6の他に、加熱調理に関する各種の操作入力を可能にするために、例えば操作パネル部5に設けられるキー7や、表示手段6の表面に設けられるタッチパネル8などの操作手段9が配設される。扉3の内部で操作パネル部5の後側には、図示しないが操作パネルPC(印刷回路)板が配置され、この操作パネルPC(印刷回路)板を介して、表示手段6や操作手段9が、後述する制御手段31の操作・表示制御部37により制御されている。
【0012】
表示手段6は、例えば加熱の種類や、料理名や、加熱時間や、温度や、調理の写真などの加熱調理に関するあらゆる情報を、文字,数字,記号,写真などでカラー表示する、例えば液晶ディスプレイで構成されたバックライト付きの、平板状の表示器である。表示手段6は、ユーザがオーブンレンジの正面側に位置したときに見やすいように、扉3の一側上方寄りに、キー7よりも高い位置に配設される。なお表示手段6は、有機ELなどの他の表示デバイスを用いてもよく、カラー表示に限らず白黒表示でもよい。
【0013】
キー7は、ユーザからの押動操作を受け付ける押動操作部として、操作パネル部5の表示手段6とは重ならない位置に設けられ、ここではスタートキー7aと、とりけしキー7bとにより構成される。スタートキー7aは、加熱調理を開始するときに押動操作するキーで、とりけしキー7bは途中で加熱調理をやめるときに、また操作や設定を取り消すときに押動操作するキーである。またスタートキー7aを必要に応じて点灯または点滅照明するために、LEDなどの照明灯(図示せず)がスタートキー7Aの内部または近傍に配設されている。
【0014】
タッチパネル8は、ユーザからのタッチ操作を受け付けるタッチ操作部として、表示手段6の表示画面の重ねた位置に設けられており、例えば透明素材からなる静電容量方式のタッチパネル8では、使用者がタッチパネル8の表面を指でタッチすると、表面電荷が変化して操作信号が出力される構成となっている。
【0015】
図2を参照して、本体内部の構成を説明すると、11は加熱調理すべき被調理物Sを収容した容器を内部に収容する調理室である。本実施形態のオーブンレンジは、調理室11内に供給した熱風により被調理物Sを加熱するオーブン加熱による調理機能と、ヒータの熱により被調理物Sを加熱するグリル加熱による調理機能と、マイクロ波を被調理物Sに照射して被調理物Sを加熱調理するレンジ加熱による調理機能と、過熱水蒸気により被加熱物Sを加熱するスチーム加熱による調理機能と、を備えている。
【0016】
調理室11の天井壁11aには上ヒータ12が配設されており、この上ヒータ12からの熱によりグリル加熱を行なわれる。また水を貯蓄する給水カセットや、給水カセット内から水を送水するポンプや、供給された水を加熱して、スチームを発生させるスチーム発生器を備える蒸気供給装置13(図3参照)に連通する蒸気噴出孔14が、調理室11の左側壁11bに設けられており、この蒸気噴出孔14から調理室11内に供給する飽和蒸気や過熱蒸気によりスチーム加熱が行われる。
【0017】
調理室11の奥壁11cには調理室11内に熱風を供給する複数の熱風吹出し口15や、調理室11から空気を吹い込む吸込み口(図示せず)が設けられており、奥壁11cの後側には、吸込み口からの空気を加熱するための熱風ヒータや、熱風ヒータにより加熱した空気を熱風吹出し口14から調理室11内に送り込むための熱風ファンを備える熱風ユニット16が配設されている。そして、この熱風吹出し口15から調理室11内に吹出される熱風によりオーブン加熱が行なわれる。
【0018】
調理室11の底壁11dの下方には、マイクロ波を発生させる発生源となるマグネトロンや、調理室11にマイクロ波を放射するアンテナや、このアンテナを回転させるアンテナモータを備えるマイクロ波発生装置17が配設されている。そして、このマイクロ波発生装置17からマイクロ波が被調理物Sに照射されることによりレンジ加熱が行われる。
【0019】
その他、調理室11の右側壁11eの上方には、赤外線センサにスイング機構を装備して構成された庫内温度分布検出手段18が組み込まれる。この庫内温度分布検出手段18は、窓部19を介して調理室14内の温度分布を検出することで、そこに収容される被調理物Sの温度を検出可能にするものである。また調理室11の左側壁11bの上方には、調理室11の温度を検出する、サーミスタで構成された庫内温度検出手段21が設けられる。
【0020】
図3は、オーブンレンジの主な電気的構成を示している。制御手段31は周知のように、記憶手段32としてのメモリの他にも、演算処理手段としてのCPUや、計時手段としてのタイマや、入出力デバイスなどを備えている。制御手段31の入力ポートには、前述したキー7やタッチパネル8による操作手段9や、庫内温度分布検出手段18や、庫内温度検出手段21の他に、扉2の開閉状態を検出する扉開閉検出手段33が、それぞれ電気的に接続される。また制御手段41の出力ポートには、前述した表示手段6や、蒸気供給装置13や、熱風ユニット16や、マイクロ波発生装置17の他に、上ヒータ12を駆動させるヒータ駆動手段34が、それぞれ電気的に接続される。
【0021】
制御手段31は、操作手段9からの操作信号と、庫内温度分布検出手段18や、庫内温度検出手段21や、扉開閉検出手段33からの各検出信号を受けて、計時手段からの計時に基づく所定のタイミングで、何れも加熱手段となる蒸気供給装置13や、熱風ユニット16や、マイクロ波発生装置17や、ヒータ駆動手段34に駆動用の制御信号を出力し、また表示手段6に表示用の制御信号を出力する機能を有する。こうした機能は、記憶媒体としての記憶手段32に記録したプログラムを、制御手段31が読み取ることで実現するが、特に本実施形態では、制御手段31を加熱制御部36と操作・表示制御部37として主に機能させるプログラムを備えている。
【0022】
加熱制御部36は、主に調理室11に入れられた被調理物Sへの加熱調理に係る各部の動作を制御するもので、操作手段9の操作に伴う操作信号を受け取ると、扉開閉検出手段33からの検出信号により、扉2が閉じていると判断した場合に、その操作信号に応じて、蒸気供給装置13や、熱風ユニット16や、マイクロ波発生装置17や、ヒータ駆動手段34に制御信号を送出して、調理室11内の被調理物に対する加熱調理を制御する。本実施形態では、オーブンレンジで加熱調理を行なうことが可能な全てのメニューの調理情報が、記憶手段32の全メニュー記憶部38に記憶保持されており、加熱制御部36は、全メニュー記憶部38の中から選択された一つのメニューについて、操作手段9から調理開始を指示する操作が行われると、その選択されたメニューの調理情報に従う所定の手順で、被調理物を加熱調理する構成となっている。
【0023】
全調理メニュー記憶部38に記憶されるメニューは、手動調理メニューと自動調理メニューに大別可能である。手動調理メニューとは、全メニュー記憶部63の中から選択したメニューについて、スタートキー7aを操作する前に、タッチパネル8へのタッチ操作により、時間や出力や温度をそれぞれ設定して使用するメニューであり、後述する手動レンジのメニューなどがこれに相当する。また自動調理メニューとは、全メニュー記憶部63の中から選択したメニューについて、時間や出力や温度を設定せずに使用するメニューである。
【0024】
操作・表示制御部37は、加熱制御部36と連携して、表示手段6の表示に係る動作や操作手段9の操作に係る動作を制御するもので、特に本実施形態では、液晶ディスプレイとなる表示手段6に様々な画面を切換えて表示させるために、電源投入直後などに表示手段6にトップ画面となる「あたためる」画面や「料理する」画面を選択的に表示させるトップ画面表示制御部37aや、操作手段9からの操作信号を受けて、表示手段6に表示されたトップ画面から、最終的に選択された一つのメニューで加熱調理の開始が可能になるまでの一連の遷移画面を表示させる遷移画面表示制御部37bなどを備えている。
【0025】
次に、操作パネル部5の表示や操作について、図4図7を参照して詳しく説明する。なお以下の説明で、「タブ表示部」とは、この上でタッチパネル8をタップ操作した場合に、そのタブ表示部に関する詳細情報が表示手段6に表示され、他のタブ表示部は引き続き表示手段6に表示されるものの、その詳細情報は非表示になる表示部分であり、「ボタン表示部」とは、この上でタッチパネル8をタップ操作した場合に、表示手段6の画面全体または画面の一部が別なものに切替わって表示される表示部分であり、「リスト表示部」とは、この上でタッチパネル8をタップ操作した場合に、そのリスト表示部で選択できる項目の一覧が表示され、そこから一つの項目の上でタッチパネル8をタップ操作すると、タッチした項目が選択設定されて、その項目だけがリスト表示部に表示される表示部分であり、「ピッカー表示部」とは、この上でタッチパネル8をスライド操作した場合に、そのピッカー表示部で選択できる項目の一覧がスクロールして表示され、スクロールが停止した時点で選択設定された項目が中央に表示される表示部分であり、「キー表示部」とは、この上でタッチパネル8をタップ操作するたびに、前述のピッカー表示部に表示される項目のリストが、一つずつ切替わるように表示させる表示部分である。
【0026】
また「テキスト表示体」とは、文字や数字や記号などの文字列で表した表示体であり、「アイコン表示体」とは、物事を簡単な絵柄で記号化して表した表示体であり、「画像表示体」とは、撮影装置などで撮影された写真や、絵画で描き出された表示体である。
【0027】
本実施形態では、ユーザからタッチパネル8への様々な操作入力により、こうした表示部や表示体を含む様々な画面が表示手段6に表示されるような仕組み、すなわちUI(ユーザインターフェース)を操作・表示制御部37に組込んでいる。操作・表示制御部37は、表示手段6に表示される画面上でのタッチ操作として、必要に応じてタップ操作やスライド操作や長押し操作を受け付ける。ここでいう「タップ操作」とは、指で画面上のタッチパネル8をタッチし、すぐに指を離す操作であり、「スライド操作」とは、指で画面上のタッチパネル8をタッチし、そこから指を滑らせる操作であり、「長押し操作」とは、指で画面上のタッチパネル8をタッチし、所定の時間、タッチパネル8から指を離さずにタッチしたままにする操作である。操作・表示制御部37が受け付ける「スライド操作」は、指で画面上のタッチパネル8をタッチしたまま、指を一方向に滑らせるスワイプや、指で画面上のタッチパネル8をタッチし、そこから指を払うように滑らせるフリックを含む。
【0028】
図4は、電源投入直後に表示手段6に表示される初期画面として、普段使いの第1トップ画面G1を示している。ユーザが予め本体1に設けた電源プラグを家庭用のコンセントに差し込んだ後に、閉じた状態の扉2を開けると、表示手段6や制御手段31などの各部に必要な電力が投入される。このときトップ画面表示制御部37aは、図4に示すような第1トップ画面G1を表示手段6にデフォルト表示させる。ここでいう「デフォルト表示」とは、表示手段6に電力が投入された直後の、操作手段9に何等かの操作が加えられる前に、トップ画面表示制御部37aで予め設定した表示手段6に最初に現れる表示である。
【0029】
図1にも示したように、扉3の上部水平方向に延在するハンドル4は、表示手段6の表示画面よりも上方に位置しないように配設される。つまり、表示手段6の鉛直(上下)方向の上側には、扉3を開閉させるためのハンドル4が形成されておらず、表示手段6の鉛直方向の上側で、表示手段6の平坦な表面よりも突出した凸状部を設けないようにする。これにより、ユーザがオーブンレンジを斜め上から見たときに、ハンドル4が邪魔にならずに視認性が良く、特にユーザが表示手段6の表面で、下から上の方向にスライド操作を行ったときに、指やペン状物体がハンドル4にぶつからない利点がある。
【0030】
また、表示手段6の鉛直方向の上側のみならず、表示手段6の水平(左右)方向にも、凸状のハンドル4を形成しないようにする。これにより、ユーザが表示手段6の表面で左右にスライド操作を行なったときに、指やペン状物体がハンドル4にぶつからなくなる。
【0031】
図4を参照して具体的に説明すると、正面視で矩形状の外形を有する表示手段6の各辺に沿った第1~第4仮想線L1~L4を示しているが、上下の第1および第2仮想線L1,L2の延長線上と、左右の第3および第4仮想線L3、L4の延長線上で、それぞれの延長線の間に凸状のハンドル4を配置しないようにすることにより、ユーザが表示手段6の表面で、上下左右のどの方向にスライド操作した場合でも、指やペン状物体がハンドル4にぶつからなくなる。さらに、それぞれの延長線の間に表示手段6よりも突出した凸状の部位が一切ないことが好ましい。
【0032】
第1トップ画面G1はいわゆるタブ形式の画面で、その上部には、「あたためる」というテキスト表示体D1を含むタブ表示部B1と、「料理する」というテキスト表示体D2を含むタブ表示部B2と、オーブンレンジの各種設定を想起させるアイコン表示体D3を含むタブ表示部B3と、を左右に並べて表示したタブ表示領域A1が形成される。また、タブ表示領域A1の下側には、タブ表示領域A1の中で選択されたタブ表示部B1に含まれる詳細情報として、全メニュー記憶部63に記憶される複数の加熱機能となるメニューの中から、特に使用頻度が最も高いと想定される一つのメニューとして選択された手動レンジのメニューについて、そのメニューの調理情報に含まれているマイクロ波加熱手段48による複数の設定可能な出力の中から600Wの出力を設定した状態を、最初にデフォルト表示した第1メニュー表示領域M1と、同じく全メニュー記憶部63に記憶される複数のメニューの中から選択された、手動レンジのメニューに続いて使用頻度が高いと想定されるレンジ加熱に関するメニューを含んだ幾つかのメニューについて、それらのメニューが選択操作できるようにデフォルト表示する第2メニュー表示領域M2が、それぞれ上下に並んで形成される。
【0033】
第1メニュー表示領域M1には、レンジ加熱の出力設定を可能にする出力設定表示領域と、レンジ加熱の時間設定を可能にする時間設定表示領域が、それぞれ上下に並んで形成される。出力設定時間領域は、レンジ加熱の設定された出力を示すテキスト表示体D4や、テキスト表示体D4に設定可能な出力の一覧を表示させることを想起させるアイコン表示体D5を含むリスト表示部B4により構成され、図4に示すように、表示手段6に第1トップ画面G1をデフォルト表示させた状態では、最初にレンジ加熱の出力が600Wに設定されているのを示すために、「レンジ600W」なるテキスト表示体D4がリスト表示部B4に表示される。また、第1メニュー表示領域M1の時間設定表示領域には、レンジ加熱の設定された時間を回転可能に表示させる表示部として、設定された10分桁の数字を示すテキスト表示体D6を含むピッカー表示部B6と、設定された1分桁の数字を示すテキスト表示体D7を含むピッカー表示部B7と、テキスト表示体D6、D7に表示される数字が、分の時間であることを想起させる「分」なるテキスト表示体D8と、設定された10秒桁の数字を示すテキスト表示体D9を含むピッカー表示部B9と、テキスト表示体D9に表示される数字が、秒の時間であることを想起させる「秒」なるテキスト表示体D10が、左から右へ順に並べて配置される。
【0034】
また図4に示す第1トップ画面G1のデフォルト表示の状態では、ピッカー表示部B6の上方に、テキスト表示体D6に表示される10分桁の数字の増加を想起させるアイコン表示体D11を含む上キー表示部B11が配置され、ピッカー表示部B7の上方に、テキスト表示体D7に表示される1分桁の数字の増加を想起させるアイコン表示体D12を含む上キー表示部B12が配置され、ピッカー表示部B9の上方に、テキスト表示体D9に表示される10秒桁の数字の増加を想起させるアイコン表示体D13を含む上キー表示部B13が配置されると共に、ピッカー表示部B6の下方に、テキスト表示体D6に表示される10分桁の数字の減少を想起させるアイコン表示体D14を含む下キー表示部B14が表示状態になって配置されたり、ピッカー表示部B7の下方に、テキスト表示体D7に表示される1分桁の数字の減少を想起させるアイコン表示体D15を含む下キー表示部B15が表示状態になって配置されたり、ピッカー表示部B9の下方に、テキスト表示体D9に表示される10秒桁の数字の減少を想起させるアイコン表示体D16を含む下キー表示部B16が表示状態になって配置される。なお操作・表示制御部37のトップ画面表示制御部37aは、テキスト表示体D6,D7,D9に表示される数字によっては、これ以上数字が増加しないことを想起させるために、上述した上キー表示部B11~B13の何れかまたは全てが非表示になるように表示手段6を制御してもよく、その一方で、これ以上数字が増加しないことを想起させるために、上述した下キー表示部B14~B16の何れかまたは全てが非表示なるように表示手段6を制御してもよい。
【0035】
一方、第2メニュー表示領域M2には、「ごはん」というテキスト表示体D21や、ごはんの自動調理メニューを想起させるアイコン表示部D22を含むボタン表示部B21と、「おかず」というテキスト表示体D23や、おかずの自動調理メニューを想起させるアイコン表示部D24を含むボタン表示部B23と、「パン・他」というテキスト表示体D25や、パンの自動調理メニューを想起させるアイコン表示部D26を含むボタン表示部B25と、「のみもの」というテキスト表示体D27や、のみものの自動調理メニューを想起させるアイコン表示部D28を含むボタン表示部B27と、「ゆで野菜」というテキスト表示体D29や、ゆで野菜の自動調理メニューを想起させるアイコン表示部D30を含むボタン表示部B29と、「解凍」というテキスト表示体D31や、解凍の自動調理メニューを想起させるアイコン表示部D32を含むボタン表示部B31が、それぞれ縦横に並べて表示される。
【0036】
図5は、前述の第1トップ画面G1との間で、左右のスライド操作により簡単に切替え表示が可能な第2トップ画面G2を示している。この第2トップ画面G2は、表示手段6に第1トップ画面G1が表示される状態で、第1メニュー表示領域M1または第2メニュー表示領域M2に重なるタッチパネル8の部位を左方向にスライド操作するか、或いはタブ表示領域A1において、「料理する」と表示されたタブ表示部B2に重なるタッチパネル8の部位をタップ操作することで、表示手段6に表示される。なお表示手段6に表示される第2トップ画面G2を第1トップ画面G1に切替えるには、後述する第3メニュー表示領域M3または第4メニュー表示領域M4に重なるタッチパネル8の部位を右方向にスライド操作するか、或いはタブ表示領域A1において、「あたためる」と表示されたタブ表示部B1に重なるタッチパネル8の部位をタップ操作すればよい。
【0037】
第2トップ画面G2は、第1トップ画面G1とタブ表示領域A1の表示が共通するタブ形式の画面で、タブ表示領域A1の下側には、タブ表示領域A1の中で選択されたタブ表示部B2に含まれる詳細情報として、全メニュー記憶部63に記憶される複数の加熱機能となるメニューの中から、第1トップ画面G1の第1メニュー表示領域M1に表示される手動レンジのメニューや、第2メニュー表示領域M2に表示される他の自動調理メニュー以外で、使用頻度が比較的高いと想定される手動調理メニューの選択操作ができるように表示する第3メニュー表示領域M3と、同じく使用頻度が比較的高いと想定される自動調理メニューの選択操作ができるように表示する第4メニュー表示領域M4が、それぞれ上下に並んで形成される。
【0038】
第3メニュー表示領域M3には、この領域が手動調理のメニューに関係することを示す「手動調理」というテキスト表示体D40が左上に表示され、他に「オーブン」というテキスト表示体D41や、オーブン加熱による手動調理メニューを想起させるアイコン表示部D42を含むボタン表示部B41と、「グリル」というテキスト表示体D43や、グリル加熱による手動調理メニューを想起させるアイコン表示部D44を含むボタン表示部B43と、「蒸し」というテキスト表示体D45や、蒸し(スチーム)加熱の手動調理メニューを想起させるアイコン表示部D46を含むボタン表示部B45と、「その他」というテキスト表示体D47や、その他の主な手動調理メニューを想起させるアイコン表示部D48を含むボタン表示部B47が、それぞれ縦横に並べて表示される。
【0039】
第4メニュー表示領域M4には、この領域が自動調理のメニューに関係することを示す「自動調理」というテキスト表示体D50が左上に表示され、他に「石窯おまかせ焼き」というテキスト表示体D51や、オーブン加熱による自動調理メニューを想起させるアイコン表示部D52を含むボタン表示部B51と、「おすすめ」というテキスト表示体D53や、おすすめの自動調理メニューの呼出しを想起させるアイコン表示部D54を含むボタン表示部B53と、「お気に入り」というテキスト表示体D55や、お気に入りの自動調理メニューの呼出しを想起させるアイコン表示部D56を含むボタン表示部B55と、「料理集検索」というテキスト表示体D57や、自動調理メニューの検索を想起させるアイコン表示部D58を含むボタン表示部B57が、それぞれ縦横に並べて表示される。
【0040】
図4に示すように、表示手段6に電源を投入した直後は、トップ画面表示制御部37aが、タブ表示領域A1の中で最も左側に位置する「あたためる」のタブ表示部B1を選択した状態の第1トップ画面G1を、表示手段6に表示させる。この「あたためる」が選択された第1トップ画面G1では、「あたためる」のタブ表示部B1が、選択されていない「料理する」のタブ表示部B2よりも明るい色で表示される。また、例えばユーザが前回選択したメニューとして、全メニュー記憶部63に記憶される全てのメニューの中から、ユーザが前回選択した手動レンジのメニューが既に選択され、且つその出力はユーザが前回選択した600Wに設定されていて、後はユーザからの操作で時間の設定だけが必要であることを示した第1メニュー表示領域M1と、手動レンジのメニューの次にユーザの使用頻度が高いと想定される加熱機能として、全メニュー記憶部63に記憶される全てのメニューの中から、主にマイクロ波加熱手段48により被調理物Sをレンジ加熱して調理する複数の自動調理メニューを操作選択できるように示した第2メニュー表示領域M2が、それぞれデフォルト表示される。なお第1メニュー表示領域M1の時間の設定についても、ユーザが前回選択した時間が既に選択されているように構成してもよい。また本実施形態では、電源を投入した直後に第1メニュー表示領域M1に最初に示される設定は、ユーザが前回選択したものであるが、ユーザの使用頻度が最も高いと想定される設定が最初に示されるように構成してもよい。
【0041】
ここからユーザが、第1メニュー表示領域M1に表示される手動レンジのメニューを利用して、調理室11に入れられた被調理物Sを加熱調理する場合は、必要に応じてレンジ加熱の出力を最初に設定された600W以外に変更する操作を行なった後に、レンジ加熱の時間を設定する操作を行なえば、次にスタートキー7Aを操作するだけで、設定した出力と時間でマイクロ波発生装置17による被調理物Sへのレンジ加熱が可能になる。
【0042】
具体的には、レンジ加熱の出力をリスト表示部B4に最初に表示された「レンジ600W」以外に変更する場合は、図6(A)の枠C1に示されるように、リスト表示部B4に重なるタッチパネル8の部位をタップ操作する。これを受けてトップ画面表示制御部37aは、図6(B)の枠C2に示されるように、手動レンジのメニューで選択できる出力を一覧で表示したレンジ加熱出力表示領域M5が形成されている出力選択画面G3を表示するように表示手段6を制御する。
【0043】
従来では、レンジ加熱出力表示領域M5などを表示手段6に表示するときに、表示領域以外の部分である背景は第1トップ画面G1を表示したままであり、煩雑な状態であった。そこで本実施形態では、図6(B)に示されるように、トップ画面表示制御部37aは、出力選択画面G3のレンジ加熱出力表示領域M5以外の部分である背景を、第1メニュー表示領域M1や第2メニュー表示領域M2が表示されていない無地にして表示するように表示手段6を制御しており、ユーザの操作に関係ない部分を無地にして表示することにより、設定すべき項目が単一で表示されるため、ユーザに操作してほしい部分を際立たせており、今回のレンジ加熱の出力選択の対象部分であるレンジ加熱出力表示領域M5を、より明確にユーザが認識でき、ユーザの使い勝手を向上させている。
【0044】
レンジ加熱出力表示領域M5には、「1000W」というテキスト表示体D61を含むボタン表示部B61と、「600W」というテキスト表示体D62を含むボタン表示部B62と、「500W」というテキスト表示体D63を含むボタン表示部B63と、「200W」というテキスト表示体D64を含むボタン表示部B64と、「100W」というテキスト表示体D65を含むボタン表示部B65と、「スチームレンジ」というテキスト表示体D66を含むボタン表示部B66と、「お好み温度」というテキスト表示体D67を含むボタン表示部B67が、それぞれ縦横に並べて表示される。この中で、一つの出力に重なるタッチパネル8の部位がタップ操作されると、トップ画面表示制御部37aはタッチした部位に対応した出力を、手動レンジのメニューの新たな出力として設定し、第1トップ画面G1に切り替えて、テキスト表示体D4に、例えば「レンジ200W」など、新たに設定された出力だけを表示するように表示手段6を制御する。
【0045】
次に図4を参照して、レンジ加熱の時間設定について説明する。本実施形態では、表示手段6に表示される第1トップ画面G1で、レンジ加熱の時間のような数値の設定を、タッチパネル8へのスライド操作、タップ操作および長押し操作のそれぞれで行えるように、これらのスライド操作、タップ操作および長押し操作を判定可能な機能を有するUIを、予め表示制御部62のトップ画面表示制御部37aに組込んでいる。
【0046】
具体的には、ピッカー表示部B6,B7,B9に表示されているレンジ加熱の設定時間の数値を増加させるには、増加させたい数値を表示したピッカー表示部B6,B7,B9に重なるタッチパネル8の部位を、上方向にスライド操作する方法や、増加させたい数値を表示したピッカー表示部B6,B7,B9の上方で、対応する上キー表示部B11,B12,B13に重なるタッチパネル8の部位を、増加させたい値の回数だけタップ操作する方法に加えて、当該対応する上キー表示部B11,B12,B13に重なるタッチパネル8の部位を長押し操作する方法がある。また逆に、レンジ加熱の設定時間の数値を減少させるには、減少させたい数値を表示したピッカー表示部B6,B7,B9に重なるタッチパネル8の部位を、下方向にスライド操作する方法や、減少させたい数値を表示したピッカー表示部B6,B7,B9の下方で、対応する下キー表示部B14,B15,B16に重なるタッチパネル8の部位を、減少させたい値の回数だけタップ操作する方法に加えて、当該対応する下キー表示部B14,B15,B16に重なるタッチパネル8の部位を長押し操作する方法がある。これによりユーザは、レンジ加熱の時間や温度のようなオーブンレンジの制御に関する数値を設定する際に、スライド操作とタップ操作と長押し操作の中で操作しやすい方を自由に選択できる。特に長押し操作により、ユーザは各種設定を行なう場合に、タップ操作を複数回行なうなどの反復操作をすることなく、各種設定ボタンに対応するタッチパネル8の部分の操作を継続することにより、目的となる設定値まで選択することができる。また例えば手が乾燥している人などユーザは個人間で差があり、そのためタッチパネル8の反応で差が現れる場合でも、特に長押し操作を行なうことにより、一度反応したタッチパネル8の操作を継続的に行なうことができ、ユーザの使い勝手を損ねず快適な操作を提供することができる。なお、これは時間や温度などの数値の設定に限らず、複数の項目からの設定にも同様に適用してもよい。
【0047】
ここで、スライド操作した場合には、その操作量に応じて、ピッカー表示部B6,B7,B9に表示される数値の項目が、一または複数連続して回転するように移動して増加または減少し、またタップ操作した場合には、1回のタップ操作で、ピッカー表示部B6,B7,B9に表示される数値の項目が、一つずつ回転するように移動して増加または減少する。
【0048】
そして上キー表示部B11,B12,B13や下キー表示部B14,B15,B16に重なるタッチパネル8の部位を長押し操作した場合には、その長押しした時間に応じて、ピッカー表示部B6,B7,B9に表示される数値の項目が、一または複数連続して回転するように移動して増加または減少する。上キー表示部B13に重なるタッチパネル8の部位が長押し操作された場合を例にすると、トップ画面表示制御部37aは、その操作入力を受け付けて、長押し操作されている最中はピッカー表示部B9に表示される時間を経時的に10秒ずつ増加させて、増加した10秒桁の時間の数字をピッカー表示部B9に対応するテキスト表示体D9に表示させるように表示部6を制御する。またトップ画面表示制御部37aは、長押し操作された場合に、例えば10分桁を表示するピッカー表示部B6の場合は1回(10分)/秒で、1分桁を表示するピッカー表示部B7の場合は2回(2分)/秒で、10秒桁を表示するピッカー表示部B7の場合は3回(30秒)/秒で経時的に変動させるなど桁ごとに表示の変動速度が異なり、下の桁であるほど表示の変動速度を速くするように構成している。そのため多く変動させる必要があり、変動幅を大きくする必要がある下の桁の表示ほど速く変動させることができ、ユーザが速やかにレンジ加熱の時間を設定できるようにしている。
【0049】
また本実施形態では、トップ画面表示制御部37aは、長押し操作された時間に応じて、ピッカー表示部B6,B7,B9に表示される数値の変動速度を変更するように構成しており、長押し操作の時間が長いほど、表示される数値が速く変動されるように構成される。上述した例の場合、上キー表示部B13に重なるタッチパネル8の部位を長押しする時間が、例えば10秒経過する毎に、トップ画面表示制御部37aは、ピッカー表示部B9に経時的に10秒ずつ増加させて表示される時間をさらに早く変動するように表示部6を制御しており、レンジ加熱の設定される時間が長時間である場合でも速やかに設定できるようにしている。このときトップ画面表示制御部37aは、例えばピッカー表示部B9の場合は「30」秒や「00」秒など、区切りの良い値に変動させる直前にこの数値の変動速度を変化させ、遅くするように表示部6を制御してもよく、ユーザがレンジ加熱の時間設定をこれらの区切りの良い値に合わせやすいようにしている。
【0050】
また本実施形態では、トップ画面表示制御部37aは、上の桁数であるピッカー表示部B6またはB7の数値が上限に達していない場合、上キー表示部B12またはB13に重なるタッチパネル8の部位を操作して下の桁の値を増加させ、当該下の桁の値が「0」に変動したときに繰り上がって、上の桁の値を増加させるように構成され、その逆に、下の桁数であるピッカー表示部B6またはB7の数値が下限に達していない場合、下キー表示部B15またはB16に重なるタッチパネル8の部位を操作して下の桁の値を減少させ、当該下の桁の値が「0」から変動したときに繰り下がって、上の桁の値を減少させるように構成される。例えば図7(A)に示されるように、ピッカー表示部B6,B7,B9に表示される数値が「00分50秒」であるときに上キー表示部B13に重なるタッチパネル8の部位をユーザの指Fで長押し操作した場合、トップ画面表示制御部37aは、図7(B)に示されるように、ピッカー表示部B9に表示される数値が「50」秒から「00」秒に変動したときに繰り上がって、ピッカー表示部B7に表示される数値を「0」分から「1」分に増加させるように表示部6を制御する。また逆に、例えばピッカー表示部B6,B7,B9に表示される数値が「01分00秒」であるときに下キー表示部B16に重なるタッチパネル8の部位を長押し操作した場合、トップ画面表示制御部37aは、ピッカー表示部B9に表示される数値が「00」秒から「50」秒に変動したときに繰り下がって、ピッカー表示部B7に表示される数値を「1」分から「0」分に減少させるように表示部6を制御する。このように構成することで、例えば上キー表示部B12,B13や下キー表示部B15,B16に重なるタッチパネル8の部位のみを長押し操作して下の桁であるピッカー表示部B7,B9の値を変動させるだけで、上の桁であるピッカー表示部B6,B7の値の設定も行なうことができ、長押し操作するタッチパネル8の部位を変更することなく設定できるので、ユーザの手間を省略することができる。
【0051】
以上のように本実施形態の加熱調理器としてのオーブンレンジでは、表示手段6と、ユーザからのタッチ操作を受け付けるタッチ操作部として、表示手段6の表示画面の重ねた位置に設けられるタッチパネル8と、タッチパネル8への操作入力により、表示部や表示体を含む画面が表示手段6に表示されるUIが組込まれ、表示手段6に表示される画面上でのタッチ操作として、表示手段6の画面上の所定の時間、タッチパネル8から指を離さずにタッチしたままにする長押し操作を受け付ける表示制御手段としての操作・表示制御部37と、を備え、操作・表示制御部37のトップ画面表示制御部37aは、オーブンレンジの制御に関する時間または温度の少なくとも一方を示す数値を設定する場合に、上キー表示部B11,B12,B13や下キー表示部B14,B15,B16に重なるタッチパネル8の部位を長押し操作するたびに、長押しした時間に応じて、ピッカー表示部B6,B7,B9の数値を変動させる構成としている。
【0052】
この場合、ユーザは各種設定を行なう場合に、各種設定ボタンに対応するタッチパネル8の部分の長押し操作を継続することにより、反復操作をすることなく、ピッカー表示部B6,B7,B9の数値を目的となる設定値まで選択することができる。そしてタッチパネル8の反応で差が現れる場合でも、一度反応したタッチパネル8の操作を継続的に行なうことができるため、ユーザの使い勝手を向上させることができる。
【0053】
また本実施形態の操作・表示制御部37は、長押しした時間に応じて、ピッカー表示部B6,B7,B9の数値の変動速度を変更し、長押しした時間が長いほど数値が速く変動する構成にしており、そのため、設定される時間が長時間である場合でも速やかに設定できる。
【0054】
また本実施形態の操作・表示制御部37は、ピッカー表示部B6,B7,B9の数値が、区切りの良い値である所定の値に変動する直前に、この数値の変動する速度を変化させ、遅くするようにする構成にしており、ユーザがレンジ加熱の時間設定をこれらの区切りの良い値に合わせやすいようにしている。
【0055】
また本実施形態では、レンジ加熱の時間が表示手段6に表示されるときに、複数の桁であるピッカー表示部B6,B7,B9を有し、操作・表示制御部37は、レンジ加熱の時間の設定が、上キー表示部B11,B12,B13や下キー表示部B14,B15,B16に重なるタッチパネル8の部位を操作することにより、ピッカー表示部B6,B7,B9ごとにできるように構成され、ピッカー表示部B6,B7,B9の変動する速度は桁ごとに異なり、下の桁であるほど速いように構成されている。そのため多く変動させる必要があり、また変動幅を大きくする必要がある下の桁になるほど、早く変動させることができ、ユーザが速やかにレンジ加熱の時間を設定できる。
【0056】
また本実施形態では、操作・表示制御部37は、ピッカー表示部B7,B9の値が増加するように変動して0になったときに繰り上がって、これらのピッカー表示部B7,B9の上の桁であるピッカー表示部B6,B7の値を、例えば1だけ増加させるように構成され、その逆に、ピッカー表示部B7,B9の値が0から減少するように変動したときに繰り下がって、これらのピッカー表示部B7,B9の上の桁であるピッカー表示部B6,B7の値を、例えば1だけ減少させるように構成されている。そのため下の桁であるピッカー表示部B7,B9の値を変動させるだけで、上の桁であるピッカー表示部B6,B7の値の設定も行なうことができ、長押し操作するタッチパネル8の部位を変更することなく設定できるので、ユーザの手間を省略することができる。
【0057】
また本実施形態では、操作・表示制御部37は、オーブンレンジの制御に関するレンジ加熱の出力を示す数値を設定する場合に、選択できるレンジ加熱の出力を一覧で表示した出力表示領域としてのレンジ加熱出力表示領域M5を形成して表示手段6に表示し、レンジ加熱出力表示領域M5以外の場所である背景は無地の色で表示手段6に表示するように構成している。そのため、ユーザの操作に関係ない部分を無地にして表示することにより操作してほしい部分を際立たせており、今回のレンジ加熱の出力選択の対象部分であるレンジ加熱出力表示領域M5を、より明確にユーザが認識できる。
【0058】
図8は第1の実施形態の変形例を示している。本変形例では、長押し操作されているときに、変動しているピッカー表示部B6,B7,B9の表示が拡大するように構成される。
【0059】
図8を参照して説明すると、例えば上キー表示部B13や下キー表示部B16に重なるタッチパネル8の部位を長押し操作すると、トップ画面表示制御部37aは、長押し操作で設定が行なわれていて変動しているピッカー表示部B9を拡大した拡大領域Eを形成して表示するように表示手段6を制御し、長押し操作を中断したら図4に示される元の大きさに縮小するように表示手段6を制御する。このように構成することで、ユーザが設定時に変動しているピッカー表示部B6,B7,B9の表示を確認しやすくすることができ、また設定しているピッカー表示部B6,B7,B9を認識しやすくすることができる。
【0060】
ここで拡大領域Eは、例えば下キー表示部B16の下方など、上キー表示部B11,B12,B13や下キー表示部B14,B15,B16に重なるタッチパネル8の部位の操作に支障がない場所に表示されることが好ましい。このように構成することで、ユーザが設定時に、拡大領域Eを確認しながら、上キー表示部B11,B12,B13および下キー表示部B14,B15,B16の一方だけでなく両方を操作することができ、ピッカー表示部B6,B7,B9の数値の設定をさらに容易にすることができる。また上キー表示部B11,B12,B13や下キー表示部B14,B15,B16の操作を切り替えても拡大領域Eの位置を維持できるため、拡大領域Eの位置が移動してユーザが混乱することを防止することができる。
【0061】
なおトップ画面表示制御部37aは、上述した長押し操作を中断しても変動しているピッカー表示部B9を元の大きさに縮小して表示するように構成しなくてもよく、次に上キー表示部B11,B12や下キー表示部B14,15に重なるタッチパネル8の部位を長押し操作すると、トップ画面表示制御部37aが、拡大領域Eの表示を第1トップ画面G1に維持したまま、変動しているピッカー表示部B6,B7を拡大した別の拡大領域(図示せず)を表示するように表示手段6を制御してもよい。このときトップ画面表示制御部37aは、レンジ加熱の設定時間の数値の設定時だけでなくレンジ加熱の設定温度の数値の設定時にも拡大領域Eを表示するように表示手段6を制御してもよい。このように構成することで、ユーザが設定時に変動しているピッカー表示部B6,B7,B9の表示やレンジ加熱の設定温度の数値の設定の表示を確認しやすくすることができ、また直前に設定したピッカー表示部B6,B7,B9の確認も併せて行なうことができる。
【0062】
以上のように本変形例の加熱調理器としてのオーブンレンジでは、操作・表示制御部37は、数値の設定が行われているピッカー表示部B6,B7,B9を拡大表示した拡大領域Eを形成して表示手段6に表示するように構成している。そのため、ユーザが設定時に変動しているピッカー表示部B6,B7,B9の表示を確認しやすくすることができ、また設定しているピッカー表示部B6,B7,B9を認識しやすくすることができる。
【0063】
また本変形例のオーブンレンジでは、操作・表示制御部37は、ピッカー表示部B6,B7,B9のいずれかで拡大領域Eを形成して拡大表示した後で、拡大表示されたピッカー表示部B6,B7,B9とは異なるピッカー表示部B6,B7,B9やレンジ加熱の設定温度の数値の設定が行われた場合に、拡大領域Eを形成して拡大表示を維持したまま、設定されている数値を拡大表示したさらなる拡大領域を形成して表示手段6に拡大してさらに表示するように構成されてもよい。このように構成することで、ユーザが設定時に変動しているピッカー表示部B6,B7,B9の表示やレンジ加熱の設定温度の数値の設定の表示を確認しやすくすることができ、また直前に設定したピッカー表示部B6,B7,B9の確認も併せて行なうことができる。
【実施例0064】
図9は第2の実施形態を示している。本実施形態では、レンジ加熱出力表示領域M5でレンジ加熱の出力選択をすると、レンジ加熱時間選択表示領域M6が表示されてレンジ加熱の設定時間も選択できるように構成される。
【0065】
例えばレンジ加熱出力表示領域M5で「600W」のボタン表示部B62に重なるタッチパネル8の部位がタップ操作されると、トップ画面表示制御部37aは、図9に示されるように、「600W」のボタン表示部B62を点灯表示にし、レンジ加熱の設定時間を一覧で表示したレンジ加熱時間選択表示領域M6を表示するように表示手段6を制御する。またレンジ加熱出力表示領域M5で「お好み温度」のボタン表示部B67に重なるタッチパネル8の部位がタップ操作されると、トップ画面表示制御部37aは、「お好み温度」のボタン表示部B67を点灯表示にし、レンジ加熱の温度を一覧で表示したレンジ加熱温度選択表示領域(図示せず)を表示するように表示手段6を制御する。
【0066】
レンジ加熱時間選択表示領域M6には、例えば「1分00秒」というテキスト表示体D71を含むボタン表示部B71と、「2分00秒」というテキスト表示体D72を含むボタン表示部B72と、「5分00秒」というテキスト表示体D73を含むボタン表示部B73と、「10分00秒」というテキスト表示体D74を含むボタン表示部B74と、「15分00秒」というテキスト表示体D75を含むボタン表示部B75と、「20分00秒」というテキスト表示体D76を含むボタン表示部B76と、が、それぞれ縦横に並べて表示される。この中で、一つの出力に重なるタッチパネル8の部位がタップ操作されると、トップ画面表示制御部37aはタッチした部位に対応した出力である「600W」を、手動レンジのメニューの新たな出力として設定し、またタッチした部位に対応した時間を、手動レンジのメニューの新たな時間として設定し、第1トップ画面G1に切り替えて、テキスト表示体D4に、例えば「レンジ600W」を表示するように表示手段6を制御し、またピッカー表示部B6,B7,B9の表示を今回選択された時間にするように表示手段6を制御する。このように構成することで、ユーザがレンジ加熱の出力と併せてレンジ加熱の設定時間も選択することができ、ユーザの手間を省略することができる。
【0067】
なお本実施形態では、レンジ加熱時間選択表示領域M6には、単にレンジ加熱の設定時間の一覧が並べて表示されるように構成しているが、例えば前回のレンジ加熱の出力で「600W」を選択したときのレンジ加熱の設定時間など、記憶手段32に記憶されている前回のレンジ加熱の出力選択時の設定時間を表示するように構成してもよく、またレンジ加熱の出力選択時のおすすめの設定時間を表示するように構成してもよい。
【0068】
以上のように本実施形態の加熱調理器としてのオーブンレンジでは、操作・表示制御部37は、レンジ加熱出力表示領域M5からレンジ加熱の出力が選択された後、このレンジ加熱の出力で選択できる時間を一覧で表示した時間表示領域としてのレンジ加熱時間選択表示領域M6を形成して表示手段6に表示し、レンジ加熱時間選択表示領域M6からレンジ加熱の時間が選択されたら、そのレンジ加熱の時間をオーブンレンジの制御に関する時間として設定されてピッカー表示部B6,B7,B9に表示するように構成される。そのため、ユーザがレンジ加熱の出力と併せてレンジ加熱の設定時間も選択することができ、ユーザの手間を省略することができる。
【0069】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更可能である。例えば第1および第2の実施形態で特徴となる構成を組み合わせてもよい。また、実施形態中で例示した数値などはあくまでも一例にすぎず、炊飯器の仕様などに応じて適宜変更してかまわない。
【符号の説明】
【0070】
6 表示手段
8 タッチパネル
37 操作・表示制御部(表示制御手段)
B6,B7,B9 ピッカー表示部(数値,桁)
E1 拡大領域
M5 レンジ加熱出力表示領域(出力表示領域)
M6 レンジ加熱時間選択表示領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9